JP2005536206A - 改良されたインビトロ・タンパク質合成の方法 - Google Patents

改良されたインビトロ・タンパク質合成の方法 Download PDF

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Abstract

酸化的リン酸化が活性化されタンパク質折り畳みが改良される条件及び反応組成物で、生物学的高分子がインビトロ合成される。

Description

発明の背景
タンパク質合成は、ポリペプチド治療薬、診断薬、及び産業的酵素の開発の基礎となる基本的な生物学的過程である。組換えDNA(rDNA)技術の到来により、所望のタンパク質を作製するために細胞の触媒機構を活用することが可能となった。これは、細胞環境において、又は細胞に由来する抽出物を使用してインビトロで、達成され得る。
過去十年間に、無細胞系の生産性は、1時間当たり約5μg/mlから1時間当たり500μg/mlへと2桁改良された。この業績によって、インビトロ・タンパク質合成は実験室スケールの研究のための実務的な技術となり、ハイスループット・タンパク質発現のためのプラットフォーム技術が提供された。また、それは、インビボのタンパク質薬物の大規模作製に代わる手段として無細胞技術を使用することの実現可能性を示唆し始めている。
無細胞タンパク質合成には、従来のインビボのタンパク質発現法を超えるいくつかの利点がある。無細胞系は、細胞の代謝資源のうちの全てではないにしても大部分を、一つのタンパク質の排他的な産生へ指し向けることができる。さらに、インビトロにおける細胞壁及び細胞膜成分の欠如は、合成環境の調節を可能にするため、有利である。例えば、tRNAレベルを、発現される遺伝子のコドン使用頻度を反映するよう変化させることが可能である。細胞の増殖又は生存可能性に関する懸念がないため、酸化還元電位、pH、又はイオン強度も、インビボより大きな柔軟性をもって改変させることが可能である。さらに、精製され適切に折り畳まれたタンパク質産物の直接回収が、容易に達成され得る。
インビトロ翻訳は、非天然の同位体標識されたアミノ酸を組み込む能力、及びインビボでは不安定、不溶性、又は細胞障害性であるタンパク質を作製する能力に関しても認識されている。さらに、無細胞タンパク質合成は、タンパク質工学技術及びプロテオミック・スクリーニング技術の革新において役割を果たし得る。無細胞法は、インビボでの新たな遺伝子産物の発現のため細胞をクローニングし形質転換するために必要とされる面倒な過程を迂回し、そして、この領域のためのプラットフォーム技術となりつつある。
無細胞タンパク質合成の全ての有望な特色にも関わらず、その実際の使用及び大規模な履行は、いくつかの障害により制限されている。これらのうちの最たるものは、タンパク質合成の乏しい収率及び過度の試薬コストへ至る、短い反応時間及び低いタンパク質産生速度である。Spirinら(1988)Science 242:1162-1164の先駆的仕事は、最初に、連続流系の開発により、短い反応時間の問題を克服した。多くの研究室が、この仕事を複製し改良を加えたが、それらは、全て、基質を反応チャンバーへと絶えず供給する方法を主として使用している。このアプローチによって、翻訳反応の持続時間及びタンパク質収率は、回分系と比較して増加する。しかしながら、それは、高価な試薬を使用する点で非効率的であり、一般に、希薄な産物を与え、作製速度の有意な改良を提供していない。
従来の回分系には、規模拡大の容易さ、再現性、増加したタンパク質作製速度、便利さ、ハイスループット発現のための多重フォーマットの適用可能性、及びより効率的な基質使用を含む、これらの連続スキーム及び半連続スキームを超えるいくつかの利点がある。これらの利点のため、無細胞タンパク質合成の産業的な利用にとって重大な回分系の生産性が改良されている。最近、回分反応におけるタンパク質合成の早期終結の原因を解明し始める一連の所見が報告された。さらに、Kim及びSwartz(2001)Biotechnol Bioeng.74:309-316;Kim及びSwartz(1999)Biotechnol Bioeng.66:180-188は、従来の回分反応の長さが、新規のエネルギー再生系の使用により、20分から最大2時間へと延長され得ることを例示した。これらのアプローチは有望であるが、経済的に実行可能な商業的な方法を開発する必要は、依然として大いに存在している。タンパク質作製速度を改良し、反応時間を延長させることによる産物収率の増加は、この必要を満たすための必須の成分である。タンパク質合成試薬、特に化学的エネルギー源のコストの低下は、もう一つの重要な成分である。
関連文献
Swartzらの米国特許第6,337,191 B1号、Kim及びSwartz(2000)Biotechnol Prog.16:385-390;Kim及びSwartz(2000)Biotechnol Lett.22:1537-1542;Kim及びChoi(2000)J Biotechnol.84:27-32;Kimら(1996)Eur J Biochem.239:881-886。
発明の概要
増強された生物学的分子のインビトロ合成のための組成物及び方法が提供される。特に重要であるのは、重合体、例えば、核酸、ポリペプチド、複合糖質の合成である。合成のための最適化された条件は、反応混合物における酸化的リン酸化のインビトロの活性化を許容し、それが、合成の産物の増強された収率を提供する。その条件は、折り畳みのための条件の改良により、生物学的に活性なポリペプチドの増強された収率も提供する。酸化的リン酸化の活性化は、現在利用されている二次的エネルギー源又は解糖中間体の非存在下でポリマーの合成を生ずる反応混合物の能力によって立証され得る。酸化的リン酸化の活性化は、この経路の特異的阻害剤に対する反応混合物の感受性によっても証明され得る。
態様の詳細な説明
増加した収率及び増強されたエネルギー源の利用を提供する、酸化的リン酸化が活性化される、増強された生物学的分子のインビトロ合成のための組成物及び方法が提供される。その系は、本明細書においてサイトミン(Cytomim)系と呼ばれる。改良された収率は、以下に制限はされないが、グルコース含有培地で培養された細菌に由来する生物学的抽出物の使用;ポリエチレングリコールの欠如;及び最適化されたマグネシウム濃度を含み得る、反応条件の組み合わせによって入手される。
