JP2006001760A - フッ化物単結晶の製造方法 - Google Patents

フッ化物単結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体製造時のパターン露光に使用する光リソグラフィー装置(ステッパー)用のレンズ材料や、各種エキシマレーザー装置用窓材などに使用する真空紫外光透過材料を得るためのフッ化物単結晶の製造法を提供する。
【解決手段】 ルツボ内凝固によるフッ化物の単結晶製造において、ルツボ下部に製造目的とする単結晶の成長面形状と同一の形状を有する種結晶を設置し、結晶成長中において成長面形状を変化させることなく、かつ、種結晶の結晶面方位を継承させた単結晶を得る。さらに、ルツボの底面を除く内壁材質がフッ化物よりも熱伝導度が小さい耐熱性断熱材で、ルツボおよび耐熱性断熱材の材質がカーボンである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体製造時のパターン露光に使用する光リソグラフィー装置(ステッパー)用のレンズ材料や、各種エキシマレーザー装置用窓材などに使用する真空紫外光透過材料を得るためのフッ化物単結晶の製造法である。
半導体製造におけるパターン形成リソグラフィー技術として、従来から光リソグラフィーが用いられており、近年の半導体チップの高集積化傾向に伴い、光リソグラフィーに微細化が要求されるようになっている。
光リソグラフィー技術において、微細化(=解像度の向上)するためには、投影系レンズの開口数NAの向上と光源の短波長化が必要である。解像度Rは、光源波長λと投影光学系の開口数NAとの間に比例定数kを用いて、
R=k × λ / NA
というRayleigh‘s式で表され、この式より、解像度を向上させるためには投影系のレンズ開口数NAを大きくする(=レンズの口径を大きくする)、もしくは(および)光源の波長λを短くすればよいことがわかる。
ステッパーの光源として従来から使用されている高圧水銀灯光源のg線(波長436nm)やi線(波長365nm)に代わり、現在ではエキシマレーザーを使用したKrFレーザー(波長248nm)ステッパー、ArFレーザー(波長193nm)ステッパー等が開発され使用されている。さらに、次世代型としてFレーザー(波長157nm)ステッパーの開発も進んでいる。
このような紫外領域の光を用いるステッパーにおいて、使用可能なレンズ材料の選択は非常に重要である。KrFレーザーでは合成石英ガラスがレンズ材料に使用されているが、ArFレーザーでは合成石英ガラスの他、部分的にフッ化カルシウム(CaF)単結晶が使用されている。
さらにFレーザーでは、157nmという波長に対して合成石英ガラスは光吸収が高くなるため使用できず、フッ化カルシウム単結晶のみが使用できる実用的なレンズ材料とされている。
また、このようなFステッパー用レンズ材料に使用されるフッ化カルシウム単結晶は、ステッパーの高解像度化に伴い、口径がφ200〜φ300mmの大口径で、光学的に均質であり、かつ、透過率が非常に高いものが要求されている。
フッ化カルシウム単結晶の製造は、従来からブリッジマン・ストックバーガー法で行われている(特許文献1〜3)。具体的にブリッジマン・ストックバーガー法を説明すると、まず原料として高純度に精製された合成フッ化物粉末を使用することが一般的である。この原料粉末を単結晶育成装置内に設置した下部が円錐形状の円筒型のルツボに仕込み、装置内部を10−3Pa〜10−6Pa程度の真空度で保持したまま、フッ化物の融点以上まで昇温し溶融させる。
また、特定の結晶方位で成長させるため、円錐形状部の頂部にあらかじめ方位を特定した種結晶を設置し、種結晶の部分溶融とその結晶方位の継承により目的の単結晶を得ることもある。
結晶の成長工程では、ルツボを0.1〜5mm/h程度の速度で育成装置内を降下させることにより、ルツボ下部の円錐形状先端より徐々に結晶化させ、さらに、所定の成長長さに到達したところでルツボ降下を終了させて、単結晶育成装置内の降温を開始する。
