JP2006008513A - 微小体の製造方法および微小体 - Google Patents

微小体の製造方法および微小体 Download PDF

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Abstract

【課題】 安全且つ簡便で工業的利用に適した窒化ほう素または炭素の微小体の製造方法を提供する。
【解決手段】 遷移金属の酸化物で構成される粉末と、ほう素を含有する粉末或いは炭素を含有する粉末とを混合した粉末を、窒素を含有する雰囲気で、熱処理することにより、窒化ほう素またはグラファイトの微小体を得る。熱処理温度は好ましくは、800℃〜1700℃或いは600〜1600℃の範囲とする。前記微小体は好ましくは、ワイヤ状又は円筒状である。
【選択図】 図18

Description

磁気テープ、磁気記録ディスク等の磁気記録媒体や、電波吸収体、インダクタ、プリント基板等の電子デバイス(ヨークなどの軟磁性形状体)の原材料に用いる金属粒子およびその製造方法に関する。さらに、金属粒子を形成する際の副生成物である微小体およびその製造方法に関する。
電子機器の小型軽量化に伴い、電子デバイスを構成する原材料自体もナノサイズ化が要求されている。同時にデバイスの高性能化も実現しなければならない。例えば磁気記録密度の向上を目的として、磁気テープに塗布する磁性粒子のナノサイズ化と磁化の向上が同時に要求される。
従来、磁気記録媒体用として主にフェライト粉が用いられてきたが、磁化が小さく信号強度が低いという問題があった。十分な出力特性を得るためにはFe、Coで代表される金属磁性粒子が適しているが、例えば高記録密度化のために粒子径を1μm以下に微細化すると、金属粒子は酸化に対して活性であるため大気中で酸化反応が激しく進行し、金属の一部または全部が酸化物に変質して磁化が低下してしまう。微細な金属粒子の取り扱いを改善するために、Fe、Coを含む磁性粒子表面をフェライト層で被覆する方法(例えば、特許文献1)、Fe粉表面をグラファイトで被覆する方法(例えば、特許文献2)等が提案されている。
上述の例のように粒径が1μm以下の金属粒子において、金属としての機能を損なわせないためには、粒子を直接大気(酸素)に触れさせないようにするため、粒子表面に被膜を付与することが不可欠である。しかし、特許文献1のように金属酸化物で表面を被覆する方法は、少なからず金属を酸化劣化させている。
また、特許文献2のように金属粒子をグラファイトでコーティングする場合は、コーティングするためには、金属が炭素を溶融する状態を作るために、1600℃〜2800℃という極めて高い温度で熱処理しなければならない。金属の炭化やグラファイトのCO化が懸念される。これら諸問題を打開する被覆方法として、窒化ほう素(BN)による金属粒子の被覆が挙げられる(例えば、非特許文献1)。BNは「るつぼ」に用いられる材料であり、融点が3000℃と高く熱的安定性に優れているとともに、金属との反応性が低い。また絶縁性を有する特徴がある。金属粒子にBN被膜を付与する製法は、(1)金属とBの混合粉末を窒素雰囲気中でアーク放電によって加熱する、あるいは(2)金属とBの混合粉末を水素とアンモニアの混合雰囲気中で加熱する、あるいは(3)硝酸金属塩と尿素とホウ酸の混合物を水素雰囲気中で熱処理する、といった方法がある。
特開2000−30920号公報(第9〜11頁、図2) 特開平9−143502号公報(第3〜4頁、図5) 「インターナショナル ジャーナル オブ インオーガニック マテリアルズ 3 2001(International Journal of Inorganic Materials 3 2001)」,2001年,p.597
上記BN被膜の製法において、製法(1)及び(2)は金属粒子を原料としているため、特に粒径1μm以下の超微粒子を取り扱う際、急激な酸化反応による発火などの危険がある。また製法(3)では硝酸金属塩を加熱分解するため、有毒ガス(NO)が発生する。また製法(1)のアーク放電を利用する手法は処理量が少なく生産性が低いだけでなく、反応温度が2000℃付近の高温であるため工業的利用には適していない。また製法(2)及び(3)で使用する水素ガスは爆発の危険があるため、工業的に利用するのは好ましくない。また、従来の技術で得られる被覆された金属粒子は、金属粒子の一部を改質することによって飽和磁化の劣化が生じるなどの問題があった。
発明者等は、上記課題を解決すべく、安全且つ簡便な方法で工業的利用に適した被膜が金属粒子表面に被覆された金属超微粒子およびその製造方法を鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
[1] 本発明の微小体の製造方法は、金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより、窒化ほう素の微小体を作製することを特徴とする。ここで、微小体は、該方法で金属超微粒子を作製する際に、副生成物として得られる微小体に相当する。
[2] 本発明の他の微小体の製造方法は、ほう素を含む粒子と金属の酸化物粒子を含有する粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより、金属粒子もしくは窒化ほう素の微小体の少なくとも1つを有する生成物を得ることを特徴とする。前記金属粒子は窒化ほう素で被覆されていてもよい。前記窒素を含む雰囲気は、例えば、窒素ガス、窒素ガスにアルゴンガスなどの希ガスを混ぜた混合ガス等を用いることができる。
[3] 上記[1]又は[2]において、前記熱処理は800〜1700℃の温度で行われることを特徴とする。
上記[1]乃至[3]のいずれかに係る製造方法は、非常に量産性に優れている。必要な熱エネルギーは従来の製造方法に比べて小さい。また、高真空を必要としている訳ではなく、雰囲気の精密な圧力制御が不要である。不活性なガスを用いている為、熱処理炉の損傷がなく、損傷により微小体に不純物が混入するというような問題もない。さらに爆発性や有毒性の危険もない。原料として用いる酸化物の粉末は、nmサイズの粒子であっても作製および取り扱いが容易である。原料の発火や燃焼が発生し難く、発火等による原料ロスや形状が設計外となる問題や工程中断の問題等が起こり難いということもメリットとして挙げられる。
[4] 上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の微小体の製造方法によって窒化ほう素の微小体と金属粒子を有する粉末を作製し、前記粉末から前記金属粒子の少なくとも一部を除去することを特徴とする。金属粒子を全て除去して、窒化ほう素の微小体のみの粉末にすることが望ましい。すなわち、熱処理後に金属粒子もしくは金属粒子を含む微小体を除去するというプロセスを経る。例えば、熱処理を行っている際に還元された金属粒子が、さらに粒成長して粗大な金属粒子になった場合、除去することが望ましい。
このプロセスは、微小体の粉末における窒化ほう素の割合・純度を高める工程である。例えば、この微小体を媒体(液体)に分散させ、金属系粒子と窒化ほう素微小体の比重差(あるいは、金属を含む微小体と金属を含まない微小体の比重差)を利用して、攪拌後の自然沈降や遠心分離等の手法により、金属粒子等を分離・低減する方法を用いることができる(分離法1)。また、金属粒子に磁界を印加して吸引し、吸引されない窒化ほう素のみの微小体と分離する方法(湿式もしくは乾式)を用いることができる(分離法2)。また、金属粒子を酸などの溶液で化学的に溶解して除去することにより、金属粒子の量を低減する方法を用いることができる(分離法3)。分離法3は溶け残りの残渣や不純物の混入の可能性があるが、金属粒子の低減には効果がある。金属粒子の表面が全て被覆されていて酸などの溶液が浸透しない場合、粉末状の微小体の純度を高めるには、分離法1又は分離法2を行なうことが望ましい。なお、微小体の粉末に金属の粉末が含まれていても、必ずしも問題という訳ではない。微小体は寸法が小さく、粉末のハンドリングが容易ではない。例えば、遷移金属の微粒子の粉末をキャリヤーとして含む粉体であれば、微小体のみからなる粉末に比べてハンドリングし易くなるという利点がある。
[5] 本発明の他の微小体は、金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を窒素を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、主として窒化ほう素で構成されており、ワイヤ状若しくは円筒状であることを特徴とする。すなわち、金属酸化物を窒素を含む不活性ガス雰囲気中で還元することにより生成し、主として窒化ほう素で構成されており、ワイヤ状若しくは円筒状である。窒化ほう素は菱面体相であることが望ましい。この微小体は、該方法で金属超微粒子を作製する際に、副生成物として得られる。本発明の他の微小体は、金属酸化物を窒素を含む不活性ガス雰囲気中で還元することにより窒素とほう素を結合させた微小体であって、主として窒化ほう素で構成されており、ワイヤ状若しくは円筒状であることを特徴とする。金属酸化物を媒介もしくは促進剤として、窒素を含む不活性の雰囲気中で熱処理を行うことにより、ほう素と窒素を結合させて窒化ほう素の微小体を生成する。金属酸化物は、例えば、金属もしくは合金の酸化物を用いることができる。特に、遷移金属または遷移金属の少なくとも1種を含む合金を用いることが望ましい。さらに好ましくは、磁性金属の酸化物を用いる。例えば、前記金属もしくは合金は、Fe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ぶことができる。
“微小体”とは、例えば、ナノチューブ、ナノワイヤー、立体的原子構造体、ナノ粒子、ナノメートル(nm)オーダーの寸法的特徴を有する構造体、それらの少なくとも一つを含む集合体または粉末(若しくは粉体)のように、微小な物を指す用語として用いる。円筒状の形状を有する微小体は、特にナノチューブであることがより好ましい。“ワイヤ状若しくは円筒状”とは、例えば、線状、棒状、チューブ状、管状、それらのいずれかで中空または中実であるもの、それらのいずれかを連ねて接続したもの、小片(板状片、鱗状もしくはブロック状の片)を継ぎ足して構成した長尺の形状等を含む用語として用いる。
[6] 上記[5]において、前記微小体は、平均直径が0.5μm以下であることを特徴とする。望ましくは平均直径0.01〜0.5μm、さらに望ましくは平均直径0.05〜0.5μmとする。より詳細には、例えば、直径0.1〜0.3μmとすることができる。なお、原料の金属酸化物として、平均粒径が0.001〜1μmの範囲内にある微細な粉を用いれば、直径0.001〜1μmの範囲内の微小体を得ることことができる。より好ましくは平均粒径0.001〜0.05μmの範囲内の金属酸化物を用いて、直径0.001〜0.05μmの微小体を得る。平均粒径が小さく且つ粒径分布のシャープな原料を用いることにより、平均直径の小さい微小体を得ることができる。
