JP2005528100A - 免疫調節構築物およびその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、免疫調節物質に関する。とりわけ本発明は、宿主免疫応答を増強または抑制する目的のために標的抗原提示細胞に適合させたスーパー抗原SMEZ−2に基づく、そして更にとりわけ、スーパー抗原SMEZ−2の突然変異体に基づく特異的免疫調節物質に関する。
Description
本発明は、免疫調節物質およびその使用に関するものである。とりわけこれは、宿主免疫応答を増強または抑制する目的で、抗原提示細胞を標的とするように適合させた、スーパー抗原SMEZ−2に基づく、および特にスーパー抗原SMEZ−2の突然変異体に基づく特異的免疫調節物質に関するものである。本発明はまた、上記構築物を用いる化合物の抗原性を増強する方法および新規SMEZ−2突然変異体にも関するものである。
プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)は、非免疫、未処置動物における1次免疫応答を開始するのに必須である。最も重要なAPCは、樹状細胞(DC)であり、身体のすべての領域で、これは環境との接触部分(すなわち皮膚および粘膜表面、例えば肺、気道、鼻腔等)でかみあい細胞として見出されている。DCにより提示される抗原は、極めて免疫原性である。DCの1つの重要な表現型マーカーは、非常に高レベルの表面MHCクラスII発現である。活性化されたDCは2次リンパ節まで移動し、抗原活性化エフェクター細胞として進行するCD4およびCD8双方のT細胞を「初回刺激」し、増殖し、サイトカインを生成し、そしてBリンパ球の体液性応答を制御する。したがって、DCによる抗原提示はいずれかの適合免疫応答における義務付けられた最初の工程であると思われる。その他のAPC、例えば、マクロファージおよびB細胞は、後の2次応答で重要であると思われ、そして単独では応答の最初の初回刺激において有効ではない。したがって、概して、DCは、免疫応答の増強のため、標的化するために最も重要な細胞と見なされる。
しかしながら、抗原のDCへの標的化には問題がある可能性がある。例えば、多くのペプチドは、インビボでAPCに効率的に分配されないので、単独では抗原性および免疫原性が乏しい。同様にペプチドは、APCによりあまり効率的に利用されないので、有効な抗原提示に必要な2次シグナルを引き出さない。
スーパー抗原は、樹状細胞を含むAPCで発現されるTリンパ球およびMHCクラスII分子のVβドメインを介してT細胞レセプター(TcR)に同時に結合することにより免疫系を標的化する半保存的細菌タンパク質のファミリーである。
スーパー抗原(SAg)は、公知の最も強力な免疫マイトジェンであり、そしてフェムト−アトモル濃度(10−15〜10−18M)で多くのT細胞を活性化する。これはT細胞による大規模な全身性のサイトカイン放出のために有意な毒性を引き起こす。現在ブドウ球菌および連鎖球菌のスーパー抗原ファミリーの19のメンバーがある。
Terman(国際公開公報第98/26747号)1は、スーパー抗原を用いる治療用組成物を開示している。これは、スーパー抗原を1つ以上の更なる免疫治療用抗原と併せて使用して、標的に対して志向する治療用免疫応答を誘起するか、または疾患を引き起こす免疫応答を阻止するかのいずれかを行うことができることを示唆している。Termanは更に、免疫治療用抗原−スーパー抗原重合体の形成について記載している。このような重合体には、スーパー抗原成分が第2級アミン連関によりペプチド抗原に連関されているものが含まれる。しかしながら、スーパー抗原成分が、TcR結合機能が全体的に、または部分的に削除されているものであることは、Termanにより、教示または示唆されていない。実際に、TcR結合がAPCの活性化、および重合体の抗原成分に対する免疫応答の刺激に必須ではないという認識はない。
したがって、それ自体がTcRへの結合により大規模な無差別のT細胞応答を引き出すことから、野生型SAgまたはTcRに結合する能力を保持している修飾されたSAgは、ほとんど使用されていない。このTcR架橋はその毒性の主要な原因であると思われる2。
したがって、通常非免疫原性であるか、または免疫原性が低く、しかし有効であり、そして毒性が低い抗原、例えばペプチドのT細胞認識を与え、そして増強するためにSAgのDC標的化および活性化の独特な特徴を利用する改善された免疫調節物質の必要性が存在する。
先行技術の少なくともいくつかの不都合を打破または改善するか、または有用な代替物を提供することが本発明の目的である。
本発明の第1の態様にしたがうと、免疫調節性抗原に連関された抗原提示細胞(APC)標的化分子を含む免疫調節物質を提供し、上記APC標的化分子はスーパー抗原SMEZ−2を擬似するが、完全な機能的T細胞結合部位を含まない。
本発明の第2の態様にしたがうと、免疫調節性抗原に連関された抗原提示細胞(APC)標的化分子を含む免疫調節物質を提供し、上記APC標的化分子は、分子がT細胞レセプターを活性化する能力をほとんどまたは全く有さないように破壊されたT細胞レセプター結合部位以外は、構造的にはSMEZ−2スーパー抗原である分子である。
好ましくは、SMEZ−2抗原提示細胞(APC)標的化分子と免疫調節性抗原との連関は可逆的である。
好ましくは、免疫調節性抗原はタンパク質またはペプチドである。
免疫調節性抗原は、抗原提示細胞(APC)標的化分子に連関されていない場合、完全に非免疫原性でよいが、本発明の免疫調節物質は、その効率を改善するために、免疫原性である抗原を組み込むこともできる。したがって、本発明は、既に公知であり、そして使用されているが、本発明の免疫調節物質により改善することができるワクチンのように、例えば新たなワクチンに同様に適用可能である。
別の態様では、本発明は、免疫調節性抗原に連関されたそのアミノ酸配列の位置18、42、75および182で1つ以上の突然変異を有するSMEZ−2を含む免疫調節物質を提供する。好ましくは、突然変異を、
Y18A、
W75L、
K182Q、および
D42C、
からなる群より選択する。
Y18A、
W75L、
K182Q、および
D42C、
からなる群より選択する。
別の態様では、本発明は、免疫調節性抗原に連関された、突然変異Y18A、W75L、K182Q、およびD42Cを有するSMEZ−2を含む免疫調節物質を提供する。
別の態様では、本発明は、免疫調節性抗原に連関された、突然変異W75L、K182Q、およびD42Cを有するSMEZ−2を含む免疫調節物質を提供する。
更に別の態様では、本発明は、卵白アルブミンまたは破傷風トキソイド(TT)に連関されたTcR結合性欠損SMEZ−2を含む免疫調節物質を提供する。
別の態様にしたがって、本発明による免疫調節物質および1つ以上の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、および/または溶媒を含む薬学的組成物が提供される。
更に別の態様にしたがって、本発明による免疫調節物質を含むワクチンが提供される。
第5の態様にしたがって、免疫系の誘導または刺激を必要とする障害の治療的または予防的処置の方法であって、このような処置を必要とする対象に本発明による免疫調節物質または薬学的組成物を投与することを含む方法が提供される。
好ましくは、障害は、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫感染、自己免疫、アレルギーおよび/または前腫瘍性もしくは腫瘍性転化からなる群より選択される。
別の態様にしたがって、免疫系の誘導または刺激を必要とする障害の治療的または予防的処置のための医薬品の調製のための本発明による免疫調節物質の使用が提供される。
好ましい障害は、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫感染、自己免疫、アレルギー、および/または前腫瘍性もしくは腫瘍性転化からなる群より選択される。
別の態様にしたがって、
a 構造的にSMEZ−2スーパー抗原である抗原提示細胞(APC)標的化分子のT細胞結合部位に修飾および/または欠失を導入する工程と、
b それを免疫調節性抗原に連関させる工程と、
を含む免疫調節物質を調製する方法が提供される。
a 構造的にSMEZ−2スーパー抗原である抗原提示細胞(APC)標的化分子のT細胞結合部位に修飾および/または欠失を導入する工程と、
b それを免疫調節性抗原に連関させる工程と、
を含む免疫調節物質を調製する方法が提供される。