この時、成長した結晶が割れないように急冷せず、徐冷するのが一般的である。室温まで装置内温度が下がった後、大気開放して目的のフッ化物単結晶(インゴット)を取り出す。また、ブリッジマン・ストックバーガー法では、原料粉末に吸着した水分や酸素等を除去するため、PbFやZnFなどをスカベンジャー(精製剤)として少量添加することもある。
以上のようにして成長させた結晶は下端が円錐形状の円筒型であり、ちょうど鉛筆のような形状をしている。このような結晶の円錐形状部と上端部を切り除き、さらに目的の方位で切り出してレンズ材料や窓材などに使用する。また切り出しの前後で結晶内部の歪みを除去するためにアニール処理を行うことが一般的である。
このようにして成長させたフッ化物の単結晶をステッパーに使用する際には所定の結晶方位で使用しなければならない。例えばフッ化カルシウム単結晶では結晶構造そのものに起因した固有複屈折が存在し、それが結晶面と光波長によって大きく変化するためである。その大きさはFレーザーのような短波長(157nm)では特に大きくなり、<110>方向で最大12nm/cmを示し、これが解像度に大きな影響を及ぼす。
この結晶構造特有の複屈折の影響を軽減させるために2つの方法が提案されている。1つはクロッキング法と呼ばれる方法であり、ステッパーに組み込む際に各レンズを光軸中心に回転させ複屈折がキャンセルされるように組み込む手法である。2つ目は通常使用される結晶軸<111>のフッ化カルシウムレンズの他に、<100>のように異なる結晶軸を有するレンズを一部組み合わせる手法である。
以上のようにステッパーに使用する際のフッ化物単結晶材料は結晶方位の確定が重要な要素となる。
特開平11−21197号公報 特開2002−154897号公報 特開2002−160999号公報
ブリッジマン・ストックバーガー法でフッ化物単結晶を製造する場合、一般にフッ化物単結晶の成長方向に優位性は無いとされており、種結晶を使用しない場合、成長したインゴットの水平方向の面はランダムな結晶方位となる。
このようなランダム面のインゴットを単に水平に切断したのでは上記のようなステッパーのレンズ材料には使用できない。このため結晶方位測定装置によって結晶方位を決め、それに従って多くの場合インゴットを斜め方向に切り出さなければならなくなり、1本のインゴットから切り出し可能な製品枚数は減少し、製品歩留まりは著しく低下してしまう課題があった。
また、ルツボ底の円錐形状頂部に設置した種結晶によって、インゴットの水平面が(111)面になるように結晶方位を継承させたインゴットを得ることができても、その(111)劈開面には必ず非常に強いサブグレインバウンダリー(結晶亜粒界)が発生する。特に、インゴットの直径が100mm以上の比較的大きな単結晶ではサブグレインバウンダリーが発生しやすい。
このサブグレインバウンダリーは結晶格子における原子配列がずれた、もしくは連続性が損なわれた面や境域であり、転位の集合である。サブグレインバウンダリーが存在すると結晶内の非常に高度な光学的均質性が得られず、例えばFレーザーステッパー用のレンズ材料としての使用が困難になるという課題があった。
またサブグレインバウンダリーが結晶内に存在すると結晶表面の精密研磨時に結晶粒界の硬度差により研磨加工時の結晶表面の損傷が認められ、製品歩留まりが低下するという課題があった。
本発明者らは、かかる課題に鑑み、鋭意研究した結果、フッ化物単結晶の製造において、種結晶を使用して所定の方位に結晶成長させてもサブグレインバウンダリーの発生が抑制できる結晶が得られる方法を見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ルツボ内凝固によるフッ化物の単結晶製造において、ルツボ下部に製造目的とする単結晶の成長面形状と同一の形状を有する種結晶を設置し、結晶成長中において成長面形状を変化させることなく、かつ、種結晶の結晶面方位を継承させた単結晶を得ることを特徴とし、さらに、ルツボの底面を除く内壁材質がフッ化物よりも熱伝導度が小さい耐熱性断熱材であること、ルツボおよび耐熱性断熱材の材質がカーボンであることを特徴とするフッ化物単結晶の製造方法を提供するものである。
