JP2005534329A - モジュラーベクターを使用するプラスチド形質転換 - Google Patents

モジュラーベクターを使用するプラスチド形質転換 Download PDF

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Abstract

そのプラストムで形質転換したトランスジェニック植物又は植物細胞を産生する方法であって:(a)第1のDNA分子と第2のDNA分子を植物プラスチドへ導入すること[ここで、前記第1のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な第1領域と第1の目的配列を含有し、前記第2のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な第2領域と第2の目的配列を含有し、それによって、前記第1の目的配列の配列セグメントは、前記第2の目的配列の配列セグメントと相同になる]、及び(b)組込み配列がプラストムに安定的に組み込まれている形質転換体を選択すること[それによって、前記組込み配列は、前記第1の目的配列の少なくとも一部と前記第2の目的配列の少なくとも一部を連続配列として含有する]を含む、前記方法。

Description

本発明は、概して植物バイオテクノロジーに関し、より詳細には植物のプラスチド形質転換のための方法及びベクターに関する。具体的には、本発明は、植物プラスチドの遺伝学的形質転換の方法、その方法のためのベクター、及び本発明の方法に従って得られたか又は得ることが可能な植物又は植物細胞を提供する。
一般的に受け入れられた知識によれば、2種類の細胞小器官、即ちプラスチドとミトコンドリアは、今日の真核細胞の祖先へ別々の共生イベントにより取り込まれた、初めは独立していた原核生物に由来する(Gray、1991)。結果として、これらの細胞内小器官は、それ自身のDNA、メッセンジャーRNAの形態のDNA転写物、リボソーム、及び遺伝情報の解読に必要とされる少なくともいくつかの必要なtRNAを含有する(Marechal−Drouardら、1991)。
共生取込みの直後、これらの細胞小器官は、原核生物の生活を営むのに必要な要素をすべて含有していたので遺伝的に自律していたが、この自律性は、遺伝情報の細胞核への転移により進化の間に低下した。しかしながら、その遺伝情報は、現存の細胞小器官を遺伝子技術にとって魅力的な標的とするほどに十分複雑である。このことが特にプラスチドについて正しいのは、これら小器官が依然として植物細胞の内部でのその主たる機能である光合成に必要とされるタンパク質の約50%をコードするからである。プラスチドはまた、自らのリボソームRNA、そのtRNA及びリボソームタンパク質の大部分をコードする。プラストム中の遺伝子の数は、全部で120ほどある(Palmer、1991)。しかしながら、プラスチド中に見出されるタンパク質の大多数は、核/細胞質の遺伝子コンパートメントより移入される。
プラスチドは遺伝的に形質転換することができる
一般的な分子クローニング技術の発展に伴って、高等植物を形質転換により遺伝的に修飾することがすぐに可能になった。植物形質転換の主たる力点がこれまで核の形質転換にあり、依然としてそうであるのは、大部分の遺伝子、シロイヌナズナの場合、約26,000個は、その完全配列が最近公表されたが(シロイヌナズナ・ゲノム・イニシアチブ計画2000)、細胞の核に見出されるからである。核の形質転換を効率的に可能にするように修飾し得る、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのような生物学的ベクターが利用可能だったので、核の形質転換は達成することがより容易であった(Galvin、1998)。さらに、外来核酸にとって核がより直接的にアクセス可能であるのに対し、小器官は2層の包膜により囲まれていて、一般的に言えば、DNAのような大分子を通さない。
プラスチドを形質転換する能力がきわめて望まれるのは、きわめて高い発現レベルのトランス遺伝子の潜在可能性を担う、これら小器官中の高遺伝子量を利用し得るからである。さらに、プラスチド形質転換が魅力的であるのは、プラスチドでコードされる形質が花粉によって伝播可能ではなく、それ故に、トランスジェニック植物の野生近縁種への偶然のトランス遺伝子脱出の潜在的なリスクが概して低いからである。プラスチド形質転換の他の潜在的な利点には、多数の遺伝子をポリシストロン単位として同時発現させることの実施可能性と、核の形質転換に続いて生じ得る位置効果や遺伝子沈黙の消失が含まれる。
プラスチドの安定な形質転換を可能にする方法は、実際に、高等植物で開発することができた。今日では、2つの異なる方法が利用可能である。即ち、組織、特に、葉組織の粒子衝突法(Svabら、1990)と、好適な形質転換ベクターの存在下にプロトプラストをポリエチレングリコール(PEG)で処理すること(Koopら、1996)である。いずれの方法も、2層の包膜の通る小器官のストロマへのプラスミドDNAの移入を仲介する。
プラスチド形質転換の慣用法は、通常、スペクチノマイシン又はストレプトマイシンのような阻害剤への耐性を与えるaadA遺伝子(酵素アミノグリコシドアデニルトランスフェラーゼをコードする)(US5877402号)、又はカナマイシンへの耐性を与えるaphA−6(酵素アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼA−6をコードする)(Huangら、2002)を含有する発現カセットのような抗生物質耐性マーカーカセットのプラストムへの挿入を選択することに依存する。あるいは、完全な常在プラスチド遺伝子を選択阻害剤への耐性を与える突然変異遺伝子に置き換えることによって、選択を達成する(US5451513号)。非形質転換細胞の莫大なバックグラウンドからのトランスジェニック植物細胞の選択に必要とされるこれらの選択マーカー遺伝子は、抗生物質耐性又は除草剤耐性をコードする。選択マーカー遺伝子又は突然変異プラスチド遺伝子は、プラストム組込みを指令する相同領域が隣接する組込み領域に含まれる。従って、プラスチド形質転換体の選択は、適切な阻害剤を含有する培地で形質転換した植物材料を培養することによって達成される。これらのマーカー遺伝子は、目的遺伝子と一緒にゲノムへ安定的に組み込まれるので、それらは、目的遺伝子の機能には必要とされなくても、ホモプラストミック(homoplastomic)なトランスジェニック植物に留まることになる。これらの残存するマーカー遺伝子は、植物バイオテクノロジーへの批判の主要課題である。故に、トランスジェニック植物中に耐性遺伝子をもたらすことのない選択系の構築がきわめて望ましい(Iamtham及びDay、2000)。
慣用のプラスチド形質転換技術は、Heifetz、2000及びKoopら、1996に記載されている。プラスチド形質転換ベクターは、通常、挿入部位の2つの領域(これは、組換えられる配列を相同的組換えイベントによりプラストムへ安定導入するために必要である)に隣接する1以上の目的遺伝子を含有する(US5877402号、US5451513号)。しかしながら、2つのフランク(flank)、マーカー遺伝子、1以上の目的遺伝子、及びプロモーター、5’−UTR、3’−UTRのような調節因子又はスペーサー要素といった多数の様々な断片を含有する形質転換ベクター分子を産生するには、かなりのクローニング作業が必要となる。
形質転換ベクターのクローニングは、(少なくとも1つの)クローニングされる遺伝子がクローニングに使用する細菌に対して有毒な効果を及ぼす場合、問題になる。さらに、一連の導入トランス遺伝子を同時発現させるきわめて望ましい潜在可能性を活用することは、形質転換するプラスミドの全体サイズにより制限される。
プラスチド形質転換を達成することにおける1つの重大な問題の種は、プラストムのコピー数が多いことである。ベクターDNAのプラスチドへの移入の後で、プラストムと組み換わるのは、導入した分子の唯一のコピーか又はごく数個のコピーである。従って、はじめは、きわめてわずかな比率の組換えプラストム分子が大多数の野生型プラストム分子のバックグラウンド中に産生される(「ヘテロプラストミック状態」)。選択圧下での分離というきわめて時間を消費する方法によって、プラストムの元の野生型コピーを消失させて、組換えプラストム分子だけの存在を特徴とする「ホモプラストミックな組換え状態」を達成することが可能になる。ホモプラストミック状態を達成することは、適正な抗生物質を含有する選択培地での数サイクルの再生によって支援される。通常、ホモプラストミックな組換え状態を得るには、そのようなサイクルが3〜5回必要である。野生型プラストムの残存コピーの存在は、PCR又はサザンハイブリダイゼーションのような分子解析によってモニターすることができる。1回の再生サイクルに数週間が必要とされるので、ホモプラストミックなプラスチド形質転換体を産生するには数ヶ月を要することになる。
したがって、本発明の目的は、植物プラスチドの遺伝学的形質転換の新規で、効率的で、迅速で、きわめて多用途な方法を提供することであり、それによって遺伝的に安定したトランスジェニック植物又は植物細胞を産生することができる。
本発明の他の目的は、ホモプラストミック植物を達成するのに必要とされる再生サイクル数の有意な低下を可能にする、植物プラスチドの遺伝学的形質転換の方法を提供することである。
本発明の他の目的は、多数の目的遺伝子の発現(ポリシストロニック発現)を可能にする、植物プラスチドの遺伝学的形質転換の方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、モジュラー形式で使用可能であり、それによりクローニング作業とプラスミド分子の全体サイズを減らせるベクターを提供することである。
本発明のさらなる目的は、クローニングに使用する細菌に対して有毒な効果を及ぼす配列のクローニングを可能にするベクターを提供することである。
本発明のさらなる目的は、耐性マーカー遺伝子を最終の植物又は植物細胞に持ち込まない形質転換体の産生を可能にする方法を提供することである。
発明の一般的な説明
上記目的は、そのプラストムで形質転換したトランスジェニック植物又は植物細胞を産生する方法により達成され、前記方法は:
(a)第1のDNA分子と第2のDNA分子を植物プラスチドへ導入すること
[ここで、前記第1のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な第1領域と第1の目的配列を含有し、前記第2のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な第2領域と第2の目的配列を含有し、それによって、前記第1の目的配列の配列セグメントは、前記第2の目的配列の配列セグメントと相同になる]、及び
(b)組込み配列がプラストムに安定的に組み込まれている形質転換体を選択すること[それによって、前記組込み配列は、前記第1の目的配列の少なくとも一部と前記第2の目的配列の少なくとも一部を連続配列として含有する]
を含む。好ましい態様を従属項により明確化する。
驚くべきことに、最終のトランスプラストミック植物において連続した組込み配列を生じる、重複配列を含有する少なくとも2つのDNA分子を植物プラスチドへ導入することによって、そのプラストムで形質転換したトランスジェニック植物又は植物細胞を産生することが可能であることが見出された。本発明の方法は、慣用のプラスチド形質転換法に優るいくつかの重要な利点を特徴とする。これらの利点を以下に示す。
本発明の方法は、形質転換される植物のプラスチドへ第1のDNA分子及び第2のDNA分子を導入することを含む。ベクターとして使用されるこれらのDNA分子は、連続的に、即ち2つの別々の工程で導入しても、同時に、即ち1工程法で導入してもよい。前記2つのDNA分子を1工程法で、例えば、前記DNA分子の混合物を使用することによって導入することがより労力が少なく好ましい。前記DNA分子を導入するには、公知の形質転換法を使用してよい(以下を参照のこと)。
前記2つのDNA分子の設計は、本発明の目的にとってきわめて重要である。前記第1のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な第1領域と第1の目的配列を含有する。前記第2のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な第2領域と第2の目的配列を含有する。このように、それぞれのDNA分子には、プラストムの領域に相同な1つの領域で十分である。好ましくは、前記第1のDNA分子又は前記第2のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な唯一の領域を含有する。より好ましくは、前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子は、いずれも、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な唯一の領域を含有する。
