JP2006001766A - 三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法およびセラミック成形体 - Google Patents
三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法およびセラミック成形体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 複数のセルと複数の連通孔とを有する三次元網目構造を備えたセラミック成形体を製造する方法であって、セラミック粉体と、有機系粒子の表面を複数のSiC粒子で被覆してなる複数の被覆粒子とを混合し、被覆粒子−セラミック粉体混合物を作製する第1工程と、所定の型を使用して、被覆粒子−セラミック粉体混合物を加圧成形し、被覆粒子が所定に配列し、配列した被覆粒子間にセラミック粉体が充填してなる被覆粒子−セラミック粉末配列体を作製する第2工程と、被覆粒子−セラミック粉末配列体を加熱し、有機系粒子をガス化させることによって、セルおよび連通孔を形成する第3工程と、を有する。
【選択図】 図5
Description
すなわち、第1の粒子がガス化して形成されるセルが高密度で均一に分布すると共に、セルを隔てる隔壁がさらに緻密なセラミック成形体を得ることができる。
すなわち、請求項1に係る発明によれば、セルが均一に分布したセラミック成形体を得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、セルが高密度で均一に分布すると共に、隔壁がさらに緻密なセラミック成形体を得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、収縮しにくく、二次加工が不要なセラミック成形体を得ることができる。
請求項4に係る発明によれば、SiCを主成分とするセラミック成形体を得ることができる。
請求項5に係る発明によれば、例えば、金属基複合部材の強化材として好適に使用することができる。
まず、本発明に係る三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法によって製造されたセラミック成形体について、図1、図2を参照して説明する。参照する図面において、図1は、セラミック成形体の斜視図である。図2は、図1に示すセラミック成形体の一断面を拡大して示す要部拡大断面図である。
なお、セルCの内径のメジアンMD、連通孔Hの内径のメジアンMdは、例えば三次元のCT解析、水銀圧入法などにより求められる。
次に、セラミック成形体1に所定の金属Mが充填された金属基複合部材MCについて、図3および図4を参照して説明する。参照する図面において、図3は、図1に示すセラミック成形体に金属を充填した金属基複合部材の斜視図である。図4は、図3に示す金属基複合部材の一断面を拡大して示す要部拡大断面図である。なお、金属基複合部材MCは、金属基複合材料(MMC:Metal Matrix Composites)と称されることもある。
続いて、本発明に係る三次元網目構造を備えたセラミック成形体1の製造方法について、図5を主に参照して説明する。図5はセラミック成形体1の製造方法の工程図である。
なお、本実施形態では、特許請求の範囲における第1物質をカーボン、被覆粒子13を構成するセラミック粒子をSiC粒子12(図6参照)、金属を金属Si19とし、カーボンと金属Si19とを反応させてSiCを生成し、SiCを主成分とするセラミック成形体1を製造する場合について説明する。
以下、各工程について詳細に説明する。
第1工程は、カーボン(第1物質)を主成分とするカーボン粒子15(以下C粒子、図7参照)を含有するセラミック粉体16(図7参照)を作製する第1A工程と、被覆粒子13を作製する第1B工程と、セラミック粉体16と被覆粒子13(図6参照)とを混合する第1C工程を有している。
SiC粒子14(図7参照)の集合体であるSiC粉体と、C粒子15(図7参照)の集合体である炭素粉体(C粉体)と、pH調整剤と、解膠剤と、溶媒としての蒸留水とを、ボールミルなどの混合器で湿式混合する(S101)。
C粉体としては、例えば、三菱化学社製のカーボンブラック(C.B.:平均粒子径0.07μm)を使用することができる。
