JP2006003657A - 導電性パターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フッ素化合物などの強撥油性を示す化合物を用いたパターン状の撥油性領域を備えるパターン材料を、容易に、かつ、効率よく形成し、そのパターン材料を用いて、高精度な導電性パターンを容易に形成し得る導電性パターン形成方法を提供する。
【解決手段】 基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程と、該撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とが形成された基材上に、気相堆積膜形成法により導電性素材層を形成する工程と、該導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程と、をこの順に行うことを特徴とする導電性パターン形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程と、該撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とが形成された基材上に、気相堆積膜形成法により導電性素材層を形成する工程と、該導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程と、をこの順に行うことを特徴とする導電性パターン形成方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、撥油性を有する化合物を用いた導電性パターン形成方法に関する。
従来より、フッ素化合物などの強撥油性を示す化合物を用いたパターン状の撥油性領域を備えるパターン材料には、例えば、薄層のエッチングレジストや、インクジェット法等により液滴を適所に配置するためのテンプレートなどの多岐の用途がある。特に、パターン材料をテンプレートとして用いると、精度の高い導電性パターンが形成されることが知られている。
このようなパターン材料の形成方法として、具体的には、例えば、フッ化アルキルシラン等の単分子層を気相成長(CVD)によって基板全面に形成し、ガラスマスクを介して短波長の紫外線を照射することで照射領域の単分子層を分解除去してパターンを形成する方法(例えば、特許文献1参照。)、基材上に加水分解性基と撥油性基とを有するシラン化合物を結合させて単分子層を形成し、アルカリ液をインクジェットで基板上にパターン塗布してその領域の単分子層を加水分解作用により除去する方法(例えば、特許文献2参照。)、基材表面にフッ素ポリマーを塗布した後、レジストを用いてエッチングによりフッ素ポリマーを局所的に除去する方法(例えば、特許文献3参照。)などが提案されている。
一方、従来、金属配線に代表される導電性パターンの形成方法としては、例えば、基板上に設けられた銅層の上にレジストパターンを形成し、エッチングして銅配線を形成するといった方法がある(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、これらの方法は、微細配線の形成という点で不利であり、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に得ることは困難であった。
以上のように、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に形成し得る方法については、未だ提供されていないのが現状である。
特開2000−282240公報
特開2003−149831公報
特開平11−40548号公報
高木清 著、「よくわかるプリント配線板のできるまで」、日刊工業新聞社、2003年
以上のように、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に形成し得る方法については、未だ提供されていないのが現状である。
本発明は、前記従来の問題点を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
本発明の目的は、フッ素化合物などの強撥油性を示す化合物を用いたパターン状の撥油性領域を備えるパターン材料を、容易に、かつ、効率よく形成し、そのパターン材料を用いて、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に形成し得る導電性パターン形成方法を提供することにある。
本発明の目的は、フッ素化合物などの強撥油性を示す化合物を用いたパターン状の撥油性領域を備えるパターン材料を、容易に、かつ、効率よく形成し、そのパターン材料を用いて、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に形成し得る導電性パターン形成方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、フッ素化合物などの強撥油性官能基を有する化合物が、基材上にパターン状に形成されたパターン材料を用い、そのパターン材料に気相堆積膜形成法により導電性素材層を形成することにより、上記目的を達成しうることを見出して本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の導電性パターン形成方法は、基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程と、該撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とが形成された基材上に、気相堆積膜形成法により導電性素材層を形成する工程と、該導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程と、をこの順に行うことを特徴とする導電性パターン形成方法である。
基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とを形成する工程の態様としては、以下の(1)又は(2)の態様が好ましい。
(1)基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物をパターン状に結合させる工程と、前記基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、全面露光を行い、光開裂が生起した前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させて、当該基材表面にグラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程を含む態様。
ここで、基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物(以下、適宜、「光開裂化合物」と称する。)をパターン状に結合させる工程には、特に制限はなく、例えば、基材表面全体に光開裂化合物を結合させた後、パターン露光により露光領域の重合開始部位を分解(失活)させる方法や、マイクロコンタクトプリンティングによりパターン状に光開裂化合物を基材表面に付着させ、結合させる方法などを用いることができる。
なお、得られるパターンの解像度及びデジタルデータへの応用を考慮すれば、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物をパターン状に結合させる工程としては、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材表面に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の前記重合開始部位を失活させる工程と、を含む態様であることが好ましい。
なお、得られるパターンの解像度及びデジタルデータへの応用を考慮すれば、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物をパターン状に結合させる工程としては、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材表面に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の前記重合開始部位を失活させる工程と、を含む態様であることが好ましい。
(2)基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を結合させる工程と、前記基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、パターン露光を行い、光開裂が生起した露光領域の前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させて、当該基材表面にグラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、を含む態様。
。
前記重合開始活性点を生じうる前記重合開始部位としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合からなる群より選択されるいずれかを含むことが好ましい態様である。
前記重合開始活性点を生じうる前記重合開始部位としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合からなる群より選択されるいずれかを含むことが好ましい態様である。
また、基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とを形成する工程の態様としては、下記(3)の態様を適用することもできる
(3)基材上に、撥油性の官能基を有する化合物を含む単分子層を形成した後、該単分子層にパターン露光を行い、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とを形成する工程を含む態様。
(3)基材上に、撥油性の官能基を有する化合物を含む単分子層を形成した後、該単分子層にパターン露光を行い、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とを形成する工程を含む態様。
本発明においては、上記(1)乃至(3)の態様の中でも、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に形成する観点からは、上記(1)及び(2)の態様であることが特に好ましい。
上記(1)又は(2)の態様におけるグラフトポリマーの生成は、上記いずれの態様においても、露光により光開裂が生起した重合開始部位を起点として、フリーラジカル重合を用いた重合反応で行われるため、重合速度が速く、また、重合反応に厳密な制御を必要としない。そのため、基材表面には、容易に、高撥油性を有するグラフトポリマーの生成領域と非生成領域とからなるパターンを形成することが可能になったものと考えられる。
また、上記(1)及び(2)の態様において生成されるグラフトポリマーは、該グラフトポリマーの生成領域の層厚が厚いため、グラフトポリマーの生成領域と非生成領域との間に、接触角の違いに加え、隔壁効果が顕著に発現する。このため、グラフトポリマーの非生成領域には、導電性素材をより多く付着させることが可能になり、その結果、より導電性が高く、高精細な、導電性パターンを得ることができるものと推測される。
また、上記(1)及び(2)の態様において生成されるグラフトポリマーは、該グラフトポリマーの生成領域の層厚が厚いため、グラフトポリマーの生成領域と非生成領域との間に、接触角の違いに加え、隔壁効果が顕著に発現する。このため、グラフトポリマーの非生成領域には、導電性素材をより多く付着させることが可能になり、その結果、より導電性が高く、高精細な、導電性パターンを得ることができるものと推測される。
本発明によれば、フッ素化合物などの強撥油性を示す化合物を用いたパターン状の撥油性領域を備えるパターン材料を、容易に、かつ、効率よく形成し、そのパターン材料を用いて、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に形成し得る導電性パターン形成方法を提供することができる。
以下、本発明の導電性パターン形成方法について詳細に説明する。