ここでいう単結晶の成長面とは単結晶の成長方向に垂直な断面であり、面形状としては円形の他、楕円形、正方形、長方形、三角形、五角形などあらゆる形状を指す。
さらに、本発明でいうフッ化物とは、レンズや窓材等の光学部品に用いるものであり、一般にフッ化カルシウム(CaF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化ストロンチウム(SrF)、フッ化リチウム(LiF)、およびLiCaAlFなどである。
本発明によれば、フッ化物単結晶の製造において、種結晶を使用して所定の方位に結晶成長させてもサブグレインバウンダリーの発生が抑制できる良質なフッ化物単結晶が効率良く得られ、ステッパー用のレンズ材料としての使用が可能となる。
本発明は、基本的にルツボ内凝固によるフッ化物単結晶の製造方法であり、ルツボ下部に製造目的とする単結晶の成長面形状と同一の形状を有する種結晶を設置し、結晶成長中において成長面形状を変化させることなく、かつ、種結晶の結晶面方位を継承させた単結晶を得ることを特徴とするものであり、ルツボは、直胴形状である。具体的には、使用するルツボの内面の立体形状がルツボの底部から頂部にかけて円錐部、増頸部、絞りがないものをいう。
なお、ここでいう単結晶の成長面とは単結晶の成長方向に垂直な断面であり、面形状としては円形の他、楕円形、正方形、長方形、三角形、五角形などあらゆる形状を指す。
図1に本発明で使用する単結晶育成装置の概略を示す。
フッ化物単結晶の原料は高純度に精製された合成原料粉末を使用することが一般的であり、特に成長した結晶を250nmを下回る波長の光源用に使用する場合は金属元素などの不純物を高度に除去した精製原料を用いる必要がある。これらのフッ化物粉末原料は図1に示すベルジャー1及び耐熱性断熱材3で覆われたルツボ4に直接秤量して仕込んでも良いが、粉末故の嵩高さのため、仕込みのための容積がルツボに必要となることから、あらかじめ所定寸法に溶融、固化させたプレメルトキャスト5を仕込んでもよい。
粉末を直接ルツボに仕込む場合、および、あらかじめプレメルトキャスト5を作製する場合、共にPbF、ZnF、(C)nなどの固形のスカベンジャーや、CF、C、C、HF、NF、などのガス状スカベンジャーの適量添加が行われることが一般的である。一方、種結晶6は所定の方位、形状、寸法に切り出した後、ルツボ4の底部に設置される。
以上のようにしてプレメルトキャスト5および種結晶6を仕込んだルツボ4を図1に示すように単結晶育成装置内に設置して、真空ポンプにて真空度を10−3〜10−5Paに保持しながらヒーター2に通電してルツボ4を加熱する。
フッ化物の種類によるが、例えばフッ化カルシウムの場合は、1396℃が融点であるとされているため、ルツボ内の温度が1400℃〜1450℃程度になるように昇温後、1〜24時間保持する。また昇温の際、種結晶は全溶融してはならない。種結晶が全溶融すると種結晶が有する方位が失われ、その後成長する単結晶がランダム方位となってしまう。従って、種結晶が全溶融しないようなルツボ内温度をあらかじめ実験的に測定して求めておく必要がある。
さらに種結晶が全く溶融しなくてもいけない。種結晶が溶融しないと種結晶の有する方位がその後成長する単結晶に継承されない。このため、種結晶が全溶融せず、部分的に溶融するルツボ温度をあらかじめ実験的に測定して求めておく必要がある。
所定の設定温度にて1〜24時間保持した後、図1に示す引き下げ装置8にてシャフト7に設置したルツボを0.1〜5mm/hの速度で引き下げていく。所定の長さ引き下げたところで引き下げを停止し、降温工程に移る。この時、成長した単結晶が割れないように急冷せず、徐冷するのが一般的である。室温まで単結晶育成装置内の温度が下がった後、大気開放して目的のフッ化物単結晶を取り出す。
