JP2005530157A - ムコ多糖症および他の関連障害のオリゴ糖バイオマーカー - Google Patents

ムコ多糖症および他の関連障害のオリゴ糖バイオマーカー Download PDF

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Abstract

本発明は、ムコ多糖症(「MPS」)および関連する疾患を診断する方法に関する。本発明は、MPSまたは関連する障害を有する患者の生体液または組織に存在する生化学マーカー(「バイオマーカー」)を同定し定量する方法に関する。本発明の一側面は、MPSおよび関連する疾患の診断、キャラクタリゼーション、監視および臨床管理を行うために、その標的動物から採取された標的生体試料から標的MPSバイオマーカーオリゴ糖の標的量を測定すること、および次にその標的量と基準MPSバイオマーカーオリゴ糖の基準量とを比較することを含む。本発明は、キットについても記載し、そのキットは、オリゴ糖誘導体化溶液と、酸溶液と、内部標準と、固相抽出カラムと、固相抽出カラム洗液と、オリゴ糖溶離溶液と、MPSまたは関連する疾患の診断にそのキットを使用するための使用説明書のセットとを備える。

Description

本発明は、一般にムコ多糖症(「MPS」)および関連する疾患の診断に関する。さらに具体的には、本発明はMPSの診断、キャラクタリゼーション、監視、および臨床管理のための生化学マーカー(「バイオマーカー」)として使用するための、患者の生体液または組織に存在するオリゴ糖の同定法および定量法に関する。
関連出願:
本出願は、2002年6月14日出願のオーストラリア仮特許出願SN PS2930に基づいて優先権を主張する。
リソソーム蓄積症(「LSD」)は若齢の小児を一般に冒す、40を超える異なる遺伝病からなる群を意味する。LSDに冒された個体は、特異的障害および関与する特定の遺伝子型に応じて広範囲の臨床症状を現す。LSDに付随する臨床症状は、その小児と冒された個体の家族との両方に甚大な打撃を及ぼし得る。例えば、中枢神経系の機能不全、行動の問題、および重症の精神遅滞が多くのLSDに特徴的である。MPSと呼ばれる特異的なLSD群は、他の臨床症状として骨格異常、臓器巨大症、角膜の混濁、および異形を含む。患者はMPSの目に見える臨床特徴をもたずに普通は生まれるが、進行性の臨床波及を発生する場合がある。重症例では、冒された小児は絶え間ない医学管理を必要とするが、それでも青年期になる前に死亡することが多い。
健康管理に対するLSDの重大性は、LSDの群発生率を他のよく知られており集中的に研究された遺伝性障害の群発生率、例えばフェニルケトン尿症(1:14000)および嚢胞性線維症(1:2500)(数字は白人の人口での発生率を表す)と比較すると明らかになる。MPSはLSDの主要な群であり、オーストラリアの出生例では1:22000の複合発生率を有する。MPSには6つの型があり、(1)MPS I(ハーラー症候群またはシャイエ症候群)はα−L−イズロニダーゼの欠乏が原因であり、グリコサミノグリカン(「GAG」)であるデルマタン硫酸およびヘパラン硫酸のリソソームへの貯留を生じ、(2)MPS II(ハンター症候群)はイズロン酸−2−スルファターゼの欠乏が原因であり、MPS Iでみられるのと同様のGAGがリソソームに貯留され、(3)MPS III(サンフィリポ症候群)には4つの亜型があり、その全てでGAGの1つであるヘパラン硫酸の貯留を生じるが、MPS IIIA、MPS IIIB、MPS IIICおよびMPS IIIDはそれぞれスルファミダーゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、グルコサミンアセチル−CoA:N−アセチルトランスフェラーゼおよびグルコサミン−6−スルファターゼの欠乏が原因であり、4)MPS IV(モルキオ症候群)には2つの亜型であるMPS IVAおよびIVBがあり、それぞれN−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼおよびβ−ガラクトシダーゼの欠乏が原因であり、どちらの亜型もリソソームにGAGであるケラタン硫酸の貯留を伴い、(5)MPS VI(マロトー・ラミー症候群)はN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼの欠乏によりGAGであるデルマタン硫酸がリソソームに貯留することが原因であり、(6)MPS VII(スライ症候群)はβ−グルクロニダーゼの欠乏と、リソソームへのデルマタン硫酸およびヘパラン硫酸の貯留が原因である。
過去20年間にLSDの診断はかなりの進歩を遂げた。例えば、クロマトグラフィーに基づくMPSおよびオリゴ糖の尿検査の開発と導入は、これらの障害について臨床的に選択された患者をスクリーニングすることを容易にした。MPSおよび若干のオリゴ糖障害の疑いを示す臨床指標がみられた後、次の診断段階には尿の検査が必要となり、尿検査が「陽性」の場合には続いて特異的酵素分析を行う。このスクリーニング法は実施が容易であるが、比較的大きな労働力を要し、結果を正確に解釈するには経験を必要とすることが多い。結果として、クロマトグラフィーに基づくLSDのクリーニング試験は、一部のセンターでは使用されていない。そのうえ、これらの検査は自動化されにくく、そのことが新生児に対するスクリーニング戦略として使用することをさらに制限している。
特異的基質と抗体捕獲アッセイの産生は特異的SLDの酵素分析をさらに正確にした。しかし、これらのアッセイの多くは依然として時間がかかり、侵襲性で、複雑で、培養細胞または組織生検を必要とすることから、不便で高価になりがちである。結果として、LSDの試験は症状の初期段階にある冒された小児にとって第一線の戦略ではないことが多い。LSDの臨床診断は一連の専門家を何度も訪問する必要があることが多く、それには数カ月、または数年さえかかることがある。この長期の経過が患者と家族に極めて大きなストレスを与える。したがって、LSDを早期診断するための迅速で正確で経済的な検査を開発する必要がある。
多くのLSDの新しい治療法も、早期診断に対する要求を変えた。例えば、提案された多くの治療法の有効性は、疾患の早期検出と早期治療に大きく依存すると考えられる。理想的には、不可逆的な病理が始まる前に治療を開始すべきであるため、新生児でのLSDのスクリーニングは確実に早期検出をもたらすであろう。しかし、新生児における発症前診断が理解されるならば、患者の、疾患の、および治療の管理についてのいろいろな懸念が主な問題となるであろう。例えば、多くのLSDで表出する広範囲の臨床スペクトルのせいで、疾患の表現型と疾患の進行速度に関する付加的な情報なしには、治療法の適正な選択が困難となるであろう。さらに、LSD患者における臨床重症度のレベルを詳細に記述せずに薬剤の処方または酵素置換療法(「EST」)を設定することは不確実で、患者にとって潜在的に有害となろう。よって、疾患の進行を監視する方法、特定の表現型を決定する方法、ならびに前臨床状態及び臨床状態と診断された個体の両者での治療の効果を監視する方法も必要となる。
個体がLSDの臨床症状を現し始めた後でも、疾患を実際に臨床診断することは依然として複雑な過程である。例えば、一連のアッセイを伴う試験を尿、血液、および一部の障害では皮膚線維芽細胞について実施しなければならない。これらのアッセイには時間がかかり、高価で、侵襲性であるため、新生児の大量スクリーニングに応用するには適当でない。その理由から、当技術分野ではLSDのさらに優良なバイオマーカーを同定する必要性がある。これらのバイオマーカーは新生児のスクリーニング計画の開発への応用性があり、同時に上に強調した多くの他の問題と取り組む潜在性も有する。新生児におけるLSDのスクリーニングは、その疾患の早期検出をもたらすことを確実にするが、冒された新生児から疾患を検出するためには全ての新生児をスクリーニングしなければならない。LSDの家族歴を有する患者には、症状発生前にLSDの検査を行う正当な理由がある。しかし、家族歴を有さない個体に発症前にLSDを検出するコストは経済的に正当化できない。したがって、全ての新生児をスクリーニングできるような経済的に実行可能なLSDのスクリーニング法が必須である。
MPSおよびオリゴ糖症の患者にみられる特異的オリゴ糖バイオマーカーを検出し監視する方法を記載した公表論文がいくつかある。例えば、1980年にKimura A、Hayashi S、Tsurumi KはTohoku J Exp Med 131(3):241〜7に「Chemical Structure of Urinary Dermatan Sulfate Excreted by a Patient with the Hunter Syndrome」という標題の論文を公表した。この論文は、コンドロイチナーゼABCによる尿DSの分解により得られ、Dowex1カラムで分離された二糖ユニットの分析を介して、ハンター症候群の患者の尿中のデルマタン硫酸(「DS」)の化学構造がどのように研究されたかを記載した。そのDSはイズロニルN−アセチルガラクトサミン−4−硫酸の二糖繰り返しユニットから基本的に構成され、過剰の硫酸の約90%がそのユニットの付加的な硫酸基としてイズロン酸残基と連結していた。N−アセチルガラクトサミン−6−硫酸およびN−アセチルガラクトサミン−4,6−二硫酸残基は少量成分であった。非硫酸化二糖ユニットは分解生成物から検出されなかった。スルホイズロン酸残基のみがDS分子の非還元末端の糖として見い出され、本疾患でイズロノ硫酸スルファターゼが欠如していることと矛盾しなかった。
1981年にKoseki M、Ino S、Kimura A、Tsurumi KはTohoku J Exp Med 135(4):431〜9に「Abnormal Urinary Excretion in Sialoglycoconjugates in Patients with Mucopolysaccharidosis」という標題の論文を公表した。シアロ複合糖質の尿中排泄の異常がMPSの患者4名で観察された。尿中シアロ複合糖質はSephadex G−25およびG−50による連続ゲルろ過、ならびにDowex1イオン交換クロマトグラフィーにより8つの画分に分けられた。これらの画分の量の比較から、マンノースとグルコサミン含量に富む画分がMPSの患者におけるシアロ複合糖質の尿中排泄の増加に貢献していることが示された。この画分の主成分は、ジシアリル−オロソ−N−オクタオースであり、これはAsn−Nアセチルグルコサミン(GlcNAc)結合を有する糖タンパク質の代表的なオリゴ糖側鎖であった。理論に捕らわれることを望んだわけではないが、この異常はMPSの二次病変であるが、シアロ糖タンパク質の代謝の障害がこれらの疾患の病因と密接に関係していると想像できる。
1983年にPurkiss P、Gibbs DA、Watts RWはClin.Chim.Acta.131(1〜2):109〜21に「Studies on the Composition of Urinary Glycosaminoglycans and Oligosaccharides in Patients with Mucopolysaccharidoses who were Receiving Fibroblast Transplants」という標題の論文を公表した。この手紙形式の報告は、線維芽細胞の移植による治療途中のMPS患者における尿中のGAGとオリゴ糖の組成について研究している。オリゴ糖を溶液中に残しながら尿中GAGを9−アミノアクリジンで沈殿させた。両画分をゲルろ過でさらに分画した。GAG亜画分中のイズロン酸、グルクロン酸、ガラクトサミンおよびグルコサミン含量を調べた。理論に捕らわれることを望んだわけではないが、4年半にわたって線維芽細胞の反復移植の治療を受けてきた患者においてこれらのパラメータに変化がみられなかった。オリゴ糖画分のアミノ糖組成が調べられて、変化していないことが示された。さらに、ハーラー病の患者4名およびハンター病の患者2名では、移植に特異的に関係する尿中GAGの硫酸化度は変化していないことが分かった。著者らは、線維芽細胞の移植が糖質含量に、ならびに尿中のGAGおよびオリゴ糖の硫酸化度に、検出できるような変化をもたらさないと結論した。
1984年にElliott H、Hopwood JJはAnal.Biochem.138(1):205〜9に「Detection of the Sanfilippo D Syndrome by the Use of a Radiolabeled Monosaccharide Sulfate as the Substrate for the Estimation of N−acetylglucosamine−6−sulfate sulfatase」という標題の論文を公表した。この論文は、白血球と培養皮膚線維芽細胞とのホモジェネート、ならびに正常個体、N−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼ欠乏症(サンフィリポD症候群、MPS IIID)に冒された患者および他のMPSに冒された患者から得られた尿の濃縮物と共に放射性標識単糖であるN−アセチルグルコサミン[1−14C]6−硫酸(GlcNAc6S)を温置することによって、いかにしてN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼ活性をアッセイしたかを論じた。そのアッセイはMPS IIIDのホモ接合体と、正常対照および他のMPS型とをはっきりと識別した。GlcNAc6Sに対する酵素の活性レベルを、ヘパリンから調製した硫酸化二糖および硫酸化三糖と比較した。その二糖は単糖と同じ速度で脱硫酸され、三糖は単糖の30倍の速度で脱硫酸された。グルコース6−硫酸およびN−アセチルマンノサミン−6−硫酸に対するスルファターゼ活性は検出されなかった。GlcNAc6Sを加えた線維芽細胞のホモジェネートにおけるスルファターゼ活性はpH6.5の至適pH、みかけのKm330μmol/l、および硫酸イオンとリン酸イオンとの両方による阻害を示した。サンフィリポD症候群の酵素を日常的に検出するには、白血球および皮膚線維芽細胞におけるN−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼのアッセイに放射性標識基質GlcNAc6Sを使用することを薦めている。
1984年にKimura A、Hayashi S、Koseki M、Kochi H、Tsurumi K.はTohoku.J.Exp.Med.144(3):227〜36に「Fractionation and Characterization of Urinary Heparan Sulfate Excreted by Patients with Sanfilippo Syndrome」という標題の論文を公表した。この論文はMPS III−Bの2名の同胞から得た尿中ヘパラン硫酸(「HS」)をDowex1およびSephadex G−50を用いたクロマトグラフィーでどのように分画したかを論じた。それらのMrは1600から8000の範囲で、それらの95%が5000以下の領域に含まれた。低Mrの画分では含まれるO−硫酸およびN−硫酸基の量が多くなった。無傷のHS分子はGlcNAcおよびグルクロン酸(GlcUA)に富むブロックと、グルコサミン−N−硫酸(GlcNS)、イズロン酸(IdUA)およびO−硫酸に富むブロックから構成されることが化学分析とHSの脱アミン切断によって示唆された。GlcNAc−UA−GlcNS−UA−GlcNAc−UA−GlcNAcが1800以下のMrを有するHSの主要なオリゴ糖であることが分かった。三糖であるGlcNAc−GlcUA−無水マンノース(anMan)およびGlcNAc−IdUA−anManは、脱アミン切断によりHSオリゴ糖の非還元末端から放出された。これらの三糖はエステル型硫酸を0.3mol保有していた。GlcNAc−IdUA−anManの方が他方よりも硫酸化度が高かった。重大な量の非硫酸化三糖の放出が、この疾患における酵素の欠損と一致している。別のMPS IIIの患者から得た尿中HSを同様に調べた。患者を酵素的に検討しなかったが、尿中GAGの構造から、その患者にα−N−アセチルグルコサミニダーゼが欠損していることが示唆された。