しかしながら、1つ以上の抗原提示細胞(APC)標的化分子を用いることができ、そして免疫調節物質の組み合わせをいずれかの処置で使用することができることは理解される。
別の態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列の18、42、75、および182位置で1つ以上の突然変異を有するSMEZ−2を提供する。好ましくは、突然変異を、
Y18A、
W75L、
K182Q、および
D42C、
からなる群から選択する。
Y18A、
W75L、
K182Q、および
D42C、
からなる群から選択する。
別の態様では、本発明は、突然変異Y18A、W75L、K182Q、およびD42Cを有するスーパー抗原SMEZ−2を提供する。
別の態様では、本発明は、突然変異W75L、K182Q、およびD42Cを有するスーパー抗原SMEZ−2を提供する。
関連する態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列の18、42、75、および182位置で1つ以上の突然変異を有するSMEZ−2をコードする核酸を提供する。
本発明は、少なくとも部分的に、スーパー抗原に擬似するが、完全に機能的なTcR結合部位を欠いている分子は、免疫調節性抗原に連関された場合、APCに結合して、そして以前に知られていなかったか、または疑われた程度までAPCを活性化することができるという観察に基づいている。
この結果は、国際公開公報第02/45739号に本発明者らにより開示された。本出願は、スーパー抗原SMEZ−2を擬似する特異的分子の免疫調節物質における使用に志向されている。国際公開公報第02/45739号にて論じられているように、本発明の免疫調節物質は、高い分配能力、およびTcRを削除されたスーパー抗原のAPC活性化能力、および連関された抗原の特異性を保持している。しかしながら、本発明者らは、SMEZ−2(特に本明細書に後記するこれらのSMEZ−2突然変異体)に基づく免疫調節物質を用いて、予測されるものを超える特に非常に効果的で、そして強力であることを実証した。これらの構築物は、予測されるMHC応答よりも良好に展示することに留意される。
本発明の免疫調節物質を本明細書にて「免疫調節性構築物」または単に「構築物」と称することもできる。
APC標的化分子として多様なTcR結合性欠損スーパー抗原またはその擬似物質が、選択的に試験されている。これらは具体的には、本明細書で後記で詳記するようなSMEZ−2の突然変異体を含む。SMEZ−2は、SMEZのアレルバリアントである。
TcR結合部位の標的化された突然変異誘発を完成させてT細胞分裂誘発性の>105倍低下した突然変異体を作製した。図1は、1つのSMEZ−2分子に4つまでの特異的点突然変異を含む特異的SMEZ−2突然変異体に関するT細胞分裂誘発性の>105倍低下を説明している。
本発明のSMEZ−2基盤の構築物において使用するためのTcR結合性欠損SMEZ−2は、好ましくは、本明細書で詳記するようなSMEZ−2のアミノ酸配列(配列番号1)の位置18、42、75、182で1つ以上の突然変異を有するSMEZ−2から選択される。更に好ましくは、TcR結合性欠損SMEZ−2突然変異体は、1つ以上の以下の突然変異:Y18A、W75L、K182Q、およびD42Cを含む。本発明で有用なとりわけ好ましいSMEZ−2突然変異体を以下の表1に記載する。
図2は分子の結晶構造から発展させたM1の3−D構造図を説明する。M1突然変異体の構造図は、TcR結合部位突然変異体(青色)および活性MHC付着部位(赤色)を示す。MHC結合部位の位置は、TcR結合部位から少し離れていることが当業者に理解される。更にTcR結合および認識に関与する残基はMHC結合には関与しないと思われる。これはMHC結合親和性を実質的に低下させずに、SMEZ−2のTcR結合特性を突然変異により破壊することが可能であることを意味している。
野生型SMEZ、とりわけSMEZ−2において当技術分野で公知のいずれかの手段により突然変異を作り出すことができる。好ましい方法には、重複PCRの使用が包含される。当業者には理解されるように、概して、この技術は、特異的突然変異が導入されることになっている細菌プラスミドに含まれる野生型遺伝子鋳型の特異的配列にハイブリダイズする2つの相補的重複合成プライマーの使用を包含する。プライマーは、重複領域内に突然変異を含有する。プライマーの伸長により、特異的突然変異を含有する新たな核酸鎖の合成が可能になる。次いで突然変異した核酸プライマーを細菌に導入して組換え突然変異体タンパク質を生成する。本発明に有用なSMEZ−2突然変異体に到達するために用いることができる技術の具体例を本明細書後記の「実施例」見出しの下で提供する。
本発明のAPC標的化分子に連関することができる種々の抗原は、当業者には理解される。このような抗原を本明細書にて「免疫調節性抗原」と称することができる。これらは未変性のまたは組換えポリペプチド、タンパク質、完全および/または無能ウイルス、核酸、そして炭水化物抗原もまた含むことができる。本発明に有用な核酸およびポリペプチドを合成により生成できることは理解される。本発明で使用するための適当な抗原を入手または作製する手段は、当業者には容易に理解される。
免疫原性である必要があってもなくてもよいものを含む、前記した一連の抗原に関して本発明の免疫調節性構築物を調製することができる。これは抗原の免疫原性を提供もしくは改善すること、または免疫応答を誘導するのに必要な抗原量を低下させることの利点を有している。
例えば特定の病原体に関する保護免疫を生じることが解っているタンパク質を、最初にタンパク質をTcR結合性欠損SMEZ−2分子に抱合させることにより更に免疫原性にすることができる。ペプチドタンパク質は、宿主免疫系に対して複数の限定ペプチドエピトープを提示するために最初にAPCにより分解される。APC、例えば樹状細胞に対してウイルスを選択的に標的化する分子を付け足すことにより、抗ウイルス免疫を強化することができる。
例えば特定の病原体に関する保護免疫を生じることが解っているタンパク質を、最初にタンパク質をTcR結合性欠損SMEZ−2分子に抱合させることにより更に免疫原性にすることができる。ペプチドタンパク質は、宿主免疫系に対して複数の限定ペプチドエピトープを提示するために最初にAPCにより分解される。APC、例えば樹状細胞に対してウイルスを選択的に標的化する分子を付け足すことにより、抗ウイルス免疫を強化することができる。
ペプチドの1次配列に依存して耐性を誘導するために刺激性(すなわちアゴニスト応答を生じる)かまたは免疫抑制性(すなわちアンタゴニスト応答を生じる)のいずれかであるように抗原を設計することができる。これは病原体、例えばウイルス、細菌、およびその他の微生物に対するワクチン接種のため、または腫瘍特異的ペプチドを用いて特異的抗腫瘍免疫を作製するためかのいずれかのために免疫を促進するのに有用である。
アンタゴニスト応答は抗原に対するT細胞耐性を誘起し、そして疾患、例えば多発性硬化症、糖尿病、またはリウマチ性関節炎の場合、自己抗原、例えばタンパク質、および/または核酸に対する望ましくない自己免疫反応を抑制するのに有用であろう。
多くの自己免疫疾患では自己抗原に対する自己反応性T細胞応答が基礎になっている。疾患、例えばリウマチ性関節炎、多発性硬化症、および真性糖尿病はこのような実例である。
卵白アルブミン抗原(図5)および破傷風トキソイドのペプチドを用いて本発明のSMEZ−2基盤の免疫調節物質の効果を実証した。これらの抗原を含有する免疫調節物質をどのように用いることができ、そして抗原のスーパー抗原への付着が特異的免疫応答にどのような影響を及ぼすかは、本発明が関連する当業者には容易に理解される。しかしながら、実例として、破傷風トキソイドまたはそのペプチドを基盤とする免疫調節物質が、テタヌス抗原に対する応答性を増強し、そして必要な抗原量を減少させるためのテタヌスワクチン接種プロトコールにおいて有用であることを見出すことができる。
別の実例として、本発明の免疫調節物質は、免疫調節性抗原としてLCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)ペプチドを含むことができ、これはアミノ酸配列CKAVYNFATMを有するのが好ましい。本明細書に後記で詳記するように、本発明者らの研究は、このペプチドを含有する構築物を用いて腫瘍成長を阻止するのを助け、そしてしたがって、癌の処置または緩解に有用であることを見出すことができることを示している。
