JP4595708B2 - 芳香族化合物重合体の製造方法 - Google Patents
芳香族化合物重合体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4595708B2 JP4595708B2 JP2005186127A JP2005186127A JP4595708B2 JP 4595708 B2 JP4595708 B2 JP 4595708B2 JP 2005186127 A JP2005186127 A JP 2005186127A JP 2005186127 A JP2005186127 A JP 2005186127A JP 4595708 B2 JP4595708 B2 JP 4595708B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- catalyst
- mmol
- bis
- acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 0 CCCCCCCC(*)NOc1cccc(c2ccc3)c1[o]c2c3OI Chemical compound CCCCCCCC(*)NOc1cccc(c2ccc3)c1[o]c2c3OI 0.000 description 1
Landscapes
- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
Description
例えば、非特許文献1には、触媒として、(N,N’−エチレンビス(サリシリデンアミナート))オキソバナジウム(IV)(VO(salen))と酸から調製された触媒を用い、ピロールを酸素存在下に重合する方法が開示されている。
Journal of Electroanalytical Chemistry 1997,438,167 Macromolecules 1996, 29, 7645
また、非特許文献2には、p−ジアルコキシベンゼンを、触媒としてバナジルアセチルアセトナト(VO(acac)2)と酸から調製された触媒を用い、さらに脱水剤として無水トリフルオロ酢酸を原料のp−ジアルコキシベンゼンに対して2当量共存させ酸素存在下重合する重合体の製造方法が開示されている。
この方法においては、脱水剤を大量に共存させない場合は、殆ど重合が進行しないという問題があった。
このように、従来の方法においては、原料の芳香族化合物の種類によっては、重合体の収率が極めて低い場合があり、またそのような原料を重合させるためには、大量の脱水剤を用いることを要し、この場合には、目的の重合体の精製が難しくなる等工業的な製造には必ずしも好ましくなかった。
本発明の目的は、芳香族化合物の酸化重合において、大量の脱水剤を用いることなく、比較的良い収率で、重合体を得ることができるような芳香族化合物重合体の製造方法を提供することにある。
P = Af /Ai (A)
(式中、Aiは、前記触媒を含む溶液について200nm以上800nm以下の紫外から近赤外の波長領域で得られた吸収スペクトルにおいて、最も長波長側の吸収帯の吸収極大における吸光度を表し、Afは、該溶液に、該触媒に含まれる金属のモル数に対して3当量の水を添加した溶液について前記波長領域で得られた吸収スペクトルにおいて、Aiと同一の波長における吸光度を表す。)
Eo = ( Epa + Epc )/ 2 [V] (B)
(式中、Epaは、前記触媒を含む測定溶液をサイクリックボルタンメトリーにより測定したときのフェロセン/フェロセニウムイオンの酸化還元電位基準、0.50[V]以上の電位における、該触媒に含まれる遷移金属に由来する酸化還元電位の酸化側ピークポテンシャルを示し、Epcは同様に測定したときのEpaに対応する還元側ピークポテンシャルを示す。)
(式中、Ar1、Ar2はそれぞれ独立にアリーレン基、または2価の芳香族複素環基を表し。Xは単結合、または2価の結合構造を表し、nは0以上の整数を表す。X、Ar2が複数存在する場合、それらは、それぞれ同一でも互いに異なっていてもよい。)
(式中、Rxはそれぞれ独立に水素原子、または、アルキル基、アリール基、アラルキル基、1価の複素環基からなる群より選ばれる基を表す。これらの基は、さらにその炭素原子上に置換基を有していてもよい。Rxが複数存在する場合、それらは互いに結合して環を形成していてもよい。Arは2〜4価の炭素数6〜60程度の芳香族炭化水素、または、2〜4価の炭素数2〜60程度の芳香族複素環化合物を表す。)
Raとして、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、1価の複素環基、ホルミル基、置換カルボニル基、カルボン酸基、置換オキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、1価の複素環基が挙げられ、さらにより好ましくは、アルキル基が挙げられる。
Rxとして、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基が挙げられる。
R、RaまたはRxで表される基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、1価の複素環基(以上、式R−1);ホルミル基、置換カルボニル基(以上、式R−2)、カルボン酸基、置換オキシカルボニル基(以上、式R−3)などの置換されていてもよいホルミル基(式R−2〜R−5);チオホルミル基、置換チオカルボニル基(以上、式R−6)などの置換されていてもよいチオホルミル基(式R−6〜R−9);置換されていてもよいイミン残基(式R−10〜R−13、R−26);ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基(以上、式R−14)、置換カルボニルオキシ基(式R−15)などの置換されていてもよいヒドロキシ基(式R−14〜R−17);メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基(以上式R−18)、置換カルボニルチオ基(式R−19)などの置換されていてもよいメルカプト基(式R−18〜R−21);アミノ基、置換アミノ基(以上、式R−22)、アミド基(式R−23)、酸イミド基(式R−27)などの置換されていてもよいアミノ基(式R−22〜R−25、R−27);ハロゲン原子(式R−28〜R−31);置換スルホニル基(式R−32);置換されていてもよいシリル基(式R−33);置換されていてもよいシラノール基(式R−34);スルホン酸基(式R−35);ホスホノ基(式R−36);シアノ基(式R−37);ニトロ基(式R−38);ジスルフィド残基(式R−39);ジ置換ホスフィノ基(式R−40)が例示される。
C1〜C12アルキルフェニル基として具体的にはメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジメチル−t−ブチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、s−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、3,7−ジメチルオクチルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
有機溶媒への溶解性、合成の行いやすさ等の観点から、アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
有機溶媒への溶解性、合成の行いやすさ等の観点から、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
