JP2005529582A - 肝臓疾患における遺伝子発現プロファイル - Google Patents

肝臓疾患における遺伝子発現プロファイル Download PDF

Info

Publication number
JP2005529582A
JP2005529582A JP2003561510A JP2003561510A JP2005529582A JP 2005529582 A JP2005529582 A JP 2005529582A JP 2003561510 A JP2003561510 A JP 2003561510A JP 2003561510 A JP2003561510 A JP 2003561510A JP 2005529582 A JP2005529582 A JP 2005529582A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
genes
liver cancer
expression
gene
liver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003561510A
Other languages
English (en)
Inventor
コウ,サン,セク
リウ,キン
チュン,ヒュン−ホ
ゼン,ウェン
リー,ボグマン
イェラミッリ,スブラマニアム
ソン,シ,ヨン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ore Pharmaceuticals Inc
Original Assignee
Ore Pharmaceuticals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ore Pharmaceuticals Inc filed Critical Ore Pharmaceuticals Inc
Publication of JP2005529582A publication Critical patent/JP2005529582A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • C12Q1/6886Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/16Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for liver or gallbladder disorders, e.g. hepatoprotective agents, cholagogues, litholytics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/574Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer
    • G01N33/57407Specifically defined cancers
    • G01N33/57438Specifically defined cancers of liver, pancreas or kidney
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/136Screening for pharmacological compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A90/00Technologies having an indirect contribution to adaptation to climate change
    • Y02A90/10Information and communication technologies [ICT] supporting adaptation to climate change, e.g. for weather forecasting or climate simulation

Abstract

本発明は、肝臓癌から得た組織の、癌性肝臓組織と、病的であるが癌性ではない肝臓組織の間で発現に差のある遺伝子を同定するための試験結果に基づくものである。本発明には、これらの遺伝子を用いる診断、スクリーニング、ドラッグデザインおよび治療方法、並びに前記発現に差のある遺伝子と相補的である、またはそれらとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドアレイを含んでなる固相担体が含まれる。

Description

本願は、米国仮出願第60/341,815号および第60/343,185号(これらはいずれも引用により全体が本明細書に組み入れられる)に基づく特典を主張する。
本発明は一般に、肝臓癌患者から得た肝臓組織における遺伝子発現の変化に関する。具体的には、本発明は、癌性の肝臓組織において、非癌性の肝臓組織と比べ発現が異なる一連のヒト遺伝子に関する。
・肝臓癌
肝臓疾患は通常、肝臓の機能不全を引き起こしたり、全機能を停止させる病気として分類されている。例えば肝硬変は、肝細胞が障害を受けて瘢痕組織に置換され、正常な肝臓組織の量が減少する一群の慢性肝臓疾患である。アルコールの暴飲(abuse)により引き起こされることが最も多いが、肝炎ウィルス感染や、他の胆道疾患の患者でも肝硬変が発症することがある。慢性B型肝炎感染、C型肝炎感染および肝硬変は、関係する機構は未だ十分には理解されていないものの、いずれも原発肝臓癌と強く関連していることが示されている(非特許文献1)。慢性B型肝炎感染の約10〜20%が原発肝臓癌に到る。アルコール摂取、劣悪な栄養状態、アフラトキシン類(腐敗した食物(落花生、トウモロコシ、穀類、種子類など)に見られるカビが産生する発癌物質)など、原発肝臓癌や肝硬変に結び付けられている他の要素もある。
原発肝臓癌においては、肝細胞が異常となり、制御の及ばない増殖を行い、悪性腫瘍を形成する。この病気は「肝細胞癌(HCC)」または「悪性肝臓腫瘍」とも呼ばれる。転移の結果身体の他の部位から肝臓に広がった癌は、同じ病気ではない。症状が特異的でないため、HCCを初期段階で検出することは困難である。症状には食欲の減退、体重低下、発熱、疲労および虚弱が含まれる。癌が進行するにつれて、上腹部に疼痛が生じ、背中や右肩に広がることがある。黄疸や尿の暗色化を伴って、腫脹または触診可能な塊が上腹部に存在することもある。癌が転移するときには、典型的には肺および脳が目標となる。
HCCの診断は血液検査、特に腫瘍マーカー(α−フェトプロテインなど)についての監査で行われうる。HCC患者の約50〜70%に、α−フェトプロテインレベルの上昇が見られる。更なる診断法には、非放射線造影(腹部または胸部X線、脈管造影、CTスキャンおよびMRI)、放射性物質を用いる肝臓スキャンおよび肝生検が含まれる。検出が手遅れとなることが多いため、HCCの治療は不成功の場合が多いが、治療法には癌の外科的除去、化学療法および放射線照射(単独でも組み合わせても)が含まれる。HCCは米国ではあまり一般的ではないが、アジアおよびアフリカの一部では非常によく見られ、これは多分に肝炎ウィルス感染の発生率がより高いことによる(非特許文献2、非特許文献3)。
米国における新規の急性または慢性ウィルス性肝炎の件数は、年に約20万件と推定されている。一般には、肝炎を引き起こすウィルスは、A型肝炎ウィルス、B型肝炎ウィルス(これは発癌性でもある)、D型肝炎ウィルス(デルタ肝炎ウィルスともいい、B型肝炎ウィルスの存在下でのみ感染力を示す欠陥(defective)RNAウィルスである)、C型肝炎ウィルス、E型肝炎(または流行性非A非B型肝炎)ウィルス、FおよびG型肝炎ウィルス(流行性非A非B非C型変異体であり、B型肝炎ウィルス変異体の可能性があるが、B型の抗原性を示さない)、サイトメガロウィルス、エプスタイン−バールウィルスおよびヘルペス単純ウィルスである。最後の3種は、肝臓、腎臓または骨髄移植に次いで免疫抑制療法を受けた患者において顕著である。B型、C型およびD型肝炎ウィルスは、典型的には慢性ウィルス性肝炎に関連している。
肝炎ウィルスのうち、B型肝炎ウィルスは最も高い死亡者数に関連している。このウィルスは、内因性DNAポリメラーゼと単一の環状DNA(長さ3200塩基対)を有する二重外殻(double−shelled)DNAウィルスである。このウィルスは、RNAを中間体とした、逆転写酵素を要する経路で複製する。B型肝炎ウィルスに感染した患者では、血清中に3種の粒子(20nmの球状粒子、直径20nm、長さ100nmの微小管および42nmの複合デーン粒子)が検出される。アヒル、サギ、リスおよびマーモットに見られるB型肝炎ウィルスは、ヒトB型肝炎ウィルスと類似している。
B型肝炎の診断は通常、血清中に表面抗原(HBsAg)を見出すことによって行う。6ヶ月以上に亘ってHBsAgが存在することは、キャリヤー状態または慢性感染を意味している。抗HBs抗体(HBsAb)は、回復および免疫性を説明するものである。
血中にコア抗原(HBcAg)は見られないが、抗体は検出されることがある。急性肝炎の場合、コア抗原(HBcAg)に対するIgM抗体が見られる。しかし、この抗体が持続している場合には、慢性ウィルス感染の兆候である。慢性感染のもう1つの兆候は、HBsAbがなく、HBsAgを伴う高レベルのIgGのHBcAbである。
HBeAgは、活発なウィルス合成および感染性と相関がある。抗体(HBeAb)の出現は、感染性の低下と、患者が回復しようとしていることの兆候である。
B型肝炎ウィルス感染を受けた成人のうち、慢性感染に到るものは約2〜8%に過ぎないが、新生児では約90%がキャリヤーとなる。B型肝炎ウィルスの慢性感染は、これらの患者の約25%が肝硬変を発症していることからして、肝硬変と(肝臓癌とも)関連がある。B型肝炎ウィルス感染(慢性または急性のいずれも)に対して普遍的に有効な治療は存在しないが、現行の治療法にはインターフェロン−α−2aの投与(投与量:16週間にわたり1000万単位を週に3回、または4ヶ月にわたり1日500万単位)が含まれる。
C型肝炎ウィルスは、輸血後肝炎の主要な原因と考えられている。もう1つの重要な感染源は、薬物の静脈内での使用である。このウィルスは、脂質の外殻を有するトガウィルス科に分類され、30〜60nmの粒子を生成する。これは1本鎖RNAウィルスであり、ゲノムは約10.5kbである。C型肝炎ウィルス感染を受けた患者の約50%が慢性感染に到り、慢性感染を受けた患者の約20%が肝硬変を発症する。上記のように、肝臓癌発症に進行するC型肝炎患者は多いが、その比率は確定していないことが認められる。C型肝炎の治療に対する努力は、現行の抗ウィルス剤(インターフェロン−αを含む)があまり有効ではなかったという結果により失敗に終わっている(非特許文献4)。
肝硬変は、典型的には毒素、炎症または代謝異常によって引き起こされ、繊維症と結びついた、広範囲に広がった小結節によって特徴付けられる。傷害され、または死んだ肝細胞は、繊維状の瘢痕組織で置換され、これが繊維症をもたらす。肝細胞が異常な様式で再生され、繊維状組織に囲まれた小結節を生成する。繊維症と小結節形成が、肝臓の構造的構成要素の変形・阻害を引き起こし、これが血流および生化学的機能を損なわせる。
循環系においては、腸および脾臓からの血液が、門脈を通って肝臓に流入し、その後肝静脈を通って心臓に戻る。血液はまた、肝動脈を通って直接肝臓に流入する。食道、胃、小腸および直腸において、体循環が肝臓の門脈循環につながっており、正常な条件下では、肝門循環から全身的な循環への逆流はない。しかし、肝硬変においては、繊維状の瘢痕組織が肝臓への(肝臓を通る)血流を低下させる。すると、門脈および肝臓の門脈循環において血液が後退し、他臓器での混乱(血液細胞の隔絶(sequestered blood cells)を伴う脾臓の肥大、血小板数の低下、異常出血など)を引き起こす。血液の体循環への逆流は、食道、胃、小腸および直腸における静脈瘤(破裂して大出血を起こす恐れがある)を生じることがある。肝臓の門脈循環における高血圧はまた、腹部や周囲組織における体液の貯留(腹水および周囲浮腫)を生じ、その一方でビリルビンの分泌が低下して、血中ビリルビンレベルの上昇や黄疸を引き起こすことがある。肝硬変による異常な生化学的変化には、アルブミンレベルの低下(これは腹水および浮腫を悪化させる)、凝固因子レベルの低下、男性における女性化乳房(エストロゲン代謝障害)、糖、トリグリセリドおよびコレステロール代謝の低下が含まれる。進行した段階の肝硬変においては、通常ならば肝臓で除去される毒性物質が脳に流入するため、脳の異常が生じることがある。変化には、精神機能(集中力や認識力)の低下、人事不省、昏睡、脳腫脹および死亡が含まれる。
上記の症状のうちあるものを示している患者においては、肝硬変の診断は容易であるが、初期段階において肝硬変を検出することは困難なことがある。初期段階において生じる微細な変化には、手掌紅斑、青白い上体における赤い斑点、耳下腺の肥大、掌の腱の繊維症および女性化乳房が含まれる。X線や放射性トレーサー検査が有効な場合もあるが、診断はしばしば、肝生検によって行わねばならない。
疾患の進行を止めるために、基本的な原因を処置する(特にアルコール中毒)ことはできるが、肝臓に対する構造的な障害は不可逆的である。疾患の続発症(静脈瘤、腹水、浮腫など)を治療することも可能である。飲酒を長期間止めているアルコール中毒者では、肝臓移植が成功している(非特許文献5)。
・肝臓疾患における分子的変化
肝細胞における、肝臓疾患の発症・進行に関連する分子的変化について、知られていることは殆どない。従って、広範な遺伝子発現レベルの変化に関する研究に対する必要性、および肝臓疾患の発症・進行に関連する新規な分子マーカーの同定に対する必要性が存在する。更に、介入(intervention)により肝臓疾患を停止または遅らせることに成功することが期待されるならば、肝臓疾患の初期の兆候(manifestation)を正確に評価する手段を確立する必要がある。肝臓疾患の初期の兆候を正確に評価する方法の一つは、疾患の進行に特異的に(uniquely)関連するマーカーを同定することである(例えば、非特許文献6等を参照)。同様に、肝臓疾患の進行を阻害または停止する治療薬の開発は、肝細胞の癌性変異(transformation)および癌性肝細胞の増殖に寄与する遺伝子の同定にかかっている。
今日までに、研究者たちは、癌発症の土台となると考えられる遺伝子上の改変(alteration)を少々同定することができた。これらの遺伝子上の改変には、癌遺伝子の増幅、および癌抑制遺伝子の欠損をもたらす変異が含まれる。癌抑制遺伝子は、その野生型対立遺伝子(alleles)において、異常な細胞増殖を抑制するタンパク質を発現する遺伝子である。癌抑制タンパク質をコードする遺伝子が変異または消滅すると、結果として生じる変異タンパク質または癌抑制タンパク質発現の完全な欠損により、細胞増殖を正しく制御することができず、異常な細胞増殖が起こりうる(特に、細胞制御機構に対する損傷が既に存在していれば)。よく研究されているヒトの癌および癌細胞株には、癌抑制遺伝子が欠損していたり、機能を失っているものが多い。癌抑制遺伝子の例としては網膜芽細胞腫感受性遺伝子(またはRB遺伝子)、p53遺伝子、結腸癌消失(the deletion in colon carcinoma)(DCC)遺伝子および神経線維腫症1型(NF−1)癌抑制遺伝子(非特許文献7)が挙げられるが、これらに限定されない。癌抑制遺伝子の機能欠失または不活性化は、相当数のヒトの癌のイニシエーションおよび進行において、中心的な役割を果たしている可能性がある。
癌の形式の不均一な母集団(populations)を分類することは気の遠くなるような作業(daunting task)だが、癌のサブタイプを同定するのに遺伝子の発現パターンを用いた初期的な研究はむしろ、興味をそそるような結果をもたらしている(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11および非特許文献12を参照)。遺伝子発現のプロファイリングによるB細胞リンパ腫の分子的分類は、臨床的に区別されるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫のサブグループを明らかにした(前記Alizadehらの論文を参照)。示差的な遺伝子発現プロファイリングに基づく患者の階層化(stratification)により、化学療法剤の評価のために、研究者が、同じような患者の母集団を正確に分類できるようになる可能性がある。患者の母集団がより均一になることで、患者毎の反応の変わりやすさが減少し、従来知られていない特定のサブタイプの癌を根治しうる薬剤を、標準的な分類技法を用いて開発することにつながる。
遺伝子発現プロファイルを利用して、癌の分類、薬物標的の同定、診断マーカーの同定および/または化学療法による治療結果の更なる洞察を行うと、患者に特異的な、種々の癌を治療するためのより有効な戦略の設計を容易にすることができる。乳癌においては、限られた数の遺伝子(8,102遺伝子)を用いた研究により、癌が遺伝子発現プロファイルに基づくサブタイプに分類されており、この研究によって、乳癌に関連する分子表現型の多様性が示されている(非特許文献13)。cDNAアレイおよびオリゴヌクレオチドアレイの登場(advent)により、研究者は、何千もの遺伝子に関し、組織特異的な発現レベルをマッピングすることができるようになった(非特許文献11、非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17および非特許文献18)。Martinらの研究(非特許文献19)では、正常乳上皮細胞またはMDA−MB−435悪性乳癌細胞株のいずれかに関連する示差的表示(differential display)によって発見された124遺伝子からなる特製の(custom)マイクロアレイを用いた。この特製マイクロアレイを用い、研究者らは、乳癌の臨床段階に対して多数の遺伝子をクラスタリング(clustering)することによって発見された発現パターン間の関係を検討し、遺伝子発現パターンによって乳癌を別個のカテゴリーに分類することができることを示している(前記非特許文献19)。
国際出願公開公報第WO 99/32660号明細書 国際出願公開公報第WO 95/11755号明細書(Beattie) 米国特許第5,143,854号明細書(Pirrungら(1992)) 米国特許第5,800,992号明細書(Fodorら(1998)) 米国特許第5,837,832号明細書(Cheeら(1998)) 国際出願公開公報第WO 93/09668号明細書(Fodorら) 国際出願公開公報第WO 99/32660号明細書(Lockhartら,(1999)) 米国特許第5,953,727号明細書(Akerblomら) Wuら.(2001),Oncogene,20:3674−368 http://cis.nci.nih.gov/ http://cancer.med.upenn.edu/disease/liver/intro_liver.html http://www.arens.com/brian/viral.htm http://cpmcnet.columbia.edu/dept/gi/cirrhosis.html Kimら,Oncogene 20:4568−4575,2001 R.A.Weinberg,Science 254:1138−1146,1991 Perouら,Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 96:9212−9217,1999 Golubら,Science 286:531−537,1999 Alizadehら,Nature 403:503−511, 2000 Alonら,Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 96:6745−6750,1999 Bittnerら,Nature 406:536−540,2000 Perouら,Nature 406:747−752,2000 Iyerら,Science 283:83−87,1999 Khanら,Cancer Res. 58:5009−5013,1998 Leeら,Science 285:1390−1393,1999 Wangら,Gene 229:101−108,1999 Whitneyら,Ann. Neurol. 46:425−428,1999 Martinら,Cancer Res. 60:2232−2238,2000 Marshall,Cell 64:313−326,1991 Weinberg,Science,254:1138−1146,1991 Karlinら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 87:2264−2268,1990 Altschul,J.Mol.Evol. 36:290−300,1993 Altschulら,Nature Genet 6:119−129,1994 Henikoffら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 89:10915−10919,1992 Grant,in Molecular Biology and Biotechnology,Meyers(ed.),VCH Publishers,1995 www.ncbi.nim.nih.gov Sambrookら,Molecular Cloning − A Laboratory Manual,Third ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,2001 Alamら,Anal Biochem 188:245−254,1990 Chapter 3 of Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Vol.24,Hybridization With Nucleic Acid Probes:Theory and Nucleic Acid Probes,P.Tijssen (ed.),Elsevier Press,New York,1993 Lockhartら,Nat.Biotechnol. 14:1675−1680,1996 McGallら,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.93:13555−13460,1996 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Entrez/ http://stnweb.cas.org/ http://www.incyte.com/sequence/index.shtml Steelら,Principles and Procedures of Statistics:A Biometrical Approach,Third Ed.,McGraw−Hill,1997
これらの研究により、発現プロファイルは、癌などのヒトの疾患の診断における改善をもたらすために、また改良された治療戦略の開発に利用しうることが示されてはいるが、更なる研究が必要である。従って、当該技術において、肝臓癌や、その他の慢性肝臓疾患のより正確な診断を可能にする物質および方法に対する必要性が依然として存在する。加えて、当該技術において、肝臓疾患を効果的に治療しうる治療方法およびそのための薬物を同定する方法に対する必要性が依然として存在する。本発明は、これらおよびその他の必要性に応じたものである。
本発明は、種々の形式および段階の肝臓疾患、特に肝細胞癌(HCC)、慢性肝炎(CH)および肝硬変(LC)に関連する遺伝子およびその発現プロファイルの発見に基づくものである。
本発明は、組織試料における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程を含む、患者における肝臓疾患の診断方法であって、表1の遺伝子の発現に差があることは、肝臓疾患を示すことを特徴とする肝臓疾患の診断方法を含む。本発明はまた、肝臓疾患進行の検出方法を含む。例えば、本発明の方法は、組織試料における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程を含む、患者における肝臓疾患進行の検出を含み、表1の遺伝子の発現に差があることは、肝臓疾患の進行を示す。ある好ましい実施形態においては、表1に同定されている群の遺伝子の全てまたは一部に基づくPCA分析を用いて、肝臓疾患の異なる段階間(例えば肝臓癌の転移)の区別を行いうる。ある好ましい実施形態においては、1種以上の遺伝子を表1から選択することができる。
ある態様においては、本発明は、
患者に医薬組成物を投与する工程;
前記患者から得た細胞または組織から、遺伝子発現プロファイルを作成する工程;および
前記患者の遺伝子発現プロファイルを、正常肝細胞からなる細胞母集団から得た遺伝子発現プロファイル、罹患状態の肝細胞からなる細胞母集団から得た遺伝子発現プロファイルまたはその両者と比較する工程
を含む、肝臓疾患患者の治療の監視方法を提供する。ある好ましい実施形態においては、前記遺伝子発現プロファイルは、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを含む。
本発明の他の態様は、
患者に医薬組成物を投与する工程であって、前記組成物は、表1の遺伝子のうち少なくとも1種の発現を変化させる工程;
罹患細胞を有する前記患者から得た細胞または組織から、遺伝子発現プロファイルを作成する工程;および
前記患者の遺伝子発現プロファイルを、罹患状態の肝細胞からなる未処理細胞の母集団から得た遺伝子発現プロファイルと比較する工程
を含む、肝臓疾患患者の治療方法を含む。
他の態様において、本発明は、組織試料中の、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程を含む、患者における発癌進行の検出方法であって、表1の遺伝子の発現に差があることは、肝臓の発癌を示すことを特徴とする発癌進行の検出方法を提供する。
本発明は更に、肝臓疾患の発病(onset)または進行を調節しうる薬物のスクリーニング方法であって、
細胞を前記薬物に曝露する工程;および
表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程
を含む薬物のスクリーニング方法を含む。ある好ましい実施形態においては、肝臓疾患は肝細胞癌でありうる。ある好ましい実施形態においては、1種以上の遺伝子を、表1に記載された遺伝子よりなる群から選択することができる。ある好ましい方法においては、表中の遺伝子を全てまたは殆ど全て検出することが好ましい。
本発明は更に、表1中の遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を各々有する少なくとも2種のオリゴヌクレオチドを、表1中の遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を各々有する少なくとも2種のプローブを含む固相担体と共に含む組成物を含む。ある好ましい実施形態においては、1種以上の遺伝子を、表1に記載された遺伝子よりなる群から選択することができる。
本発明は更に、表1の遺伝子のうち少なくとも2種からなる1組の遺伝子の、肝臓組織における発現レベルを同定する情報を含むデータベースおよび前記情報を見るためのユーザインタフェースを含むコンピュータシステムを含む。ある好ましい実施形態においては、1種以上の遺伝子を、表1に記載された遺伝子よりなる群から選択することができる。前記データベースは更に、非癌性肝臓組織および癌性肝臓組織における前記1組の遺伝子の発現レベルを同定する情報である、前記遺伝子に関する配列情報を含んでいてもよく、また外部データベース(GenBankなど)へのリンクを含んでいてもよい。
最後に、本発明は、前記データベースの使用方法、例えば、組織または細胞における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを、前記データベースにおける遺伝子の発現レベルと比較する工程を含む、開示されるコンピュータシステムを用いて、組織または細胞における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを同定する情報を提示する方法を含む。ある好ましい実施形態においては、1種以上の遺伝子を、表1に記載された遺伝子よりなる群から選択することができる。
多くの生物学的機能は、転写(例えば、イニシエーションの調節、RNA前駆体の供給、RNAのプロセッシングなどによる)および/または翻訳の調節により種々の遺伝子発現を変化させることによって成される。例えば、必須の生物学的プロセス(細胞周期、細胞の分化、細胞死など)はしばしば、遺伝子群の発現レベルの変化によって特徴付けられる。
遺伝子の発現は、病因とも関連している。例えば、機能性癌抑制遺伝子の十分でない発現および/または癌遺伝子/癌原遺伝子の過剰な発現は、腫瘍形成や、細胞の過形成的増殖(hyperplastic growth)につながることがある(非特許文献20、非特許文献21)。従って、特定遺伝子(例えば、癌遺伝子または癌抑制遺伝子)の発現レベル変化は、種々の疾患の存在および進行に関する手がかり(signposts)として役立つ。
遺伝子発現の変化を監視することは、薬物のスクリーニングおよび開発の際にもある種の利益をもたらす。薬物を、主要な標的に対する相互作用能について、その薬物が細胞に対して有する他の効果を考慮せずにプレスクリーニングすることがしばしばある。そのような他の効果が、しばしば動物全体に対しての毒性の原因となり、その可能性ある薬物の開発および使用を妨げる。
本出願人らは、被験者から得た試料の対を用いて、癌の生検試料とその周囲の非癌性組織の間での、遺伝子発現の広範な差異を同定すべく、病的であるが癌性ではない肝臓組織と、癌性肝臓組織から得た試料を調査した。病的であるが癌性ではない肝臓組織は、慢性ウィルス性肝炎患者から得た炎症組織と、肝硬変患者から得た繊維症組織のいずれかである。非癌性組織は、肝臓の、癌生検部位に隣接した位置から取った。これらの遺伝子発現の広範な差異(「発現プロファイル」ともいう)は、有用な診断用マーカーと共に、疾患の状態、疾患の進行、薬物の毒性、薬物の有効性および薬物代謝の監視に使用しうるマーカーを提供する。
本明細書に記載の遺伝子発現プロファイルは、年齢34〜65歳の韓国人患者から得た罹患状態の肝生検試料に由来するものである。これらの患者は、慢性肝炎または肝硬変と診断され、いずれの場合もその後肝臓癌を発症している。各試料に関連する罹患状態を表2に示す。
本発明は、細胞の状態に応じて(即ち、非癌性細胞対癌性細胞で)発現に差がある可能性のある遺伝子の発現レベルを検出するための組成物および方法を提供する。これらの遺伝子発現プロファイルは、毒性、薬物の有効性、薬物代謝、開発の評価や、疾患の監視のための分子ツールを提供する。発現プロファイルの、ベースラインのプロファイルからの変化は、そのような効果を示すものとして使用しうる。当業者は、関心ある組織または試料における発現プロファイルの変化を観察することを目的として、本願において同定される遺伝子および/または遺伝子断片のうち1種以上の発現を評価するための種々の既知の技法をいずれも利用しうる。
・定義
以下の記載において、当業者には知られている用語や成句が多数用いられている。明瞭且つ一貫した解釈のため、ある種の用語・成句につきその定義を示す。
本明細書にいう成句「発現レベルを検出する」は、発現レベルの定量方法と共に、関心ある遺伝子が少しでも発現しているか否かを決定する方法をも含む。従って、yesかnoかの結果を提供し、発現量の数量化を必ずしも行わないアッセイが、本明細書で用いられるところの「発現レベルを検出する」ことを必要とするアッセイである。
本明細書にいう「本明細書に記載の遺伝子のうち1種以上と相補的なオリゴヌクレオチド配列」とは、前記遺伝子のヌクレオチド配列の少なくとも一部と、厳密な(stringent)条件下でハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチドをいう。そのようなハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチドは、前記遺伝子に対して典型的にはヌクレオチドレベルで少なくとも約75%の配列同一性を示し、前記遺伝子に対するヌクレオチド配列同一性は、好ましくは80%以上または85%以上、より好ましくは90%以上または95%以上である。
「実質的に結合する」とは、プローブ核酸と標的核酸の間の相補的ハイブリダイゼーションをいい、標的ポリヌクレオチド配列の所望の検出を達成するために、ハイブリダイゼーション培地の厳密性を低下させることにより受け入れ(accomodated)可能となるわずかなミスマッチを包含する。
用語「バックグラウンド」または「バックグラウンド信号強度」とは、標識した標的核酸とオリゴヌクレオチドアレイの成分(例えばオリゴヌクレオチドプローブ、コントロールプローブ、アレイ基材など)の間の非特異的結合その他の相互作用の結果として生じるハイブリダイゼーション信号をいう。バックグラウンド信号は、アレイの成分自体の本来的な(intrinsic)蛍光によって生じることもある。アレイ全体について単一のバックグラウンド信号を計算することもでき、各々の標的核酸について異なるバックグラウンド信号を計算することもできる。好ましい実施形態においては、バックグラウンドを、アレイ中のプローブの少なくとも5〜10%についての平均ハイブリダイゼーション信号として計算するか、または各々の標的核酸について、異なるバックグラウンド信号を、各々の遺伝子についてのプローブの少なくとも5〜10%について計算する。当然ながら、特定の遺伝子に対するプローブが良好にハイブリダイズし、標的配列に対して特異的に結合しているように見えるところでは、バックグラウンド信号の計算にそれらを用いるべきではないことが、当業者には理解される。或いは、試料中に見出されるいずれの配列とも相補的でないプローブ(例えば、逆センス(opposite sense)の核酸に対するプローブや、試料中に見出されない遺伝子(試料が哺乳類の核酸である場合、細菌の遺伝子など)に対するプローブ)に対するハイブリダイゼーションによって生じる平均ハイブリダイゼーション信号強度として、バックグラウンドを計算してもよい。バックグラウンドはまた、アレイのプローブが全くない領域によって生じる平均信号強度として計算してもよい。
成句「〜に対して特異的にハイブリダイズする」とは、特定のヌクレオチド配列が複雑な混合物(例えば全細胞の)のDNAまたはRNAとして存在するとき、厳密な条件下において、分子が本質的にその配列と、またはそれのみと結合、二重鎖化(duplexing)またはハイブリダイズすることをいう。
本発明のアッセイおよび方法は、使用可能なフォーマットを利用して、少なくとも約100種、好ましくは少なくとも約1000種、より好ましくは少なくとも約10000種、最も好ましくは少なくとも約1000000種の異なる核酸ハイブリダイゼーションを同時にスクリーニングしうる。
用語「ミスマッチコントロール」または「ミスマッチプローブ」は、その配列が特定の標的配列と完全には相補的でないように故意に選択されているプローブをいう。高密度アレイにおける各々のミスマッチ(MM)コントロールに対し、典型的には、同じ特定の標的配列と完全に相補的な、対応するパーフェクトマッチ(PM)プローブが存在する。ミスマッチは、標的配列の対応する塩基と相補的でない塩基を1つ以上含んでいてよい。
ミスマッチは、ミスマッチプローブのどこに位置していてもよいが、末端のミスマッチは標的配列のハイブリダイゼーションを阻害するにはあまり適切でないので、あまり好ましくない。特に好ましい実施形態において、ミスマッチは、試験ハイブリダイゼーション条件下において標的配列との二重鎖を脱安定化させるのに最も適切なものとなるよう、プローブの中央またはその付近に位置する。
用語「パーフェクトマッチプローブ」は、特定の標的配列と完全に相補的な配列を有するプローブをいう。テストプローブは、典型的には、標的配列の一部(サブ配列(subsequence))と完全に相補的である。パーフェクトマッチ(PM)プローブは、「テストプローブ」、「平均化コントロール(normalization control)」プローブ、発現レベルコントロールプローブ等でありうる。しかし、パーフェクトマッチコントロールまたはパーフェクトマッチプローブは、「ミスマッチコントロール」または「ミスマッチプローブ」とは区別される。
本明細書において用いられる「プローブ」は、一種類以上の化学結合、通常は相補的塩基対形成、通常は水素結合を介して、相補的な配列を有する標的核酸と結合しうる核酸、好ましくはオリゴヌクレオチドと定義される。本明細書において用いられる「プローブ」は、天然塩基(即ちA、G、CまたはT)および修飾塩基(7−デアザグアノシン、イノシン等)のいずれを含んでいてもよい。更に、プローブ中の塩基は、ハイブリダイゼーションを妨げない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によってつながっていてもよい。従ってプローブは、成分塩基がホスホジエステル結合よりもペプチド結合によってつながっているペプチド核酸であってもよい。
用語「厳密な条件」とは、プローブがその標的配列とはハイブリダイズするが、他の配列、または差を同定しうるような他の配列とのハイブリダイゼーションは実質的なものでないような条件をいう。厳密な条件は配列依存的であり、異なる状況においては異なるものとなる。より長い配列は、高温においては特異的にハイブリダイズする。一般に、厳密な条件は、定義されたイオン強度およびpHにおいて、特定の配列に対する熱的融解温度(Tm)より約5℃低くなるよう選択される。
典型的には、厳密な条件は、短いプローブ(10〜50ヌクレオチド)については、pH7.0〜8.3において塩濃度がナトリウムイオン(または他の塩)濃度で少なくとも0.01〜1.0Mであり、温度が少なくとも約30℃、という条件である。厳密な条件はまた、ホルムアミドのような脱安定化剤の添加により達成してもよい。
「配列同一性百分率(percentage of sequence identity)」または「配列同一性」は、比較ウィンドウ(window)または範囲(span)全体にわたって、最適状態で整列させた二つの配列またはサブ配列を比較することによって測定する。ここで、二つの配列を最適状態で整列させるに際し、ポリヌクレオチド配列の比較ウィンドウ中にある部分は、参照配列(付加や欠失(即ちギャップ)のない)に比して、任意に付加または欠失を含んでいてもよい。百分率は、両配列内で同一のサブユニット(例えば核酸塩基やアミノ酸残基)が生じている位置の数を測定して、適合位置数を求め、比較ウィンドウ内の位置の総数で適合位置数を割り、その結果に100を掛けて配列同一性百分率を求めることによって計算される。GAPまたはBESTFITプログラム(下記を参照)を用いて配列同一性百分率を計算する場合には、デフォルトのギャップウェイト(gap weight)を用いて計算する。
相同性(homology)または同一性は、配列類似性探索(sequence similarity searching)に合わせた、blastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxプログラムに用いられるアルゴリズムを用いるBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)解析によって測定することができる(非特許文献22および非特許文献23、これらはいずれも参照により全体が本明細書に組み入れられる)。BLASTプログラムに用いられるアプローチは、まず、クエリー(query)配列とデータベース配列の間の類似セグメントを熟慮し、次いで、同定された適合箇所全ての統計的有意性を評価し、最後に、それらの適合箇所のうちあらかじめ選択した有意性のしきい値(threshold)を満足するもののみを合計する、というものである。配列データベースの類似性探索における基本的な事項の議論については、Altschulらの文献(非特許文献24)を参照されたい。この文献は参照により全体が本明細書に組み入れられる。ヒストグラム、記述、整列、期待値(即ち、データベース配列に対する適合箇所の報告のための、統計的有意性のしきい値)、カットオフ、行列およびフィルターの探索パラメータは、デフォルトの設定とする。blastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxが用いるデフォルトのスコアリング行列(scoring matrix)は、BLOSUM62行列である(非特許文献25、この文献は参照により全体が本明細書に組み入れられる)。blastpの4つのパラメータは、Q=10(ギャップ形成ペナルティー(gap creation penalty))、R=10(ギャップ延長ペナルティー(gap extension penalty))、wink=1(クエリーに沿ったウィンク位置毎の(at every winkth position)ワードヒット(word hits)を生成する)およびgapw=16(ウィンドウ幅(その範囲内でギャップ付きの整列を行う)を設定する)のように調節される。blastpの同等のパラメータ設定は、Q=9、R=2、wink=1およびgapw=32であった。Bestfit比較(GCG package version 10.0において可能)では、DNAのパラメータであるGAP=50(ギャップ形成ペナルティー)およびLEN=3(ギャップ延長ペナルティー)を用い、タンパク質の比較における同等の設定は、GAP=8およびLEN=2である。
・発現に差のある遺伝子の利用
本発明は、癌性肝臓組織と非癌性肝臓組織の間で発現に差のあるそれらの遺伝子を同定するものである。当業者は、発現に差があると同定された1種以上の遺伝子を表1より選択し、本明細書において提供される情報および方法を用いて特定試料を調査または検査(interrogate or test)することができる。2つの条件または起源の特定の調査のためには、2つの条件または起源の間で発現パターンにかなり大きな差を示すようなそれらの遺伝子を選択することが好ましい。他の例においては、2つの条件の間で発現の差が僅かしかないような遺伝子を選択することが適切な場合もある。差が少なくとも1.5倍であることが好ましいこともあるが、ある例においては、3倍、5倍または10倍が好ましいこともある。データを統計的評価に付し、観測された差異と疾患関連性が統計的に有意であることを確実にする。遺伝子またはタンパク質の調査が行われ、異なった情報が得られる場合もある。
・肝臓癌マーカーの診断用途
本明細書に記載の通り、下記表1に提供される遺伝子および遺伝子発現情報を、肝臓組織における疾患状態の推定または同定のための診断マーカーとして使用しうる。例えば、患者から得た肝臓組織試料またはその他の試料を、当業者には既知の何らかの方法によってアッセイし、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを、非癌性肝臓組織、癌性肝臓組織またはその両者に見られる発現レベルと比較しうる。組織その他の試料から生成する、非癌性または癌性肝臓組織からの発現プロファイルと本質的に類似している発現プロファイルを、例えば疾患の診断に利用しうる。発現データ(使用可能な配列その他の情報も)の比較は、研究者または診断医が行ってもよく、本明細書に記載のように、コンピュータおよびデータベースの支援により行ってもよい。
・疾患進行を監視するための、肝臓癌マーカーの用途
肝臓疾患の分子発現マーカーは、形態学的臨界に基づいて行われる疾患の形式および進行の確認に用いることができる。例えば、組織試料において発現している遺伝子のレベルおよび形式に基づいて、非癌性肝臓組織を癌性組織と区別しうる。ある状況においては、古典的な基準に基づく細胞の形式や起源の同定が曖昧である。これらの状況では、肝臓の試料を得た領域、および正常な遺伝子発現のレベルが変化しているか否か(代謝障害の兆候)の同定に、本発明の分子発現マーカーが有用である。
加えて、本発明の分子発現マーカーを用いて、含まれる遺伝子の発現パターンを追跡することにより、肝臓の新たな領域への肝臓癌の進行を監視することができる。分子発現マーカーの発現パターンを追跡することにより、ある薬物療法(drug regimens)の有効性を監視することもできる。
上記の通り、下記表1に提供される遺伝子および遺伝子発現情報を、疾患進行(例えば肝臓癌の発症)の直接的監視のためのマーカーとしても使用しうる。患者から得た肝臓組織試料またはその他の試料を、当業者には既知の何らかの方法によってアッセイし、その試料における表1の遺伝子の発現レベルを、非癌性肝臓組織、肝臓癌からの組織またはその両者に見られる発現レベルと比較しうる。発現データ(使用可能な配列その他の情報も)の比較は、研究者または診断医が行ってもよく、本明細書に記載のように、コンピュータおよびデータベースの支援により行ってもよい。
・薬物スクリーニングのための、肝臓癌マーカーの用途
本発明によれば、可能性ある薬物のスクリーニングを行い、その薬物の適用により、本明細書で同定されている遺伝子のうち1種以上の発現が変化するか否かを決定することができる。これは例えば、特定の薬物が、特定の肝臓疾患患者の治療に有効であるか否かを決定する際に有用である。可能性ある薬物によって遺伝子の発現が影響を受け、その発現レベルが正常に戻った場合、その薬物は肝臓癌の治療に必要である(indicated)。同様に、健康な肝細胞による正常でない遺伝子発現を引き起こす薬物は、肝臓癌の治療において禁忌(contra−indicated)である。
本発明によれば、下記表1に同定される遺伝子を、細胞、特に、悪性の変異を起こしている細胞(例えば、肝臓癌細胞または組織の試料)に対する候補薬物(candidate drug or agent)の効果を評価するためのマーカーとしても利用することができる。所定のマーカー(薬物の標的)の転写または発現を促進する、またはマーカーの転写または発現を下方調整(down−regulate)または阻害する能力に関して、候補薬物のスクリーニングを行うことができる。本発明によれば、薬物によって影響を受けたマーカーの数を見て、それを別の薬物によって影響を受けたマーカーの数と比較することにより、薬物の効果の特異性を比較することもできる。薬物がより特異的であれば、影響を受ける転写標的はより少なくなる。2種の薬物に対して同定されるマーカーの組が類似していることは、効果の類似性を示している。
下記表1に定義されるマーカーの発現を監視するためのアッセイは、本発明の核酸の発現レベル変化の監視のための、あらゆる利用可能な手段を利用しうる。薬物が、細胞内における本発明の核酸の発現を上方または下方調整しうる場合、その薬物を、本明細書において用いられるように、「本発明の核酸の発現を調節する」という。
上記の方法によりアッセイされる薬物は、無作為に選択してもよく、理性的に(rationally)選択または設計してもよい。本発明のタンパク質(それのみ、またはそれに関連する基質、結合相手(binding partners)等と共に)に関連して含まれる特定の配列を考慮することなく、無作為に薬物を選択する場合、本明細書において用いられるように、その薬物を「無作為に選択する」という。無作為に選択された薬物の例は、化学物質ライブラリー(chemical library)、ペプチドコンビナトリアルライブラリー(peptide combinatorial library)または生物の増殖ブロス(growth broth)の使用である。
薬物を無作為でなく、標的部位の配列および/または薬物の作用に関連するそのコンホメーションを考慮して選択する場合、本明細書において用いられるように、その薬物を「理性的に選択または設計する」という。これらの部位を構成するペプチド配列を利用して、薬物を選択または設計することができる。例えば、理性的に選択されたペプチド薬物は、何らかの機能的コンセンサス部位と同じアミノ酸配列のペプチドか、その誘導体であってよい。
本発明の薬物は、例えばペプチド、低分子化学物質(small chemical molecules)、ビタミン誘導体、炭水化物、脂質、オリゴヌクレオチドおよびそれらの共有結合および非共有結合による複合体であってよい。優性ネガティブタンパク質(Dominant negative proteins)、これらのタンパク質をコードするDNA、これらのタンパク質に対する抗体、これらのタンパク質のペプチド断片またはこれらのタンパク質の模倣物(mimics)を細胞に導入し、機能に影響を与えてもよい。本明細書で用いられる「模倣物」とは、ペプチド分子の領域(1箇所または数箇所)を修飾し、化学的に親ペプチドとは異なるが、局所解剖学的(topographically)および機能的には親ペプチドと類似した構造を提供することをいう(非特許文献26を参照)。当業者は、本発明の薬物の構造的特性に関して制限がないことを容易に認識することができる。
・治療薬としての肝臓癌マーカーの用途
下記表1の核酸分子の発現、または表1の核酸分子がコードする少なくとも1種のタンパク質の活性を上方または下方に調整或いは調節する薬物、例えばアゴニストまたはアンタゴニストを用いて、これらの核酸分子がコードするタンパク質の機能および活性に関連する生物学的および病理学的プロセスを調節してもよい。薬物は、表1の核酸分子自体、それがコードするタンパク質またはそれらの分子の一部(例えば、これらの核酸分子のオープンリーディングフレーム(open reading frames)の全体または一部)でありうる。
表1の遺伝子のうち1種以上(肝臓癌において発現レベルが上昇しているもの)の発現を下方調整するのに、下記表1の核酸配列由来のアンチセンスオリゴヌクレオチド分子もまた用いることができ、アンチセンス遺伝子療法の使用はその例である。表1の遺伝子のうち1種以上の発現の下方調整は、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することにより達成される。これらのアンチセンス分子は、これらの遺伝子のDNA配列、または種々の変異、欠失、挿入またはスプライスされた変異体を含む配列から作ることができる。遺伝子療法においては、これらの遺伝子に由来する単離されたRNAまたはDNA配列も治療に用いることができる。これらの薬物を用いて、表1の遺伝子がコードするタンパク質のうち1種以上の発現の不在または著しい減少に関連する、肝臓癌における遺伝子発現を誘起することができる。
本明細書において用いられるように、本発明の遺伝子によって仲介される病理学的または生物学的プロセスを調節することを必要とする限り、対象はあらゆる哺乳類でありうる。用語「哺乳類」は、哺乳綱に属する個体と定義される。本発明は、特にヒトを対象とした治療において有用である。
病理学的プロセスとは、有害な効果をもたらす範疇の生物学的プロセスをいう。例えば、本発明の遺伝子の発現は、肝臓における過形成、特に悪性の過形成に関連している可能性がある。薬物がプロセスの程度または深刻度(severity)を減少する場合、その薬物を、本明細書において用いられるように「病理学的プロセスを調節する」という。例えば、本発明の遺伝子の発現または少なくとも1つの活性を、何らかの方法で上方または下方に調整或いは調節する薬物の投与によって、肝臓癌を阻害しうるか、疾患の進行を調節しうる。
本発明の薬物は、単独で提供することもでき、特定の病理学的プロセスを調節する他の薬物と組み合わせて提供することもできる。例えば、本発明の薬物を、他の既知薬物と組み合わせて投与することができる。2種の薬物を同時に投与する場合、またはそれらが同時に機能するような様式で独立に投与する場合、本明細書において用いられるように「2種の薬物を組み合わせて投与する」という。
本発明の薬物は、非経口(parenteral)、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮またはバッカル経路で投与しうる。或いは、または同時に、経口経路でも投与しうる。投与量は、被投与者の年齢、健康状態および体重、並行している処置の種類(あれば)、処置の頻度並びに所望の効果の性質による。
本発明は更に、本発明のタンパク質の発現または少なくとも1種の活性を調節する薬物を1種以上含有する組成物を提供する。個々に必要とされるものは変動するが、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当該技術の範囲内である。典型的な投与量は、体重1kgあたり0.1〜100μgである。好ましい投与量は、体重1kgあたり0.1〜10μgからなる。最も好ましい投与量は、体重1kgあたり0.1〜1μgからなる。
本発明の組成物は、薬理学的に活性な薬物に加え、活性化合物を加工して作用部位への送達のために薬学的に用いうる製剤とすることを容易にする賦形剤または補助剤からなる、薬学的に許容される適切な担体を含んでいてもよい。非経口投与用の適切な処方は、水溶性の形態(例えば水溶性の塩)にある活性化合物の水溶液を含む。加えて、適切な注射用油性懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与してもよい。適切な親油性溶媒または媒体には、脂肪油(例えばゴマ油)、合成脂肪酸エステル(例えばオレイン酸エチル)またはトリグリセリドが含まれる。注射用水性懸濁液は、懸濁液の粘度を増加する物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含んでいてもよい。懸濁液は任意に、安定剤も含んでいてよい。細胞への送達のために、リポソームを用いて薬物をカプセル化(encapsulate)してもよい。
本発明によれば、全身投与用の医薬処方物は、腸内、非経口または局所用に処方しうる。実際、これら3種の処方を全て同時に用い、活性成分の全身投与を達成してもよい。
経口投与用の適切な処方には、硬または軟ゼラチンカプセル、丸薬、錠剤(コーティング錠を含む)、エリキシル剤、懸濁液、シロップまたは吸入剤(これらの徐放型(controlled release forms)も)が含まれる。
本発明の方法を実施するに際し、本発明の化合物を単独で用いてもよく、複数種組み合わせて用いてもよく、他の治療薬または診断薬と組み合わせて用いてもよい。ある好ましい実施形態においては、本発明の化合物を、これらの状態に対して、一般に許容されている医療の実践に従い典型的に規定されている他の化合物と同時に投与してもよい。本発明の化合物は、通常は哺乳類(例えばヒト、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタなど)に対し、in vivoまたはin vitroで用いることができる。
・アッセイの様式
肝臓疾患において発現に差があると同定された遺伝子は、所定の試料における単一または複数の遺伝子を検出したり、その発現レベルを定量したりするための、種々の核酸検出アッセイに利用しうる。例えば、伝統的なノーザンブロッティング、ヌクレアーゼ保護、RT−PCRおよび示差的表示法を、遺伝子発現レベルの検出に使用しうる。少数の遺伝子(例えば5〜50遺伝子)をアッセイする方法では、高処理量のPCRを使用しうる。
本明細書で同定された遺伝子のタンパク質産物をアッセイして、発現量を測定することもできる。タンパク質用のアッセイ方法には、ウェスタンブロット、免疫沈降法およびラジオイムノアッセイが含まれる。ある方法においては、発現の指標としてのmRNAをアッセイすることが好ましい。mRNA用のアッセイ方法には、ノーザンブロット、スロットブロット、ドットブロットおよびオリゴヌクレオチドの整列アレイへのハイブリダイゼーションが含まれる。特定のタンパク質、mRNAまたはDNA産物を特異的且つ定量的に測定するあらゆる方法を使用しうる。しかし、本発明の方法およびアッセイは、多数の遺伝子の発現を検出するためのアレイ(チップ)ハイブリダイゼーションに基づく方法に対して最も有効であるよう設計されている。
ハイブリダイゼーションアッセイのあらゆる様式(溶液ベースおよび固相担体ベースのアッセイ様式を含む)を使用しうる。好ましい固相担体は、DNAチップまたは遺伝子チップとしても知られる高密度アレイである。DNAチップの1つの変形は、それを完全に貫通する顕微鏡的な別々のチャンネルを何十万種も含むものである。これらのチャンネルの内部表面にはプローブ分子が結合しており、試験すべき試料からの分子はチャンネルを通り、プローブと非常に接近しハイブリダイズする。1つのアッセイ様式において、表1の遺伝子のうち少なくとも2種の遺伝子を含む遺伝子チップを用い、本明細書に記載のように処理または曝露された細胞における遺伝子発現の変化を直接的に監視または検出してもよい。
本発明の遺伝子は、都合のよいあらゆる形態の試料でアッセイしうる。例えば、試料はmRNAまたは逆転写されたmRNAの形態でアッセイしうる。試料はクローン化されていてもいなくてもよく、また試料または個々の遺伝子は増幅されていてもいなくてもよい。クローニング自体は見かけ上、母集団における遺伝子の表現(representation)を偏らせるものではない。しかし、ポリA+RNAを起源として用いることが、より少ない処理工程で使用できるので好ましい場合がある。ある実施形態においては、遺伝子により発現されたタンパク質またはペプチドをアッセイすることが好ましい場合がある。
表1の発現マーカー遺伝子の配列は、公共データベースより入手可能である。表1は、登録番号、配列識別番号および各配列の名称を提供する。GenBank(非特許文献27を参照)における遺伝子の配列が、その全体にわたって引用により明確に本明細書に組み入れられる。
更なるアッセイ様式を用いて、薬剤の、表1に同定されている遺伝子の発現を調節する能力を監視しうる。例えば、上記したように、本発明の核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションにより、mRNAの発現を直接的に監視しうる。適切な条件下、細胞株を試験すべき薬物に適切な時間だけ曝露し、標準的な手順(例えば、非特許文献28に開示されているもの)により、全RNAまたはmRNAを単離する。ある実施形態においては、単離された1種以上のRNAを、遺伝子チップへの適用前に増幅することが好ましい。当該技術においてよく知られた手法を用いて、RNAを逆転写し、DNAの形で増幅してもよく、逆転写してDNAとし、これを転写の鋳型に用いて組み替えRNAを生成してもよい。結果として、遺伝子チップに有効にハイブリダイズする核酸を十分な量製造することに至る、あらゆる方法を使用しうる。
他の様式においては、表1の遺伝子のオープンリーディングフレームおよび/3‘または5‘制御領域と、何らかのアッセイ可能な融合相手(fusion partner)の間でのレポーター遺伝子融合体(reporter gene fusions)を含む細胞株を調製してもよい。アッセイ可能な融合相手は数多く知られており、容易に入手可能である。これには、ホタルルシフェラーゼ遺伝子およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子(非特許文献29)が含まれる。次いで、レポーター遺伝子融合体を含む細胞株を、適切な条件下、試験すべき薬物に適切な時間だけ曝露する。薬物に曝露した試料とコントロール試料の間で、レポーター遺伝子の発現に差があることで、核酸の発現を調節する薬物が同定される。
他のアッセイ様式においては、本発明の遺伝子産物を1種以上生理的に発現する細胞または細胞株をまず同定する。そのように同定された細胞または細胞株は、好ましくは、細胞の転写または翻訳器官が、正常または癌性肝臓組織の外因性の薬物に対する反応を正確に模倣することを確実にするための、必要な細胞性装置(cellular machinery)を含む。そのような装置には、恐らくは、適切な表面形質導入機構(surface transduction mechanisms)および/または細胞質性因子(cytosolic factors)が含まれる。そのような細胞株は、(その必要があるわけではないが)肝臓組織に由来するものであってよい。次いで、同定された細胞または細胞株を薬物と接触させ、その後関心ある1種以上の遺伝子の発現をアッセイしうる。遺伝子のアッセイは、mRNAのレベルでも、タンパク質レベルでも行いうる。
ある実施形態においては、1種以上の抗原性断片をコードする1種以上の核酸配列と融合した、表1に同定されている関心ある遺伝子の動作可能な(operable)プロモーターを含有する5’−末端からなる発現構成体(expression construct)を含む発現媒体(例えば、プラスミドまたはウィルスベクター)を用いて、そのような細胞または細胞株に形質導入またはトランスフェクションを行ってよい。この構成体は、関心ある遺伝子のコーディング配列の全体または一部(抗原性断片をコードする配列の5’側と3’側のいずれに位置していてもよい)を含んでいてよい。関心ある遺伝子のコーディング配列は、遺伝子融合体の転写後に翻訳してもしなくてもよい。少なくとも1種の抗原性断片を翻訳しうる。抗原性断片は、関心ある遺伝子のプロモーターによる転写制御下におかれ、また関心ある遺伝子の発現パターンと本質的に類似の様式で発現されるように選択される。抗原性断片は、その分子量が、天然に生じるポリペプチドと区別されうるポリペプチドとして発現されうる。
ある実施形態において、本発明の遺伝子産物は、免疫学的に区別されるタグ(tag)を更に含んでいてもよい。そのようなプロセスは、当該技術においてよく知られている(上記非特許文献28を参照)。先に概説した、形質導入またはトランスフェクションした細胞または細胞株を、その後適切な条件下で薬物と接触させる(例えば、薬物は薬学的に許容される賦形剤を含み、水性生理的緩衝液(例えば、生理的pHのリン酸緩衝食塩水(PBS)、生理的pHのEagles緩衝塩類溶液(BSS)、血清を含むPBSまたはBSS、或いはPBSまたはBSSおよび血清を含み、37℃でインキュベートされる調節された媒体)に含まれる細胞と接触する)。前記条件は、当業者が必要と考えるように調節しうる。細胞を薬物と接触させるのに続き、前記細胞を破砕して(disrupted)、細胞破砕物のポリペプチドを分画し、ポリペプチド画分をプールして抗体と接触させ、更に免疫学的アッセイ(ELISA、免疫沈降法またはウェスタンブロット)で処理されるようにする。「薬物と接触した」試料から単離されたタンパク質のプールを、賦形剤だけを細胞と接触させたコントロールの試料と比較し、「薬物と接触した」試料から免疫学的に生成される信号が、コントロールに比べ増加または減少していることを利用して、薬物の有効性を識別する。
本発明の他の実施形態は、表1の遺伝子がコードするタンパク質のレベル、濃度または少なくとも1種の活性を調節する薬物の同定方法を提供する。そのような方法またはアッセイは、所望の活性を監視または検出するためのあらゆる手段を利用するものでありうる。
1様式において、試験すべき薬物に曝露された1つの細胞母集団において産生された、本発明のタンパク質の相対量を、曝露されていないコントロール細胞母集団における産生量と比較しうる。この様式においては、プローブ(例えば特異的抗体)を用いて、異なる細胞母集団における、タンパク質発現の差を監視する。細胞株または細胞母集団を、適切な条件下で、試験すべき薬物に適切な時間だけ曝露する。曝露した細胞株または細胞母集団と、コントロールの曝露されていない細胞株または細胞母集団から、細胞破砕物を調製しうる。次いで、プローブ(例えば特異的抗体)を用いて細胞破砕物を分析する。
・プローブの設計
本明細書に記載の遺伝子の配列に基づくプローブを、通常使用可能なあらゆる方法により調製しうる。組織または細胞アッセイ用のオリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、適切な相補的遺伝子または転写物に対し特異的にハイブリダイズするのに十分な長さを有する。典型的には、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも10、12、14、16、18、20または25ヌクレオチドの長さを有する。ある場合には、少なくとも30、40または50ヌクレオチドのより長いプローブが好ましい。
当業者は、本発明の実施に際し、適切なアレイ設計は膨大な数に上ることを理解する。高密度アレイは、典型的には、関心ある遺伝子と特異的にハイブリダイズする多数のプローブを含む。所定の遺伝子のためのプローブを製造する方法については、特許文献1を参照されたい。加えて、好ましい実施形態において、アレイは1種以上のコントロールプローブを含む。
本発明の高密度アレイチップは、「テストプローブ」を含む。テストプローブは、長さが約5〜約500ヌクレオチドまたは約5〜約50ヌクレオチド、より好ましくは約10〜約40ヌクレオチド、最も好ましくは約15〜約40ヌクレオチドの範囲のオリゴヌクレオチドである。他の特定の好ましい実施形態において、プローブは約20または25ヌクレオチドの長さである。他の好ましい実施形態において、テストプローブは二重鎖または一本鎖のDNA配列である。DNA配列は、天然の起源から単離またはクローン化してもよく、天然の核酸を鋳型に用いて、天然の起源から増幅してもよい。これらのプローブは、特定の遺伝子(その発現を検出すべくプローブが設計されている)の配列に相補的な配列を有する。従ってテストプローブは、それが検出すべき標的核酸に対して特異的にハイブリダイズすることができる。
高密度アレイチップは、関心ある標的核酸に結合するテストプローブに加え、多数のコントロールプローブを含みうる。コントロールプローブは、本明細書に言う以下の3カテゴリーに含まれる。
(1)平均化コントロール
(2)発現レベルコントロール
(3)ミスマッチコントロール
平均化コントロールは、核酸試料に添加された、ラベルした参照(reference)のオリゴヌクレオチドその他の核酸の配列に対して相補的な、オリゴヌクレオチドその他の核酸のプローブである。ハイブリダイゼーション後の平均化コントロールから得られるシグナルは、ハイブリダイゼーション条件、ラベル強度、「読み取り(reading)」効率その他、完全ハイブリダイゼーションシグナルのアレイ間での変動を引き起こす恐れのある因子の変動に対するコントロールをもたらすものである。好ましい実施形態においては、コントロールプローブからのシグナル(例えば蛍光強度)で、アレイ中の他の全てのプローブから読み取られるシグナル(例えば蛍光強度)を割って、測定値を平均化する。
実質的には、あらゆるプローブが平均化コントロールとして役立ちうる。しかし、ハイブリダイゼーション効率は塩基組成やプローブ長により変動すると認識されている。好ましい平均化プローブは、アレイ中に存在する他のプローブの平均の長さを反映するように選択されるが、ある範囲の長さをカバーするように選択されることもある。平均化コントロールは、アレイの他のプローブの(平均)塩基組成を反映するようにも選択されうるが、好ましい実施形態においては、ただ1つまたは少数のプローブだけを用い、よくハイブリダイゼーションを起こす(即ち、二次構造がない)が、標的に特異的なプローブとはいずれとも適合しないように、それらを選択する。
発現レベルコントロールは、生物学的試料中で構成的に(constitutively)発現される遺伝子と特異的にハイブリダイズするプローブである。実質的には、構成的に発現されるあらゆる遺伝子が、発現レベルコントロールの適切な標的を提供する。典型的な発現レベルコントロールプローブは、構成的に発現される「ハウスキーピング遺伝子」(これにはβ−アクチン遺伝子、トランスフェリン受容体遺伝子、GAPDH遺伝子等が含まれるが、これらに限定されない)のサブ配列に対して相補的な配列を有する。
標的遺伝子用のプローブ、発現レベルコントロールまたは平均化コントロール用に、ミスマッチコントロールを提供することもできる。ミスマッチコントロールは、ミスマッチ塩基が1つ以上存在する以外は、対応する試験またはコントロールプローブと同じであるオリゴヌクレオチドプローブまたはその他の核酸のプローブである。ミスマッチ塩基は、さもなければプローブが特異的にハイブリダイズする標的配列中の対応する塩基と相補的でないように選択された塩基である。1つ以上のミスマッチが、適切なハイブリダイゼーション条件下(例えば厳密な条件下)において、試験またはコントロールプローブは標的配列とハイブリダイズすると期待されるが、ミスマッチプローブはハイブリダイズしない(または、有意により低い程度にハイブリダイズする)ように選択される。好ましいミスマッチプローブは、中央部のミスマッチを含む。従って、例えばプローブが20merの場合、対応するミスマッチプローブは、6番目から14番目までのいずれかに、1塩基ミスマッチ(例えば、AをG、CまたはTで置換)がある以外、同一の配列を有しうる。
従ってミスマッチプローブは、試料中の、プローブの対象となる(directed)標的以外の核酸に対する非特異的結合や交差ハイブリダイゼーションに対するコントロールを提供する。ミスマッチプローブはまた、ハイブリダイゼーションが特異的なものであるか否かを示す。例えば、標的が存在していれば、矛盾なく、パーフェクトマッチプローブはミスマッチプローブよりも強く発光する(brighter)はずである。加えて、ミスマッチが全て中央部にある場合、ミスマッチプローブを変異の検出に用いることができる。パーフェクトマッチプローブとミスマッチプローブの間の強度差(I(PM)−I(MM))は、ハイブリダイズした物質の濃度の良好な基準(measure)を提供する。
・核酸試料
当業者には明らかなことだが、本発明の方法およびアッセイに用いる核酸試料は、利用可能なあらゆる方法・手順で得ることができる。全mRNAを単離する方法もまた、当業者にはよく知られている。核酸を単離・精製する方法は、例えば非特許文献30に詳細に記載されている。そのような試料にはRNA試料が含まれるが、関心ある細胞または組織から単離されたmRNA試料から合成されたcDNAも含まれる。そのような試料にはまた、cDNAから増幅されたDNAや、増幅されたDNAから転写されたRNAも含まれる。ホモジェネートが使用可能となる前に、ホモジェネート中に存在するRNaseを阻害または破壊することが好ましいことを、当業者は理解している。
生物学的試料は、いかなる生物に由来する生物学的組織、流体または細胞についてのものでもよく、またin vitroで培養される(raised)細胞(細胞株、組織培養細胞など)でもよい。試料が患者に由来する試料である「臨床試料」であることもしばしばある。典型的な臨床試料には、肝臓組織の生検試料、痰(sputum)、血液、血液細胞(例えば白血球)、組織または細針生検(fine needle biopsy)試料、尿、腹腔液(peritoneal fluid)、胸腔液(pleural fluid)およびこれらから得られる細胞が含まれるが、これらに限定されない。生物学的試料には、組織切片(組織学的な目的で採取された凍結切片またはホルマリン固定切片等)も含まれうる。
・固相担体
発現に差のある遺伝子用のオリゴヌクレオチドプローブを含有する固相担体は、当業者には既知のあらゆる固形または半固形担体材料でありうる。適切な例には、膜、フィルター、組織培養皿、ポリ塩化ビニル皿、ビーズ、試験片、シリコンまたはガラス系チップ等が含まれるが、これらに限定されない。適切なガラスウェハーおよびハイブリダイゼーション法(例えば、特許文献2に開示されているもの)を、広範囲に利用可能である。オリゴヌクレオチドが結合(直接、間接共、また共有結合、非共有結合共)しうるあらゆる固相表面を使用しうる。ある実施形態においては、同じ固相担体に対し、オリゴヌクレオチドのあるものを共有結合させ、別のあるものを非共有結合させることが好ましいことがある。
好ましい固相担体は、高密度のアレイまたはDNAチップである。これらは、アレイ上の所定の位置に、特定のオリゴヌクレオチドプローブを含有する。所定の位置には各々、1分子を超えるプローブを含有しうるが、所定位置内の各々の分子は、同一の配列を有する。そのような所定の位置は、「フィーチャー(features)」と呼ばれる。単一の固相担体上には、そのようなフィーチャーが、例えば2、10、100または1000個から10,000、100,000または400,000個存在しうる。固相担体、またはプローブが結合する領域は、平方センチメートルのオーダーでありうる。
発現監視用オリゴヌクレオチドプローブアレイの製造・使用は、当該分野において既知のあらゆる技術により行うことができる(例えば、非特許文献31および非特許文献32を参照)。そのようなプローブアレイは、本明細書に記載の遺伝子のうち2種以上と相補的であるか、ハイブリダイズする2種以上のオリゴヌクレオチドを含みうる。そのようなアレイはまた、本明細書に記載の遺伝子のうち少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、70種またはそれ以上と相補的であるか、ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含みうる。
オリゴヌクレオチドの高密度アレイを、最小の合成工程数で形成する方法が知られている。種々の方法(光指向(light−directed)化学カップリングおよび機械指向(mechanically directed)カップリングが含まれるが、これらに限定されない)によりオリゴヌクレオチド類縁体のアレイを固相基板上に製造することができる(特許文献3、特許文献4および特許文献5を参照)。
簡単に説明すると、ガラス表面におけるオリゴヌクレオチドアレイの光指向コンビナトリアル合成は、自動化されたホスホロアミダイト化学とチップマスキング技術を用いて進められる。特定の一実施形態(implementation)においては、官能基(例えば、光感受性保護基で保護された水酸基またはアミノ基)を有するシラン試薬を用いて、ガラス表面を誘導体化する。写真平板用(photolithogaphic)マスクを介した光分解を用いて、選択的に官能基を露出する。これによって、官能基は新たに入ってくる(incoming)5’光保護ヌクレオシドホスホロアミダイトと容易に反応するようになる。ホスホロアミダイトは、光照射された(illuminated)(従って、光感受性保護基の除去により露出した)それらの部位のみと反応する。従って、ホスホロアミダイトは、前段階からの選択的に露出したそれらの領域にだけ付加する。固相表面に所望の配列のアレイが合成されるまで、これらの工程を繰り返す。アレイ上の異なる位置における、異なるオリゴヌクレオチド類縁体のコンビナトリアル合成は、合成中の光照射パターンと、カップリング試薬の添加順序により決定される。
前記に加え、単一の基板上にオリゴヌクレオチドのアレイを生じるのに使用しうるその他の方法が、特許文献6に記載されている。高密度核酸アレイはまた、あらかじめ製造した、または天然の核酸を、所定の位置に載せることによっても製造しうる。光指向ターゲッティングまたはオリゴヌクレオチド指向ターゲッティングにより、合成または天然核酸を基板上の特定の位置に載せる。他の実施形態では、ある領域から他の領域へと移動し特定の地点に核酸を載せる分配器(dispenser)を用いる。
・ハイブリダイゼーション