無細胞タンパク質合成は、細胞機構の触媒力を活用する。インビトロで最大のタンパク質収率を入手するには、充分な基質の供給、例えば、ヌクレオシド三リン酸及びアミノ酸;恒常性の環境;触媒の安定性;並びに阻害性副産物の除去又は回避が必要とされる。インビトロ合成反応の最適化は、急速に増殖する生物のインビボ状態の再現から利益を得る。
本発明の方法及び組成物は、細菌細胞の細胞質環境をより良好に反映し、先行技術の方法を超えたタンパク質作製及びタンパク質折り畳みの有意な改良をもたらす。さらに、酸化的リン酸化のための経路が活性化されていた。このより天然の環境を生ずる反応条件は、前記のような因子の組み合わせの提供により生じた。この系は、インビトロ回分反応における最大6時間の有意なタンパク質作製が可能である。注目すべきことに、その系は、ホスホエノールピルビン酸、クレアチンリン酸、アセチルリン酸、グルコース-6-リン酸、ピルビン酸、又は解糖中間体のような通常使用されている二次的エネルギー源の添加を必要としない。細胞環境を模倣することにより、増強された合成能力が提供される。
本発明の好ましい態様において、反応が酸化的リン酸化の活性化を提供するような、本明細書に記載されたような反応混合物が合成に使用される。しかしながら、タンパク質折り畳みのための改良された条件による活性ポリペプチドの増強された合成を含む、本発明のある種の利点は、酸化的リン酸化の活性化を必要としない。ポリエチレングリコールの実質的な非存在下における合成の実施が、改良された折り畳みを提供し;さらに、例えば、参照として本明細書に組み込まれる米国特許第6,548,276号に記載された方法と組み合わせられ得る。
折り畳みとは、本明細書において使用されるように、アミノ酸残基間の相互作用が構造を安定化するよう作用する、ポリペプチド及びタンパク質の三次元構造、又はそのような構造を獲得する過程をさす。非共有結合性の相互作用が構造の決定において重要であるが、一般的には、目的のペプチド及びタンパク質は、2個のシステイン残基により形成された分子内及び/又は分子間の共有結合を有するであろう。天然に存在するタンパク質及びポリペプチド又はその誘導体及びバリアントに関して、適切な折り畳みは、典型的には、最適な生物学的活性をもたらし、かつ、活性、例えば、リガンド結合、酵素活性等のアッセイにより便利にモニタリングされ得る配置である。
いくつかの場合、例えば、所望の産物が合成起源である場合、生物学的活性に基づくアッセイにはさほど意味がないであろう。そのような分子の適切な折り畳みは、物理学的特性、エネルギー学的考慮、モデリング研究等に基づき決定され得る。
サイトミン系はリン酸濃度及びpHに関して恒常性であり、タンパク質合成の持続時間が有意に延長され、生物学的合成が明白な二次的エネルギー源の非存在下ですら起こり得る。その方法の一つの利点は、合成のために安価なエネルギー源を利用する能力である。もう一つの利点は、より高い収率を生ずる能力である。比較可能な反応において、サイトミン系は、約2倍以上;約3倍以上の改良された収率を提供することができ、比較が、Kim及びSwartz(2000)(前記)により記載されたようなPANOx系に基づく場合、約8倍以上であり得る。
インビトロ合成とは、本明細書において使用されるように、生物学的抽出物及び/又は画定された試薬を含む反応混合物における生物学的高分子の無細胞合成をさす。反応混合物は、高分子、例えば、DNA、mRNA等の作製のための鋳型;合成すべき高分子のためのモノマー、例えば、アミノ酸、ヌクレオチド等、並びに合成に必要な補因子、酵素、及びその他の試薬、例えば、リボソーム、tRNA、ポリメラーゼ、転写因子等を含むであろう。そのような合成反応系は、当技術分野において周知であり、文献に記載されている。無細胞合成反応は、当技術分野において既知のように、回分、連続流、又は半連続流として実施され得る。
合成のためのより天然の環境は、グルコースが、少なくとも約0.25%(重量/容量)、より一般的には少なくとも約1%;かつ一般的には約4%以下、より一般的には約2%以下の濃度で存在する、グルコース及びリン酸を含有している培地において培養された細菌細胞に由来する細胞抽出物を利用する。そのような培地の一例は、2YTPG培地であるが、画定された及び画定されていない栄養素源を使用した、大腸菌のような細菌の増殖のための適当な培地は多く発表されているため、多くの培養培地がこの目的に適合し得ることを、当業者は認識するであろう(グルコース含有培地の例に関しては、Sambrook,J.、E.F.Fritsch、及び T.Maniatis.1989.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版 Cold Spring Harbor University Press、Cold Spring Harbor、NYを参照のこと)。
反応混合物におけるもう一つの重要な変化は、ポリエチレングリコール(PEG)の実質的な欠如である。従来の反応混合物(例えば、Kim及びSwartz、2001参照)は、約2%のポリエチレングリコール8000を含有している。しかしながら、これによって収率が減損することが見出されている。本法においては、分子スペルミジン及びプトレシンがPEGの代わりに使用される。スペルミン又はスペルミジンは、少なくとも約0.5mM、一般的には少なくとも約1mM、好ましくは約1.5mM、かつ約2.5mM以下の濃度で存在する。プトレシンは、少なくとも約0.5mM、好ましくは少なくとも約1mM、好ましくは約1.5mM、かつ約2.5mM以下の濃度で存在する。
反応混合物中のマグネシウムの濃度は、合成全体に影響を与える。しばしば、細胞抽出物中にはマグネシウムが存在し、その場合には、それが濃度を最適化するために付加的なマグネシウムにより調整され得る。そのような方法において有用なマグネシウム塩の供給源は、当技術分野において既知である。本発明の一つの態様において、マグネシウムの供給源は、グルタミン酸マグネシウムである。好ましいマグネシウムの濃度は、少なくとも約5mM、一般的には少なくとも約10mM、好ましくは約12mM;かつ約20mM以下、一般的には約15mM以下の濃度である。合成を増強し得るその他の変化には、反応混合物からのHEPES緩衝液及びホスホエノールピルビル酸の除去が含まれる。
