JP4026835B2 - 三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法 - Google Patents
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そして、第1粒子をガス化させることで(第4工程)、セルが均一に分布したセラミック成形体を得ることができる。すなわち、部分的に強度が異ならず、高強度のセラミック成形体を得ることができる。
すなわち、第1の粒子がガス化して形成されるセルが高密度で均一に分布すると共に、セルを隔てる隔壁がさらに緻密なセラミック成形体を得ることができる。
さらに、第1工程において、複数の被覆粒子と前記セラミックスラリとを、pH8.0〜10.0で混合した後、被覆粒子−セラミックスラリ配列体を作製した場合、pH8.0〜10.0に調整することによって、SiCを主成分とするセラミックスラリ中のSiC粒子、PMMAを主成分とする第1粒子、被覆粒子のゼータ電位は大きく負となる。したがって、これらは好適に分散し、被覆粒子が最密充填形式で配列しやすくなる。よって、セルがより高密度で均一に分布したセラミック成形体を得ることができる。
すなわち、請求項1に係る発明によれば、セルが均一に分布したセラミック成形体を得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、セルをさらに均一に分布させることができる。
請求項3に係る発明によれば、セルがさらに均一に分布し、SiCを主成分とするセラミック成形体を得ることができる。
請求項4に係る発明によれば、収縮しにくい高強度のセラミック成形体を得ることができる。
そして、このようなセラミック成形体は、例えば、金属基複合部材の強化材として好適に使用することができる。
まず、本発明に係る三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法によって製造されたセラミック成形体について、図1、図2を参照して説明する。参照する図面において、図1は、セラミック成形体の斜視図である。図2は、図1に示すセラミック成形体の一断面を拡大して示す要部拡大断面図である。
なお、セルCの内径のメジアンMD、連通孔Hの内径のメジアンMdは、例えば三次元のCT解析、水銀圧入法などにより求められる。
次に、セラミック成形体1に所定の金属Mが充填された金属基複合部材MCについて、図3および図4を参照して説明する。参照する図面において、図3は、図1に示すセラミック成形体に金属を充填した金属基複合部材の斜視図である。図4は、図3に示す金属基複合部材の一断面を拡大して示す要部拡大断面図である。なお、金属基複合部材MCは、金属基複合材料(MMC:Metal Matrix Composites)と称されることもある。
続いて、本発明に係る三次元網目構造を備えたセラミック成形体1の製造方法について、図5を主に参照して説明する。図5はセラミック成形体の製造方法の工程図である。
なお、本実施形態では、特許請求の範囲における第1物質をカーボン、被覆粒子13を構成するセラミック粒子をSiC粒子12(図6参照)、金属を金属Si19(図11参照)とし、カーボンと金属Si19とを反応させてSiCを生成し、SiCを主成分とするセラミック成形体1を製造する場合について説明する。
以下、各工程について詳細に説明する。
SiC粒子14(図8参照)の集合体であるSiC粉体と、C粒子15(図8参照)の集合体である炭素粉体(C粉体)と、pH調整剤と、解膠剤と、溶媒としての蒸留水とを、ボールミルなどの混合器で所定に混合する(S101)。
C粉体としては、例えば、三菱化学社製のカーボンブラック(C.B.:平均粒子径0.07μm)を使用することができる。
pH調整剤としては、NaOH、NH3などを使用でき、解膠剤としては、アクリル酸オリゴマ、モノエチルアミンなどを使用することができる。このようなpH調整剤としては、具体的には、四級アンモニウム塩として、例えば、サンノプコ社製のSN−7347Cを使用することができる。
次に、第1B工程について説明する。まず、第1B工程で使用する被覆粒子13(図6参照)の作製について説明する。
