JP2006008487A - 熱処理用セッター及びその製造方法、並びにガラス基板の熱処理方法 - Google Patents

熱処理用セッター及びその製造方法、並びにガラス基板の熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高温下で局所的な荷重が加わっても、長期的な形状安定性を有し、且つ、熱処理炉内外での急熱急冷による熱衝撃に強く、さらに大板化が容易な熱処理用セッターを提供する。
【解決手段】本発明の熱処理用セッターは、被熱処理材料を載置するための熱処理用セッターであって、結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板からなり、被熱処理材料を載置する面の表面積が14000cm2以上であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス基板等の材料(被熱処理材料)を載置した状態で加熱炉内に送給される矩形平板状の熱処理用セッターに関するものである。
近年、表示デバイスの多様化が進む中で、大画面の平面ディスプレイが注目されている。その代表格であるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称す)の製作に使用されるガラス基板は、厚み2.8mm程度の薄肉平板状のソーダライム系ガラス板から形成されるのが通例である。このガラス基板の表面には、電極や絶縁層等の回路パターンを形成するために加熱炉において500〜700℃程度の温度域で熱処理が施される。
上記の熱処理は、生産効率と省エネルギーの観点から、一般的にローラーハースキルン炉で実施されている。ローラーハースキルン炉は、複数本のローラーをガラス基板の搬送方向に並べて配置することにより構成した搬送手段(ローラーコンベア)を備えている。この際、ガラス基板をローラーコンベア上で搬送すると、ガラス基板に反りや歪みが発生したり、表面に傷が付く虞れがある。そのため図1に示すように、ガラス基板10を、矩形平板状のセッター11の上に載置し、炉内に設置された多数のローラー12上をセッター11が移動するようにしてガラス基板10を搬送するようにしている。
この熱処理に用いられるセッターは、繰り返し何度も使用され、しかも昇温、焼成、冷却の熱サイクルが短時間の間に繰り返されるため、耐熱衝撃性に優れていることが要求される。
また特にPDP用のガラス基板は、比較的軟化変形しやすい特性を有している。そのため熱処理時にセッターが変形すると、その変形に沿って、ガラス基板も変形し、平坦度が低下する。ガラス基板の平坦度が低下すると、電極や絶縁層等の回路パターンの配置にズレが生じ、表示性能が低下する。そのためセッターには、ガラス基板を載せる載置面が、平坦且つ平滑であり、焼成時における寸法変化が極力小さいこと、すなわち形状安定性に優れることも要求される。さらにPDPは、益々大型化する傾向にあり、それに使用するガラス基板も大型化しており、それに伴いセッターも大型化しなければならない。
従来より熱処理用セッターとしては、SiC質セラミックからなるセッターが提案されている。(例えば特許文献1)しかしSiC質セラミックは、セッターとして用いるには、熱膨張係数が高く、耐熱衝撃性が低いという欠点がある。また製造の際、セラミックを焼結させるための温度範囲が狭いため、温度管理が非常に難しい。さらに大板化すると、乾燥や焼成時に亀裂が発生しやすいため、工業生産には不向きである。
また焼結後のSiC質セラミックは、表面の算術平均粗さRaが比較的大きい。このような材料をPDP等のガラス基板の熱処理用セッターとして用いると、ガラスとセラミックの硬度差から、両者の接触面の摩擦によって、ガラス基板表面に擦り傷が発生しやすい。この擦り傷の発生は、ガラス基板が大板化するほど顕著になる。そのため従来からSiC質セラミックの表面を研磨して平坦化することが提案されている。(例えば特許文献2)
しかしSiC質セラミックは、硬度が高く、加工性にも劣るため、機械加工には長時間を要する。さらにSiC質セラミックを加工するための工具の消耗が激しいため、生産性や製造コストの面で好ましくない。
このような事情から、大板のガラス基板のセッターとして、低膨張の結晶化ガラスを使用することが提案されている。(例えば特許文献3)
特開2002−137929号公報 特開2002−274946号公報 特開2002−160931号公報
低膨張の結晶化ガラスは、熱膨張係数がゼロに近いため、耐熱衝撃性に優れており、熱変形が起こり難い。またSiC質セラミックに比べて、大板化するのが容易である。さらに加工性に優れ、比較的容易に表面を平滑面にすることができる。