本系は、PEP、クレアチンリン酸、及びアセチルリン酸のような二次的エネルギー源、 又はグルコース、グルコース-6-リン酸、及びピルビン酸のような解糖中間体を用いないタンパク質の合成を、初めて証明するものである。さらに、それは、外因性の酵素の添加を必要としない。図1に認められるように、ピルビン酸は、必要ではないが、タンパク質合成を増強するために使用された。より効率的に細胞質条件を再生し、より生理学的に関連した条件を利用することにより、新たな系は、従来使用されている無細胞系より良好な恒常性を維持する。本系は、タンパク質合成を阻害することが既知のリン酸を蓄積しない。従来の二次的エネルギー源は、リン酸蓄積をもたらす。タンパク質合成の阻害剤の蓄積の回避に加え、本系は、反応の間、安定的なpHを維持することができる。
前述のように、本発明の組成物及び方法は、二次的エネルギー源を用いないタンパク質の作製を可能にする;しかしながら、二次的エネルギー源は、合成を補足するために添加されてもよい。特に、グルコース、グルコース-6-リン酸、フルクトース-6-リン酸、フルクトース-1,6-二リン酸、トリオースリン酸、3-ホスホグリセリン酸、2-ホスホグリセリン酸、ホスホエノールピルビル酸(PEP)、及びピルビン酸のような解糖中間体が、使用され得る。
エネルギー源として有用なその他の化合物は、還元当量を生ずるか、又は還元当量を生ずる経路を活性化する化合物である。そのような化合物には、アミノ酸、例えば、グルタミン酸、トリカルボン酸(TCA)回路の化合物、クエン酸、cis-アコニット酸、イソクエン酸、α-ケトグルタル酸、スクシニルCoA、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、及びグリオキシル酸、又は中心的な代謝(解糖及びTCA回路)へ差し向けられ得る化合物が含まれる。グルコース又はグルタミン酸のような二次的エネルギー源は、添加される場合、リン酸蓄積に関して恒常性であることが好ましい。エネルギー源は、少なくとも約10mM、少なくとも約20mM、より一般的には少なくとも約30mMの濃度で供給され得る。そのような化合物は、一般的には、約250mM超、より一般的には約150mM超の濃度では添加されない。反応時間を延長するため、付加的な量のエネルギー源が、タンパク質発現の途中で反応混合物へ添加されてもよい。
系は、好気条件及び嫌気条件の下で実行され得る。特に、15μlより大きな反応の場合には、合成収率を増加させるため、酸素が供給され得る。反応チャンバーのヘッドスペースに酸素を充填する;反応混合物に酸素を注入する;等が可能である。より長い反応時間のためには、酸素は、連続的に供給されてもよいし、又はタンパク質発現の途中で反応チャンバーのヘッドスペースに再充填されてもよい。必要とされる酵素が細胞抽出物中で活性であるよう、硝酸、硫酸、又はフマル酸のようなその他の電子受容体が、細胞抽出物の調製と併せて供給されてもよい。
酸化的リン酸化の活性化のため、外因性の補因子を添加することは必要でない。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、NAD、又はアセチル補酵素Aのような化合物は、タンパク質合成収率を補足するために使用されてもよいが、必要とはされない。ホスホエノールピルビル酸シンセターゼ(Pps)の代謝阻害剤であるシュウ酸の添加は、タンパク質収率の増加において有益であり得るが、必要ではない。
無細胞タンパク質合成のための鋳型は、mRNA又はDNAのいずれかであり得る。安定化されたmRNAの翻訳、又は転写翻訳共役(coupled transcription and translation)は、保存された情報をタンパク質へと変換する。大腸菌系において一般に利用されている共役系は、認識可能なプロモーターによりDNA鋳型からmRNAを連続的に生ずる。内因性のRNAポリメラーゼが使用されるか、又は外因性のファージRNAポリメラーゼ、典型的にはT7もしくはSP6が、反応混合物へ直接添加される。又は、mRNAは、QBレプリカーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼのための鋳型へとメッセージを挿入することにより連続的に増幅され得る。精製されたmRNAは、一般に、反応混合物へ添加される前に、化学的修飾により安定化される。ヌクレアーゼは、mRNAレベルの安定化を補助するために抽出物から除去され得る。鋳型は、任意の特定の目的の遺伝子をコードし得る。
その他の塩、特に、マンガンのような生物学的に関連したものも、添加され得る。カリウムは、一般に、少なくとも約50mM、かつ約250mM以下の濃度で存在する。アンモニウムは、一般的には200mM以下の濃度、より一般的には約100mM以下の濃度で存在し得る。一般的に、反応物は、pH5〜10及び温度約20〜50℃の範囲;より一般的には、pH6〜9及び温度約25〜40℃の範囲で維持される。これらの範囲は、特定の目的の条件のため拡大されてもよい。
望ましくない酵素活性に対する代謝阻害剤が、反応混合物へ添加されてもよい。又は、望ましくない活性を担う酵素もしくは因子が、抽出物から直接除去されてもよいし、又は、望ましくない酵素をコードする遺伝子が、不活化もしくは染色体から欠失させられてもよい。
宿主生物から精製されるか(Muller及びBlobel(1984)「インビトロにおける大腸菌の原形質膜を介した細菌タンパク質の転移(in vitro translocation of bacterial proteins across the plasma membrane of Escherichia coll)」、PNAS 81:7421-7425参照)又は合成物である小胞が、系へ添加されてもよい。これらは、タンパク質の合成及び折り畳みを増強するために使用され得る。本明細書に記載された技術は、細胞質膜(cytoplasmic membrane)成分を利用する酸化的リン酸化過程を活性化することが示されている。酸化的リン酸化の活性化のためには、呼吸鎖成分及びF1F0ATPaseを含有している反転膜小胞が存在しなければならない。本法は、無細胞反応物が、その他の膜タンパク質のセットを活性化するため;例えば、タンパク質を挿入するためもしくは転移させるため、又はその他の化合物を転移させるためにも、使用され得る。
