以下、本発明に係るパチンコ機の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、パチンコ機の一形態を示す正面図である。このパチンコ機1は、遊技領域の略中央部にいわゆるセンター役物として複数の図柄を変動表示あるいは停止表示させる可変表示装置2を備えた第1種のパチンコ機である。図示を省略する発射装置から遊技球が打ち出され、打ち出された遊技球が所定入賞口へ入賞すると、その入賞に基づいて可変表示装置2に複数の図柄(数字や絵柄等)が所定時間変動表示される。所定時間経過後に抽選によって乱数の中から選択された図柄が停止表示され、その停止表示された図柄が予め定められた特定の組み合わせ図柄の場合、大入賞口3が所定時間連続して開放し遊技球の入賞し易い状態となって短時間で多くの賞球を得ることが可能となり、遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり状態)が発生する。そして、このパチンコ機では発射装置からの遊技球の発射を、遊技者のハンドル回転操作によらずに、パチンコ機に設けられた操作部のスイッチ操作によって行なっている。スイッチ操作に伴なってデジタルデータが出力され、このデジタルデータの処理によって遊技球を発射装置から発射させると共に、発射される遊技球の発射強度を調整している。
パチンコ機1は、外枠20を備え、外枠20の前面側には、外枠20に対して開閉可能に額縁状の内枠21が蝶着され、内枠21内、即ち、額縁の内側には、遊技盤が内枠21に対して着脱可能に取り付けられている。また、内枠21の前面側には、遊技盤の前面を覆うように、内枠21に対して開閉可能にガラス枠4が蝶着されている。ガラス枠4の中央部には、窓部が形成されており、その窓部を塞ぐように透明ガラスが装着されている。従って、ガラス枠4の奥側(ガラスの裏側)には、該ガラスを透して遊技者側から遊技盤が視認可能な状態であり、ガラス枠4の窓部の大きさに対応して、即ち、ガラスを透して遊技者が視認可能な遊技盤上の位置に遊技領域5が形成されている。また、ガラス枠4には、特定の遊技状態であること、例えば、大当り遊技状態であることを表示する複数の表示灯6、あるいは遊技のエラー状態である賞球払出しエラー等を表示する表示灯6'、及び、遊技状態に応じて所定の音楽あるいは音声を出力するスピーカ7、7'が設けられている。
遊技盤上には、発射装置から打出された遊技球を誘導する略円弧状の外レール8a及び内レール8bが設けられ、この二つのレール8aと8bによって囲まれた部分が遊技領域5を形成している。遊技球はこの遊技領域5を流下し、また遊技球が遊技領域5に設けられている入賞口に入賞する等の所定の条件を満たすと賞球が排出される。遊技領域5の略中央には可変表示装置2が設けられ、この可変表示装置2には、図柄の変動表示が行われる可変表示部9が設けられている。可変表示部9には、左表示部9a、中表示部9b、右表示部9cの3つの表示部が設けられ、それぞれの表示部には、複数の図柄が独立して変動表示、および停止表示される。
可変表示装置2の下側には始動入賞口10が設けられており、この始動入賞口10への遊技球の入賞に基づいて可変表示部9に図柄の変動表示動作が開始される。始動入賞口10の下側には、可変表示部9a〜9cに特定の図柄が停止表示したとき、例えば、「7」、「7」、「7」のように同じ図柄が3つ停止表示したとき(以下、大当たり状態ともいう)に継続して開放状態となる大入賞口3が設けられている。また、大入賞口3の内部には、V入賞ゾーンが設けられており、大当たり状態の発生中に大入賞口3に入賞した遊技球がこのV入賞ゾーンを通過すると、開放状態が終了し閉状態となった大入賞口3が再度開放状態となる。このように大当たり状態の発生により、短時間で多くの賞球を得ることが可能となり、遊技者に有利な特別遊技状態が発生する。大入賞口3の左右両側には、一般入賞口11が設けられている。また、大入賞口3の下側には、遊技領域5を流下していずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球、いわゆる外れ球が排出されるアウト口12が設けられている。
遊技盤の前面を覆うガラス枠4の下方部には、球皿部13を備えた一体皿14が配設されている。この一体皿14の球皿部13には、図示を省略する遊技球の貯留タンクと連通し、貯留タンクの遊技球を球皿部13へ流出させる連通口15が形成されている。一体皿14は、図1において左辺部を支軸として内枠21に対して開閉可能な状態に取り付けられている。一体皿14の左側下部には灰皿16が、右側下部には遊技者の操作によって発射装置から発射される遊技球の発射強度、即ち、遊技球の飛距離を調整するための発射強度設定手段17が設けられている。
図示は省略されているが、一体皿14の裏側には、遊技球の発射装置が設けられている。発射装置は電気的駆動源としてソレノイドを備えている。遊技者による発射強度設定手段17の調整結果は、DC電圧として出力され、この発射強度設定手段17から出力される電圧によりソレノイドが励磁され、その励磁力によってソレノイドが遊技球を打ち出す。発射強度設定手段17から出力される電圧は、例えば、発射強度設定手段17の最小調整量から最大調整量に対応してDC電圧0V〜5Vまで変化する。この出力電圧に基づいて発射装置のソレノイドの励磁力が調整され、遊技球の発射強度(遊技球の到達距離)が調節できる。例えば、DC電圧が大きくなるに従ってソレノイドの励磁力が大きくなって遊技球をより遠くに到達させることができる。
尚、図1には第1種のパチンコ機の形態を示したが、この形態に限定されるものではなく、第2種あるいは第3種のパチンコ機の形態であってもよい。
図2、図3に基づき発射強度設定手段17の構成について説明する。図2は、図1に示されている発射強度設定手段17を右側から見たときの斜視図である。発射強度設定手段17は、パチンコ機1に取り付けられている設定操作部30と、支軸31を介して回転可能に設定操作部30に取り付けられているアームレスト部32とから概略構成されている。通常時、即ち、非遊技時には、アームレスト部32は、起立した状態を保持している。図3は、アームレスト部32を図2の状態から略90度回転させた状態を示す斜視図である。この形態においては、アームレスト部32を回転させて図3に示すような状態にしたときに遊技可能となるように設定されている。即ち、図2に示されるようにアームレスト部32が起立した状態では遊技を開始すること、つまり発射装置から遊技球を発射させることはできず、遊技者は遊技球を発射させるに際して先ずアームレスト部32を回転させることが必要であり、また、遊技球を継続して発射させるためにもアームレスト部32を回転させておく必要がある。
