JP2020156412A - 改変されたプロテアーゼ切断配列を含むアクチビンa - Google Patents

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Abstract

【課題】Furinと比較して安価なプロテアーゼの切断配列を含むアクチビンAの提供。【解決手段】改変されたプロテアーゼ切断配列を含むアクチビンA。【選択図】なし

Description

本発明は、改変されたプロテアーゼ切断配列を含むアクチビンAに関する。
アクチビンAは、TGF-β(transforming growth factor-β)スーパーファミリーに属するサイトカインであり、赤血球分化因子や中胚葉誘導因子として発生・分化に関与し、また、様々な細胞において多様な機能を調節している生理学上並びに産業上有用なタンパク質である。
アクチビンAには、プロタンパク質転換酵素(Furin)の切断部位が存在することが知られており(非特許文献1)、アクチビンAをFurinで消化することにより、成熟アクチビンAが得られることが知られている。
Wang X. et al, Nat Commun. 2016 Jul 4;7:12052
プロアクチビンAから成熟アクチビンAを製造する場合、プロアクチビンAの切断にはFurinを用いることができる。しかしながら、Furinは高価であるため、製造コストを抑えるためには、より安価なプロテアーゼを用いることが求められる。
そこで、本発明は、Furinと比較して安価なプロテアーゼで切断することができる改変型アクチビンAを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ヒトライノウイルス3C(HRV 3C)プロテアーゼの切断配列を含む改変型アクチビンAを作製することに成功し、本発明を完成するに至った。HRV 3CプロテアーゼはFurinと比較して安価であるため、アクチビンAの製造コストを抑制することができる。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)改変されたプロテアーゼ切断配列を含むアクチビンAであって、前記切断配列が、アミノ酸配列L-E-V-L-F-Q-G-P(配列番号12)を含む、アクチビンA。
(2)前記切断配列が、アミノ酸配列L-E-V-L-F-Q-G-P-E(配列番号13)を含む、上記(1)に記載のアクチビンA。
(3)前記切断配列が、アミノ酸配列R-L-E-V-L-F-Q-G-P-E(配列番号15)を含む、上記(1)又は(2)に記載のアクチビンA。
(4)改変された成熟領域を含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアクチビンAであって、前記成熟領域のアミノ酸配列の1〜3番目のアミノ酸配列が、G-P-Eである、アクチビンA。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアクチビンAをコードするポリヌクレオチド。
(6)上記(5)に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
(7)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアクチビンAを発現する形質転換体。
(8)形質転換体が植物である、上記(7)に記載の形質転換体。
(9)アクチビンAをアポプラストで発現する、上記(8)に記載の形質転換体。
(10)上記(7)〜(9)のいずれかに記載の形質転換体から発現されたアクチビンAを回収する工程を含む、アクチビンAの製造方法。
(11)以下の工程を含む、アクチビンAの製造方法。
(a) 上記(7)〜(9)のいずれかに記載の形質転換体から発現されたアクチビンAを回収する工程、及び
(b) 得られたアクチビンAをHRV 3Cプロテアーゼで処理する工程
本発明の改変型アクチビンAを用いることにより、Furinの切断部位を含むアクチビンAと比較して、アクチビンAの製造コストを顕著に抑制することができる。
ヒトアクチビンAの構造を示す模式図である。 プロアクチビンA発現タバコ葉の抽出液および硫安分画後サンプルの抗ヒスチジンタグ抗体を用いたウェスタンブロッティングによるHis6-プロアクチビンAの発現を確認した結果を示す図である。 Niキレートアフィニティクロマトグラフィーにより精製したHis6-プロアクチビンA(Furin切断部位を含む)のFurinによる切断を確認した結果を示す電気泳動図である。 Niキレートアフィニティクロマトグラフィーにより精製したHis6-プロアクチビンA(HRV 3Cプロテアーゼ切断部位を含む)のHRV 3Cプロテアーゼによる切断を確認した結果を示す電気泳動図である。 逆相クロマトグラフィーにより精製したFurin切断及びHRV 3Cプロテアーゼ切断アクチビンAの電気泳動図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
