JP2006002584A - プロペラファンおよびこれを用いた空気調和機 - Google Patents

プロペラファンおよびこれを用いた空気調和機 Download PDF

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Abstract

【課題】 発生する渦による騒音を防止して商品性を高めるとともに、空力損失を抑えて性能を向上することができるプロペラファンおよびこれを用いた空気調和機を提供する。
【解決手段】 少なくとも一つ以上の羽根4を装着したハブ3を所定方向に回転させて、流体を上流側から下流側に送り出すプロペラファン1である。羽根4の外周部は、少なくともその後縁側付近が負圧側を向くように湾曲する湾曲部10を有する。羽根4の後縁のライン8は、ハブ3の回転軸Oに垂直な平面に投影したときに、羽根4の内周端から外周側に向けて緩やかに曲線を描きながら回転方向に前進し、さらに、羽根4の外周端13よりやや根元側で変曲点12をもつように回転方向に対して後退した曲線になっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハブに装着した少なくとも一つ以上の羽根を所定方向に回転させて、流体を上流側から下流側に送り出すプロペラファンおよびこれを用いた空気調和機に関するものである。
従来におけるベーシックなプロペラファンとしては、例えば図10に示すものが知られている。同図に示すプロペラファン101は、円筒状のハブ103と、このハブ103に装着された羽根104(104a〜104c)とを備えている。このハブ103を所定方向P(この場合は時計回り)に回転させて羽根104を旋回させることで、空気等の流体を前方から後方(矢印Q方向)に送り出している。
しかしながら、プロペラファン101の羽根104を旋回させたときに、羽根104の外周側端部106で発生する翼端渦S1、S2が問題となる(図10参照)。すなわち、羽根104aで発生した翼端渦S1が、プロペラファン101の外周側に配設されるリング状のベルマウス119に衝突したり(衝突箇所U1)、先行する羽根(例えば羽根104b)の翼端で発生した翼端渦S2が後方に放出されて、後続する羽根(例えば羽根104c)に衝突することで(衝突箇所U2)、騒音が発生して空力損失が増大してしまう。
従って、羽根の翼端で発生した翼端渦S1、S2がベルマウス119や後続する羽根104への衝突を防止することが重要であり、このような観点から、以下に示すような技術が提案されている。
例えば、飛行機の羽根の端部に設けられるウイングレットと同様の処理を行うことで、羽根の翼端の部分を他の部分よりも高くすることで、翼端の部分を負圧側(吸い込み側)に位置させて、翼端渦が発生した羽根の表面との接触を避ける技術が提案されている。
また、羽根で発生した翼端渦が、その回転方向後方に位置する他の羽根に衝突することを避けるために、図11に示すように、羽根134の外周側端部に翼端渦を引き寄せる負圧部(反り返り部)140を設けたプロペラファン130が提案されている。図11は、プロペラファン130の要部断面図であり、図10のBB方向から視た図に相当する。図11に示すように、プロペラファン130の羽根134の外周部には、負圧面側(図11の上側)に外周端を突出するように負圧部140を設けて、翼端渦を負圧により引き止めるように構成している。
そして、これらの技術を反映したものとしては、特許文献1に開示されているように、羽根の前縁と後縁の外周端を前方に位置させて、その幅が前縁から後縁にかけて大きくなるように外周部に反り返り部を設ける技術が提案されている。
特開2003−184792号公報
しかしながら、従来の技術においては、以下のような問題がある。図12、図13は従来の技術における問題点を示す説明図であり、図10に示すプロペラファンの外周側に図11に示す改良を加えたプロペラファンの斜視図、一部断面図である。図12に示すように、ハブ103を所定方向(矢印P方向)に回転させて前記羽根4を旋回させることで、流体を上流側から下流側(矢印Q方向)に送り出されるが、このときに、羽根134の翼端135で翼端渦S3が発生する。図12に示すように、羽根134の外周部における反り返り部140が形成された部位では、翼端渦S3は安定するものの、反り返り部140よりも下流側に翼端渦S3が流れた場合には拡散してしまう。その結果、翼端渦S3が羽根134の径方向外方に開放されると、羽根134の負圧によって拘束できなくなり、渦が遠心力で羽根134の径方向外方に移動してしまう。加えて、小さく安定していた渦が渦自体の遠心力で拡がろうとする。反り返り部140よりも下流側の位置にベルマウス119が設けられている場合には、拡散した翼端渦S3がベルマウス119に衝突してしまう(衝突箇所U3)。また、図13に示すように、羽根134の後縁ライン138で発生する後流渦Tと、翼端渦S3とが、互いに増幅するように干渉しあって、後縁ライン138と衝突してしまう(衝突箇所U4)。従って、これらの衝突により騒音が発生して商品性を低下させるとともに、空力損失が発生して性能を低下させてしまうという問題がある。
