JP2006004735A - 固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法および固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス拡散基材の繊維の飛び出しによる高分子電解質膜へのダメージを低減する。
【解決手段】高分子薄膜2をガス拡散基材1上に配して、高分子薄膜2の溶融温度以上に加熱しながら、高分子薄膜2とガス拡散基材1を加圧してガス拡散層7を形成する工程を有する。
【選択図】図1
【解決手段】高分子薄膜2をガス拡散基材1上に配して、高分子薄膜2の溶融温度以上に加熱しながら、高分子薄膜2とガス拡散基材1を加圧してガス拡散層7を形成する工程を有する。
【選択図】図1
Description
この発明は、固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法および固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜の両面に触媒層、ガス拡散層を形成して、燃料極(アノード極)、酸化剤極(カソード極)を形成しているが、燃料極に水素、酸化剤極に空気または酸素を利用する燃料電池においては、カソード極で水が生成すると共に、液水の生成しやすい高加湿および高電流密度運転時には、カソードの生成水が電極層にたまり、生成水に阻害されて反応物が電極に十分に供給されず、電池出力が低下する(フラッディング現象)。
そのため、燃料電池の高出力化のためには、ガス流路からの水の排出が必要であり、排水性を向上させるために、疎水性の高分子材料を付加したガス拡散基材上に、カーボン撥水層を設ける手法がとられている。その製造手法として、ガス拡散基材を疎水性高分子材料液中に浸漬して、ガス拡散基材を疎水処理し、さらにカーボン粉末と疎水性高分子材料の混合液をその基材上に塗布してカーボン撥水層を形成して、その後、焼成することにより、ガス拡散層を形成するものがある(例えば、特許文献1)。
特開2002−56851号
しかし、この手法では、ガス拡散基材から繊維が飛び出している基材に対しては、その飛び出した繊維をカーボン撥水層で完全に抑えきれないため、形成されたガス拡散層から、繊維が飛び出し、燃料電池セルを形成した際に電解質膜にダメージを与え、燃料ガスがクロスリークし、電圧の低下を引き起こす問題がある。
この発明は、このような問題点を解決することを目的としている。
本発明における固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法は、高分子薄膜をガス拡散基材上に配して、高分子薄膜の溶融温度以上に加熱しながら、高分子薄膜とガス拡散基材を加圧してガス拡散層を形成する工程を有する。
本発明における固体高分子型燃料電池は、前記工程を有する製造方法によって製造したガス拡散層を用いる。
本発明の固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法によれば、ガス拡散基材の繊維の飛び出しを抑制することができ、スタッキングの際の高分子電解質膜へのダメージを低減することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池によれば、高い信頼性を確保することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(A)、(B)において、1はガス拡散基材を示す。
ガス拡散基材1には、カーボンフェルト、カーボンクロス等を用いる。
このガス拡散基材1は、その表面から繊維の毛羽立ち3がある。この毛羽立ち3はスタッキングの際にフッ素樹脂系イオン交換膜等からなる高分子電解質膜(図示しない)を損傷させるため、以下の工法を行う。
図1(A)のように、ガス拡散基材1の高分子電解質膜と接触する側に、高分子薄膜、この場合疎水性を有するテフロン(登録商標)薄膜2を配置する。
その配置後、加熱圧縮機によって、テフロン薄膜2の溶融温度350℃以上で加熱しながら、加圧を行う(ホットプレス処理)。
加圧条件は繊維の毛羽立ち3をガス拡散基材1中に押し込める圧力があればよく、この場合2MPaとした。
このようにして、ガス拡散基材1の繊維の毛羽立ち3を抑制すると共に、疎水性を有するテフロン薄膜2がガス拡散基材1中に溶解することで、ガス拡散基材1の撥水処理を同時に行える。
この工程によって得たガス拡散層7は、図1(B)のようにガス拡散基材1の繊維の飛び出しを抑えて、スタッキングの際の高分子電解質膜へのダメージを低減することができる。
そして、このガス拡散層7にカーボン粉末を塗布し、カーボン撥水層(図示しない)を形成する。
このようにガス拡散層7を形成するため、高い撥水性を確実に確保でき、燃料電池に用いた場合、生成水の溜まり易い高加湿条件および高電流密度条件におけるフラッディングを抑制することができる。
図4に従来のガス拡散層50の繊維51の飛び出し状態を示す。従来のものは、カーボン撥水層52を形成しても飛び出した繊維51を抑え切れず、スタッキングの際に高分子電解質膜にダメージを与えてしまう。
次に、第2の実施形態を説明する。
図2(A)、(B)、(C)において、1はガス拡散基材を、2は高分子薄膜のテフロン薄膜を示す。
前記第1の実施形態との違いは、図2(A)に示すテフロン薄膜2にあらかじめカーボン撥水粉末5を塗布してカーボン撥水層6を形成する工程を有する。塗布方法は、スラリー状態のカーボン撥水インクをバーコータ等の薬品を塗布する装置のコータで塗布する。
この後の処理方法は、前記第1の実施形態と同様であり、図2(B)のように、そのカーボン撥水粉末5を塗布したテフロン薄膜2を、ガス拡散基材1の高分子電解質膜と接触する側に配して、ホットプレス処理を行う。ホットプレス処理条件は前記第1の実施形態と同様である。
このホットプレス処理により、テフロン薄膜2をガス拡散基材1中に溶解すると共に、図2(C)のようにカーボン撥水層6を焼成したガス拡散層8を形成する。