本発明の導電性パターン形成方法は、基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程と、該撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とが形成された基材上に、気相堆積膜形成法により導電性素材層を形成する工程と、
該導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程と、をこの順に行うことを特徴とする
本発明の導電性パターン形成方法は、基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程と、該撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とが形成された基材上に、気相堆積膜形成法により導電性素材層を形成する工程と、
該導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程と、をこの順に行うことを特徴とする
<基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程>
本発明において、基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程((以下、適宜、「撥油性化合物パターン形成工程」と略称する。)としては、前記(1)乃至(3)の態様が挙げられ、(1)及び(2)の態様が特に好ましい。以下、これらの各態様について説明する。
本発明において、基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程((以下、適宜、「撥油性化合物パターン形成工程」と略称する。)としては、前記(1)乃至(3)の態様が挙げられ、(1)及び(2)の態様が特に好ましい。以下、これらの各態様について説明する。
《撥油性化合物パターン形成工程(1)》
撥油性化合物パターン形成工程(1)は、基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物をパターン状に結合させる工程と、前記基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、全面露光を行い、光開裂が生起した前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させて、当該基材表面にグラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程、とを含む態様である。
撥油性化合物パターン形成工程(1)は、基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物をパターン状に結合させる工程と、前記基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、全面露光を行い、光開裂が生起した前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させて、当該基材表面にグラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程、とを含む態様である。
本発明において、基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物(光開裂化合物)をパターン状に結合させる工程には、基材表面全体に光開裂化合物を結合させた後、パターン露光により露光領域の重合開始部位を分解(失活)させる方法や、マイクロコンタクトプリンティングによりパターン状に光開裂化合物を基材表面に付着させ、結合させる方法などを用いることができる。
この態様において最も好ましいのは、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材表面に結合させる工程(以下、適宜、「光開裂化合物結合工程(A)」と称する。)と、パターン露光を行い、露光領域の前記重合開始部位を失活させる工程(以下、適宜、「重合開始能失活工程」と称する。)とを有する方法である。
この態様において最も好ましいのは、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材表面に結合させる工程(以下、適宜、「光開裂化合物結合工程(A)」と称する。)と、パターン露光を行い、露光領域の前記重合開始部位を失活させる工程(以下、適宜、「重合開始能失活工程」と称する。)とを有する方法である。
撥油性化合物パターン形成工程(1)においては、続いて、光開裂化合物をパターン状に結合させた基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、全面露光を行い、光開裂が生起した前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させて、当該基材表面にグラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程(A)」と称する。)が行われる。
以下、撥油性化合物パターン形成工程(1)の概略について、最も好ましい例を用いて、図1を用いて説明する。ここで、図1は、撥油性化合物パターン形成工程(1)に含まれる各工程、即ち、光開裂化合物結合工程(A)からグラフトポリマー生成工程(A)迄の概略を例示的に示す概念図である。
図1(a)に示されるように、基材表面には当初より官能基(図中、Zで表される)が存在する。この基材表面に、基材結合部位(Q)と、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)を接触させる。これにより、図1(b)に示されるように、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)と、が結合して、基材表面に化合物(Q−Y)が導入される〔光開裂化合物結合工程(A)〕。
その後、この化合物(Q−Y)が導入された面に、図1(b)の矢印のようにパターン露光を行う。これにより、重合開始部位(Y)は、露光エネルギーにより光開裂する。その結果、図1(c)に示されるように、露光領域の化合物(Q−Y)は、重合開始部位(Y)が分解・失活して、重合開始能失活部位(S)となる〔重合開始能失活工程〕。
その後、図1(d)に示されるように、撥油性の官能基を有するモノマー等のグラフトポリマーの原料を接触させた状態で、図1(d)の矢印のように全面露光を行う。これにより、図1(e)に示されるように、重合開始部位(Y)が残存している領域において、化合物(Q−Y)の重合開始部位(Y)を起点としてグラフトポリマーが生成する〔グラフトポリマー生成工程(A)〕。
その後、この化合物(Q−Y)が導入された面に、図1(b)の矢印のようにパターン露光を行う。これにより、重合開始部位(Y)は、露光エネルギーにより光開裂する。その結果、図1(c)に示されるように、露光領域の化合物(Q−Y)は、重合開始部位(Y)が分解・失活して、重合開始能失活部位(S)となる〔重合開始能失活工程〕。
その後、図1(d)に示されるように、撥油性の官能基を有するモノマー等のグラフトポリマーの原料を接触させた状態で、図1(d)の矢印のように全面露光を行う。これにより、図1(e)に示されるように、重合開始部位(Y)が残存している領域において、化合物(Q−Y)の重合開始部位(Y)を起点としてグラフトポリマーが生成する〔グラフトポリマー生成工程(A)〕。
以下、このような各工程について具体的に説明する。
図1において(Z)で表示される基は、基材表面に存在する官能基であり、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。これらの官能基はシリコン基材、ガラス基材における基材の材質に起因して基材表面にもともと存在しているものでもよく、基材表面にコロナ処理などの表面処理を施すことにより表面に存在させたものであってもよい。
図1において(Z)で表示される基は、基材表面に存在する官能基であり、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。これらの官能基はシリコン基材、ガラス基材における基材の材質に起因して基材表面にもともと存在しているものでもよく、基材表面にコロナ処理などの表面処理を施すことにより表面に存在させたものであってもよい。
本発明において用いられる基材には、特に制限はなく、基材表面に、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基(Z)を有する基材、或いは、コロナ処理、グロー処理、プラズマ処理などの表面処理により、水酸基、カルボキシル基などを発生させた基材などを適用できる。
また、一般的には、平板状の基材が用いられるが、必ずしも平板状の基材に限定されず、円筒形などの任意の形状の基材表面にも同様にグラフトポリマーを導入することができる。
また、一般的には、平板状の基材が用いられるが、必ずしも平板状の基材に限定されず、円筒形などの任意の形状の基材表面にも同様にグラフトポリマーを導入することができる。
本発明に好適な基材として、具体的には、ガラス、石英、ITO、シリコン等の表面水酸基を有する各種基材、コロナ処理、グロー処理、プラズマ処理などの表面処理により、表面に水酸基やカルボキシル基などを発生させたPET、ポリプロピレン、ポリイミド、エポキシ、アクリル、ウレタンなどのプラスチック基材等が挙げられる。
基材の厚みは、使用目的に応じて選択され、特に限定はないが、一般的には、10μm〜10cm程度である。
基材の厚みは、使用目的に応じて選択され、特に限定はないが、一般的には、10μm〜10cm程度である。
次に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位(以下、単に、重合開始部位と称する。)と基材結合部位とを有する化合物(光開裂化合物)の構造について具体的に説明する。
この光開裂化合物について、図1の概念図における、基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)のモデルを用いて詳細に説明すれば、一般に、重合開始部位(Y)は、光により開裂しうる単結合を含む構造である。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
この光開裂化合物について、図1の概念図における、基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)のモデルを用いて詳細に説明すれば、一般に、重合開始部位(Y)は、光により開裂しうる単結合を含む構造である。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
また、これらの光により開裂しうる単結合を含む重合開始部位(Y)は、グラフトポリマー生成工程(A)におけるグラフト重合の起点となることから、光により開裂しうる単結合が開裂すると、その開裂反応によりラジカルを発生させる機能を有する。このように、光により開裂しうる単結合を有し、かつ、ラジカルを発生可能な重合開始部位(Y)の構造としては、芳香族ケトン基、フェナシルエステル基、スルホンイミド基、スルホニルエステル基、N−ヒドロキシスルホニルエステル基、ベンジルイミド基、トリクロロメチル基、ベンジルクロライド基などの基を含む構造が挙げられる。
このような重合開始部位(Y)は、露光により開裂してラジカルを発生するため、そのラジカル周辺に重合可能な化合物が存在する場合には、このラジカルがグラフト重合反応の起点として機能し、所望のグラフトポリマーを生成されて、グラフトポリマー生成領域が形成される。
一方、重合開始部位(Y)が露光により開裂してラジカルが発生しても、ラジカルの周辺に重合可能な化合物が存在しない場合には、そのラジカルは使用されず失活してしまい、その結果、重合開始能自体が失活することとなる。その結果、このような領域はグラフトポリマー非生成領域となる。
一方、重合開始部位(Y)が露光により開裂してラジカルが発生しても、ラジカルの周辺に重合可能な化合物が存在しない場合には、そのラジカルは使用されず失活してしまい、その結果、重合開始能自体が失活することとなる。その結果、このような領域はグラフトポリマー非生成領域となる。
一方、基材結合部位(Q)としては、基材表面に存在する官能基(Z)と反応して結合しうる反応性基で構成され、その反応性基としては、具体的には、以下に示すような基が挙げられる。