従って、本発明は、発生する渦による騒音を防止して商品性を高めるとともに、空力損失を抑えて性能を向上することができるプロペラファンおよびこれを用いた空気調和機を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、少なくとも一つ以上の羽根を装着したハブを所定方向に回転させて、流体を上流側から下流側に送り出すプロペラファンであって、前記羽根の外周部は、少なくともその後縁側付近が負圧側を向くように湾曲する湾曲部を有し、前記羽根の後縁のラインは、前記ハブの回転軸に垂直な平面に投影したときに、前記羽根の内周端から外周側に向けて緩やかに曲線を描きながら回転方向に前進し、さらに、前記羽根の外周端よりやや根元側で変曲点をもつように回転方向に対して後退した曲線になっていることを特徴とする。
この発明によれば、前記羽根の後縁のラインにおける、羽根の外周端よりやや根元側では、前記平面に投影したときに、前記変曲点をもつように回転方向に対して後退した曲線としているので、翼端渦が前記羽根の後縁ラインから下流側に放出されるまで前記翼端渦を安定させることができる。さらに、前記平面に投影したときに、前記羽根の内周端から外周側に向けて緩やかに曲線を描きながら回転方向に前進する曲線を前記後縁ラインに形成することで、後流渦を小さくすることができる。すなわち、後流渦は後縁のラインに垂直な方向に放出されるので、従来のように後縁ラインが直線に近い形状の場合には、半径方向の各部位から放出される後流渦は一体化して幅の大きな渦となり、騒音も大きくなってしまう。しかしながら、前記羽根の後縁のラインを上述の曲線にすることにより、半径方向の各部位から放出される後流渦の放出方向を異ならせることができる。よって、半径方向の各部位から放出される後流渦が一体化しにくくなり、小さな渦となるため、騒音を低下させることができる。
従って、発生する渦による騒音を防止して商品性を高めるとともに、空力損失を抑えて性能を向上することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のものであって、前記後縁のラインは、前記回転軸に垂直な平面に投影したときに、前記根元部側から変曲点にかけての部位の曲率半径よりも、前記変曲点から前記外周端にかけての曲率半径を小さくしていることを特徴とする。
この発明によれば、旋回性能に主として寄与する仕事量を維持しつつ、翼端渦や後流渦の発生を抑えることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のものであって、前記羽根を子午面に回転投影したとき、前記内周端と、前記変曲点と、前記外周端とが略同一直線上に位置するように形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、上述の3つの点(内周端、変曲点、外周端)を略同一直線上に位置させることにより、後縁ラインにおいて下流方向に局所的に突出する箇所を無くすことができる。従って、空気調和機などにおいて、プロペラファンの下流側に配設されるファンガードとの干渉によって発生する騒音を抑制しつつ、限られたスペース内でできる限り翼面積を確保することができる。これによって、前記羽根の翼面における圧力上昇が緩やかとなり、空力性能の向上や騒音の低減が可能となる。
前記羽根の後縁のラインから翼端渦が下流側に放出される際に、翼端渦が径方向外周に流出することを防止することができ、引き続き翼外周端のラインの後方に後流渦を流すことができる。
