JP2006008878A - 芳香族化合物重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下式(1)で示される芳香族化合物を、酸化剤の存在下、酸化重合させる芳香族化合物重合体の製造方法であって、触媒として、遷移金属錯体と活性剤とから調整され、下式(A)で定義されるPが0.50以上である触媒を用いる芳香族化合物重合体の製造方法。
(式中、X1〜X6は、C−H、C−R1またはNを表し、R1は、炭化水素基等を表すが、X1〜X6のうち少なくとも二つはC−Hである。)
P = Af /Ai (A)
(式中、Aiは、前記触媒を含む溶液について得られた吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度を表し、Afは、該溶液に、該触媒に含まれる金属のモル数に対して3当量の水を添加した溶液について得られた吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度を表す。)
【選択図】 なし
Description
Macromolecules 1996, 29, 7645
具体的には、上記の製造方法の典型例である、バナジルアセチルアセトナト/トリフルオロメタンスルホン酸 =1:1の触媒(後に定義する耐水性パラメータP=0.36)を用い、脱水剤を共存させずにp−ジアルコキシベンゼンの酸化重合を実施した場合、目的の重合体は殆ど得られなかった。
大量の脱水剤を用いる場合、目的の重合体の精製が難しくなる等工業的な製造には必ずしも好ましくなく、大量の脱水剤を用いず比較的良い収率で重合体を得ることができる製造方法が求められていた。
本発明の目的は、大量の脱水剤を用いず比較的良い収率で重合体を得ることができるような芳香族化合物重合体の製造方法を提供することにある。
(式中、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、それぞれ独立に、C−H、C−R1またはNを表し、R1は、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基、置換されていてもよい炭化水素チオ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホスホン酸基、またはスルホン酸基を表し、R1が複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。ただし、X1、X2、X3、X4、X5およびX6のうち少なくとも二つはC−Hである。)
(式中、X7、X8、X9、X10、X11およびX12は、それぞれ独立に、C−H、C−R2またはNを表し、Y1は単結合、−CR3=CR4−、−CR5=N−、−N=CR6−、−N=N−、−CR7R8−CR9R10−、−O−CR11R12−、−CR13R14−O−、−CR15R16−、−NR17−、−O−、−S−または−Se−を表し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14 、R15およびR16は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基、置換されていてもよい炭化水素チオ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホスホン酸基、またはスルホン酸基を表し、R17は、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい炭化水素オキシ基を表す。R2が複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。X7とX8、X8とX9、X9とX10、X11とX12の組合せが、それぞれ、共にC-R2である場合、隣接する二つのR2が環を形成してもよい。また、X11がC-R2で、Y1が−CR3=CR4-である場合、R2とR4で環を形成してもよい。また、X11がC-R2で、かつY1が−N=CR6-である場合、R2とR6で環を形成してもよい。二つのR2が環を形成する場合、R2とR4で環を形成する場合およびR2とR6で環を形成する場合、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、X7、X8、X9、X10、X11およびX12X7〜X12のうち少なくとも二つはC−Hである。)
P = Af /Ai (A)
(式中、Aiは、前記触媒を含む溶液について得られた吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度を表し、Afは、該溶液に、該触媒に含まれる金属のモル数に対して3当量の水を添加した溶液について得られた吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度を表す。)
X1〜X6がNを表す数は、好ましくは1〜2であり、より好ましくは0である。
該炭化水素基としては、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜22の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜16の炭化水素基である。
アルキルオキシ基としては、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ドコシルオキシ基等の炭素数1〜50程度のアルキルオキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
該炭化水素オキシ基としては、好ましくは炭素数1〜40の炭化水素オキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜30の炭化水素オキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜20の炭化水素オキシ基である。
該炭化水素チオ基としては、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜22であり、さらに好ましくは炭素数1〜16である。
該アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜40の置換炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜25の置換炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜18の置換炭化水素基である。
環を形成する場合は、−(CH2)3−、−(CH2)4−、または−CH=CH−CH=CH−などによって、5〜6員環を形成することが好ましい。またこれらの環は置換基を有していてもよく、その例としては置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基、置換されていてもよい炭化水素チオ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホスホン酸基、またはスルホン酸基があげられ、これらの置換基の具体的な例は前記の通りである。
ここに活性化剤としては、プロトン酸もしくはルイス酸が挙げられる。
プロトン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、硝酸、酢酸などのプロトンが挙げられ、好ましくはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸である。ルイス酸としては、例えば、トリフェニルメチルテトラフルオロボレート、塩化アルミニウム、スカンジウムトリフラートなどが挙げられ、好ましくはトリフェニルメチルテトラフルオロボレートである。
また本発明の遷移金属錯体触媒には、錯体の原料、合成過程および/または酸化重合過程で、溶媒などが配位していても良い。
触媒調整の方法は特に限定されないが、通常、溶媒の存在下、バナジウム錯体に酸を加えて触媒を調整する。該触媒は、調整溶液のまま重合反応に使用してもよいし、単離したものを使用してもよい。
一般式(3)で表されるバナジウム二核錯体などが挙げられ、触媒活性の点で好ましくは一般式(3)で表されるバナジウム二核錯体である。
(式中、L1およびL2は配位原子を4個以上有する配位子を表し、これらはそれぞれ、二つのバナジウム原子と、配位原子を介して結合している。L1とL2は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
L1およびL2の具体例としては、例えば、2,2‘−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビスアセト酢酸、2,2‘−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス(3−ジメチルアミノプロパノール)などが挙げられる。
(式中、A1、A2、A3およびA4はそれぞれ独立に酸素原子またはNR27を表し、B1、B2、B3およびB4はそれぞれ独立に−O−または−NR28−を表し、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、およびR24は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基を表す。R25およびR26は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよい芳香族基、−O−、−S−、−SO2−、または−NR29−を表し、mおよびnは、それぞれ独立に1〜7の整数を表し、R25およびR26がそれぞれ複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。 R27、 R28、 および R29はそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を表す。R27、 R28、 および R29のうち複数存在するものについては、互いに同一であっても異なっていてもよい。
A1とA2の両方および、A3とA4の両方がそれぞれ、共にNR27である場合、2個のR27が一緒になって2価の炭化水素基を表してもよく、B1とB2の両方およびB3とB4の両方がそれぞれ、共に-NR28-である場合、2個のR28が一緒になって2価の炭化水素基を表してもよい。)
該炭化水素基としては、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜22の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜16の炭化水素基である。
アルキルオキシ基としては、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基等の炭素数1〜50程度のアルキルオキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
該炭化水素オキシ基としては、好ましくは炭素数1〜40の炭化水素オキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜30の炭化水素オキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜20の炭化水素オキシ基である。
該アルキレン基は、アルキルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。アルキルオキシ基、およびハロゲン原子としては、前記と同じものが挙げられる。
該芳香族基は、アルキル基、アラルキル基、アルキルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、などの炭素数1〜50程度の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、1−フェニル−3−プロピル基、1−フェニル−4−ブチル基、1−フェニル−5−ペンチル基、1−フェニル−6−ヘキシル基などの炭素数7〜50程度のアラルキル基が挙げられる。
アルキルオキシ基、およびハロゲン原子としては、前記と同じものが挙げられる。
R25およびR26がそれぞれ複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