また、重合開始部位(Y)と、基材結合部位(Q)と、は直接結合していてもよいし、連結基を介して結合していてもよい。この連結基としては、炭素、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選択される原子を含む連結基が挙げられ、具体的には、例えば、飽和炭素基、芳香族基、エステル基、アミド基、ウレイド基、エーテル基、アミノ基、スルホンアミド基等が挙げられる。なお、この連結基は更に置換基を有していてもよく、その導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)の具体例〔例示化合物1〜例示化合物16〕を、開裂部と共に以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
光開裂化合物結合工程(A)は、このような化合物(Q−Y)を基材に結合させる工程である。
例示された如き化合物(Q−Y)を基材表面に存在する官能基(Z)に結合させる方法としては、化合物(Q−Y)を、トルエン、ヘキサン、アセトンなどの適切な溶媒に溶解又は分散し、その溶液又は分散液を基材表面に塗布する方法、又は、溶液又は分散液中に基材を浸漬する方法などを適用すればよい。このとき、溶液中又は分散液の化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
例示された如き化合物(Q−Y)を基材表面に存在する官能基(Z)に結合させる方法としては、化合物(Q−Y)を、トルエン、ヘキサン、アセトンなどの適切な溶媒に溶解又は分散し、その溶液又は分散液を基材表面に塗布する方法、又は、溶液又は分散液中に基材を浸漬する方法などを適用すればよい。このとき、溶液中又は分散液の化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
その後、重合開始能失活工程において、グラフトポリマーを生成させたくない領域に沿ってパターン露光を行い、基材表面に結合している化合物(Q−Y)を光開裂させ、重合開始能を失活させる。その結果、基材表面には、重合開始可能領域と、重合開始能失活領域と、が形成される。
ここで、重合開始能失活工程において、重合開始可能領域と、重合開始能失活領域と、からなるパターンの解像度は露光条件に左右される。
高解像度を得るためのパターン露光方法としては、光学系を用いた光ビーム走査露光、マスクを用いた露光などが挙げられ、所望のパターンの解像度に応じた露光方法をとればよい。具体的には、i線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などを用いることができる。
ここで、重合開始能失活工程において、重合開始可能領域と、重合開始能失活領域と、からなるパターンの解像度は露光条件に左右される。
高解像度を得るためのパターン露光方法としては、光学系を用いた光ビーム走査露光、マスクを用いた露光などが挙げられ、所望のパターンの解像度に応じた露光方法をとればよい。具体的には、i線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などを用いることができる。
そして、このようにして、重合開始可能領域と、重合開始能失活領域と、が形成された基材に対し、グラフトポリマー生成工程(A)が行なわれる。
このグラフトポリマー生成工程(A)では、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とを有する基材上に、所望とするグラフトポリマーの材料となる、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物(例えば、フッ素含有モノマーに代表される撥油性モノマーなど)を接触させた後、全面露光を行い、重合開始可能領域の重合開始部位(Y)を光開裂させてラジカルを発生させ、そのラジカルを起点として、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物のグラフト化反応を生起、進行させる。その結果、重合開始可能領域にのみ、撥油性を有するグラフトポリマーが生成する。
このグラフトポリマー生成工程(A)では、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とを有する基材上に、所望とするグラフトポリマーの材料となる、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物(例えば、フッ素含有モノマーに代表される撥油性モノマーなど)を接触させた後、全面露光を行い、重合開始可能領域の重合開始部位(Y)を光開裂させてラジカルを発生させ、そのラジカルを起点として、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物のグラフト化反応を生起、進行させる。その結果、重合開始可能領域にのみ、撥油性を有するグラフトポリマーが生成する。
(グラフトポリマーの生成方法)
グラフトポリマー生成工程(A)におけるグラフトポリマーの生成方法について詳細に説明する。
本発明におけるグラフトポリマーは、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を原料とし、露光により光開裂した重合開始部位(Y)から発生したラジカルを起点として生成する。
グラフトポリマーの生成の際には、まず、原料である、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を基材上に接触させるが、その方法としては、当該化合物を単独で接触させる、いわゆる無溶媒で接触させる方法、当該化合物が溶解された溶液又は分散された分散液を塗布する方法、その溶液又は分散液中に基材を浸漬する方法などがある。
原料を無溶媒で基材上に接触させる場合、基材上に接触させる組成物中の撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物の濃度は100%となる。
また、ハンドリング性の観点から、このような撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を溶解しうる溶媒で希釈して、組成物として用いることが好ましい。ここで用いる溶媒には特に制限はないが、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等が好ましい。また、このとき、該組成物中には、撥油性の官能基を有する撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物と共に、必要に応じて、他の単官能及び多官能モノマーや、界面活性剤、増粘剤等の添加剤を添加してもよい。
グラフトポリマー生成工程(A)におけるグラフトポリマーの生成方法について詳細に説明する。
本発明におけるグラフトポリマーは、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を原料とし、露光により光開裂した重合開始部位(Y)から発生したラジカルを起点として生成する。
グラフトポリマーの生成の際には、まず、原料である、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を基材上に接触させるが、その方法としては、当該化合物を単独で接触させる、いわゆる無溶媒で接触させる方法、当該化合物が溶解された溶液又は分散された分散液を塗布する方法、その溶液又は分散液中に基材を浸漬する方法などがある。
原料を無溶媒で基材上に接触させる場合、基材上に接触させる組成物中の撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物の濃度は100%となる。
また、ハンドリング性の観点から、このような撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を溶解しうる溶媒で希釈して、組成物として用いることが好ましい。ここで用いる溶媒には特に制限はないが、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等が好ましい。また、このとき、該組成物中には、撥油性の官能基を有する撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物と共に、必要に応じて、他の単官能及び多官能モノマーや、界面活性剤、増粘剤等の添加剤を添加してもよい。
撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を含有する組成物を前記基材上に接触させる際には、重合開始部位を有する開始剤化合物層の表面が溶解し、グラフトポリマーの生成が不均一となることを抑制するため、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を含有する組成物中に含まれる溶剤やその他の化合物には、開始剤化合物層を溶解しない物性を有するものを選択することが好ましい。
グラフトポリマーの生成する際の酸素による重合阻害を防止するため、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を含有する組成物の基材への接触、及び、グラフト重合反応を、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行なったり、基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を含有する組成物を接触させた後、グラフト重合反応を生起させるための光が透過する材質、例えば、ガラス、石英、透明プラスチック製の板やフィルム等で、当該組成物を覆ってもよい。
撥油性化合物パターン形成工程(1)における露光(パターン露光及び全面露光)には、光開裂化合物の重合開始部位(Y)を光開裂させることができる波長の光であれば、特に制限なく用いることができるが、具体的な波長としては、波長200〜800nm、好ましくは、300〜600nmの紫外線及び可視光線が望ましい。
また、その光源としては、具体的には、高圧水銀灯、低圧水銀灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、色素レーザー、YAGレーザー、太陽光等が挙げられる。
また、その光源としては、具体的には、高圧水銀灯、低圧水銀灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、色素レーザー、YAGレーザー、太陽光等が挙げられる。
次に、グラフトポリマー生成工程(A)に用いられる、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物について説明する。
撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物としては、撥油性の官能基を有し、かつ、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、如何なるものも用いることができるが、それらは、モノマー、マクロマー、オリゴマー、ポリマーなどのいずれの形態を有するものであってよい。
撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物としては、撥油性の官能基を有し、かつ、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、如何なるものも用いることができるが、それらは、モノマー、マクロマー、オリゴマー、ポリマーなどのいずれの形態を有するものであってよい。
(撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物)
以下に、グラフトポリマー生成工程(A)において好適に用いられる、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物について例示する。
