JP2006001948A - 眼科薬送達ビヒクルとしてのサブミクロン乳剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 新規眼科薬送達ビヒクルの提供。
【解決手段】 本発明は、第一の成分である油約0.5から50%、第二の成分である乳化剤約0.1から10%、非イオン界面活性剤約0.05から5%および水分を含み、平均液滴サイズがサブミクロンの範囲、つまり約0.5μm未満であり、好ましくは約0.1から0.3μmである水中油形サブミクロン乳剤の眼科薬送達ビヒクルを提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、薬物送達の分野、特に、様々な薬物の新しい組成物を非刺激性のサブミクロン乳剤にいれて、患者にこれらの薬物を点眼投与することに関する。
目に対して薬物を局所的に使用することに関する基本的な問題は、ヒトの目は、非常に繊細な器官であり、異物により刺激や痛みを受けるということである。これにより、まばたきや反射性流涙が起こるが、これは、目の表面から刺激物を取り除こうとする生理学的反応である。刺激は、多くの眼科薬におけるコンプライアンスの低さの主因である。局所投与される点眼薬の生物学的利用能は一般的に非常に低いので、治療効果を得るためには、このような眼科用組成物に比較的高い濃度の薬物を含める必要があるため、この現象は、悪化される。したがって、薬物の刺激作用を減少させることにより、眼薬の生物学的利用能、コンプライアンス、および薬物の有効性を高めることが可能になることは、間違いない。
現在、眼科薬のビヒクル(vehicle)として最も一般的なのは、水溶液である。しかし、このようなビヒクルには、急速な排液や涙液代謝により、点眼された薬物の生物学的利用能が、一般に非常に低いという重大な欠点がある。フィッツジェラルド(Fitzgerald)ら著、(1987年)薬学薬理学ジャーナル(J. Pharm. Pharmacol.)39:487−490を参照されたい。点眼液の代表的な使用量は、約50−100μlであり、これは、通常の涙液量である約7−10μlをはるかに越えるものである。したがって、投与量のうち、眼瞼裂からあふれて除かれなかった分は、すぐに排出される。さらに、涙液分泌や、通常の状態で、ヒトでは1分間に約16%行なわれる生理学的涙液交換は、点眼液を投与することで増加し、溢れたり、排出されたりせずに残った薬物を、急速に希釈することになる。ゆえに、溶液組成物を介して目に投与された薬物の、それを吸収する目の表面(つまり、角膜および強膜)への接触時間は、約2分にも満たない。
水系ビヒクルのもう一つの欠点は、眼科治療に用いられる可能性のある多くの薬物が疎水性であり、このような水系ビヒクルによって、これらの薬物を目に送達することはできないということである。このような疎水性薬物は、様々な有機溶媒と共に目に投与される可能性があろうが、このような溶媒の使用は、通常、刺激性あるいは炎症性反応の原因となる。ハーミア(Harmia)ら著、(1987年)ファルマケウティカ・アクタ・ヘルベティア(Pharm. Acta Helv.)62:322−332を参照されたい。
目での残留時間が長くなるような様々な送達ビヒクルの開発が試みられてきた。この目的を達成するための最も直接的なアプローチは、ビヒクルの粘着性を高めることである。したがって、ヒドロゲルあるいは軟膏のような、様々な粘着性のあるビヒクルが試みられてきており、そのうちのいくつかは、疎水性薬物を目に送達することができる。さらに、リポソーム、ミセル溶液およびナノ粒子などのような、多くの非在来型キャリアを眼薬のビヒクルとして使用する試みも行なわれてきた。このような送達システムの使用は、目での薬物の残留時間の延長と、それによる眼薬の生物学的利用能の向上とについては、限定的な成功をおさめるかも知れないが、このようなキャリアは、多くの有害な副作用をももたらす。上述のハーミア著の文章、サエットン(Saettone)ら著(1988年)薬学ジャーナル(J. Pharm.)43:67−70およびマイスナー(Meisner)ら著(1989年)国際薬学ジャーナル(Int. J. Pharm.)55:105−113を参照されたい。
欧州特許第391,369号、エリス(Ellis)ら著(1987年)眼科薬理学ジャーナル(J. Ocular Pharmcol.)3:121−128、およびシェル(Shell)ら著(1984年)眼科学概説(Surv. Ophthalmol.)29:177−178などのような文献にあるように、目への薬物送達用ビヒクルとして、エマルションも提案されてきた。にもかかわらず、眼科薬の送達のためのエマルションシステムの実現は、主として二つの問題から不可能であった。第一に、繊細な目の組織の敏感さにより、眼科薬の組成は、患者にとって安全なだけではなく、苦痛のないものでなくてはならない。第二に、エマルションは、通常不混和性流体の準安定性分散であり、これらの不安定さの問題が、克服されなければならない。