1984年にKodama C、Ototani N、Isemura M、Yosizawa ZはJ.Biochem.(東京)96(4):1283〜7に「High−Performance Liquid Chromatography of Ppyridylamino Derivatives of Unsaturated Disaccharides Produced from Chondroitin Sulfate Isomers by Chondroitinases」という標題の論文を公表した。この論文は高速液体クロマトグラフィーによって4つの不飽和二糖(ΔDi−0S、ΔDi−4S、ΔDi−6SおよびΔDi−diS)を分離し定量するための高感度法をどのように開発したかを論じている。これらの不飽和二糖を蛍光化合物である2−アミノピリジンと結合させた。移動相として8mMのKHPO−NaHPO(pH6.0)/メタノール(体積比30/1)を用いたmuBondapak−C18カラムを使って、得られたピリジルアミノ誘導体の完全な分離を達成した。蛍光の発光(ピーク高)と、結合反応に使用した各基準二糖の量との間に直線関係が存在した。商業的に入手できるコンドロイチン硫酸AおよびC、DSならびにMPS患者の尿中GAGをコンドロイチナーゼで分解して分析することに、本方法を応用した。本方法がコンドロイチン硫酸異性体からコンドロイチナーゼによって生成するnmol〜pmolレベルの不飽和二糖の分離と定量に有用であり、構造のキャラクタリゼーションに使用できることを得られたデータは示した。
1985年にHopwood JJ、Elliott H.はBiochem.J.229(3):579〜86に「Urinary Excretion of Sulphated N−acetylhexosamines in Patients with Various Mucopolysaccharidoses」という標題の論文を公表した。硫酸化N−アセチルヘキソサミンをヒトの尿から単離し、N−アセチルグルコサミン6−硫酸(GlcNAc6S)、N−アセチルガラクトサミン−6−硫酸(GalNAc6S)、N−アセチルガラクトサミン−4−硫酸(GalNAc4S)およびN−アセチルガラクトサミン−4,6−二硫酸(GalNAc4,6diS)と仮に同定した。MPS−IIID、MPS−IVAおよびMPS−VIの患者の尿は、正常個体の尿と比べてそれぞれ380、180、420倍に上昇した濃度のGlcNAc6S、GalNAc6SおよびGalNAc4Sを含有している。MPS−VIの患者の尿もGalNAc4,6diSを正常レベルの600倍以上含有している。ムコリピドーシスII型の患者、多発性スルファターゼ欠乏症の患者、および一般に検討されたMPSの患者全ての尿は正常対照およびα−マンノシドーシス患者の尿で検出されたレベルの少なくとも5〜10倍高い硫酸化N−アセチルヘキソサミンを含有している。臨床的に軽症の表現型の患者の尿は、臨床的に重症のMPS患者の尿から単離されたよりも少ない硫酸化N−アセチルヘキソサミンを含有している。4つの硫酸化N−アセチルヘキソサミンの起源は分かっていない。しかし、ケラタン硫酸とコンドロイチン6−硫酸由来で非還元末端にβ結合した6−硫酸化N−アセチルヘキソサミン残基を含む一連のオリゴ糖基質を、培養ヒト皮膚線維芽細胞のホモジェネートと共に温置すると、GlcNAc6SとGalNAc6Sがそれぞれ放出されることが間接的に示された。コンドロイチン4−硫酸由来で非還元末端にβ結合したGalNAc4S残基を含むオリゴ糖基質を同様に温置したとき、GalNAc4Sの放出を実証できなかった。ヒトの尿に存在する硫酸化N−アセチルヘキソサミンの全てではないにしても一部は、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸またはコンドロイチン硫酸の非還元末端でβ結合している硫酸化GlcNAc残基または硫酸化GalNAc残基に対するβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼの作用から得られる、と我々は提案する。
1995年にMurata K、Murata A、Yoshida K.はJ.Chromatogr.B Biomed.Appl.670(1):3〜10に「High−Performance Liquid Chromatographic Identification of Eight Constitutional Disaccharides from Heparan Sulfate Isomers Digested with Heparitinases」という標題の論文を公表した。特異的ヘパラン硫酸リアーゼ、ヘパリチナーゼIおよびヘパリナーゼによるHS異性体およびヘパリンに由来する構成性不飽和二糖(ΔDi−SHS)の同定が、スルホン化スチレンジビニルベンゼン共重合体を用いた高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を使って達成されたことを、この論文は示した。HS異性体由来の8つのΔDi−SHS生成物が同定された。不均一な硫酸化HS同位体とヘパリンを、ヘパリチナーゼIおよびヘパリナーゼによる酵素分解によって種々のΔDi−SHSに変換する。これらの酵素の実際的な応用を特異的酵素とHPLCを用いて検討した。ハーラー症候群の患者では、尿中HS異性体から8つの個々のΔDi−SHSが同定された。
1996年にToma L、Dietrich CP、Nader HB.はLab Invest.75(6):771〜81に「Differences in the Non−reducing Ends of Heparan Sulfates Excreted by Patients with Mucopolysaccharidoses Revealed by Bacterial Heparitinases:a New Tool for Structural Studies and Differential Diagnosis of Sanfilippo’s and Hunter’s Syndromes」という標題の論文を公表した。この論文は、サンフィリポ症候群およびハンター症候群の患者が尿中に排泄したHSの構造の酵素分析と化学分析から、それらの非還元末端が互いに異なり、それらの症候群の酵素欠乏を反映していることが示されたと論じた。種々の症候群から得たヘパラン硫酸をヘパリチナーゼII、Flavobacterium heparinumの粗酵素抽出物および亜硝酸分解で処理した。サンフィリポA症候群(ヘパランN−スルファターゼの欠乏)およびサンフィリポB症候群(α−N−アセチルグルコサミニダーゼの欠乏)の患者から得たHSをヘパリチナーゼIIで分解すると、不飽和二糖以外にかなりの量のグルコサミンN−硫酸とN−アセチルグルコサミンがそれぞれ生成した。ハンター症候群(イズロン酸スルファターゼの欠乏)の患者から得たHSをヘパリチナーゼIIまたは粗酵素抽出物で分解すると、非還元末端に硫酸化ウロン酸を含んだ2つの飽和二糖などの、いろいろな生成物が生じた。サンフィリポC症候群(アセチルCoA:α−グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼの欠乏)の患者から得たHSから、ヘパリチナーゼIIの作用によって非置換アミノ基を有するグルコサミンを含む2つの硫酸化三糖が他の生成物以外に生成した。MPSの鑑別診断の新しい手段を提供する以外に、これらの結果はflavobacterium heparinum由来のヘパリチナーゼ類の特異性に新しい洞察をもたらしている。
1998年にByers、S.Rozaklis、T.Brumfield、L.K.Ranieri、E.およびHopwood、J.J.はMol Genet Metab.1998年12月、65(4):282〜90に「Glycosaminoglycan accumulation and excretion in the mucopolysaccharidoses:characterization and basis of a diagnostic test for MPS」という標題の論文を公表した。この研究で著者らは、多様なMPSから尿中GAGを精製してキャラクタリゼーションするために陰イオン交換クロマトグラフィーと30〜40%の勾配ポリアクリルアミノゲル電気泳動(勾配PAGE)を組み合わせて使用した。種々のMPSからの尿中GAGは勾配PAGEで異なるパターンを示した。また、適当なMPS酵素による分解後の電気泳動のバンドパターンが移動することにより、MPSの型と亜型のさらなる確認が実証された。彼らは各MPSがその特定のMPS障害に欠乏している酵素に特異的な基質から成る非還元末端を有する独特なスペクトルのGAGを蓄積すると報告した。非還元末端の構造と特定なMPSとの絶対的な相関と、組換えリソソーム酵素を利用できることが、個々のMPSを迅速に正確に診断する手段を提供している。
2003年にオーストラリア仮特許SN PS2930の出願後にRamsay SL、Meikle PJ、Hopwood JJはMol.Genet.Metab.78(3):193〜204に「Determination of Monosaccharides and Disaccharides in Mucopolysaccharidoses Patients by Electrospray Ionization Mass Spectrometry」という標題の論文を公表した。この論文はMPSがGAGの貯留を特徴とするLSDのどのようなグループであるかを論じている。X連鎖のハンター症候群(MPSII)を除き、MPSは常染色体に劣性遺伝し、GAGを異化するのに必要な10個のリソソーム酵素のいずれか1つの欠乏を生ずる。リソソームに貯留されるGAGの種類と大きさは、特定の酵素欠乏によって決定される。これらのGAGの上昇は、その後に組織、循環および尿で観察される。患者の試料から得た硫酸化N−アセチルヘキソサミン含有単糖および二糖を誘導体化してエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析で定量する方法が開発された。大部分のMPSの型の尿では、二硫酸化および一硫酸化N−アセチルヘキソサミン(GalNAc4,6S、GalNAc6S、GalNAc4SまたはGlcNAc6S)、ならびに一硫酸化N−アセチルヘキソサミン−ウロン酸二糖(GalNAc6S−UA、GalNAc4S−UAまたはGlcNAc6S−UA)が有意に増加した。MPSの患者から採取した血漿とろ紙につけた乾燥した血液のスポットを分析すると、一硫酸化N−アセチルヘキソサミンの総量の上昇を示したが、尿でみられるよりは小さいものであった。骨髄移植のレシピエントであるMPS IVAおよびMPS VIの患者の尿試料は移植後にHexNAcS、HexNAcS(2)/GalNAc4,6SおよびHexNAcS−UAの減少を示した。この減少は、比較的軽症の表現型の患者で同定されたものに匹敵するレベルまでの臨床改善と相関していた。
上に挙げたそれぞれの参照の全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
したがって、LSDの早期診断のための迅速、正確かつ経済的で、自動化に耐える検査の開発の必要性がある。さらにそのスクリーニング法は、臨床的に冒された個体および臨床的に冒されていない個体における治療効果を監視する能力を有すべきである。よって、LSDのためのそのように多様な臨床バイオマーカーの同定は、新生児のスクリーニング計画の開発に、またLSDの早期診断と治療に伴う他の多くの諸問題に取り組む能力に重大な影響を及ぼすであろう。本発明はMPS患者およびオリゴ糖症患者にみられる特異的オリゴ糖バイオマーカーを検出、定量および監視する方法を提供する。
本発明は、MPSおよび関連する疾患の診断法に関する。本発明は、MPSまたは関連する疾患の前臨床状態または臨床状態の診断手段として、MPSまたは関連する障害を有する患者の生体液または組織に存在する生化学マーカー(「バイオマーカー」)を同定し定量する方法に関する。
本発明の第一側面は、標的動物におけるMPS病の前臨床状態または臨床状態の診断法に関する。本発明は、その標的動物から採取された標的生体試料から標的MPSバイオマーカーの標的量を測定すること、および次にその標的量を基準MPSバイオマーカーの基準量と比較することを含む。実施形態では、標的MPSバイオマーカーは基準MPSバイオマーカーと同一または同等であり、標的MPSバイオマーカーおよび基準MPSバイオマーカーは特異的オリゴ糖に対応する。その基準量は、既知のMPS臨床状態を有する基準動物または基準動物の群から測定される。その基準MPSバイオマーカーの基準量からの標的MPSバイオマーカーの標的量の偏差は、MPS病の前臨床もしくは臨床指標、MPS病の進行の指標、またはMPS病の後退の指標である。好ましい実施形態では、標的MPSバイオマーカーおよび基準MPSバイオマーカーは、標的量と基準量を測定する前に誘導体化剤と反応させることにより誘導体化される。その誘導体化剤は、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン(「PMP」)を含む場合もある。好ましい実施形態では、MPSオリゴ糖バイオマーカーの標的量と基準量をタンデム質量分析法で測定する。しかし、他の実施形態の同定法をクロマトグラフィーによるアッセイ、イムノアッセイ、液体クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、MALDI−TOF質量分析、質量分析またはそれらの組合せから選択できる。
好ましい実施形態では、MPSバイオマーカーは特異的オリゴ糖に対応し、そのオリゴ糖は1〜12残基の糖鎖長を有する硫酸化分子または非硫酸化分子を含む。これらのオリゴ糖は標的生体試料から同定されたGAGの切断生成物を含み、そのGAGはHS、DS、ケラタン硫酸またはコンドロイチン硫酸である。別の好ましい実施形態では、標的生体試料に含有されるMPSバイオマーカーを、特定のMPS病亜型の特徴となる欠乏した酵素の第一機能的酵素同等物で分解する。例えば、MPS−Iで欠乏している酵素の第一機能的酵素同等物はα−L−イズロニダーゼを含む。標的MPSバイオマーカーの標的量を測定する前に分解ステップを用いると、定量の感度が向上する。
一実施形態では、MPSバイオマーカーオリゴ糖は、MPSバイオマーカーオリゴ糖の標的量を、同オリゴ糖または類似したMPSバイオマーカーオリゴ糖の基準量と比較することによって標的動物または患者におけるMPSを診断するために使用される。例えば、MPSバイオマーカーオリゴ糖の標的量の値の範囲が、MPS病を有さない動物から得られたオリゴ糖の基準量に対する値の範囲よりも大きいとき、標的動物はMPS病を有すると診断できる。さらに、類似しているが減弱したMPS病の表現型を有する基準動物におけるMPSバイオマーカーオリゴ糖の基準量に比べ、MPS病を有する標的動物におけるMPSバイオマーカーオリゴ糖の標的量の方が大きい。代わりに、MPS病を有する標的動物におけるMPSバイオマーカーオリゴ糖の標的量は、MPS病を有する同一標的動物であるが、有効なMPS療法を受けた後の時点の標的動物に比べて大きい。このとき、有効なMPS療法は骨髄移植(「BMT」)またはMPS酵素置換療法を含む。MPS療法の適当な種類と程度を決定するために、標的量と基準量の比較を利用できる。