本発明において、撥油性を有するグラフトポリマーの生成領域と非生成領域との間に高いディスクリミネーションを発現するという観点からは、形成されたグラフトポリマーの空中水滴接触角は、90度以上あることが望ましい。この高い撥油性の値はESCAで測定した表面原子量の割合で予想することができる。例えば、シリコンを含有するシリコン系グラフトポリマーの場合は表面の元素組成中に占めるSiの比率がSi、C、及びOの合計量に対して10原子%以上あればほぼ達成できる。また、フッ素を含有するフッ素系グラフトポリマーの場合は表面の元素組成中に占めるFの比率がF、C、及びOの合計量に対して30原子%以上必要である。このような表面原子量を有するグラフトポリマーを生成させるためには、原料として、少なくともシリコン系モノマーの場合には、モノマーの構成原子のうちケイ素量が10原子%以上であるものを用いることが必要であり、また、フッ素系モノマーの場合は、モノマーの構成原子のうちフッ素量が30原子%以上であるものを用いることが必要である。従って、高い撥油性を発現させるためには、このような要件を満足するモノマーを使用することが必要である。
また、表面原子量を有するグラフトポリマーを生成させるための材料としての、マクロマー、オリゴマー、ポリマーなども、同様に、分子中のケイ素やフッ素の原子の含有割合が上記の範囲であるものを用いることが必要である。
以下に、グラフトポリマー生成工程(A)において好適に用いられる、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物について例示する。
本発明において、撥油性を有するグラフトポリマーの生成領域と非生成領域との間に高いディスクリミネーションを発現するという観点からは、形成されたグラフトポリマーの空中水滴接触角は、90度以上あることが望ましい。この高い撥油性の値はESCAで測定した表面原子量の割合で予想することができる。例えば、シリコンを含有するシリコン系グラフトポリマーの場合は表面の元素組成中に占めるSiの比率がSi、C、及びOの合計量に対して10原子%以上あればほぼ達成できる。また、フッ素を含有するフッ素系グラフトポリマーの場合は表面の元素組成中に占めるFの比率がF、C、及びOの合計量に対して30原子%以上必要である。このような表面原子量を有するグラフトポリマーを生成させるためには、原料として、少なくともシリコン系モノマーの場合には、モノマーの構成原子のうちケイ素量が10原子%以上であるものを用いることが必要であり、また、フッ素系モノマーの場合は、モノマーの構成原子のうちフッ素量が30原子%以上であるものを用いることが必要である。従って、高い撥油性を発現させるためには、このような要件を満足するモノマーを使用することが必要である。
また、表面原子量を有するグラフトポリマーを生成させるための材料としての、マクロマー、オリゴマー、ポリマーなども、同様に、分子中のケイ素やフッ素の原子の含有割合が上記の範囲であるものを用いることが必要である。
上記の要件を満足するような撥油性の官能基を有するモノマーとしては、具体的には、フッ素含有モノマー、ケイ素(シリコーン)含有モノマーなどが挙げられる。
以下、本発明において用いられるフッ素含有モノマー、及びケイ素(シリコーン)含有モノマーについて説明する。
以下、本発明において用いられるフッ素含有モノマー、及びケイ素(シリコーン)含有モノマーについて説明する。
(フッ素含有モノマー)
グラフトポリマー生成工程(A)に用いられるフッ素含有モノマーとしては、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のフッ素含有モノマーが挙げられる。
CH2=CR1COOR2Rf ・・・ (I)
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は、−CpH2p−、−C(CpH2p+1)H−、−CH2C(CpH2p+1)H−、又は−CH2CH2O−を表し、Rfは、−CnF2n+1、−(CF2)nH、−CnF2n+1−CF3、−(CF2)pOCnH2nCiF2i+1、−(CF2)pOCmH2mCiF2iH、−N(CpH2p+1)COCnF2n+1、又は−N(CpH2p+1)SO2CnF2n+1を表す。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。〕
グラフトポリマー生成工程(A)に用いられるフッ素含有モノマーとしては、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のフッ素含有モノマーが挙げられる。
CH2=CR1COOR2Rf ・・・ (I)
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は、−CpH2p−、−C(CpH2p+1)H−、−CH2C(CpH2p+1)H−、又は−CH2CH2O−を表し、Rfは、−CnF2n+1、−(CF2)nH、−CnF2n+1−CF3、−(CF2)pOCnH2nCiF2i+1、−(CF2)pOCmH2mCiF2iH、−N(CpH2p+1)COCnF2n+1、又は−N(CpH2p+1)SO2CnF2n+1を表す。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。〕
CF2=CFORg ・・・ (II)
〔式中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。〕
CH2=CHRg ・・・ (III)
〔式中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。〕
CH2=CR3COOR5RjR6OCOCR4=CH2 ・・・ (IV)
〔式中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、R5及びR6は、各々独立に、−CqH2q−、−C(CqH2q+1)H−、−CH2C(CqH2q+1)H−、又は−CH2CH2O−を表し、Rjは、−CtF2t表す。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。〕
CH2=CHR7COOCH2(CH2Rk)CHOCOCR8=CH2 ・・・ (V)
〔式中、R7及びR8は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、Rkは、−CyF2y+1を表す。但し、yは1〜16の整数である。)
〔式中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。〕
CH2=CHRg ・・・ (III)
〔式中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。〕
CH2=CR3COOR5RjR6OCOCR4=CH2 ・・・ (IV)
〔式中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、R5及びR6は、各々独立に、−CqH2q−、−C(CqH2q+1)H−、−CH2C(CqH2q+1)H−、又は−CH2CH2O−を表し、Rjは、−CtF2t表す。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。〕
CH2=CHR7COOCH2(CH2Rk)CHOCOCR8=CH2 ・・・ (V)
〔式中、R7及びR8は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、Rkは、−CyF2y+1を表す。但し、yは1〜16の整数である。)
グラフトポリマー生成工程(A)に用いられるフッ素含有モノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
一般式(I)で示されるモノマーとしては、例えば、CF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2、CF3CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、C7F15CON(C2H5)CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)7SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2、C2F5SO2N(C3H7)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、(CF3)2CF(CF2)6(CH2)3OCOCH=CH2、(CF3)2CF(CF2)10(CH2)3OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)4CH(CH3)OCOC(CH3)=CH2、
一般式(I)で示されるモノマーとしては、例えば、CF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2、CF3CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、C7F15CON(C2H5)CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)7SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2、C2F5SO2N(C3H7)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、(CF3)2CF(CF2)6(CH2)3OCOCH=CH2、(CF3)2CF(CF2)10(CH2)3OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)4CH(CH3)OCOC(CH3)=CH2、
、CF3CH2OCH2CH2OCOCH=CH2、C2F5(CH2CH2O)2CH2OCOCH=CH2、(CF3)2CFO(CH2)5OCOCH=CH2、CF3(CF2)4OCH2CH2OCOC(CH3)=CH2、C2F5CON(C2H5)CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)2CON(CH3)CH(CH3)CH2OCOCH=CH2、H(CF2)6C(C2H5)OCOC(CH3)=CH2、H(CF2)8CH2OCOCH=CH2、H(CF2)4CH2OCOCH=CH2、H(CF2)CH2OCOC(CH3)=CH2、
、CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)7SO2N(CH3)(CH2)10OCOCH=CH2、C2F5SO2N(C2H5)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)7SO2N(CH3)(CH2)4OCOCH=CH2、C2F5SO2N(C2H5)C(C2H5)HCH2OCOCH=CH2などが挙げられる。
また、一般式(II)及び(III)で表わされるフルオロアルキル化オレフィンとしては、例えば、C3F7CH=CH2、C4F9CH=CH2、C10F21CH=CH2、C3F7OCF=CF2、C7F15OCF=CF2、及びC8F17OCF=CF2などが挙げられる。
一般式(IV)及び(V)で表わされるモノマーとしては、例えば、CH2=CHCOOCH2(CF2)3CH2OCOCH=CH2、CH2=CHCOOCH2CH(CH2C8F17)OCOCH=CH2などが挙げられる。
フッ素含有グラフトポリマーの材料となるモノマーとして、上記フッ素含有モノマーに加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、フッ素を有しない他のモノマーを併用することができる。そのようなモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば特に限定されないが、具体的には(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸類、及びそのアルキル又はグリシジルエステル類、スチレン、アルキル酸のビニルエステル類、ケイ素含有モノマーなどが挙げられる。
併用する場合の配合量は、フッ素含有モノマーに対して50質量%以下が好ましい。
併用する場合の配合量は、フッ素含有モノマーに対して50質量%以下が好ましい。
(ケイ素含有モノマー)