直径とは、例えば、1個の微小体について、ワイヤ状もしくは円筒状の部分の断面(長手方向に直交する向きでの断面)を見たときの外径に相当する。断面が円形でない場合には最大値を直径と見なす。微小体が、長手方向に沿ってゆるやかに変化している直径を有する場合には、長手方向で見たときの最大径と最小径の中間値を微小体の直径として表せばよい。ワイヤ状若しくは円筒状の形状から大きく外れる箇所がある場合には、その箇所を無視し、ワイヤ状若しくは円筒状の部分のみで直径を評価する。
平均直径とは、例えば、ワイヤ状若しくは円筒状の微小体を有する粉末を試料として、電子顕微鏡写真を撮影する。写真内で任意の面積内にある微小体について各々の直径を測定して平均値を求める。すなわち、N個の微小体について(N≧50個)、前記直径を測定し、平均直径=(測定した直径の総和)/Nとして表わす。写真に代えて、イメージを取得し、パソコンと画像処理ソフトを利用して直径を測定してもよい。
[7] 本発明の他の微小体は、金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を窒素を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、外径Roと内径Riの比が、(Ri/Ro)≦0.8となる部位を備える円筒状の窒化ほう素微小体であることを特徴とする。すなわち、金属酸化物を不活性ガス雰囲気中で還元することにより生成し、外径Roと内径Riの比が、(Ri/Ro)≦0.8となる部位を備える円筒状の窒化ほう素微小体である。Ri/Roの比が1に近いと、壁の厚みが小さくなるので微小体の重量が少なくなり、結果として比表面積が大きくなる。本発明に係る窒化ほう素微小体は、(Ri/Ro)の比が1に近い箇所を有するが、内径が小さくなっている箇所もある。例えば、円筒形状の終端や円筒形状が屈曲している箇所において、内径が小さくなることもあるが、実用的には差し支えない。この窒化ほう素微小体は、チューブの壁を構成する窒化ほう素の原子層を多層に形成することができ、節や架橋を増やすように生成することもできる。従って、ワイヤ状若しくは円筒状の微小体の壁の厚さを厚くして、(Ri/Ro)が小さい微小体を製造することも可能である。なお、Riはチューブを長手方向にほぼ垂直な断面でみたときの内径(空洞の径に相当)であり、節の断面などは含まない。Roはチューブを長手方向にほぼ垂直な断面でみたときの外径に相当する。
[8] 本発明の他の微小体は、菱面体相の窒化ほう素微小体と六方晶相の窒化ほう素微小体の混合物であることを特徴とする。
結晶構造について、菱面体相の窒化ほう素(Rhombohedral Boron Nitride)はr−BNとも表される。六方晶相の窒化ほう素(Hexagonal Boron Nitride)は、h−BNとも表される。
[9] 本発明の他の微小体は、菱面体相と六方晶相を有する窒化ほう素であることを特徴とする。
[10] 本発明の他の微小体は、金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を窒素を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、窒化ほう素を主として構成されており、円筒状であって内部に節もしくは架橋を有することを特徴とする。すなわち、金属酸化物を不活性ガス雰囲気中で還元することにより生成し、窒化ほう素を主として構成されており、円筒状であって内部に節もしくは架橋を有する。ここで、“節”とは筒状(あるいは管状)の微小体の内部を複数の空洞に分離したり、複数の区画に分割することができる部材に相当する。“架橋”とは、筒状の微小体の内壁の任意の部分同士を接続する部材に相当する。架橋がより集まって節を構成することも可能と考えられる。節の面は、管の壁や円筒の壁に対して、平行な配置ではなくむしろ直交するような配置に近い関係にある。節が複数個ある場合、節同士の間隔は例えば0.5d以上とする。ここで、dは節と節の中間における円筒状の部分の直径dに相当する。また、この微小体は、複数個の節を備えていても外径や壁面厚さが一方的に漸減するとは限らず、むしろ増加させることも可能であり、長尺の微小体を得ることができる。
[11] 本発明の他の微小体は、金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を窒素を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、金属粒子と、前記金属粒子を被覆する窒化ほう素被膜と、ワイヤ状もしくは円筒状の窒化ほう素を備えることを特徴とする。すなわち、金属酸化物を不活性ガス雰囲気中で還元することにより生成し、金属粒子と、前記金属粒子を被覆する窒化ほう素被膜と、ワイヤ状もしくは円筒状の窒化ほう素を備える。ワイヤ状もしくは円筒状の部分は、成長方向が一つとは限らず、複数の成長方向を有するものであってもよい。また、ワイヤ状もしくは円筒状の窒化ほう素は、窒化ほう素被膜から直接成長させてもよいし、金属酸化物を還元した金属粒子から直接成長させてもよい。金属粒子は、窒化ほう素微小体の先端部もしくは中央部のいずれに配置されていてもよい。配置の状態としては、1個の金属粒子に1個の窒化ほう素微小体に設けた構造(あるいは接合、接続、結合、連結、連接した構造)、あるいは1個の金属粒子に複数の窒化ほう素微小体を設けた構造が挙げられる。他の配置状態としては、金属粒子が炭素微小体に内包された構造(あるいは被覆、嵌合、埋設、包含、巻回、抱持、担持などの構造)がある。製造方法で原料や熱処理等の条件を変えることで、金属粒子の配置状態は変わりうる。前記金属粒子は、遷移金属または遷移金属の少なくとも1種を含む合金で構成されることが望ましい。さらに望ましくは、前記金属粒子を磁性金属で構成する。例えば、前記金属粒子は、Fe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ばれる組成を有するものとする。
[12] 本発明の他の微小体の製造方法は、金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を、不活性の雰囲気中で熱処理することにより、炭素の微小体を作製することを特徴とする。より望ましくは、遷移金属の酸化物で構成される粉末と炭素粉末とを混合した粉末を、不活性の雰囲気中で熱処理することにより炭素の微小体を作製する。この微小体は、該方法で金属超微粒子を作製する際に、副生成物として得ることができる。
[13] 本発明の他の微小体の製造方法は、炭素を含む粒子と金属の酸化物粒子を含有する粉末を、不活性の雰囲気中で熱処理することにより、金属粒子もしくは炭素の微小体の少なくとも1つを有する生成物を得ることを特徴とする。前記金属粒子は炭素で被覆されていてもよい。
[14] 上記[12]又は[13]において、前記熱処理は600〜1600℃の温度で行われることを特徴とする。
上記[12]乃至[14]のいずれかに係る製造方法は、非常に量産性に優れている。必要な熱エネルギーは従来の製造方法に比べて小さい。また、高真空を必要としている訳ではなく、雰囲気の圧力制御等も量産性の制約にはなりにくい。不活性なガスを用いている為に熱処理炉の損傷がなく、損傷により微小体に不純物が混入するというような問題もない。原料として用いる酸化物の粉末は、nmサイズの粒子であっても作製および取り扱いが容易である。原料の発火や燃焼が発生し難く、発火等による原料ロスや形状が設計外となる問題や工程中断の問題等が起こり難いということもメリットとして挙げられる。
[15] 上記[12]乃至[14]のいずれかに記載の微小体の製造方法によって炭素の微小体と金属粒子を有する粉末を作製し、前記粉末から前記金属粒子の少なくとも一部を除去することを特徴とする。金属粒子を全て除去して、炭素の微小体のみの粉末にすることが望ましい。すなわち、熱処理後に金属粒子もしくは金属粒子を含む微小体を除去するというプロセスを経る。例えば、熱処理を行っている際に還元された金属粒子が、さらに粒成長して粗大な金属粒子になった場合、除去することが望ましい。この除去プロセスとしては、上記[4]と同様のプロセスを用いることができる。
[16] 本発明の他の微小体は、金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、グラファイト相の炭素で構成されており、ワイヤ状若しくは円筒状であることを特徴とする。すなわち、金属の酸化物を不活性ガス雰囲気中で還元することにより生成し、グラファイト相の炭素で構成されており、ワイヤ状若しくは円筒状である。金属酸化物を媒介もしくは促進剤として、不活性の雰囲気中で熱処理を行うことにより、炭素の分解・再構築を行わせて炭素の微小体を得る。この微小体は、該方法で金属超微粒子を作製する際に、副生成物として得ることができる。本発明の微小体は、金属酸化物を不活性ガス雰囲気中で還元することにより炭素粒子の形状を再構築した微小体であって、主として炭素で構成されており、ワイヤ状若しくは円筒状の形状を有することを特徴とする。より詳細には、金属酸化物から酸素を奪う還元反応と不活性ガスを利用し、粒子状の炭素を分解・再構築して、炭素の微小体を生成する。金属酸化物は、例えば、金属もしくは合金の酸化物を用いることができる。特に、遷移金属または遷移金属の少なくとも1種を含む合金を用いることが望ましい。さらに好ましくは、磁性金属の酸化物を用いる。例えば、前記金属もしくは合金は、Fe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ぶことができる。
[17] 上記[16]において、前記微小体は平均直径が0.5μm以下であることを特徴とする。望ましくは平均直径0.01〜0.5μm、さらに望ましくは平均直径0.05〜0.5μmとする。より詳細には、例えば、直径0.1〜0.3μmとすることができる。なお、原料の金属酸化物として、平均粒径が0.001〜1μmの範囲内にある微細な粉を用いれば、平均直径0.001〜1μmの範囲内の微小体を得ることことができる。より好ましくは平均粒径0.001〜0.05μmの範囲内の金属酸化物を用いて、平均直径0.001〜0.05μmの微小体を得る。平均粒径が小さく且つ粒径分布のシャープな原料を用いることにより、平均直径の小さい微小体を得ることができる。
