JP2006010582A - 固相表面に非特異的吸着が発生しないヌクレオチドアレイチップ、ハイブリダイゼーション検出方法、並びにインターカレーターの結合重量の予測方法とプローブdnaの固定方法 - Google Patents
固相表面に非特異的吸着が発生しないヌクレオチドアレイチップ、ハイブリダイゼーション検出方法、並びにインターカレーターの結合重量の予測方法とプローブdnaの固定方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 主には、固相表面に対する一本鎖DNAや二本鎖DNA等の非特異的吸着防止すること。
【解決手段】 正電荷を帯びた固相表面Sに固定されたプローブ核酸Dとターゲット核酸Tとの間のハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域2に対して、(1)一本鎖プローブ核酸D、(2)一本鎖ターゲット核酸T、(3)ハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖核酸W、(4)前記二本鎖核酸Wの塩基対部分にインターカレートする蛍光物質Iの非特異的吸着を防止可能に調整された所定塩濃度の緩衝液(媒質M)を加えて、ヌクレオチドアレイチップ1でのハイブリダイゼーション検出(特に、インターカレーターによる検出)やプローブ核酸Dの固定などを行なう。
【選択図】 図1
【解決手段】 正電荷を帯びた固相表面Sに固定されたプローブ核酸Dとターゲット核酸Tとの間のハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域2に対して、(1)一本鎖プローブ核酸D、(2)一本鎖ターゲット核酸T、(3)ハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖核酸W、(4)前記二本鎖核酸Wの塩基対部分にインターカレートする蛍光物質Iの非特異的吸着を防止可能に調整された所定塩濃度の緩衝液(媒質M)を加えて、ヌクレオチドアレイチップ1でのハイブリダイゼーション検出(特に、インターカレーターによる検出)やプローブ核酸Dの固定などを行なう。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ハイブリダイゼーション検出に係わる技術に関する。より詳しくは、固相表面に対する一本鎖核酸や二本鎖核酸等の非特異的吸着防止する技術、固相表面においてインターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出可能にする技術、ハイブリダイゼーションの検出精度を向上させるための技術等に関する。
現在、ヌクレオチドアレイチップなどのバイオアッセイ用基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析などに利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
バイオアッセイ用基板とは、ガラス基板・シリコン基板などの上に多種・多数の核酸・タンパク質などの検出用物質を高密度に集積して固定したものをいう。基板上に多種・多数の検出用物質を固定することにより、ハイブリダイゼーションなどの分子間相互反応を起こす標的物質を網羅的に解析することができる。
基板上に検出用物質を固定する方法としては、例えば、基板上の反応領域内にアビジンで被膜した固相表面を設ける方法が用いられている。反応領域内に設けられたアビジン層とビオチン修飾された検出用物質がアビジン−ビオチン結合することにより、基板上に検出用物質を効率よく固定することができる。
なお、特許文献1には、ヌクレオチドアレイチップに関して、消光剤を用いて、蛍光検出時のバックグラウンドノイズを低減する方法が記載されている。この技術は、バックグラウンドノイズの発生を前提とした技術であり、該ノイズそれ自体の発生を防止する技術ではない。
特開2003−84002号公報。
図6〜8を参照しながら、本発明の課題について説明すると、まず、プローブ核酸Dやターゲット核酸Tなどの一本鎖核酸が固相表面Sに対して非特異的に吸着する場合がある(図6参照)。また、ハイブリダイゼーションで生成する二本鎖核酸Wが垂れ曲がる等して、固相表面Sに非特異的に吸着すること場合もある(図7参照)。このような非特異的吸着の発生は、ハイブリダイゼーション効率の低下を招くおそれがある。ターゲット核酸Tが蛍光色素fでラベルされている場合では、固相表面に対して該ターゲットDNAが非特異的に吸着すると、ノイズ蛍光が発生し、ハイブリダイゼーション検出精度の低下の原因となる。
また、二本鎖核酸の塩基対部分にインターカレート(挿入結合)する蛍光物質が知られている。このインターカレーターと称される蛍光物質を用いて、ヌクレオチドアレイチップ(例えば、DNAチップ)などの固相基板上でのハイブリダイゼーションを検出することを想定した場合、固相表面Sに対する前記インターカレーターIの非特異的吸着が発生する(図8参照)。この場合、非特異的吸着によってノイズ蛍光が発生し、S/Nが悪化する。従って、この技術的課題を解決しないと、固相基板上でのハイブリダイゼーションをインターカレーターで検出することは難しい。