当技術分野で標準的ないくつかの技術を用いて、APC標的化分子の、更に具体的にはTcRが破壊されたSMEZ−2分子の抗原への連関を達成することができる。「連関する」(coupling)なる用語は、APC標的化分子が1つ以上の免疫調節性抗原に随伴され得るいずれかの手段を含むことを意図し、そして融合、化学的結合等を含むことを理解すべきである。例えば、スーパー抗原のC末端またはN末端のいずれかの遺伝子伸長として形成された抗原との融合タンパク質の形態で、構築物を組換えにより生成することができる。抗原がMHCクラスII結合と干渉しないことを確実にするために特に考慮することが好ましい。あるいは、本明細書で「実施例」の小見出しの下で後記する技術にしたがって、または国際公開公報第02/45739号に記載するように、抗原およびAPC標的化分子を連関させることができる。
一般的な方法により、サクシンイミジル−S−アセチルチオプロピオナート(SATP、Pierce Chemicals)を用いてAPC標的化分子を抗原に連関させることができる。第1の工程では、抗原をSATPを用いる抗原をチオール化過程に供する。抗原を最初にNaPO4に溶解し、一方SATPをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解する。SATP溶液をモル比1:1でタンパク質に加え、そして室温で2時間インキュベートする。10000rpmで約5分間VIVASPIN濃縮器(5kDaサイズ排除)を通過させることにより、非結合SATPを除去する。NaPO4を加え、そして5回繰り返す[3]。あるいは、抗原にセファデックスG25脱塩カラムのカラムを通過させる。遊離のSATPを除去した直後に、脱アセチル化過程により、抗原SATPのスルフヒドリル基を脱保護する。NaPO4、EDTA、およびヒドロキシルアミン−HClを含む脱アセチル化溶液を用いてこれを達成することができる。次いでSMEZ−2のタンパク質−SATPに対するモル比1:10でTcR結合性欠損SMEZ−2を溶液に加える。当技術分野で容易に理解されるように、連関バッファーを加えることもできる。次いでTcR結合性欠損SMEZ−2およびタンパク質−SATPを室温で約2時間インキュベートする。
抗原が、自然発生的システイン残基を有する場合、反応性スルフヒドリル基を導入する必要なく、SMEZ−2への連関を直接達成することができる。この場合、連関は、前記で概要を示した、確立された手順に従う。
抗原が、自然発生的システインを有していない場合、多くの標準的な方法を用いて反応性スルフヒドリル基を導入することができる。実例としては、システイン残基を遺伝的に組換えペプチドに導入することができ、ポリペプチドは、ヘテロ発現系(原核細胞性または真核細胞性)から発現される。反応性スルフヒドリル基を導入する部位は分子表面で暴露されるのが好ましいことは、当業者には容易に理解される。当業者は実際の、または推定3Dタンパク質構造に基づいてこのような残基を容易に同定することができよう。
別の実例としては、標準的な方法にしたがって、遺伝子構築物の5〜10個のグリシン残基の可動性リンカーを作製することによりSMEZ−2のC末端を伸長することにより、組換えSMEZ−2:抗原構築物を構築することができる。更に、マルチクローニング部位を含む核酸構築物を提供して、選択された抗原またはペプチド遺伝子配列を添加すること可能にできる。次いで全構築物を発現させて組換え融合構築物タンパク質を作製することができる。
別の実例としては、代替の連関方法は、SMEZ−2に連関されたストレプトアビジンの使用を含むことができる。ストレプトアビジンは、4分子のビオチンと強固に結合する。これにより、ビオチン化タンパク質およびペプチドの多価性の付着を可能にするSMEZ−2ストレプトアビジン融合構築物が作製される。標準的な方法にしたがって、抗原をビオチン化し、次いでSMEZ−2ストレプトアビジン融合構築物に添加して、最終的なコンジュゲートを形成する。当技術分野で容易に理解されている技術にしたがって、このような連関を企図することができる。
本発明の好ましい実施態様では、APC標的化分子と抗原との間の連関は可逆的である。とりわけ好ましいのは、APC標的化分子は、免疫調節性抗原を放出することができ、そのためにAPCにより正確に提示されることである。構築物からの抗原の放出は細胞内またはリソゾーム内の酵素切断により達成され得ることは、本発明が関係する当業者により認識されよう。適当なタンパク質溶解部位を構築物の連関領域に導入することにより、この方法を補助することができる。ジスルフィドおよび遊離のスルフヒドリル基が関与する酸化/還元反応を含む化学的手段により、該放出を達成することもできる。連関領域に特定のアミノ酸残基、例えばシステインを導入することにより、この方法を補助することもできる。このような切断または放出部位を構築物に組み込むことができる技術は、当業者には容易に理解される。しかしながら、実例としては、適当な部位を含むペプチドもしくはそれをコードする核酸の部位特異的突然変異誘発、組換えクローニングおよび/または発現、化学的合成などがある。
連関が、個々のペプチドに限定される必要はない。ペプチドに対する免疫応答は、宿主のMHC多型性により厳しく制限されているので、ある状況では、多様な免疫調節物質を作製するためにペプチドのセットで免疫することが適当であろう。構築物の多様性を高めるために、前記した手順または、当業者に明らかであるそれを修飾した手順により、大きな抗原、例えばウイルス、細菌、またはその他のタンパク質抗原の種々の成分に相当する複数のペプチドを連関して、混合抗原:SMEZ基盤の構築物抗原応答を提供することができる。更に、ペプチドの比率を容易に制御して免疫応答を更に望ましい結果に微調整することができる。
加えて、大きな構造、例えばウイルスを、最初に反応性スルフヒドリル基を導入する化学物質でウイルスを処置することにより、TcR欠損スーパー抗原、とりわけSMEZ基盤の、更にとりわけSMEZ−2基盤のスーパー抗原で「被覆」することができる。
いずれかの適当な手段によりSMEZ−2:抗原構築物の精製を実施することができる。構築物の特性およびそれを作製することができる方法に関連する適当な技術は、本発明が関係する当業者には容易に理解される。しかしながら実例としては、HPLCにより、および/またはSuperose 12カラムを用いるHPLCのサイズ排除クロマトグラフィーもしくは、当技術分野で公知であるサイズに基づいてタンパク質を分離することができるいずれかその他の適当なクロマトグラフィー手段により本発明の構築物を精製することができる。
個々の免疫調節性構築物に加えて、本発明はまた、1つ以上の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤および/または溶媒と一緒にそれらを含有する薬学的組成物をも提供する。
「薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、および/または溶媒」なる語句は、製剤を調製するのに有用であり、本発明の免疫調節性構築物と同時投与できるが、その意図された機能を実施することを可能にし、そして概して、安全で、無毒で、そして生物学的にもそうでなくても望ましい物質を含むことを意図する。許容される薬学的担体、アジュバント、賦形剤、および/または溶媒には、獣医学的使用およびヒト使用に適したものが含まれる。許容される薬学的希釈剤、担体、および/または賦形剤の実例には、溶液、溶媒、分散液、培地、遅延化剤、エマルジョン、充填剤等が含まれる。
種々の許容される薬学的担体、アジュバント、賦形剤、および/または溶媒を本発明の組成物の調製に用いることができることは、当業者には容易に理解される。理解されるように、許容される薬学的担体、アジュバント、賦形剤、および/または溶媒の選択は、ある程度、意図される組成物の投与形態および組成物の投与様式により決定され得る。
適当な担体、賦形剤、および溶媒の実例には、ミョウバンおよびTitreMaxが含まれる。
本発明が関係する当業者に理解されるように、アジュバントの選択は、多くの変動因子に依存して異なり得る。実例としては、アジュバントの化学的特性、および特定の対象におけるその作用様式、必要とされるアジュバント効果のレベル、特定のアジュバントの観察される副作用、用いる抗原の特性、特定の対象のアジュバントに対する耐性、対象が属する動物の種、並びに対象の年齢および/または一般健康状態などがある。適当なアジュバントの実例には、油基盤のアジュバント(例えばフロイント完全または不完全、鉱物油、乳化落花生油(アジュバント65)、パラフィン、および植物油)、リポソーム、ミネラル化合物、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、エンドトキシン、コレステロール、脂肪酸、脂肪族アミン、モノホスホリル脂質A、免疫刺激複合体(ISCOM)(例えばQuil−Aを伴うISCOM)、およびスレオニル誘導体またはムラミルジペプチドを含有するSyntexアジュバント製剤(SAF)などがある。
