JP2005529849A - Cgrp拮抗剤bibn4096を含有する吸入粉末及びその調製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の球状のナノ構造微粒子は、分散性の点で優れた性質をもち且つ凝集特性に関して十分に処理しやすい、直接処理することができる工業的規模で処理し得る粉末を得るために、他の賦形剤又は添加剤(担体材料)を必要としない吸入粉末を調製するのに適している。他の態様においては、本発明は、本発明の方法を用いて得ることができる吸入粉末に関する。
式I:
BIBN4096は、片頭痛の治療に非常に有効なCGRP拮抗剤であるが、その物質の経口経路によるバイオアベイラビリティが制限されるので通常の調製物を用いて経口投与することができない。
吸入粉末の場合、適切なカプセル(インハレット)へ充填される吸入可能粉末は粉末吸入器によって肺へ送達される。或いは、噴射ガスとして、例えば、HFC134a、HFC227又はその混合物を含有することができる適切な粉末の吸入可能エアゾル剤の使用によって吸入させることができる。
純粋な活性物質の微粒子は、吸入法によって気道を通って肺の表面、例えば、肺胞に投与される。これらの粒子は表面上に沈降するが、能動輸送法と受動輸送法による溶解過程後、体内に吸収され得るにすぎない。
吸入システムは、文献において既知であり、活性物質は担体として適切な溶媒系における微粒化懸濁液としてか又は乾燥粉末の形で存在している。
通常、吸入粉末は、例えば、活性物質の化学的に最も安定な形を用いて、ドイツ出願第179 22 07号に記載される一般教示に基づく吸入用カプセルの形で調製される。微細に粉砕した薬剤と粗い担体媒質とを混合することにより調製した医薬調製物は、主エネルギー源として吸入器の吸入方式を用いたいわゆる“粉末流動法”により気流中に分散される。
この種の多重物質系において重要な要因は、粉末混合物における医薬組成物の一様な分布である。更に、担体によって肺に対してストレスが追加されるとともに望ましくない相互作用が発生することになり、適合性の問題をまねくことがある。
吸入による活性物質の投与の重要な一態様は、特定の空気力学サイズの粒子のみが標的臓器、即ち、肺に入るということである。肺に入ることになっているこれらの粒子の粒径(吸入可能分)はサブミクロンの範囲にある。そのような粒子は、通常、微粒化(空気流中で粉砕)により製造される。結果として、そのような粒子は、この機械的段階の結果として結晶特性の点で複雑な組成を有することがしばしばある。同様に、出発物質の粒子の形状は微粒化材料の形態特性を決定する。
0.5μm〜10μm、好ましくは0.5μm〜6μmの大きさの肺結合粒子が噴霧乾燥により製造し得ることは文献から既知である。通常、この種の噴霧乾燥粒子から医学的使用(吸入)に十分な分散性を有する上記方法(ドイツ出願第179 22 07号)を用いて工業的に用いうる製剤を調製することができる[Y.-F. Maa, P.-A. Ngyuyen, J.D. Andya, N. Dasovich, T.D. Sweeny, S.J. Shire, C.C. Hsu, Pharmaceutical Research, 15, No. 5 (1998), 768-775; M.T. Vidgren, P.A. Vidgren, T.P. Paronen, Int. J. Pharmaceutics, 35 (1987), 139-144; R.W. Niven, F.D. Lott, A.Y. Ip, J.M. Cribbs, Pharmaceutical Research, 11, No. 8 (1994), 1101-1109]。
これらの例のほかに、特別な吸入粉末用製剤を記載している噴霧乾燥工程に基づく他の製造方法が、特に製薬会社によって提唱されている。
上記に示された要求とは別に、一般的に、物理的安定性及び化学的安定性並びに技術的安定性を改善し得る医薬組成物の固態へのあらゆる変化が同一薬剤の安定でない形よりかなり有利になることは留意されるべきである。
本発明の複合目的は、主として、非常に有効なCGRP拮抗剤BIBN4096の生物学的に利用可能な製剤を提供することであった。本発明の製剤は、急性疼痛、又は片頭痛の場合には非常に突然起こる疼痛の治療のために活性の開始が迅速でなければならない。これは、活性物質の急速な吸収と血漿レベルの急速な上昇が確実にされなければならないことを意味する。
