JP2006002030A - ガラス状板材の合紙 - Google Patents

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一幸 近藤
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Abstract

【課題】包装用補助具に依存することなく輸送及び保管コストを軽減し、紙跡の防止に加えて発塵を抑制した清浄なガラス状板材の合紙を提供する。
【解決手段】パルプをビスコース化し、凝固、再生、水洗、乾燥の工程を含みフィルム状に成形した再生セルロースフィルムからなり、このフィルムの1時間煮沸による熱水溶出分(WS)は、{WS(熱水溶出分)=(W0(煮沸前の乾燥重量)−W1(1時間煮沸後の乾燥重量))/W0(煮沸前の乾燥重量)×100}とする式において2.0重量%以下を満たす。さらに、前記再生セルロースフィルム10Aの表面にエンボス20Aを形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス状板材の輸送や保管時に各ガラス状板材間に挟み込む合紙に関し、特に合紙自体によるガラス表面への汚染の低減及び発塵を抑制した再生セルロースのフィルムからなる合紙に関する。
通常、ガラス板等のガラス状板材の輸送や保管時においては、ガラス状板材同士の間に合紙を挟み込み取り扱いの便宜を図っていた。従来の合紙、特に古紙を再生した合紙では、古紙に含まれるインク及び古紙原料自体に由来する樹脂分がガラス状板材に転移し、ガラス状板材表面に紙跡(ペーパーマーク)と呼ばれる汚れを引き起こしていた。また、輸送及び保管時にガラス表面の水分(空気中の水分)はガラス内のアルカリ成分と反応し、紙やけと呼ばれる汚染を生じさせていた。
従前の合紙の使用時にみられる紙跡や紙やけの発生を防ぐために、切り込み孔を分散して配置した合紙(例えば、特許文献1参照)、抄紙工程にゼオライトを配合した合紙(例えば、特許文献2参照)、表面に水溶性樹脂を塗布した合紙(例えば、特許文献3参照)、熱水溶出分を調整した合紙(例えば、特許文献4参照)が開発され、吸湿性、表面の接触面積等の各種物性を向上させるべく改良が重ねられ、使用されていた。
しかるに、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ等に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)の基板として用いられるガラス状板材では、その表面の清浄度がより一層高く要求されるようになってきた。しかしながら、上記各種の合紙を利用したとしてもガラス表面の汚染を要求水準まで押さえることが困難である。このため、現状では、ディスプレイ加工者向けに供給される「ガラス基板」の輸送や保管時には使用されず、薄膜をコーティングしてガラス基板となる「ガラス元板」への使用のみにとどまっていた。
そこで、現状のディスプレイ加工者向けガラス基板の輸送や保管時には、ガラス状板材を樹脂製包装用補助具(スペーサー)により保持しながら輸送及び保管する方法(例えば、特許文献5参照)が広く利用されている。この方法によると、ガラス状板材同士の密着は防ぐことができ、ガラス状板材表面の汚染に対しては効果的である。しかしながら、包装用補助具によってガラス状板材間に生じた空間が無駄となり、1度に少数のガラス状板材しか輸送及び保管できず物流及び保管時のコストの上昇を招く問題点があった。また、近年、要求されるガラス状板材はますます大型化されているため、前出のスペーサーを用いる方法では輸送時にガラス状板材が撓み、互いのガラス状板材同士の接触が大きな問題となっている。
特開平5−208841号公報 特開平7−41034号公報 特開平9−170198号公報 特開2003−41498公報 特開2000−142873公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、包装用補助具に依存することなく輸送及び保管コストを軽減し、紙跡の防止に加えて発塵を抑制した清浄なガラス状板材の合紙を提供するものである。