このため、従来一般のハイブリダイゼーション検出のためのアッセイ過程では、このようなノイズ発生源となる物質を、所定の洗浄液によって固相表面領域から洗浄除去する手順が採用している。しかし、この洗浄除去作業は、条件設定が難しく、繊細な作業が求められ、正規にハイブリダイゼーションした相補鎖への悪影響も懸念される。また、ハイブリダイゼーション工程が複雑となり、検出用物質などの試薬を大幅にロスするという問題があった。
そこで、本発明は、(1)固相表面に対する一本鎖DNAや二本鎖DNA等の非特異的吸着防止すること、(2)基板表面などの固相表面においてインターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出可能にすること、(3)ノイズ蛍光の発生を防止してハイブリダイゼーションの検出精度を向上させること、を主な目的とする。
まず、固相表面に対する物質の非特異的吸着の現象は、例えば、アビジン固相表面のような正電荷を帯びる固相表面のような場合では、負電荷を持つ一本鎖ターゲット核酸(プローブ核酸、ターゲット核酸を含む。)やハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖核酸(相補鎖核酸)の非特異的吸着が問題になると考えられる。また、「インターカレーター」については、その化学構造や電荷状態については必ずしも明らかでない場合が多いが、固相表面に対する非特異的吸着が現実には問題となる。
本願発明者は、緩衝液の塩濃度を所定条件に調整することによって、負電荷を持つ物質やインターカレーターの固相表面に対する非特異的吸着の防止を有効に達成できることを新たに突き止めた。これは、イオン遮蔽又は対イオン濃縮によるものと推定する。
具体的には、緩衝液の塩濃度を調整することにより、緩衝液中に陽イオン、陰イオンが過剰に存在することとなり、過剰に存在する陽イオンは、負電荷を持つ物質を緩やかに取り囲み、固相表面から負電荷を持つ物質を遮蔽する。一方、陰イオンも、正に帯電した固相表面と引き付けあって緩やかに該固相表面を覆うため、負電荷を持つ物質から固相表面を遮蔽する。従って、正に帯電した固相表面と負電荷を持つ物質が緩衝液の塩濃度を調整することによって遮蔽されるため、固相表面への負電荷を持つ物質の非特異的吸着が防止されると考えられる。インターカレーターの非特異的吸着防止の機序は、必ずしも明確でないが、おそらくイオン遮蔽又は対イオン濃縮によるものと推定する。
以上の新規着想に基づいて、本発明では、まず、正電荷を帯びた固相表面と、該固相表面に固定されたプローブ核酸とターゲット核酸との間のハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域と、該反応領域に保持又は貯留された媒質と、を備えており、この媒質が、前記固相表面に対する非特異的吸着の防止が可能である所定塩濃度の緩衝液から構成とされたヌクレオチドアレイチップを提供する。
本発明において非特異的吸着防止の対象となり得る物質は、(1)一本鎖プローブ核酸、(2)一本鎖ターゲット核酸、(3)ハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖核酸、(4)該二本鎖核酸の塩基対部分にインターカレートする蛍光物質、のうちのいずれか一つ又はその組み合わせ、あるいはこれら全部の物質である。
固相表面の一例を挙げると、アビジンで表面処理されたアビジン固相表面である。この場合、前記プローブ核酸はビオチン修飾され、アビジン固相表面に対してアビジン−ビオチン結合により固定されることになる。
また、本発明に係るヌクレオチドアレイチップのプローブ核酸の固定密度は、一本鎖核酸又は/及び二本鎖核酸の非特異的吸着に深く関係していることを、今般、新たに突き止めたことに基づいて、前記プローブ核酸の固定密度は、固相表面に対する一本鎖核酸又は/及び二本鎖核酸の非特異的吸着が起こらない条件に設定する。特に、固定密度を適正な程度にすると、プローブ核酸に対するターゲット核酸の絡まり等の非特異的現象の発生を有効に防止できる。
次に、ハイブリダイゼーション飽和後に、ヌクレオチドアレイチップの反応領域内に一本鎖のターゲット核酸が存在した状態であると、該一本鎖ターゲット核酸にインターカレーターが結合してノイズ蛍光を発する。即ち、インターカレーターを用いたハイブリダイゼーション検出では、ハイブリダイゼーションしなかった一本鎖ターゲット核酸は、蛍光ノイズの発生を誘引する物質となる。また、ターゲット核酸に蛍光物質をラベルし、該蛍光によりハイブリダイゼーションを検出する系では、ハイブリダイゼーションできなかったターゲット核酸が反応領域内に存在したままであると、該ターゲット核酸それ自体がノイズ蛍光の発生源となる。
そこで、本発明では、プローブ核酸の固定密度を、前記反応領域に加えられたターゲット核酸と1対1、あるいは1対1に近似する数的関係の下で、ハイブリダイゼーション可能な条件に設定しておくようにする。
このような好適な固定密度の設定は、プローブ核酸の鎖長を勘案した上で塩濃度条件を選定等することによって行うことができる。これによって、ハイブリダイゼーション飽和時には、固相表面領域に余剰の核酸(ハイブリダイゼーションしていない一本鎖ターゲットDNA)が存在しない状態となるため、ノイズ蛍光の発生を確実に防止できる。