急性疼痛の治療やできるだけ短時間に活性物質BIBN4096の塩の高血漿レベルを達成するための活性の迅速な開始は、静脈内投与とは別に、受容臓器としての肺を経由して最も良く達成され得る。
そこで、驚くべきことに、本発明の範囲内で、BIBN4096を活性物質塩基の形で吸入により投与することによって十分に生物学的に利用可能にすることができることがわかった。活性物質を球状のナノ構造微粒子の形で吸入により投与した場合、製剤の微細分(USP 24 Suppl. 2000に準じて求めたFPDに対応する)に対して約60%のバイオアベイラビリティを達成し得ることがわかった。
本発明の製剤は、いかなる担体材料の添加も必要としない。
従って、本発明の第一の目的は、式(I)の活性物質塩基1-[N2-[3,5-ジブロモ-N-[[4-(3,4-ジヒドロ-2(1H)-オキソキナゾリン-3-イル)-1-ピペリジニル]カルボニル]-D-チロシル]-L-リシル]-4-(4-ピリジニル)ピペラジン[BIBN4096]を球状のナノ構造微粒子の形で含有する吸入粉末であって、
(a)粒子の比表面積が1 m2/g〜25 m2/g、好ましくは1 m2/g〜20 m2/g、最も好ましくは3 m2/g〜10 m2/gであり、
(b)固有値Q(5.8)が50%〜100%であり、
(c)パラメータX50が1μm〜6μmである
ことを特徴とする、前記吸入粉末である。
これらの微粒子は、物質を投与した場合に薬理的性質/薬物動態特性を改善することになる特別の物理的性質や生理化学的性質を特徴とする。物質の利用可能性は - 投与される活性物質の量に基づく定量的にもできるだけ速やかに達成される高血漿レベルに基づく定量的にも 物質の生化学的性質によるだけでなく生理化学的性質によっても求められる。吸入粉末の場合のように固体が投与される場合には、活性物質の局所濃度と時間の関数として周囲媒体における絶対溶解度や周囲媒体における溶解速度のパラメータが特に考慮されるべきである。
本発明に従って製造された粒子は物理的安定性が高い。特に、吸入粉末として用いられる場合の粒子の特性から、例えば、カスケードインパクタ測定(Andersen Cascade Impactor、USP 24又はPharm. Eur. Suppl. 2000に準じる)によって、技術的に求められる高割合の微細粒子を認識することが可能である。典型的には、この方法によれば径(空気力学的)が5μm未満である粒子の割合が15%より多く、ときには50%を超える微細分が達成される。吸入可能物質のこの重要なパラメータと別に、粉末はこの技術的工程によって更に処理され得ることを特徴とする。このようにして製造された粉末は、例えば、レーザ回折によって測定される粒径と、マルチポイントB.E.T.測定によって測定される比表面積の生理化学的パラメータを特徴とする。固有値Q(5.8)については、このようにして製造された粒径は典型的には50%〜100%であり、パラメータX50については、1μm〜6μmである。上記方法によって製造される粒子の比表面積の値は、典型的には1 m2/g〜25 m2/g、理想的には1 m2/g〜20 m2/g、最も好ましくは3 m2/g〜10 m2/gである。形的には、上記方法によって製造された粒子の形は、試験条件によっては極端な“球形”、“空洞、場合によっては穴のある球形”、“内向きに凹面の形をした球形”、“陥没した中空体”の間で記載される。走査電子顕微鏡によってそのような粒子の表面はほぼナノ構造である。
本発明によれば、驚くべきことに、遊離塩基の形でのBIBN4096は、このように調製された粉末がいかなる段階も含めずに、詳しくは粗い担体材料と混合することを必要とせずに主要な包装手段へ直接移すことができるように噴霧乾燥工程によって形態的に変化させることができ、前記吸入用包装手段から粉末吸入器によって送達することができることがわかった。
製造工程は制御することができるので、粒子は適切な粒径、通常は0.1〜10μmで存在し、これらの粒子は流動化/分散し易いような表面特性を有する。
本発明の調製方法は、活性物質が適切に溶解され、噴霧され、スプレー塔で乾燥されることを特徴とする。噴霧乾燥の原理は、微細滴へ乾燥される生成物の溶液又は懸濁液を分解し、熱ガス流で乾燥することからなる。溶媒が蒸発した後に残存している固形分は、慣性力セパレータ(例えば、サイクロン)及び/又はフィルタユニットによってガス流から分離され、集められる。このように製造された微粒子は、粒径、比表面積、形態の点で特別な値を特徴とする。