図6に示すように、加熱によりガス化する合成樹脂製の有機系粒子11(第1粒子)の集合体と、SiC粒子12(セラミック粒子)の集合体であるSiC粉体と、有機系粒子11とSiC粒子12を接着するためのバインダとを、所定配合にて混合器(被覆処理機)で混合し、有機系粒子11の表面を複数のSiC粒子12が密に被覆してなる被覆粒子13を複数作製する(S103)。
また、有機系粒子11は、後記するように、ガス化すると共にセルCを形成するため、有機系粒子11の大きさはセルCの内径に応じて設定することが好ましい。例えば、有機系粒子11の直径のメジアンDM(以下、メジアン直径DMという)10μm≦DM≦1000μmに設定する。
さらに、有機系粒子11の集合体の粒径分布は狭い方が好ましく、粒径分布が狭いと被覆粒子13を最密充填形式で配列しやすくなる。
そして、被覆粒子13の集合体と、第1工程で作製したセラミックスラリ16とを、所定容器で所定配合にて混合し、被覆粒子−セラミックスラリ混合物を作製する(S104)。
このように配合を設定し、且つ、前記したように被覆粒子13の平均半径R1と、セラミックスラリ16の平均半径R2との比を、R1:R2=30〜70:1に設定することによって、次の被覆粒子−セラミックスラリ配列体17の作製において、被覆粒子13が、6配位、8配位、12配位などの最密充填形式で一様に配列し、配列した被覆粒子13間にセラミックスラリ16を好適に充填させて、被覆粒子−セラミックスラリ配列体17の気孔率(空隙率)を低下させることができる(築炉用セラミック材料、技報堂出版、p.46参照)。これにより、セルC(図2参照)が高密度で均一に分布すると共に、隔壁1a(図1)が緻密なセラミック成形体1を得ることができる。R1:R2=50:1の場合における具体例を、次の表1に示す。
なお、図8などは、被覆粒子13が12配位の最密充填形式で理想的に配列した場合をわかりやすく描いた図である。
そして、この被覆粒子−セラミックスラリ配列体17(図8参照)中のゲル化剤をゲル化させて、セラミックスラリ16の流動性を失わせる(S106)。ゲル化させる方法としては、例えば、温度を変化させたり、所定の重合開始剤を添加する方法などが採用される。さらに具体的には、例えば、ゲル化剤として前記カードランを使用した場合、室温RT→60℃→室温RTと温度変化させることでゲル化できる。
続いて、ゲル化後の被覆粒子−セラミックスラリ配列体17を、適宜な乾燥機を使用し、所定乾燥温度、所定乾燥時間にて乾燥させて焼結用成形体を作製する(S107)。乾燥温度、乾燥時間は適宜決定してよく、例えば、20℃で5時間乾燥した後、さらに90℃で1時間乾燥させるなどの方法が採用される。
また、ゲル化により、被覆粒子−セラミックスラリ配列体17は適量の水分を内部に取り込み、適度な可撓性を有するため、乾燥中にひび割れやそりが発生しにくくなる。
所定時間経過後、焼結用成形体を型から離型する(S107)。この離型においても、適度な可撓性・保形性を有するため、破壊しにくくなる。
次いで、この焼結用成形体を、不活性雰囲気の焼結炉内に設置して、所定の炉内圧まで減圧し、所定昇温速度で炉内を、有機系粒子11が熱分解する温度まで上昇させ、その温度を所定時間維持する(S108)。そうすると、有機系粒子11が熱分解してガス化、つまりガスが発生し、図9に示すように、球状を呈する複数のセルCが形成されると共に、発生したガスが抜ける際の圧力によって、相隣るセルCを連通させる連通孔Hが形成される。
また、図10に示すように、例えば、PMMA製の有機系粒子11に対しAl2O3ゲルは、温度に対して緩やかな質量変化を呈し、PMMAのガス化後もAl2O3ゲルの一部は残存し、この残存するAl2O3ゲルにより、セラミック成形体1の破壊、セルC形状の変形などが防止される。なお、図10は、空気中におけるPMMAとAl2O3ゲルのTG(Thermo Gravimetry)曲線である。
P<1Paでは、有機系粒子11の熱分解により発生するガスとの圧力差が大きくなり、連通孔Hが大きくなりすぎてしまうからである。一方、P>1MPaでは、前記ガスとの圧力差が小さくなり、好適に連通孔Hが形成されないからである。また、Hr<5℃/hでは発生ガス圧力が低くなりすぎてしまい、一方、Hr>120℃/hでは発生ガス圧力が高くなりすぎるからである。さらに、T<300℃では、有機系粒子11がガス化しきれず残留するおそれが生じ、一方、T>600℃では焼結用成形体(被覆粒子−セラミックスラリ配列体17)の表面が不活性雰囲気の影響を受けてしまうからである。さらにまた、t<0.5hでは有機系粒子11が残留する場合も生じ、一方、t>10hでは前記影響を受けてしまうからである。