エマルションは、水への油の分散系(O/W)であり、マクロエマルションかミクロエマルションのどちらかに限定されることができる。マクロエマルションは、0.5から100μmの油滴サイズの濁った濃密な組成物であり、通常は、熱力学的に不安定である。これに対し、ミクロエマルションは、液滴サイズが0.005から0.5μmである半透明から透明の組成物であり、熱力学的には安定しており、一般に自己乳化性である。例えば、フライバーグ(Friberg)ら著(1987年)「ミクロエマルションの構造と力(Microemulsions Structure and Dynamics)」(シーアールシープレス社(CRC Press Inc.)、ボカラトン(Boca Raton)、フロリダ)の154ページを参照されたい。また、ミクロエマルションを作るのに必要な、油に対する界面活性剤の割合は、通常、マクロエマルションを作る際に比べ、非常に高い。
眼科用に特に開発されたエマルションは、ミクロエマルションの使用、あるいは、安定させるポリマーの旧来のエマルションへの追加を通して、内在する不安定性の問題を解決しようとしてきた。いくつかの例において、特定の薬物で、ミクロエマルションの形成に成功した。このアプローチの例には、欧州特許EP480,690号に開示されたテポクサリン(tepoxalin)、あるいは欧州特許EP253,472号に開示されたフルルビプロフェン(flurbiprofen)の眼科用乳剤が含まれる。
エマルションの不安定性の問題を解決する別のアプローチは、欧州特許EP028,110号で開示されている眼科用高圧滅菌可能乳剤で例示されるように、軽い架橋重合体(lightly crosslinked polymers)を用いている。
さらに、眼科用製剤へのエマルションの使用は、目に対し強い刺激性の界面活性剤がエマルションに含まれていることにより、かなり限定されてきた。例えば、欧州特許EP391,369号のエマルション製剤の使用は、これらのエマルションに用いられるイオン界面活性剤の刺激作用によって、かなり限定される。よって、現在まで、商業的に成功した水中油形エマルションの形の眼科用組成物はない。
本発明は、目に対する刺激性を十分に減少させたサブミクロン乳剤を提供するために、いずれの先行技術の示唆に頼らずに、剪断力と均一化によるエネルギーの入力で旧来のエマルションをサブミクロン乳剤に変換することにより、エマルションの不安定性の問題を解決するものである。また、目の刺激は、このようなエマルションに非刺激性非イオン界面活性剤を使用することで、さらに減少される。したがって、薬物が、これらのサブミクロン乳剤と共に含まれる場合、本発明は、現在この分野で得ることができるものより優れた眼科用組成物を提供するものである。本発明によれば、目の刺激、特に薬物による刺激、を減少させる効果的な手段が、初めて提供され、長いこと望まれてきたものが、やっと満たされる。
本発明は、第一の成分である油約0.5から50%と、第二の成分である乳化剤約0.1から10%と、非イオン界面活性剤0.05から5%と、水分とを含み、平均的液滴サイズがサブミクロンの範囲、つまり約0.5μm未満、好ましくは、約0.1から0.3μmの間である水中油形サブミクロン乳剤の眼科薬送達ビヒクルを提供する。
第一の成分は、中級鎖トリグリセリド油、植物油、鉱物油あるいはこれらの混合物であってよく、通常、約1から20%の量で存在する。粘着性組成物あるいはクリームであれば、油を、約30から50%の量で存在させてもよい。
乳化剤は、好ましくは、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンあるいはこれらの混合物などの、リン脂質化合物あるいはリン脂質の混合物であり、0.2から1%の量で存在するのが好ましい。
界面活性剤は、エトキシ化されたアルコールあるいはエステル化合物などの、1以上の水酸基を有する有機化合物の非イオン性アルキレンオキシド縮合物であることが好ましく、約0.2から1%の量で存在することが好ましい。
このビヒクルは、有効量の眼科用薬剤を含む局所投与用眼科用組成物を調製するのに用いることができる。これらの組成物においては、薬物を、ベータアドレナリン作動性効果遮断薬あるいはその他の自律神経系作用薬のような抗緑内障薬、局所麻酔薬、ステロイド、非ステロイド系抗炎症薬、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、もしくはこれらの組み合わせなどとすることができる。さらに、薬物は、ピロカルピンやチモロールのような親水性または両親媒性であっても、あるいは、インドメタシン、ベータクソロールやアダプロロールのような疎水性であってもよい。薬物の量は、使用される具体的な薬物に依存するが、約0.05から5重量%の量で存在するのが一般的である。必要に応じて、これらの組成物には、保存剤、酸化防止剤、あるいは、浸透圧調整剤のような浸透剤が含まれていてもよい。
本発明は、上述の水中油形サブミクロン乳剤の目への局所投与を含む、目への刺激を減少させる方法も提供するものである。本発明のこの態様の特色は、薬物によって引き起こされる刺激を減らすために、上記で限定されたサブミクロン乳剤の目への局所投与と、有効量の薬物とを組み合わせることにある。これにより、刺激を生じることなく投与される薬物の量を増やすことが可能になる。
本発明は、眼科用の一般的な薬物送達ビヒクルとして効果的な乳剤という目的を初めて達成した。本発明は、サブミクロンサイズの液滴あるいはコロイド状の粒子を有し、非イオンの界面活性剤を用いた水中油形のエマルションである安定した製剤を提供するものである。
本発明の組成物の成分は、目に対して生理学的適合性のある、つまり、それ自体が目に刺激を与えないものであるのが好ましい。このような成分を思慮深く最適化することで、一般的に使用される眼科薬の刺激を軽減する一方で、その薬物の生物学的利用能を向上させることが可能になる。同時に、薬物を含有するエマルションの不安定さという固有の問題は、油相の液滴サイズをサブミクロンの範囲にすることで解決された。