[18] 本発明の他の微小体は、金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、円筒状の炭素微小体であって、外径Roと内径Riの比が、(Ri/Ro)≦0.8となる部位を備えることを特徴とする。すなわち、金属酸化物を不活性ガス雰囲気中で還元することにより生成し、円筒状の炭素微小体であって、外径Roと内径Riの比が、(Ri/Ro)≦0.8となる部位を備える。(Ri/Ro)の比が1に近いと、壁の厚みが小さくなるので微小体の重量が少なくなり、結果として比表面積が大きくなる。本発明に係る炭素微小体は、(Ri/Ro)の比が1に近い箇所を有するが、内径が小さくなっている箇所もある。例えば、円筒形状の終端や円筒形状が屈曲している箇所において、内径が小さくなる場合があるが、実用的には差し支えない。この炭素微小体は、チューブの壁を構成するグラファイトの原子層を多層に形成することができ、節や架橋を増やすように生成することもできる。従って、ワイヤ状若しくは円筒状の炭素微小体の壁の厚さを厚くして、(Ri/Ro)が小さい炭素微小体を製造することも可能である。なお、Riはチューブを長手方向にほぼ垂直な断面でみたときの内径(空洞の径に相当)であり、節の断面などは含まない。Roはチューブを長手方向にほぼ垂直な断面でみたときの外径に相当する。
[19] 本発明の他の微小体は、金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を、不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、グラファイト相の炭素を主として構成されており、円筒状であって内部に節もしくは架橋を有することを特徴とする。すなわち、金属酸化物を不活性ガス雰囲気中で還元することにより生成し、グラファイト相の炭素を主として構成されており、円筒状であって内部に節もしくは架橋を有する。ここで、“節”の定義は上記[10]の説明と同様である。
[20] 本発明の他の微小体は、金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を、不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、金属粒子と、前記金属粒子を被覆する炭素被膜と、ワイヤ状若しくは円筒状の炭素を備えることを特徴とする。すなわち、金属酸化物を不活性ガス雰囲気中で還元することにより生成し、金属粒子と、前記金属粒子を被覆する炭素被膜と、ワイヤ状若しくは円筒状の炭素を備える。
前記金属粒子は、遷移金属または遷移金属の少なくとも1種を含む合金で構成されることが望ましい。さらに望ましくは、前記金属粒子を磁性金属で構成する。例えば、前記金属粒子は、Fe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ばれる組成を有するものとする。
さらに、本発明の微小体およびその製造方法と関連した発明として、金属超微粒子およびその製造方法の発明を以下列挙する。
[21] 本発明の金属超微粒子は、金属酸化物を還元することにより得られた金属粒子であり、かつ前記金属粒子の表面は窒化ほう素で被覆されており、平均粒径が1μm以下であることを特徴とする。望ましくは平均粒径を0.001〜1μmの範囲内とする。より望ましくは平均粒径が0.01μm〜0.1μmである。粒径0.1μm以下では、表面を窒化ほう素で被覆することによる酸化防止の効果が特に際立っている。また、例えば、平均粒径0.2〜0.5μmである耐酸化性に優れた金属超微粒子を得ることもできる。
試料を電子顕微鏡で観察して平均粒径を測定する。例えば、試料の電子顕微鏡写真を取る。写真内で任意の面積内にある金属超微粒子の粒径を測定して平均値を求めたり、あるいは写真内で任意の長さの線分を引いて、線分の粒子を横断する部分の長さの和Lと線分が横断した粒子の数Nとから、平均粒径=L/Nとして求める。ただし、少なくとも50個以上の粒子の平均値を得るものとする。また、熱処理後のFeの粒子径はリガク製解析ソフト「Jade5」を用いてX線回折測定のFeの(110)ピークから計算することができる。
本発明では、微粒子のすべてが窒化ほう素(もしくは炭素)で被覆されていることが望ましいが、必ずしも全ての粒子が被覆されていなくてもよい。また、超微粒子の表面は窒化ほう素(もしくは炭素)で被覆されていることが望ましいが、表面が完全に窒化ほう素(もしくは炭素)で被覆されている粒子のみで構成される必要はない。なお、本願明細書および特許請求の範囲における数値範囲の記載は、例えば、「粒径が0.001〜1μmである」と記載したものは「粒径は、0.001μm以上且つ1μm以下の範囲にある」という表現と等価なものとして用いている。
[22] 上記[21]において、前記金属酸化物は、遷移金属を含む酸化物であることを特徴とする。前記金属粒子は、Fe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ばれることが望ましい。例えば、窒化ほう素で被覆されたFe粒子、窒化ほう素で被覆されたNi粒、窒化ほう素で被覆されたFeNiCo粒子、窒化ほう素で被覆されたNiFe粒子等が挙げられる。
[23] 上記[21]または[22]の金属超微粒子において、前記窒化ほう素は、主としてh−BNの結晶構造を有することを特徴とする。
[24] 上記[21]乃至[23]のいずれかの金属超微粒子において、前記窒化ほう素は、厚さ100nm以下の膜であることを特徴とする。ここで、膜厚とは、被覆される粒子の表面と被覆する薄膜の表面間の距離に相当する。より好ましくは膜厚20nm以下にすることができる。
[25] 上記[21]乃至[24]のいずれかの金属超微粒子において、前記窒化ほう素は、結晶の格子面もしくは積層面が2層以上であることを特徴とする。より望ましくは結晶の格子面もしくは積層面が4層以上の膜とする。ここで、窒化ほう素は六方晶を主体とし、前記結晶の格子面もしくは積層面は六方晶のc面(すなわち、(002)面)であることが望ましい。前記結晶の格子面もしくは積層面は、金属粒子の面に沿って形成されていることが望ましい。
[26] 上記[25]において、前記粒子または窒化ほう素の中に中間相を備えてもよい。
[27] 上記[21]乃至[26]のいずれかにおいて、前記金属超粒子は粒子を構成する主成分が磁性金属元素であり、前記金属超微粒子の飽和磁化は、前記磁性金属元素の飽和磁化の10%以上且つ100%未満であることを特徴とする。上記[27]に関して、金属超微粒子の核を磁性粒子で構成する際に、被覆している窒化ほう素膜は30nm以下と極めて薄くすることができる。そのため、金属超微粒子において、磁性粒子の占める体積率を高くすることもでき、従来技術に比べて金属超微粒子の飽和磁化の低下を抑制することができる。遷移金属または遷移金属を含む合金で構成される粒子において、粒子の磁性を担う主成分の材質固有の飽和磁化を基準(すなわち、100%)としたときに、その粒子に窒化ほう素膜を被覆した金属超微粒子の飽和磁化は前記基準に対して10%以上の大きさを有するものとすることができる。
[28] 上記[21]乃至[27]のいずれかにおいて、熱処理前の含有酸素質量(mass%)に対して、湿度100%、温度120℃、1気圧、24時間の条件で熱処理した後の酸素質量増分が50%以下であることを特徴とする。金属超微粒子の表面は完全に窒化ほう素膜で被覆されていなくとも、すなわち局部的に被覆が薄くなっていたとしても、使用することができる。しかしながら、長期間保管する場合に酸化の進行を防止することが難しいため、超微粒子の表面を完全に窒化ほう素膜で被覆することが望ましい。
なお、本願明細書および特許請求の範囲において、mass%、すなわち質量百分率(質量%)は物質の質量で組成比を表している。すなわち、金属超微粒子の単位質量に対して各元素成分がどれくらいの質量で含有されているかを表す。組成毎の質量%を測定する方法は、例えば、試料粉末を2000〜3000℃へ急速加熱することにより試料中の酸素等を熱分解し、ガスクロマトグラフと熱伝導度検出器により、発生した酸素ガスもしくは酸素を含有するガスを検出することによって酸素の含有量を分析する方法である。本発明に係る金属超微粒子は、特に耐酸化性に優れているため、前述の加湿・加温処理を施しても、処理前の含有酸素量に対して処理後の酸素質量増加が抑制される。
磁気特性を極端に劣化させない程度に、原材料の混合時に含まれる不純物や不可避的不純物(もとから原料に含まれる元素)を磁性粒子に含有していてもよい。また、金属または合金で構成される粒子は、そのX線回折パターンにおいて、強度(Intensity(cps))が最も高いピークと2番目に高いピークの少なくとも一方が金属粒子を構成する元素(被覆を除く)のピークに相当することを特徴とする。より好ましくは粒子を構成する元素(BNを除く)の酸化物のピークが、3番目に高いピークより十分小さいこと若しくは全く検出されないことを特徴とする。
[29] 本発明の金属超微粒子の製造方法は、金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより、窒化ほう素で被覆された金属粒子を作製することを特徴とする。金属の酸化物は、遷移金属を含有していることが望ましい(より望ましくは遷移金属の酸化物で構成する)。生成された窒化ほう素で被覆された金属粒子は平均粒径が1μm以下とすることが望ましい。“窒素を含む雰囲気”とは、窒素ガス、アルゴン等の不活性ガスと窒素ガスの混合ガスから選ばれる雰囲気に相当する。
上記[29]の製造方法について、より望ましくは、酸化鉄を含む粒子とボロンを含む粒子を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理して、酸化鉄を鉄と鉄ボロン化合物の少なくとも1種に還元し、ボロン酸化物を生成することにより、最終的には鉄もしくは鉄窒化物の少なくとも1種の粒子であって、表面が窒化ほう素に被覆されている粒子を製造することを特徴とする。
上記[29]に係る金属超微粒子の製造方法は、金属酸化物粒子を還元する工程と、金属粒子の表面を窒化ほう素膜で被覆する工程を一つの熱処理工程で行なうことを特徴とする。本発明の製造方法は、追って説明する比較例の製造方法に比べて、酸素をほとんど含有しないという点で優れている。比較例の製造方法とは、金属の超微粒子を作製した後、自然発火や燃焼(酸化すること)を避けるために、酸素を低濃度で含む不活性雰囲気を徐々に金属の超微粒子に供給することで、表面に薄い酸化膜を形成する超微粒子の製造方法である。
[30] 上記[29]において、前記熱処理は、800〜1700℃の温度で行われることを特徴とする。
[31] 本発明の他の金属超微粒子は、金属酸化物を還元することにより得られた金属粒子であり、かつ前記金属粒子の表面は炭素で被覆されており、平均粒径が1μm以下であることを特徴とする。望ましくは平均粒径を0.001〜1μmの範囲内とする。より望ましくは平均粒径が0.01μm〜0.1μmである。粒径0.1μm以下では、表面を炭素で被覆することによる酸化防止の効果が特に際立っている。また、例えば、平均粒径0.2〜0.5μmというような耐酸化性に優れた金属超微粒子を得ることもできる。