本発明において、使用するルツボは、内面の立体形状がルツボの底部から頂部にかけて円錐部、増頸部、絞りがなく、直胴形状であることを特徴としている。
なお、ここでいう単結晶の成長面とは単結晶の成長方向に垂直な断面であり、面形状としては円形の他、楕円形、正方形、長方形、三角形、五角形などあらゆる形状を指す。
また、ルツボの材質はフッ化物と濡れが無いカーボンを用い、種結晶下部が接するルツボの底面を除く内壁材質がフッ化物よりも熱伝導度が小さい耐熱性断熱材であることを特徴としている。
さらに、本発明におけるルツボおよび耐熱性断熱材とは、フッ化物と濡れが無く、耐熱性に優れた特性を有するものであり、また耐熱性断熱材に限ってはフッ化物よりも熱伝導度が小さく、断熱性に優れた特性を有するものであり、このような材料としてカーボンを用いることを特徴としている。
図2(a)および(b)に本発明におけるルツボの例を示す。図2(a)は、円形の直胴形状のルツボを示し、図2(b)は、長方形の直胴形状のルツボを示す。図中に示すように、本発明のルツボには、ルツボ枠部9、耐熱性断熱材10、ルツボ蓋部11からなり、種結晶部13の断面形状と、その上の成長結晶部12の断面形状が同一であり、従来の円錐形状のルツボで円錐の頂点に比較的小さい径の種結晶を設置するような形態とは大きく異なっている。
従来からのルツボは種結晶からの結晶方位の継承は可能であったが、ルツボ形状に円錐部が存在することにより、円錐部分での結晶化潜熱の排熱効率に急激な変化が生じやすく、これがメルトバックや固液界面の形状変化、固液界面の揺らぎなどの原因となって、結果的にサブグレインバウンダリー発生や多結晶化につながっていると考えられる。
本発明のルツボでは円錐部が存在せず、また、成長結晶と比較して十分に大きな種結晶であるために結晶化潜熱の排熱が比較的スムーズであり、このことがサブグレインバウンダリーの発生抑制に寄与していると考えられる。
また本発明におけるルツボ形状の次なる特徴は、成長方向に垂直な断面の形状が従来の円錐形状−インゴット型のような円形だけでなく、例えば図2の(b)に示すような長方形や楕円形などいかなる断面形状の結晶成長にも適用できる点にある。これにより目的の製品形態に近い形状の結晶を得ることができ、その後の切断や切断前のアニール工程を省略することができるため経済的である。
さらに、本発明におけるルツボの材質の特徴は、従来からフッ化物単結晶の育成に一般に使用されてきたカーボン単体ではなく、カーボンルツボ枠部9の内壁にフッ化物よりも熱伝導度が小さい耐熱性断熱材10を貼付した材質であることである。このような材質のルツボを使用した場合の利点を次に述べる。
サブグレインバウンダリーの発生や多結晶化のもう一つの原因に、結晶成長途中の固液界面形状の凹形状化がある。固液界面形状が凹形状になれば、成長中に何らかの原因で発生した転位は結晶内部方向に集まりやすくなり、これがサブグレインバウンダリーや多結晶化、高歪化につながる。このため、サブグレインバウンダリーの無いフッ化物単結晶を得るためには、固液界面形状は水平、もしくはやや上方に凸形状であることが望まれ、このような固液界面形状を形成するためには、ルツボの材質が重要な要素の1つとなる。
従来のルツボ材質であるカーボンの熱伝導度は、40〜50W/m・Kと高いが、フッ化物の融点付近の熱伝導度は、1〜3W/m・K程度とカーボンよりも1桁以上低くく、このために引き下げ方式の結晶成長の場合、結晶化潜熱の排熱がルツボの下方向だでなく、ルツボ壁に近い横方向にも生じて、固液界面形状が凹形状になりやすい。
本発明のルツボ材質は、カーボンルツボ内壁の底面以外にフッ化物よりも熱伝導度が小さい耐熱性断熱材10(熱伝導度:0.5W/m・K)を貼付したものである。このため、結晶化潜熱の排熱経路が、ルツボではなく、結晶化したフッ化物そのものを通じてルツボの下方向になり、固液界面形状が上方に凸形状になりやすくなる。