ここで、“サブミクロン”という用語は、約0.05から0.5μm、好ましくは、約0.1から0.3μmのサイズを意味する。このような液滴サイズのサブミクロンエマルションは、液滴サイズが約0.5μmより大きいマクロエマルションより小さいが、実用目的では液滴サイズ約0.1μm未満である旧来のミクロエマルションよりは通常大きい。
これらのサブミクロンエマルションは、例えば、0.45μmおよび/または0.22μmのフィルタによる濾過によって容易に滅菌することができ、長期間の保存において、より安定であり、オートクレーブ内での滅菌に耐えうる。
水中油形乳剤は、水系溶媒中の液滴あるいはコロイド状粒子の分散系であり、コロイド粒子は、乳化剤や界面活性剤の界面膜によって囲まれた油核を有する。本発明をわかりやすくするために、以下の用語を用いる:
“水相”−液滴あるいはコロイド粒子が分散している水溶液を指す;
“油相”−液滴あるいはコロイド粒子の油核を指す;および
“両親媒性相”−液滴あるいはコロイド状粒子の油性相を囲む乳化剤と界面活性剤との界面膜を指す。
これらのコロイド状粒子は、まだ解明されていない生理学的メカニズムによって、目に対する鎮静効果がある。この鎮静効果によって、特定の薬物濃度を有する本発明の局所的眼科組成物は、同じ薬物濃度の先行技術の組成物よりも刺激が少なくなる。これは、驚くべきことに、親水性の薬物に関しても、疎水性の薬物に関しても言えることである。鎮静および刺激緩和効果は、薬物が親水性、つまり水溶性である場合にも起こるという驚くべき事実は、刺激緩和が、薬物をコロイド粒子に封じ込めることによってだけではなく、なにか別のメカニズムによって起こされるということを示している。
本発明は、ベータアドレナリン作動性効果遮断薬あるいはその他の自律神経系作用薬のような種々の抗緑内障薬、局所麻酔薬、ステロイド、非ステロイド系抗炎症薬、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、もしくはこれらの組み合わせなどの薬物により引き起こされる刺激を緩和させるのに有用である。ここで使われている“有効量”という用語は、目に対する薬効を働かせるのに効果的な薬物の量を示す。
刺激を引き起こすとして知られている典型的な薬物の多くを本発明に基づいてテストし、上述のコロイド粒子と共に投与された場合、すべてのケースにおいて、薬物によって引き起こされる刺激は、かなり緩和された。これらの薬物には、水溶性薬物であるチモロールやピロカルピンが含まれる。ピロカルピン、3−エチルジヒドロ−4−[(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−2(3H)−フラノン、は、緑内障の治療に用いられる、水溶性で、油にもわずかに溶ける薬物である。また、インドメタシン、ベータクソロールおよびアダプロロール(アダプロロールは、米国特許第4,289,080号に開示された実験用ソフトベータ遮断薬である)などの水に溶けない薬物も使用可能である。刺激が緩和されることにより、本発明の組成物は、先行技術による組成物より高い濃度の薬物を含有することができる。
油相は油を含み、この油は、植物油、鉱物油、中級鎖トリグリセリド(MCT:medium chain triglyceride)油、つまり炭素数8−12の炭化水素鎖を有するトリグリセリド油、あるいはこれらの油のうち2あるいは3の組み合わせとすることができる。MCT油は、植物油の一成分と考えることもできるが、本発明の乳剤で用いるのに好ましい油として特有の有用性を持つために、ここでは別個に識別される。なお、MCT油は、市販されている。このようなMCT油の例としては、TCR(約95%の脂肪酸鎖が8あるいは10の炭素を有するトリグリセリドの混合物に対するフランス、ソシエテ・アンデュストリエル・デ・ゾレアジノ(Societe Industrielledes Oleagineaux)の商標名)やミグリオール(MIGLYOL)812(グリセリンとカプリル酸およびカプリン酸の混合トリエステルに対するスエーデン、ダイナマイトノーベル(Dynamit Nobel)社の商標名)がある。植物油の例としては、大豆油、綿実油、オリーブ油、ごま油およびひまし油が含まれる。鉱物油は、天然の炭化水素あるいは合成の等価物であってよい。オレイン酸やリノール酸のような油性脂肪酸と、オレイルアルコールのような脂肪アルコールとモノオレイン酸ソルビタンやモノ−、ジ−、トリ−パルミチン酸スクロースのような脂肪エステルとは、上述の油ほど好ましくはないが、油成分として使用してもよい。
両親媒性相は、乳化剤と界面活性剤とを含む。好ましい乳化剤として好ましいのは、リン脂質化合物あるいはリン脂質の混合物である。適切な成分には、レシチン;約70%のホスファチジルコリンと、12%のホスファチジルエタノールアミンと約15%のそれ以外のリン脂質との混合物であるエピキュロン(EPICURON)120(ルーカスメイヤー(Lucas Meyer)社、ドイツ);約60%のホスファチジルコリンと、18%のホスファチジルエタノールアミンと、12%のそれ以外のリン脂質とを含む混合物であるオヴォチン(OVOTHIN)160(ルーカスメイヤー社、ドイツ);精製リン脂質混合物;約80%のホスファチジルコリンと、8%のホスファチジルエタノールアミンと、3.6%の非極性脂質と、約2%のスフィンゴミエリン(sphingomyelin)とを含むリン脂質混合物であるリポイド(LIPOID)E−75またはリポイドE−80(リポイド社、ドイツ)が含まれる。精製卵黄リン脂質、大豆油リン脂質あるいはその他の精製リン脂質混合物は、この成分として有用である。ここに挙げられたのは、代表的なものであり、これらに限定されるものではなく、当業者に周知のその他のリン脂質材料を使用することができる。
