JP2006007507A - Icカード及びicカード製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】顔画像や他の様々な画像情報の再現性や表現性を得ることが可能なICカード及びICカード製造方法を提供する。
【解決手段】ICカードは、ICチップを少なくとも搭載したカード基材に画像印画部を有し、カード基材の画像未印画部分の白色部色度が下記条件Aを満たし、
条件A:90≦L*≦96
0≦a*≦2
−9≦b*≦−2
また、画像未印画部分の白色部色度が下記条件Bを満たす。
条件B:93≦L*≦96
0.5≦a*≦1.5
−8≦b*≦−2
【選択図】図9

Description

この発明は、身分証明書カード(IDカード)及び、偽造、変造防止等の安全性(セキュリティ)が要求される個人情報等を記憶する接触式又は非接触式の顔写真等の画像表示を有するICカード及びICカード製造方法に関する。
例えば、身分証明書カード(IDカード)やクレジットカードなどには、従来磁気記録方式によりデータを記録する磁気カードが広く利用されてきた。しかしながら、磁気カードはデータの書き換えが比較的容易にできるため、データの改ざん防止が十分でないこと、磁気のため外的な影響を受けやすく、データの保護が十分でないこと、さらに記録できる容量が少ないなどの問題点があった。そこで、近年ICチップを内蔵したICカードが普及し始めている。一方、従来から身分証明書カードには本人顔写真を表示することが必須であり、今後セキュリティの観点からもこの顔写真付きカードはますます増加している(例えば特許文献1)。
特開平9−66678号公報(第1〜第10、第13頁)
この種のICカードには、本人確認用の顔画像、及び所有者に関する文字や記号などの文字情報画像が記録されている。このため、ICカードの偽変造防止を目的とする印刷等が施される場合が多い。
この顔画像は通常の場合、多階調を有するフルカラー画像によって、例えば、昇華型感熱転写記録方式、ハロゲン化銀カラー写真方式等により形成される。また、文字情報画像は二値画像よりなり、例えば、溶融型感熱転写記録方式、昇華型感熱転写記録方式、ハロゲン化銀カラー写真方式、電子写真方式、インクジェット方式等により形成されている。更に、偽変造防止の目的ではホログラム、細紋等が採用されている。その他にICカードには予め定型フォーマット印刷が必要に応じて施される。
このような画像表示材料の画質の善し悪しに大きく影響を与える特性として、画像濃度、階調、カラーバランス、ハイライト部の白さ、最高濃度の高さ等の品質特性が挙げられる。しかしICカードに表示される顔写真においては、その品質が未だ十分とは言い難い。カード持ち主にとってICカードに表示される自分の顔写真の品質は特に重要であり、保有者の満足度に大きな影響を及ぼす。特に未印画白色部分の色相は、ハイライト色再現や顔色再現への影響が大きいのだが、従来は充分に考慮されているとは言えなかった。
この発明はかかる点に鑑みてなされたもので、顔画像や他の様々な画像情報の再現性や表現性を得ることが可能なICカード及びICカード製造方法を提供することを目的としている。
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、ICチップを少なくとも搭載したカード基材に画像印画部を有し、
前記カード基材の画像未印画部分の白色部色度が下記条件Aを満たすことを特徴とするICカードである。
条件A:90≦L*≦96
0≦a*≦2
−9≦b*≦−2
請求項2に記載の発明は、前記画像未印画部分の白色部色度が下記条件Bを満たすことを特徴とする請求項1に記載のICカードである。
条件B:93≦L*≦96
0.5≦a*≦1.5
−8≦b*≦−2
請求項3に記載の発明は、前記画像印画部分の黒色の最高濃度部色度が下記条件Cを満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカードである。
条件C:1≦L*≦10
−10≦b*≦0
請求項4に記載の発明は、画像印画前のカード基材に予めマゼンタ色或いはシアン色を呈する発色化合物の少なくとも1種を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項5に記載の発明は、画像印画が昇華型感熱転写記録方式によることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項6に記載の発明は、画像印画前のカード基材に予め色素に対してキレート化合物を形成しうる金属化合物を予め含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項7に記載の発明は、昇華型色素を受容する画像形成層と、活性光線硬化樹脂からなるクッション層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項8に記載の発明は、前記画像印画が顔画像印画であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項9に記載の発明は、ICチップを少なくとも搭載したカード基材を作成し、
前記カード基材に画像印画部を記録するICカード製造方法であり、
前記カード基材の画像未印画部分の白色部色度が下記条件Aを満たすことを特徴とするICカード製造方法である。
条件A:90≦L*≦96
0≦a*≦2
−9≦b*≦−2
請求項10に記載の発明は、前記画像未印画部分の白色部色度が下記条件Bを満たすことを特徴とする請求項9に記載のICカード製造方法である。
条件B:93≦L*≦96
0.5≦a*≦1.5
−8≦b*≦−2
請求項11に記載の発明は、前記画像印画部分の黒色の最高濃度部色度が下記条件Cを満たすことを特徴とする請求項9または請求項10に記載のICカード製造方法である。
条件C:1≦L*≦10
−10≦b*≦0
請求項12に記載の発明は、前記画像印画が顔画像印画であることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカード製造方法である。
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
請求項1及び請求項9に記載の発明によれば、カード基材の画像未印画部分の白色部色度が条件Aを満たすことで、様々な画像情報のハイライト部再現性が向上し、特に顔画像においては優れた肌色再現を得ることが可能である。
請求項2及び請求項10に記載の発明によれば、画像未印画部分の白色部色度が条件Bを満たすことで、様々な画像情報のハイライト部再現性が向上し、特に顔画像においては優れた肌色再現を得ることが可能である。
請求項3及び請求項11に記載の発明によれば、画像印画部分の黒色の最高濃度部色度が条件Cを満たすことで、顔画像や他の様々な画像情報の深みのあるシャドー部表現性を得ることが可能である。
請求項4に記載の発明によれば、画像印画前のカード基材に予めマゼンタ色或いはシアン色を呈する発色化合物の少なくとも1種を含有し、色調調整ができる点で好ましい。
請求項5に記載の発明によれば、画像印画が昇華型感熱転写記録方式により、顔画像等の認証識別画像、属性情報画像を記録することが好ましい。
請求項6に記載の発明によれば、画像印画前のカード基材に予め色素に対してキレート化合物を形成しうる金属化合物を予め含有し、特に画像保存性に優れた顔画像等を得ることが可能である。
請求項7に記載の発明によれば、活性光線硬化樹脂からなるクッション層を有し、ノイズが少なくて画像情報に対応した画像を昇華型色素を受容する画像形成層に再現性良く記録でき、記録性が向上する。
請求項8及び請求項12に記載の発明によれば、画像印画が顔画像印画であり、優れた画像保存性を得ることが可能である。
以下、この発明のICカード及びICカード製造方法の実施の形態について説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
図1はICカードの概略層構成図である。この実施の形態のICカードは、カード基材500が第1シート部材501と、第2シート部材502と、この第1シート部材501と第2シート部材502との間の接着層507と、ICチップ508aとアンテナ508bからなる電子部品508とからなる。第1シート部材501と第2シート部材502が接着層507により積層され、接着層507に所定の厚みの電子部品508が設けられている。電子部品508は、ICチップ508aとアンテナ508bからなる。
図2はICカードの他の実施の形態の概略層構成図である。この実施の形態のICカードは、図1と同様に構成されるが、第1シート部材501と画像形成層503との間にクッション層505を有する。このクッション層505が設けられてなることで、ノイズが少なくて、画像情報に対応した画像を再現性良く記録でき記録性が向上する。
以下にこの発明の詳細な内容について説明する。
<画像記録体>
この発明のICカードは、カード基材を用い画像要素が設けられ、顔画像の他にも認証識別画像、属性情報画像、フォーマット印刷等から選ばれる少なくとも一つが設けられたIC搭載したIDカードのことを表し、例えば第1シート部材と第2シート部材が接着剤を介して貼り合わされ、その接着層中にICチップおよびアンテナを有するICモジュールを封入するものが含まれる。
この発明においては、図8(a)に示すように、画像要素が設けられるカード基材の画像未印画部分の色度を後述のように規定することを特徴とする。即ち、画像未印画部分とは感熱転写法や銀塩、インクジェット法等による画像形成を意図したインクや色素が供給されていない部分を示し、「白地」と呼称する。
この発明は、顔画像が印画される部分E1の「白地」と「黒地」を規定するが、「白地」には顔画像が印画されない部分E2のような領域も含まれても良い。いわゆる銀塩写真におけるカブリのような画像形成を意図していない発色や色素の転写等による汚れ、またフォーマット印刷等による着色などは画像未印画部分に含まれるものとする。
この発明においては、画像未印画部分(白地)の白色部色度としては、CIE1976L*a*b*表色空間(以下、「CIELAB表色空間」と称する場合がある。)上で下記条件A,Bを満たすことを特徴とする。