増強されたインビトロ合成のための方法
目的の合成系には、DNAの増幅、DNA又はRNAの鋳型からのRNAの転写、RNAのポリペプチドへの翻訳、及び単糖からの複合糖質の合成を含み得る、バイオポリマーの複製のための系が含まれる。増強された合成には、系中で合成されたポリペプチドの総量又は相対量の増加;時間単位当たりに合成されたポリペプチドの総量又は相対量の増加;系中で合成された生物学的に活性なポリペプチドの総量又は相対量の増加;系中で合成された可溶性ポリペプチドの総量又は相対量の増加等が含まれる。
反応は、大規模リアクター、小規模を利用してもよいし、又は複数の同時合成を実施するために多重化されてもよい。連続反応は、試薬流を導入するために投入機構を使用し、過程の一部として最終産物を単離し得る。活発な合成のための時間を延長するため、付加的な試薬が導入され得る回分系も、重要である。リアクターは、回分、拡張型回分(extended batch)、半回分、半連続、流加、及び連続のような任意の様式で実行され得、適用目的に応じて選択されるであろう。
反応は、任意の容量であり得るが、小規模において、一般的には少なくとも約1μl、かつ約15μl以下であるか、又は規模拡大された反応において、反応容量は、少なくとも15μl、一般的には少なくとも50μl、より一般的には100μlであり、500μl、1000μl、もしくはそれ以上であってもよい。複数の反応が平行して実行されてもよいが、大部分の場合、個々の反応は約10mlを超えない。しかしながら、原則として、十分な酸素(又はその他の電子受容体)が供給される限り、反応は任意の規模で実施され得る。
特に重要であるのは、タンパク質を作製するためのmRNAの翻訳であり、その翻訳は、DNA鋳型からのmRNAのインビトロ合成と共役させられ得る。そのような無細胞系は、mRNAの翻訳に必要な因子、例えば、リボソーム、アミノ酸、tRNA、アミノアシル合成酵素、伸長因子、開始因子、リボソーム再生因子(ribosome recycling factors)を全て含有しているであろう。当技術分野において既知の無細胞系には、活性内因性mRNAを排除するため適当なヌクレアーゼにより処理され得る、大腸菌抽出物等が含まれる。
無細胞抽出物、遺伝学的鋳型、及びアミノ酸のような上記の成分に加え、タンパク質合成に特に必要とされる材料が、反応へ添加されてもよい。これらの材料には、塩、フォリン酸、サイクリックAMP、タンパク質又は核酸を分解する酵素の阻害剤、タンパク質合成の阻害剤又は制御剤、(一つ又は複数の)酸化/還元電位の調整剤、非変性性の界面活性剤、緩衝液成分、スペルミン、スペルミジン、プトレシン等が含まれる。
塩には、好ましくは、(例えば、酢酸又は硫酸の)カリウム塩、マグネシウム塩、及びアンモニウム塩が含まれる。そのような塩のうちの一つ以上は、対アニオンとしてアミノ酸を有するかもしれない。最適濃度のためのイオン種間の相互依存が存在する。これらのイオン種は、典型的には、タンパク質作製に関して最適化される。反応培地の特定の成分の濃度を変化させる際、もう一つの成分の濃度を相応じて変化させ得る。例えば、ヌクレオチド及びエネルギー源化合物のようないくつかの成分の濃度が、その他の成分の濃度の変化に応じて同時に調節され得る。また、リアクター内の成分の濃度レベルは、時間と共に変動させられ得る。酸化/還元電位の調整剤は、ジチオスレイトール、アスコルビン酸、グルタチオン、及び/又はそれらの酸化型であり得る。また、トリトン(Triton)X-100のような非変性性の界面活性剤が、約500mM以下、より一般的には約250mM以下の濃度で、場合により含まれる。
連続作動様式でタンパク質単離手段を使用する場合、リアクターからの産物出力は、膜を通ってタンパク質単離手段へと流入する。半連続作動様式においては、膜の外側又は外面が、予定された順序で周期的に変化する予定された溶液と接触させられる。これらの溶液は、アミノ酸及びヌクレオチドのような基質を含有している。この時、リアクターは、透析、透析ろ過(diafiltration)回分又は流加様式で作動させられる。投入溶液は、同じ膜又は別々の注入単位を通ってリアクターへ供給され得る。合成されたタンパク質は、リアクター内に蓄積され、次いで、システム作動の完了の後にタンパク質精製のための一般的な方法に従って単離され精製される。
試薬の流れが存在する場合、液流の方向は、膜に対して垂直かつ/又は接線方向であり得る。接線方向流は、ATPの再利用及び膜閉塞の防止のため有効であり、垂直流に重ね合わせられ得る。膜に対して垂直な流れは、陽圧ポンプ又は真空吸引ポンプにより引き起こされ得る又は達成され得る。膜の外面と接している溶液は、周期的に変化させられ得、膜に対する一定の正接流であり得る。リアクターは、適切な撹拌手段により内的又は外的に撹拌され得る。
リアクターにおけるタンパク質合成において、所望のタンパク質を選択的に単離するためのタンパク質単離手段は、抗体分子又は合成された所望のタンパク質を吸着するための成分が固定化されたその他の分子でコーティングされた粒子がパックされた単位、及び適切なサイズの孔を有する膜を含み得る。好ましくは、タンパク質単離手段は、交互に使用するための2個のカラムを含む。
翻訳反応において産生されたタンパク質の量は、様々な方式で測定され得る。一つの方法は、翻訳されている特定のタンパク質の活性を測定するアッセイの利用可能性に依存する。タンパク質活性を測定するためのアッセイの例は、ルシフェラーゼ・アッセイ系又はクロラムフェニカル(chloramphenical)アセチルトランスフェラーゼ・アッセイ系である。これらのアッセイは、翻訳反応から産生された機能的に活性なタンパク質の量を測定する。活性アッセイは、不適切なタンパク質の折り畳み又はタンパク質活性にとって必要なその他の翻訳後修飾の欠如のため不活性である全長タンパク質は測定しないであろう。