グラフトポリマー生成工程(A)に用いられるケイ素含有モノマーとしては、Si−CH3基又はO−Si−CH3基を有するケイ素含有モノマーを挙げることができる。具体的には、シリコンアクリレート又はシリコンメタクリレートであり、一般式(CH3O)nSi(CH3)4−n−R3−O−CO−CR4=CH2で表されるものであり、R3は連結基であり、R4はメチル若しくは水素である。その他、例えば、特開2003−335984公報の段落番号〔0025〕に記載されるシリコン系モノマーもまた、好適なものとして挙げることができる。
グラフトポリマー生成工程(A)に用いられるケイ素含有モノマーとしては、Si−CH3基又はO−Si−CH3基を有するケイ素含有モノマーを挙げることができる。具体的には、シリコンアクリレート又はシリコンメタクリレートであり、一般式(CH3O)nSi(CH3)4−n−R3−O−CO−CR4=CH2で表されるものであり、R3は連結基であり、R4はメチル若しくは水素である。その他、例えば、特開2003−335984公報の段落番号〔0025〕に記載されるシリコン系モノマーもまた、好適なものとして挙げることができる。
本発明におけるグラフトポリマー生成工程(A)では、上記フッ素含有モノマー、ケイ素含有モノマーに加え、フッ素系の官能基、ケイ素系の官能基などの撥油性の官能基と、ラジカル重合性基と、を有するポリマー(以下、「ラジカル重合性基含有撥油性ポリマー」と称する。)も使用することができる。
(ラジカル重合性基含有撥油性ポリマー)
本発明におけるラジカル重合性基含有撥油性ポリマーとは、分子内に、撥油性の官能基と、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのラジカル重合性を有するエチレン付加重合性不飽和基と、が導入されたポリマーを指す。このラジカル重合性基含有撥油性ポリマーは、ラジカル重合性基を主鎖末端及び/又は側鎖に有することを要し、その双方にラジカル重合性基を有することが好ましい。
本発明におけるラジカル重合性基含有撥油性ポリマーとは、分子内に、撥油性の官能基と、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのラジカル重合性を有するエチレン付加重合性不飽和基と、が導入されたポリマーを指す。このラジカル重合性基含有撥油性ポリマーは、ラジカル重合性基を主鎖末端及び/又は側鎖に有することを要し、その双方にラジカル重合性基を有することが好ましい。
このようなラジカル重合性基含有撥油性ポリマーは以下のようにして合成することができる。
合成方法としては、前記で挙げたフッ素含有モノマーなどの撥油性モノマーを使用し、(a)撥油性モノマーとエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを共重合する方法、(b)撥油性モノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、(c)カルボン酸などの官能基を有する撥油性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有する化合物とを反応させる方法、が挙げられる。これらの中でも、特に好ましいのは、合成適性の観点から、(3)撥油性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法である。
合成方法としては、前記で挙げたフッ素含有モノマーなどの撥油性モノマーを使用し、(a)撥油性モノマーとエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを共重合する方法、(b)撥油性モノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、(c)カルボン酸などの官能基を有する撥油性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有する化合物とを反応させる方法、が挙げられる。これらの中でも、特に好ましいのは、合成適性の観点から、(3)撥油性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法である。
ラジカル重合性基含有撥油性ポリマーの合成に用いられる撥油性モノマーとしては、上述したフッ素モノマー、シリコーン系モノマーなどが挙げられる。
また、ラジカル重合性基含有撥油性ポリマーの合成に用いられる撥油性ポリマーとしては、これらの撥油性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られる撥油性ホモポリマー若しくはコポリマーが挙げられる。
また、ラジカル重合性基含有撥油性ポリマーの合成に用いられる撥油性ポリマーとしては、これらの撥油性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られる撥油性ホモポリマー若しくはコポリマーが挙げられる。
(a)の方法でラジカル重合性基含有撥油性ポリマーを合成する際、撥油性モノマーと共重合するエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、アリル基含有モノマーがあり、具体的には、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、(b)の方法でラジカル重合性基含有撥油性ポリマーを合成する際、撥油性モノマーと共重合する二重結合前駆体を有するモノマーとしては、2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜が挙げられる。
更に、(c)の方法でラジカル重合性基含有撥油性ポリマーを合成する際、撥油性ポリマー中のカルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩と、水酸基及びエポキシ基などの官能基と、の反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなど挙げられる。
これらの撥油性の官能基を有するモノマーや、ラジカル重合性基含有撥油性ポリマーは、その1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
このようにして、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とが形成された基材は、溶剤浸漬などの処理を行って、残存するホモポリマーを除去し、精製することが好ましい。具体的には、水やアセトンによる洗浄、乾燥、などが挙げられる。ホモポリマーの除去性の観点からは、超音波などの手段を採ることが好ましい。
精製後の基材は、その表面に残存するホモポリマーが完全の除去され、基材と強固に結合したパターン状の撥油性グラフトポリマーのみが存在することになる。
精製後の基材は、その表面に残存するホモポリマーが完全の除去され、基材と強固に結合したパターン状の撥油性グラフトポリマーのみが存在することになる。
《撥油性化合物パターン形成工程(2)》
次に、撥油性化合物パターン形成工程(2)について説明する。
撥油性化合物パターン形成工程(2)は、基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を結合させる工程(以下、適宜、「光開裂化合物結合工程(B)」と称する。)と、前記基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、パターン露光を行い、光開裂が生起した露光領域の前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させ、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程(B)」と称する。)と、を含む工程である。
次に、撥油性化合物パターン形成工程(2)について説明する。
撥油性化合物パターン形成工程(2)は、基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を結合させる工程(以下、適宜、「光開裂化合物結合工程(B)」と称する。)と、前記基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、パターン露光を行い、光開裂が生起した露光領域の前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させ、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程(B)」と称する。)と、を含む工程である。
以下、撥油性化合物パターン形成工程(2)の概略について、図2を用いて説明する。
ここで、図2は、撥油性化合物パターン形成工程(2)における各工程の概略、即ち、光開裂化合物結合工程(B)からグラフトポリマー生成工程(B)を例示的に示す概念図である。
図2(a)に示されるように、基材表面には当初より官能基(図中、Zで表される)が存在する。この基材表面に、基材結合部位(Q)と、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)を接触させる。これにより、図2(b)に示されるように、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)と、が結合して、基材表面に化合物(Q−Y)が導入される〔光開裂化合物結合工程(B)〕。
その後、図2(c)に示されるように、モノマー等の公知のグラフトポリマー原料を接触させた状態で、パターン露光を行う。これにより、図2(d)に示されるように、露光領域においては、化合物(Q−Y)の重合開始部位(Y)を起点としてグラフトポリマーが生成されてグラフトポリマー生成領域を形成し、その一方、未露光領域においては、グラフトポリマーは生成せず、グラフトポリマー非生成領域が形成される〔グラフトポリマー生成工程(B)〕。
ここで、図2は、撥油性化合物パターン形成工程(2)における各工程の概略、即ち、光開裂化合物結合工程(B)からグラフトポリマー生成工程(B)を例示的に示す概念図である。
図2(a)に示されるように、基材表面には当初より官能基(図中、Zで表される)が存在する。この基材表面に、基材結合部位(Q)と、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)を接触させる。これにより、図2(b)に示されるように、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)と、が結合して、基材表面に化合物(Q−Y)が導入される〔光開裂化合物結合工程(B)〕。
その後、図2(c)に示されるように、モノマー等の公知のグラフトポリマー原料を接触させた状態で、パターン露光を行う。これにより、図2(d)に示されるように、露光領域においては、化合物(Q−Y)の重合開始部位(Y)を起点としてグラフトポリマーが生成されてグラフトポリマー生成領域を形成し、その一方、未露光領域においては、グラフトポリマーは生成せず、グラフトポリマー非生成領域が形成される〔グラフトポリマー生成工程(B)〕。
以下、このような各工程について具体的に説明する。
図2において(Z)で表示される基は、前記 撥油性化合物パターン形成工程(1)において説明した基材表面に存在する官能基(Z)と同じものであり、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
また、官能基(Z)を有する基材の具体例やその形状、厚みなども、前記第1の態様と同様である。
図2において(Z)で表示される基は、前記 撥油性化合物パターン形成工程(1)において説明した基材表面に存在する官能基(Z)と同じものであり、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
また、官能基(Z)を有する基材の具体例やその形状、厚みなども、前記第1の態様と同様である。
次に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位(以下、単に、重合開始部位と称する。)と基材結合部位とを有する化合物の構造について具体的に説明する。この化合物について、図2の概念図における、基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)も、前記第1の態様で示した、基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)と同義であり、その構造及び具体例も同様である。