次いで、適宜な焼結炉を使用して、図11に示すように、焼結用成形体のセルCおよび連通孔Hに金属Si19を充填し、炉内圧を所定に減圧した状態で(例えば1Pa以下)、所定焼結温度(例えば1500℃)、所定焼結時間(2h)にて、金属Si19の一部とC粒子15(カーボン)とを反応させながら、SiC粒子14を焼結(反応焼結)する(S109)。
その後、所定条件(例えば、1600℃、133Pa以下、2h)にて、セルCおよび連通孔Hに残存する未反応の金属Si19を溶融し、除去することによって(S110)、三次元網目構造を有するセラミック成形体1を得ることができる(図2参照)。また、S110での処理の後、フッ酸(HF)によるフッ酸処理を行うことによって、未反応の金属Si19を完全に除去することができる。
したがって、焼結中にセラミック成形体1は収縮しにくくなり、セラミック成形体1のニアネット調整が可能となり、二次的加工が不要となる。また、Al2O3やB4Cなど、セラミック成形体1の不純物となる焼結助剤を使用しないため、セラミック成形体1の純度を高めることができる。
また、pH調整剤についても同様であり、前記混合段階(S104)で添加してもよい。
11 有機系粒子(第1粒子)
12 SiC粒子(セラミック粒子)
13、13A 被覆粒子
14 SiC粒子
15 C粒子(第1物質)
16 セラミックスラリ
17 被覆粒子−セラミックスラリ配列体
19 金属Si(金属)
C セル
H 連通孔
Claims (4)
- 複数のセルと、相隣るセルを隔てる隔壁に存する複数の連通孔と、を有する三次元網目構造を備えたセラミック成形体を製造する方法であって、
加熱によりガス化する複数の第1粒子の表面を複数のセラミック粒子で被覆してなる複数の被覆粒子が配列し、当該配列した被覆粒子間にゲル化剤を含有するセラミックスラリが充填してなる被覆粒子−セラミックスラリ配列体を作製する第1工程と、
前記ゲル化剤をゲル化させる第2工程と、
当該ゲル化後の被覆粒子−セラミックスラリ配列体を乾燥する第3工程と、
前記被覆粒子−セラミックスラリ配列体を加熱して、前記第1粒子をガス化させることによって、前記複数のセルおよび前記複数の連通孔を形成する第4工程と、
を有することを特徴とする三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法。 - 前記被覆粒子の平均半径R1と、前記セラミックスラリを形成する粒子の平均半径R2との比を、R1:R2=30〜70:1とし、
前記複数の被覆粒子の体積V1と、前記セラミックスラリの体積V2との比を、V1:V2=6:4〜9:1とし、
前記被覆粒子−セラミックスラリ配列体の気孔率を低下させることを特徴とする請求項1に記載の三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法。 - 前記セラミックスラリはSiCを主成分とし、前記第1粒子はPMMA、PS、PE、無機カーボン、および、シリコン系無機化合物粒子からなる群から選択された少なくとも1種を主成分とし、前記セラミック粒子はSiCを主成分とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法。
- 前記第1工程におけるセラミックスラリは、前記セラミック成形体の原料である第1物質を含有し、
前記第4工程において、当該第1物質を反応させずに、前記複数のセルおよび前記複数の連通孔を形成し、
前記第4工程の後に、
当該複数のセルおよび当該複数の連通孔に、前記第1物質と反応しセラミックを生成する金属を充填し、当該金属の一部と前記第1物質とを反応させ前記セラミックを生成しながら焼結する第5工程と、
未反応の前記金属を除去する第6工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の三次元網目構造を備えたセラミック成形体の製造方法。
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