インビトロ転写翻訳共役反応において産生されたタンパク質の量を測定するもう一つの方法は、既知量の35S-メチオニン、3H-ロイシン、又は14C-ロイシンのような放射標識されたアミノ酸を使用して反応を実施し、その後、新たに翻訳されたタンパク質へ取り込まれた、放射標識されたアミノ酸の量を測定することである。取り込みアッセイは、短縮型タンパク質産物を含むインビトロ翻訳反応において産生された全てのタンパク質の中の放射標識されたアミノ酸の量を測定するであろう。放射標識されたタンパク質は、さらに、タンパク質ゲル上で分離され、オートラジオグラフィーにより、産物が適切なサイズであること、及び二次的なタンパク質産物が産生されていないことが確認され得る。
本発明は、記載された特定の方法論、プロトコル、細胞系、動物の種又は属、構築物、及び試薬に制限されず、従って、当然変動し得ることを理解されたい。また、本明細書において使用された用語法は、特定の態様を記載するためだけのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるであろう本発明の範囲を制限するものではないことを理解されたい。
他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、全て、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似しているか又は等価である任意の方法、装置、及び材料が、本発明の実施又は試行において使用され得るが、好ましい方法、装置、及び材料が、以下に記載される。
本明細書において言及された出版物は、全て、ここに記載された発明と関連して使用され得る、その出版物に記載された、例えば、細胞系、構築物、及び方法論を記載し開示する目的で、参照として本明細書に組み込まれる。上記及び本文全体に記された出版物は、本願の出願日より以前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書は、先行発明のため、本発明者らがそのような開示に先行している資格を有しないことの承認として解釈されるべきではない。
以下の実施例は、いかにして本発明を作成し使用するかの完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示され、本発明と見なされるものの範囲を制限するためのものではない。使用された数(例えば、量、温度、濃度等)に関しては、正確さを保証すべく努力がなされたが、いくつかの実験誤差及び偏差は斟酌されるべきである。他に示されない限り、部分は重量部分であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり;かつ圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
実験
実施例1
本明細書においてPANOx系(Kim及びSwartz (2001)(前記))と呼ばれる、転写翻訳共役反応のための標準反応混合物は、以下の成分を含有している:57mM HEPES-KOH(pH7.5)、1.2mM ATP、各0.85mMのGTP、UTP、及びCTP、1mM DTT、200mMグルタミン酸カリウム、80mM酢酸アンモニウム、16mM酢酸マグネシウム、34μg/mlフォリン酸、170.6μg/ml大腸菌tRNA混合物、13.3μg/mlプラスミド、100μg/ml T7 RNAポリメラーゼ、各2mMの20個の未標識アミノ酸、11μM [14C]ロイシン、2%ポリ(エチレングリコール)8000、33mM PEP、0.33mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、0.26mM補酵素A、2.7mMシュウ酸ナトリウム、及び0.24容量のS30抽出物。原核生物無細胞タンパク質合成は、Pratt,J.M.1984(転写及び翻訳:実際のアプローチ(Transciption and translation:a practical approach)Hanes,B.D.及びS.J.Higgins.編 IRL Press, New York 179〜209頁の原核生物無細胞系における転写翻訳共役(Coupled transcription-translation in prokaryotic cell-free systems))のプロトコルをわずかに修飾した変法により、大腸菌K12(株A19ΔtonAΔtnaAΔspeAΔendA met+)に由来する粗S30抽出物を使用して実施される。T7 RNAポリメラーゼは、Davanlooら1984(バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼの遺伝子のクローニング及び発現(Cloning and expression of the gene for bacteriophage T7 RNA polymerase)Proc Natl Acad Sci USA 81:2035-2039)の手法に従って、大腸菌株BL21(pAR1219)から調製された。
本発明の方法による合成のためのサイトミン環境は、以下の通りである:抽出物のための細胞は、グルコース及びリン酸を含有している2YTPG培地(Kim及びChoi)により培養される。前記のPANOx系と比べて、HEPES緩衝液が除去され、グルタミン酸カリウム濃度が130mMに低下させられ、10mMグルタミン酸アンモニウムが80mM酢酸アンモニウムの代わりに使用され、8mMグルタミン酸マグネシウムが16mM酢酸マグネシウムの代わりに使用され、2%ポリ(エチレングリコール)8000が1.5mMスペルミジン及び1mMプトレシンに交換され、T7 RNAポリメラーゼ濃度が100μg/mlに増加させられ、プラスミド濃度が13.3μg/mlに増加させられ、かつホスホエノールピルビル酸が反応物から除去される。33mMピルビン酸ナトリウムの添加は、必要ではないが、これによって系は増強され得る。各反応物中には、細胞抽出物に起因するおよそ3.3mMのマグネシウム、14.4mMのカリウム、2.4mMのTRIS、及び23.5mMの酢酸が、さらに存在した。
反応物は5〜6時間37℃でインキュベートされた。合成されたタンパク質の量は、液体シンチレーションカウンター(Beckman LS3801)を使用して、測定されたTCA不溶性放射能から推定される(Kimら1996)。可溶性タンパク質の収率は、以前に記載されたようにして決定された(Kim及びSwartz 2000)。
