JP2005530770A - ボツリヌス毒素のようなクロストリジウム神経毒による、神経精神医学的障害の頭蓋内処置 - Google Patents

ボツリヌス毒素のようなクロストリジウム神経毒による、神経精神医学的障害の頭蓋内処置 Download PDF

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Abstract

精神医学的障害を処置するための方法は、処置有効量の神経毒、例えばA型ボツリヌス毒素を、ヒト患者に頭蓋内投与することを含んで成る方法。

Description

本発明は、神経精神医学的障害を処置するための方法に関する。詳細には、本発明は、神経毒の頭蓋内投与によって神経精神医学的障害を処置するための方法に関する。
神経精神医学的障害
神経精神医学的障害は、4つの心的能力のうちのどれが冒されているかに従って典型的には分類される神経学的障害である。例えば、1つの群には、思考障害および認知障害、例えば、統合失調症および譫妄などが含まれ、2番目の群には、気分障害、例えば、情動障害および不安などが含まれ、3番目の群には、社会生活行動障害、例えば、性格欠陥および人格障害などが含まれ、4番目の群には、学習障害、記憶障害および知能障害、例えば、精神遅延および痴呆などが含まれる。従って、神経精神医学的障害には、統合失調症、譫妄、アルツハイマー病、うつ病、躁病、注意欠陥障害、薬物常用癖、痴呆、激越、無感動、不安、精神病、心的外傷後ストレス障害、興奮性および脱抑制が含まれる。
統合失調症
統合失調症は、世界人口の約1パーセントが冒されている障害である。統合失調症の3つの一般的な症状は、多くの場合、陽の症状、陰の症状、および解体型症状と呼ばれる。陽の症状には、妄想(異常な信念)、幻覚(異常な知覚)、および、まとまりのない思考が含まれ得る。幻覚は、聴覚的、視覚的、嗅覚的または触覚的であり得る。まとまりのない思考は、とりとめのない発言、および、論理的思考プロセスを維持することができないことによって統合失調症患者に現れ得る。陰の症状は、正常な行動が見られないことに相当し得る。陰の症状には、感情の単調性および表現の欠如が含まれ、陰の症状は、社会からの引きこもり、気力の低下、意欲の低下、および活動の低下によって特徴づけられ得る。緊張病もまた、統合失調症の陰の症状に関連し得る。統合失調症の症状は、患者が統合失調症患者として診断されるためには、約6ヶ月の期間にわたって継続して持続しなければならない。患者に見られる症状のタイプに基づいて、統合失調症は、緊張型統合失調症、妄想型統合失調症および解体型統合失調症を含む様々なサブタイプに分類され得る。
統合失調症患者の脳は、多くの場合、海馬の縮小および脳幹神経節のサイズ増大に関連し得る肥大した側脳室によって特徴づけられる。統合失調症患者はまた、肥大した第3脳室および溝の拡大を有する場合がある。これらの解剖学的特徴は皮質組織の縮小を示している。
統合失調症の原因は正確には知られていないが、その原因に関してはいくつかの仮説がある。1つの仮説は、統合失調症は、脳の皮質領域内および辺縁領域内における増大したドーパミン活性に関連するというものである。この仮説は、ある種のドーパミン受容体を阻止する抗精神病薬によって達成される治療効果によって裏付けられる。さらに、アンフェタミンの使用が統合失調症様精神病症状に関連し得る;アンフェタミン類はドーパミン受容体に対して作用するからである。
統合失調症患者を処置するために使用され得る抗精神病薬の例には、フェノチアジン系薬剤、例えば、クロルプロマジンおよびトリフルオプロマジンなど;チオキサンテン系薬剤、例えば、クロルプロチキセンなど;フルフェナジン;ブチロフェノン系薬剤、例えば、ハロペリドールなど;ロキサピン;メソリダジン;モリンドン;ケチアピン;チオチキセン;トリフルオペラジン;ペルフェナジン;チオリダジン;リスペリドン;ジベンゾジアゼピン系薬剤、例えば、クロザピンなど;およびオランザピンが含まれる。これらの薬剤は統合失調症の症状を緩和し得るが、その投与はまた、パーキンソン病様症状(震せん、筋肉硬直、顔面表情の喪失);ジストニー;落ちつかいないこと;遅発性ジスキネジー;体重増加;様々な皮膚障害;口渇;便秘;かすみ目;眠気;不明瞭な発言;無顆粒球症を含む様々な望ましくない副作用をもたらし得る。
抗精神病薬は、D2受容体、D3受容体およびD4受容体に対する特定の親和性でドーパミン受容体に対して主に作用すると考えられている。D3受容体およびD4受容体は、ある種の抗精神病薬(例えば、クロザピンなど)に対してそれ以外と比較してより大きい親和性を有し得ることが考えられている。統合失調症患者の脳は、尾状核、側坐核(腹側線条体)および嗅結節においてD2受容体の数が増大しているようである。
ドーパミンニューロンは、結節漏斗系、黒質線条体系、中脳辺縁系および中脳皮質系の4つの主要な部分系に組織化され得る。結節漏斗部のドーパミン作動系は視床下部の弓状核の細胞体に起源を有し、下垂体柄に突き出る。この系は、統合失調症における二次的な神経内分泌異常に関与し得る。黒質線条体系のドーパミン作動系は黒質に起源を有し、主として被殻および尾状核に突き出る。中脳辺縁系のドーパミン作動系は腹側被蓋領域に起源を有し、側坐核、分界条の核、扁桃および海馬の一部、側方中隔核、ならびに、近心前頭皮質、前帯状皮質および嗅内皮質を含む辺縁系の様々な近心要素に突き出る。側坐核は、扁桃、海馬、嗅内領域、前帯状領域、および側頭葉の一部からの収束部位である。従って、中脳辺縁系のドーパミン作動性突出部は、側坐核から、中隔領域、視床下部領域、前帯状領域および前頭葉に運ばれた情報を調節および変換することができ、そして、これらの領域への側坐核出力の活動しすぎる調節は、統合失調症に関連する陽の症状の一因になり得る。中脳皮質のドーパミン作動系は腹側被蓋領域に起源を有し、新皮質に、大量には前頭前野に突き出る。この要素は、統合失調症の陰の症状に関して重要であり得る。
腹側被蓋領域は、側坐核に対するドーパミン作動性入力の発生源であり、脳幹の脳脚橋核からのコリン作動性入力を受け取る。脳脚橋核は、腹側被蓋領域に対する興奮性コリン作動性入力をもたらす(Clarke他、ラットにおける脳脚橋核からのコリン作動性求心性神経による黒質ニューロンの神経支配:神経解剖学的証拠および電気生理学的証拠、Neuroscience、23、1011-1019、1987)。統合失調症患者は、脳脚橋核におけるコリン作動性ニューロンの数が増大していることが報告されている(Garcia-Rill他、統合失調症における中間脳橋(mesopontine)ニューロン、Neuroscience、66(2):321-335、1995)。しかしながら、これらの結果は1つの研究では確認されていなかった(German他、統合失調症における中間脳橋のコリン作動性ニューロンおよびコリン非作動性ニューロン、Neuroscience、94(1):33-38、1999)。
躁病
躁病は、米国では何百万人ものうつ病患者を冒す多幸感の持続した形態である。躁状態は、数日間続く、高まった気分、発揚妄想性の気分または怒りっぽい気分によって特徴づけることができ、躁状態には、多くの場合、活動過多、多弁、社会生活での押しつけがましさ、気力の増大、発想の重圧、誇張、注意散漫、低下した睡眠要求、および無謀などの様々な他の症状が伴う。躁病患者はまた、妄想および幻覚を経験することがある。
抑うつ性障害には、セロトニン受容体およびノルアドレナリン受容体を標的とする現在の治療法に基づいて、セロトニン作動性およびノルアドレナリン作動性のニューロン系が関与しうる。セロトニン作動性の経路は脳幹の縫線核から始まり、ノルアドレナリン作動性の経路は青斑から始まる。青斑におけるニューロンの電気的活動を低下させることが、抑うつ薬物療法により媒介される作用に関連し得る。
躁病は脳内の化学伝達物質の不均衡から生じる可能性がある。躁病はアセチルコリンの低下が一因であり得ることが提案されている。アセチルコリンの低下はノルエピネフリンの比較的より大きいレベルをもたらし得る。ホスファチジルコリンを投与することにより、躁病の症状が軽減されることが報告されている。
不安
不安障害には、人口の約10パーセント〜30パーセントが冒されていると考えられ、覚醒、落ちつきがないこと、応答性の高まり、発汗、脈拍増大、血圧上昇、口渇、逃避願望および回避行動を含む恐怖心の様々な症状の頻繁な発生によって特徴づけられ得る。全般性の不安が数ヶ月間にわたって持続し、そのような不安は、運動緊張(震え、引きつり、筋肉痛、不穏);自律神経の活動過多(息切れ、動悸、心拍数増大、発汗、冷たい手)、ならびに、警戒および入念観察(過敏、大げさな驚き応答、集中することの困難)に関連する。
ベンゾジアゼピン系薬剤は、γ-アミノ酪酸(GABA)A型受容体の抑制性作用を増強するので、不安を処置するために頻繁に使用されている。ブスピロンは別の効果的な不安処置剤である。
アルツハイマー病
アルツハイマー病は、認知および非認知の神経精神医学的症状によって特徴づけられる変性脳障害であり、65歳を超える患者については全痴呆症例の約60%を占める。精神医学的症状はアルツハイマー病では共通しており、精神病(幻覚および妄想)が罹患患者の約50パーセントに存在する。統合失調症と同様に、陽の精神病症状がアルツハイマー病では共通している。妄想が、典型的には、幻覚よりも頻繁に生じる。アルツハイマー病患者はまた、解放状態、無感動、低下した情動応答性、意志力の喪失、および低下した自発性などの様々な陰の症状を示すことがある。
アルツハイマー病患者はまた、側脳室および第3脳室の両方の拡大ならびに側頭部構造の萎縮を示すことがある。
アルツハイマー病の精神病的症状は、ドーパミンまたはアセチルコリンの濃度のシフト(ドーパミン作動性/コリン作動性の均衡を高め、それにより精神病的行動を生じさせ得る)に関係することが考えられる。例えば、増大したドーパミン放出は統合失調症の陽の症状の原因である得ることが示唆されている。これは、ドーパミン作動性/コリン作動性の均衡の正の破壊を生じさせ得る。アルツハイマー病では、コリン作動性ニューロンの減少がアセチルコリン放出を効果的に低下させ、これにより、ドーパミン作動性/コリン作動性の均衡の負の破壊をもたらしている。実際、統合失調症の精神病を緩和するために使用される抗精神病剤はまた、アルツハイマー病患者における精神病を軽減することにおいても有用である。
神経精神医学的障害に関連する症状のいくつかは、少なくとも一部は、脳内のニューロンの興奮性亢進に一因があるようである。この解釈は、現在の治療的処置に関連する薬理学によって裏付けられる。例えば、抗精神病処置の多くは、上記で議論されたように、ドーパミンがドーパミン受容体に結合することを妨げることに向けられている。同様に、躁病および不安は、多くの場合、GABAにより媒介される抑制の抑制性作用を高めるベンゾジアゼピン系薬剤で処置されている。米国特許第6,306,403号には、様々な運動障害を処置するためのボツリヌス毒素の頭蓋内投与が開示されている。さらに、定位処置が、異なる脳領域に医薬品を投与して、パーキンソン症候群性震せんを首尾良く軽減するために使用され得ることが知られている。例えば、Pahapill P.A.他、本態性震せん患者におけるムシモールの視床マイクロ注入による震せん停止、Ann Neur、46(2);249-252(1999)を参照のこと。