[32] 上記[31]において、前記金属酸化物は、遷移金属を含む酸化物であることを特徴とする。前記金属粒子は、Fe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ばれることが望ましい。例えば、炭素で被覆されたFe粒子、炭素で被覆されたNi粒、炭素で被覆されたFeNiCo粒子、炭素で被覆されたNiFe粒子等が挙げられる。
[33] 上記[31]または[32]の金属超微粒子において、前記炭素は、主としてグラファイトで構成されていることを特徴とする。さらに、前記炭素が、グラファイトとアモルファスの結晶組織を有し、主としてグラファイトで構成されていてもよい。
[34] 上記[31]乃至[33]のいずれかの金属超微粒子において、前記炭素は膜厚100nm以下であることを特徴とする。より好ましくは膜厚20nm以下にすることができる。
[35] 上記[31]乃至[34]のいずれかの金属超微粒子において、前記炭素は、結晶の格子面または積層面が2層以上であることを特徴とする。より望ましくは結晶の格子面もしくは積層面が4層以上の膜とする。ここで、炭素はグラファイトを主体とし、前記結晶の格子面もしくは積層面は、グラファイトの積層面であることが望ましい。前記結晶の格子面もしくは積層面は、金属粒子の面に沿って形成されていることが望ましい。
[36] 上記[35]において、前記粒子または炭素の中に中間相を備えてもよい。
被覆を構成する炭素は主に格子面が層状に配列しているグラファイトであるため、6員環が連なった層状格子の面を複数備える。すなわち、複数の結晶格子面を備える。層状格子の格子面は、前記粒子の表面に対して積層構造となることがある。前記粒子と被膜の界面には中間層または遷移金属と炭素が混在する領域若しくは両者の結晶整合領域を有するため、層状格子の面を少なくとも2層以上に形成することが、前記粒子の酸化を抑制する上で望ましい。層状格子の面(格子面)は、例えば4層〜20層の範囲内で形成することができる。中間相とは、金属粒子の結晶構造と被覆の結晶構造の中間的な構造の部分或いは境界領域を指す。中間相の厚さは、グラファイトの格子面間隔もしくはグラファイト層で1層〜5層程度となる。中間相が薄い場合、前記粒子と炭素膜間の結晶格子不整合が短い距離で緩和・解消され、前記粒子全面を均一に炭素膜で被覆できると考えられる。
[37] 上記[31]乃至[36]のいずれかにおいて、前記金属超粒子は粒子を構成する主成分が磁性金属元素であり、前記金属超微粒子の飽和磁化は、前記磁性金属元素の飽和磁化の10%以上且つ100%未満であることを特徴とする。上記[37]に関して、金属超微粒子の核を磁性粒子で構成する際に、被覆している炭素膜は膜厚30nm以下と極めて薄くすることができる。そのため、金属超微粒子において、磁性粒子の占める体積率を高くすることもできる。従来技術に比べて金属超微粒子の飽和磁化の低下を抑制することができる。遷移金属または遷移金属を含む合金で構成される粒子において、磁性を担う主成分の材質固有の飽和磁化を基準(すなわち、100%)としたときに、その粒子に炭素膜を被覆した金属超微粒子の飽和磁化は前記基準に対して10%以上の大きさを有するものとすることができる。
[38] 上記[31]乃至[37]のいずれかにおいて、熱処理前の含有酸素質量(mass%)に対して、湿度100%、温度120℃、1気圧、24時間の条件で熱処理した後の酸素質量増分が50%以下であることを特徴とする。金属超微粒子の表面は完全に炭素膜で被覆されていなくとも、すなわち局部的に被覆が薄くなっていたとしても、使用することができる。しかしながら、長期間保管する場合に酸化の進行を防止することが難しいため、超微粒子の表面を完全に炭素膜で被覆することが望ましい。
磁気特性を極端に劣化させない程度に、原材料の混合時に含まれる不純物や不可避的不純物(元から原料に含まれる元素)を磁性粒子に含有していてもよい。また、金属または合金で構成される粒子は、そのX線回折パターンにおいて、1番目ないし2番目に強度(Intensity(cps))の高いピークが、粒子の主要元素ないしグラファイトのピークに相当するピークであることが望ましい。より好ましくは粒子を構成する元素(炭素を除く)の酸化物のピークが、前記X線回折パターンにおいて現れる強度が3番目に高いピークより十分小さいこと、若しくは全く検出されないことを特徴とする。
[39] 本発明の金属超微粒子の製造方法は、金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を、不活性雰囲気中で熱処理することにより、表面を炭素で被覆した金属粒子を作製することを特徴とする。金属の酸化物は、遷移金属を含有していることが望ましい(より望ましくは遷移金属の酸化物で構成する)。生成された炭素で被覆された金属粒子は平均粒径が1μm以下とすることが望ましい。
上記[39]の製造方法について、より望ましくは酸化鉄を含む粒子と炭素を含む粒子を混合した粉末を、不活性雰囲気中で熱処理して、酸化鉄を鉄もしくは炭化鉄の少なくとも1種に還元し、炭素の酸化物を生成することにより、鉄もしくは炭化鉄の少なくとも1種の粒子であって、表面が炭素に被覆されている粒子を製造することを特徴とする。
上記[39]に係る金属超微粒子の製造方法は、金属酸化物粒子を還元する工程と、金属粒子の表面を炭素膜で被覆する工程を一つの熱処理工程で行なうことを特徴とする。本発明の製造方法は、追って説明する比較例の製造方法に比べて、酸素をほとんど含有しないという点で優れている。比較例の製造方法とは、金属の超微粒子を作製した後、自然発火や燃焼(酸化すること)を避けるために、酸素を低濃度で含む不活性雰囲気中で徐々に金属の超微粒子に酸素を供給し、表面に薄い酸化膜を形成する超微粒子の製造方法である。
[40] 上記[39]において、前記熱処理は、600〜1600℃の温度で行われることを特徴とする。
以上説明したように、本発明の金属超微粒子およびその製造方法を用いることにより、安全且つ簡便で工業的利用に適した被膜を金属粒子表面に付与した金属超微粒子を得ることができる。さらに、金属超微粒子を製造する際に副生成物に係る微小体とその製造方法を得ることができる。
本発明の微小体は、金属超微粒子を作製する際に、副生成物として得ることができる。そこで、金属超微粒子の形態も含めて説明する。
(窒化ほう素被覆金属超微粒子)
上記[21]乃至[30]のいずれかに係る本発明の実施の形態について、説明する。上記の[21]乃至[30]に係る本発明は、遷移金属の金属粉末原料、なかでもFe、Co、Niなどが窒化ほう素(BN)形成の触媒の役割を果たし、窒素雰囲気中で前記金属粉末とほう素(B)を2000℃付近で加熱すると、金属粒子を核として窒化ほう素が形成することに着目した。さらには出発原料を金属ではなくFe、Co、Niで代表される遷移金属の酸化物にしたところ、800℃〜1700℃で酸化物が還元されると同時に窒化ほう素が形成し、金属粒子が窒化ほう素被膜(BN被膜)に内包された新規な金属超微粒子が生成することを見出したものである。
上記[21]〜[30]に係る本発明の出発原料である金属酸化物、ほう素の原料の考え方、および数値限定理由などについて述べる。本発明に係る酸化物を構成する金属(以下、Mとして表わす)としては遷移金属またはそれら合金(特に磁性材料)が好ましい。より好ましくはFe、Co、Ni、Cr、Mn、Mo、Pd、Irまたはそれらを含む合金が適している。Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Mo、Pd、Irは、M−B結合(Bはほう素)の標準生成エンタルピーをHM−B、M−N結合(Nは窒素)の標準生成エンタルピーをHM−N、と表した場合、HM−B<HM−N
という関係が成立し、窒化物よりもほう化物が形成しやすい。その結果、熱処理の初期段階においてほう素を含んだ金属粉末が形成され、窒素がガス状で上記金属粉末の周囲に均一に存在する場合には最終的に上記金属粉末に含まれるほう素と窒素とが結合して金属粒子の表面を均一に窒化ほう素で被覆することが容易である。金属酸化物(M)としては従来より状態図で示されているものでよく、例えばFeの場合はFe、Fe、FeOが挙げられる。
また、ほう素供給源となる原料の粉末としてはほう素が適しているが、ほう素を含有する金属であってもよい。ほう素を含有する金属(M)としては、M−B結合の標準生成エンタルピーをHM−B、M−N結合の標準生成エンタルピーをHM−N、と表した場合、
M−B>HM−N
という関係が成立するものが好ましく、Sc、Ti、V、Y、Zr、Nb、La、Hf、Taが挙げられる。
(反応過程について)
FeとBが反応することにより、BN被覆Fe粒子、BNチューブ若しくはBNワイヤが生成する反応過程を説明する。図3は反応過程を模式的に示したものである。図3(1.)は原料の状態を表している。図3(2.)は反応の初期段階の様子を示している。すなわちBがFe中の酸素と結合してBが生成し、還元されたFe粒子がBの側近に存在している。Bは液相または気相状態となっている。さらに反応が進行した様子を図3(3.)に示す。この段階ではBがFeと反応することにより、Fe−B化合物が生成する。粉体の組織は図示したように、完全なFe−B化合物の粒、FeへのB拡散が不完全な粒、あるいはFeを芯部として表面付近をFe−B化合物とする粒などが存在する。さらに反応が進行すると図3(4.)に示したように、Fe−B化合物中のBが雰囲気中のN原子と反応しBNの核が粒子表面の至る所に生成する。これらBN核が成長する際、Bが粒子内部から表面へと拡散してくる。その結果、粒子内部はFeのみが残存し、BN被覆されたFe粒子が生成する。またBが過剰に存在する場合は、BNがFeを被覆するに留まらず、チューブ状もしくはワイヤ状となって伸びていく。図3(5.)はBN被覆Fe粒子およびBNチューブの模式図である。
金属酸化物の粉末(a粉末)の平均粒径は0.001〜1μmが好ましい。平均粒径0.001μm未満の粉末は作製困難であり実用的でない。平均粒径が1μmを越えると粒の中心部まで酸素を十分に還元することができず、均一な金属粒子を得ることは容易ではない。ほう素粉末(b粉末)の平均粒径は0.01〜100μmが好ましく、さらに1〜50μmが好ましい。0.01μm未満の平均粒径のほう素粉末は高価であり実用的でない。また、平均粒径が100μmを越えると混合粉末中でのb粉末の分散に偏りが生じ、最終的に金属粒子を均一に被覆することが難しくなる。a粉末とb粉末との混合比は、b粉末が質量比で25〜95%の範囲となることが好ましい。b粉末の質量比が25%未満であると、ほう素が不足することにより金属酸化物の還元が不十分となる。ほう素粉末の配合比が95%を越えると還元される金属の体積率が極端に小さくなり実用的ではない。
