JP2007315718A - ガラス基板熱処理用セッター - Google Patents
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Abstract
【課題】 繰返し使用しても反り変形が発生しにくいガラス基板熱処理用セッターを提供することを目的とする。
【解決手段】 ガラス基板熱処理用セッターは、結晶化ガラス又はセラミック焼結体からなり、ガラス基板を載置面に載置して熱処理するためのガラス基板熱処理用セッターにおいて、載置面に耐熱膜が形成されてなることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 ガラス基板熱処理用セッターは、結晶化ガラス又はセラミック焼結体からなり、ガラス基板を載置面に載置して熱処理するためのガラス基板熱処理用セッターにおいて、載置面に耐熱膜が形成されてなることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、大型のガラス基板熱処理用セッターに関し、特にプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称す)等に使用される大型のガラス基板を、載置面に直接載置して加熱炉に導入する平板状のガラス基板熱処理用セッターに関する。
近年、表示デバイスの多様化が進む中で、CRTに替わって大画面の平面ディスプレイが表示デバイスの主流になりつつある。その代表格であるPDPは、前面と背面とに2枚のガラス基板を対向配置し、上下を両ガラス基板で、側方を隔壁で挟まれた100〜150μmのセルにHe、Ne等の希ガスを封じ込め電圧の印加によりガス放電させて文字や画像を表示するもので、表示画面の大きさに比して薄型であることを特徴とする。例えば、表示画面が42インチのPDPモジュールは、縦520mm、横920mm、奥行50mm程度の矩形のパネルである。
PDP用ガラス基板には、一般に厚さ3mm弱の平板状のソーダライム系ガラスや高歪点ガラスが用いられ、このガラス基板の上に電極、誘電体、蛍光体等を形成するためにペーストが塗布される。塗布されたペーストをガラス基板に定着させるために、ガラス基板は熱処理用セッター上に載置され、ローラーハースキルン等の加熱炉において450〜650℃の温度域で熱処理が施される。
このガラス基板熱処理用セッターとして、例えば、SiO2、Al2O3、Li2O、P2O5、TiO2、ZrO2を主成分とし、熱膨張係数が15×10-7/K以下の結晶化ガラスからなり、載置面の平坦度が0.3%以下であり、かつ、載置面の表面粗さがRa値で0.1〜1μmの範囲にあるセッターが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、別の熱処理用セッターとして、結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス板からなり、ガラス基板を載置する面の表面積が14000cm2以上であるセッターが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、更に別の熱処理用セッターとして、表面の光沢度が5度以上であり、ペタライト(Li2O・Al2O3・8SiO2)系セラミックス、β−スポジュメン(Li2O・Al2O3・4SiO2)系セラミックス又はβ−ユークリプタイト(Li2O・Al2O3・2SiO2)系セラミックスからなるセッターが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2002−114537号公報
特開2004−192205号公報
特開2005−180743号公報
上記した特許文献1〜3に記載の熱処理用セッターは、繰返し使用すると載置面が凸になるような反り変形が生じ、使用時間と共にその反り変形が大きくなる。この反り変形が大きくなると、ガラス基板がセッターの反り変形に倣って変形してしまう。さらに、ローラーハースキルンで熱処理を行った場合、セッターをローラーで搬送する際に、セッターとローラーの接触面積が小さくなるため、正常に搬送されなくなるだけでなく、セッターがローラーに引っ掛かり、最悪の場合、ローラーやセッターが破損して焼成炉を停止しなければならなくなる事態に陥る虞があった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、繰返し使用しても反り変形が発生しにくいガラス基板熱処理用セッターを提供することを目的とする。
本発明者等は、セッターの反り変形の原因が、熱処理中に発生するガラス基板中のアルカリ成分のセッターへの拡散反応によるものであることを突き止めた。すなわち、PDP用ガラス基板は、通常Na2OやK2Oを10質量%程度含んでいるため、セッターの載置面に直接ガラス基板を載せて450〜650℃にした焼成炉で熱処理を行うと、ガラス基板中のNaイオンやKイオンが、ガラス基板と密着したセッターへ拡散する。そのため、セッターの載置面での結晶組成やマトリックスガラス相組成が変化し、載置面の表面と内部とで熱膨張差が生じて反り変形を引き起こす。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、耐熱性の高い膜をセッターの載置面に形成することによって、ガラス基板中のNaイオンやKイオンが、ガラス基板と密着したセッターへ拡散するのを防御できることを見出し、本発明として提案するものである。
