JP2005528372A - 抗菌ポリマー複合体 - Google Patents

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Abstract

抗菌薬の抗菌活性の少なくとも一部を保持している、抗菌薬の水溶性ポリマー複合体、該ポリマー複合体を含有する医薬組成物、および該医薬組成物による微生物感染の治療法。

Description

本発明は、抗菌薬の薬物動態学、薬力学、および免疫原性の低下に関して臨床特性を改良するために抗菌薬を水溶性ポリマーと結合(コンジュゲート)させることに関する。より具体的に言えば、本発明は、リソスタフィンなどの抗菌薬をポリエチレングリコール(PEG)などのポリアルキレンオキシドと結合させることに関する。
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)のもとに、2002年3月26日出願の米国仮特許出願第60/368,112号の優先権を主張するものであり、この仮出願の開示内容は本明細書に援用される。
A.リソスタフィン
リソスタフィンは(かつて、スタフィロコッカス・スタフィロリティカス(S.staphylolyticus )として知られていた)スタフィロコッカス・シムランス(Staphylococcus simulans )において最初に同定された強力な抗菌薬である。リソスタフィンは、ブドウ球菌細胞壁中の特定の架橋ポリグリシンブリッジを開裂し得る細菌性エンドペプチダーゼであり、したがって、ブドウ球菌に対して高い致死性を示す。リソスタフィンは単一のポリペプチド鎖として発現され、約27kDaの分子量を有する。
コアグラーゼ陽性ブドウ球菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus )の細胞壁ブリッジがグリシンを多く含んでいるために、リソスタフィンは黄色ブドウ球菌の溶解に特に有効である。また、リソスタフィンは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)溶解能があることも実証されている。
黄色ブドウ球菌は極めて悪性のヒト病原菌である。黄色ブドウ球菌は、局所的皮膚感染から生死にかかわる菌血症や重要臓器感染に及ぶ多様なヒト疾患の要因である。黄色ブドウ球菌は、迅速に制御しないと、たちまち原発感染部位から他の臓器に広がり得る。感染巣は明白でないこともあるが、特に感染しやすい臓器には、心臓弁、腎臓、肺、骨、髄膜および火傷患者の皮膚がある。
ブドウ球菌感染、例えば、黄色ブドウ球菌によって起こるブドウ球菌感染は、特に、病院や、学校、診療所などの環境における罹患率や死亡率の重大な要因である。特にリスクの高い患者には、幼児、高齢者、免疫不全患者、免疫抑制患者や、頻繁に入院を必要とする慢性症状を有する患者が含まれる。
ブドウ球菌感染にかかる恐れが最も高い患者は、外科手術を受ける入院または外来患者、集中治療室(ICU)にいる患者、持続的血液透析を受けている患者、HIV感染を有する患者、AIDS患者、火傷被害者、治療もしくは病気により自然免疫が低下している人、慢性的に体調がすぐれないか衰弱している患者、高齢者、免疫系の未発達な乳児、および血管内装置を有する人である。
例えば、クリモ(Climo )らに付与された特許文献1は、ブドウ球菌病の治療法を開示している。治療には、体重1kg当たり少なくとも50ミリグラム、好ましくは100ミリグラムという比較的高用量のリソスタフィンが用いられる。この比較的高用量のリソスタフィンは単回投与治療または複数回投与治療に用い得る。リソスタフィンの類似体を、単独で、または追加の抗生物質製剤と組み合わせて用い得る。上記特許文献はさらに、リ
ソスタフィン遺伝子のクローニングおよび配列決定により、野生型リソスタフィンの特性と類似または異なる特性を有し得る変異型リソスタフィンの単離が可能であることを開示している。
例えば、オキャラハン(O'Callaghan )に付与された特許文献2は、ブドウ球菌角膜感染の局所治療に有効な抗生物質としてのリソスタフィンの使用法を開示している。ブラックバーン(Blackburn )らに付与された特許文献3は、乳房内注入による乳腺炎の治療を含めたブドウ球菌感染の除去/治療のためのリソスタフィンの使用法を開示している。この方法は乳牛における使用を対象としている。
しかし、リソスタフィンなどの小型タンパク質(約70kDa未満)は、静注後の血中半減期が比較的短い。リソスタフィンが短時間で血液循環から除去されると、その効力は低下し得る。同時に、リソスタフィンは細菌種由来であり、したがって、どの哺乳動物種にとっても異物であるためにリソスタフィンは極めて免疫原性の分子でもあり、よって特に過去にリソスタフィンに暴露されたことがある者では、血流からのクリアランスがさらに促進される。したがって、投与量または投与頻度を増やしてリソスタフィンの短い血中半減期に対処するのは効果的ではあり得ない。投与量または投与頻度を増やすことなくリソスタフィンの血中半減期を伸ばし得る手段が必要とされている。リソスタフィンの血中半減期を伸ばしながら、一方で投与量または投与頻度を減少させることができればより望ましいであろう。
B.ポリマーの結合
生物活性ポリペプチドとPEGなどの水溶性ポリマーとを結合させることは周知である。PEG化は、酵素やホルモンなどの治療ポリペプチドをポリエチレングリコールの1つ以上の鎖に結合させて、薬物動態学、薬力学、および免疫原性に関して改良された臨床特性を得る方法である。
PEG化により、ポリペプチドの特性を元の分子の機能能力に影響を与えることなく変え、それによって、低免疫原性または非免疫原性の生理活性水溶性ポリペプチド組成物を生成することができる。ポリマーは、ポリペプチドのクリアランスおよび酵素分解に対する感受性を低下させてポリペプチドを失活から保護し、またその組成物は、実質的に免疫原性応答なしに哺乳動物の循環系に注入可能である。酵素や他のポリペプチドのPEG化は、例えば、デイビス(Davis )らに付与された特許文献4、および非特許文献1に詳細に記載されており、両文献の全内容は本明細書に援用される。
デイビスらは、PEGで修飾されたポリペプチドが、劇的に低下した免疫原性および抗原性を有することを開示している。PEG複合体(PEGコンジュゲート)は、広範囲な溶解度と低毒性を示し、対応する元の化合物より有意に長く血流中に留まることが明らかにされたが、それにも拘わらず容易に排出される。この複合体は、血流中の他の酵素の活性にも、結合したポリペプチドのコンホメーションにも干渉しないことが分った。
PEG結合は、通常、2つの一般的タイプの結合を用いて達成される。1つのタイプの結合は、ポリペプチドのアミノ基と、活性カーボネート、エステル、アルデヒドまたはトレシラート(tresylate )基を有するPEG分子とを反応させる。別のタイプの結合は、ポリペプチドのチオール基と、活性ビニルスルホン、マレイミド、ハロアシルまたはチオルトピリジル(thiorthopyridyl )基、または他の適切な求電子物質を有するPEG分子とを反応させる。例えば非特許文献2参照。分子間架橋が望ましくないときには、PEGの2つの末端ヒドロキシルの一方をアルコキシ基に変換してブロックする。1つの末端メトキシ基を有するPEG分子はmPEGと称される。
PEG分子は線状であっても分岐していてもよく、PEG複合体は、単一の大きなPE
G部分を単一の結合部位に結合させるか、単一の分岐(但し小さい)PEG部分を単一の結合部位に結合させるか、またはいくつかの小さいPEG部分を複数の結合部位に結合させて形成し得る。複数の結合部位を用いると、結合によって生物活性が失活し得る。PEGホモポリマーに加えて、ポリマー分子を他のアルキレンオキシド部分と共重合させることもできるし、さもなければ、ポリマー分子は別のポリアルキレンオキシドホモポリマーもしくはコポリマーであってよい。
タンパク質の生理活性の大部分を保持しながら免疫原性および抗原性の低下とクリアランス時間の延長とを示す多くの治療用タンパク質のPEG複合体が開発されている。例えば特許文献5は、アレルゲンの免疫原性を低下させるために免疫原性アレルゲン分子にPEGを結合させることを記載している。例えば特許文献6は、ヘモグロビン分子の酸素運搬能力を高めるためにヘモグロビンにPEGを結合させることを開示している。例えば特許文献7は、Fcレセプターへの結合を減少させるために抗体にPEGを結合させることを開示している。例えば特許文献8および非特許文献3は、IL‐2などのリンフォカインにPEGを結合させることを開示している。例えば特許文献9は、コロニー刺激因子‐1(CSF‐1)にPEGを選択的に結合させることを開示している。
インターフェロン‐2(INF‐2)は、生物活性を失うことなく、ウレタン結合を介してリシン分子で結合している2つの20kDaモノメトキシPEG鎖からなる単一の分岐PEG分子のスクシンイミジルエステルに結合された。このPEG複合体は、宿主の免疫に影響を与えてウイルスの免疫クリアランスを高めることによりC型肝炎を治療することを目標としている。INF‐2の投与を週に3〜7回から週1回に減らして、患者のコンプライアンスを簡素化かつ改善することができる。さらに、血清中レベルは最小の濃度変動(peak‐to‐trough variation)状態に維持され、毒性は低下し、効力は増大する。
FDAが認可した臨床用PEG化治療ポリペプチドには、INF‐2、アデノシンデアミナーゼおよびアスパラギナーゼのPEG複合体がある。FDA認可を待っているPEG化治療ポリペプチドには、IL‐2、IL‐6および腫瘍壊死因子のPEG複合体が含まれる。これらのPEG化製品はいずれも、宿主細胞活性またはガン性宿主細胞を標的とするが、微生物は標的としないポリペプチドを含有する。α‐1‐プロテイナーゼ阻害剤、ウリカーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲンアクチベータ、IgG、アルブミン、INF‐、リポプロテインリパーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、カタラーゼおよびアルギナーゼなどのタンパク質のPEG結合が開示されている。これらのタンパク質も微生物を標的としていない。PEG結合は、血中半減期を伸ばし、免疫原性を低下させ、溶解度を増大させ、かつ、通常は効力を増大させ、それによって投与頻度を減少させると報告された。たいていの場合、これらのタンパク質は、体内における(in vivoの)性能を改善するために1分子当たり複数のPEG結合を必要とし、そのような修飾によりin vitro活性は有意に低下した。
例えば、2002年1月18日に公開された特許文献10は、ポリペプチド全般、特定的にはスタフィロキナーゼを修飾して、そのPEG複合体の性能を改良するための突然変異誘発プロセスの使用を開示している。
米国特許第6,028,051号明細書 米国特許第6,315,996号明細書 米国特許第5,760,026号明細書 米国特許第4,179,337号明細書 米国特許第4,261,973号明細書 米国特許第4,301,144号明細書 米国特許第4,732,863号明細書 欧州特許第154,316号明細書 米国特許第4,847,325号明細書 国際公開第01/04287号パンフレット ザリプスキー(Zalipsky)、「生物学的に適切な複合体を調製するための官能化ポリエチレングリコール(F unctionalized Poly(ethylene glycol)for Preparation of Biologically Relevant Conjugates )」、1995年、バイオコンジュゲート・ケミストリー誌(Bioconjugate Chem.)、第6巻、p.150‐165 ハーマンソン(Hermanson )、「バイオコンジュゲート技法(Bioconjugate Techniques )」、1966年、米国サンディエゴ所在のアカデミック・プレス(Academic Press) カトレ(Katre )ら、1987年、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ誌(Proc.Natl.Acad.Sci. ),第84巻、p.1487
上記以外には、薬物動態学的および薬力学的に最適化するための抗菌薬のPEG結合の開示は存在しない。生物活性を維持しながら、その一方で血中半減期を延ばしかつ効力を増大させるとともに抗体結合性と毒性とを低減させるための、抗菌薬とPEGとの結合またはPEGを用いた抗菌薬の突然変異誘発による修飾を開示する文献はない。
上記制約は本発明によって克服される。本発明は、抗菌活性を保持しながらin vivo血中半減期を延ばすための抗菌薬のポリマー結合を提供する。したがって、そのように修飾された抗菌薬を用いると、非修飾薬よりはるかに少ない投与量および/または少ない投与頻度で感染を治療または予防し得る。
抗菌活性を保持しながら血中半減期を延ばすことに加えて、ポリマーを結合することにより得られる他の利点には、抗体結合性の減少および殺菌力の増大、免疫原性の低下および人工インプラント装置表面を含めた循環系表面への結合の減少が含まれ、これらの利点はいずれも、通常、ポリマー複合体に起因する分子量の増大によって得られる血中半減期の延長とは無関係に、血中半減期を延長させる。
より具体的に言えば、本発明は、抗菌薬の抗菌活性の少なくとも一部が保持されるように抗菌薬に結合された水溶性ポリマーを提供する。本発明に用いるのに適した抗菌薬には、化学物質、ペプチド、タンパク質およびリポペプチドなどの薬剤が含まれ、これらの薬剤は、宿主中で微生物に接触すると、宿主の細胞もしくは組織を損傷したり、または有害な宿主応答を誘発させたりすることなく、任意の多様なやり方で微生物を死滅させるか、または微生物代謝を阻害する。抗菌酵素は利用可能なペプチドやタンパク質のうちに含まれる。
微生物は細菌および菌類を包含するものと定義されるが、ブドウ球菌感染がもたらす上述のリスクのために、ブドウ球菌溶解活性を有する抗菌薬が望ましい。ブドウ球菌溶解活性を有する抗菌薬のなかには、ブドウ球菌の細胞壁ペプチドグリカンの架橋ポリグリシンブリッジを開裂し得るタンパク質(例えばリソスタフィンやリソスタフィン類似体)を含めた、ブドウ球菌溶解活性酵素として機能するタンパク質やペプチドである。
水溶性ポリマーとしては、ポリアルキレンオキシド、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリビニルアルコールが挙げられる。ポリアルキレンオキシドには、PEG、ポロキサマーおよびポロキサミンが含まれる。ポリアルキレンオキシドは、通常、ポリアルキレンオキシドの活性エステル(例えば、N‐ヒドロキシスクシンイミドエステル)から形成
されたアミド結合を介して遊離アミノ基に結合される。ポリアルキレンオキシドは、約5〜約100kDaの分子量を有する直鎖または分岐mPEGであってよい。
別の態様において、本発明は、医薬として許容し得る担体に含めた本発明の抗菌複合体を含有する有効量の医薬製剤を哺乳動物に投与して、該哺乳動物の微生物感染を予防的または治療的処置する方法に関する。微生物感染が、十分な細胞壁ポリグリシン架橋を有するためリソスタフィンと接触したときはリソスタフィンにより細胞が溶解されるブドウ球菌種によって起こる場合には、本発明のリソスタフィンまたはリソスタフィン類似体複合体を用い得る。本発明の方法のこの実施形態は黄色ブドウ球菌感染の治療に特に有効である。本発明のさらに別の態様により、医薬として許容し得る担体に含めた本発明の抗菌複合体を含有する本発明の治療法に用いるための医薬組成物が提供される。
本発明の上記および他の目的、特徴ならびに利点は、添付図面と併せて以下に記載の発明を実施するための最良の形態を読めば容易に明らかにされる。
本発明の目的上、用語「抗菌薬」とは、例えば宿主中で微生物に接触すると、宿主の細胞もしくは組織などの周囲環境に損傷を与えたり、または、宿主に接触して有害な宿主応答を誘発したりすることなく、微生物を死滅させるか、微生物代謝を阻害する任意の物質(酵素を含めた、化学物質、タンパク質、ペプチドまたはリポペプチド)を包含するものと定義される。これには、ポリマーと結合していなければ、宿主の細胞もしくは組織を損傷したり、有害応答を誘発したりするであろう物質が含まれる。用語「微生物」とは原生生物と定義され、原生生物には細菌や菌類が含まれる。
用語「リソスタフィン」とは、in vivoおよびin vitroにおいてブドウ球菌の細胞壁ペプチドグリカンの架橋ポリグリシンブリッジを開裂するタンパク質分解能を保有する、リソスタフィン(野生型)、任意のリソスタフィン突然変異体もしくは変異体、任意の組換え体、関連酵素、または任意のリソスタフィン合成体もしくはリソスタフィン断片を包含するものと定義される。変異体は、(生産菌株内に存在する酵素によるか、または任意の処理段階で導入された酵素もしくは試薬を用いた)該タンパク質の翻訳後プロセシング、または構造遺伝子の突然変異によって産生し得る。突然変異には、部位欠失、挿入、ドメイン除去および置換突然変異が含まれる。
用語「リソスタフィン類似体」とは、野生型ではない任意の形態のリソスタフィンを包含するものと定義される。本発明で検討されるリソスタフィンおよびリソスタフィン類似体は、細胞培養物もしくはマウスなどの高等な組換え生物種から組換え発現させても、哺乳動物細胞の宿主、昆虫、細菌、酵母、爬虫類、菌類などで発現させても、または人工合成してもよい。これには、合成ペプチドおよびポリペプチドを含めた活性保持人工合成物、あるいはブドウ球菌だけに対する活性を担うリソスタフィンポリペプチド部分を組換え発現すること、ブドウ球菌に対して有効な、またはより広範囲な活性を提供するために1種以上の他の微生物もしくは細菌種に対して有効な1種以上の他の抗菌タンパク質もしくはペプチドの活性部位を含有するキメラタンパク質を含めた大型タンパク質もしくはポリペプチドの一部として組換え発現すること、が含まれるであろう。
リソスタフィンは、天然では細菌によりプロ酵素として産生され、プロ酵素が切断されて完全長の形態のリソスタフィンが生じる。完全な活性型のリソスタフィンのみを含む組換えまたは合成リソスタフィン調製物を使用し得る。同種リソスタフィンの組換え発現、および発現タンパク質から調製した完全な活性を有する同種リソスタフィンを含有する組成物が、2002年12月21日にジェフリー リチャード スティンソン(Jeffery Richard Stinson )、リュボフ グリンバーグ(Lioubov Grinberg)、ジョン コーカイ‐
クン(Jon Kokai ‐Kun )、アンドリュー リース(Andrew Lees )およびジェイムス ヤコブ モンド(James Jacob Mond)により出願された「高いブドウ球菌溶解活性を有する短いリソスタフィン分子(Truncated Lysostaphin Molecule with Enhanced Staphylolytic Activity )」と題する米国特許出願に開示されており、同出願の開示内容はその全文が本明細書に文献援用される。同出願は、2001年12月21日出願の米国特許仮出願第60/341,804号の優先権を主張している。
上述のリソスタフィンやリソスタフィン類似体タンパク質などの抗菌薬は、遊離アミノ基を介してリシンおよびアルギニン残基で、またはもしあればN末端の遊離アミノ基で水溶性ポリマーに結合される。他の適切な抗菌薬には、ナイシン、アンフォテリシンβなどが含まれる。抗菌薬の各分子には少なくとも1〜約12個の水溶性ポリマー分子を結合させ得る。修飾の1つの目的は、非複合型の抗菌薬よりin vivoにおける半減期を延長すると共に免疫原性を低下させることであるから、結合させるポリマーの数およびこれらの分子の重量平均分子量は、見かけの重量平均分子量が約5〜40kDa、最大で約200kDaまでの抗菌薬のポリマー複合体が得られるように選択しなければならない。
ポリアルキレンオキシドは、使用する場合、リソスタフィン1分子当たりの結合の数に応じて、典型的には、約1〜約100kDa、より典型的には、約2、3または4〜約50kDa、さらに、約5または10〜約40kDaの重量平均分子量を有する。リソスタフィンに結合させる場合、リソスタイン1分子当たり1〜約10個のポリアルキレンオキシド分子が使用可能であり、典型的には1〜約3または4個、より典型的には1または2個が用いられる。結合度がさまざまなリソスタフィン組成物を用いてもよいし、またはリソスタフィン複合体を分画し、実質的に同数のポリマーに結合したリソスタフィン画分から実質的に構成されるリソスタフィン複合体を得てもよい。すなわち、分画化されたサンプル中の実質的にすべてのリソスタフィンが、1個、2個、3個またはそれ以上のポリマーに結合しているが、それらの混合物ではない。
ポリアルキレンオキシドを使用する場合、ポリアルキレンオキシドは直鎖状または分岐状であってよい。分岐ポリアルキレンオキシド、例えば、分岐PEGは、空間体積が大きいので、酵素の結合モチーフや活性部位であることの多いタンパク質の裂け目に入り込む可能性が低いと考えられる。典型的なポリアルキレンオキシドは、ホモポリマーとして単独で、または組み合わせて、C‐Cアルキレンオキシド基から構成される。これには、PEG、ポロキサマーおよびポロキサミンが含まれる。ポリアルキレンオキシドは、一方の末端がアルキル基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。アルキル基は、存在する場合、C‐Cアルキル基であってよく、典型的にはメチル基である。
適切な共有結合修飾反応は周知であり、極く一般的に行われている。通常、このプロセスは、活性ポリマーを調製するステップと、その後抗菌薬を該活性ポリマーと反応させるステップとを含む。デイビスらによって記載されたN‐ヒドロキシスクシンイミド活性化mPEG(mPEG‐NHS)を用いる反応を使用し得る。mPEG‐NHSは、現在では米国アラバマ州所在のネクター セラピューティクス社(Nektar Therapeutics )として知られている米国アラバマ州ハンツビル(Huntsville)所在のシアウォーター コーポレーション(Searwater Corp. )から市販されている。
上記反応は、典型的には、pHが約7〜8の緩衝液中、多くの場合、約10mMのHepes pH7.5、100mM NaCl中で行う。この反応は、通常、0〜約25℃で約20分〜約12時間、例えば、約20℃で25〜35分、または4℃で3時間行う。結合後、所望生成物を回収し、カラムクロマトグラフィーなどで精製する。
次いで、このようにして修飾した抗菌薬を、水溶液、半固体製剤、または再構成するた
めの乾燥製剤(例えば、凍結乾燥結晶質または非晶質で、浸透平衡を得るために溶質を追加してもしなくてもよい)として配合する。製剤は、慣用のプロトコルおよび投与計画に従って投与するための、pHが約3〜8、典型的には5〜8の無毒性で安定な医薬として許容し得る水性の担体媒体に含めてもよいし、同媒体中で再構成してもよいし、またはクリームなどの半固体製剤に含めてもよい。送達は、点眼投与、静脈内(iv)、筋肉内、皮下もしくは腹腔内経路を介しても、髄腔内、吸入でもよく、または、医療装置、カテーテルおよび埋め込み可能な装置のコーティングに用いてもよく、あるいは、感染を治癒または軽減させるために活性物質の最小発育阻止濃度(MIC)を上回る血中および組織濃度を達成して微生物力価を低下させるように感染部位に直接導入してもよい。さらに、抗菌薬を、局所または経鼻製剤に用い得るクリームなどの半固体製剤として配合することも可能である。
さらに、本発明の抗菌複合体は、感染病をより効果的に治療するために、他の抗菌薬と同時または交互に併用し得る。製剤は、局所、点眼、もしくは経鼻投与用半固体製剤や、点眼投与、ボーラス静注もしくは末梢注入に適した液体に含めても、その中で再構成してもよいし、大量の静脈内点滴溶液に添加してもよく、または、持続静注により投与される大量の溶液中に入れるか、同溶液中で再構成することも可能である。例えば、リソスタフィン複合体を、細胞壁合成を妨害または阻害するペニシリン、ナフシリンなどの抗生物質、他のβ‐ラクタム抗生物質であるセファロチンなどのセファロスポリン、アミノグリコシド、スルホンアミド、抗葉酸剤、マクロライド、キノロン、バンコマイシンなどのグリコペプチドおよびポリペプチドと併せて投与し得る。または、リソスタフィン複合体を、タンパク質合成を阻害する抗生物質、例えば、ストレプトマイシン、テトラサイクリンおよびストレプトグラミンなどのアミノグリコシドと併せて投与し得る。さらに、リソスタフィン複合体を、モノクローナル抗体;リソスタフィン、リゾチーム、ムタノリシンおよびセロジル(cellozyl)ムラミダーゼなどの他の非複合抗菌酵素;デフェンシンなどのペプチド;ならびにナイシンなどのランチビオティクス(lantibiotics);または任意の他のランチオン(lanthione )含有分子、例えばスブチリンと併せて投与してもよい。
リソスタフィン複合体と共投与しようとする薬剤は、固定した組み合わせとしてリソスタフィン複合体と一緒に配合してもよいし、利用可能かつ実用的などのような製剤に含めても、または感染部位で適切な濃度の上記薬剤を提供することが知られているどのような投与経路を介しても即時調合で使用し得る。
本発明の複合体は、対応する非複合(複合体でない)抗菌薬の抗菌力の少なくとも一部を保有する。完全な活性(すなわち全活性)の保持は必須ではない。というのは、PEG化により免疫原性が低下し、かつ血中半減期が延びるので、投与頻度を少なくしてもより多くの投与量が得られるからである。非複合抗菌薬の活性の少なくとも10%を保持する複合体が好ましく、非複合抗菌薬の活性の少なくとも15%、20%、25%、30%、40%など、複合体がより高い率の活性を保持すればするほど好ましい。
リソスタフィン複合体の適切な投与量および投与計画は、感染の重篤度や感染微生物の感受性に応じてさまざまであってよく、組み合わせ療法の場合には、組み合わせに用いられる特定の抗ブドウ球菌剤によって変わりうる。投与量は、約0.05〜約100mg/kg/日、好ましくは、約1〜約40mg/kg/日の範囲であってよく、単回投与もしくは分割投与でも、または持続点滴注入で投与してもよい。
本発明の実施方法を当業者に教示する以下の実施例により本発明をさらに説明する。以下の実施例は本発明の例示に過ぎず、本発明のいくつかの実施形態の種々の有益な特性を開示している。以下の実施例は特許請求の範囲に記載されている発明を制限するものと解釈してはならない。
(材料)
抗菌薬の例としてこれらの検討にリソスタフィンを用いたが、抗菌薬との用語が本明細書で定義されているように基本的に任意の抗菌薬を用いて同じ検討を実施することが可能である。リソスタフィン(Ambicin(登録商標)L)は、AMBIインコーポレイテッド社(AMBI,Inc. )(現ニュートリション21社(Nutrition 21)から得た。10および40kDaのmPEG2‐NHSエステルは、シアウォーター コーポレーション(Shearwater Corporation)(米国アラバマ州ハンツビル所在)(現ネクター セラピューティクス社、米国アラバマ州所在)から購入した。ホウ酸ナトリウム、DMSO、ウシ血清アルブミン、およびextravidin(登録商標)‐HRPはシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)(米国ミズーリ州セントルイス所在)から購入した。グリシンは、EMサイエンス社(EM Science)、(米国ニュージャージー州ギブズタウン(Gibbstown )所在)から購入した。NuPage(登録商標)電気泳動システムおよびコロイドブルー(Colloidal Blue)染色液は、インビトロジェン社(Invitrogen)(米国カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)所在)から購入した。Sephacryl(登録商標)S‐100HRおよびHiTrap(登録商標)SP FFは、アマシャム‐ファルマシア社(Amersham‐Pharmacia )(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ所在)から購入した。トリプティック・ソイ・ブロス(Tryptic Soy Broth )(TSB)および陽イオン調整ミュラーヒントンブロス(Cation-Adjusted Mueller Hinton Broth)(CAMHB)は、ベクトンディッキンソン社(Becton Dickinson)(米国メリーランド州スパークス(Sparks)所在)から購入した。TMBマイクロウェル(TMB Microwell )および450停止用試薬(450 STOP Reagent)はBioFX社(米国メリーランド州オウイングスミルズ(Owings Mills)所在)から購入した。
(実施例1 − PEG化リソスタフィンの研究)
(リソスタフィンのPEG化)
0.27、1または5mg/mlのリソスタフィンを0.2Mホウ酸緩衝液(pH8.5)またはDMSOに溶解した。mPEG2‐NHSエステルをDMSOに溶解して調製し、リソスタフィン溶液に、40、20、10、5または2.5:1のモル比で加えた。3種の異なる緩衝液条件:ホウ酸緩衝液(PEG添加により<10%のDMSOを含有)、50%ホウ酸/50%DMSO、および100%DMSOを用い、いずれも室温下に1、2または3時間、PEG化を実施した。グリシンを25mMまで加え、渦流混合して、すべての反応を停止させた。
リソスタフィンへのPEGの結合は、NuPage(登録商標)電気泳動システムを用いてSDS‐PAGEにより評価した。ノベックス(Novex )の4〜12%ビス‐トリスゲル上115Vで非還元サンプル(300ng)を泳動し、コロイドブルー(Colloidal Blue)で染色した。反応混合物をSephacryl(登録商標)S‐100HR(商標)カラムに流して、PEG化リソスタフィンを未反応リソスタフィンから分離した。精製されたPEG‐リソスタフィンを濃縮し、活性アッセイ用に保存した。
代替法として、非複合リソスタフィンをイオン交換クロマトグラフィーによりサンプルから除去した。PEG‐リソスタフィン以外のリソスタフィンは、50mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0中でHiTrap(登録商標)SP FFカラムに結合した。このカラムを、溶出液のOD280がバックグラウンドレベルに減少するまで上記緩衝液で洗浄した。次いで、カラムに結合したリソスタフィンを除去し、カラムを、50mM リン酸ナトリウム+1M NaCl、pH7.0で洗浄して再生させた。このプロセスを、PEG‐リソスタフィン画分(カラムに結合していない)が非複合リソスタフィンについて少なくとも99%純粋になるまで繰り返した。
(PEG‐リソスタフィンのin vitro活性)
熱死滅(熱で死滅させた)黄色ブドウ球菌5型(HKSA5)を含有する溶液の650nmでの吸光度の低下を測定することにより、リソスタフィンの黄色ブドウ球菌5型(SA5)溶解能を測定した。HKSA5は、生細菌を62℃で2時間インキュベートしてから初期吸光度が約1になるように希釈して調製した。次いで、リソスタフィンを32μg/mlの濃度で加え、60秒毎に20分間吸光度の読取りを行った。PBS中のSA5懸濁液(%T=40)に0〜10μg/mlのリソスタフィンを加えてSA5生菌培養物の清澄化を測定した。サンプルを37℃で1時間培養し、次いで、血液寒天プレート上に塗り拡げた。37℃で一晩培養した後、コロニーを計数し、非処理サンプルと比較した。
SA5に対する複合リソスタフィンの最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。SA5をTSB中で一晩培養した後、この細菌を%T=80に希釈した。96ウエル培養プレートの各ウエルに、100μlの増殖培地(CAMHB+1%BSA+0〜32μgのリソスタフィン)を加えた。各ウエルに5μlのSA5を加え、このプレートを、37°μC、200rpmで24時間培養した。650nmでの吸光度を読み取り、SA5の増殖がなかった最終ウエルをMICと定義した。
(抗リソスタフィン結合活性)
PEG化リソスタフィンがこのタンパク質を抗体の結合から保護するかどうかを決定するためにリソスタフィン捕捉ELISAを実施した。96ウエルマイクロタイタープレートをポリクローナルウサギ抗リソスタフィン抗体で一晩コーティングした。ウエルを1%BSAでブロックし、次いで、PBS/0.5%Tween20(商標)+0.1%BSA中でリソスタフィンサンプルと共にインキュベートした。ビオチン標識したポリクローナルウサギ抗リソスタフィン抗体を用いてリソスタフィンの結合を検出し、次いで、Extravidin(登録商標)‐HRPとともにインキュベーションし、TMB比色検出を行った。SpectraMAX(登録商標)Plusプレートリーダー(米国カリフォルニア州サニーベイル所在のモレキュラーデバイス社(Molecular Devices ))で450nmの吸光度についてプレートを測定した。
(PEG‐リソスタフィンの血清中薬物動態)
CF1マウスの尾静脈に、S‐100HRで精製したPEG‐リソスタフィンを0.8または0.2mg(0.2mlのPBS中4または1mg/ml)の用量で注射した。対照のマウスには、0.8mgの非複合リソスタフィンを注射した。投与後1、4、7、24時間目に、眼窩採血により血液を採取した。この血液を37℃で30分間、次いで4℃で30分間インキュベートした。その後、1000gで10分間遠心分離して血清を分離した。血清中のリソスタフィン濃度を上述のようにELISAにより測定した。
(結果)
リソスタフィンは、多数のリシン(16)およびアルギニン(6)残基に起因する、pH7で+10.53という高い正味電荷を有する。これらのリシン側鎖の第1級アミン基は、N‐ヒドロキシスクシンイミドで活性化されたPEGを共有結合させるのに理想的な標的である。分岐PEGを選択したが、これは、分岐PEGが大きな空間体積を有しているために、酵素の結合モチーフおよび活性部位であることの多いタンパク質の裂け目に入り込みにくいからである。
反応条件は、酵素活性と、免疫原性の低下、抗体結合および毒性の減少、ならびに血清中半減期の延長および効力の増大などの特性強化との最適なバランスを有するPEG化リソスタフィン分子を創出するように操作し得る。数を制御し部位特異的にPEGを結合させるために、リソスタフィンに特異的反応基を付加してもよい。スルフヒドリル基の付加
は、リソスタフィンがシステイン残基を全く含んでいないという理由で、この目的を達成する1つの方法であろう。この目的を達成する別の方法は、遺伝子組換え技術によりリソスタフィンタンパク質のアミノ酸配列にチオール含有アミノ酸のシステインを導入して、同タンパク質にチオール基を導入する方法であろう。
(SA5に対する酵素の殺菌活性)
熱死滅SA5の溶解の測定(図1)およびSA5生菌の殺菌(図2)により、5種のPEG化リソスタフィンサンプルのin vitroにおける殺菌活性をテストした。図1において、10kDaのPEGに結合させたリソスタフィンは3133A‐B pHおよび3133A‐DMSOの線で表されている。pHという表示は、水溶液中で行われたPEG化反応を示している。DMSOという表示は、100%DMSO中で行われたPEG化反応を示している。すべてのサンプルは酵素活性に関して陽性を示した。PEG化の度合が増すにつれて活性が低下したことは、10kDaのPEGがリソスタフィンの活性部位またはそのペプチドグリカン結合ドメインにアクセスして、その酵素活性を低下させるのに十分な小ささであることを示唆している。それに対し、40kDaのPEGサンプルでは、これらのサンプルに関してサイズ分離が行われなかったという事実にもかかわらず、酵素活性の低下は観察されなかった。これは、高度にPEG化された形態が軽度の複合形態と類似の活性を保持することを意味すると共に、40kDaのPEGが酵素機能に重要な部位に容易にはアクセスし得ないことを示している。
PEG化リソスタフィンの濃度を低下させながら、in vitroにおけるSA5生菌の殺菌能をテストした(図2)。熱死滅アッセイで観察されたように、PEG結合度が高くなるにつれてリソスタフィン活性が低下し、40kDa複合体は10kDa複合体より高い活性を保持していた。しかし、熱死滅アッセイでは明らかでなかった新たなPEG‐リソスタフィンの特性が出現した。非複合リソスタフィン(非複合Lys)の殺菌曲線では、酵素濃度の低下に応じて反応が徐々に増大しているが、PEG化酵素ではいずれも、最終的に反応が増大する前の最初の4種の希釈物について反応の変化が少ないように見える。特に、2:1比の40kDa PEGでは、低いほうの3種の濃度では非複合リソスタフィンに比べて高い殺菌活性を維持するが、高いほうの3濃度では、比較的低活性である。この知見は、PEG化リソスタフィンの活性または代謝が変化していることを示している。PEGが、細菌が死滅するときに放出するタンパク質分解酵素からリソスタフィンを保護して、リソスタフィンが比較的低い濃度で長時間活性を維持するのを可能にしているのかもしれない。別の可能性は、リソスタフィンに結合したPEGが酵素と細菌細胞壁との相互反応を変え得ることである。その細胞壁結合部位に対する結合親和性が低下し、それでもペプチドグリカンを開裂し得るのであれば、酵素の解離がより速やかになり、次の開裂のためのリソスタフィンの再利用が促進されるであろう。これらの説明のいずれか、また未知の他の説明によって、観察された反応の説明がつくかもしれず、いずれも、天然薬物より優れたPEG化形態のリソスタフィンを創出することの可能性を等しく奨励するものである。
(SA5増殖阻害)
最小発育阻止濃度(MIC)は、種々の細菌株における抵抗性レベルの検査に一般的に用いられる薬物活性の定量的測度である。このアッセイでは、表1に示されているように、SA5という一菌株に対してこのMICを用い、リソスタフィンのPEG化による薬物の失活を測定した。いくつかの製剤は高レベルの活性を維持していたが、非複合リソスタフィンほど高くはなかった。種々のPEG‐リソスタフィン種で観察された活性パターンは先の殺菌アッセイで観察されたものと一致する。PEG化度が低いリソスタフィンほど高度にPEG結合したものより高い活性を維持しており、同一反応条件下では、40kDa PEG複合体は10kDa PEG複合体の8倍も活性が高かった。
Figure 2005528372
これらの知見はいずれも、PEG化度が低いと活性酵素が得られ、嵩高い40kDa PEG‐リソスタフィン複合体が10kDa複合体より高活性であるという結論を支持している。2:1のPEG比で観察されたわずかな失活はこの複合体の血中半減期の延長および免疫原性の低下に対する許容可能な代償である。これらの複合体の潜在的利点には、投与頻度の減少、抗体誘発能の低下、抗リソスタフィン抗体保有患者における活性の保持、および免疫原性反応に関連する毒性の低下が含まれる。
(PEG化リソスタフィンに対する抗リソスタフィン抗体の活性)
リソスタフィン捕捉イムノアッセイを用いて抗体からリソスタフィンを保護するPEGの能力をin vitroでテストした(図3)。非複合リソスタフィンは、0.3〜20ng/mlという標準的な反応を示す。PEG‐リソスタフィンが抗リソスタフィン抗体と結合すると不均一な反応が見られるが、いずれも非複合リソスタフィンより結合効率は低い。観察された中で最も良く保護したものでは、PEG化リソスタフィンに対する抗体の親和性を10倍以上も低下させた。このアッセイ環境は粘膜表面または流動血清中における結合とは異なるが、PEGがリソスタフィン表面上に結合していると、酵素を抗体結合から少なくとも部分的には保護し得ることを証明している。酵素活性と抗体結合の減少との間になんら相関関係は存在しないように見えるが、40kDa複合体と10kDa複合体への抗体結合の差は、PEG化度の違いで説明し得る。一般に、40kDa PEGの場合には、リソスタフィンに結合しているPEG分子が10kDa形態より少ないので、10kDa型ほどは抗体を排除しない、より開放的な構造を有している可能性があり、このことも、40kDa複合体の方が高い活性を有する理由を説明し得る。それでもなお、40kDa複合体に対する抗体活性は非複合リソスタフィンに比べると低下している。
(PEG化リソスタフィンの長期血清中半減期)
タンパク薬物上にPEGを結合させると、薬物が身体の正常なクリアランス機構を回避できるようになり、それによって薬物の血清中半減期が延長される。マウスで、低度にPEG修飾したリソスタフィン(1リソスタフィン当たり1〜4PEG)の薬物動態プロファイルを測定し、非複合リソスタフィンのクリアランスと比較した(図4)。グラフからPEG化に起因する2つの増大が明らかである:(1)リソスタフィンの半減期が劇的に延びたこと、および(2)達成された総血清中濃度が非複合リソスタフィンの場合よりはるかに高いこと。PEG‐リソスタフィン複合体の血清中濃度は24時間で2〜10倍しか低下しないのに対し、非複合リソスタフィンは同一時間でほぼ500倍低下する。このようなリソスタフィン保持時間の延長により、薬物を治療上の有効濃度より高く維持するのに必要な投与頻度が減少するはずである。
これらのリソスタフィンレベルを長時間維持することにより、細菌感染をより迅速に除去し、リソスタフィン耐性が発生する可能性を低下させることも可能である。また、PEG‐リソスタフィン複合体の場合、総血清中濃度も非複合リソスタフィンよりはるかに高かった。投与後24時間では、PEG‐リソスタフィンの血清中濃度は、初期のPEG‐リソスタフィン用量が非複合リソスタフィンの1/4であったときでさえ、投与後わずか1時間で天然リソスタフィンの濃度の10倍を超えた。この結果は、非複合リソスタフィンよりはるかに低用量のPEG‐リソスタフィンを用いて、非複合リソスタフィンと同等またはそれ以上の臨床利益を達成することができ、それによって、治療コストを低減させ、潜在的毒性または薬物に対するアレルギー反応を最小限にし得ることを示唆している。したがって、上記実施例は、本発明のリソスタフィン複合体の活性の増大および血中半減期の延長を例証している。
(実施例2 − 40kD PEGリソスタフィン複合体の分画化)
酵素活性をPEG結合数の関数としてテストする手段として、イオン交換クロマトグラフィーにより実施例1の種々の40kD PEG‐リソスタフィン複合体分子種の分画化を実施した。完全には分割できなかったが、画分は単一の特異的バンドに濃縮される傾向があった。サイズ排除クロマトグラフィーHPLCで測定すると、1PEG化物は1‐mer(モノマー)が99%を超えたが、2PEG化物は精製により93%が2‐mer(ダイマー)に、残りは大部分が1‐merとなった。
(活性に関する殺菌アッセイ): 生理食塩水中でSAを死滅させるリソスタフィンの能力を酵素の濃度を変えてテストした。細菌をリソスタフィンと共に1〜2時間インキュベートした後、血液寒天プレート上に画線塗布し、翌日、生存コロニーを計数した。このデータは、グラフ上の値が小さい程、より効率よくリソスタフィンがSAを殺菌していることを示すように、SAの生存コロニー数として図5に記載されている。1‐merは2‐merより高い活性を有するが、1‐merも2‐merも非複合リソスタフィンに比べると活性が有意に低い。
(血中における殺菌活性): ヘパリン添加したヒト全血中でSAを死滅させるリソスタフィンの能力を酵素の濃度を変えてテストした。細菌をリソスタフィンと共に1〜2時間インキュベートした後、血液寒天プレート上に画線塗布し、翌日、生存コロニーを計数した。このデータは、グラフ上の値が小さい程、より効率よくリソスタフィンがSAを殺菌していることを示すように、SAの生存コロニー数として図6に記載されている。40k 1‐mer BSは、50%DMSOを用いて作製した実施例1の複合体であった。40k 1‐merの活性は生理食塩水中で実施した殺菌アッセイで観察されたように低下するが、活性の低下は生理食塩水中より血中の方がさらに大きいように見える。
2‐merに関する活性の失活には2つの可能な説明が存在する。リソスタフィン上にPEGを結合させるには10個もの数の利用可能なリシン残基が存在し得るが、各リシン残基は異なる反応性を有するであろうし、特定の反応条件下では、1または2個のリシン残基のみが選択的にPEG化されるようである。第1のPEG鎖が優先的に結合する部位は酵素の機能には重要でない領域中に存在する可能性があり、1‐merについてはほとんど失活がない理由を説明し得る。しかし、次に優先的にPEG化されるリシンはリソスタフィンの活性部位または細胞壁結合部位の中またはその近辺に存在する可能性があり、これらの領域にPEGが結合すると、酵素の機能が著しく破壊され得る。
2‐merの活性失活に関する別の可能な説明は、PEG化によるリソスタフィンの空間体積の増大に関する。リソスタフィンは可溶性の拡散性基質に作用するのではなく、むしろ、細菌細胞壁の厚く堅いペプチドグリカン骨格に侵入しなければならない。PEGを
1つずつ連続的に付加するとリソスタフィンの分子量が増大し、空間体積が1‐merから2‐merに増大すると、酵素が細胞壁中のペンタグリシン架橋へ接近するのが妨害され、その結果該酵素の殺菌活性が失われるのかもしれない。
(抗体反応性): ELISAにより、PEG化リソスタフィンに対する抗リソスタフィン抗体の反応性を測定した(図7)。96ウエルプレートをポリクローナル抗リソスタフィン抗体(Ab)でコーティングし、次にリソスタフィンと共にインキュベートした。次いで、HRP標識ポリクローナル抗リソスタフィンAbを用いて、結合したリソスタフィンを検出した。これらの抗体へのリソスタフィンの結合レベル(グラフのy軸上の平均値)を酵素濃度の関数として測定した。いずれのPEG複合体も非複合リソスタフィンに比べるとAb結合活性が低下したが、2‐merは1‐merよりはるかに反応性が低かった。
(実施例3 − 30kD PEG‐リソスタフィン複合体の分画化)
40kD PEGの代わりに30kD PEGを用いて実施例2を繰り返し、mPEG
30kD リソスタフィン複合体の1‐merおよび2‐merを以下の特性を有する別個の画分に分離した。
(OD低下アッセイ): 生理食塩水に大量の黄色ブドウ球菌を接種した物(SA、約10個/ml)の280nmにおけるODを経時的にモニターする。細菌が溶解されるとODが低下するので、ODはリソスタフィン活性の測度である。OD低下が早ければ早いほど、酵素活性が高い。典型的な標準型は6〜7分で出発時ODの50%に達する。1‐merは2‐merより高い活性を有するが、1‐merも2‐merも非複合リソスタフィンに比べるとはるかに低い活性を有する(図8および図9)。
(活性に関する殺菌アッセイ): 生理食塩水中でSAを死滅させるリソスタフィンの能力を、酵素濃度を変えてテストした。細菌をリソスタフィンと共に1〜2時間インキュベートした後、血液寒天プレート上に画線塗布し、翌日、生存コロニーを計数した。このデータは、グラフ上の値が小さい程、より効率よくリソスタフィンがSAを殺菌していることを示すように、SAの生存コロニー数として記載されている。1‐merは2‐merより高い活性を有するが、1‐merも2‐merも非複合リソスタフィンに比べるとはるかに活性が低い(図10)。
(抗体反応性): ELISAにより、PEG化リソスタフィンに対する抗リソスタフィン抗体の反応性を測定した。96ウエルプレートをポリクローナル抗リソスタフィンAbでコーティングし、次にリソスタフィンと共にインキュベートした。次いで、HRP標識ポリクローナル抗リソスタフィンAbを用いて、結合したリソスタフィンを検出した。これらの抗体へのリソスタフィンの結合レベル(グラフのy軸上の平均値)を酵素濃度の関数として測定した。非複合リソスタフィンに比べると、1‐merは約7倍低いAb結合活性を有し、2‐merは約70倍低いAb結合活性を有する(図11)。
(血清中薬物動態): マウスに標準リソスタフィンまたはPEG化リソスタフィン(30k 1‐merおよび2‐mer)を注射し、ELISAにより24時間にわたって血清中濃度を測定した。PEG化酵素では高い血清中濃度が達成され、薬物の半減期は劇的に延びた。2‐merは1‐merより高い血清中リソスタフィン濃度ピークを達成するが、長期持続性は1‐merと同等のようである(図12)。
(活性に関する殺菌アッセイ): 生理食塩水中でSAを死滅させるリソスタフィン30kD PEG 1‐merおよび40kD PEG 1‐merの能力を酵素の濃度を変えてテストした。細菌をリソスタフィンと共に1〜2時間インキュベートした後、血液
寒天プレート上に画線塗布し、翌日、生存コロニーを計数した。このデータは、グラフ上の値が小さい程、より効率よくリソスタフィンがSAを殺菌していることを示すように、SAの生存コロニー数として図13に記載されている。40k 1‐merは30k 1‐merより高い活性を有するが、どちらも非複合リソスタフィンに比べると活性がはるかに低い。
(実施例4 − ポリマー結合用末端Cysを有する組換えリソスタフィン)
アミノ酸配列Ala‐ala‐Cysを含む(すなわち、「成熟」リソスタフィンと同様であるが末端システインを含む)こと以外はリソスタフィンと同様のリソスタフィン構築物を調製した。システインの挿入に関しては、グッドソン(Goodson )ら、Bio Technology、1990年、第8巻,p.343およびベンハー(Benhar)ら、J.Biol Chem.、1994年、第269巻,p.13398に記載の手順に従った。
天然リソスタフィンはシステインを含んでいない。2個のアラニンはリソスタフィンの活性に重要ではないので、該酵素のこの部分は活性に影響を与えることなく修飾し得る。したがって、所定の制御された方法でリソスタフィンをPEGと結合させるために、大腸菌(E.coli)中で末端にala‐ala‐cysを有する組換えリソスタフィンを産生させた。
(システイン含有組換えリソスタフィンの精製)
250ml培養物から遠心分離により細胞をハーベストし、冷凍した。細胞を解凍し、70mlの0.1M HCl中でペレットを抽出して溶解した。抽出物を4000rpmで遠心分離し、上清を、水で1:2希釈したPBS4リットルに対して4℃で一晩透析した。透析液(約150ml)をさらに水で希釈して約250mlとした。
(処理1) 前記の未精製溶液のうち約200mlを、12.5mM リン酸ナトリウム(pH7)で平衡化した1ml容のSP Sepharose(登録商標)カラム(ファルマシア社(Pharmacia ))にポンプ注入した。装填後、カラムを平衡緩衝液で洗浄し、次いで、0.25M NaClを含む12.5mM リン酸ナトリウム(pH7)で溶出した。Ultrafree(登録商標)4(10kDaカットオフ)装置(ミリポア社(Millipore ))を用いて、溶出液を約700μlに濃縮した。PBSで1:20希釈した後、リソスタフィンの吸光係数0.49mg/ml/OD280を用いて、280nmにおける吸光度から濃度を測定した。すなわち、OD280=0.201×20×0.49mg/ml/OD280=2.3mg/ml。27kDaとすれば、これは100%純粋として85μMのリソスタフィンに相当し、収量は0.7ml×2.3mg/ml、すなわち1.6mgである。
(処理2) 残りの50mlを同じように処理した。この材料の濃度を測定すると、0.7Lの容量で1.18mg/mlであった。収量=0.82mg。推定される総収量は1.6+0.8mg、すなわち2.4mgであった。
(チオールの純度および存在の測定)
DTNB(エルマン試薬)を用いて組換えリソスタフィンの遊離チオール(SH基)を測定すると、23.6μMであると判明した。したがって、他のタンパク質が寄与していないと仮定すれば、少なくとも23.6/85=28%のリソスタフィンが遊離チオールを含んでいる。8〜25%のPhast gel(登録商標)(ファルマシア社)を用いたSDS PAGEから、1つの画分は二量化しており、二量体を還元すると得られるシステイン‐リソスタフィンの割合がさらに増大することが示された。
ヨードアセチルビオチンで標識した、チオールとのみ反応する試薬により、組換えリソスタフィンが、天然リソスタフィンとは異なり、システインを含んでいることを確認した。このシステインを、マレイミド‐PEGまたはヨードアセチル‐PEDなどの試薬と反応させて、リソスタフィンを特異的部位でPEGと結合させることができる。
(実施例5 − 部位特異的酸化カップリングによるリソスタフィンNH末端のPEG化)
リソスタフィンはそのアミノ末端にトレオニンを有する。例えば、フィールズ(Fields)ら、Biochem.J.、1968年、第108巻,p.883、ゲルトナー(Gaertner)ら、J.Biol.Chem.、1994年、第269巻,p.7224、およびジョーヒガン(Geoghegan )ら、Bioconj.Chem.、1992年、第3巻,p.7224に記載されているように、アミノ末端のセリンまたはトレオニンは、穏和な条件下に過ヨウ素酸ナトリウムを用いて酸化させてグリオキシリル誘導体とすることができる。次いで、この基をアミノ‐オキシPEG、ヒドラジドPEGまたはヒドラジンPEGと反応させて、そのアミノ末端がPEG化されたリソスタフィンを得ることができる。IL‐8をPEG化するためのこの反応の例が、ゲルトナー(Gaertner)ら、Bioconj.Chem.、1996年、第7巻、p.38に記載されている。
アミノ‐オキシPEG(30kD)を、ゲルトナー(Gaertner)らのBioconjugate Chemistry誌の文献に記載のように調製するか、シアウォーター社から購入する。リソスタフィンは、1%NH(HCO)、pH8.3および50倍モル濃度の過剰なメチオニン中で20mg/mlに調製する。10倍モル濃度の過剰な過ヨウ素酸ナトリウムを加える。暗所で室温下に10分後、1/20容量の50%グリセロールを加えて反応を停止させる。次いで、溶液を暗所で0.1M酢酸ナトリウム(pH4.6)に対して透析する。酸化リソスタフィンの溶液を1N酢酸でpH3.6に調整し、次いで、5倍モル濃度の過剰なアミノ‐オキシPEGと暗所で室温下に20時間軽く攪拌しながら反応させる。未反応PEGをイオン交換クロマトグラフィーで除去した後、疎水性相互作用クロマトグラフィーで非複合リソスタフィンを分離する。
酸化リソスタフィンを、(2‐チオ‐ピリジル‐システインヒドラジド(ザラ(Zara)ら、Anal.Biochem.、1991年、第194巻,p.156参照)などの試薬で官能化してもよく、次いで、これをPEG‐マレイミドなどのチオール反応性PEGと反応させることができる。
(活性に関する殺菌アッセイ): 生理食塩水中でSAを死滅させるN末端30kD PEG化リソスタフィンの能力を、酵素の濃度を変えてテストした。細菌をリソスタフィンと共に1〜2時間インキュベートした後、血液寒天プレート上に画線塗布し、翌日、生存コロニーを計数した。このデータは、グラフ上の値が小さい程、より効率よくリソスタフィンがSAを殺菌していることを示すように、SAの生存コロニー数として図14に記載されている。N末端30k 1‐merは活性を有するが、先にテストした1‐mer(30kまたは40k)より高いレベルではない。
(実施例6〜8 − 二段階へテロライゲーションを用いるPEG化)
ヘテロライゲーション化学反応は、成分A(この場合はリソスタフィン)を、成分B(この場合はPEG)上に存在する反応基とのみ反応し得る反応基で標識することを含む。この実施例では、リソスタフィンを遺伝的に修飾してシステイン基を挿入する実施例4(リソスタフィンが反応性チオール基を含有する)に対比して、リソスタフィンをリシンのアミノ基上でチオール基により化学修飾し、次いで求電子PEG試薬(例えば、PEG‐マレイミド)と反応させる。ヘテロライゲーション化学反応については先に参照したBioconjugate Chemistry誌に記載されている。
リソスタフィンを75mM HEPES+2mM EDTA(pH7.5)の緩衝液中20mg/mlに調製し、N‐スクシンイミジル3‐[2‐ピルジルジチオ]プロピオネート(SPDP)(DMF中0.1M)を混合しながら滴下して添加した。標識の度合を変えるために、SPDP対リソスタフィンのモル比を変えた。1時間後、1/10容量の1M酢酸ナトリウム(pH5)を加えてpHを下げ、1N HClを加えてpH5に調整した。固体ジチオトレイトール(DTT)を加えて溶液を25mMにした。15分後、溶液を10mM酢酸ナトリウム、2mM EDTA(pH5)に対して4℃で一晩透析して、DTTを除去した。標識の度合を、DTNB(エルマン試薬)ならびに280nmにおける吸光度単位当たり0.49mg/mlの吸光係数を用いて280nmにおいて測定した吸光度から、モル濃度を測定した。
次いで、チオール化リソスタフィンをチオール選択的求電子mPEG‐ビニルスルホン(シアウォーター社 M‐VS‐5000)、mPEG‐マレイミド(シアウォーター社
M‐MAL‐5000)およびmPEG‐オルトピリジルジスルフィド(シアウォーター社 M‐OPSS‐5000)と反応させた。ハロアシルPEGも適当であろう。これらの反応は、PEG試薬をチオール選択的にするのに適切なpHで実施した。例えば、ビニルスルホンの添加は約pH7〜8で実施した。マレイミドの添加およびジスルフィドの交換はpH6〜7で実施した。
過剰なPEGはイオン交換クロマトグラフィーで除去した。疎水性クロマトグラフィーを用いてもよい。それによって、さまざまな量のPEGを含有するリソスタフィンを分画化した。
この二段階法の利点には、PEG化の度合を制限または制御できることが含まれる。さらに、長鎖チオール化試薬(例えば、LC‐SPDP、ピアース社(Pierce)#21651)を使用することもできる。これらの試薬は、チオール基がタンパク質表面のさらに外側に伸びることを可能にし、PEGなどの嵩高い分子への結合を容易にする。
上記二段階法のさらなる利点は、いずれも酸化を最小限にする、特に酸素不在下、EDTA含有緩衝液中、および酸性条件下において、チオールが長時間反応性を保持するであろうことである。同様に、上記PEG試薬はすべて、試薬がチオールとの反応性を有するpHで安定である。これは、アミノ基との反応にアルカリ性条件を必要とするNHS‐エステルPEGとは対照的である。NHSエステルは塩基中では不安定である。
通常、嵩高い試薬は小さい試薬よりゆっくり反応する。この実施例に記載されている二段階ヘテロライゲーション法を用いれば、反応を長時間かけて進行させることができ、かつより効率的なカップリングが可能になる。これによって、使用するPEG試薬の量やコストを低減させることができる。さらに、より高い割合のPEGがカップリングされるので、所望のPEG‐リソスタフィン複合体の精製が容易になるであろう。これらの利点は実施例4にも存在する。
実施例1〜8に記載されている方法は、他の抗菌性タンパク質、例えばナイシンにも適用することができる。実施例4のように末端システインをタンパク質中に人為的に導入し、次いで、実施例6〜8に記載のようにPEGとカップリングさせることができる。
上記に説明した特徴の多くの変形形態および組み合わせを、特許請求の範囲に記載されている本発明から逸脱することなく利用し得ることは、容易に理解されよう。そのような変形形態は本発明の精神および範囲から逸脱したものとはみなされず、すべてのそのような変更形態は特許請求の範囲内に包含されるものとする。
熱死滅黄色ブドウ球菌5型サンプルにおける本発明のリソスタフィン複合体の溶解活性を示す図。 黄色ブドウ球菌5型生菌を大量に接種したサンプルにおける本発明のリソスタフィン複合体の殺菌活性を示す図。 リソスタフィンを抗体から保護するPEGの能力を示すリソスタフィン捕捉イムノアッセイの図。 2つの異なる濃度の本発明の1種のリソスタフィン複合体の血清中濃度および半減期を非複合リソスタフィンと比較して示す図。 生理食塩水中における本発明のリソスタフィン複合体の黄色ブドウ球菌5型殺菌活性を示す図。 血液中における本発明のリソスタフィン複合体の黄色ブドウ球菌5型殺菌活性を示す図。 本発明のリソスタフィン複合体に対する抗リソスタフィン抗体の反応性を示すELISAの図。 熱死滅黄色ブドウ球菌5型サンプルにおける別態様の本発明リソスタフィン複合体の溶解活性を示す図。 熱死滅黄色ブドウ球菌5型サンプルにおけるさらに別態様の本発明リソスタフィン複合体の溶解活性を示す図。 生理食塩水中における別態様の本発明リソスタフィン複合体の黄色ブドウ球菌5型殺菌活性を示す図。 別態様の本発明リソスタフィン複合体に対する抗リソスタフィン抗体の反応性を示すELISAの図。 別態様の本発明リソスタフィン複合体の血清中濃度および半減期を示す図。 生理食塩水中における2種の異なる分子量の本発明リソスタフィン複合体の黄色ブドウ球菌5型殺菌活性を比較する図。 生理食塩水中におけるさらに別態様の本発明リソスタフィン複合体の黄色ブドウ球菌5型殺菌活性を示す図。

Claims (29)

  1. 抗菌薬の抗菌活性の少なくとも一部が保持されるように前記抗菌薬に結合された水溶性ポリマー。
  2. 抗菌ペプチドまたはタンパク質の抗菌活性の少なくとも一部が保持されるように前記抗菌ペプチドまたはタンパク質に結合された水溶性ポリマー。
  3. 前記ペプチドまたはタンパク質が抗菌酵素である、請求項2に記載のポリマー複合薬。
  4. 前記酵素が、ブドウ球菌の細胞壁ペプチドグリカンの架橋ポリグリシンブリッジを開裂し得るブドウ球菌溶解活性を有する酵素である、請求項3に記載のポリマー複合薬。
  5. 前記酵素がリソスタフィンまたはリソスタフィン類似体である、請求項4に記載のポリマー複合薬。
  6. 前記リソスタフィンまたはリソスタフィン類似体が、組換え発現させた完全な活性を有する同種リソスタフィンである、請求項5に記載のポリマー複合薬。
  7. 前記リソスタフィンが天然由来である、請求項5に記載のポリマー複合薬。
  8. 前記リソスタフィンが人工合成されている、請求項5に記載のポリマー複合薬。
  9. 前記水溶性ポリマーが、ポリアルキレンオキシド、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリビニルアルコールからなる群から選択される、請求項1、2、5、7または8に記載のポリマー複合薬。
  10. 前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキサマーおよびポリオキサミンからなる群から選択されるポリアルキレンオキシドである、請求項9に記載のポリマー複合薬。
  11. 前記ポリアルキレンオキシドがPEGである、請求項10に記載のポリマー複合薬。
  12. 前記PEGが直鎖状である、請求項11に記載のポリマー複合薬。
  13. 前記PEGが分岐状である、請求項12に記載のポリマー複合薬。
  14. 抗菌薬1分子当たり1〜約4個のポリマー分子を含んでなる、請求項1または2に記載のポリマー複合薬。
  15. 種々の結合度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマー複合薬。
  16. 分画化されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマー複合薬。
  17. 感染治療用の抗菌医薬組成物であって、前記感染用の請求項1または2に記載の抗菌薬の水溶性ポリマー複合体と、医薬として許容し得る担体とを含んでなる医薬組成物。
  18. 前記抗菌薬がタンパク質またはペプチドである、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 前記タンパク質またはペプチドが抗菌酵素である、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 前記酵素が、ブドウ球菌の細胞壁ペプチドグリカンの架橋ポリグリシンブリッジを開裂し得るブドウ球菌溶解活性を有する酵素である、請求項19に記載の医薬組成物。
  21. 非複合抗菌酵素をさらに含んでなる、請求項19に記載の医薬組成物。
  22. 前記非複合抗菌酵素が、リソスタフィン、リゾチーム、ムタノリシン、セロジルムラミダーゼ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
  23. 抗生物質をさらに含んでなる、請求項19に記載の医薬組成物。
  24. 前記抗生物質が、β‐ラクタム、セファロスポリン、アミノグリコシド、スルホンアミド、抗葉酸剤、マクロライド、キノロン、グリコペプチド、ポリペプチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の医薬組成物。
  25. 哺乳動物の微生物感染を予防または治療処置する方法であって、前記感染の治療に有効な量の請求項17、19または21に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含んでなる方法。
  26. 前記感染が細菌感染であり、前記医薬組成物が前記感染に有効な抗菌酵素の水溶性ポリマー複合体を含んでなる、請求項25に記載の方法。
  27. 前記細菌感染がブドウ球菌種によって起こり、前記ブドウ球菌種が、その細胞壁ペプチドグリカン中に、該菌種の細胞がリソスタフィンの水溶性ポリマー複合体との接触により溶解するのに十分なポリグリシン架橋を有する、請求項26に記載の方法。
  28. 前記ブドウ球菌感染が黄色ブドウ球菌によって起こる、請求項27に記載の方法。
  29. 前記ブドウ球菌感染が表皮ブドウ球菌によって起こる、請求項27に記載の方法。
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