すなわち、請求項1の発明は、パルプをビスコース化し、凝固、再生、水洗、乾燥の工程を含みフィルム状に成形した再生セルロースフィルムからなり、前記フィルムの1時間煮沸による熱水溶出分が、下記の数式(i)において2.0重量%以下を満たすことを特徴とするガラス状板材の合紙に係る。
Figure 2006002030
この数式(i)において、WSは熱水溶出分、W0はフィルムの煮沸前の乾燥重量、W1はフィルムの1時間煮沸後の乾燥重量を示す。
また、請求項2の発明は、前記フィルムの表面にエンボスが形成されている請求項1に記載のガラス状板材の合紙に係る。
さらに、請求項3の発明は、前記フィルムから発生する0.3μm以上のパーティクル数が、下記の揉み試験において、500個/ft3(17650個/m3)以下である請求項1又は2に記載のガラス状板材の合紙に係る。
なお、この揉み試験は、JIS−B−9920(2002)のクラス7のクリーンルーム内において、210mm×297mmに裁断したフィルムを5秒につき1回の割合で2分間揉み続け、気中・微粒子カウンターを用いて0.2ft3/分の流量で1分間吸引し、当該吸引体積中の0.3μm以上のパーティクル数を算出するものである。
請求項1の発明に係るガラス状板材の合紙によると、当該合紙は再生セルロースフィルムから形成され、さらに熱水溶出分が、2.0重量%以下であるため、従来の合紙にみられた内包される不純物等のガラス表面への移転を解消することができる。したがって、ガラス表面の汚れ(紙跡)の抑制に一層の効果を発揮することができるため、ガラス状板材を極めて清浄な状態で輸送及び保管が可能となる。さらに、スペーサーに依存しないため、輸送時の撓みを生じさせることがなくなり、互いのガラス状板材同士の接触を防ぐことができる。
請求項2の発明に係るガラス状板材の合紙によると、請求項1の発明において、再生セルロースフィルムの表面にエンボスが形成されているため、よりいっそう紙跡の低減に効果が発揮される。
請求項3の発明に係るガラス状板材の合紙によると、請求項1又は2の発明において、前記フィルムから発生する0.3μm以上のパーティクル数が、揉み試験において、500個/ft3(17650個/m3)以下であるため、極めて良好に合紙に由来する発塵を抑制することができる。
以下添付の図面に従って本発明を説明する。図1は再生セルロースフィルムの概略工程図、図2は第二実施例に係るガラス状板材の合紙、図3は第三実施例に係るガラス状板材の合紙、図4は第四実施例に係るガラス状板材の合紙である。
本発明のガラス状板材の合紙は、請求項1の発明に規定するように、パルプをビスコース化し、凝固、再生、水洗、乾燥の工程を含みフィルム状に成形した再生セルロースからなるフィルム(すなわち、セロハンのフィルム)であり、当該フィルムの1時間煮沸による熱水溶出分が2.0重量%以下を満たす性状を有する。
ここで、再生セルロースからなるフィルムを得る過程を説明する。まず、綿花もしくは木材チップ等のパルプは水酸化ナトリウム水溶液により、アルカリ浸漬された後、スラリー状になり、該スラリー状物は老成される。続いて二硫化炭素が添加されセルロースキサンテート(cellulose xanthate)が生成される。そして、前記セルロースキサンテートに水酸化ナトリウム水溶液が添加され、溶解されることによりビスコースが得られる。このビスコースは、濾過、熟成等の工程を経た後、以降の工程に供される。
図1の概略工程図に示すとおり、前記ビスコースはホッパー等により硫酸、芒硝(硫酸ナトリウム)を含む浴中に押し出されることによりフィルム状(シート状)に凝固する。また、凝固時にセルロースキサンテートからセルロースへの再生が行われる。こうして得られた再生セルロースのフィルムは水洗されることにより、硫酸、芒硝等の不純物が除去される。さらに再生セルロース内部の硫黄分を除去するために硫化ソーダ浴に通された後、水洗される。次に、必要に応じてであるが漂白浴に通され漂白が行われ、水洗される。
続いて、本発明の再生セルロースフィルムにあっては、柔軟仕上げの工程を省略して乾燥が行われ、適切な水分含量となるように調湿を経て巻き取りが行われる。この後、裁断、さらには後に詳述するエンボスの付与が行われる。なお、再生セルロースフィルムの厚さは空気中の湿度等により変化するものの、概ね20μm〜100μmとされる。
