JP2005530693A - ラクタムブロックされたイソシアナト基を持つエチレン性不飽和化合物の製造法及びその利用法 - Google Patents

ラクタムブロックされたイソシアナト基を持つエチレン性不飽和化合物の製造法及びその利用法 Download PDF

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Abstract

本発明は、不飽和アミン官能性又はヒドロキシ官能性化合物をカルボニルビスラクタムと反応させることによるエチレン性不飽和のラクタムブロックされたイソシアネート化合物を製造する方法に関する。これらの化合物は重合されることができ、そして続いて、組み込まれた架橋剤により硬化されて、例えば、粉末コーティングにおいて適用され得るところの熱硬化性ポリマーを形成する。

Description

本発明は、一つ以上のラクタムブロックされたイソシアナト基を持つエチレン性不飽和化合物を製造する方法に関し、該方法は、網目構造を形成するために順次架橋され得るところの(コ)ポリマー組成物を製造する方法のために使用され得る。
イソシアネートは通常、ポリマー骨格中にヒドロキシ基を含むところのポリマーのための架橋剤として使用されて、ウレタン網目の形成をもたらす。これらは、例えば、アルコール、フェノール及びアミンのような求核試薬に対して非常に反応性である。しかし、この高い反応性はときどき問題を引き起こす。イソシアネートは例えば、水分環境において不安定である。架橋剤として使用されるとき、押出機中での時期尚早のゲル化が最大の問題である。該反応性は、以下ここで、ブロックされたイソシアナト基と言われるイソシアナト基の保護により減じられ得る。
ブロックされたイソシアネートは約50年間知られているが、最後の20年間のみ、その使用が著しく増加した。ブロックされたイソシアネートの利用の詳細な文献調査のために、D. A. WicksとZ. W. Wicks Jr著、Blocked isocyanates III, Part B: Uses and applications of blocked isocyanates, Progress in Organic Coatings 第41巻、第1〜83頁(2001年)、Elsevier Science B.V.を参照せよ。これらの化合物は、ホスゲンとアミンとの反応からまずイソシアネートを製造し、その後、ブロッキング剤が加えられて、イソシアナト基(−N=C=O)を保護することにより慣用的に製造される。非常に種々のブロッキング剤がある。多くのイソシアネートは、カプロラクタムにより非常に良好にブロックされ得る(上記のWicks,第9及び10頁)。カプロラクタムは安価であり、かつ更に低毒性を有する。より高い温度においてのみ、175℃におけるカプロラクタムに場合に、イソシアナト基の脱ブロッキングが生ずる。
ブロックされたイソシアナト基を持つエチレン性不飽和化合物は、文献、例えば、T. Sadoun c.s., Makromol. Chem. 188: 第1367〜1373頁(1987年)に開示されている。これらの著者は、一段階における2-イソシアナトエチルメタクリレートの製造(ここで、イソシアナト基は、フェノール、プロパノンオキシム、ブタノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム又はε-カプロラクタム(別な方法で示されない限り、以下ではカプロラクタムと言う)によりブロックされる)及び4-メチル-1,3-フェニレンジイソシアネートの二段階における製造(ここで、第一のイソシアナト基はフェノール又はカプロラクタムによりブロックされ、かつ第二の基は2-ヒドロキシエチルメタクリレートによりブロックされる)を夫々開示している。
更に、G. Clouet及びT.Sadoun, in Pure Appl. Chem., A29:第939〜952頁(1992年)は、2‐イソシアナトメタクリレートの(共)重合を開示している。ここで、イソシアナト基は、フェノール、プロパノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム及びカプロラクタムにより保護される。これらの著者はまた、二官能性化合物、例えば、ジアミン又はジオールの添加により、三次元系が形成され得ることを示している。