設定操作部30には、遊技球を発射開始させるため、あるいは遊技球の発射強度を変化させるための複数のスイッチ33が設けられている。アームレスト部32を回転させた状態にすることにより、設定操作部30のスイッチ33は操作受け付け可能な状態となり、遊技者のスイッチ33操作により、発射装置から遊技球が発射開始され、また遊技球の発射強度が変化する。遊技者は、従来のようにハンドルグリップの回転復帰力に反してハンドルグリップを回転維持させておく必要がないため長時間の遊技による疲労を減少させることができる。
尚、上記形態では遊技を開始させるための1つの条件として、アームレスト部32を回転させることを挙げたが、この条件に加えて遊技者がアームレスト部32上に手を載せておくことを必要であるように設定してもよい。また、遊技を開始させるための他の条件としてアームレスト部32を回転させ、さらに設定操作部30上に指を接触させておくことが必要であるように設定してもよい。このような条件を付加することにより、アームレスト部32上に何か物を載せてアームレスト部32を回転させた状態に保持し、遊技者が席を離れて遊技を継続するという不正遊技を防止することができる。
図4(a)は、設定操作部30に設けられたスイッチ33の一形態を示している。
設定操作部30には、ワープスイッチ41が設けられている。ワープスイッチ41は、発射装置から発射される遊技球の発射強度を選択するための発射強度選択手段としてのスイッチである。この形態では、遊技者が遊技の際によく狙う遊技球の飛距離到達場所が予め設定されおり、ワープスイッチ41の押し操作により順次その設定された到達場所の1つが選択される。到達場所が選択されると、発射装置から発射された遊技球を選択された場所に到達させるために必要な、発射装置のソレノイドを励磁する電圧が発射強度設定手段17から出力され、その電圧によって発射装置のソレノイドが励磁されると共に、その励磁力による発射強度で遊技球が発射される。
遊技者がよく狙う到達場所としては、先ず、遊技終了時に一体皿14内に余った遊技球を一体皿14から抜くために狙う「ファール領域」がある。発射した遊技球を遊技領域5まで到達させずに、誘導レール内を逆戻りさせて一体皿14から遊技球を排出させるために狙う領域である。また、通常の遊技時に最もよく狙う場所の1つである、いわゆる「ぶっ込み領域」がある。図4(b)には遊技領域に植設された、いわゆる天釘とその近傍の釘の一形態を示すが、「ぶっ込み領域」とは、左側天釘とその左隣の釘との間で、矢印Lで示す領域のことをいう。また、通常の遊技時に最もよく狙う場所のもう1つである、「天釘中央」がある。「天釘中央」とは、図4(b)において、矢印Mで示す天釘のことをいう。また、第3種パチンコ機等のゲーム仕様として大当たり時に要求される、いわゆる「右打ち」がある。「右打ち」とは、遊技領域中の右側の領域を狙って遊技球を発射させることをいうが、ここでは狙う場所として図4(b)において、矢印Nで示す釘周辺の領域のことをいう。また、遊技終了時もしくは電源投入直後で遊技者が全く操作を行なっていない状態では、発射装置から遊技球が打ち出されない「初期状態」になっている。
設定操作部30には、予め設定された到達場所(以下、プリセットポジションともいう)として、上記の場所が「レール内」42、「ぶっ込み」43、「天」44、「右打ち」45と表示されている。また、プリセットポジションとして表示されないが、発射装置から遊技球が打ち出されない「初期状態」がある。電源投入直後や遊技終了後の非遊技時には初期状態になっており、ワープスイッチ41を押し操作すると「初期状態」→「レール内」→「ぶっ込み」→「天」→「右打ち」→「天」→「ぶっ込み」→「レール内」→「ぶっ込み」の順で選択され、その後は「ぶっ込み」→「天」→「右打ち」→「天」→「ぶっ込み」→「レール内」→「ぶっ込み」とサイクリックに選択される。先ず最初に「初期状態」でアームレスト部32が回転されてスイッチ33が受け付け状態になった後、ワープスイッチ41が押し操作されると、先ず最初にプリセットポジション「レール内」が選択され、遊技球を「レール内」に到達させるための予め設定されているデジタルデータが読み出される。読み出されたデジタルデータはD/AコンバータによってDC電圧に変換され、この電圧により発射装置のソレノイドが励磁されると共に、その励磁力による発射強度で遊技球が発射される。読み出されるデジタルデータについては後述する。尚、この形態では、アームレスト部32が回転されてスイッチ33が受け付け状態になっても、ワープスイッチ41が押し操作されない限り発射装置から遊技球は発射されない。従って、ワープスイッチ41は、遊技球を発射開始させる遊技開始スイッチとしての機能も兼ね備えている。
スイッチ33が受け付け状態になった後、ワープスイッチ41が1度押し操作されると、上述のように遊技球はプリセットポジション「レール内」に到達する発射強度で発射されるが、さらにワープスイッチ41が押し操作されると、プリセットポジション「ぶっ込み」が選択され、遊技球を「ぶっ込み」領域に到達させるための予め設定されているデジタルデータが読み出され、上述の「レール内」の場合と同様に発射装置のソレノイドが励磁され遊技球が発射される。同様にして、さらにワープスイッチ41が押し操作されると、プリセットポジション「天」、プリセットポジション「右打ち」が順次選択され、遊技球をそれぞれの場所「天」、「右打ち」に到達させるための予め設定されているデジタルデータが読み出され、遊技球が発射される。
また、プリセットポジション「右打ち」が選択されている状態からさらにワープスイッチが押し操作されると、次は1つ戻ってプリセットポジション「天」が選択される。そして、さらにワープスイッチ41が押し操作されると、プリセットポジション「ぶっ込み」、プリセットポジション「レール内」が順次選択され、プリセットポジション「レール内」が選択されている状態からさらにワープスイッチが押し操作されると、次はプリセットポジション「ぶっ込み」が選択される。このようにワープスイッチ41を押し操作するだけで、ソレノイドを励磁し遊技球を発射させる電圧は、先に選択されていたプリセットポジションの電圧値から新たに選択されたプリセットポジションの電圧値に置き換えられ、その置き換えられた電圧によって遊技球は、予め定められた場所、即ち、新たに選択されたプリセットポジションに到達する発射強度で発射装置から発射される。従って、ハンドルの回転角度を遊技者が調整することによって目的の場所、例えば、上述の「ぶっ込み」、「天」、「右打ち」に遊技球を到達させる場合に比べて、遊技者の発射強度操作は遥かに容易なものとなり、遊技球を目的の場所に到達させるまでの無駄打ち球を減少させることができる。また、1つのワープスイッチ41の押し操作のみで複数のプリセットポジションを選択することができるので、設定操作部30に設けるスイッチの数を少なくすることができる。