ところでガラス基板の熱処理効率を向上するためには、一度にできるだけ多くのガラス基板を熱処理炉内に投入することが望ましい。そのため複数枚のセッターを、スペーサーを介して棚状に積み重ね、各セッター上にガラス基板を載置し、この状態で熱処理炉内に投入する方法が知られている。例えば図2に示すように2枚のセッター13、14を準備し、一方のセッター13の上面四隅近傍に棒状(例えば円柱状)のスペーサ15を立て、各スペーサ15上に、他方のセッター14を載置し、2枚のセッター13、14を棚状に積み重ねてから、各々のセッター13、14の上面中央部にガラス基板16、17を載置する方法が知られている。
この方法によると、上下段の各セッター13、14の間には、一定の空隙が形成されることになり、この空隙によって、熱処理炉内において雰囲気の自由な流通が実現する。その結果、各ガラス基板16、17を均等に熱処理することが可能となる。
しかしながら、上段のセッター14は、その四隅がスペーサ15によって点支持されているだけであるため、図3(a)に示すように上段のセッター14の自重と、その上に載置されたガラス基板17の荷重によって、上段のセッター14の中央部が下方に垂れるように反りやすく、平坦性を維持することが困難である。またローラーコンベアの種類によっては、下段のセッター13が反ることもある。すなわち図3(b)に示すように玉付きローラー18を備えた加熱炉の場合には、ローラー18と下段のセッター13は、やや中央寄りで当接することになり、しかも下段のセッター13の両端には、上段のセッター14と、その上に載置されたガラス基板17の荷重が加わることになるため、下段のセッター13の中央部が上方に突出するように反ることがある。
一旦セッターに反りが発生すると、二度と平坦な形状に復元することはない。そして反りが生じたセッター上に、PDPに用いられるようなガラス基板を載置して熱処理を行うと、ガラス基板が軟化してセッターの表面形状に沿って形状変化するため、ガラス基板にも反りが発生する。特に大型のガラス基板を熱処理するために用いられるセッターは、大板で面積が広いため、中央部の反りが大きくなり、ガラス基板の反りが一層顕著となる。
本発明の目的は、高温下で局所的な荷重が加わっても、長期的な形状安定性を有し、且つ、熱処理炉内外での急熱急冷による熱衝撃に強く、さらに大板化が容易な熱処理用セッターを提供することである。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明の熱処理用セッターは、被熱処理材料を載置するための熱処理用セッターであって、結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板からなり、被熱処理材料を載置する面の表面積が14000cm2以上であることを特徴とする。
また本発明の熱処理用セッターの製造方法は、一方の面の表面積が14000cm2以上のLi2O−Al23−SiO2系結晶性ガラス板を準備した後、700〜900℃の温度域で熱処理し、さらに900〜1200℃の温度域で熱処理することによって、内部にβ−スポジュメン固溶体を析出させることを特徴とする。
また本発明のガラス基板の熱処理方法は、複数枚の熱処理用セッターを、スペーサを介して棚状に積み重ね、各熱処理用セッターの上にガラス基板を載置した状態で熱処理するガラス基板の熱処理方法であって、前記熱処理用セッターは、結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板からなり、ガラス基板を載置する面の表面積が14000cm2以上であることを特徴とする。
本発明の熱処理用セッターは、大面積でありながら、結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板(Li2O、Al23及びSiO2を必須成分として含有する結晶化ガラス板)から形成されてなるため、高温下で局所的な荷重が加わっても、長期的な形状安定性を有し、且つ、熱処理炉内外での急熱急冷による熱衝撃に強い。そのため大板のPDP用ガラス基板の熱処理用セッターとして好適である。
本発明の熱処理用セッターは、Li2O−Al23−SiO2系の結晶化ガラス板から形成される。Li2O−Al23−SiO2系の結晶性ガラスは、所定の条件で熱処理することによって、低膨張性のβ―スポジュメン固溶体が析出し、この結晶の持つ熱膨張挙動を材料全体に反映させることができる。そのため結晶化ガラスの熱膨張係数を低下させることができ、耐熱衝撃性に優れた材料となる。
結晶化ガラスが高温下で局所的な荷重を受けた場合に変形する理由は、結晶化ガラス内部におけるガラス相が軟化変形するためである。そのため結晶化ガラスの変形を抑えるためには、その結晶量を増加させる必要がある。β−スポジュメン固溶体は、結晶粒子が大きく成長しやすいため、比較的容易に結晶量を増やすことができる。また結晶粒子が大きくなるほど、熱処理によってガラス相が軟化変形する時に、物理的な障害となり、変形の進行を抑える働きを有する。さらにβ−スポジュメン固溶体は、安定な結晶であるため、使用温度が1200℃以下であれば、相転移は生じない。そのためβ−スポジュメン固溶体を含有する結晶化ガラスは、優れた形状安定性を有する。β−スポジュメン固溶体の結晶量としては90質量%以上、さらには93質量%以上が好ましい。尚、本発明においては、上記の効果を損なわない限り、β−スポジュメン固溶体以外の結晶を析出しても構わない。