核酸のハイブリダイゼーションは単に、プローブとその相補的標的が、相補的塩基対形成を介して安定なハイブリッド二重鎖を形成しうる条件下で、プローブと標的核酸を接触させることを含む(特許文献7を参照)。ハイブリッド二重鎖を形成しない核酸は洗い流されて、ハイブリダイズした検出(典型的には、結合させた検出可能なラベルを介して)すべき核酸が残る。温度を上昇させるか、核酸を含む緩衝溶液の塩濃度を低下させることにより、核酸が変性することは、一般に認識されている。厳密度の低い条件下(例えば、低温および/または高塩濃度)では、アニールする配列が完全に相補的でなくても、ハイブリッド二重鎖(例えば、DNA−DNA、RNA−RNAまたはRNA−DNA)が形成される。従って低厳密度では、ハイブリダイゼーションの特異性が低下する。逆に、高厳密度(例えば、高温および/または低塩濃度)では、成功裡にハイブリダイゼーションが起こりミスマッチはより少ない。当業者は、ハイブリダイゼーション条件を、いかなる厳密度となるようにも選択しうることを理解する。好ましい実施形態においては、ハイブリダイゼーションを確実に起こさせるため低厳密度(この場合、6×SSPE−T、37℃(0.005% トリトン X−100))でハイブリダイゼーションを行い、ミスマッチのハイブリッド二重鎖をなくすため高厳密度(例えば、1×SSPE−T、37℃)で洗浄を行う。所望のレベルのハイブリダイゼーション特異性が得られるまで、厳密度を上げながら(例えば、37〜50℃で、0.25×SSPE−Tにまで)、連続して洗浄を行ってもよい。ホルムアミド等の試薬を添加することによって、厳密度を上げてもよい。テストプローブに対するハイブリダイゼーションと、存在しうる種々のコントロール(例えば、発現レベルコントロール、平均化コントロール、ミスマッチコントロール等)に対するハイブリダイゼーションの比較によって、ハイブリダイゼーション特異性を評価する。
一般に、ハイブリダイゼーション特異性(厳密度)とシグナル強度の間にはトレードオフがある。従って、好ましい実施形態においては、一貫性ある結果が得られ、且つシグナル強度がバックグラウンド強度の約10%を超える最高の厳密度において洗浄を行う。従って、好ましい実施形態においては、ハイブリダイズしたアレイを、連続的に溶液の厳密度を高めて洗浄を行い、各洗浄の間に読み取りを行う。そのようにして生成した一連のデータの解析により、それを超えてもハイブリダイゼーションパターンの認識しうる変化がなく、且つ関心ある特定のオリゴヌクレオチドプローブに関する十分なシグナルがもたらされるような洗浄時の厳密度が明らかになる。
・シグナルの検出
ハイブリダイズした核酸の検出は、典型的には、試料核酸に結合させた1種以上のラベルを検出することにより行う。ラベルの組み込みは、当業者にはよく知られている多くの方法のうちいずれを用いて行ってもよい(特許文献7を参照)。
・データベース
本発明は、配列情報(例えば、表1の遺伝子のうち1種以上についての)を、種々の肝臓組織試料における遺伝子発現情報と共に含むリレーショナルデータベースを含む。データベースにはまた、所定の配列または組織試料に関連する情報(例えば、配列情報に関連する遺伝子についての記述的情報、組織試料の臨床状態についての記述的情報、試料が由来している患者についての情報など)も含まれていてもよい。データベースは、異なる部分(例えば、配列データベースと遺伝子発現データベース)を含むように設計されていてもよい。本発明のデータベースは、コンピュータ読み取りの可能なあらゆる利用可能な媒体に記録しうる。そのようなデータベースの構成・構築のための方法は、広範囲に利用可能である。例えば、特許文献8を参照されたい(この文献は、引用により全体にわたって明確に本明細書に組み入れられる)。
本発明のデータベースは、外部データベースとリンクされていてもよい。好ましい実施態様においては、表1に記載されているように、外部データベースは、国立生命工学情報センター(NCBI)(非特許文献33)が管理するGenBankおよび関連データベースである。本発明において使用しうる他の外部データベースには、Chemical Abstracts Service(非特許文献34)やIncyte Genomics(非特許文献35)が提供するものが含まれる。
配列情報、遺伝子発現情報およびその他の情報(データベース内のものまたは入力により提供されるもの)間の必要な比較を行うために、あらゆる適切なコンピュータプラットフォームを使用しうる。例えば、種々の製造元(例えばSilicon Graphics社)から多くの種類のコンピュータワークステーションが入手可能である。クライアント−サーバー環境、データベースサーバーおよびネットワークもまた幅広く入手可能であり、且つ本発明のデータベースに適したプラットフォームである。
所定の遺伝子が発現されている細胞の形式または組織を使用者が決定できるようにするために、また特定の組織または細胞における所定の遺伝子の存在度(abundance)または発現レベルを決定できるようにするために、本発明のデータベースを使用して、(他のものもあるが)電子ノーザンブロット(E−ノーザン)を製造しうる。肝臓、腎臓、心臓などの組織において、過剰発現されない、組織特異的な治療標的の候補を発見するためのツールとして、E−ノーザン解析を用いることができる。一旦薬物が開発されてしまうと、これらの形式の組織はしばしば有害な副作用に至る。標的発見・確証プロセスの初期段階における、これらの標的を排除するための第一通過スクリーン(first−pass screen)は有益である。
本発明のデータベースはまた、表1の遺伝子のうち1種以上からなる一連の遺伝子の、組織または細胞における発現レベルを同定する情報を提示する(表1の遺伝子のうち1種以上の、組織における発現レベルを、データベース中の遺伝子の発現レベルと比較する工程を含む)ためにも使用しうる。そのような方法は、表1の遺伝子のうち1種以上の、試料から得た発現レベルを、正常肝臓組織、肝臓癌からの組織またはその両者に見られる遺伝子の発現レベルと比較することにより、所定の組織の生理的な状態を推測するのにも使用しうる。そのような方法はまた、本明細書に記載の薬物スクリーニングアッセイにも使用しうる。
これ以上の記載はなくとも、当業者は、これまでの記載および以降の具体例を用いて、本発明の化合物を製造・利用し、クレームされた方法を実施できると考えられる。従って、上記の実用的な例は例証のみのものであり、いかなる面においても本発明の範囲を限定するものと解釈すべきものではない。
実施例1(肝臓疾患プロファイルの作成)
組織試料の取得および調製
患者の組織試料は、進行した胃癌(AGC)と診断された韓国人患者10名(年齢34〜65歳)に由来する。この患者たちを2群(各5名)に分類した。各群は、男性4名、女性1名から得た試料を含むものであった。1つの群は、慢性ウィルス性B型肝炎と診断され、後に肝臓癌を発症した患者からなるものであった。第2の群の患者は、肝硬変と診断された。この人たちも後に肝臓癌を発症した。各患者に関し肝臓の2つの領域から組織を得て、1組の生検試料を作成した。第1の患者群(癌/肝炎)においては、肝臓癌と、その周囲の炎症組織(肝炎による炎症)からなる非癌性領域から試料を取った。第2の群(癌/肝硬変)においては、癌と、その周囲の繊維症組織からなる非癌性領域(肝硬変による繊維症の領域)から肝臓試料を取った。
各組織試料の組織学的分析を行い、試料を非癌性または癌性のカテゴリーに分離した。
試料調製プロトコールは、Affymetrix社のGeneChip発現解析マニュアル(Expression Analysis Manual)を若干変更したものに従った。まず、Spex Certiprep 6800型フリーザーミルを用い、凍結試料を砕いて粉末とした。次いで、Trizol(Life Technologies社製)を用いて全RNAを抽出した。各試料(平均組織重量:300mg)における全RNAの収量は、200〜500μgであった。次に、Oligotex mRNA Midiキット(Qiagen社製)を用いてmRNAを単離した。mRNAの溶出における最終容量は400μlであったため、濃度を1μg/μlとするにはエタノール沈殿が必要であった。mRNA1〜5μgを用いて、SuperScript Choice system(Gibco−BRL社製)により二重鎖cDNAを調製した。第1鎖cDNA合成のプライマーとしてT7−(dT24)オリゴヌクレオチドを用いた。次いで、cDNAをフェノール−クロロホルム抽出およびエタノール沈殿に付し、最終濃度を1μg/μlとした。
2μgのcDNAから、標準的な手順に従いcRNAを合成した。cRNAをビオチン標識するため、反応液にヌクレオチドBio−11−CTPおよびBio−16−UTP(Enzo Diagnostics社製)を添加した。37℃で6時間インキュベートした後、Rneasy Mini kitプロトコール(Qiagen社製)に従い標識したcRNAをクリーンアップした。次いで、94℃で35分間cRNAを断片化(5×断片化緩衝液:200mM トリス−酢酸(pH 8.1)、500mM KOAc,150mM MgOAc)した。
55μgの断片化cRNAを、ヒトおよびアレイにおけるヒトゲノムU95セットに対し、45℃のハイブリダイゼーションオーブン中、60rpmで24時間ハイブリダイズさせた。チップを洗浄し、Affymetrix fluidics station中でストレプトアビジン−フィコエリトリン(SAPE)(分子プローブ)を用いて染色した。染色を増幅するため、SAPE溶液を2度添加し、その合間に、ビオチン化抗ストレプトアビジン抗体(Vector Laboratories社製)による染色工程を加えた。プローブアレイへのハイブリダイゼーションは、蛍光走査(Hewlett Packard社製遺伝子アレイスキャナー)により検出した。ハイブリダイゼーションおよび走査に次いで、品質管理のために、主要なチップの欠陥やハイブリダイゼーション信号の異常を探してマイクロアレイ画像を解析した。全てのチップが品質管理を通過した後、Affymetrix GeneChip software(v3.0)およびExperimental Data Mining Tool (EDMT) software(v1.0)を用いてデータを解析した。
・遺伝子発現の解析
全ての試料を上記のように調製し、AffymetrixヒトゲノムU95アレイに対してハイブリダイズさせた。各チップには、遺伝子またはcDNAクローン1つあたり、16〜20種のオリゴヌクレオチドプローブ対が含まれている。これらのプローブ対には、パーフェクトマッチの組とミスマッチの組が含まれている(平均の差を計算するため両方が必要)。平均の差は、各プローブ対についての強度差の尺度であり、パーフェクトマッチの強度からミスマッチの強度を差し引いて算出される。これは、プローブ対間のハイブリダイゼーションにおける可変性や、蛍光強度に影響する恐れのある他の擬似ハイブリダイゼーション(hybridization artifacts)を考慮したものである。計算した平均の差の数値を用いて、各遺伝子の絶対的判定(absolute call)を作成する。
存在、不在または境界的(marginal)という絶対的判定を用いて、絶対的判定に従い所定の組の試料に共通して存在する、または共通して不在の遺伝子を特定するのに用いるツールである遺伝子シグネチャー(Gene Signature)を生成させる。
遺伝子シグネチャー曲線(Gene Signature Curve)は、特定の組の試料に共通して発現される遺伝子を考慮し、試料間で発現が一定しない遺伝子を差し引いて、所定の一連の試料に一貫して存在する遺伝子の数を、試料の増加に応じて図示したものである。この曲線はまた、正確な遺伝子シグネチャーを生成させるのに必要な試料の数を示すものでもある。試料数が増加するにつれて、試料の組に共通する遺伝子の数は減少する。遺伝子シグネチャーに試料を一度に加算(存在する遺伝子数の最も少ない試料から始めて、昇順で試料を加算)することにより測定される、問題とする試料の正の遺伝子シグネチャーを用いて曲線を生成させる。この曲線は、一貫性を最大化し、試料間の発現の変動を最小化するのに必要な試料の大きさを示す。曲線が頭打ちになる(level off)始点が、遺伝子シグネチャーに必要な試料の最小数を示す。一組をなす試料の数をグラフのX軸とし、正の遺伝子シグネチャーにおける遺伝子数をグラフのY軸とする。一般的な規則として、2組の試料間における、正の遺伝子数の許容しうる可変性の比率は5%未満とすべきである。
この研究の目的については、データ解析に以下の統計的手法を用いた。遺伝子の組は、少なくとも1組の試料において、「存在」の細胞にある比率で含まれる遺伝子からなる。これらの遺伝子について解析を行い、他は除外した。例えば、40%が「存在」の判定の比率に対する下限を上回っているならば、少なくとも1組の試料、癌性細胞(肝炎および肝硬変のいずれの患者からのものでも)または非癌性細胞(いずれのタイプの患者からのものでも)における、「存在」の判定が40%(5つの試料中2つ)である遺伝子を解析に含める。また、試料全体に対しての発現値により遺伝子を2群に分ける。高発現グループの遺伝子については、解析前に平均の差を対数スケールに変換する。低発現グループの遺伝子については、元の数値を解析に用いる。データ解析には分散分析(ANOVA)法を用いた(非特許文献36)。最終的な解析の前に、アウトライヤー検出のため一点除外(leave−one−out)アプローチを用いた。1試料をANOVA解析から除外し、特定試料の省略が最終結果に有意な効果を有するか否かを見る。もしそうであれば、その試料を最終的な解析から除外する。アウトライヤー検出の後、最終的な解析により、ANOVAでの対比により測定した、p値≦0.001で発現に差のある遺伝子のリストを生成した。
原発肝臓癌(肝細胞癌、HCC)の発症に到った慢性ウィルス性肝炎(CH)または肝硬変(LC)の患者における、同じ肝臓の癌性および非癌性領域から得た生検試料を比較することにより、発現に差のある遺伝子が見出された。癌性と非癌性の試料間で発現レベルの差を示さなかった遺伝子は、表1には含まれていない。表1のグループ1(23遺伝子)には、肝臓癌細胞における発現レベルを、炎症領域または繊維症領域から得た非癌性細胞における発現レベルと比較したとき、発現に差のあることが見出された遺伝子が記載されている。グループ2(12遺伝子)には、その肝臓癌細胞における発現レベルが、炎症領域から得た細胞と比較して異なる遺伝子が記載されている。グループ3(74遺伝子)には、その肝臓癌細胞における発現レベルが、肝臓の繊維症領域から得た細胞と比較して異なる遺伝子が含まれている。
・倍数変化の解析
まずデータをフィルターにかけ(filtered)、いずれの試料においても発現が見られない遺伝子を全て除外した。癌性試料の組における各遺伝子についての平均発現数値を、非癌性試料の組におけるその遺伝子についての平均発現数値と比較することにより、比率(癌性/非癌性、HCC/CHまたはHCC/LC)を算出した。ある遺伝子につき、いずれかの方向について倍数(fold)の変化が1.5を超え、分散分析(ANOVA)試験により測定したp値が0.0007未満のとき、その遺伝子を解析に含めた。試験の臨界により、p値が0.0007未満である差は、統計的に有意であると決定された。全体の倍数変化解析において、ヒトゲノムU95セットで調査した約60000種の遺伝子のうち、109遺伝子が「存在」とされた。表1において、2種類の疾患状態にある肝生検試料における、遺伝子発現レベルの比較(または倍数変化)を示す数は、正の場合も負の場合もある。正の値は、非癌性試料に比べ癌性試料において発現レベルが高い(上方調整)ことを示し、負の値は、非癌性試料に比べ癌性試料において発現レベルが低い(下方調整)ことを示す。
・肝臓疾患において発現に差のある遺伝子の発現プロファイル
上記の方法を用いて、肝臓癌において過剰に発現している、または発現が低下している遺伝子の優位なものを同定した。一貫した発現パターンの差を示す遺伝子は、広範囲の診断および治療のための可能性ある標的を提供する。
表1には、非癌性肝臓組織に比べ、癌性肝臓組織において発現に差があると測定された遺伝子が、各遺伝子についての倍数変化値と共に記載されている。より具体的には、肝臓癌細胞における表1の遺伝子の発現レベルを、肝臓の炎症組織および/または繊維症組織から得た組織における発現レベルと比較した。各群におけるこの遺伝子の組は、その相対発現レベルと共に、試験する疾患(即ち、肝臓癌を伴う慢性肝炎および肝臓癌を伴う肝硬変)についてのプロファイルを作り出す。
これらの表1の遺伝子またはそのサブセットは、全体的な肝臓疾患遺伝子発現プロファイルを確証するものである。表1の遺伝子は、単独で使用してもよく、本発明の方法、組成物、データベースおよびコンピュータシステムと組み合わせて使用してもよい。
実施例2(遺伝子クラスター解析に関連する肝臓疾患の診断サブセット)
表1には、2および3の群(各々12遺伝子および74遺伝子)からp値により選択された、遺伝子の診断サブセットを構成するものが記載されている。これらの群の遺伝子は、診断、監視、薬物スクリーニングおよび治療の用途に加え、慢性肝炎の被験者から得た肝臓癌試料と、肝硬変の被験者から得た肝臓癌試料を区別するのに用いることができる。
これらの遺伝子の発現レベルを測定するアッセイは、慢性肝炎の患者に生じた肝臓癌と、肝硬変の患者に生じた肝臓癌を区別することができる。
従って、表1の遺伝子サブセットは、慢性肝炎または肝硬変の患者から得た肝臓組織における悪性腫瘍の存在の同定、癌の進行の監視(例えば、癌治療または複合疾患治療の間の)、癌治療薬の有効性の評価、または癌の起源またはそれをもたらす条件(predisposing condition)の区別に利用することができる。
上記実施例を参照して本発明を詳細に記載したが、本発明の精神から逸脱することなく種々の変更を行うことが可能であると理解される。従って、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。本願において引用されている特許および出版物はいずれも、その全体が引用により本明細書に組み入れられる。
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582
Figure 2005529582