この撥油性化合物パターン形成工程(2)においては、前記撥油性化合物パターン形成工程(1)の如く、予め、パターン露光により重合開始部位を失活させることはないため、グラフトポリマー生成工程(B)の際には、ラジカルを発生可能な重合開始部位(Y)は基材表面全域に存在する。
この撥油性化合物パターン形成工程(2)においては、前記撥油性化合物パターン形成工程(1)の如く、予め、パターン露光により重合開始部位を失活させることはないため、グラフトポリマー生成工程(B)の際には、ラジカルを発生可能な重合開始部位(Y)は基材表面全域に存在する。
このような重合開始部位(Y)は、パターン露光により開裂して、ラジカルが発生すると、そのラジカル周辺に重合可能な化合物が存在する場合には、このラジカルがグラフト重合反応の起点として機能し、所望のグラフトポリマーを生成して、グラフトポリマー生成領域が形成される。その一方、露光が行われなかった領域においては、重合開始部位(Y)の開裂が起きず、当該領域にはグラフトポリマーが生成せず、グラフトポリマー非生成領域が形成される。
光開裂化合物結合工程(B)は、このような化合物(Q−Y)を基材に結合させる工程である。本工程は、前記第1の態様における光開裂化合物結合工程(A)における方法や条件と同様である。
グラフトポリマー生成工程(B)では、前述した光開裂化合物結合工程(B)を経た基材に、所望とするグラフトポリマーの材料となる撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物(例えば、撥油性の官能基を有するモノマーなど)を接触させた後、パターン露光を行い、露光領域の重合開始部位(Y)を光開裂させてラジカルを発生させ、そのラジカルを起点として、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物のグラフト化反応を生起、進行させる。その結果、露光領域にのみ、撥油性を有するグラフトポリマーが生成する。
また、本発明の導電性パターン形成方法の第2の態様においては、グラフトポリマーの非生成領域には、光開裂が生じていない状態の化合物(Q−Y)が残存することになる。
また、本発明の導電性パターン形成方法の第2の態様においては、グラフトポリマーの非生成領域には、光開裂が生じていない状態の化合物(Q−Y)が残存することになる。
撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を基材表面に接触させる方法は、前記第1の態様と同様の方法を用いることができる。また、本工程において用いられる撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物としても、前記撥油性化合物パターン形成工程(1)において挙げられたものと同様である。
グラフトポリマー生成工程(B)に用いうるパターン露光方法には、光開裂化合物の重合開始部位(Y)を光開裂させることができる波長の光であれば、制限なく用いることができ、具体的な波長としては、前記撥油性化合物パターン形成工程(1)と同様に、紫外線や可視光線が用いられる。
また、本工程において形成される、グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とからなるパターンの解像度は、パターン露光の条件に左右される。高解像度を得るためのパターン露光方法としては、光学系を用いた光ビーム走査露光、マスクを用いた露光などが挙げられ、所望のパターンの解像度に応じた露光方法をとればよい。具体的には、i線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などが用いられる。このようなグラフトポリマー生成工程(B)を用いれば、高解像度のパターン形成が可能であり、高精細画像記録用のパターン露光を施すことにより、露光に応じた高精細パターンが形成される。
また、本工程において形成される、グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とからなるパターンの解像度は、パターン露光の条件に左右される。高解像度を得るためのパターン露光方法としては、光学系を用いた光ビーム走査露光、マスクを用いた露光などが挙げられ、所望のパターンの解像度に応じた露光方法をとればよい。具体的には、i線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などが用いられる。このようなグラフトポリマー生成工程(B)を用いれば、高解像度のパターン形成が可能であり、高精細画像記録用のパターン露光を施すことにより、露光に応じた高精細パターンが形成される。
《撥油性化合物パターン形成工程(3)》
次に、撥油性化合物パターン形成工程(3)について説明する。
撥油性化合物パターン形成工程(3)は、基材上に、撥油性の官能基を有する化合物を含む単分子層を形成した後、該単分子層にパターン露光を行い、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とを形成する工程を含む態様である。
本態様に適用可能な、撥油性化合物パターンの形成方法については、例えば、特開2000−282240公報、特開2003−149831公報、特開平11−40548号公報、等に記載の方法が挙げられる。
次に、撥油性化合物パターン形成工程(3)について説明する。
撥油性化合物パターン形成工程(3)は、基材上に、撥油性の官能基を有する化合物を含む単分子層を形成した後、該単分子層にパターン露光を行い、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とを形成する工程を含む態様である。
本態様に適用可能な、撥油性化合物パターンの形成方法については、例えば、特開2000−282240公報、特開2003−149831公報、特開平11−40548号公報、等に記載の方法が挙げられる。
<気相堆積膜形成法により導電性素材層を形成する工程>
本発明の導電性パターン形成方法においては、上述した撥油性化合物パターン形成工程に次いで、気相堆積膜形成法(気相法)により導電性素材層を形成する工程(以下、適宜、「導電性素材層形成工程」と称する。)が行われる。
気相法には、化学蒸着などを含む化学的気相成長法(CVD)、真空蒸着法、スパッタリング法などを含む物理的気相成長法(PVD)があり、本発明においては、いずれの方法も好適に使用し得る。形成される導電性素材層の膜厚には特に制限はないが、導電性の観点からは、1nm〜10μm程度の範囲であることが好ましく、10nm〜1μm程度の範囲であることがより好ましい。導電性素材層に透明性が要求される場合は、導電性及び透明性の観点から、1nm〜2μm程度の範囲であることが好ましく、10nm〜1μm程度の範囲であることがより好ましい。
本発明の導電性パターン形成方法においては、上述した撥油性化合物パターン形成工程に次いで、気相堆積膜形成法(気相法)により導電性素材層を形成する工程(以下、適宜、「導電性素材層形成工程」と称する。)が行われる。
気相法には、化学蒸着などを含む化学的気相成長法(CVD)、真空蒸着法、スパッタリング法などを含む物理的気相成長法(PVD)があり、本発明においては、いずれの方法も好適に使用し得る。形成される導電性素材層の膜厚には特に制限はないが、導電性の観点からは、1nm〜10μm程度の範囲であることが好ましく、10nm〜1μm程度の範囲であることがより好ましい。導電性素材層に透明性が要求される場合は、導電性及び透明性の観点から、1nm〜2μm程度の範囲であることが好ましく、10nm〜1μm程度の範囲であることがより好ましい。
本工程において、導電性素材層を形成するために用いられる導電性素材としては、気相法に適用可能なものであれば特に制限なく用いることができる。
その中でも、真空蒸着法、スパッタリング法など気相法による製膜に適したものとしては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Crなどの金属材料、In2O3、SnO2、ZnO、CdO、TiO2、CdIn2O4、Cd2SnO2、Zn2SnO4、In2O3−ZnOなどの金属酸化物半導体材料、及びこれらに適合する不純物をドーパントさせた材料、MgInO、CaGaOなどのスピネル形化合物、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物、LaBなどの導電性ホウ化物などが挙げられる。
その中でも、真空蒸着法、スパッタリング法など気相法による製膜に適したものとしては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Crなどの金属材料、In2O3、SnO2、ZnO、CdO、TiO2、CdIn2O4、Cd2SnO2、Zn2SnO4、In2O3−ZnOなどの金属酸化物半導体材料、及びこれらに適合する不純物をドーパントさせた材料、MgInO、CaGaOなどのスピネル形化合物、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物、LaBなどの導電性ホウ化物などが挙げられる。
また、導電性パターン材料に透明性が要求される場合は、Pd、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Al、Crなどの金属材料、In2O3、SnO2、ZnO、CdO、TiO2、CdIn2O4、Cd2SnO2、Zn2SnO4、In2O3−ZnOなどの金属酸化物半導体材料、さらには、SnO2などをドーパントとして含む酸化インジウム(ITO)や、Sb又はFをドーパントとして含む酸化錫(SnO2)が、低抵抗率であり、コスト及び安定供給の観点から好ましい。
酸化インジウムは、結晶性のものは透明性、導電性に優れることから、透明性が要求される導電性パターン材料に好適に使用し得る。また、アモルファス状のものは、結晶性のものに比較して抵抗率はやや高いものの、得られた膜の柔軟性に優れ、透明樹脂基材が屈曲した場合にもクラックなどが発生し難いことから、目的に応じてアモルファス状のITO膜を使用することもできる。
酸化インジウムは、結晶性のものは透明性、導電性に優れることから、透明性が要求される導電性パターン材料に好適に使用し得る。また、アモルファス状のものは、結晶性のものに比較して抵抗率はやや高いものの、得られた膜の柔軟性に優れ、透明樹脂基材が屈曲した場合にもクラックなどが発生し難いことから、目的に応じてアモルファス状のITO膜を使用することもできる。
<導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程>
本発明の導電性パターン形成方法においては、上記「導電性素材層形成工程」に次いで、「導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程(以下、適宜、「導電性素材層除去工程」と称する。)」が行われる。
本発明の導電性パターン形成方法においては、上記「導電性素材層形成工程」に次いで、「導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程(以下、適宜、「導電性素材層除去工程」と称する。)」が行われる。
前記撥油性化合物パターン形成工程において形成されたパターン(単分子層又はグラフトポリマー層からなるパターン)を構成する化合物は、撥油性の非常に高い化合物であるため、前記導電性素材層形成工程によりこのパターン上に形成された導電性素材層は、基材表面を擦ることにより、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを簡単に除去することができる。
基材表面を擦る処理方法については、導電性素材層を除去しうるものであれば、特に限定はされないが、不織布等を用いて基材表面を擦る態様が最も容易であり、導電性素材層の除去性にも優れるため好ましい。
以上説明した、本発明の導電性パターン形成方法の各工程を行うことにより、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に得ることができる。
本発明により得られた導電性パターンは、金属配線基板、電磁場シールド、等の各種用途に好適に用いられる。
本発明により得られた導電性パターンは、金属配線基板、電磁場シールド、等の各種用途に好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1:化合物Aの合成)