また本発明の熱処理用セッターは、被熱処理材料を載置する面の表面積が14000cm2以上であるため、形状安定性(反り防止)の効果が顕著に発揮される。また、このような表面積の大きい熱処理用セッターは、PDP用ガラス基板を載置するのに適している。上記表面積の好ましい範囲は、20000cm2以上、より好ましい範囲は、22000cm2以上である。
また本発明で使用するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラスは、30〜750℃における平均線熱膨張係数が、−5〜+20×10-7/℃の範囲にあれば、結晶化ガラスの耐熱衝撃性が向上し、熱処理時に結晶化ガラスの内部に温度差が発生しても、熱膨張差で割れ難くなる。特に30〜750℃における平均線熱膨張係数が、0〜+20×10-7/℃の範囲にあれば、非常に優れた耐熱衝撃性が得られる。
また本発明の熱処理用セッターは、被熱処理材料を載置する面の表面粗さ(Ra)が1.0μm以下であることが好ましい。その理由は、上記表面粗さが1.0μmより大きくなると、セッターと被熱処理材料との間に生じた摩擦によって、被熱処理材料の表面に擦り傷が入りやすくなるからである。特に被熱処理材料がPDP用ガラス基板のように大板である場合は、セッターとガラス基板との接触面積が大きくなり、擦り傷がより発生しやすくなるため好ましくない。この表面粗さのより好ましい範囲は0.7μm以下、さらに好ましい範囲は0.5μm以下である。
また本発明の熱処理用セッターは、一方の面のみを載置面にしても良いし、両方の面(表面と裏面)を載置面として使用しても良い。また熱処理用セッターの厚みは、2〜10mm程度が適当であるが、強度面を考慮すると、表面積が大きくなるに伴って、厚みも大きくすることが好ましく、4mm以上の厚みが好適である。
また本発明におけるLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板は、質量百分率で、SiO2 55〜70%、Al23 15〜30%、Li2O 2.5〜6%、ZnO 0〜4%、BaO 0〜5%、TiO2 1〜6%、ZrO2 0〜4%、P25 0〜5%、MgO 0〜3%、Na2O 0〜4%、K2O 0〜4%の組成を含有することが好ましい。
Li2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板の組成範囲を上記のように限定した理由は、次のとおりである。
SiO2は、ガラスのネットワークフォーマーであると共に、β−スポジュメン固溶体の結晶を構成する成分であるが、その含有量が55%より少ないと、ガラスが失透しやすくなり、化学的耐久性も低下する。一方、70%より多いと、ガラスの溶解性が低下する。SiO2の好ましい含有量は、60〜70%である。
Al23も、結晶を構成する成分であるが、15%より少ないと、ガラスの溶解性が低下する。一方、30%より多いと、ガラスが失透しやすくなり、化学的耐久性が低下する。Al23の好ましい含有量は、15〜25%である。
Li2Oも、結晶を構成する成分であるが、2.5%より少ないと、所望の結晶が析出し難くなる。一方、6%より多いと、ガラスの化学的耐久性が低下する。Li2Oの好ましい含有量は、3〜5%である。
ZnOは、結晶を析出させやすくする成分であるが、4%より多いと、ガラスが失透しやすくなるため、ガラスの徐冷時や結晶化時に、熱処理のコントロールが困難となる。ZnOの好ましい含有量は、0〜3%である。
BaOは、ガラスの溶解性を向上し、失透物の発生を防止するための成分であるが、5%より多いと、所望の結晶量が得られがたく、また熱膨張係数が高くなって、熱的特性が低下する。BaOの好ましい含有量は、0〜4%である。
TiO2は、核形成剤として作用する成分である。その含有量が1%より少ないと、結晶化が安定して起こらず、結晶が粗大になり、その結果、化学的耐久性が低下する。一方、6%より多いと、色調が褐色となり、透明性が損なわれる。TiO2の好ましい含有量は、1〜5%である。
ZrO2も核形成剤として作用する成分であるが、溶解し難いため、多量に含有することは好ましくない。特に4%より多いと、ガラス中に失透物が発生しやすくなる。ZrO2の好ましい含有量は、0〜3%である。
25は、ZrO2の難溶解性を著しく改善する成分であるが、5%より多いと、ガラスが分相しやすくなって均一なガラスが得られ難くなる。P25の好ましい含有量は、0〜3%である。
MgOは、結晶を析出しやすくする成分であるが、3%より多いと、熱膨張係数が大きくなりすぎる。MgOの好ましい含有量は、0〜2%である。