別の具体的な実施形態では、標的MPSバイオマーカーまたは基準MPSバイオマーカーを正確に定量するために内部標準を利用する。好ましい実施形態では、重水素化したN−アセチルグルコサミン−6−硫酸(「GlcNAc6S(d3)」)を内部標準として使用した。他の内部標準は検討されるオリゴ糖と類似した非生理学的オリゴ糖を含む。例えば、コンドロイチナーゼによるコンドロイチン硫酸の分解で得られるが非還元末端に不飽和ウロン酸を有する非生理学的オリゴ糖である。
生体試料は尿、細胞抽出物、血液、血漿、CSFまたは羊水から選択できるが、好ましい実施形態では尿が使用される。その方法はMPS病の亜型に選択的なMPSバイオマーカーを含み、そのMPS病はMPS−I、MPS−II、MPS−IIIA、MPS−IIIB、MPS−VI、MPS−IIIC、MPS−IIID、MPS−IVまたはそれらの組合せである。その方法をMPS病の診断のための新生児のスクリーニングに使用できる。
本発明の第二の側面は、標的動物におけるMPS病の前臨床状態または臨床状態の診断法にも関する。その方法は、MPSバイオマーカーを中に含む生体試料を標的動物から得ること、誘導体化剤または誘導体化溶液でMPSバイオマーカーを誘導体化して誘導体化したMPSバイオマーカーを形成させること、その誘導体化したMPSバイオマーカーに固相抽出カラムを接触させること、洗液でその固相抽出カラムを洗浄すること、溶離溶液でその固相抽出カラムからその誘導体化したMPSバイオマーカーを溶離させること、溶離したMPSバイオマーカーの量を測定すること、および溶離したMPSバイオマーカーの量を基準MPSバイオマーカーの量と比較することを含む。基準MPSバイオマーカーの量を既知のMPSの臨床状態を有する動物の基準群または基準動物の群から測定する。この方法では、そのMPSバイオマーカーは基準MPSバイオマーカーと同一か同等であり、そのMPSバイオマーカーと基準MPSバイオマーカーのそれぞれはオリゴ糖である。加えて、MPSバイオマーカーの量と基準MPSバイオマーカーの量は標準化され、ある実施形態ではそれぞれの量はクレアチニンまたは別のオリゴ糖に対して標準化される。基準MPSバイオマーカーの量と比較したときの溶離したMPSバイオマーカーの量の偏差は、MPS病、MPS病の進行またはMPS病の後退の前臨床または臨床の指標とみなされる。
生体試料中のMPSバイオマーカーを、誘導体化ステップの前に凍結乾燥する場合もある。このとき好ましい誘導体化溶液はPMPを含む。MPSバイオマーカーは特異的オリゴ糖に対応し、そのオリゴ糖は1〜12残基にわたる糖鎖長を有する硫酸化分子を含む。これらのオリゴ糖は、標的生体試料から同定されたGAGの切断生成物を含む。そのGAGはHS、DS、ケラタン硫酸またはコンドロイチン硫酸である。別の具体的実施形態では、標的生体試料が含有するMPSバイオマーカーオリゴ糖を、特定のMPS病の亜型に特徴的な欠乏している酵素の第一機能的酵素同等物で分解する。例えば、MPS−Iにおいて欠乏している酵素の第一機能的酵素同等物はα−L−イズロニダーゼを含む。その標的MPSバイオマーカーの標的量を測定する前に分解ステップを用いると、定量の感度が上がる。
本発明の第三の側面は、標的動物におけるMPS病の前臨床状態または臨床状態を診断するために使用されるキットである。好ましい実施形態では、そのキットは、標的MPSバイオマーカーの化学組成を改変するために使用されるオリゴ糖誘導体化剤と、誘導体化反応後に誘導体化剤を中和するために使用される酸性溶液と、その標的MPSバイオマーカーの量を正確に測定するために使用される内部標準と、誘導体化された標的MPSバイオマーカーを精製するために使用される固相抽出カラムと、標的MPSバイオマーカーが結合したその固相抽出カラムから不純物を除去するために使用される固相抽出カラム洗液と、その固相抽出カラムからその標的MPSバイオマーカーを溶離するために使用されるオリゴ糖溶離溶液と、そのキットの使用説明書のセットとを備える。
具体的な一実施形態では、オリゴ糖誘導体化溶液はPMPを含む。好ましい酸性溶液はギ酸を含む。誘導体化されたオリゴ糖MPSバイオマーカーを固相抽出カラムに吸収させる。好ましいカラムはC18逆相カラムを含み、好ましいカラム洗液はCHClを含む。結合したカラムから結合したオリゴ糖を取り出すために、CHCNとギ酸とを含む好ましい溶離溶液が使用される。
そのキットは内部標準も包含し、GlcNAc6S(d3)が好ましい内部標準である。しかし、検討されるオリゴ糖に類似した非生理学的オリゴ糖も内部標準として使用できる。例えば、非還元末端に不飽和ウロン酸を有するコンドロイチン硫酸をコンドロイチナーゼで分解してその非生理学的オリゴ糖を得ることができる。
用語:
本明細書において使用するような「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、1つまたは複数を意味する。本特許請求の範囲に使用するように、「含む」という単語と共に使用されるとき、「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語は1つまたは複数を意味する。本明細書で使用するように「別の」は少なくとも二番目以上を意味する。
本明細書において使用するような「動物」、「被験者」、「個体」または「患者」という用語は、取り替えて使用でき、ヒトを含めた動物界の種を指す。
本明細書において使用するような「臨床状態」という用語は、医師によってMPS障害を調査または治療されている患者を指す。
本明細書において使用するような「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」のような変形は、述べられた要素もしくは完全体の、または要素もしくは完全体の群の、包含を意味するために使用されるが、他のいかなる要素もしくは完全体の、または要素もしくは完全体の群の、除外を意味するためには使用されない。
本明細書において使用するような「ムコ多糖症(MPS)」という用語は、リソソーム内へのGAGの蓄積と貯留を特徴とする、リソソーム蓄積症(「LSD」)の亜群を指す。
本明細書において使用するような「MPSバイオマーカー」という用語は、個体由来の生体液から検出できるオリゴ糖を指す。このMPSバイオマーカーの量は個体におけるMPS障害の臨床状態または前臨床状態の指標である。
本明細書において使用するような「MPS酵素置換療法」という用語は、MPS患者に欠乏している酵素または欠陥のある酵素を置換する薬剤または治療法を指す。
本明細書において使用するような「標準化する」という用語は、標的試料、基準試料または他の試料を基準、パターン、モデルなどと調和させることを指す。例えば、一実施形態では、MPS患者および非MPS患者の尿試料を各試料のクレアチニンの1μmol等量を用いることによって標準化した。
本明細書において使用するような「表現型」という用語は、遺伝および環境の両方に起因する、解剖学的形質および心理学的形質を含めた生物に顕在する特徴をひとまとめにしたものを指す。
本明細書において使用するような「前臨床状態」という用語は、症状が発現する前の疾患期間を指す。
本明細書において使用するような「基準量」という用語は、生体液中のMPSバイオマーカーの標準化された既知の量を指す。その基準量は、MPS病の規定された臨床状態、前臨床状態または表現型を有する動物または動物群から測定される。基準量は、生体液中のMPSバイオマーカーの相対量と、既知の臨床状態、前臨床状態または表現型との間に相関を有している多様な動物または動物群から編集された表を指す場合もある。
LSDの共通の1つの特徴は、リソソームへの物質の蓄積と貯留である。LSDに冒された個体での物質の蓄積と貯留は、細胞内のリソソームの数と大きさが総細胞体積の約1〜50%に増加することを招く。冒されていない個体では、そのような物質は概してリソソーム内で分解生成物に分解してからリソソーム膜を通過して輸送される。本発明者らは、ある種のリソソームタンパク質が冒された個体のリソソーム中で高レベル存在することを以前に発見した(Meikleら1997、Huaら1998)。これらの同定されたタンパク質は、全てのLSDの早期診断に有用なバイオマーカーとなり得る。例えば、リソソーム関連膜タンパク質(「LAMP」)、サポニンおよびα−グルコシダーゼが有用なバイオマーカーとして同定され、これらのタンパク質レベルを監視するために高感度の免疫定量アッセイが開発された。「高リスク」群におけるLAMP−1レベルまたはLAMP−2レベルだけの測定では、LSDに冒された個体の65%までを同定し、LAMPとサポニンの1つとの組合せではLSDに冒された個体の同定は約85%に増加した。
LSDの二番目の特徴は、貯留された基質がエキソサイトーシスまたは細胞死後の膜の破裂のどちらかによって細胞から結局放出されることである。結果として、種々の生体液(例えば血液や尿)中の特異的基質の同定と定量から、個体におけるLSDを確認できる。さらに、特異的基質の定量は、関与する特定のタイプの障害も解明する。貯留された基質のレベルは疾患の重症度と相関し、その疾患の重症度は、臨床または前臨床での進行を監視するために、そして来たる治験(動物およびヒト)の効果を監視するために重要であろう。
MPS障害群では、リソソームにおける主要貯留物質はGAG、具体的にはHS、DS、ケラタン硫酸およびコンドロイチン硫酸を含む。エンドグリコシダーゼはGAGを切断できるため、本発明者らは低分子量のオリゴ糖断片がMPS障害群に有用なバイオマーカーであると確定した。よって、本発明者らは、「リスクのある」個体から採取された生体試料中の特異的オリゴ糖(具体的には硫酸化オリゴ糖)のレベルが上昇していることがMPSまたは多発性スルファターゼ欠乏症の指標であることを確認した。目的のオリゴ糖は一般に1〜12個の糖残基を含む(すなわち単糖から十二糖の範囲)であろう。理論に捕らわれることを望んだわけではないが、これらのオリゴ糖はこれらの障害を有する患者に蓄積したGAG貯留基質に由来する。
したがって、動物から採取された生体試料中のあるオリゴ糖(例えば硫酸化単糖から硫酸化十二糖)の量を測定することは、MPSまたは多発性スルファターゼ欠乏症のスクリーニング法または監視法を提供する。理論に捕らわれることを望んだわけではないが、オリゴ糖の量の上昇はその障害が存在することの指標であり、そのオリゴ糖の形成は1つまたは複数のGAGの切断により起こる。それらのオリゴ糖は、1つまたは複数の以下のGAG:HS、DS、ケラタン硫酸またはコンドロイチン硫酸、から得られる。特異的オリゴ糖を同定できるいかなる方法(例えばタンデム質量分析、質量分析、液体クロマトグラフィーおよび/またはイムノアッセイ)も、「リスクのある」個体におけるMPSまたは多発性スルファターゼ欠乏症を同定および監視することを可能にするであろう。
生体試料中のオリゴ糖レベルの上昇を新生児のスクリーニング用マーカーとして、またはMPSの治療を受けている患者の進行を監視するために利用できることが、本発明の目的である。被験者はすでにMPS障害と診断されている場合もあるし、診断されていない場合もある(すなわち前臨床状態または臨床状態)。被験者の臨床状態をこれらの方法で監視し、治療方式(例えば酵素置換療法、遺伝子療法および/または食餌療法)の有効性を測定できる。さらに、本発明の実施形態のいくつかを代表し、本発明を制限することを意図しない1つまたは複数の以下の実施例を参照することで、本発明をよりよく理解できよう。
試料の調製:生体試料からのオリゴ糖の単離
本発明の一実施形態は、標的動物または基準動物から採取された生体試料からオリゴ糖を測定することを含む。その生体試料は、尿、血液、細胞または目的オリゴ糖を含有する他の生体試料を含み得る。尿試料の採取は簡単で非侵襲的な操作であるため、以下の実施例のいくつかでは尿を生体試料として使用した。しかし、生体試料としての尿の利用は、他の生体試料を特異的オリゴ糖の測定に使用することから除外することを意図しない。さらに、当業者は、以下の実施例で使用される試薬の一部を、本発明の範囲と精神を逸脱することなしに様々な種類の生体試料を処理するために変えることができると認識しているであろう。
下記に示すいくつかの実施例では、同意のもとに患者の尿を得、以下のように処理した。破片を除去するために尿500mlを採取し2000×gで10分間遠心分離して透明にした。次に、透明となった尿に、0.1MのNaCOOCH(pH5.0)で予め平衡化しておいたDEAE−Sephacelの50mlカラムを自然重力で通過させた。次に、DEAE−Sephacelカラムを10カラム容の平衡化緩衝液で洗った。1.2MのNaClを含有する0.1MのNaCOOCH(pH5.0)で尿中GAGを溶離させた。DEAE−Sephacelカラムからの溶離画分についてウロン酸をアッセイした。かなりの量のウロン酸を含有する画分をプールし、凍結乾燥し、水4.0mlで再構成した。次に、プールしたGAGを、0.5MのNHCOOHで予め平衡化したBio−Gel P2カラム(内径1.5cm×長さ170cm)で分画した。Bio−Gel P2からの体積4.0mlの55画分を回収し、二番目のウロン酸アッセイを行った。図1はMPS Iの患者の尿(黒ひし形)および対照尿(灰色棒線)のオリゴ糖の溶離像を示す。
続いて、画分31〜54を質量分析用に下記のように誘導体化した。しかし、当業者は、本発明の範囲と精神から逸脱することなしに生体試料からGAGを精製するために使用される多くの試薬を利用できることを認識しているであろう。
GlcNAc6S(d3)の調製:
重水素化内部標準GlcNAc6S(d3)をグルコサミン−6−硫酸(GlcN6S)の選択的N−アセチル化によって調製した。超音波処理によってピリジン(700μl)、ジメチルホルムアミド(700μl)およびメタノール(50μl)の無水溶液に単糖GlcN6S(25mg)を溶解した。得られた溶液を氷冷しながら撹拌し、無水酢酸(d)(2×20μl)を30分間隔で加えた。1時間後に、4%アンモニア水溶液(500μl)で反応を停止させ、次に窒素気流下に置き溶媒を除去した。このステップを繰り返した。残渣を水(500μl)に溶かし、陰イオン交換カラム(AG1−X8、H型、100〜200メッシュ、ベッド体積5ml)に載せ、脱イオン水(4カラム容)で洗った。単糖をLiCl(2.5M)で溶離させ、得られた画分をビシンコニン酸マイクロウェル・アッセイ(BCA(商標)、Pierce Chemical Company、ロックフォード、イリノイ州)で監視した。GlcNAc6S(d3)を含有する画分をプールし、P2fine(Bio−Rad)のサイズ排除カラム(50×1cm)で脱塩した。脱塩された画分をプールし、凍結乾燥して、白色固体5.5mgを生成させた(回収率18.7%)。質量分析計で未重水素化GlcNAc6Sと比較することでGlcNAc6S(d3)の純度を測定した。ニュートラル・ロス(NL374)ESI/MSMS実験はGlcNAc6S(d3)化合物が純度83.95%(w/w)であることを示した。しかし、当業者は、本発明の範囲と精神から逸脱することなしに重水素化内部標準GlcNAc6S(d3)を製造するために使用される多くの試薬を利用できることを認識しているであろう。
オリゴ糖の誘導体化:
試料である精製オリゴ糖、細胞溶解液および尿(0.5〜1.0μmolクレアチニン等量)を誘導体化前に凍結乾燥し、全血試料をろ紙(S&S903、Schleicher&Schuell、ダッセル、ドイツ)に染みこませて乾燥し、打ち抜いた3mmの穴部分を採り、直接誘導体化した。誘導体化溶液(1nmolの硫酸化二糖と1nmolのGlcNAc6S(d3)を含有する250mmol/Lの1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン(「PMP」)、400mmol/LのNH、pH9.1)50〜100μLを各試料に添加し、液をボルテックス・ミキサーで激しく撹拌してから恒温器に入れて約70℃で90分間加熱した。2倍モル過剰のギ酸(50μL、800mmol/L)で試料を酸性にし、水で500μLにした。各試料をCHCl500μLで抽出して過剰のPMPを除き、遠心分離(13000×g、5分間)した。固相抽出カラム(25mg、C18)を100%CHCN、50%CHCN/0.025%FAおよび水による1mlの連続洗浄でプライミングした。それぞれCHCl抽出(400μL)したときの水層を、プライミング済みのC18カラムに載せ、固相に完全に入れた。カラムを水(1×500μL、2×1000μLの順)で洗い、Supelco社製Visiprep24真空マニホールド(Sigma−Aldrich、セントルイス、USA)で吸引(15分間)して、または96穴形式の場合は凍結乾燥器(45分間)で乾燥した。次に、乾燥した各C18カラムをCHCl(2×1000μL)で洗い、取り込まれなかったPMPを全て除き、再び完全に乾燥させた。50%CHCN/0.025%ギ酸を含む水(3×200μL)で誘導体化したオリゴ糖を各C18カラムから溶離させ、Nの気流下で乾燥した。それから、質量分析計に注入するために50%CHCN/0.025%ギ酸を含む水500μLで各試料を再構成した。
質量分析
イオンスプレー源とAnalyst1.1データシステム(PE Sciex)を備えたPE Sciex API3000三連四重極質量分析計を用いたESI−MS/MSでオリゴ糖の分析を行った。Harvard Apparatus社製ポンプを10μl/minで使用して試料を直接注入するか、または50%(v/v)アセトニトリル/0.025%(v/v)ギ酸を含む水をキャリヤー溶媒として用いてGilson233オートサンプラーを使って50μl/minでインジェクトした。オリゴ糖をQ1スキャンにおける質量電荷比(m/z)に基づいて同定し、陰イオンモードでのプロダクトイオンスキャンでさらにキャラクタリゼーションした。これらのオリゴ糖の定量を陰イオンモードでのマルチプルリアクション・モニタリング(MRM)を使って行った。各MRM対を単位分解能で100ミリ秒間モニタリングした。各測定について100回の連続スキャンを平均し、内部標準のピーク高に対してPMPオリゴ糖のピーク高を関連づけることで相対濃度比を計算した。
HPLCによる定量
質量分析は本発明のオリゴ糖を測定する好ましい方法であるが、本発明の別の側面はGAG由来オリゴ糖のHPLCによる定量を必要とする。例えば、上記のように尿試料のオリゴ糖をPMPで誘導体化したものは、イオン対逆相HPLCによっても分離できる。誘導体化されたオリゴ糖を適当なイオン対試薬(1mMのトリエチルアミン)を含有する水に溶解し、C18逆相HPLCカラムにインジェクトできる。硫酸化オリゴ糖をイオン対試薬(1mMのトリエチルアミン)を含有するアセトニトリル/水の勾配を使ってカラムから溶離させ、260nmの吸光度により定量できる。しかし、当業者は、本発明の範囲と精神から逸脱することなしに本発明のオリゴ糖を測定するために多くのHPLC試薬と方法を修正できることを認識しているであろう。
免疫定量アッセイ
特異的オリゴ糖を検出し定量する別の好ましい方法では、免疫定量アッセイにモノクローナル抗体を利用する。例えば、オリゴ糖をタンパク質担体と結合させマイクロタイター・プレートの穴の内側をコーティングするために使用できる。そのオリゴ糖に対するモノクローナル抗体を、適当なレポーター分子で標識でき、マイクロタイター・プレートの穴に入れることができる。さらに、目的のオリゴ糖を含有する試料をその穴に入れることができ、それによって穴の表面に固定化されたオリゴ糖に対するモノクローナル抗体の結合が部分的に阻害される。次に、未知の試料中のオリゴ糖レベルを定量するために、既知の量のオリゴ糖を使った検量線を使用できる。当業者は、本発明の範囲と精神から逸脱することなしに本発明のオリゴ糖を測定するために多くの免疫試薬および免疫学の方法を修正できることを認識しているであろう。
オリゴ糖のキャラクタリゼーション:
MPS IおよびMPS IIを有する患者の尿から単離されたオリゴ糖を、タンデム質量分析(MS/MS)で評価される断片化パターンからキャラクタリゼーションした。本実施例では質量分析を使用するが、クロマトグラフィー法、イムノアッセイ、液体クロマトグラフィー−質量分析、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーを含めた他の定量法も、生体試料中のオリゴ糖の量を測定するための定量法として使用できることを理解すべきである。
プロダクトイオンスキャンは親イオンから生成したプロダクトイオンを示し、それらの構造についての情報をもたらし、MRMに適したイオン対を提供する。図2はMPS Iの尿にみられた二糖のマススペクトルを示す。親イオンの質量電荷比(「m/z」)は806.2であり、MPS Iの尿から単離された[M−H]−1硫酸化二糖を表し、MRM対として使用したm/z256および295を含めた一連の娘イオンを示している。
酵素による切断
さらに、特定のオリゴ糖に存在する糖残基の性質を、特定のMPSに欠乏している組換え酵素による酵素的切断によってさらにキャラクタリゼーションできる。誘導体化オリゴ糖(100μl)を50mMのNH酢酸緩衝液(pH4.0)中で37℃で24時間5ngのrhIDUAを使って分解した。この分解物の10分の1を質量分析で分析し、残りを5ngの組換えN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ(50mMの酢酸アンモニウム緩衝液pH5.6)または5ngのN−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼ(50mMのギ酸アンモニウム緩衝液、pH5.0)を使って37℃で24時間分解した。これらの分解物もESI−MS/MSで分析した。
Bio−Gel P2カラムから得た画分#31〜#41におけるオリゴ糖の構造をESI−MSMSでキャラクタリゼーションし、部分構造を解明し、MRMモニタリングに適したプロダクトイオンを同定した図3。図3はMPS Iの尿中のオリゴ糖を示す。分子量に応じたBio−Gel P2の画分を基にMPS Iの尿から五糖、四糖、三糖および二糖を精製し、同定した。各オリゴ糖をMS/MSでさらにキャラクタリゼーションし、マルチプルリアクション・モニタリング(「MRM」)用のプロダクトイオンを同定した。構造の組成を詳細に描写するために断片化パターンを使用した。分画されたMPS Iの尿から同定されたこれらのオリゴ糖のいずれも対照尿の質量分析ではみられなかった。対照尿はMPS Iの患者の尿に存在する総UAの10%未満を含有していた。画分#32、#35、#37、#39および#40をrhIDUAで処理して非還元末端にIdoAが存在するかどうかを測定した。それぞれの場合に193amu(原子質量単位)の減少を認め、この末端残基がIdoAであることを確認した。rhIDUAで分解後、画分#35および#39を次に組換えN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼおよびN−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼで処理した。N−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼではなく、組換えN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼでは80amuの減少(SOの脱落と提案)から、IdoAに隣接する残基をN−アセチルガラクトサミン−4−硫酸と同定した。四糖の酵素分解物のマススペクトルを図4に示す。図4は、組換え酵素による分解後の四糖のマススペクトル(m/z632)を示す。図4Aはm/z632.6の四糖を示す。図4Bは組換えα−L−イズロニダーゼによる分解後の同オリゴ糖を示す。m/z544.5はウロン酸の脱落(176amu)に対応する。図4Cは組換えα−L−イズロニダーゼで処理してから組換えN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼで処理したオリゴ糖を示す。m/z504.4は硫酸の脱落に対応する(80amu)と提案されている。
図5に示すように、MPS Iの尿から単離された三糖と四糖の非還元末端のキャラクタリゼーションを示すマススペクトルに別の例を示す。Bio−Gel P2カラムから得た、豊富な量の三糖および四糖を含有する画分を組換えα−L−イズロニダーゼで酵素分解した。図5Aのスペクトルは、α−L−イズロニダーゼの非存在下におけるm/z632.6の四糖[M−H]2−、m/z982.4の三糖[M−H]およびm/z490.9の[M−2H]2−を示す。図5Bのスペクトルは、α−L−イズロニダーゼにより酵素分解し、イズロン酸を除いた後のm/z632.6、982.4および490.9の各イオンからそれぞれm/z544.4、806.4および402.8のシグナルが生成したことを示す。
図6はMPS IIの患者の尿から精製したオリゴ糖のQ1マススペクトルを示す。上記のようにオリゴ糖をDEAE Sephacel陰イオン交換およびBioGel P4サイズ排除で精製した。図6Aは、糖組成(UA、ヘキソサミン(「HN」))の三糖画分のQ1スペクトルを示し、m/z509のシグナルは[M−2H]2S含有化学種に対応し、m/z1020のシグナルは対応する[M−H]化学種である。図6Bは、(UA、HNAc、HN)の組成の四糖画分のQ1スペクトルを示す。m/z434および460のシグナルはそれぞれ[M−3H]3−3Sおよび[M−3H]3−4S含有化学種に対応する。m/z651および691のシグナルは対応する[M−2H]2−化学種から生じる。
図7はMPS IIの患者の尿から精製されたオリゴ糖のQ1マススペクトルを示す。上記のようにDEAE Sephacel陰イオン交換およびBioGel P2サイズ排除でオリゴ糖を精製した。図7Aは、(UA、HNAc、HN)の組成の五糖画分のQ1スペクトルを示し、m/z492および514のシグナルはそれぞれ[M−3H]3−3Sおよび[M−3H]3−4S含有化学種に対応し、m/z739および779のシグナルは対応する[M−2H]2−化学種である。図7Bは、(UA、HNAc)の組成の六糖画分のQ1スペクトルを示し、m/z450、470および490のシグナルはそれぞれ[M−4H]4−4S、[M−4H]4−5Sおよび[M−4H]4−6S含有化学種に対応する。図7Cは、(UA、HNAc、HN)の組成の七糖画分のQ1スペクトルを示し、m/z473、493および513のシグナルはそれぞれ[M−4H]4−4S、[M−4H]4−5Sおよび[M−4H]4−6S含有化学種に対応する。図7Dは組成(UA、HNAc)の組成の六糖画分のQ1スペクトルを示し、m/z451、468および484のシグナルはそれぞれ[M−5H]5−5S、[M−5H]5−6Sおよび[M−5H]5−7S含有化学種に対応する。m/z565および585のシグナルは[M−4H]4−5Sおよび[M−4H]4−5S含有化学種に対応する。
質量分析によるオリゴ糖の同定:
一実施形態では、オリゴ糖マーカーをエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(「ESI/MS/MS」)で同定し、酵素分解とESI/MSMSの組合せを使ってキャラクタリゼーションする。例えば、ESI/MSMSによるオリゴ糖マーカーの測定は、尿、血漿、血液または皮膚線維芽細胞のような体液または組織試料の分析によりMPSに冒された被験者の同定を可能にする。図8は、MPS患者で同定されたオリゴ糖分析対象物質の表を示す。オリゴ糖をMPS患者の尿から精製し、タンデム質量分析で分析した。電圧を最適化し、MRMイオン類を同定して生体試料中のこれらのオリゴ糖化学種を迅速に分析できるようにした。
対照、MPSおよび多発性スルファターゼ患者の尿の分析を行った。対照(n=26)ならびにMPSおよびMSに冒された個体(70名)の尿試料(0.5〜1.0μmolクレアチニン等量)を上記のように誘導体化してから、図8に示すように以前にMPSの患者の尿試料で同定されキャラクタリゼーションされた単糖およびオリゴ糖27種について質量分析計で分析した。MRMモードを使ってPMP誘導体化オリゴ糖の定量を行った。モニタリングしたイオン対を図8に示す。半ピーク高において1.0amuの解像度に設定して100ミリ秒間各イオン対をモニタリングした。各定量測定にはインジェクション時間にわたって連続スキャンを行って平均した。PMP−オリゴ糖のピーク高を、単糖ではPMP−GlcNAc6S−d内部標準の、または(他の全てのオリゴ糖では)PMP−硫酸化二糖のどちらかのピーク高と対比することで定量を行った。選ばれたオリゴ糖のMRM分析に使用したm/z値についてのQ1/Q3の平均値と標準偏差(「SD」)の表を図8に示す。図9は対照26名と比べたときの各MPS亜群における選ばれたオリゴ糖分析対象物質のMann WhitneyのU値を示す。MPS患者の数をMPSの型の下に表示する。各MPS亜群について対照集団との分別をもたらす分析対象物質像があることが分かる。
Mann WhitneyのU値に基づき、MPSおよび多発性スルファターゼ群と対照群とを最もよく分別する9つの分析対象物質を選択した。図10は、対照個体におけるGAG由来オリゴ糖の相対レベルの箱型図を示す。対照固体(26名)の尿試料について、すでに述べたようにGAG由来オリゴ糖を分析し、結果を標準化し、各分析対象物質に対する平均値に任意の値である1をあてた。その箱型図は、対照群での各分析対象物質の中央値(中央の横棒)、25および75百分位数(四角形)、ならびに上限および下限(上下の横棒)を示している。丸印と星印は、それぞれ線外値と極端な線外値を表す。MPS病が進行したこと、または特異的治療法に応答しなかったことを動物における標的量が示すならば、さらに攻撃的な治療法が必要となり得る。例えば、治療の用量と期間を増加させることができる。他方で、MPS病が後退したか、特異的治療法に応答したことを動物における標的量が示すならば、同様に攻撃性の低い治療法が必要となり得る。例えば、攻撃性の低い治療法では治療法の用量と期間を減少させることができる。
図11は、MPS各群に対応する分析対象物質の値の箱型図を示す。各MPS群で、その群と対照群との、および他のMPS群との分別を可能にするような特徴的なパターンが明らかである。MPSに冒された個体の尿試料について、すでに述べたようにGAG由来オリゴ糖を分析し、各分析対象物質に対する平均値に1という値をあてた対照集団に対して結果を標準化した。箱型図はMPSI、II、IIIA、IIIB、IIIC、IIID、IVA、VIおよび多発性スルファターゼ欠乏症について選ばれた分析対象物質の結果を示す(それぞれ図11パネルA〜H)。プロットは中央値(中央の横棒)、25および75百分位数(四角形)、ならびに上限および下限(上下の横棒)を示す。丸印と星印はそれぞれ線外値と極端な線外値を表す。
理論に捕らわれることを望んだわけではないが、各MPS型における酵素の欠乏に特異的に関係するオリゴ糖があり、これらのオリゴ糖がその疾患で貯留される主な化学種である。本発明者らは、高レベルで存在するとき特異的な型のMPS障害(例えばMPS−I、MPS−IIなど)の指標となるオリゴ糖を同定した。これらの研究に基づいて、各障害で推定される貯留物質のリストを下に表示する。このリストでは次の略語を利用する:IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトース。
MPS I
デルマタン硫酸断片:
IdoA-(GalNAc-(UA-GalNAc)n)(S)m, n=0-5, m=0-11 ;
IdoA-(GalNAc-UA)n(S)m, n=1-6, m=0-12 ;
ヘパラン硫酸断片:
IdoA-(GlcNAc/GlcN-(UA-GlcNAc/GlcN)n)(S)m, n=0-5, m=0-17 ;
IdoA-(GlcNAc/GlcN-UA)n(S)m, n=1-6, m=0-18.