前記相同領域は、プラストムの所望の部位への各DNA分子の取込みを指令する。第1及び第2の相同領域は、一緒に、本発明の方法によるプラストムのDNA修飾のタイプ(例えば挿入、欠失)を決定する。好ましい態様において、本発明の方法を実施する目的は、プラストム配列の欠失のようなさらなるプラストム修飾を伴わずに、組込み配列をプラストムへ導入することである。好ましくは、第1のDNA分子及び第2のDNA分子の前記相同領域はともに連続したプラストム配列に対応する。一般に、前記相同領域は、形質転換される植物種のプラストムに由来する。相同的組換えに十分な相同性が保証される限りにおいて、相同領域は他の植物種に由来してもよいが、好ましくは、近縁の植物種に由来する。
プラストム組込みのための各相同領域の長さは、組換え頻度が十分である限りにおいて、広範囲に変動してよい。各相同領域は、100bp〜5000bpの長さを有することができる。通常、相同領域の長さが減少するにつれて、組換え頻度は減少する。故に、その長さは、好ましくは少なくとも200〜300bpである。より好ましくは、その長さは、500bp〜2000bpであり、最も好ましくは500bp〜1000bpである。
前記目的配列は、プラストムへ組み込むどのヌクレオチド配列も含有してよい。典型的な例として、前記目的配列は、発現する遺伝子を含有する。前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列は、発現する遺伝子の断片をそれぞれ含有してよく、それによって前記遺伝子は、前記組込み配列において組み立てられる。本発明は、この点できわめて多用途である。しかしながら、前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列は異なることが好ましい。
前記第1の目的配列は、前記第2の目的配列の配列セグメントに相同な配列セグメントを含有する。従って、この相同セグメントは、前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列の重複領域である。この相同配列セグメントは、組込み配列がプラストムに形成されるような、前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列の組換えを可能にし、それによって、前記組込み配列は、前記第1の目的配列の少なくとも一部と前記第2の目的配列の少なくとも一部を連続配列として含有する(図5参照)。目的配列中の配列セグメントは、好ましくは、プラストム組込みを指令する前記相同領域に関して、目的配列の遠位端に位置づける。
最小の必要条件として、前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列は、前記相同配列セグメント、即ち、前記第1の目的配列と前記第2の目的配列との間の相同的組換えを可能にするのに十分相同である配列をそれぞれ含有する。好ましくは、第1の目的配列及び第2の目的配列の相同配列セグメントは同一である。
前記配列セグメントは、RNA及び/又はタンパク質の発現に関与する配列(又はその一部)であっても、それを含有してもよい。前記配列セグメントは、コード配列の転写又は翻訳の調節に関与する配列(例えば、プロモーター、5’若しくは3’非翻訳配列、リボソーム結合部位、等、又はその一部)であっても、それを含有してもよい。さらに、前記配列セグメントは、発現するタンパク質のコード配列(又はその一部)であっても、それを含有してもよい。上記の事例において、前記第1の目的配列の配列セグメントと前記第2の目的配列の配列セグメントは、前記調節配列又は前記コード配列の機能を混乱させないために、同一であることが好ましい。あるいは、前記配列セグメントは、前記組込み配列を形成するために前記第1の目的配列と前記第2の目的配列との間の組換えを可能にするという唯一の目的を有すればよく、RNA又はタンパク質の発現に関与しなくてよい。
前記配列セグメントは、典型的には、本発明に従って産生されるトランスジェニック植物又は植物細胞のトランスプラストムの一部である(図5及び6参照)。前記配列セグメントは転写単位の一部であってよく、それによって前記転写単位より形成される転写物の一部になり得る。前記配列セグメント(又はその一部)がそのような転写物において望ましくない場合(例えば、発現するタンパク質をコードするコード配列が前記配列セグメントにより中断される場合)、望ましくない部分をRNAスプライシングにより切除することができる。この場合、望ましくない部分をスプライスアウトするために、前記配列セグメントにイントロン、特にグループI又はグループIIイントロンのような自己スプライシングイントロンを含めてよい。多くの供給源からの自己スプライシングイントロンと遺伝子工学におけるその使用は当該技術分野で公知である。第1の目的配列がそのイントロンの5’部分を提供し、第2の目的配列がそのイントロンの3’部分を提供してよく、それによって、前記組込み配列が形成されるとき、機能的なイントロンを組み立てることができる。
前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列が同一であり、前記目的配列から成る組込み配列をもたらしてもよい。この限定的な事例では、それぞれの目的配列が前記相同配列セグメントから成ると考えられる。この限定的な事例は、本発明の好ましい事例ではない。好ましくは、前記第1の目的配列又は前記第2の目的配列は、前記相同配列セグメントに加えて配列を含有する。より好ましくは、前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列が前記相同配列セグメントに加えて配列をそれぞれ含有し、それによって前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列の前記追加配列は異なる。
ベクターの前記重複領域(相同配列セグメント)間の組換えは、プラストムの内側で起こり、前記組込み配列を形成することができる。前記組込み配列は、好ましくは、前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列からの配列部分を含む。前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列が目的遺伝子をそれぞれ含有する場合は、2つの目的遺伝子を含む組込み配列が形成されることができる。このように、本発明の方法は、前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列から所望の組込み配列を組み立てるために使用することができる。組込み配列の組立てを使用して、前記目的配列の1つに単独では存在しない新たな機能をプラスチドに発生させることができる。例えば、コード配列と様々な調節配列から成る目的遺伝子を、前記組込み配列において機能型へ組み立てることができる。さらに、前記第1の目的配列中の目的コード配列を、前記第2の目的配列で提供されるプロモーター又は他の調節配列と組み合わせてよい(又はその逆でもよい)。このようにして、前記コード配列の所望の発現を生じる調節配列を選択又はスクリーニングすることができる。
さらに、目的タンパク質を発現するコード配列を前記組込み配列中に組み立ててよく、それによって前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列(そして随意に、さらなるベクター由来のさらなる目的配列)は、前記コード配列の一部を前記組込み配列へそれぞれ提供する。発現するタンパク質のメッセンジャーRNAレベルでの正確なリーディングフレームを達成するために自己スプライシングイントロンを使用する場合がある。
本発明の方法は、前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子に加えて、1以上の追加DNA分子を前記植物プラスチドへ導入することを含んでもよい。前記追加DNA分子は、追加の目的配列を含む。第3のDNA分子を導入する場合は、前記第3のDNA分子は、好ましくは、前記第1の目的配列の配列セグメントに相同な配列セグメントと前記第2の目的配列に相同な配列セグメントを含有する。前記第3のDNA分子は、プラストム組込みのための相同領域を有さないことが好ましい。
形質転換後、所望の組込み配列を含有する形質転換体を選択する。選択は、典型的には、マーカー遺伝子により形質転換体がそれに対して耐性である阻害剤又は抗生物質によって支援される。選択は、形質転換された区分と形質転換されていない区分の分離(例えば葉の上で)を可能にすることをさらに含んでもよい。形質転換体又は形質転換された区分は、分子解析、例えばPCR及びサザンブロッティングによって同定することができる。さらに、形質転換体又は形質転換された区分は、表現型により、例えばトランス遺伝子の発現により同定することができる。トランス遺伝子は、例えば、ウェスタンブロッティングにより、特徴的な酵素活性により、又は光学特性、特に蛍光特性といった別の特徴的な性質により検出することができる。
形質転換体を選択するためのマーカー遺伝子は、前記第1の目的配列又は前記第2の目的配列とともにプラストムへ導入することができる。
上記のように、前記第1の目的配列が前記組込み配列へマーカー遺伝子の断片を提供し、前記第2の目的配列が前記マーカー遺伝子の別の断片を提供する場合があり、それによって、前記断片を前記組込み配列において機能的なマーカー遺伝子へ組み合わせる。好ましくは、前記第1の目的配列がマーカー遺伝子の5’部分を含有し、前記第2の目的配列が前記マーカー遺伝子の3’部分を含有する。従って、前記組込み配列は、前記マーカー遺伝子を、それが発現し得るように含有することができる。この態様は、両方のベクターの組込みの選択と前記組込み配列を形成する組換えを可能にする。
選択可能マーカーを含まないトランスジェニック植物又は植物細胞は、Iamtham及びDay(Nature Biotechnol.(2000)18、1172−1176)に記載されるのと同様に、組込み配列中の選択可能マーカー遺伝子が互いに相同な配列因子に隣接されてマーカー遺伝子の相同的組換えによる切除が可能となるように、前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子の前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列をそれぞれ設計することによって本発明の方法において入手することができる。この態様において、前記第1の目的配列は、前記マーカー遺伝子の5’部分の上流に、第2の目的配列上の前記マーカー遺伝子の3’部分の下流に位置する配列因子に相同な配列因子を含有してよく、それによって前記配列因子は、前記マーカー遺伝子の前記5’部分及び/又は前記3’部分を含む前記組込み配列の一部を相同的組換えにより切除することが可能になる。マーカー遺伝子の切除には、典型的には、前記マーカー遺伝子がそれに対して耐性を提供する選択圧の解除が必要となる。
前記第1の目的配列及び前記第2の目的配列は、それぞれ完全なマーカー遺伝子を含有してもよい。しかしながら、好ましくは、前記第1の目的配列は、前記マーカー遺伝子の前記5’部分を含有し、前記第2の目的配列は前記マーカー遺伝子の前記3’部分を含有してよく、それによって、前記5’部分も前記3’部分もそれぞれ前記3’部分又は前記5’部分の非存在下では耐性を与えることが可能でない。例えば、前記5’部分は、前記マーカー遺伝子のプロモーター、5’−非翻訳配列、及びコード配列であり得る。前記3’部分は、前記マーカー遺伝子のコード配列、及び3’−非翻訳配列であり得る。
本発明は、マーカーを含まないトランスプラストミック植物の産生を可能にするさらなる態様を提供する。このことは、前記DNA分子の1つにおいて、プラストムの領域に相同な前記領域と前記目的配列から成る配列単位の外側に選択可能マーカー遺伝子を含むことによって達成することができる。マーカー遺伝子のそのようなポジショニングにより、生じる組換えイベントの経過において前記マーカー遺伝子の欠失が可能になる。選択可能マーカー遺伝子は、記載の形式で前記第1のDNA分子又は前記第2のDNA分子に含まれても、前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子に含まれてもよい。選択可能マーカー遺伝子が前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子に含まれる場合、これらの選択可能マーカー遺伝子は、同じであっても、異なる選択可能マーカー遺伝子であってもよい。前記マーカー遺伝子の前記配列単位の外側でのポジショニングは、本発明において想定される組換えイベントの経過において、マーカー遺伝子のプラストムからの切除をもたらし、鋭敏なマーカーを含まないトランスプラストミック植物を作製する。当業者には、使用するマーカー遺伝子への阻害剤又は抗生物質が工程(b)の選択においてほんの一過的に適用されることが明らかである。後の段階で、抗生物質を培地から除外し、ベクター組込みの間に産生された複製配列により仲介される相同的組換えイベントによるマーカー遺伝子の欠失を可能にする。