以上述べてきたように、本発明によれば、特徴あるルツボ形状およびルツボ材質の効果により、フッ化物単結晶成長時のサブグレインバウンダリーの発生や多結晶化が抑制でき、優れた光学特性を有するフッ化物単結晶が得られる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明するが、かかる実施例により限定されるものではない。また、実施例、比較例は、図1に示した単結晶育成装置を用いた。
〔実施例1〕
フッ化カルシウムの単結晶を、(111)面が平面になるようにφ190mm、高さ50mmの円柱状に加工し種結晶とした。
この種結晶6を成長方向に垂直な断面の形状が円形である内径φ200mmの円筒形カーボン製ルツボ4の底部に設置し、さらにルツボ内にスカベンジャー処理後のフッ化カルシウムプレメルトキャスト5を16Kg仕込んだ。この後、ルツボ4を単結晶育成装置に設置して、10−4Paまで真空状態を保持したままヒーター2に通電して昇温してルツボ内のフッ化カルシウムプレメルトキャスト5と種結晶6の上部をメルトさせた。
4時間保持後、種結晶の(111)面に垂直に、引き下げ装置8によって、1.0mm/hの速度でシャフト7を200mmの長さ降下させ、ルツボ4を引き下げた。徐冷後、単結晶育成装置を大気開放してルツボ4より目的のフッ化カルシウム結晶の成長結晶部12を取り出した。取り出したフッ化カルシウム単結晶を成長方向に対して上部、中央部、下部と分けて(111)面で劈開し、劈開面のサブグレインバウンダリーの様子を観察した。
〔実施例2〕
フッ化カルシウムの単結晶を、(111)面が平面になるようにφ190mm、高さ50mmの円柱状に加工し種結晶とした。
この種結晶を図2(a)に示すような、成長方向に垂直な断面の形状が円形で、底部を除く内壁にカーボン系断熱材10を貼付加工した内径φ200mmの円筒形カーボン製ルツボの底部に設置し、さらにルツボ内にスカベンジャー処理後のフッ化カルシウムプレメルトキャスト5を16Kg仕込んだ。この後、ルツボ4を単結晶育成装置に設置して、10−4Paまで真空状態を保持したままヒーター2に通電して昇温してルツボ内のフッ化カルシウムプレメルトキャスト5と種結晶6の上部をメルトさせた。
4時間保持後、種結晶の(111)面に垂直に、引き下げ装置8によって、1.0mm/hの速度でシャフト7を200mmの長さ降下させ、ルツボ4を引き下げた。徐冷後、単結晶育成装置を大気開放してルツボより目的のフッ化カルシウム結晶を取り出した。取り出したフッ化カルシウム単結晶を成長方向に対して上部、中央部、下部と分けて(111)面で劈開し、劈開面のサブグレインバウンダリーの様子を観察した。
〔実施例3〕
フッ化カルシウムの単結晶を、2面が平行な(111)面になるように幅190mm、高さ50mm、奥行き55mmの直方体に加工し種結晶とした。
この種結晶を図2(b)に示すような、成長方向に垂直な断面の形状が長方形で、底部を除く内壁にカーボン断熱材10を貼付加工した内寸法が幅200mm、高さ500mm、奥行き60mmの直方体カーボン製ルツボの底部に、(111)面が結晶成長方向と平行になるように設置し、さらにルツボ内にスカベンジャー処理後のフッ化カルシウムプレメルトキャスト5を8Kg仕込んだ。この後、ルツボ4を単結晶育成装置に設置して、10−4Paまで真空状態を保持したままヒーター2に通電して昇温してルツボ内のフッ化カルシウムプレメルトキャスト5と種結晶6の一部をメルトさせた。
4時間保持後、種結晶の(111)面に垂直に、引き下げ装置8によって、1.0mm/hの速度でシャフト7を200mmの長さ降下させ、ルツボ4を引き下げた。徐冷後、単結晶育成装置を大気開放してルツボより目的のフッ化カルシウム結晶を取り出した。取り出したフッ化カルシウム単結晶を成長方向に対して上部、中央部、下部と分けて(111)面で劈開し、劈開面のサブグレインバウンダリーの様子を観察した。
〔比較例1〕