また、ワープスイッチ41が押し操作されて次のプリセットポジションが選択された場合に、選択されてからそのプリセットポジションの発射強度で遊技球を発射するまでに所定の時間、例えば、2〜3秒の時間を持たせるようにしてもよい。これにより、あるプリセットポジションが選択されても、遊技球が発射されるまでの所定の時間の間にさらにワープスイッチ41を押し操作すれば、先に選択されたプリセットポジションの発射強度で遊技球を発射させることなく、新たに選択されたプリセットポジションの発射強度で遊技球を発射させることができるので、さらに無駄打ち球を防止することができる。
設定操作部30には、遊技球の飛距離の目安を表示するレベルメータ46が設けられている。レベルメータ46は、現在の遊技状態における遊技球の飛距離を、例えば、帯状に設けられた表示ランプによって遊技者に報知するためのものである。最小飛距離の遊技状態をレベルメータ46の左端の表示ランプの点灯によって報知し、遊技球の飛距離が大きくなるに従って点灯される表示ランプの数が増えて、点灯表示ランプの帯は右方向へ長くなって報知する。そして最大飛距離の遊技状態をレベルメータ46の左端から右端までの全ての表示ランプの点灯によって報知する。ここで、最小飛距離とは、発射された遊技球の飛距離が略ゼロのことをいい、最大飛距離とは、図1において遊技領域5の右上部分に設けられた返しゴム19の位置まで発射された遊技球が到達する飛距離のことをいう。図4(a)に示すレベルメータ46は、左端から矢印Eで示す位置までの表示ランプが点灯しており、ワープスイッチ41によってプリセットポジション「ぶっ込み」が選択され、発射装置から発射される遊技球がぶっ込み領域まで到達することを表わしている。ワープスイッチ41によってその他のプリセットポジション「レール内」、「天」、「右打ち」が選択されると、それぞれの飛距離を報知する予め定められた位置までの表示ランプが点灯する。
設定操作部30には、発射装置から発射される遊技球の飛距離を調整するための発射強度調整手段としての飛距離調整スイッチ47、48が設けられている。飛距離調整スイッチは、飛距離の増加調整を行なうUP(アップ)調整スイッチ47と、飛距離の減少調整を行なうDOWN(ダウン)調整スイッチ48から構成されている。上述したようにワープスイッチ41によっていずれかのプリセットポジションが選択されると、その選択されたプリセットポジションの発射強度を調整開始点として遊技球の飛距離調整が行なわれる。例えば、ワープスイッチ41によってプリセットポジション「ぶっ込み」が選択されると、「ぶっ込み」領域に遊技球を発射させる発射強度を調整開始点として遊技球の飛距離調整、つまり発射装置のソレノイドを励磁するDC電圧の調整が行なわれる。飛距離調整スイッチ47、48による遊技球の飛距離調整範囲は、プリセットポジション「ぶっ込み」が選択された場合、その発射強度を調整開始点としてUP調整スイッチ47の操作により、発射された遊技球が最大飛距離に達するまで調整できる。また、DOWN調整スイッチ48の操作により、発射された遊技球が最小飛距離になるまで調整できる。
この発射強度の調整開始点および遊技球の飛距離調整範囲は、ワープスイッチ41によって他のプリセットポジション「レール内」、「天」、「右打ち」が選択された場合にも同様であり、選択されたそれぞれの「レール内」、「天」、「右打ち」に遊技球を発射させる発射強度を調整開始点として遊技球の飛距離調整、つまり発射装置のソレノイドを励磁するDC電圧が調整され、また、その発射強度を調整開始点としてUP調整スイッチ47の操作により、発射された遊技球が最大飛距離に達するまで、DOWN調整スイッチ48の操作により、発射された遊技球が最小飛距離になるまで調整できる。即ち、ワープスイッチ41によっていずれのプリセットポジションが選択された場合にも、UP調整スイッチ47とDOWN調整スイッチ48の操作により、選択された発射強度を調整開始点として最小飛距離から最大飛距離までの調整、つまり、遊技領域全範囲に遊技球を到達させる調整ができる。
UP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48の操作による発射強度の変化に対応して、レベルメータ46の遊技球の飛距離を表示する表示ランプの点灯位置も変化する。例えば、ワープスイッチ41によってプリセットポジション「ぶっ込み」が選択されると、図4に示すように左端から矢印Eで示す位置までの表示ランプが点灯し、UP調整スイッチ47の操作に伴なって表示ランプの点灯位置が右方向へ延びて行き、最大飛距離の発射強度まで調整されると左端から右端までの全ての表示ランプが点灯した状態となる。また、DOWN調整スイッチ48の操作に伴なって表示ランプの点灯位置が左方向へ移動して行き、最小飛距離の発射強度まで調整されると左端の表示ランプのみが点灯した状態となりその旨を報知する。
尚、上記のようにUP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48の操作による発射強度の変化に対応し、レベルメータ46の遊技球の飛距離を表示する表示ランプの点灯位置が変化しても、現在、ワープスイッチ41により選択されているプリセットポジションを容易に認識できるように、プリセットポジションとして設定操作部30に表示されている「レール内」42、「ぶっ込み」43、「天」44、「右打ち」45部分に表示ランプを設け、選択されているプリセットポジションの表示ランプを点灯させるようにしてもよい。
上述したように、ソレノイドを励磁して遊技球を発射させるための電圧は、ワープスイッチ41を押し操作することにより、先に選択されていたプリセットポジションの電圧値から新たに選択されたプリセットポジションの電圧値に置き換えられ、遊技球はその置き換えられた電圧によって発射装置から発射される。このワープスイッチ41の押し操作に対するプリセットポジションの電圧値の置き換えは、UP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48の操作によって遊技球の発射強度、即ち、ソレノイドを励磁する電圧値が変化された場合にも同様に行なわれる。