先行技術に従うエチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物の製造の重大な欠点は、今まで、通常、非常に毒性がありかつ高価であるところの対応する保護されていないイソシアネート化合物から出発することが常に必要であったことである。2‐シアナトエチルメタクリレート[30674-80-7]、H2C=C(CH3)C(O)OCH2CH2N=C=Oのような化合物の毒性が詳細に記録されている。これらの理由のために、エチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物は、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート又はヒドロキシ官能性ポリエステルのカテゴリーのポリマーの製造及び硬化のために今まで使用されていなかった。替わりに、これらのポリマーは別個の段階において製造され、そして二官能性化合物、例えば、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)若しくはIPDI(イソホロンジイソシアネート)又はカプロラクタムでブロックされたこれらの三量体の添加により硬化される。別個の架橋剤を添加することは、製造プロセスにおける特別の段階を意味するばかりではなく、架橋剤がいつも、関連したポリマー樹脂と均一に混合されることができないと言う欠陥をも有する。
本発明の目的は、この欠点が回避され、かつエチレン性不飽和のラクタムブロックされたイソシアネートが、環境にやさしくかつ効率的な方法で製造される新規な方法を提供することにある。
本発明の他の目的によれば、ポリマーは、「組み込まれた」架橋剤を持つポリ(メタ)アクリレートタイプのものを供給され、従って、特別な混合段階は押出機中において必要でなく、かつ更に起り得る混合の問題が回避される。
驚くべきことに、これらの目的は、イソシアネート化合物から出発することなしに、一つ以上のラクタムブロックされたイソシアナト基を持つエチレン性不飽和化合物を製造することにより達成され得ることが分かった。ここで、少なくとも一つの第二の官能基を含むところのアミン又はヒドロキシ含有化合物が、カルボニルビスラクタムと反応され、そして該少なくとも一つの第二の官能基を含むところの、得られたブロックされたイソシアネート化合物が、もし、これがビニル基以外の基なら、エチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物に更に転化される。
それ故、本発明は、一般式(I)
Figure 2005530693
[上記式中、
Rは、水素又はメチルであり、
Xは、式(II)を持つラクタム基であり
Figure 2005530693
(ここで、nは3〜15の整数である)、
Yは、カルボニル、4‐フェニルオキシ又は他のフェニルオキシ、(CH2)m(ここで、mは1〜15の整数であり、かつアルキレン基は一つ以上のC1〜6アルキル基により置換されていてもよい)、カルボニルオキシ(CH2)m(ここで、mは1〜15の整数であり、かつアルキレン基は一つ以上のC1〜6アルキル基により置換されていてもよい)、カルボニルオキシ(CH2)mO(CH2)p(ここで、m及びpは夫々別々に1〜15の整数であり、かつ夫々のアルキレン基は一つ以上のC1〜6アルキル基により置換されていてもよい)、(CH2)qカルボニルアザ(ここで、qは0〜15の整数であり、かつアルキレン基は一つ以上のC1〜6アルキル基により置換されていてもよい)であり、かつ
Zは、連続する結合又はカルボニル(CH2)n基(ここで、nは上記の意味を有する)である]
を持つエチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物を製造する方法に関し、
a)式(III)を持つアミン官能性化合物
Figure 2005530693
(ここで、R及びYは上記の意味を有する)、又は
b)式(IV)を持つヒドロキシ官能性化合物
Figure 2005530693
(ここで、Rは上記の意味を有し、かつY'はカルボニルを除くYと同一の意味を有する)
が、式(V)を持つカルボニルビスラクタム化合物
Figure 2005530693
(ここで、nは上記の意味を有する)
と反応させられることを特徴とする。
好ましくはカルボニルビスカプロラクタム(CBC)が、カルボニルビスラクタム化合物として使用される。これは、式(I)、(II)及び(V)を持つ上記化合物において、n値が好ましくは5であることを意味する。
式(I)を持つエチレン性不飽和のブロックされたイソシアネートの製造のための上記の方法において、二つの主要なタイプが区別され得る。即ち、a)アミン官能性化合物と、式(V)を持つカルボニルビスラクタム化合物との反応(ここで、通常、ラクタム環の一つが分解される)、及びb)ヒドロキシ官能性化合物と、式(V)を持つカルボニルビスラクタム化合物との反応(ここで、通常、ラクタム環の一つが開環される)である。第一の場合において、式(I)中のZは連続する結合であり、これは、式(I)中のZがYとNとを互いに直接に接続する結合を示し、及び第二の場合において、Zはカルボニルアルキレン基である。両者の場合に、式(V)に従うカルボニルビスラクタム化合物の残りの部分は、ブロックされていないイソシアネート化合物の使用なしに、式(I)を持つ化合物中の所望のブロックされたイソシアナト基を構成する。通常、カルボニルビスラクタムを持つアミン官能性化合物の反応は、触媒なしで実行され得る。何故ならば、使用されるべきアミン化合物の反応性は通常適切だからである。所望なら、適切な触媒が、更に反応を促進するために更に加えられ得る。しかし、より小さな反応性のヒドロキシ官能性化合物の反応のためには、触媒が通常必要である。適切な触媒は、例えば、ルイス酸及びルイス塩基を含む酸及び塩基である。