有機溶媒又は有機水性溶媒混合物は、溶媒として適切であった。好ましくはアルコール水性溶媒系、更に好ましくはエタノール/メタノール/水やエタノール/プロパノール/水からなる溶媒混合物、最も好ましくはエタノールと水の溶媒混合物が用いられる。溶媒混合物中の水のモル比はアルコール成分のモル比の0.1〜10倍の量、好ましくは0.5〜4倍の量の範囲になければならない。
活性物質の調整は、主として工程を経済的にするためのものである。しかしながら、選択することができる活性物質濃度に制限が課せられ、これらの制限は粒子の表面特性と形態が液滴径と固形分濃度との間の特定の割合によって最適化され得るという事実によって設定される。通常は0.5〜20質量%、好ましくは2〜10質量%、最も好ましくは3〜8質量%の濃度が選択されねばならない。液滴径は吸入可能粒子の製造に重要なパラメータである。用いられるノズルによっては、所望の液滴径を得るようにスプレーガスのスループットが溶液のスループットとともに選ばれなければならない。適切な液滴径が得られるパラメータ“ノズル-スプレーガスのスループット-溶液のスループット”の多くの組合わせがあるので、工程に選ばれるべき液滴径によって工程が無理なく形成され得る。これは、1.5μm〜20μm、好ましくは1.5μm〜8μmの範囲になければならない固有値X50 (メジアン値 = 個々の粒子/液滴の体積分布に関して粒子の50%の量の粒子が見られる粒径/液滴径)と、10%〜100%、好ましくは30%〜100%でなければならない固有値Q(5.8) (粒子の体積分布に基づき5.8μmより小さな粒子の量に対応する)を特徴とすることができる。
従って、本発明の第二の目的は、活性物質塩基BIBN4096を球状のナノ構造微粒子の形で調製する方法であって、
(a)活性物質BIBN4096を有機溶媒又は有機-水性溶媒の混合物に溶解して活性物質濃度が0.5〜20質量%、好ましくは2〜10質量%、最も好ましくは3〜8質量%の活性物質の溶液を調製するステップ、
(b)得られた活性物質溶液を、液滴径の固有値X50が1.5〜20μm、好ましくは1.5〜8μmの範囲にあり、Q(5.8)が10%〜100%、好ましくは30%〜100%であるスプレーミストを得るように常法で噴霧するステップ、
(c)このようにして得られた該スプレーミストを、下記パラメータ:
乾燥ガスの入口温度 100℃〜350℃、好ましくは120℃〜250℃、更に好ましくは130℃〜200℃、
乾燥ガスの出口温度 40℃〜120℃、
スプレーガスの流量 1 Nm3/h〜15 Nm3/h、
乾燥ガスの流量 15 Nm3/h〜1500 Nm3/h、好ましくは15 Nm3/h〜150 Nm3/h
を与えつつ乾燥ガスによって乾燥するステップ、及び
(d)乾燥した固形分を該乾燥ガスから通常の方法で分離するステップ
を含む、前記方法である。
本発明の第三の目的は、吸入粉末を調製するための、上記工程によって得ることができる球状のナノ構造微粒子の形での活性物質塩基BIBN4096の使用である。
本発明の第四の目的は、球状のナノ構造粒子が上記本発明の方法によって得ることができることを特徴とする、吸入粉末である。
1)測定法
a)レーザ回折(フラウンホーフェル(Fraunhofer)回折)による粒径の定量:
測定方法: 粒径を求めるために、粉末を分散ユニットによってレーザ回折分光計に入れる。メジアン値X50とは、粒子の50%が見られる粒径を意味する。Q(5.8)値は、径が5.8μm未満である粒子の%割合を記載する。
測定装置: レーザ回折分光計(HELOS)、Messrs. Sympatec
ソフトウェア: WINDOX 4 Version 3.3/REL(実施例1〜3)、Version 4(実施例4〜6)
分散ユニット: RODOS / 分散圧: 3 bar
焦点距離: 100 mm [測定範囲: 0.9.....175μm]
評価方式: HRLD (V 3.3 Rel. 1)
b)比表面積の定量
測定法: 粉末試料を窒素雰囲気に異なる圧力でさらすことにより比表面積を求める。試料の冷却によって窒素分子が粒子の表面上に凝縮される。凝縮した窒素量をシステム内の圧力低下によって求め、要求される表面の窒素と試料の重量によって試料の比表面積を計算する。
測定装置 Tri Star Multi Point BET, Messrs. Micromeritics
加熱ステーション: VacPrep 061, Messrs. Micromeritics
加熱: 約12 h / 40℃