pH調整剤としては、NaOH、NH3などを使用でき、解膠剤としては、アクリル酸オリゴマ、モノエチルアミンなどを使用することができる。このようなpH調整剤としては、具体的には、四級アンモニウム塩として、例えば、サンノプコ社製のSN−7347Cを使用することができる。
バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、アクリルエマルジョン、ポリビニルブチラール、メチルセルロース、β−1、3グルカンなどを使用することができる。具体的には、ウレタンエマルジョン系であり、第一工業製薬社製のスーパーフレックス700(R)などを使用できる。
図6に示すように、加熱によりガス化する合成樹脂製の有機系粒子11(第1粒子)の集合体と、SiC粒子12(セラミック粒子)の集合体であるSiC粉体と、有機系粒子11とSiC粒子12を接着するためのバインダとを、所定配合にて混合器(被覆処理機)で混合し、有機系粒子11の表面を複数のSiC粒子12が密に被覆してなる被覆粒子13を複数作製する(S104)。
また、有機系粒子11は、後記するように、ガス化すると共にセルCを形成するため、有機系粒子11の大きさはセルCの内径に応じて設定することが好ましい。例えば、有機系粒子11の直径のメジアンDM(以下、メジアン直径DMという)10μm≦DM≦1000μmに設定する。
さらに、有機系粒子11の集合体の粒径分布は狭い方が好ましく、粒径分布が狭いと被覆粒子13を最密充填形式で配列しやすくなる。
そして、被覆粒子13の集合体と、第1A工程で作製したセラミック粉体16とを、適宜な混合器を使用して、所定配合で乾式にて混合し、被覆粒子−セラミック粉体混合物を作製する(S105)。
このように配合を設定し、且つ、前記したように被覆粒子13の平均半径R1と、セラミック粉体16の平均半径R2との比を、R1:R2=30〜70:1に設定することによって、次の被覆粒子−セラミック粉体配列体17の作製において、被覆粒子13が、6配位、8配位、12配位などの最密充填形式で一様に配列し、配列した被覆粒子13間にセラミック粉体16が好適に充填されて、被覆粒子−セラミック粉体配列体17(図7参照)の気孔率(空隙率)を低下させることができる(築炉用セラミック材料、技報堂出版、p.46参照)。これにより、セルC(図2参照)が高密度で均一に分布すると共に、隔壁1a(図2)が緻密なセラミック成形体1を得ることができる。R1:R2=50:1の場合における具体例を、次の表1に示す。
なお、図7などは、被覆粒子13が12配位の最密充填形式で理想的に配列した場合をわかりやすく描いた図である。
そして、被覆粒子−セラミック粉体混合物を、所定形状の型に振動(50〜200Hz)を与えながら投入し、例えば、一軸加圧による圧粉成形を、50〜200MPaにて1分間行い、図7に示すように、被覆粒子13が最密充填形式で配列し、被覆粒子13間に前記セラミック粉体16が充填してなる被覆粒子−セラミック粉体配列体17(焼結用成形体とも称される)を作製する(S106)。その後、必要に応じて、CIP(Cold Isostatic Pressing)成形を、例えば400MPaにて30分間行う(S107)。
そして、被覆粒子−セラミック粉体配列体17を、不活性雰囲気の焼結炉内に設置して、炉内圧を所定に減圧した状態で、所定昇温速度で炉内を、有機系粒子11が熱分解する温度まで上昇させ、その温度を所定時間維持する(S108)。そうすると、有機系粒子11が熱分解してガス化、つまりガスが発生し、図8に示すように、球状を呈する複数のセルCが形成されると共に、発生したガスが抜ける際の圧力によって、相隣るセルCを連通させる連通孔Hが形成される。
P<1Paでは、有機系粒子11の熱分解により発生するガスとの圧力差が大きくなり、連通孔Hが大きくなりすぎてしまうからである。一方、P>1MPaでは、前記ガスとの圧力差が小さくなり、好適に連通孔Hが形成されないからである。また、Hr<5℃/hでは発生ガス圧力が低くなりすぎてしまい、一方、Hr>120℃/hでは発生ガス圧力が高くなりすぎるからである。さらに、T<300℃では、有機系粒子11がガス化しきれず残留するおそれが生じ、一方、T>600℃では被覆粒子−セラミック粉体配列体17の表面が不活性雰囲気の影響を受けてしまうからである。さらにまた、t<0.5hでは有機系粒子11が残留する場合も生じ、一方、t>10hでは前記影響を受けてしまうからである。