次に、本発明では、プローブ核酸を、前記固相表面から49Åよりも離れた位置に固定するように工夫する。固相表面に近接し過ぎる位置にプローブ核酸を固定すると、該プローブ核酸は、固相表面の電荷の影響等によってB-Form核酸を形成していない可能性が高く相補鎖を形成しないため、インターカレーターを用いる場合、蛍光強度のロスの原因(インターカレート量減少の原因)となる。
これを踏まえて、本願発明者が鋭意研究したところ、プローブ核酸を固相表面から49Åよりも離れた位置に固定しておくと、プローブ核酸のすべての塩基をハイブリダイゼーションに寄与させることができる。従って、相補塩基対の量に見合ったインターカレート量が得られるので、蛍光強度のロスを防止できる。
以上は、本発明に係るヌクレオチドアレイチップに係わる手段であるが、本発明では、以下の新規方法を提供することもできる。
まず、正電荷を帯びた固相表面上の所定塩濃度の緩衝液中で一本鎖核酸間のハイブリダイゼーションを進行させる方法であって、前記一本鎖核酸又は/及び二本鎖核酸の濃度に応じて前記塩濃度条件を選定し、前記固相表面に対する一本鎖核酸又は/及び二本鎖核酸の非特異的吸着を防止するハイブリダイゼーション方法を提供する。
次に、固相表面に対するプローブ核酸の固定密度を、該プローブ核酸の鎖長に応じて選択される塩濃度条件の下で、前記プローブ核酸とターゲット核酸の間の数的関係が1:1又はこれに近似するハイブリダイゼーションが得られる条件に設定するハイブリダイゼーション方法を提供する。
また、インターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する方法であって、固相表面の単位面積当たりの1bpのモル数を等しくすることによって、鎖長の異なる二本鎖DNAに対して、同効率でインターカレート反応を進行させるように工夫したハイブリダイゼーション方法を提供する。
さらに、本発明では、二本鎖DNAに対するインターカレーターの結合重量を、プローブ核酸の鎖長を変数とする回帰直線式(一次方程式)に基づいて予測する方法、固相表面からのプローブ核酸の最小固定距離を、前記回帰直線式(一次方程式)に基づいて決定するように工夫したプローブ核酸の固定方法を提供する。
ここで、本発明で使用する主たる技術用語の定義付けを行う。まず、「固相表面」は、固体材料物の表面を広く意味し、特に限定されない場合は、基板表面に加え、樹脂ビーズなどの粒子の表面を含む。
「プローブ核酸」は、反応領域に貯留又は保持された媒質中に存在し、当該物質とハイブリダイゼーションする核酸を検出するための検出子として機能する核酸である。
「ターゲット核酸」は、前記プローブ核酸とハイブリダイゼーションする核酸である。
「核酸」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体(ヌクレオチド鎖)を意味し、プローブDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cプローブDNA)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
「ハイブリダイゼーション」は、相補的な塩基配列構造を備える間の相補鎖(二本鎖)形成反応を意味する。
「反応領域」は、ハイブリダイゼーションの場を提供できる領域であり、例えば、基板上に形成された、液相やゲルなどを貯留できるウエル形状を有する反応場を挙げることができる。
「ヌクレオチドアレイチップ」は、DNAプローブなどのプローブ核酸が固定化されて微細配列された状態とされたハイブリダイゼーション検出用基板を意味し、DNAマイクロアレイやDNAチップの概念も含む。
「インターカレーター」は、二本鎖核酸の塩基対に挿入結合可能な蛍光物質であり、ハイブリダイゼーション検出に用いられる物質である。例えば、SYBR GreenIやPOPO−1やTOTO−1を挙げることができる。
本発明によれば、固相表面に対する一本鎖核酸や二本鎖核酸等の非特異的吸着防止することができる。また、基板表面などの固相表面においてインターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出することが可能になる。更には、ノイズ蛍光の発生を防止できるので、ハイブリダイゼーションの検出精度の向上を達成することができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明に係るヌクレオチドアレイチップの好適な実施形態の基本構成を簡略に説明する。図1は、本発明に係るヌクレオチドアレイチップの好適な基本構成の要部断面図である。
図1中に符号1で示されたヌクレオチドアレイチップ(以下「チップ」と略称。)は、所定波長の励起光(例えば、蛍光励起光)を透過可能な基材層11を備える。この基材層11は、例えば、石英等のガラス、ポリカーボネート、ポリスチレン等の材料で形成する。射出成形可能な合成樹脂材料を採用すると、ランニングコストの低減を達成できる。
この基材層11の上側には、プローブ核酸Dを固定するための固定層12が積層されている。この固定層12は、ITO(インジウム−スズ−オキサイド)やアルミニウムなどの光透過性がある材料で形成するのが望ましい。例えば、ITOやアルミニウムをスパッタリングや電子ビーム蒸着等によって、150nm程度の厚さに生膜する。この固定層12に光透過性があると、基板裏面側からの光ピックアップを採用することができる(図1参照)。