前記例示化合物1の合成は、以下の2つのステップにより行われる。それぞれのステップのスキームを挙げて説明する。
1.ステップ1(化合物aの合成)
DMAc50gとTHF50gの混合溶媒に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 24.5g(0.12mol)を溶かし、氷浴下でNaH(60% in oil)7.2g(0.18mol)を徐々に加えた。そこに、11−ブロモ−1−ウンデセン(95%)44.2g(0.18mol)を滴下し、室温で反応を行った。1時間で反応が終了した。反応溶液を氷水中に投入し、酢酸エチルで抽出し、黄色溶液状の化合物2aを含む混合物が得られた。この混合物37gをアセトニトリル370mlに溶かし、水7.4gを加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物1.85gを加え、室温で20分間撹拌した。酢酸エチルで有機相を抽出し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC−200、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/80)で化合物aを単離した。
合成スキームを以下に示す。
(合成例1:化合物Aの合成)
前記例示化合物1の合成は、以下の2つのステップにより行われる。それぞれのステップのスキームを挙げて説明する。
1.ステップ1(化合物aの合成)
DMAc50gとTHF50gの混合溶媒に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 24.5g(0.12mol)を溶かし、氷浴下でNaH(60% in oil)7.2g(0.18mol)を徐々に加えた。そこに、11−ブロモ−1−ウンデセン(95%)44.2g(0.18mol)を滴下し、室温で反応を行った。1時間で反応が終了した。反応溶液を氷水中に投入し、酢酸エチルで抽出し、黄色溶液状の化合物2aを含む混合物が得られた。この混合物37gをアセトニトリル370mlに溶かし、水7.4gを加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物1.85gを加え、室温で20分間撹拌した。酢酸エチルで有機相を抽出し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC−200、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/80)で化合物aを単離した。
合成スキームを以下に示す。
1H NMR(300MHz CDCl3)
δ=1.2−1.8(mb,24H),2.0(q,2H),3.2(t,J=6.6,2H),4.9−5.0(m,2H)5.8(ddt,J=24.4,J=10.5,J=6.6,1H.),7.4(t,J=7.4,2H),7.5(t,J=7.4,1H),8.3(d,1H)
δ=1.2−1.8(mb,24H),2.0(q,2H),3.2(t,J=6.6,2H),4.9−5.0(m,2H)5.8(ddt,J=24.4,J=10.5,J=6.6,1H.),7.4(t,J=7.4,2H),7.5(t,J=7.4,1H),8.3(d,1H)
2.ステップ2(化合物aのハイドロシリル化による化合物Aの合成)
化合物a5.0g(0.014mol)にSpeir catalyst(H2PtCl4・6H2O/2−PrOH、0.1mol/l)を2滴加え、氷浴下でトリクロロシラン2.8g(0.021mol)を滴下して撹拌した。さらに1時間後にトリクロロシラン1.6g(0.012mol)を滴下してから室温に戻した。3時間後に反応が終了した。反応終了後、未反応のトリクロロシランを減圧留去し、化合物Aを得た。
合成スキームを以下に示す。
化合物a5.0g(0.014mol)にSpeir catalyst(H2PtCl4・6H2O/2−PrOH、0.1mol/l)を2滴加え、氷浴下でトリクロロシラン2.8g(0.021mol)を滴下して撹拌した。さらに1時間後にトリクロロシラン1.6g(0.012mol)を滴下してから室温に戻した。3時間後に反応が終了した。反応終了後、未反応のトリクロロシランを減圧留去し、化合物Aを得た。
合成スキームを以下に示す。
1H NMR(300MHz CDCl3)
δ=1.2−1.8(m,30H),3.2(t,J=6.3,2H),7.3−7.7(m,3H),8.3(d,2H)
δ=1.2−1.8(m,30H),3.2(t,J=6.3,2H),7.3−7.7(m,3H),8.3(d,2H)
〔実施例1〕
<撥油性化合物パターン形成工程>
〔光開裂化合物結合工程(B)〕
ガラス基材(日本板硝子社製)を、終夜、ピランハ液(硫酸/30%過酸化水素=1/1vol混合液)に浸漬した後、純水で洗浄した。その基板を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ12.5wt%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水で順に洗浄した。得られた基板を基板A1とする。
<撥油性化合物パターン形成工程>
〔光開裂化合物結合工程(B)〕
ガラス基材(日本板硝子社製)を、終夜、ピランハ液(硫酸/30%過酸化水素=1/1vol混合液)に浸漬した後、純水で洗浄した。その基板を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ12.5wt%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水で順に洗浄した。得られた基板を基板A1とする。
〔グラフトポリマー生成工程(B)〕
フッ素含有モノマーである、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(アブマックス(株)社製)0.5gと、1−メトキシー2−プロパノール(和光純薬工業(株)社製)0.5gと、を混合して均一溶液とした。
前記のようにして得られた基材A1上に上記溶液を約0.5ml滴下し、上から石英板を被せて、できるだけ均一な液膜を形成した。これにパターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させ、露光機(UVE202S、三永電気製作所製)を用い、波長254nm、露光強度15.5mJ/m2の条件で60秒間露光し、グラフト重合反応を生起させた。露光後に石英板を外し、得られたフッ素系グラフトポリマーをアセトンで洗浄し、未反応のフッ素含有モノマーなどの不純物を除去して、フッ素系グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とを有する基材A2を得た。
フッ素含有モノマーである、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(アブマックス(株)社製)0.5gと、1−メトキシー2−プロパノール(和光純薬工業(株)社製)0.5gと、を混合して均一溶液とした。
前記のようにして得られた基材A1上に上記溶液を約0.5ml滴下し、上から石英板を被せて、できるだけ均一な液膜を形成した。これにパターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させ、露光機(UVE202S、三永電気製作所製)を用い、波長254nm、露光強度15.5mJ/m2の条件で60秒間露光し、グラフト重合反応を生起させた。露光後に石英板を外し、得られたフッ素系グラフトポリマーをアセトンで洗浄し、未反応のフッ素含有モノマーなどの不純物を除去して、フッ素系グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とを有する基材A2を得た。
基材A2における、フッ素系グラフトポリマーの生成領域の撥油性を確認するために、当該領域の水滴の接触角を測定したところ115度であり、優れた撥油性を有することがわかった。
また、フッ素系グラフトポリマーの生成領域の撥油性を確認するために、当該領域にマジックインク(マーツキーケア:黒、ゼブラ(株)社製)を付着させたところ、フッ素系グラフトポリマーの生成領域にはインクが付着せず、非生成領域のみに選択的にインクが付着した。
ESCAにより、フッ素系グラフトポリマーにおけるフッ素表面原子量を測定したところ、F:52原子%(その他の表面原子量C:42%、O:6%)であり、高い撥油性を有していることが認められた。(参考値:上記フッ素含有モノマーにおけるフッ素表面原子量:52原子%、その他の表面原子量C:42%、O:6%)
グラフトポリマーの生成領域の膜厚を、ナノピクス1000(セイコーインスツルメンツ社製)を使用して測定したところ、10nmであった。
また、フッ素系グラフトポリマーの生成領域の撥油性を確認するために、当該領域にマジックインク(マーツキーケア:黒、ゼブラ(株)社製)を付着させたところ、フッ素系グラフトポリマーの生成領域にはインクが付着せず、非生成領域のみに選択的にインクが付着した。
ESCAにより、フッ素系グラフトポリマーにおけるフッ素表面原子量を測定したところ、F:52原子%(その他の表面原子量C:42%、O:6%)であり、高い撥油性を有していることが認められた。(参考値:上記フッ素含有モノマーにおけるフッ素表面原子量:52原子%、その他の表面原子量C:42%、O:6%)
グラフトポリマーの生成領域の膜厚を、ナノピクス1000(セイコーインスツルメンツ社製)を使用して測定したところ、10nmであった。
<導電性素材層形成工程>
基材A2のフッ素系グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とが形成された面に、インジウム−錫酸化物薄膜をスパッタリング法により製膜し、透明導電膜(導電性素材層)が形成された基材A3を得た。透明導電性膜の形成は、スパッタリング装置内に、基材B1を配置し、1.3mPaまで排気した後、アルゴン/酸素を体積比98.5/1.5、とした混合ガスを導入し、雰囲気圧力を0.27Paとし、基材A2の温度を50℃に制御して投入電力1W/cm2でDCスパッタリングにより行った。スパッタリングターゲットとしては、インジウム/錫が90/10(質量比)の組成で、充填密度が約90%のものを用いた。得られた導電性素材層の膜厚は100nmであった。
基材A2のフッ素系グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とが形成された面に、インジウム−錫酸化物薄膜をスパッタリング法により製膜し、透明導電膜(導電性素材層)が形成された基材A3を得た。透明導電性膜の形成は、スパッタリング装置内に、基材B1を配置し、1.3mPaまで排気した後、アルゴン/酸素を体積比98.5/1.5、とした混合ガスを導入し、雰囲気圧力を0.27Paとし、基材A2の温度を50℃に制御して投入電力1W/cm2でDCスパッタリングにより行った。スパッタリングターゲットとしては、インジウム/錫が90/10(質量比)の組成で、充填密度が約90%のものを用いた。得られた導電性素材層の膜厚は100nmであった。
<導電性素材層除去工程>
基材A3における透明導電膜が形成された面を、綿(ベンコット、旭化成せんい(株)製)で擦ることにより、実施例1の導電性パターン1を得た。
基材A3における透明導電膜が形成された面を、綿(ベンコット、旭化成せんい(株)製)で擦ることにより、実施例1の導電性パターン1を得た。
〔実施例2〕
<撥油性化合物パターン形成工程>
(光開裂化合物結合工程(A))
実施例1と同様にして、光開裂化合物を全面に結合させた基材B1を得た。
(重合開始能失活工程)
前記のようにして得られた基材Bl上に実施例1で使用したパターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させ、露光機(UVE202S、三永電気製作所製)を用い、波長254nm、露光強度15.5mJ/m2の条件で60秒間露光した。この操作により、重合開始可能領域(未露光領域)と、重合開始能失活領域(露光領域)と、が形成された基材B2を得た。
<撥油性化合物パターン形成工程>
(光開裂化合物結合工程(A))
実施例1と同様にして、光開裂化合物を全面に結合させた基材B1を得た。
(重合開始能失活工程)