R”で表される基としては、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
P = Af /Ai (A)
(式中、Aiは、前記触媒を含む溶液について200nm以上800nm以下の紫外から近赤外の波長領域で得られた吸収スペクトルにおいて、最も長波長側の吸収帯の吸収極大における吸光度を表し、Afは、該溶液に、該触媒に含まれる金属のモル数に対して3当量の水を添加した溶液について前記波長領域で得られた吸収スペクトルにおいて、Aiと同一の波長における吸光度を表す。)
パラメーターPは、0.55以上であることがより好ましく、0.70以上であることがさらに好ましく、0.80以上であることが特に好ましい。
パラメーターPは、式(A)中のAiおよびAfの値を測定し、式(A)により算出される。
ついで、該溶液中に、溶液の調製時に溶解した遷移金属錯体が有する遷移金属原子のモル数に対して1当量の水を添加し1時間攪拌した後に、同量の水を添加し1時間攪拌した後に、さらに同量の水を添加し1時間攪拌し(水添加量の合計は、溶液の調製時に溶解した遷移金属錯体が有する遷移金属原子のモル数に対して3当量となる。)、得られた溶液に関して、200nm以上800nm以下の紫外から近赤外の波長領域における吸収スペクトルを測定し、Aiの決定に用いた波長と同一の波長における吸光度を測定してその値をAfとする。(ただし、調製に使用する有機溶媒由来の吸収ピークを除く)。
触媒の吸収スペクトルは、触媒を有機溶媒に溶解して調製した溶液の吸収スペクトルから、調製に使用した有機溶媒の吸収スペクトルを減算して得られる。
触媒の溶液を調製するときの溶媒は、触媒を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されないが、好ましくはニトロベンゼン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ニトロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンであり、より好ましくはニトロベンゼンである。
Eo = ( Epa + Epc )/ 2 [V] (B)
(式中、Epaは、前記触媒を含む溶液をサイクリックボルタンメトリーにより測定したときのフェロセン/フェロセニウムイオンの酸化還元電位基準で、0.50[V]以上の電位における、該触媒に含まれる遷移金属に由来する酸化還元電位の酸化側ピークポテンシャルを示し、Epcは同様に測定したときのEpaに対応する還元側ピークポテンシャルを示す。)
パラメーターEoはEpaおよびEpcからなる酸化還元対を表すパラメーターであるが、その値は0.60[V]以上であることが好ましく、0.70[V]以上であることがさらに好ましい。また、その上限は特に限定されないが、重合反応に用いる溶媒が酸化される電位より低いことが望ましく、3.00[V]以下であることが好ましく、2.60[V]以下であることがさらに好ましい。
また本発明の遷移金属錯体触媒には、錯体の原料の合成過程および/または酸化重合過程で、溶媒などが配位していても良い。
一般式(1)で表されるバナジウム二核錯体などが挙げられ、触媒活性の点で好ましくは一般式(1)で表されるバナジウム二核錯体である。
〔式中、L1およびL2はそれぞれ配位原子を4個以上有する配位子を表し、これらはそれぞれ、二つのバナジウム原子と、配位原子で結合している。L1とL2は互いに同一であっても異なっていてもよい。〕
〔式中、V1およびV2はバナジウム原子を表し、L3およびL4はそれぞれ配位原子を4個以上有する配位子を表し、これらはそれぞれ、配位原子で2つのバナジウム原子と結合し、V1に配位しているL3中の配位原子とV2に配位しているL3中の配位原子との間に介在する結合の数、およびV1に配位しているL4中の配位原子とV2に配位しているL4中の配位原子の間に介在する結合の数が全て6以上である(介在する結合数の最少数が6である)。また、L3とL4は互いに同一であっても異なっていてもよい。〕
(式中、A1、A2、A3およびA4はそれぞれ独立に酸素原子、またはNR11を表し、B1、B2、B3およびB4はそれぞれ独立に−O−、または−NR12−を表す。R1,R2,R3,R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい炭化水素オキシ基を表す。R9およびR10は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよい2価の芳香族基、−O−、−S−、−SO2−、または−NR13−を表し、R9およびR10がそれぞれ複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。mおよびnは、それぞれ独立に1〜7の整数を表す。R11、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素原子、または置換されていてもよい炭化水素基を表す。R11、R12およびR13がそれぞれ複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。A1とA2の両方および/または、A3とA4の両方がそれぞれ、共にNR11である場合、2個のR11が一緒になって2価の炭化水素基を表し、A1とA2とを、および/または、A3とA4とを結合していてもよく、B1とB2の両方および/または、B3とB4の両方がそれぞれ、共に-NR12-である場合、2個のR12が一緒になって2価の炭化水素基を表し、B1とB2とを、および/または、B3とB4とを結合していてもよい。)
該炭化水素基としては、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜22の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜16の炭化水素基である。
アルコキシ基としては、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基等の炭素数1〜50程度のアルコキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
該炭化水素オキシ基としては、好ましくは炭素数1〜40の炭化水素オキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜30の炭化水素オキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜20の炭化水素オキシ基である。
該アルキレン基は、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。アルコキシ基、およびハロゲン原子としては、前記R1〜R8で示される炭化水素基の置換基におけるアルコキシ基、ハロゲン原子の例示と同じものが挙げられる。
ここにおける芳香族化合物とは、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ビフェニル、ビフェニレン、フラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ジベンゾチオフェン、ピリジンなどの全炭素原子数6〜60程度の芳香族化合物が挙げられる。
該芳香族基は、アルキル基、アラルキル基、アルキルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、などの炭素数1〜50程度の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、1−フェニル−3−プロピル基、1−フェニル−4−ブチル基、1−フェニル−5−ペンチル基、1−フェニル−6−ヘキシル基などの炭素数7〜50程度のアラルキル基が挙げられる。