選ばれる界面活性剤は、非イオン性でなくてはならず、当業者は、目に対する刺激が最小限の(好ましくは全く刺激のない)特定の界面活性剤を機械的に選択するためのテストを行なうことができる。一般的に、界面活性剤は、1以上の水酸基を持つ有機化合物の非イオン性アルキレンオキシド縮合物である。例えば、エトキシル化および/またはプロポキシル化されたアルコールまたはエステル化合物あるいはこれらの混合物は、一般的に入手可能であり、当業者に周知である。適切な界面活性剤としては、これらに限定されるわけではないが、チロクサポール(TYLOXAPOL);ポロクサマー(POLOXAMER)4070;ポロクサマー188;ポリオキシル(POLYOXYL)40ステアレート;ポリソルベート(POLYSORBATE)80、およびポリソルベート20のほかに、トウィーン(TWEEN)(アイシーアイアメリカン(ICI American)社、ウィルミントン、デラウエア、アメリカ)という商標名で販売されている様々な化合物やプルロニック(PLURONIC)F−68(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのコポリマーに対するBASF社、ルードヴィッヒシャフェン、ドイツの商標名)が含まれる。ヒトに対する使用について米国食品医薬品庁から認可されているので、チロクサポールとトウィーンの界面活性剤が好ましい。
水分は、エマルションの連続相になり、等張でpHの調節された製剤を調製できる、水、生理食塩水あるいはその他の適当な水溶液であってよい。
また、本発明の組成物は、保存剤、浸透剤あるいは浸透圧調整剤および酸化防止剤などのような従来の添加剤をさらに含んでいてもよい。典型的な保存剤としては、チメロサール(Thimerosal)、クロルブタノールおよびメチル、エチル、プロピルあるいはブチルパラベンがある。典型的な浸透圧調整剤としては、グリセロールとマニトールがあり、グリセロールが好ましい。油相酸化防止剤として好ましいのは、α−トコフェロールあるいはコハク酸α−トコフェロールである。水相は、エチレンジアミン四酢酸などのポリアミンカルボン酸、あるいはその製剤的に受容可能な塩である酸化防止剤を含んでいてもよい。
必要であれば、本発明の組成物は、目の眼圧を低くする効果のある添加物を含んでいてもよい。このような薬物としては、例えば、β−アドレナリン作動性効果遮断薬、大麻類、コリンエステラーゼ阻害薬、交感神経興奮薬あるいは炭酸脱水酵素阻害薬がある。
以下の記載において、組成物全体の100単位体積あたりのその成分の重量により濃度を示す%によって、濃度が示される。表示される濃度は、すべて、それ自体が示すものとしてそれぞれ理解されるもので、累積されるものではない。しかし、当業者は、例えば、通常、油の濃度が高ければ乳化剤と界面活性剤との濃度も高くする必要があるといった、成分の濃度間にはある種の従属関係があるということを知っているに違いない。
本発明の眼科用組成物に用いられる乳剤は、約0.5から50%の油、約0.1から10%の乳化剤および約0.05から5%の界面活性剤からなる。一般に、非水性相の濃度、つまり、油性相と両親媒性相の濃度の合計が増加すると、組成物の粘度が上がる。非粘着性の組成物を得るためには、非水性相の濃度は、通常約25%を越えてはならない。
成分の好ましい濃度は、以下のようになる:
約1から20%、最も好ましくは、流体になる組成物については約1から10%、あるいはクリームまたは軟膏として有用な粘着性組成物については約30から50%の油;
約0.2から5%の乳化剤、特に0.2から1%であることが好ましい;および
約0.2から5%の界面活性剤、特に0.2から1%であることが好ましい。
薬物は、組成物の重量の約0.05から5%、好ましくは、約0.1から2.5%の量で存在する。薬物が、親水性であるか疎水性であるかによって、それが、物理的に油相および水系成分のいずれに存在するかが決まる。また、これらの組成物のpHは、薬物の安定に適した範囲にあるべきであるが、目に対する適合性のために、できるだけ中性に近いべきである。
本発明は、ここで開示されている水中油形エマルションのコロイド状粒子が、目に対して鎮静および刺激緩和効果を持つという驚くべき発見に基づくものでもある。したがって、目に対して刺激を生じる薬物をこのようなコロイド状粒子と共に投与する場合、引き起こされるであろう刺激は、かなり緩和される。本発明の組成物の鎮静効果は、すでに刺激を受けた目に、薬物の入っていない乳剤を投与した場合にも起こるものである。したがって、本発明のサブミクロン乳剤は、多数の製剤による薬物刺激を緩和するのに有用である。
以下の実施例を参照し、本発明を説明する。これらの実施例に限定されるものではない。実施例においては、以下の成分が用いられる:
MCT油:TCR−ソシエテ・アンデュストリエル・デ・ゾレアジノ、サンローラン(St. Laurent)、ブランギー(Blangy)、フランス。