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のものであって、前記羽根を子午面に回転投影したとき、前記変曲点と前記外周端とを通る直線よりも前記内周端を上流側に位置するように形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、前記羽根の後縁のラインから後流渦が放出される際に、後流渦が径方向外周に流出することを、上述の3つの点を同一直線上に位置させる場合に比して、より確実に防止することができるため、後流渦の流れをさらに安定させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のものであって、前記後縁のラインの最外周部が、その外周側を囲むように配設されるベルマウスの前記回転軸方向下流端部よりも、上流側に位置していることを特徴とする。
この発明によれば、異物の混入を防ぐためのファンガードをベルマウスに取り付け易くなり、さらに、ファンの羽根とファンガードとの距離を確保しやすくなるため両者の干渉による騒音を抑制することができる。
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のものであって、前記湾曲部の半径方向の幅を、前記羽根の前縁側から後縁側にかけて、漸次大きくしていることを特徴とする。
この発明によれば、前記羽根の翼端で発生した渦が、前記羽根の前縁側から後縁側に向かうにつれて成長していっても、前記湾曲部に前記渦を引きつけておくことができ、翼端渦が前記羽根から下流側に放出されるまで前記翼端渦を安定させることができる。
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載のものであって、前記湾曲部を、前記羽根のその他の部位よりも柔軟な樹脂製材料で形成していることを特徴とする。
この発明によれば、前記羽根の旋回時に生じる翼端渦が前記湾曲部に衝突したときに、前記翼端渦のエネルギーを前記湾曲部でダンピングして、渦のエネルギーを吸収して小さくすることができる。従って、前記翼端渦による騒音をより効果的に抑制することができる。さらに、前記羽根がアンダーカット形状を有していても、無理抜き成型することが可能となり、効率よく生産することができる。
請求項8に係る発明は、請求項7に記載のものであって、前記柔軟な樹脂製材料は、前記羽根を使用回転数で回転させたときに、前記ベルマウスとの非接触状態を維持し得る硬さを有していることを特徴とする。
この発明によれば、前記樹脂製材料が前記硬さを有することにより、前記ベルマウスと接触することによる旋回時の抵抗が増大することを防止できる。従って、旋回時に生じる抵抗の増大を防止することができるので、静音性を維持しつつ旋回性能を高く保つことができる。
請求項9に係る発明は、空気調和機であって、請求項1から請求項8のいずれかに記載のプロペラファンを備えることを特徴とする。
この発明によれば、渦による騒音を抑制して空力損失を抑えることのできるプロペラファンを用いることができるので、快適性や利便性を高めることができる。
請求項1に係る発明によれば、翼端渦や後流渦の衝突による騒音の発生を抑えることができるため、商品性を高めることができるとともに、空力損失を抑えることができるので性能を向上することができる。
請求項2に係る発明によれば、旋回性能に主として寄与する仕事量を維持しつつ、翼端渦や後流渦の発生を抑えることができる。
請求項3に係る発明によれば、前記羽根の翼面における圧力上昇が緩やかとなり、空力性能の向上や騒音の低減が可能となる。さらに、前記羽根の後縁ラインから翼端渦が下流側に放出される際に、翼端渦が径方向外周に放出することを防止することができ、さらなる騒音の低減が可能となる。
請求項4に係る発明によれば、前記羽根の後縁のラインから後流渦が放出される際に、後流渦の流れをさらに安定させることができる。
請求項5に係る発明によれば、異物の混入を防ぐためのファンガードをベルマウスに取り付け易くなり、さらに、ベルマウスとファンガードとの干渉による騒音を抑制することができる。
請求項6に係る発明によれば、翼端渦が前記羽根から下流側に放出されるまで前記翼端渦を安定させることができる。
請求項7に係る発明によれば、前記翼端渦による騒音をより効果的に抑制することができる。さらに、前記羽根がアンダーカット形状を有していても効率よく生産することができる。
請求項8に係る発明によれば、静音性を維持しつつ旋回性能を高く保つことができる。
請求項9に係る発明によれば、快適性や利便性を高めることができる。
以下、この発明の実施の形態におけるプロペラファンおよびこれを用いた空気調和機について図面と共に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプロペラファンの斜視図である。図2は図1に示すプロペラファンの平面図である。