前記の省略された柔軟仕上げの工程とは、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、尿素等の柔軟剤が再生セルロースフィルムに添加、付着される。この結果、再生セルロースフィルム自体の感触に柔らかさが付与される。しかしながら、従前の柔軟剤を含む再生セルロースフィルムをガラス状板材の合紙として用いる場合、列記の柔軟剤が空気中の湿度を伴い染み出てガラス状板材表面を汚染することが懸念視されていた。しかるに、本発明に示すとおり、本発明の再生セルロースフィルムの製造にあっては、その工程中から柔軟仕上げを省略することにより、汚染要因の低減を図るものである。
上述の経緯から、ガラス状板材表面の汚染(ペーパーマーク)を制御するに当たり、ガラス状板材の合紙、すなわち再生セルロースフィルムから溶出する成分量を把握する必要がある。そこで、請求項1の発明に規定し、下記の数式(i)に示すように、再生セルロースフィルムの1時間煮沸による熱水溶出分(WS)をガラス状板材表面における汚染の指標とするに至った。この数式(i)において、W0はフィルムの煮沸前の乾燥重量、W1はフィルムの1時間煮沸後の乾燥重量を示す。
Figure 2006002030
後述する実施例からも明らかなように、いずれもガラス状板材表面の汚染(ペーパーマーク)の評価において良好な結果が得られている。したがって、ガラス状板材の合紙(再生セルロースフィルム)にあっては、熱水溶出分(WS)が2.0重量%以下、好ましくは1.8重量%以下、より好ましくは1.3重量%以下に規定することが好ましい。
さらに、請求項2の発明に規定するように、再生セルロースフィルムの表面にはエンボスが形成されている。形成されるエンボスの形状、大きさ等は特に限定されず、エンボスの形成に際しては、凹凸、針等を付したローラーにより押圧される。例えば、エンボスの形状として、菱形からなる斜め格子柄(図2参照)、正方形からなる格子柄(図3参照)に加えて、細かい突起を形成したサンドブラスト模様(図4参照)等が再生セルロースフィルムの表面に形成される。図中の符号10A,10B,10Cは再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)、20A,20B,20Cはエンボスの凸部である。
実施例に明示するとおり、エンボスを形成した再生セルロースフィルムは、エンボスの形成のない再生セルロースフィルムよりもガラス状板材表面の汚染(ペーパーマーク)の評価において良好な結果を得ている。すなわち、再生セルロースフィルム表面に形成された凹凸により、ガラス状板材表面との接触面積が減少するためと推察される。
既に背景技術において詳述したように、本発明のガラス状板材の合紙は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ等に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)の基板であるガラス状板材の合紙としての利用を目的とするものである。これら各種ディスプレイのガラス基板の製造においては、主要な加工工程をクリーンルーム内で行う必要がある。しかしながら、ガラス基板とともにクリーンルーム内に直接搬入されることはなく、ガラス元板への使用が大半であった。
従前の紙等の合紙は原料パルプ由来の繊維構造を含むため、使用時の摩擦等により毛羽立ちが生じていた。とりわけ、クリーンルーム内の汚染要因として、毛羽立ちは問題視されている。この点に対し、本発明のガラス状板材の合紙(再生セルロースフィルム(セロハンフィルム))においては、前述のとおり、既に原料パルプ由来の繊維構造が喪失しているため、繊維構造に由来する発塵の低減が示唆される。
そこで、請求項3の発明に規定するように、本発明のガラス状板材の合紙は、下記の揉み試験において、0.3μm以上のパーティクル数を500個/ft3以下(17650個/m3以下)に制限することが可能である。