R27、 R28、 および R29のうち複数存在するものについては、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの2価の炭化水素基は、置換基を有していてもよく、その例として、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられ、これらの置換基の具体的な例は前記の通りである。
P = Af /Ai (A)
(式中、Aiは、前記触媒を含む溶液について得られた吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度を表し、Afは、該溶液に、該触媒に含まれる金属のモル数に対して3当量の水を添加した溶液について得られた吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度を表す。)耐水性パラメータPは、0.55以上であることが好ましい。
ついで、該溶液に、触媒に含まれる金属のモル数に対して1当量の水を添加し1時間攪拌し、次いで遷移金属錯体触媒中に含まれる金属のモル数に対して1当量の水を添加し1時間攪拌し、さらに遷移金属錯体触媒中に含まれる金属のモル数に対して1当量の水を添加し1時間攪拌した後、UV-Vis吸収スペクトルを測定し、得られたスペクトルの最大吸収波長の吸光度をAfとする。
触媒のUV-Vis吸収スペクトルは、触媒を有機溶媒に溶解して調整した溶液の吸収スペクトルから、調整に使用した有機溶媒の吸収スペクトルを減算して得られる。
触媒の溶液を調整するときの溶媒は、触媒を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されないが、好ましくはニトロベンゼン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ニトロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンである。
触媒は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
併用される酸化剤としては、例えば、酸素、ベンゾキノン、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸などが挙げられ、好ましくは酸素である。 酸素は不活性ガスとの混合物であってもよく、空気でもよい。酸素を用いる場合はモノマーに対して、通常、0.5当量以上大過剰に使用し、酸素の分圧に関しては制限はない。酸素以外の酸化剤を用いる場合はモノマーに対して、通常、0.5〜3当量を使用する。これらの酸化剤は単独で用いてもよいし、二種以上を混合して組み合わせてもよい。
有機溶媒の使用量は、通常、モノマーの濃度が0.1〜90重量%になるような割合で使用する。好ましい割合は1〜50重量%であり、より好ましい割合は2〜30重量%であり、さらに好ましい割合は5〜25重量%である。
反応時間は、反応温度などの反応条件で変わるが、通常、1時間以上、好ましくは2〜500時間である。
上記の後処理で得られたポリマーの純度が低い場合は、再結晶、ソックスレー抽出器による連続抽出などの通常の方法にて精製することが可能である。
本発明においては、重合を開始してから終了するまでの間の反応系中の水分の最大値、(通常は、酸化重合反応終了時の反応混合物中の水分量)が、触媒に含まれる金属の1モルに対して0.01モル以上である場合にも有効である。反応溶液中の水分の最大値は、好ましくは0.05当量以上、より好ましくは0.10当量以上、さらに好ましくは0.50当量以上である。水分は、使用する原料中に含まれるもの、重合の進行に伴い発生するものに由来する。
また、本発明において、脱水剤を用いる場合には、公知の製造方法に比べ、少ない量の脱水剤で、良い収率で、芳香族化合物重合体を得ることができる。
反応溶液中の水分量の測定は、平沼微量水分測定装置AQ-2000により、発生液としてハイドラナール(R)クーロマットAKを、対極液としてハイドラナール(R)クーロマットCG-Kを使用して行った。
ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分析し、標準ポリスチレン換算値として重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。ポリマーラボラトリー社製PL-GPC210システム(RI検出)により、ポリマーラボラトリー社製PLgel 10um MIXED-B 3本をカラムとして、o-ジクロロベンゼン(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.01%w/v含有)を展開溶媒として、40℃、もしくは100℃で行った。
ビス−μ−(3,3‘−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイドの合成
3,3‘−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス(2,4−ペンタンジオン)102.4mg(0.34mmol)とエタノール3.8mLからなる溶液に、硫酸バナジル三水和物74.7mg(0.34mmol)と50%エタノール水溶液3.3mLからなる溶液を、25℃で10分間かけて滴下した。25℃で4時間攪拌した後、析出した固体を濾過し、50%エタノール水溶液、ジエチルエーテルで洗浄後、40℃で減圧乾燥し、目的とする錯体を淡緑色粉末として得た(収量41.3mg、収率33%)。
元素分析 / 計算値:C(58.9%)、H(5.5%)、O(21.8%) / 測定値:C(58.7%)、H(5.7%)、O(21.1%)
FD−MS : m/z 734、367
1,4−ジブトキシベンゼンの重合(耐水性パラメータ:0.93)