マーカーを含まないトランスプラストミック植物を産生する方法の特定の態様において、選択可能マーカー遺伝子を第1断片及び第2断片へ分断して、それによって前記第1断片を第1配列単位の外側で前記第1のDNA分子に取り込み、そして前記第2断片を第2配列単位の外側で前記第2のDNA分子に取り込む。前記第1配列単位は、前記第1相同領域と前記第1の目的配列から成る。前記第2配列単位は、前記第2相同領域と前記第2の目的配列から成る。
本発明の方法は、すべての植物に適用することができる。好ましくは、それは多細胞植物へ適用される。最も好ましくは、本発明の方法は、農作物へ適用される。農作物の例は定義に示す。
さらに本発明は、本明細書に定義されるような第1のDNA分子及び第2のDNA分子を含む部品キットを提供する。さらに本発明は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な1つの領域と目的配列を含有する、プラスチド形質転換のためのDNA分子を提供する。さらに、本明細書に定義されるようなDNA分子のライブラリーが提供され、それによって前記DNA分子のそれぞれが異なる目的配列を含有する。そのようなライブラリーは、目的DNA配列の混合物を、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な領域を含有するベクターへクローニングすることによって創出することができる。このライブラリーは、細菌(例えば大腸菌)又は植物細胞のような細胞へこのDNA分子を形質転換することによって維持することができる。また、前記部品キットの前記DNA分子又は本発明のDNA分子で形質転換される植物又は植物細胞が提供される。本発明はまた、本発明の方法により入手されるか又は入手可能な植物細胞及び植物に関する。
本発明の方法の利点
本明細書に記載の方法は、遺伝子若しくは調節配列のような目的配列を導入すること、又は点突然変異、挿入又は欠失のような突然変異をプラストムへ導入することに適用することができる。
本発明の方法は、トランスプラストミック植物の産生を可能にし、それによって、先行技術の方法より少ない再生サイクルの後でホモプラストミック状態に達することができる。特別な態様に依存して、ホモプラストミック植物は、0〜4回の再生サイクルの後で、好ましくは2回のサイクルの後で、より好ましくは1回の再生サイクルの後で達成することができる。特定の態様において、ホモプラストミック状態は、1次形質転換体において再生サイクルなしに達成される。このように、本発明の方法は、ホモプラストミックなトランスプラストミック植物を達成するのに必要とされる時間の大幅な短縮を可能にする。この驚くべき効率改善の理由は今もって明らかではない。慣用のプラスチド形質転換に比較して、本明細書に記載の方法がより速いのは、ホモプラストミック植物を得るのにより少ない工程しか必要でないためである。
本方法は、慣用のプラスチド形質転換ベクターの場合よりクローニングが単純である、より小さな形質転換ベクターの使用を可能にする。
本方法は、重複配列がある無制限数の形質転換ベクターを使用し得るので、導入すべき配列の数又はサイズに関するどんな制限からもプラスチド形質転換を解放する。
本方法は、有毒な配列のそれぞれが、それらがあるタンパク質配列に発現されたとしても、別々では有毒になり得ないやり方で2つの異なるベクター分子へクローニングされ得るので、クローニングに使用する細菌にとって有毒な配列によって課されるどんな制限からもプラスチド形質転換を解放する。
さらに、本明細書に記載の方法は、コンビナトリアルベクターライブラリーの使用を可能にし、それによってライブラリーのベクターは、様々な目的配列を含有する。
本方法は、形質転換体を産生するために適用することができ、それによって最終植物は、いかなる耐性マーカー遺伝子も保有しない。
この新規方法の上記側面のいずれも慣用のプラスチド形質転換に比較して実質的な利点を提供する。まとめると、本発明の方法及びベクターは、速度、使用可能性及び融通性のいずれでもプラスチド形質転換全般に対する多大な進歩を構成する。
諸定義
3’−UTR:(→)コード領域の下流にある、転写されるが翻訳されない(→)遺伝子の領域;
5’−UTR:(→)コード領域の上流にある、転写されるが翻訳されない(→)遺伝子の領域;(→)プラスチド(→)遺伝子において、5’−UTRは、その3’端の近傍に翻訳開始のための配列情報(リボソーム結合部位、(→)RBS)を含有する。
aadA:細菌アミノグリコシド・アデニル・トランスフェラーゼの(→)コード領域、抗生物質の(→)選択阻害剤、スペクチノマイシン及び/又はストレプトマイシンを解毒化する、頻繁に使用されるタンパク質である;
aphA−6:細菌アミノグリコシド・ホスホトランスフェラーゼA−6の(→)コード領域、抗生物質の(→)選択阻害剤:カナマイシンを解毒化するタンパク質である;
葉緑体:葉緑素を含有する(→)プラスチド;
コード領域:a)ポリペプチドのアミノ酸配列、又はb)機能性RNAのヌクレオチドについての情報を含有するヌクレオチド配列;コード領域は、1以上の(→)イントロンにより随意に中断される;
フランク、フランキング領域:慣用の(→)プラスチド(→)形質転換(→)ベクター中のインサートの5’端及び3’端のDNA配列であり、フランク間の配列の2重逆位(→)相同的組換えによる標的(→)プラストムへの組込みを仲介する。同じ機序により、種々の配列を修飾するか又は、標的(→)プラストムより除去することができる。このように、(→)プラスチド(→)形質転換(→)ベクターのフランクにより、標的(→)プラストム中の変化が(→)形質転換によりどこで産生されるかが決定される;
遺伝子発現:配列情報を機能へ変換するプロセス;ポリペプチドをコードする(→)遺伝子では、遺伝子発現は、RNAポリメラーゼ活性を始動して指令する(→)プロモーター活性を必要とし、それがメッセンジャーRNAの形成をもたらし、続いて、ポリペプチドへ翻訳される;RNAをコードする(→)遺伝子では、(→)プロモーター仲介性のRNAポリメラーゼの活性により、コードされたRNAが産生される;
遺伝子:機能、例えば発現を独立して確保するのに必要とされるすべての要素をコードするヌクレオチド配列;遺伝子は、少なくとも1つの完全な(→)コード領域を含有する(→)オペロンにおいて組織され;ポリペプチドをコードする(→)遺伝子では、これらの要素は:(1)(→)プロモーター、(2)5’非翻訳領域((→)5’−UTR)、(3)完全な(→)コード領域、(4)3’非翻訳領域((→)3’−UTR)であり;RNAをコードする(→)遺伝子では:(→)5’−UTRと(→)3’−UTRが欠落し;1より多い(→)コード領域から成る(→)オペロンでは、2つの続いた完全な(→)(→)コード領域が(→)スペーサーにより分離されて、(→)プロモーター、(→)5’−UTR、及び(→)3’−UTRの要素は、その(→)オペロンの(→)コード領域により共有され;遺伝子の断片は、遺伝子の上記に列挙した要素の少なくとも1つを完全に又は一部失っている;
目的遺伝子:修飾されるか又は新たに導入される配列:(→)形質転換の試みの目的;
ゲノム:細胞の核又は細胞小器官の完全なDNA配列;
GFP:グリーン蛍光タンパク質
相同的組換え:(→)ゲノム中の標的部位に対して十分な配列相同性のある1以上の(→)フランクの存在により、配列の交換、挿入又は欠失をもたらす方法;
イントロン:(→)コード領域を中断する配列
オペロン:プロモーターを共有するいくつかの(→)遺伝子の組織構造;
植物:その(それらの)細胞中に(→)プラスチドを含有する生物;本発明は、特に、多細胞(→)植物に関する;これらには、裸子植物(マツ、トウヒ及びモミ等のような)と被子植物(単子葉類作物のトウモロコシ、小麦、大麦、コメ、ライ麦、ライコムギ、サトウモロコシ、サトウキビ、アスパラガス、ニンニク、ヤシの木等と非作物の単子葉類、そして双子葉類作物のタバコ、ジャガイモ、トマト、ナタネ、サトウダイコン、カボチャ、キュウリ、メロン、コショウ、柑橘類、ナス、ブドウ、ヒマワリ、ダイズ、アルファルファ、ワタ等と非作物の双子葉類のような)の群、並びにシダ、苔綱コケ、蘚綱コケ、及び多細胞の緑藻、紅藻及び褐藻が含まれる;
プラスチド:それ自身の遺伝機構のある、(→)植物細胞中の小器官であり、機能的及び形態学的に様々な異なる形態で存在する。例えば、アミロプラスト、(→)葉緑体、有色体、黄色体、老化体(gerontoplasts)、白色体、原色素体等;
プラストム:(→)プラスチドの完全なDNA配列;
プロモーター:転写の開始及び調節に機能するヌクレオチド配列;
RBS、リボソーム結合部位:(→)コード領域の(→)翻訳開始コドンの上流にあるDNA配列因子であり、リボソーム結合と各RNA転写物からの翻訳開始を仲介する;RBS要素は、(→)5’−UTR又は(→)スペーサーのいずれかの部分である;
選択阻害剤:形質転換されていない細胞又は小器官の増殖及び発達を、形質転換されたものより強く抑制する化学化合物;
目的配列:修飾されるか又は新たに導入されるあらゆる長さの配列:(→)形質転換の試みの目的;配列の導入が企図されていない場合、目的配列の長さは0であってよく、即ち、目的配列を有さないことが目的になり得る。本発明において、ベクターとして使用するDNA分子の目的配列は、ベクターとして使用する他のDNA分子の配列セグメントに相同な少なくとも1つの配列セグメントを有する;
形質転換ベクター:(→)ゲノムの(→)形質転換を仲介するために産生した、クローニングされたDNA分子;
形質転換:少なくとも1つの(→)形質転換ベクターの使用が含まれる、(→)植物又は植物細胞の処理によりDNA配列の導入、切除又は修飾をもたらす方法;
トランス遺伝子:ある(→)ゲノムに由来して、他のゲノムへ導入されるDNA配列;
uidA:頻繁に使用されるレポータータンパク質である、細菌β−グルクロニダーゼの(→)コード領域。
詳細な説明と好ましい態様
慣用のプラスチド形質転換ベクターを使用するとき、ホモプラストミック形質転換体を達成するには多数の再生サイクルが必要とされる
慣用のプラスチド形質転換ベクターは、通常組込み配列を含有し、野生型植物には存在しない、選択可能マーカー遺伝子、1以上の目的遺伝子、並びにプロモーター、5’−UTR、3’−UTR又はスペーサー要素のような調節因子を含有する。このベクターにおいて、組込み配列には、標的化プラストムに相同であり、それによりプラストム組込みの位置を指令する2つの配列が隣接する。組込み領域の標的プラストムへの挿入は、2重逆位相同的組換えイベントにより達成される。簡略モデルは、各フランクで1つのイベントという2つの相同的組換えイベントを介して組込みが起こることを示唆する(図1)。しかしながら、実際の分子プロセスはモニターすることが困難で、種々の中間体が関与してより複雑であるかもしれない。我々の研究室で得た実験データは、2つのフランクの1つにより仲介される第1の組換えイベントが形質転換ベクター全体の組込みをもたらし、それによりフランキング配列が重複することを示唆する(図2)。実際、環状プラスミドベクター全体の組込みをPCRとサザンハイブリダイゼーション解析により証明することができた(図3)。異なる時点で、第2の組換えイベントは、第1の組込みの逆転を引き起こすこともある。あるいは、2つの他の重複フランキング配列間の第2の組換えが、プラスミド骨格と重複断片の切除を引き起こし、組込み配列をプラストム中に残す(図2)。
慣用のプラスチド形質転換ベクターを使用すると、5サイクルまでの再生が必要なため、ホモプラストミックなプラスチド形質転換体を達成するのに数ヶ月かかる。ヘテロプラストミック細胞を分離によりホモプラストミック細胞へ転換するには、相当数の細胞産生が必要となる。プラストムの所望の配置への分離は、選択条件を適用することによって推進される。
本発明のベクターは、1以下の相同領域を含有する
慣用のプラスチド形質転換法とは対照的に、本発明は、少なくとも2つの異なるタイプのDNA分子(例えば形質転換ベクター)を、好ましくは同時に、プラスチドへ導入する、トランスプラストミック植物又は植物細胞を産生する方法を開示する。プラストム組込みを指令するには、前記ベクターのそれぞれについて1つの相同領域で十分であり、好ましくは、各ベクターは、プラストム組込みを指令する1以下の相同領域を含有する。さらに、各ベクターは、好ましくは野生型植物に存在しない目的配列を含有する。前記ベクターの目的配列は、入手されるトランスプラストミック植物において組込み配列をもたらすであろう。
組込み配列は、マーカー遺伝子や他の目的配列のような外来遺伝子を含有してよい。マーカー遺伝子は、aphA−6のような抗生物質耐性遺伝子やbarのような除草剤耐性遺伝子といった阻害剤への耐性を与えるいかなる遺伝子でも、GFPのような可視マーカー遺伝子でもよい。
他の目的配列の例は、プロインスリン、インターフェロン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長因子、ワクチンとして作用するペプチド(B型肝炎に対するワクチンのような)のような有用なタンパク質をコードするか又は発現することが可能なあらゆる遺伝子、又はテクニカル酵素の遺伝子である。しかしながら、産生される組込み配列は、例えば特定の突然変異体を産生するために、プラスチド配列の欠失したものであってもよい。