条件A:90≦L*≦96
0≦a*≦2
−9≦b*≦−2
条件B:93≦L*≦96
0.5≦a*≦1.5
−8≦b*≦−2
すなわち、90≦L*≦96、0≦a*≦2、−9≦b*≦−2の色度を呈する白地とすることが好ましく、より好ましくは93≦L*≦96、0.5≦a*≦1.5、−8≦b*≦−2である。
一方、画像印画部分の黒色の最高濃度部の色相としては、同様に、下記条件Cを満たすことが好ましい。
条件C:1≦L*≦10
−10≦b*≦0
すなわち1≦L*≦10、−10≦b*≦0の色度を呈する最高濃度部とすることが好ましい。なお、この最高濃度部とは、顔画像を印画するためのプリンタ等の画像形成機器において、最も高濃度となる黒色を作成するべく調整された設定やデータを用いて印画された時に選られる黒色濃度部分を意味する。例えば、イエロー、マゼンダ、シアン色の色素を各々高濃度で混色して黒色画像を形成しても良いし、黒色の色素から黒色画像を形成しても良いし、両者を組み合わせても良い。
また、この発明におけるこの最高濃度部分は、一般的な顔写真中に必ずしも存在する必要はなく、画像形成されるカード材料とプリンタの組み合わせによって達成しうるシステムが構築されていれば良い。そのような色再現域を有するシステムが高品位な顔画像を提供する上で必要とされる。
CIE1976L*a*b*表色空間の詳細は、例えば日本写真学会・日本画像学会編「ファインイメージングとカラーハードコピー」354ページ(1999年、コロナ社刊行)に詳記されている。また、この表色空間を用いる際の3色刺激値は、蛍光性反射物体のX,Y,Z座標の3刺激値測定方法を規定したJIS Z8717記載の方法に従って求められた値である。
CIE1976L*a*b*表色空間(以後CIELAB表色空間と略す)上の色度は、基準となる白色の色度を標準昼光の国際標準であるCIED65(6504K)に置いて測定する。したがって、前述の各条件を満たすことの検証のための測定はCIE1976L*a*b*表色空間上の色度を測定できるいずれの色度測定装置を用いることができる。例えば、日立製作所社製C−2000カラーアナライザーおよび基準光源としてCIE D65(6504K)を用いて測定できる。
この発明に係る画像未印画部分の白さの調製方法としては、主に白地品質劣化の要因となるイエローステインを打ち消すように色味を調整するべく発色色素や顔料を添加含有させる方法や、白色顔料や蛍光増白剤を添加し白色度を向上させる方法が挙げられる。例えば、カード基材に予めブルー色相を呈するように、ブルー発色化合物を添加したり、複数の色素含有による色調調整したり、更にこれらに白色顔料や蛍光増白剤を組み合わせ用いたりされる。
この発明においては、予めマゼンタ色或いはシアン色を呈する発色化合物の少なくとも1種がカード基材に含有していることが、色調調整ができる点で好ましい。また、画像印画前のカード基材に予め色素とキレート化合物を形成しうる金属化合物を含有し、特に画像保存性に優れた顔画像等を得ることが可能である。 以下に画像要素が設けられるカード基材の構成を例示するが、この発明はこれに限定されるものではない。
<支持体>
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。
この発明の支持体の厚みは30〜300μm望ましくは50〜200μmである。また、支持体中には後の工程で形成される画像の鮮明性を高めるために、予め白色顔料たとえばチタンホワイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が添加されているのが好ましい。カード基材は、第1シート部材又は第2シート部材は同一又は配向角を合わしても良く、場合によっては異なる基材又は厚さの異なる支持体を複数積層し、貼り合わせ等により構成されたカードを作成しても良い。又支持体上に、易接化処理を施してもよく、カップリング剤、ラテックス、親水性樹脂、帯電防止樹脂などの樹脂層より形成される。場合により支持体をコロナ処理、プラズマ処理等の易接処理を施しても良い。この発明の場合、好ましくはカード基材上に帯電防止処理がされていることが好ましい。カード基材に帯電防止剤が積層されることによって、カード上にゴミ付着が低減する。又、2枚以上の転写箔を転写する場合、2枚目の転写箔を転写する場合にカードの帯電防止機能は、カード上にゴミ付着が低減することができる。支持体には必要に応じてエンボス、サイン、ICメモリ、光メモリ、磁気記録層、偽変造防止層、ICチップ、赤外吸収層等の層及び部品を介在することができる。ICカードを作成する場合上記記載の支持体を公知技術によってICカード基材を作成することができる。支持体は単層構造を有していてもよいし、多層構造を有していてもよい。多層構造にした場合、特開平5−116242記載のような支持体の配向性を合わすことが好ましい。当該カード利用者の顔画像を形成するため受像層のほかにクッション層を設けてもよい。また、裏面に筆記性を持たせるため筆記層を設けてもよい。
<受像層>
前記支持体の表面に形成する受像層は、バインダーと各種の添加剤で形成することができる。この発明における受像層は、昇華型熱転写方式により階調情報含有画像を形成すると共に、昇華型熱転写方式または溶融型熱転写方式により文字情報含有画像を形成するので、昇華性色素の染着性、または昇華性色素の染着性とともに熱溶融性インクの接着性も良好でなければならない。かかる特別な性質を受像層に付与するには、後述するように、バインダー、および各種の添加剤の種類およびそれらの配合量を適宜に調整することが必要である。 以下、受像層を形成する成分について詳述する。
この発明における受像層用のバインダは、通常に知られている昇華型感熱転写記録受像層用のバインダを適宜に用いることができる。主なバインダとしては、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、スチレンアクリル樹脂などさまざまのバインダを使用することができる。ただし、この発明によって形成される画像につき、実際的要求(たとえば発行されるICカードに所定の耐熱性が要求されるなど)が存在するのであれば、そのような要求項目を満たすようにバインダの種類あるいは組み合わせを考慮することが必要になる。画像の耐熱性を例にすると、60℃以上の耐熱性が要求されるのであれば、昇華性色素のにじみを考慮して、Tgが60℃以上であるバインダーを使用するのが好ましい。また、受像層を形成するに際して、必要に応じて、例えば金属イオン含有化合物を含有させるのが好ましい場合がある。特に熱移行性化合物がこの金属イオン含有化合物と反応してキレートを形成する場合である。前記金属イオン含有化合物を構成する金属イオンとしては、例えば周期律表の第I〜第VIII族に属する2価および多価の金属が挙げられるが、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti、Zn等が好ましく、特にNi、Cu、Co、Cr、Zn等が好ましい。これらの金属イオンを含有する化合物としては、該金属の無機または有機の塩および該金属の錯体が好ましい。具体例を挙げると、Ni2+、Cu2+、Co2+、Cr2+およびZn2+を含有した下記一般式で表される錯体が好ましく用いられる。
[M(Q1)k(Q2)m(Q3)n]p+p(L-
ただし、式中Mは金属イオンを表し、Q1、Q2、Q3は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、これらの配位化合物としては例えば「キレート化学(5)(南江堂)」に記載されている配位化合物から選択することができる。特に好ましくは、金属と配位結合する少なくとも一個のアミノ基を有する配位化合物を挙げることができ、更に具体的には、エチレンジアミンおよびその誘導体、グリシンアミドおよびその誘導体、ピコリンアミドおよびその誘導体が挙げられる。Lは錯体を形成しうる対アニオンであり、Cr、SO4、ClO4等の無機化合物アニオンやベンゼンスルホン酸誘導体、アルキルスルホン酸誘導体等の有機化合物アニオンが挙げられるが、特に好ましくはテトラフェニルホウ素アニオンおよびその誘導体、ならびにアルキルベンゼンスルホン酸アニオンおよびその誘導体である。kは1、2または3の整数を表し、mは1、2または0を表し、nは1または0を表すが、これらは前記一般式で表される錯体が4座配位か、6座配位かによって決定されるか、あるいはQ1、Q2、Q3の配位子の数によって決定される。pは1、2または3を表す。
この種の金属イオン含有化合物としては、米国特許第4,987,049号明細書に例示されたものを挙げることができる。前記金属イオン含有化合物を添加する場合、その添加量は受像層に対して、0.5〜20g/m2が好ましく、1〜15g/m2がより好ましい。
また、受像層には、離型剤を添加することが好ましい。有効な離型剤としては、用いるバインダと相溶性のあるものが好ましく、具体的には変性シリコーンオイル、変性シリコーンポリマーが代表的であり、例えばアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂などが挙げられる。このなかでもポリエステル変性シリコーンオイルはインクシートとの融着を防止するが、受像層の2次加工性を妨げないという点で特に優れている。受像層の2次加工性とは、マジックインキでの筆記性、できた画像を保護する際に問題となるラミネート性などを指す。この他離型剤としてはシリカ等の微粒子も有効である。2次加工性を問題としない場合は融着防止策として硬化型シリコーン化合物の使用も有効である。紫外線硬化型シリコーン、反応硬化型シリコーンなどが入手可能であり、大きな離型効果が期待できる。
この発明における受像層は、その形成成分を溶媒に分散あるいは溶解してなる受像層用塗工液を調製し、その受像層用塗工液を前記支持体の表面に塗布し、乾燥する塗工法によって製造することができる。支持体の表面に形成される受像層の厚みは、一般に1〜50μm、好ましくは2〜10μm程度である。