フッ化カルシウムの単結晶を、(111)面が平面になるようにφ20mmの円柱状に加工し種結晶とした。
この種結晶を開き角度が120度の円錐部を有し、円筒胴部の内径がφ200mmのペンシル型のカーボン製ルツボの円錐部頂点に設置し、さらにルツボ内にスカベンジャー処理後のフッ化カルシウムプレメルトキャストを16Kg仕込んだ。この後、ルツボを単結晶育成装置に設置して、10−4Paまで真空状態を保持したままヒーター2に通電して昇温してルツボ内のフッ化カルシウムプレメルトキャストと種結晶の一部をメルトさせた。
4時間保持後、種結晶の(111)面に垂直に、引き下げ装置8によって、1.0mm/hの速度でシャフト7を200mmの長さ降下させ、ルツボを引き下げた。徐冷後、単結晶育成装置を大気開放してルツボより目的のフッ化カルシウム結晶を取り出した。取り出したフッ化カルシウム単結晶を成長方向に対して上部、中央部、下部と分けて(111)面で劈開し、劈開面のサブグレインバウンダリーの様子を観察した。
〔比較例2〕
フッ化カルシウムの単結晶を、2面が平行な(111)面になるように幅50mm、高さ50mm、奥行き55mmの直方体に加工し種結晶とした。
この種結晶を成長方向に垂直な断面の形状が長方形で、内寸法が幅200mm、高さ500mm、奥行き60mmであり、ルツボ下端の種結晶部から上部の成長結晶部にかけて約90度の角度で増頸部があるカーボン製ルツボの底部に、(111)面が結晶成長方向と平行になるように設置し、さらにルツボ内にスカベンジャー処理後のフッ化カルシウムプレメルトキャストを8Kg仕込んだ。この後、ルツボを単結晶育成装置に設置して、10−4Paまで真空状態を保持したままヒーター2に通電して昇温してルツボ内のフッ化カルシウムプレメルトキャストと種結晶の一部をメルトさせた。
4時間保持後、種結晶の(111)面に垂直に、引き下げ装置8によって、1.0mm/hの速度でシャフト7を200mmの長さ降下させ、ルツボを引き下げた。徐冷後、単結晶育成装置を大気開放してルツボより目的のフッ化カルシウム結晶を取り出した。取り出したフッ化カルシウム単結晶を成長方向に対して上部、中央部、下部と分けて(111)面で劈開し、劈開面のサブグレインバウンダリーの様子を観察した。
〔サブグレインバウンダリーの評価〕
本発明によって実施した実施例1、2、3および比較例1,2より得られたフッ化物単結晶の(111)劈開面のサブグレインバウンダリーの観察結果を表1に示した。表1から明らかなように、本発明で成長させたフッ化物単結晶は従来からの方法(比較例)と比較して、サブグレインバウンダリーの発生が非常に少なく、良質な単結晶であることがわかる。
Figure 2006001760
本発明におけるフッ化物単結晶育成装置の概略図を示す。 本発明におけるフッ化物単結晶の育成用ルツボの概略図(a)、(b)を示す。
符号の説明
1 ベルジャー
2 ヒーター
3 耐熱性断熱材
4 ルツボ
5 プレメルトキャスト
6 種結晶
7 シャフト
8 引き下げ装置
9 ルツボ枠部
10 耐熱性断熱材
11 ルツボ蓋部
12 成長結晶部
13 種結晶部

Claims (3)

  1. ルツボ内凝固によるフッ化物の単結晶製造において、ルツボ下部に製造目的とする単結晶の成長面形状と同一の形状を有する種結晶を設置し、結晶成長中において成長面形状を変化させることなく、かつ、種結晶の結晶面方位を継承させた単結晶を得ることを特徴とするフッ化物単結晶の製造方法。
  2. ルツボの底面を除く内壁材質がフッ化物よりも熱伝導度が小さい耐熱性断熱材であることを特徴とする請求項1記載のフッ化物単結晶の製造方法。
  3. ルツボおよび耐熱性断熱材の材質がカーボンであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のフッ化物単結晶の製造方法。
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