本発明の方法において、プラストムの組込み部位を規定する相同領域をそれぞれ含有する、少なくとも2つのDNA分子(例えばベクター)をプラスチド中へ放出する。好ましくは、前記第1のDNA分子又は前記第2のDNA分子は、プラストム組込みを指令する1より多い相同領域を有さない。より好ましくは、前記第1のDNA分子も前記第2のDNA分子も、プラストム組込みを指令する1より多い相同領域を有さない。このことは、プロモーターや調節因子のようなプラストム配列や他のプラスチド配列に相同性を有する要素の目的配列における使用を排除しない。プラスチド配列に相同なそのような要素を目的配列において使用する場合、それらは、原理的にはプラストム組込み配列としても作用し、望ましくない組込みイベントをもたらすかもしれない。例えば、それらが安定な形質転換体も、利用する選択可能マーカーにより選択され得る形質転換体ももたらさない場合、そのような望ましくない組込みイベントは、多くの場合、さほど問題ではないかもしれない。さらに、望ましくない形質転換体は、例えば組込み配列の分子解析によって検出することができる。
プラスチド配列に相同な要素は、プラストム組込みのための相同配列より有意に短いことが好ましい。この基準により、前記相同要素では、前記相同領域より有意に低い組換え頻度が達成される。あるいは、プラスチド配列に相同なそのような要素は、望ましくない組換えイベントを妨げるために、DNA分子の所望の組込み部位からかなり離れて位置するプラストム配列より取ることが好ましい。
この少なくとも2つの異なるベクター分子は、同時に、又は2以上の異なる形質転換工程で放出する。少なくとも2つのタイプの分子を同時に形質転換することは、同時形質転換と呼ばれている。少なくとも2つのベクター分子の同時形質転換の後で、所望のプラストム修飾のあるプラスチドを含有する第1の再生物は、適用する形質転換法に依存して、適切な選択及び培養条件下で約3週間の培養後に出現する。同時形質転換の方法は、プラスチド形質転換体の産生に適しているどの形質転換法でも使用してよい。好適なプラスチド形質転換法の例は、微粒子銃形質転換、PEG仲介性形質転換、化学薬品を使用する他のトランスフェクション法、又は核酸の電場仲介性トランスフェクションである。
あるいは、少なくとも2つのベクター分子を別々の形質転換工程で適用してよい。少なくとも2つの形質転換工程による連続形質転換は、同時形質転換の間に観測されるのと同じ組込み結果をもたらす。
前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子に加えて第3のベクターを使用する場合、ベクターの目的配列が組換えに十分な重複領域を含有する限り、第3のベクターは、標的プラストムに由来する相同配列を含有する必要はない。同じことは、3つより多いベクターを使用する場合も当てはまる。
マーカー遺伝子の断片を異なるベクター上に位置づけてよく、それによってマーカー遺伝子は、組換えプロセスにより組み立てられる。
本発明のベクターは、ホモプラストミック植物の産生をごく短時間で可能にする
驚くべきことに、本明細書に記載の方法を使用すると、わずか2サイクルの再生後でホモプラストミックなプラスチド形質転換体を回収することが可能であることがわかった。好ましくは、1回の再生サイクルでも十分である。多くの場合、植物組織又は植物細胞を形質転換した後に回収した再生物は、再生サイクルを実施せずとも、ホモプラストミックである。慣用のプラスチド形質転換ベクターとは対照的に、わずか数週間というごく短期間の後でホモプラストミック植物を得ることが可能である。故に、本明細書に記載の本発明は、莫大なプロセスの加速化と組織培養に必要とされる作業の劇的な軽減を提供する。
ホモプラストミック形質転換体は、いかなる野生型プラストムも含有しない。野生型プラストムの存在は、サザンハイブリダイゼーションやPCR解析のような方法によってモニターすることができる。植物組織又は細胞の形質転換後に出現する1次再生物より回収したトランスプラストミック植物材料において定型的なサザン解析を実施して、組換えプラストムを同定し、残る野生型プラストムを検出した。これら1次再生物由来の解析材料の40%は、残存する野生型プラストムを少しも含有しない。慣用の形質転換ベクターを使用すれば5回までのサイクルの継代培養が必要とされるのに対し、わずか1工程の継代培養で他の再生物より野生型プラストムを消失させることができた。
本発明による外来配列の導入についての仮説機序を図4に記載する。このモデルによれば、相同領域を含有する2つのベクター分子のうち1つがそれぞれのプラストム配列と組み換わる。この相同的組換えイベントは、プラスミド骨格が含まれるベクター全体の組込みをもたらす。それは、相同領域の重複ももたらす。このプロセスは可逆的であり、このプロセスが別の組込みイベントにより安定化されていなければ、重複した相同領域により仲介される相同的組換えによる組換え配列の切除をもたらす。発現され得る選択可能マーカー遺伝子を組込み配列が含有する場合、このベクターは、選択圧がかかっていれば、組み込まれた状態でいる傾向がある。選択圧の非存在時には、1つの組込みベクターを有するプラストムは、きわめて不安定である。しかしながら、第2の組換えイベントは、少なくとも1つの他の分子の組込みをもたらす場合がある。この他の分子が別の相同領域を含有する場合、プラストムのそれぞれの相同領域との組換えが起こり得る。あるいは、ベクター骨格のような他の反復配列やこの分子の重複領域によって組換えが仲介されることもあり得る。第2の組換えイベントは、遊離の第1のベクターと組み込まれた第2ベクターとの間で起きても(図4に示す)、遊離の第2ベクターと組み込まれた第1ベクターとの間で起きても(図4に示していない)、組み込まれた第1ベクターと異なるプラストム分子上に位置する組み込まれた第2ベクターとの間で起きてもよい(図4に示していない)。相同プラスチド領域を含有しないベクター分子は、他の反復配列とのみ組み換わることができる。いずれの場合でも、第2ベクター分子全体の組換えが出現するであろう。2つより多いベクター分子を使用する場合、すべての分子が相同領域の1つにより組み込まれる。異なる分子のプラストムへの組込みの後で、反復配列のいずれの間でも多大な系列の2次分子内組換えが可能になる。結果として、すべての反復領域が消失するだろう。上記の様々な組換えイベントの最終結果は、組込み配列と呼ばれる連続した組換え領域の産生である。
本発明のベクターは、コンビナトリアルアプローチにおいて使用することができる
プラスチドにおける発現は、植物における栄養組成物の改変から医薬品の高レベル発現に及ぶ広範囲の様々な目的に有用である。その目的のためには、強度や発現様式において異なる相互交換可能なプロモーターと調節因子のセットを入手することが必要である。このことにより、様々な目的(弱い、強い、構成的、又は調節された発現、等)のために発現ベクターを構築することが可能になる。その要素は、発現レベルを改変するために相互交換可能であるべきである。多くの事例において、様々な遺伝子由来のプロモーター、5’−UTR及び3’−UTRを使用することが好ましいのは、挿入された遺伝子が同一の5’−UTR及び3’−UTRを介して内因性遺伝子と交換される内部の組換えが排除されるからである。一方、5’−UTR及び3’−UTRは、時々相互作用して、一緒に翻訳活性を決定する。故に、特別な組合せの効果を推定することは、必ずしも可能ではない。5’調節因子又は3’調節因子のみを含有する本発明のモジュラーベクターは、様々な調節因子を組み合わせる容易で迅速な方法を可能にし、組込み配列において所望の発現カセットを産生する。様々な要素のあるベクターは、ライブラリー中に保存して随意に組み合わせることができる。さらに、様々な要素の最適な組合せが知られていない場合、様々なベクター上の様々な調節因子の混合物を形質転換に使用してよい。次いで、所望の特性のある形質転換体の選択と、それに続く随意の分子解析により、所望の特性のある発現カセットを入手する。
本発明のベクターにより、過剰なクローニング作業が回避される
慣用のプラスチド形質転換ベクターは、通常、形質転換体の選択に必要とされる選択可能マーカー遺伝子、1以上の目的遺伝子、及びプロモーター、5’−UTR、3’−UTR又はスペーサー要素のような調節因子を含有する。多くの異なる要素から成るこれらのきわめて複雑なプラスミドを産生するには、実質的な努力を必要とする。しかしながら、異なる形質転換ベクターでは、多くの同一の要素を使用する。本発明の方法を使用して、相同領域、選択マーカー遺伝子及び調節因子のようなこれらの同一要素を1つの分子に含有するベクターを構築することが可能である。この少なくとも1つの他の形質転換ベクターは、プラストムへ導入される様々な目的配列を担う。第1のベクター分子を所望の配列のいずれかを含有する他の適切なベクターと組み合わせることによって、プラスミドの複雑性と、結果的にこれらの分子を構築するための努力が軽減される。
本発明のベクターは、慣用のプラスチド形質転換ベクターより小さいので、より多くの目的配列の挿入を可能にする
形質転換ベクターの構築は、挿入サイズの限界によりしばしば制限される。慣用のプラスチド形質転換ベクターは、通常、2つの相同領域、選択可能マーカー、及び調節因子を含有する。それ故、ごく限定された数の追加配列しか導入し得ない。しかしながら、プラスチドにおいて複雑な代謝経路を操作することが望ましい場合があり、それはいくつかの異なる酵素の発現に依存する。本発明のベクターは、慣用のベクターよりも必須配列の含有が少ないため、より長い目的配列を挿入することが可能である。さらに、ずっと大きな組込み配列を導入してプラスチド中で組み立てるためには、重複領域のある2つより多い形質転換ベクターを使用してもよい。
本発明のベクターにより、クローニングに使用する細菌に対するある配列の有毒作用に由来する問題が回避される
遺伝子工学は、莫大な数の有機物質を産生するための自己増殖可能な工場として植物の潜在能力を使用することができる。酵素、診断薬又は治療薬のような物質の植物における経済的で環境に優しい生産が可能であることが示されている。
しかしながら、ある場合には、植物へ導入する遺伝子がクローニングに使用する細菌に対して有毒作用を及ぼすことがある。これらの場合、形質転換ベクターの構築は制限される。細菌に有毒作用を及ぼす配列の例は、B型肝炎ウイルスの表面抗原をコードするHbsAg遺伝子である。この遺伝子の植物プラスチドにおける発現は、例えば肝炎に対するワクチンの供給源になり得るため、望ましいであろう。しかしながら、慣用の形質転換ベクターにおいて使用する調節因子が含まれる全長遺伝子のクローニングは、プラスチドの調節因子が細菌中でも活性であるため、制限される。本発明のベクターを使用すると、このベクターのいずれも単独では発現可能なカセットを含有しないやり方で、HbsAgのような遺伝子の全発現カセットを2つの分子間に分断することが可能である。このアプローチを使用すると、細菌に有毒な遺伝子の制限効果が克服される。
本発明のベクターは、耐性マーカーを含まない植物の産生を可能にする
耐性マーカー遺伝子を欠くプラスチド形質転換体を入手する方法は、マーカー遺伝子の環境への望ましくない拡散を防ぐために、きわめて望ましい。慣用のプラスチド形質転換ベクターは、通常、形質転換体の選択に必要である好適な耐性マーカー遺伝子を含有する。この耐性マーカーは形質転換ベクターの組込み配列に位置しており、この耐性遺伝子の最終植物における安定したプラストム組込みをもたらす。
本発明に記載の方法及びベクターを使用して、そのような耐性マーカー遺伝子を、相同領域と目的配列から成る配列単位の外側に配置することが可能である。形質転換後、完全な形質転換ベクターの組込みが起こり(図2)、それにより選択マーカーのプラストムへの一過的な挿入がもたらされる。この組換えイベントは、相同領域の重複を引き起こす。形質転換された細胞を、適切な阻害剤を含有する培地でその段階の間に選択することができる。植物材料を阻害剤のない培地へ移したらすぐに、完全なベクター組込みを維持するための選択圧を解除する。先に産生した重複相同領域により仲介されるさらなる組換えイベント(図4に記載するような)は、選択マーカー遺伝子の切除をもたらす。その結果として、最終植物は、形質転換体の選択に使用した耐性マーカー遺伝子をもたない。
耐性マーカー遺伝子は、それぞれが異なるベクターに位置する2以上の重複断片へ分断してもよく、それによって耐性は、その断片が完全な発現可能マーカー遺伝子へ組み換わる場合にのみ仲介される。