これらの図に示すように、本実施の形態におけるプロペラファン1は、円筒状のハブ3と、このハブ3に装着された羽根4(4a〜4c)とを備えている。このハブ3を所定方向P(この場合は時計回り)に回転させて羽根4を旋回させることで、空気等の流体を前方から後方(矢印Q方向)に送り出している。
そして、それぞれの羽根4は、その外周端13を負圧側(図2の表面側)に突出するように湾曲させてなる湾曲部10を有している。さらに、図2に示すように、それぞれの羽根4の後縁ライン8は、前記ハブ3の回転軸Oに垂直な平面に投影したときに、内周端11から外周側に向けて緩やかに曲線を描きながら回転方向に前進する内周側後縁ライン15と、外周端13よりやや根元側で変曲点12をもつように回転方向に対して後退した外周側後縁ライン16と、を有する曲線になっている。
それぞれの羽根4の後縁ライン8は、前記内周側後縁ライン15の曲率半径よりも、前記外周側後縁ライン16の曲率半径を小さくしている。
また、それぞれの羽根4は、前記湾曲部10の半径方向の幅を、前縁側から後縁側にかけて、漸次大きくしている。
このように構成されたプロペラファン1の作用について、図1、図2に加えて、図3、図4を用いて説明する。
図3は図1に示すプロペラファンが発生する渦についての斜視説明図である。図4は図1に示すプロペラファンが発生する渦についての断面説明図である。これらの図に示すように、前記ハブ3を所定方向(矢印P方向)に回転させて前記羽根4を旋回させることで、前記流体を上流側から下流側(矢印Q方向)に送り出すことができる。
そして、この時に前記羽根4の外周ライン6の翼端17で発生する翼端渦Sは、前記湾曲部10により負圧側に安定した状態で保持されつつ前記湾曲部10に沿って下流方向に案内される。
そして、前記湾曲部10の半径方向の幅を、前縁側から後縁側にかけて、漸次大きくしているため、翼端渦Sが、前記羽根4の前縁側から後縁側に向かうにつれて成長していっても、前記湾曲部10に翼端渦Sを引きつけておくことができる。これにより、翼端渦Sが前記羽根4から下流側に放出されるまで前記翼端渦Sを安定させることができる。
さらに、羽根4の後縁ライン8に、前記変曲点12をもつように回転方向に対して後退した外周側後縁ライン16を形成することで、翼端渦Sが前記羽根4から下流側に放出されるまで前記翼端渦Sを安定させることができる。
従って、ある一つの羽根4で発生した翼端渦Sが、その外周側に配設されるベルマウス19や他の羽根4に衝突することを防いで、衝突による騒音の発生を抑えることができる。
また、後縁ライン8に、前記変曲点12をもつように回転方向に後退した外周側後縁ライン16と、前記羽根4の内周端11から外周側に向けて緩やかに曲線を描きながら回転方向に前進する内周側後縁ライン15とを形成することで、後流渦Tを小さくすることができる。この効果についてより詳細に説明する。すなわち、後流渦Tは後縁ライン8に垂直な方向に放出されるので、従来のように後縁ラインが直線に近い形状の場合には、半径方向の各部位から放出される後流渦は一体化して幅の大きな渦となり、騒音も大きくなってしまう(図12、図13参照)。
しかしながら、前記羽根4の後縁ライン8を、上述のように内周側後縁ライン15と外周側後縁ライン16とを有する曲線にすることにより、後縁ライン8の半径方向の各部位から放出される後流渦Tの放出方向を異ならせることができる。よって、半径方向の各部位から放出される後流渦Tが一体化しにくくなり、小さな渦となるため、後流渦Tによる騒音の発生を抑えることができる。
また、上述のように、それぞれの羽根4において、後縁ライン8は、前記内周側後縁ライン15の曲率半径よりも、前記外周側後縁ライン16の曲率半径を小さくしているので、旋回性能に主として寄与する領域(内周側後縁ライン15を有する面の領域)を十分に確保することができる。これにより、旋回による仕事量(使用回転数で送り出す流体の流量)を一定以上に確保しつつ、翼端渦Sや後流渦Tの発生を抑えることができる。ここで、後縁ライン8における外周側後縁ライン16の占める割合を、30%程度以内に抑えるように設定することが好ましい。
また、それぞれの羽根4は、湾曲部10の半径方向の幅を、前記羽根4の前縁側から後縁側にかけて、漸次大きくしているので、前記羽根4の翼端17で発生した翼端渦Sが、前記羽根4の前縁側から後縁側に向かうにつれて成長していっても、前記湾曲部10に前記翼端渦Sを引きつけておくことができる。従って、翼端渦Sが前記羽根4から下流側に放出されるまで前記翼端渦Sを安定させることができる。