1.アクチビンA及びその改変体
アクチビンAは、TGF-β(transforming growth factor-β)スーパーファミリーに属するサイトカインであり、赤血球分化因子や中胚葉誘導因子として発生・分化に関与し、また、様々な細胞において多様な機能を調節するタンパク質である。
本発明は、アクチビンAのプロテアーゼ切断配列が、プロタンパク質変換酵素(Furin)と比較して安価なプロテアーゼの切断配列に改変されたアクチビンAを提供するものである。本発明の改変型アクチビンAを用いることにより、Furinの切断配列を含むアクチビンAと比較して、アクチビンAの製造コストを顕著に抑制することができる。
本発明において、「アクチビンA」とは、プロアクチビンAと成熟アクチビンAの両方又はいずれか一方を意味し、本発明において「アクチビンA」と称する場合、アクチビンAはプロアクチビンAと成熟アクチビンAとの混合物であってもよいし、いずれか一方のタンパク質であってもよい。プロアクチビンAは、成熟アクチビンAの前駆体であり、プロ領域、プロタンパク質変換酵素の認識領域及び成熟領域を含むタンパク質である(図1)。
本発明において、野生型のプロアクチビンAのアミノ酸配列としては、例えば、配列番号1(ヒト)、配列番号2(マウス)又は配列番号3(ラット)に示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。また、野生型のヒトプロアクチビンAにおける、プロタンパク質変換酵素(Furin)の認識配列(切断部位)、該認識配列上流のプロ領域、及び成熟領域(成熟型アクチビンA)のアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号16、17及び18に示されるものである。これらのアミノ酸配列や立体構造情報は、当業者であればGenBankやUniProt Protein Data Bank (PDB)など公知のデータベースから容易に入手することができる。例えば、ヒトプロアクチビンAのGenBankのアクセッション番号はNP_002183.1であり、PDBのアクセッション番号は5HLYである。
野生型の成熟アクチビンAは、プロアクチビンAがプロタンパク質変換酵素(フーリン(Furin))により切断されることにより生じる、成熟領域を含むタンパク質である。野生型の成熟アクチビンAは、116アミノ酸残基のβA鎖がジスルフィド結合により結合したホモダイマーである。
本発明において、アクチビンAが由来する動物の種類は限定されるものではなく、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、サル及びウシなどが挙げられるが、好ましくはヒトである。アクチビンAの成熟領域のアミノ酸配列は、ヒト、マウス、ラット、ネコ、ブタ及びウシにおいて100%の相同性を有する。
本発明は、改変されたプロテアーゼ切断配列を含むアクチビンAであって、前記切断配列が、アミノ酸配列:ロイシン(L)-グルタミン酸(E)-バリン(V)-ロイシン(L)-フェニルアラニン(F)-グルタミン(Q)-グリシン(G)-プロリン(P)(配列番号12)を含むものである(本明細書において、「改変型アクチビンA」とも称する)。
本明細書において、「プロテアーゼ切断配列」とは、プロテアーゼが認識するアミノ酸配列に加えて、その配列の上流(N末端側)及び/又は下流(C末端側)に1又は2個のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を意味する。
例えば、本発明において、改変されたプロテアーゼ切断配列は、
配列番号12のアミノ酸配列の下流にグルタミン酸(E)を含むアミノ酸配列[ロイシン(L)-グルタミン酸(E)-バリン(V)-ロイシン(L)-フェニルアラニン(F)-グルタミン(Q)-グリシン(G)-プロリン(P)-グルタミン酸(E)(配列番号13)]を含むものであってもよいし、
配列番号12又は13の上流にアルギニン(R)を含むアミノ酸配列[アルギニン(R)-ロイシン(L)-グルタミン酸(E)-バリン(V)-ロイシン(L)-フェニルアラニン(F)-グルタミン(Q)-グリシン(G)-プロリン(P)(配列番号14)又はアルギニン(R)-ロイシン(L)-グルタミン酸(E)-バリン(V)-ロイシン(L)-フェニルアラニン(F)-グルタミン(Q)-グリシン(G)-プロリン(P)-グルタミン酸(E)(配列番号15)]を含むものであってもよい。
本発明において、プロテアーゼとしては、Furinよりも安価なものであれば限定されるものではなく、例えば、ヒトライノウイルス3C(HRV 3C)プロテアーゼなどが挙げられる。