ビス−μ−(3,3‘−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイド 31.02mg(0.042mmol)をニトロベンゼン0.34mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.019mL(0.21mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、1,4-ジブトキシベンゼン250.2mg(1.13mmol)、ニトロベンゼン0.79mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で55時間攪拌した。攪拌を開始してから1時間後の水分量を測定したところ、反応溶液中の水分は3.6mg(0.20 mmol)であり、触媒中に含まれる金属のモル数に対し1.2当量の水分が検出された。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、得られた沈殿を濾過、洗浄、乾燥しポリマー44.93mgを得た(収率18.1%)。Mn=2400、Mw=4300。
耐水性パラメーターPの決定
50 ccシュレンク管にビス−μ−(3,3’−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイドを62.15mg (0.085mmol)を加え、減圧下、シュレンク管を十分乾燥し、乾燥アルゴンを充填した。乾燥アルゴン雰囲気下、ニトロベンゼン40.0mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.0375 mL(0.424mmol)を加え25℃で3hr攪拌し、UV-Vis吸収スペクトルを測定した。そのときの最大吸収波長は602nmであり、Ai = 0.87214であった。このとき、触媒溶液中に含まれる水分量は、バナジウム金属のモル数に対して2.0当量であった。
上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、次いで、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、さらに、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、UV-Vis吸収スペクトルを測定した。そのときの最大吸収波長は602nmであり、Af = 0.81517であった。以上の結果から、本触媒の耐水性パラメーターPは、0.93と決定した。
1,4−ジブトキシベンゼンの重合 (耐水性パラメータ:0.58):
バナジルアセチルアセトナト44.69mg(0.167mmol)をニトロベンゼン0.67mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.037mL(0.418mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、1,4-ジブトキシベンゼン500.2mg(2.24mmol)、ニトロベンゼン1.51mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で55時間攪拌した。攪拌終了後、水分量を測定したところ、反応溶液中の水分は15.9mg(0.88mmol)であり、触媒中に含まれる金属のモル数に対し5.2当量の水分が検出された。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、得られた沈殿を濾過、洗浄、乾燥しポリマー73.8mgを得た(収率14.9%)。Mn=2500、Mw=4300。
耐水性パラメーターPの決定 :
50 ccシュレンク管にバナジルアセチルアセトナトを44.48mg (0.168mmol)を加え、減圧下、シュレンク管を十分乾燥し、乾燥アルゴンを充填した。乾燥アルゴン雰囲気下、ニトロベンゼン40.0mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.0375 mL(0.424mmol)を加え25℃で3hr攪拌し、UV-Vis吸収スペクトルを測定した。そのときの最大吸収波長は573nmであり、Ai = 0.24052であった。
上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、次いで、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、さらに、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、UV-Vis吸収スペクトルを測定した。そのときの最大吸収波長は577nmであり、Af = 0.13936であった。以上の結果から、本触媒の耐水性パラメーターPは0.58と決定した。
1,4−ジブトキシベンゼンの重合 :(耐水性パラメータ:0.36)
VO(acac)2 22.45mg(0.088mmol)をニトロベンゼン0.34mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.007mL(0.079mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、1,4-ジブトキシベンゼン244.9mg(1.13mmol)、ニトロベンゼン0.79mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で55時間攪拌した。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、沈殿を濾過、洗浄、乾燥し得られたポリマーは0.7mg(収率0.3%)であった。平均分子量は測定不可能であった。
耐水性パラメーターPの決定 :
50 ccシュレンク管にバナジルアセチルアセトナトを44.55mg (0.168mmol)を加え、減圧下、シュレンク管を十分乾燥し、乾燥アルゴンを充填した。乾燥アルゴン雰囲気下、ニトロベンゼン40.0mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.015 mL(0.170mmol)を加え25℃で3hr攪拌し、UV-Vis吸収スペクトルを測定した。そのときの最大吸収波長は573nmであり、Ai = 0.31835であった。上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、次いで、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、さらに、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、UV-Vis吸収スペクトルを測定した。そのときの最大吸収波長は575nmであり、Af = 0.11522であった。以上の結果から、本触媒の耐水性パラメーターPは、0.36と決定した。