この発明においては、支持体と受像層との間にクッション層あるいはバリヤー層を設けることもできる。クッション層を設けると、ノイズが少なくて、画像情報に対応した画像を再現性良く転写記録することができる。クッション層を構成する材質としては例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ブタジエンラバー、エポキシ樹脂等が挙げられる。クッション層の厚さは通常、1〜50μm、好ましくは3〜30μmである。
<活性光線硬化樹脂からなるクッション層>
この発明でいう活性光線硬化樹脂からなるクッション層とは、活性光線硬化性化合物を含有する組成物の硬化により得られたクッション層を意味し、ICと画像を受容する受像層の間に位置しても、受像層と一体化していてもよく(クッション性受像層)、ICモジュール等の電子部品による凹凸影響を緩和する役割をはたす軟質の樹脂層を意味する。
この樹脂層は、シート部材と実質的に同質の別支持体の片面もしくは両面上に塗設あるいは貼合されて、転写、形成されることが特に好ましい。クッション層の厚みは、3〜50μmが好ましく、より好ましくは5〜30μm、更に好ましくは5〜20μmである。塗設する場合、リバースコート法、ロールコート法、グラビアコート法、押出法、ダイコーター法などの各種方法を用いることができる。
この発明における活性光線硬化樹脂は、付加重合性または開環重合性を有する化合物を含有する組成物の活性光線、例えば光硬化により得られる樹脂であり、付加重合性化合物とは、ラジカル重合性化合物、例えば特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各号公報明細書に記載されている光重合性化合物などである。又、付加重合性化合物として、カチオン重合系の光硬化性化合物が知られており、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性化合物も例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137号公報等に公開されている。
ラジカル重合性化合物には通常の光重合性化合物及び熱重合性化合物が包含される。ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、さらに具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーをあげることができる。
上記ラジカル重合性化合物のラジカル重合性化合物を含有する組成物中の添加量は好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
活性光線硬化樹脂がラジカル重合性化合物を含有する組成物から得られる場合には、ラジカル重合開始剤を併用する必要がある。
ラジカル重合開始剤としては、特公昭59−1281号、特公昭61−9621号、及び特開昭60−60104号等の各公報記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号及び特開昭61−243807号等の各公報に記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号、特公昭44−6413号、特公昭44−6413号及び特公昭47−1604号等の各公報並びに米国特許第3,567,453号明細書に記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,848,328号、同第2,852,379号及び同第2,940,853号各明細書に記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号、特公昭37−13109号、特公昭38−18015号、特公昭45−9610号等の各公報に記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号、特開昭59−14023号等の各公報及び「マクロモレキュルス(Macromolecules)、第10巻、第1307頁(1977年)に記載の各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報に記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109,851号、同第126,712号等の各明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス」(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)に記載の金属アレン錯体、特開平5−213861号明細書及び特開平5−255347号明細書に記載の(オキソ)スルホニウム有機ホウ素錯体、特開昭61−151197号公報に記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordinantion Chemistry Review)」、第84巻、第85−第277頁(1988年)及び特開平2−182701号公報に記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報に記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤はラジカル重合可能なエチレン不飽和結合を有する化合物100質量部に対して0.01から10質量部の範囲で含有されるのが好ましい。
これらの中で特に好ましいものは、常温での安定性に優れ、加熱時の分解速度が速く、かつ分解時に無色となる化合物であり、このようなものとしては、過酸化ベンゾイル、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。また、本発明では、これらの熱重合開始剤を1種又は2種以上混合して用いることができる。更に、重合開始剤は、重合性の組成物中通常0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%の範囲がより好ましい。
カチオン重合系の光硬化性化合物としては、カチオン重合により高分子化の起こるタイプ、主にエポキシタイプの紫外線硬化性プレポリマー、モノマーがあげられ、1分子内にエポキシ基を2個以上含有するプレポリマーが特に有利に使用できる。このようなプレポリマーとしては、例えば、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物類およびエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらのプレポリマーは、その一種を単独で使用することもできるし、また、その二種以上を混合して使用することもできる。
活性光線硬化樹脂からなるクッション層形成用コーティング剤中の、エポキシ基を1分子内に2個以上有するプレポリマーの含有量は70質量%以上であるのが好ましい。カチオン重合性組成物中に含有されるカチオン重合性化合物としては、他に例えば下記の(1)スチレン誘導体、(2)ビニルナフタレン誘導体、(3)ビニルエーテル類及び(4)N−ビニル化合物類を挙げることができる。(1)スチレン誘導体例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン等(2)ビニルナフタレン誘導体例えば、1−ビニルナフタレン、α−メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレン等(3)ビニルエーテル類例えば、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、α−メチルフェニルビニルエーテル、β−メチルイソブチルビニルエーテル、β−クロロイソブチルビニルエーテル等(4)N−ビニル化合物類例えばN−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール等。
上記カチオン重合性化合物のカチオン重合系活性光線硬化樹脂中の含有量は1〜97質量%が好ましくは、より好ましくは30〜95質量%である。
カチオン重合系の活性光線硬化性化合物の開始剤としては、芳香族オニウム塩を挙げることができる。この芳香族オニウム塩として、周期表第Va族元素の塩たとえばホスホニウム塩(たとえばヘキサフルオロリン酸トリフェニルフェナシルホスホニウムなど)、第VIa族元素の塩たとえばスルホニウム塩(たとえばテトラフルオロホウ酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリス(4−チオメトキシフェニル)、スルホニウムおよびヘキシサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウムなど)、および第VIIa族元素の塩たとえばヨードニウム塩(たとえば塩化ジフェニルヨードニウムなど)を挙げることができる。
このような芳香族オニウム塩をエポキシ化合物の重合におけるカチオン重合開始剤として使用することは、米国特許第4,058,401号、同第4,069,055号、同第4,101,513号および同第4,161,478号公報に詳述されている。
好ましいカチオン重合開始剤としては、第VIa族元素のスルホニウム塩が挙げられる。その中でも、紫外線硬化性と紫外線硬化性の組成物の貯蔵安定性の観点からすると、ヘキサフルオロアンチモン酸トリアリールスホニウムが好ましい。またフォトポリマーハンドブック(フォトポリマー懇話会編 工業調査会発行1989年)の39〜56頁に記載の公知の光重合開始剤、特開昭64−13142号、特開平2−4804号に記載されている化合物を任意に用いることが可能である。上記カチオン重合開始剤のカチオン重合性化合物を含有する組成物中の含有量は0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%の範囲がより好ましい。
活性光線硬化樹脂からなる層を得るには必要に応じて、該活性光線硬化性化合物含有組成物中に、以下に示す重合促進剤、連鎖移動剤等 重合禁止剤 帯電防止剤 界面活性剤や他の樹脂等の添加剤を適宜含有することができる。
<重合促進剤、連鎖移動剤等>