触媒として適切であるところのルイス酸を含む酸の例は、LiX、Sb2O3、GeO2及びAs2O3、BX3、MgX2、BiX3、SnX4、SbX5、FeX3、GeX4、GaX3、HgX2、ZnX2、AlX3、TiX4、MnX2、ZrX4、R4NX、R4PX、HXであり、ここで、X=I、Br、Cl、F、OR、アセチルアセトネート、又は式(a)に従う化合物である
Figure 2005530693
(式R媒及びR媒は独立して、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシを含む系列から選ばれ、かつR=アルキル又はアリールである)。ブレンシュテッド酸、例えば、H2SO4、HNO3、HX(ここで、X=I、Br、Cl、Fである)、H3PO4、H3PO3、RH2PO2、RH2PO3、R[(CO)OH]n(ここで、n=1〜6である)がまた適切である。
触媒として適切であるところの(ルイス)塩基の例は、アルカリ又はアルカリ土類金属水素化物、ヒドロオキシド、C1〜20のアルコキシド及びフェノレート、NR粕nH4-nOH(R粕=C1〜20のアルキル又はアリールである)、トリアミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン、並びに環状アミン、例えば、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、グアニジン及びモルホリンである。
本発明の替わりの方法としての本発明の更なる面は、少なくとも一つの第二の官能性基を更に有するところのアミン官能性又はヒドロキシ官能性化合物を、式(V)に従うカルボニルビスラクタム化合物とまず反応させ、その後、得られたブロックされたイソシアネート化合物が更に、式(I)を持つエチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物に転化されることに関する。第二の官能性基は、ヒドロキシル、第二級炭素原子におけるアミン、第二級アミン及び不飽和基の群から選ばれる。第二の官能性基を持つ適切なアミン官能性化合物は例えば、ヒドロキシアルキルアミンであり、ここでヒドロキシ基は通常末端にある。その製造法が当業者に公知であり又は容易に確立されるところのこのタイプの化合物は、カルボニルビスカプロラクタムと比較的迅速に反応し(アミン基はヒドロキシ基より反応性であり、従って、所望の結合が、優勢な程度において生ずる)、その後、ヒドロキシ官能性を持つ形成された化合物が、式(I)を持つ所望の化合物に転化される。この好ましい反応の例は、実施例2a及び2bに更に説明されているように、末端ヒドロキシアルキルアミンをCBCと反応させ、続いて、得られた化合物を(メタ)アクリル酸又はその反応性誘導体、例えば、酸塩化物により転化することである。
本発明に従う好ましい方法において、式(I)(ここで、Xはカプロラクタム基であり、Yは置換又は非置換のアルキレン基であり、かつZは連続する結合である)を持つ化合物が、対応する不飽和アルキルアミンをCBCと反応させることにより製造される。この反応の例は、次の反応式に従うアリルアミンとCBCとの反応である。
Figure 2005530693
本発明の従う他の好ましい方法において、式(I)(ここで、Xはカプロラクタム基であり、Yはカルボニル基であり、かつZは連続する結合である)を持つ化合物が、対応する(メタ)アクリルアミドをCBCと反応させることにより製造される。この反応の例は、次の反応式により示される。
Figure 2005530693
本発明に従う更に他の好ましい方法において、式(I)(ここで、Xはカプロラクタム基であり、Yは置換又は非置換のカルボニルオキシアルキレン基であり、かつZはオキシカルボニル(C5)アルキレン基である)を持つ化合物が、対応するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物をCBCと反応させるとことにより製造される。この反応の例は、次の反応式により表される。
Figure 2005530693
本発明に従う式(I)を持つ化合物の製造法の替わりの実施態様によれば、まず中間生成物が、少なくとも一つの第二の官能性基を更に含むが不飽和結合を含まないところのアミン官能性又はヒドロキシ官能性化合物を、式(V)に従うカルボニルビスラクタム化合物と反応させることにより製造され、その後、得られたブロックされたイソシアネート化合物が更に、式(I)を持つエチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物に転化される。