しかしながら、現在の治療的処置はいくつかの有害な副作用をもたらしている。これらの副作用は、医薬用薬剤が典型的には全身的投与によって投与され、従って、薬剤が、患者の様々な生物学的システムに関して比較的非特異的な作用を有するという事実に起因し得る。例えば、ベンゾジアゼピン系薬剤の投与は鎮静作用および筋弛緩を生じさせ得る。さらに、耐性がこれらの薬物に対して発生することがあり、それだけでなく、中断による発作が生じることがある。現在の治療法はまた、所望される効果を達成するために、薬物の一定かつ反復した投与を必要としている。
ボツリヌス毒素
クロストリジウム属には127を越える種があり、形態学および機能に従って分類されている。嫌気性グラム陽性細菌であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、ボツリヌス中毒と呼ばれる神経麻痺性障害をヒトおよび動物において引き起こす強力なポリペプチド神経毒であるボツリヌス毒素を産生する。ボツリヌス菌の胞子は土壌中に見出され、滅菌と密閉が不適切な零細缶詰工場の食品容器内で増殖する可能性があり、これが多くのボツリヌス中毒症例の原因である。ボツリヌス中毒の影響は、通例、ボツリヌス菌の培養物または胞子で汚染された食品を飲食した18〜36時間後に現れる。ボツリヌス毒素は、消化管内を弱毒化されないで通過することができ、そして末梢運動ニューロンを攻撃することができるようである。ボツリヌス毒素中毒の症状は、歩行困難、嚥下困難および会話困難から、呼吸筋の麻痺および死にまで進行し得る。
A型ボツリヌス毒素は、人類に知られている最も致死性の天然の生物学的物質である。市販A型ボツリヌス毒素(精製された神経毒複合体;100単位バイアルとして、BOTOX(登録商標)の商標でAllergan,Inc.(カリフォルニア州アービン)から入手可能である)の約50ピコグラムがマウスにおけるLD50(すなわち1単位)である。1単位のBOTOX(登録商標)は、約50ピコグラム(約56アトモル)のA型ボツリヌス毒素複合体を含む。興味深いことに、モル基準でA型ボツリヌス毒素の致死力はジフテリアの18億倍、シアン化ナトリウムの6億倍、コブロトキシンの3000万倍、コレラの1200万倍である。Natuaral Toxins II[B. R. Singhら編、Plenum Press、ニューヨーク(1976)]のSingh、Critical Aspects of Bacterial Protein Toxins、第63〜84頁(第4章)(ここで、記載されるA型ボツリヌス毒素LD50 0.3ng=1Uとは、BOTOX(登録商標)約0.05ng=1Uという事実に補正される)。1単位(U)のボツリヌス毒素は、それぞれが18〜20グラムの体重を有するメスのSwiss Websterマウスに腹腔内注射されたときのLD50として定義される。
7種類の血清学的に異なるボツリヌス神経毒が特徴付けられており、これらは、型特異的抗体による中和によってそのそれぞれが識別されるボツリヌス神経毒血清型A、B、C1、D、E、FおよびGである。ボツリヌス毒素のこれらの異なる血清型は、それらが冒す動物種、ならびにそれらが惹起する麻痺の重篤度および継続時間が異なる。例えば、A型ボツリヌス毒素は、ラットにおいて生じる麻痺率により評価された場合、B型ボツリヌス毒素よりも500倍強力であることが確認されている。また、B型ボツリヌス毒素は、霊長類では480U/kgの投与量で非毒性であることが確認されている。この投与量は、A型ボツリヌス毒素の霊長類LD50の約12倍である。Jankovic, J.ら編、"Therapy With Botulinum Toxin"(1994)(Mercel Dekker, Inc.)の第71-85頁、第6章の、Moyer Eら、Botulinum Toxin Type B: Experimental and Clinical Experience。ボツリヌス毒素は、コリン作動性の運動ニューロンに大きな親和性で結合して、ニューロンに移動し、アセチルコリン放出を阻止するようである。
血清型に関係なく、毒素中毒の分子メカニズムは類似し、少なくとも3つの過程または段階を含むようである。第1段階において、毒素は、重鎖(H鎖)と細胞表面受容体との特異的相互作用によって、標的ニューロンのシナプス前膜に結合する。受容体は、ボツリヌス毒素の各血清型および破傷風毒素で異なると考えられる。H鎖のカルボキシル末端セグメント(HC)は、毒素を細胞表面に指向させるのに重要であるようである。
第2段階において、毒素は、冒した細胞の形質膜を横切る。毒素は、初めに、受容体媒介エンドサイトーシスにより細胞に包み込まれ、毒素を含有するエンドソームが形成される。次に、毒素は、エンドソームから該細胞の細胞質中に逃れ出る。この段階は、約5.5またはそれ以下のpHに反応して毒素のコンフォメーション変化を誘発するH鎖のアミノ末端セグメント(HN)によって媒介されると考えられる。エンドソームは、エンドソーム内pHを低下させるプロトンポンプを有することが既知である。コンフォメーションのシフトは毒素中の疎水性残基を露出させ、これが、毒素をエンドソーム膜内に埋込むことを可能にする。次に、毒素(または少なくともその軽鎖)が、エンドソーム膜を通って細胞質に移動する。
ボツリヌス毒素活性のメカニズムの最終段階は、重鎖(H鎖)および軽鎖(L鎖)を結合するジスルフィド結合の減少を伴うようである。ボツリヌス毒素および破傷風毒素の全毒素活性は、ホロトキシンのL鎖に含まれる。L鎖は亜鉛(Zn++)エンドペプチダーゼであり、これは、神経伝達物質を含有する小胞の認識および形質膜の細胞質表面とのドッキングならびに小胞と形質膜との融合に必須であるタンパク質を選択的に開裂する。破傷風神経毒、ボツリヌス毒素B、D、FおよびG型は、シナプトソーム膜タンパク質であるシナプトブレビン[小胞関連膜タンパク質(VAMP)とも称される]の分解を引き起こす。シナプス小胞の細胞質表面に存在する大部分のVAMPは、これらの開裂現象のいずれかの結果として除去される。A型およびE型ボツリヌス毒素はSNAP-25を開裂する。C1型ボツリヌス毒素ははじめはシンタキシンを開裂すると考えられたが、シンタキシンおよびSNAP-25を開裂することがわかった。各毒素は異なる結合を特異的に開裂する。ただし、B型ボツリヌス毒素(および破傷風毒素)は同じ結合を開裂する。
ボツリヌス毒素は、活動過多な骨格筋によって特徴付けられる神経筋障害を処置するために臨床的状況において使用されている。A型ボツリヌス毒素は、本態性眼瞼痙攣、斜視および片側顔面痙攣を処置するために1989年に米国食品医薬品局によって承認された。非A型ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素と比較して、効力が小さく、および/または活性持続が短いようである。末梢筋肉内A型ボツリヌス毒素の臨床的効果は、通常、注射後1週間以内に認められる。A型ボツリヌス毒素の単回筋肉内注射による症候緩和の典型的な継続時間は平均約3ヶ月であり得る。
すべてのボツリヌス毒素血清型が神経筋接合部における神経伝達物質アセチルコリンの放出を阻害するようであるが、そのような阻害は、種々の神経分泌タンパク質に作用し、かつ/またはこれらのタンパク質を異なる部位で切断することによって行われる。例えば、A型およびE型ボツリヌス毒素はいずれも、25キロダルトン(kD)のシナプトソーム関連タンパク質(SNAP-25)を切断するが、それぞれ異なるタンパク質内アミノ酸配列を標的とする。B型、D型、F型およびG型のボツリヌス毒素は小胞関連タンパク質(VAMP、これはまたシナプトブレビンとも呼ばれる)に作用し、それぞれの血清型によってこのタンパク質は異なる部位で切断される。最後に、C1型ボツリヌス毒素は、シンタキシンおよびSNAP-25の両者を切断することが明らかにされている。作用機序におけるこれらの相違が、様々なボツリヌス毒素血清型の相対的な効力および/または作用の継続時間に影響していると考えられる。明らかに、ボツリヌス毒素の基質は、多様な細胞種に見られる。例えばBiochem, J 1;339(pt 1): 159-65: 1999およびMov Disord, 10(3):376:1995(膵島B細胞は少なくともSNAP-25およびシナプトブレビンを含有する)参照。
ボツリヌス毒素タンパク質分子の分子量は、既知のボツリヌス毒素血清型の7つのすべてについて約150kDである。興味深いことに、これらのボツリヌス毒素は、会合する非毒素タンパク質とともに150kDのボツリヌス毒素タンパク質分子を含む複合体としてクロストリジウム属細菌によって放出される。例えば、A型ボツリヌス毒素複合体は、900kD、500kDおよび300kDの形態としてクロストリジウム属細菌によって産生され得る。B型およびC1型のボツリヌス毒素は700kDまたは500kDの複合体としてのみ産生されるようである。D型ボツリヌス毒素は300kDおよび500kDの両方の複合体として産生される。最後に、E型およびF型のボツリヌス毒素は約300kDの複合体としてのみ産生される。これらの複合体(すなわち、約150kDよりも大きな分子量)は、非毒素のヘマグルチニンタンパク質と、非毒素かつ非毒性の非ヘマグルチニンタンパク質とを含むと考えられる。これらの2つの非毒素タンパク質(これらは、ボツリヌス毒素分子とともに、関連する神経毒複合体を構成し得る)は、変性に対する安定性をボツリヌス毒素分子に与え、そして毒素が摂取されたときに消化酸からの保護を与えるように作用すると考えられる。また、より大きい(分子量が約150kDよりも大きい)ボツリヌス毒素複合体は、ボツリヌス毒素複合体の筋肉内注射部位からのボツリヌス毒素の拡散速度を低下させ得ると考えられる。
インビトロでの研究により、ボツリヌス毒素が、脳幹組織の初代細胞培養物からのアセチルコリンおよびノルエピネフリンの両方の、カリウムカチオンにより誘導される放出を阻害することが示されている。また、ボツリヌス毒素は、脊髄ニューロンの初代培養物におけるグリシンおよびグルタメートの両方の誘発された放出を阻害すること、そして脳のシナプトソーム調製物において、ボツリヌス毒素が神経伝達物質のアセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン(Habermann E.ら、Tetanus Toxin and Botulinum A and C Neurotoxins Inhibit Noradrenaline Release From Cultured Mouse Brain, J Neurochem 51(2); 522-527: 1988)、CGRP、サブスタンスPおよびグルタメート(Sanchez-Prieto, J.ら、Botulinum Toxin A Blocks Glutamate Exocytosis From Guinea Pig Cerebral Cortical Synaptosomes, Eur J. Biochem 165; 675-681: 1897)のそれぞれの放出を阻害することが報告されている。すなわち、充分な濃度を用いれば、大部分の神経伝達物質の刺激により誘発される放出はボツリヌス毒素によってブロックされる。