担体、アジュバント、賦形剤、および/または溶媒に加えて、本発明の組成物を更なる構築物と共に、または例えばその完全性の保護を補助するような様式で処方することができる。例えば、組成物は、タンパク質溶解性分解に対して保護を提供する構築物を更に含むことができる。
当業者は、本発明の組成物に含めることができる更なる成分を理解することができる。
当技術分野で標準的な多くの技術により、個々の成分を1つ以上の溶媒、担体、アジュバントおよび/または賦形剤と混合することにより本発明の組成物を生成することができる。
本発明の構築物または組成物を用いて種々の異なる疾患および疾病を処置および/または予防することができることは予想される。例えば本発明は、ウイルスおよび細菌の感染または疾患に適用される。
本明細書で用いる「処置」なる用語またはその変形は、その最も広義の局面で考慮される。該用語は、動物が完全に回復するまで処置されることを意味する必要はない。したがって、「処置」は、特定の症状の徴候もしくは重篤度の改善、または特定の症状の進行の予防もしくはそうでなければその危険性の低減を含む。
実例としては、例えばHIV、B型肝炎、C型肝炎、およびコロナ(突発性急性呼吸器症候群(SARS)を含む)ウイルスでの感染に対して長期間の保護を促すことが望ましい場合、感染構築物は、多くのウイルス感染に関して有用であることを見出すことができる。これらのウイルスは集団の間で一般的な、そして/または悪性であり、そして代替治療が望ましい感染に相当する。例えばHIV基盤の構築物を種々のHIV非多型性表面またはコア抗原から形成することができる。
本発明はまた、結核、シュードモナス抗原、インフルエンザ菌、髄膜炎菌を含む感染に対して長期間の保護を促すことが望ましい場合、本発明は、細菌感染に関して有用であることを見出すことができる。これもまた、本発明が適用を有する可能性があり、そして現在付随されるかなりの医学的関連性がある細菌感染の1つの選択を単に提示したものである。細胞表面および細菌から分泌された抗原またはペプチドに基づいて抗原またはペプチドを調製することができる。
更に、本発明の構築は、抗腫瘍処置において、および自己免疫疾患の処置のために適用を有する可能性がある。特異的抗腫瘍免疫応答を生じるために、連関された抗原またはペプチドを腫瘍、例えばメラノーマおよび充実性腫瘍から調製することができ、例えばを本発明の構築においてLCMVを抗原として使用することができる(後記にて詳記)。TcR欠損SMEZ−2に連関されたペプチドまたはタンパク質を用いて、多発性硬化症のごとき自己免疫疾患を有する患者における免疫応答を抑制することができる。
本発明の組成物および/または構築物を当技術分野で公知のいずれかの投与形態として投与することができることが理解される。好ましくは、注入可能な液体を使用する。しかしながら、経口投与用液体、錠剤、カプセル、丸剤、顆粒剤、懸濁液およびエマルジョン、並びにスプレー(アトマイザーまたはエアロゾル)のごとき投与形態を用いることができる。
本発明の組成物および/または構築物を好ましくは、静脈内または筋肉内注射により投与する。しかしながら、当業者には、例えば処置される症状および用いられる投与形態を考慮して代替の投与経路を容易に認識されよう。
理解されるように、対象間で、構築物に対する耐性、体重、代謝、選択される投与様式、徴候の重篤度、並びに対象の年齢および/または一般健康状態のごとき変動因子に依存して、投与される用量、投与の期間、および一般的な投与計画を変更することができる。
本発明の別の態様では、そして本明細書に記載する原理を適用して、以下を達成することもできる。
・MHCクラスIおよびクラスII制限ペプチドを組み合わせて、改善されたヘルパーCD4および細胞溶解性CD8エフェクター細胞を提供することができる。
・1つ以上のウイルス抗原からの免疫優性ペプチドを組み合わせて、選択的抗ウイルス免疫を促進することができる。
・通常保護免疫応答において優性でないが、その複製またはライフサイクルに必須であるウイルスの領域に相当し、そして自然に強く保存されているウイルス抗原の領域からのペプチドを使用することができる。これはレトロウイルス(例えばHIV)のごとき高度に突然変異したウイルスに対するワクチンの開発においてとりわけ重要である。
・ペプチドおよびその他の抗原を一緒に組み合わせて、そして免疫調節物質により分配して免疫応答を増強または変調することができる。
・MHCクラスIおよびクラスII制限ペプチドを組み合わせて、改善されたヘルパーCD4および細胞溶解性CD8エフェクター細胞を提供することができる。
・1つ以上のウイルス抗原からの免疫優性ペプチドを組み合わせて、選択的抗ウイルス免疫を促進することができる。
・通常保護免疫応答において優性でないが、その複製またはライフサイクルに必須であるウイルスの領域に相当し、そして自然に強く保存されているウイルス抗原の領域からのペプチドを使用することができる。これはレトロウイルス(例えばHIV)のごとき高度に突然変異したウイルスに対するワクチンの開発においてとりわけ重要である。
・ペプチドおよびその他の抗原を一緒に組み合わせて、そして免疫調節物質により分配して免疫応答を増強または変調することができる。
本発明の別の態様は、TcR結合部位欠損を有するスーパー抗原SMEZ−2に関する。好ましくは、SMEZ−2は、配列番号1のアミノ酸配列の位置18、42、75および182で1つ以上の突然変異を有する。更に好ましくは、突然変異をY18A;W75L;K182Q;およびD42Cからなる群から選択する。とりわけ好ましい実施態様では、突然変異Y18A、W75L、K182Q、およびD42Cを有するSMEZ−2(M2;配列番号3)、および突然変異W75L、K182Q、およびD42Cを有するSMEZ−2(M1;配列番号2)に関する。
本発明によるTcR結合性欠損を有するSMEZ−2スーパー抗原を作製する方法は、本発明が関係する当業者には容易に理解される。これらの方法には、天然供給源からの単離、組換え産生、化学的合成、および本明細書のいずれかで記載した技術が含まれる。
本発明はまた、本発明のSMEZ−2突然変異体をコードする核酸および同一物を含む構築物を提供する。本発明による核酸は、DNA、RNA、またはcDNA、例えば2本鎖または1本鎖、センスまたはアンチセンスであってよく、そして本発明のSMEZ−2突然変異体をコードする核酸を含有する組換え構築物を含むことができる。
本発明が関係する当業者は、本発明に包含されるSMEZ−2突然変異体をコードする核酸を容易に同定することが可能であろう。本明細書にて提供されるアミノ酸配列、遺伝子コード、および解っているその縮重に基づいてこれを行うことができる。また本発明に包含されるSMEZ−2突然変異体をコードする核酸を、本明細書にて例示するSMEZ−2アミノ酸配列に基づく核酸プローブを用いるゲノムもしくはcDNAライブラリーのスクリーニングにしたがって同定および単離するか、またはこのようなプローブを用いて天然供給源から単離することもできる。
本発明をここで、更にとりわけ非限定的な実施例を参照して例示する。具体例により処置方法において本発明の免疫調節性構築物の効率が改善された証拠が提供される。一例では、卵白アルブミン抗原に連関されたM1と称されるSMEZ−2突然変異体を含む構築物を開発した。卵白アルブミン単独ではマウスにおいて弱い免疫原であり、そして強力な抗体応答を生じない。しかしながら、TcR削除されたM1に連関された卵白アルブミンは抗卵白アルブミン抗体に対して劇的に増加した力価(10倍)を生じる。更にこの抗体はIgクラススイッチングが起こっていることを示すIgG1サブクラスの抗体であることが解った。これは、抗体を産生するB細胞が高力価の抗体の長期間産生を確実にする記憶細胞を発生させる可能性があるという兆候である。したがって、M1:卵白アルブミン構築物は非常に増強された免疫原性を説明し、そして長寿命の保護性体液性免疫応答に重要である高親和性IgG1抗体を生じる。
