JP2005525081A - 植物からの生物活性ミュラー管抑制物質を含むTGF−βタンパク質の遺伝子発現および産生法 - Google Patents

植物からの生物活性ミュラー管抑制物質を含むTGF−βタンパク質の遺伝子発現および産生法 Download PDF

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Abstract

本発明は、植物から生物活性組換えタンパク質を産生する新規な方法を記載する。そのようなタンパク質の発現および産生のために植物を設計および操作する一般的方法もまた開示されている。ミュラー管抑制物質(MIS)のようなトランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)タンパク質の、植物における発現のための方法、および植物から組換えタンパク質を産生する方法が特に開示されている。さらに、本発明は、C末端MISのようなTGF-βタンパク質の生物活性C末端断片の直接的発現および産生のための方法を提供する。この新規な方法は、高価な細胞培養物および発酵生産設備の必要を排除することにより、他の大量発現系より費用効率が高い。

Description

発明の分野
本発明は、植物から生物活性組換えタンパク質を産生する新規な方法を記載する。そのようなタンパク質の発現および産生のために植物を設計および操作する一般的な方法も開示する。ミュラー管抑制物質(MIS)のようなトランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)タンパク質の植物における発現のための方法、および植物から組換えタンパク質を産生する方法が、特に開示される。さらに本発明は、C末端MISのようなTGF-βタンパク質の生物活性C末端断片の直接的発現および産生のための方法を提供する。新規な方法は、高価な細胞培養および発酵生産設備の必要を排除することにより、他の大量発現系より費用効率が高い。
発明の背景
TGF-βファミリーのタンパク質は、走化性、細胞外マトリックスの生成、細胞増殖および分化の調節、ならびに免疫系の発生および調節を含む多くの重要な胚形成および免疫機能を媒介するサイトカインとして機能する。このように、これらの分子は、十分な量を入手可能な場合には、非常に様々な治療に用いられうるものと思われる。例えば、上皮卵巣癌は、女性において第5番目発症率の高い悪性疾患である。各年、上皮卵巣癌のおよそ26,600人の新患者が診断され、毎年、そのうちの55 %がその疾患で死んでいる。TGF-βファミリーのメンバーであるミュラー管抑制物質(MIS)が致死性の高い進行した卵巣癌腫についての効果的な治療となる可能性を秘めていることが研究により示された。しかしながら、哺乳動物および細菌系を含むMISの現行の生産系は、臨床試験または商業的適用に必要とされるレベルでMISを供給する能力がない。これらの系は、生物学的に活性のあるC末端MISを直接的に生成することができないばかりでなく、これらの系は、ホロMIS前駆体の十分な量を生成することができず、そのうえ、付加的な欠点をも有している。
バイオテクノロジー産業は、組換えタンパク質を発現させるために、その努力を哺乳動物細胞組織培養物、酵母、真菌、昆虫細胞、およびトランスジェニック動物のような真核生物宿主へと向けてきたが、これらの宿主は、特定の不利益をこうむる場合がある。例えば、哺乳動物細胞は、生物活性タンパク質を正しく折り畳みかつグリコシル化することができるが、グリコシル化の質および程度は、同じ宿主細胞間で異なる培養条件によって変わりうる。または、酵母は、過多なマンノース残基を有する間違ってグリコシル化されたタンパク質を生成し、一般的に、限定された翻訳後プロセシングを示す。他の真菌は、高容量、低コスト生産のために利用可能でありうるが、多くの標的タンパク質を発現させる能力がない。バキュロウイルス昆虫細胞系は、高レベルのグリコシル化タンパク質を産生することができるが、これらのタンパク質は、しかしながら、分泌されず、従って、精製を複雑かつ高価なものにさせる。トランスジェニック動物系は、安定的な遺伝的性質、高い事業経費、およびプリオンまたはウイルスによる可能性のある汚染をもつ群を発育させるための長々しいリードタイムにより妨げられる。
大腸菌のような原核生物宿主もまた、異種性タンパク質を発現させるにおいて、不利益をこうむる場合がある。例えば、生物活性のために必要とされる翻訳後修飾が原核生物宿主において行われない場合がある。これらの翻訳後修飾のいくつかは、シグナルペプチドのプロセシング、プロペプチドのプロセシング、タンパク質折り畳み、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、ガンマカルボキシル化、およびベータ-ヒドロキシル化を含む。結果として、原核生物宿主由来の複合タンパク質は、望ましい程度の生物学的活性を与えるようにいつも適切に折り畳まれるまたはプロセシングされるとは限らない。従って、原核生物宿主は、一般的に、生物学的に活性のあるタンパク質に達するために翻訳後プロセシングを必要としない比較的単純な外来ポリペプチドの発現のために利用された。
現行の原核生物および真核生物の発現系への生化学的、技術的、および経済的制限が異種性タンパク質の産生のための新しい発現系を開発することに実質的関心を生み出した。そのために、植物は、植物作物、植物懸濁細胞、およびカルスのような組織を育てることの有利な経済面;葉、ならびに塊茎、種、および果実のような貯蔵器官においてタンパク質を合成する能力;前に記載される多くの翻訳後修飾を行う植物の能力、非常に大量のタンパク質バイオ生産についての植物の将来性;およびヒト病原体を含まない環境においてタンパク質を産生する能力から、他の宿主系に対して、適する代替を示している。植物基盤発現系は、治療用タンパク質の生産について他の大量発現系より費用効率が高くありうる。
本発明は、植物宿主系において、MISタンパク質のような生物活性TGF-βタンパク質を産生することを企図している。本発明のMISタンパク質は、任意の完全長MIS前駆体(例えば、ホロMIS)、生物活性C末端ホモ二量体が放出されうる140 kDホモ二量体、または望ましい濃度で卵巣癌の抑制剤として作用する、および病的状態下において個々の細胞および組織の機能的活性を調節する生物活性C末端ペプチド断片でありうる。
本発明のMISは、様々なTGF-βアイソフォーム、GDFアイソフォーム(成長/分化因子)、インヒビン、アクチビン、MIS(ミュラー管抑制物質または抗ミュラー管ホルモン)、BMP(骨形成タンパク質)、dpp(デカペンタ麻痺(decapentaplegic)タンパク質)、Vg-1、およびMNSF(モノクローナル非特異的抑制因子)を含むトランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-β)スーパーファミリーに属する。このファミリーのタンパク質は、配列類似性、タンパク質構造および翻訳後プロセシング、受容体相互作用ならびにサイトカインとしての生物学的機能を含む共通の性質を共有する。本発明のMIS産物は、卵巣癌細胞ならびに男および女の両方の生殖器に生ずる他の癌細胞の増殖阻害剤として作用することができる。
本発明のMISタンパク質は、ミュラー管起源の腫瘍に対する新規な、非毒性の、および高特異的治療剤として働く有意な可能性をもっている。幅広い種類の異種性発現系が組換えMISタンパク質の収量を増加させる試みにおいて用いられた。ある系は、SV40初期プロモーターに融合された完全長MISコード配列でトランスフェクションされたCHO細胞を利用している。Cateら、45 CELL 685-698(1986)。この系において、組換えヒトMISは、培地へ分泌され、MISに対するマウスモノクローナル抗体を用いる免疫親和性クロマトグラフィーにより回収された。MacLaughlinら、131 ENDOCRINOLOGY 291-296(1992);およびRaginら、3 PRO. EXPR. AND PUR. 236-245(1992)。CHO由来のMISの最初の試験では、MISの大部分が生物検定法において極めて制限された抗増殖性活性を示す非切断(140 kDホモ二量体)型(Cateら、1986)であることが示された。Wallenら、49 CANC. RES. 2005-2011(1989)。しかしながら、MIS精製およびC末端活性化のためのタンパク質分解性切断を含む追加の段階により、生物活性タンパク質の収量を増加させた。Kurianら、1 CLIN. CAN. RES. 343-349(1995);およびRaginら、3 PRO. EXPR. AND PUR. 236-245(1992)。インビトロでのプロテアーゼプラスミンでの処理は、完全な切断および完全に活性のあるMISを生じるために用いられた。さらに、天然のser-arg部位にarg-arg二塩基性切断部位を組み入れることにより、MISポリペプチドの中へ増強した切断効率をもつように設計された。Kurianら、1 CLIN. CAN. RES. 343-349(1995)。ヒトホロMISを合成および分泌する安定的にトランスフェクションされたCHO系が開発された。Kurianら、1995。しかしながら、商業的生産のために必要とされるレベルまでの規模、または最初のヒト臨床試験のためさえも、これらの系を用いては困難かつ費用がかかることが証明された。結果として、かなりの努力がMISの産生を増強させる代替の発現系(大腸菌、ピチア(Pichia)、バキュロウイルス)を分析することに注ぎ込まれた。費用は減ったが、これらの系のすべては、不溶性凝集塊産生または誤ったタンパク質分解性切断現象のいずれかを含む問題に悩まされ、CHO基盤発現系より効果が少なかった。
多数の追加的観察が、MISを抗癌治療用物質として産生する、より効率的な手段を探索する必要性を裏付けている。第一に、MIS活性は切断依存性であり、インビトロでの腫瘍細胞は、これを効果的に行う能力をもたない。このように、臨床的適用は、完全に活性化された型(C末端ホモ二量体断片)の投与を必要とする可能性がある。精製されたカルボキシ末端MISの見かけの半減期は、インビボで短く、従って、より多くの投与量が必要とされうる。細菌または哺乳動物の細胞系のどちらにおいても直接的にC末端生物活性成分を発現させる試みは、不成功であった。C末端ホモ二量体の適切な集合状態がN末端プロ配列の存在に依存しているかどうか、または哺乳動物細胞におけるそれの生物活性が効果的バイオ生産をはばんでいるかどうかは明らかではない。最初のインビトロおよびインビボでの抗増殖性研究に必要とされるMISの見積もり量は、ホロMISのCHO基盤バイオ生産およびインビトロでの酵素的活性化を含む現行のプロトコールにより満たされうる。しかしながら、後の臨床試験および潜在的な商業的市場のための、ホロMISおよびカルボキシ末端MISの予測される必要条件を満たすためのより効果的な方策が必要とされる。本発明により提供される方法は、標準のタンパク質の構造および生物学的活性を模倣する生物活性治療用タンパク質を産生するためのより効率的かつ費用効率の高い手段を生むことにより、これらの要求を満たすものと思われる。
本発明の他の目標、性質、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の態様を示しているが、例示としてのみ提供される。従って、本発明はまた、この詳細な説明から当業者にとって明らかになりうる本発明の精神および範囲内のそれらの様々な変化および改変も含む。
発明の概要
本発明は、結果として植物宿主系においてTGF-βタンパク質の発現を生じる条件下で形質転換またはトランスフェクションされた植物または植物細胞培養物を栽培することを含む、植物宿主系がTGF-βをコードするキメラの核酸で形質転換された植物宿主系において生物活性TGF-βタンパク質を産生するための方法を提供する。この方法のさらなる局面は、植物宿主系からのTGF-βタンパク質の回収を含む。本発明の方法により、植物宿主系において産生されたTGF-βは、完全長の前駆体タンパク質またはペプチド断片でありうる。さらに、完全長TGF-βタンパク質は、キシロースおよびα1,3結合型フコースのような植物特有の糖を含みうるN結合型グリカンを含みうる。本発明はまた、N結合型グリカンが、植物特有のグリカンの存在を減少させるもしくは除去するようにインビボまたはインビトロで改変されうる、またはより望ましいグリコ変異体を産生されうる、植物系における完全長TGF-βタンパク質の産生を提供する。本発明の特定の局面において、TGF-βペプチド断片は、生物活性C末端を含む。この態様において、植物宿主系において産生される生物活性C末端、または切断後TGF-βタンパク質から放出される生物活性C末端断片は、キシロースおよびα1,3-フコースのような植物特有のグリカンを含みえない。本発明はまた、インビボまたはインビトロで改変されうる植物特有のグリカンまたはグリカン組成物を含みうるN結合型グリカンを断片が含んでいる、植物系におけるTGF-βタンパク質の生物活性C末端断片の産生を提供する。
本発明はまた、植物宿主系においてMISの発現を促進する条件下で形質転換またはトランスフェクションされた植物または植物細胞培養物を栽培することを含む、植物宿主系がMISをコードするキメラの核酸で形質転換された植物宿主系において生物活性MISを産生するための方法を提供する。この方法のさらなる局面は、植物宿主系からのMISの精製を含む。本発明の方法により、植物宿主系において産生されるMISは、完全長タンパク質、ペプチド断片、または遺伝的もしくは化学的変種でありうる。本発明の特定の局面において、MISペプチド断片は、生物活性C末端を含む。
本発明の方法は、MISをコードする第三の核酸配列に読み取り枠において連結されるシグナル配列をコードする第二の核酸配列の植物宿主系における転写を調節する第一の核酸を含むキメラの核酸配列を使用する。本発明の好ましい態様において、第三の核酸は、完全長ヒトMIS(hMIS)をコードする。さらにもう一つの好ましい態様において、第三の核酸は、生物活性hMIS C末端をコードする。本発明の好ましい局面において、第三の核酸配列は、完全長タンパク質および切断部位を含む。本発明のよりいっそう好ましい局面において、切断部位は、切断が結果としてMIS生物活性C末端を生じる酵素的または化学的手段により特異的に切断可能である。本発明のもう一つの好ましい局面において、第一の核酸は植物活性転写プロモーターである。本発明のもう一つの好ましい局面において、第一の核酸は、植物遺伝子配列、植物ウイルスの配列、非植物遺伝子配列、または合成起源由来であり、恒常的プロモーター、収穫前誘導性プロモーター、収穫後誘導性プロモーター、発生的に調節されるプロモーター、または組織特異的プロモーターを含む、植物活性転写プロモーターである。特定の局面において、植物活性プロモーターは、MeGA(商標)プロモーターを含む。本発明のもう一つの好ましい局面において、第二の核酸配列は、タンパク質を植物宿主系内の細胞下の部位へ標的化する。そのような標的化される細胞下の部位は、細胞質ゾル、プラスチド、小胞体、またはアポプラスト(細胞外間隙)を含みうり、組換えタンパク質の集積、安定性、または回収を増大させうる。本発明の方法のもう一つの好ましい局面において、第二の核酸は、植物由来シグナルペプチドをコードする。本発明の方法のもう一つの好ましい局面において、第二の核酸は、パタチンシグナル配列をコードする。
