JP4257645B2 - 磁性金属微粒子、磁性金属微粒子の製造方法、微小体の製造方法、磁性金属微粒子及び微小体の混合物の製造方法、 - Google Patents
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また、特許文献2のように金属微粒子をグラファイトでコーティングする場合は、コーティングするためには、金属が炭素を溶融する状態を作るために、1600℃〜2800℃という極めて高い温度で熱処理しなければならない。金属の炭化やグラファイトのCO2化が懸念される。これら諸問題を打開する被覆方法として、窒化ほう素(BN)による金属微粒子の被覆が挙げられる(例えば、非特許文献1)。BNは「るつぼ」に用いられる材料であり、融点が3000℃と高く熱的安定性に優れているとともに、金属との反応性が低い。また絶縁性を有する特徴がある。金属微粒子にBN被膜を付与する製法は、(1)金属とBの混合粉末を窒素雰囲気中でアーク放電によって加熱する、あるいは(2)金属とBの混合粉末を水素とアンモニアの混合雰囲気中で加熱する、あるいは(3)硝酸金属塩と尿素とホウ酸の混合物を水素雰囲気中で熱処理する、といった方法がある。
組成毎の質量%を測定する方法は、例えば、試料粉末を2000〜3000℃へ急速加熱することにより試料中の酸素等を熱分解し、ガスクロマトグラフと熱伝導度検出器により、発生した酸素ガスもしくは酸素を含有するガスを検出することによって酸素の含有量を分析する方法である。本発明に係る磁性金属微粒子は、特に耐酸化性に優れているため、前述の加湿・加温処理を施しても、処理前の含有酸素量に対して処理後の酸素質量増加が抑制される。
HM−B, HM−C<HM−N
という関係が成立し、窒化物よりもほう化物、炭化物が形成しやすい。その結果、熱処理過程においてほう素、炭素を含んだ金属粉末が形成され、窒素がガス状で上記金属粉末の周囲に均一に存在する場合には最終的に上記金属粉末に含まれるほう素と窒素及び炭素とが結合して磁性金属微粒子の表面を均一にほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆することが容易である。金属酸化物(MaOb)としては従来より状態図で示されているものでよく、例えばFeの場合はFe2O3、Fe3O4、FeOが挙げられる。
HM−B>HM−N
という関係が成立するものが好ましく、Sc、Ti、V、Y、Zr、Nb、La、Hf、Taが挙げられる。ほう酸のように化合物中にほう素と酸素の結合が存在する化合物は、B2O3で代表されるほう素酸化物が熱力学的に安定となり、Bの供給源とはならないので好ましくない。
Fe2O3とB及びCが反応することにより、ほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆されたFe微粒子、ほう素、窒素、炭素からなるチューブ若しくはほう素、窒素、炭素からなるワイヤが生成する反応過程を説明する。図2は反応過程を模式的に示したものである。図2(1.)は原料の状態を表している。図2(2.)は反応の初期段階の様子を示している。すなわちBがFe2O3中の酸素と結合してB2O3が生成し、あるいはCがFe2O3中の酸素と結合してCOやCO2で代表される炭酸ガスが生成し、還元されたFe微粒子が余剰のBやCの側近に存在している。B2O3は熱処理の際、液相または気相状態となっている。さらに反応が進行した様子を図2(3.)に示す。この段階ではBがFeと反応することにより、Fe−B化合物が生成するか、あるいはCがFeに固溶してFe−C化合物が生成する。粉体の組織は図示したように、完全なFe−A(AはB、Cの少なくとも一つを指す)化合物の粒、FeへのAの拡散が不完全な粒、あるいはFeを芯部として表面付近をFe−A化合物とする粒などが存在する。さらに反応が進行すると図2(4.)に示したように、Fe−A化合物中のAが雰囲気中のN原子と反応しほう素、窒素、炭素からなる化合物の核が微粒子表面の至る所に生成する。ここではFe−AよりもA−N結合の標準生成エネルギーが小さいことが反応の駆動力となっている。これらほう素、窒素、炭素からなる化合物の核が成長する際、Aが微粒子内部から表面へと拡散してくる。その結果、微粒子内部はFeのみが残存し、ほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆されたFe微粒子が生成する。またAが過剰に存在する場合は、ほう素、窒素、炭素からなる化合物がFeを被覆するに留まらず、チューブ状もしくはワイヤ状となって伸びていく。図2(5.)はほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆されたFe微粒子およびほう素、窒素、炭素からなるチューブの模式図である。