例えば、ワープスイッチ41によってプリセットポジション「ぶっ込み」が選択されると、遊技球は、「ぶっ込み」領域に発射させる発射強度、つまり「ぶっ込み」領域に到達するソレノイド励磁電圧によって発射される。この状態からUP調整スイッチ47またはDOWN調整スイッチ48が操作されると、ソレノイドを励磁する電圧が変化し遊技球の発射強度は変化する。そして、このUP調整スイッチ47あるいはDOWN調整スイッチ48によって遊技球の発射強度が変化した状態においてワープスイッチ41が押し操作されると、上述したプリセットポジションの順である「レール内」→「ぶっ込み」→「天」→「右打ち」→「天」→「ぶっ込み」→「レール内」に従って、現在ワープスイッチによって選択されているプリセットポジション「ぶっ込み」の次のプリセットポジションである「天」が選択され、遊技球は、「天」に発射させる発射強度、つまり「天」に到達するソレノイド励磁電圧によって発射される。
ワープスイッチ41が押し操作されることによって、UP調整スイッチ47またはDOWN調整スイッチ48により調整されていた発射強度、即ち、ソレノイドを励磁する電圧値が、それまでワープスイッチ41によって選択されていたプリセットポジションの次のプリセットポジションのソレノイドを励磁する電圧値に変換されて、遊技球の発射が継続される。尚、ワープスイッチ41が選択されたとき等に行なわれるソレノイド励磁電圧値の変換については、UP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48の操作によってデジタルデータを増加あるいは減少させ、そのデジタルデータをD/Aコンバータでアナログ電圧に変換して調整しているが、この調整内容については後述する。
設定操作部30には、遊技を停止させるためのSTOPスイッチ49が設けられている。遊技中、即ち、発射装置から遊技球を発射させている間にSTOPスイッチ49を操作することにより遊技球の発射を停止させることができる。例えば、STOPスイッチ49が押し操作するものである場合、押し操作している間は遊技球の発射を一時停止することができ、押し操作を止めるとSTOPスイッチ49を押し操作する以前の発射強度で遊技球の発射が再開される。STOPスイッチ49が押し操作されている間は、ワープスイッチ41、UP調整スイッチ47、およびDOWN調整スイッチ48の操作を受け付けないように設定してもよいし、あるいは押し操作されている間でも操作を受け付けるように設定してもよい。
図5は、設定操作部30に設けられたスイッチ33の他の一形態を示している。
この形態では、図4に示す形態と比較すると、ワープスイッチ41に対応するものとして複数のポジション選択スイッチ51〜54が設けられている。このポジション選択スイッチは、遊技者がよく狙う遊技領域の場所として予め定められたプリセットポジションの数と同じ数だけプリセットポジジョン毎に設けられている。この形態では、上述した形態と同様に「レール内」、「ぶっ込み」、「天」、「右打ち」の4つのプリセットポジションが定められており、4つのポジション選択スイッチ51〜54が設けられている。このような構成により、遊技者は一回のスイッチ操作により直接的に容易に遊技球の発射強度を選択調整することができる。
ポジション選択スイッチ51〜54の内、「レール内」ポジション選択スイッチ51が選択されると、遊技球を「レール内」に到達させるための予め設定されているデジタルデータが読み出される。読み出されたデジタルデータはD/AコンバータによってDC電圧に変換され、この電圧により発射装置のソレノイドが励磁されると共に、その励磁力による発射強度で遊技球が発射される。同様に「ぶっ込み」ポジション選択スイッチ52が選択されると、遊技球を「ぶっ込み」に到達させるための予め設定されているデジタルデータが読み出され、読み出されたデジタルデータはD/AコンバータによってDC電圧に変換され、この電圧により発射装置のソレノイドが励磁されると共に、その励磁力による発射強度で遊技球が発射される。また、「天」ポジション選択スイッチ53、「右打ち」ポジション選択スイッチ54が選択された場合にも同様にして励磁されたソレノイドの励磁力による発射強度で遊技球が発射される。デジタルデータは、ポジション選択スイッチの何れかが押し操作された瞬間のみの極く短い時間読み出されるように設定されている。従って、どのポジション選択スイッチが押されたかはラッチ(記憶)されず、その対応データが処理されるブロックでラッチ処理が行なわれる。前述のワープスイッチによる処理では、選択されたプリセットポジションは、遊技継続中はラッチされており、遊技終了時に初期化されていたが、ここではこのような初期化処理は行なっていない。読み出されるデジタルデータについては後述する。尚、この形態では、アームレスト部32が回転されてスイッチ33が受け付け状態になっても、ポジション選択スイッチ51〜54のいずれかが押し操作されない限り発射装置から遊技球は発射されない。従って、ポジション選択スイッチ51〜54は、遊技球を発射開始させる遊技開始スイッチとしての機能も兼ね備えている。
また、この形態では、図4に示す形態において設けられたレベルメータ46に対応するものとしてレベル表示部56が設けられている。レベル表示部56は、レベルメータ46のLEDそれぞれを個別に遊技盤に植設されている天釘およびその周辺の釘を模して配置させたものであり、発射装置から発射される遊技球の発射強度、即ち、遊技球の到達位置をLEDの点灯表示により報知するものである。各ポジション選択スイッチ51〜54が押し操作されると、押し操作されたポジション選択スイッチに対応するレベル表示部56のLEDおよびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯する。各ポジション選択スイッチに対応するLEDは、認識を容易にするために色、大きさを相違するものにしてもよい。このような構成により、遊技者は遊技領域を見ている感覚でレベル表示部56を見ながら容易に遊技球の発射強度を選択調整することができる。