ヒトにワクチン接種するために用いられる破傷風トキソイド(TT)タンパク質からの合成ペプチドを用いて別の構築物を調製した。これらのペプチドを用いて、ヒトにおける天然発生応答を試験し、そしてTcR結合性欠損SMEZ−2に連関されたペプチドがペプチド単独よりも有効にヒト記憶T細胞を刺激することができるかどうかを決定した。この実験の10年前にワクチン接種されたヒトから末梢血リンパ球を採取した。特異的SMEZ−2基盤分子に抱合されたTTペプチドを含む構築物がTTペプチド単独よりも10,000,000倍以上低い濃度で活性であったことがその結果により説明される。TTペプチド10μg/mlに対して、100fg/mlのTTの構築物でより高い抗TT特異的応答が患者において認められ、これはTTペプチドがTcR削除されたスーパー抗原に連関された場合、TTペプチドの免疫原性が実質的に非常に上昇することを示している。M1:ペプチド構築物により刺激された場合、抗TT T細胞の前駆体頻度もまた大きくなるように思われる。これは、構築物が裸のTTペプチドにより刺激されなかった双方の低親和性T細胞クローンを刺激することを示唆している。
これらの結果は、ヒトにおいて少なくともSMEZ−2の突然変異体を基盤にする構築物の免疫原性の非常な上昇を示しており、そしてそれを用いてヒトおよび動物ワクチン、処置を実質的に改善し、そして生物学的アッセイを提供することができることを説明している。
本発明者らは、以前に国際公開公報第02/45739号において免疫調節性構築物を構築する方法および種々の免疫調節性構築物を開示した。国際公開公報第02/45739号は、スーパー抗原をクローニングする方法、スーパー抗原のTcR結合部位の削除、種々の合成および天然ペプチドおよび/または抗原からの種々の免疫調節性構築物の構築、並びに生物学的な系におけるその効果を開示した。本実施例は、特異的SMEZ−2基盤の免疫調節性構築物に関する。SMEZ−2構築物は、予測されるよりも良好にMHC応答および一般的な強度示す。
これらの研究の目的は、例えば野生型SAGの活性の約0.0001%でT細胞を刺激する突然変異体を生成することであった。
SMEZ−2は、SMEZのアレルバリアントである。TcR結合部位の標的化突然変異誘発により、本発明者らが、T細胞分裂促進性が>105倍低下した突然変異体を作製することが可能になった。図1は、T細胞分裂促進性の>105倍低下がSMEZ−2分子の3つの特異的残基の突然変異の結果であることを説明している。
SMEZ−2遺伝子のクローニング、発現および突然変異
a)SMEZ−2 Y18A
b)SMEZ−2 D42A
c)SMEZ−2 W75L
d)SMEZ−2 R182Q
e)SMEZ−2 D42C、W75L、K182Q(M1)
f)SMEZ−2 Y18A、D42C、W75L、K182Q(M2)
a)SMEZ−2 Y18A
b)SMEZ−2 D42A
c)SMEZ−2 W75L
d)SMEZ−2 R182Q
e)SMEZ−2 D42C、W75L、K182Q(M1)
f)SMEZ−2 Y18A、D42C、W75L、K182Q(M2)
すべての突然変異体を重複PCRにより作製した。これは必要とされる突然変異が双方のDNA鎖に別個に導入され、続いてアニーリングし、そして2つの鎖を増幅する2工程法である。
第1の工程では、すべてのPCR反応を0.5ml PCRチューブ(SSI、カリフォルニア州、米国)中で、pGEX−3c:SMEZ−2 wt DNA(鋳型)500ng、0.2μM 各プライマー、100μM 各dNTP(GibcoBRL)、2.5mM MgCl2、および1U Taq DNAポリメラーゼ(Promega)を用いて実施した。各PCRを鉱物油または同様のもので重層してサイクリング中の反応混合物の蒸発を防いだ。Perkin Elmer Cetus Thermo Cyclerを用いて以下の反応条件下でPCRサイクリングを行った:94℃の温度で30秒間の変性、53℃からの温度で45秒間のアニーリング、および72℃の温度で30秒間の伸長。15サイクル行った。
DNAフラグメントをTrisアセタートバッファー中1% アガロースゲルに流し、40μg/ml臭化エチジウムの溶液で染色し、そして紫外光の下で切除した。UltraClean(商標)15 DNA精製キット(MOBIO laboratories Inc.,Solana Beach、カリフォルニア州、米国)を用いて製造者の指示書にしたがってアガロース片からDNAフラグメントを抽出した。
第2工程では、a)第1工程からの2つの精製されたPCR産物各50ngを鋳型として使用した、b)pGEX upperおよびpGEX lowerプライマーを使用した、c)アニーリングは48℃であった、並びにd)20サイクルを行った以外は、前記したのと同一のPCRプロトコールを用いて別のPCRを実施した。
第1工程PCRに使用したプライマーの組み合わせ
a)SMEZ−2 Y18A:SMEZ−2 Y18A.fw/ pGEX−lowerおよびSMEZ−2 Y18A.rev/ pGEX− upper
b)SMEZ−2 D42A: SMEZ−2 D42A.fw/ pGEX−lowerおよびSMEZ−2 D42A.rev/ pGEX− upper
c)SMEZ−2 W75L: SMEZ−2 W75L.fw/ pGEX−lowerおよびSMEZ−2 W75L. rev/ pGEX− upper
d)SMEZ−2 R182Q: SMEZ−2 R182Q.fw/ pGEX−lowerおよびSMEZ−2 R182Q. rev/ pGEX− upper
a)SMEZ−2 Y18A:SMEZ−2 Y18A.fw/ pGEX−lowerおよびSMEZ−2 Y18A.rev/ pGEX− upper
b)SMEZ−2 D42A: SMEZ−2 D42A.fw/ pGEX−lowerおよびSMEZ−2 D42A.rev/ pGEX− upper
c)SMEZ−2 W75L: SMEZ−2 W75L.fw/ pGEX−lowerおよびSMEZ−2 W75L. rev/ pGEX− upper
d)SMEZ−2 R182Q: SMEZ−2 R182Q.fw/ pGEX−lowerおよびSMEZ−2 R182Q. rev/ pGEX− upper
プライマー配列:
すべてのプライマーは、GIBCO BRLにより商業用に製造された。
4つの突然変異の連続的な導入により四重突然変異体を作製した。最初にpGEX−3c:SMEZ−2 K182Qを鋳型として用いてSMEZ−2 W75L、K182Qを作製した。この二重突然変異体をpGEX−3cにクローン化し、そして次に鋳型として用いてSMEZ−2 D42C、W75L、K182Q(M1)を作製した。最後にpGEX−3c:M1三重突然変異体を鋳型として提供してM2四重突然変異体SMEZ−2 Y18A、D42C、W75L、K182Qを作製した。
組換えSMEZ−2突然変異体の発現および精製
重複PCRフラグメントを制限酵素BamHIおよびEcoRI(Life Tech)を用いて消化し、そしてpGEX−3c発現ベクターにクローン化した。このベクターは、挿入したDNAの直ぐ上流のピコルナウイルス(Walkerら(1994)3)から高度に特異的なプロテアーゼ3C切断部位を発現するpGEX−2T(Pharmacia Biotec)を修飾したものである。組換えSMEZ−2突然変異体は、大腸菌(E.coli)DH5でグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現された。培養物を37℃で成長させて、そして0.2mM イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した後、3〜4時間誘導した。
重複PCRフラグメントを制限酵素BamHIおよびEcoRI(Life Tech)を用いて消化し、そしてpGEX−3c発現ベクターにクローン化した。このベクターは、挿入したDNAの直ぐ上流のピコルナウイルス(Walkerら(1994)3)から高度に特異的なプロテアーゼ3C切断部位を発現するpGEX−2T(Pharmacia Biotec)を修飾したものである。組換えSMEZ−2突然変異体は、大腸菌(E.coli)DH5でグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現された。培養物を37℃で成長させて、そして0.2mM イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した後、3〜4時間誘導した。
GST融合タンパク質をグルタチオン(GSH)アガロース上で精製し、そしてプロテアーゼ3C(Keith Hudson(Oxford大学、Oxford、英国)により提供された)を用いて室温で一晩、GSTから突然変異体タンパク質を切断した。カルボキシメチルセファロース(Pharmacia Biotec)を用いて2ラウンドのカチオン交換クロマトグラフィーにより突然変異体タンパク質を更に精製した。
ゲル電気泳動
すべての精製した組換え毒素を12.5% SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で純度に関して試験した。
すべての精製した組換え毒素を12.5% SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で純度に関して試験した。
アミノ酸配列情報
野生型SMEZ−2および前記の方法により作製された突然変異体に関する配列の詳細を以下に記載する。
SMEZ2 野生型(配列番号1)
野生型SMEZ−2および前記の方法により作製された突然変異体に関する配列の詳細を以下に記載する。
SMEZ2 野生型(配列番号1)
M1突然変異体(配列番号2)
M2突然変異体(配列番号3)
組換え野生型および突然変異体タンパク質の精製
SMEZ野生型(wt)および/または突然変異体タンパク質をカチオン交換クロマトグラフィーにより精製した。簡単には、GSTおよびSMEZ−2の双方を含有する切断された融合タンパク質を10mM PO4(pH6.0)1l中で一晩透析し、同一バッファーで予め平衡にしたCM Sepharose(Pharmacia)の10mlカラムに負荷した。これらの条件下ではSMEZ−2のみが結合し、そしてGSTが溶出される。次いで精製されたSMEZ−2 野生型および/または突然変異体を50mM PO4(pH6.8)を用いてカラムから溶出した。CM Sepharoseクロマトグラフィーによる精製を前記したように2回目も繰り返す。SMEZ−2 野生型および/または突然変異体を滅菌濾過し、そして50mM リン酸塩バッファー中1mg/mlで4℃で保存した。
SMEZ野生型(wt)および/または突然変異体タンパク質をカチオン交換クロマトグラフィーにより精製した。簡単には、GSTおよびSMEZ−2の双方を含有する切断された融合タンパク質を10mM PO4(pH6.0)1l中で一晩透析し、同一バッファーで予め平衡にしたCM Sepharose(Pharmacia)の10mlカラムに負荷した。これらの条件下ではSMEZ−2のみが結合し、そしてGSTが溶出される。次いで精製されたSMEZ−2 野生型および/または突然変異体を50mM PO4(pH6.8)を用いてカラムから溶出した。CM Sepharoseクロマトグラフィーによる精製を前記したように2回目も繰り返す。SMEZ−2 野生型および/または突然変異体を滅菌濾過し、そして50mM リン酸塩バッファー中1mg/mlで4℃で保存した。
SMEZのTcR結合性欠損したもののT細胞増殖アッセイ
部位特異的突然変異誘発を用いてSMEZ−2のTcR結合突然変異体を前記したように調製した。T細胞増殖に及ぼすSMEZ−2突然変異体の影響を標準的なチミジン取り込みアッセイを用いて研究した。健常ヒト提供者からのヒト末梢血リンパ球を平底96ウェルプレート中5×105セル/ウェルで、種々の希釈の精製されたスーパー抗原突然変異体と共にインキュベートし、そして37℃で3日間インキュベートした。3日後、3H チミジン10μCiを加え、そしてセル・ハーベスターを用いて4日に細胞を収集した。リンパ球増殖の測定として、DNAへの3H チミジンの取り込みをシンチレーション・オートグラフィーにより測定した。
部位特異的突然変異誘発を用いてSMEZ−2のTcR結合突然変異体を前記したように調製した。T細胞増殖に及ぼすSMEZ−2突然変異体の影響を標準的なチミジン取り込みアッセイを用いて研究した。健常ヒト提供者からのヒト末梢血リンパ球を平底96ウェルプレート中5×105セル/ウェルで、種々の希釈の精製されたスーパー抗原突然変異体と共にインキュベートし、そして37℃で3日間インキュベートした。3日後、3H チミジン10μCiを加え、そしてセル・ハーベスターを用いて4日に細胞を収集した。リンパ球増殖の測定として、DNAへの3H チミジンの取り込みをシンチレーション・オートグラフィーにより測定した。
T細胞増殖に関する突然変異体対野生型の比較データを表2に示す。
抗腫瘍免疫−インビボ腫瘍保護
多くの新規癌免疫治療は、直接樹状細胞に対して潜在的腫瘍特異的抗原(通常系統特異的または分化抗原)を標的化することにより宿主腫瘍耐性を破ることを試みている。
多くの新規癌免疫治療は、直接樹状細胞に対して潜在的腫瘍特異的抗原(通常系統特異的または分化抗原)を標的化することにより宿主腫瘍耐性を破ることを試みている。
TcR欠損SMEZ−2基盤の構築物は通常APCに対する腫瘍特異的抗原を標的とし、そして抗原提示を増強する同時刺激シグナルを促すことが本発明者らにより実証されている。
国際公開公報第02/45739号に記載されるペプチド連関方法にしたがって、三重(M1)および四重(M2)TcR−/−SMEZ−2をLCMVペプチド(CKAVYNFATM配列を有する)に連関させ、そして等量のフロイント不完全アジュバント(IFA)と共に乳化した。ペプチド1μgと等価のスーパー抗原−LCMVを注射し、そしてIFAと共に乳化したペプチド100μgをC57BL6/Jマウス(n=5)の群の右脇腹に皮下注射したものと比較した。免疫の7日後、マウスを左脇腹に皮下注射した1×106LL−LCMV腫瘍細胞でマウスを誘発した。LL−LCMV細胞は、LCMV33−41ペプチドのミニ遺伝子でトランスフェクトしたルイス肺癌腫細胞(LLTC)であり、そしてH−2bバックグラウンドのマウスで、インビボで標的として認識され得る。一度、各群の1匹が直径16mmかまたは面積200mm2に至る腫瘍を有すると、3〜4日毎にマウスをモニター観察し、そして剖検した。
腫瘍サイズを2等分した腫瘍直系の積の算術平均として示す(図4aは、この実験の結果を示す。図4bは、マウスを5倍以上の腫瘍細胞で誘発した類似の実験の結果を示す)。結果により、SAg−LCMVで免疫されたマウスは、LL−LCMVで誘発された場合、腫瘍成長を阻止するようであるということが説明され、そしてペプチド単独よりもSMEZ−2突然変異体に抱合された場合、実質的に低いLCMVペプチドでの免疫によりLCMV特異的免疫応答が作製されたことが示される。
腫瘍および/または癌の処置のために薬学的に許容され得る形態でSAGペプチド複合体を提供できることが予想される。
SMEZ−2に連関された抗原に対する抗体応答の増強
M1を卵白アルブミンタンパク質に連関させた。卵白アルブミンは、免疫応答を引き出す貯蔵タンパク質である。卵白アルブミンは、単独ではマウスにおいて弱い免疫原であり、そして強力な抗体応答生じない。抗原またはタンパク質に対する特異的高親和性抗体の産生により測定されるような免疫原性が、構築物として分配された場合に実質的に増強され得ることを説明するためにこの実験を行なった。
M1を卵白アルブミンタンパク質に連関させた。卵白アルブミンは、免疫応答を引き出す貯蔵タンパク質である。卵白アルブミンは、単独ではマウスにおいて弱い免疫原であり、そして強力な抗体応答生じない。抗原またはタンパク質に対する特異的高親和性抗体の産生により測定されるような免疫原性が、構築物として分配された場合に実質的に増強され得ることを説明するためにこの実験を行なった。
以下に概要を示す手順によりM1を卵白アルブミンタンパク質に連関させた。
卵白アルブミンにM1を連関するために用いられる方法
工程1:SATPによるタンパク質のチオール化
a.卵白アルブミンを50mM NaPO4(pH7.5)に5〜10mg/mlの濃度で溶解した。
b.SATPをDMSOに10mg/ml(41マイクロモル/ml)の濃度で溶解した。
c.次いでSATPを卵白アルブミンに1:1のモル比で加えた。
d.これを室温で2時間インキュベートした。
工程1:SATPによるタンパク質のチオール化
a.卵白アルブミンを50mM NaPO4(pH7.5)に5〜10mg/mlの濃度で溶解した。
b.SATPをDMSOに10mg/ml(41マイクロモル/ml)の濃度で溶解した。
c.次いでSATPを卵白アルブミンに1:1のモル比で加えた。
d.これを室温で2時間インキュベートした。
工程2:遊離のSATPの除去
e.10,000rpmで5分間、0.5ml VIVASPIN(Viva Science AG、Hannover)濃縮器(5kDa サイズ排除)に通して非結合性SATPを除去した。
f.50mM NaPO4(pH7.5)0.5mlを加え、次いで遠心を繰り返した。これを5回繰り返した。
g.あるいは、SATP−卵白アルブミンを1.5ml セファデックスG35脱塩カラムに通した。
h.次いでVIVASPIN カラムを用いてSATP−卵白アルブミンを5mg/mlに濃縮した。
e.10,000rpmで5分間、0.5ml VIVASPIN(Viva Science AG、Hannover)濃縮器(5kDa サイズ排除)に通して非結合性SATPを除去した。
f.50mM NaPO4(pH7.5)0.5mlを加え、次いで遠心を繰り返した。これを5回繰り返した。
g.あるいは、SATP−卵白アルブミンを1.5ml セファデックスG35脱塩カラムに通した。
h.次いでVIVASPIN カラムを用いてSATP−卵白アルブミンを5mg/mlに濃縮した。
工程3:タンパク質−SATPとSMEZ−2 M1との連関
i.遊離SATPの除去の直後に10(容量/容量)% 脱アセチル化溶液(50mM NaPO4、25mM EDTA、0.5M ヒドロキシルアミンHCl、pH7.5)を添加してSATP−卵白アルブミンの保護されたスルフヒドリル基を脱アセチル化した。
j.次いでSMEZ−M1をSATP−卵白アルブミンに1:10(SMEZ−2 M1対タンパク質−SATP)のモル比で加えた。
k.次いで10(容量/容量)連関バッファー(2M Tris(pH8.5)、20μM CuSO4)を加えた。
l.次いでこれを室温で2時間インキュベートした。
i.遊離SATPの除去の直後に10(容量/容量)% 脱アセチル化溶液(50mM NaPO4、25mM EDTA、0.5M ヒドロキシルアミンHCl、pH7.5)を添加してSATP−卵白アルブミンの保護されたスルフヒドリル基を脱アセチル化した。
j.次いでSMEZ−M1をSATP−卵白アルブミンに1:10(SMEZ−2 M1対タンパク質−SATP)のモル比で加えた。
k.次いで10(容量/容量)連関バッファー(2M Tris(pH8.5)、20μM CuSO4)を加えた。
l.次いでこれを室温で2時間インキュベートした。
次いでSuperose12(Pharmacia)カラムを用いてHPLCのサイズ排除クロマトグラフィーにより遊離の反応物質から構築物を分離した。
1.M1
2.卵白アルブミン
3.SMEZ M1+卵白アルブミン
4.SMEZ M1:卵白アルブミン構築物
10gを用いて皮下で2匹4群(2週齢Balb/c)を免疫した。
2.卵白アルブミン
3.SMEZ M1+卵白アルブミン
4.SMEZ M1:卵白アルブミン構築物
10gを用いて皮下で2匹4群(2週齢Balb/c)を免疫した。
1〜4(前記)のM1、卵白アルブミン、M1+卵白アルブミンおよびM1:卵白アルブミン構築物のサンプルを等容量のフロイント不完全アジュバント(IFA)で乳化した。
最初の免疫後11日に、更なる卵白アルブミン10μgでマウスをブーストした。最初の免疫後、0、11、および21日にマウスを出血させた。
当技術分野で公知の標準的なELISA法を用いて卵白アルブミンに対する抗体を測定した。ELISAプレートを5μg/ml卵白アルブミンで被覆した。
最初の免疫後21日に、M1と卵白アルブミンの混合物またはただの卵白アルブミン単独のいずれかで免疫したマウスと比較して、SMEZ M1:卵白アルブミン構築物で免疫したマウスにおける抗卵白アルブミン応答が実質的に増強されたことが示された。
標準的な血清の希釈シリーズから各々のマウスの抗卵白アルブミン抗体の実際の力価を決定した(表3)。22日の抗卵白アルブミンの力価は、卵白アルブミンおよびM1の双方の混合物で免疫したマウスの1:80と比較して、構築物で免疫したマウスで1:1280であった。これはおよそ16倍の増強を示している(図5参照)。
記載したように、卵白アルブミン単独はマウスにおいて弱い免疫原であり、そして強力な抗体応答を生じない。しかしながらM1に連関された卵白アルブミンは抗卵白アルブミン抗体の力価を劇的に上昇させる(16倍)ことが示された。
更に、この抗体は、IgG1サブクラスであり、これはIgクラススイッチングを生じていることを示している。したがって、SMEZ−2:卵白アルブミン構築物は、非常に増強された免疫原性を説明し、そして長寿命の保護性体液性免疫応答に必須である高親和性IgG1抗体を作製する。
表3:免疫されたマウスにおける抗卵白アルブミン力価(データは、各群2匹の平均である)
自然発生ヒト記憶T細胞に対する破傷風トキソイドペプチドのM1提示
合成ペプチドp2およびp30を用いて破傷風トキソイド(TT)タンパク質から構築物を調製した。これらのペプチドを用いてヒトにおける天然発生応答を試験し、そしてTcR削除されたSMEZ−2に連関されたペプチドがペプチド単独よりも、既存のヒト抗TT T細胞の刺激において更に強力であるかどうかを決定した。これはヒトにおいて非常に一般的なワクチンであり、そして長時間持続性のTおよびB細胞記憶応答を引き出すことが解っている。
合成ペプチドp2およびp30を用いて破傷風トキソイド(TT)タンパク質から構築物を調製した。これらのペプチドを用いてヒトにおける天然発生応答を試験し、そしてTcR削除されたSMEZ−2に連関されたペプチドがペプチド単独よりも、既存のヒト抗TT T細胞の刺激において更に強力であるかどうかを決定した。これはヒトにおいて非常に一般的なワクチンであり、そして長時間持続性のTおよびB細胞記憶応答を引き出すことが解っている。
ペプチドp2およびp30は、破傷風トキソイド(TT)抗原の「ユニバーサル」エピトープであると考えられる(Valmori,Dら(1992)4)。
前記と同様にp2 TTをM1に連関した。量的な連関が、双方の構築物で観察された。わずかに低い分子量で移動するSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により、抱合されなかった残りの遊離M1の量を決定することによりこれを測定した。前記で用いたように、量的とはすべてのSMEZ−2が、SDS PAGEにおいて高分子量種として観察された事実を意味している。
末梢血リンパ球を96ウェルプレートに5×105/ウェルで播種した。抗原を規定の濃度で添加した。3日目に3Hチミジン取り込みによりT細胞増殖を測定した。
バックグラウンド±3標準偏差以上の3Hチミジン取り込みを有した場合、いずれのウェルも陽性として割り当てた。
用いた患者は、10年前にテタヌスに対して最後のワクチン接種を行った。
その結果、TTの構築物は、TTペプチド単独よりも10,000,000倍以上低い濃度で活性であることを示した。100μg/ml TTペプチドに対して、TTの構築物120fg/mlを用いた患者でより高い抗TT特異的応答が認められ、これはTTペプチドをTcR削除スーパー抗原に連関した場合、TTペプチドの免疫原性を実質的に非常に上昇させることを示している。
抗TT T細胞の前駆体頻度は、M1:ペプチド構築物により刺激された場合に大きくなるようである。これは構築物が、裸のTTペプチドで刺激されなかった低親和性T細胞クローンの双方を刺激することを示唆している。
この感受性の上昇は、2つの方法で明らかになった。
1.必要とされるSag:ペプチドの量は、ペプチド単独よりも10,000,000倍少なかった。
2.抗p2および抗p30前駆体頻度は連関されていないペプチドで観察された前駆体頻度を超えて増加した。ウェルあたり5×105PBLが播種され、そしてすべてのセルが陽性とは限らない場合、次いで遊離のペプチドを用いて測定した前駆体頻度は105中1未満でなければならない。抱合されたペプチドでの頻度は105中1より大きく、そしてより高くなる。
1.必要とされるSag:ペプチドの量は、ペプチド単独よりも10,000,000倍少なかった。
2.抗p2および抗p30前駆体頻度は連関されていないペプチドで観察された前駆体頻度を超えて増加した。ウェルあたり5×105PBLが播種され、そしてすべてのセルが陽性とは限らない場合、次いで遊離のペプチドを用いて測定した前駆体頻度は105中1未満でなければならない。抱合されたペプチドでの頻度は105中1より大きく、そしてより高くなる。
これらの結果により、少なくとも本発明のSMEZ−2:抗原構築物のヒトにおける免疫原性における非常な上昇が示され、そしてこれを用いてヒトおよび動物ワクチン、処置およびアッセイを実質的に改善できることを説明している。
ヘルパーT細胞ペプチドのスーパー抗原への連関は、自然発生ヒト記憶T細胞に対する抗原性を劇的に上昇させる。
インビトロ細胞毒性アッセイ:JAM試験