本発明のいくつかの態様において、イントロンスプライシングを1次転写物のプロセシングに使用して、例えば目的タンパク質を正確に翻訳するために、所望の2次転写物を得ることができる。この目的のために、イントロンの5’部分を前記第1の目的配列に含め、イントロンの3’部分を前記第2の目的配列に含めてよく(又はその逆でもよい)、それによって前記組込み配列の形成とプラスチド中での転写の際に、機能性イントロンが形成される。前記5’イントロン部分及び前記3’イントロン部分は、天然のイントロンでもその誘導体に由来してもよい。グループIイントロン及びグループIIイントロンのような自己スプライシングイントロンは、プレmRNAより自らスプライスアウトする能力を有する。グループIイントロンもグループIIイントロンも人工の系においてスプライスする(トランススプライシングが含まれる)ことが可能である(Beenら、1986、Cell、47、207−216;Jacquierら、1986、Science、234、1099−1194;Jarrellら、1988、Mol.Cell Biol.8、2361−2366)。また、トランススプライシングは、グループIIイントロンでは葉緑体のスプリット遺伝子において(Kohchiら、1988、Nucl.Acids Res.、16、10025−10036)、グループIイントロンでは大腸菌の人工スプリット遺伝子において(Galloway−Salvoら、1990、J.Mol.Biol.、211、537−549)見出された。グループIイントロンは、テトラヒメナ好熱菌のrRNAにおいて初めて発見された(Cech、T.R.、1990、Annu.Rev.Biochem.、59、543−568)。それらは、切断部位の5’近傍の標的配列にUを必要とし、切断部位の5’側で4〜6ヌクレオチドと結合する。今日まで、このグループには75を超えるメンバーが知られている。それらはまた、真菌及び植物のミトコンドリア(Richard&Dujon、1997、Curr.Genet.、32、175−181;Choら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95、14244−14249)、葉緑体(Turmelら、1993、J.Mol.Biol.232、446−46)、T4ファージ(Gallowayら、1990、J.Mol.Biol.、211、537−549)、藍藻類、及び他の生物にも見出された。グループIテトラヒメナイントロン(US6,015,794号;Ayreら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96、3507−3512)又はグループIIイントロン仲介性のトランススプライシング(Mikheeva&Jarrell、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93、7486−7490;US5,498,531号)を基に操作したリボザイムを本発明に使用することができる。
本発明の好ましい態様を以下に詳しく記載する。
態様1:2つのベクターの同時形質転換
モジュラーベクターと呼ぶ前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子でプラスチドを同時に形質転換する(図5)。ベクター1(前記第1のDNA分子)は、プラストム領域に相同な1つの領域(前記第1相同領域)を含有する。目的配列の組込みは、このプラストム領域の下流で起こるべきである。この相同領域は、典型的には長さ500〜1000bpである。所望により、より短い配列又はより長い配列を使用してもよい。ベクター1では、第1の目的配列がこの相同領域の下流に位置する。組込み配列の上流部分は、この相同領域の下流で第1の目的配列に含まれる。
ベクター2(前記第2のDNA分子)は、プラストム領域に相同な1つの領域(前記第2相同領域)を含有する。目的配列の組込みは、このプラストム領域の上流で起こるべきである。この相同領域も、典型的には長さ500〜1000bpである。ベクター2では、第2の目的配列がこの相同領域の上流に位置する。組込み配列の下流部分は、この相同領域の上流で第2の目的配列に含まれる。
この好ましい態様において、2つのベクターの2つの相同領域は、プラストム上で互いに隣り合って存在し、介在配列を伴わない。ベクター1上の第1の目的配列の下流領域の配列セグメントは、ベクター2上の第2の目的配列の上流領域の配列セグメントに相同である。この相同配列セグメントは、重複領域とも呼ばれる。典型的には、この相同配列セグメントは、長さ500〜1000bpである。本発明に記載の組換えイベントの後、この2つのベクターの同時形質転換は、相同領域として使用する2つのプラストム領域間に組み込まれる連続した組込み配列をもたらす。典型的には、それぞれのベクターは、組込み配列の一部のみを含有する。
より長い相同領域でもより短い相同領域でも組換えが起こることが示されているが、効率的な組換えには500〜1000bpの長さで十分であり、標準のPCR手順で容易に増幅することができる。
形質転換体を選択するためのマーカー遺伝子は、2つのベクター上の2つの断片として、即ち各ベクター上に1つの断片として位置づけることができる。マーカー遺伝子は、いくつかのやり方で2つの断片へ分断することができる。その分断の非限定的な例は:
a)プロモーターと5’−UTRをベクター1に位置づける。コード配列をベクター1及びベクター2の重複領域に位置づける。3’−UTRをベクター2に位置づける。
b)プロモーター、5’−UTR、及びコード配列の5’部分をベクター1に位置づける。コード配列の中央部分をベクター1及びベクター2の重複領域に位置づける。コード配列の3’部分と3’−UTRをベクター2に位置づける。
内因性プロモーターにより転写されるプラストム領域に組込み配列を組み込むようにベクターの相同領域を選択する場合、プロモーターをマーカー遺伝子の前に含める必要はない。ベクター1又はベクター2又はその両方の目的配列のいずれにも、マーカー遺伝子以外に、追加の目的遺伝子を含めてよい。
態様2:2つのベクター上の断片化遺伝子の同時形質転換
プラスチドと細菌は同様の発現系を有するため、プラスチド形質転換ベクターを大腸菌においてクローニングすることは、その遺伝子産物が大腸菌にとって有毒な遺伝子が関与する場合、時に困難であるか又は不可能ですらある。この問題は、態様1のマーカー遺伝子について記載されるように、このような遺伝子を2以上の断片へ分断することによって解決する。従って、有毒な遺伝子は、不完全な遺伝子として、又は非毒性の断片として、各ベクター上に存在する。次いで、態様1に記載のように、プラスチドを2つのモジュラーベクターで同時に形質転換すると、そのとき、機能上完全な目的遺伝子がプラスチド内に再構築される。
態様3:3つのベクターの同時形質転換
いくつかの目的では、安定なプラスチド形質転換に必要な組込み配列を3つのベクターに分配することが有利である(図6)。非限定的な例は:非常に長い組込み配列(例えば遺伝子クラスター)の挿入、形質転換ベクターの連続構築、等である。
ベクター1は、プラストム領域に相同な第1領域とその下流に第1の目的配列を含有する。組込み配列の組込みは、このプラストム領域の下流で起こるべきである。第1相同配列の下流には、組込み配列の上流部分が第1の目的配列中に存在する。
ベクター2は、プラストム領域に相同な第2領域と第2の目的配列を含有する。組込み配列の組込みは、このプラストム領域の上流で起こるべきである。この相同配列の上流には、組込み配列の下流部分が第2の目的配列中に存在する。態様1に記載したように、相同配列は典型的には長さ500〜1000bpであるが、この長さに限定されない。
ベクター3は、第3の目的配列を含有し、その上流部分はベクター1の目的配列に相同であり、下流部分は、ベクター2の目的配列に相同である。ベクター3は、プラストムへ組み込むべき完全な組込み配列を含有してもしなくてもよい。
態様4:選択可能マーカーを含まないトランスプラストミック植物
選択可能マーカー遺伝子が組込みのために設計された領域の外側に位置する場合、マーカー遺伝子は、完全なベクター組込み中間体中に存在するであろう(図7)。選択圧を解除するとき、マーカー遺伝子はベクター配列とともに切除される。相同プラスチド配列と目的配列は、態様1に記載のように配置する。態様1とは反対に、マーカー遺伝子は目的配列中に含まれない。その代わり、それはベクター1又はベクター2のどこかに位置する。好ましくは、ベクター配列によって、相同領域と目的配列から成る単位からマーカー遺伝子を分離する。好ましくは、ベクター1とベクター2は、それぞれこの形式でマーカー遺伝子を含有し、それによってこれらのマーカー遺伝子は異なる(例えば、aadAとaphA6)。次いで、2つのそれぞれの抗生物質、例えば、500mg/lのスペクチノマイシン+25mg/lのカナマイシンの組合せを使用することによって選択を行う。あるいは、マーカー遺伝子の断片をベクター1に位置づけ、マーカー遺伝子の他の断片をベクター2に位置づけ、それによって両方の断片を上記に定義した単位の外側にする。このとき、両方の断片が相同セグメント(重複領域)を共有し、両方の断片の組換えにより、両ベクターのプラストムへの挿入後に完全な機能性マーカー遺伝子を組み立てることを可能にすることが先行条件である。可能な組換えイベントのごく一部だけが機能性マーカーを生ずるため、選択圧により、前記機能性マーカーを含有する中間体が維持される。選択圧が除かれるとき、マーカー遺伝子は、残存するベクター配列とともに、反復ベクター配列による組換えによって除去されるだろう。
態様5:選択可能マーカーを含まないトランスプラストミック植物
第1のDNA分子上の耐性マーカー遺伝子の5’と第2のDNA分子上の耐性マーカー遺伝子の3’に相同配列因子を含有する一方で、前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子上に耐性マーカー遺伝子又はその断片が存在するモジュラーベクターを使用することによって、耐性マーカーを含まない植物を入手することができる。図4に記載の組換えイベントの後で、2つの相同配列因子が隣接した耐性マーカー遺伝子をプラストムへ挿入する。選択マーカーの挿入配列中での存在は、選択圧によって維持することができる。この植物材料を阻害剤を含まない培地へ移したとき、耐性マーカー遺伝子を維持するための選択圧が解除される。2つの相同配列用により仲介されるさらなる組換えイベントにより、選択マーカー遺伝子の切除をもたらすことができる。結果として、最終植物は、形質転換体の選択に使用した耐性マーカー遺伝子を担わない。
本発明の方法は、好ましくは、裸子植物(マツ、トウヒ及びモミ、等のような)と被子植物が含まれる作物で行う。被子植物がより好ましい。被子植物には、トウモロコシ、小麦、大麦、コメ、ライ麦、ライコムギ、サトウモロコシ、サトウキビ、アスパラガス、ニンニク、ヤシの木、等のような単子葉植物と、タバコ、ジャガイモ、トマト、ナタネ、サトウダイコン、カボチャ、キュウリ、メロン、コショウ、柑橘類、ナス、ブドウ、ヒマワリ、ダイズ、アルファルファ、ワタ、等のような双子葉植物が含まれる。ナス科植物(例えばジャガイモ、トマト、コショウ、ナス、タバコ)が最も好ましい。
本発明に使用する分子生物学の方法は当該技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら(1989)「分子クローニング」とAusubelら(1999)「分子生物学の簡略プロトコール」に記載されている。
完全なベクターの(1つのフランクを介した)プラスチドゲノムへの組込みのPCR解析
プラスチド形質転換ベクター:pKCZ
pKCZは、慣用のプラスチド形質転換ベクターであり、選択マーカーが相同的組換えに使用する2つのフランクの間でクローニングされる。タバコのプラスチドゲノムの逆反復領域中のtrnRとtrnNとの間で中間挿入をするように、ベクターを設計する(Zou、2001)。pKCZは、相同的組換えのための2つのフランキング配列(GenBank受入番号Z00044のNicotiana tabacumのプラストム配列:31106〜132277と132278〜133396に対応)と、16S rRNAプロモーターの制御下にあるaadAプラスチド発現カセット(Koopら、1996)を含む。このプラスミド構築体の概略図を図8に示す。
1次形質転換体の産生とそれに続くホモプラストミック株の選択
粒子銃仲介性のプラスチド形質転換とそれに続く選択をMuhlbauerら、2002に記載のように行なった。形質転換体の選択は、aadA遺伝子産物により付与される、抗生物質スペクチノマイシン/ストレプトマイシンへの耐性に基づいている。形質転換されたプラスチドゲノムを増幅して、野生型ゲノムを消失させるために、1次形質転換体(サイクル0)を、スペクチノマイシンを含有する選択培地でのさらに数ラウンドの再生(小葉の外植片より)に処した(ここでは、サイクル−I、サイクル−II、等と呼称する)。
1次形質転換体のPCRによる解析
DNeasy Plant Mini Kit(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)で単離した全DNAを使用して、PCRによりプラスチド形質転換体(サイクル−0)を同定した。aadA遺伝子の存在を判定するために、プライマーのoSH81(5’−CTATCAGAGGTAGTTGGCGTC−3’)及びoFCH60(5’−CACTACATTTCGCTCATCGCC−3’)を使用した。PCRプログラムは以下の通りである:94℃で3分、1サイクル;94℃で45秒、55℃で45秒、72℃で2分、30サイクル;72℃での最終伸張、10分。結果は、解析した54株のうち48株(6つは衝突された葉)に予測される504bpの増幅産物があることを示した。aadAカセットがタバコのプラストム内に正確に組み込まれていることを証明するために、プライマーのoSH58(5’−TATTCCGACTTCCCCAGAGC−3’)及びoFCH60(5’−CACTACATTTCGCTCATCGCC−3’)を使用した。プライマーのoSH58は、タバコプラストム中のpKCZの右フランクの外側(下流)に位置しており、oFCH60との組合せでのみ、aadA発現カセットの逆反復中のtrnRとtrnNの間での組込み時に2106bpの予測産物を与えることができる。PCRプログラムは以下の通りである:94℃で5分、1サイクル;94℃で45秒、55℃で45秒、72℃で3.5分、35サイクル;72℃で7分間の最終伸張。aadA PCR陽性の48株すべてにおいて予測される2106bpの右フランクaadA産物が示された。このサイクル−0形質転換体のうち10個(1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、2:1、2:4、2:5、2:6及び2:7)をさらなる解析のために選択した。