アルコキシ基、およびハロゲン原子としては、前記R1〜R8で示される炭化水素基の置換基におけるアルコキシ基、ハロゲン原子の例示と同じものが挙げられる。
R9およびR10がそれぞれ複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
R11、R12およびR13がそれぞれ複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの2価の炭化水素基は、置換基を有していてもよく、その例として、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられ、これらの置換基の具体的な例は前記R1〜R8で示される炭化水素基の置換基における例示と同様に例示される。
プロトン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、硝酸、酢酸などのプロトンが挙げられ、好ましくはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸である。ルイス酸としては、例えば、トリフェニルメチルテトラフルオロボレート、塩化アルミニウム、スカンジウムトリフラートなどが挙げられ、好ましくはトリフェニルメチルテトラフルオロボレートである。
触媒調製の方法は特に限定されないが、通常、溶媒の存在下、バナジウム錯体に活性化剤を加えて触媒を調製する。該触媒は、調製溶液のまま重合反応に使用してもよいし、単離したものを使用してもよい。
触媒は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
併用される酸化剤としては、例えば、酸素、ベンゾキノン、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸などが挙げられ、好ましくは酸素である。 酸素は不活性ガスとの混合物であってもよく、空気でもよい。酸素を用いる場合はモノマーに対して、通常、0.5当量以上大過剰に使用し、酸素の分圧に関しては制限はない。酸素以外の酸化剤を用いる場合はモノマーとして使用する芳香族化合物に対して、通常、0.5〜3当量を使用する。これらの酸化剤は単独で用いてもよいし、二種以上を混合して組み合わせてもよい。
有機溶媒の使用量は、通常、モノマーの濃度が0.1〜90重量%になるような割合で使用する。好ましい割合は1〜50重量%であり、より好ましい割合は2〜30重量%であり、さらに好ましい割合は5〜25重量%である。
反応時間は、反応温度などの反応条件で変わるが、通常、1時間以上、好ましくは2〜500時間である。
上記の後処理で得られたポリマーの純度が低い場合は、再結晶、ソックスレー抽出器による連続抽出などの通常の方法にて精製することが可能である。
本発明においては、重合を開始してから終了するまでの間の反応系中の水分の最大値(通常は、酸化重合反応終了時の反応混合物中の水分量)が、触媒に含まれる金属の1モルに対して0.01モル以上である場合にも有効である。反応溶液中の水分の最大値は、好ましくは0.05当量以上、より好ましくは0.10当量以上、さらに好ましくは0.50当量以上である。水分は、使用する原料中に含まれるもの、重合の進行に伴い発生するものに由来する。
また、本発明において、脱水剤を用いる場合には、公知の製造方法に比べ、少ない量の脱水剤で、良い収率で、芳香族化合物重合体を得ることができる。
(式中、Ar1、Ar2、X、nはそれぞれ前記と同一の意味を表す。)
サイクリックボルタンメトリーの測定はALS製モデル600A電気化学アナライザーにより、作用極として白金電極を用い、カウンター電極として白金電極を用い、比較電極として銀/銀イオン電極を用いて、支持電解質として0.1mol/Lのテトラ-n-ブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートを含むニトロベンゼン溶液中、もしくは、0.1mol/Lのテトラ-n-ブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネートを含むニトロベンゼン溶液中、窒素雰囲気下25℃にて行った。得られた電位は同条件で測定したフェロセン/フェロセニウムイオンの酸化還元電位を0[V]となるように補正して用いた(実施例中では[V vs Fc/Fc+基準]と表記する。
反応溶液中の水分量の測定は、平沼微量水分測定装置AQ-2000により、発生液としてハイドラナール(R)クーロマットAKを、対極液としてハイドラナール(R)クーロマットCG-Kを使用して行った。
ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分析し、標準ポリスチレン換算値として重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。ポリマーラボラトリー社製PL-GPC210システム(RI検出)により、ポリマーラボラトリー社製PLgel 10um MIXED-B 3本をカラムとして、o-ジクロロベンゼン(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.01%w/v含有)を展開溶媒として、40℃、もしくは100℃で行った。
1,4−ジブトキシベンゼンの重合(パラメータP:0.93、パラメーターEo:0.90)
(1,4−ジブトキシベンゼン)酸化側ピークポテンシャル0.86(V Fc/Fc+基準)
ビス−μ−(3,3’−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイド 31.02mg(0.042mmol)をニトロベンゼン0.34mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.019mL(0.21mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、1,4-ジブトキシベンゼン250.2mg(1.13mmol)、ニトロベンゼン0.79mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で55時間攪拌した。攪拌を開始してから1時間後の水分量を測定したところ、反応溶液中の水分は3.6mg(0.20 mmol)であり、触媒中に含まれる金属のモル数に対し1.2当量の水分が検出された。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、得られた沈殿を濾過、洗浄、乾燥しポリマー44.93mgを得た(収率18.1%)。Mn=2400、Mw=4300。
50 ccシュレンク管にビス−μ−(3,3’−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイドを62.15mg (0.085mmol)を加え、減圧下、シュレンク管を十分乾燥し、乾燥アルゴンを充填した。乾燥アルゴン雰囲気下、ニトロベンゼン40.0mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.0375 mL(0.424mmol)を加え25℃で3hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの最も長波長側の吸収帯の吸収極大の波長は602nmであり、Ai = 0.87214であった。このとき、触媒溶液中に含まれる水分量は、バナジウム金属のモル数に対して2.0当量であった。