固定層12の上側には、反応領域2として機能するウエルが形成されたウエル形成層13が積層されている。このウエル形成層13を、例えば、ポリイミド樹脂によって形成すると、SiO2などの無機酸化膜などで形成する場合よりも、原材料コスト面で有利であり、また、厚膜形成も前記無機酸化膜などに比較して容易であるので、生膜コストも安いという利点がある。
このウエル形成層13を感光性ポリイミド樹脂で形成すれば、フォトレジストを用いた表面処理を行うことによって、所定形状のウエルを簡易に形成することができる。例えば、固定層12の上に感光性ポリイミド樹脂をスピンコート等で5μm程度の厚さに塗布し、レーザービーム露光装置等を用いて、パターン露光及び現像することによって、所定形状の反応領域2を形成できる。
反応領域2は、ハイブリダイゼーションその他の相互作用の反応場を提供できる領域であり、例えば、媒質Mを貯留又は保持できるウエル形状の反応場などを挙げることができる。この反応領域2の形状やサイズは特に限定されないが、その長さ、幅、深さは、それぞれ数μmから数百μm程度のものであり、このサイズ値は、励起光のスポット径やサンプル溶液の最小滴下可能量に基づいて決定することができる。
ここで、この固定層12の反応領域2を臨む面には、アビジンによって表面処理された固相表面Sが形成されている。例えば、ストレプトアビジンなどのアビジンによって表面処理された固相表面Sは、ビオチンで修飾されたプローブDNAの固定に適している。図1では、固相表面Sにプローブ核酸Dの一端がアビジン-ビオチン結合を介して、所定密度で固定されている様子が模式的に示されている。このプローブ核酸Dは、相補性のある核酸(ターゲット核酸)の検出子として機能する。
例えば、図2では、反応領域2の媒質M中で、固定されたプローブ核酸Dに対して、蛍光物質fがラベルされたターゲット核酸Tがハイブリダイゼーションし、二本鎖核酸Wを形成している様子が模式的に示されている。
図3は、固定されたプローブ核酸Dに対してターゲット核酸Tがハイブリダイゼーションし、相補塩基対部分に蛍光発光性を有するインターカレーターIが挿入結合されている様子が模式的に示されている。
再び図1を参照すると、情報読み取り光である蛍光励起光Pは、例えば、図示しないレーザーダイオードから出射され、図示しないコリメータレンズにて平行光とされたり、所定のミラーで角度変更等されたりして、チップ1の裏面側へ進行し、最終的には、チップ1の下方に配置された集光レンズL1に入射して絞り込まれ、反応領域2へ入射する。一方、反応領域2から戻ってきた、蛍光物質f(図2参照)又はインターカレーターI(図3参照)由来の蛍光Fについても、図示しないコリメータレンズにて平行光とされたり、所定のミラーで角度変更等されたりして進行し、最終的には集光レンズL2で絞り込まれ、該集光レンズL2の後方所定位置に配置されたディテクタUによって受光、検出される。このようにして、ハイブリダイゼーションを検出できる。
なお、二本鎖核酸Wに対するインターカレーターIの結合重量は、プローブ核酸Dの鎖長(例えば、ヌクレオチド分子数)を変数とする回帰直線式(一次方程式)に基づいて予測することが可能である。
ここで、本発明において好適に採用できる媒質Mは、所定塩濃度の緩衝液(例えば、リン酸バッファー)である。この媒質Mの塩によるイオン遮蔽又は対イオン濃縮によって、固相表面Sに対して、一本鎖プローブ核酸D、一本鎖ターゲット核酸T、ハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖核酸W、前記二本鎖核酸Wの塩基対部分にインターカレートする蛍光物質Iが非特異的に吸着するのを防止する。緩衝液の塩は、特に限定されないが、NaCl,MgCl2などが好適である。
プローブ核酸Dの固定密度は、固相表面Sに対する一本鎖核酸(一本鎖プローブ核酸D、一本鎖ターゲット核酸T)や二本鎖核酸(ハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖核酸W)の非特異的吸着が起こらない条件に設定し、あるいは、プローブ核酸Dは、反応領域2に加えられたターゲット核酸Tと1対1、あるいは1対1に近似する数的関係の下で、ハイブリダイゼーション可能な固定密度とする(後述の実施例を参照)。
また、プローブ核酸Dは、その固相表面S側の末端部位が、固相表面Sからの距離d(図4参照)が49Åよりも離れた位置になるように、例えば、リンカー分子や図示しない修飾分子を介して固定するのが望ましい(後述の実施例を参照)。なお、図4には、理解に資するため、プローブ核酸Dは固相表面Sに対してリンカー分子X(あるいは、修飾分子とリンカー分子)を介して固定されている様子が模式的に示されている。
固相表面Sからのプローブ核酸Dの最小固定距離dを、該プローブ核酸Dの鎖長を変数とする回帰直線式(一次方程式)に基づいて決定することができる。
水晶振動子(発振子)(Quartz-Crystal Microbalance、以下「QCM」)装置(株式会社イニシアム製・生体分子間相互作用定量QCM装置「AFFINIX Q(型式QCM2000」)を、以下の「表1」の測定条件に設定して、以下の各実験を行った。