ここでは詳細に述べられていないところの式(I)を持つ他の化合物は、本明細書の助けにより、かつ更に、この分野における当業者の一般的及び特別の知識の適用により、類似する化合物の合成のために公知の方法において問題なしに当業者により製造され得る。
本発明に従う方法の実施のための反応条件は特に重要ではなく、かつそれ故、非常に広い範囲内で当業者により選ばれ得る。通常、該反応は、広い限界内で選ばれ、かつ通常、室温と溶媒の沸点温度との間にあるところの温度で適切な溶媒中で実施される。適切な溶媒は、好ましくは50〜150℃に範囲、より好ましくは70〜150℃の範囲にあるところの反応温度で、例えば、トルエン又はキシレンである。該溶媒及び該反応温度での反応時間は、CBCとアミン官能性化合物との反応のために約1〜3時間であり、かつ化合物とヒドロキシ官能性化合物とのために約3〜5時間である。
該反応はまた、反応成分の溶融状態で溶媒なしで実行され得る。ここで、該成分は、例えば、適切な反応器において混合される。この場合に、反応温度は好ましくは100〜150℃の範囲にあり、かつ反応時間は好ましくは1〜3時間である。
例えば、関係するラクタムをホスゲンと反応することによる、使用されるべきカルボニルビスラクタムの製造は文献に記載されている。例えば、国際特許出願公開第98/47940号を参照せよ。酸スカベンジャーとしてのターシャリーアルキルアミンの存在下にベンゼン中でのN,N‐カルボニルビスカプロラクタムの製造は、例えば、特開昭42‐17832号公報に開示されている。カルボニルビスカプロラクタムは、オランダ国、ゲレーンにあるDSMから市販されている。
上記の他の出発原料の製造は文献から公知であるか、又は類似の化合物の製造法のために公知の方法において当業者により実行され得る。
本発明は更に、一つより多いラクタムブロックされたイソシアナト基及びまた、一単位当りヒドロキシ及び/又はアミンタイプの官能基の少なくとも二つを含むところの熱硬化性コポリマーに関する。これらは、例えば、ポリ(メタ)アクリレートのタイプの(コ)ポリマーであり得、これは、上記のエチレン性不飽和化合物を一つ以上の式(I)に従うラクタムブロックされたイソシアナト基で(共)重合することによる適切な様式で製造され得る。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのタイプの共重合化合物のために、アルキル(メタ)アクリレート及び/又はスチレンが非常に適している。式(I)を持つ化合物における組み込まれたラクタムブロックされたイソシアナト基のために、別個の架橋剤が硬化のために加えられることが必要でなく、かつポリマーは、温度を上げることにより、ポリマーの形成後に直ちに又は直ちにではないのいずれかにかかわらず更なる添加剤なしに硬化され得る。本発明に従うラクタムブロックされたイソシアネートの適用の更なる利点は、架橋剤としてこれらが、ガラス転移温度の低下を殆どもたらさず又はほんの少しをもたらすことである。これは、粉末コーティングにおける適用のために特に重要である。
好ましくは重合は、50〜100℃の範囲の温度で実施される。重合の反応時間はまた、開始剤のタイプに依存し、かつ通常、2〜10時間である。硬化は通常、150〜200℃の温度で実施され、かつ硬化時間は通常、10〜30分間のオーダーである。
本発明に従うポリマーは多くの種類の目的のために適用され得る。好ましくはこれらは、粉末コーティングーに適用される。特定の適用のために、通常の添加剤、例えば、顔料及び流れ剤が、ポリマーの製造の間又は後に所望されるように加えられ得る。
本発明は今、下記の実施例により更に説明される。ここで、該実施例はもっぱら、発明の説明に向けられ、かついかなる方法において本発明を限定しない。
実施例1
アリルアミンとカルボニルビスカプロラクタムとの反応
Figure 2005530693
冷却器を備えた250ミリリットルのフラスコに、5グラムのCBC(0.02モル)が、50℃で50ミリリットルの酢酸エチルに溶解された(10%溶液)。50ミリリットルの酢酸エチル中の5.70グラムのアリルアミン(0.1モル)の溶液が、滴下添加された。薄層クロマトグラフィー(TLC;溶出液 酢酸エチル::ヘキサン1:4;RfCBC=0.17及びRfproduct=0.32)により、反応の一晩の後にCBCが完全に添加されたことが確認された。該溶液は、飽和NaCl水溶液で3回振とうされて、過剰のアリルアミン及び形成されたカプロラクタムを除去した。有機層は硫化ナトリウムで乾燥された。ろ過により硫化ナトリウムを除去した後、該溶液は、流下フィルムタイプエバポレーターで濃縮された。所望の生成物の収率は、2.5グラム(65%)に達した。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.5−1.8(b,6H,−CH2−), 2.6−2.8(m,2H,−CH2−C=O), 3.7−4.0(m,4H,−CH2−NH及び−CH2−N−C=O), 5.0−5.2(m,2H,C=CH2), 5.7-5.9(m,1H,=CH−CH2), 9.1−9.5(b,1H,NH)