完全な組込み配列を含有する形質転換体のPCR解析
通常、安定なプラスチド形質転換体の産生は、形質転換する分子の左フランク及び右フランクとプラストムとの間で起こる2つの同時組換えイベントを介して起こると考えられている(図1に図示するように)。代替機序を図2に提示する。ここでは、ベクターの完全な組込みが、プラストムとの1つのフランクのみ(左又は右のいずれか)での組換えを介して最初に起こり、仮説の不安定中間体を生ずる。次いで、後続の追加の組換えイベントがこの分子中の重複フランク間で起こり、野生型の状態か又は安定に組み込まれたaadAカセットのいずれかを産生する。この可能性を検証するために、プライマーのoSH3(5’−GGCATCAGAGCAGATTG−3’)及びoSH58(5’−TATTCCGACTTCCCCAGAGC−3’)を使用してPCRを実施した。プライマーのoSH3は、pKCZ(pUC18)のベクター骨格内に位置し、プライマーのoSH58は、タバコプラストム中のpKCZの右フランクの外側(下流)に位置する。図2に示すように、2638bpの産物は、完全なpKCZ組込みが起こったときにのみこれら2つのプライマーで得ることができる。oSH3の結合部位が存在しないため、野生型プラストム断片(左フランク及び右フランクを含む)からは予測サイズのPCR産物は得られない。PCRプログラムは以下の通りである:94℃で5分、1サイクル;94℃で45秒、55℃で45秒、72℃で3.5分、35サイクル;72℃で7分間の最終伸張。解析した10個のサイクル−0形質転換体のうち9つが、これらの株内のプラスチドゲノムへのpKCZの完全な組込みに一致する、2.6kbのPCR産物を示した(図3A)。野生型の対照や試料1:1には、正確なサイズの産物は観察されなかった。pKCZの完全な組込みは不安定な中間体の形成をもたらすため、時間が増すとともに、この分子中の重複フランク間のさらなる組換えイベントにより、野生型状態又は安定組込みaadAカセットのいずれかをもたらすと予測される。サイクルI及びサイクルIIから調製したDNA試料のように、植物材料をプライマーのoSH3及びoSH58を用いたPCRで解析した。図2に提示するモデルが正確であれば、2638bpのバンドをプライマーのoSH3及びoSH58で増幅する確率は、選択の際の再生サイクルごとに低下するはずである。上記の結果は、予測サイズの多量のPCR産物を与えたのは、解析した10個のサイクルI株のうち5つのみであったため、これがまさにそうであることを示唆する(図3B)。さらに、サイクルIIでは、予測される2638bpバンドの明瞭な増幅を示す株の数がさらに減少した。
図2に提示するモデルは、完全なベクター組込みについて陰性であるすべてのサイクルII株が依然として、先に記載した分子再配列により安定に組み込まれたaadAカセットに一致するPCRシグナルを示すべきことも予測する。aadAカセットのタバコプラストム内の組込みを証明するために、プライマーのoSH58(5’−TATTCCGACTTCCCCAGAGC−3’)及びoFCH60(5’−CACTACATTTCGCTCATCGCC−3’)を使用した。PCRプログラムは以下の通りである:94℃で5分、1サイクル;94℃で45秒、55℃で45秒、72℃で3.5分、35サイクル;72℃で7分間の最終伸張。10個のサイクルII形質転換体のすべてが予測される2106bpの右フランクaadA産物を示し(図3D)、これは図2に示すシナリオに一致した。
重複モジュラーベクターの構築
モジュラーベクターのpICF742(図9)は、タバコのプラストムに相同な右フランキング領域、タバコrpl32プロモーター、タバコpsbA−5’−UTR及びaadAマーカー遺伝子を含む。
右フランキング領域は、5’端にSacI認識部位、3’端にEcoRI認識部位を導入する、修飾プライマーの5’−TGGAGCTCGAATTGCCGCGAGCAAAGATATTAATG−3’及び5’−TACGAATTCAAGAGAAGGTCACGGCGAGAC−3’を用いて、タバコのプラスチドDNA(N.tabacumプラストムのbp132279〜bp133390)より増幅した。PCR産物を精製し、SacI及びEcoRIで消化し、同じ酵素で消化したpUC18プラスミドへ連結した。rpl32プロモーターは、5’端にPstI認識部位、3’端にBamHI認識部位を導入する、修飾プライマーの5’−GACCCTGCAGGCAAAAAATCTCAAATAGCC−3’及び5’−CGGGATCCGATTTTTCTTTAGACTTCGG−3’を用いて、タバコのプラスチドDNA(N.tabacumプラストムのbp113917〜bp114055)より増幅した。PCR産物を、修飾プライマーの5’−CGGGATCCGATTTTTCTTTAGACTTCGG−3’及び5’−CGAGCTCCACCGCGGTGGCGGCCCGTCGACCCTGCAGGCAAAAAATCTC−3’を用いて再増幅し、5’端にSacI認識部位を含有する新たなマルチクローニング部位を導入した。生じたPCR産物をBamHI及びSacIで消化し、右フランキング領域を含有する、同様に制限処理したpUC18ベクターへ連結した。psbA−5’−UTRは、5’端にBamHI認識部位、3’端にNcoI認識部位を導入する、修飾プライマーの5’−CGGGATCCAAAAAGCCTTCCATTTTCTATTT−3’及び5’−TTGCAGCCATGGTAAAATCTTGGTTTATT−3’を用いて、タバコのプラスチドDNA(N.tabacumプラストムのbp1598〜bp1680に相補的)より増幅した。PCR産物をNcoI及びBamHIで消化した。大腸菌由来のaadA配列を、5’端にNcoI認識部位を導入する修飾プライマーの5’−TGAATTCCCATGGCTCGTGAAGCGG−3’及び5’−GGTGATGATGATCCTTGCCAACTACCTTAGTGATCTC−3’を用いて、プラスミドpFaadAII(Koopら、1996)より増幅した。PCR産物を、プライマーの5’−TGAATTCCCATGGCTCGTGAAGCGG−3’及び5’−GCTCTAGATTAGTGATGATGGTGATGATGATCCTTGCC−3’を用いて再増幅し、3’端にHis−タグとXbaI認識部位を導入した。PCR産物をNcoI及びXbaIで消化した。右フランキング領域及びrpl32プロモーターを含有するpUC18ベクターをBamHI及びXbaIで消化し、消化したpsbA−5’−UTRと消化したaadAとともに連結した。生じたプラスミドをXbaI及びNdeIで消化し、残存するpUC18マルチクローニング部位を除去した。この消化したプラスミドをアガロースゲルで精製した。4600bpのバンドを抽出して精製し、両端をKlenowポリメラーゼで充填した。次いで、このプラスミドを再連結して、pICF742を得た。
モジュラーベクターのpICF743(図10)は、タバコのプラストムに相同な左フランキング領域、大腸菌由来αオペロン・ターミネーター、及びaadAマーカー遺伝子を含む。
PaeIとSapIとの間にあるpUC18のマルチクローニング部位を除去し、(5’→3’)BamHI、KpnI、XbaI及びNcoIから成る新たなマルチクローニング部位に置き換えた。左フランキング領域を、5’端にBamHI認識部位、3’端にKpnI認識部位を導入する、修飾プライマーの5’−GATGGATCCTTGCTGTTGCATCGAAAGAG−3’及び5’−CACTGGTACCCGGGAATTGTGACCTCTCGGGAGAATC−3’を用いて、タバコのプラスチドDNA(N.tabacumプラストムのbp131106〜bp132277)より増幅した。PCR産物を精製し、BamHI及びKpnIで消化し、新たなマルチクローニング部位があるpUC18プラスミドへ連結し、これを同じ酵素で消化した。生じたプラスミドをKpnI及びXbaIで消化した。この消化したベクターを、大腸菌のαオペロン・ターミネーターをコードする、1本鎖オリゴヌクレオチドの5’−GATGTCTAGAAGCAACGTAAAAAAACCCGCCCCGGCGGGTTTTTTTATACCCGTAGTATCCCCAGCGGCCGCGGTAC−3’と連結した。この相補鎖をTaqポリメラーゼで充填し、XbaIで消化して再連結した。生じたベクターをNcoI及びXbaIで消化し、pICF742由来のaadA PCR産物と連結して、ベクターpICF743を得た。
12.5μgのベクターpICF742と12.5μgのベクターpICF743を混合し、金粒子上にロードして、Muhlbauerら、2002に記載のような粒子衝突によりN.tabacumプラスチドへ形質転換した。形質転換体の選択は、aadA遺伝子産物により付与される、抗生物質のスペクチノマイシン/ストレプトマイシンへの耐性に基づいた。形質転換したプラスチドゲノムを増幅して、野生型ゲノムを消失させるために、1次形質転換体(サイクル0)を、スペクチノマイシンを含有する選択培地でのさらに数ラウンドの再生(小葉の外植片より)に処した(ここでは、サイクルI、サイクルII、等と呼称する)。サイクル0からの2つのスペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性カルスをPCRで解析し、形質転換を証明した。3つの異なるプライマー対を使用した(図11):
A) 5’−CAGACTAATACCAATCCAAGCC−3’(N.tabacumプラストムの左フランキング領域の外側で結合)及び5’−CTATCAGAGGTAGTTGGCGTC−3’(マーカー遺伝子で結合)
B) 5’−CACTACATTTCGCTCATCGCC−3’(マーカー遺伝子で結合)及び5’−TATTCCGACTTCCCCAGAGC−3’(N.tabacumプラストムの右フランキング領域の外側で結合)
C) 5’−CATCAATACCTCGGTCTAG−3’(左フランキング領域で結合)及び5’−ACACATAGTATGCCCGGTC−3’(右フランキング領域で結合)。
3種のプライマーすべてでPCRが増幅産物を示し、両方のベクターの組込みが1つの連続した組込み領域をもたらすことを証明した(図12)。算出された増幅産物のサイズは、2139bp(A)、2035bp(B)、及び1450bp(C)であり、これは観測サイズによく一致する。注目すべきことに、プライマー対 Cでは野生型シグナル(290bp)が見えず、このような初期段階にあっても、非形質転換体が存在しないことを示唆している。
次いで、サイクル0及びサイクルIからの5つのスペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性カルスを、3つの独立したサザンブロット実験において解析した(図13)。2つの株が完全に正確な組込みaadA遺伝子のみの存在を示した(株1と株3:Bsp120I制限処理では3.8kb、AccIII制限処理では6.7kb)。1つの株(株2)は、組込みaadA遺伝子と、中間の組換えに対応する追加のシグナル(Bsp120I制限処理では4.9kb、AccIII制限処理では3.5kb)を示した。2つの株(株4と株5)は、中間の組換えシグナル(Bsp120I制限処理で4.9kb)と野生型シグナル(Bsp120I制限処理で2.6kb)を示した。この結果は、解析した5株のうち2株がごく短時間のうちにホモプラストミック組込み状態に達したことを示す。
重複モジュラー翻訳ベースベクターの構築
翻訳ベースのベクターは自身のプロモーター要素を含有しないが、所望の組込み部位の上流にあるプラストムの内因性プロモーター要素に依存する。
本実施例は、2つのモジュラーベクター(pICF1033及びpICF1034)を提示するが、これは、組合せにおいて、大腸菌での高い発現レベルのために数回の試みにもかかわらず構築し得なかった翻訳ベースベクター(pICF986)の代わりになる。使用したリボソーム結合部位(T7G10)は、大腸菌だけでなくプラスチドにあっても高発現を仲介する。このベクターはプラスチドのプロモーター要素を含有しないが、相同的組換えに必要な左フランキング領域は、大腸菌においてプロモーター活性を有する配列因子を含有する。