すなわち、この揉み試験とは、JIS−B−9920(2002)準拠のクリーンルーム内において、210mm×297mmに裁断したフィルムを5秒につき1回の割合で2分間揉み続け、気中・微粒子カウンターを用いて0.2ft3/分の流量で1分間吸引し、当該吸引体積中の0.3μm以上のパーティクル数を算出するものである。なお、パーティクル数の算出は、単位立方フィート(単位立方メートル)当たりに換算して求めた値である。
実施例に示すように、本発明のガラス状板材の合紙を用いた際の発塵を低減する効果は明らかである。したがって、発塵性の面からクリーンルーム内の使用が控えられていたガラス状板材の合紙について、クリーンルーム内における使用の可能性を見出すものである。
〔試料の作成〕
以下に本発明の実施例を示す。常法により調製されたビスコースを用い、既に述べ、図1に明示した製法により、膜厚の異なる再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)を3種類試作した。当然、この場合、いずれのフィルムの試作についても柔軟仕上げの工程を省略した。
〔測定条件〕
下記の各項目の測定及び評価は、JIS−Z−8703(1983)における標準温度状態2級(温度20±2℃)、標準湿度状態5級(65±5%)の条件下で行った。
〔厚さの測定〕
上記の標準温度状態2級、標準湿度状態5級の条件下8時間以上調湿後、シチズン時計株式会社製:MEI−10 JIS式紙厚測定機により、各試料を10枚重ねた厚さ測定し、1枚当たりの厚さを算出した。
〔坪量の測定〕
上記の標準温度状態2級、標準湿度状態5級の条件下8時間以上調湿後、各試料を0.1m2の大きさに裁断し、重量を株式会社島津製作所製:電子分析天秤AGE−320Gにより測定して1m2当たりの重量を坪量として算出した。
また、柔軟仕上げの工程をそのまま組み込んで製造した従来製法の再生セルロースフィルムも比較例として用意した。比較例1及び比較例2は柔軟剤をトリエチレングリコールとした。比較例3は柔軟剤をジエチレングリコールとした。比較例4は柔軟剤をジエチレングリコール6:尿素4の混合とした。
各試料において、製造装置による変動もあり得るため、巻き取り位置を適宜変えながら複数の試料を分取した。試料1については1−1〜1−7、試料2については2−1〜2−4、試料3については3−1〜3−5とした。
〔熱水溶出分の測定〕
前記の試料1(1−1〜1−7)、試料2(2−1〜2−4)、試料3(3−1〜3−5)、並びに比較例1、比較例2、比較例3、比較例4のそれぞれついて、215mm×155mmの試験片を採取し、80℃の熱風乾燥機中で恒量になるまで乾燥して乾燥重量(W0)を求めた。
乾燥重量を測定した試験片を温水中で緩やかに加熱しながら1時間煮沸した。1時間煮沸後、試験片を速やかに取り出し、再度、80℃の熱風乾燥機中で恒量になるまで乾燥して乾燥重量(W1)を求めた。こうして測定された煮沸前の乾燥重量(W0)及び1時間煮沸後の乾燥重量(W1)を前記の数式(i)に代入し、各試料及び比較例の再生セルロースフィルムの1時間煮沸による熱水溶出分(WS)を求めた。
ここに、厚さ、坪量、熱水溶出分の測定結果を表1として示す。表1中、比較例5は古紙再生の合紙、比較例6はバージンパルプより抄紙した合紙である。
Figure 2006002030
〔ガラス表面に対する影響評価:I〕
表1の試料1,試料2,試料3において、熱水溶出分の値が最大であった試料1(1−7)、試料2(2−4)、試料3(3−1)、並びに比較例1ないし比較例6を短冊状(50mm×210mm)に裁断し、試験片とした。これらの試験片についてそれぞれを2枚の建材用ソーダライムガラス板(約210mm×320mm)で挟み込んだ。さらに、均一に圧力が加わるようにこの2枚のガラス板を発泡スチロールで挟み、ゴムバンドで固定した。このようにしてガラス板と各試験片の一体物を温度60℃、相対湿度95%の条件下に8日間曝露させた。その後、ガラス板から各試験片を取り除いた。ガラス板における各試験片が触れていた一面側を評価面とし、また、各試験片が密着していた部分をガラス板における試験片の評価部とした。
上記の評価面の外観に関し、次に示す(A),(B),(C)の3段階の官能評価を行った。(A)はくもりや汚れが見えない。(B)はガラス板の角度によりくもりや汚れが見える。(C)はくもりや汚れがはっきり見える。(A)が良好であり、(C)が不良である。それぞれの試験片の評価面についての評価結果を表2として示す。