a粉末とb粉末の混合にはV型混合機や、粉砕機(例えば、ライカイ機のように粉砕と混合を兼ねる装置)や、乳鉢などを使用する。混合粉末はアルミナ、窒化ほう素等の耐熱るつぼに所定量を充填して所定の条件で加熱処理される。熱処理時の雰囲気は窒素ガス雰囲気またはアンモニアガス雰囲気またはそれらを含む混合ガス雰囲気中が好ましい。混合ガスはアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスとの混合でもかまわない。空気などの酸素を含むガスは還元反応の妨げとなるため適していない。熱処理温度は800℃〜1700℃が好ましく、さらに好ましくは1000℃〜1400℃の範囲が好ましい。1000℃未満では反応が完了するまでの所要時間が長くなる。800℃未満では反応自体が進行しない。非酸素雰囲気中で1400℃を越えると、炉部材として使用している酸化物セラミックスの分解により酸素が放出されることが懸念されると同時に例えばアルミナ製ルツボが短期間で破損する場合がある。1700℃を越えるとルツボだけでなく、設備自体に耐熱部材の使用が不可欠になり、製造コスト高となり工業化に適していない。
(炭素被覆金属超微粒子)
つぎに、上記[31]乃至[40]のいずれかに係る本発明の実施の形態について、説明する。上記の[11]乃至[20]が関係する本発明は、遷移金属の金属粉末の原料として、Fe、Co、Niで代表される遷移金属の酸化物を選び、加熱したところ、600℃〜1600℃で酸化物が還元されると共にグラファイトを主体とする炭素が金属粒子の表面に形成されることを見いだした。また、金属粒子が炭素被膜に内包される構成も見出したものである。出発原料の構成元素である遷移金属、なかでもFe、Co、Niは、グラファイト層形成の触媒の役割を果たしていると考えられる。
炭素供給源となる原料の粉末としては、グラファイトやカーボンブラック、天然黒鉛等の炭素粉が適しているが、炭素を含む化合物であってもよい。すなわち石炭や活性炭、コークスや脂肪酸、ポリビニルアルコールなどの高分子、B−C化合物、金属を含む炭化物であってもよい。従って、特許請求の範囲や課題を解決するための手段において、“炭素粉末”は、炭素粉や、炭素を含む化合物のいずれも包含する用語として用いている。ただし、被膜の炭素純度を高くするためには、炭素粉を用いるとよい。
金属酸化物の粉末(a粉末)の平均粒径は0.001〜1μmが好ましい。平均粒径0.001μm未満の粉末は作製困難であり実用的でない。平均粒径が1μmを越えると粒の中心部まで酸素を十分に還元することができず、均一な金属粒子が得ることは容易ではない。また炭素粉末(b粉末)の平均粒径は0.01〜100μmが好ましく、さらには0.1〜と50μmが好ましい。0.1μm未満の平均粒径の炭素粉末は高価であり実用的でない。また、平均粒径が100μmを越えると混合粉末中でのb粉末の分散に偏りが生じ、最終的に金属粒子を均一に被覆することができなくなる。a粉末とb粉末との混合比は、b粉末が重量比で25〜95%の範囲となることが好ましい。b粉末の重量比が25%未満であると炭素が不足することにより還元反応が十分に進行しない。また粉末bの配合比が95%を越えると還元される金属の体積率が極端に小さくなり実用的ではない。平均粒径を0.001〜1μm、より望ましくは0.01μm〜0.1μmの範囲内とすることは、磁気記録媒体、磁気シールド、電子デバイス等に本発明の金属超微粒子を適用する上で望ましい。
a粉末とb粉末の混合にはV型混合機や、粉砕機(例えば、ライカイ機のように粉砕と混合を兼ねる装置)や、乳鉢などを使用する。混合粉末はアルミナ、窒化ほう素、黒鉛等の耐熱ルツボに遷移金属酸化物および炭素化合物の所定量を充填して所定の条件で加熱処理される。熱処理時の雰囲気は不活性ガスであれば限定しないが、窒素ガスや、窒素を主要成分として含んだアルゴンガス等の不活性ガスとの混合雰囲気などを用いることができる。熱処理温度は600℃〜1600℃が好ましく、さらに好ましくは900℃〜1400℃の範囲が好ましい。900℃未満では反応が完了するまでの所要時間が長くなる。また600℃未満では反応自体が進行しない。また非酸素雰囲気中で1400℃を越えると炉部材として使用している酸化物セラミックスの分解により酸素が放出されることが懸念されると同時に例えばアルミナ製ルツボが短期間で破損する場合がある。1600℃を越えるとルツボのみならず設備自体に耐熱部材の使用が不可欠になり、製造コスト高となり工業化に適しない。
(微小体)
次いで、上記[1]乃至[11]に関する発明の実施の形態を説明する。
上記[1]乃至[11]に係る本発明によると、遷移金属の酸化物(a粉末)とほう素粉末(b粉末)を窒素雰囲気中で800〜1700℃の温度で加熱すると、上記金属酸化物が窒化ほう素微小体形成の触媒の役割を果たし、平均直径0.5μm以下のワイヤ形状の窒化ほう素微小体粉末を製造できる。従来の技術に比べて窒化ほう素微小体を低温で製造することができる。
a粉末の酸化物を構成する金属としては遷移金属またはそれら合金(特に磁性材料)が好ましく、より好ましくはFe、Co、Ni、Cr、Mn、Mo、Pd、Irまたはそれらを含む合金が適している。金属酸化物(M)としては従来より状態図で示されているものでよく、例えばMがFeの場合はFe、Fe、FeOが挙げられる。上記金属酸化物は窒化ほう素形成の過程で還元され、最終的には金属粒子となる。
また、b粉末はほう素粉末の他に、ほう素を含有する金属粉末であってもよい。ほう素を含有する金属(M)としては、M−B結合(Bはほう素)の標準生成エンタルピーをHM−B、M−N結合(Nは窒素)の標準生成エンタルピーをHM−N、と表した場合、
M−B>HM−N
という関係が成立するものが好ましい。具体的には、Sc、Ti、V、Y、Zr、Nb、La、Hf、Taが挙げられる。
金属酸化物の粉末(a粉末)の平均粒径は0.001〜1μmが好ましい。平均粒径0.001μm未満の粉末は作製困難であり実用的でない。また平均粒径が1μmを越えると粒の中心部まで酸素を十分に還元することができず、触媒として十分機能しない。またほう素粉末(b粉末)の平均粒径は0.01〜100μmが好ましい。0.01μm未満の平均粒径のほう素粉末は高価であり実用的でない。また平均粒径が100μmを越えると混合粉末中でのb粉末の分散に偏りが生じ、最終的に金属粒子を均一に被覆することが難しくなる。a粉末とb粉末との混合比は、b粉末が重量比で25〜95%の範囲となることが好ましい。b粉末の重量比が25%未満であるとほう素が不足して窒化ほう素の生成が不十分となる。また粉末bの配合比が95%を越えると粉末aが少なくなって触媒機能が低下し、窒化ほう素の形成が不十分となる。
上記a粉末とb粉末の混合にはV型混合機や乳鉢などを使用する。混合粉末はアルミナ、窒化ほう素等の耐熱ルツボに所定量を充填して所定の条件で熱処理される。熱処理時の雰囲気は窒素ガス雰囲気または窒素ガスを含む混合ガス雰囲気中が好ましい。混合ガスにおいてはAr、He等の不活性ガスとの混合でもかまわない。空気などの酸素を含むガスは適していない。熱処理温度は800℃〜1700℃が好ましく、更に好ましくは1000℃〜1400℃の範囲が好ましい。1000℃未満では反応が完了するまでの所要時間が長くなる。800℃未満では反応自体が進行しない。不活性ガス雰囲気中で1400℃を越えると、炉部材として使用している酸化物セラミックスの分解により酸素が放出されることが懸念されると同時に例えばアルミナ製ルツボが短期間で破損する場合がある。1700℃を越えるとルツボのみならず設備自体に耐熱部材の使用が不可欠になり、製造コスト高となり工業化に適していない。
上記方法によって得られた窒化ほう素粉末は、X線回折測定により結晶構造を同定すると図18のように六方晶の窒化ほう素(h−BN)と菱面体の窒化ほう素(r−BN)の二つのピークを検出できる。なお、図18は後述の実施例2で得た粉末を測定したものである。更にTEM観察により粉体組織を観察すると、図19のようにワイヤ状の窒化ほう素が形成していることが確認でき、格子像の観察からh−BNであることを同定した。
次いで、上記[12]乃至[20]に関する発明の実施の形態について説明する。上記[12]乃至[20]に係る本発明によると、遷移金属の酸化物(a粉末)と炭素粉末(b粉末)を不活性ガス雰囲気中で600〜1600℃の温度で加熱すると、上記金属酸化物が炭素微小体形成の触媒の役割を果たし、平均直径0.5μm以下のワイヤ形状の炭素微小体粉末を製造できる。
a粉末の酸化物を構成する金属としては遷移金属またはそれら合金(特に磁性材料)が好ましい。金属酸化物(M)としては従来より状態図で示されているものでよく、例えばMがFeの場合はFe、Fe、FeOが挙げられる。上記金属酸化物は炭素形成の過程で還元され、最終的には金属粒子となる。
またb粉末としてはグラファイトやカーボンブラック、天然黒鉛等の炭素粉が適しているが、炭素を含む化合物であってもよい。すなわち石炭や活性炭、コークスや脂肪酸、ポリビニルアルコールなどの高分子、B−C化合物、金属炭化物であってもよい。
金属酸化物の粉末(a粉末)の平均粒径は0.001〜1μmが好ましい。平均粒径0.001μm未満の粉末は作製困難であり実用的でない。また平均粒径が1μmを越えると粒の中心部まで酸素を十分に還元することができず、触媒として十分機能しない。また炭素粉末(b粉末)の平均粒径は0.01〜100μmが好ましい。0.01μm未満の平均粒径の炭素粉末は高価であり実用的でない。a粉末とb粉末との混合比は、b粉末が重量比で25〜95%の範囲となることが好ましい。b粉末の重量比が25%未満であると炭素が不足する。またb粉末の配合比が95%を越えるとa粉末が少なくなって触媒機能が低下する。
上記a粉末とb粉末の混合にはV型混合機や乳鉢などを使用する。混合粉末はアルミナ、窒化ほう素等の耐熱ルツボに所定量を充填して所定の条件で熱処理される。熱処理時の雰囲気は不活性ガス雰囲気中が好ましい。空気などの酸素を含むガスは適していない。熱処理温度は600℃〜1600℃が好ましく、更に好ましくは900℃〜1400℃の範囲が好ましい。900℃未満では反応が完了するまでの所要時間が長くなる。600℃未満では反応自体が進行しない。不活性ガス雰囲気下で1400℃を越えると、炉部材として使用している酸化物セラミックスの分解により酸素が放出されることが懸念されると同時に例えばアルミナ製ルツボが短期間で破損する場合がある。1600℃を越えるとルツボのみならず設備自体に耐熱部材の使用が不可欠になり、製造コスト高となり工業化に適していない。
以下、実施例により本発明を説明する。ただし、これら実施例により本発明が必ずしも限定されるものではない。
(参考例1)