リポイドE−75あるいはE−80:リポイド社、ルードヴィッヒシャフェン、ドイツ。
α−トコフェロール、コハク酸α−トコフェロールおよびグリセロール:シグマ社、セントルイス、ミズーリ州、アメリカ、米国薬局方の記載準拠。
ピロカルピン基剤:メルク社、ダルムシュタット、ドイツ、米国薬局方および英国薬局方準拠。
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物。
実施例1
以下の材料から、ブランクの水中油形エマルション(薬物なし)が調製された:
MCT(中級鎖トリグリセリド)油 4.25%
リポイドE−75 0.75%
チロクサポール(非イオン界面活性剤) 1.0%
α−トコフェロール(油相酸化防止剤) 0.02%
EDTA(水相酸化防止剤) 0.1%
保存剤(抗菌性)
クロルブタノール 0.2%
チメロサール 0.01%
グリセロール(浸透剤) 2.25%
蒸留水 全量が100.00%になる量
エマルションは、以下のように調製された:
水相と油相は、別々に調製された。水相は、水、チロクサポール、クロルブタノール、チメロサールおよびグリセロールからなり;油相は、MCT油、レシチンおよびα−トコフェロールからなる。水相のpHは、pH6.8に調整され、二つの相は、濾過された(TEおよびBA型、シュライヒャー・ウント・シュール(Schleicher & Schull)社、ダッセル(Dassel)、ドイツ、孔径0.22μm)。次に、二つの相を、50℃以上に別々に加熱した後混合し、粗エマルションにするために、マグネチックスターラで攪拌した。混合物は、さらに80−85℃に加熱された。粗エマルションは、さらに、高剪断ミキサ、ポリトロン(POLYTRON)(キネマティックス(Kinematics)社、スイス)で3分間混合され、その後、40℃未満に急冷された。冷却後、エマルションは、2段階ホモジナイザ(APVモンティンガウリン社、ドイツ)を用いて8000psiで均質化され、再度、保存温度(つまり室温)に冷却された。pHを6.8−7に調整した後、エマルションは、メンブランフィルタ(TE、シュライヒャー・ウント・シュール社、孔径0.45μm)を通して濾過され、窒素雰囲気で密封されたプラスチック壜に移された。その後、121℃の蒸気オートクレーブか、または孔径0.45μmのフィルタに続き孔径0.22μmのフィルタを通す二段階メンブラン濾過(つまり、シュライヒャー・ウント・シュール社製TEフィルタ)で、エマルションを滅菌処理した。最終製剤は、浸透圧298mOsmol/l、初期pH6.47であった。
実施例2−5
ピロカルピン組成物
この組成物は、1.7%のピロカルピン塩基(Pilo−HClとして2%)を追加すること以外は、上述の実施例1の組成物と同じ成分である。調製の課程において、水性相にピロカルピンが追加され、溶液は、薬物の熱に対する感受性により50℃で混合された。得られた組成物の初期pHは5であり、浸透圧は278mOsmol/lであった。
さらに、それぞれ、1.5%のチロクサポール、1%のトウィーン−80および1%のトウィーン−20を含有することを除き、上述と同様にしてピロカルピン組成物3種を追加調製した。
実施例6−8
マレイン酸アダプロロール組成物
この組成物は、以下の成分を有する:
マレイン酸アダプロロール 0.4%
MCT油 4.25%
リポイドE−80 0.75%
トウィーン−80 1.0%
α−トコフェロール 0.02%
EDTA 0.1%
グリセロール 2.2%
蒸留水 全量が100.00%になる量
組成物は、油相の調製の際にアダプロロールが追加されること以外は、上記の実施例1と同様に調製された。得られた組成物の初期pHは6.5であり、浸透圧は338mOsmol/lであった。
さらに、それぞれ、1のチロクサポールおよび1%のトウィーン−20を含有することを除き、上述と同様にしてアダプロロール組成物2種を追加調製した。
実施例9
ベータクソロール組成物
この組成物は、以下の成分を有する:
MCT油 4.25%
リポイドE−80 0.75%
トウィーン−80 0.5%
コハク酸α−トコフェロール 0.02%
ベータクソロール 0.5%
グリセロール 2.2%
蒸留水 全量が100.00%になる量
調製方法は、上記実施例6−8のアダプロロール組成物の場合と同様である。
実施例10−11
インドメタシン組成物
この組成物は以下の成分を有する:
インドメタシン 0.4%
MCT油 17%
リポイドE−80 3%
トウィーン−80 1%
コハク酸α−トコフェロール 0.02%
メチルパラベン 0.1%
プロピルパラベン 0.02%
グリセロール 2.25%
EDTA 0.1%
蒸留水 全量が100.00%になる量
第二の組成物(実施例11)は、インドメタシンの量が0.2%になること以外は、実施例10と同様に調製した。調製方法は、上記実施例6のアダプロロール組成物の場合と同様であった。これらの組成物の初期pHは約5であった。
実施例12−13
眼科刺激テスト
様々な眼科用調製物に対する動物の目の急性刺激反応および長期刺激反応が、以下のようにテストされた:
実施例12
急性刺激反応テスト
モルモットのまばたきテストを用いて、急性刺激反応を測定した。このテストにおいて、25μlのテスト溶液投与後0.5分毎に5分間、まばたきの回数を計測した。それぞれの目に対し、まず、通常の生理食塩水(0.9%NaCl)でテストした後、テスト処方の薬物を、各テスト毎に少なくとも30分の間隔をおいてテストした。各動物の両目のまばたきの回数を平均し、単一の数値として入力した。このようにして得られたデータから、二つのパラメータが計算された。