例えば、「レール内」ポジション選択スイッチ51が押し操作されるとLED57およびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯する。そしてこの点灯によって、発射装置から発射される遊技球の発射強度は、遊技領域まで到達せずにレール内を逆戻りする強度であることを報知する。また、「ぶっ込み」ポジション選択スイッチ52が押し操作されるとLED58およびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯する。そしてこの点灯によって、発射装置から発射される遊技球の発射強度は、LED58に対応する遊技領域に植設された釘の位置まで到達する強度であることを報知する。また、「天」ポジション選択スイッチ53が押し操作されるとLED59およびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯する。そしてこの点灯によって、発射装置から発射される遊技球の発射強度は、LED59に対応する遊技領域に植設された中央天釘の位置まで到達する強度であることを報知する。また、「右打ち」ポジション選択スイッチ54が押し操作されるとLED60およびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯する。そしてこの点灯によって、発射装置から発射された遊技球の発射強度は、LED60に対応する遊技領域に植設された釘の位置まで到達する強度であることを報知する。図5に示されるレベル表示部56は、LED58およびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯した状態であり、ポジション選択スイッチ52によってプリセットポジション「ぶっ込み」が選択され、発射装置から発射される遊技球が、LED58に対応する遊技領域に植設された釘の位置まで到達することを表わしている。
設定操作部30には、発射装置から発射される遊技球の飛距離を調整するための飛距離調整スイッチ47、48が設けられている。飛距離調整スイッチは、飛距離の増加調整を行なうUP調整スイッチ47と、飛距離の減少調整を行なうDOWN調整スイッチ48から構成されており、その機能は、図4に示すUP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48と同様である。ポジション選択スイッチ51〜54によっていずれかのプリセットポジションが選択されると、その選択されたプリセットポジションの発射強度を調整開始点として、UP調整スイッチ47あるいはDOWN調整スイッチ48の操作によって遊技球の飛距離調整が行なわれる。また、遊技球の飛距離調整範囲は、選択されたプリセットポジションの発射強度を調整開始点としてUP調整スイッチ47の操作により、遊技球が最大飛距離に達するまで、そしてDOWN調整スイッチ48の操作により、遊技球が最小飛距離になるまで調整できる。即ち、いずれのプリセットポジションが選択された場合にも、UP調整スイッチ47とDOWN調整スイッチ48の操作により、選択された発射強度を調整開始点として最小飛距離から最大飛距離までの調整、つまり、遊技領域全範囲に遊技球を到達させる調整ができる。
UP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48の操作による発射強度の変化に対応して、遊技球の到達位置を表示するレベル表示部56のLEDの点灯位置が変化する。例えば、ポジション選択スイッチ51によってプリセットポジション「ぶっ込み」が選択されると、図5に示すようにLED58およびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯する。UP調整スイッチ47の操作に伴なってLEDの点灯位置は順次右方向へ移動して行き、プリセットポジション「右打ち」に達する発射強度になるとLED60およびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯する。図5に示す形態では、プリセットポジション「右打ち」以上の飛距離に調整されたとしてもLED60の点灯までで止まるが、最大飛距離の発射強度に対応するLEDを設けて点灯表示させるようにしてもよい。尚、LEDの点灯表示位置の変化はLED60の点灯までで止まるが、遊技球の到達する位置はUP調整スイッチ47の操作により、図1に示す返しゴム19の位置でる最大飛距離まで増加する。また、DOWN調整スイッチ48の操作に伴なってLEDの点灯位置が順次左方向へ移動して行き、プリセットポジション「レール内」に達する発射強度になるとLED57のみが点灯する。
ソレノイドを励磁して遊技球を発射させるための電圧は、ポジション選択スイッチ51〜54を押し操作することにより、先に選択されていたプリセットポジションの電圧値から新たに選択されたプリセットポジションの電圧値に置き換えられ、遊技球はその置き換えられた電圧によって発射装置から発射される。このポジション選択スイッチ51〜54の押し操作に対するプリセットポジションの電圧値の置き換えは、UP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48の操作によって遊技球の発射強度、即ち、ソレノイドを励磁する電圧値が変化している場合にも同様に行なわれる。
例えば、ポジション選択スイッチ52によってプリセットポジション「ぶっ込み」が選択されると、LED58およびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯すると共に、遊技球は、「ぶっ込み」領域に達する発射強度、つまり「ぶっ込み」領域に到達するソレノイド励磁電圧によって発射される。この状態からUP調整スイッチ47またはDOWN調整スイッチ48が操作されると、点灯しているLEDの最右点灯位置が右または左に移動すると共に、ソレノイドを励磁する電圧が変化し遊技球の発射強度は変化する。そして、このUP調整スイッチ47あるいはDOWN調整スイッチ48によって遊技球の発射強度が変化した状態において、ポジション選択スイッチ51〜54のいずれかが押し操作されると、その新たに選択されたプリセットポジションに対応するLEDおよびそのLEDよりも左側のLEDが全て点灯すると共に、ソレノイドを励磁する電圧は新たに選択されたプリセットポジションに達する電圧に置き換えられ、遊技球はその置き換えられた電圧による発射強度で発射装置から発射される。
また、設定操作部30には、遊技を停止させるSTOPスイッチ49が設けられているが、その機能は図4に示すSTOPスイッチ49と同様である。
図6は、設定操作部30の他の一形態を示すものである。この形態では、図5に示す形態のUP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48に対応するものとして、ロータリーエンコーダ61を設けている。ロータリーエンコーダ61を左右に回転させることにより、または上下に回転させることにより、遊技球の発射強度、即ち、ソレノイドを励磁する電圧値を変化させることができ、遊技領域全範囲に遊技球を到達させる調整を行なうことができる。その他の機能については、図4、図5に示すUP調整スイッチ47およびDOWN調整スイッチ48と同様である。