すなわち、ガラス基板熱処理用セッターは、結晶化ガラス又はセラミック焼結体からなり、ガラス基板を載置面に載置して熱処理するためのガラス基板熱処理用セッターにおいて、載置面に耐熱膜が形成されてなることを特徴とする。
本発明のガラス基板熱処理用セッターは、上記のように構成したので、ガラス基板中のNaイオンやKイオンが、ガラス基板と密着したセッターへ拡散するのを防御できる。その結果、繰返し使用しても反り変形が発生しにくくなる。耐熱膜の厚みは、10nm〜10μmであると、NaイオンやKイオンの拡散防御効果がより大きく、膜にクラックや剥離が発生しにくいため好ましい。耐熱膜の膜厚のより好ましい範囲は50nm〜6μmである。
上記した構成において、耐熱膜が、下記の(a)、(b)及び(c)からなる群から選択された少なくとも1成分を含む膜からなり、
(a)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属であり、
(b)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の酸化物であり、
(c)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の窒化物であることが好ましい。このようにすれば、膜が熱的又は化学的に安定であるため、膜の変質が起こりにくく、長期にわたりガラス基板からのNaやKの拡散を防ぐ効果が高くなる。
(a)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属であり、
(b)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の酸化物であり、
(c)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の窒化物であることが好ましい。このようにすれば、膜が熱的又は化学的に安定であるため、膜の変質が起こりにくく、長期にわたりガラス基板からのNaやKの拡散を防ぐ効果が高くなる。
耐熱膜が、酸化ケイ素膜、酸化錫膜、窒化ケイ素及び窒化チタン膜からなる群から選択された1種の膜からなることがより好ましい。特に、シリカガラスからなる膜であると、Li2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスやセラミックス焼結体からなるセッターとの熱膨張係数が近似しているため、膜を厚くしてもクラックが発生しにくく、剥離し難い。また比較的安価に形成できる。
また、上記した構成において、耐熱膜は、結晶化ガラス又はセラミック焼結体の両面に形成することが好ましい。このようにすれば、セッターを繰返し使用する際に、片面だけでなく両面を載置面として使用することができるため、反り変形をさらに抑制することが可能となる。
尚、上記した耐熱膜の形成方法としては、ディッピング(ディップ)法、スプレー法、CVD法、蒸着法、スパッタリング(スパッタ)法等の一般的な方法を用いることができる。
上記した構成において、結晶化ガラスが、結晶相としてβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスであり、セラミック焼結体が、結晶相としてペタライト、β−石英又はβ−スポジュメンを含有するLi2O−Al2O3−SiO2系セラミック焼結体である場合、上記した耐熱膜が形成されていないと、セッター中のLiとガラス基板中のNaやKとのイオン交換反応により、ガラス基板からセッター中へのNaイオンやKイオンの拡散が増大するため、より一層反り変形が大きくなる。従って、Liを含む材料からなるセッターの載置面に上記した耐熱膜を形成すれば、イオン交換反応を防止でき、セッターの反り変形を抑制する効果が大きいものとなる。
上記した構成において、結晶化ガラス又はセラミック焼結体がLi2Oを
1.0〜6質量%含有することが好ましい。Li2O含有量は、イオン交換反応を抑制するために、少なければ少ないほど良く、具体的には6質量%以下であることが好ましいが、急加熱・急冷却による破損がないようにするために、セッターの熱膨張係数が25×10-7×/K以下となる必要があることから、Li2Oの含有量は、1.0質量%以上必要である。
1.0〜6質量%含有することが好ましい。Li2O含有量は、イオン交換反応を抑制するために、少なければ少ないほど良く、具体的には6質量%以下であることが好ましいが、急加熱・急冷却による破損がないようにするために、セッターの熱膨張係数が25×10-7×/K以下となる必要があることから、Li2Oの含有量は、1.0質量%以上必要である。
また、上記した構成において、ガラス基板が、PDP用ガラス基板であり、Na2OとK2Oを合量で1.0質量%以上含有するガラスからなる場合、上記した耐熱膜が形成されていないと、ガラス基板とセッターとのNa2OとK2Oの濃度差が大きくなるため、ガラス基板からセッター中へのNaイオンやKイオンの拡散が増大し、より一層反り変形が大きくなる。従って、セッターの載置面に上記した耐熱膜を形成すれば、セッターの反り変形を抑制する効果が大きいものとなる。尚、PDP用ガラス基板のNa2OとK2Oは、それらの含有量が多すぎると歪点が低くなりすぎるため、合量で最大でも30質量%に制限される。