HM−B>HM−N
という関係が成立するものが好ましく、Sc、Ti、V、Y、Zr、Nb、La、Hf、Taが挙げられる。ほう酸のように化合物中にほう素と酸素の結合が存在する化合物は、B2O3で代表されるほう素酸化物が熱力学的に安定となり、Bの供給源とはならないので好ましくない。
平均粒径0.03μmのα−Fe2O3粉(a粉末)5gと平均粒径30μmのほう素粉(b粉末)2.5gと平均粒径5μmの炭素粉(c粉)2.5gを各々秤量し、a粉末の配合比が質量比で50%になるよう各粉末をV型混合機に投入して10分間混合した。ほう素粉の配合比は25mass%であり、炭素粉の配合比は25mass%であり、双方を合わせて50mass%含有する。この混合粉末をアルミナ製ボートに適量充填し、炉の中に配置し、流量が2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理前の混合粉末は赤黒色であったが、熱処理後の粉末は灰色に変色していた。
α−Fe2O3粉の代わりにFe3O4粉(平均粒径0.5μm)を用いた以外は実施例1と同様にして灰色粉末を作製し、X線回折、VSM測定およびPCT試験を行なった。
α−Fe2O3粉、ほう素粉末及び炭素粉末の各配合比を質量比で80%、10%、10%とした以外は実施例1と同様にして混合粉末を熱処理してX線回折、VSM測定を行なった。
熱処理温度を500℃とした以外は実施例1と同様にして混合粉末を熱処理してX線回折、VSM測定を行なった。
平均粒径20nmのFe粉(真空冶金株式会社製超微粒子)について、実施例1と同条件で耐食試験を行なった。結果を表3に示す。
Niを含有するFeの酸化物の粉末5gと、ほう素粉2.5g、炭素粉2.5gをV型混合機に投入して混合した。この混合粉末をアルミナ製ボートに適量充填し、炉の中に配置し、流量が2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理後の粉末について観察したところ、ほう素、窒素、炭素からなる化合物で表面を被覆された磁性金属微粒子を得た。EDXによって組成分析したところ、核はNiを含有するFeであることがわかった。
磁性金属微粒子とほう素、窒素、炭素からなる化合物の分離操作について説明する。図3は、ほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆された磁性金属微粒子およびほう素、窒素、炭素からなる微小体の製造工程図を示すものである。被覆された磁性金属微粒子を製造する場合、製造工程は図3のS1→S2→S3→S4となる。S2では原料の粉末を入れた窒化ほう素製ルツボ42を管状炉43中で熱処理した。S2で得られた熱処理粉末は被覆された磁性金属微粒子と微小体の混合粉末41であるため、被覆された磁性金属微粒子はS3、S4の分離精製の工程を経て回収された。S3工程では、熱処理粉末をアセトンやエタノールなどの有機溶媒で代表される媒体45中に分散させたものを洗浄槽44で攪拌させ、被覆された磁性金属微粒子を自然沈降させた。攪拌の手段として洗浄槽44に超音波を印加すべく超音波洗浄装置46を用いた。なお、超音波印加に代えて、ガラス棒による手動攪拌やペンシルミキサーなどの攪拌機を攪拌の手段として使用したところ、十分に攪拌することができた。
実施例1で得たほう素、窒素、炭素からなる化合物とFeの混合粉末において、ほう素、窒素、炭素からなる化合物とFeを分離した。ほう素、窒素、炭素からなる化合物とFeを分離するため、アセトン500cc(0.5×10−3m3)の中に前記混合粉末5gを投入して5分間超音波洗浄を施し、上澄み液と沈殿物を分離した。上澄み液47をドラフト内で更に24時間放置してアセトンを乾燥させ、ほう素、窒素、炭素からなる微小体49の粉末(ほう素、窒素、炭素からなる化合物粉末と称する)を回収した。