pICF986(図14)とは反対に、2つのモジュラーベクター、pICF1033(図15)及びpICF1034(図16)は、問題なく構築することができた。左フランキング領域を含有するモジュラーベクター(pICF1033)は、発現される完全な遺伝子を含有しないため、このモジュラーベクターは、問題の多い大腸菌での高発現を回避する。
モジュラーベクターpICF1033は、タバコプラストムに相同な左フランキング領域、T7ファージ由来の遺伝子10のリボソーム結合部位、及びuidAレポーター遺伝子のN末端部分を含有する。
左フランキング領域は、5’端にBsp120I認識部位、3’端にPstI認識部位を導入する、修飾プライマーの5’−TATAGGGCCCAGCTATAGGTTTACATTTTTACCC−3’及び5’−GTCCTGCAGTTATCCATTTGTAGATGGAGCTTCG−3’を用いて、タバコのプラスチドDNA(N.tabacum プラストムのbp534〜bp1336に相補的)より増幅した。PCR産物を精製し、Bsp120I及びPstIで消化し、pICF5001ベクターへ連結し、これを同じ酵素で消化した。プラスミドpICF5001は、改変マルチクローニング部位:5’−GAATTCGGGCCCGTCGACCCTGCAGGCCCGGGGATCCATATGCCATGGTCTAGATGATCATCATCACCATCATCACTAATCTAGAGAGCTCCTCGAGGCGGCCGCGGTACCATGCATGCAAGCTT−3’を含有するpUC18誘導体である。この連結は、左フランキング領域を有するpICF5001を生ずる。T7ファージ由来の遺伝子10のリボソーム結合部位と翻訳活性を高めるN末端融合タグは、左フランキング領域を有するpICF5001のPstI及びNcoI部位の間に、合成ヌクレオチド配列:5’−CTGCAGGATCCTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCTAGTAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGGCTAGCATTTCCATGG−3’を挿入することによって導入した。生じたベクターをNcoI及びHindIIIで消化した。uidAのN末端断片は、5’端にNcoI認識部位、3’端にHindIII認識部位を導入する、修飾プライマーの5’−CATGCCATGGTCCGTCCTGTAGAA−3’及び5’−GCCAAGCTTGTACAGTTCTTTCGGCTTGTTGCCC−3’を用いて、大腸菌DNAより増幅した。PCR産物を精製し、NcoI及びHindIIIで消化した。次いで、PCR産物をベクターへ挿入し、同じ酵素で消化して、pICF1033を得た。
モジュラーベクターpICF1034は、T7ファージ由来の遺伝子10のリボソーム結合部位、完全なuidAレポーター遺伝子、第2の合成リボソーム結合部位、aadAマーカー遺伝子、及び右フランキング領域を含有する。
T7ファージ由来の遺伝子10のリボソーム結合部位は、上記のようにpICF5001へ導入した。修飾プライマーの5’−CATGCCATGGTCCGTCCTGTAGAA−3’及び5’−CTGGGTACCTTATTGTTTGCCTCCCTGCTGCG−3’を使用して完全なuidA遺伝子を増幅する一方で、5’端にNcoI認識部位、3’端にKpnI認識部位を導入した。PCR産物をNcoI及びKpnIで消化し、T7リボソーム結合部位を含有するベクターへ連結し、同じ酵素で消化した。大腸菌由来のaadA配列を、修飾プライマーの5’−GGATCCATGCGTGAAGCGGTTATCGCCG−3’及び5’−GGTGATGATGATCCTTGCCAACTACCTTAGTGATCTC−3’を用いて、プラスミドpFaadAII(Koopら、1996)より増幅した。PCR産物を、修飾プライマーの5’−GGGGTACCAGTTGTAGGGAGGGATCCATGCGTGAAGC−3’及び5’−GCTCTAGATTAGTGATGATGGTGATGATGATCCTTGCC−3’を用いて再増幅し、3’端にHis−タグとXbaI認識部位を、5’端に合成リボソーム結合部位とKpnI認識部位を導入した。PCR産物を精製し、KpnI及びXbaIで消化した。右フランキング領域を、5’端にXbaI認識部位を導入する修飾プライマーの5’−CTAATCTAGAGAGCTCGTCTATAGGAGGTTTTGAAAAG−3’及びタバコプラストム中のHindIII制限部位の後方に結合する正確なプライマー:5’−CCAGAAAGAAGTATGCTTTGG−3’を用いて、タバコのプラスチドDNA(N.tabacumプラストムのbp155370〜bp533に相補的)より増幅した。PCR産物を精製し、XbaI及びHindIIIで消化した。T7リボソーム結合部位及びuidA遺伝子を含有するベクターをKpnI及びHidIIIで消化してから、2つのPCR産物(それぞれ、KpnI/XbaIとXbaI/HindIIIで消化)と連結し、ベクターpICF1034を得た。
12.5μgのベクターpICF1033と12.5μgのベクターpICF1034を混合し、金粒子上にロードして、Muhlbauerら、2002に記載のような粒子衝突によりN.tabacumプラスチドへ形質転換した。形質転換体の選択は、aadA遺伝子産物により付与される、抗生物質のスペクチノマイシン/ストレプトマイシンへの耐性に基づいた。形質転換したプラスチドゲノムを増幅して、野生型ゲノムを消失させるために、1次形質転換体(サイクル0)を、スペクチノマイシンを含有する選択培地でのさらに数ラウンドの再生(小葉の外植片より)に処した(ここでは、サイクルI、サイクルII、等と呼称する)。タバコのプラストム内に1つの連続した組込み領域を生ずる両方のベクターの正確な組込みをPCRで確認した。
モジュラーベクターを使用する、Solanum tuberosumのプラスチド形質転換
モジュラーベクター系は、タバコだけでなく、他の重要な作物種でも使用することができる。本実施例は、実施例2に記載のベクターを使用する、プロトプラスト由来ミクロコロニーの粒子衝突後の、ジャガイモ(Solanum tuberosum)における効率的なプラスチド形質転換を例示する。タバコとジャガイモのプラストム間の高度の相同性により、タバコのフランキング配列を含有するベクターをジャガイモにも使用することができる。
S.tuberosum cv.Walliの植物を、無菌苗条培養(20±1℃、16時間/日、光強度:75±10μモル/m/秒)としてin vitroで生長させた。茎頂(ほぼ2cmの長さ)をガラス管(2.5×20cm)中のMS培地(Murashige及びSkoog、1962)へ移すことによって、2ヶ月ごとに新たな培養を開始した。3〜4週齢の植物から十分に伸長した若葉を選択し、プロトプラストの単離に使用した。葉を小刀で1mm切片へ切断し、10mlのMMM−550培地においてプレ原形質分離(preplasmolysed)させた。MMM−550培地は、4.066g/lのMgCl・6HO、1.952g/lの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、及び約86g/lのマンニトールを含有する(550mOs及びpH5.8へ調整)。暗所で1時間のインキュベーション後、MMM−550を除去し、0.4%(w/v)マセロザイム R10及び0.4%セルラーゼ R10を含有する、10mlのMMS−550培地に置き換えた。MMS−550培地は、4.066g/lのMgCl・6HO、1.952g/lのMES、及び約150g/lのスクロースを含有する(550mOs及びpH5.8へ調整)。葉の外植片を、酵素溶液中、暗所で25℃16時間、振盪ぜずにインキュベートした。翌日、消化物を100μmの篩いを通して遠心管へ濾過し、2mlのMMM−550培地を慎重に重層して、遠心分離した(10分、70×g)。界面のバンドよりインタクトなプロトプラストを採取し、10mlのジャガイモ・プロトプラスト培地に再懸濁させることによって1回洗浄し、続いて遠心分離した(10分、50×g)。プロトプラスト培地は、133.75mg/lのNHCl、950mg/lのKNO、220mg/lのCaCl・2HO、185mg/lのMgSO・7HO、85mg/lのKHPO、B5微量元素(Gamborgら、1968)、MS Fe−EDTA(Murashige及びSkoog、1962)、100mg/lのミオイノシトール、100mg/lのグルタミン、100mg/lのカゼイン加水分解物、1mg/lのニコチン酸、10mg/lの塩酸チアミン、1mg/lの塩酸ピリドキシン、250mg/lのキシロース、975mg/lのMES、2mg/lの酢酸ナフタレン(NAA)、0.2mg/lの2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、0.5mg/lの6−ベンジルアミノプリン(BAP)、及び約94g/lのグルコースを含有する(550mOs及びpH5.8へ調整)。プロトプラストを計数し、プロトプラスト培地において必要とされる最終プレート培養密度の2倍(2.0×10/ml)で再懸濁し、MMM−550培地中に調製した等量の1.2%(w/v)アルギン酸と混合した。Dovzhenkoら(1998)に記載のように、ポリプロピレングリッド中に薄層アルギン酸塩培養物を作製した。このアルギン酸塩マトリックスの固化に続き、2mlのプロトプラスト培地を含有する5cmペトリ皿においてグリッドを培養した。プロトプラストを暗所(26±1℃)で1日インキュベートした後、さらなる生育のために標準の培養室条件(26±1℃、16時間/日、光強度:75±10μモル/m/秒)へ移した。
埋め込んでから12〜15日後、ジャガイモの微小コロニー(ほぼ8つの細胞)を含有するグリッドを、0.4%(w/v)Gelriteで固化したSH−1培地を含有する9cmの皿へ移した。SH−1培地は、267.5mg/lのNHCl、1900mg/lのKNO、440mg/lのCaCl・2HO、370mg/lのMgSO・7HO、170mg/lのKHPO、MS微量元素及びFe−EDTA(Murashige及びSkoog、1962)、Nitschビタミン(Nitsch及びNitsch、1969)、40mg/lの硫酸アデニン、100mg/lのカゼイン加水分解物、975mg/lのMES、0.1mg/lのNAA、0.5mg/lのBAP、10g/lのスクロース、及び50g/lのマンニトールを含有する(pH5.8へ調整)。固形培地でのプレート培養から2日後、Muhlbauerら(2002)に記載の粒子コーティング及び衝突条件を使用して、プロトプラスト由来コロニーを、12.5μgのベクターpICF742と12.5μgのベクターpICF743をロードした金のアリコートと衝突させた。モジュラーベクターのpICF742及びpICF743の構築は、すでに記載した(実施例2)。形質転換体の選択は、aadA遺伝子産物により付与される、抗生物質スペクチノマイシンへの耐性に基づいた。衝突から1日後、Gelrite固化SH−1培地+500mg/lスペクチノマイシンを含有する皿へグリッドを移し、3週ごとに新鮮な選択皿へ継代培養した。プラスチド形質転換体は、8〜12週の選択後、緑色微小コロニーとして観察された(非形質転換組織は、スペクチノマイシン含有SH−1培地上で白くなる)。個々のコロニー(ほぼ直径1mm)を、SH−1培地+100mg/lスペクチノマイシンを含有する5cm皿へ移した。再生のために、100mg/lスペクチノマイシンを含有する、0.4%(w/v)Gelriteで固化したSH−2培地へカルス(ほぼ直径5mm)を移した。SH−2培地は、NAAを0.1mg/lのインドール−3−酢酸(IAA)に換え、BAPを1mg/lのゼアチンに換えて、マンニトール含量を50g/lから36g/lへ減らす以外は、SH−1培地(上記参照)と同一である。SH−2培地で6〜8週の培養後、再生カルスより苗条を取り出し、根付けとさらなる生育のために、抗生物質を含まないMS培地へ移した。
スペクチノマイシン耐性のジャガイモ苗条をPCRで解析し、正確なプラスチド形質転換を証明した。タバコ形質転換体の解析に記載のように(実施例2)、3つの異なるプライマー対を使用した:
A) 5’−CAGACTAATACCAATCCAAGCC−3’(S.tuberosumプラストム内の左フランキング領域の外側で結合)及び5’−CTATCAGAGGTAGTTGGCGTC−3’(aadAマーカー遺伝子内で結合)
B) 5’−CACTACATTTCGCTCATCGCC−3’(aadAマーカー遺伝子内で結合)及び5’−TATTCCGACTTCCCCAGAGC−3’(S.tuberosumプラストム内の右フランキング領域の外側で結合)
C) 5’−CATCAATACCTCGGTCTAG−3’(左フランキング領域内で結合)及び5’−ACACATAGTATGCCCGGTC−3’(右フランキング領域内で結合)。
上記の3つのプライマー対を使用するPCRにより、両方のベクターの正確な組込みがジャガイモ・プラストム内に1つの連続した組込み領域をもたらすことが示された。
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Zou Z.、2001、学位論文、ルードヴィヒ−マクシミリアン大学、ミュンヘン、ドイツ.