また、載置面の面積が8500cm2以上であるような大型のセッターの場合、特に反り変形が大きくなるため、上記した耐熱膜を形成することが好ましい。
以下に、本発明のガラス基板熱処理用セッターを、実施例を用いて詳細に説明する。
表1は、本発明の実施例1〜6を、表2は、比較例1〜2を示す。
実施例1〜4及び比較例1の結晶化ガラスは、日本電気硝子株式会社製透明結晶化ガラス、ネオセラムN−0(30〜600℃での熱膨張係数:0×10-7/K、Li2O含有量:4質量%)からなる。また、実施例5〜6及び比較例3、4のセラミックス焼結体は、ペタライト結晶を70質量%含有するLi2O−Al2O3−SiO2系セラミック焼結体(30〜600℃での熱膨張係数:10×10-7/K、Li2O含有量:2.5質量%)からなる。また、実施例のガラス基板熱処理用セッターは、これらの結晶化ガラス及びセラミック焼結体の載置面全面に、表1に示す膜材料と膜厚の耐熱膜を同表に示す塗布方法により形成してある。尚、実施例2及び5におけるディッピング法(ディップ)では、セッターを、日本曹達株式会社製のアトロンSを含む溶液に浸漬し、600℃で焼成してSiO2膜(シリカ膜)を形成した。また、実施例3におけるスプレー法では、セッターの載置面に塩化スズを含む溶液をスプレーし、600℃で焼成してSnO2膜を形成した。
反り変形は、1250×700×5mm(載置面の面積:8750cm2)のサイズのセッターの載置面の略中央部に、1000×560×2.8mmのサイズのPDP用高歪点ガラス(日本電気硝子株式会社製PP−8、Na2O:5質量%、K2O:10質量%含有)を載置し、600℃で2週間加熱した後、セッターの載置面形状を、3次元形状測定装置を用いて測定し、最高部と最低部との高低差で評価した。
また、反り変形の原因であるNaイオンやKイオンの拡散により、セッターの載置面には、歪が生成されるため、透明材料の場合、この歪を直接観察することで、NaイオンやKイオンの拡散を定性的に評価できる。そこで、実施例1〜4及び比較例1、2の透明結晶化ガラスについて、載置面と直交する面で切断し、20mm厚となるように加工して、歪計を用いて切断面から見た歪の有無を観察した。
表1からわかるように、実施例1〜6は、いずれも反り変形が発生しなかった。また、実施例1〜4は、いずれも歪は観察されなかった。それに対し、比較例1〜4は、いずれも反り変形が発生した。また、比較例1、2は、いずれも歪が観察された。
以上説明したように、本発明のガラス基板熱処理用セッターは、PDPだけでなく、液晶ディスプレイ、FED等のフラットパネルディスプレイに使用されるガラス基板の熱処理用セッターとして好適である。
Claims (9)
- 結晶化ガラス又はセラミック焼結体からなり、ガラス基板を載置面に載置して熱処理するためのガラス基板熱処理用セッターにおいて、
載置面に耐熱膜が形成されてなることを特徴とするガラス基板熱処理用セッター。 - 耐熱膜の膜厚が10nm〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板熱処理用セッター。
- 耐熱膜が、下記の(a)、(b)及び(c)からなる群から選択された少なくとも1成分を含む膜からなり、
(a)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属であり、
(b)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の酸化物であり、
(c)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の窒化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板熱処理用セッター。 - 耐熱膜が、酸化ケイ素膜、酸化錫膜、窒化ケイ素膜及び窒化チタン膜からなる群から選択された1種の膜からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
- 耐熱膜が、両面に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
- 結晶化ガラスが、結晶相としてβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスであり、セラミック焼結体が、結晶相としてペタライト、β−石英又はβ−スポジュメンを含有するLi2O−Al2O3−SiO2系セラミック焼結体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
- 結晶化ガラス又はセラミック焼結体がLi2Oを1.0〜6質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
- ガラス基板が、PDP用ガラス基板であり、Na2OとK2Oを合量で1.0〜30質量%含有するガラスからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
- 載置面の面積が8500cm2以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
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