MPS II
デルマタン硫酸断片:
IdoA2S-(GalNAc-(UA-GalNAc)n)(S)m, n=0-5, m=0-11 ;
IdoA2S-(GalNAc-UA)n(S)m, n=1-6, m=0-12.
ヘパラン硫酸断片:
IdoA2S-(GlcNAc/GlcN-(UA-GlcNAc/GlcN)n)(S)m, n=0-5, m=0-17;
IdoA2S-(GlcNAc/GlcN-UA)n(S)m, n=1-6, m=0-18.
MPS IIIA
ヘパラン硫酸断片:
GlcNS-(UA-(GlcNAc/GlcN-UA)n)(S)m, n=0-5, m=0-16;
GlcNS-(UA-GlcNAc/GlcN)n(S)m, n=1-6, m=0-18.
MPS IIIB
ヘパラン硫酸断片:
GlcNAc-(UA-(GlcNAc/GlcN-UA)n)(S)m, n=0-5, m=0-16;
GlcNAc-(UA-GlcNAc/GlcN)n(S)m, n=1-6, m=0-18.
MPS IIIC
ヘパラン硫酸断片:
GlcN-(UA-(GlcNAc/GlcN-UA)n)(S)m, n=0-5, m=0-16;
GlcN-(UA-GlcNAc/GlcN)n(S)m, n=1-6, m=0-18.
MPS IIID
ヘパラン硫酸断片
GlcNAc6S/GlcN6S-(UA-(GlcNAc/GlcN-UA)n)(S)m, n=0-5, m=0-16
GlcNAc6S/GlcN6S-(UA-GlcNAc/GlcN)n(S)m, n=0-6, m=0-18
MPS IVA
ケラタン硫酸断片:
Gal6S-(GlcNAc-(Gal-GlcNAc)n)(S)m, n=0-5, m=0-11;
Gal6S-(GlcNAc-Gal)n)(S)m, n=0-6, m=0-12;
コンドロイチン硫酸断片:
GalNAc6S-(UA-(GalNAc-UA)n)(S)m, n=0-5, m=0-11.
GalNAc6S-(UA-GalNAc)n(S)m,n=0-6, m=0-12.
MPS IVB
ケラタン硫酸断片:
Gal(GlcNac-(Gal-GlcNAc)n)(S)m, n=0-5, m=0-11.
Gal-(GlcNAc-Gal)n(S)m, n=1-6, m=0-12.
MPS VI
デルマタン硫酸断片:
GalNAc4S-(UA-(GalNAc-UA)n)(S)m, n=0-5, m=0-12,
GalNAc4S-(UA-GalNAc)n(S)m, n=0-6, m=0-13.
MPS VII
デルマタン硫酸断片:
GlcA-GalNAc-(UA-GalNAc)n)(S)m, n=0-5, m=0-11;
GlcA-(GalNAc-UA)n(S)m, n=0-6, m=0-12.
ヘパラン硫酸断片:
GlcA-(GlcNAcS/GlcNS-(UA-GlcNAc/GlcN)n)(S)m, n=0-5, m=0-17;
GlcA-(GlcNAc/GlcN-UA)n(S)m,n=0-6, m=0-18.
本リストは糖残基の重合度12または13以下のオリゴ糖を包含している。当業者は、単糖から5000Daを超える分子量の比較的高分子量の化学種までのオリゴ糖連続体があることを認識するであろう。さらに、当業者は、一次貯留基質によりリソソームの機能が阻害された結果として、他の非特異的オリゴ糖が増加する場合がある(二次貯留)と認識しているであろう。本リストは一例として示され、本発明の範囲と精神を制限することを意図していない。
MPSの診断:
生体試料から単離されたオリゴ糖の識別力の一例として、対照8名およびMPS Iの患者14名の尿中の6種のオリゴ糖(HNAc(S)、UA−HN−UA(S)、UA−HN−UA(2S)、UA−HNAcS、UAHNAc−UA(S)、およびUA−HNAc−UA−HNAc(2S))の相対レベルを測定した。測定した6つのオリゴ糖のうち5つでは対照集団とMPS集団の間にオーバーラップはなかった。対照およびMPS Iの患者における尿中のオリゴ糖の相対濃度を図12に示し、上記のように内部標準(GlcNAc6S(d3))に対する相対定量を行った。対照およびMPS Iの患者の、1μmolクレアチン等量を有する尿試料を誘導体化してタンデム質量分析計で分析した。図12の各プロットは異なるオリゴ糖を表し、N=は各群(すなわち対照またはMPS−I)における標本数を表す。中央の横線は各群の中央値を示し、白四角形は25および75百分位数を示す。上下の誤差線は範囲の限界を示し、記号(「○」)は統計的な線外値を表す。
表現型Iの測定:
FCSを10%補充したイーグルの修正基礎培地(BME)で、対照2名およびMPS Iの患者3名から得たヒト皮膚線維芽細胞を6週間集密後培養した。細胞を回収し、細胞抽出物を調製してから、MPS Iの尿で同定されたオリゴ糖を質量分析で分析した(図13)。対照および中等症のMPS Iを有する患者の細胞系から単離されたオリゴ糖の相対レベルに顕著な差を認めた。例えば、細胞タンパク質1mgあたりのUA−HN−UA(2S)の相対レベルは、対照患者由来のSF5344細胞系では0.034であった。このとき中等症MPS−Iを有する患者由来のSF2662細胞系は、細胞タンパク質1mgあたりUA−HN−UA(2S)の相対レベルが3倍を超える高さであった(0.090)。重症の患者2名と中等症の患者との間でオリゴ糖レベルに4倍以上の差があることも明らかとなり、このことはオリゴ糖レベルと患者の重症度の間の相関関係を実証している。
表現型IIの測定
一部のMPS Iの患者の尿試料中の相対オリゴ糖レベルは遺伝子型とも相関した。各尿試料について0.5μmolクレアチニン等量をPMPで誘導体化し、図8の選ばれたオリゴ糖について質量分析で分析した。尿試料をMPS Iの個体(n=7)および年齢を合わせた対照(n=26)から採取した。選ばれたオリゴ糖について尿試料を質量分析で分析した。これらの尿試料を、遺伝子型と臨床情報が記録されている一連の臨床表現型を有するMPS Iの患者から採取した。図14に示すように、MPS Iの患者では対照の平均と比べて選ばれたオリゴ糖の各MRM対のレベルが上昇していた。
分子遺伝学的分析は疾患の重症度に有益な予測をもたらさないことが多いが、疾患の重症度を知ることはMPS Iを適正に管理するための最高のことである。図14に示すように大部分のオリゴ糖のレベルは突然変異の重篤度とよく相関した。例えばR89Q対立遺伝子はW402X対立遺伝子よりも軽症とみなされ、W402X対立遺伝子は重症とみなされている(Scottら、1993)。したがって、図14に示すようにW402X対立遺伝子を有する患者におけるオリゴ糖レベルは、軽症のR89Q対立遺伝子を有する患者でのオリゴ糖レベルと比べて高値であった。適当な内部標準の合成はリソソームの貯留による特異的オリゴ糖生成物の正確な定量を可能にするであろう。そのことは次に、LSD病表現型の効果的な予測に使用できる。理論に捕らわれることを望んだわけではないが、血液、組織生検または培養細胞のような他の起源の生体試料を使用した同様の取り組みでも似通った相関となるであろう。
治療法Iの監視:
オリゴ糖のレベルがどのように治療の効果の監視に使用できるかの一例として、対照と治療を受けているMPS Iの患者で比較を行った。図15は骨髄移植(「BMT」)前後のMPS I患者における相対オリゴ糖レベルを示す。BMTを受ける前のMPS−Iの患者から尿試料を得、BMTの3カ月後および8カ月後の患者から再び試料を採取した。各尿試料についてMPS Iの尿に存在した6つのオリゴ糖(UA−HN−UA(2S)、HNAc(S)、UA−HN−UA(S)、UA−HNAc(S)、HA−HNAc−UA(S)およびUA−HNAc−UA−HNAc(2S))を分析した。全てのオリゴ糖で相対レベルが正常範囲に向けて継続的に減少していることを認めた。例えばBMT前では尿中UA−HNAc(S)の相対濃度は13.93であったが、BMTの3カ月後および8カ月後の相対レベルはそれぞれ8.39および2.12であった。さらに、UA−HNAc(S)の尿中相対レベルの対照8名の平均は0.04であった。
治療法IIの監視
骨髄移植の前、および骨髄移植後のいくつかの時点でMPS IVAおよびMPS VIの患者から尿試料を採取した。各試料を誘導体化して選ばれたオリゴ糖を分析した。結果(図16および図17)は、移植後の時間の長さに対応してこれらの患者で貯留オリゴ糖が減少したことを示している。図16は骨髄移植前後でのMPS IVAに冒された個体の尿中のGAG由来オリゴ糖の相対レベルを示す。MPS IVAに冒された個体の尿試料を移植前(黒棒線)および移植の0.5、1.6および11.6年後(それぞれ斜線棒線、あみがけ棒線および白棒線)に採取した。すでに述べたように各試料についてGAG由来オリゴ糖を分析し、各分析対象物質についての平均値に1という値をあてた対照集団に対して結果を標準化した。
図17は骨髄移植前後のMPS VIに冒された個体の尿におけるGAG由来オリゴ糖の相対レベルを示す。MPS VIに冒された個体の尿試料を移植前(黒棒線)および移植の1.1、4.0および4.9年後(それぞれ斜線棒線、あみがけ棒線および白棒線)に採取した。すでに述べたように各試料についてGAG由来オリゴ糖を分析し、各分析対象物質についての平均値に1という値をあてた対照集団に対して結果を標準化した。
治療法IIIの監視:
多くのLSDの動物モデル、例えばイヌのMPS I、ネコのMPS I、MPS VIのネコ、およびマウスのMPS VIIが存在する。ネコにおけるMPS VI障害はMPSの測定のモデルとして使われてきて、疾患の病因と治療の転帰の両方に関して非常に貴重な情報をもたらした。本実施例では、MPS VI型のネコモデルを使用して、MPS VI型ネコにおいて治療様式中に非侵襲性生化学的監視を行うためにMS/MSがどのように硫酸化単糖および硫酸化二糖を測定できるかを実証した。MPS VI型のネコに、生後1カ月間、高用量(20mg/kg)の組換えネコ4−スルファターゼ(「rf4S」)酵素置換療法を行い、続いて低用量(1mg/kg)のrf4Sをさらに2カ月行い、3カ月間1mg/kgの酵素置換療法を維持した動物と比較した。
MPS VIのネコの尿および血液中において硫酸化単糖N−アセチルヘキソサミン(「HexNAc」)および硫酸化二糖N−アセチルヘキソサミン−ウロン酸(「HexNAc−UA」)は上昇した。これらのマーカーから、最初の4週間の治療時での治療群間に明らかな分別が示され、低用量群での値は未治療のMPS VIのネコよりもわずかに低いだけであったが、高用量群は正常なネコでの値に近似していた。しかし、高用量の治療を中止した2カ月のうちに両群のオリゴ糖レベルの差は最小となり、未治療のネコと病気に冒されていないネコの間に位置した。治験の終了時には、最初に高用量の酵素置換療法を施行した動物では身体の全般的な疾患の特徴に、そして組織中のリソソームの空胞化にも主観的な改善は最小であることに気付いた。最初の高用量療法は動物における貯留量を減少させたが、連続する低用量療法を経て持続する臨床利益を有さなかった。理論に捕らわれることを望んだわけではないが、MPS病が進行したか、または特定の治療法に応答しなかったことを、動物における標的量が示すならば、さらに攻撃的な治療法が必要となり得る。例えば、治療の用量または期間を増加させることができる。他方で、MPS病が後退したか、特定の治療法に応答したことを、動物における標的量が示すならば、同様に攻撃性の低い治療法が必要となり得る。例えば、攻撃性の低い治療法では治療法の用量または期間を減少させることができる。
1,9−ジメチルメチレンブルー(「DMB」)アッセイを用いた尿中GAGの監視
低用量および高用量ERTで治療されたMPS VIのネコにおいてDMBアッセイで測定される尿中総GAGは、未治療MPS VIの動物と対照動物の間の中間値を示した(図18)。約25日齢で高用量の治療を受けたネコにおけるGAGレベルは、低用量で治療を受けたネコに比べてほぼ正常化していた。これは生後28日間投与された高rF4S用量率と一致していた。生後約55および90日では尿中GAGレベルは高用量動物と低用量動物の両方で類似していた。図18は表示された時点での正常(×)、MPS VI未治療(□)、MPS VI低用量治療(○)およびMPS VI高用量治療(△)動物から採取された尿を示す。DMB色素結合アッセイを用いてクレアチニンに対して標準化することで尿中の総GAGを測定した。
ESI−MS/MSを用いた尿中GAG由来オリゴ糖の監視
ヒトMPS VIにおける疾患の状態と相関することが以前に示された2つのオリゴ糖(Ramsayら2003 Mol Genet Metab 2003;78(3):193〜204)を正常ネコ、MPS VIに冒されたネコおよび酵素で治療されたMPS VIのネコにおいて分析した。未治療MPS VIのネコの尿から有意なレベルの単糖HexNAcSを検出した。そのレベルは15〜25日齢では正常動物の4〜5倍高く、90日齢では正常ネコの7倍となった(図19)。低用量治療群における25日齢での初期の硫酸化単糖レベルは未治療のMPS VIのネコと類似していた。対照的に、高用量治療群は正常レベルにずっと近似していた。しかし、約55日齢までに(両群共に用量1mg/kg)、両ERT用量群における硫酸化単糖レベルは互いに類似し、正常ネコと未治療のMPS VIのネコの間の中間のレベルに近づいた。図19は、示した時点での正常(×)、MPS VI未治療(□)、MPS VI低用量治療(○)およびMPS VI高用量治療(△)動物から採取した尿を示す。単糖HexNAcSの濃度をタンデム質量分析を使って測定し、クレアチニンに対して標準化した。
硫酸化二糖HexNAcS−UAについても同様の排泄パターンが観察されており、それは15〜25日齢では正常ネコでみられたレベルの約15倍、90日齢ではみられたレベルの約37倍であった。硫酸化単糖の結果と釣り合うことに、高用量治療群の動物における尿中の硫酸化二糖の初発量は正常値に近似していたが、低用量動物の尿中の硫酸化二糖の量は未治療のMPS VI動物に近似していた。約55日齢までに両ERT用量群の尿中硫酸化二糖の量は互いに類似した。図20は、示した時点での正常(×)、MPS VI未治療(□)、MPS VI低用量治療(○)およびMPS VI高用量治療(△)動物から採取した尿を示す。二糖HexNAcS−UAの濃度をタンデム質量分析を使って測定し、クレアチニンに対して標準化した。
726/173MRM対で表される非硫酸化二糖HexNAc−UAは、MPS VIの疾患状態と無関係な非貯留性GAG由来分析対象物質であり、クレアチニンに代わる標準尺度を提供する。硫酸化二糖HexNAcS−UAの量をHexNAc−UAに対す比としてプロットすると、経時的に異なるパターンが観察される(図21)。図21は示した時点での正常(×)、MPS VI未治療(□)、MPS VI低用量治療(○)およびMPS VI高用量治療(△)動物から採取した尿を示す。二糖HexNAcS−UAおよびHexNAc−UAの相対濃度をタンデム質量分析を使って測定し、比で表す。