最大まばたき比(MBR:Maximal Blinking Ratio):薬物投与後、0.5分毎に計測された中で最も高い数値を、生理食塩水投与後、0.5分毎に計測された中で最も高い数値で割った値。
Figure 2006001948
MBRは、薬物に対する測定された最大の反応を示し、ヒト被験者における焼けるようなあるいは刺すような刺激感に等しいと考えられる。
まばたき指数(BI:Blinking Index):薬物投与後、測定時間いっぱいの5分間のまばたきの回数を、生理食塩水投与後、5分間のまばたきの回数で割った値。
Figure 2006001948
BIには、最大反応と、その時間を織り込んでおり、薬物による刺激を示すものと考えられる。結果を表1に示す。
Figure 2006001948
実施例13
長期刺激反応テスト
これらの効果は、スリットランプ生体顕微鏡検査法を用いたドレイズテスト(ドレイズ(Draise)(1944)、薬理学実験療法論ジャーナル(J. Pharmacol. Exp. Ther.)83:377−390を参照)によってNZWウサギで測定された。眼球表面での刺激反応、つまり結膜紅斑(0−3スケール)、分泌(0−3スケール)、および角膜フルオレセイン染色(0−4スケール)が、標準スケールを用いた局所処理の後で、評価された。一日4滴の投与で、5日間の効果が検討された。刺激の評価は、2、6、9、13および18滴の投与の後に行なわれた。各カテゴリー(つまり結膜、角膜など)で得られた数値は、最大数値を10として刺激指標を一つにするためにまとめられた。得られた結果を表2に示す。
Figure 2006001948
これらの結果から、本発明のミクロエマルションの処方で投与された薬物は、その薬物がピロカルピンやチモロールのような親水性のものであっても、ベータクソロールやアダプロロールのような疎水性のものであっても、通常の処方で投与された場合よりもずっと刺激が少ないことがはっきりとわかる。驚くべきことに、薬物を含まない製剤においても刺激緩和効果が観察された。
実施例14−15
生物学的利用能の向上
本発明に基づいて処方された組成物と水系眼科用薬物処方の生物学的利用能が、二つのシステムで比較された。
実施例14
ピロカルピンの縮瞳活性
10匹のウサギについて、異なるピロカルピン処方剤を1滴50μl投与した後、30分間隔に瞳孔径の変化を測定した。
瞳孔径の最大収縮(max.RPD:Reduction in Pupil Diameter)とRPD/時間曲線の曲線下面積(AUC:Area Under the Curve)が、縮瞳活性を測定するために用いられた。結果を、表3に示す。
Figure 2006001948
本発明の実施例2のピロカルピン組成物は、市販されているピロカルピン処方剤と比較して、著しく高い(P<0.05)縮瞳活性を示した。
実施例15
インドメタシンの目への透過性
インドメタシンは、合成の非ステロイド抗炎症薬である。アルカリ溶液には溶けるが、特に、水に不溶であり、これらの条件下で不安定である。眼科用にインドメタシンを使用することへの関心は、長年揺れ動いてきた。現在は、白内障の手術に用いられる1%懸濁液(インドプティック(INDOPTIC)、メルク社、シャープアンドドーム(Sharp & Dohme)社)として入手可能である。
アルビノのウサギにおいて、a)インドプティック(1%懸濁液);b)0.2%インドメタシン(実施例11);およびc)0.4%インドメタシン(実施例10)の1滴(50μl)の目への局所投与後、インドメタシンの眼前水系体液薬物レベル(Ca)が測定された。結果を表4に示す。
Figure 2006001948
インドプティック溶液を投与した目の眼前水系体液インドメタシンレベルは、0.2%インドメタシン(実施例11)を投与された目の二倍にいたるまで高いものであった。これらの投与の結果における差異は、十分に顕著なものではなく、二つの処方剤におけるインドメタシンの濃度(0.2%対1%)の差異である5倍よりも小さいものであった。0.4%のインドメタシン(実施例10)の投与は、1時間の測定において、1%インドプティック溶液よりも、高いCaレベルを示した。
0.2%インドメタシン(実施例11)の曲線下面積は、1%インドプティック溶液の方が濃度が高いのにもかかわらず、1%インドプティック溶液の2.2倍大きいものであった。0.4%インドメタシン(実施例10)を一日4回、一滴ずつ、5日間投与した後の最大刺激は、インドプティックの場合よりも、著しく低かった(それぞれ、0.4±0.1対1.1±0.2、p<0.05)。したがって、本発明の組成物については、非常に刺激が緩和されると同時に、高い生物学的利用能が得られる。
実施例16−17
本発明の組成物の物理的および化学的安定性を、様々な活性薬物と、界面活性剤のタイプおよび濃度と、保存剤や酸化防止剤のようなその他の添加物とを含む処方剤の範囲でテストした。
実施例16