この発明の活性光線硬化樹脂を得るための組成物には重合促進剤や連鎖移動触媒を添加できる。その具体例としては、例えば、N−フェニルグリシン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルアニリン等のアミン類、米国特許第4,414,312号や特開昭64−13144号記載のチオール類、特開平2−291561号記載のジスルフィド類、米国特許第3,558,322号や特開昭64−17048号記載のチオン類、特開平2−291560号記載のo−アシルチオヒドロキサメートやN−アルコキシピリジンチオン類が挙げられる。
<重合禁止剤>
活性光線硬化樹脂を得るための、ラジカル重合性化合物を含有する組成物中には、液保存時の重合を防止する目的で重合禁止剤を含有させることができる。ラジカル重合性組成物に添加可能な熱重合禁止剤の具体例としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル置換ハイドロキノン、カテコール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等を挙げることができ、これらの熱重合禁止剤は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物100質量部に対して0.001から5質量部の範囲で添加されるのが好ましい。
<帯電防止剤>
帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子などのほか「11290の化学商品」化学工業日報社、p875〜876などに記載の化合物などが挙げられる。
<筆記層>
この発明の第2シート部材には識別情報や書誌事項などから成る情報担持体を形成する上で筆記層を設けることができ、筆記層は、バインダと各種の添加剤で形成することができる。筆記層は、ICカードの裏面に筆記をすることができるようにした層であこの層が筆記性を有するため少なくとも1層以上からなることが好ましく、好ましくは1〜5層より形成されていることが好ましい。このような筆記層としては、例えば無機微細粉末、多孔質物質等を用いることができる。多孔質物質としては、例えば、シリカ(沈降性、またはゲルタイプ)、タルク、カオリン、クレー、アルミナホワイト、ケイソウ土、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を使用することができる。
なお、上記多孔質物質としては、上記化合物等の中から1種、または2種以上を混合して使用されるようにしてもよい。多孔質物質を含むことができ特に限定はない。また他にバインダを用いることができ、例えばセラック、ロジンおよびその誘導体、硝化綿および繊維素誘導体、ポリアミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、石油樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、塩素化ポリプロピレン、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、水溶性樹脂等を用いることができる。また、紫外線により共重合し硬化するプレポリマーを含有するUV硬化型樹脂を用いてもよい。それに用いる共重合性化合物としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアックリレート、ウレタンアクリレート、アルキドアクリレートがあげられる。中でも、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、が好ましく用いられる。
なお、上記樹脂としては、上記化合物等の中から1種、または2種以上を混合して使用されるようにしてもよい。多孔質物質の粒径としては、1〜10μmのものを用いることができ、好ましくは平均粒径が1〜8μmであることが好ましい。樹脂に対する多孔質物質の重量比は、固形分比で樹脂100重量部に対し、20重量部〜100重量部であることが好ましい。その他の添加剤としてワックス、界面活性剤、溶剤、水を含んでいてもよく特にに制限はない。この筆記層の厚さは、好ましくは、5〜40μm、更に好ましくは5〜30μmである。前記筆記層を形成する場合、場合により支持体との密着性を良好にするために接着層、又は筆記性を良好にするためクッション層などを設けてもよい。
<フォーマット印刷層からなる情報坦持体>
昇華型色素を受容する画像形成層を構成する受像層上若しくは筆記層又は基材上にフォーマット印刷からなる情報担持体を有することが好ましい。フォーマット印刷からなる情報坦持体とは、識別情報及び書籍情報を記録した複数の選ばれる少なくとも一つが設けられた情報坦持体を表し、具体的には、罫線、社名、カード名称、注意事項、発行元電話番号等を表す。フォーマット印刷は受像層又は筆記層上、基材上に樹脂凸版印刷、平版印刷、シルク印刷、フレキソ印刷等の印刷方法により施す。
この発明のフォーマット印刷層は目視による偽造防止の為に透かし印刷、細紋等が採用されてもよく、偽造変造防止層としては 電子透かし、バーコード、マット調柄、細紋、地紋、凹凸パターン、ステルス等などで適時選択され、可視光吸収色材、紫外線吸収材、赤外線吸収材、蛍光増白材、ガラス蒸着層、ビーズ層、光学変化素子層、パールインキ層、燐片顔料層、IC隠蔽層、フォーマット印刷からなる情報坦持体の形成には、日本印刷技術協会出版の「平版印刷技術」、「新・印刷技術概論」、「オフセット印刷技術」、「製版・印刷はやわかり図鑑」等に記載されている一般的なインキを用いて形成することができ、光硬化型インキ、油溶性インキ、溶剤型インキなどにカーボンなどのインキにより形成される。
この発明においては、フォーマット印刷層に使用することができる印刷層は、バインダー樹脂の代表例としては、例えば活性光線硬化性樹脂、ポリメタクリル酸メチル系のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、弗素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン等を挙げることができる。本発明においては光硬化型樹脂層であることが好ましく、更に好ましくは(a)一個以上の不飽和結合を有するモノマーもしくはオリゴマーの一種類以上からなるバインダー成分25〜95重量部、(b)開始剤1〜20重量部とを含む組成物からなる光硬化型樹脂組成物からなる印刷インキ層を用いることがカード表面強度の点から特に好ましいものである。活性光線硬化樹脂を用いる場合、水銀灯、UVランプ、キセノン等の光源により、100mj〜500mjの露光で硬化し用いることができる。
<ICカード用電子部品材料>
(電子部品)
電子部品とは、情報記録部材のことを示し具体的には当該電子カードの利用者の情報を電気的に記憶するICチップ及び該ICチップに接続されたコイル状のアンテナ体である。ICチップはメモリのみやそれに加えてマイクロコンピューターなどである。場合により電子部品にコンデンサーを含んでもよい。この発明はこれに限定はされず情報記録部材に必要な電子部品であれば特に限定はない。ICモジュールはアンテナコイルを有するものであるが、アンテナパターンを有する場合、銅の巻き線によるコイルや、銀ペースト等の導体ペーストを絶縁性の基盤上に渦巻き状に印刷したものや、銅箔等の金属箔をエッチングしたコイル等が用いられている。
この発明では、通信性から銅の巻き線によるコイルを使用することが好ましい。場合により樹脂、絶縁層などで被覆していても良い。アンテナコイルを含む回路パターンは巻き線タイプであることが好ましく、場合により途中のコイルパターンと短絡することないよう別工程で電気的に接続することも可能である。アンテナコイルのターン回数は2〜10ターンであることが好ましいが、この発明では特に制限はない。プリント基板としては、ポリエステル等の熱可塑性のフィルムが用いられ、更に耐熱性が要求される場合はポリイミドが有利である。ICチップとアンテナパターンとの接合は銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等の導電性接着剤(日立化成工業のEN−4000シリーズ、東芝ケミカルのXAPシリーズ等)や、異方性導電フィルム(日立化成工業製アニソルム等)を用いる方法、或いは半田接合、ACF接合を行う方法が知られているがいずれの方法を用いてもよい。
予めICチップを含む部品を所定の位置に載置してから樹脂を充填するために、樹脂の流動による剪断力で接合部が外れたり、樹脂の流動や冷却に起因して表面の平滑性を損なったりと安定性に欠けることを解消するため、予め基板シートに樹脂層を形成しておいて該樹脂層内に部品を封入するために該電子部品を多孔質の樹脂フィルム、多孔質の発泡性樹脂フィルム、可撓性の樹脂シート、多孔性の樹脂シート又は不織布シート状にし使用されることが好ましい。例えば特願平11−105476号等の記載されている方法等を用いることができる。例えば、不織シート部材として、不織布などのメッシュ状織物や、平織、綾織、繻子織の織物などがある。また、モケット、プラッシュベロア、シール、ベルベット、スウェードと呼ばれるパイルを有する織物などを用いることができる。材質としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン8等のポリアミド系、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル系、ポリシアン化ビニリデン系、ポリフルオロエチレン系、ポリウレタン系等の合成樹脂、絹、綿、羊毛、セルロース系、セルロースエステル系等の天然繊維、再生繊維(レーヨン、アセテート)、アラミド繊維の中から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた繊維が上げられる。これらの繊維材料において好ましくは、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアイド等のアクリル系、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系、再生繊維としてのセルロース系、セルロースエステル系であるレーヨン及びアセテート、アラミド繊維があげられる。また、ICチップは点圧強度が弱いためにICチップ近傍に補強板を有することも好ましい。電子部品の全厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜450μm、更に好ましくは10〜350μmが好ましい。