図1は、本発明において具現化された組成物及び方法によるクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のタンパク質作製を示す。エラーバーは、4回の別々の実験に関する標準偏差を表す。既に明記されたような新たな反応混合物に、33mMピルビン酸ナトリウムを補足するか(四角)、又はしなかった(丸)。
図2は、PANOx系に対する変化の組み合わせが、この新たな合成エンティティ(entity)の作出にとって必要であることを示す。これらのデータにおいて、マグネシウム濃度は、好ましい範囲、およそ11.3mMである。反応物がポリエチレングリコール(PEG)8000を含有していることが図中に示されていない限り、反応物は、1.5mMスペルミジン及び1mMプトレシンを含有しており、新たな系のための前記の反応混合物を使用している。2セットの3つのデータが与えられている。最初の3つの結果は、33mMピルビン酸ナトリウムにより増強されている。第2のデータのセットは、ピルビン酸ナトリウムの添加がないものである。いずれのデータ・セットにおいても、2YTPGで培養された抽出物は、2YTで培養された抽出物より有意に多くのタンパク質を産生している。さらに、このデータは、PEG8000の除去が、この新たな発明により提供される増加した収率にとって必要であることを示している。
図3は、タンパク質発現のための新たな環境に関連したマグネシウム濃度依存性を示す。最適濃度はおよそ11mMである。反応混合物の組成は、本発明の系のための前記のようなものである。全てのケースで、合成は、33mMピルビン酸ナトリウムにより増強されている。ピルビン酸を含まない新たな環境についても、類似したプロファイルが測定された。マグネシウム濃度は、標準反応混合物から2倍超低下した。標準反応混合物においてグルタミン酸マグネシウムが使用される場合、その最適値は23.3mMであり、酢酸マグネシウムが使用される場合には、19.3mMである。マグネシウム濃度の低下は、新たな環境のための第三の要件である。
無細胞反応混合物に添加される溶質に加え、抽出物への透析によっても、塩が反応物中に組み込まれ得る。特に、細胞抽出物調製のための伝統的な方法において、最終工程は、抽出物中の最終イオン組成を、10mMトリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS、氷酢酸によりpH8.2)、60mM酢酸カリウム、及び14mM酢酸マグネシウムにするための反復的な透析である。この手法が、記載された実験のため使用された。従って、外因性の塩の非存在下では、反応物は、細胞抽出物に起因する、出発濃度およそ3.3mMのマグネシウム、14.4mMのカリウム、2.4mMのTRIS、及び23.5mMの酢酸を有する。報告された濃度は、全て、細胞抽出物成分の寄与を含んでいる。
反応混合物のその他の成分は、このタンパク質発現のための新たなエンティティにおける全体的な試薬のバランスを作出するため、様々な濃度の範囲によって最適化された。その結果は、タンパク質合成の持続時間を最大6時間にまで延長し(図1)、合成反応の間のリン酸濃度(図4)及び反応物pH(図5)を安定化する新たな反応組成物である。これらの安定化された条件は、改良されたタンパク質の折り畳み及び増強された合成に寄与し得る。
この新たな系は、無細胞系における酸化的リン酸化の活性化の第一の証拠も証明した。酸化的リン酸化は、ATPの生成のため、最終電子受容体である酸素への電子の移動を共役させることにより、エネルギーを生ずる。この過程は、好気的に増殖する細胞のため、エネルギーを効率的に提供するために利用される。本発明を介したこの過程の捕捉は、インビトロでのエネルギー再生の極めて有効な方法を提供するため、無細胞の系より実質的に有利である。このエネルギー生成経路の活性化は、タンパク質作製のためのエネルギー要件に基づく実際の収率が、嫌気的エネルギー源としてピルビン酸を使用した場合に予想される最大理論収率のおよそ175%であることを了解した後に発見された。参考のため、PANOx系及び従来のPEP系のATP効率は、それぞれ、理論最大値のおよそ50%及び20%である。
いかにしてこの収率が達成されたかを理解すべく、この過程がこの新たな技術のタンパク質作製能力を部分的に担っていることを確立するため、酸化的リン酸化の阻害剤を試験した。図6は、2-ヘプチル-4-ヒドロキシキノリン-N-オキシド(HQNO)を含むか又は含まない三つの別々の条件の下での新たな系を使用したCATのタンパク質合成結果を示す。HQNOは、酸化的リン酸化の電子伝達鎖部分を阻害する。全てのケースが20μl回分反応であり、37℃で5時間インキュベートされた。回分リアクターのヘッドスペースに、酸素又は不活性ガスであるアルゴンのいずれかを充填した。酸化的リン酸化が活性である場合には、酸素が存在するケースにおいて、酸化的リン酸化の阻害剤HQNOの添加によって、タンパク質合成収率が減少するはずであると予想されよう。さらに、アルゴンが存在し、酸素が利用可能でないケースにおいては、タンパク質合成は、HQNOの添加によって影響を受けないはずである。
図6中のデータは、酸化的リン酸化が新たな環境により活性化されたという結論を支持する。ピルビン酸を含むか又は含まない新たな系を使用した合成は、酸素の存在下では、HQNO添加後に実質的に減少し、アルゴンのケースではHQNOによって影響を受けない。類似した研究を、以下の酸化的リン酸化の阻害剤を用いて実施した:2,4-ジニトロフェノール、シアニド、アジ化物、テノイルトリフルオロアセトン、及びカルボニル−シアニド−m−クロロフェニルヒドラゾン。全てのケースで、結果は、新たな系が酸化的リン酸化を活性化したという本発明者らの結論を支持する。PANOx系におけるタンパク質合成収率は、これらの同じ阻害剤によって影響を受けないことに注意することは重要である。
実施例2
より大規模な反応容量の効果
