JP2006005008A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プラズマ処理を行うような真空室を備えた装置において、プラズマより生成されたラジカルやイオンのアタックでOリングのようなシール部材がダメージを受けることにより生じる発塵を十分に抑制する。
【解決手段】 開口部を開閉する弁体および弁座の対向面上の開口端からシール部材に至るまでに抑止部を設け、プラズマ処理室やその他の真空室からの粒子が、閉じた状態の弁体と弁座との間隙を通じてシール部材に到達するのを抑止する。
【選択図】 図1



Description

本発明は、半導体ウエハのような被処理体にプラズマを用いて成膜やエッチングなどの処理を行うプラズマ処理装置、および真空室の弁構造に関するものである。
特許文献1や特許文献2は、半導体処理装置の真空処理室と搬送室とを連通する搬入出口を開閉する弁体および弁座の構造を開示している。弁体を駆動機構により閉成したとき、その弁体に取り付けられたOリングが弁体と弁座との間隙を塞いで真空処理室の気密を保つ構成となっている。
さらに特許文献2は弁体と弁座の接触やOリングの劣化または磨耗による発塵を防ぐための樹脂製のストッパーを開示している。真空処理室でプラズマを用いて成膜やドライエッチングを行なうとき、そのプラズマにより生成されたラジカルやイオンのアタックでOリングは劣化または磨耗する。上記のストッパーを用いることにより、弁体閉成時に弁体と弁座とに挟まれて弾性変形するOリングの変形量を制御するとともに、弁体と弁座間に所望の隙間を容易に形成することができる。すなわち、0.1〜0.3mm程度の間隙が弁体と弁座間に形成され、結果としてOリングを交換したり処理室を洗浄したりする必要性が減少する。
特開平7−147247号公報 特開2002−217137号公報
しかしながら、樹脂製のストッパーが弁座に接触する構造では、その部分からの発塵が新たに懸念される。また所望の隙間を形成しても、その隙間からラジカルやイオンが入り込み、Oリングのような弾性樹脂製のシール部材からの発塵を十分に抑制できない場合がある。
本発明は、このような従来の技術における課題を鑑みてなされたものであり、シール部材からの発塵をより確実に抑制することのできるプラズマ処理装置および真空室の弁構造を提供することを目的とするものである。
上述の目的を達成するために、本発明は次の構成を採用している。
本発明のプラズマ処理装置において、プラズマ処理室の開口部は、駆動機構によって駆動される弁体とその弁体を受けとめる弁座とで開閉されるようになっている。弾性樹脂製のシール部材は、前記弁体を閉じたときに弁体と弁座との間隙を塞いで処理室の気密を保つようになっている。この構成において、抑止部が前記弁体および弁座の対向面上の開口端からシール部材に至るまでに設けられる。当該抑止部によって、プラズマ処理室内のプラズマより生成されたラジカルやイオン、微粒子などの粒子が、閉じた弁体と弁座との間隙を通じてシール部材へ到達するのを抑止し、ラジカルやイオンのアタックによる発塵を防止することができる。また、処理室で生じた反応生成物のような微粒子がシール部材に付着してしまうと、付着した微粒子や劣化したシール部材の成分がシール部材の弾性変形時などに剥離し発塵が生じ易くなるところから、前記抑止部は、微粒子の付着によるシール部材からの発塵も抑制する。このように、抑止部を設けることにより樹脂製のストッパーを用いる必要もなくなる。Oリングのようにシール部材が環状であれば、抑止部をその内周に沿って設けることで、シール部材全体にわたって発塵を抑制することができる。
抑止部は、弁体を閉じたときに対向する凹部および凸部で構成することができる。この構成により、閉じた状態の弁体と弁座との間隙に凹凸を形成することになり、ラジカルやイオンが間隙を介してシール部材にまで到達しにくくなる。またシール部材を弁体または弁座に取り付ける位置が変わらなくても、ラジカルやイオン、微粒子が開口端からシール部材に至るまでに移動する距離が延びてシール部材にまで到達しにくくなるため、シール部材からの発塵はより確実に抑止される。
弁体または弁座表面からの凹部の深さおよび凸部の高さは、例えば閉じた弁体と弁座との間隙の長さ以下にする。凹部の深さや凸部の高さがその間隙の長さ以下であれば、弁体と弁座が接触しなければ、凹部および凸部も接触せず、接触による発塵の恐れを抑えることができる。
処理室の気密を保つため複数のOリングが同心円状に配置されているような場合に全てのシール部材に対しラジカルやイオンのアタックから保護したり微粒子の付着を抑制したりするには、それらのうち最も開口端に近い、最も内側のシール部材に至るまでに抑止部を設けるのが簡便である。