[第1シート部材と第2シート部材とを備える方法及び電子部品搭載方法]
(ICカード用電子部品搭載方法)
この発明の画像記録体用支持体を用い受像層を有する第1シート部材(以下第1シート部材と称す)と筆記層を有する第2シート部材(以下第2シート部材と称す)との間に所定の電子部品とを備えるために製造方式としては、熱貼合法、接着剤貼合法及び射出成形法が知られているが、いずれの方法で貼り合わしてもよい。又、第1シート部材と第2シート部材は、貼り合わせる前後いずれかに前記記載フォーマット印刷からなる情報担持体層を設けても良い。
この発明のIC搭載カード基材の製造方法は、特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開平10−316959、特開平11−5964等のように貼り合わせ方式、塗設方法が開示されている。いずれの貼り合わせ方式、塗設方式方法等を用いることができ、この発明には特に制限ない。
この発明の電子カードの製造方法は、少なくとも、常温状態では固形物又は粘調体であり、加熱状態では軟化する接着部材をカード用の電子部品に施して電子部品保持体を形成する工程と、この電子部品保持体を基板用の部材上に配置する工程と、この基板用の部材上の電子部品保持体を覆うように表面用の部材を配置する工程と、所定の加圧加温条件の下で基板用の部材、電子部品保持体及び表面用の部材とを貼り合わせる工程とを有し貼り合わせることを特徴とするものである。
固形物又は粘調体の加熱状態で軟化する接着部材とは、接着剤自身をシート状に形成し具備する方法と接着剤自身を加熱又は常温で溶融し射出成型によって張り合わせることが好ましい。この発明の場合支持体の熱変形などを低減するために低温接着剤が好ましく、より好ましくは反応型接着剤、ホットメルト接着剤、更に好ましくは反応型ホットメル接着剤を用いることが好ましい。反応型ホットメルト接着剤とは、光硬化型接着剤若しくは湿気硬化型接着剤、弾性エポキシ接着剤等を表し、例えば反応型ホットメルト接着剤として湿気硬化型の材料で特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開2002−175510で開示されている。光硬化型接着剤として特開平10−316959、特開平11−5964等が開示されている。反応型湿気硬化接着剤の1例として、分子末端にイソシアネート基含有ウレタンポリマーを主成分とし、このイソシアネート基が水分と反応して架橋構造を形成するものがある。この発明に使用できる反応型接着剤としては住友スリーエム社製TE030、TE100、日立化成ポリマー社製ハイボン4820、カネボウエヌエスシー社製ボンドマスター170シリーズ、Henkel社製Macroplast QR 3460、積水化学社製エスダイン9631等が挙げられる。
この発明では弾性率の異なる樹脂を用いることが好ましい。弾性率の異なる樹脂を用いることで弾性率の高い樹脂が骨格の機能を示し、弾性率の低い樹脂が支持体を貼り合わせるときに穴埋め的に流動し平滑性を得ることができ好ましい。これら接着剤のいずれも使用してもよく、この発明には制限はない材料を用いることが好ましい。接着剤の膜厚は、電子部品と含めた厚さで10〜600μmが好ましく、より好ましくは10〜500μm、更に好ましくは10μ〜450μmである。張りあわせ時には、基材の表面平滑性、第1シート部材と第2シート部材との間に所定の電子部品の密着性をあげるために加熱及び加圧を行うことが好ましく、上下プレス方式、ラミネート方式、キャタピラ方式等で製造することが好ましい、更にはIC部品の割れを考慮して、線接触に近く、僅かなズレでも無理な曲げ力が加わるローラを避けて平面プレス型とするのが好ましい。加熱は、10〜120℃が好ましく、より好ましくは30〜100である。加圧は、0.01〜300kgf/cm2が好ましく、より好ましくは0.05〜100kgf/cm2である。これより圧が高いICチップが破損する。加熱及び加圧時間は好ましくは、0.1〜180secより好ましくは0.1〜120secである。これより時間が長いと製造効率が低下する。
この発明のICカードの製造方法によれば、上述した電子部品保持体が適用され、その貼合工程において、所定の加圧加温条件の下で基板用の部材、電子部品保持体及び表面用の部材とが貼り合わされるので、電子部品保持体自身を接着剤にして基板用の部材と、その電子部品保持体と、表面用の基板とを再現性良く貼り合わせることができる。上記方法で作成しないと製造されたICカード表面凹凸性が劣化し転写箔の転写性が劣化する。
前記接着剤貼合法や樹脂射出法で連続シートとして形成された貼り合わせた枚葉シート又は連続塗工ラミロールは、接着剤の所定硬化時間に合わした時間内放置後、認証識別画像や書誌事項を記録をしても良く、その後所定のカードサイズに成形しても良い。所定のカードサイズに形成する方法としては打ち抜く方法、断裁する方法等が主に選択され電子部品搭載ICカード基材を作成することができる。また、上記同様な方法を用い、電子部品を搭載しないICカードも作成することができる。
[ICカード基材作成方法]
ここでホットメルト接着剤を使用した電子部品搭載ICカードの製造方法の一例を挙げる。ICカードの作製に当たっては、先ず表裏のシートにアプリケーターでホットメルト接着剤を所定の厚さに塗工する。塗工方法としてはローラー方式、Tダイ方式、ダイス方式などの通常の方法が使用される。この発明でストライプ状に塗工する場合、Tダイスリットを間欠に開口部を持たせる等の方法があるが、これに限られるものではない。また、この発明の接着剤表面を凹凸形状にする方法としては、上記方法により塗工した接着剤表面をエンボシングロールで加圧処理する方法がある。接着剤を塗工した上下のシートの間にIC部材を装着する。装着する前に塗工した接着剤をあらかじめヒーター等で加熱させておいてもよい。その後上下シート間にIC部材を装着したものを接着剤の貼り合わせ温度に加熱したプレスで所定時間プレスするか、又はプレスでの圧延の替わりに所定温度の恒温層中でシートを搬送しながらロールで圧延してもよい。又、貼り合わせ時に気泡が入るのを防止するために真空プレスしてもよい。プレス等で貼り合わせた後は所定形状に打ち抜くなり、カード状に断裁するなりしてカード化する。接着剤に反応型接着剤を用いた場合は所定時間硬化反応させた後にカード状に断裁する。硬化促進のために貼り合わせたシートのカードサイズの周囲に反応に必要な水分供給のための穴を開ける方法が有効である。
[画像記録体上への画像形成方法]
上記作成されたICカード基材上又はICカード基材上に識別情報及び書籍情報を記録した複数の情報坦持体、フォーマット印刷から形成された画像記録体上印刷面側に別方法により識別情報及び書籍情報を記録した複数の情報坦持体等の画像要素が設けられ、ICカード又はICカードを作成することができる。
顔画像は通常の場合、階調を有するフルカラー画像で、例えば昇華型感熱転写記録方式、ハロゲン化銀カラー写真方式等により作製される。又、文字情報画像は二値画像よりなり、例えば溶融型感熱転写記録方式、昇華型感熱転写記録方式、ハロゲン化銀カラー写真方式、電子写真方式、インクジェット方式、再転写方式等により作製されている。この発明においては、昇華型感熱転写記録方式、溶融型感熱転写記録方式により顔画像等の認証識別画像、属性情報画像を記録することが好ましい。属性情報は氏名、住所、生年月日、資格等であり、属性情報は通常文字情報として記録され溶融型感熱転写記録方法が一般的である。フォーマット印刷又は、情報記録を行ってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、インクジェット方式、昇華転写方式、電子写真方式、熱溶融方式等のいずれの方式によって形成することができるが、本発明の場合、昇華転写方式、インクジェット方式、熱溶融方式、インクジェット方式のいずれかの方式が好ましい。
[昇華画像形成方法]
昇華型感熱転写記録用インクシートは、支持体とその上に形成された昇華性色素含有インク層とで構成することができる。
<支持体>
支持体としては、寸法安定性がよく、感熱ヘッドでの記録の際の熱に耐える限り特に制限がなく、従来から公知のものを使用することができる。
<昇華性色素含有インク層>
上記昇華性色素含有インク層は、基本的に昇華性色素とバインダーとを含有する。前記昇華性色素としてはシアン色素、マゼンタ色素およびイエロー色素を挙げることができる。前記シアン色素としては、特開昭59−78896号公報、同59−227948号公報、同60−24966号公報、同60−53563号公報、同60−130735号公報、同60−131292号公報、同60−239289号公報、同61−19396号公報、同61−22993号公報、同61−31292号公報、同61−31467号公報、同61−35994号公報、同61−49893号公報、同61−148269号公報、同62−191191号公報、同63−91288号公報、同63−91287号公報、同63−290793号公報などに記載されているナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、アゾメチン系色素等が挙げられる。前記マゼンタ色素としては、特開昭59−78896号公報、同60−30392号公報、同60−30394号公報、同60−253595号公報、同61−262190号公報、同63−5992号公報、同63−205288号公報、同64−159号、同64−63194号公報等の各公報に記載されているアントラキノン系色素、アゾ色素、アゾメチン系色素等が挙げられる。イエロー色素としては、特開昭59−78896号公報、同60−27594号公報、同60−31560号公報、同60−53565号公報、同61−12394号公報、同63−122594号公報等の各公報に記載されているメチン系色素、アゾ系色素、キノフタロン系色素およびアントライソチアゾール系色素が挙げられる。また、昇華性色素として特に好ましいのは、開鎖型または閉鎖型の活性メチレン基を有する化合物をp−フェニレンジアミン誘導体の酸化体またはp−アミノフェノール誘導体の酸化体とのカップリング反応により得られるアゾメチン色素およびフェノールまたはナフトール誘導体またはp−フェニレンジアミン誘導体の酸化体またはp−アミノフェノール誘導体の酸化体のとのカップリング反応により得られるインドアニリン色素である。また、受像層中に金属イオン含有化合物が配合されているときには、この金属イオン含有化合物と反応してキレートを形成する昇華性色素を、昇華性色素含有インク層中に含めておくのが良い。このようなキレート形成可能な昇華性色素としては、例えば特開昭59−78893号、同59−109349号、同平4−094974号、同4−097894号、同4−089292号に記載されている、少なくとも2座のキレートを形成することができるシアン色素、マゼンタ色素およびイエロー色素を挙げることができる。キレートの形成可能な好ましい昇華性色素は、下記一般式で表わすことができる。