318匹のマウスのリンパ節細胞を24ウェルプレート(2.5×106/ml)中連続希釈したスーパー抗原−ペプチド複合体(国際公開公報第02/45739号に記載のとおり構築した)またはcycLCMVペプチドの存在下、5日間培養することにより細胞毒性Tリンパ球(CTL)を作製した。3日に細胞にrhIL−2およびRPMIを供給した。5日に、細胞を2回洗浄し、そしてJAM試験によりCTL活性に関して検定した(Matzinger(1991)5)。簡単には、EL4細胞を5μCi/ml [3H]チミジンと共に一晩インキュベートし、翌日LCMVペプチドを10nMで3時間加えた。細胞を2回洗浄し、そして図6に記載するようにスーパー抗原−LCMV複合体で作製したLCMV特異的CTLに関して標的細胞として使用した。CTLおよびEL4細胞を種々エフェクター:標的(E:T)比率で3時間一緒にインキュベートした。特異的溶解のパーセンテージを以下の等式を用いて算出した。
318匹のマウスのリンパ節細胞を24ウェルプレート(2.5×106/ml)中連続希釈したスーパー抗原−ペプチド複合体(国際公開公報第02/45739号に記載のとおり構築した)またはcycLCMVペプチドの存在下、5日間培養することにより細胞毒性Tリンパ球(CTL)を作製した。3日に細胞にrhIL−2およびRPMIを供給した。5日に、細胞を2回洗浄し、そしてJAM試験によりCTL活性に関して検定した(Matzinger(1991)5)。簡単には、EL4細胞を5μCi/ml [3H]チミジンと共に一晩インキュベートし、翌日LCMVペプチドを10nMで3時間加えた。細胞を2回洗浄し、そして図6に記載するようにスーパー抗原−LCMV複合体で作製したLCMV特異的CTLに関して標的細胞として使用した。CTLおよびEL4細胞を種々エフェクター:標的(E:T)比率で3時間一緒にインキュベートした。特異的溶解のパーセンテージを以下の等式を用いて算出した。
S=キラー不在下で保持されたDNA(CPM)、およびE=キラー存在下で保持されたDNA(CPM)。結果を図6に示す。
前記した方法を用いて位置8で修飾された合成LCMVペプチド(M8C)をSPEC−Y15A.C27S.N79C.R181Qに連関した。スーパー抗原:LCMVを用いて318匹のマウスからのリンパ節細胞におけるインビトロ応答を決定した。ペプチドの最後の残基(位置番号8)をメチオニンからシステインに変化させて、ジスルフィドブリッジによりそれをスーパー抗原に連関できるようにした。
本明細書に記載する本発明の利点はとりわけ前記の実施例を考慮して当業者に容易に理解される。しかしながら、本発明の例示的なTcR欠損免疫調節性構築物の利点および特徴のいくつかは、以下のとおりである。
a.スーパー抗原は、全TcRに対する結合において完全欠損性であり、そしてしたがって、インビボで無毒である。
b.ペプチドの連関は単純で、有効で、そして可逆的でおよび広範に適用可能である。
c.スーパー抗原:ペプチド構築物は、可溶性である。
d.MHCクラスIIに結合するスーパー抗原は、免疫原性および非免疫原性部分のAPC活性化を増強する。
e.本発明のSMEZ−2基盤の構築物は、非常に強力でそして予測されるMHC応答よりも良好である。
a.スーパー抗原は、全TcRに対する結合において完全欠損性であり、そしてしたがって、インビボで無毒である。
b.ペプチドの連関は単純で、有効で、そして可逆的でおよび広範に適用可能である。
c.スーパー抗原:ペプチド構築物は、可溶性である。
d.MHCクラスIIに結合するスーパー抗原は、免疫原性および非免疫原性部分のAPC活性化を増強する。
e.本発明のSMEZ−2基盤の構築物は、非常に強力でそして予測されるMHC応答よりも良好である。
前記の記載では、具体的な文献に付した整数、または等価であると解っている発明の整数に対して参照し、次いでこのような等価物を個々に示されたとして本明細書に組み込む。
本発明を実施例により、およびその可能な態様に対する参照と共に記載してきたが、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、そこに修飾または改良を行うことができることは理解される。
本明細書の全体にわたって、それ以外の局面が必要とされない限り、「含む」、「含んでいる」等の語は、排他的な意味に対して、包含的な意味であると意図され、すなわち「非限定的であるが、含んでいる」の意味である。
本明細書におけるいずれかの先行技術に対する参照は、先行技術が世界のいずれかの国の共通する一般的知識の一部を成すことの肯定またはいずれかの形態の示唆として考えるものではなく、そしてそのように考えるべきではない。
Claims (24)
- 免疫調節性抗原に連関された抗原提示細胞(APC)標的化分子を含む免疫調節物質であって、上記APC標的化分子は、スーパー抗原SMEZ−2を擬似するが、完全に機能的なT細胞レセプター結合部位を含まない、免疫調節物質。
- 免疫調節性抗原に連関された抗原提示細胞(APC)標的化分子を含む免疫調節物質であって、上記APC標的化分子は、分子がT細胞を活性化する能力をほとんどまたは全く有さないように破壊されたT細胞レセプター結合部位を除き、構造的にSMEZ−2スーパー抗原である、免疫調節物質。
- 免疫調節性抗原に連関された、配列番号1のアミノ酸配列の位置18、42、75および182で1つ以上の突然変異を有するSMEZ−2を含む、免疫調節物質。
- SMEZ−2が、
Y18A、
W75L、
K182Qおよび
D42C、
からなる群より選択される1つ以上の突然変異を有する、請求項3記載の免疫調節物質。 - 免疫調節性抗原に連関された、突然変異Y18A、W75L、K182QおよびD42Cを有するSMEZ−2を含む、免疫調節物質。
- 免疫調節性抗原に連関された、突然変異W75L、K182QおよびD42Cを有するSMEZ−2を含む、免疫調節物質。
- 卵白アルブミンに連関されたTcR結合性欠損SMEZ−2を含む、免疫調節物質。
- 破傷風トキソイド(TT)またはそのペプチドに連関されたTcR結合性欠損SMEZ−2を含む、免疫調節物質。
- LCMVペプチドに連関されたTcR結合性欠損SMEZ−2を含む、免疫調節物質。
- 抗原提示細胞(APC)標的化分子と免疫調節性抗原との間の連関が可逆性である、請求項1〜9のいずれか一項記載の免疫調節物質。
- 免疫調節性抗原が、タンパク質またはペプチドである、請求項1〜10のいずれか一項記載の免疫調節物質。
- 請求項1〜11のいずれか一項記載の免疫調節物質、および1つ以上の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤および/または溶媒を含む、医薬組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項記載の免疫調節物質を含む、ワクチン。
- 免疫系の誘導または刺激を必要とする障害の治療的または予防的処置の方法であって、請求項1〜13のいずれか一項記載の免疫調節物質または医薬組成物をこのような処置を必要とする対象に投与することを含む方法。
- 障害が、細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生虫感染、自己免疫、アレルギー、および/または前腫瘍性もしくは腫瘍性形質転換からなる群から選択される、請求項14記載の方法。
- 免疫系の誘導または刺激を必要とする障害の治療的または予防的処置のための医薬品の調製における、請求項1〜13のいずれか一項記載の免疫調節物質の使用。
- a.構造的にSMEZ−2スーパー抗原である抗原提示細胞(APC)標的化分子のT細胞結合部位に修飾および/または欠失を導入する工程と、
b.それに免疫調節性抗原を連関させる工程、
を含む、請求項1〜13のいずれか一項記載の免疫調節物質を調製する方法。 - 請求項17記載の方法にしたがって調製された免疫調節物質。
- 位置18、42、75、および182に存在する1つ以上の突然変異を除き、配列番号1を有するスーパー抗原。
- 突然変異が、
Y18A、
W75L、
K182Qおよび
D42C、
からなる群より選択される、請求項19記載のスーパー抗原。 - 配列番号2のアミノ酸配列を有するスーパー抗原SMEZ−2。
- 配列番号3のアミノ酸配列を有するスーパー抗原SMEZ−2。
- 請求項18〜22記載のスーパー抗原のいずれかをコードする核酸。
- 少なくとも請求項18〜22記載のスーパー抗原のいずれかをコードする核酸を含む核酸構築物。
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