分析パラメータ
試料容器: 1.3cm(1/2インチ);“フィルタロッド”付き
分析方法: 16ポイントBET表面積測定 0.05〜0.20 p/p0
絶対圧力差: 5.0 mm Hg
相対圧力差: 5.0%
減圧速度: 50.0 mm Hg/秒
減圧閾値: 10.0 mm Hg
時間: 0.1 h
空隙率: デュワーびんの減少、t: 0.5 h
保持時間: 20秒
最小平衡時間: 600秒
吸着剤: 窒素
c)レーザ回折による液滴径の定量(ミー(Mie)に準じる):
測定装置: レーザ回折分光計(HELOS)、Messrs. Sympatec
ソフトウェア: WINDOX Version 4
焦点距離: 100 mm [測定範囲: 0.9.....175μm]
測定方法: ノズルを噴霧乾燥機から取外し、噴射の上の1/3の噴霧をレーザ光の中央に入れることにより液滴径を求める。同一条件下基準媒体として水を用いて周囲温度で測定する。
Claims (12)
- 粒子の比表面積が1 m2/g〜20 m2/gであることを特徴とする、請求項1記載の吸入粉末。
- 粒子の表面積が3 m2/g〜10 m2/gであることを特徴とする、請求項1記載の吸入粉末。
- 活性物質塩基BIBN4096を球状のナノ構造微粒子の形で調製する方法であって、
(a)活性物質BIBN4096を有機溶媒又は有機-水性溶媒混合物に溶解して活性物質濃度が0.5〜20質量%の活性物質の溶液を調製するステップ、
(b)得られた活性物質溶液を通常の方法で噴霧して液滴径の固有値X50が1.5〜20μmの範囲、好ましくは1.5〜8μmの範囲にあり、Q(5.8)が10%〜100%、好ましくは30%〜100%であるスプレーミストを得るステップ、
(c)このようにして得られた該スプレーミストを下記パラメータ:
乾燥ガスの入口温度 100℃〜350℃、好ましくは120℃〜250℃、更に好ましくは130℃〜200℃、
乾燥ガスの出口温度 40℃〜120℃、
スプレーガスの流量 1 Nm3/h〜15 Nm3/h、
乾燥ガスの流量 15 Nm3/h〜1500 Nm3/h、好ましくは15 Nm3/h〜150 Nm3/h、
を与えつつ乾燥ガスによって乾燥するステップ、及び
(d)乾燥した固形分を乾燥ガス流から通常の方法で分離するステップ
を含む、前記方法。 - 活性物質を溶解するために用いられる溶媒が有機水性溶媒系であり、ここで、用いられる水のモル比がアルコール成分のモル比の0.1〜10倍、好ましくは0.5〜4倍であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
- 有機-水性溶媒系がエタノール/メタノール/水からなり、ここで、用いられる水のモル比がアルコール成分のモル比の0.1〜10倍、好ましくは0.5〜4倍であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
- 有機-水性溶媒系がエタノール/プロパノール/水からなり、ここで、用いられる水のモル比がアルコール成分のモル比の0.1〜10倍、好ましくは0.5〜4倍であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
- 有機-水性溶媒系がエタノール/水からなり、ここで、用いられる水のモル比がアルコール成分のモル比の0.1〜10倍、好ましくは0.5〜4倍であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
- 噴霧乾燥に用いられる活性物質の溶液の濃度が2〜10質量%であることを特徴とする、請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 噴霧乾燥に用いられる活性物質の溶液の濃度が3〜8質量%であることを特徴とする、請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 吸入可能粉末を製造するための、請求項4〜10のいずれか1項に記載の方法に従って得られる球状のナノ構造微粒子の形での活性物質塩基BIBN4096の使用。
- 球状のナノ構造粒子が請求項4〜10のいずれか1項に記載の方法によって得ることができることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸入粉末。
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