また、本発明の改変型アクチビンAは、成熟領域のアミノ酸配列の1〜3番目のアミノ酸配列が、例えば、グリシン(G)-プロリン(P)-グルタミン酸(E)であってもよい。すなわち、本発明のアクチビンAには、改変された成熟領域を含むアクチビンAであって、成熟領域のアミノ酸配列の1〜3番目のアミノ酸配列が、グリシン(G)-プロリン(P)-グルタミン酸(E)であるものが含まれる。
この改変アクチビンAがHRV 3Cプロテアーゼなどで切断された場合、N末端から数えて1〜3番目のアミノ酸配列が、例えば、グリシン(G)-プロリン(P)-グルタミン酸(E)である成熟アクチビンAを生じうる。
2.ポリヌクレオチド、ベクター、形質転換体
(1)ポリヌクレオチド
本発明のポリヌクレオチドは、本発明の改変型アクチビンAをコードするDNA又はRNAであればその塩基配列は限定されるものではない。当業者は、アクチビンAを発現する宿主の種類に応じてポリヌクレオチドのコドンを最適化することができる。この最適化により、宿主における改変アクチビンAの発現量を向上させることができる。本発明の改変型アクチビンAをコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号5に示される塩基配列(ヒトの塩基配列)を含むポリヌクレオチド若しくは該塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリヌクレオチドとしては、配列番号7に示される塩基配列を含む若しくは該塩基配列からなるポリヌクレオチドのほか、配列番号7に示される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、HRV 3Cプロテアーゼにより切断されるアクチビンAをコードするポリヌクレオチドを使用することができる。本発明において、「ストリンジェントな条件」とは、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ハイブリダイゼーション法の詳細な手順については、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual(4th edition)」(Cold Spring Harbor Laboratory Press (2012))等を参照することができる。
また、本発明のポリヌクレオチドとしては、配列番号7に示される塩基配列と50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上又は99%以上の相同性を有し、かつ、HRV 3Cプロテアーゼにより切断されるアクチビンAをコードするポリヌクレオチドを使用することができる。
ポリヌクレオチドに変異を導入する方法は公知であり、例えば、当業者は、Kunkel法やGapped duplex法等の部位特異的突然変異誘発法、オーバーラップエクステンションPCR(overlap extension PCR)法、QuikChange法など、公知の方法を用いて本発明のポリヌクレオチドに変異を導入することができる。本発明のポリヌクレオチドに変異を導入することにより、アクチビンAのアミノ酸配列を改変することができる。
本発明においては、アクチビンAをアフィニティー精製するために、アフィニティータグをアクチビンAに付加することができる。アフィニティータグとしては、例えばヒスチジンタグ(連続するヒスチジン残基からなるアミノ酸配列)、GSTタグ、FLAGタグ、c-mycタグなどを用いることができるが、これらに限定されない。ヒスチジンタグの付加方法は公知であり、当業者であれば公知の方法に基づいて容易にヒスチジンタグを本発明のアクチビンAのN末端側に付加することができる。また、本発明においては、アクチビンAにシグナル配列を付加することもできる。シグナル配列としては、KDELシグナル、イネαアミラーゼ由来シグナル等が挙げられる。シグナル配列を付加する方法は公知であり、植物細胞内で発現させるために最適化した配列を用いることができる。
本発明において、アクチビンAのN末端側にシグナル配列及びヒスチジンタグを付加したアミノ酸配列としては、例えば、配列番号4又は5に示されるものが挙げられる。
(2)ベクター
本発明において、「ベクター」としては、上記(1)に記載した本発明のポリペプチドを含むものであれば限定されるものではなく、例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクター、アグロバクテリウムなどを用いることができる。植物を宿主として用いる場合のベクターとしては、例えば、植物ウイルスベクター、アグロバクテリウムなどを用いることができ、より具体的には、例えば、TMVベクター、PVXベクター、CPMVベクター、CMVベクター、PPVベクター、AIMVベクター、ZYMVベクター等を用いることができる。本発明において使用されるベクターは、一過性発現用のベクターでも恒常的発現用のベクターでもいずれでもよい。当業者であれば、ベクターを導入する宿主の種類及び目的に応じて、使用するベクターを適宜選択することができる。