Figure 2006002030
この結果より、再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)において、柔軟仕上げの工程を省略して熱水溶出分を抑制することにより、従前の紙からなる合紙と外観上同等の性能が確認された。そこで、発明者らは、評価面における相違を明らかにするため以下の評価を行った。
〔ガラス表面に対する影響評価:II〕
前出の評価(ガラス表面に対する影響評価:I)において、(A)であった試料1,試料2,試料3及び比較例5,比較例6を選択し、次の評価を行った。評価:Iにて得られたそれぞれのガラス板の評価面に水蒸気を当て、曇った状態となった後、アクリル系極細繊維不織布を用い、評価面内の評価部(試験片の密着部)に均等な圧力が加わるように1回強く擦り取った。続いて各ガラス板の評価面を乾燥後、再度評価面に水蒸気を当て、前記評価部のくもり及び紙跡(ペーパーマーク)の剥離具合を目視により、4段階にて官能評価した。
この4段階の評価において、紙跡の取れ具合により最も良く拭き取れた評価部を「1」と評価し、最も拭き取れなかった評価部を「3」と評価した。評価点は評価者毎にばらつきがあるため、平均値として記した。評価点数が少ないものほど、優良である。結果を表3に記す。
Figure 2006002030
以上の結果から理解されるように、試料1、試料2、試料3の再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)にあっては、いずれも従前の再生セルロースフィルム(比較例1ないし比較例4)と比して熱水溶出分の値は低い。さらに、紙跡の評価(ガラス表面に対する影響評価:II)においても、試料1、試料2、試料3の再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)は、従前の紙からなる合紙(比較例5,比較例6)より良好な評価となった。
したがって、熱水溶出分の多少と板ガラス表面の汚染(紙跡)との間には、明白な関係が成り立ち、特に本発明の合紙、すなわち、再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)は、とりわけ、高清浄度が要求されるガラス基板の輸送や保管時のガラス状板材の合紙として好適であることが示唆される。
加えて、ガラス状板材に本発明の再生セルロースフィルムからなる合紙を挟み、保管、移送等の使用状況を想定すると、上記の紙跡の評価と併せて、熱水溶出分(WS)を2.0重量%以下、好ましくは1.8重量%以下、より好ましくは1.3重量%以下とすることが好適といえる。
〔エンボス形成とガラス表面に対する影響評価〕
試料1(1−7)及び試料3(3−1)に対して、4種類の模様のエンボスを形成し、エンボスの有無による紙跡への影響を評価した。エンボスE1は、対角線(3mm×2.2mm)の菱形が0.44mmの間隔を隔てて配置される(圧着面積比:20.6%)。エンボスE2は、一辺0.77mmの正方形が0.23mmの間隔を隔てて配置される(圧着面積比:40%)。エンボスE3はサンドブラスト模様からなる。エンボスE4はE3よりも細かい微粒面である。
エンボス未形成の試料及びエンボス形成の試料(前記エンボスの種類E1〜E4を形成)について、1つの試料につき8組ずつ準備した。それぞれの試料のガラス表面に対する影響評価は、前述の「ガラス表面に対する影響評価:I」と同様の条件下で曝露し、「ガラス表面に対する影響評価:II」と同様の評価手法とした。エンボス形成の有無の評価については、エンボス形成の試料において生じた紙跡の数がエンボス未形成の試料より少ない場合に1点とし、両者間で差が認められない場合には0点とした。そして、1つの試料における8組の点数の合計を当該試料の評価点とした。以下の表4にこの対比を示す。
Figure 2006002030