上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、次いで、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、さらに、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。波長602nmにおける吸光度より、Af = 0.81517であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターPは、0.93と決定した。
50mLメスフラスコにテトラ-n-ブチルアンモニウムトリフロオロメタンスルホネート1.96g(5mmol)、ニトロベンゼン40mLを仕込み、乾燥アルゴンガスで30分間バブリングして脱気した後に、トリフルオロメタンスルホン酸111μL(1.25mmol)、無水トリフルオロ酢酸0.71mL(5mmol)を仕込み、ニトロベンゼンでメスアップし、支持電解質溶液を調製した。この支持電解質溶液10mLに、乾燥窒素ガス雰囲気下、ビス−μ−(3,3’−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイドを73.5mg (0.10mmol)を加え、25℃で6hr保温した後、サイクリックボルタンメトリーを測定した。そのときのEpa=0.99 (V Fc/Fc+基準)であり、Epc=0.80 (V Fc/Fc+基準)であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターEoは0.90(V)と決定した。
この時、サイクリックボルタンメトリーの測定では、0.49(V Fc/Fc+基準)にも活性化されていない触媒に由来する酸化還元対があわせて観測された。
1,4−ジブトキシベンゼンの重合 (パラメータP:0.58、パラメーターEo:1.05):
バナジルアセチルアセトナト44.69mg(0.167mmol)をニトロベンゼン0.67mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.037mL(0.418mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、1,4-ジブトキシベンゼン500.2mg(2.24mmol)、ニトロベンゼン1.51mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で55時間攪拌した。攪拌終了後、水分量を測定したところ、反応溶液中の水分は15.9mg(0.88mmol)であり、触媒中に含まれる金属のモル数に対し5.2当量の水分が検出された。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、得られた沈殿を濾過、洗浄、乾燥しポリマー73.8mgを得た(収率14.9%)。Mn=2500、Mw=4300。
50 ccシュレンク管にバナジルアセチルアセトナトを44.48mg (0.168mmol)を加え、減圧下、シュレンク管を十分乾燥し、乾燥アルゴンを充填した。乾燥アルゴン雰囲気下、ニトロベンゼン40.0mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.0375 mL(0.424mmol)を加え25℃で3hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの最も長波長側の吸収帯の吸収極大の波長は573nmであり、Ai = 0.24052であった。
上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、次いで、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、さらに、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの波長573nmにおける吸光度より、Af = 0.13921であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターPは0.58と決定した。
50mLメスフラスコにテトラ-n-ブチルアンモニウムトリフロオロメタンスルホネート1.96g(5mmol)、ニトロベンゼン40mLを仕込み、乾燥アルゴンガスで30分間バブリングして脱気した後に、トリフルオロメタンスルホン酸111μL(1.25mmol)、無水トリフルオロ酢酸0.71mL(5mmol)を仕込み、ニトロベンゼンでメスアップし、支持電解質溶液を調製した。この支持電解質溶液10mLに、乾燥窒素ガス雰囲気下、バナジルアセチルアセトナトを26.5mg (0.10mmol)を加え、25℃で6hr保温した後、サイクリックボルタンメトリーを測定した。そのときのEpa=1.15(V Fc/Fc+基準)であり、Epc=0.95(V Fc/Fc+基準)であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターEoは1.05(V)と決定した。
この時、サイクリックボルタンメトリーの測定では、1.23(V Fc/Fc+基準)にも酸化還元対があわせて観測された。
1,4−ジブトキシベンゼンの重合(パラメータP:0.66、パラメーターEo:0.78)
ビス−μ−(3,3’−(5−t−ブチル−1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイド 71.5mg(0.084mmol)をニトロベンゼン0.67mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.037mL(0.42mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、1,4-ジブトキシベンゼン500.1mg(2.25mmol)、ニトロベンゼン1.48mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で48時間攪拌した。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、得られた沈殿を濾過、洗浄、乾燥しポリマー63.42mgを得た(収率12.8%)。Mn=2300、Mw=4100。
50 ccシュレンク管にビス−μ−(3,3’−(5−t−ブチル−1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイドを72.0mg (0.085mmol)を加え、減圧下、シュレンク管を十分乾燥し、乾燥アルゴンを充填した。乾燥アルゴン雰囲気下、ニトロベンゼン40.0mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.038 mL(0.425mmol)を加え25℃で3hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの最も長波長側の吸収帯の吸収極大の波長は614nmであり、Ai = 1.43868であった。上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、次いで、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、さらに、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの波長614nmにおける吸光度より、Af = 0.94769であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターPは、0.66と決定した。