Na2OとK2Oは、ガラスの溶解性を向上させる成分であるが、各々4%より多いと、化学的耐久性が著しく低下する。また、これらの成分の合量が7%より多いと、結晶性が悪くなると共に、熱膨張係数が高くなりすぎるため好ましくない。
また本発明では、上記成分以外にも、As23、Sb23、CaO、PbO等の成分を、各々2%まで含有させることによって、ガラスの溶解性、作業性、均一性等を向上させることができる。但し、As23は、環境負荷物質であるため、極力使用を避けるべきである。さらにガラスの安定性を改善するため、F2、Cl2、SO3、Fe23の群から選択される一種、又は2種以上を、合量で0.5%まで含有させることができる。
本発明の熱処理用セッターは、Li2O−Al23−SiO2系結晶性ガラス板を準備した後、700〜900℃の温度域で熱処理(一次熱処理)し、さらに900〜1200℃の温度域で熱処理(二次熱処理)することによって製造することができる。
Li2O−Al23−SiO2系結晶性ガラス板を製造するには、所望の組成を有するガラスとなるようにガラス原料を調合した後、溶融炉に投入し、1500〜1650℃で、10〜20時間溶融し、次いでロールアウト法やプレス法等で、所望の寸法の板状ガラスに成形し、徐冷すれば良い。また一次熱処理の時間を30〜180分間に設定し、二次熱処理の時間を10〜180分間に設定することが好ましい。また必要に応じて、表面(載置面)を平滑にするため研磨したり、端面やコーナー部の欠けや割れを防止するため面取りや角採りを行っても良い。
また本発明の熱処理用セッターを用いてガラス基板を熱処理する場合、スペーサを介して棚状に積み重ね、各熱処理用セッターの上にガラス基板を載置した状態で熱処理すると、生産効率が向上するため好ましい。
この場合、熱処理用セッターの所定箇所に凹みを形成し、その凹みにスペーサを嵌合したり、熱処理用セッターの所定箇所にスペーサを固着すると、セッターの倒壊や位置ずれが防止されるため好ましい。またスペーサは、熱処理用セッターを一定の間隔で保持できるものであればいずれも使用可能であり、形状としては、円柱状、角柱状、板状、球状等が適しており、材料としては、セラミック、結晶化ガラス、金属、窒化物等が適している。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
まず質量百分率で、SiO2 65.9%、Al23 22.0%、MgO 0.1%、Li2O 4.0%、Na2O 0.5%、K2O 0.5%、P25 1.5%、ZrO2 2.5%、BaO 0.5%、TiO2 2.0%、As23 0.5%の組成となるようにガラス原料を調合し、白金ルツボを用いて1580℃で16時間溶解した後、カーボン台上に流し出し、ローラー成形することによって4mm厚の板状ガラスを作製した。
次いで、この板状ガラスを300℃/時の速度で780℃(一次熱処理温度)まで昇温し、その温度で120分間保持して核形成を行った後、さらに80℃/時の速度で、次の表1に示す温度(二次熱処理温度)まで昇温し、各温度で100分間保持することによって結晶を析出させた。
こうして得られた結晶化ガラスについて、結晶相と結晶量、波長1〜2μmにおける平均透過率、熱膨張係数、表面粗さ(Ra)、及び変形量を調べ、その結果も表1に示した。尚、表中のβ−Sは、β−スポジュメン固溶体を意味し、β−Qは、β−石英固溶体を意味している。
表1から明らかなように、実施例1〜4は、いずれも結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を析出し、結晶量が90質量%以上であった。また熱膨張係数が+10〜+13×10-7/℃、表面粗さ(Ra)が0.2であった。さらに変形量は、10×10-4%以下であった。
一方、比較例1は、β−石英固溶体を析出し、変形量が45×10-4%であり、実施例に比べて大幅に変形した。
尚、表中の結晶相は、粉末X線回折法(株式会社リガク製RINT2100)によって確認し、結晶量は、上記粉末X線回折法により得られた回折パターンから、ピーク面積法を用いて算出した。
熱膨張係数は、差動検出式相対膨張計を用いて、30〜750℃の温度における平均線熱膨張係数を測定した。
表面粗さ(Ra)は、触針式表面粗さ計(JUKI株式会社製JP7200F)を用いた測定した。
変形量は、次の方法で求めた。まず各試料ガラスから、幅5mm、長さ75mm、厚さ2.5mmの試験体を切り出した。次に図4に示すように、定盤19上に間隔60mmで平行に配置した2本の支持棒20、21の上に試験体22を載置した。次に、この試験体22の中心部に、500gの錘23をつり下げ、垂直荷重を加えた状態で、750℃で24時間加熱した。変形量は、加熱後の試験体22の中心変形量を測定し、その値を次式に代入して算出した。
変形量=(中心変形量/(試験体の長さ)2×100)