本発明のベクターには、本発明のポリヌクレオチドのほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)、選択マーカー遺伝子、レポーター遺伝子などを連結することができる。なお、選択マーカー遺伝子としては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。レポーター遺伝子としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその変異体(EGFP、BFP、YFP等の蛍光タンパク質)、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、LacZ等の遺伝子が挙げられる。
(3)形質転換体
本発明においては、上記(2)に記載したベクターを宿主に導入することにより、形質転換体を得ることができる。本発明において、「形質転換体」は非ヒト形質転換体である。本発明において、「宿主」とは本発明のベクターを導入する対象となる生物であって、目的の改変型アクチビンAを発現するものをいう。宿主としては、本発明の改変型アクチビンAを発現するものであれば限定されず、例えば、植物、非ヒト哺乳動物及びこれに由来する細胞、細菌、酵母、真菌等を用いることができるが、植物が好ましい。植物としては、例えばタバコ属植物、コケ植物(ヒメツリガネゴケ(P. patens)等)、ジャガイモ(S. tuberosum等)、イネ科植物(O. sativa等)、アブラナ科植物、レタスが挙げられるが、タバコ属植物が好ましい。タバコ属植物としては、例えば、ベンサミアナタバコ(N. benthamiana)、タバコ(N. tabacum)、ニコチアナ・エクセルシオ(N. excelsior)などが挙げられるが、これらに限定されない。非ヒト哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、サル及びウシ並びにこれらに由来する細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。細菌としては、例えば大腸菌が挙げられるが、これに限定されない。
宿主へのベクターの導入は、公知の方法を用いて行うことができる。公知の遺伝子導入方法としては、例えば、ウイルスベクターを用いた方法、アグロインフェクション法、リン酸カルシウム法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE-デキストラン法、電気穿孔法、カチオン性脂質法等が挙げられるが、宿主が植物である場合は、植物ウイルスベクターを用いた方法、アグロインフェクション法が好ましい。これらの方法に用いることができるベクターは、上記(2)に「植物を宿主として用いる場合のベクター」として記載したとおりである。
本発明において、宿主として植物を用いる場合は、形質転換の前に植物を栽培する。植物の栽培方法は下記の通りである。
まず、肥料を入れた育苗トレイに種子を播種し、播種後の植物を人工気象器にて光サイクルを調節して数日間生育させる。肥料として液体肥料を用いる場合は、水耕栽培用ウレタンマットに液体肥料を染み込ませて育苗トレイに収めることができる。
次に、育苗した植物体を栽培(前期)用パネルに移植し、移植後のパネルを人工気象器にセットし、例えば、湛液方式(deep flow technique、DFT方式)にて数日間栽培する。
その後、栽培(前期)用パネルから植物体を取り出し、栽培(後期)用パネルに定植する。移植後の栽培(後期)用パネルを人工気象器にセットし、DFT方式にて数日間栽培し、植物体を得る。
上記の方法において、肥料としては液体肥料を用いることができるが、これらに限定されない。液体肥料を用いる場合は、水耕栽培用ウレタンマットに液体肥料を染み込ませて育苗トレイに収めることができる。
本発明において、液体肥料は市販のものを適宜組合せて使用することができ、限定されるものではない。液体肥料は、脱塩素水に溶解することができる。また、液体肥料は、電気伝導度及びpHを調整して用いることができ、当業者であれば公知の方法を用いてこれらを調整することができる。
本発明において、環境条件としては、例えば、温度が10〜40℃(例えば28℃)、相対湿度が60〜80%、CO2濃度が300〜5000 ppm(例えば400 ppm、500 ppm)、栽培日数が栽培前期で0日〜35日間(例えば9日間)、栽培後期で0日〜35日間(例えば7日間)に設定することができるが、これらに限定されず、当業者であれば植物の生育状況等に応じてこれらの条件を適宜調整することができる。