HexNAcS−UA:HexNAc−UAの比は、齢と共に減少しない代わりにわずかな増加を示した。HexNAcS−UA:HexNAc−UAの比は、21日齢では正常ネコの値の約33倍で、それに比べて90日齢では正常ネコの値の47倍であった。初期の時点では、異なるERT群の動物の間で差が認められた。高用量の動物は尿中HexNAcS−UA:HexNAc−UAの値が正常に近い一方で、低用量動物は未治療MPS VIの動物に匹敵した。以前の結果と同様に、約55日間治療するまでには尿中HexNAcS−UA:HexNAc−UAの値は両治療群の間で類似した。クレアチニンに対して標準化した以前の結果とは対照的に、全ての動物の尿でHexNAcS−UA:HexNAc−UAの比は齢と共に増加した。
血中のGAG由来オリゴ糖の監視
未治療MPS VI群におけるHexNAcSの濃度は、齢と共に全般的な増加を示したが、対照のネコは一貫して低レベルを維持した(図22)。低用量および高用量のERTのネコは、用量に関連したHexNAcSの血中レベルを示す。高用量群に比べて低用量群では初発レベルが高いことが分かる。次に、両群は90日齢までに未治療MPS VIのネコと正常ネコの間のほぼ中間でプラトーとなった。正常動物、MPS VIの動物およびMPS VIの治療動物の間で循環中に同様のパターンの分析対象物質レベルが観察される(図19と図22を比較)。しかし、治療群間の分別は尿で観察されたようには明確でなかった。理論に捕らわれることを望んだわけではないが、これと同一の取り組みを血液、組織生検または培養細胞のような他の起源の生体試料に使用でき、同様の相関をもたらすであろう。図22は正常(□)、MPS VI未治療(■)、MPS VI低用量治療(●)およびMPS VI高用量治療(▲)動物から採取した血液中の単糖HexNAcSの濃度を示す。単糖HexNAcSの濃度をタンデム質量分析で測定した。値は示した齢範囲について平均±2×標準誤差で表示する。それぞれの齢範囲についてのデータ点の数をx軸の下に示す。
貯留されたオリゴ糖の酵素分解/化学分解
MPSにおいて貯留されたオリゴ糖を精製後にキャラクタリゼーションするために酵素分解が用いられている。代替的な戦略は、患者の試料中の貯留オリゴ糖を分解するために酵素分解または化学分解を利用することで、それによって貯留物質の定量の感度が上がるうえに、MPSの型についての付加的な情報がもたらされる。
対照およびMPS Iに冒された個体から得た培養ヒト皮膚線維芽細胞を1〜8週間培養して増殖させ、次に超音波処理し、得られた溶解液を遠心分離で透明にした。次に、その溶解液を加熱(100℃、5分間)し、α−L−イズロニダーゼによる分解前に全てのリソソーム酵素を不活性化した。続いてそのオリゴ糖を、MPS Iで欠乏している酵素であるα−L−イズロニダーゼで分解し、選ばれたオリゴ糖を酵素処理の前後にMSMSで測定した。図23は、α−L−イズロニダーゼで処理する前後の対照およびMPS Iの細胞溶解液中の単糖およびオリゴ糖のレベルを示す。対照およびMPS Iに冒された個体から得た細胞溶解液をα−L−イズロニダーゼで分解し、分解前(白棒線)および分解後(黒棒線)の相対オリゴ糖レベルを測定した。相対オリゴ糖レベルを細胞タンパク質で補正した。図23Aは、酵素分解の結果、対照細胞系ではなくMPS I細胞系においてウロン酸のレベルが大きく増加したことを示す。N−アセチルグルコサミン(図23B)はMPS I細胞系でわずかに増加しただけで、対照細胞系では増加しなかった。HNAcS、HNAc−UAオリゴ糖およびヘキソサミン−N−硫酸−ウロン酸(HNS−UA)オリゴ糖でも有意な増加を観察した(それぞれ図23C、DおよびE)。非還元末端にHNAcを有するオリゴ糖のこれらの増加に対応して、対照細胞系ではなくMPS I細胞系でUA−HNAcSの濃度の減少を観察した(図23F)。図23A=UA、図23B=HNAc、図23C=HNAcS、図23D=HNAc−UA、図23E=HNS−UA、図23F=UA−HNAcSである。欠乏している酵素だけが一次貯留オリゴ糖を分解すると期待されるため、これらの結果は、貯留基質の酵素分解がこれらの基質からのシグナルを増幅し、特定のMPS亜型をキャラクタリゼーションする価値を実証している。
理論に捕らわれることを望んだわけではないが、他のMPSで欠乏している酵素も、患者の試料中のオリゴ糖の貯留から生ずるシグナルを増幅し、MPSの型をキャラクタリゼーションするために同様に使用することができる。同様に、コンドロイチナーゼ、ヘパリナーゼまたはヒアルロニダーゼのような他のGAG分解性細胞内酵素も、GAG由来の比較的高分子量のオリゴ糖を二糖、三糖または四糖に分解し、それによってシグナルを増幅するために使用できよう。この取り組みは、比較的高分子量のオリゴ糖のそれぞれから、そして特定のMPS障害の特徴となる一次貯留基質からも非還元二糖、三糖または四糖を放出できるであろう。
細胞内酵素以外に、化学切断も比較的高分子量のオリゴ糖化学種を分解して、シグナルを増幅し、MPS型に特徴的な二糖、三糖または四糖化学種を生成させるために使用できよう。例えば、HSの亜硝酸分解は還元末端に無水マンノースを有する二糖および他のオリゴ糖を生成するであろう。
LC−MSMSによるMPSの患者におけるオリゴ糖の同定
DEAE−Sephacrelカラムを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー(0.1〜2MのNaClによる溶離)後にBioGel P10を用いたゲルろ過(200mMのギ酸アンモニウム、pH6.0)によりMPS VIの患者の尿からGAGを精製した。六糖を主に含有する画分を単離し、LC−MSMSによる配列測定に使用した。LC−MSMSでは六糖の0.5μgウロン酸等量を、200mMのギ酸アンモニウム緩衝液(pH4.2)に溶かした5mMの0−(4−ニトロベンジル)−ヒドロキシルアミンHCl(pNOHA)で37℃で一晩温置して誘導体化した。LC−MSMSの前にその物質を凍結乾燥し、0.5mMのトリエチルアミン(TEA)を含有する水で再構成した。緩衝液A(0.5mMのTEA)および緩衝液B(60%アセトニトリル、0.5mMのTEA)を用いてAlltech C18カラム(2mm×150mm)でLCを実施した。溶離液をAPI3000API−SCIEXタンデム質量分析計に0.2mL/minの速度で注入した。酵素分解については、誘導体化前にギ酸アンモニウム緩衝液(pH4.2)中で組換え4−スルファターゼ0.05μgを用いて0.5μgUA等量を分解した。
この六糖は正常な対照尿では観察/検出されなかった。図24Aは、GalNAc4S−UA−GalNAc4S−UA−GalNAc4S−UA−pNo2HAと同定された主要ピークとしてのm/z514の六糖[M−3H]3−のピークを表すスペクトルを示し、731のピークはGalNAc4S−UA−GalNAc−UA−GalNAc4S−UA−pNo2HAを表す。図24Bは、図24Aに示す六糖の組換え4−スルファターゼで処理後を示す。m/z514のピークは低くなり、[M−3H]3−および[M−2H]2−二硫酸化六糖(GalNAc−UA−GalNAc4S−UA−GalNAc4S−UA−pNo2HA)に対応するm/z487およびm/z731の主要なピークがみられる。
培養皮膚線維芽細胞におけるMPS Iの表現型の補正
GAGの異化は、まず細胞内酵素が多糖をオリゴ糖に切断し、次に一連の細胞外酵素がこれらのオリゴ糖の非還元末端のみに作用して単糖および硫酸イオンを生成するという2部構成で起こる。エキソヒドロラーゼであるα−L−イズロニダーゼの欠乏が引き起こすMPS Iとして知られているリソソーム蓄積障害では、2つの異なるGAGであるデルマタン硫酸とヘパラン硫酸の断片が蓄積することが示されている。両GAGから得られるオリゴ糖である五糖、四糖、三糖および二糖を、陰イオン交換クロマトグラフィーとゲルろ過を組み合わせて用いてMPS Iの患者の尿から単離した。これらのオリゴ糖をエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析で同定し、α−L−イズロニダーゼによる分解に対する感受性から非還元末端にα−L−イズロニダーゼを有することを示した。MPS Iの患者由来の培養皮膚線維芽細胞は、デルマタン硫酸由来四糖を除き尿中に同定されたのと同じヘパラン硫酸およびデルマタン硫酸由来二糖および三糖を蓄積することを示した。MPS Iの線維芽細胞の培地に組換えα−L−イズロニダーゼを補充することによるMPS Iの表現型の補正は、冒されていない対照線維芽細胞のレベルまで二糖および三糖のレベルを低下させた。さらに、デルマタン由来四糖のレベルは初めは増加し、次に経時的に減少したことは、そのオリゴ糖が異化の中間生成物であり、他のオリゴ糖と同じくらい効率的にはα−L−イズロニダーゼの基質として回転しないことを示唆している。これらのGAGオリゴ糖は、ムコ多糖症I型の臨床重症度と管理に有用な生化学マーカーであることを証明できよう。これらのオリゴ糖はMPS Iの患者の尿試料では臨床重症度に比例して上昇し、BMT後の患者では減少することが示された。
実験方法
細胞培養の材料全てをLife Technologies/Gibco BRLから入手した。組換えヒトα−L−イズロニダーゼ(rhIDUA)、ヒトN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼおよびヤギN−アセチルグルコサイン−6−スルファターゼをそれぞれCHO−K1発現系から調製した。DEAE SephacelをPharmaciaから、サイズ排除ゲルBio−Gel P2(微粒)をBio−Radから入手した。C18エンドキャップisolute固相抽出カートリッジをInternational Sorbent Technologyから入手し、PMPを東京化成工業株式会社から購入した。質量分析のための溶媒は全てHPLC等級で他の全ての試薬は分析等級であった。尿試料を診断用に本部門に提出し、−20℃で保存した。
細胞培養
線維芽細胞を診断用に本病院に提出された皮膚生検から培養した。正常対照およびMPS I(中等症/重症表現型)の患者の皮膚線維芽細胞を、75cmの培養フラスコに入れたウシ胎仔血清(FCS)を10%(v/v)含有するBME中で、37℃で5%COを含む加湿雰囲気中で培養した。集密後の細胞培養物をトリプシン処理し細胞を遠心分離(2000g)で回収した。リン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄後に細胞のペレットを20mMのTrisHClを含む0.5MのNaCl(pH7)で再懸濁し、15秒間超音波処理した。総細胞タンパク質をLowry法で測定した。各フラスコに7μgの組換え酵素を含む培地を補充することで、MPS Iの線維芽細胞および対照の線維芽細胞(集密後6週間)にRhIDUAを投与した。培地(+rhIDUA)を5日間毎日補充した。MPS Iの線維芽細胞を毎日回収し、対照線維芽細胞を第1日及び第5日に回収した。
オリゴ糖の貯留
MPS Iおよび対照の線維芽細胞の若干の集密培養を種々の培養時間で回収した。内部標準(ISTD)を加えて細胞抽出物を調製し、質量分析用に誘導体化してから選ばれたMRM対について分析した。低分子量オリゴ糖の蓄積に培養時間(集密状態後のエイジング)が及ぼす効果を図25に示す。図25は集密後の皮膚線維芽細胞におけるオリゴ糖のMRM比を示す。若干のMPS Iおよび対照の皮膚線維芽細胞を集密後2〜15週間培養した。細胞抽出物を調製し、質量分析用に誘導体化し、各MRM対について分析した。丸と十字はそれぞれMPS Iの患者と対照の細胞系の皮膚線維芽細胞を表す。二硫酸化四糖(m/z632)を除き、他の全てのオリゴ糖は対照細胞系に比べMPS Iの線維芽細胞の培養物中に経時的に蓄積した。ISTDに対する比に基づくと、皮膚線維芽細胞に同定された最も豊富に存在するオリゴ糖はDS由来三糖(m/z490/982)である。この一硫酸化三糖は、培養4週間後に対照線維芽細胞に比べてMPS Iの線維芽細胞で上昇する。この増加は培養時間に伴って持続し、対照皮膚線維芽細胞でのレベルは少なくとも培養10週間までは無視できる値を維持する。培養線維芽細胞では二糖(m/z806)が二番目に豊富な化学種であり、集密後6週間でMPS Iの細胞において明らかに上昇する。五糖(m/z720)およびHS由来三糖(m/z1020/509およびm/z940)は、集密状態を過ぎて培養したMPS Iの線維芽細胞に蓄積する。
貯留の補正
MPS Iの線維芽細胞の培養液に5日間毎日rhIDUAを投与し、対照皮膚線維芽細胞では第1日および第5日に投与した。両線維芽細胞共に集密後6週間エイジングさせた。次に、細胞を回収し、抽出物を質量分析用に調製し、各MRM対について分析した。図26は組換えα−L−イズロニダーゼ(rhIDUA)を添加した後のオリゴ糖レベルのMRM比を示す。MPS Iの皮膚線維芽細胞および対照皮膚線維芽細胞を集密後6週間培養し続けた。rhIDUAをMPS Iの線維芽細胞の培地に添加し、5日間毎日補充した。細胞を24時間後に回収し、質量分析用に誘導体化し、各MRM対について分析した。対照線維芽細胞を灰色の四角で示す。対照細胞ではrhIDUAを毎日添加したが、細胞の回収は第1日および第5日にのみ行った。時間0の点は4つの値の平均を表す。図26は、培地にrhIDUAを補充直後に、蓄積した二糖(m/z806)および三糖(m/z490/982およびm/z940)の量が劇的に減少したことを示している。五糖(m/z720)およびHS三糖(m/z509)のレベルは変化しなかった。図25に示すように、これらのオリゴ糖のどちらも培養6週間後のMPS Iの線維芽細胞に蓄積していなかった。興味深いことには、四糖(m/z632)の量はrhIDUAの存在下ではっきりと増加した。同様に、一部のMPS障害で上昇することが以前に示された(HopwoodとElliott、1985)硫酸化単糖(m/z630)も増加した。この単糖は、尿および線維芽細胞に存在するが、MPS Iおよび対照に類似したレベルで存在する硫酸化HNAcである。
発案したキットの材料
本発明の一側面は、標的動物におけるMPS病の前臨床状態または臨床状態を診断するために必要な試薬と材料の全てを有するキットを含む。有用なキットは、一般に標的MPSバイオマーカーの化学組成を改変するために使用されるオリゴ糖誘導体化剤と、その誘導体化反応後にその誘導体化剤を中和するために使用される酸溶液と、標的MPSバイオマーカーの量を正確に測定するために使用される内部標準と、誘導体化された標的MPSバイオマーカーを精製するために使用される固相抽出カラムと、標的MPSバイオマーカーが結合した固相抽出カラムから不純物を除去するために使用される固相抽出カラム洗液と、その固相抽出カラムから標的MPSバイオマーカーを溶離させるために使用されるオリゴ糖溶離溶液と、そのキットの使用説明書のセットとを備えるべきである。