実施例2のピロカルピン組成物が、6か月間、4つの異なる温度:4℃、28℃、37℃および45℃で測定された。温度が高い場合でも、薬物の量に変化は見られなかった。45℃で6か月というのは、室温で2−3年間に等しい。液滴サイズは、製造時には102±31nmであったが、45℃で3か月経過後に測定された液滴サイズは、122±30nmであった。色の変化、クリーム化および油の分離を評価するため、視覚による観察も行なったが、これらはすべて容認範囲にあった。リポゾームテクノロジー、第二版(1992年)グレゴリアディス(Gregoriadis)編、シーアールエス(CRS)プレス社、ボカラトン、フロリダ州、501−527ページに記載されているテトラバルビツル酸法によって、リン脂質の酸化は、0.3%未満であると測定された。
実施例17
実施例6−8のアダプロロール組成物に対して、45℃で2か月経過後に、加速安定測定を行なった。各組成物について、2か月後の薬物量は、表示内容量の96%に低下した。液滴サイズについては、顕著な変化はなく、120±38を維持していた。実施例7の組成物においては、pHが、6から、これらの条件下では納得できる値であるpH5.4に低下した。視覚によるエマルション性の観察結果は、容認範囲内であり、わずかにリン脂質の酸化が認められた。
実施例18
組成物を一回投与した後の使用反応は、体重約3.0−3.5kgのアルビノウサギの雄の成体で測定された。一般的な組成物(約pH5の水系緩衝液中に塩酸ピロカルピンを含む)として、あるいは実施例2のチロクソポール(TILOXOPOL)乳剤とともに投与された場合のピロカルピンの効果を比較するために、2つのウサギ群を用いた。組成物は、各動物の目の健康状態を観察し、IOP基準線を確認するための三日間のIOP基準線測定の後、ウサギの右目に投与された。
目の眼圧は、浮動チップセンサつきのラングム(Langum)気動眼圧計を用いて測定された。センサ圧は、サンボーン(Sanborn)レコーダで測定された。眼圧計は、与圧されたシラスティック膜に対して、毎日標準化された。IOP測定のために、殺菌処理された生理食塩水で三倍に希釈された局所麻酔薬塩酸ベノキシメート(フィッシャー研究所(Fisher Laboratories)、イスラエル)が、それぞれの目に点滴された。
この調査では、ピロカルピンの投与の前日、特定の時間:8:00、9:00、11:00、13:00、15:00、18:00にIOP基準線を測定した。テスト製剤は、右目に投与され、左目には、なにも処理をしなかった。IOPは、処理された目と反対側の目とについて、投与された当日および翌日、IOP基準曲線が測定されたのと同じ時間に測定された。
図1に見られるように、実施例2のチロクサポール乳剤を一回投与することで、IOPレベルが低下し、それは、テスト期間中ずっと持続した。この乳剤の投与によって得られたIOP低下の最大変化量は、約16%で、投与後24および34時間後であった。
反対側の目の結果は、図2に示されており、そこからわかるように、統計上右目ほど著しいものではないが(p>0.05)、いくらかのIOPの低下が見られる。投与後31および34時間後に見られた最大低下効果は、1.9mmHg(約10%の低下)を越えるものではなかった。
実施例19
実施例2の2%ピロカルピン乳剤の臨床効果が、検討された。20名の若い健康体のボランティアに対し、2%ピロカルピンミクロ乳剤あるいはミクロ乳剤のみを含有する偽薬のどちらかを、右目に一回局所投与した。各ケースで測定されたパラメータは、IOPと瞳孔径の減少(縮瞳)であった。
薬物の投与後1時間でのみ測定が行なわれたが、薬物処理をした目で縮瞳が観察された。図3に示された結果から、偽薬を投与した目や反対側の目に比べ、ピロカルピンの効果が、めざましいことがわかる。図3からわかるように、薬物投与の前の瞳孔直径約3.5mm(標準誤差(SE:standard error of mean)=0.2、n=38)は、1時間以内に約1.3mm(SE=0.1、n=10)に減少した。約12時間後に、瞳孔直径は通常の大きさに戻った。このデータは、図4において、IOPの変化対時間として示される。
眼圧は、(20名のボランティアの)40の目すべてについて、1時間後に測定された。図5および6からわかるように、薬物投与前に12.1mmHg(SE=0.4、n=20)であったIOPは、投与1時間後に8.2(SE=0.6、n=10)、6時間後には7.4(SE=0.5、n=10)に減少した。IOPは、12時間までは、約8.3mmHg(SE=0.6)に維持された。約24時間後には、IOPは通常レベルに戻った。
図5および6からさらにわかるように、IOPは、処理されていない(左の)目でも、全身反応の結果のように低下した。対照標準として、実施例1の乳剤を同様の方法で投与したが、顕著なIOPの変化は見られなかった。
ウサギの眼圧(“IOP”:intraocular pressure)の基準線と非イオン界面活性剤チロクサポール(TYLOXAPOL)を含むエマルションに含有されたピロカルピンを投与後のIOPを示す。 図1によるピロカルピン乳剤を投与されたウサギの目の反対側の目のIOPの結果を示す。 2%のピロカルピン乳剤組成物の処理を受けた被験者の目の縮瞳を、ピロカルピンを含有しない同乳剤と比較して示す。 図3による2%のピロカルピン乳剤組成物の処理を受けた被験者の目の反対側の目の縮瞳を、ピロカルピンを含有しない同乳剤と比較して示す。 2%のピロカルピン含有乳剤の投与後の被験者の処理された目と、比較してピロカルピンを含有しない同乳剤の投与を受けた反対側の目との、両方のIOP対基準線を示す。 2%のピロカルピン含有乳剤の投与後の被験者の、処理された目と、比較としてピロカルピンを含有しない乳剤の投与を受けた反対側の目との両方の基準線を標準としたIOPの変化の対比を示す。