次いで、適宜な焼結炉に、セルCおよび連通孔Hが形成された被覆粒子−セラミック粉体配列体17を設置し、図9に示すように、セルCおよび連通孔Hに金属Si19を充填し、炉内圧を所定に減圧した状態で(例えば1Pa以下)、所定焼結温度(例えば1500℃)、所定焼結時間(2h)にて、金属Si19の一部とC粒子15(カーボン)とを反応させながら、SiC粒子14を反応焼結する(S109)。
その後、所定条件(例えば、1600℃、133Pa以下、2h)にて、セルCおよび連通孔Hに残存する未反応の金属Si19を溶融し、除去することによって(S110)、三次元網目構造を有するセラミック成形体1を得ることができる(図2参照)。また、S110での処理の後、フッ酸(HF)によるフッ酸処理を行うことによって、未反応の金属Si19を完全に除去することができる。
したがって、焼結中にセラミック成形体1は収縮しにくくなり、セラミック成形体1のニアネット調整が可能となり、二次的加工が不要となる。また、Al2O3やB4Cなど、セラミック成形体1の不純物となる焼結助剤を使用しないため、セラミック成形体1の純度を高めることができる。
11 有機系粒子(第1粒子)
12 SiC粒子(セラミック粒子)
13、13A 被覆粒子
14 SiC粒子
15 C粒子(第1物質)
16 セラミック粉体
17 被覆粒子−セラミック粉体配列体
19 金属Si(金属)
C セル
H 連通孔
Claims (5)
- 複数のセルと、相隣るセルを隔てる隔壁に存する複数の連通孔と、を有する三次元網目構造を備えたセラミック成形体を製造する方法であって、
セラミック粉体と、加熱によりガス化する複数の第1粒子の表面を複数のセラミック粒子で被覆してなる複数の被覆粒子とを混合し、被覆粒子−セラミック粉体混合物を作製する第1工程と、
所定の型を使用して、当該被覆粒子−セラミック粉体混合物を加圧成形し、前記被覆粒子が配列し、当該配列した被覆粒子間に前記セラミック粉体が充填してなる被覆粒子−セラミック粉体配列体を作製する第2工程と、
当該被覆粒子−セラミック粉体配列体を加熱し、前記第1粒子をガス化させることによって、前記複数のセルおよび前記複数の連通孔を形成する第3工程と、
を有することを特徴とする三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法。 - 前記被覆粒子の平均半径R1と、前記セラミック粉体を形成する粒子の平均半径R2との比を、R1:R2=30〜70:1とし、
前記複数の被覆粒子の体積V1と、前記セラミック粉体の体積V2との比を、V1:V2=6:4〜9:1とし、
前記被覆粒子−セラミック粉体配列体の気孔率を低下させることを特徴とする請求項1に記載の三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法。 - 前記第1工程における前記セラミック粉体は、前記セラミック成形体の原料である第1物質を含有し、
前記第3工程において、当該第1物質を反応させずに、前記複数のセルおよび前記複数の連通孔を形成し、
当該複数のセルおよび当該複数の連通孔に、前記第1物質と反応しセラミックを生成する金属を充填し、当該金属の一部と前記第1物質とを反応させ、前記セラミックを生成しながら焼結する第4工程と、
未反応の前記金属を除去する第5工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法。 - 前記セラミック粉体はSiCを主成分とすると共に、前記第1物質であるカーボンを含有し、前記セラミック粒子はSiCを主成分とし、前記金属はSiを主成分とすることを特徴とする請求項3に記載の三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法により製造されたことを特徴とする三次元網目構造を備えたセラミック成形体。
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