Claims (42)

  1. (a)組織試料における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程
    を含む、患者における肝臓癌の診断方法であって、表1の遺伝子の発現に差があることは、肝臓癌を示すことを特徴とする肝臓癌の診断方法。
  2. (a)組織試料における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程
    を含む、患者における肝臓癌進行の検出方法であって、表1の遺伝子の発現に差があることは、肝臓癌の進行を示すことを特徴とする肝臓癌進行の検出方法。
  3. (a)患者に医薬組成物を投与する工程;
    (b)前記患者から得た細胞または組織から、表1の遺伝子のうち1種以上の遺伝子発現プロファイルを作成する工程;および
    (c)前記患者の遺伝子発現プロファイルを、非癌性肝細胞および癌性肝細胞よりなる群から選択される細胞母集団から得た遺伝子発現プロファイルと比較する工程
    を含む肝臓癌患者の治療の監視方法。
  4. (a)患者に医薬組成物を投与する工程;
    (b)前記患者から得た細胞または組織から、表1の遺伝子のうち1種以上の遺伝子発現プロファイルを作成する工程;および
    (c)前記患者の遺伝子発現プロファイルを、非癌性肝細胞および癌性肝細胞よりなる群から選択される遺伝子発現プロファイルと比較する工程
    を含む肝臓癌患者の治療方法。
  5. (a)組織試料における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程
    を含む、患者における肝臓疾患の分類方法であって、表1の遺伝子の発現に差があることは、肝臓疾患の形式が、肝臓癌を伴う慢性肝炎および肝臓癌を伴う肝硬変よりなる群から選択されることを示すことを特徴とする肝臓疾患の分類方法。
  6. (a)組織試料における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程
    を含む、慢性肝炎患者における肝臓癌の存在または進行の検出方法であって、表1の遺伝子の発現に差があることは、肝臓癌を伴う慢性肝炎を示すことを特徴とする肝臓癌の存在または進行の検出方法。
  7. (a)組織試料における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程
    を含む、肝硬変患者における肝臓癌の存在または進行の検出方法であって、表1の遺伝子の発現に差があることは、肝臓癌を伴う肝硬変を示すことを特徴とする肝臓癌の存在または進行の検出方法。
  8. 前記肝臓癌は、慢性肝炎または肝硬変に伴うものであることを特徴とする請求項1に記載の肝臓癌の診断方法。
  9. (a)組織試料における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを検出する工程
    を含む、患者における慢性肝炎に関連する肝臓癌の、肝硬変に関連する肝臓癌からの区別方法であって、表1の遺伝子の発現に差があることは、慢性肝炎に関連する肝臓癌および肝硬変に関連する肝臓癌のいずれかを示すことを特徴とする区別方法。
  10. 肝臓癌の発病または進行を調節しうる薬物のスクリーニング方法であって、
    (a)癌性肝細胞を含む細胞母集団から、第1の遺伝子発現プロファイルを作成する工程であって、前記発現プロファイルは、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを含む工程;
    (b)前記細胞母集団を薬物に曝露する工程;
    (c)薬物に曝露された細胞母集団から、第2の遺伝子発現プロファイルを作成する工程;および
    (d)前記第1および第2の遺伝子発現プロファイルを比較する工程
    を含むことを特徴とする薬物のスクリーニング方法。
  11. 前記肝臓癌は、肝臓癌を伴う慢性肝炎であることを特徴とする請求項10に記載の薬物のスクリーニング方法。
  12. 前記肝臓癌は、肝臓癌を伴う肝硬変であることを特徴とする請求項10に記載の薬物のスクリーニング方法。
  13. 表1中の遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を各々有する少なくとも2種のオリゴヌクレオチドを含む組成物。
  14. 少なくとも3種のオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
  15. 少なくとも5種のオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
  16. 少なくとも7種のオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
  17. 少なくとも10種のオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
  18. 前記オリゴヌクレオチドは、固相担体に結合していることを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の組成物。
  19. 前記固相担体は、膜、ガラス担体、フィルター、組織培養皿、高分子物質、ビーズおよびシリカ担体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の組成物。
  20. 表1中の遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を各々有する少なくとも2種のオリゴヌクレオチドを含む固相担体。
  21. 前記オリゴヌクレオチドと共有結合していることを特徴とする請求項20に記載の固相担体。
  22. 前記オリゴヌクレオチドと非共有結合していることを特徴とする請求項20に記載の固相担体。
  23. 不連続な領域1cmあたり、少なくとも10種の異なるオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項20に記載の固相担体。
  24. 不連続な領域1cmあたり、少なくとも100種の異なるオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項20に記載の固相担体。
  25. 不連続な領域1cmあたり、少なくとも1000種の異なるオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項20に記載の固相担体。
  26. 不連続な領域1cmあたり、少なくとも10000種の異なるオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項20に記載の固相担体。
  27. (a)表1の遺伝子のうち少なくとも1種からなる1組の遺伝子の、肝臓組織における発現レベルを同定する情報を含むデータベース;および
    (b)前記情報を見るためのユーザインタフェース
    を含むコンピュータシステム。
  28. 前記データベースは、前記遺伝子に関する配列情報を更に含むことを特徴とする請求項27に記載のコンピュータシステム。
  29. 前記データベースは、前記遺伝子の正常肝臓組織における発現レベルを同定する情報を更に含むことを特徴とする請求項27に記載のコンピュータシステム。
  30. 前記データベースは、前記遺伝子の肝臓癌から得た組織における発現レベルを同定する情報を更に含むことを特徴とする請求項27に記載のコンピュータシステム。
  31. 前記肝臓癌は、慢性肝炎患者から得られたものであることを特徴とする請求項30に記載のコンピュータシステム。
  32. 前記肝臓癌は、肝硬変患者から得られたものであることを特徴とする請求項30に記載のコンピュータシステム。
  33. 外部データベースからの、前記遺伝子を前記外部データベースと関係付ける記述的情報を含むレコードを更に含むことを特徴とする請求項27〜32のいずれかに記載のコンピュータシステム。
  34. 前記外部データベースは、GenBankであることを特徴とする請求項33に記載のコンピュータシステム。
  35. 請求項27〜34のいずれかに記載のコンピュータシステムを用いて、組織または細胞における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを同定する情報を提示する方法であって、
    (a)組織または細胞における、表1の遺伝子のうち1種以上の発現レベルを、前記データベースにおける遺伝子の発現レベルと比較する工程
    を含むことを特徴とする情報を提示する方法。
  36. 少なくとも2種の遺伝子の発現レベルを比較することを特徴とする請求項35に記載の情報を提示する方法。
  37. 少なくとも5種の遺伝子の発現レベルを比較することを特徴とする請求項35に記載の情報を提示する方法。
  38. 少なくとも10種の遺伝子の発現レベルを比較することを特徴とする請求項35に記載の情報を提示する方法。
  39. 組織または細胞の試料における1種以上の遺伝子の発現レベルを、肝臓疾患における発現レベルと比較して表示する工程を更に含むことを特徴とする請求項35に記載の情報を提示する方法。
  40. 前記肝臓病は、肝臓癌、慢性肝炎または肝硬変であることを特徴とする請求項39に記載の情報を提示する方法。
  41. 表1の遺伝子、表1の遺伝子の機能的断片、表1の遺伝子がコードするタンパク質および前記タンパク質の機能的断片よりなる群から選択される、肝臓癌の進行を遅らせるか、停止させるための治療薬。
  42. (a)肝臓癌患者に、少なくとも1種の表1の遺伝子の全体または一部、或いはそれがコードするタンパク質を含む医薬組成物を投与する工程
    を含む肝臓癌患者の治療方法。
JP2003561510A 2001-12-21 2002-12-20 肝臓疾患における遺伝子発現プロファイル Pending JP2005529582A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US34181501P 2001-12-21 2001-12-21
US34318501P 2001-12-31 2001-12-31
PCT/US2002/040718 WO2003061564A2 (en) 2001-12-21 2002-12-20 Gene expression profiles in liver disease