上述のようにシール部材からの発塵は抑止部でかなり抑制することができ、更に、閉じた弁体と弁座との間隙が適当であれば、シール部材からの発塵が抑制される。その間隙に処理室からの粒子ができるだけ入り込むのを避けるとともに、弁体と弁座の接触を避けるためには、その間隙に0.02mmから0.20mmまでの長さを確保するのがよい。
また抑止部は、閉じた弁体と弁座との間隙に開口部から入り込んだラジカルまたはイオンが失活するのに必要な長さを有する平面部を備えるようにしてもよい。その平面部は例えば少なくとも2.7mmの長さを有する。このような平面部を設けることにより開口部からシール部材に至るまでにラジカルやイオンの移動する距離が長くなると、ラジカルやイオンが弁体や弁座に衝突したりそれらが互いに衝突したりすることが多くなる。そのような衝突があると、ラジカルやイオンが失活するので、シール部材からの発塵が抑制される。また微粒子にとっても移動距離が長くなるので、微粒子がシール部材に付着してシール部材から発塵するのも抑制される。
このような弁構造を採用することにより、閉じた弁体と弁座との間隙を通じてラジカルやイオン、微粒子などの粒子がシール部材に到達するのが抑止されるため、本発明ではシール部材からの発塵をより確実に低減することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。この実施の形態において本発明は、プラズマエッチング装置のようなプラズマ処理装置として具体化される。図1はそのプラズマ処理装置の要部を示す側断面図である。
図1に示すように、このプラズマ処理装置A1においては、真空処理室1と搬送室2が開口部3を通じて連通している。この処理室1では、半導体ウエハのような被処理体に対して、プラズマ4を用いて成膜やエッチングなどの処理を行う。被処理体は、搬送室2から処理室1内へ開口部3を通じて搬入され、処理室1から搬送室2へ開口部3を通じて搬出される。
処理室1でプラズマ処理を行うときには、この開口部3を予め弁体5で閉じる。この弁体5は、駆動機構により自動的に開閉する構成になっており、ここでは、搬送室2の外部から弁体5を支持する支持柱51を介して駆動機構が弁体5を移動させる。弁体5を閉じるとき、弁体5は破線の位置から矢印Y1に沿って移動し実線の位置で停止し、弁体5を開けるときには、弁体5は矢印Y1と逆向きに移動して破線の位置に戻る。
弁体5が閉成すると、開口部3に対応する部分を除き弁体5は間隙7を挟んで弁座6と対向する。この閉成状態を形成する過程で、弁体5の一部が弁座6に接触するのを避けるため弁体5は対向面(弁体6)と平行を保って移動し、閉成した弁体5と弁座6との間隙7は対向する平面部にわたって一定となる。
図2Aは弁体を処理室側から観察したときの平面図である。ここでは図1および図2Aに示すように、弁体5の弁座6との対向面にOリング8が取り付けられている。Oリング8のようなゴムまたは弾性樹脂製のシール部材は、当然のことながら、弁座6に取り付けてもよく、弁体5を閉成したときに弁体5と弁座6との間隙7を塞いで処理室1の気密を保つ。
環状のOリング8は、矩形の弁体5の縁に沿って設けられた溝52に図2Bに示すように嵌めることで、取り外し可能に弁体5に取り付けられ、弁体5を閉じるとき、Oリング8のみが弁座6の弁体5との対向面に当接する。弁体5を完全に閉じると、Oリング8は弁体5と弁座6とに挟まれて、図2Cに示すように、弁体5の移動方向Y2に短くなる形で弾性変形する。この状態で弁体5と弁座6との間隙7を塞ぎ、Oリング8は処理室1の気密を保つことになる。
プラズマ処理はこのように気密が保たれた状態で行われる。この処理中に、処理室1内のプラズマ4は、プラズマ密度が多少小さくなるものの実際には開口部3を通じ弁体5近くまで広がることになる。このとき、プラズマ4より生成されたラジカルやイオンなどの反応性粒子が間隙7に入り込みOリング8をアタックすると、Oリング8の素材にある分子結合を切断し、Oリング8の表面などが劣化または磨耗する。また反応生成物のような微粒子が間隙7に入り込みOリング8に直接付着すると、Oリング8の弾性変形時などに、付着した微粒子や劣化したOリング8の成分が剥離する。
本発明では、上記の課題を解決するために、図1に示すように開口部からOリング8に至るまでの間に抑止部9を設けている。
すなわち、抑止部9は、弁体5側に設けられた凸部9Aと、弁座6側の前記凸部9Aに対抗した位置に設けられる凹部9Bよりなる。前記凸部9Aは、弁体5の表面から突出して設けられるとともに、図2Aに示すように、Oリングを嵌める溝よりも内側に、当該溝に沿って環状に設けられ、また、前記凹部9Bは、前記凸部9Aに対応して弁体5の表面から窪んだ形状で設けられる。ここで、図1の例とは逆に、図3に示すように凸部9Aを弁座6側に、また、凹部9Bを弁体5側にそれぞれ設けるようにしてもよいことは当然である。
凸部9Aおよび凹部9Bには弁体5または弁座6と同様にアルミニウムなどの金属を用いることができる。弁体5や弁座6の素材にはアルミニウムの他、ステンレスや、アルミニウムまたはステンレスをフッ素樹脂等でコーティングしたもの、アルミニウムをアルマイト処理したものなどを用いることができる。この凸部9Aや凹部9Bは、弁体5または弁座6を成形するときに同一の素材から切り出せばよい。あるいは凸部9Aの場合は、弁体5または弁座6上に凸部構成部材を接着することも可能である。図4Aは凸部および凹部周辺の構造の一例を拡大して示す。
弁体5または弁座6表面からの凸部9Aの高さおよび凹部9Bの深さは、例えば閉成した弁体5と弁座6との間隙7の長さ以下にする。この例では凸部9Aの高さと凹部9Bの深さは同じ長さである。凸部9Aの高さや凹部9Bの深さがその間隙7の長さ以下であれば、間隙7を保って弁体5と弁座6が接触しなければ、凸部9Aと凹部9Bも接触せず、接触による発塵の恐れを抑えることができる。
また、凸部9Aおよび凹部9Bの幅は特に限定されないが突部9Aの幅を例えば0.5mm程度にし、凹部9Bの幅をそれより若干広くするのが好ましい。
このような凸部9Aおよび凹部9Bを設けることで、開口部3の縁からOリング8に至る迄の間隙7に凹凸部を形成することになり、この凹凸部でラジカルやイオンが弁体5や弁座6に衝突し易くなり、Oリング8迄到達し難くなる。また弁体5または弁座6にOリング8を取り付ける位置が変わらなくても、開口部3からOリング8に至るまでの経路上の距離が凹凸を設けない場合よりも長くなる。このため、ラジカルやイオン、微粒子が開口部3からOリング8に至るまでに長距離を移動することになり、その間にラジカルやイオンは弁体5や弁座6に衝突したりお互いに衝突したりして失活する。また微粒子もOリング8に直接付着することがほとんどなくなる。その結果、これらの粒子がOリング8へ与えるダメージや微粒子のOリング8への付着が妨げられるので、Oリング8からの発塵がより確実に抑制される。
またOリング8のようにシール部材が環状であれば、この例のように抑止部9をその内周に沿って設けることで、シール部材全体にわたって発塵を抑制することができる。
閉じた状態の弁体5と弁座6との間隙7は、0.02〜0.20mmの幅にするのが好ましい。その間隙7が0.02mmよりも小さくなると、弁体5の閉成時に弁体5と弁座6が接触して金属塵を発生し易くなる。0.20mmを超えると、その間隙7にラジカルやイオンが入り込み易くなる。
このように抑止部9を設けることに加えて間隙7の幅を0.02〜0.20mm程度に調整することで、Oリング8からの発塵をさらに確実に抑制することができる。
凸部9Aの高さまたは凹部9Bの深さは、図4Bに示すように、閉成した弁体5と弁座6との間隙7を超える長さにすることもできる。弁体5を閉成する直前に弁座6に対してほとんど直角に弁体5が移動していれば、この場合でも凸部9Aと凹部9Bは接触しないことになる。凸部9Aの高さや凹部9Bの深さが大きくなれば、上記間隙7に形成される凹凸の度合が大きくなるので、ラジカルやイオンは失活し易くなり、また微粒子はOリング8に直接付着し難くなる。
なお、この実施の形態は、本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、その範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば上述の実施の形態では凸部9Aおよび凹部9Bを一組設けたが、開口部3の縁からOリング8に至るまでに複数組の凹部および凸部を設けるようにしてもよい。図5の例では、凸部および凹部を有する2組の抑止部91および92がOリング8に至るまでに設けられている。
また上述の実施の形態では、抑止部9が凸部9Aおよび凹部9Bを有したが、抑止部9に凸部9Aのみを設けることもできる。凸部9Aの対向部に凹部が設けられずその部分が平面となる場合には、凸部9Aのある位置で間隙7が狭くなるため弁体5と弁座6とが接触し易くなる。この接触を避けるには凸部9Aのある位置を基準に間隙7の長さを定めることになるが、凸部9AによってOリング8への粒子の到達は抑止される。
また上述の実施の形態では、弁体5または弁座6にOリング8が一つ取り付けられている例を説明したが、弁体5または弁座6にOリング8が複数取り付けられる装置にも本発明を適用することが可能である。同心円状に複数のOリングが配置される場合、抑止部9は最も内側のOリングに至るまでに設けるのが好ましい。図6の例では、2つのOリング81および82が弁体5に取り付けられており、内側のOリング81に至るまでに抑止部9が設けられている。このように開口部3に最も近いOリングに至るまでに抑止部を設けることにより、全てのOリングをその抑止部で保護することができる。
また上述の実施の形態では抑止部9が矩形の凸部9Aおよび凹部9Bを有したが、その凹凸は三角状に設けてもよいしその他の形状で設けてもよい。
さらに抑止部9が、図7に示すように、閉じた状態の弁体5と弁座6との間隙7に入り込んだラジカルやイオンが失活するのに必要な長さL1を有する平面部93を備えるようにしてもよい。この平面部93は少なくとも2.7mmの長さを有するのが好ましい。開口部3の縁からOリング8に至るまでの平面部93の長さは延長分の長さL2、ここでは少なくとも0.5mm延長されている。
このような平面部を設けることでも、ラジカルやイオンが失活するのでOリング8へのダメージが減少し、Oリング8の劣化が抑制される。また微粒子にとってもOリング8に到達するまでの移動距離が長くなるので、微粒子がOリング8に直接付着することも抑制される。その結果、Oリング8からの発塵を十分に低減することができる。
また、この実施の形態では、矩形の弁体の例を説明したが、これ以外に円形、長円形など、装置の処理室に応じた形状であってもよい。
また上述の実施の形態では本発明の弁構造をプラズマ処理装置に適用したが、真空室を備えたその他の装置にもその開口部について同様に適用することが可能である。
本発明にかかる弁構造は、Oリングの劣化を十分に抑制しそれに伴う発塵を低減することができるという効果を有し、プラズマを用いてドライエッチングやCVDなどの処理を行なう半導体製造装置や真空室を備えたその他の装置に有用である。
本発明の実施の形態におけるプラズマ処理装置の弁構造を示す側断面図 Oリングの取り付け状態を説明するための図 弁構造の別の例を示す側断面図 抑止部の構成例を拡大して示す図 複数の抑止部を設けた弁構造の例を示す図 複数のOリングが弁体に取り付けられた場合の抑止部の配置例を示す図 延長部を備えた抑止部を説明するための図
符号の説明
1 処理室
2 搬送室
3 開口部
4 プラズマ
5 弁体
6 弁座
7 間隙
8 Oリング
9 抑止部
9A 凸部
9B 凹部

Claims (8)

  1. プラズマ処理室の開口部を弁体とその弁体を受ける弁座で開閉するプラズマ処理装置において、
    閉成した弁体と弁座との間隙を塞いで処理室の気密を保つ弾性樹脂製のシール部材と、
    弁体と弁座との対向面上の開口端からシール部材に至るまでに設けられ、処理室からの粒子がその間隙を通じてシール部材へ到達するのを抑止する抑止部と
    を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記抑止部は、弁体を閉成したときに対向する凹部および凸部を有する請求項1記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記凹部の深さおよび前記凸部の高さは前記間隙の長さ以下である請求項2記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記抑止部は、複数のシール部材のうち最も開口部に近いシール部材に至るまでに設けられる請求項1記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記間隙は、0.02mmから0.20mmまでの長さを有する請求項1記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記抑止部は、開口部から前記間隙に入り込んだラジカルまたはイオンが失活するのに必要な長さを有する部分を備えた請求項1記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記必要な長さは少なくとも2.7mmである請求項6記載のプラズマ処理装置。
  8. 真空室の開口部を弁体とその弁体を受ける弁座で開閉する真空室の弁構造において、
    閉成した弁体と弁座との間隙を塞いで真空室の気密を保つシール部材と、
    弁体と弁座との対向面上の開口端からシール部材に至るまでに設けられ、真空室からの粒子がその間隙を通じてシール部材へ到達するのを抑止する抑止部と
    を備えることを特徴とする真空室の弁構造。
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