実施例6と同様にしてほう素、窒素、炭素からなる化合物粉末をTEM観察した結果、図12の写真に示すような節を多数有する円筒状微小体90が観察された。節93と壁91に囲われた箇所は中空部92となっている。EDXによる組成分析の結果、この円筒状微小体はほう素、窒素、炭素からなる化合物であった。実施例7の製造工程は、実施例6と同様である。図13は、図12の写真の構造の一部を模写した円筒状微小体の概略図である。図14は図12の写真の一部を拡大した写真である。図15は図14の写真の構造を模写した概略図である。図12より、この円筒状微小体90の外径は約70nmであり、Ri/Roは0.4であった。また図12および図14において、微小体の壁91に相当する部分の格子縞は、内外壁に対して平行である。この格子縞の間隔は0.3nmであり、六方晶構造のc面(すなわち、(002)面)に相当している。図15に模写した格子縞は図14の一部であり、壁91にはほぼ全体にわたって表面に沿った格子縞が観察される。すなわち図12に示す円筒状微小体90はc面をU字型に湾曲させた「節」が積層した竹状構造となっている。なお、図12及び図13中の横棒は100nmの寸法を表わし、図14及び15中の横棒は10nmの寸法を表わす。
4 他の微粒子、
41 混合粉末、 41b 熱処理粉末、 42 ルツボ、 43 管状炉、
44 洗浄槽、 45 媒体、 46 超音波洗浄装置、 47 上澄み液、
48 ほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆された磁性金属微粒子、
49 ほう素、窒素、炭素からなる微小体、
50 酸性溶液、 51 処理槽、 52 ガラス棒、
53 ほう素、窒素、炭素からなる微小体、
80 円筒状微小体、 81 円筒の壁、 82 円筒の壁、 83 孔
90 円筒状微小体、 91 壁、 92 中空部、 93 節
Claims (12)
- 磁性金属微粒子の表面がほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆されており、平均粒径が1μm以下であることを特徴とする磁性金属微粒子。
- 前記磁性金属微粒子の磁性金属は、Fe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の磁性金属微粒子。
- 前記ほう素、窒素、炭素からなる膜は、六方晶構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁性金属微粒子。
- 前記ほう素、窒素、炭素からなる膜は、厚さ100nm以下の膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性金属微粒子。
- 前記ほう素、窒素、炭素からなる膜は、結晶の格子面もしくは積層面が2層以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性金属微粒子。
- 金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末及び炭素を含有する粉末を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で800〜1700℃の温度で熱処理することにより、ほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆された磁性金属微粒子を得ることを特徴とする磁性金属微粒子の製造方法。
- 金属の酸化物を含有する粉末とほう素を含有する粉末及び炭素を含有する粉末を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより、ほう素、窒素、炭素からなるワイヤ状若しくは円筒状の微小体を作製することを特徴とする微小体の製造方法。
- ほう素を含む粒子と炭素を含む粒子および金属の酸化物粒子を含有する粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより、磁性金属微粒子と、ほう素、窒素、炭素からなる微小体とを有する生成物を得ることを特徴とする磁性金属微粒子及び微小体の混合物の製造方法。
- ほう素、窒素、炭素からなり、円筒状であり、外径Roと内径Riの比が、(Ri/Ro)≦0.8となる部位を備えることを特徴とする微小体。
- ほう素、窒素、炭素からなり、円筒状であって内部に節もしくは架橋を有することを特徴とする微小体。
- ほう素、窒素、炭素からなり、円筒状であって、その内外壁には六方晶構造あるいは菱面体構造のc面のエッジが現れていることを特徴とする微小体。
- ほう素、窒素、炭素からなる膜で被覆された磁性金属微粒子と、ほう素、窒素、炭素からなるワイヤ状若しくは円筒状の微小体とを備えることを特徴とする磁性金属微粒子及び微小体の混合物。
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