NHと共に1−フェニル−3メチル−5−ピラゾロン(「PMP」)を含むオリゴ糖誘導体化溶液は好ましい試薬であろうが、当技術分野で公知である他の誘導体化試薬も有用である。同様に、好ましい酸溶液はギ酸を含むが、他のいくつかの酸も等しく良好に作用するであろう。誘導体化されたオリゴ糖MPSバイオマーカーを固相抽出カラムに吸着させる。誘導体化されたオリゴ糖の精製に好ましいカラムはC18逆相カラムを含むが、陰イオン交換カラムまたは相C18/陰イオン交換の連結カラムなどの他の適切な固相抽出カラムも良好に働くであろう。キットでは各カラムをプライミング済みの、またはプライミングを終えていないユニットとして包装できる。好ましいカラム洗液はCHClを含むが、当技術分野で公知の他の溶液も役立つであろう。結合したカラムから、結合したオリゴ糖を取り出すためには溶離溶液が必要である。したがって、CHCNおよびギ酸を含む好ましいキット用溶離溶液が使用されるが、他の類似した溶液も役立つであろう。
そのキットには内部標準も包含され、GlcNAc6S(d3)がGlcNAc6Sの測定に好ましい内部標準であるが、他のオリゴ糖には同一の構造を有する他の重水素化標準が好ましいであろう。調査されるオリゴ糖と類似した非生理学的オリゴ糖も内部標準として使用できる。例えば、非還元末端に不飽和ウロン酸を有するコンドロイチン硫酸を、コンドロイチナーゼによって分解することで非生理学的オリゴ糖が得られる。
使用説明書には、質量分析で分析するための試料調製の過程を説明している方法が包含されるであろう。付加的な情報も有用であろう。例えば、各MPS障害型に存在し、それらの障害型の特徴となるオリゴ糖の構造を、特異的MPSバイオマーカーオリゴ糖のそれぞれを分析するための質量分析計の適当な設定条件の詳細と共に説明する印刷物を包含させることもできる。
上の実施例では質量分析を使用したが、クロマトグラフィー法、イムノアッセイおよび液体クロマトグラフィー−質量分析を含めた当技術分野で公知である他の定量法も、生体試料中のオリゴ糖レベルを測定するための定量法として使用できることを理解できる。本明細書に含まれる情報は、MPS病の重症度を測定し、患者におけるMPS病の進行を監視し、治療の進歩を監視して、MPS病の予測に有用である。ここに開示した本発明においては本発明の範囲と精神を逸脱することなしに色々な置き換えおよび変更ができることは当業者には容易に明らかとなろう。
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Bio−Gel P2カラムにより分画されたMPS Iの尿および対照尿のウロン酸(UA)等量の溶離像を示す図である。 親イオンから生成した娘イオンを有し、それらのイオンの構造についての情報をもたらし、マルチプルリアクション・モニタリング(「MRM」)に適したイオン対ももたらすプロダクトイオンスキャンのマススペクトルを示す図である。 MPS Iの尿中のオリゴ糖を示す図であり、ここで断片化パターンを構造の組成および非還元末端に存在する残基を詳細に描写するために使用した。 組換え酵素による分解後の四糖(m/z632)のマススペクトルを示す図である。 α−L−イズロニダーゼの非存在下(図5A)および存在下(図5B)におけるMPS Iの尿から単離された三糖および四糖の非還元末端のQ1マススペクトル特性を示す図である。 MPS IIの患者の尿に認められたオリゴ糖のQ1マススペクトルを示す図である。 MPS IIの患者の尿に認められたオリゴ糖のQ1マススペクトルを示す図である。 選ばれたオリゴ糖のMRM分析に使用された内部標準の値に対するオリゴ糖のシグナルの比の平均値と標準偏差(「SD」)のリストを示す図である。 対照26名と比べたときのMPS亜群における選ばれたオリゴ糖分析対象物質のMann WhitneyのU値を示す図である。 対照個体における9つのGAG由来オリゴ糖分析対象物質の相対レベルの箱ひげ図を示す図である。 種々のMPS亜型障害を有する患者から得た9つのGAG由来オリゴ糖分析対象物質の相対レベルのいくつかの箱ひげ図を示す図である。 対照およびMPS Iの患者の尿中のオリゴ糖の相対濃度を示す図である。 MPS I表現型を有する患者の皮膚線維芽細胞における相対オリゴ糖レベル(細胞タンパク質1mgあたりのオリゴ糖)が対照で認められた相対レベルよりも高いことを示す図である。 選ばれたオリゴ糖の各MRM対のレベルを示す図であり、そのレベルは対照レベルまたは基準レベルと比べたとき様々な表現型を有するMPS Iの患者において上昇していた。 対照値または基準値と比べたときの、骨髄移植(「BMT」)を受ける前後のMPS Iの患者における相対オリゴ糖レベルを示す図である。 骨髄移植前後の、MPS IVAに冒された個体における尿中のGAG由来オリゴ糖の相対レベルを示す図である。 骨髄移植前後のMPS VIに冒された個体における尿中のGAG由来オリゴ糖の相対レベルを示す図である。 正常動物、MPS VIの未治療動物、MPS VIの低用量治療動物およびMPS VIの高用量治療動物の尿中総GAGの経時変化を示す図であり、ここでDMB色素結合アッセイでGAGを測定しクレアチニンに対して標準化した。 正常動物、MPS VIの未治療動物、MPS VIの低用量治療動物、およびMPS VIの高用量治療動物から採取した尿中の単糖HexNAcSの濃度の経時変化を示す図であり、ここで単糖HexNAcSの濃度をタンデムマススペクトロメトリで測定しクレアチニンに対して標準化した。 正常動物、MPS VIの未治療動物、MPS VIの低用量治療動物およびMPS VIの高用量治療動物から採取した尿中の二糖HexNAcS−UAの濃度の経時変化を示す図であり、ここでタンデム質量分析でHexNAcS−UAを測定しクレアチニンに対して標準化した。 正常動物、MPS VIの未治療動物、MPS VIの低用量治療動物およびMPS VIの高用量治療動物から採取した尿中の二糖HexNAcS−UAおよびHexNAc−UAの相対濃度の経時変化を示す図であり、ここで二糖HexNAcS−UAおよびHexNAc−UAの相対濃度をタンデム質量分析で測定し、比として表現する。 正常動物、MPS VIの未治療動物、MPS VIの低用量治療動物およびMPS VIの高用量治療動物から採取した血液中の単糖HexNAcSの濃度を示す図であり、ここで単糖HexNAcSの濃度をタンデム質量分析で測定した。 α−L−イズロニダーゼによる処理前後の対照およびMPS Iの細胞溶解物中の単糖およびオリゴ糖レベルを示す図である。 組換えN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼでオリゴ糖を処理する前後の、MPSの患者におけるそのオリゴ糖のLC−MSMSによる同定を示す図である。 集密後の皮膚線維芽細胞におけるオリゴ糖のMRM比を示す図である。 組換えα−L−イズロニダーゼ(rhIDUA)の添加後のオリゴ糖のレベルのMRM比を示す図である。

Claims (61)

  1. 標的動物におけるムコ多糖症(「MPS」)病の前臨床状態または臨床状態の診断法であって、
    (a)前記標的動物から採取された標的生体試料から標的MPSバイオマーカーの標的量を測定すること、および
    (b)前記標的量を基準MPSバイオマーカーの基準量と比較すること
    を含み、
    前記標的MPSバイオマーカーが前記基準MPSバイオマーカーと同一または同等であり、前記標的MPSバイオマーカーおよび前記基準MPSバイオマーカーのそれぞれがオリゴ糖であり、
    前記基準量が既知のMPS臨床状態を有する基準動物、または基準動物の群から測定され、
    前記基準MPSバイオマーカーの前記基準量からの前記標的MPSバイオマーカーの前記標的量の偏差は、前記MPS病の前臨床もしくは臨床指標、前記MPS病の進行の指標、または前記MPS病の後退の指標である方法。
  2. 前記標的生体試料または基準生体試料が細胞抽出物、血液、血漿または尿から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記標的MPSバイオマーカーの量または前記基準MPSバイオマーカーの量を測定する前に、前記標的MPSバイオマーカーおよび前記基準MPSバイオマーカーを誘導体化剤で誘導体化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記誘導体化剤が1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン(「PMP」)を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記オリゴ糖が1から12個の残基にわたる糖鎖長を有する硫酸化分子を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記標的生体試料から同定された前記オリゴ糖がグリコサミノグリカン(「GAG」)の切断生成物を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記GAGがヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸またはコンドロイチン硫酸である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記オリゴ糖が、IdoA−(GalNAc−(UA−GalNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、IdoA−(GalNAc−UA)(S)(n=1〜6、m=0〜12)、IdoA2S−(GalNAc−(UA−GalNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、IdoA2S−(GalNAc−UA)(S)(n=1〜6、m=0〜12)、GalNAc4S−(UA−(GalNAc−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜12)、GalNAc4S−(UA−GalNAc)(S)(n=0〜6、m=0〜13)、GlcA−GalNAc−(UA−GalNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、またはGlcA−(GalNAc−UA)(S)(n=0〜6、m=0〜12)を含むデルマタン硫酸断片であり、IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトースである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記オリゴ糖が、IdoA−(GlcNAc/GlcN−(UA−GlcNAc/GlcN))(S)(n=0〜5、m=0〜17)、IdoA−(GlcNAc/GlcN−UA)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、IdoA2S−(GlcNAc/GlcN−(UA−GlcNAc/GlcN))(S)(n=0〜5、m=0〜17)、IdoA2S−(GlcNAc/GlcN−UA)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、GlcNS−(UA−(GlcNAc/GlcN−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜16)、GlcNS−(UA−GlcNAc/GlcN)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、GlcNAc−(UA−(GlcNAc/GlcN−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜16)、GlcNAc−(UA−GlcNAc/GlcN)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、GlcN−(UA−(GlcNAc/GlcN−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜16)、GlcN−(UA−GlcNAc/GlcN)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、GlcNAc6S/GlcN6S−(UA−(GlcNAc/GlcN−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜16)、GlcNAc6S/GlcN6S−(UA−GlcNAc/GlcN)(S)(n=0〜6、m=0〜18)、GlcA−(GlcNAcS/GlcNS−(UA−GlcNAc/GlcN))(S)(n=0〜5、m=0〜17)、またはGlcA−(GlcNAc/GlcN−UA)(S)(n=0〜6、m=0〜18)を含むヘパラン硫酸断片であり、IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトースである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記オリゴ糖が、Gal6S−(GlcNAc−(Gal−GlcNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、Gal6S−(GlcNAc−Gal)(S)(n=0〜6、m=0〜12)、Gal−(GlcNAc−(Gal−GlcNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、またはGal−(GlcNAc−Gal)(S)(n=1〜6、m=0〜12)を含むケラタン硫酸断片であり、IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトースである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記オリゴ糖が、GalNAc6S−(UA−(GalNAc−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜11)またはGalNAc6S−(UA−GalNAc)(S)(n=0〜6、m=0〜12)から選択されるコンドロイチン硫酸断片であり、IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトースである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記標的量および前記基準量が質量分析により測定される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記標的量および前記基準量がクロマトグラフィーによるアッセイ、イムノアッセイ、液体クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、またはそれらの組合せにより測定される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記標的量および前記基準量がクレアチニンまたは別のオリゴ糖に対して標準化されている、請求項1に記載の方法。
  15. 前記標的動物がMPS療法を受けたものである、請求項1に記載の方法。