よって、本実施の形態におけるプロペラファン1は、旋回時に発生する渦(翼端渦Sや後流渦T)による騒音を防止して商品性を高めるとともに、空力損失を抑えて性能を向上することができる。
図9は本発明のプロペラファンと従来型のプロペラファンとについての同一回転数における静圧と風量との関係を示すグラフ図である。同図に示すように、本発明のプロペラファン1を用いた場合には、従来型のプロペラファン130に比べ、同一の回転数における送風性能が向上している。この結果から、同一風量、同一静圧では本発明の方が必要回転数が低下し、その分、送風音が低減すると言える。
以下、本発明の他の実施の形態について説明する。以下の実施の形態において、上述の実施の形態と同様の構成となっている箇所については、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
図5は本発明の第2の実施の形態におけるプロペラファンの平面図である。図6は図5に示すプロペラファンの羽根24の回転軌跡を子午面に回転投影した図である。ここで、子午面はプロペラファン21のハブ3の軸心を含む平面である。本実施の形態においては、前記羽根24を子午面に回転投影したとき、前記羽根24の後縁ライン8の内周端31と、その外周端33と、両者の間に形成される変曲点32とが略同一直線L上に位置するように、それぞれの羽根24は形成されている。
また、前記羽根24の後縁ライン8の最外周部33は、ベルマウス19の前記回転軸O方向下流端部19aよりも、上流側(図6において下流端部19aよりも左側)に位置している。
このように、各点31、32、33が略同一直線L上に位置するように、それぞれの羽根24を形成することで、羽根24の後縁ライン8において下流方向に局所的に突出する箇所を無くすことができる。従って、空気調和機などにおいて、プロペラファン21の下流側に配設されるファンガード(図示せず)との干渉によって発生する騒音を抑制しつつ、限られたスペース内でできる限り翼面積を確保することができる。これによって、前記羽根24の翼面における圧力上昇が緩やかとなり、空力性能の向上や騒音の低減が可能となる。さらに、前記羽根24の後縁ライン8から翼端渦Sが下流側に放出される際に、翼端渦Sが径方向外周に放出することを防止することができ、さらなる騒音の低減が可能となる。
なお、図6においては、前記内周端31、前記外周端33、前記変曲点32が同一直線L上に完全に一致する場合を示しているが、完全に一致する必要はなく、例えば、内周端31が前記直線Lよりも上流側に位置するようになっていてもよい。この場合には、前記羽根24の後縁ライン8から後流渦Tが放出される際に、後流渦Tが径方向外周に流出することを、上述の3つの点31〜33を同一直線L上に位置させる場合に比して、より確実に防止することができるため、後流渦Tの流れをさらに安定させることができる。
加えて、前記後縁ライン8の最外周部33が、ベルマウス19の前記回転軸O方向下流端部19aよりも、上流側に位置するようにそれぞれの羽根24を設定することで、異物の混入を防ぐためのファンガード(図示せず)をベルマウス19に取り付けやすくなる。さらに、ファンガードとの距離を確保しやすくなるため、ベルマウス19とファンガードとの干渉による騒音を抑制することができる。従って、商品性を高めることができ、性能を向上することができる。
図7は本発明の第3の実施の形態におけるプロペラファンの平面図である。図8は図7に示すプロペラファンの要部を示す断面説明図である。これらの図に示すように、本実施の形態におけるプロペラファン41の羽根44は、湾曲部50を、羽根44のその他の部位(例えば内周側の部位)よりも柔軟な樹脂製材料で形成している。
このようにすると、前記羽根44の旋回時に生じる翼端渦Sが前記湾曲部50に衝突したときに、前記翼端渦Sのエネルギーを前記湾曲部50でダンピングして、渦のエネルギーを吸収して小さくすることができる。従って、前記翼端渦Sによる騒音をより効果的に抑制することができる。さらに、前記羽根44がアンダーカット形状を有していても、無理抜き成型することが可能となり、効率よく生産することができる。
ここで、前記樹脂製材料は、前記羽根44を使用回転数で回転させたときに、前記湾曲部10の外周側に設けられるベルマウス19との非接触状態を維持し得る剛性を有することが好ましい。前記樹脂製材料が前記剛性を有することにより、前記ベルマウス19と接触することによる旋回時の抵抗が増大することを防止できる。従って、旋回時に生じる抵抗の増大を防止することができるので、静音性を維持しつつ旋回性能を高く保つことができる。