US5877402.
US5451513.
慣用のプラスチド形質転換における組換えイベントの概略図:形質転換ベクター配列のプラストムへの組込みは、2つの相同フランクにより仲介される2つの相同的組換えイベントにより起こる。プラストムに由来する対応の野生型領域がプラスミドベクターへ移動する。 我々の観察に基づいた、慣用のプラスチド形質転換における組換えイベントの想定モデル:左フランク又は右フランクを介した第1の相同的組換えにより、形質転換ベクター全体の一過性(可逆性)の挿入をもたらし、それぞれのフランキング配列の重複を生ずる。右フランク又は左フランクを介した第2の相同的組換えにより、それぞれ、重複配列の切除をもたらす。プラストム由来の対応する野生型領域は、プラスミドベクターへ移動する。 3回までの再生サイクル後にpKCZで形質転換したタバコ形質転換体のPCR解析(参照実施例)。ゲルA(サイクル0)、ゲルB(サイクルI)、ゲルC(サイクルII)及びゲルD(サイクルIII)は、完全なpKCZ組込みを検出するのに特異的なプライマー:oSH3及びoSH58を使用して入手した産物を示す。ゲルEは、oFCH60とoSH58のプライマーの組合わせを用いて、サイクルIIIラインのすべてが完全なベクター挿入イベントを担うわけではないが、依然としてaadA選択カセットを含有することを示めす。 本発明のモジュラーベクター(ベクター1及びベクター2)を使用することによる組換えイベントの想定モデル。第1の組込み工程をベクター1又はベクター2のいずれかについて示す。次の第2の組込み工程は、ベクター2をすでに含有するプラストム領域へのベクター1(右側)の組込みについてのみ示す。ベクター1をすでに含有するプラストム領域へのベクター2の第2の組込み工程(図示していない)も、類似した形式で進行する。両ベクターの完全なベクター組込み後、相同の反復配列の欠失イベントにより最終形質転換プラストム(下部)を得る。 相同的組換えによるプラストム組込みを指令するベクター1(hpr1)及びベクター2(hpr2)の相同領域を示すスキーム。hprは、相同プラストム領域を表す。さらに、両ベクター中の目的配列を示す(白いボックス+縦線ボックス)。縦線ボックス(重複領域をolrで示す)は、前記第2の目的配列(soi)の配列セグメントに相同な前記第1の目的配列(soi)の配列セグメントを表す。これらの相同配列セグメント又は重複領域により、ベクター2及びベクター1のプラストム中での組換えが可能になる。目的配列内で、相同配列セグメントは、hpr配列に対して好ましくは遠位に位置づけられる。下部に、組込み配列を含有する、入手されるトランスプラストムを示す。 本発明の前記第1ベクター及び前記第2ベクターに加えて、さらなるベクター(ベクター3)の使用を示すスキーム。ベクター3は、プラストム組込み用の相同領域を含有する必要はない。ベクター3は、2つの相同セグメント又は重複領域(縦線ボックス)を有する。一方の重複領域(olr1)は、ベクター1の相同配列セグメントと相同性を共有する。他方の重複領域(olr2)は、ベクター2の相同配列セグメントと相同性を共有する。olr1とolr2は、好ましくは、同一でない。hpr:相同プラストム領域;soi:目的配列;olr:重複領域。 マーカーを含まないトランスプラストミック植物の産生を示すスキーム。ベクター2は、相同領域と目的配列から成る配列単位の外側に選択可能マーカー遺伝子を含有する。ベクター1及びベクター2の組込みは、ベクター1及びベクター2の挿入後にトランスプラストムをもたらし、好適な抗生物質を一過的に適用することによってこれを選択することができる。反復配列を介した組換えは、このマーカー遺伝子を含めた配列の切除をもたらす。hpr:相同プラストム領域;soi:目的配列;olr:重複領域。 慣用のプラスチド形質転換ベクター、pKCZ。aadA:アミノグリコシド・アデニル・トランスフェラーゼ;INSL:bp131106〜132277由来のN.tabacumプラストム配列;INSR:bp132278〜133396由来のN.tabacumプラストム配列;AP:β−ラクタマーゼ。 モジュラープラスチド形質転換ベクター、pICF742。aadA:アミノグリコシド・アデニル・トランスフェラーゼのコード配列;LpsbA:N.tabacum psbA遺伝子由来の5’−UTR;Prpl32:N.tabacum rpl32遺伝子由来のプロモーター;INSL:bp132279〜133390由来のN.tabacumプラストム配列;AP:β−ラクタマーゼ。 モジュラープラスチド形質転換ベクター、pICF743。aadA:アミノグリコシド・アデニル・トランスフェラーゼのコード配列;Tα:大腸菌由来のα−オペロン・ターミネーター;INSL:bp131106〜132277由来のN.tabacumプラストム配列;AP:β−ラクタマーゼ。 pICF742及びpICF743の同時形質転換からのタバコ形質転換体をPCR解析するためのプライマー結合部位。A:プライマー対 A;B:プライマー対 B;C:プライマー対 C。 pICF742及びpICF743の同時形質転換からのタバコ形質転換体のPCR解析。1:株1;2:株2;A:プライマー対 A;B:プライマー対 B;C:プライマー対 C;左3つのレーン:DNAのない対照。 pICF742及びpICF743の同時形質転換からのタバコ形質転換体のサザンブロット。A及びC:Bsp120Iでの制限処理;B:AccIIIでの制限処理;1〜5:株1〜5;M:マーカーレーン(上から:10kb、8kb、6kb、5kb、4kb、3kb、2.5kb、1.5kb、1kb);WT:野生型対照。 翻訳ベースのプラスチド形質転換ベクター、pICF986。aadAHisタグ:C末端Hisタグのあるアミノグリコシド・アデニル・トランスフェラーゼ;INSL:bp534〜bp1336に相補的なN.tabacumのプラストム配列;INSR:bp155370〜bp533に相補的なN.tabacumのプラストム配列;AP:β−ラクタマーゼ;T7G10:T7ファージ由来の遺伝子10のリボソーム結合部位;RBS:合成リボソーム結合部位;uidA:β−グルクロニダーゼ。 モジュラー翻訳ベースのプラスチド形質転換ベクター、pICF1033。INSL:bp534〜bp1336に相補的なN.tabacumのプラストム配列;AP:β−ラクタマーゼ;T7G10:T7ファージ由来の遺伝子10のリボソーム結合部位;uidA(N−断片):β−グルクロニダーゼのN末端373アミノ酸のコード配列。 モジュラー翻訳ベースのプラスチド形質転換ベクター、pICF1034。aadA Hisタグ:C末端Hisタグのあるアミノグリコシド・アデニル・トランスフェラーゼ;INSR:bp155370〜bp533に相補的なN.tabacumのプラストム配列;AP:β−ラクタマーゼ;T7G10:T7ファージ由来の遺伝子10のリボソーム結合部位;RBS:合成リボソーム結合部位;uidA:β−グルクロニダーゼ。

Claims (24)

  1. そのプラストムで形質転換したトランスジェニック植物又は植物細胞を産生する方法であって:
    (a)第1のDNA分子と第2のDNA分子を植物プラスチドへ導入すること
    [ここで、前記第1のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な第1領域と第1の目的配列を含有し、前記第2のDNA分子は、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な第2領域と第2の目的配列を含有し、それによって、前記第1の目的配列の配列セグメントは、前記第2の目的配列の配列セグメントと相同になる]、及び
    (b)組込み配列がプラストムに安定的に組み込まれている形質転換体を選択すること[それによって、前記組込み配列は、前記第1の目的配列の少なくとも一部と前記第2の目的配列の少なくとも一部を連続配列として含有する]
    を含む、前記方法。
  2. 前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子を前記植物プラスチドへ同時形質転換により導入する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の目的配列と前記第2の目的配列が異なっている、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第1の目的配列と前記第2の目的配列が前記配列セグメントに加えてさらなる配列をそれぞれ含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記植物プラスチドへ、前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子に加えて1以上の追加DNA分子を導入し、それによって前記追加DNA分子は追加の目的配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記1つの追加DNA分子が、前記第1の目的配列の配列セグメントに相同な配列セグメントと前記第2の目的配列に相同な配列セグメントを含有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第1の目的配列及び/又は前記第2の目的配列及び/又は追加の目的配列が1以上の目的遺伝子又は目的遺伝子の断片を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 目的遺伝子を2以上の断片へ分断して前記第1の目的配列及び/又は前記第2の目的配列及び/又は追加の目的配列が前記目的遺伝子の断片を含有し、それによって前記目的遺伝子は、前記組込み配列の形成時に前記2以上の断片より組み立てられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記第1の目的配列が目的遺伝子の5’部分を含有し、前記第2の目的配列が前記目的遺伝子の3’部分を含有し、前記組込み配列が前記目的遺伝子をそれが発現され得るように含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記目的遺伝子の発現にRNAトランススプライシングが含まれる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第1の目的配列が、前記目的遺伝子の前記5’部分の上流に、第2の目的配列の前記目的遺伝子の前記3’部分の下流に位置する配列因子に相同な配列因子を含有し、それによって前記配列因子は、前記目的遺伝子の前記5’部分及び/又は前記3’部分を含む前記組込み配列の一部の相同的組換えによる切除を可能にする、請求項9に記載の方法。
  12. 前記目的遺伝子が選択可能マーカー遺伝子である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記第1のDNA分子又は前記第2のDNA分子が、プラストムの領域に相同な領域と目的配列から成る配列単位の外側に選択可能マーカー遺伝子を含有し、前記マーカー遺伝子の欠失を可能にする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 選択可能マーカー遺伝子を第1の断片及び第2の断片へ分断し、それによって
    前記第1断片を第1配列単位の外側で前記第1のDNA分子に取り込み、そして
    前記第2断片を第2配列単位の外側で前記第2のDNA分子に取り込み、
    それによって、前記第1配列単位は前記第1相同領域と前記第1の目的配列から成り、前記第2配列単位は前記第2相同領域と前記第2の目的配列から成る、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記選択可能マーカー遺伝子がaphA−6である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記第1のDNA分子が、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な唯一の領域を含有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記第1のDNA分子及び前記第2のDNA分子が、プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な唯一の領域をそれぞれ含有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記第1相同領域及び前記第2相同領域がともに、形質転換されるプラストムの連続配列に対応する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. ホモプラストミックなトランスジェニック植物を前記形質転換体より再生する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に定義されるような第1のDNA分子及び第2のDNA分子を含む部品キット。
  21. プラストム組込みを指令するプラストムの領域に相同な1つの領域と目的配列を含有する、プラスチド形質転換のためのDNA分子。
  22. 前記DNA分子のそれぞれが異なる目的配列を含有する請求項21に記載のDNA分子のライブラリー。
  23. 請求項20に記載の前記部品キットの前記DNA分子で、又は請求項21に記載の前記DNA分子で形質転換された植物又は植物細胞。
  24. 請求項1〜19のいずれか1項の方法により入手される植物、植物細胞又は種子。
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