図7から図9は、発射強度設定手段17の設定操作部30の制御ブロック図である。以下、このブロック図に基づいて設定操作部30の制御動作について説明する。
図7は、図4に示す形態を有した設定操作部30のブロック図である。
プリセットデータ処理部70は、ワープスイッチ41の操作により選択されたプリセットポジションの、予め設定されている遊技球発射強度データを処理するための処理ブロックである。ワープスイッチ41が押し操作されるとプリセットポジションを選択するためのクロックパルスが発生する。このクロックパルスは処理部72でチャタリング防止処理された後に、UP/DOWNクロック入力制御部73に入力される。ワープスイッチ41の操作によりプリセットポジションは「初期状態」→「レール内」→「ぶっ込み」→「天」→「右打ち」→「天」→「ぶっ込み」→「レール内」→「ぶっ込み」…の順に選択されるため、UP/DOWNクロック入力制御部73において、先ず、現在選択されているプリセットポジションがいずれのプリセットポジションであるか判別され、次に、プリセットポジションが「ぶっ込み」あるいは「天」のときは、「ぶっ込み」→「天」の方向に変化する途中であるか、「天」→「ぶっ込み」の方向に変化する途中であるか判別され、さらに遊技開始時の無選択状態であるか否か判別される。
遊技開始時は「初期状態」に設定されており、UP/DOWNカウンタ74においてカウンタがカウントアップに設定されている。従って、遊技開始時は「初期状態」のためカウントアップされてプリセットポジション「レール内」が選択される。また、現在選択されているのがプリセットポジション「レール内」、若しくは「ぶっ込み」→「天」の方向に変化する途中のプリセットポジション「ぶっ込み」、「天」である場合には、UP/DOWNカウンタ74においてカウンタがカウントアップされる。つまり現在選択されているのがプリセットポジション「レール内」である場合にはカウントアップされてプリセットポジション「ぶっ込み」が選択され、プリセットポジション「ぶっ込み」である場合にはカウントアップされてプリセットポジション「天」が選択され、プリセットポジション「天」である場合にはカウントアップされてプリセットポジション「右打ち」が選択される。
また、現在選択されているのがプリセットポジション「右打ち」、若しくは「天」→「ぶっ込み」の方向に変化する途中のプリセットポジション「天」、「ぶっ込み」である場合には、UP/DOWNカウンタ74においてカウンタがカウントダウンされる。つまり現在選択されているのがプリセットポジション「右打ち」である場合にはカウントダウンされてプリセットポジション「天」が選択され、プリセットポジション「天」である場合にはカウントダウンされてプリセットポジション「ぶっ込み」が選択され、プリセットポジション「ぶっ込み」である場合にはカウントダウンされてプリセットポジション「レール内」が選択される。但し、遊技が継続されている期間中は、「初期状態」は選択されない。
ワープスイッチ41の押し操作に伴ないUP/DOWNカウンタ74でカウントアップまたはダウンされると、それによって新たに選択されたプリセットポジションの信号は、UP/DOWNカウンタ内にラッチされると共に、プリセットデータ群制御部75に送られる。プリセットデータ群制御部75には、予め定められたプリセットポジションである「レール内」、「ぶっ込み」、「天」、「右打ち」に遊技球を到達させるための発射強度を決定するプリセットデータが準備されている。新たに選択されたプリセットポジションの信号がプリセットデータ群制御部75に送信されると、その選択されたプリセットポジションに対応するプリセットデータが読み出されプリセット付きUP/DOWNカウンタ76にロードされる。該プリセット付きUP/DOWNカウンタ76で処理されたデータをD/Aコンバータ77に伝達するように、UP/DOWNクロック入力制御部73からプリセット付きUP/DOWNカウンタ76に、ロード指示信号が送信される。遊技終了時もしくは電源投入直後等、遊技者がアームレスト部32を操作していない場合もしくはアームレスト部32に接触していない場合には、UP/DOWNカウンタ74はリセットされ「初期状態」が選択されている。
プリセットデータは、例えば、8ビットで構成されるデジタルデータであり、プリセットポジション「レール内」、「ぶっ込み」、「天」、「右打ち」に到達させるための予め定められたデータである。プリセットデータ群制御部75からプリセットデータが送信され、UP/DOWNクロック入力制御部73からロード指示信号が送信されてくるとプリセット付きUP/DOWNカウンタ76は、プリセットデータ群制御部75から送信されてきたプリセットデータに対応するカウンタ出力値として「0〜255」(デシマル)値を出力する。
カウンタ出力値は、例えば、プリセットポジション「レール内」=「60」、「ぶっ込み」=「120」、「天」=「127」、「右打ち」=「250」、「遊技開始時の無選択状態」=「0」と設定されており、ワープスイッチ41によってプリセットポジション「レール内」が選択されると、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76からカウンタ値「60」が出力され、「ぶっ込み」が選択されるとカウンタ値「120」が出力され、「天」が選択されるとカウンタ値「127」が出力され、「右打ち」が選択されるとカウンタ値「250」が出力される。従って、ワープスイッチ41によってプリセットポジション「ぶっ込み」が選択されその発射強度で遊技が行なわれている最中にワープスイッチ41によってプリセットポジション「天」が選択された場合には、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76からの出力値は「120」から「127」の値に更新され、「天」の発射強度で遊技が行なわれることになる。他のプリセットポジションが選択されている場合も同様であり、ワープスイッチ41の押し操作によって新たなプリセットポジションが選択されると、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76からの出力値は、それまで選択されていたプリセットポジションのカウンタ出力値から新たに選択されたプリセットポジションのカウンタ出力値に更新されてそのカウンタ出力値による発射強度で遊技が行なわれる。遊技の終了時もしくは電源投入直後は、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76は、リセット信号が入力され初期化(カウンタ出力=0)されている。従って、この場合には発射強度は遊技球が発射されないゼロに設定されている。