X1−N=N−X2−G
ただし、式中X1は、少なくとも一つの環が5〜7個の原子から構成される芳香族の炭素環、または複素環を完成するのに必要な原子の集まりを表わし、アゾ結合に結合する炭素原子の隣接位の少なくとも一つが、窒素原子またはキレート化基で置換された炭素原子である。X2は、少なくとも一つの環が5〜7個の原子から構成される芳香族複素環または、芳香族炭素環を表わす。Gはキレート化基を表わす。いずれの昇華性色素に関しても前記昇華性色素含有インク層に含有される昇華性色素は、形成しようとする画像が単色であるならば、イエロー色素、マゼンタ色素、およびシアン色素の何れであっても良く、形成しようとする画像の色調によっては、前記三種の色素のいずれか二種以上もしくは他の昇華性色素を含んでいても良い。前記昇華性色素の使用量は、通常、支持体1m2当たり0.1〜20g、好ましくは0.2〜5gである。インク層のバインダーとしては特に制限がなく従来から公知のものを使用することができる。さらに前記インク層には、従来から公知の各種添加剤を適宜に添加することができる。昇華型感熱転写記録用インクシートは、インク層を形成する前記各種の成分を溶媒に分散ないし溶解してなるインク層形成用塗工液を調製し、これを支持体の表面に塗工し、乾燥することにより製造することができる。かくして形成されたインク層の膜厚は、通常、0.2〜10μmであり、好ましくは、0.3〜3μmである。
<インクジェット>
インクジェット方式を採用する場合、例えば、バブルジェット(登録商標)方式で400dpi程度の解像度で足りるし、顔画像については剪断モード方式で多階調とすることができる。特開平9−71743のように、アルキル基の炭素数18〜36の脂肪酸エステルと、ダイマー酸ベースのポリアミドを併用する方法や、特開2000−44857のように、光硬化性組成物中にバインダーを分散させるインク又は、特開平9−71743、特開2000−297237、特開2000−85236、特開平5−1254等に記載されているインキを用い製造することができる。又後加工としてインクジェットで文字情報、顔画像等を書き込んだ後に後加熱、後露光等などを行っても良く、特にインキ種類、画像形成方法に制限はない。
[画像記録体上への帯電防止層付き保護層転写箔付与方法]
<転写方法>
転写箔の被転写材への転写は通常サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプマシンなどの加熱しながら加圧を行える手段を用い転写を行うことができる。具体的にはホットスタンプマシーンを使用する場合、表面温度150〜300℃に加熱し、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力50〜500kg/cm2で0.5〜10秒間熱をかけて転写を行なうことができる。
この発明の具体的な使用例として転写用カートリッジ、ホットスタンプ装置を図3及び図4に示す。
[熱転写シート用のカートリッジ]
図3は転写用カートリッジ400の構成例を示す斜視図である。この例では、転写用カートリッジ400の所定位置に剥離用の棒状体を取り付け、転写箔コア451から繰り出された熱転写シート410からカード基板の外形状をなす大きさの硬化型保護部材を剥離するようにして、この転写時に、カード基板の外形状の大きさに見合う分の硬化型保護部材のみを熱転写シート410から剥離できるようにすると共に、硬化型保護層の外周端部でのバリの発生を低減できるようにしたものである。
転写用カートリッジ400は筐体としてコ字状のテープ収容部421を有している。このテープ収容部421には部材供給部としてボビン状の転写箔コア451が可動自在に取り付けられ、接着剤付きの硬化型保護部材を施したテープ状の熱転写シート410がコ字状部423へ繰り出される。
テープ収容部421の所定位置には剥離用の棒状体として従動ローラ部422が取り付けられる。従動ローラ部422には硬化型保護部材に負荷をかけない部材、例えば、外径が5mmφ程度の円筒状のプラスティックを使用する。
更に、この例では、従動ローラ部422に隣接した位置のテープ収容部421の側面にカード浮き上り防止用の突出部としてカード浮上防止板424が設けられ、硬化型保護部材の剥離時、特に、カード基板の終端部の剥離時に、カード基板の終端部の跳ね上がりを押さえ込むようになされる。この終端部の跳ね上がりを押さえ込むことにより、バリの発生を抑えることができる。
[ホットスタンプ装置]
図4はホットスタンプ装置600の構成例を示す概念図である。この例ではホットスタンプ装置600に対して転写用カートリッジ400が脱着自在に取り付けられる。図5はホットスタンプ装置600に転写用カートリッジ400を装填した状態を示している。
ホットスタンプ装置600にはカード給紙口425及びカード排出口426が設けられ、熱ローラ装置427が取り付けられる。熱転写シート410が、転写用カートリッジ400の元巻きコア451Aから繰り出される。例えば、熱転写シート410はテープ収容部421内の案内部材428Aにガイドされて、コ字状部423から熱ローラ装置427の下部を通って従動ローラ部422を経由し、テープ収容部421内の他の案内部材428Bにガイドされて、巻取りコア451Bに至るようになされる。
[実施例1]
下記のようにして顔写真付きICカードを作成した。
(ICカード作成装置)
この発明では、図5のICカード基材作成装置でカード基材を作成した。この発明のカード基材作成装置は、第2シート部材(裏シート)供給部Aに長尺シート状で厚さ188μmの第2シート部材(裏シート)が配備され、第1シート部材(表シート)供給部Bに長尺シート状で厚さ188μmの第1シート部材(表シート)が配備されている。接着剤溶解供給部Cからヘンケルジャパン株式会社製 湿気硬化型ホットメルト接着剤マクロプラスト QR3460接着剤を130℃で窒素下で溶融し、第1シート搬送部材Fにより搬送される第1シート部材に、接着剤供給部DからTダイ塗布方式により接着剤供給し、その塗布部上に厚さ300μmの電子部品をIC/固定部材供給部Eから配置される。IDカード基材作成時にはIC/固定部材供給部Eは作動させなかった。長尺シート状で厚さ188μmの第2シート部材(裏シート)に接着剤溶融供給部CからICカード又はIDカード用接着剤、具体的にはヘンケルジャパン株式会社製 湿気硬化型ホットメルト接着剤マクロプラスト QR3460接着剤を130℃で窒素下で溶融し、接着剤供給部GからTダイ塗布方式により接着剤供給した。
低温接着剤塗工された第1シート部材、第2シート部材を加熱/加圧ロールH、(圧力3kg/cm2、ロール表面温度65℃)により貼り合わされ、膜厚制御ロールIにより740μmに制御されたICカード基材又はIDカード基材原版が作成され、カード基材搬送部材Jにより搬送する。接着剤の硬化、支持体との密着性が十分に行われてから化粧断裁することが好ましく、この発明では、23℃/55%環境下で14日硬化促進させた後、原版をロータリーカッターにより55mm×85mmサイズのICカード基材又はIDカード基材を得ることができた。仕上がったカード基材表裏面にフォーマット印刷部がない場合は、カード印刷機により樹脂凸版印刷法で、ロゴとOPニスを順次印刷した。
次に、顔画像と属性情報を設け、転写箔で保護層を設ける。以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態を示す。
図6はICカード基材の表面図、図7はICカード基材の裏面図である。ICカード基材の表面に氏名や顔画像等の個人識別情報が記録される。ICカード基材の裏面には、罫線が設けられ、発行者名、発行者電話番号等の個人識別情報を追記できるようになっている。
図8はICカードの表面図、図9はICカードの裏面図である。ICカードの表面に氏名、ID番号や顔画像等の個人識別情報が記録される。ICカードの裏面には、罫線が設けられ、発行者名、発行者電話番号等の個人識別情報が追記され、発行者名、発行者電話番号が追加される。
このICカードは、図1及び図2に示すように、銅線を4回巻いたアンテナコイルにICチップが接合されている。この発明の固定層として用いることは可能であり好ましい。図1は不織布タイプであり、プリントパターンが形成された不織布とICチップがボンディング等で接合されている。日立マクセル株式会社製ICカードシート「FTシリーズ」も使用することも可能である。図2はプリント基板タイプであり、プリントパターンが形成されたプリント基板とICチップがボンディング等で接合されている。図1のような不織布シート即ち多孔質状の樹脂シートを使用すると、加熱貼合時の接着剤の含浸性が良くなって部材間の接着性が優位になる。この発明では、図1及び図2の何れかを用いICカードを作成した。
(IDカードまたはICカード作成装置)
図10には、上方位置にカード基材供給部10及び情報記録部20が配置され、下方位置に、保護付与部及び/又は光学変化素子付与部40、活性光線硬化層付与部及び/又は活性光線照射部90が配置され、画像記録体としてカードを作成するが、シートも作成することもできる。
カード基材供給部10には、カード使用者の個人識別情報を書き込むために予め枚葉状にカットされた複数枚のカード基材50が、顔写真を記録する面を上に向けてストックされている。この例では、カード基材50が支持体と画像形成層からなり、このカード基材50は1枚ずつカード基材供給部10から所定のタイミングで自動供給される。