実施例2a
アクリロイルクロリドとの転化による、プロパノールアミンとカルボニルビスカプロラクタムとの反応
Figure 2005530693
Figure 2005530693
7.5グラム(0.1モル)のプロパノールアミン及び25.5グラム(0.1モル)のカルボニルビスカプロラクタムが、100ミリリットルのトルエン中に溶解された。該溶液が70℃で5時間加熱された。該混合物は室温に冷却され、その後、9.1グラム(0.1モル)のアクリロイルクロリド(上記反応においてX=Clである)及び10.1グラム(0.1モル)のトリエチルアミンが加えられた。該混合物は4時間20℃に保持された。反応の間に放出されたカプロラクタム及びトリエチルアミンHCl塩が、50ミリリットルの水で2回該混合物を抽出することにより取り除かれた。生成物は90℃及び25ミリバールの圧力でトルエンを蒸留除去することにより単離された。
実施例2b
実施例2aが、アクリロイルクロリドの代わりにアクリル酸を用いて繰返された。従って、7.5グラム(0.1モル)のプロパノールアミン及25.2グラム(0.1モル)のカルボニルビスカプロラクタムが100ミリリットルのトルエン中に溶解された。該溶液が70℃で5時間加熱された。その後、7.2グラム(0.1モル)のアクリル酸、0.25グラムのヒドロキノンモノメチルエーテル及び0.25グラムのp‐トルエンスルホン酸が計量供給された。該混合物が120℃に加熱され、そして水が4時間共沸蒸留された。該混合物は室温に冷却され、そして50ミリリットルの水で二回抽出された。モノマーが、90℃及び25ミリバールの圧力でトルエンを蒸留除去することにより単離された。
実施例3
Figure 2005530693
13グラム(0.1モル)のヒドロキシエチルメタクリレート、25.2グラム(0.1モル)のカルボニルビスカプロラクタム、0.25グラムのZr(OBu)4及び0.025グラムのヒドロキノンモノメチルエーテルが、120℃に窒素雰囲気において三つ首フラスコ中で加熱された。反応は3時間後に終了し、そして該混合物は続いて、IR及び1HNMRで分析された。該混合物は、この実施例の最初に示されたような構造に従うブロックされたイソシアネート化合物の81重量%を含んでいた。
実施例4
ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、メチルアクリレート(MA)及びカプロラクタムブロックされたイソシアノプロピルアクリレート(C‐BIPA)の共重合
重合は、攪拌機及び窒素パージを備えた三つ首フラスコにおいて実行された。溶媒として使用されたテトラヒドロフラン(THF)は、予めNaH上で乾燥された。表1に明記されたように、モノマーが、開始剤としてのAIBN(アゾイソブチロニトリル)と共に、窒素下に250ミリリットルのTHF中で種々の比において重合された。この重合のために、モノマー対開始剤の比は50:1である。
製造された種々の組成物は、下記の表1に示されている。
Figure 2005530693
実施例5
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メチルメタクリレート(MMA)及びカプロラクタムブロックされたイソシアノプロピルアクリレート(C‐BIPA)の共重合
重合は、攪拌機及び窒素パージを備えた三つ首フラスコにおいて実行された。溶媒として使用されたテトラヒドロフラン(THF)は、予めNaH上で乾燥された。表2に明記されたように、モノマーは、開始剤としてのAIBNと共に、窒素下に250ミリリットルのTHF中で重合された。これらの重合のために、モノマー対開始剤の比は50:1である。製造された種々の組成物は、下記の表2に示されている。
Figure 2005530693
実施例6
ゲル化実験
ゲル化実験はコーティング樹脂の架橋挙動を示す。ゲル化実験は約1グラムの共重合体により実行された。触媒のジブチルスズジラウレート(質量%に関しては表を参照)が、THF中の溶液としてポリマーに加えられ、その後、溶媒が加熱することにより取り除かれた。ポリマーは180℃に加熱され、そしてゲル化点が、生成物がもはや溶融物として挙動しないが、塊になるときとして測定された。該結果は表3に与えられている。
Figure 2005530693
該表は、ゲル化時間が2〜10分間のオーダーであることを示唆している。これは、良好な架橋システムに期待されることと一致する。

Claims (8)

  1. 一般式(I)
    Figure 2005530693
    [上記式中、
    Rは、水素又はメチルであり、
    Xは、式(II)を持つラクタム基であり
    Figure 2005530693
    (ここで、nは3〜15の整数である)、