調整データ処理部80は、UP/DOWNスイッチ47、48の操作によって調整される遊技球の発射強度データを処理するための処理ブロックである。UP/DOWNスイッチ47、48が押し操作されると遊技球の発射強度を調整するためのクロックパルスが発生する。このクロックパルスは、処理部81において、UP、DOWNいずれのスイッチが操作されたかの判別処理、UP/DOWNスイッチが同時オンされた時にいずれのスイッチ操作を受け付けるかの優先処理、チャタリング防止処理された後に、クロック制御部82に入力される。例えば、優先処理では、選択されているプリセットポジションが「レール内」、「ぶっ込み」、「天」(ワープスイッチ41によって「レール内」→「ぶっ込み」→「天」の方向に選択される途中の「ぶっ込み」、「天」である場合)のときは、UPスイッチの操作が優先して受け付けられ、選択されているプリセットポジションが「右打ち」、「天」、「ぶっ込み」(ワープスイッチ41によって「右打ち」→「天」→「ぶっ込み」の方向に選択される途中の「天」、「ぶっ込み」である場合)のときは、DOWNスイッチの操作が優先して受け付けられるように処理される。
クロック制御部82にはカウンタ用のクロック83が入力されており、処理部81から入力されたクロックパルスがUPスイッチ47の操作によるものである場合には、カウンタUP用のクロック83がプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のUP端子に入力され、処理部81から入力されたクロックパルスがDOWNスイッチ48の操作によるものである場合には、カウンタDOWN用のクロック83がプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のDOWN端子に入力される。
このプリセット付きUP/DOWNカウンタ76に入力されたクロック83によって、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値は増加あるいは減少するが、その増減の開始点はその時に設定されているプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値となる。即ち、ワープスイッチ41によっていずれかのプリセットポジションが選択された後のUP/DOWNスイッチ47、48の調整では、選択されたプリセットポジションに対応するプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値が増減の開始点となる。また、ワープスイッチ41によってプリセットポジションが選択された後にUP/DOWNスイッチ47、48によって調整されている場合には、その調整された後のプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値が増減の開始点となる。
UP/DOWNスイッチ47、48の調整によってプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値は、上記のカウンタ値を開始点としてカウンタ出力値の最小値「0」〜最大値「255」まで変化する。即ち、例えば、ワープスイッチ41によってプリセットポジション「レール内」が選択された場合には、「レール内」に対応するプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値「60」を増減の開始点として、最小値「0」〜最大値「255」まで変化し、同様に「ぶっ込み」が選択された場合にはカウンタ値「120」を開始点、「天」が選択された場合にはカウンタ値「127」を開始点、「右打ち」が選択された場合にはカウンタ値「250」を開始点として最小値「0」〜最大値「255」まで変化する。
また、UP/DOWNスイッチ47、48の調整によってプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値が最小値「0」から最大値「255」のいずれかのカウンタ値に調整された状態で、ワープスイッチ41が操作された場合には、その調整されたカウント値は、それまで選択されていたプリセットポジションの次のプリセットポジションに対応するカウント値に更新されてUP/DOWNカウンタ76から出力される。例えば、ワープスイッチ41の操作によって、プリセットポジションが「レール内」→「ぶっ込み」→「天」の方向に変化する途中の「ぶっ込み」が選択された後に、UP/DOWNスイッチ47、48によりプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値が最大値「255」まで調整された状態でワープスイッチ41が操作された場合には、調整されたカウント値「255」は、「ぶっ込み」の次のプリセットポジションである「天」に対応するカウント値「127」に更新され、「127」がプリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ出力値として出力される。
プリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値は、UP/DOWNスイッチ47、48の操作により最小値「0」〜最大値「255」まで変化するが、最小値「0」または最大値「255」まで達したときは、さらにUP/DOWNスイッチ47、48が操作されても最小値「0」および最大値「255」を維持する。即ち、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウンタ値が最小値「0」または最大値「255」まで達すると、そのことが最大・最小値維持処理部84により検出され、カウンタ値のキャリー/ボロー禁止処理が行なわれる。カウンタ値が最小値「0」または最大値「255」まで達したことが最大・最小値維持処理部84により検出されると、キャリー/ボロー禁止信号が最大・最小値維持処理部84からプリセット付きUP/DOWNカウンタ76に送信される。プリセット付きUP/DOWNカウンタ76は、キャリー/ボロー禁止信号を受けると、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76のUP端子またはDOWN端子に入力されてくるカウンタUP用またはカウンタDOWN用のクロック83の受け付けを禁止し、カウンタの最小値「0」および最大値「255」を維持する。