Claims (37)

  1. 第一の成分である油約0.5から50%と、第二の成分である乳化剤約0.1から10%と、非イオン界面活性剤約0.05から5%と、水分とを含み、平均液滴サイズが0.05から0.5μmの範囲である水中油形サブミクロン乳剤の眼科薬送達ビヒクル。
  2. 上記平均液滴サイズが約0.1から0.3μmである請求項1に記載のビヒクル。
  3. 上記第一の成分が、中級鎖トリグリセリド油、植物油、鉱物油あるいはこれらの混合物である請求項1に記載のビヒクル。
  4. 上記第一の成分が約1から20%の量で存在する請求項3に記載のビヒクル。
  5. 上記第一の成分が約30から50%の量で存在し、粘着性組成物を形成する請求項3に記載のビヒクル。
  6. 上記乳化剤がリン脂質化合物あるいはリン脂質の混合物である請求項1に記載のビヒクル。
  7. 上記リン脂質がレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンあるいはこれらの混合物である請求項6に記載のビヒクル。
  8. 上記乳化剤が約0.2から5%の量で存在する請求項7に記載のビヒクル。
  9. 上記界面活性剤が1以上の水酸基を含有する有機化合物の非イオン性アルキレンオキシド縮合物である請求項1に記載のビヒクル。
  10. 上記界面活性剤がエトキシアルコールあるいはエステル化合物である請求項9に記載のビヒクル。
  11. 上記非イオン界面活性剤が約0.2から5%の量で存在する請求項10に記載のビヒクル。
  12. 上記第一の成分が約1から20%の量で存在し、上記第二の成分および上記非イオン界面活性剤が、それぞれ約0.2から1%の量で存在する請求項1に記載のビヒクル。
  13. 有効量の眼科用薬物と請求項1の眼科薬送達ビヒクルとを含む局所投与用眼科用組成物。
  14. 上記薬物が、抗緑内障薬、ベータアドレナリン作動性効果遮断薬またはその他の自律神経系薬物、局所麻酔薬、ステロイド、非ステロイド系抗炎症薬、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬あるいはこれらの組み合わせである請求項13に記載の組成物。
  15. 上記薬物が親水性あるいは両親媒性である請求項13に記載の組成物。
  16. 上記薬物がピロカルピンあるいはチモロールである請求項14に記載の組成物。
  17. 上記薬物が疎水性である請求項13に記載の組成物。
  18. 上記薬物がインドメタシン、ベータクソロールあるいはアダプロロールである請求項17に記載の組成物。
  19. 上記薬物が約0.05から5重量%の量で存在する請求項13に記載の組成物。
  20. 保存剤、酸化防止剤あるいは浸透剤をさらに含む請求項13に記載の組成物。
  21. 有効量の追加の薬物を含む請求項13に記載の組成物。
  22. 上記追加の薬物がβ−アドレナリン遮断薬、大麻類、コリンエステラーゼ阻害薬、交感神経興奮剤あるいは炭酸脱水酵素阻害薬である請求項21に記載の組成物。
  23. 患者の目に投与する際に眼圧を低下させる追加の薬物を有効量さらに含有する請求項16に記載の組成物。
  24. 薬物の投与により引き起こされる目に対する刺激を緩和させる方法であって、上記薬物を、請求項1に記載の眼科薬送達ビヒクルとともに投与することからなる方法。
  25. 液滴の平均直径が約0.1から0.3μmである乳剤を選ぶことをさらに含む請求項24に記載の方法。
  26. 刺激を受けた目に対し、請求項1に記載の眼科薬送達ビヒクルを有効量投与することを含む目の刺激を緩和させる方法。
  27. 液滴の平均直径が約0.1から0.3μmである乳剤を選ぶことをさらに含む請求項26に記載の方法。
  28. 目に対する治療効果を有する薬物の局所投与用眼科用組成物を投与する方法であって、請求項13に記載の該局所投与用眼科用組成物を製剤し、患者の目に、この組成物を有効量投与することを含む方法。
  29. 液滴の平均直径が約0.1から0.3μmである乳剤を選ぶことをさらに含む請求項28に記載の方法。
  30. 刺激を引き起こすことなく、薬物を増量して目に投与する方法であって、請求項1に記載の眼科薬送達ビヒクルとともに前記増量した前記薬物を投与することを含む方法。
  31. 液滴の平均直径が約0.1から0.3μmである乳剤を選ぶことをさらに含む請求項30に記載の方法。
  32. 刺激を引き起こすことなく、薬物を増量して目に投与する方法であって、請求項13に記載の組成物の中に前記増量した前記薬物を目に投与することを含む方法。
  33. 液滴の平均直径が約0.1から0.3μmである乳剤を選ぶことをさらに含む請求項32に記載の方法。
  34. 眼科用薬物の生物学的利用能を向上させる方法であって、請求項13に記載の組成物にいれて、前記薬物を目に投与することを含む方法。
  35. 液滴の平均直径が約0.1から0.3μmである乳剤を選ぶことをさらに含む請求項34に記載の方法。
  36. 眼科用薬物の生物学的利用能を向上させる方法であって、請求項1に記載の眼科薬送達ビヒクルとともに前記薬物を目に投与することを含む方法。
  37. 液滴の平均直径が約0.1から0.3μmである乳剤を選ぶことをさらに含む請求項36に記載の方法。
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