また実施例3と同じ条件で、長さ1700mm、幅1300mm、厚み5mmの結晶化ガラス板(熱処理用セッター)を2枚作製し、図2に示すように、一方のセッターの上面四隅近傍にスペーサを立て、その上に他方のセッターを棚状に積み重ね、各セッターの上に42インチ用PDP用ガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8)を載置し、600℃で1000時間熱処理したところ、セッターやガラス基板に形状変化は認められなかった。
本発明の熱処理用セッターは、各種の平面ディスプレイに用いられるガラス基板を熱処理するためのセッターとして適しており、特に大面積のPDP用ガラス基板のセッターとして好適である。
熱処理用セッターの使用状態を示す斜視図である。 2枚の熱処理用セッターの上にガラス基板を載置した状態を示す斜視図である。 熱処理用セッターに反りが生じた状態を示す説明図である。 試験体(結晶化ガラス板)の変形量の測定方法を示す説明図である。
符号の説明
10、16、17 ガラス基板
11、13、1 熱処理用セッター
12 ローラー
15 スペーサ
18 玉付きローラー
19 定盤
20、21 支持棒
22 試験体
23 錘

Claims (13)

  1. 被熱処理材料を載置するための熱処理用セッターであって、結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板からなり、被熱処理材料を載置する面の表面積が14000cm2以上であることを特徴とする熱処理用セッター。
  2. Li2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板は、30〜750℃の温度範囲における平均線熱膨張係数が、−5〜+20×10-7/℃であることを特徴とする請求項1記載の熱処理用セッター。
  3. Li2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板は、質量%で、Li2O 2.5〜6%、Al23 15〜30%、SiO2 55〜70%、ZnO 0〜4%、BaO 0〜5%、TiO2 1〜6%、ZrO2 0〜4%、P25 0〜5%、MgO 0〜3%、Na2O 0〜4%、K2O 0〜4の組成を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の熱処理用セッター。
  4. 被熱処理材料が、平面ディスプレイ用ガラス基板であることを特徴とする請求項1記載の熱処理用セッター。
  5. 平面ディスプレイ用ガラス基板が、PDP用ガラス基板であることを特徴とする請求項4記載の熱処理用セッター。
  6. 被熱処理材料を載置する面の表面粗さRaが、1.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の熱処理用セッター。
  7. 一方の面の表面積が14000cm2以上のLi2O−Al23−SiO2系結晶性ガラス板を準備した後、700〜900℃の温度域で熱処理し、さらに900〜1200℃の温度域で熱処理することによって、内部にβ−スポジュメン固溶体を析出させることを特徴とする熱処理用セッターの製造方法。
  8. Li2O−Al23−SiO2系結晶性ガラス板は、質量%で、Li2O 2.5〜6%、Al23 15〜30%、SiO2 55〜70%、ZnO 0〜4%、BaO 0〜5%、TiO2 1〜6%、ZrO2 0〜4%、P25 0〜5%、MgO 0〜3%、Na2O 0〜4%、K2O 0〜4の組成を含有することを特徴とする請求項7記載の熱処理用セッターの製造方法。
  9. 複数枚の熱処理用セッターを、スペーサを介して棚状に積み重ね、各熱処理用セッターの上にガラス基板を載置した状態で熱処理するガラス基板の熱処理方法であって、前記熱処理用セッターは、結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板からなり、ガラス基板を載置する面の表面積が14000cm2以上であることを特徴とするガラス基板の熱処理方法。
  10. ガラス基板が、平面ディスプレイ用ガラス基板であることを特徴とする請求項9記載のガラス基板の熱処理方法。
  11. 平面ディスプレイ用ガラス基板が、PDP用ガラス基板であることを特徴とする請求項10記載のガラス基板の熱処理方法。
  12. 熱処理用セッターは、ガラス基板を載置する面の表面積が、14000cm2以上であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のガラス基板の熱処理方法。
  13. 熱処理用セッターは、ガラス基板を載置する面の表面粗さ(Ra)が、1.0μm以下であることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載のガラス基板の熱処理方法。
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