本発明において、水耕栽培の方式としては、主に湛液方式(deep flow technique: DFT方式)と薄膜方式(Nutrient Film Technique: NFT方式)を用いることができる。
上記の通り、宿主が植物である場合は、植物ウイルスベクターを用いた方法、アグロインフェクション法を用いることができる。これらの方法は当業者によく知られているが、例としてアグロインフェクション法を簡潔に説明すると下記の通りである。
まず、上記(2)に記載した本発明のベクターをアグロバクテリウムに電気穿孔法等により導入し、アグロバクテリウムを形質転換する。本発明に用いることができるアグロバクテリウムとしては、限定されるものではないが、例えば、GV3101株、LBA4404株、EHA101株、EHA105株、AGL1株等が挙げられる。
次に、形質転換したアグロバクテリウムを、植物の葉などに感染させる。アグロバクテリウムを植物に感染させる方法としては、例えば、真空浸潤(Vacuum Infiltration)法、シリンジインフィルトレーション法、リーフディスク法、葉面散布法などが挙げられる。真空浸潤法を用いる場合の手順としては、例えば、まず、栽培した植物を逆さにしてビーカー中のアグロバクテリウムの菌液に全ての葉が完全に液中に浸かるように浸漬させる。その後、当該ビーカーを真空デシケーターに入れ、数分間(例えば1分間)静置し、減圧する。その後、バルブを一気に開放して復圧を行う。復圧終了後、植物を正立に戻し、人工気象器に植える。感染後、人工気象器を用いて例えばDFT方式にて1〜14日間(例えば6日)栽培する。環境条件は、上記と同様であり、当業者であれば植物の生育状況等に応じてこれらの条件を適宜調整することができる。
これにより、植物の形質転換体を作製することができる。アグロバクテリウムを植物に感染させる際には、別のベクターをそれぞれ含む複数種のアグロバクテリウムを同時に感染させてもよい。その際、本発明のベクター以外のベクターを含むアグロバクテリウムを組み合わせて用いてもよく、そのようなベクターとしては、例えば、大麦またはイネαアミラーゼのシグナルペプチドを含むベクター、PhiC31インテグラーゼ発現ベクターなどが挙げられる。
その他の宿主由来の形質転換体についても、当業者であれば、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual(4th edition)」(Cold Spring Harbor Laboratory Press (2012))等の公知の方法に基づいて容易に作製することができる。
3.アクチビンAの製造方法
本発明においては、上記2.に記載した本発明の形質転換体からアクチビンAを回収することにより、アクチビンAを製造することができる。また、本発明の方法においては、回収したアクチビンA(プロアクチビンA)を精製し、精製したプロアクチビンAをHRV 3Cプロテアーゼで処理することにより、プロ領域が除去された成熟領域のアクチビンA(成熟アクチビンA)を得ることができる。
本発明において、改変された成熟領域を含む成熟アクチビンAは、そのアミノ酸配列の1〜3番目のアミノ酸配列が、グリシン(G)-プロリン(P)-グルタミン酸(E)である。改変された成熟アクチビンAのアミノ酸配列としては、例えば配列番号19に示されるものが挙げられるが、これに限定されない。
アクチビンAの製造方法に用いる形質転換体の種類は限定されるものではないが、例えば形質転換体が植物である場合のアクチビンAの製造方法は下記の通りである。
まず、アグロバクテリウムの感染後1〜14日(例えば6日)栽培した形質転換した植物体の葉を採取し、抽出用緩衝液を用いてアクチビンA(プロアクチビンA)を抽出する。採取する植物体の葉の量は植物体の種類によって異なる。また、抽出を行うまでの間は-80℃で凍結保存することができる。抽出用緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液などが挙げられるが、これらに限定されない。pHは上記緩衝液が適切に作用する範囲を含め、通例pH2〜11の間で調製される。
次に、抽出液中に含まれるアクチビンAの精製を行う。精製は、通常の方法、例えば水性二相分配、硫安分画、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等を単独または適宜組み合わせることによって行うことができる。
得られた精製物質が目的のタンパク質、すなわちアクチビンAであることの確認は、通常の方法、例えばSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、N末端アミノ酸配列分析、ウエスタンブロッティング、酵素免疫測定法(ELISA)、質量分析等により行うことができる。
これにより、精製されたアクチビンA(プロアクチビンA)を得ることができる。