本発明の方法を使用したタンパク質合成を、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の合成のため5mlのスケールで実行した。反応は、10mlの撹拌されたガラスビーカー内で37℃で実施された。CAT発現は、14C-ロイシン取り込みから決定された。ステンレススチールワイヤの小片を、30cm長のシリコン管に通した。約15センチメートルの管(1.47mm ID、1.96mm OD)を、リアクター内部に巻き付けることにより無細胞反応混合物に浸漬した。無細胞タンパク質合成反応物におけるATPの再生のために必要な酸素を送達するため、この管を純粋なO2で加圧した。消費/分解される基質を、以下の濃度で添加した:0.5mMCTP、0.5mM UTP、1.8mM水酸化カリウム、0.5mMアスパラギン、0.5mMグルタミン、2mMシステイン、1mMセリン、10mMグルタミン酸カリウム、0.05mg/mL T7 RNAポリメラーゼ、及び0.007mg/mL pK7CATプラスミド。アミノ酸混合物は、アスパラギン、グルタミン、トレオニン、システイン、セリン、及びグルタミン酸を含有していた。それを、投入される反応物に30分毎に添加した。UTP、CTP、水酸化カリウム、T7 RNAポリメラーゼ、及び付加的な30mMのグルタミン酸カリウムを、1.2、2.7、4.2、及び6時間目に添加した。pK7CATは、1.2及び6時間目に添加した。33mMピルビン酸は2.7時間目に添加した。エラーバーは、2回の別々の実験の高低を表す。発現されたCATの全収率は、14C-ロイシン取り込みによってモニタリングされた。発現されたCATの可溶性収率は、14C-ロイシン取り込みによってモニタリングされた。CATの活性収率は、Shaw(1975)Meth Enzymol 43:737-755のプロトコルによる酵素的アッセイにより決定された(同時係属中の特許出願第60/488,264号も参照のこと)。
データは図7に示される。このグラフは、流加型作動において使用された本発明の方法による、単一反応物におけるおよそ100ナノモルの活性タンパク質の合成を証明する。従って、これらの方法は、例えば、NMR構造分析、前臨床試験及び臨床試験等にとって十分な量の、大量のタンパク質の便利かつ経済的な作製のために有用であることが示された。
実施例3
補因子の効果
サイトミン系に関して実施例1に記載されたようにして、タンパク質合成反応物をセットアップした。CATを発現させる15μl反応を6時間実施した。誤差は、4回の別々の実験からの標準偏差を表す。「x」は、その成分の存在を示す。NAD及びCoAを含む対照に対する相対的なタンパク質産生が与えられる。(NAD及びCoAを含む)対照反応物は、727μg CAT/mlを産生した。
補因子CoA及びNADの濃度を、表2に示されるように変動させた。相対タンパク質産生により立証されるように、CoAの除去には有意な効果がなかった。NADの除去によって、合成は約10%低下する。
Figure 2005536206
実施例4
組織プラスミノーゲンアクチベーターの合成
複雑なタンパク質の正確な折り畳みのための適当な条件の解明は、無細胞発現における中心的な問題である。インビトロ系は、CATのような、ジスルフィド結合を全く又はほとんど必要としないいくつかの特定のモデル・タンパク質の効率的な折り畳みに成功しているが、複雑なタンパク質の適切な折り畳みの達成は未だ難題である。本発明は、適切に折り畳まれた活性な状態で複雑なタンパク質を作製するためのより好適な環境を提供する。組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)は、複雑な哺乳動物タンパク質である。v-tPAと呼ばれるこのタンパク質の活性ドメインは、プロテアーゼ・ドメイン及び1個のクリンクル(krinkle)ドメインを含有しており、v-tPAは、9個のジスルフィド結合を含有している。
v-tPAの合成のための反応物を、実施例1に記載されたようなPANOx系及びサイトミン系の両方でセットアップした。vtPAは酸化環境を必要とするため、細胞抽出物をまず1mMヨードアセトアミド(IAM)により処理し、室温で30分間インキュベートした後、無細胞反応混合物へ添加した。さらに、これらの反応物は、75μg/ml DsbC、4mM酸化型グルタチオン(GSSG)、1mM還元型グルタチオン(GSH)を含んでいた。IAM処置は、Swartz及びKimの米国特許第6,548,276号により最初に記載された。
vtPAの活性アッセイ・プロトコルは、以下の通りである。活性アッセイは、3時間のPANOx反応又は新たな環境による6時間の反応の後、直接実行された。4℃、15000RCFで15分間、試料を遠心分離した後、10μlの上清を採取し、マイクロプレートのウェルへ添加した。その後、100μlのアッセイ試薬混合物緩衝液(9部のトリス緩衝液及び1部のChromozym t-PA溶液;トリス緩衝液:100mM pH8.5トリス-Cl緩衝液及び0.15%(w/v)トゥイーン80;Chromazym t-PA溶液:再蒸留水中の4mM Chromazym t-PA、Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)を添加し、試料と混合した。その混合物を37℃で10分間インキュベートした。405nmにおける吸光度の変化の速度を、動力学アッセイにより、マイクロプレートリーダー(SpectralMax 190,Molecular Devices,CA)で記録した。試料の濃度は、vtPA標準との比較により計算された。
PANOx系及びサイトミン系の両方により、ほぼ同量の全タンパク質が産生されたが、活性v-tPAの量は、新たな系を使用した場合、標準反応混合物と比較して2倍であった(表1)。
Figure 2005536206
実施例5
スペルミジン及びプトレシンの濃度
サイトミン系に関して実施例1に記載されたようにして、タンパク質合成反応物をセットアップした。CATを発現させる15μl反応を6時間実施した。スペルミジン及びプトレシンの濃度を、表3に示されるように変動させた。スペルミジンは、1mMプトレシンの存在下でタンパク質作製に関して最適化され、プトレシンは、1.5mMスペルミジンの存在下で最適化された。
Figure 2005536206