本発明の方法は、TGF-βスーパーファミリーのメンバーであるMISの植物宿主系における産生を提供する。本発明のもう一つの好ましい態様において、キメラの核酸配列は、発現カセットに含まれる。
本明細書に記載される発明はまた、hMISをコードする第三の核酸配列に読み取り枠において連結されるシグナル配列をコードする第二の核酸配列の植物宿主系における転写を調節する第一の核酸を含むキメラの核酸配列で形質転換された植物宿主系を提供する。本発明の好ましい態様において、第三の核酸は、完全長hMISについてコードする。さらにもう一つの好ましい態様において、第三の核酸は、hMIS C末端についてコードする。植物宿主系の好ましい態様において、第三の核酸配列はまた、切断部位を含む。本発明のよりいっそう好ましい態様において、切断部位は、切断がMIS生物活性C末端の生成を生じる酵素的または化学的手段により切断可能である。本発明のもう一つの好ましい態様において、第一の核酸は、植物活性転写プロモーターである。植物宿主系のもう一つの好ましい局面において、第二の核酸配列は、タンパク質を植物宿主系内の細胞下の部位へ標的化する。そのような細胞下の部位は、好ましくは、細胞質ゾル、プラスチド、小胞体、またはアポプラストである。本発明のもう一つの好ましい態様において、第二の核酸は、植物由来のシグナルペプチドをコードする。本発明の方法のもう一つの好ましい局面において、第二の核酸は、パタチンシグナル配列をコードする。
さらに、本発明の植物宿主系は、TGF-ベータスーパーファミリーに属するMISの植物宿主系における産生を提供する。そのうえ、完全長hMISタンパク質または生物活性MISタンパク質C末端断片は、植物宿主系から精製されうる。さらに、完全長hMISは、キシロースおよびα1,3結合型フコースのような植物特有の糖を含みうるN結合型グリカンを含みうる。本発明はまた、N結合型グリカンが植物特有のグリカンの存在を減少させるまたは除去するようにインビボまたはインビトロで改変されうる植物系における完全長MISの産生を提供する。さらに、この態様において、植物宿主系において産生されるhMIS C末端、または切断後ホロMISから放出されるhMIS C末端は、キシロースおよびα1,3-フコースのような植物特有のグリコシル化を含まない。
本明細書に具体化される本発明はまた、このキメラの核酸配列で形質転換される植物、植物細胞培養物、または植物の種を企図する。本明細書の本発明はまた、本明細書に記載されるキメラの核酸配列により形質転換された植物において産生される完全長ホロMISタンパク質または生物活性MISタンパク質C末端断片を企図する。
発明の詳細な説明
本明細書に記載される特定の方法体系、プロトコール、細胞系、ベクター、および試薬などは変化しうるため、本発明がこれらに限定されないことは理解される。本明細書に用いられる専門用語は、特定の態様のみを記載する目的のために用いられ、本発明の範囲を限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。本明細書および添付された特許請求の範囲に用いられる場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は、その文脈が明らかに別なふうに指図しない限りは複数形の言及を含むことは留意されなければならない。このように、例えば、「一つのタンパク質」という言及は、一つまたは複数のタンパク質の参照であり、当業者などに知られたそれらの等価物を含む。実際、当業者は、植物宿主系においてTGF-βスーパーファミリー(現在または後に知られる)のいずれのタンパク質をも産生するために本明細書に記載される方法を使用することができる。
トランスジェニック植物は、高品質の生物学的活性のある哺乳動物タンパク質の低コストの生産における潜在的な使用のために数年間研究されてきた。例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)をジャガイモおよびタバコの両方の植物由来の植物細胞から培地へ分泌させるのに成功している。Sijmonsら、8 BIO/TECH. 217-221(1990)。さらに、様々な他のタンパク質を植物に産生させるのに成功している。例えば、Kusnadiら、56(5) BIOTECH & BIOENG'G 473-484(1997);米国特許第5,550,038号を参照されたい。ヒト血清アルブミン、トランスジェニック植物ウサギ肝臓チトクロームP450、ハムスター3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAレダクターゼ、およびB型肝炎表面抗原が当技術分野において報告されている。例えば、Sijmons, 1990; Saitoら、88 P.N.A.S. 7041-7045(1991); Masonら、89 P.N.A.S. 11745-11749(1992)を参照されたい。さらに、低レベルの発現のマウスGM-CSFが、そのタンパク質は特徴付けされていないが、タバコ細胞懸濁培養において報告されている。Liら、7(6) MOL. CELLS 783-787(1997)。
さらに、植物宿主系におけるモノクローナル抗体の発現が、治療用および臨床用試薬としての潜在的価値により主として広く研究されてきた。DuringおよびHippe, 370 BIOL. CHEM. HOPPE SEYLER 888(1989); Duringら、15 PLANT MOL. BIOL. 281-293(1990)を参照。これらの植物宿主系は、IgG抗体を発現させる能力があるニコタニアタバクム(Nicotania tabacum)(タバコ)植物を含む。Hiattら、342 NATURE 76-78(1989); Maら、24 EUR. J. IMMUNOL. 131-138(1994); 米国特許第5,202,422号および第5,639,947号。より最近では、より複雑な分泌性IgA抗体がトランスジェニックタバコ植物において合成された。米国特許第5,959,177号。そのうえ、米におけるIgAの合成が最近報告された。国際公開公報第99/66,026号。ジーアメイズ(Zea mays)(トウモロコシ)植物において発現した抗体は、モノクローナル抗体BR96およびモノクローナル抗体NeoRx451を含む(国際公開公報第98/10,062号)。
単鎖抗体断片は当技術分野においてよく知られている。Birdら、242 SCI. 423-426(1988)。機能しうる単鎖断片はタバコおよびシロイヌナズナ(Arabidopsis)植物の葉において発現させることに成功している。Owenら、10 BIO/TECH. 790-794(1992); Arsaenkoら、8 PLANT J. 745-750(1995); Feckerら、32 PLANT MOL. BIOL. 979-986(1996)。単鎖抗体断片の長期間貯蔵もまた、タバコ種において示された。Fielderら、13 BIO/TECH. 1090-1093(1995)。L6 sFv単鎖抗癌腫抗体、抗TAC sFv(L2受容体を認識する)、およびG28.5 sFv単鎖抗体(CD40細胞表面タンパク質を認識する)は、タバコ培養物において高レベルで産生された。米国特許第6.080,560号。さらに、単鎖抗体L6はトウモロコシおよびダイズにおいて産生させることに成功している。Cooleyら、108(2)PLANT PHYSIOL. 50(1995)。
上で考察されているように、異種性タンパク質のトランスジェニック植物基盤発現のたいていの研究はタバコにおいて行われた。(1)遺伝子操作が最も容易な作物である、(2)コドン使用頻度/優先度が概してヒトと非常に類似している、(3)1つの植物が100万個に達する種を生じ(WernsmanおよびMatzinger、TOBACCO in HYBRIDIZATION OF CROP PLANTS pp. 657-668(FehrおよびHadley編、1980)、迅速なスケールアップを大いに促進する、および(4)優れたバイオマス生産者であるという理由から、タバコにおいて組換えタンパク質を発現させることが望ましい。
本発明は、誘導性収穫後プロモーターを使用する、ホロおよびC末端MISタンパク質の産生のためのMeGA-PharM(商標)(機械的遺伝子活性化-収穫後生産(Mechanical Gene Activation-Post-Harvest Manufacturing))系の使用を企図する。誘導性MeGA(商標)プロモーター(参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,689,056号)は、防御関連遺伝子、トマトHMG2由来であった。MeGA(商標)プロモーターの迅速な誘導のために利用される好ましい信号は、局在的創傷(1.5 mm以内)である。いったん安定的に形質転換された種が生じたならば、バイオマスは圃場または温室条件下で生長しうる。MeGA(商標)プロモーターは、通常の成長および発生の間、発現が非常に制限されている。しかしながら、MeGA(商標)プロモーターは、局所的創傷誘導後、高レベルへ活性化されうる。組換えタンパク質産生のために、収穫されたトランスジェニックタバコバイオマス(すべての地上部)は、1.5 mmの条片へ切り刻むことにより機械的に傷つけられ、室温で最長6日間インキュベートされる。このインキュベーション期間の間、プロモーターは活性化され、結果として、アポプラスト(細胞外)の間隙へ分泌される組換えタンパク質の高レベルの産生を生じる。特定の態様において、収穫されたバイオマスは、すぐに処理されうるまたはトランスジェニックタンパク質を産生する潜在能力に損失がないままに4℃で数週間保存されうる。
組換えタンパク質の最大集積および分泌を生じる最適な誘導期間後、タンパク質は、バイオマスをすすいで、その緩衝液を集めることにより回収される。この緩衝液(「分泌画分」と名付けられる)は、すぐに限外濾過により濃縮され、細菌および細胞片を除去するために精密濾過(NCSRT, Inc)される。この系を使用することにより、組換えタンパク質の大部分は、バイオマスをホモジナイズする必要を排除して、この分泌画分において回収されうる。
アポプラストは、組換えタンパク質の短期間インサイチュー集積および貯蔵のための優れた区画である。組換え免疫グロブリン(MAb)のアポプラストへの標的化はMAbが細胞質ゾルへ標的化される植物と比較して、タンパク質収量を有意に増加させたことが示された。ConradおよびFiedler、38 PLANT MOL. BIOL. 101-109(1998)。それゆえに、タバコ膜内系におけるhMISの合成および構築ならびにMeGA-PharM(商標)系を用いる分泌は、hMISの集積および回収を増大させうる。MeGA-PharM(商標)系を用いてタバコにおいて組換えタンパク質を発現させることに成功した。例えば、まれなヒト遺伝病についての置換酵素療法として可能性をもつ2つのヒトリソソーム酵素、グルコセレブロシダーゼ、およびα-L-イズロニダーゼが産生され、正しく構築される、および生物学的に活性であることが見出された。例えば、米国特許第5,929,304号を参照。ヒトグルコセレブロシダーゼは、創傷誘導されたタバコ葉において全可溶性タンパク質の10 %で産生された。すなわち、1つのタバコ植物は、ちょうどこの治療用物質の本来の源である胎盤400〜1000個から抽出されうる量で、このタンパク質を産生することができた。
最も広い局面において、本発明は、植物宿主系から、TGF-β遺伝子スーパーファミリーに属する組換えタンパク質を産生および回収するための方法を提供する。このファミリーは、インヒビン、アクチビン、MIS(ミュラー管抑制物質)、BMP(骨形成タンパク質)、およびMNSF(モノクローナル非特異的抑制因子)を含む。TGF-βは、正常および形質転換された上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、ニューロン細胞、リンパ球、および他の造血細胞型、肝細胞、ならびにケラチノサイトに対する強力な既知の成長阻害物質である。(<http://www.copewithcytokines.de/>)。
TGF-βスーパーファミリーのタンパク質は、疎水性シグナル配列、数百個のアミノ酸の長くかつ比較的あまり保存されていないN末端プロ領域、切断部位、ならびにファミリーメンバー間で変化するN末端領域およびより高度に保存されたC末端領域を含む成熟ドメインを含む大きな前駆体ポリペプチド鎖として発現する、ジスルフィド結合されたホモ二量体またはヘテロ二量体である(図1)。すべての既知のファミリーメンバーのプロセシングされた成熟タンパク質に存在しているこのC末端領域は、保存された6個または7個のシステイン骨格を有する特徴的なシステインモチーフをもつおよそ100個のアミノ酸を含む。成熟領域とプロ領域との間の切断部位の位置はファミリーメンバー間で異なるが、すべてのタンパク質のC末端のシステイン型は同一の形式であり、配列Cys-X-Cys-X, Serで終わっている。LechleiderおよびRoberts, TRANSFORMING GROWTH FACTOR-β in THE CYTOKINE NETWORK AND IMMUNE FUNCTIONS(Theze編、Oxford Univ. Press, N. Y. 1999)。
TGF-βは、TGF-βスーパーファミリーの原型のサイトカインを表す。様々なTGF-βアイソフォームは、多くの生物学的活性を共有し、細胞へのそれらの作用は、別個の活性の少数の例はあるが、たいていの場合、性質的に類似している。すべてのアイソフォームの生物学的活性型は、ジスルフィド結合されたホモ二量体である。TGF-ベータのアイソフォームは、より長い前駆体(TGF-β-1:390個のアミノ酸、TGF-β-2:412個のアミノ酸、TGF-β-3:412個のアミノ酸、TGF-β-4:304個のアミノ酸、TGF-β-5:382個のアミノ酸)のタンパク質分解性切断により生じる。アイソフォームは、これらの前駆体のカルボキシ末端由来である。さらなる態様において、本発明は、植物宿主系から、TGF-βスーパーファミリーのメンバーである完全長タンパク質またはTGF-βスーパーファミリーに属するタンパク質の生物学的活性のあるC末端を産生および回収することを企図する。(<http://www.copewithcytokines.de/>)。
本発明の好ましい局面において、組換えタンパク質は、完全長タンパク質または生物活性タンパク質C末端断片を含む。本発明の特定の態様において、組換えタンパク質は、正常状態および病的状態の両方の条件下で、個々の細胞および組織の活性を調節する能力がある。本発明のさらにもう一つの好ましい態様において、本発明の組換えタンパク質は、望ましい濃度においてインビボで癌を抑制する能力があるいずれの哺乳動物可溶性タンパク質またはペプチドでもありうる。本発明の特定の態様において、組換えタンパク質は、上皮卵巣癌に対する効果的な治療剤として使用される。本発明のさらなる態様において、組換えタンパク質は、子宮癌、フォロピーオ管癌、およびミュラー管由来またはMIS受容体タンパク質を発現させる細胞を有する組織の他の癌に対する効果的な薬剤として使用されうる。