2,8−ジオクチルオキシジベンゾフランの重合
ビス−μ−(3,3‘−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイド 32.40mg(0.044 mmol)をニトロベンゼン0.35mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.020mL(0.23 mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、2,8−ジオクチルオキシジベンゾフラン500.6 mg(1.18mmol)、ニトロベンゼン1.48 mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で100時間攪拌した。攪拌を開始してから1時間後の水分量を測定したところ、反応溶液中の水分は0.74mg(0.04 mmol)であり、触媒中に含まれる金属のモル数に対し0.5当量の水分が検出された。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、得られた油状成分を分離、乾燥し、ポリマー53.45 mgを得た(収率10.7%)。Mn=2200、Mw=3700。
Claims (11)
- 下記一般式(1)および(2)から選ばれる1種以上の芳香族化合物を、酸化剤の存在下、酸化重合させる芳香族化合物重合体の製造方法であって、触媒として、遷移金属錯体からなるか、または遷移金属錯体と活性剤とから調整され、下記式(A)で定義される耐水性パラメーターPが0.50以上である触媒を用いることを特徴とする芳香族化合物重合体の製造方法。
(式中、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、それぞれ独立に、C−H、C−R1またはNを表し、R1は、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基、置換されていてもよい炭化水素チオ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホスホン酸基またはスルホン酸基を表し、R1が複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。ただし、X1、X2、X3、X4、X5およびX6のうち少なくとも二つはC−Hである。)
(式中、X7、X8、X9、X10、X11およびX12は、それぞれ独立に、C−H、C−R2またはNを表し、Y1は単結合、−CR3=CR4−、−CR5=N−、−N=CR6−、−N=N−、−CR7R8−CR9R10−、−O−CR11R12−、−CR13R14−O−、−CR15R16−、−NR17−、−O−、−S−または−Se−を表し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14 、R15およびR16は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基、置換されていてもよい炭化水素チオ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホスホン酸基、またはスルホン酸基を表し、R17は、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい炭化水素オキシ基を表す。R2が複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。X7とX8、X8とX9、X9とX10、X11とX12の組合せが、それぞれ、共にC-R2である場合、隣接する二つのR2が環を形成してもよい。また、X11がC-R2で、Y1が−CR3=CR4-である場合、R2とR4で環を形成してもよい。また、X11がC-R2で、かつY1が−N=CR6-である場合、R2とR6で環を形成してもよい。二つのR2が環を形成する場合、R2とR4で環を形成する場合およびR2とR6で環を形成する場合、これらの環はそれぞれ置換基を有していてもよい。ただし、X7、X8、X9、X10、X11およびX12のうち少なくとも二つはC−Hである。)
P = Af /Ai (A)
(式中、Aiは、前記触媒を含む溶液について得られた吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度を表し、Afは、該溶液に、該触媒に含まれる金属のモル数に対して3当量の水を添加した溶液について得られた吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度を表す。) - 酸化剤が酸素である請求項1記載の製造方法。
- 遷移金属錯体が、バナジウム錯体である請求項1または2に記載の製造方法。
- 触媒が、バナジウム錯体と酸から調整された触媒であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
- バナジウム錯体がバナジウム二核錯体であることを特徴とする請求項3または4に記載の製造方法。
- バナジウム錯体がバナジウム単核錯体であることを特徴とする請求項3または4に記載の製造方法。
- 酸の量が、バナジウム単核錯体のモル数に対して、2モル倍を超えることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
- 酸化重合反応終了時の反応混合物中の水分量が、触媒に含まれる金属の1モルに対して0.01モル以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により製造される芳香族化合物重合体。
- 遷移金属錯体からなるか、または遷移金属錯体と活性剤とから調整され、下記式(A)で定義される耐水性パラメーターPが0.50以上であることを特徴とする触媒。
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