50mLメスフラスコにテトラ-n-ブチルアンモニウムトリフロオロメタンスルホネート1.96g(5mmol)、ニトロベンゼン40mLを仕込み、乾燥アルゴンガスで30分間バブリングして脱気した後に、トリフルオロメタンスルホン酸111μL(1.25mmol)、無水トリフルオロ酢酸0.71mL(5mmol)を仕込み、ニトロベンゼンでメスアップし、支持電解質溶液を調製した。この支持電解質溶液10mLに、乾燥窒素ガス雰囲気下、ビス−μ−(3,3‘−(5−t−ブチル−1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイドを42.34mg (0.05mmol)を加え、25℃で6hr保温した後、サイクリックボルタンメトリーを測定した。そのときのEpa=0.94(V Fc/Fc+基準)であり、Epc=0.62(V Fc/Fc+基準)であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターEoは0.78(V)と決定した。
この時、サイクリックボルタンメトリーの測定では、0.47(V Fc/Fc+基準)に活性化されていない触媒に由来する酸化還元対が観測され、また、1.10(V Fc/Fc+基準)という酸化還元対もあわせて観測された。
1,4−ジブトキシベンゼンの重合 :(パラメータP:0.36、パラメーターEo:0.56)
バナジルアセチルアセトナト22.45mg(0.088mmol)をニトロベンゼン0.34mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.007mL(0.079mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、1,4-ジブトキシベンゼン244.9mg(1.13mmol)、ニトロベンゼン0.79mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で55時間攪拌した。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、沈殿を濾過、洗浄、乾燥し得られたポリマーは0.7mg(収率0.3%)であった。平均分子量は測定不可能であった。
50 ccシュレンク管にバナジルアセチルアセトナトを44.55mg (0.168mmol)を加え、減圧下、シュレンク管を十分乾燥し、乾燥アルゴンを充填した。乾燥アルゴン雰囲気下、ニトロベンゼン40.0mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.015 mL(0.170mmol)を加え25℃で3hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの最も長波長側の吸収帯の吸収極大の波長は573nmであり、Ai = 0.31835であった。上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、次いで、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、さらに、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの波長573nmにおける吸光度より、Af = 0.11514であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターPは、0.36と決定した。
50mLメスフラスコにテトラ-n-ブチルアンモニウムトリフロオロメタンスルホネート1.96g(5mmol)、ニトロベンゼン40mLを仕込み、乾燥アルゴンガスで30分間バブリングして脱気した後に、トリフルオロメタンスルホン酸44μL(0.50mmol)、無水トリフルオロ酢酸0.71mL(5mmol)を仕込み、ニトロベンゼンでメスアップし、支持電解質溶液を調製した。この支持電解質溶液10mLに、乾燥窒素ガス雰囲気下、バナジルアセチルアセトナトを26.5mg (0.10mmol)を加え、25℃で6hr保温した後、サイクリックボルタンメトリーを測定した。そのときのEpa=0.62(V Fc/Fc+基準)であり、Epc=0.50(V Fc/Fc+基準)であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターEoは0.56(V)と決定した。
この時、サイクリックボルタンメトリーの測定では、0.77(V Fc/Fc+基準)という酸化還元対もあわせて観測された。
1,4−ジブトキシベンゼンの重合 :(パラメータP:0.58、パラメーターEo:0.40)
(N,N’−エチレンビス(サリシリデンアミナート))オキソバナジウム(IV)112.93mg(0.33mmol)をニトロベンゼン1.35mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.075mL(0.84mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、1,4-ジブトキシベンゼン1.00g(4.5mmol)、ニトロベンゼン6.0mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、40℃で48時間攪拌した。ついで、反応溶液をメタノール中に滴下し、沈殿を濾過、洗浄、乾燥し得られたポリマーは11.4mg(収率1.1%)であった。Mn=1800、Mw=2300。
50 ccシュレンク管に(N,N’−エチレンビス(サリシリデンアミナート))オキソバナジウム(IV)を56.7mg (0.17mmol)を加え、減圧下、シュレンク管を十分乾燥し、乾燥アルゴンを充填した。乾燥アルゴン雰囲気下、ニトロベンゼン40.0mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.038 mL(0.425mmol)を加え25℃で3hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの最も長波長側の吸収帯の吸収極大の波長は617nmであり、Ai = 0.44624であった。上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、次いで、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、さらに、上記溶液に0.003mL(0.17mmol)の水を加え25℃で1hr攪拌し、吸収スペクトルを測定した。そのときの波長617nmにおける吸光度より、Af = 0.23412であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターPは、0.52と決定した。
50mLメスフラスコにテトラ-n-ブチルアンモニウムトリフロオロメタンスルホネート1.96g(5mmol)、ニトロベンゼン40mLを仕込み、乾燥アルゴンガスで30分間バブリングして脱気した後に、トリフルオロメタンスルホン酸111μL(1.25mmol)、無水トリフルオロ酢酸0.71mL(5mmol)を仕込み、ニトロベンゼンでメスアップし、支持電解質溶液を調製した。この支持電解質溶液10mLに、乾燥窒素ガス雰囲気下、(N,N’−エチレンビス(サリシリデンアミナート))オキソバナジウム(IV)を33.3mg (0.10mmol)を加え、25℃で6hr保温した後、サイクリックボルタンメトリーを測定した。そのときのEpa=0.49(V Fc/Fc+基準)であり、Epc=0.31(V Fc/Fc+基準)であった。以上の結果から、本触媒のパラメーターEoは0.40(V)と決定した。