    Yは、カルボニル、4‐フェニルオキシ又は他のフェニルオキシ、(CH2)m(ここで、mは1〜15の整数であり、かつアルキレン基は一つ以上のC1〜6アルキル基により置換されていてもよい)、カルボニルオキシ(CH2)m(ここで、mは1〜15の整数であり、かつアルキレン基は一つ以上のC1〜6アルキル基により置換されていてもよい)、カルボニルオキシ(CH2)mO(CH2)p(ここで、m及びpは夫々別々に1〜15の整数であり、かつ夫々のアルキレン基は一つ以上のC1〜6アルキル基により置換されていてもよい)、(CH2)qカルボニルアザ(ここで、qは0〜15の整数であり、かつアルキレン基は一つ以上のC1〜6アルキル基により置換されていてもよい)であり、かつ
    Zは、連続する結合又はカルボニル‐(CH2)n基(ここで、nは上記の意味を有する)である]
    を持つエチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物を製造する方法において、
    a)式(III)を持つアミン官能性化合物
    Figure 2005530693
    (ここで、R及びYは上記の意味を有する)、又は
    b)式(IV)を持つヒドロキシ官能性化合物
    Figure 2005530693
    (ここで、Rは上記の意味を有し、かつY'は、カルボニルを除くYと同一の意味を有する)
    が、式(V)を持つカルボニルビスラクタム化合物
    Figure 2005530693
    (ここで、nは上記の意味を有する)
    と反応させられることを特徴とする方法。
  2. カルボニルビスカプロラクタムが、カルボニルビスラクタム化合物として使用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 一般式(I)を持つエチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物を製造する方法において
    Figure 2005530693
    (上記式中、R、X、Y及びZは請求項1で定義された意味を有する)、
    ヒドロキシル、第二級炭素原子におけるアミン及び第二級アミンの群から選ばれる少なくとも一つの第二の官能性基を更に含むが不飽和結合を含まないところのアミン官能性又はヒドロキシ官能性化合物が、式(V)に従うカルボニルビスラクタム化合物
    Figure 2005530693
    と反応させられ、その後、得られたブロックされたイソシアネート化合物が更に、式(I)を持つエチレン性不飽和のブロックされたイソシアネート化合物に転化されることを特徴とする方法。
  4. 式(I)を持つ化合物(ここで、Xはカプロラクタム基であり、Yは、置換又は非置換のアルキレン基であり、かつZは連続する結合である)が、対応する不飽和アルキルアミンをカルボニルビスカプロラクタムと反応させることにより製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  5. 式(I)を持つ化合物(ここで、Xはカプロラクタム基であり、Yはカルボニル基であり、かつZは連続する結合である)が、対応する(メタ)アクリルアミドをカルボニルビスカプロラクタムと反応させることにより製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  6. 式(I)を持つ化合物(ここで、Xはカプロラクタム基であり、Yは、置換又は非置換のカルボニルオキシアルキレン基であり、かつZはオキシカルボニル(C5)アルキレン基である) が、対応するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物をカルボニルビスカプロラクタムと反応させることにより製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  7. 式(I)を持つ化合物(ここで、Xはカプロラクタム基であり、Yは、置換又は非置換のカルボニルオキシアルキレン基であり、かつZは連続する結合である)が、ヒドロキシル、第二級炭素原子におけるアミン、第二級アミン及び不飽和基の群から選ばれる少なくとも一つの第二の官能性基を有するところの置換又は非置換のアルキルアミン化合物をカルボニルビスカプロラクタムと反応させ、そして得られたラクタムブロックされたイソシアネート化合物をエチレン性不飽和のラクタムブロックされたイソシアネートに転化することにより製造されることを特徴とする請求項3記載の方法。
  8. 第二の官能性基を持つアルキルアミン化合物が、ヒドロキシアルキルアミンであり、かつ得られたラクタムブロックされたイソシアネート化合物が、(メタ)アクリル酸によりエチレン性不飽和のラクタムブロックされたイソシアネート化合物に転化されることを特徴とする請求項7記載の方法。
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