すなわち、ガス拡散基材1の毛羽立ち3は、テフロン薄膜2により抑制され、その上からカーボン撥水粉末5を塗布した状態になるので、カーボン撥水層6の表面には毛が飛び出さない。さらに、テフロン薄膜2によりガス拡散基材1の撥水処理も同時に行うことによりガス拡散層8を得る。さらに、テフロン薄膜2は粘着性を有しているために、ガス拡散基材1とカーボン撥水層6との結合剤にもなり、密着性が向上する。
したがって、高い撥水性を確実に確保でき、燃料電池に用いた場合、生成水の排水性が向上すると共に、耐久性が向上する。
次に、第3の実施形態を説明する。
図3(A)、(B)において、1はガス拡散基材を、2は高分子薄膜のテフロン薄膜を示す。
前記第2の実施形態との違いは、図3(A)のように、テフロン薄膜2を複数備え、各テフロン薄膜2にカーボン撥水粉末5を塗布してカーボン撥水層6を形成する工程を有する。塗布方法は、前記第2の実施形態と同様にスラリー状態のカーボン撥水インクをバーコータ等の薬品を塗布する装置のコータで塗布する。
この後の処理方法は、カーボン撥水粉末5を塗布した複数のテフロン薄膜2を、ガス拡散基材1の高分子電解質膜と接触する側に重ねて配して、ホットプレス処理を行う。ホットプレス処理条件は前記第1の実施形態と同様である。
このホットプレス処理により、下層側のテフロン薄膜2をガス拡散基材1中に溶解すると共に、図3(B)のようにテフロン薄膜2を含みカーボン撥水層6を焼成したガス拡散層9を形成する。
すなわち、ガス拡散基材1の毛羽立ち3は、複数のテフロン薄膜2により抑制され、カーボン撥水層6の表面には毛が飛び出さない。さらに、テフロン薄膜2によりガス拡散基材1の撥水処理も同時に行うことによりガス拡散層9を得る。さらに、テフロン薄膜2は粘着性を有しているために、ガス拡散基材1とカーボン撥水層6との結合剤にもなり、密着性が向上する。
この一方、カーボン撥水層6の中に、複数のテフロン薄膜2が存在することになるので、カーボン撥水粉末5は、あらかじめ、疎水剤と混合する必要はなく、カーボン粉末のみで構成しても、テフロン薄膜2が溶融した際に、カーボン粉末に撥水効果をもたらすことができる。
したがって、高い撥水性を一層確実に確保でき、燃料電池に用いた場合、生成水の排水性、耐久性が一層向上する。
図示しないが、各ガス拡散層7、8、9は、固体高分子型燃料電池の燃料極(アノード極)、酸化剤極(カソード極)に用いることができ、各ガス拡散層7、8、9を用いて固体高分子型燃料電池を形成すれば、固体高分子型燃料電池のフラッディング現象を低減でき、高い信頼性を確保することができる。
車両ならびに車両以外の燃料電池に適用できる。
1 ガス拡散基材
2 テフロン薄膜
6 カーボン撥水層
7〜9 ガス拡散層
2 テフロン薄膜
6 カーボン撥水層
7〜9 ガス拡散層
Claims (8)
- 固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法において、
高分子薄膜をガス拡散基材上に配して、高分子薄膜の溶融温度以上に加熱しながら、高分子薄膜とガス拡散基材を加圧してガス拡散層を形成する工程を有することを特徴とする固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法。 - 前記高分子薄膜は疎水性を有する材料にて形成することを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法。
- 前記工程によって形成したガス拡散層にカーボン粉末を塗布し、カーボン撥水層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法。
- 固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法において、
高分子薄膜上にカーボン粉末を塗布することによりカーボン撥水層を形成する工程と、
このカーボン撥水層を形成した高分子薄膜をガス拡散基材上に配して、高分子薄膜の溶融温度以上に加熱しながら、カーボン撥水層を形成した高分子薄膜とガス拡散基材を加圧してガス拡散層を形成する工程とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法。 - 固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法において、
高分子薄膜上にカーボン粉末を塗布することによりカーボン撥水層を形成する工程と、
このカーボン撥水層を形成した複数の高分子薄膜をガス拡散基材上に配して、高分子薄膜の溶融温度以上に加熱しながら、カーボン撥水層を形成した複数の高分子薄膜とガス拡散基材を加圧してガス拡散層を形成する工程とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法。 - 前記高分子薄膜は疎水性を有する材料にて形成することを特徴とする請求項4または5に記載の固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法。
- 前記高分子薄膜は粘着性を有する材料にて形成することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかの製造方法によって製造したガス拡散層を用いたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004179396A JP2006004735A (ja) | 2004-06-17 | 2004-06-17 | 固体高分子型燃料電池のガス拡散層の製造方法および固体高分子型燃料電池 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9570758B2 (en) | 2010-07-05 | 2017-02-14 | Nippon Soken, Inc. | Manufacturing method and manufacturing apparatus for gas diffusion layer of fuel cell, and fuel cell |
-
2004
- 2004-06-17 JP JP2004179396A patent/JP2006004735A/ja active Pending
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