この時、サイクリックボルタンメトリーの測定では、0.07(V Fc/Fc+基準)という酸化還元対もあわせて観測された。
2,8−ジオクチルオキシジベンゾフランの重合
(2,8−ジオクチルオキシジベンゾフラン)酸化側ピークポテンシャル1.03(V Fc/Fc+基準)
ビス−μ−(3,3’−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイド 32.40mg(0.044 mmol)をニトロベンゼン0.35mL、トリフルオロメタンスルホン酸0.020mL(0.23 mmol)に溶解し、酸素雰囲気下、25℃で1時間攪拌した。上記反応溶液に、2,8−ジオクチルオキシジベンゾフラン500.6 mg(1.18mmol)、ニトロベンゼン1.48 mLからなる溶液を加え、酸素雰囲気下、25℃で100時間攪拌した。攪拌を開始してから1時間後の水分量を測定したところ、反応溶液中の水分は0.74mg(0.04 mmol)であり、触媒中に含まれる金属のモル数に対し0.5当量の水分が検出された。ついで、反応溶液を塩酸酸性メタノール中に滴下し、得られた油状成分を分離、乾燥し、ポリマー53.45 mgを得た(収率10.7%)。Mn=2200、Mw=3700。
ビス−μ−(3,3’−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイドの合成
t-ブトキシカリウム17.0g(0.15mol)をt-ブチルアルコール20mLに加え、還流下30分攪拌し、溶解させた。上記溶液に、還流下、アセチルアセトン22.9 g(0.23mol)を10分かけて滴下し、2時間攪拌した。次いで、還流下、1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン20.2g(0.08mol)を30分かけて加え、1時間攪拌した。次いで、還流下、ヨウ化カリウム3.0 g(0.02mol)を加え、4時間攪拌した。攪拌終了後、室温まで冷却し、水100mL、ジエチルエーテル100mLを加え激しく攪拌し、有機層を水層と分液した。有機層を飽和食塩水100mLで2回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮によって溶媒および過剰のアセチルアセトンを除去し、淡黄色で油状の粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体を得た(収量3.5g、収率15.1%)。
1H-NMR(クロロホルム-d,ppm):2.07(s,12H)、4.42(s,4H)、6.95〜7.00(m,3H)、7.22〜7.27(m,1H)、16.80(s,1H)
13C-NMR(クロロホルム-d,ppm):23.6, 33.1, 108.5, 125.6, 127.1, 129.4, 140.5, 192.1
上記で合成した3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス(2,4−ペンタンジオン)102.4mg(0.34mmol)とエタノール3.8mLからなる溶液に、硫酸バナジル三水和物74.7mg(0.34mmol)と50%エタノール水溶液3.3mLからなる溶液を、25℃で10分間かけて滴下した。25℃で4時間攪拌した後、析出した固体を濾過し、50%エタノール水溶液、ジエチルエーテルで洗浄後、40℃で減圧乾燥し、目的とする錯体を淡緑色粉末として得た(収量41.3mg、収率33%)。
元素分析 / 計算値:C(58.9%)、H(5.5%)、O(21.8%) / 測定値:C(58.7%)、H(5.7%)、O(21.1%)
FD−MS : m/z 734、367
ビス−μ−(3,3’−(5−t−ブチル−1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(2,4−ペンタンジオナト))ジバナジウム(IV)オキサイドの合成
500mL四つ口フラスコに、t−ブトキシカリウム19.6g(175mmol)、t−ブチルアルコール300mLを加え、82℃で30分攪拌し、同温度にてアセチルアセトン26.5g(262mmol)を12分かけて滴下し、2時間攪拌を続けた。次いで、81〜83℃にて1,3−ビス(ブロモメチル)−5−t−ブチルベンゼン25.0g(87.3mmol)を30分かけて加え1時間攪拌を続けた。次いで、82℃にてヨウ化カリウム3.49g(21.0mmol)を加え、3.5時間攪拌を続けた。次いで、室温まで冷却した後、ジエチルエーテル100mL、水115mLを加え抽出操作を行い、有機層を水層と分離した。得られた有機層に飽和食塩水30mLを加え攪拌し、有機層を水層と分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して溶媒を留去し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、3,3’−[5−t−ブチル−1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス(2,4−ペンタンジオン)21.9g(収率69%)を得た。
GC−MS m/z : 358(M+)、340、315、240、215、197
上記で合成した3,3’−[5−t−ブチル−1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス(2,4−ペンタンジオン)2.71g(7.56mmol)、トリエチルアミン1.52g(15.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド538mLからなる溶液に、硫酸バナジル三水和物1.71g(7.56mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド538mLからなる溶液を、25℃で1時間かけて滴下した。その後20−25℃で48時間攪拌した後、析出した固体を濾過し、N,N−ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテルで洗浄後、70℃で減圧乾燥し、目的とする錯体を緑色粉末として得た(収量2.55g、収率80%)。
元素分析 計算値:C(62.4%)、H(6.7%)、O(18.9%)
測定値:C(62.7%)、H(6.7%)、O(18.1%)
FD−MS : m/z 846、423
Claims (2)
- 芳香環に直接結合した水素を2個以上有する1種以上の芳香族化合物を、酸化剤の存在下、酸化重合させる芳香族化合物重合体の製造方法において、触媒として、下記一般式(1−4)で表されるバナジウム二核錯体と活性化剤である酸とから調製され、該酸の量が該錯体に対して2モル倍を超える触媒であって、該触媒の下記式(A)で定義されるパラメーターPが0.50以上であり、かつ、下記式(B)で定義されるパラメーターEoが0.50[V]以上である触媒を用いることを特徴とする芳香族化合物重合体の製造方法。
(式中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 およびR 8 は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい炭化水素オキシ基を表す。R 9 およびR 10 は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキレン基、または、置換されていてもよい2価の芳香族基を表し、R 9 およびR 10 がそれぞれ複数個存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。mおよびnは、それぞれ独立に1〜3の整数を表す。)