「1/0.97」として与えられた値は、1mM濃度のそのイオン性溶質が反応物中に添加されたこと、及びCATの最大発現の97%がその特定の濃度で達成されたことを示す。一度に一つの溶質のみを変動させた。他の全ての溶質は、新たな系に関して実施例1に記載された濃度であった。
実施例6
タンパク質合成の比較
サイトミン環境において産生されたタンパク質の量は、以前の系と比較して、実質的に改良されている。図8に示されるように、サイトミン系は、より高い全収率を与えるのみならず、可溶性タンパク質及び活性タンパク質の増加した収率も与える。
反応を6時間実施し、CAT発現を14C-ロイシン取り込み及び酵素活性アッセイから決定した。15μlの反応混合物を、各時点について異なるチューブで調製した。各時点において、1本のチューブを、発現されたタンパク質の量を決定するために犠牲にした。エラーバーは、ピルビン酸を含むPANOx系の3回の別々の実験及びサイトミン系の6回の個々の実験に関する標準偏差を表す。四角:サイトミン系;白、14C -ロイシン取り込みによりモニタリングされたような発現されたCATの全収率;灰色、14C-ロイシン取り込みによりモニタリングされたような発現されたCATの可溶性収率;黒、酵素アッセイにより決定されたようなCATの活性収率。灰色三角、エネルギー源としてピルビン酸を使用したPANOx系、14C-ロイシン取り込みによりモニタリングされたような発現されたCATの全収率。
有意な収率に加え、この新たな技術には、従来の無細胞系を超えた経済的利点がある。ATPを再生するために従来使用されている高エネルギー・リン酸化合物は、一般に、無細胞発現に関連した最も高価なコストである。サイトミン系は、ほぼ完全にこのコストを排除することができる。そのコストの数分の一における等価な又はより高いタンパク質収率のため、サイトミン系は、無細胞タンパク質合成のための極めて魅力的な方法である。
添加されるピルビン酸の非存在下及び存在下での、本発明の成分系を用いたインビトロ・タンパク質合成を描写するグラフである。添加されるピルビン酸の非存在下ですら、有意なタンパク質合成が起こる。 異なる条件の下で培養された細菌からの抽出物を比較している、タンパク質合成のレベルを描写する棒グラフである。グルコース含有培地で培養された細菌から作製された細胞抽出物、そして反応混合物中のPEGの欠如が、有意に良好な結果を提供することが分かる。 系のマグネシウム依存性。15μlの反応物が、増加する量のMgと共に6時間インキュベートされた。示されたMgの濃度は、細胞抽出物中に存在するMgを含む。CAT発現は、14C-ロイシン取り込みから決定された。エラーバーは、3〜8回の別々の実験からの標準偏差を表す。 インビトロ合成反応におけるリン酸レベルを比較するグラフである。 本法のpHレベルを維持する能力を例示するグラフである。 本発明を使用したインビトロ合成に対する酸素及び酸化的リン酸化の阻害剤HQNOの効果を描写する棒グラフである。 新たなインビトロ・タンパク質合成系による5mlスケールの流加型実験。 ピルビン酸を含むPANOx系とピルビン酸を含むサイトミン系とを比較しているCATの発現。

Claims (21)

  1. 増強された生物学的高分子のインビトロ合成のための方法であって、酸化的リン酸化が活性化される反応混合物において該生物学的高分子を合成することを含む、方法。
  2. 生物学的高分子の合成が、ポリペプチドを作製するためのmRNAの翻訳を含む、請求項1記載の方法。
  3. 合成が、DNA鋳型からのmRNAの転写も含む、請求項2記載の方法。
  4. ポリペプチドの合成が、酸化的リン酸化の非存在下での合成より少なくとも2倍高い、請求項2記載の方法。
  5. ポリペプチドの合成が、酸化的リン酸化の非存在下での合成より少なくとも3倍高い、請求項2記載の方法。
  6. 生物学的高分子の合成が回分反応として実施される、請求項1記載の方法。
  7. 生物学的高分子の合成が連続反応として実施される、請求項1記載の方法。
  8. 反応混合物がグルコース含有培地で培養された大腸菌からの抽出物を含む、請求項1記載の方法。
  9. 大腸菌が、グルコース及びリン酸を含有している培地で培養されたものである、請求項8記載の方法。
  10. 反応混合物が、約5mMから約20mMの濃度のマグネシウムを含む、請求項8記載の方法。
  11. 反応混合物がポリエチレングリコールを実質的に含まない、請求項10記載の方法。
  12. 反応混合物が、スペルミン、スペルミジン、及びプトレシンのうちの一つ以上を含む、請求項11記載の方法。
  13. 所望のポリペプチドをコードする核酸を発現させ得るポリペプチド合成機構の成分を含む生物学的抽出物を含む反応混合物におけるポリペプチドのインビトロ合成のための方法であって、その改良が、約5mMから約20mMの濃度のマグネシウムを含み、かつポリエチレングリコールを実質的に含まない、グルコース含有培地で培養された大腸菌からの抽出物を含む反応混合物を利用することを含む、方法。
  14. 酸化的リン酸化が活性化される生物学的高分子合成機構の成分を含む無細胞生物学的抽出物を含む、生物学的高分子のインビトロ合成のための反応混合物。
  15. 成分が、ポリペプチドを合成するためにmRNA鋳型を利用し得る、請求項14記載の反応混合物。
  16. 成分が、mRNAを合成するためにDNA鋳型を利用し得る、請求項14記載の反応混合物。
  17. 無細胞生物学的抽出物が、グルコース含有培地で培養された大腸菌からの抽出物を含む、請求項14記載の反応混合物。
  18. 大腸菌が、グルコース及びリン酸を含有している培地で培養されたものである、請求項17記載の反応混合物。
  19. 約5mMから約20mMの濃度のマグネシウムを含み、かつポリエチレングリコールを実質的に含まない、請求項17記載の反応混合物。
  20. 反応混合物が、スペルミン、スペルミジン、及びプトレシンのうちの一つ以上を含む、請求項19記載の反応混合物。
  21. 少なくとも1個のジスルフィド結合を含む適切に折り畳まれたポリペプチドの増強されたインビトロ合成のための方法であって、その改良が、ポリエチレングリコールを実質的に含まない反応混合物において該ポリペプチドを合成することを含む、方法。
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