  16. 前記MPS療法が骨髄移植(「BMT」)またはMPS酵素置換療法を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記標的動物をMPS療法で治療することをさらに含み、前記MPS療法が前記基準量と比べた前記標的量の前記偏差に基づく、請求項1に記載の方法。
  18. 前記MPS療法が骨髄移植(「BMT」)またはMPS酵素置換療法を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記標的生体試料および前記基準生体試料が内部標準を含有する、請求項1に記載の方法。
  20. 前記内部標準が重水素化N−アセチルグルコサミン−6−硫酸(「GlcNAc6S(d3)」)を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記内部標準が、調査される前記オリゴ糖と類似した非生理学的オリゴ糖を含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記非生理学的オリゴ糖が、非還元末端に不飽和ウロン酸を有するコンドロイチン硫酸の、コンドロイチナーゼによる分解から得られる、請求項21に記載の方法。
  23. 前記MPS病がMPS−I、MPS−II、MPS−IIIA、MPS−IIIB、MPS−VI、MPS−IIIC、MPS−IIID、MPS−IV、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
  24. 前記標的動物が新生児である、請求項1に記載の方法。
  25. 前記標的MPSバイオマーカーが特定のMPS病亜型の特徴となる酵素と接触され、接触が前記標的量の測定前に起こる、請求項1に記載の方法。
  26. 前記酵素がα−L−イズロニダーゼを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 標的動物におけるムコ多糖症(「MPS」)病の前臨床状態または臨床状態の診断法であって、
    (a)誘導体化剤で標的MPSバイオマーカーを誘導体化して、誘導体化された標的MPSバイオマーカーを形成させること、
    (b)前記の誘導体化された標的MPSバイオマーカーを抽出化合物と結合させて、結合した誘導体化された標的MPSバイオマーカーを生成させること、
    (c)前記の結合した誘導体化された標的MPSバイオマーカーを溶離溶液で前記抽出化合物から溶離させて、溶離した標的MPSバイオマーカーを形成させること、
    (d)前記の溶離した標的MPSバイオマーカーの標的量を測定すること、および
    (e)前記標的量を基準MPSバイオマーカーの基準量と比較すること
    を含み、
    前記標的MPSバイオマーカーが前記MPSバイオマーカーを含有する標的動物の生体試料から得られ、
    前記標的MPSバイオマーカーが前記基準MPSバイオマーカーと同一または同等であって、前記標的MPSバイオマーカーおよび前記基準MPSバイオマーカーのそれぞれがオリゴ糖であり、
    前記基準量が既知のMPS臨床状態を有する基準動物、または基準動物の群から測定され、
    前記基準量と比べたとき前記の溶離した標的MPSバイオマーカーの前記量の偏差が前記MPS病の、前記MPS病の進行の、または前記MPS病の後退の、前臨床もしくは臨床指標である方法。
  28. 前記標的生体試料または基準生体試料が細胞抽出物、血液、血漿または尿から選択される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記標的MPSバイオマーカーを誘導体化する前に前記標的試料を凍結乾燥することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  30. 前記誘導体化剤が1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン(「PMP」)を含む、請求項27に記載の方法。
  31. 前記オリゴ糖が1から12個の残基にわたる糖鎖長を有する硫酸化分子を含む、請求項27に記載の方法。
  32. 前記標的生体試料から同定された前記オリゴ糖がグリコサミノグリカン(「GAG」)の切断生成物を含む、請求項27に記載の方法。
  33. 前記GAGがヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸またはコンドロイチン硫酸である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記オリゴ糖が、IdoA−(GalNAc−(UA−GalNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、IdoA−(GalNAc−UA)(S)(n=1〜6、m=0〜12)、IdoA2S−(GalNAc−(UA−GalNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、IdoA2S−(GalNAc−UA)(S)(n=1〜6、m=0〜12)、GalNAc4S−(UA−(GalNAc−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜12)、GalNAc4S−(UA−GalNAc)(S)(n=0〜6、m=0〜13)、GlcA−GalNAc−(UA−GalNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、またはGlcA−(GalNAc−UA)(S)(n=0〜6、m=0〜12)を含むデルマタン硫酸断片であり、IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトースである、請求項27に記載の方法。
  35. 前記オリゴ糖が、IdoA−(GlcNAc/GlcN−(UA−GlcNAc/GlcN))(S)(n=0〜5、m=0〜17)、IdoA−(GlcNAc/GlcN−UA)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、IdoA2S−(GlcNAc/GlcN−(UA−GlcNAc/GlcN))(S)(n=0〜5、m=0〜17)、IdoA2S−(GlcNAc/GlcN−UA)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、GlcNS−(UA−(GlcNAc/GlcN−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜16)、GlcNS−(UA−GlcNAc/GlcN)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、GlcNAc−(UA−(GlcNAc/GlcN−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜16)、GlcNAc−(UA−GlcNAc/GlcN)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、GlcN−(UA−(GlcNAc/GlcN−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜16)、GlcN−(UA−GlcNAc/GlcN)(S)(n=1〜6、m=0〜18)、GlcNAc6S/GlcN6S−(UA−(GlcNAc/GlcN−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜16)、GlcNAc6S/GlcN6S−(UA−GlcNAc/GlcN)(S)(n=0〜6、m=0〜18)、GlcA−(GlcNAcS/GlcNS−(UA−GlcNAc/GlcN))(S)(n=0〜5、m=0〜17)、またはGlcA−(GlcNAc/GlcN−UA)(S)(n=0〜6、m=0〜18)を含むヘパラン硫酸断片であり、IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトースである、請求項27に記載の方法。
  36. 前記オリゴ糖が、Gal6S−(GlcNAc−(Gal−GlcNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、Gal6S−(GlcNAc−Gal))(S)(n=0〜6、m=0〜12)、Gal−(GlcNAc−(Gal−GlcNAc))(S)(n=0〜5、m=0〜11)、またはGal−(GlcNAc−Gal)(S)(n=1〜6、m=0〜12)を含むケラタン硫酸断片であり、IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトースである、請求項27に記載の方法。
  37. 前記オリゴ糖が、GalNAc6S−(UA−(GalNAc−UA))(S)(n=0〜5、m=0〜11)またはGalNAc6S−(UA−GalNAc))(S)(n=0〜6、m=0〜12)から選択されるコンドロイチン硫酸断片であり、IdoA=イズロン酸、GlcA=グルクロン酸、GalNAc=N−アセチルガラクトサミン、GlcNAc=N−アセチルグルコサミン、GlcN=グルコサミン、UA=ウロン酸、S=硫酸、およびGal=ガラクトースである、請求項27に記載の方法。
  38. 前記標的量の測定が質量分析を含む、請求項27に記載の方法。
  39. 前記標的量の測定が、クロマトグラフィーによるアッセイ、イムノアッセイ、液体クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、またはそれらの組合せを含む、請求項27に記載の方法。
  40. 前記標的動物がMPS療法を受けたものである、請求項27に記載の方法。
  41. 前記MPS療法が骨髄移植(「BMT」)またはMPS酵素置換療法を含む、請求項40に記載の方法。
  42. 前記標的生体試料および前記基準生体試料が内部標準を含有する、請求項27に記載の方法。
  43. 前記標的動物をMPS療法で治療することをさらに含み、前記MPS療法が前記基準量と比べたときの前記標的量の前記偏差に基づく、請求項27に記載の方法。
  44. 前記MPS療法が骨髄移植(「BMT」)またはMPS酵素置換療法を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記内部標準が重水素化N−アセチルグルコサミン−6−硫酸(「GlcNAc6S(d3)」)を含む、請求項40に記載の方法。
  46. 前記内部標準が、調査される前記オリゴ糖と類似した非生理学的オリゴ糖を含む、請求項40に記載の方法。
  47. 前記非生理学的オリゴ糖が、非還元末端に不飽和ウロン酸を有するコンドロイチン硫酸の、コンドロイチナーゼによる分解から得られる、請求項46に記載の方法。
  48. 前記MPS病がMPS−I、MPS−II、MPS−IIIA、MPS−IIIB、MPS−VI、MPS−IIIC、MPS−IIID、MPS−IV、またはそれらの組合せである、請求項27に記載の方法。
  49. 前記標的動物が新生児である、請求項27に記載の方法。
  50. 前記標的MPSバイオマーカーが特定のMPS病亜型の特徴となる酵素と接触され、接触が前記標的MPSバイオマーカーの前記量の測定前に起こる、請求項27に記載の方法。
  51. 前記酵素がα−L−イズロニダーゼを含む、請求項50に記載の方法。
  52. 標的動物におけるムコ多糖症(「MPS」)病の前臨床状態または臨床状態を診断するためのキットであって、
    (a)オリゴ糖誘導体化剤と、
    (b)酸溶液と、
    (c)内部標準と、
    (d)固相抽出カラムと、
    (e)固相抽出カラム洗液と、
    (f)オリゴ糖溶離溶液と、
    を備えたキット。
  53. 前記オリゴ糖誘導体化剤が1−フェニル−3メチル−5−ピラゾロン(「PMP」)を含む溶液である、請求項48に記載のキット。
  54. 前記酸溶液がギ酸を含むバイアルである、請求項48に記載のキット。
  55. 前記内部標準が、重水素化N−アセチルグルコサミン−6−硫酸(「GlcNAc6S(d3)」)を含む、請求項48に記載のキット。
  56. 前記内部標準が、調査される前記オリゴ糖と類似した非生理学的オリゴ糖を含む、請求項48に記載の方法。
  57. 前記非生理学的オリゴ糖が、非還元末端に不飽和ウロン酸を有するコンドロイチン硫酸の、コンドロイチナーゼによる分解から得られる、請求項52に記載の方法。
  58. 前記固相抽出カラムがC18逆相カラムを含む、請求項48に記載の方法。
  59. 前記固相抽出カラム洗液がCHClを含む、請求項48に記載の方法。
  60. 前記オリゴ糖溶離溶液がCHCNおよびギ酸を含む、請求項48に記載の方法。
  61. 標的動物におけるムコ多糖症(「MPS」)病の前臨床状態または臨床状態の診断法であって、
    (a)前記標的動物から採取された標的生体試料から標的MPSバイオマーカーの標的量を測定すること、および
    (b)前記標的量を基準MPSバイオマーカーの基準量と比較すること
    を含む方法であって、
    前記標的MPSバイオマーカーが前記基準MPSバイオマーカーと同一または同等であり、前記標的MPSバイオマーカーおよび前記基準MPSバイオマーカーのそれぞれがオリゴ糖であり、前記オリゴ糖が、HNAcS、HNAcS2、HNS−UA、UA−HNAcS、HNAcS−UA、UA−HNAc−UA−S、(HNAc−UA)2−S、(HNAc−UA)2(S)2、または六糖を含むものであり、UA=ウロン酸、HNAc=N−アセチルヘキソサミン、HN=ヘキソサミン、Hex=ヘキソース、(S)=定まった糖残基を有さない硫酸であり、
    前記標的MPSバイオマーカーの前記量と前記基準MPSバイオマーカーの前記量を測定する前に、前記標的MPSバイオマーカーおよび前記基準MPSバイオマーカーが誘導体化剤で誘導体化され、前記誘導体化剤が1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン(「PMP」)を含み、
    前記標的量および前記基準量がクレアチニンに対して標準化され、
    前記基準量が既知のMPS臨床状態を有する基準動物、または基準動物の群から測定され、
    前記基準量からの前記標的量の偏差は前記MPS病の前臨床もしくは臨床指標、前記MPS病の進行の指標、または前記MPS病の後退の指標であり、前記MPS病がMPS I、MPS II、MPS IIIA、MPS IIIB、MPS IIIC、MPS IIID、MPS IVA、MPS VIまたは多発性スルファターゼ欠乏症を含む群から選択され、
    前記標的量および前記基準量が質量分析法で測定され、
    前記標的量および前記基準量を正確に測定するために内部標準が利用され、前記内部基準が重水素化N−アセチルグルコサミン−6−硫酸(「GlcNAc6S(d3)」)を含む方法。
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