P = Af /Ai (A)
(式中、Aiは、前記触媒を含み、該触媒に含まれるバナジウムのモル数に対して2.5当量以下の水を含む溶液について200nm以上800nm以下の紫外から近赤外の波長領域で得られた吸収スペクトルにおいて、最も長波長側の吸収帯の吸収極大における吸光度を表し、Afは、該溶液に、該触媒に含まれるバナジウムのモル数に対して3当量の水を更に添加した溶液について前記波長領域で得られた吸収スペクトルにおいて、Aiと同一の波長における吸光度を表す。)
Eo = ( Epa + Epc )/ 2 [V] (B)
(式中、Epaは、テトラ−n−ブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート1mmol、トリフルオロメタンスルホン酸0.25mmol、無水トリフルオロ酢酸1mmolを含むニトロベンゼン溶液10mLに、前記バナジウム錯体0.05〜0.10mmolを加え、25℃で6時間保温した後、サイクリックボルタンメトリーにより測定したときのフェロセン/フェロセニウムイオンの酸化還元電位基準で、0.50[V]以上の電位における、該触媒に含まれるバナジウムに由来する酸化還元電位の酸化側ピークポテンシャルを示し、Epcは同様に測定したときのEpaに対応する還元側ピークポテンシャルを示す。) - 酸化剤が酸素である請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005186127A JP4595708B2 (ja) | 2005-06-27 | 2005-06-27 | 芳香族化合物重合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005186127A JP4595708B2 (ja) | 2005-06-27 | 2005-06-27 | 芳香族化合物重合体の製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010133669A Division JP5471861B2 (ja) | 2010-06-11 | 2010-06-11 | 芳香族化合物重合体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007002157A JP2007002157A (ja) | 2007-01-11 |
JP4595708B2 true JP4595708B2 (ja) | 2010-12-08 |
Family
ID=37688048
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005186127A Expired - Fee Related JP4595708B2 (ja) | 2005-06-27 | 2005-06-27 | 芳香族化合物重合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4595708B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000063498A (ja) * | 1998-08-26 | 2000-02-29 | Japan Science & Technology Corp | ポリ(2,3−ジカルボキシルアニリン)化合物と その製造方法 |
WO2001000702A1 (fr) * | 1999-06-29 | 2001-01-04 | Japan As Represented By Secretary Of Agency Of Industrial Science And Technology | Composition a base de resine et procede de production de cette composition |
JP2006008878A (ja) * | 2004-06-28 | 2006-01-12 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 芳香族化合物重合体の製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60223817A (ja) * | 1984-04-20 | 1985-11-08 | Toray Ind Inc | 電解酸化重合方法 |
JP3738525B2 (ja) * | 1997-04-18 | 2006-01-25 | 住友化学株式会社 | 側鎖にエチレンオキシド鎖を有するポリ(フェニレン)およびその製造方法 |
JP3780616B2 (ja) * | 1997-04-18 | 2006-05-31 | 住友化学株式会社 | 酸化重合触媒およびポリ(フェニレン)の製造方法 |
-
2005
- 2005-06-27 JP JP2005186127A patent/JP4595708B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000063498A (ja) * | 1998-08-26 | 2000-02-29 | Japan Science & Technology Corp | ポリ(2,3−ジカルボキシルアニリン)化合物と その製造方法 |
WO2001000702A1 (fr) * | 1999-06-29 | 2001-01-04 | Japan As Represented By Secretary Of Agency Of Industrial Science And Technology | Composition a base de resine et procede de production de cette composition |
JP2006008878A (ja) * | 2004-06-28 | 2006-01-12 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 芳香族化合物重合体の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007002157A (ja) | 2007-01-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Cui et al. | Redox-induced umpolung of transition metal carbenes | |
Lagunas et al. | Synthesis and Characterization of the Bis-Cyclometalating Ligand 3, 3 ‘, 5, 5 ‘-Tetrakis [(dimethylamino) methyl] biphenyl and Its Use in the Preparation of Bimetallic M (II), M (IV)(M= Pt, Pd), and Mixed-Valence Pt (II)− Pt (IV) Complexes via a Dilithio-Derivative. Crystal Structure of the Pd Dimer [ClPd {2, 6-(Me2NCH2) 2C6H2}] 2 | |
US20120016147A1 (en) | Method for producing aromatic compound polymer | |