Au電極に対するアビジン(Avidin,和光純薬工業製)の処理方法、即ちアビジン固相表面の作製方法は、本実験で使用した前記QCM装置のプロトコルに従って実施した。検出用核酸であるプローブDNAの固定は、次の「表2」に示された鎖長(単位「mer」で示す。)の異なるプローブDNA(オリゴヌクレオチド)の各5’末端をビオチン修飾したものを用いて、アビジン処理済みの前記Au電極(即ち、アビジン固相表面)に対してアビジン−ビオチン結合により固定した。なお、以下の実施例に関する説明においては、「アビジン固相表面」とは、アビジン処理済みのAu電極を意味し、都度の説明を割愛する。
なお、本実験で使用した標的核酸であるターゲットDNA(表2のプローブDNAと完全相補的であるオリゴヌクレオチド)は、次の「表3」に示すとおりである。
(実施例1)
前掲の「表4」に示された結果からわかるように、緩衝液中に塩(NaCl)を加え、該塩濃度を所定条件に設定することによって、アビジン固相表面に対する一本鎖又は二本鎖のオリゴヌクレオチドの非特異的吸着を防止することができることがわかった。
前掲の「表4」に示された結果からわかるように、緩衝液中に塩(NaCl)を加え、該塩濃度を所定条件に設定することによって、アビジン固相表面に対する一本鎖又は二本鎖のオリゴヌクレオチドの非特異的吸着を防止することができることがわかった。
また、「表4」から、オリゴヌクレオチドの非特異的吸着は、オリゴヌクレオチドの累積投入濃度と塩濃度に依存していることも明らかである。オリゴヌクレオチドの濃度が低いと、非特異的防止に有効な塩(NaCl)濃度も減少する。例えば、オリゴヌクレオチドの累積投入濃度が400nMである場合は、200mMのNaClにより非特異的吸着を防止できるのに対して、オリゴヌクレオチドの累積投入濃度が30nMである場合は、50mMのNaClで非特異的吸着を有効に防止できる。
また、二本鎖DNA(30bp)の場合では、累積投入濃度が20nMのときに、塩濃度50mMの条件でも非特異的吸着が発生したのに対して、一本鎖DNA(30mer)の場合では、累積投入濃度がより高い30nMのときでも、塩濃度50mMの条件で非特異的吸着を防止できた。この結果から、一本鎖DNAよりも二本鎖DNAの方が、非特異的吸着を防止するためには、より高い塩濃度を選定する必要があることが明らかになった。
この本実験の結果から、オリゴヌクレオチド(一本鎖のプローブDNA)をアビジン固相表面に固定するために、プローブDNAをヌクレオチドアレイチップ上の反応領域へ加える場合において、該プローブDNAの固相表面に対する非特異的吸着を排除するためには、プローブDNAの累積投入濃度を勘案して、緩衝液に添加された塩の濃度を決定することが有効である。
また、ハイブリダイゼーション進行中やハイブリダイゼーション飽和後において、生成した二本鎖DNAが垂れ曲がる等することにより(図7参照)、部分的に固相表面に吸着し、これが原因で検出精度が低下するという問題がある。しかし、本実験の結果によれば、ハイブリダイゼーション工程においては、二本鎖DNAが固相表面に対して非特異的に吸着しない程度の塩(例えば、NaCl)濃度条件を選定して行えば、前記問題は発生しない。
より詳しくは、ハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖DNAの固相表面に対する非特異的吸着を防止する場合も、該二本鎖DNAの濃度(累積投入濃度)を勘案して、緩衝液中に添加された塩の濃度を決定することが有効である。
(実施例2)
次に、ビオチン修飾されたプローブDNAをアビジン固相表面上に固定する際のイオン強度の影響を調べる実験を行った。
次に、ビオチン修飾されたプローブDNAをアビジン固相表面上に固定する際のイオン強度の影響を調べる実験を行った。
本実験で用いたオリゴヌクレオチドは、5’末端にビオチン修飾された30merのプローブDNAを用いた(「表1」の30merの欄を参照)。使用した緩衝液は、0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)である。本実験の結果を、次の「表5」に示す。
本実験の結果、実験No.4、3、2、1の順番にプローブ固定量が減少したことから(「表5」参照)、緩衝液中の塩濃度が高いほど(緩衝液中のイオン強度が高いほど)、アビジン固相表面に対するビオチン修飾されたプローブDNAの結合(アビジン−ビオチン結合)が、量的に阻害されることがわかった。
(実施例3)
本実験では、共通の緩衝液条件下で、プローブDNAの鎖長の違いが、アビジン固相表面へのプローブDNAの飽和固定量へどのような影響を及ぼすかを検証した。
本実験では、共通の緩衝液条件下で、プローブDNAの鎖長の違いが、アビジン固相表面へのプローブDNAの飽和固定量へどのような影響を及ぼすかを検証した。
本実験で用いたプローブDNAは、5’末端がビオチン修飾されたヌクレオチド分子であり、鎖長の異なる、15mer、20mer、25mer、30merの計4種である(「表2」を参照)。
また、使用した共通の緩衝液は、塩(NaCl)200mMを含む0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)である。なお、プローブDNAの固定化は、飽和に達するまで行った。本実験の結果を、次の「表6」に示す。
上掲の「表6」に示された結果からわかるように、同一の塩濃度条件(イオン強度条件)では、鎖長がより長いほど、プローブ飽和固定量、プローブ飽和固定密度が減少することがわかった。
例えば、鎖長15merのプローブDNA(「表6」のNo.1参照)では、プローブ飽和固定量が1.00pmolであり、プローブ飽和固定密度が12.1×1012個/cm2であるのに対して、鎖長30merのプローブDNA(「表6」のNo.4参照)では、プローブ飽和固定量が0.36pmolであり、プローブ飽和固定密度が4.4×1012個/cm2に留まっていることが判明した。
これは、鎖長が増えると、リン酸イオンに由来する負電荷が増加するため、オリゴヌクレオチド間で電気的反発がより強く起こり、これが原因で、単位面積当たりに固定され得るプローブDNAの数が減少するからと考えられる。また、鎖長が増えると、固定反応時に、いわゆる「立体障害」が発生し易くなるので、単位面積当たりに固定されるプローブDNAの数が減少するからと考えられる。
(実施例4)
次に、緩衝液中の塩(NaCl)濃度を低くした条件に設定し、前実験同様の実験を行った。
次に、緩衝液中の塩(NaCl)濃度を低くした条件に設定し、前実験同様の実験を行った。
使用した緩衝液は、塩(NaCl)150mMを含む0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)である。用いたプローブDNAは、5’末端がビオチン修飾された25mer、30merの2種である(「表2」参照)。なお、プローブDNAの固定化は、飽和に達するまで行った。本実験の結果を、次の「表7」に示す。
前掲の「表7」の実験No.5と上掲の「表6」の実験No.3、並びに「表7」の実験No.6と上掲の「表6」の実験No.4を比較するとわかるように、同じ鎖長のプローブDNAの場合では、塩濃度が高い方が(実施例3の条件の方が)、飽和固定量が減少している。
この結果は、緩衝液中の塩濃度が高いほど(イオン強度が高いほど)、アビジン固相表面に対するビオチン修飾されたプローブDNAの結合(アビジン−ビオチン結合)が、量的に阻害されることを証明するものである。
(実施例5)
次に、固相表面上でもプローブDNAの固定密度とハイブリダイゼーション効率(「ハイブリ効率」と略称。)の関係を検証するための実験を行った。
次に、固相表面上でもプローブDNAの固定密度とハイブリダイゼーション効率(「ハイブリ効率」と略称。)の関係を検証するための実験を行った。
より詳しくは、アビジン固相表面に固定されたプローブDNAと、アビジン固相表面に対して加えられたターゲットDNAとが、1:1の数的関係(ハイブリブリ効率100%)のハイブリダイゼーションを達成するために適するプローブDNAの固定密度を検証するための実験を行った。本実験の結果を、以下の「表8」に示した。
なお、本実験で用いたプローブDNAは、上掲した「表2」に示された15mer、20mer、25mer、30merの計4種である。鎖長15mer、20mer、25mer、30merの全分子長は、それぞれ5.1nm、6.8nm、8.5nm、10.2nmである。
また、「表8」に示された「ハイブリ効率」は、ハイブリダイゼーション飽和時のターゲットDNA量(pmol)をプローブDNAの固定量(pmol)で除した値に100を掛けて求めた値である。
前掲した「表8」の結果に示すように、15mer、20mer、25mer、30merの全てのプローブDNAにおいて、ハイブリ効率をほぼ100%に達成できるプローブDNAの固定密度を下回る固定密度の場合では、ハイブリ効率が100%を大きく超え、固定されたプローブDNAとハイブリダイゼーションしたターゲットDNAの間の数的関係が、明らかに1:1又はこれに近似する数的関係とはならなかった。これは、プローブDNAの固定密度が一定の程度よりも低くなると、プローブDNAに対するターゲットDNAの絡まり等の非特異的な現象が発生するからと考えられる。
ヌクレオチドアレイチップの反応領域に、このような非特異的吸着が存在した状態のままで、ハイブリダイゼーション検出を行うと検出精度が低下する。例えば、アビジン固相表面に非特異的吸着したターゲットDNAには、本来相補鎖の塩基対に挿入結合するべきインターカレーターが結合してしまうため、かかるインターカレーターから発生られる蛍光は、バックグラウンドノイズとなり、S/N比を悪化させてしまう。
ターゲットDNAに蛍光物質をラベルして蛍光検出する場合でも、アビジン固相表面に非特異的吸着したターゲットDNAから発せられる蛍光は、バックグラウンドノイズとなり、S/N比を悪化させてしまう。
従って、従来一般のハイブリダイゼーション検出のためのアッセイ過程では、このようなノイズ発生源となる物質を、所定の洗浄液により反応領域から洗浄除去する手順が採用される。しかし、この洗浄除去作業は、条件設定が難しく、繊細な作業が求められ、ハイブリダイゼーションした二本鎖への悪影響も懸念される。
そこで、本発明では本実験の結果に基づいて、ヌクレオチドアレイチップの反応領域中に固相表面に対するプローブDNAの固定密度を、プローブDNAの鎖長に応じて選択される適切な塩濃度条件の下で、該プローブDNAとターゲットDNAの間の数的関係が1:1又はこれに近似するハイブリダイゼーションが得られる条件に設定する方法を採用する。
この方法をヌクレオチドアレイチップに応用すると、反応領域中の固相表面に非特異的吸着したターゲットDNA、あるいは非特異的にプローブDNAやハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖DNAに絡まって存在等するターゲットDNAを無くすことができる。
従って、バックグラウンドノイズ源となる余剰のターゲットDNAを洗浄除去する作業を、ハイブリダイゼーション検出アッセイ系から排除することができる。即ち、前記方法により、洗浄フリーのハイブリダイゼーション検出アッセイを提供でき、かつ高精度のハイブリダイゼーション検出を実施できる。
(実施例6)
NaCl200mMを含む0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)を用いた実験を行った。
NaCl200mMを含む0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)を用いた実験を行った。
この実験の結果、アビジン固相表面へのインターカレーター(商品名:SYBR GreenI)の非特異的吸着が見られないことも確認した。インターカレーターが固相表面に非特異的吸着すると、ハイブリダイゼーション読み取り用の励起光の照射によって蛍光を発するので、バックグラウンドノイズとなる。
従って、インターカレーターを用いてハイブリダイゼーション検出を行う場合では、緩衝液中の塩濃度を所定条件に設定することにより、固相表面に非特異的吸着したインターカレーター由来のノイズ蛍光を有効に排除できる。これにより、ハイブリダイゼーション検出精度を高めることができる。
「実施例5」及び「実施例6」の結果に基づけば、ハイブリダイゼーション検出精度に悪影響を与える、プローブDNA、ターゲットDNA、インターカレーターの固相表面への非特異的吸着を防止するためには、プローブDNAの鎖長を勘案して、緩衝液中の塩濃度とプローブDNAの固定密度を選定する方法が有効となる。
(実施例7)
次に、ヌクレオチドアレイチップにおけるインターカレーターを使用したハイブリダイゼーション検出を想定し、固相基板上で、鎖長が15〜30mer程度のオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーションをインターカレーターにより検出が可能か否かを検証する実験を行った。
次に、ヌクレオチドアレイチップにおけるインターカレーターを使用したハイブリダイゼーション検出を想定し、固相基板上で、鎖長が15〜30mer程度のオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーションをインターカレーターにより検出が可能か否かを検証する実験を行った。
また、二本鎖DNAの鎖長が増えるほど、インターカレートに関わる立体効果(Steric Effect)は大きくなるので、鎖長の相違による前記立体効果の大きさの違いを除去し、種々の鎖長の二本鎖DNAに対して、同効率でインターカレート反応を進行させるための方法を検討した。
本実験で採用したプローブDNAは、上掲した「表2」に示されている鎖長が15、20、25、30merの計4種のオリゴDNAであり、使用したインターカレーターは、Molecular Probes社製・SYBR Green I Nucleic Acid Gel Stainである。
なお、本実験における前記計4種のプローブDNA、それぞれのアビジン固相表面に対する設定固定密度は、次の「表9」の通りである。この設定固定密度は、上記実施例5の結果に基づいている。即ち、プローブDNAの鎖長に応じて、プローブDNAとターゲットDNAの間の数的関係が1:1又はこれに近似する数的関係でハイブリダイゼーションが可能な最適固定密度である(「表8」と「表9」を対照して参照)。
本実験の結果を、次の「表10」に示し、プローブDNAの鎖長(mer)と二本鎖DNA1mol当たりのインターカレート量(g)と間の相関関係を、添付した図1(図面代用グラフ)に示す。
本実験の条件を採用すると、前掲する「表10」並びに図5(図面代用グラフ)に示されているように、固相基板上でのオリゴDNAの鎖長とインターカレーター(Molecular Probes社製・SYBR Green I Nucleic Acid Gel Stain)のインターカレート量(重量)との間に、次の「式1」に示された回帰直線式を成立させることができる。
本実験の結果から、インターカレーター(Groove Bindingインターカレーター)は、固相基板上において、即ちヌクレオチドアレイチップ上において、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション検出に利用可能であることがわかった。
また、インターカレーターは、固相基板上においても、オリゴヌクレオチドの5ヌクレオチド分子(5mer)程度の違いを認識するほどの精度を持っていることも明らかになった(「表10」参照)。
ここで、上記「式1」に基づく一考察を行うと、y=0のとき(即ち、二本鎖DNA1mol当たりのインターカレーターの結合量が0のとき)のx値を求めると、x=9.08となる。この値から、オリゴ鎖長が9merには、インターカレートできないことがわかる。なお、オリゴ鎖長9merは、30Åの分子長(鎖長)に相当する。
ここで、本実験で用いたプローブDNAは、分子長が19Å(オングストローム)からなる修飾分子(アビジン+リンカー分子)を備えている。アビジン固相表面からの距離が49Å(30Å+19Å)範囲内にあるオリゴヌクレオチドは、当該固相表面の正電荷の影響などを受けて、B−FormDNAを形成していない可能性が大きい。なお、プローブDNAのビオチン修飾に用いた試薬は、BiotionPhosphoramaidite(GLEN RESEARCH社製)である。
従って、より長いリンカー分子を用いて、アビジン固相表面からの距離が49Åを超える位置にプローブDNAを固定すれば、インターカレートされない塩基対を無くすことができる。この工夫により、インターカレーター(Groove Bindingインターカレーター)は、ヌクレオチドアレイチップなどの固相表面において、15mer〜30mer程度の短いオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション検出に利用可能となることがわかった。
また、二本鎖DNAの鎖長が増えるほど、インターカレートに関わる立体効果(Steric Effect)は大きくなることを勘案し、鎖長の相違による前記立体効果の大きさの違いを除去し、種々の鎖長の二本鎖DNAに対して、同効率でインターカレート反応を進行させるためには、「単位面積当たりの1bpのモル数」を等しくすればよいことがわかった(「表9」参照)。
本発明は、ハイブリダイゼーション検出技術として利用できる。固相表面に対する一本鎖核酸や二本鎖核酸等の非特異的吸着防止する技術、あるいは、固相表面、特にヌクレオチドアレイチップの固相表面において、インターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する技術に利用できる。ハイブリダイゼーションの反応効率の向上や検出精度の向上を図るための技術に利用できる。
Claims (10)
- 正電荷を帯びた固相表面と、該固相表面に固定されたプローブDNAとターゲットDNAとの間のハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域と、該反応領域に保持又は貯留された媒質と、を備え、
前記媒質は、前記固相表面に対する次の(1)〜(4)のいずれか一つ又はその組み合わせ、あるいはこれら全物質の非特異的吸着の防止が可能である所定塩濃度の緩衝液から構成されたヌクレオチドアレイチップ。
(1)一本鎖プローブ核酸。
(2)一本鎖ターゲット核酸。
(3)ハイブリダイゼーションによって生成した二本鎖核酸。
(4)前記二本鎖核酸の塩基対部分にインターカレートする蛍光物質。 - 前記固相表面は、アビジンで表面処理されたアビジン固相表面であって、前記プローブ核酸は、前記アビジン固相表面に対してアビジン−ビオチン結合により固定されたことを特徴とする請求項1記載のヌクレオチドアレイチップ。
- 前記プローブ核酸の固定密度が、前記固相表面に対する一本鎖核酸又は/及び二本鎖核酸の非特異的吸着が起こらない条件に設定されたことを特徴とする請求項1記載のヌクレオチドアレイチップ。
- 前記プローブ核酸は、前記反応領域に加えられたターゲット核酸と1対1、あるいは1対1に近似する数的関係の下で、ハイブリダイゼーション可能な固定密度とされたことを特徴とする請求項1記載のヌクレオチドアレイチップ。
- 前記プローブ核酸は、前記固相表面から49Åよりも離れた位置に固定されたことを特徴とする請求項1記載のヌクレオチドアレイチップ。
- 正電荷を帯びた固相表面上の所定塩濃度の緩衝液中で一本鎖核酸間のハイブリダイゼーションを進行させる方法であって、前記一本鎖核酸又は/及び二本鎖核酸の濃度に応じて前記塩濃度条件を選定し、前記固相表面に対する一本鎖核酸又は/及び二本鎖核酸の非特異的吸着を防止することを特徴とするハイブリダイゼーション方法。
- 固相表面に対するプローブ核酸の固定密度を、該プローブ核酸の鎖長に応じて選択される塩濃度条件の下で、前記プローブ核酸とターゲット核酸の間の数的関係が1:1又はこれに近似するハイブリダイゼーションが得られる条件に設定することを特徴とするハイブリダイゼーション方法。
- インターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する方法であって、固相表面の単位面積当たりの1bpのモル数を等しくすることによって、鎖長の異なる二本鎖DNAに対して、同効率でインターカレート反応を進行させることを特徴とするハイブリダイゼーション方法。
- 二本鎖核酸に対するインターカレーターの結合重量を、プローブ核酸の鎖長を変数とする回帰直線式(一次方程式)に基づいて予測することを特徴とするインターカレーターの結合重量の予測方法。
- 固相表面からのプローブ核酸の最小固定距離を、該プローブ核酸の鎖長を変数とする回帰直線式(一次方程式)に基づいて決定することを特徴とするプローブ核酸の固定方法。
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