本発明の好ましい局面は、植物宿主系からの生物活性のあるMISの産生に関する。MISタンパク質は、ヒトの成長および分化の因子のTGF-βファミリーのメンバーである。MISは胚性精巣により生成され、ミュラー管、フォロピーオ管と子宮と上部膣の原基、および卵巣の外側内層の退縮を引き起こす。他のTGF-β成長調節物質のように、MISの合成は実に複雑である。タンパク質は、2つのN結合型グリカンを含む140,000 kDのスルフヒドリル結合されたホモ二量体として生成される。さらなるタンパク質分解性プロセシングが、生物活性のある25 kD C末端断片(12.5 kD断片、C末端のホモ二量体)を放出するために必要とされるが、この断片が切断後、N末端との会合を保持する場合もある。精製されたMISは、インビトロおよびインビボの両方で細胞特異的抗増殖性活性を示し、器官培養におけるラットミュラー管の退縮、ならびにミュラー管/体腔上皮起源のヒト子宮内膜、子宮頸と卵巣の腫瘍細胞系、およびインビボでの腫瘍増殖の強力な阻害を引き起こす。Chinら、51 CANC. RES 2101-2106(1991); Donahoeら、194 ANN. SURG. 472-480(1981); Fullerら、22 GYNECOL. ONCOL. 135-148(1985); Kurianら、1 CANC. RES. 343-349(1995); Laemmli, 227 NATURE 680-685(1970)。癌化学療法のためのMISのような生物学的変更因子の開発は、予測される特異性および毒性の欠如のために特に魅力的である。このように、MISは、ミュラー管起源の腫瘍についての新規の非毒性治療剤として働く重要な可能性をもつ。
ミュラー管の退縮および成熟後の男性および女性の両方の血清におけるMISの存在(Leeら、81 J. CLIN. ENDOCRINOL. AND METAB. 571-576(1996))は、MISが多機能の成長調節物質でありうることを示唆した。MISは、卵母細胞減数分裂の阻害、上皮成長因子受容体自己リン酸化の阻害、および胎児肺界面活性物質発生において役割を果たし、従って、追加の医学的適用、例えば、MISはまたヒト目の黒色腫細胞系の増殖を阻害するについての可能性をもつ。Parryら、52 CANC. RES. 1182-1186(1992)。MISがNF-κB媒介型経路を通して乳癌細胞の増殖を阻害するという発見は、卵巣癌、フォロピーオ管癌、子宮癌、他のミュラー管由来の腫瘍、および乳癌の化学療法的治療におけるヒトMISの別格的見込みを大きくし、組換えバイオ生産系の開発を促した。Segevら、275 JBC 28371-28329(2000)。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞培養物からの十分な組換えヒトMISは、毒性研究および第一相ヒト臨床試験を開始するために精製された。しかしながら、CHOに基づくバイオ生産に関連した困難および費用がこの可能性のある化学療法薬を試験することにおける進行を制限し、組換えMISの商品化に向けての産業的投入を阻んでいる。
本発明の好ましい局面において、組換えタンパク質は、完全長hMISタンパク質または生物活性hMISタンパク質C末端断片を含む。本発明の特定の態様において、hMISタンパク質は、正常状態および病的状態の両方の条件下で、個々の細胞および組織の活性を調節する能力がある。本発明のさらにもう一つの好ましい態様において、本発明の組換えhMISは、望ましい濃度においてインビボで癌を抑制する能力がある。本発明の特定の態様において、組換えhMISは、上皮卵巣癌に対する効果的な治療剤として使用される。本発明のさらなる態様において、組換えhMISは、子宮癌、フォロピーオ管癌、およびミュラー管由来またはMIS受容体タンパク質を発現させる細胞を有する組織の他の癌に対する効果的な薬剤として使用されうる。
生物活性MIS C末端は、N結合型グリコシル化についての部位を含まない。しかしながら、ホロMISならびに他のTGF-βの完全長およびC末端タンパク質はグリコシル化される。植物はヒトタンパク質を正しい位置でグリコシル化するが、完全にプロセシングされた複合植物グリカンの組成は、哺乳動物のN結合型グリカンとは異なる。植物グリカンは、動物グリカンに共通した末端シアル酸残基をもたず、一般的に哺乳動物に見出されない結合でのキシロース残基またはフコース残基をしばしば含む(Jenkinsら、14 NATURE BIOTECH 975-981(1996); ChrispeelsおよびFaye TRASGENIC PLANTS pp. 99-114(Owen, M.およびPen, J.編、Wiley & Sons, N. Y. 1996; Russell 240 CURR. TOP. MICROBIO. IMMUNOL. (1999))。キシロース/フコース残基の存在は、ウサギへ注射された場合、抗原性応答に関連していた(ChrispeelsおよびFaye、前記)。しかしながら、この同じ応答は、植物糖タンパク質または植物で合成された哺乳動物の糖タンパク質で注射されたマウスにおいては見られない(OishiおよびChen、未発表の結果;J. Ma, Guy's Hospital. London, UK, 私信)。トランスジェニックタバコ植物において産生されたグリコシル化されたマウスIgGの組成物および不均一性が記載された。Cabanes-Macheteauら、119 PLANT PHYS 725-734(1999)。グリカンの大部分(60 %)は複合体型であり、キシロースおよびα1,3-フコースを含み、IgG-補体の相互作用において役割を果たすと考えられるガラクトースを欠いていた。
本発明は、植物で生成されたTGF-β産物のグリカンの「ヒト化」の論点と取り組む3つのストラテジーの使用を企図する。本発明の特定の態様は、タバコのグリカンプロセシング機構部分の改変に焦点をあてる。これは、1)複合グリカンは成長および発生にとって重大な意味をもつものではない(Van Schaewenら、102 PLANT PHYS 1109-1118(1993))、および2)グリカンプロセシングは、高度に逐次的かつ区画化されて、代謝的操作を促進するということから、植物において実行可能である。タバコα-マンノシダーゼIおよびN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIの配列は、単離され、トランスジェニック植物においてそれらの活性を阻害するためのアンチセンスストラテジーにおいて利用されることになっている。予想される影響は、植物複合グリカンに見出される異常なキシロースおよびフコース残基を欠くマンノース終結型グリカンであると思われる。
さらに、本発明は、ヒトグリカンプロセシング酵素の追加を含むストラテジーを企図する。最近の報告は、タバコ細胞におけるヒトβ-1,4-ガラクトシル-トランスフェラーゼの発現がより一層「ヒト的な」組成物を有するN結合型グリカンを生じることを実証する実験を記載した。Palacpacら、96 P.N.A.S. 4692-4697(1999)。7 %未満はキシロースを含み、50 %のほとんどは末端のガラクトースを有した。本発明の一つの態様は、重要製品種(hMISを含む)の薬理学的要求を満たすであろうインビボで特異的かつ均質な「デザイナー」グリカンを供給するであろうタバコ系統を開発することである。
本発明はまた、組換えタンパク質のグリカンのインビトロでの改変を含むストラテジーを企図する。そのような態様において、植物宿主系から精製された組換えタンパク質のグリカン補体は、望ましいグリカンを生成するために化学的または酵素的方法(例えば、キシロシダーゼもしくは1,3 フコシダーゼのようなグリコシダーゼ、またはガラクトシルトランスフェラーゼもしくはシアリルトランスフェラーゼのようなグリコシルトランスフェラーゼでの)により処理されうる。
本発明に従って、植物宿主系において発現するhMISの収量を増加させ質を向上させるように発現ベクター設計を改変するために方法および材料が提供される。本発明は、プロモーター、5'UTR、シグナル配列、構造遺伝子、および3'UTRを改変することにより発現ベクター設計を最適化することを企図する。本発明の設計パラメーターは、限定されるものではないが、コドン使用頻度、一次転写構造、翻訳促進配列、イントロンスプライス部位の適切な使用、RNA安定化、RNA不安定化/プロセシング配列を含みうる。
さらなる局面において、N末端融合体またはC末端融合体もまた、最適な収量、質、およびタンパク質プロセシングを促進するために確立されうる。本発明は、(1)植物宿主系内の特定の細胞下の部位へ発現したhMISを標的化する、(2)産物の集積および質を高める、および(3)植物宿主系からの組換えhMISの簡単な回収のための手段を提供するためにパタチンのようなシグナルペプチドへ融合された組換えhMISを企図する。
本発明のさらなる態様に従って、植物宿主系から容易に精製されうるhMISを産生するために遺伝子発現ならびにタンパク質生成および集積を最適化するために、方法および材料が提供される。発現ベクター設計は、RNA転写および翻訳(タンパク質発現)、タンパク質標的化(例えば、核、プラスチド、細胞質ゾル、小胞体、アポプラスト)、タンパク質修飾および融合、異なる植物組織におけるタンパク質発現、ならびに異なる植物種におけるタンパク質発現を最大化するように改変されうる。
本発明の一つの局面に従って、植物宿主系から容易に分離される植物宿主系における組換えhMISの産生の新規な手段のために方法および材料が提供される。組換えhMISの精製は、この方法により大いに単純化される。hMISをコードする組換え核酸は、任意の源由来の天然に存在するDNA配列の一部または全部でありうり、それは合成DNA配列でありうる、または天然に存在する配列および合成配列の組み合わせでありうる。本発明は、タンパク質を細胞下の部位へ標的化するペプチドの示差的な部分をコードする第二の核酸配列の転写を制御する第一の核酸配列、およびこの第二の核酸に融合されている、hMISをコードする第三の核酸を含む発現ベクターを調製する段階;hMISが発現した形質転換宿主系を作成する段階;ならびにトランスジェニック植物宿主系からhMISを抽出および/または回収する段階を、別々にまたは連続として含む。
本発明の一つの局面において、第一の核酸配列は、MeGA(商標)創傷誘導性プロモーターのような植物活性プロモーターを含みうり、第二の核酸配列は、追加の5'制御配列を含むまたはタンパク質標的化配列をコードしうり、および第三の核酸配列は、完全長hMISまたはhMISのC末端領域を含みうる。第二の核酸配列は、植物宿主系内の特定の細胞下の部位へタンパク質を標的化するシグナル配列をコードしうる。本発明の一つの好ましい態様において、対象となるタンパク質をコードする核酸配列は、対象となるタンパク質を小胞体へ標的化するシグナルペプチドをコードする配列へ融合されうる。本発明のもう一つの態様において、hMISをコードする核酸配列は、プレ配列または標的化シグナルなしで発現されうり、細胞質ゾルでの成熟タンパク質の示差的な集積を可能にする。
本発明のもう一つの局面に従って、タンパク質を細胞下の部位へ標的化するペプチドの示差的な部分をコードする第二の核酸配列の転写を調節する第一の核酸配列、およびこの第二の核酸に融合されている、完全長hMISまたはhMISのC末端領域をコードする第三の核酸を含む発現ベクターですでに形質転換されている植物宿主系が企図される。なおさらなる局面において、TGF-βタンパク質、すなわち、MISをコードする第二の核酸配列は、プレ配列なしに発現されうり、完全長TGF-βタンパク質が細胞内間隙に集積することを可能にする。そのうえ、細胞内間隙に集積されたTGF-βタンパク質、すなわち、MISは、切り刻まれた葉材料を洗浄することにより細胞内間隙から回収されうる。同様に、C末端MISのようなTGF-βタンパク質のC末端は、プレ配列なしに発現されうり、細胞内間隙に集積することが可能になる。集積後、TGF-βタンパク質のC末端断片は、切り刻まれた葉材料を洗浄することにより細胞内間隙から回収されうる。
本発明のこの態様のもう一つの局面は、完全長hMISまたはhMISのC末端領域の発現を促進するような適切な条件下で植物宿主系を栽培すること、および組換え完全長hMISまたは組換えhMISのC末端領域を植物宿主系から回収することを含む。
本発明のさらにもう一つの局面に従って、植物宿主系において産生される組換えhMISの質および収量を向上させるために方法および材料が提供される。本発明は、フコースおよびキシロースのような植物特有のグリコシル化を含まないホロhMISの組換えC末端領域を生じることを企図する。
本発明の形質転換またはトランスフェクションされた植物宿主系は、任意の単子葉もしくは双子葉植物または植物細胞でありうる。単子葉植物は、限定されるものではないが、トウモロコシ、シリアル、グレイン、イネ科植物、およびイネを含む。双子葉植物は、限定されるものではないが、タバコ、トマト、ジャガイモ、ならびにダイズおよびアルファルファを含むマメ科植物を含みうる。
定義
アミノ酸配列:本明細書に用いられる場合、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列、およびそれの断片を含み、かつ天然に存在する分子または合成分子に関する。
無性増殖:葉切片、茎切片、根切片、単植物細胞(プロトプラスト)、およびカルスから植物全体を再生することにより子孫を生むこと。
標準の:本明細書に用いられる場合、適切に折り畳まれ、適切なジスルフィド結合または他の翻訳後修飾を有する、天然に存在する形態を意味する。
生物活性:本明細書に用いられる場合、タンパク質、ペプチド、またはその断片がインビトロまたはインビボで測定可能な生物学的応答を示すことを意味する。
化学的誘導体:本明細書に用いられる場合、分子が、最初の分子の化学的構造が改変された場合、もう一つの分子の「化学的誘導体」であると言われる。そのような誘導体は、分子の溶解性、吸収、生物学的半減期などを向上させることができる。または、誘導体は、最初の分子の毒性を減少させる、分子の任意の望ましくない副作用を排除するまたは弱めるなどできる。
C末端MIS:約25 kDの生物活性C末端断片(12.5 kD断片、C末端のホモ二量体)を指す。本発明の特定の局面において、C末端MISは、インビトロおよびインビボの両方で細胞特異的抗増殖性活性を示し、器官培養におけるラットミュラー管の退縮、ならびにミュラー管/体腔上皮起源のヒト子宮内膜、子宮頸、および卵巣の腫瘍細胞系およびインビボでの腫瘍増殖の強力な阻害を引き起こす。
双子葉植物(dicotyledon)(dicot):胚が2つの子葉を有する顕花植物。双子葉植物の例は、タバコ;トマト;ジャガイモ;アルファルファおよびダイズを含むマメ科植物;オーク;カエデ;バラ;ミント;カボチャ;ヒナギク;クルミ;サボテン;スミレ;ならびにキンポウゲを含む。
発現:遺伝子産物の生合成を指す。例えば、構造遺伝子の場合、発現は、構造遺伝子のmRNAへの転写およびmRNAの1つまたは複数のポリペプチドへの翻訳を含む。