情報記録部20には、イエローリボンカセット21、マゼンタリボンカセット22、シアンリボンカセット23、ブラックリボンカセット24が配置され、それぞれに対応して記録ヘッド25〜28が配置されている。イエローリボン、マゼンタリボン、シアンリボン等の熱転写シートによる熱転写で、カード基材50が移動されている間に、その受像層の所定領域にカード使用者の顔写真等の階調を有する画像領域が記録される。また、文字リボンカセット31及び記録ヘッド32が配置され、文字リボン等の熱転写シートによる熱転写で、その氏名やカード発行日等の認証識別情報が記録され、画像記録層が形成される。
保護付与部及び/又は光学変化素子付与部40では、転写箔カセット41が配置され、この転写箔カセット41に対応して熱転写ヘッド42が配置されている。透明保護転写箔64及び/又は光学変化素子転写箔43を熱転写して、透明表面保護転写層及び/又は光学変化素子転写層が設けられる。
その後活性光線硬化層付与部及び/又は活性光線照射部90により活性光線硬化液が塗布され、活性光線により露光が行なわれ、透明保護転写層及び/又は光学変化素子転写層上に活性光線硬化層が設けられ、カード集積部99に排出される。
図11にはカード基材供給部10及び情報記録部20が同様に構成されるが、情報記録部20の次に樹脂付与部60が配置されている。
樹脂付与部60には、転写箔カセット61が配置され、この転写箔カセット61に対応して熱転写ヘッド62が配置位置されている。転写箔カセット61に透明表面保護転写箔66(硬化型転写箔)がセットされ、この透明表面保護転写箔66(硬化型転写箔)を転写し硬化型保護層含有転写層が設けられる。
図12には、カード基材供給部10及び情報記録部20は同様に構成されるが、透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70が配置され、この後更に透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70が配置されている。
透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70では、転写箔カセット71が配置され、この転写箔カセット71に対応して熱転写ヘッド72が配置されている。光学変化素子転写箔43及び/又は透明保護転写箔64、透明表面保護転写箔66(硬化型転写箔)を転写し、光学変化素子転写層及び/透明保護転写層、硬化型保護層含有転写層が設けられる。
<ICカード基材の作成>
(第1シート部材(受像シート)の作成)
表面シートおよび裏面シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製のU2L98W(帯電防止層付き)の厚さ188μm白色支持体を使用した。下記組成物からなるクッション層、受像層、情報坦持体層を順次塗工乾燥してなる第1シート部材を形成した。
(光硬化型クッション層) 膜厚10μm
ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学社製:NKオリゴUA512) 55部
ポリエステルアクリレート(東亞合成社製:アロニックスM6200) 15部
ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学社製:NKオリゴUA4000) 25部
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ:イルガキュア184) 5部
メチルエチルケトン 100部
塗布後の活性光線硬化性化合物は、90℃/30secで乾燥を行い、次いで水銀灯(300mJ/cm2)で光硬化を行った。
(受像層)
上記クッション層上に下記組成の第1受像層形成用塗工液、第2受像層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが2.5μm、0.5μmになる様に積層することにより受像層を形成した。
〈第1受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 6部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBX−1〕
金属イオン含有化合物(化合物MS) 4部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2受像層形成用塗工液〉
ポリエチレンワックス 2部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックE1000〕
ウレタン変性エチレンアクリル酸共重合体 8部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254〕
メチルセルロース〔信越化学工業(株)製:SM15〕 0.1部
水 90部
(フォーマット印刷層からなる情報坦持体形成)
その上に、定型フォーマットをUV印刷インキ(FD−O墨、成東インキ製)を用いて、凸版印刷により設けた。さらに、その上の昇華熱転写画像記録領域を除いた領域に、透明なUV硬化型OPニス(FD−Oドライコートニス、成東インキ製)を凸版印刷により印刷濃度及び印圧等を調整しながら、第1シート部材101を得た。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(第2シート部材(筆記シート)の作成)
表面シートおよび裏面シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製のU2L98W(帯電防止層付き)の厚さ188μm白色支持体を使用した。下記組成物からなる筆記層をそれぞれの厚みが5μm、15μm、0.2μmになる様に順次塗工乾燥してなる第2シート部材を形成した。
〈第1筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂〔東洋紡績(株)製:バイロン200〕 8部
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
カーボンブラック 微量
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂 4部
〔東洋紡績(株)製:バイロナールMD1200〕
シリカ 5部
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
水 90部
〈第3筆記層形成用塗工液〉
ポリアミド樹脂〔三和化学工業(株)製:サンマイド55〕 5部
メタノール 95部
(筆記層への情報担持体層の形成)
オフセット印刷法により、フォーマット印刷(罫線、発行者名、発行者電話番号)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
上記作成された、第1シート部材101の支持体側に130℃にホットメルトしたHenkel社製Macroplast QR3460を塗工し、その上に日立マクセル株式会社製ICカードシート「FTシリーズ」を積層し、更に第2シート部材の支持体側に130℃にホットメルトしたHenkel社製Macroplast QR3460を塗工し、加圧、加熱ロール条件は、加圧は0.2kg/cm2、加熱温度は60℃で張り合わせを行い、更に23℃/55%で10日保存後、ロールカッターで化粧断裁をし55mm×85mmサイズのICカード基材101を得た。カード厚は、740μmであった。
<ICカードへ認証識別画像、属性情報画像の記載方法>
上記作成された画像記録体すなわちICカード基材上に下記の情報記録部材を用い情報を記録した。
(昇華型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のイエローインク層形成用塗工液、マゼンタインク層形成用塗工液、シアンインク層形成用塗工液を各々の厚みが1μmになる様に設け、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクシートを得た。
〈イエローインク層形成用塗工液〉
イエロー染料(三井東圧染料(株)製MSYellow) 3部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈マゼンタインク層形成用塗工液〉
マゼンタ染料 (三井東圧染料(株)製 MS Magenta) 2部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 2部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈シアンインク層形成用塗工液〉
シアン染料(日本化薬(株)製 カヤセットブルー136) 3部
ポリビニルアセタール 5.6部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
(溶融型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のインク層形成用塗工液を厚みが2μmになる様に塗布乾燥してインクシートを得た。
〈インク層形成用塗工液〉
カルナバワックス 1部
エチレン酢酸ビニル共重合体 1部
〔三井デュポンケミカル社製:EV40Y〕
カーボンブラック 3部
フェノール樹脂〔荒川化学工業(株)製:タマノル521〕 5部
メチルエチルケトン 90部
(顔画像の形成)
人物の顔写真作成用に、BGR各色256階調からなるデジタルデータを準備し、このデータから顔画像を得るためにプリンターのルックアップテーブルを最適に調節した。昇華型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより画像に階調性のある顔画像を受像層に形成した。こうして得られた顔写真付きIC搭載カードを101Aとする。
一方で、BGR各色の出力が0となるようなデジタルデータを準備して、上記と同様な条件でプリントしたところ、顔画像は形成されずに、顔画像が印画されるべき領域は白地のままのカードが形成された。こうして得られた白地IC搭載カードを101Bとする。