さらに、精製されたプロアクチビンAをHRV 3Cプロテアーゼで処理することにより、プロ領域が除去された成熟領域のアクチビンA(成熟アクチビンA)を得ることができる。また、プロ領域との混合物として用いても良い。
得られた成熟アクチビンAの活性は、例えば、マウス骨髄腫細胞由来MPC-11細胞を96ウェルプレート内に播種し、公知の方法(Phillips D. J. et al, Journal of Endocrinology, 162, 111-116, 1999)に基づき、各アクチビンAを添加して3日間培養し、細胞増殖阻害を指標にアクチビンA無添加群に対して50%増殖阻害する濃度をED50値として評価することができる。
4.アクチビンAを含む組成物
本発明は、本発明の改変型アクチビンAを含む組成物を提供することができる。本発明の組成物は、改変型アクチビンAのほか、生理食塩水、緩衝液、賦形剤等の公知の添加物を含むことができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例においては、His6タグを含み、かつFurin切断部位を有するプロアクチビンAを「野生型プロアクチビンA」又は「His6-プロアクチビンA(Furin)」と称することがあり、His6タグを含み、HRV 3Cプロテアーゼ切断部位を有するプロアクチビンAを「改変型プロアクチビンA」又は「His6-プロアクチビンA(HRV 3Cプロテアーゼ)」と称することがある。
また、野生型プロアクチビンAをFurinにより切断して得られた成熟型アクチビンAを「成熟型アクチビンA(Furin)」又は「Furin切断アクチビンA」と称することがあり、改変型プロアクチビンAをHRV 3Cプロテアーゼにより切断して得られた成熟型アクチビンAを「成熟型アクチビンA(HRV 3Cプロテアーゼ)」又は「HRV 3Cプロテアーゼ切断アクチビンA」と称することがある。
1.ベクターの調製
N末端にイネαアミラーゼ由来シグナルペプチド(配列番号21)ならびHis6タグ(HHHHHH)を付加したプロアクチビンAをコードする塩基配列(配列番号6)を人工合成し、発現ベクター(pRI 201-AN, タカラバイオ社)のNdeI- SalIサイトにT4 DNAリガーゼを用いて連結し、pRI_N-His-ProActivinを作製した。イネαアミラーゼ由来シグナルペプチドをコードする塩基配列は、配列番号20に示される。
次に、改変型プロアクチビンA遺伝子発現ベクターを以下の通り作製した。
pRI_N-His-ProActivinを鋳型にして、下記の変異導入プライマーでOverlap extension PCRを行い、Furin認識配列をHRV 3Cプロテアーゼ認識配列に置換したポリペプチドをコードするN-His-ProActivin_HRV を得た。得られたポリヌクレオチドをpRI 201-ANのNdeI- SalIサイトにT4 DNAリガーゼを用いて連結し、pRI_N-His-ProActivin_HRVを作製した。
5'-CTTGAGGTTTTGTTTCAGGGGCCTGAGTGTGATGGCAAGGTTAACATC-3'(配列番号8)
5'-AGGCCCCTGAAACAAAACCTCAAGAGGGTGATCCTCAGACTGCCTAGC-3’(配列番号9)
5'-GAGAGAACACGGGGGACTCTAGATAC-3’(配列番号10)
5'-TCGGTAGCAATTCCCGAGGCTGTAG-3’(配列番号11)
2.形質転換体の作製
(1)宿主植物の栽培
本実施例では、宿主植物としてタバコ属植物であるベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)を用いた。
(1−1)播種
播種用液体肥料(大塚ハウスS1号(大塚アグリテクノ株式会社)0.78 g/L、大塚ハウス2号(大塚アグリテクノ株式会社)0.25 g/L、pH 5.0)を 水耕栽培用ウレタンマット(江松化成 W587.5 mm×D282 mm×H28 mm:12×2マス 穴径φ9 mm)にしみこませ、育苗トレー(W600 mm×D300 mm×H300 mm)に収め、ベンサミアナタバコ(Nictiana benthamiana)種子を播種した。
(1−2)育苗
播種後の植物を人工気象器 (NC-410HC) (日本医化器械製作所)にて室温28℃、16時間昼/8時間夜の光サイクルにて12日間生育させた。
(1−3)栽培(前期)
育苗に用いたウレタンマットを1マスずつ分離し、栽培(前期)用パネル(W600 mm×D300 mm 30穴)に移植した。移植後の栽培(前期)用パネルを人工気象器 (LH-410SP) (日本医化器械製作所) にセットし、湛液方式(deep flow technique, DFT方式)にて9日間栽培した。環境条件および液体肥料条件は以下のとおりに制御した。