表4の結果から理解されるように、再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)の表面にエンボスを形成することにより紙跡の低減に寄与することが明らかとなった。なお、フィルムの厚さとエンボスの模様(大きさ)との関連性も示唆されるため、再生セルロースフィルムの厚さに応じたエンボスの種類にも配慮する必要がある。
〔発塵性の測定〕
JIS−B−9920(2002)に準拠したクラス7のクリーンルーム内に、縦700mm×横500mm×奥行き500mmからなる側面のうち一面側のみ開口可能な塩化ビニル樹脂製の簡易型フードを組み立てた。この簡易型フードの天井中央に穴を開け、気中・微粒子カウンター(ザ・ポータブル:HIAC/ROICO製)の吸入口が同簡易型フード内に10cmほど垂れ下がるようにして設置した。
試料1(1−7)、試料2(2−4)、試料3(3−1)、比較例5、比較例6をA4版(約210mm×297mm)に裁断し、発塵用試験片とした。続いて、簡易型フードを100mm程度開口し、この簡易型フード内のほぼ中央部で各発塵用試験片を5秒につき1回の割合で2分間揉み続けた。
揉むことによりクリーンルームに設置された簡易型フード内に飛散したパーティクル(粉塵)について、前出の気中・微粒子カウンターを用いて0.2ft3/分の流量で1分間吸引し、この吸引体積中の特に0.3μm以上のパーティクル数を単位立方フィート当たりの個数として換算して求められたものであり、参考として単位立方メートル当たりにおける換算個数も付した。単位立方メートルへの換算において、単位立方フィート当たりの個数に35.3を乗じた。
Figure 2006002030
表5より理解されるように、比較例5,比較例6の紙からなる従前の合紙に比して、いずれの試料の再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)とも、パーティクルの計測数は1/150〜1/200以下に減少した。したがって、再生セルロースフィルム(セロハンフィルム)の防塵効果は明らかに有効であることがわかる。そこで、0.3μm以上のパーティクル数は、多少の測定時の変動を加味して500個/ft3以下(17650個/m3以下)に規定することが可能である。
これまでに詳述した実施例を検討すると、従来、薄膜をコーティングしてガラス基板となる「ガラス元板」に使用されるにとどまっていた合紙の用途をディスプレイ加工者向けに供給される「ガラス基板」の輸送や保管時にまで拡大することができる。また、ガラス基板等の輸送や保管時においても、包装用補助具(スペーサー)へ依存することなく、1回あたりの物流量及び保管量の向上が期待される。さらに、発塵を抑制することによりクリーンルーム内における使用も想定され得る。
再生セルロースフィルムの概略工程図である。 第二実施例に係るガラス状板材の合紙である。 第三実施例に係るガラス状板材の合紙である。 第四実施例に係るガラス状板材の合紙である。
符号の説明
10A,10B,10C 再生セルロースフィルム
20A,20B,20C エンボスの凸部

Claims (3)

  1. パルプをビスコース化し、凝固、再生、水洗、乾燥の工程を含みフィルム状に成形した再生セルロースフィルムからなり、前記フィルムの1時間煮沸による熱水溶出分が、下記の数式(i)において2.0重量%以下を満たすことを特徴とするガラス状板材の合紙。
    Figure 2006002030
    (WSは熱水溶出分、W0は煮沸前の乾燥重量、W1は1時間煮沸後の乾燥重量を示す。)
  2. 前記フィルムの表面にエンボスが形成されている請求項1に記載のガラス状板材の合紙。
  3. 前記フィルムから発生する0.3μm以上のパーティクル数が、下記の揉み試験において、500個/ft3(17650個/m3)以下である請求項1又は2に記載のガラス状板材の合紙。
    (揉み試験:JIS−B−9920(2002)準拠のクラス7のクリーンルーム内において、210mm×297mmに裁断したフィルムを5秒につき1回の割合で2分間揉み続け、気中・微粒子カウンターを用いて0.2ft3/分の流量で1分間吸引し、当該吸引体積中の0.3μm以上のパーティクル数を算出する。)
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