(文字情報の形成)
受像層以外の印刷部(OPニス部等)と溶融型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシートの裏面からサーマルヘッドを用いて0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより文字情報を受像層以外の印刷部(OPニス部等)に形成した。
(文字情報の形成)
溶融型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより文字情報をICカード用画像記録体上に形成した。
図10乃至図12に示す装置により顔画像と属性情報を設け、次いで下記記載の転写箔で保護層を設けた。
[表面保護層形成方法]
[活性光線硬化型転写箔1の作成]
0.1μmのフッ素樹脂層の離型層を設けた厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムー2の離型層上に下記組成物を積層し活性光線硬化型転写箔1の作成を行った。
(活性光線硬化性化合物)
新中村化学社製 A−9300/新中村化学社製 EA−1020=35/11.75部
反応開始剤
イルガキュア184 日本チバガイギー社製 5部
添加剤不飽和基含有樹脂 48部
その他の添加剤
大日本インキ界面活性剤F−179 0.25部
〈中間層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂
〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕 3.5部
タフテックスM−1913(旭化成) 5部
硬化剤
ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1.5部
メチルエチルケトン 90部
塗布後硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行った。
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.5μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体
〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕 2部
水 45部
エタノール 45部
画像および文字が記録された前記IC搭載カード101Aおよび101Bに、前記構成からなる活性光線硬化型転写箔1を用いて表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力150kg/cm2で1.2秒間熱をかけて転写を行なうことでカード上に保護層を形成した。こうして、第1シート部材101から、IC搭載カード顔写真付きカード101Aおよび白地部分付きカード101Bを作成した。
前述の第1シート部材101作成における受像層形成用塗工液中に、予め下記マゼンダ染料及びシアン染料を、表1に示す分量でそれぞれ含有させたこと以外は同様にして第1シート部材102〜110を作成した。
マゼンタ染料 (三井東圧染料(株)製 MS Magenta)
シアン染料 (日本化薬(株)製 カヤセットブルー136)
IC搭載カード顔写真付きカード101Aおよび白地部分付きカード101Bの作成において、第1シート部材101の代わりにシート部材102〜110を用いたこと以外は同様にして、IC搭載カード顔写真付きカード102A〜110A、および白地IC搭載カード102B〜110Bを作成した。
[カード評価方法]
得られた顔画像付きカード101A〜110Aの顔画像品質について、劣を1点、優を5点とする官能評価を被験者10人に対して行い、その平均値にて品質の優劣を数値評価した。
一方、白地部分を形成したカード101B〜110Bの白地色度を日立製作所社製C−2000カラーアナライザーにより基準光源としてCIE D65(6504K)を用いて測定した。実施の結果を表1に示す。
表1
Figure 2006007507
表1から明らかのように、画像未印画部分の白色部色度が条件A:90≦L*≦96、0≦a*≦2、−9≦b*≦−2を満たす本発明が、顔画像の官能評価結果が高得点であり高品質であることが判る。特に第1シート部材108〜110から作成され、白色部色度が条件B:93≦L*≦96、0.5≦a*≦1.5、−8≦b*≦−3を満たすカードの顔画像品質が高いことが明らかになった。
[実施例2]
実施例1の顔画像の形成工程において、BGR各色の出力が255の最大値となるようなデジタルデータを準備して、顔画像印画部分が均一な黒色画像となるべく調整した。次にプリンターのYMC各色印画用のサーマルヘッドをそれぞれ、出力0.20〜0.27W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒の間で任意に変化させて加熱することが出来るように調整した。実施例1において作成した未印画のIC搭載カード109に対して、前述のごとく調整したプリンターのサーマルヘッドの出力条件をYMC各色で随時変化させて、色度を変化させた最大濃度印画部分を有するIC搭載カード201C〜210Cを作成した。
また、実施例1と同様な顔画像データを用いて、前述のIC搭載カード201C〜210C作成のそれぞれのプリント条件と同一の条件でそれぞれ顔写真付きIC搭載カード201A〜210Aを作成した。最大濃度印画部分を有するIC搭載カード201C〜210Cは実施例1と同様に最大濃度部分の色度を測定し、顔画像付きカード201A〜210Aも実施例1と同様に顔画像品質に官能評価を行った。その結果を表2に示す。
表2
Figure 2006007507
表2から明らかのように、最大濃度部分の黒字部分色度が条件C:1≦L*≦10、−10≦b*≦0を満たすプリンタ条件で印画された顔画像付きカード205A〜209Aが特に顔画像の官能評価結果が高得点であり高品質であることが明らかになった。
この発明は、ICチップを少なくとも搭載したカード基材に画像印画部を有し、カード基材の画像未印画部分の白色部色度が下記条件Aを満たし、
顔画像や他の様々な画像情報を高品位に表示可能で、特に画像鮮鋭性を有する高品位な顔画像等を得ることが可能である。
条件A:90≦L*≦96
0≦a*≦2
−9≦b*≦−2
ICカードの概略層構成図である。 ICカードの他の実施の形態の概略層構成図である。 転写用カートリッジの構成例を示す斜視図である。 ホットスタンプ装置の構成例を示す概念図である。 ICカード基材作成装置の構成図である。 ICカード基材の表面図である。 ICカード基材の裏面図である。 ICカードの表面図である。 ICカードの裏面図である。 カード基材作成装置の構成図である。 カード基材作成装置の構成図である。 カード基材作成装置の構成図である。
符号の説明
500 カード基材
501 第1シート部材
502 第2シート部材
505 クッション層
507 接着層
508a ICチップ
508b アンテナ
508 電子部品

Claims (12)

  1. ICチップを少なくとも搭載したカード基材に画像印画部を有し、
    前記カード基材の画像未印画部分の白色部色度が下記条件Aを満たすことを特徴とするICカード。
    条件A:90≦L*≦96
    0≦a*≦2
    −9≦b*≦−2
  2. 前記画像未印画部分の白色部色度が下記条件Bを満たすことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
    条件B:93≦L*≦96
    0.5≦a*≦1.5
    −8≦b*≦−2
  3. 前記画像印画部分の黒色の最高濃度部色度が下記条件Cを満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
    条件C:1≦L*≦10
    −10≦b*≦0
  4. 画像印画前のカード基材に予めマゼンタ色或いはシアン色を呈する発色化合物の少なくとも1種を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のICカード。
  5. 画像印画が昇華型感熱転写記録方式によることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のICカード。
  6. 画像印画前のカード基材に予め色素に対してキレート化合物を形成しうる金属化合物を予め含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード。
  7. 昇華型色素を受容する画像形成層と、活性光線硬化樹脂からなるクッション層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のICカード。
  8. 前記画像印画が顔画像印画であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のICカード。
  9. ICチップを少なくとも搭載したカード基材を作成し、
    前記カード基材に画像印画部を記録するICカード製造方法であり、
    前記カード基材の画像未印画部分の白色部色度が下記条件Aを満たすことを特徴とするICカード製造方法。
    条件A:90≦L*≦96
    0≦a*≦2
    −9≦b*≦−2
  10. 前記画像未印画部分の白色部色度が下記条件Bを満たすことを特徴とする請求項9に記載のICカード製造方法。
    条件B:93≦L*≦96
    0.5≦a*≦1.5
    −8≦b*≦−2
  11. 前記画像印画部分の黒色の最高濃度部色度が下記条件Cを満たすことを特徴とする請求項9または請求項10に記載のICカード製造方法。
    条件C:1≦L*≦10
    −10≦b*≦0
  12. 前記画像印画が顔画像印画であることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカード製造方法。
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