発現制御配列:植物宿主系において対象となるタンパク質の転写または翻訳を増加させるおよび/または最大にするために発現ベクターに含まれうる、当業者にとって標準的かつ公知のそれらの配列を指す。これらは、限定されるものではないが、転写エンハンサー、翻訳エンハンサー、ペプチド搬出シグナル配列、最適化コドン使用頻度、イントロン、ポリアデニル化、および転写終結点を含む。植物において発現レベルを増加させるために核酸構築物を改変する方法もまた、一般的に当技術分野において知られている。例えば、Rogersら、260 J. BIOL. CHEM. 3731-3738(1985); Cornejoら、23 PLANT MOL. BIOL. 567-581(1993)を参照されたい。
タンパク質の転写率を向上させるために植物系を操作するにおいて、当技術分野において公知の様々な因子は、正にまたは負に作用する配列、エンハンサー、およびサイレンサーのような調節配列、加えて、クロマチン構造を含めて用いられうる。本発明は、これらの因子の少なくとも1つが対象となるタンパク質を発現させるために植物を操作するにおいて利用されうることを提供する。
断片:対象の翻訳後酵素または異種性ポリペプチドの少なくとも1つの構造的または機能的特性を保持しているアミノ酸配列の任意の部分を含む。
機能的等価物:異種性のタンパク質、ポリペプチド、酵素、または核酸と実質的に類似している機能的または構造的特性をもつタンパク質または核酸分子。タンパク質の機能的等価物は、特定の機能の実行のためのそのような改変の必要性に依存して改変を含みうる。用語「機能的等価物」は、分子の「断片」、「変異体」、「ハイブリッド」、「変種」、「類似体」、または「化学的誘導体」を含むものとする。
融合タンパク質:異なるタンパク質由来のペプチド配列がいっしょに共有結合的に連結されているタンパク質。
ホロMIS:各単量体がN末端プロドメインおよび12.5 kD C末端領域の両方を含むホモ二量体MIS前駆体タンパク質を指す。ホロMISは、生物活性MISサイトカインとして機能する25 kDホモ二量体としてのC末端断片を放出する酵素活性化のための基質として働く。
hMIS:ヒト組換えMISタンパク質、ペプチド、またはそれの断片を指す。
導入:感染、トランスフェクション、形質転換、または形質導入を含む方法による、細胞への核酸配列の挿入。
単離された:本明細書に用いられる場合、その要素または化合物の天然の源において存在する他の要素または化合物からだけでなく、他の要素または化合物からも分離された任意の要素または化合物を指し、および、本明細書に用いられる場合、好ましくは、(何かあるとすれば)溶媒、緩衝液、イオン、または同じものの溶液中に通常存在する他の成分のみの存在下に見出される要素または化合物を指す。
ミュラー管抑制物質(MIS):TGF-β遺伝子ファミリーに属するタンパク質であり、雄の胎児においてミュラー管の退縮を引き起こす140 kDaのグリコシル化されたジスルフィド結合ホモ二量体として胎児の精巣により生成される。還元条件下で、タンパク質は、70 kDaの見かけの分子量にゲル電気泳動上を移動する。タンパク質は、無傷の535個のアミノ酸単量体の残基427位での切断での57 kDaおよび12.5 kDaの部分として電気泳動的に移動する2つの別個の断片へと外因性プラスミンによりタンパク質分解的に切断されうる。分子は、抗ミュラー管ホルモン(AMH)とも呼ばれる。
単子葉植物(monocotyledon)(monocot):胚が1つの子葉を有する顕花植物。単子葉植物の例は、ユリ;イネ科植物;トウモロコシ;イネ;オートムギ、コムギ、およびオオムギを含む穀物(grain);ラン;アヤメ;タマネギ、ならびにヤシを含む。
機能的に連結された:本明細書に用いられる場合、化合物が任意のプロモーターに機能しうるように連結されている場合の、限定されるものではないが、デオキシリボ核酸を含む、任意の化合物の状態を指す。
植物培地:アミノ酸、塩、糖、植物成長調節物質、ビタミン、ならびに/または任意の植物、植物細胞、もしくは植物組織の成長を維持するおよび/もしくは支えるであろう要素および化合物の任意の組み合わせ。典型的な植物培地は、MurashigeおよびSkoog, 15 PHYSIOL. PLANT. 473-497(1962)により記載されている。
植物宿主系:限定されるものではないが、異種性タンパク質の産生のために改変された単子葉植物、双子葉植物、具体的に言うと、トウモロコシ、ダイズ、およびタバコを含む植物を含む。植物宿主系はまた、植物細胞を含む。植物細胞は、懸濁培養物、胚、分裂組織領域、カルス組織、葉、根、苗条、配偶体、胞子体、花粉、種、および小胞子を含む。植物宿主系は、成熟度の様々な段階でありうり、液体もしくは固体培養、またはポット、温室、もしくは圃場での土壌もしくは適した培地において、成長しうる。植物宿主系における組換えタンパク質発現は、一過性または永久でありうる。植物宿主系はまた、組換えタンパク質の産生を方向づけるように改変された組換えウイルスで接種される切片または種細胞のような、植物、種、自殖または雑種子孫、有性生殖的かまたは無性生殖的かのいずれかで発生した胎芽、およびこれらのいずれかの子孫の任意のクローンを指す。植物宿主系はまた、植物細胞内で組換えタンパク質の産生を方向づけるように改変された組換えウイルスで接種された植物または植物細胞を含む。
植物試料:所望のタンパク質の産生について好ましい集積レベル、質、または貯蔵性を有するように選択された、植物の組織、器官、またはサブセット。
植物トランスフェクション:おおまかには、植物細胞が、タンパク質産物を生じるが遺伝的要素の植物宿主ゲノムへの組み込みを含まない異種性核酸の存在(例えば、ウイルスもしくは細菌のベクターまたは遺伝子銃、電気穿孔法、または「ウィスカー(whisker)」技術のような機械的手段により送達されたDNAまたはRNA)により改変される工程を指す。例えば、米国特許第5,889,190号、第5,977,438号、および第5,316,931号を参照。
植物形質転換および細胞培養:おおまかには、植物細胞が遺伝的に改変され、かつ維持、さらなる成長、および/またはさらなる発生のために適する植物培地へ移される工程を指す。遺伝的要素の形質転換は、結果として、有性または無性生殖を通して植物子孫へと伝達されうる、植物宿主ゲノムへの遺伝的要素の組み込みを生じる。
プロモーター:植物におけるタンパク質発現の望ましいパターンまたはレベルを生じるために、異種性タンパク質の発現は、植物プロモーターの支配下に置かれうる。本発明に従っての使用に適したプロモーターは、当技術分野において記載されている。例えば、国際公開公報第91/198696号参照。本発明に従って使用されうるプロモーターの例は、ノパリンシンセターゼおよびオクトピンシンセターゼプロモーター、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19Sおよび35Sプロモーター、ならびにゴマノハグサモザイクウイルス(FMV)35Sプロモーターのような、非構成的プロモーターまたは構成的プロモーターを含む。米国特許第6,051,753号を参照。
本発明の一つの局面において、組換えhMISは、特定の組織、細胞型中に、またはより正確な環境条件もしくは発生制御下で発現されうる。これらの例におけるプロモーター支配的発現は、誘導性プロモーターとして知られている。組織特異的プロモーターが使用される場合、タンパク質発現は、タンパク質の抽出が望ましい組織において特に高い。望ましい組織に依存して、発現は、内胚乳、アニューロン層、胚(または胚盤および子葉としてのそれの部分)、果皮、茎、葉、塊茎、根などへ標的化されうる。公知の組織特異的プロモーターの例は、塊茎方向性クラスIパタインプロモーター、ジャガイモ塊茎ADPGPP遺伝子関連プロモーター、種方向性転写を支配するベータ-コングリシニン(7Sタンパク質)のダイズプロモーター、ならびにトウモロコシ内胚乳のゼイン遺伝子由来のものおよびイネグルテリン-Iプロモーターのような種方向性プロモーターを含む。例えば、Bevanら、14 NUCLEIC ACIDS RES. 4625-4638(1986); Mullerら、224 MOL. GEN. GENET. 136-146(1990); Bray, 172 PLANTA 364-370(1987); Pedersenら、29 CELL 1015-1026(1982); RussellおよびFromm, 6 TRASGENIC RES. 157-158(1997)を参照。
タンパク質精製:おおまかに定義すると、タンパク質が、電荷、分子サイズもしくは高次構造、または結合親和性を基礎として、他の要素または化合物を含む混合物から分離される任意の工程。用いられうる当技術分野において公知の特定の精製技術は、イオン交換クロマトグラフィー、レクチンアフィニティクロマトグラフィー、免疫アフィニティクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、および選択的相分離を含む。例えば、MANIATISら、MOL. CLONING: A LAB. MANUAL(Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. 1989); AUSUBELら、CURRENT PROTOCOLS IN MOL. BIO.(Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. 1989); SCOPES, PROTEIN PURIFICATION: PRINCIPLES & PRACTICE(Springer-Verlag New York, Inc., NY 1994); 米国特許第5,990,284号、第5,804,694号、および第6,037,456号を参照。
読み取り枠:一連のトリプレットとしてセンスヌクレオチド配列を読むことの(3通りの可能性のある)仕方を指す。「インフレーム」で読むとは、ヌクレオチドトリプレット(コドン)が所望の組換えタンパク質の新生アミノ酸配列へと翻訳されることを意味する。
組換え:本明細書に用いられる場合、遺伝子がクローニングされうる、DNAがシーケンシングされうる、およびタンパク質産物が産生されうるところの様々な技術をおおまかに表現している。本明細書に用いられる場合、その用語はまた、植物宿主系の細胞への遺伝子の移入後に産生されたタンパク質も表現する。
構造遺伝子:適するプロモーター、終結配列、および選択的に他の調節DNA配列を備えうり、ならびに正しい読み取り枠を有する、ポリペプチドをコードする遺伝子。
TGF-β(スーパー)ファミリー;TGF-βタンパク質:トランスフォーミング成長因子-βスーパーファミリーに属するタンパク質を指す。おおまかには、この用語は、疎水性シグナル配列、数百個のアミノ酸の長くかつ比較的あまり保存されていないN末端プロ領域、切断部位、ならびにファミリーメンバー間で変化するN末端領域およびより高度に保存されたC末端領域を含む成熟ドメインを含む大きな前駆体ペプチド鎖として発現するジスルフィド結合されたホモ二量体またはヘテロ二量体であるタンパク質類を定義する。本発明の特定の態様において、すべての公知のファミリーメンバーのプロセシングされた成熟タンパク質に存在するこのC末端領域は、保存された6個または7個のシステイン骨格を有する特徴的なシステインモチーフを有するおよそ100個のアミノ酸を含む。成熟領域とプロ領域の間での切断部位の位置は、ファミリーメンバー間で変化しうるが、すべてのタンパク質のC末端のシステインパターンは、同一の形式を含むことが見出されうる。LechleiderおよびRoberts、STRUCTURAL FEATURES OF THE TGF-βS、 THE CYTOKINE NETWORK AND IMMUNE FUNCTIONS(Theze編、Oxford Univ. Press, N. Y. 1999)。
全分泌タンパク質、分泌画分:本明細書に用いられる場合、洗浄する、浸水させる、もしくは別の方法で組織を適当な緩衝液もしくは溶液に曝すことにより、溶液の減圧浸潤、それに続く遠心分離により、または分泌タンパク質の回収を促進する他の方法により、植物細胞または組織(無処置かまたは切り刻まれたかのいずれかの)の細胞外区画から主として回収されるタンパク質を指す。全分泌タンパク質はまた、植物(例えば、水耕栽培の植物)、植物細胞(例えば、懸濁培養された細胞、プロトプラスト、カルス)、または植物組織(例えば、器官培養物、毛状根培養物)の成長または増殖培地から回収されるタンパク質を指す。分泌タンパク質または分泌画分は、植物、組織、または細胞のホモジネートから回収される全可溶性タンパク質のサブセットである。
全可溶性タンパク質:植物宿主系からのホモジネートの水溶性画分において回収される全タンパク質。
導入遺伝子:遺伝子発現を方向付けるプロモーター、翻訳を開始する5'非翻訳領域、タンパク質コード領域、および遺伝子転写を停止するポリアデニル化/終結領域を含む操作された遺伝子。介在配列(イントロンまたはIVS)が、潜在的に発現を高めるためにプロモーターの後に含まれうる。タンパク質コード領域は、産生されうる所望のタンパク質、ならびにシグナルペプチドまたはタンパク質の標的化、安定化、および/もしくは精製を可能にする追加の領域との融合を含みうる。
トランスジェニック:新規な実験用に設計された導入遺伝子を含むように操作された植物宿主系。
トランスジェニック植物:1つまたは複数の遺伝的形質転換の方法にかけられた植物宿主系;植物宿主系の細胞への遺伝子の移入後に生じた植物。
変種:1つまたは複数のアミノ酸が変化しているアミノ酸配列。例えば、ロイシンのイソロイシンでの置換えのような、置換されたアミノ酸が類似した構造的または化学的性質をもつ「保存的な」変化をもちうる。よりまれに、変種は例えば、グリシンのトリプトファンでの置換えのような、「非保存的な」変化をもちうる。類似性の微量な変化は、アミノ酸欠失もしくは挿入、または両方を含みうる。どのアミノ酸残基が置換、挿入、または欠失されている可能性があるかを決定することにおける手引きは、当技術分野においてよく知られているコンピュータープログラム、例えば、DNASTAR(著作権)ソフトウェアを用いて見出されうる。
植物発現ベクター
本発明に有用な発現ベクターは、発現カセットからの上流および下流に随伴配列を有する、植物における操作のために設計されたhMIS発現カセットをコードする核酸配列を含む。本発明は、完全長hMISタンパク質またはhMISの生物学的活性のあるC末端領域をコードする発現カセットの核酸配列を構想する。随伴配列は、プラスミドまたはウイルスの起源でありうり、ベクターが細菌内で生成され、その後、望ましい植物宿主系へ導入されることを可能にするようにベクターに必要な特性を与えうる。本発明のクローニングベクターは、特定の部位に挿入されたコード核酸配列が転写かつ翻訳されるように設計される。典型的発現ベクターは、プロモーター、選択マーカー、シグナル配列をコードする核酸、ならびに調節配列、例えば、ポリアデニル化部位、5'-非翻訳領域および3'-非翻訳領域、終結部位、およびエンハンサー、を含みうる。「ベクター」は、ウイルス由来ベクター、細菌由来ベクター、植物由来ベクター、および昆虫由来ベクターを含む。