平均粒径0.6μmのα−Fe粉(a粉末)5gと平均粒径30μmのほう素粉(b粉末)5gとを各々秤量し、b粉末の配合比が質量比で50%になるよう各粉末をV型混合機に投入して10分間混合した。この混合粉末をアルミナ製ボートに適量充填し、炉の中に配置し、流量が2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理前の混合粉末は赤黒色であったが、熱処理後の粉末は灰白色に変色していた。熱処理前後の各粉末についてX線回折測定(Cu,Kα線)を行なったところ、図1(熱処理前)および図2(熱処理後)に示すような回折パターンが得られた。上記熱処理を施した粉末からは主に六方晶の窒化ほう素(h−BN)の(002)ピークとα−Feの(110)ピークを検出した。リガク製解析ソフト「Jade5」を用いてFeの(110)ピークから計算したFeの粒子径は89nmであった。また、表1にX線回折パターンより検出した各相およびFeの粒子径をまとめた。さらに、この灰白色粉の磁気特性をVSMにて測定した結果を表2に示す。飽和磁化は後述する比較例2の値の20倍以上であり、X線回折測定の結果と合わせてFeがFeに還元されていることがわかる。さらに、この灰白色粉から永久磁石で吸い上げた粉末だけをPCT試験機にて湿度100%、120℃で24時間耐食試験を行なった後、灰化法によって酸素分析を行なった。得られた結果を表3に示した。
(参考例2)
Fe粉代わりにFe粉(平均粒径0.5μm)を用いた以外は参考例1と同様にして灰白色粉末を作製し、X線回折、VSM測定およびPCT試験を行なった。
(参考例3)
ほう素粉末(b粉末)の配合比を質量比で20%とした以外は参考例1と同様にして混合粉末を熱処理してX線回折、VSM測定を行なった。
(比較例1)
熱処理温度を500℃とした以外は参考例1と同様にして混合粉末を熱処理してX線回折、VSM測定を行なった。
(比較例2)
平均粒径20nmのFe粉(真空冶金株式会社製超微粒子)について、参考例1と同条件で耐食試験を行なった。結果を表3に示す。
(参考例4)
Niを含有するFeの酸化物の粉末5gと、ほう素粉5gをV型混合機に投入して混合した。この混合粉末をアルミナ製ボートに適量充填し、炉の中に配置し、流量が2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理後の粉末について観察したところ、窒化ほう素で表面を被覆した金属粒子を得た。組成分析したところ、金属粒子はNiを含有するFeであることがわかった。
(参考例5)
金属粒子とBNまたはC分離操作について説明する。図4は、BN被覆金属粒子およびBN微小体の製造工程図を示すものである。被覆金属粒子を製造する場合、製造工程は図4のS1→S2→S3→S4となる。S2では原料の粉末を入れた窒化ほう素製ルツボ42を管状炉43中で熱処理した。S2で得られた熱処理粉末は被覆金属粒子と微小体の混合粉末41であるため、被覆金属粒子はS3、S4の分離精製の工程を経て回収された。S3工程では、熱処理粉末をアセトンやエタノールなどの有機溶媒で代表される媒体45中に分散させたものを洗浄槽44で攪拌させ、被覆金属粒子を自然沈降させた。攪拌の手段として洗浄槽44に超音波を印加すべく超音波洗浄装置46を用いた。なお、超音波印加に代えて、ガラス棒による手動攪拌やペンシルミキサーなどの攪拌機を攪拌の手段として使用したところ、十分に攪拌することができた。
S4工程では、上澄み液47を取り除いて沈殿物を乾燥させることにより被覆金属粒子48が回収された。同時に上澄み液を乾燥させるとBN微小体が回収された。上記工程ではBN被覆金属粒子とBN微小体を同時に得ることが出来た。特にBN微小体のみを製造する場合、製造工程は図4のS1→S2→S5→S6としてもよい。S5工程は、塩酸や硫酸などの酸性溶液によって熱処理粉末中の金属粒子を溶解させる工程である。酸性溶液中に熱処理粉末を浸漬させた後、沈殿物を回収した。S6工程は、沈殿物を水洗した後、乾燥させる工程である。S5で得られた沈殿物に純水を適量注ぎ、ガラス棒などで攪拌した後、再び沈殿させて上澄み液を除去後、乾燥させることによりBN微小体が得られた。酸性溶液の完全除去のために、S6工程は数回繰り返すことが好ましい。なお上記製造工程は炭素で被覆された金属粒子および炭素微小体を製造する工程にも適用することができた。
図5は、電子顕微鏡(TEM)で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真であり、BN被覆したFe粒子を示している。図6は、図5の構造を模式的に説明するための概略図である。図6に示すように、Fe粒子1は周囲をBN膜2で被覆されている。BN被膜の様子をさらに拡大した写真を図7に示す。
図7は、電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真であり、BN被覆したFe粒子を示している。図8は、図7の構造を模式的に説明するための概略図である。図7に示すように、Fe粒子1の表面に被覆されたBN膜には、積層された結晶格子の縞模様が認められる。格子面3の部分は、格子面がFe粒子1の表面に沿って、複数の格子面がほぼ並行に積層されている。格子面4や格子面5の部分は、格子面同士が平行でない箇所を有するが、Fe粒子1の表面を十分に被覆していることがわかる。
(参考例6)
平均粒径0.03μmのα−Fe23粉(a粉末)5gと平均粒径20μmの炭素粉(b粉末)5gとをV型混合機に投入して10分間混合した。この混合粉末51を窒化ほう素製ルツボ52に適量充填し、管状炉53内に前記ルツボ52を設置して流量2l/minの窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1000℃で2時間保持して室温まで3℃/minの速度で炉冷した。管状炉の構造は図17の概略図に示す。熱処理前後の各粉末についてX線回折測定(Cu,Kα線)を行なったところ、図9(熱処理前)および図10(熱処理後)に示すような回折パターンが得られた。上記熱処理を施した粉末からは主にグラファイトの(002)ピークとα−Feの(110)ピークを検出した。さらに上記熱処理後の粉末の磁気特性をVSM(試料振動型磁力計)にて測定した結果を表4に示す。飽和磁化は比較例4の値の100倍程度であり、X線回折測定の結果と合わせてFe23がFeに還元されていることがわかる。上記熱処理後の粉末をPCT試験機(プレッシャークッカーテスト試験機)にて湿度100%、120℃、1気圧で24時間曝した後、粉末の含有酸素量を金属中酸素・窒素・水素分析装置(堀場製EMGA−1300)にて分析した。酸素量の分析結果を表5に示した。PCT試験後も酸素量の増分がなく、Fe粉表面がグラファイト膜で被覆されていることを裏付ける。なお、上記金属中酸素・窒素・水素の分析は、黒鉛ルツボに試料粉末0.5gを充填し、ルツボを2000〜3000℃へ急速加熱することにより試料中のO,N,Hを熱分解し、ガスクロマトグラフと熱伝導度検出器により、発生したCO,N,HOガスを検出することによってO,N,Hの含有量を分析する方法である。
(比較例3)
熱処理温度を500℃とした以外は参考例6と同様にして混合粉末を熱処理してX線回折、VSM測定、PCT試験を行なった。X線回折パターンは熱処理前後で変化がみられず、反応が進行していない。飽和磁化の値も殆ど変化していない。
(比較例4)
平均粒径0.02μmのFe粉(真空冶金株式会社製超微粒子)を参考例6と同条件で耐食試験を行なった。飽和磁化は純鉄の値(約260×10−6wb・m/kg)の30%程度まで低下している。
図11は、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察した参考例6に係る金属超微粒子の構造の顕微鏡写真である。TEM観察するにあたり、必要とされる試料調整以外、粒子への損傷や変異などを与える加工は一切施していない。図12は、図11の構造を模式的に説明する概略図であり、若干拡大している。金属超微粒子11は、α−Feの粒子12の表面が全て所定の厚さのグラファイト薄膜20で被覆された粒子である。この被覆はα−Feの粒子12の表面を保護しており、効果的に酸化防止している。グラファイト薄膜20の外側に散在する凸部21,21bは、グラファイトの異層が成長したものか、異物が付着したもののいずれかと推定される。α−Feの粒子11自体の明暗のパターン13a,13b,13cは、α−Feの粒子11の形状(略球形)に起因する干渉パターン(2点鎖線で表示)である。α−Feの粒子の両端では、グラファイト薄膜の境界14が若干不明瞭に撮影されているため、点線で表示した。これは略球形の形状により全てに焦点を合わせることが難しいためであり、実際の形状が不明瞭になっている訳ではない。1点鎖線で輪郭を表示した領域は、金属超微粒子11をTEM観察のサンプルホルダーに固定させるためのコロジオン膜15である。符号16の線と符号は、その3本線の長さが20nmに相当するスケールである。図11を撮影した際のスケールをコピーして図12に付け加えた。
図13は、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真であり、図11の左下半分近傍を拡大してグラファイト薄膜20の様子を説明するものである。図13の構造を図14の概略図で模式的に説明する。グラファイト薄膜20は、グラファイトの結晶構造を主として構成されている。例えば、格子縞20a,20b,20cは、グラファイトの層状格子面を表しており、格子縞の間隔がほぼ等間隔であり、α−Feの粒子12の表面に対してほぼ平行に配列している。
ただし、α−Feの粒子は球状であって、その表面には多少の凹凸があることから、グラファイト薄膜の一部には、格子縞20fのようにα−Feの粒子12の表面に対して傾斜している箇所もある。格子縞20fは他の格子縞20eを派生し、さらに、格子縞20dとなっている。線の図示を省略したが、格子縞20dはα−Feの粒子12の表面に対してほぼ平行に配列している。このように、グラファイト薄膜には、層状格子面の配列の向きが変化したり、配列の状態が不鮮明になる箇所(梨地模様に見える箇所)が存在するが、隣接する結晶構造同士で整合を取ったり、α−Feの粒子12の表面に対して結晶構造の面が平行になるように成長するために、ほぼ均一なグラファイト薄膜の被覆が構成されている。
図14のグラファイト薄膜20において、格子縞の一部を実線や点線で模式的に図示している。図示を省略しているが、空白の部分にも結晶構造は存在する。また、α−Feの粒子12の表面とグラファイト薄膜20の間には、中間層25があると推定されるが、その詳細は図15及び図16にて説明する。
図15は、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察した本発明に係る粒子の構造の顕微鏡写真であり、図13のグラファイト薄膜20近傍をさらに拡大した写真である。図16は、図15の構造を模式的に説明する概略図であり、若干拡大している。α−Feの粒子12では、矢印aの向きに沿って格子縞24が見られ、α−Feの特有の結晶面を示している。Fe原子の並びが数珠つなぎになっている様子を克明に模写することは難しいので、点線で表示した。α−Feの粒子12の表面近傍では、前記の矢印aに沿った格子縞が崩れているが、その配列の端が平坦な面を構成しており、グラファイトの結晶が徐々に成長していく起点(グラファイトの成長層)となっている。以下、これらの領域を中間層25と称する。中間層25を経てグラファイト薄膜20は成長し、形成される。