前記のようにして得られた基材Bl上に実施例1で使用したパターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させ、露光機(UVE202S、三永電気製作所製)を用い、波長254nm、露光強度15.5mJ/m2の条件で60秒間露光した。この操作により、重合開始可能領域(未露光領域)と、重合開始能失活領域(露光領域)と、が形成された基材B2を得た。
(グラフトポリマー生成工程(A))
フッ素含有モノマーである、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート(アジマックス(株)社製)0.5gと、1−メトキシー2−プロパノール(和光純薬工業(株)社製)0.5gと、を混合して均一溶液とした。
前記のようにして得られた基材B2上に上記溶液を約0.5ml滴下し、上から石英板を被せて、できるだけ均一な液膜を形成した。つぎに、前記重合開始能失活工程において用いた露光機にて60秒間全面露光を行い、グラフト重合反応を生起させた。露光後に石英板を外し、得られたフッ素系グラフトポリマーをアセトンで洗浄し、未反応のフッ素含有モノマーなどの不純物を除去して、フッ素系グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とを有する基材B3を得た。
フッ素含有モノマーである、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート(アジマックス(株)社製)0.5gと、1−メトキシー2−プロパノール(和光純薬工業(株)社製)0.5gと、を混合して均一溶液とした。
前記のようにして得られた基材B2上に上記溶液を約0.5ml滴下し、上から石英板を被せて、できるだけ均一な液膜を形成した。つぎに、前記重合開始能失活工程において用いた露光機にて60秒間全面露光を行い、グラフト重合反応を生起させた。露光後に石英板を外し、得られたフッ素系グラフトポリマーをアセトンで洗浄し、未反応のフッ素含有モノマーなどの不純物を除去して、フッ素系グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とを有する基材B3を得た。
基材B3における、フッ素系グラフトポリマーの生成領域の撥油性を確認するために、当該領域の水滴の接触角を測定したところ110度であり、優れた撥油性を有することがわかった。
また、フッ素系グラフトポリマーの生成領域の撥油性を確認するために、当該領域にマジックインク(マーツキーケア:黒、ゼブラ(株)社製)を付着させたところ、フッ素系グラフトポリマーの生成領域にはインクが付着せず、非生成領域のみに選択的にインクが付着した。
ESCAにより、フッ素系グラフトポリマーにおけるフッ素表面原子量を測定したところ、F:40原子%(その他の表面原子量C:48%、O:12%)であり、高い撥油性を有していることが認められた。(参考値:上記フッ素含有モノマーにおけるフッ素表面原子量:45原子%、その他の表面原子量C:45%、O:10%)
グラフトポリマーの生成領域の膜厚を、ナノピクス1000(セイコーインスツルメンツ社製)を使用して測定したところ、10nmであった。
また、フッ素系グラフトポリマーの生成領域の撥油性を確認するために、当該領域にマジックインク(マーツキーケア:黒、ゼブラ(株)社製)を付着させたところ、フッ素系グラフトポリマーの生成領域にはインクが付着せず、非生成領域のみに選択的にインクが付着した。
ESCAにより、フッ素系グラフトポリマーにおけるフッ素表面原子量を測定したところ、F:40原子%(その他の表面原子量C:48%、O:12%)であり、高い撥油性を有していることが認められた。(参考値:上記フッ素含有モノマーにおけるフッ素表面原子量:45原子%、その他の表面原子量C:45%、O:10%)
グラフトポリマーの生成領域の膜厚を、ナノピクス1000(セイコーインスツルメンツ社製)を使用して測定したところ、10nmであった。
<導電性素材層形成工程>
得られた基材B3に対して、実施例1と同様にして透明導電膜(導電性素材層)を形成し、基材B4を得た。
<導電性素材層除去工程>
基材B4における透明導電膜が形成された面を、綿(ベンコット、旭化成せんい(株)製)で擦ることにより、実施例2の導電性パターン2を得た。
得られた基材B3に対して、実施例1と同様にして透明導電膜(導電性素材層)を形成し、基材B4を得た。
<導電性素材層除去工程>
基材B4における透明導電膜が形成された面を、綿(ベンコット、旭化成せんい(株)製)で擦ることにより、実施例2の導電性パターン2を得た。
〔実施例3〕
<撥油性化合物パターン形成工程>
特開2000−282240公報(前記特許文献1)に記載の実施例1の方法に準じて、ヘプタデカフルオロー1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリメトキンシランの単分子膜をシリコン基材上に形成した後、パターン形成を行った。即ち、フッ素アルキルシラン単分子膜が形成されたシリコン基材にマスクを密着させ、マスクパターンを介して172nmの紫外光を照射した。照射時間は10mW/cm2で、照射時間は40分間である。この照射により紫外光によりC−C結合が切断されシラン単分子膜が分解除去され、フッ素系化合物の結合領域と非結合領域からなるパターンが形成された基材C1を得た。
<撥油性化合物パターン形成工程>
特開2000−282240公報(前記特許文献1)に記載の実施例1の方法に準じて、ヘプタデカフルオロー1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリメトキンシランの単分子膜をシリコン基材上に形成した後、パターン形成を行った。即ち、フッ素アルキルシラン単分子膜が形成されたシリコン基材にマスクを密着させ、マスクパターンを介して172nmの紫外光を照射した。照射時間は10mW/cm2で、照射時間は40分間である。この照射により紫外光によりC−C結合が切断されシラン単分子膜が分解除去され、フッ素系化合物の結合領域と非結合領域からなるパターンが形成された基材C1を得た。
<導電性素材層形成工程>
得られた基材C1に対して、実施例1と同様にして透明導電膜(導電性素材層)を形成し、基材C2を得た。
得られた基材C1に対して、実施例1と同様にして透明導電膜(導電性素材層)を形成し、基材C2を得た。
<導電性素材層除去工程>
基材C2における透明導電膜が形成された面を、綿(ベンコット、旭化成せんい(株)製)で擦ることにより、導電性パターン3を得た。
基材C2における透明導電膜が形成された面を、綿(ベンコット、旭化成せんい(株)製)で擦ることにより、導電性パターン3を得た。
[評価]
得られた導電性パターン1〜3の導電性領域において、それぞれ両端を顕微鏡を使いながら注意深くテスターを用いて導電性を測定したところ、総て1Ω以下の導電性状態となっていた。
また、導電性パターン1〜3の表面を、透過型電子顕微鏡(JEOLJEM−200CX)にて10万倍で観察したところ、表面において緻密な導電性膜が形成されていることが確認された。但し、実施例1及び実施例2で作製した導電性パターンにおいては、グラフトポリマー生成領域に全く導電性成分(導電性素材)が観察されなかったが、実施例3では、フッ素系化合物からなる単分子膜上に極僅かに導電性成分が観察された。
得られた導電性パターン1〜3の導電性領域において、それぞれ両端を顕微鏡を使いながら注意深くテスターを用いて導電性を測定したところ、総て1Ω以下の導電性状態となっていた。
また、導電性パターン1〜3の表面を、透過型電子顕微鏡(JEOLJEM−200CX)にて10万倍で観察したところ、表面において緻密な導電性膜が形成されていることが確認された。但し、実施例1及び実施例2で作製した導電性パターンにおいては、グラフトポリマー生成領域に全く導電性成分(導電性素材)が観察されなかったが、実施例3では、フッ素系化合物からなる単分子膜上に極僅かに導電性成分が観察された。
以上、実施例の導電性パターン形成方法によれば、導電性が高く、高精細な、導電性パターンを容易に形成できることが分かった。また、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域が示す撥油性の点からは、当該領域は撥油性の官能基を有するグラフトポリマーにより形成されていることが、より好ましいことが確認された。
Claims (5)
- 基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程と、
該撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とが形成された基材上に、気相堆積膜形成法により導電性素材層を形成する工程と、
該導電性素材層が形成された基材表面を擦って、前記撥油性の官能基を有する化合物の結合領域上に形成された導電性素材層のみを除去する工程と、
をこの順に行うことを特徴とする導電性パターン形成方法。 - 基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程が、
基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物をパターン状に結合させる工程と、
前記基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、全面露光を行い、光開裂が生起した前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させて、当該基材表面にグラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性パターン形成方法。 - 基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位を有する化合物をパターン状に結合させる工程が、
光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材表面に結合させる工程と、
パターン露光を行い、露光領域の前記重合開始部位を失活させる工程と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の導電性パターン形成方法。 - 基材表面に、撥油性の官能基を有する化合物の結合領域と非結合領域とをパターン状に形成する工程が、
基材表面に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を結合させる工程と、
前記基材上に、撥油性の官能基を有するラジカル重合性化合物を接触させた後、パターン露光を行い、光開裂が生起した露光領域の前記重合開始部位を起点としてグラフトポリマーを生成させて、当該基材表面にグラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性パターン形成方法。 - 前記重合開始部位が、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合からなる群より選択されるいずれかを含むことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の導電性パターン形成方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004180116A JP2006003657A (ja) | 2004-06-17 | 2004-06-17 | 導電性パターン形成方法 |
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ID=35772091
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JP (1) | JP2006003657A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019003900A (ja) * | 2017-06-19 | 2019-01-10 | 学校法人 工学院大学 | 透明導電膜、透明導電膜つき透明基板、透明導電膜つき透明基板の製造方法、タッチパネル |
-
2004
- 2004-06-17 JP JP2004180116A patent/JP2006003657A/ja active Pending
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