基本的な細菌/植物ベクター構築物は、好ましくは、幅広い宿主範囲の原核生物の複製開始点;原核生物の選択マーカー;および、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換については、植物染色体へのアグロバクテリウム媒介性移入のためのT-DNA配列を含みうる。hMIS遺伝子が検出を容易には受け入れられない所において、構築物は、好ましくは、植物細胞が形質転換されたかどうかを決定するために適した選択マーカー遺伝子も有する。イネ科植物のメンバーに適したマーカーの一般的概説は、WilminkおよびDons, 11(2) PLANT MOL. BIOL. REPTR. 165-185(1993)に見出される。
そのうえ、植物ゲノムへの異種性配列の組み込みを可能にするのに適した配列も用いられうる。これらは、トランスポゾン配列、その他同種類のもの、Cre/lox配列、および相同的組換えのための宿主ゲノム断片、加えて、植物ゲノムへのhMIS発現カセットのランダムな挿入を可能にするTi配列を含みうると思われる。
植物発現カセットの調製に有用な適する原核生物選択マーカーは、アンピシリン、テトラサイクリン、またはカナマイシンのような抗生物質に対する耐性を含む。当技術分野において知られているような、追加の機能をコードする他のDNA配列もまたベクターに存在しうる。通常、植物選択マーカー遺伝子とは、抗生物質スペクチノマイシンへの耐性をコードする遺伝子の少なくとも1セット、ストレプトマイシン耐性をコードするストレプトマイシンホスホトランスフェラーゼ(spt)遺伝子、カナマイシンもしくはジェネテシン耐性をコードするネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(nptII)遺伝子、ハイグロマイシンへの耐性をコードするハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hptまたはaphiv)遺伝子、特にスルホニル尿素型除草剤への耐性をコードするアセト乳酸シンターゼ(als)遺伝子および改変、フォスフィノスリシンもしくはバスタ(basta)のようなグルタミンシンターゼの作用を阻害するように働く除草剤への耐性をコードする遺伝子(例えば、bar遺伝子)、または当技術分野において公知の他の類似した遺伝子を含む適する遺伝子を含めて、抗生物質耐性をコードする。
本発明の構築物は、完全長hMISまたはhMISの生物学的活性のあるC末端領域の発現のための発現ベクターを含むと考えられる。一般的に、少なくとも1つの発現カセットがあり、選択カセットを含めて、2つまたはそれ以上が可能である。組換え発現ベクターは、hMISをコードする核酸配列に加えて、以下の要素の少なくとも1つを含む:プロモーター領域、シグナル配列、5'非翻訳配列、hMIS構造遺伝子が開始コドンを備え付けて来るかどうかに依存する開始コドン、ならびに転写および翻訳の終結配列を含む。
本発明の好ましい局面において、完全長hMISまたはhMISのC末端領域をコードする遺伝子は、適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要な要素、または、RNAウイルスベクターの場合には、複製および翻訳に必要な要素を含むベクターへ挿入される。本発明のトランスジェニック植物を提供するための方法は、タンパク質コード配列、および/または適切なシグナルペプチドコード配列、ならびに適切な転写/翻訳制御配列を含む発現ベクターを構築することを含む。これらの方法は、インビトロでの組換えDNA技術、合成技術、およびインビボでの組換え/遺伝的組換えを含む。例えば、TRANSGENIC PLANTS: PROD. SYS. FOR INDUS. & PHARM. PROTEINS(OwenおよびPen編、John Wiley & Sons, 1996); GALUN & BREIMAN DES, TRANSGENIC PLANTS(Imperial College Press, 1997); APPLIED PLANT BIOTECH. (Chopra, MalikおよびBhat編、Sci. Pubs., Inc., 1999); 米国特許第5,620,882号;第5,959,177号;第5,639,947号;第5,202,422号;第4,956,282号;国際公開公報第98/10062号;第97/38710号を参照。
シグナル配列
本発明の方法の実施において用いられるキメラ遺伝子には、シグナル配列も含まれる。完全長hMISまたはhMISのC末端領域をコードすることに加えて、キメラ遺伝子はまた、適切なようにタンパク質のプロセシングおよび転位置を可能にするシグナルペプチドをコードする。シグナル配列は、哺乳動物、またはコムギ、オオムギ、ワタ、イネ、ダイズ、およびジャガイモのような植物由来でありうる。これらのシグナル配列は、完全長hMISまたはhMISのC末端領域を植物宿主系内の細胞下の部位(例えば、細胞質ゾル、小胞体、アポプラスト、プラスチド、および葉緑体)へと方向づけるものである。これは、結果として、hMISの集積を増加させ、かつ精製を容易にする。本発明により企図されるシグナルペプチドは、貯蔵タンパク質パタチンをコードするジャガイモ遺伝子由来のパタチンシグナルを含む。このシグナルペプチドは、融合ポリペプチドの植物小胞体(ER)への標的化を方向づけ、そこでシグナルペプチドは正確に切断されて成熟タンパク質またはプロタンパク質を生じる。ERまたはゴルジ体での貯留または液胞への標的化のための追加のシグナルが存在しない場合には、植物においてERへと送達されたタンパク質は、内膜系を通して運ばれ、細胞外間隙(アポプラスト)へ分泌される。
当業者は、日常的に、新規なシグナルペプチドを同定することができる。例えば、植物分泌シグナルペプチドは、典型的には、N末端の陽に荷電したアミノ酸、続く疎水性領域、および還元型疎水性の領域内の切断部位を有する、3部構造を有する。配列相同性がシグナルペプチドに常に存在するとは限らないが、親水性プロットは、これらの遺伝子のシグナルペプチドが相対的に疎水性であることを示している。一般的には、STRYER, BIOCHEM. 768-770(第3版、W.H. Freeman & Co., N.Y., 1988)を参照。この機構の保存は、穀物α-アミラーゼシグナルペプチドは大腸菌(E. coli)および酵母(S. cerevisiae)のような外来宿主において認識されかつ切断されるが、特定のシグナル配列は、いくつかの宿主においてより高い発現を可能にしうるという事実により実証されている。
この機構の柔軟性は、シグナルペプチドとして働くことができるポリペプチド配列の広い範囲に反映されている。このように、シグナルペプチドとして機能する配列の能力は、アミノ酸配列の略式的な検査からでは明らかでありえない。シグナルペプチド切断部位を予測するように設計された方法は、分析された配列のたった約75 %について正しい部位と同定する。HEIJNE, CLEAVAGE-SITE MOTIFS IN PROTEIN TARGETING SEQUENCES、 14 GENETIC ENG'G(Setlow編、Plenum Press, N.Y. 1992)を参照。
転写および翻訳ターミネーター
本発明の発現ベクターは、典型的には、転写開始調節領域から遺伝子の反対側の末端に転写終結領域を有する。転写終結領域は、通常、転写開始領域と関連しうるまたは異なる遺伝子由来でありうる。使用されうる転写終結領域は、特にmRNAの安定性について、発現を高めるように選択されうる。例示的転写終結領域は、アグロバクテリウムTiプラスミド由来のNOSターミネーターおよびイネα-アミラーゼターミネーターを含む。
転写終結工程はまた、遺伝子転写産物に付加されるポリアデニル化末端の付加についてのシグナルを与えうる。AlberおよびKawasaki, 1 MOL. & APPL. GENETICS 419-434(1982)。ポリアデニル化シグナルの配列は、限定されるものではないが、アグロバクテリウムオクトピンシンセターゼシグナル(Gielenら、3 EMBO J. 835-846(1984))、または同種のノパリンシンターゼ(Depickerら、1 MOL. APPL. GENETICS 561-573(1982))において明確にされたものを含む。
核酸
本発明に従って、ホロhMISまたはhMISのC末端領域(または他のTGF-βタンパク質もしくは生物活性断片)をコードするポリヌクレオチド配列(例えば、cDNAまたはゲノム配列)は、植物細胞において、そのようなタンパク質、またはそれらの機能的等価物の発現を方向付ける組換え核酸配列を作製するために用いられうる。
遺伝子コードの縮重の結果として、完全長hMISまたはhMISのC末端領域(または他のTGF-βタンパク質)をコードする多数のポリヌクレオチド配列が生じうり、あるものは任意の公知で天然に存在する遺伝子のヌクレオチド配列と最小の相同性を有することは、当業者に認識されているものと思われる。このように、本発明は、可能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することにより作製されうるヌクレオチド配列のどの可能な変化も企図する。これらの組み合わせは、標準トリプレット遺伝子コードに従って作製される。
本発明に従って使用されうる変化したDNA配列は、結果として同じまたは機能的等価の遺伝子産物をコードする配列を生じる異なるヌクレオチド残基の欠失、付加、または置換を含む。遺伝子産物自身は、結果として機能的等価のタンパク質を生じる、タンパク質配列内のアミノ酸残基の欠失、付加、または置換を含みうる。変化した核酸配列は、完全長hMISもしくはhMISのC末端領域、または、結果として同じもしくは機能的等価のhMISをコードするポリヌクレオチドを生じる異なるヌクレオチドの欠失、挿入、もしくは置換をもつそれらの配列を含む、それらの機能的等価物をコードする核酸配列を含む。hMISをコードするポリヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出可能でありうるまたはありえない多型、およびポリヌクレオチド配列hMISについての正常な染色体の座以外の座についての対立遺伝子との不適当なまたは予想外のハイブリダイゼーションが、この定義内に含まれる。コードされたタンパク質はまた、「改変され」、サイレントな変化を生じるアミノ酸残基の欠失、挿入、または置換を含みうり、結果として機能的等価のhMISを生じうる。意図的なアミノ酸置換は、完全長hMISもしくはC末端hMISの生物学的または免疫学的活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の性質における類似性を基礎としてなされうる。例えば、陰に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む;陽に荷電したアミノ酸は、リシンおよびアルギニンを含む;および類似した親水性値をもつ荷電していない極性先端基を有するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、およびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;セリンおよびトレオニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシンを含む。
本発明の核酸配列は、限定されるものではないが、遺伝子産物の発現およびプロセシングを改変する変化を含む、様々な末端についてコード配列を変化させるために操作されうる。例えば、代替の分泌シグナルは、本来の分泌シグナルの代わりに用いられうる、または本来の分泌シグナルに加えて用いられうる。例えば、米国特許第5,716,802号を参照されたい。新しい制限部位を挿入する、またはグリコシル化もしくはリン酸化パターンを変えるために、当技術分野においてよく知られた技術、例えば、部位特異的突然変異誘発を用いて追加的な変異が導入されうる。
さらに、非ヒト細胞において発現する場合、完全長hMISまたはhMISのC末端領域をコードするポリヌクレオチドは、特定の宿主生物体のコドン優先度により良く従うように任意のトリプレットアミノ酸コドンのサイレントな位置において改変されうる。より厳密に言えば、与えられた宿主生物体におけるタンパク質の翻訳の効率はコドンバイアスにより調節されうり、これは20個のアミノ酸全体についての利用可能な61個のコドンは翻訳において均等には用いられないということを意味し、観察は原核生物(Kane, 6 CURRENT OP. BIOTECH. 494-500(1995))および真核生物(ERNST, CODON USAGE & GENE EXPRESSION 196-199(Elsevier Pub., Cambridge 1988)についてなされた。これらの観察の適用、すなわち、細菌遺伝子のコドンバイアスの、高等植物のコドンバイアスへの適応が、結果として、植物において外来タンパク質の有意により高い集積を生じた。Perlakら、88(8) P.N.A.S. 3324-3328(1991);また、Murrayら、17 NUCL. ACIDS RES. 477-498(1989);米国特許第6,121,014号も参照。コドン使用頻度表は、生物体についてだけでなく、細胞小器官および特定の組織についても確立され(Kazusa DNA Research Inst., <www.kazusa.or.jp>)、それらを一般的に入手可能であることにより、研究者が宿主生物体に対する与えられた遺伝子のコドン使用頻度を採用することが可能になる。他の因子、例えば、イニシエーターメチオニン開始コドンの関連(Kozak, 234 GENE 187-208(1999))は、宿主生物体において与えられたタンパク質についての翻訳比率に影響を及ぼし、それゆえに、翻訳を高めるために考慮されうる。Taylorら、210 MOL. GENETICS 572-577(1987)も参照。翻訳はまた、イントロンスプライシング(PLANT MOL. BIO. LABFAX(Croy編、1993))、mRNA不安定性およびポリアデニル化(Perlakら、前記)についてのシグナルを生じうるコドン配列への照合により最適化されうる。
本発明の核酸配列はまた、記載されているhMISの変種をコードする配列を含みうる。これらのhMISのアミノ酸配列変種は、標準または変種のhMISコードポリヌクレオチドへ適切なヌクレオチド変化を導入することによる当技術分野において公知の方法により調製されうる。アミノ酸配列変種の構築において2つの変化するものがある:変異の位置および変異の性質。アミノ酸配列変種は、好ましくは、天然では生じないアミノ酸配列をもたらすようにポリヌクレオチドを変異することにより構築される。これらのアミノ酸変化は、いろいろの種により異なる部位(可変の位置)において、または高度に保存された領域(定常領域)においてなされうる。そのような位置における部位は、典型的には、連続して、例えば、最初に保存的な選択物で置換する(例えば、疎水性アミノ酸を異なる疎水性アミノ酸へ)、その後、より遠い選択物で置換する(例えば、疎水性アミノ酸を荷電したアミノ酸へ)ことにより改変されるものであり、その後、欠失または挿入が標的部位で行われうる。