尚、UP/DOWNスイッチ47、48が操作されても最小値「0」および最大値「255」を維持する手段としては、最大・最小値維持処理部84から出力される上記キャリー/ボロー禁止信号をクロック制御部82に送信し、このキャリー/ボロー禁止信号を受けたときにクロック制御部82からプリセット付きUP/DOWNカウンタ76に送信されるカウンタUP用またはカウンタDOWN用のクロック83を停止させるようにしてもよい。
プリセット付きUP/DOWNカウンタ76から出力されたカウント値は、D/Aコンバータ77に入力される。D/Aコンバータ77には最大基準電圧85と最小基準電圧86が与えられており、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76のカウント値をN、最大基準電圧85をVmax、最小基準電圧86をVminとすると、D/Aコンバータ77から出力される電圧Voutは、次式によって求められる。
Vout=Vmin+N/256*(Vmax−Vmin)
D/Aコンバータ77から出力された電圧は、以降に接続される回路への影響等を緩和するためのバッファ87を介して発射装置に設けられた発射制御回路89に入力される。そして、この電圧によって発射装置のソレノイドが励磁され、その励磁力による発射強度で遊技球が発射される。
遊技開始/終了検出処理部90は、遊技を行なうに際し遊技者が設定操作部30に触れているか否か、アームレスト部32を回転させアームレスト部32に遊技者の腕を置いているか等の検出を行なう。遊技者が設定操作部30に触れ、アームレスト部32に腕を置いていると判別した場合には、遊技を許可する発射パルス許可信号を発射制御装置89に送信する。これとは逆に遊技者が設定操作部30に触れていない、アームレスト部32に腕を置いていないと判別した場合には、遊技を禁止する発射パルス禁止信号を発射制御装置89に送信し発射装置からの遊技球の発射を停止する。また、遊技者が設定操作部30に触れていない、アームレスト部32に腕を置いていないと判別した場合には、遊技終了と判定しリセット処理部91に遊技終了信号を送信する。遊技終了信号を受けたリセット処理部91は、リセット信号をプリセット付きUP/DOWNカウンタ76に送信する。リセット信号を受けたプリセット付きUP/DOWNカウンタ76は、カウンタの値を「0」にリセットする。これにより発射装置における遊技球の発射強度は「0」になる。また、リセット処理部91は、同時にプリセットデータ処理部70のUP/DOWNカウンタ74にもリセット信号を送信する。これによりプリセットポジションは「初期状態」になる。
ストップスイッチ49は、上述したようにパチンコ遊技を一次的に停止させるためのスイッチであり、発射制御回路89に接続されている。ストップスイッチ49を操作している間、例えば、ストップスイッチ49を押している間は遊技球の発射を停止させることができ、押し操作を止めることにより再度、遊技球を発射させることができる。
図8は、図7に示す設定操作部30のブロック図において、プリセットデータ処理部70を別の形態で示したものであり、その形態は図5に示すように複数のポジション選択スイッチ51〜54を有する設定操作部30である。
プリセットデータ処理部70'は、ポジション選択スイッチ51〜54の操作により選択されたプリセットポジションの、予め設定されている遊技球発射強度データを処理するための処理ブロックである。ポジション選択スイッチ51〜54が押し操作されるとプリセットポジションを選択するためのクロックパルスが発生する。このクロックパルスは処理部92において、いずれのポジション選択スイッチが操作されたかの判別処理、2つ以上のポジション選択スイッチが同時オンされた時にいずれのスイッチ操作を受け付けるかの優先処理、チャタリング防止処理された後に、プリセットポジション選択信号としてプリセットデータ群制御部75'に送信される。
プリセットデータ群制御部75には、予め定められたプリセットポジションである「レール内」、「ぶっ込み」、「天」、「右打ち」に遊技球を到達させるための発射強度を決定するプリセットデータが用意されている。新たに選択されたプリセットポジションの信号がプリセットデータ群制御部75'に送信されると、その選択されたプリセットポジションに対応するプリセットデータがプリセット付きUP/DOWNカウンタ76にロードされ、該プリセット付きUP/DOWNカウンタ76が処理したデータをD/Aコンバータ77に伝達するように、処理部92からプリセット付きUP/DOWNカウンタ76に、ロード指示信号が送信される。プリセットデータの送信およびロード指示信号は、ポジション選択スイッチが操作されたときのデジタルデータの読み出しと同様に、極く短時間に処理される。ロードされたプリセットデータはUP/DOWNカウンタ内でラッチされ、その後D/Aコンバータに伝達される。
尚、例えば、優先処理では、それまで選択されていたプリセットポジションのカウント値に一番近いカウント値のポジション選択スイッチの操作が優先して受け付けられるように設定してもよい。また、UP/DOWNスイッチ47、48によってカウント値が調整されている場合には、調整されたカウント値に一番近いカウント値のポジション選択スイッチの操作が優先して受け付けられるように設定してもよい。
図9は、図7に示す設定操作部30のブロック図において、調整データ処理部80を別の形態で示したものであり、その形態は図6に示すロータリーエンコーダ61を備えた設定操作部30である。
調整データ処理部80'は、ロータリーエンコーダ61を左右に回転させることによって、または上下に回転させることによって調整される遊技球の発射強度データを処理するための処理ブロックである。ロータリーエンコーダ61が左右に回転操作されると、または上下に回転操作されると遊技球の発射強度を調整するためのクロックパルスが発生する。
このクロックパルスは処理部93において、ロータリーエンコーダ61が右回転されて発生したものかあるいは左回転されて発生したものか、あるいはロータリーエンコーダ61が上回転されて発生したものかあるいは下回転されて発生したものかの判別処理、チャタリング防止処理された後に、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76に入力される。クロックパルスは、ロータリーエンコーダー61を右回転あるいは上回転して発生したものである場合には、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76のUP端子に入力され、ロータリーエンコーダー61を左回転あるいは下回転して発生したものである場合には、プリセット付きUP/DOWNカウンタ76のDOWN端子に入力される。