このような性質を有する樹脂製材料として、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー等、耐候性に優れたものを好適に用いることができる。また、好ましい物性として、材料の伸び率を500〜1500%(3号ダンベル、500mm/min:JIS K 6251の場合)とすることが好ましい。
なお、本発明の内容は上述の実施の形態のみに限られるものでないことはもちろんである。例えば、空気調和機としては、換気扇やエアコンといった家電用品に限らず、上述のプロペラファンを備えた空気調和機であればよい。
本発明の第1の実施の形態におけるプロペラファンの斜視図である。 図1に示すプロペラファンの平面図である。 図1に示すプロペラファンが発生する渦についての斜視説明図である。 図1に示すプロペラファンが発生する渦についての断面説明図である。 本発明の第2の実施の形態におけるプロペラファンの平面図である。 図5に示すプロペラファンの子午面に回転投影した図である。 本発明の第3の実施の形態におけるプロペラファンの平面図である。 図7に示すプロペラファンの要部を示す断面説明図である。 本発明のプロペラファンと従来型のプロペラファンとについての静圧と風量との関係を示すグラフ図である。 従来における基本的なプロペラファンについての斜視図である。 従来における改良型のプロペラファンについての図10のBB方向の一部断面図である。 図11に示すプロペラファンの斜視図である。 図11に示すプロペラファンの一部断面図である。
符号の説明
1…プロペラファン
3…ハブ
4(4a〜4c)…羽根
8…後縁ライン
9…正圧面側湾曲部
10…湾曲部
11…内周端
12…変曲点
13…外周端
19…ベルマウス

Claims (9)

  1. 少なくとも一つ以上の羽根を装着したハブを所定方向に回転させて、流体を上流側から下流側に送り出すプロペラファンであって、
    前記羽根の外周部は、少なくともその後縁側付近が負圧側を向くように湾曲する湾曲部を有し、
    前記羽根の後縁のラインは、前記ハブの回転軸に垂直な平面に投影したときに、前記羽根の内周端から外周側に向けて緩やかに曲線を描きながら回転方向に前進し、さらに、前記羽根の外周端よりやや根元側で変曲点をもつように回転方向に対して後退した曲線になっていることを特徴とするプロペラファン。
  2. 前記後縁のラインは、前記回転軸に垂直な平面に投影したときに、前記根元部側から変曲点にかけての部位の曲率半径よりも、前記変曲点から前記外周端にかけての曲率半径を小さくしていることを特徴とする請求項1に記載のプロペラファン。
  3. 前記羽根を子午面に回転投影したとき、
    前記内周端と、前記変曲点と、前記外周端とが略同一直線上に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロペラファン。
  4. 前記羽根を子午面に回転投影したとき、
    前記変曲点と前記外周端とを通る直線よりも前記内周端を上流側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロペラファン。
  5. 前記後縁のラインの最外周部が、その外周側を囲むように配設されるベルマウスの前記回転軸方向下流端部よりも、上流側に位置していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロペラファン。
  6. 前記湾曲部の半径方向の幅を、前記羽根の前縁側から後縁側にかけて、漸次大きくしていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のプロペラファン。
  7. 前記湾曲部を、前記羽根のその他の部位よりも柔軟な樹脂製材料で形成していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のプロペラファン。
  8. 前記柔軟な樹脂製材料は、前記羽根を使用回転数で回転させたときに、前記ベルマウスとの非接触状態を維持し得る硬さを有していることを特徴とする請求項7に記載のプロペラファン。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載のプロペラファンを備えることを特徴とする空気調和機。
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