アミノ酸は、それらの側鎖の性質(極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の性質)に基づいて群に分けられる:(1)疎水性(leu、met、ala、ile);(2)中性疎水性(cys、ser、thr);(3)酸性(asp、glu);(4)弱塩基性(asn、gln、his);(5)強塩基性(lys、arg);(6)鎖配向に影響を及ぼす残基(gly、pro);および(7)芳香性(trp、tyr、phe)。保存的な変化は、本来のアミノ酸と同じ群内であるアミノ酸位の変種を含む。中程度に保存的な変化は、本来のアミノ酸と密接に関連している群にあるアミノ酸位の変種を含む(例えば、中性疎水性を弱塩基性へ)。非保存的な変化は、「本来の」アミノ酸と関連性が遠い群にあるアミノ酸位の変種を含む(例えば、疎水性を強塩基性または酸性へ)。
アミノ酸配列欠失は、一般的に、約1個から30個までの残基、好ましくは、約1個から10個までの残基の範囲でありうり、典型的には連続している。アミノ酸挿入は、長さが1個から100個までまたはそれ以上の残基の範囲であるアミノ末端および/またはカルボキシル末端の融合、加えて、ただ1個または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。配列内挿入は、一般的に、約1個から10個までのアミノ残基、好ましくは1個から5個までの残基の範囲でありうる。末端挿入の例は、異なる宿主細胞における分泌または細胞内標的化に必要な異種性シグナル配列を含む。
一つの方法において、タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、部位特異的突然変異誘発により変化させられる。この方法は、所望のアミノ酸変種のポリヌクレオチド配列、および変化している部位のどちら側にでも安定的な二重鎖を形成するように変化したアミノ酸の両側に十分近接したヌクレオチドをコードするオリゴヌクレオチド配列を用いる。一般的に、部位特異的突然変異誘発の技術は、当業者によく知られており、この技術は、Adelmanら、2 DNA 183-193(1983)のような刊行物により例示されている。ポリヌクレオチド配列において部位特異的変化を生じるための融通のきくおよび効率的な方法は、ZollerおよびSmith, 10 NUCLEIC ACIDS RES. 6487-6500(1982)により発表された。
変異はまた、単に分子の操作に有用な独特な制限部位を供給するだけでなく、核酸分子によりコードされたアミノ酸配列を変化させない1つまたは複数の独特の制限部位を供給する。このように、改変された分子は、独特な制限部位に隣接した多数の別個の領域、またはD-領域、から構成されることができた。これらの分子の別個の領域は、本明細書ではカセットと呼ばれている。カセットの複数コピーから形成された分子は、本発明に含まれる、本遺伝子の別の変種である。コラゲナーゼのような内因性酵素に対する耐性のような望ましい特徴を供給する組換え型もしくは変異型核酸分子またはカセットもまた、本発明に含まれる。
PCRもまた、組換えタンパク質のアミノ酸配列変種を作製するために用いられうる。少量の鋳型DNAが出発物質として使用される場合、鋳型DNAにおける対応する領域とは配列においてわずかに異なるプライマーが所望のアミノ酸変種を発生させることができる。PCR増幅は、結果として、プライマーにより特定された位置においてそのタンパク質をコードするポリヌクレオチド鋳型とは異なる産物DNA断片の集団を生じる。産物DNA断片は、プラスミドにおける対応する領域に置き換わり、これは所望のアミノ酸変種を与える。
アミノ酸変種を発生させるためのさらなる技術は、Wellsら、34 GENE 315(1985)に記載されるカセット突然変異誘発技術;および、例えば、Sambrookら、前記;Ausubelら、CURRENT PROTOCOLS IN MOL. BIOL.前記、のような当技術分野においてよく知られた他の突然変異誘発技術である。
遺伝子コードの固有の縮重により、天然、合成、半合成、もしくは半組換えである、実質的に同じもしくは機能的に等価である、特に、一貫した(Gly-X-Y)アミノ酸構造を含むアミノ酸配列またはポリペプチドをコードする他のDNA配列は、主張された本発明の実施において使用されうる。そのようなDNA配列は、ストリンジェントな条件下で適切なタンパク質配列にハイブリダイズする能力があるものを含みうる。
このように、本発明は、さらに、上記の配列にハイブリダイズする核酸配列に関する。特に、本発明は、上記核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列に関する。本明細書に用いられる場合、用語「ストリンジェントな条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーションが概して、配列間に少なくとも95 %、および好ましくは少なくとも97 %の同一性がある場合に起こるであろうことを意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、50 % ホルムアミド、5x SSC(150 mM NaCl, 15 mM クエン酸三ナトリウム)、50 mM リン酸ナトリウム(pH 7.6)、5x デンハルト液、10 % デキストラン硫酸、および20マイクログラム/ミリリットルの変性、剪断されたサケ精子DNAを含む溶液において42℃で一晩インキュベーション、続いて、およそ65℃で0.1x SSCにおいてハイブリダイゼーション支持体を洗浄することである。他のハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件は、よく知られており、SAMBROOKら、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL(第2版、Cold Spring Harbor, NY(1989))、特に11章に例示されている。
植物細胞の形質転換
形質転換は、外因性DNAが入り、レシピエント細胞を変化させる過程である。それは、自然的過程または当技術分野においてよく知られた様々な方法を用いる人工的過程により起こりうる。形質転換は、原核生物または真核生物の宿主細胞への外来核酸配列の挿入のためのいずれの公知の方法にも頼りうる。選択の方法は、形質転換されることになっている宿主細胞の型に基づいて選択され、限定されるものではないが、ウイルス感染、電気穿孔法、熱ショック、リポフェクション、A. チュメファシエンス(A. tumefaciens)媒介型トランスフェクション、および微粒子銃を含みうる。
発現ベクターは、アグロバクテリウムチュメファシエンスを用いて植物宿主系へ導入されうる。Horschら、227 SCIENCE 1229(1985)。アグロバクテリウムベクター系およびアグロバクテリウム媒介型遺伝子移入のための方法の記載は、Gruberら、VECTORS FOR PLANT TRANSFORMATION, Glickら(編)、89-119(CRC Press, 1993), およびMoloneyら、8 PLANT CELL REPORTS 238(1989)により提供されている。
より具体的に言うと、イネ、コムギ、トウモロコシ、ソルガム、およびオオムギの形質転換のための標準的方法が当技術分野において記載されている。Christouら、10 TRENDS IN BIOTECH. 239(1992); Leeら、88 P.N.A.S. 6389-6393(1991)を参照。コムギは、トウモロコシまたはイネを形質転換するために用いられたものと同様の技術により形質転換されうる。さらに、Casasら、90 P.N.A.S. 11212-11216(1993)は、ソルガムを形質転換するための方法を記載し、一方、Lazzeri, 49 METHODS MOL. BIOL. 95-106(1995)は、オオムギを形質転換するための方法を教えている。トウモロコシ形質転換のために適した方法は、Frommら、8 BIO/TECHNOLOGY 833-839(1990); Gordon-Kammら、2 PLANT CELL 603-618(1990); Russellら、6 TRANSGENIC RES., 157-158(1997); 米国特許第5,780,708号により提供されている。
本発明の実施において有用なベクターは、組換えDNAを機械的に運びうるマイクロピペットの使用により植物細胞へ直接的に微量注入されうる。Crossway, 202 MOL. GEN. GENET., 179-185(1985)。遺伝物質はまた、ポリエチレングリコールを用いることにより植物細胞へ運ばれうる、Krensら、96 NATURE 72-74(1982)。
核酸セグメントの導入のもう一つの方法は、小さいビーズもしくは粒子の基質内かまたは表面上かのいずれかに核酸を含む小さい粒子による高速度弾道的貫通である。Kleinら、327 NATURE 70-73(1987); KundsenおよびMuller, 185 PLANTA 330-336(1991)。
さらに、導入のもう一つの方法は、ミニ細胞、細胞、リソソーム、または他の可融性の脂質の表面をもつ物体のいずれかの他の物体とプロトプラストの融合であると考えられる。Fraleyら、79 P.N.A.S. 1859-1863(1982)。
ベクターはまた、電気穿孔法により植物細胞へ導入されうる。(Frommら、82 P.N.A.S. 5824-5828(1985))。この技術において、植物プロトプラストは、遺伝子構築物を含むプラスミドの存在下において電気穿孔される。高電界強度の電気的インパルスが可逆的に生体膜を透過性にさせて、プラスミドの導入を可能にする。電気穿孔された植物プロトプラストは、細胞壁を再形成し、分裂し、植物カルスを形成することができる。米国特許第5,584,807号を参照。
対象となる発現したタンパク質を含む子孫の単離
所望のタンパク質を含む子孫は、当技術分野においてよく知られたアッセイ法を用いて、異種性タンパク質の存在についてアッセイすることにより同定されうる。そのような方法は、ウエスタンブロット法、免役アッセイ法、結合アッセイ法、酵素活性アッセイ法、および生物学的に機能しうる異種性タンパク質を検出するように設計されたいずれのアッセイ法も含む。例えば、KLEIN, IMMUNOLOGY: SCI OF SELF-NONSELF DISCRIMINATION(John Wiley & Sons編、New York, N.Y. 1982)に記載されるアッセイ法を参照。
好ましいスクリーニングアッセイ法は、hMISの生物学的活性を検出する。これらのアッセイ法は、例えば、複合体の産生、触媒反応生成物の形成、エネルギーの放出または吸収、細胞増殖、適切な抗体による標準としての同定などを同定する。例えば、この方法により産生されたhMIS分子を含む子孫は、ELISAまたは当技術分野において公知の他の免疫アッセイ法のような標準的免疫アッセイ法においてそのタンパク質上の標準の抗原性部位に結合しうる抗体により認識されうる。ANTIBODIES: A LAB. MANUAL(HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. 1988)を参照。
植物再生
培養されたプロトプラストからの植物再生は、EVANSら、HANDBOOK OF PLANT CELL CULTURES, 1巻:(MacMillan Publishing Co. New York 1983); CELL CULTURE & SOMATIC CELL GENETICS OF PLANTS, (Vasil I.R.編、Acad. Press, Orlando, I巻1984およびIII巻1986)に記載される。
プロトプラストが単離され、再生した植物全体をもたらすように培養されうるすべての植物は、本発明により形質転換されて、移入された遺伝子を含む植物全体が回収されうる。限定されるものではないが、サトウキビ、テンサイ、ワタ、果樹および他の木々、マメ科植物および野菜、双子葉植物、ならびに単子葉植物のすべての主な種を含む、事実上、すべての植物が培養された細胞または組織から再生されうることは知られている。
再生の方法は、種の間で異なるが、一般的に、単独でまたは組織の一部としてかのいずれかで培養されることができ、異種性タンパク質遺伝子のコピーを含む細胞が、最初に単離される。カルス組織はこの細胞から成長しうり、そして苗条はカルスから発生するように誘導され、その後根付きうる、または苗条は分裂組織内の細胞から直接的に惹起されうる。
または、胚形成は、細胞懸濁液において発生するように誘導されうる。これらの胚は、出芽して植物を形成する能力をもつ。培地は、一般的に、様々なアミノ酸、ならびにオーキシンおよびサイトカイニンのようなホルモンを含む。培地へグルタミン酸およびプロリンを添加することはまた、特にトウモロコシおよびアルファルファのような種にとって有利である。苗条および根は、通常、同時に発生する。効率的な再生は、培地、遺伝形質、および培養の履歴に依存するものである。これらの3つの可変事項が最適化されたならば、再生は完全に再現性かつ反復性でありうる。
タンパク質を細胞下の部位へ標的化する能力があるペプチドの示差的な部分をコードする第二の核酸配列の転写を調節する能力がある第一の核酸配列、およびこの第二の核酸に融合されている、完全長hMISまたはhMISのC末端領域をコードする第三の核酸から構成される発現ベクターを含む本発明の植物は、当業者によく知られた方法を用いて培養される。本発明のいずれのトランスジェニック植物もそれらが含む所望のタンパク質を単離するために栽培されうる。
栽培後、トランスジェニック植物は、完全長hMISまたはhMISのC末端領域を回収するまたは発現させるために収穫される。この収穫段階は、植物全体、または植物の葉のみもしくは根を収穫することからなりうる。この段階は、植物を殺しうるか、またはトランスジェニック植物の部分のみが収穫される場合には、植物の残りが成長し続けることが可能になりうる。
本発明によるトランスジェニック植物はまた、所望の形質を具現化するハイブリッドまたは新規な品種を発生させるために用いられうる。そのような植物は、従来の選択型育種を用いて発生されるものと思われる。
形質転換された植物細胞から成長した成熟植物は、自家受粉し、その結果として生じるホモ接合のトランスジェニック植物が同定される。または、異系交配が行われうり、その遺伝子を別の植物へ移動する。どちらの場合でも、トランスジェニック植物は、本発明のタンパク質を含む種を生じる。本発明によるトランスジェニック植物は、所望の形質を具現化するハイブリッドまたは新規な品種を発生させるために用いられうる。そのような植物は、従来の選択型育種を用いて発生されるものと思われる。
以下の実施例は、本発明をより詳細に例示するものであるが、本発明がこれらの特定の実施例に限定されないことは理解されるものと思われる。様々な他の実施例は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本開示を読んだ後、当業者にとって明らかであるものと思われる。すべてのそのような他の実施例が添付された特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。
実施例