《環境条件》
- 温度:28℃
- 相対湿度:40〜60%
- CO2濃度:400 ppm
- 照明:平均光合成光量子束密度(PPFD):140 μmol/m2・秒、24 h連続照射、三波長蛍光灯「ルピカライン」(三菱電機株式会社)
《液体肥料条件》
液体肥料は、肥料A液(大塚ハウスS1号150 g/L、大塚ハウス5号(大塚アグリテクノ株式会社)2.5 g/L)、肥料B液(大塚ハウス2号100 g/L)をそれぞれ脱塩素水に溶解し、等量に混合して使用した。pH調整にはpH調整剤ダウン(大塚アグリテクノ株式会社)および4%KOH水溶液を用いた。液体肥料の電気伝導度(electrical conductivity, EC)およびpHは「らくらく肥料管理機3」(株式会社セムコーポレーション)を用いてEC: 2.3 mS/cm、pH6.0になるように調整した。
(1−4)栽培(後期)
栽培(前期)用パネルより植物体を取り出し、栽培(後期)用パネル(W600 mm×D300 mm 6穴)に定植した。移植後の栽培(後期)用パネルを人工気象器 (LH-410SP) (日本医化器械製作所) にセットし、DFT方式にて7日間(播種後28日間)栽培した。環境条件は以下のとおり制御した。
《環境条件》
- 温度:28℃
- 相対湿度:60〜80%
- CO2濃度:500 ppm
- 照明:平均光合成光量子束密度(PPFD):140 μmol/m2・秒、24 h連続照射、三波長蛍光灯「ルピカライン」(三菱電機株式会社)
(2)形質転換体の作製
(2−1)バキュームインフィルトレーション(真空浸潤法)による感染
上記「1.」で作製した本発明のベクターを、それぞれエレクトロポレーション法によりアグロバクテリウムAGL1株に導入し、TBSV P19発現ベクター(pP19/MM444)をそれぞれ保有するAGL1株とともにアグロインフィルトレーション法でベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)に感染させた。
具体的には、上記「2.(1)」で得られた播種後28日目のベンサミアナタバコを逆さにしてビーカー中のアグロバクテリウム菌液に全ての葉が完全に液中に浸るように沈めた。
その後、該ビーカーを真空デシケーター (FV-3P) (東京硝子器械株式会社) に入れ-0.09 MPaに1分間静置し、減圧した。その後、バルブを一気に開放して復圧をおこなった。
復圧終了後、植物を正立に戻し、人工気象器 (LH-410SP) (日本医化器械製作所) に植えた。
(2−2)感染葉の栽培(発現工程)
感染後の栽培は人工気象器(LH-410SP) (日本医化器械製作所) を用いて行った。DFT方式にて6日間栽培した。環境条件は以下のとおり制御した。
《環境条件》
- 温度:28℃
- 相対湿度:60〜80%
- CO2濃度:500 ppm
- 照明:平均光合成光量子束密度(PPFD):140 μmol/m2・秒、24 h連続照射、三波長蛍光灯「ルピカライン」(三菱電機株式会社)
3.野生型及び改変型プロアクチビンAの製造
(1)抽出
形質転換したベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)から感染6日後のタバコ葉を収穫した。抽出を行うまで-80℃で凍結保管した。
抽出用緩衝液として、0.1 Mリン酸カリウム、0.5 M アルギニン、 5 mM亜硫酸ナトリウムを含む緩衝液(pH 8.0)またはリン酸緩衝液を用いた。
(2)精製
(2−1)硫安分画による精製
組換えアグロバクテリウム感染6日後のタバコ葉を収穫し、抽出用緩衝液[0.1 Mリン酸カリウム, 0.5 Mアルギニン, 5 mM亜硫酸ナトリウムを含む緩衝液(pH 8.0)またはリン酸緩衝液]を用いて野生型及び改変型プロアクチビンAを抽出した。本抽出液に35%飽和硫安溶液となるように硫安を添加した。1時間室温にて撹拌した後、室温で15,000×g、 15分間遠心して35%硫安分画上清液を回収した。続いて60%飽和硫安となるように硫安を添加し、1時間室温にて撹拌した。その溶液を15,000×g、15分間遠心して、60〜90%硫安分画沈殿を回収した。プロアクチビンA発現タバコ葉の抽出液および硫安分画後サンプルを、抗Hisタグ抗体(Penta-His Antibody HRP conjugate, QIAGEN #34460)を用いたウェスタンブロッティングに供し、野生型及び改変型プロアクチビンAの発現を確認した。SDS-PAGEの各レーンには、以下のサンプルをアプライした。その結果を図2に示す。
レーンM:Precision Plus ProteinTM Dual Xtra Standards(BIO-RAD #161-0377)
レーン1:野生型プロアクチビンA(His6-プロアクチビンA(Furin))を発現させたタバコ葉の抽出液