例えば、Pearce, L.B., Pharmacologic Characterization of Botulinum Toxin For Basic Science and Medicine, Toxicon 35(9); 1373-1412の1393; Bigalke H.ら, Botulinum A Neurotoxin Inhibits Non-Cholinergic Synaptic Transmission in Mouse Spinal Cord Neurons in Culture, Brain Research 360; 318-324; 1985; Habermann E., Inhibition by Tetanus and Botulinum A Toxin of the release of [3H]Noradrenaline and [3H]GABA From Rat Brain Homogenate, Experientia 44; 224-226: 1988, Bigalke H.ら, Tetanus Toxin and Botulinum A Toxin Inhibit Release and Uptake of Various Transmitters, as Studied with Particulate Preparations From Rat Brain and Spinal Cord, Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol 316; 244-251: 1981, および;Jankovic J.ら, Therapy With Botulinum Toxin, Marcel Dekker, Inc. (1994), 第5頁参照。
A型ボツリヌス毒素は、既知の手順に従って、培養槽におけるボツリヌス菌の培養を確立して、生育させ、その後、発酵混合物を集め、精製することによって得ることができる。すべてのボツリヌス毒素血清型は、神経活性となるためにはプロテアーゼによって切断またはニッキングされなければならない不活性な単鎖タンパク質として最初に合成される。A型およびG型のボツリヌス毒素血清型を産生する細菌株は内因性プロテアーゼを有するので、A型およびG型の血清型は細菌培養物から主にその活性型で回収することができる。これに対して、C1型、D型およびE型のボツリヌス毒素血清型は非タンパク質分解性菌株によって合成されるので、培養から回収されたときには、典型的には不活性型である。B型およびF型の血清型はタンパク質分解性菌株および非タンパク質分解性菌株の両方によって産生されるので、活性型または不活性型のいずれでも回収することができる。しかし、例えば、B型ボツリヌス毒素を産生するタンパク質分解性菌株でさえも、産生された毒素の一部を切断するだけである。
切断型分子と非切断型分子との正確な比率は培養時間の長さおよび培養温度に依存する。したがって、例えばB型ボツリヌス毒素の製剤はいずれも一定割合が不活性であると考えられ、このことが、A型ボツリヌス毒素と比較したB型ボツリヌス毒素の知られている著しく低い効力の原因であると考えられる。臨床製剤中に存在する不活性なボツリヌス毒素分子は、その製剤の総タンパク質量の一部を占めることになるが、このことはその臨床的効力に寄与せず、抗原性の増大に関連づけられている。また、B型ボツリヌス毒素は、筋肉内注射された場合、同じ用量レベルのA型ボツリヌス毒素よりも、活性の継続期間が短く、そしてまた効力が低いことも知られている。
ボツリヌス菌のHall A株から、≧3×10U/mg、A260/A2780.60未満、およびゲル電気泳動における明確なバンドパターンという特性を示す高品質結晶A型ボツリヌス毒素を生成し得る。Shantz,E.J.ら、Properties and use of Botulinum toxin and Other Microbial Neurotoxins in Medicine、Microbiol Rev.56:80−99(1992)に記載されているように既知のShanz法を用いて結晶A型ボツリヌス毒素を得ることができる。通例、A型ボツリヌス毒素複合体を、適当な培地中でA型ボツリヌス菌を培養した嫌気培養物から分離および精製し得る。この既知の方法を用い、非毒素タンパク質を分離除去して、例えば次のような純ボツリヌス毒素を得ることもできる:比効力1〜2×10LD50U/mgまたはそれ以上の分子量約150kDの精製A型ボツリヌス毒素;比効力1〜2×10LD50U/mgまたはそれ以上の分子量約156kDの精製B型ボツリヌス毒素;および比効力1〜2×10LD50U/mgまたはそれ以上の分子量約155kDの精製F型ボツリヌス毒素。
ボツリヌス毒素および/またはボツリヌス毒素複合体は、List Biological Laboratories,Inc.(キャンベル、カリフォルニア);the Centre for Applied Microbiology and Research(ポートン・ダウン、イギリス);Wako(日本、大阪);Metabiologics(マディソン、ウィスコンシン);およびSigma Chemicals(セントルイス、ミズーリ)から入手し得る。
純粋なボツリヌス毒素は非常に不安定なので、通例、医薬組成物の調製には用いられない。更に、ボツリヌス毒素複合体、例えばA型毒素複合体は、表面変性、熱およびアルカリ性条件による変性に対しても非常に感受性である。不活性化毒素はトキソイドタンパク質を形成し、これは免疫原性であり得る。その結果生じる抗体の故に、患者が毒素注射に対して応答しなくなり得る。
酵素一般について言えるように、ボツリヌス毒素(細胞内ペプチダーゼ)の生物学的活性は、少なくとも部分的にはその三次元形状に依存する。すなわち、A型ボツリヌス毒素は、熱、種々の化学薬品、表面の伸長および表面の乾燥によって無毒化される。しかも、既知の培養、発酵および精製によって得られた毒素複合体を、医薬組成物に使用する非常に低い毒素濃度まで希釈すると、適当な安定剤が存在しなければ毒素の無毒化が急速に起こることが知られている。毒素をmg量からng/ml溶液へ希釈するのは、そのような大幅な希釈によって毒素の比毒性が急速に低下する故に、非常に難しい。毒素含有医薬組成物を製造後、何箇月も、または何年も経過してから毒素を使用することもあるので、毒素をアルブミンおよびゼラチンのような安定剤で安定化することができる。
市販のボツリヌス毒素含有医薬組成物は、BOTOX(登録商標)(カリフォルニア、アーヴィンのAllergan,Inc.から入手可能)の名称で市販されている。BOTOX(登録商標)は、精製A型ボツリヌス毒素複合体、アルブミンおよび塩化ナトリウムから成り、無菌の減圧乾燥形態で包装されている。このA型ボツリヌス毒素は、N−Zアミンおよび酵母エキスを含有する培地中で増殖させたボツリヌス菌のHall株の培養物から調製する。そのA型ボツリヌス毒素複合体を培養液から一連の酸沈殿によって精製して、活性な高分子量毒素タンパク質および結合ヘマグルチニンタンパク質から成る結晶複合体を得る。結晶複合体を、塩およびアルブミンを含有する溶液に再溶解し、滅菌濾過(0.2μ)した後、減圧乾燥する。減圧乾燥生成物は、-5℃またはそれ以下の冷凍庫内で保存する。BOTOX(登録商標)は、筋肉内注射前に、防腐していない無菌塩類液で再構成し得る。BOTOX(登録商標)の各バイアルは、A型ボツリヌス毒素精製神経毒複合体約100単位(U)、ヒト血清アルブミン0.5mgおよび塩化ナトリウム0.9mgを、防腐剤不含有の無菌減圧乾燥形態で含有する。
減圧乾燥BOTOX(登録商標)を再構成するには、防腐剤不含有の無菌生理食塩水;0.9%Sodium Chloride Injectionを使用し、適量のその希釈剤を適当な大きさの注射器で吸い上げる。BOTOX(登録商標)は、泡立てまたは同様の激しい撹拌によって変性しうるので、そのバイアルに希釈剤を穏やかに注入する。滅菌性の理由から、BOTOX(登録商標)は、バイアルを冷凍庫から取り出して再構成した後4時間以内に投与することが好ましい。その4時間の間、再構成BOTOX(登録商標)は冷蔵庫(約2〜8℃)内で保管しうる。再構成し冷蔵したBOTOX(登録商標)は、その効力を少なくとも約2週間維持することが報告されている。Neurology, 48:249-53:1997。
A型ボツリヌス毒素は下記のように臨床的に使用されている:
(1)頸部ジストニーを処置するための筋肉内注射(多数の筋肉)あたり約75単位〜125単位のBOTOX(登録商標);
(2)眉間のしわを処置するための筋肉内注射あたり約5単位〜10単位のBOTOX(登録商標)(5単位が鼻根筋に筋肉内注射され、10単位がそれぞれの皺眉筋に筋肉内注射される);
(3)恥骨直腸筋の括約筋内注射による便秘を処置するための約30単位〜80単位のBOTOX(登録商標);
(4)上瞼の外側瞼板前部眼輪筋および下瞼の外側瞼板前部眼輪筋に注射することによって眼瞼痙攣を処置するために筋肉あたり約1単位〜5単位の筋肉内注射されるBOTOX(登録商標);
(5)斜視を処置するために、外眼筋に、約1単位〜5単位のBOTOX(登録商標)が筋肉内注射されている。この場合、注射量は、注射される筋肉のサイズと所望する筋肉麻痺の程度(すなわち、所望するジオプター矯正量)との両方に基づいて変化する。
(6)卒中後の上肢痙性を処置するために、下記のように5つの異なる上肢屈筋にBOTOX(登録商標)が筋肉内注射される:
(a)深指屈筋:7.5U〜30U
(b)浅指屈筋:7.5U〜30U
(c)尺側手根屈筋:10U〜40U
(d)橈側手根屈筋:15U〜60U
(e)上腕二頭筋:50U〜200U。5つの示された筋肉のそれぞれには同じ処置時に注射されるので、患者には、それぞれの処置毎に筋肉内注射によって90U〜360Uの上肢屈筋BOTOX(登録商標)が投与される。
(7)偏頭痛を治療するために、25UのBOTOX(登録商標)を頭蓋周囲に注射する(眉間、前頭および側頭筋に対称的に注射する):該注射は、偏頭痛頻度、最大重症度、付随嘔吐および急性薬剤使用の減少(25U注射後の3ヶ月間にわたる)によって評価した場合に、ビヒクルと比較して、偏頭痛の予防療法として有意な利益を与える。
さらに、筋肉内ボツリヌス毒素は、パーキンソン病の患者の振せんの治療にも使用されているが、結果は顕著でないことが報告されている。Marjama-Jyons,J.ら、"Tremor-Predominant Parkinson's Disease",Drugs & Aging 16(4), 273-278, 2000。
ボツリヌス毒素A型は、最大12ヶ月の有効性を有し(European J.Neurology 6(Supp 4), S111-S1150, 1999)、ある場合には27ヶ月間にもわたる有効性を有しうることが既知である(Laryngoscope 109, 1344-1346, 1999)。しかし、BOTOX(登録商標)筋肉注射の通常の持続期間は一般に約3〜4ヶ月間である。
種々の臨床症状の治療におけるボツリヌス毒素A型の成功は、他のボツリヌス毒素血清型への関心を高めている。商業的に入手可能な2つのヒト用ボツリヌス毒素A型調製物は、BOTOX(登録商標)(カリフォルニア、アーヴィンのAllergan, Inc.から市販されている)およびDysport(登録商標)(イギリス、ポートン・ダウンのBeaufour Ipsenから市販されている)である。B型ボツリヌス毒素の調製物(MyoBloc、登録商標)は、カリフォルニア、サンフランシスコのElan Pharmaceuticalsから市販されている。
末梢部位における薬理作用を有する他に、ボツリヌス毒素は、中枢神経系における阻害作用も有しうる。Weigandら[Nauny-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol. 1976, 292,161-165]、およびHabermann[Nauny-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol. 1974, 281,47-56]の研究は、ボツリヌス毒素が逆行性輸送によって脊髄領域へ上行しうることを示している。従って、末梢部位(例えば筋肉内)に注射されたボツリヌス毒素は、脊髄に逆行輸送されうる。
米国特許第5989545号は、特定の標的化成分に化学的に結合させるかまたは組換え的に融合させた改質クロストリジウム属神経毒またはそのフラグメント、好ましくはボツリヌス毒素を使用して、脊髄に薬剤を投与することによって痛みを治療できることを開示している。
アセチルコリン
典型的には、単一タイプの小分子の神経伝達物質のみが、哺乳動物の神経系において各タイプのニューロンによって放出される。神経伝達物質アセチルコリンが脳の多くの領域においてニューロンによって分泌されているが、具体的には運動皮質の大錐体細胞によって、基底核におけるいくつかの異なるニューロンによって、骨格筋を神経支配する運動ニューロンによって、自律神経系(交感神経系および副交感神経系の両方)の節前ニューロンによって、副交感神経系の節後ニューロンによって、そして交感神経系の一部の節後ニューロンによって分泌されている。本質的には、汗腺、立毛筋および少数の血管に至る節後交感神経線維のみがコリン作動性であり、交感神経系の節後ニューロンの大部分は神経伝達物質のノルエピネフリンを分泌する。ほとんどの場合、アセチルコリンは興奮作用を有する。しかし、アセチルコリンは、迷走神経による心臓の抑制のように、抑制作用を一部の末梢副交感神経終末において有することが知られている。
自律神経系の遠心性シグナルは交感神経系または副交感神経系のいずれかを介して身体に伝えられる。交感神経系の節前ニューロンは、脊髄の中間外側角に存在する節前交感神経ニューロン細胞体から伸びている。細胞体から伸びる節前交感神経線維は、脊椎傍交感神経節または脊椎前神経節のいずれかに存在する節後ニューロンとシナプスを形成する。交感神経系および副交感神経系の両方の節前ニューロンはコリン作動性であるので、神経節にアセチルコリンを適用することにより、交感神経および副交感神経の両方の節後ニューロンが興奮し得る。
アセチルコリンは、ムスカリン性受容体およびニコチン性受容体の2種類の受容体を活性化する。ムスカリン性受容体は、副交感神経系の節後ニューロンによって刺激されるすべてのエフェクター細胞において、また、交感神経系の節後コリン作動性ニューロンに刺激されるエフェクター細胞において見られる。ニコチン性受容体は、副腎髄質、ならびに自律神経節内、すなわち交感神経系および副交感神経系の両方の節前ニューロンと節後ニューロンとの間のシナプスにおける節後ニューロンの細胞表面に見られる。ニコチン性受容体はまた、多くの非自律神経終末、例えば神経筋接合部における骨格筋繊維の膜にも存在する。
アセチルコリンは、小さい透明な細胞内小胞がシナプス前のニューロン細胞膜と融合したときにコリン作動性ニューロンから放出される。非常に様々な非ニューロン分泌細胞、例えば副腎髄質(PC12細胞株と同様に)および膵臓の島細胞が、それぞれカテコールアミン類および上皮小体ホルモンを大きな高密度コア小胞から放出する。PC12細胞株は、交感神経副腎発達の研究のために組織培養モデルとして広範囲に使用されているラットのクロム親和性細胞腫細胞のクローンである。ボツリヌス毒素は、(エレクトロポレーションによるように)透過性にされた場合、または脱神経支配細胞に毒素を直接注射することによって、両タイプの細胞からの両タイプの化合物の放出をインビトロで阻害する。ボツリヌス毒素はまた、皮質シナプトソーム細胞培養物からの神経伝達物質グルタメートの放出を阻止することが知られている。
神経筋接合部は、筋肉細胞への軸索の近接によって、骨格筋において形成される。神経系を介して伝達される信号は、イオンチャンネルを活性化して末端軸索における活動電位を生じ、例えば神経筋接合部の運動終板において、ニューロン内シナプス小胞からの神経伝達物質アセチルコリンの放出を生じる。アセチルコリンは、細胞外空間を通って、筋肉終板の表面のアセチルコリン受容体タンパク質と結合する。一旦、充分な結合が生じると、筋肉細胞の活動電位は、特異性膜イオンチャンネル変化を生じ、筋肉細胞収縮を生じる。次に、アセチルコリンが筋肉細胞から放出され、細胞外空間においてコリンエステラーゼによって代謝される。代謝産物は、さらなるアセチルコリンに再処理するために末端軸索に再循環される。
従って、求められているものは、活性の持続期間が長く、投与された選ばれた頭蓋内標的組織からの拡散速度が低く、また、治療的用量レベルでの全身的作用がわずかであるという特徴を有する医薬品を投与することによって神経精神医学的障害を効果的に処置するための方法である。
本発明は、このような要求を満たしており、そして、活性の持続期間が長く、投与された頭蓋内組織からの拡散速度が低く、また、処置用量レベルでの全身的作用が問題にならないという特徴を有する神経毒を頭蓋内投与することによって神経精神医学的障害を効果的に処置するための方法を提供する。
下記の定義が本発明では適用される:
「約」は、おおよそまたは近いことを意味し、本発明において示される数値または数値範囲に関しては、記載の数値または数値範囲の±10%であることを意味する。
「局所投与」は、動物身体表面または動物身体内の部位またはその近傍に医薬品を直接的に投与することを意味し、この場合、そのような部位において、医薬品の生物学的作用が所望される。局所投与には、静脈内投与または経口投与などの全身的な経路の投与は含まれない。
「神経毒」は、ニューロン細胞表面受容体に対する特異的な親和性を有する生物学的に活性な分子を意味する。神経毒には、クロストリジウム毒素(純粋な毒素としての毒素、および、1つ以上の非毒素毒素関連タンパク質との複合体化体としての毒素の両方)が含まれる。
「頭蓋内」は、頭蓋骨内、あるいは、脊髄の背側末端またはその近くを意味し、髄、脳幹、脳橋、小脳および大脳を含む。
神経精神医学的障害を処置するための方法は、神経毒を患者に頭蓋内投与する工程を含む。神経毒は、障害の少なくとも1つの症状を軽減するために処置有効量で投与される。神経毒は、神経毒にさらされたニューロンからの神経伝達物質の分泌を減少させることによって、障害に関連する症状を軽減する。
好適な神経毒は、細菌により産生される神経毒であり得る。例えば、神経毒は、ボツリヌス菌、Clostridium butyricumまたはClostridium berattiから産生され得る。本発明のいくつかの実施形態において、神経精神医学的障害は、ボツリヌス毒素を患者に頭蓋内投与することによって処置される。ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素、B型ボツリヌス毒素、C1型ボツリヌス毒素、D型ボツリヌス毒素、E型ボツリヌス毒素、F型ボツリヌス毒素またはG型ボツリヌス毒素であり得る。ボツリヌス毒素は約10-3U/kg〜約10U/kgの間の量で投与され得る。ボツリヌス毒素の効果は約1ヶ月〜5年にわたって持続し得る。
他の神経毒には、組換え産生された神経毒、例えば、大腸菌により産生されるボツリヌス毒素が含まれる。さらに、または、あるいは、神経毒は、修飾型神経毒、すなわち、天然の神経毒と比較した場合、そのアミノ酸の少なくとも1つが欠失または修飾または置換されている神経毒であり得、または、修飾型神経毒は、組換え産生された神経毒またはその誘導体もしくはフラグメントであり得る。該神経毒は依然、神経伝達物質の放出を阻害することができる。
神経毒は、処置される障害に関与すると考えられる脳内部位に投与される。神経毒は、例えば、下方脳領域、例えば脳橋領域、脳脚橋核、青斑または腹側被蓋領域に投与することができる。神経毒は、活動過多な神経伝達物質放出に関連する症状を軽減することができる。神経毒はまた、障害を軽減するために、2つのニューロン系の間の均衡を回復させることができる。患者に投与された神経毒は、コリン作動性ニューロンからのアセチルコリン放出を阻害することができ、ドーパミン作動性ニューロンからのドーパミン放出を阻害することができ、ノルアドレナリン作動性ニューロンからのノルエピネフリンの放出を阻害することができる。
本明細書中に開示される方法に従って処置される神経精神医学的障害には、統合失調症、アルツハイマー病、躁病および不安が含まれるが、これらに限定されない。神経毒は、神経精神医学的障害(例えば、統合失調症など)に関連する陽の症状を軽減することができ、投与後数時間以内に症状を軽減させることができる。
本発明者は、驚くべきことに、ボツリヌス毒素(例えば、A型ボツリヌス毒素など)を、ヒト患者が経験する神経精神医学的障害を軽減するために10-4U/kg〜約10U/kgの間の量で頭蓋内投与し得ることを見出した。好ましくは、使用されるボツリヌス毒素は約10-3U/kg〜約1U/kgの間の量で頭蓋内投与される。最も好ましくは、ボツリヌス毒素は約0.1単位〜約5単位の間の量で投与される。重要なことに、本発明の開示された方法の神経精神医学的障害軽減効果は、神経毒の水溶液が投与されたときには約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって、また、神経毒が制御放出インプラントとして投与されたときには約5年までにわたって持続し得る。
本発明の範囲内に含まれる別の好ましい方法は、患者の機能を改善するための方法である。この方法は、神経毒を患者に頭蓋内投与し、それにより、痛みの軽減、ベッドで過ごす時間の減少、歩行の増大、より健康的な態度、およびより多様な生活スタイルといった要素の1つまたは複数の改善によって明らかにされるように、患者の機能を改善する過程を含む。
本発明は、神経毒の頭蓋内投与により、様々な異なる神経精神医学的障害からの顕著な長く続く緩和がもたらされ得るという発見に基づいている。頭蓋内投与により、神経毒を、障害に関与するニューロンに対する直接的な作用を有する患者頭骨内の部位に局所的に投与することが可能になり、また、血液脳幹門を神経毒が通過することに伴う合併症が回避される。従って、頭蓋内投与は、全身的投与経路により達成されるよりも大きい、脳領域への神経毒の局所投薬量をもたらし、また、現在の治療剤の全身的投与に伴う非特異性を回避する。実際、ボツリヌス毒素などの神経毒の全身的投与は、ボツリヌス毒素が患者の全身循環に入ることから生じ得る重篤な合併症(すなわち、ボツリヌス中毒)の故に否定的である。
本明細書中に開示される本発明に従って使用される神経毒は、神経精神医学的障害に関与する選択されたニューロン群の間の化学的シグナルまたは電気シグナルの伝達を阻害する神経毒である。神経毒は、好ましくは、神経毒にさらされる細胞に対して細胞傷害性でない。神経毒は、神経毒にさらされたニューロンからの神経伝達物質のエキソサイトーシスを低下させるか、またはそのようなエキソサイトーシスを防止することによって神経伝達を阻害することができる。あるいは、神経毒は、毒素にさらされたニューロンの活動電位の生成を阻害することによって神経伝達を低下させることができる。神経毒によってもたらされる抑制効果は、比較的長期間にわたって、例えば、2ヶ月以上にわたって、また、潜在的には数年間にわたって持続するべきである。
神経精神医学的障害を処置するために使用される神経毒の例には、ボツリヌス菌、Clostridium butyricumおよびClostridium berattiなどのクロストリジウム属細菌が産生する神経毒が含まれるが、これらに限定されない。さらに、本発明の方法において使用される神経毒は、A型ボツリヌス毒素、B型ボツリヌス毒素、C型ボツリヌス毒素、D型ボツリヌス毒素、E型ボツリヌス毒素、F型ボツリヌス毒素およびG型ボツリヌス毒素からなる群から選択されるボツリヌス毒素であり得る。本発明の1つの実施形態において、患者に投与される神経毒はA型ボツリヌス毒素である。A型ボツリヌス毒素は、ヒトにおけるその効力が大きく、容易に得ることができ、また、筋肉内注射による局所投与による骨格筋障害および平滑筋障害の処置についての使用が知られているために望ましい。
本発明にはまた、(a)細菌培養、毒素抽出、濃縮、保存、凍結乾燥および/または再構成によって得られるか、もしくはそれらによって処理される神経毒;および/または(b)修飾もしくは組換えされた神経毒、すなわち、1つ以上のアミノ酸もしくはアミノ酸配列が、知られている化学的/生化学的なアミノ酸修飾手順により、もしくは、知られている宿主細胞/組換えベクターの組換え技術の使用により意図的に欠失もしくは修飾もしくは置換されている神経毒、そして同様にそのようにして得られた神経毒の誘導体またはフラグメント、の使用が含まれる。これらの神経毒変化体は、ニューロン間の神経伝達を阻害する能力を保持すべきであり、これらの変化体のいくつかは、天然の神経毒と比較して、増大した阻害作用持続時間をもたらすことができ、または、神経毒にさらされるニューロンに対する高まった結合特異性をもたらすことができる。これらの神経毒変化体は、従来のアッセイを使用して変化体をスクリーニングして、神経伝達を阻害する所望される生理学的作用を有する神経毒を同定することによって選択することができる。
本発明に従って使用されるボツリヌス毒素は、真空下での容器における凍結乾燥、真空乾燥形態で、または安定な液体として保存することができる。凍結乾燥前に、ボツリヌス毒素は、医薬的に許容され得る賦形剤、安定剤および/または担体(例えば、アルブミンなど)と組み合わせることができる。凍結乾燥物は、患者に投与するボツリヌス毒素を含有する溶液または組成物を調製するために、生理的食塩水または水で再構成することができる。
組成物は、神経伝達を抑制するための主成分として、1つのタイプの神経毒(例えば、A型ボツリヌス毒素など)を単に含有し得るだけであるが、他の処置用組成物は、障害の増強された処置効果をもたらし得る2つ以上のタイプの神経毒を含むことができる。例えば、患者に投与される組成物はA型ボツリヌス毒素およびB型ボツリヌス毒素を含むことができる。2つの異なる神経毒を含有する単一組成物を投与することにより、神経毒のそれぞれの効果的な濃度を、所望される処置効果を依然として達成しながら、1つの神経毒が患者に投与された場合よりも低くすることが可能になり得る。患者に投与される組成物はまた、他の医薬的に活性な成分、例えば、タンパク質受容体またはイオンチャンネルの調節因子などを、神経毒(1つまたは複数)と組み合わせて含有することができる。これらの調節因子は、様々なニューロンの間での神経伝達の低下に寄与し得る。
例えば、組成物は、GABAA受容体により媒介される抑制作用を高めるγ-アミノ酪酸(GABA)A型受容体調節因子を含有することができる。GABAA受容体は、細胞膜を横断する電流の流れを効果的にそらすことによってニューロン活性を阻害する。GABAA受容体調節因子はGABAA受容体の抑制作用を高めることができ、また、ニューロンからの電気シグナルまたは化学的シグナルの伝達を低下させることができる。GABAA受容体調節因子の例には、ベンゾジアゼピン系薬剤、例えば、ジアゼパム、オキサキセパム、ロラゼパム、プラゼパム、アルプラゾラム、ハラゼアパム、クロルジアゼポキシドおよびクロルアゼペートなどが含まれる。
組成物はまた、グルタメート受容体により媒介される興奮作用を低下させるグルタメート受容体調節因子を含有することができる。グルタメート受容体調節因子の例には、AMPA型、NMDA型および/またはカイネート型のグルタメート受容体を介する電流の流れを阻害する薬剤が含まれる。組成物はまた、ドーパミン受容体を調節する薬剤(例えば、抗精神病薬など)、ノルエピネフリン受容体を調節する薬剤、および/またはセロトニン受容体を調節する薬剤を含むことができる。組成物はまた、電位依存性のカルシウムチャンネル、カリウムチャンネルおよび/またはナトリウムチャンネルを介するイオン流に影響を及ぼす薬剤を含むことができる。従って、神経精神医学的障害を処置するために使用される組成物は、1つまたは複数の神経毒(例えば、ボツリヌス毒素など)に加えて、神経伝達を低下させ得るイオンチャンネル受容体調節因子を含むことができる。
神経毒は、主治医により決定されるように、任意の好適な方法によって頭蓋内に投与することができる。そのような投与方法により、神経毒を、選択した標的組織に局所的に投与することが可能になる。投与方法には、上記で記載されたように神経毒を含有する溶液または組成物の注入が含まれ、また、標的組織に神経毒を調節的に放出する制御された放出システムの埋め込みが含まれる。そのような制御された放出システムにより、反復した注入の必要性が低下させられる。組織内におけるボツリヌス毒素の生物学的活性の拡散は用量に相関するようであり、段階的であり得る。Jankovic J.他、Therapy With Botulinum Toxin、Marcel Dekker, Inc. (1994)、150頁。従って、ボツリヌス毒素の拡散を、患者の認知能力に影響を及ぼし得る潜在的に望ましくない副作用を低下させるために制御することができる。例えば、神経毒を、神経毒が、神経精神医学的障害に関与すると考えられる神経系に主に作用し、かつ、他の神経系(例えば、一次感覚系など)に対しては負の有害な作用を有しないように投与することができる。
さらに、神経毒は、標的組織環境のpHを局所的に低下させる溶液または組成物と組み合わせて患者に投与することができる。例えば、塩酸を含有する溶液は、標的組織環境のpHを局所的かつ一時的に低下させて、神経毒が細胞膜を横断して輸送されることを容易にするために使用することができる。局所的pHの低下は、組成物が、機能的な標的化成分(例えば、神経毒素受容体に結合する毒素の一部、および/または移行ドメイン)を有しないことがある神経毒素のフラグメントを含有するときには望ましいと考えられる。例として、そして、限定としてではなく、ボツリヌス毒素のタンパク質分解ドメインを含むボツリヌス毒素フラグメントを、標的組織の局所的pHを低下させる薬剤と組み合わせて患者に投与することができる。何らかの特定の理論にとらわれることを望まないが、低pHは、神経毒フラグメントが細胞内においてその毒性作用を発揮し得るように、細胞膜を横断するタンパク質分解ドメインの移行を容易にし得ると考えられる。標的組織のpHは、ニューロンおよび/または神経膠の傷害を少なくするように一時的に低下させられるだけである。
同様に、所望する治療効果を達成するために、神経毒を頭蓋内に投与することができ、かつ、血液脳関門を横断することができる他の薬剤(例えば、抗精神病薬など)を含有する組成物を静脈内投与などによって全身的投与することができる。
神経毒はまた、頭蓋内インプラントを使用して頭蓋内に投与することができる。様々な頭蓋内インプラントが様々な状態のために使用されている。例えば、定位固定的に埋め込まれた一時的なヨウ素-125間質カテーテルを、悪性の神経膠腫を処置するために使用することができる。Scharfen, C.O.他、神経膠腫のための高活性ヨウ素-125間質インプラント、Int. J. Radiation Oncology Bio Phys、24(4); 583-591:1992。さらに、低用量の125Iが散布された永続的な頭蓋内カテーテルインプラントが、脳腫瘍を処置するために使用されている。Gaspar他、再発性悪性神経膠腫に対する永続的な125Iインプラント、Int J Radiation Oncology Bio Phys、43(5); 977-982:1999。同様に、66章、577頁〜580頁、Bellezza D.他、定位固定による間質の短距離放射線療法(Gildenberg P.L. 他、Textbook of Stereotactic and Functional Neurosurgery、McGraw-Hill (1998))も参照のこと。
手術により埋め込まれた生分解性インプラントが、抗ガン薬を局所的に投与して、悪性神経膠腫を処置するために利用されている。例えば、3-ビス(クロロ-エチル)-1-ニトロソウレア(BCNU)(カルムスチン)を含有するポリ無水物ウェファーが頭蓋内インプラントとして使用されている。Brem, H.他、新たに診断された悪性神経膠腫の処置における、放射線療法を伴うBCNU負荷ポリマーによる間質化学療法の安全性:第I相試験、J Neuro-Oncology、26:111-123:1995。
ポリ無水物ポリマーのGliadel(登録商標)(Stolle R & D, Inc.、Cincinnati、OH)(これは20:80の比率でのポリカルボキシフェノキシプロパンとセバシン酸との共重合体である)が、インプラントを作製するために使用されており、また、悪性神経膠腫を処置するために頭蓋内に埋め込まれている。ポリマーおよびBCNUを、塩化メチレンに同時に溶解し、マイクロスフェアにスプレー乾燥することができる。その後、マイクロスフェアは、直径が1.4cmで、厚さが1.0mmのディスクに圧縮成形によって圧縮され、窒素雰囲気下でアルミニウムホイルポーチに包装され、2.2メガラッドのγ線によって滅菌され得る。このポリマーは2週間〜3週間の期間にわたってカルムスチンの放出を可能にする。だが、ポリマーの大部分が分解するためには1年以上を要し得る。Brem, H.他、再発性神経膠腫に対する化学療法の生分解性ポリマーによる術中制御送達の安全性および効力のプラセボ対照試験、Lancet、345;1008-1012:1995。
本明細書中に開示される方法を実施する際に有用なインプラントを調製するために、所望する量の安定化された神経毒(例えば、再構成されていないBOTOX(登録商標)など)を、塩化メチレンに溶解された好適なポリマーの溶液に混合することができる。溶液は室温で調製することができる。その後、溶液をペトリ皿に移して、塩化メチレンを真空デシケーター内で蒸発させることができる。所望されるインプラントサイズに従って、そしてそれ故神経毒の配合量に依存して、乾燥された神経毒配合インプラントの好適な量を、約8000p.s.i.で5秒間または3000p.s.i.で17秒間、鋳型で圧縮成形して、神経毒を含むインプラントディスクを形成する。例えば、Fung L.K.他、サル脳における生分解性ポリマーインプラントからのカルムスチン4-ヒドロペルオキシシクロホスファミドおよびパクリタキセルの間質送達の薬物動態学、Cancer Research、58;672-684:1998。
ボツリヌス毒素などの神経毒の局所的な頭蓋内送達は毒素の大きい局所的処置レベルをもたらすことができ、また、何らかの全身的毒性の発生を著しく防止することができる。これは、ボツリヌス毒素などの多くの神経毒は非常に大きく、血液脳関門を通過することができないからである。頭蓋内部位に対する神経毒の長期間の局所的送達が可能である制御放出ポリマーは、全身的毒性および血液脳関門により余儀なくされる制限を避けることができ、また、頭蓋内の標的組織への効果的な投薬を可能にすることができる。好適なインプラントは、米国特許第6,306,423号(発明の名称:神経毒インプラント)に示されるようなものであり、制御放出ポリマーによる脳の標的組織に対する化学療法剤の直接的な導入を可能にする。使用するインプラントポリマーは、好ましくは、毒素が標的組織環境内に放出されるまで、ポリマーに配合された神経毒が、水により誘導される分解から保護されるように、疎水性である。
神経精神医学的障害に関連する症状に関与すると考えられるニューロンを有する脳の核への注入またはインプラントによる、本発明に従ったボツリヌス毒素の局所的な頭蓋内投与は、神経精神医学的障害に関連する症状を軽減するために、患者への医薬品の全身的投与に優る代替法を提供する。
患者に神経毒を投与するための標的部位は、定位設置装置を使用することによって標的化することができる。例えば、神経毒を含有するインプラント、または神経毒を含有するニードルを、Riechert-MundingerユニットおよびZD(Zamorano-Dujovny)多目的位置決定ユニットを使用して、所望される標的部位に定位的に配置することができる。コントラスト増強コンピューター断層撮影法(CT)スキャン(120mlのオムニパク、350mg/mlのヨウ素を注入、2mmの断面厚)により、三次元での多平面処置計画(STP、Fischer Freiburg、ドイツ)を可能にし得る。この装置は、磁気共鳴画像化研究に基づく計画を可能にし、これにより、CTおよびMRIの標的情報が、明瞭な標的確認のために統合される。
他の定位システムもまた使用することができ、例えば、これらには、GE CTスキャナー(General Electric Company、Milwaukee、WI)との使用のために改変されたLeksell定位システム(Downs Surgical, Inc.、Decatur、GA)、ならびにBrown-Roberts-Wells(BRW)定位システム(Radionics、Burlington、MA)が含まれる。BRW定位フレームの環状ベースリングを患者の頭骨に取り付けることができる。連続CT断面を、ベースプレートに固定されたグラファイトロッドのローカライザーフレームを用いて、(標的組織)領域の端から端まで3mmの間隔で得ることができる。コンピューター処理された処置計画プログラムを、CT空間とBRW空間との間をマッピングするためにグラファイトロッド像のCT座標を使用して、VAX 11/780コンピューター(Digital Equipment Corporation、Maynard、MA)で動かすことができる。
何らかの特定の理論にとらわれることを望まないが、1つの機構が、本発明に従って実行される方法の処置効果に関して提案され得る。従って、例えば、ボツリヌス毒素などの神経毒はいくつかの異なるCNS神経伝達物質(例えば、アセチルコリン)のニューロンエキソサイトーシスを阻害することができる。コリン作動性ニューロンが脳全体に存在することが知られている。さらに、コリン作動性の核が、感情、行動および他の認知機能に関与する脳領域への突出部を伴って、基底核または脳基底部に存在する。従って、本発明の方法の標的組織は、脳のコリン作動性の系(例えば、基底核または脳脚橋核など)の、神経毒により誘導される可逆的な脱神経(denervation)を含むことができる。例えば、コリン作動性の核への神経毒の注入または埋め込みは、(1)脳脚橋核から腹側被蓋領域内に突き出るコリン作動性終端に対する毒素の作用による、コリン作動性ニューロンの標的部位からのドーパミン作動性放出のダウンレギュレーション;および(2)腹側被蓋領域に突き出るコリン作動性ニューロンに対する毒素の作用により腹側被蓋領域出力を弱めること、を生じさせることができる。
本発明のために提案された別の機構では、非アセチルコリン神経伝達物質のエキソサイトーシスの阻害が含まれる。例えば、ボツリヌス毒素などの神経毒のタンパク質分解ドメインがニューロンに取り込まれたとき、毒素は、そのニューロンからの何らかの神経伝達物質の放出を阻害すると考えられている。従って、神経毒を、実質的な数のドーパミン作動性ニューロンを含有する核に投与することができ、その結果、神経毒は、そのようなニューロンからのドーパミンの放出を効果的に阻害する。同様に、神経毒を他の核に投与することができ、例えば、セロトニンのエキソサイトーシスを阻害するために縫線核に、また、ノルエピネフリンのエキソサイトーシスを阻害するために青斑核に投与することができる。
本発明に従った標的組織への頭蓋内投与のために選択される神経毒の量は、処置される神経精神医学的症状、その重篤度、脳組織関与または処置の程度、選ばれた神経毒毒素の溶解性特性、ならびに、患者の年齢、性別、体重および健康状態などの判断基準に基づいて変化し得る。例えば、影響を受ける脳組織の領域の大きさは、注入された神経毒の体積に比例し、一方で、抑制効果の大きさは、ほとんどの用量範囲について、注入された神経毒の濃度に比例すると考えられる。適切な投与経路および投薬量を決定するための様々な方法が、一般には、主治医によって場合毎に決定される。そのような決定は当業者にとっては日常的である(例えば、Harrison's Principles of Internal Medicine(1998)(Anthony Fauci他編、第14版、発行:McGraw Hill)を参照のこと)。
ボツリヌス毒素などの神経毒は、約10-4U/kg〜約1U/kgの間の量で、本発明の開示された方法に従って頭蓋内に投与することができる。約10-4U/kgの用量により、小核に送達された場合、抑制効果を生じさせることができる。約10-4U/kg未満の用量の頭蓋内投与は著しい処置結果または持続した処置結果を生じさせない。1U/kgを超える神経毒(例えば、ボツリヌス毒素など)の頭蓋内用量は、そのような核に隣接する他の求心性ニューロン系または遠心性ニューロン系を脱神経化する著しい危険性をもたらし得る。しかしながら、これらの核の内部のニューロンは、神経筋接合部におけるニューロンほど、神経毒に対して感受性でないこともまた考えられる。従って、神経精神医学的障害に関与している頭蓋内標的組織への神経毒(例えば、ボツリヌス毒素など)の投与は、著しい認知機能不全を生じさせることなく、障害に関連する症状を効果的に減少させる。従って、本発明の方法は、望ましくない副作用が現在の全身的な処置療法よりも少ない、より選択的な処置を提供する。
処置される患者において震せん抑制効果を達成するようにボツリヌス毒素(例えば、A型ボツリヌス毒素など)を頭蓋内投与するための好ましい範囲は、約10-4U/kg〜約1U/kgである。約1042U/kg未満では、比較的小さいが、それでもなお観測可能な神経精神医学的症状抑制効果を生じさせることができる。処置される患者において所望の効果を達成するようにボツリヌス毒素(例えば、A型ボツリヌス毒素など)を頭蓋内投与するためのより好ましい範囲は、約10-3U/kg〜約1U/kgである。約10-3U/kg未満では、所望の処置効果が最適な持続期間または最長持続期間よりも短くなりうる。処置される患者において所望の震せん抑制効果を達成するようにボツリヌス毒素(例えば、A型ボツリヌス毒素など)を頭蓋内投与するための最も好ましい範囲は、約0.1単位〜約20単位である。この好ましい範囲でボツリヌス毒素(例えば、A型ボツリヌス毒素など)を頭蓋内投与することにより、劇的な処置的成功を得ることができる。
重要なことに、本発明の方法では、改善された患者機能を提供することができる。「改善された患者機能」は、痛みの軽減、ベッドで過ごす時間の減少、歩行の増大、より健康的な態度、より多様な生活スタイル、および/または、正常な筋緊張により認められる回復などの要因によって測定される改善として定義することができる。改善された患者機能は、改善された生活の質(QOL)と同義的である。QOLは、例えば、知られているSF-12またはSF-36の健康調査スコア化法を使用して評価することができる。SF-36では、身体的機能性、身体的問題による役割制限、社会的機能性、体の痛み、全体的な精神的健康状態、情緒的問題による役割制限、活力、および全体的な健康状態認識の8分野において患者の身体的および精神的な健康状態が評価される。得られたスコアは、様々な一般集団および患者集団について得ることができる発表された値と比較することができる。
上記で示されたように、本発明者は、神経精神医学的障害に苦しんでいる患者への神経毒の投与が、驚くべきことに、神経精神医学的障害の効果的かつ長く続く処置を提供し、また、障害に関連する症状を減少させることを発見した。その最も好ましい実施形態において、本発明は、A型ボツリヌス毒素の頭蓋内の注入または埋め込みによって実施される。
下記の実施例は、神経精神医学的障害を処置するための本発明によって包含される具体的な方法を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
頭蓋内標的組織の位置決定および方法論
定位法を、所望される標的組織に対する、水性形態物での、またはインプラントとしての神経毒の正確な頭蓋内投与のために使用することができる。従って、神経精神医学的障害を処置するための神経毒の頭蓋内投与を下記のように行うことができる。
患者の予備的なMRIスキャンを、前交連−後交連線の長さ、および外側骨確認点に対するその向きを得るために行うことができる。その後、フレームの基部を前交連−後交連線の面に合わせることができる。CT誘導が使用され、また、CT誘導は脳室撮影法によって補足され得る。後交連は2mmのCT断面で見ることができ、標的脳領域の位置を決定するための基準点として使用することができる。
標的組織位置決定の生理学的確認を、使用する長いニードルシリンジに付随または組み込まれた電極を介した高周波刺激および低周波刺激の使用によって行うことができる。先端が2mm露出した直径が1.6mmのサーミスター電極を使用することができる(Radionics、Burlington、Massachusetts)。電極による高周波刺激(75Hz)を用いて、感覚異常応答を、Radionics障害発生器(Radionics Radiofrequency Lesion Generator Model RFG3AV)を使用して、0.5〜1.0Vで前腕および手において誘発させることができる。低周波(5Hz)では、影響された手足における震せんの活性化または中断が2〜3Vで生じた。本発明の方法の場合、電極は、障害を生じさせるために使用されない。
標的組織位置決定の確認の後、神経毒を注入し、それにより、標的部位のニューロンの可逆的かつ化学的な脱神経化を生じさせることができる。典型的な注入は所望の単位数である(すなわち、約0.1ml〜約0.5mlの水または生理的食塩水において約0.1単位〜約5単位のA型ボツリヌス毒素複合体)。少ない注入体積を、標的からの毒素の拡散を最小限に抑えるために使用することができる。典型的には、神経伝達物質放出の阻害作用は約2ヶ月〜4ヶ月の内に消失することが予想され得る。従って、別の神経毒形態、すなわち、ポリマーインプラント内に配合された神経毒を、長期間(すなわち、約1年〜約6年)にわたって所望する位置における処置量の毒素の制御された連続的な放出をもたらすために使用することができ、それにより、毒素の反復注入の必要を避けられる。
いくつかの方法を、神経精神医学的症状の陽の症状を軽減するために、様々な頭蓋内標的に対して、例えば、コリン作動性神経伝達を低下させるために脳脚橋核に対して、または、ドーパミンの放出を低下させるために腹側被蓋領域に対して、神経毒の定位的に導かれた注入のために使用することができる。例えば、手術計画のための三次元(3D)T1強調画像、および、脳脚橋核または腹側被蓋領域の直接的な視覚化のための多断面T2強調画像に依拠する定位固定磁気共鳴画像化(MRI)法を、片側または両側STN注入のために電気生理学的記録および注入誘導と組み合わせて使用することができる。例えば、Bejjani, B.P.他、三次元定位固定磁気共鳴画像化および電気生理学的誘導を使用するパーキンソン病に対する両側視床下部刺激、J. Neurosurg、92(4);615-25:2000を参照のこと。
コンピューター支援によるアトラスに基づく機能的な神経外科方法論を、所望する神経毒を正確かつ精密に注入するために、または、神経毒の制御放出インプラントを正確かつ精密に埋め込むために使用することができる。そのような方法論は脳構造の三次元表示およびリアルタイム操作を可能にする。従って、3つのすべての直交配向での相互に事前登録された多数の脳アトラスを用いた神経外科計画が可能であり、これは、神経毒の注入または埋め込みのための標的特定の増大した正確性、領域の数を減らすことによる手術手技時間の短縮を可能にし、また、より精巧な過程の計画を容易にする。例えば、Nowinski, W.L.他、多数の脳アトラスデータベースの使用により増強されたコンピューター支援による定位固定の機能的神経手術、IEEE Trans Med Imaging、19(1);62-69:2000を参照のこと。
A型ボツリヌス毒素を用いた統合失調症の処置
48歳男性が、日常生活における低下した意欲および興味により来院する。この患者は、様々な声が聞こえると訴える。患者を6ヶ月間にわたって定期的にモニターする。症状はモニターリング期間を通して徐々に悪くなり、患者は統合失調症であると診断される。上記の実施例1に示されたように、CATスキャンまたはMRIにより支援された定位固定を使用して、2単位のA型ボツリヌス毒素(例えば、BOTOX(登録商標)または約8単位のDysport(登録商標))を脳脚橋核に注入する。患者は48時間以内に退院し、数日(1日〜7日)、統合失調症の陽の症状の著しい改善を享受する。統合失調症の陽の症状は約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって著しく軽減されたままである。治療的緩和を延ばす場合、好適な量のA型ボツリヌス毒素を含む1個以上のポリマーインプラントを標的組織部位に設置することができる。
B型ボツリヌス毒素を用いた統合失調症の処置
以前に統合失調症と診断され、それについて処置されている68歳女性が、新しい治療的処置を試みることを希望する。この女性は、ボツリヌス毒素治療を勧める医師の助言を求めている。上記の実施例1に示されたように、CATスキャンまたはMRIにより支援された定位固定を使用して、10単位〜約50単位のB型ボツリヌス毒素調製物(例えば、Neurobloc(登録商標)またはInnervateTM)を脳脚橋核に注入する。患者は48時間以内に退院し、数日(1日〜7日)、陽の症状の著しい改善を享受する。幻覚はほぼ完全に消失している。陽の症状は約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって著しく軽減されたままである。治療的緩和を延ばす場合、好適な量のB型ボツリヌス毒素を含む1個以上のポリマーインプラントを標的組織部位に設置することができる。
C1型〜G型ボツリヌス毒素を用いた統合失調症の処置
71歳女性が、乱れた思考パターンにより入院し、幻聴および幻視に悩まされている。0.1単位〜100単位のC1型、D型、E型、F型またはG型ボツリヌス毒素を、腹側被蓋領域に対する興奮性のコリン作動性突出部を化学的に脱神経化するために脳脚橋核に注入する。上記の実施例1に示されたように、CATスキャンまたはMRIにより支援された定位固定を、脳室造影法により補足して、使用する。患者は48時間以内に退院し、数日(1日〜7日)、震せんの著しい寛解を享受し、これは約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって著しく軽減されたままである。治療的緩和を延ばすために、好適な量のC1型、D型、E型、F型またはG型ボツリヌス毒素を含む1個以上のポリマーインプラントを標的組織部位に設置することができる。
A型ボツリヌス毒素を用いたアルツハイマー病の処置
知力の進行性低下に直面し、かつ、歯磨きまたは整髪などの単純な仕事を行う方法がもはや思い出せない85歳男性が入院する。この患者は、それ以外の点では、85歳のわりには健康である。この男性は進行型アルツハイマー病と診断される。
好適な定位固定フレームを局所麻酔により頭部に付けることができ、そして脳室造影法および定位固定MRIを行うことができる。前交連(AC)および後交連(PC)の定位固定座標を、スキャナーにおけるコンピューターソフトウエアを使用することによって決定することができる。PCに基づくソフトウエアを、SchaltenbrandおよびBaileyアトラス、そしてSchaltenbrandおよびWahrenアトラスからの矢状縫合の脳マップを再描写するために使用することができる。これは、フレームを患者の頭部に実際に適用するために、患者のAC-PC距離に対して必要とされるように伸ばされるか、または縮められ、そして定位固定座標で指図される。標的部位を選択し、その座標を読み取り、適切なフレーム設定をなす。バー(burr)孔またはツイストドリル孔を、標的と同じ矢状面において、冠状縫合において、または冠状縫合の吻側に作製することができる。これは、電極の軌跡が1つの矢状面を横切るので、標的確認のために使用される生理学的データをプロットすることを容易にする。
標的に対する定位固定的にMRI誘導された記録用/刺激用ニードル電極のマイクロ刺激位置確認の後、神経毒インプラントを注入することができる。インプラントは、神経毒(例えば、A型ボツリヌス毒素など)を、生分解性ポリマーマイクロスフェアまたは生分解性ペレットに配合されて含むことができる。この場合、インプラント形態はいずれも、合計で約20単位(約1ng)の毒素を含有し、同時に、インプラント放出部位において、そして青斑のそれぞれの側面で約2mm〜3mmの半径について、治療レベルの毒素を少なくとも約4年の期間にわたり継続放出するというインプラント特性を有する。インプラントは約1単位の毒素を本質的に直ちに放出することができ、そして、約1単位のさらなる量を続く2ヶ月〜4ヶ月の期間にわたって累積的に放出することができる。
患者の記憶喪失は完全には回復しないが、患者が示していた精神病的症状は軽減し、1回の毒素注入につき約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって実質的に軽減されたままであるか、または、インプラントポリマーの特定の放出特性およびインプラントに担持させた神経毒の量に依存して約1年〜5年にわたって実質的に軽減されたままである。
B型〜G型ボツリヌス毒素を用いたアルツハイマー病の処置
上記実施例5の患者は、水溶液で、または好適な神経毒インプラントの形態で、約1単位〜約1000単位の間のB型、C1型、D型、E型またはG型ボツリヌス毒素を用いて青斑を標的化する同じプロトコルおよび方法を使用して等しく処置することができる。そのような処置により、精神病的症状は1日〜7日で治まり、そして、1回の毒素注入につき約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって実質的に軽減されたままであるか、または、インプラントポリマーの特定の放出特性およびインプラントに担持させた神経毒の量に依存して約1年〜5年にわたって実質的に軽減されたままである。
A型ボツリヌス毒素を用いた躁病の処置
44歳男性が双極性障害と診断される。A型ボツリヌス毒素を含有するインプラントを、ノルエピネフリン放出を減少させるために青斑の近くに置く。インプラントは、A型ボツリヌス毒素の水溶液が生分解性ポリマーマイクロスフェアに配合されたもの、またはA型ボツリヌス毒素の生分解性ペレットのいずれかであり得る。この場合、インプラント形態はどちらも、合計で約20単位(約1ng)の毒素を含有し、同時に、インプラント放出部位において、そして各側約2mm〜3mmにおいて、治療レベルの毒素の少なくとも約4年の期間にわたり継続放出するというインプラント特性を有する。インプラントは約1単位の毒素を本質的に直ちに放出することができ、そして、約1単位のさらなる量を続く2ヶ月〜4ヶ月の期間にわたって累積的に放出することができる。
患者の躁病症状を1日〜7日で鎮めることができ、また、1回の毒素注入につき約2ヶ月〜約6ヶ月の間にわたって実質的に軽減されたままにすることができるか、または、インプラントポリマーの特定の放出特性およびインプラントに担持させた神経毒の量に依存して約1年〜5年にわたって実質的に軽減されたままにすることができる。注目すべきことに、幻覚を著しく弱めることができる。さらに、患者は、実質的により制御された行動パターンを有する。
B型〜G型ボツリヌス毒素を用いた躁病の処置
上記実施例7の患者は、水溶液で、または好適な神経毒インプラントの形態で、約1単位〜約1000単位の間のB型、C1型、D型、E型、F型またはG型ボツリヌス毒素を用いて、標的化する同じプロトコルおよび方法を使用して等しく処置することができる。そのような処置により、症状を1日〜7日で鎮めることができ、また、1回の毒素注入につき約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって実質的に軽減されたままにすることができるか、または、インプラントポリマーの特定の放出特性およびインプラントに担持させた神経毒の量に依存して約1年〜5年の間にわたって実質的に軽減されたままにすることができる。
A型ボツリヌス毒素を用いた不安の処置
右利きの22歳の女性患者がてんかんの病歴により来院する。MRI、そしてEEG記録の研究に基づいて、側頭葉てんかんの診断がなされる。約5単位〜50単位の神経毒(例えば、A型ボツリヌス毒素など)をもたらすインプラントを、非優勢の左半球に対する片側法を用いて、中側頭回に沿って側頭葉の頂部から5cm〜6cmで側頭葉の前方部分に挿入することができる。てんかん発作を1日〜7日で実質的に減少させることができ、また、1回の毒素注入につき約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって実質的に軽減されたままにすることができるか、または、インプラントポリマーの特定の放出特性およびインプラントに担持させた神経毒の量に依存して約1年〜5年にわたって実質的に軽減されたままにすることができる。
B型〜G型ボツリヌス毒素を用いた不安の処置
上記実施例9の患者は、水溶液で、または好適な神経毒インプラントの形態で、約1単位〜約1000単位の間のB型、C1型、D型、E型、F型またはG型ボツリヌス毒素を用いて、標的化する同じプロトコルおよび方法を使用して等しく処置することができる。そのような処置により、てんかん発作を1日〜7日で鎮めることができ、また、1回の毒素注入につき約2ヶ月〜約6ヶ月にわたって実質的に軽減されたままにすることができるか、または、インプラントポリマーの特定の放出特性およびインプラントに担持させた神経毒の量に依存して約1年〜5年にわたって実質的に軽減されたままにすることができる。
本発明の方法による神経毒の注入または制御放出神経毒インプラントの埋め込みは、3D MR画像化および電気生理学的誘導の助けをかりることにより、統合失調症、痴呆または躁病などの様々な神経精神医学的障害に苦しんでいる患者に対する安全かつ効果的な処置である得ることが結論される。好適な患者には、そのような障害を処置するために利用されている全身的投与薬剤に対して応答しない患者、またはそのような全身的投与薬剤に対して非応答性になっている患者が含まれる。
本明細書中に開示される本発明に従って神経精神医学的障害を処置するための頭蓋内神経毒投与法は、下記を含む多くの利益および利点を有している:
1.神経精神医学的障害の活動過多なニューロン系に関連する症状などの症状を劇的に減少させることができる。
2.神経精神医学的障害の症状を、1回の毒素注入につき約2ヶ月〜約4ヶ月にわたって減少させることができ、また、制御放出神経毒インプラントを使用したときには約1年〜5年にわたって減少させることができる。
3.注入または埋め込まれた神経毒はニューロン活性の頭蓋内標的組織部位特異的な抑制を発揮する。
4.注入または埋め込まれた神経毒は、頭蓋内の注入部位または埋め込み部位から拡散する傾向、あるいはそのような部位から輸送される傾向をほとんどまたは全く示さない。
5.顕著な望ましくない副作用が神経毒の頭蓋内注入または頭蓋内埋め込みからほとんどまたは全く生じない。
6.頭蓋内に注入される神経毒の量は、匹敵し得る抑制効果を達成するために他の投与経路(すなわち、筋肉内、括約筋内、経口または非経口)によって要求される同じ神経毒の量よりもかなり少なくすることができる。
7.本発明の方法の抑制効果は、より大きい患者運動性、より大きな積極性、および改善された生活の質といった望ましい副次的作用を生じさせることができる。
8.神経毒の大きい処置用量を、全身的毒性を伴うことなく長期間にわたって頭蓋内の標的組織に送達することができる。
本発明はいくつかの好ましい方法に関して詳細に記載したが、本発明の範囲に含まれる他の実施形態、変形および改変が可能である。例えば、広範囲の様々な神経毒を本発明の方法において効果的に使用することができる。さらに、本発明には、2つ以上の神経毒(例えば、2つ以上のボツリヌス毒素)が同時または連続的に投与される頭蓋内投与方法が含まれる。例えば、A型ボツリヌス毒素を、臨床的応答喪失または中和抗体産生が明らかになるまで頭蓋内に投与することができ、その後、B型ボツリヌス毒素を投与することができる。さらに、神経毒(例えば、ボツリヌス毒素など)がそのより長く持続する抑制効果を発揮し始める前に、増強された抑制または抑制のより迅速な開始などの付加的な作用をもたらすために、非神経毒化合物を、神経毒の投与に先だって、または神経毒の投与と同時に、または神経毒の投与に続いて頭蓋内に投与することができる。
本発明にはまた、その範囲内において、神経毒の頭蓋内投与によって神経精神医学的障害を処置するための医薬品の調製における神経毒(例えば、ボツリヌス毒素など)の使用が含まれる。
上記で示された参考文献、論文、特許、特許出願および刊行物はすべて、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
従って、特許請求の範囲の精神および範囲は、上記に示される好ましい実施形態の記載に限定されるべきではない。

Claims (28)

  1. 神経精神医学的障害を処置するための方法であって、クロストリジウム神経毒を患者に頭蓋内投与し、それによって神経精神医学的障害の少なくとも1種の症状を緩和する段階を含んで成る方法。
  2. 神経毒は、ボツリヌス菌、Clostridium butyricumおよびClostridium berattiから成る群から選択する細菌が産生したものである請求項1に記載の方法。
  3. 神経毒がボツリヌス毒素である請求項1に記載の方法。
  4. ボツリヌス毒素は、A型、B型、C1型、D型、E型、F型およびG型のボツリヌス毒素から成る群から選択する請求項3に記載の方法。
  5. ボツリヌス毒素がA型ボツリヌス毒素である請求項3に記載の方法。
  6. ボツリヌス毒素を、約10-4U/kg〜約1U/kgの量で投与する請求項3に記載の方法。
  7. 症状緩和効果が約1ヶ月間〜約5年間持続する請求項1に記載の方法。
  8. 神経毒を下方脳領域に投与する請求項1に記載の方法。
  9. 神経毒を脳橋領域に投与する請求項1に記載の方法。
  10. 神経毒を脚橋核に投与する請求項1に記載の方法。
  11. 神経毒を青斑に投与する請求項1に記載の方法。
  12. 神経毒を腹側被蓋領域に投与する請求項1に記載の方法。
  13. 神経毒が、神経伝達物質の放出を阻害する修飾神経毒である請求項1に記載の方法。
  14. 修飾神経毒が、天然神経毒と比較して、そのアミノ酸の少なくとも1つが欠失、修飾または置換されている請求項13に記載の方法。
  15. 修飾神経毒が、組換え産生された神経毒またはその誘導体もしくはフラグメントである請求項13に記載の方法。
  16. 頭蓋内投与段階が、制御放出ボツリヌス毒素系の埋め込みを含んで成る請求項1に記載の方法。
  17. 神経毒の投与が、ニューロンからの活動過多な神経伝達物質放出に関連する神経精神医学的障害の症状を緩和する請求項1に記載の方法。
  18. 神経毒の投与が、異なる神経伝達物質を放出する少なくとも2つの神経系の間のバランスを回復する請求項1に記載の方法。
  19. 神経毒の投与が、コリン作動性ニューロンからのアセチルコリンの放出を低減する請求項1に記載の方法。
  20. 神経毒の投与が、ドーパミン作動性ニューロンからのドーパミンの放出を低減する請求項1に記載の方法。
  21. 神経毒の投与が、ノルアドレナリン作動性ニューロンからのノルエピネフリンの放出を低減する請求項1に記載の方法。
  22. 神経精神医学的障害を処置するための方法であって、処置有効量のボツリヌス毒素を患者に頭蓋内投与し、それによって神経精神医学的障害の症状を処置する段階を含んで成る方法。
  23. ボツリヌス毒素がA型ボツリヌス毒素である請求項22に記載の方法。
  24. 精神医学的障害が、統合失調症、アルツハイマー病、躁病および不安から成る群から選択される請求項22に記載の方法。
  25. 神経精神医学的障害を処置するための方法であって、処置有効量のボツリヌス毒素を患者に頭蓋内投与し、それによって、ボツリヌス毒素投与から約4ヶ月以内に、該障害の症状に寄与するニューロンからの神経伝達物質放出を低減することにより、神経精神医学的障害の症状を処置する段階を含んで成る方法。
  26. 症状が、神経精神医学障害に伴う陽の症状である請求項25に記載の方法。
  27. 統合失調症を処置するための方法であって、処置有効量のボツリヌス毒素を患者に頭蓋内投与し、それによって統合失調症の陽の症状を処置する段階を含んで成る方法。
  28. ボツリヌス毒素がA型ボツリヌス毒素である請求項27に記載の方法。
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