図16に示すように、α−Feの粒子12の表面が比較的滑らかな球面(平坦面)であれば、グラファイトの層状格子面22は矢印dに沿った面となり、規則的に平行に配列しながら成長するため、緻密で非常に薄い被覆を構成する。ここで、緻密とは規則的な格子面が積層している部分を有することを指す。矢印dに垂直な方向に、層状格子の面が、15〜17層積層して非常に薄く被膜を構成していた。中間層25の厚さは、グラファイトの層状格子面22の間隔で言うと、1〜2層に見える。成長し始めたグラファイトの結晶面も中間層に含めると、中間層15の厚さは、グラファイトの層状格子面22の間隔でいうと、2〜4層程度である。
転位した箇所23は、結晶成長にズレが生じ、結晶構造が不連続化した部分と推定される。層状格子が成長して積層構造となるときに、格子の欠陥に起因して、ある部分の成長が1層分遅れたとする。ある部分の成長が再開されたとき、ある部分のn−1層目の格子面と隣接する部分のn層目の格子面が結合して1つの面(転位した面)を構成することがある。転位した面の発生率は高くなく、被膜全体でみると均一で緻密な薄膜といえる。なお、グラファイト薄膜20の表面には凸部21bが存在するが、図15の写真では鮮明には撮影されなかったため、その箇所を点線で表示した。
(実施例1)
平均粒径0.03μmのヘマタイト(Fe)粉末3gと平均粒径26μmのほう素粉末7gをV型混合機に投入して10分間混合した。この混合粉末121を窒化ほう素製の坩堝122に充填して管状電気炉123に設置し、流量2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3(℃/min)の速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理前の混合粉末は赤黒色であったが、熱処理後の粉末は灰白色に変色していた。熱処理後の粉末についてX線回折測定(Cu,Kα線)を行なったところ、図18に示すような回折パターンが得られ、上記熱処理を施した粉末からは六方晶の窒化ほう素(h−BN)と菱面体の窒化ほう素(r−BN)、およびα−Feの回折ピークを検出した。窒化ほう素とFeを分離するため、アセトン500cc(0.5×10−3)の中に上記粉末5gを投入して5分間超音波洗浄を施し、上澄み液と沈殿物を分離した。上澄み液127をドラフト内で更に24時間放置してアセトンを乾燥させ、窒化ほう素粉末128(重量6g)を回収した。
この窒化ほう素粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、図19の写真に示すようなワイヤ状の組織が観察された。格子像を解析すると、この窒化ほう素ワイヤは菱面体構造であった。流量の単位は(l/min)≒約16.7×10−6(m/s)に相当する。実施例1の製造工程は、粉末混合工程(S11)、雰囲気中熱処理工程(S12)、粉末を分散させた媒体への超音波印加工程(S13)、窒化ほう素微小体の分離・乾燥工程(S14)を有し、図22の工程フローと概略図に対応する。同図中、符号124は洗浄槽、符号126は超音洗浄機、符号125は熱処理後の粉末を分散させた溶媒(アセトン)に相当する。なお、生成した粒子を分散させるべく超音波を印加できるのであれば、洗浄機に限らず使用することができる。
図20は、図19の写真の構造を模写した概略図であり、ワイヤ状の窒化ほう素微小体を示す。この窒化ほう素微小体101は、内部に空洞102を有するチューブ103が多数個連結して、長い屈曲したチューブ状を構成している。一方の端はチューブ103の構造で終端されている。他方の端は、チューブ103であるr−BN組織と、h−BN的な部位112bが混在した組織を経て、h−BN組織112で終端されている。図20中、点線で表示した曲線は、電子顕微鏡のサンプルホルダーに窒化ほう素微小体101を固定するためのコロジオン膜の外延を表している。図20の方形の囲いの右外の線と文字は、線の長さが200nmの寸法に対応することを示す。
図21は、図20中の窒化ほう素チューブのみを抜粋・拡大した概略図である。チューブの先端近傍111は、チューブの途中の部分と重なって見えており、明瞭ではない為に先端が閉鎖されているかは定かでない。この先端近傍から、空洞102とそれを囲うチューブ103の構造が続いており、途中、チューブ間の節104と考えられる部位や、チューブの厚さが厚いか斜めに観察する為に厚く見える箇所と考えられるコブ105が存在する。連続するチューブの向きは、例えば屈曲部110で大きく屈曲しているように見える。チューブの厚さは必ずしも一様に見えておらず、コブ105や節だけでなく、複雑な線や脈理に見える構造を伴いながら空洞102を形づくっている。チューブ構造は先端近傍111から節104bまで明瞭に観察され、チューブの直径は0.12〜0.20μm(120〜200nm)である。この辺りは結晶組織が複雑であるため、r−BNとh−BNが混在しているか、混相となっていると推測される。異相の混在は、チューブの屈曲と関係すると考えられる。明瞭にパイプ状に見えるチューブ103の結晶構造を拡大観察すると、原子の並びが3層周期を繰り返すr−BNとなっており、その周期の繰り返し方向は、チューブの直径方向を向いている。
(実施例2)
平均粒径0.03μmのα−Fe23粉(a粉末)5gと平均粒径20μmの炭素粉(b粉末)5gとをV型混合機に投入して10分間混合した。この混合粉末251を窒化ほう素製ルツボ252に適量充填し、管状炉253にて流量2l/minの窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1000℃で2時間保持して室温まで3℃/minの速度で炉冷した。流量の単位は(l/min)≒約16.7×10−6(m/s)に相当する。
熱処理前後の各粉末についてX線回折測定(Cu,Kα線)を行なったところ、図23(熱処理前)および図24(熱処理後)に示すような回折パターンが得られた。上記熱処理を施した粉末からは主にグラファイトの(002)ピークとα−Feの(110)ピークを検出した。図24にて、○印はグラファイトの結晶構造に対応するピークであり、■印はα−Feの結晶構造に対応するピークであり、横軸は回折角度の2θ(°)、縦軸は回折X線の強度(cps)である。グラファイトの最大強度のピークは半値幅が約0.2°となっており、熱処理後の粉末の結晶性はよい。さらに、図23と図24に対応した熱処理前後の粉末について磁気特性をVSM(試料振動型磁力計)にて測定した所、飽和磁化は前者で1.30×10−6Wb・m/kg、後者で131×10−6Wb・m/kgであった。以上より、FeがFeに還元されていることがわかる。
上記熱処理後の粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)観察した所、図25に示すようなチューブ状の微小体が確認された。図25は電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。EDX(エネルギー分散型X線検出器)による組成分析の結果、微小体の先端の黒色粒子はFeであり、チューブはC(炭素)であることが判明した。
図26は、図25の写真の構造に対応する概略図である。炭素微小体201は、Fe粒子202をベースにして炭素のチューブ203が曲線状に成長した構造である。チューブ203の内部には複数の節204が存在し、対向する節とチューブの壁203bに囲われた領域は空洞205を構成する。チューブ203の他端は閉じられており、先端部206となっている。この炭素微小体201において、チューブの成長方向が曲がっていることは、チューブの壁の厚さや節の間隔が均一ではないことと関係すると考えられる。特に、チューブの壁203c,203eの箇所はチューブの厚さが薄い。
もう一つの炭素微小体207は、Fe粒子208をベースにして炭素のチューブ209が曲線状に成長するとともに、先端に他のFe粒子213を包含する構造である。チューブ209の内部には複数の節210が存在し、対向する節とチューブの壁に囲われた領域は空洞211を構成する。Fe粒子213の近傍にあるFe粒子220はチューブの壁220等により隔てられているように見える。この炭素微小体207にて、Fe粒子213はチューブの成長当初から付いていたものか、チューブが成長した過程で取り込んだものかは定かでない。なお、Fe粒子208やチューブの壁212は、炭素微小体201と重複して見えているだけで、接続はされていない。さらに、他のFe粒子214は単独で存在している。同図中、直線若しくは屈曲した一点鎖線は原料の炭素215,216の輪郭を表している。曲線状の一点鎖線は炭素微小体等を電子顕微鏡のサンプルホルダーに固定するためのコロジオン膜217,218の輪郭を表している。符号219は、図26の寸法を判りやすくするために記入したスケール表示であり、元の図25にそのような構造がある訳ではない。スケール表示の3本線の長さは100nmに相当する。
図25の写真に基づいて、各々の炭素微小体の外径Roと内径Riの比を測定した。任意の箇所について測定し、(Ri/Ro)=0.67、0.75、0.40、0.69、0.57、0.63、0.75、0.44というようなデータを得た。実施例2の条件を変えて炭素微小体を製造すると、平均外径や平均内径も変えることができた。これらの条件変更を考慮すると、(Ri/Ro)の上限を0.8とすることができる。
図27は、電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。図25において、Fe粒子202とチューブ203の接合箇所の近傍を拡大したものである。図28は、図27の写真の構造に対応する概略図である。なお、図28は、説明し易くするために、図27の結晶組織の主要な部分のみを実線や点線に代えて表現した。従って、点線でハッチングした領域の周囲が空白であったとしても、その部分は記載を省略しているだけである。
図28によると、Fe粒子202では、ほとんどの領域で特定の結晶面に沿った表面を有するように見える組織となった。以下、Fe主相220,221と称する。Fe主相220の左側には、配列の面の向きが異なる相225や、梨地模様に見える異相226などが観察された。なお、平行に配置した点線でFe主相220等を表現したが、点間隔や線間隔は必ずしも図27と一致するものではない。線の配列の向き等を判り易く説明するために描いたものである。