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005529582A true JP2005529582A (ja) 2005-10-06

Family

ID=27616686

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003561510A Pending JP2005529582A (ja) 2001-12-21 2002-12-20 肝臓疾患における遺伝子発現プロファイル

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20080050719A1 (ja)
JP (1) JP2005529582A (ja)
KR (1) KR20040101992A (ja)
AU (1) AU2002364078A1 (ja)
WO (1) WO2003061564A2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008000126A (ja) * 2006-05-24 2008-01-10 Kanazawa Univ 遺伝子発現プロファイルによるc型肝硬変及び肝癌の検出
JP2009537154A (ja) * 2006-05-18 2009-10-29 モレキュラー プロファイリング インスティテュート, インコーポレイテッド 疾患状態に対する個別化された医学的介入を決定するためのシステムおよび方法
JP2011521239A (ja) * 2008-05-21 2011-07-21 標揚 林 検体分類の正確性を向上する方法及び試薬キット

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7473528B2 (en) 1999-01-06 2009-01-06 Genenews Inc. Method for the detection of Chagas disease related gene transcripts in blood
WO2006008003A2 (en) * 2004-07-23 2006-01-26 Bayer Healthcare Ag Diagnostics and therapeutics for diseases associated with vasoactive intestinal peptide receptor 1 (vpac1)
CA2586201A1 (en) * 2004-11-03 2006-05-11 Almac Diagnostics Limited Transcriptome microarray technology and methods of using the same
KR100767878B1 (ko) * 2006-11-07 2007-10-17 전북대학교산학협력단 간세포암 진단용 조성물, 이를 포함하는 간세포암 진단키트 및 간세포암 진단방법
KR100964193B1 (ko) * 2009-04-17 2010-06-16 씨비에스바이오사이언스 주식회사 간암 예후 마커
WO2010127417A2 (en) * 2009-05-05 2010-11-11 Katholieke Universiteit Leuven Hepatocellular carcinoma
WO2010138826A1 (en) * 2009-05-29 2010-12-02 University Of Utah Research Foundation Methods and compositions related to cellular assays
US20130295666A1 (en) * 2011-12-22 2013-11-07 Boehringer Ingelheim International Gmbh Crystals of glucokinase regulatory protein (gkrp)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002209591A (ja) * 2001-01-19 2002-07-30 Japan Science & Technology Corp ヒト肝疾患発現遺伝子群

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2002362646A1 (en) * 2001-10-09 2003-04-22 The Johns Hopkins University A phosphatase associated with metastasis

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002209591A (ja) * 2001-01-19 2002-07-30 Japan Science & Technology Corp ヒト肝疾患発現遺伝子群

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009537154A (ja) * 2006-05-18 2009-10-29 モレキュラー プロファイリング インスティテュート, インコーポレイテッド 疾患状態に対する個別化された医学的介入を決定するためのシステムおよび方法
JP2008000126A (ja) * 2006-05-24 2008-01-10 Kanazawa Univ 遺伝子発現プロファイルによるc型肝硬変及び肝癌の検出
JP2011521239A (ja) * 2008-05-21 2011-07-21 標揚 林 検体分類の正確性を向上する方法及び試薬キット
JP2013029519A (ja) * 2008-05-21 2013-02-07 Biaoyang Lin 検体分類の正確性を向上する方法及び試薬キット

Also Published As

Publication number Publication date
US20080050719A1 (en) 2008-02-28
WO2003061564A2 (en) 2003-07-31
AU2002364078A1 (en) 2003-09-02
KR20040101992A (ko) 2004-12-03
WO2003061564A8 (en) 2005-03-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dieckgraefe et al. Analysis of mucosal gene expression in inflammatory bowel disease by parallel oligonucleotide arrays
US20070015148A1 (en) Gene expression profiles in breast tissue
US10322127B2 (en) Methods and kits to predict therapeutic outcome of BTK inhibitors
Schwaenen et al. Microarray‐based genomic profiling reveals novel genomic aberrations in follicular lymphoma which associate with patient survival and gene expression status
JP2009523410A (ja) 遺伝子転写に対するfgfr3の阻害剤の効果
US20040033502A1 (en) Gene expression profiles in esophageal tissue
JP2016047044A (ja) Bcl−2ファミリー阻害剤耐性腫瘍及び癌を有する被験者を同定、分類及びモニターするための方法及び組成物
JP2004000018A (ja) イマチニブに対する感受性の判定方法
KR20080063343A (ko) 비인강 암종에서의 예후 서브클래스의 확인을 위한 유전자발현 프로파일링
EP2691538A1 (en) Markers associated with cyclin-dependent kinase inhibitors
US20140094461A1 (en) Biomarkers for hedgehog inhibitor therapy
JP5774473B2 (ja) イリノテカンの感受性判定方法及びその利用
JP2021536434A (ja) 気管支前悪性病変の重症度および進行に関する方法
BRPI0714158A2 (pt) mÉtodos para inibir a proliferaÇço de cÉlula de tumor de cÉlula b, para tratar um paciente tendo um tumor, para tratar um paciente tendo uma molÉcula de transduÇço de sinalizaÇço taki desregulada, para inibir o crescimento de um tumor sàlido, para selecionar um paciente tendo um tumor que É sustetÍvel a tratamento com um inibidor taki, para inibir a proliferaÇço de uma leucemia de cÉlula t e linfomas de cÉlula-t, e para selecionar um mamÍfero tendo ou mÉtodos para inibir a proliferaÇço de cÉlula de tumor de cÉlula b, para tratar um paciente tendo um tumor, para tratar um paciente tendo uma molÉcula de transduÇço de sinalizaÇço tak1 desregulada, para inibir o crescimento de um tumor sàlido, para selecionar um paciente tendo um tumor que É suscetÍvel a tratamento com um inibidor tak1, para inibir a proliferaÇço de uma leucemia de cÉlula t e linfomas de cÉlula-t, e para selecionar um mamÍfero tendo ou suspeito de ter um tumor para tratamento com um medicamento inibidor tak1
US20090136945A1 (en) Compositions and methods for assessing disorders
CA2504403A1 (en) Prognostic for hematological malignancy
EP1272224A1 (en) Gene expression profiles in esophageal tissue
JP2005529582A (ja) 肝臓疾患における遺伝子発現プロファイル
JP6612232B2 (ja) 対象のマルチキナーゼ阻害剤に対する応答性を予測する遺伝子発現シグネチャ、及びその使用
JP6445984B2 (ja) Wnt阻害剤に関連するマーカー
Tan et al. Single nucleotide polymorphisms of CBX4 and CBX7 decrease the risk of hepatocellular carcinoma
JP2005532077A (ja) 腸型胃腫瘍の診断法
US20050074805A1 (en) Specific markers for diabetes
Li et al. Candidate genes responsible for human hepatocellular carcinoma identified from differentially expressed genes in hepatocarcinogenesis of the tree shrew (Tupaia belangeri chinesis)
JP2005514051A (ja) 胃癌における遺伝子発現プロファイル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051209

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090106

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090330

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090406

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090420

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090629

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100706