さらなる詳細なしに、当業者が前の記載を用いて、本発明を最大限まで利用することができる。以下の実施例は、例証となるのみであり、いずれの点においても開示の残りのものを制限しない。以下の技術は、当業者により、いずれの適切な植物宿主系においても、TGF-βスーパーファミリーのタンパク質を産生するように適応されうる。
実施例1:トランスジェニックタバコ植物におけるホロhMISの産生
トランスジェニックタバコ植物におけるホロhMISの発現のためのベクターの構築
完全長MISのコード領域は、GenBankアクセッション番号K03474に記載される配列を含むヒトMISのcDNAクローン由来であった(図2)。MIS cDNA配列は、pBluescript II(KS)(pBS II; Stratagene)における2.0 kb EcoRI断片として存在した。一般的なクローニングストラテジーは、図3に例示されている。好ましくない5'リーダー配列を除去し、隣接XbaI部位を供給するために、完全長MISコード領域の最初の282 bpがMS1プライマーおよびMS2プライマーを用いてPCR増幅された(図3)。PCR産物は、XbaIおよびStuIで消化され、StuIで消化された完全長MISベクターにライゲーションさせた。ライゲーション産物は、XbaIおよびEcoRIで消化され、2.0 kb断片がpBS IIベクターへクローニングされた。創傷誘導性MeGA(商標)プロモーターを含むプラスミドはEcoRIで消化され、末端はリョクトウヌクレアーゼで平滑化された。引き続いて、プラスミドは、HindIII/平滑末端断片としてプロモーター断片を切除するためにHindIIIで消化された。改変された完全長MISクローンは、XbaIで消化され、リョクトウヌクレアーゼで平滑末端化され、HindIII/平滑末端MeGA(商標)プロモーター断片へライゲーションされた。MeGA(商標)プロモーター:MIS接合部は、配列分析により確認された(図4)。その結果生じた2.3 kb HindIII/EcoRI断片は、pBiB-Kan植物形質転換ベクターのHindIII/EcoRI部位へクローニングされた。このベクターを用いる形質転換から生じるトランスジェニック植物は、CT102と名付けられた。
タバコ植物への完全長hMISの形質転換
MeGA(商標)プロモーター:MIS遺伝子を含む発現構築物は、アグロバクテリウム媒介型形質転換により、タバコ円盤状葉片へ導入された。Horschら、223 SCIENCE 496-498(1984)。まず、小さい円盤状葉片が無菌的に成長したタバコ実生(ニコチアナタバクム(Nicotiana tabacum)、品種キサンチ(Xanthi))から切除され、MeGA(商標)プロモーター:MIS形質転換ベクターを含むアグロバクテリウムチュメファシエンスの懸濁液へ浸漬され、24時間共培養され、そして細菌の増殖(カルベニシリン)および形質転換されていない植物細胞(カナマイシン)に対して選択される培地へ移行された。形質転換された植物細胞は、NPTII遺伝子の同時導入に基づきカナマイシン耐性であった。成長および発生の3〜4週間後、分化した苗条は切除され、発根培地へ移行された。根発生後(通常、5〜7日間)、未発育植物は土壌へ移行された。トランスジェニック植物は、最初の形質転換の10週間以内に温室へ移行された。約8週間で、最初の葉組織が切除され、誘導され、そしてホロhMIS発現について免疫ドットブロット法によりスクリーニングされた。成長のさらに数週間後、葉組織は、下記のようなDNA、RNA、およびタンパク質分析のために採取された。
形質転換は、275個の独立したトランスジェニック植物を生じた。植物は、MISの発現についてRNAドットブロットノーザン法によりスクリーニングされた。簡単には、切除された葉材料は、1.5 mmの条片に切り刻むことにより創傷誘導され、室温で様々な期間(例えば、0時間、4時間、8時間、12時間)インキュベートされ、そして全RNAの単離のために使用された。完全長ヒトMIS cDNAは、標識されて、ノーザンスロット-ブロット分析のためのハイブリダイゼーションプローブとして用いられた。植物の大多数は、MIS mRNAの発現をほとんどまたはまったく示さなかった。選択された植物のサザン分析より、植物は導入遺伝子の1〜3コピーを含むことが示された。CT102-0018系は、中程度のレベルのMIS mRNAを有し、タバコで合成されたホロhMISのさらなる特徴付けのために使用された。有意なMIS導入遺伝子発現を示すトランスジェニック植物の低頻度は、タバコで発現されるMeGA(商標)支配性ヒト導入遺伝子の前の経験に基づき異常である。発現における低下は、タバコにとって問題のあるhMIS遺伝子におけるコドン使用頻度を反映している可能性がある(図5)。タバココドン優先を反映するためのMIS配列のコドン最適化は、タバコにおいてホロMISの産生レベルを有意に高めるであろうことを企図される。
トランスジェニック植物におけるホロhMISの発現の誘導および特徴付け
MISのバイオ生産を誘導するために、CT102-0018由来のトランスジェニックMIS植物組織の2グラムを極細パスタ製造器を用いて1.5 mm条片へ切り刻むことにより創傷誘導され、室温で24時間、38時間、72時間、および92時間、インキュベートされた。MISタンパク質は、他の分泌されるタンパク質と比較してゆっくりと内膜系を通して移動する特徴をもつ。例えば、CHO細胞で合成されるMISタンパク質は、感染後72時間までに培地中に検出されない。創傷誘導されたトランスジェニック植物におけるMIS mRNAの最大集積は、MeGA(商標)プロモーターにより支配される導入遺伝子の典型であるが、創傷後12時間で見られた。しかしながら、トランスジェニックMISタンパク質は、植物組織の創傷誘導後58〜72時間の分泌画分において検出された。
全タンパク質を抽出するために、組織は、液体窒素中で細粉へとすりつぶされ、試料緩衝液中にホモジナイズされた(Laemmli、前記)。ホモジネートは、18,600 rpmで20分間、遠心分離された。上清は収集され、全可溶性タンパク質のレベルが測定された。全タンパク質試料(レーンあたり20 μg)は、10〜20 %SDS-PAGEで分析された(Laemmli、前記)。タンパク質は、クライテリオンブロッター(Criterion Blotter)装置(BioRad)を用いて製造会社の推奨に従いニトロセルロース膜(0.22 μm Optitran, Schleicher & Schuell)へ転写された(Current Protocols in Immunologyを参照)。ウエスタン分析は、精製されたC末端MISタンパク質に対して産生されたウサギポリクローナル抗体を用いて行われた。図6(パネルA)に示されるように、120〜130 kDでのバンドが抗C末端MISと交差反応することが見出された。MISタンパク質は、試料中に存在する全可溶性タンパク質のおよそ0.005 %を示した。パネルAにおける120 kDの交差反応するバンドがMISのホモ二量体からなるかどうかを決定するために、48時間目および72時間目の誘導された材料からの全タンパク質の20 μgを10〜20 %SDS-PAGEゲル上で分析し、分子量基準に基づく98〜250 kDを網羅するゲル領域を詳細に分析し、還元性試料緩衝液(10 % グリセロール、2.3 % SDS、62.5 mM トリス-HCl pH 6.8、120 mM DTT)中にゲルを粉砕および浸漬することによりタンパク質を回収した。試料は、10〜20 % PAGE上へ添加される前に10分間、100℃に加熱された。図6(パネルB)に示されるように、ウエスタン分析はポリクローナル抗ホロMISを用いて行われた。69 kDおよび66 kDのタバコで合成されたタンパク質は抗ホロMISと交差反応した。トランスジェニック植物由来の組換えMISはCHO由来のホロMIS対照よりわずかに速い流動性で移動した。これらの結果は、明らかに、トランスジェニック植物がジスルフィド結合したホモ二量体としてホロMISを産生することができることを示している。MISのアミノ酸組成に基づく推定の分子量は、56.7 kDである。CHO由来MISと植物由来MISとの間の分子サイズにおける相違は、グリカン組成における相違のせいである可能性が高い(Cabanes-Macheteauら、前記;ChrispeelsおよびFaye、前記)。
ホロMISは精製され、さらなる特徴付けにかけられた。植物由来ホロMISは、脱グリコシル化ホロMISを分析することにより、CHO由来ホロMISと等価のサイズを有することが示されている。さらに、ホロMISからの25 kD ホモ二量体C末端断片の酵素的放出がホロMISのプラスミン消化により実証されている。最後に、ホロMISから酵素的に切断されるC末端MISの生物活性がアッセイされる。
実施例2:トランスジェニックタバコ植物における生物活性C末端hMISの産生
トランスジェニックタバコ植物におけるC末端hMISの発現のためのベクターの構築
MIS生物活性ペプチドは、成熟ホロMIS前駆体のアミノ酸ARG427とSER428との間のフリン(furin)様切断により生成される。その結果生じる25 kD ホモ二量体、C末端MISは、MIS受容体タンパク質により認識される生物活性タンパク質である。天然の生物活性C末端MISは、グリコシル化されてなく、ヒトの等価分子を作製するために植物特異的グリコシル化を改変するいずれの必要も取り除く。C末端MISを直接的に産生するために、開始コドンならびにC末端MIS産物を二量体化および分泌のために内膜系へと方向づけるためのインフレームのシグナルペプチドをコードする配列を供給する必要があった。植物においてC末端生物活性MIS断片の発現のための構築物を作製するために、ヒトMIS[GenBankアクセッション番号K03474(図2)]のC末端をコードするcDNA領域をPCR増幅し、ジャガイモパタチン遺伝子由来の植物シグナルペプチドをコードする配列に融合させた。一般的なクローニングストラテジーは図7に示されている。K03474アミノ酸配列に基づいて、プライマーは、ヒトMISのC末端99個のアミノ酸をコードする領域を増幅するために設計および使用された(図8)。プライマーは、隣接するXbaIおよびKpnIの制限部位を供給するように設計された。その結果生じたPCR産物は、pUC18へクローニングされ、配列が確認されて、その結果生じたプラスミドはpCT104と名付けられた。パタチンシグナルペプチドをコードする配列(パタチンSP;図9)に操作可能なように融合されたMeGA(商標)プロモーターを含んでいる領域を含む、プラスミドpCT103は、KpnIで消化され、平滑末端を作り出すためにリョクトウヌクレアーゼで処理された。pCT104クローン(C末端MIS配列をコードする)はXbaIで消化され、リョクトウヌクレアーゼで平滑末端化され、続いて、KpnI/平滑末端断片としてC末端MIS断片を放出するためにKpnIで消化された。C末端断片は、インフレーム融合を作製するようにMeGA(商標)プロモーター:パタチンSPにライゲーションされた。配列確認後、MeGA(商標):パタチンSP:C末端MISを含む0.5 kb HindIII/KpnI断片(図10)は、HindIIIおよびKpnIで消化された植物形質転換ベクター、pBiB-Kanへとクローニングされた。このベクターを用いる形質転換から生じたトランスジェニック植物はCT116と名付けられた。
トランスジェニック植物におけるC末端hMISの産生
C末端MIS発現構築物は、アグロバクテリウムチュメファシエンスへ導入され、上記のようにアグロバクテリウム媒介型形質転換によりタバコ円盤状葉片を形質転換するために用いられた。数百個のトランスジェニック植物が単離され、C末端MIS転写物の創傷誘導性集積についてスクリーニングされた。選択されたトランスジェニック植物からの全RNAのノーザン分析より、適切なサイズ(650塩基)のMIS転写物がこれらの植物に存在することが示された(図11)。C末端MIS植物は、完全長MIS植物と比較して、より高いレベルのMIS発現を示した。発現のより高度なC末端MIS系由来の種は、タンパク質の精製および特徴付け研究における将来的な使用のために産生された。
トランスジェニック植物におけるC末端hMISの発現の誘導および特徴付け
C末端MISトランスジェニック植物が12.5 kDタンパク質を発現させたことを示すために、CT116-0036植物からの組織を採取し、創傷誘導し、そして室温で0〜96時間インキュベートした。分泌画分は、抽出緩衝液中で誘導された組織をすすぐことにより収集され、分泌画分からのタンパク質は上記のようにウエスタン分析により分析された。試料は15 % SDS-PAGEで分析され、膜へ転写され、そしてウサギ抗C末端MIS抗体で探索された。図12に示されるように、25 kD 交差反応のバンドは、48時間、72時間、および96時間の試料に存在した。小さい方の13 kD タンパク質は、72時間および96時間の試料のみに存在した。このように、タバコは、C末端MISの25 kD 二量体、加えて12.5 kD 単量体を産生かつ分泌する。
DEAE-セルロース陰イオン交換クロマトグラフィーは、植物由来のC末端MISについての最初の濃縮/精製段階(Swannら、69 DEV. BIOL. 73-84(1979))として用いられた。72時間創傷誘導された組織からの分泌画分は濃縮され、20 mM HEPES、pH 8.5、50 mM NaClへ平衡化され、DEAE-セルロースカラムへ添加された。C末端MIS 25 kD 二量体は、ウエスタン免疫ブロット分析による検出に基づくカラム添加および溶出条件に依存して100 mMまたは250 mMのNaCl画分に主として回収された。25 kD C末端タンパク質の濃縮は、全タンパク質を検出するために銀染色されたSDS-PAGEゲルを用いて可視化された(図13)。還元条件下において(試料がジチオスレイトールの存在下で調製される)、C末端MISは、スルフヒドリル結合で連結された二量体の還元と一致しているSDS-PAGE上の12.5 kD バンドとして検出された。
植物産生C末端hMISの生物学的活性における初期研究
MIS活性についての決定的な生物検定は、ラット胎児ミュラー管の組織の選択的退縮を含む。Donahoeら、16 BIOL. REPRO. 238-243(1977); MacLaughlinら、198 METH. ENZYMOL. 358-369(1991)。活性化ホロMIS(例えば、プラスミンまたはエンドプロテアーゼ-Lys Cのどちらかで酵素的に切断された)または二量体C末端MISペプチドのどちらかのMIS生物活性が、隣接した組織または近くのウォルフ管に作用することなく、ミュラー管の選択的退縮をモニターする標準的ラット胎児ミュラー管退縮生物検定において測定される。細胞毒性成分に対するこのアッセイ法の感受性により、様々な非トランスジェニックタバコ抽出物および分泌画分からの粗タンパク質調製物(微小濾過および限外濾過された粗タンパク質濃縮物)は毒性について試験された。すべての粗タバコ調製物は、切除された胚性ラット泌尿生殖器組織に若干程度の非特異的毒性を示した。このように、タバコ合成MISの部分的精製は、標準的ラット胎児ミュラー管退縮生物検定における使用の前に必要とされた。
MIS生物活性について試験するために、非形質転換型対照タバコ植物、「空の」ベクターで形質転換された植物、トランスジェニックホロMIS CT102-0018、およびC末端MIS CT116-0036植物から抽出物を調製し、生物検定が試料の身元の知識なしに行われるようにコード化した。各試料について、バイオマスの1 kgは、創傷誘導応答を起こすために切り刻まれ、72時間インキュベートされ、そして20 mM トリス pH 7.4の抽出緩衝液1リットルで10分間すすがれて、分泌画分を生じた。これらの画分は、表1に示されるように、組織片を除去するためにミラクロスを通して濾過され、微小濾過、その後、限外濾過により収集かつ濃縮された。
Figure 2005525081
上記表1は微小濾過および限外濾過段階を示す。
ミュラー管隆線に毒性のあるタバコ因子からhMISを分離するために、hMIS試料は、レクチンクロマトグラフィーによる精製にかけられた。ホロMISは、N結合型グリカンのために結合およびレクチンから溶離すると考えられる。Budzikら、21 CELL 909-915(1980)。MISのC末端断片はN結合型グリカンを含まず、それゆえに、レクチンに対して低親和性であり、流動通過画分または最初の洗浄画分に回収されるものと思われる。毒性化合物の大部分は、カラム流動通過画分に存在していた。1 ml コムギ胚芽レクチンカラムを調製した。樹脂は、植物抽出物を添加する前に以下の緩衝液の3カラム容量の連続的洗浄により平衡化された:添加緩衝液(20 mM トリス、pH 8.0)、洗浄緩衝液(20 mM トリス、pH 8.0、500 mM NaCl)、および追加の添加緩衝液。限外濾過された植物抽出物の15ミリリットルをレクチンカラムに通し、流動通過画分を収集した。カラムは、添加緩衝液の3カラム容量、続いて、洗浄緩衝液の3カラム容量で洗浄された。糖タンパク質は、溶出緩衝液:20 mM トリス、pH 8.0、500 mM N-アセチルグルコサミン、の3カラム容量で溶出された。すべての試料は全タンパク質濃度について分析され(ブラッドフォード(Bradford)アッセイ法)、生物活性について試験する前に-80℃で保存された。
MIS生物活性を評価するために、14.5日齢の雌ラット胎児から切開された泌尿生殖器隆線を各試料(限外濾過された粗抽出物、カラム流動通過画分、トリスカラム洗浄画分、およびN-アセチルグルコサミン溶出画分を含む)からの全タンパク質の18 μgを含む試料と共にインキュベートした。72時間後、標本を固定し、パラフィンに包埋し、8 mmの連続切片へと切り、染色した。すべての4つの植物系からの粗抽出物および流動通過画分は、非特異的細胞毒性を示した。選択的ミュラー管退縮は、C末端MIS植物系であるCT116-0036由来のトリス洗浄画分で処理された標本においてのみ観察された。図14に示されるように、この処理は、周囲の組織またはウォルフ管への影響は無視できるままで、ミュラー管の約80 %退縮を引き起こした。このアッセイ法の結果は、植物が明確なMIS生物活性を示すC末端MIS二量体を産生する能力があることを実証した。対照的に、対照タバコ画分またはCT102-0018ホロMIS試料のいずれも生物活性を示さなかった。CT102-0018試料に関する陰性の結果は、ホロMISがアッセイ法を行う前に活性C末端断片を放出するように酵素的切断により「活性化」されなかったためと予想された。CT102-0018からの植物由来ホロMISのさらなる精製が、活性C末端MIS断片の放出および生物活性評価のためにホロMISをプラスミン媒介性切断にかけるために必要とされる。
本明細書に引用されたすべての参照文献、特許、または出願は、その全体あたかも本明細書に書かれているかのように、参照として本明細書に組み入れられている。
プレドメイン、プロドメイン、および生物活性ドメインを含むTGF-βスーパーファミリーのタンパク質、二量体化およびスルフィド結合、ならびに生物活性C末端断片の放出のための切断部位の一般的特徴を示す。 ヒトMIS cDNAの完全長ヌクレオチド配列を描く。ヌクレオチド配列は1683ヌクレオチド長である。 完全長hMIS遺伝子を含む発現カセットを作製するための一般的なクローニングストラテジーを示す。完全長hMIS遺伝子は、MeGA(商標)創傷誘導性プロモーターに融合されている。 MeGA(商標)プロモーター:MISのコード接合部を描く。コード接合部は太字体で示されている。 タバコタンパク質コード領域においてまれにしか使用されないコドン(低優先度コドン)を有するヒトプロMISのDNA配列内の部位を示す。 トランスジェニックタバコ植物から産生されたホロhMISタンパク質のウエスタンブロット分析を示す。 24時間、48時間、および72時間誘導されたトランスジェニック植物系CT102-0018からの全タンパク質の20 μgを示す。CT102-18は、10〜20 % SDS-PAGEで分析され、ウサギ抗C末端MISで探索された。各時点についての四角で囲まれた領域は、安全かみそりの刃を用いて抜き取られ、タンパク質は、その後、試料緩衝液および120 mM DTTに曝すことによりゲルから浸出された。 試料がウサギ抗ホロMISで探索されたウエスタンブロットを描く。69 kDおよび66 kDの2つの主要なバンドは抗ホロMISと交差反応した。これらのバンドは単量体MISタンパク質を表している。 C末端hMIS遺伝子を含む発現カセットを作製するための一般的なクローニングストラテジーを示す。C末端hMISについてのコード領域は、MeGA(商標)創傷誘導性プロモーターおよびパタチンシグナル配列をコードする配列を含むDNAに、C末端MISの植物シグナルペプチドへのインフレーム融合体が存在するように連結されている。 完全長hMISのアミノ酸配列を示す。 C末端MISクローンのヌクレオチド配列を示す。 MeGA(商標)プロモーター:パタチン配列:MISのコード接合部を描く。コード接合部は太字体で示されている。 C末端MIS構築物を含む創傷誘導されたトランスジェニック植物(1番および2番)から単離された全RNAのノーザンブロットを示す。ノーザンブロットは、タバコにおいて産生された交差ハイブリダイズするC末端MIS RNAは650個のヌクレオチド塩基の予想されたサイズへ移動したことを示している。 誘導後CT116-0036植物から0時間〜96時間分泌されたタンパク質のウエスタンブロット分析を示す。15 % SDS-PAGEおよびウサギ抗C末端MISで探索されたウエスタン分析。25 kDの交差反応バンドは、誘導後48時間〜96時間に存在している。バンドはホモ二量体C末端断片について予想されたサイズである。C末端MIS単量体タンパク質はおよそ12.5 kDであると思われる。13 kDタンパク質は72時間および96時間の試料において示されている。 25 kD C末端MISの存在および濃縮を実証するDEAE-セルロースクロマトグラフィーからのタンパク質画分の銀染色されたSDS-PAGEゲルを描く。C末端MISトランスジェニック植物系CT116-0036の創傷誘導された葉由来の分泌画分はDEAEセルロース上にさらに分画され、タンパク質は、銀染色での全タンパク質の検出の前に非還元性条件下でSDS-PAGEにかけられた。カラムは、20 mM HEPES、pH 8.5、50 mM NaClで平衡化された。ゲルおよび試料は、SDSは存在するが還元剤なしで、15 % SDS-PAGEにおいて流された。ゲル上における全タンパク質の銀染色により、150 mMおよび250 mM NaCl洗浄画分においておよそ25 kDaに移動したバンドが現された。四角で囲まれた25 kDのバンドは、平行した免疫ブロットの抗MIS抗体と交差反応した(示されず)。 植物由来C末端MISの生物活性を示すミュラー管退縮アッセイ法を描く。創傷誘導されたトランスジェニックタバコ葉から分泌されたタンパク質が回収、濾過、濃縮されて、MIS生物検定に使用される前にコムギ胚芽レクチンアフィニティクロマトグラフィーにかけられた。(Donahoeら、16 BIOL. REPRO. 238-243(1977); MacLaughlinら、198 METH. ENZYMOL. 358-369(1991))。泌尿生殖器隆線は、生後14.5日の雌ラット胎児から切開され、寒天コーティング化ステンレススチールグリッド上に置かれ、試験する試料とインキュベートされた。72時間後、標本はホルマリン中に固定され、パラフィンに包埋され、管の頭部先端から8 mm連続切片へと切られ、染色された。 完全長MISトランスジェニック植物系CT102-0018からの植物抽出物のレクチンカラムトリス洗浄画分の18 μgとインキュベートされた組織。画分はプラスミンで活性化されなかったので、MIS活性は期待されなかった。同様の結果は、非トランスジェニック対照タバコ植物および「空の」ベクターを含むトランスジェニック植物からの類似した画分で見られた。 C末端MISトランスジェニック植物系CT116-0036からの植物抽出物の類似したトリスカラム洗浄画分の18 μgタンパク質とインキュベートされた組織。この画分は、明らかに、周囲の組織または近接したウォルフ管に影響を与えることなく、ミュラー管の有意な退縮(収縮)により検出されるようなMIS生物活性を実証した。

Claims (40)

  1. TGF-βタンパク質をコードするキメラの核酸配列で植物宿主系を形質転換すること;TGF-βタンパク質を発現させる条件下で形質転換された宿主系を栽培する段階;および該植物宿主系から発現したTGF-βタンパク質を回収することを含む、植物宿主系において組換えTGF-βタンパク質を産生するための方法。
  2. TGF-βタンパク質がアクチビン、MIS、BMP、およびMNSFタンパク質からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. TGF-βタンパク質がヒトMISタンパク質である、請求項1記載の方法。
  4. 発現したTGF-βタンパク質が完全長TGF-βタンパク質、TGF-βペプチド断片、またはそれらの遺伝的もしくは化学的変種である、請求項1、2、または3記載の方法。
  5. ペプチド断片が生物活性C末端断片を含む、請求項4記載の方法。
  6. 生物活性C末端断片が植物特有のグリカンを含まない、請求項5記載の方法。
  7. 発現したTGF-βタンパク質が植物特有のグリカンまたはグリカン組成物を含むN結合型グリカンを含んでいる、請求項1、2、または3記載の方法。
  8. 植物特有のグリカンを減ずるもしくは除去するため、またはより望ましい糖変異体を生じるために、インビボまたはインビトロでN結合型グリカンを改変することをさらに含む、請求項7記載の方法。
  9. 植物宿主系から回収されたTGF-βタンパク質が化学物質または酵素により処理される、請求項8記載の方法。
  10. 酵素がグリコシダーゼまたはグリコシルトランスフェラーゼを含む、請求項9記載の方法。
  11. グリコシダーゼがキシロシダーゼおよび1,3-フコシダーゼからなる群より選択され、グリコシルトランスフェラーゼがガラクトシルトランスフェラーゼまたはシアリルトランスフェラーゼからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
  12. キメラの核酸配列が、植物宿主系において転写を調節する能力がある第一の核酸配列、シグナル配列をコードする第二の核酸配列、およびTGF-βタンパク質をコードする第三の核酸配列を含む、請求項1記載の方法。
  13. 第三の核酸配列が完全長TGF-βタンパク質または生物活性TGF-βタンパク質C末端断片をコードするための遺伝子を含む、請求項11記載の方法。
  14. TGF-βタンパク質がヒトMISタンパク質である、請求項13記載の方法。
  15. 第三の核酸配列が完全長タンパク質および切断部位をコードするための遺伝子を含む、請求項12、13、または14記載の方法。
  16. 切断部位が酵素的または化学的手段により切断可能である、請求項15記載の方法。
  17. 第一の核酸が植物活性プロモーターである、請求項12、13、または14記載の方法。
  18. 植物活性プロモーターが植物遺伝子配列、植物ウイルスの配列、非植物遺伝子配列、または合成起源由来である、請求項17記載の方法。
  19. 植物活性プロモーターが恒常的プロモーター、収穫前誘導性プロモーター、収穫後誘導性プロモーター、発生的に調節されるプロモーター、または組織特異的プロモーターからなる群より選択される、請求項17記載の方法。
  20. 植物活性プロモーターがMeGA(商標)プロモーターである、請求項17記載の方法。
  21. 第二の核酸配列がTGF-βタンパク質を植物宿主系内の細胞下の部位へ標的化する、請求項12、13、または14記載の方法。
  22. 細胞下の部位が細胞質ゾル、プラスチド、小胞体、またはアポプラストを含む、請求項21記載の方法。
  23. 第二の核酸配列が植物由来シグナルペプチドをコードするための遺伝子を含む、請求項12、13、または14記載の方法。
  24. 植物由来シグナルペプチドがパタチンシグナルペプチドである、請求項23の方法。
  25. 植物宿主系において転写を調節する能力がある第一の核酸配列、シグナル配列をコードする第二の核酸配列、およびTGF-βタンパク質をコードする第三の核酸配列を含む発現カセット。
  26. 第三の核酸配列が完全長TGF-βタンパク質または生物活性TGF-βタンパク質C末端断片をコードするための遺伝子を含む、請求項25記載の発現カセット。
  27. TGF-βタンパク質がヒトMISタンパク質である、請求項26記載の発現カセット。
  28. 第三の核酸配列が完全長タンパク質および切断部位をコードするための遺伝子を含む、請求項25、26、または27記載の発現カセット。
  29. 切断部位が酵素的または化学的手段により切断可能である、請求項28記載の発現カセット法。
  30. 第一の核酸が植物活性プロモーターである、請求項25、26、または27記載の発現カセット法。
  31. 植物活性プロモーターが植物遺伝子配列、植物ウイルスの配列、非植物遺伝子配列、または合成起源由来である、請求項30記載の発現カセット。
  32. 植物活性プロモーターが恒常的プロモーター、収穫前誘導性プロモーター、収穫後誘導性プロモーター、発生的に調節されるプロモーター、または組織特異的プロモーターからなる群より選択される、請求項30記載の発現カセット。
  33. 植物活性プロモーターがMeGA(商標)プロモーターである、請求項30記載の発現カセット法。
  34. 第二の核酸配列がTGF-βタンパク質を植物宿主系内の細胞下の部位へ標的化する、請求項25、26、または27記載の発現カセット法。
  35. 細胞下の部位が細胞質ゾル、プラスチド、小胞体、またはアポプラストを含む、請求項34記載の発現カセット法。
  36. 第二の核酸配列が植物由来シグナルペプチドをコードするための遺伝子を含む、請求項25、26、または27記載の発現カセット法。
  37. 植物由来シグナルペプチドがパタチンシグナルペプチドである、請求項36記載の発現カセット法。
  38. 請求項25〜37のいずれか一項記載の発現カセットで形質転換された植物宿主系。
  39. 植物または植物細胞である、請求項38記載の植物宿主系。
  40. 植物または植物細胞が単子葉植物または双子葉植物である、請求項39記載の植物宿主系。
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