Evans et al. | Tethered olefin studies of alkene versus tetraphenylborate coordination and lanthanide olefin interactions in metallocenes | |
Huo et al. | Nickel (II) complexes with three-dimensional geometry α-diimine ligands: synthesis and catalytic activity toward copolymerization of norbornene | |
Barluenga et al. | First Stepwise Dötz Reaction: Isolation and Characterization of a Chelated Metallatriene Intermediate. Influence of Its Pattern of Substitution in Product Partition | |
Edwards et al. | Stereoselective synthesis of 1, 5, 9-triphosphacyclododecane and tertiary derivatives | |
Valderrama-García et al. | Novel and facile procedure for the synthesis of Ni (II) and Pd (II) PSCOP pincer complexes. Evaluation of their catalytic activity on CS, C-Se and CC cross coupling reactions | |
Vigalok et al. | Metal-stabilized phenoxonium cation | |
Auffrant et al. | Synthesis of 1, 4‐Diethynyl‐and 1, 1, 4, 4‐Tetraethynylbutatrienes | |
Rigaut et al. | Ruthenium acetylide oxidation: from stable radicals to allenylidene synthesis via γ-elimination of H+ | |
JP5471861B2 (ja) | 芳香族化合物重合体の製造方法 | |
Elumalai et al. | Dual role of acetate as a nucleophile and as an internal base in cycloplatination reaction of sym-N, N′, N ″-triarylguanidines | |
JP4595708B2 (ja) | 芳香族化合物重合体の製造方法 | |
JP4797464B2 (ja) | バナジル二核錯体 | |
JP2006008878A (ja) | 芳香族化合物重合体の製造方法 | |
Soleilhavoup et al. | Parallel Approaches to Mono-and Bis-Propargylic Activation via Co2 (CO) 8 and [Ru3 (μ-Cl)(CO) 10]- | |
Leelasubcharoen et al. | Unusual transformations of a bipyridine ligand in attempts to trap a terminal chromium (III) alkylidene | |
Lotz et al. | Synthesis and reactivity of metal carbene complexes with heterobiaryl spacer substituents | |
JPH1045903A (ja) | フェノール縮合物の製造方法 | |
Sedbrook | In pursuit of conjugation in one-dimension: Synthetic studies of oligomeric and polymeric organic materials | |
Stewart Jr | Molybdenum Alkylidyne Complexes with Phenoxide Ligands for Alkyne Metathesis | |
Steiner et al. | Alkyne Cyclotrimerisation, Acyclic Oligomerisation, and Transfer Hydrogenation Catalysed by a Titanium (IV) Phosphinoaryloxide Complex and its Redox Chemistry | |
Seidler et al. | Neutral, Heteroleptic [Cu (I)(PPh3) 2 (4H‐imidazolato)] Complexes: Ligand Exchange Reactivity, Redox Properties, Excited‐State Dynamics | |
Liberman-Martin | Lewis Acid Mediated Reactions: Electronic Modification of Platinum Complexes and Metal-Free Catalysis |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070608 |
|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20080131 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080408 |
|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20080514 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090716 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090721 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090915 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091201 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100121 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100316 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100611 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20100611 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20100707 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100824 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100906 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |