JP2006004826A - イオンビーム引出電極およびイオン注入装置 - Google Patents

イオンビーム引出電極およびイオン注入装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 寿命の長いイオンビーム引出電極およびイオン注入装置を提供する。
【解決手段】 イオン注入装置1は、引出電極20を備えている。引出電極20は、接地電極21および加速減速電極22を有している。接地電極21は、接地電位が与えられる電極であり、接地電極21a(第1接地電極)と接地電極21b(第2接地電極)とを有して構成されている。接地電極21aの材質は、ステンレス(SUS304)である。接地電極21bは、接地電極21aよりもイオンビームBの上流側に設けられており、材質はカーボンである。加速減速電極22は、接地電位に対して負電位が与えられる電極であり、接地電極21に対してイオンビームBの上流側に設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、イオンビーム引出電極およびイオン注入装置に関する。
従来のイオンビーム引出電極としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載の引出電極は、図10に示すように、接地電極102を備えている。接地電極102は、電極支持棒104等を介して、当該引出電極を変位させる電極駆動装置(図示せず)に接続されている。また、接地電極102には、イオンビームBの経路となる開口102aが形成されている。
接地電極102におけるイオンビームBの上流側となる面には、絶縁碍子106を介在させて、下流側からの電子の逆流を抑制するための抑制電極108が固定されている。この抑制電極108にも、イオンビームBの経路となる開口108aが形成されている。
これらの接地電極102および抑制電極108の材質としては、アルミニウムまたはカーボンが用いられている。
特開2001−202896号公報
しかしながら、接地電極102の材質がアルミニウム等の金属の場合、接地電極102と抑制電極108との間で通電(ショート)が起こるという問題がある。その原因としては、例えば、接地電極102上へのイオン生成膜の堆積、剥がれ等が挙げられる。また、イオンビームの照射により接地電極102の表面が削られ、削り取られた金属成分が接地電極102等に付着、堆積することもショートの一因である。
これに対し、接地電極102の材質がカーボンの場合、イオンビームの照射による削れ量が金属に比べて極小である。また、削り取られたカーボンは、金属にもカーボン自体にも付着しにくい。仮に付着しても、付着面に黒い煤が付着する程度であり、膜が形成されるまでには至らない。したがって、上述のショートの問題を抑制するという観点からは、接地電極102の材質としては金属よりもカーボンの方が適している。
ところが、カーボンは、かかる利点を持つ一方で、金属に比して機械的強度が弱いという欠点がある。特に、図10の引出電極においては、接地電極102が電極支持棒104等との直接の結合部分になっているため、接地電極102には高い機械的強度が要求される。
かかる機械的強度の問題は、ショートの問題と共に、引出電極の寿命を低下させる要因である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、寿命の長いイオンビーム引出電極およびイオン注入装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によるイオンビーム引出電極は、イオンビームを引き出す引出電極であって、接地電位が与えられる接地電極と、接地電極よりもイオンビームの上流側に設けられ、接地電位に対して負電位が与えられる加速減速電極と、を備え、接地電極は、第1の材質をもつ第1接地電極と、第1接地電極の上流側に設けられ、第1の材質とは異なる第2の材質をもつ第2接地電極と、を有して構成されていることを特徴とする。
このイオンビーム引出電極においては、接地電極が、相異なる材質の第1および第2の接地電極を有して構成されている。これにより、例えば第1の材質を金属に、第2の材質をカーボンにするというように、第1接地電極に機械的強度の高い材質を用い、加速減速電極側に位置する第2接地電極にショートの問題を防ぐのに適した材質を用いることが可能となる。したがって、ショートの問題を抑制しつつも機械的強度の高い引出電極が実現される。
本発明によるイオンビーム引出電極は、イオンビームに面する、第1接地電極の内面に設けられ、当該内面にイオンビームが照射されるのを防止する第1保護部材を備えていてもよい。この場合、第1接地電極にイオンビームが照射されるのを防ぐことにより、加速減速電極と接地電極との間のショートを一層効果的に抑制することができる。
本発明によるイオンビーム引出電極は、接地電極と加速減速電極とを電気的に絶縁する絶縁部材と、絶縁部材の少なくとも一部を囲むように設けられ、当該絶縁部材にイオンビームが照射されるのを防止する、絶縁性の第2保護部材と、を備えていてもよい。絶縁部材にイオンビームが照射されると、絶縁部材の表面へのイオン生成膜の付着や、絶縁部材の焼けの発生につながる。これらは、加速減速電極と接地電極とがショートする原因となり得る。この点、第2保護部材を設けることにより、かかる問題を抑制することができる。
また、本発明によるイオン注入装置は、上記イオンビーム引出電極と、イオンビームを発生させるイオンビーム発生手段と、を備えることを特徴とする。このイオン注入装置においては、引出電極の接地電極が、相異なる材質の第1および第2の接地電極を有して構成されている。これにより、第1接地電極に機械的強度の高い材質を用い、加速減速電極側に位置する第2接地電極にショートの問題を防ぐのに適した材質を用いることが可能となる。したがって、ショートの問題を抑制しつつも機械的強度の高いイオン注入装置が実現される。
本発明によれば、寿命の長いイオンビーム引出電極およびイオン注入装置が実現される。
以下、図面を参照しつつ、本発明によるイオンビーム引出電極およびイオン注入装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明によるイオン注入装置の一実施形態を示す断面図である。イオン注入装置1は、イオンビーム発生器10および引出電極20を備えている。イオンビーム発生器10は、イオンビームBを発生させるイオンビーム発生手段である。イオンビーム発生器10および引出電極20は真空チャンバ32内に収納されており、イオンビーム発生器10から発生したイオンビームBは、引出電極20によって引き出される。
引出電極20は、接地電極21、加速減速電極22、電極支持板23、加速減速電極支持棒24、電極スペーサ25、インライナー26(第1保護部材)、カラー27(第2保護部材)およびインライナー28(第3保護部材)を有している。接地電極21は、接地電位が与えられる電極であり、接地電極21a(第1接地電極)と接地電極21b(第2接地電極)とを有して構成されている。接地電極21aの材質は、ステンレス(SUS304)である。接地電極21bは、接地電極21aよりもイオンビームBの上流側に設けられており、材質はカーボンである。接地電極21bの厚さは、例えば6mmとされる。
加速減速電極22は、接地電位に対して負電位が与えられる電極であり、接地電極21に対してイオンビームBの上流側に設けられている。加速減速電極22の材質としては、例えばカーボンが用いられる。
加速減速電極22は、加速減速電極支持棒24を介して電極支持板23に固定されている。電極支持板23および加速減速電極支持棒24の材質としては、共に例えばSUS304である。
電極支持板23は、電極スペーサ25を介して接地電極21に固定されている。この電極スペーサ25は、接地電極21と加速減速電極22とを絶縁する絶縁部材であり、材質は例えばセラミックである。また、電極スペーサ25は、イオンビームBの進行方向と略平行な中心軸をもつ柱状をしている。
インライナー26は、イオンビームBに面する接地電極21aの内面に設けられており、その内面にイオンビームBが照射されるのを防いでいる。インライナー26の材質は、カーボンである。インライナー26のリム幅は、例えば5mmとされる。
カラー27は、電極スペーサ25を囲むように設けられており、電極スペーサ25にイオンビームBが照射されるのを防いでいる。具体的は、電極スペーサ25は、電極支持板23側の底面から側面にかけて、カラー27によって覆われている。カラー27の材質は、絶縁性であり、例えばセラミックである。
インライナー28は、電極支持板23に対してイオンビームBの下流側に設けられており、材質はカーボンである。
また、イオン注入装置1は、電極支持金具31、真空チャンバ32、ベローズ33および電極駆動部34を備えている。上述の接地電極21aは、電極支持金具31と着脱可能に結合されており、これにより真空チャンバ32内で機械的に支持されている。電極支持金具31を加速減速電極22ではなく接地電極21に結合しているのは、接地電極21が接地電位であり、電極支持金具31およびそれに結合された部分の電気的絶縁が不要だからである。電極支持金具31が真空チャンバ32を貫通する部分は、ベローズ33によって真空シールされている。
電極支持金具31は、ベローズ33内を通って電極駆動部34へと連結されている。電極駆動部34は、引出電極20を、イオンビーム発生器10に対して前後、左右および上下の3方向に変位させることができる。ここで、前後方向は、イオンビームBの進行方向に垂直な方向(図1中の左右方向)、左右方向は図1中の奥行き方向、上下方向は図1中の上下方向である。
接地電極21bを上流側および下流側それぞれから見た様子を図2に示す。図2中の左端の図が前者を表し、中央の図が後者を表している。前者の図においては接地電極21bと共に加速減速電極22が図示されており、後者においては接地電極21bと共にインライナー26が図示されている。また、接地電極21b単独の構成を図3に示す。インライナー26およびインライナー28の構成をそれぞれ図4および図5に示す。
かかる構成のイオン注入装置1においては、例えば加速減速電極22に−2kVの電位が印加される。これにより、イオンビームBが収束されるとともに、電子の流入防止およびX線の発生防止が図られる。
続いて、イオン注入装置1の効果を説明する。イオン注入装置1においては、接地電極が、相異なる材質の接地電極21a,21bを有して構成されている。これにより、接地電極21aに機械的強度の高い材質を用い、接地電極21bにショートの問題を防ぐのに適した材質を用いることが可能となる。実際、本実施形態においては、接地電極21aの材質をSUS304とし、接地電極21bの材質をカーボンとしている。したがって、ショートの問題を抑制しつつも機械的強度の高い引出電極が実現されている。
引出電極系を構成する接地電極21a,接地電極21bおよび加速減速電極22の材質をカーボンまたはSUS系とする事によって、各電極21a,21b,22を構成する元素の1価イオン、あるいはその他の価数のイオンによるコンタミネーションの発生を防止することができる。
ところで、コンタミネーションの発生を防止するためだけであれば、接地電極21a,接地電極21bおよび加速減速電極22の材質は上述のようにカーボンまたはSUS系の何れでも良いが、SUS系は機械的強度が高くて構造材に適している反面、高温度中では金属膜剥離、溶着を発生させる。反対に、カーボンは機械的強度の点では構造材にあまり適していない反面、耐熱性が高く溶着されない性質を有している。
かかる理由から、接地電極21における電極支持金具31との結合部を強化し、位置ずれを発生させないことが必要であるため、接地電極21aの材質はSUS系としている。また、接地電極21bおよびインライナー28の材質をカーボンとすることにより、金属膜剥離、溶着を防いでいる。さらに、インライナー26を設けることにより、接地電極21a内を通過するイオンビームBが中央スリットに接触するのを防止している。
このように、イオン注入装置1の引出電極20においては、接地電極21を接地電極21aと接地電極21bとの2層構造とするとともに、イオンビームBに直接接触する箇所を全てカーボンとしている。イオンビームBに当たる部分をカーボンとする事で、金属間放電によるスパッタを低減させ、更にスパッタされた金属が接地電極21aに付着・堆積するのを防ぐことができる。
また、接地電極21aと加速減速電極22とは加速減速電極支持棒24によって連結されているが、これらは通電されてはならない。そのため、接地電極21aと電極支持板23との間に絶縁性の電極スペーサ25を設けることにより、接地電極21aと加速減速電極22との間の電気的絶縁を図っている。
しかしながら、絶縁部材(引出電極20では電極スペーサ25がこれに相当する)が設けられた従来の引出電極においては、次のような問題があった。すなわち、絶縁部材の表面へのイオン生成膜の付着やイオンビーム照射による焼けのため、結果的に加速減速電極と接地電極とがショート状態となってしまう。すると、イオンビームが接地電極からGND部へ流れてしまい、通常の軌道から外れてしまう事で、イオンビームが極端に低下し、再復帰が不可能となる。加速減速電極と接地電極との間で数100MΩ以上の絶縁が取れなくなった状態では安全機能が働き、電源投入すら不可能となる場合がある。
これに対し、イオン注入装置1においては、電極スペーサ25を覆うようにカラー27を設けている。これにより、電極スペーサ25にイオンビームBが直接当たることを防いでいる。また、カラー27により絶縁面積を増大させ、電極支持板23から接地電極21aまでの直線距離を伸ばした事で、電極スペーサ25の時間的寿命を飛躍的に向上させている。
前述した内容を詳述すると、加速減速電極22及び接地電極21bは共に、イオンビームBの照射によって熱を受け、加熱される。しかも接地電極21bと接地電極21aは電極スペーサ25を介して加速減速電極22を支持すると共に、引出電極本体を電極支持金具31に連結して支持させ、前後、左右、上下動作の働きもするので、機械的強度が要求される。それゆえ、接地電極21aには機械的強度が高くて構造材に適したSUS系を用いるのが好ましい。
また、耐熱性との関連ではSUS系は熱伝導率が小さく高温部での使用にも適している。更に電極駆動部34には冷却水によって、うまい具合いに電極支持金具31を直接または間接的に容易に冷却する事が出来、接地電極21aの冷却につながる。
しかも、接地電極21aは接地電位である為、冷却機構の電気絶縁が不要であり、この点からも接地電極21aの冷却は容易である。一方、接地電極21bは接地電極21aに直接固定されているだけであるが、電極駆動部34との連結には関係していないので、接地電極21aほどの強度は要求されない。こういったことから、接地電極21bはSUS系よりも耐熱性に優れ、溶着しにくいカーボンを用いるのが好ましい。
しかし、金属間放電による溶着(スパッタ)を考えると接地電極部材を2層に重ねただけでは、イオンビームの通過点となる接地電極21aの中央開口部面においてSUS材がむき出しになり、イオンビームの軌道に悪影響を及ぼしかねない。そこで、カーボン材のインライナー26を挿入し、更にカーボン材のインライナー28をイオンビームBの下流側に装着し、イオンビームBが金属材に接触しない構造となっている。
図6は、比較例に係るイオン注入装置を示す断面図である。引出電極70は真空チャンバ82内に収納されている。この例では接地電位の接地電極71と加速減速電極72とを電極スペーサ73(セラミック)を介して連結し、この加速減速電極72に−2kVを印加することで、電子の流れ込みを防止する事と、X線発生防止、及びイオンビームBの収束を行う。 なお、この図においては、イオンビーム発生器の図示を省略している。接地電極71を上流側から見た様子を図7に示す。この図においては接地電極71と共に加速減速電極72が図示されている。
接地電極71に結合された電極支持金具81は着脱可能であり、真空チャンバ82内に機械的に支持されている。この例では接地電極71と電極支持金具81との間で着脱可能となっている。更に、この電極支持金具81は電極駆動部84に連結されており、引出電極70本体を前後、左右、上下の3方向に動作させる。動作させる目的は、イオンビームBを効率良く引出電極70の中央に収束させ、前述したX線を抑制し、ビーム電流を安定化させることにある。
よって、接地電極71は電極駆動部84に連結され、GNDレベルであり、加速減速電極72は必ず宙に浮いた状態でなければならない。加速減速電極72は、加速減速電極支持棒75を介して電極支持板74に固定されている。
また、電極支持金具81が真空チャンバ82を貫通する部分はベローズ83によって真空シールされている。
このような引出電極系を構成する加速減速電極72を金属材にせずカーボンとする事で、構成材のイオンによるコンタミネーションの発生を防止している。
接地電極71内を通過したイオンビームは、接地電極76内を通り、下流側へ進む事になる。
以下に引出電極70の構成部品の材質を示す。
接地電極71(SS400)
加速減速電極72(カーボン)
電極スペーサ73(セラミック)
電極支持板74(SUS304)
加速減速電極支持棒75(SUS304)
接地電極76(SS400)
図8は、図6に示す引出電極70におけるショートの発生件数を示すグラフである。グラフからわかるように、比較例に係る引出電極70では、月平均4.7件もの故障を招き、引出電極70の交換に多大な時間および費用を要していた。このような頻度でショートが発生すると、設備停止時間の長期化、および部品待ちといったことが頻繁に発生し、生産を阻害していた。
従来の引出電極において問題となっている2箇所のショート箇所を図9に示す。 図9のショート箇所1の問題としては、電極スペーサの表面の焼けや、イオン生成膜付着によるショートであった。そこで、この電極スペーサを汚さない、イオンビームを直接当てないようにする為、イオン注入装置1においては電極スペーサ25の周囲をセラミック製のカラー27で覆った。カラー27も電極スペーサ25と同様、セラミックにした事で絶縁面積を増大させ、また電極スペーサ自体は汚れることなく、長期間絶縁を保つ事ができる。
図9のショート箇所2の問題としては、従来の接地電極部が鉄(SS400)であったことからイオンビームの衝突により、接地電極(図6の接地電極71)表面がスパッタされ、当該表面に溶着し、これが堆積したり、温度変化や真空チャンバ内の圧力変化による溶着膜剥がれによって、加速減速電極72裏面と接地電極71表面とが、このイオン生成膜によってショートされた状態となっていた。
引出電極によって引き出されるイオンビームは必ずしも引出電極中央を通過するとは限らず、通過できなかったイオンビームは引出電極部品、あるいは真空チャンバに衝突しているのである。
そこで、接地電極表面にイオン生成膜や金属剥離膜が付着堆積しないように、イオン注入装置1においては接地電極21bの材質をカーボンとした。カーボンであればイオンビームが衝突して表面が削られた場合でも、削り取られたカーボンは金属にもカーボン自体にも付着しない性質である為、ほとんど心配はいらない。すなわち、カーボンは付着しても表面に黒く煤が付着した形となり、膜を形成することはない。また、カーボン(C)と金属(SUS系)とを分子レベルで比較すると、カーボンは極小さく軽いという事で、削れ量または損傷量が金属より極小である。また、カーボンの場合、削れたもの自体の総量も少なく、エネルギーを持っていない。したがって、削り取られたカーボンは、電位差より先へ進むことがなく、自重で下に落ちるか、真空チャンバ内の雰囲気中を浮遊する。カーボンの消耗速度は金属(SUS系)の約1/2である。さらに、カーボンは材質上、熱により溶解することがないので、他材料に溶着することはない。一方、金属の場合は別である。金属はイオンビームによってスパッタされ、剥がされた金属はカーボンに付着する。
また、イオン注入装置1においては、接地電極21bの厚さを6mmとする事で、強度はイオンビームの衝突によるダメージに耐え、接地電極21aへの熱伝導も低下し、金属間での異常放電を安定させ、長期使用に役立っている。よって、イオンビームの通過経路には金属材を使用しない事が重要である。
さらに、インライナー26を追加し、接地電極21aの中央開口部にイオンビームが当たらないようにした。また、このインライナー26のリム幅は5mmとなっており、連続でイオンビームを当て続けた場合でも90日以上の連続使用が可能である。
また、図6の引出電極70においては接地電極76の材質を鉄(SS400)としているが、イオン注入装置1においてはこれをカーボン材のインライナー28へと変更している。
図9に示す2箇所の短期ショートによる不具合から、従来は消耗時の部品交換にも問題があった。図6を参照しつつ説明すると、従来は加速減速電極72、接地電極71、電極スペーサ73、接地電極76を交換していて、多額の再生費用がかかっていた。
イオン注入装置1において交換部品は、図1を参照しつつ説明すると、加速減速電極22、インライナー26、インライナー28(左右2枚のみで足りる)で、価格もカーボンの為、非常に安価となった。
以上のように、イオン注入装置1においては、イオンビームBを引き出す引出電極20において、その接地電極21b、インライナー26およびインライナー28の材質をカーボンとした。また、接地電極21と加速減速電極22とを絶縁させる為に付いている電極スペーサ25にセラミック製のカラー27を追加した。これらにより、引出電極20の異常ショートを効果的に防止される。さらに、イオンビームBが直接当たる部分のカーボン材の寸法を長期使用を想定した寸法とした事で、設備の安定可動はもちろん、工数削減が期待できる。
また、従来金属材質の引出電極では、イオンビームによるスパッタを受け、57Fe+、58Fe+がイオンビーム中混入によるコンタミネーションが発生する事は避けられなかったが、イオン注入装置1においてはコンタミネーションの心配は限りなく小さくなった。
本発明によるイオン注入装置の一実施形態を示す断面図である。 第2接地電極を上流側および下流側それぞれから見た様子を示す図である。 第2接地電極の構成を示す図である。 第1保護部材の構成を示す図である。 第3保護部材の構成を示す図である。 比較例に係るイオン注入装置を示す断面図である。 接地電極71を上流側から見た様子を示す図である。 図6に示す引出電極70におけるショートの発生件数を示すグラフである。 従来の引出電極におけるショートの発生箇所を説明するための図である。 従来のイオンビーム引出電極を示す図である。
符号の説明
1 イオン注入装置
10 イオンビーム発生器
20 引出電極
21 接地電極
21a 接地電極
21b 接地電極
22 加速減速電極
23 電極支持板
24 加速減速電極支持棒
25 電極スペーサ
26 インライナー
27 カラー
28 インライナー
31 電極支持金具
32 真空チャンバ
33 ベローズ
34 電極駆動部
70 引出電極
71 接地電極
72 加速減速電極
73 電極スペーサ
74 電極支持板
75 加速減速電極支持棒
76 接地電極
81 電極支持金具
82 真空チャンバ
83 ベローズ
84 電極駆動部

Claims (5)

  1. イオンビームを引き出す引出電極であって、
    接地電位が与えられる接地電極と、
    前記接地電極よりも前記イオンビームの上流側に設けられ、前記接地電位に対して負電位が与えられる加速減速電極と、を備え、
    前記接地電極は、第1の材質をもつ第1接地電極と、前記第1接地電極の前記上流側に設けられ、前記第1の材質とは異なる第2の材質をもつ第2接地電極と、を有して構成されていることを特徴とするイオンビーム引出電極。
  2. 請求項1に記載のイオンビーム引出電極において、
    前記第1の材質は金属であり、前記第2の材質はカーボンであるイオンビーム引出電極。
  3. 請求項1または2に記載のイオンビーム引出電極において、
    前記イオンビームに面する、前記第1接地電極の内面に設けられ、当該内面に前記イオンビームが照射されるのを防止する第1保護部材を備え、
    前記第1保護部材の材質はカーボンであるイオンビーム引出電極。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のイオンビーム引出電極において、
    前記接地電極と前記加速減速電極とを電気的に絶縁する絶縁部材と、
    前記絶縁部材の少なくとも一部を囲むように設けられ、当該絶縁部材に前記イオンビームが照射されるのを防止する、絶縁性の第2保護部材と、を備えるイオンビーム引出電極。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のイオンビーム引出電極と、前記イオンビームを発生させるイオンビーム発生手段と、を備えることを特徴とするイオン注入装置。
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