図28中の炭素のチューブについて説明する。仮想的な境界線227およびFe主相221から先にはチューブ203が生成されている。筒状のチューブの壁の中が節236、239で仕切られた構造であることが判る。節236とFe粒子202とチューブの壁で囲われた領域、または節236,239とチューブの壁で囲われた領域は空洞となった。
チューブの壁は、結晶の配列がグラファイト構造的な相を主として構成されている。以下、グラファイトとそれに類似の組織を併せてグラファイト相と称する。グラファイト相は、結晶の配列が特定の面に沿って積層したように見えるという点で、Feよりも明瞭である。チューブの壁の成長方向に対してグラファイト相230,231,232,233,237,238,240の面は、平行若しくは略平行と言える。これらに対して、節236,239ではグラファイト層の面は、チューブの壁の成長方向に対して直交若しくは略直交と言える。節236の左側の付け根では、グラファイト層の向きが下向きの層234と上向きの層235にY字状に分かれており、樹木の幹と枝の如き組織を呈している。節239の付け根はチューブの壁にほぼ直交しており、節の組織は少なくとも2通りあると考えられる。グラファイト相242は架橋もしくは節と考えているが、他の構造体のグラファイト相242が紛れこんでいるため、断定はできない。なお、グラファイト層の原子配列の積層の様子は、グラファイト層235,238や節236,239に表現したように間隔が狭い。全ての層を同様に図示すると複雑になるため、他の部分では層の数を減らして図示した。また、一層一層が明瞭に判る場合には線で図示したが、途切れ途切れで続いているように見える場合には、点線で表示した。
上記熱処理後の粉末5gをアセトン500ccの中に投入して5分間超音波洗浄を施し、上澄み液と沈殿物を分離した。上澄み液257をドラフト内で更に24時間放置してアセトンを乾燥させ、炭素微小体の粉末258を得た。粉末258は粗大遷移金属粒子等を除くことにより、炭素微小体の割合を向上させたものである。
実施例2の製造工程は、粉末混合工程、雰囲気中熱処理工程、粉末を投入した媒体への超音波印加(分散工程)、粗大遷移金属粒子などの分離および乾燥工程を有し、図29の工程フローと概略図に対応する。同図中、符号254は洗浄槽であり、符号255は熱処理後の粉末を分散させた溶媒(アセトン)であり、符号256は超音波洗浄装置に相当する。なお、生成した各粒子を溶媒中に分散させるべく超音波を印加できるものであれば、洗浄装置に限らず使用することができる。
熱処理前の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 熱処理後の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 FeとBが反応することにより、窒化ほう素被覆Fe粒子等が生成する反応過程を説明する概略図である。 窒化ほう素被覆金属粒子および窒化ほう素微小体の製造工程図である。 電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。 図5の構造を模式的に説明するための概略図である。 電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。 図7の構造を模式的に説明するための概略図である。 熱処理前の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 熱処理後の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。 図3の構造を模式的に説明するための概略図である。 電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。 図5の構造を模式的に説明するための概略図である。 電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。 図7の構造を模式的に説明するための概略図である。 参考例1の製造工程で用いる管状炉の概略図である。 本発明の粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の写真である。 図19の写真の構造に対応する概略図である。 図20の一部を拡大した概略図である。 実施例1の製造工程を説明するフロー及び概略図である。 熱処理前の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 熱処理後の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。 図25の写真の構造に対応する概略図である。 電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真である。 図27の写真の構造に対応する概略図である。 実施例2の製造工程を説明する工程フロー及び概略図である。
符号の説明
1 Fe粒子、 2 BN被膜、 3 格子面、 4 格子面、
5 格子面、
11 金属超微粒子、 12 α−Feの粒子、
13a 13b 13c パターン、
14 グラファイト薄膜の境界、 15 コロジオン膜、
16 スケール、 20 グラファイト薄膜、
20a 20b 20c 格子縞、
20e 格子縞、 20d 格子縞、 20f 格子縞、
21 21b 凸部、
22 層状格子面、
23 転位した箇所、 24 格子縞、
25 中間層、 27 グラファイトの成長層、
41 混合粉末、 42 窒化ほう素製ルツボ、 43 管状炉、
44 洗浄槽、 45 媒体、 46 超音波洗浄装置、
47 上澄み液、 48 被覆金属粒子、
51 混合粉末、 52 窒化ほう素製ルツボ、 53 管状炉、
101 窒化ほう素微小体、 102 空洞、 103 チューブ、
104 104b 節、
105 コブ、 110 屈曲部、 111 先端近傍、
112 h−BN組織、 112b h−BN的な部位、
113 コロジオン膜、 121 混合粉末、 122 坩堝、
123 管状電気炉、 127 上澄み液、 128 窒化ほう素粉末、
201 炭素微小体、 202 Fe粒子、 203 チューブ、
203b チューブの壁、
203c 203e チューブの壁、
204 節、 205 空洞、 206 先端部、
207 炭素微小体、 208 Fe粒子、 209 チューブ、 210 節、
211 空洞、 212 チューブの壁、 213 Fe粒子、
214 Fe粒子、
215 216 原料の炭素、
217 218 コロジオン膜、
219 スケール表示、 220 Fe粒子、
220 221 Fe主相、
224 227 仮想的な境界線、
225 配列の面の向きが異なる相、 226 梨地模様に見える異相、
230 231 232 233 237 238 240 グラファイト相、
234 235 グラファイト相、
236 239 節、
241 グラファイト相、 242 他の構造体のグラファイト相、
251 混合粉末、 252 窒化ホウ素製ルツボ、 253 管状炉、
254 洗浄槽、 255 熱処理後の粉末を分散させた溶媒、
256 超音波洗浄装置、 257 上澄み液、 258 炭素微小体の粉末

Claims (12)

  1. 金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより、窒化ほう素の微小体を作製することを特徴とする微小体の製造方法。
  2. 前記熱処理は800〜1700℃の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の微小体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の微小体の製造方法によって窒化ほう素の微小体と金属粒子を有する粉末を作製し、前記粉末から前記金属粒子の少なくとも一部を除去することを特徴とする微小体の製造方法。
  4. 金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を、窒素を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、主として窒化ほう素で構成されており、ワイヤ状若しくは円筒状であることを特徴とする微小体。
  5. 金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を窒素を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、窒化ほう素を主として構成されており、円筒状であって内部に節もしくは架橋を有することを特徴とする微小体。
  6. 金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末を混合した粉末を窒素を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、金属粒子と、前記金属粒子を被覆する窒化ほう素被膜と、ワイヤ状若しくは円筒状の窒化ほう素を備えることを特徴とする微小体。
  7. 金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を、不活性の雰囲気中で熱処理することにより、炭素の微小体を作製することを特徴とする微小体の製造方法。
  8. 前記熱処理は600〜1600℃の温度で行われることを特徴とする請求項7に記載の微小体の製造方法。
  9. 請求項7または8に記載の微小体の製造方法によって炭素の微小体と金属粒子を有する粉末を作製し、前記粉末から前記金属粒子の少なくとも一部を除去することを特徴とする微小体の製造方法。
  10. 金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を、不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、グラファイト相の炭素で構成されており、ワイヤ状若しくは円筒状であることを特徴とする微小体。
  11. 金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を、不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、グラファイト相の炭素を主として構成されており、円筒状であって内部に節もしくは架橋を有することを特徴とする微小体。
  12. 金属の酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末を混合した粉末を、不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより生成し、金属粒子と、前記金属粒子を被覆する炭素被膜と、ワイヤ状若しくは円筒状の炭素を備えることを特徴とする微小体。
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