レーン2:改変型プロアクチビンA(His6-プロアクチビンA(HRV 3Cプロテアーゼ))を発現させたタバコ葉の抽出液
レーン3:野生型プロアクチビンA(His6-プロアクチビンA(Furin))を発現させたタバコ葉抽出液の硫安分画サンプル
レーン4:改変型プロアクチビンA(His6-プロアクチビンA(HRV 3Cプロテアーゼ))を発現させたタバコ葉抽出液の硫安分画サンプル

図2に示されるとおり、上記全てのサンプルにおいて、野生型又は改変型のプロアクチビンAが発現していることが確認できた。
(2−2)Niキレートアフィニティクロマトグラフィーによる精製
100 gの野生型及び改変型プロアクチビンA発現タバコ葉60%〜90%硫安分画沈殿に対し、40 mLのNiキレートアフィニティ精製用平衡化緩衝液(20 mM HEPES, 150 mM NaCl, 20 mMイミダゾール, 10%グリセロール, pH 8.0)を添加し、沈殿を溶解した。この溶液をNiキレートアフィニティ精製用平衡化緩衝液で平衡化したHisTrap HP 1 mLカラム(GEヘルスケア社)に滞留時間3分の速度で流し、その後Niキレートアフィニティ精製用洗浄液(20 mM HEPES, 150 mM NaCl, 20 mMイミダゾール, 10%グリセロール, pH 8.0)でカラムを洗浄した。最後にNiキレートアフィニティ精製用溶出液(20 mM HEPES, 150 mM NaCl, 200 mMイミダゾール, 10%グリセロール, pH 8.0)を流し、野生型及び改変型プロアクチビンAを溶出、精製した。プロアクチビンA濃度はSDS-PAGEにて定量した。
1.野生型及び改変型プロアクチビンAのプロテアーゼによる切断
Furin(R&D社)及びHRV 3Cプロテアーゼ(Merck Millipore社)の取扱い説明書に従い、これらの酵素を用いて0.5 mgの野生型及び改変型プロアクチビン Aを22℃で15時間切断後、反応液をSDS-PAGEに供し、プロアクチビン Aがプロ領域と成熟アクチビン Aに切断されていることを確認した。図3にFurin切断反応前後のSDS-PAGEの結果を示す。また、図4にHRV 3Cプロテアーゼ切断反応前後のSDS-PAGEの結果を示す。
図3に示される各レーンにアプライされたサンプルは以下の通りである。
レーンM:Precision Plus ProteinTM Dual Xtra Standards(BIO-RAD #161-0377)
レーン1:Niキレートアフィニティクロマトグラフィーにより精製した野生型プロアクチビンA(His6-プロアクチビンA(Furin))
レーン2:Furin切断反応液(成熟型アクチビンA(Furin))
レーン3:アクチビンA標準品(R&D社)

図4に示される各レーンにアプライされたサンプルは以下の通りである。
レーンM:Precision Plus ProteinTM Dual Xtra Standards(BIO-RAD #161-0377)
レーン1:Niキレートアフィニティクロマトグラフィーにより精製した改変型プロアクチビンA(His6-プロアクチビンA(HRV 3Cプロテアーゼ))
レーン2:HRV 3Cプロテアーゼ切断反応液(成熟型アクチビンA(HRV 3Cプロテアーゼ))
レーン3:アクチビンA標準品(R&D社)

これらの結果から、プロアクチビンAがFurin又はHRV 3Cプロテアーゼにより切断されたことを確認できた。
2.逆相クロマトグラフィーによる成熟型アクチビン Aの精製
Furin及びHRV 3Cプロテアーゼによる切断反応液を、Amicon Ultra-4, 10K(Merck Millipore社)を用いて20 mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH 3.0)にバッファー置換した。バッファー置換溶液にアセトニトリルを終濃度20%となるように加え、逆相精製用平衡化溶液(20%アセトニトリル, 0.1%トリフルオロ酢酸)で平衡化したCOSMOSIL Protein-R 4.6/150カラム(ナカライテスク社)に滞留時間2.5分の速度で流した。その後、20%から34%アセトニトリルとなるよう40カラム体積でグラジエント溶出を行い、溶出ピークを全て回収した。SDS-PAGEにて成熟型アクチビンAを含む画分を集めた後、Amicon Ultra-4, 10K(Merck Millipore社)で4 mM HClに置換した。成熟型アクチビンA濃度はSDS-PAGEにて定量した。図5に最終精製品のSDS-PAGEの結果を示す。
図5に示される各レーンにアプライされたサンプルは以下の通りである。
レーンM:Precision Plus ProteinTM Dual Xtra Standards(BIO-RAD #161-0377)
レーン1:アクチビンA標準品(R&D)
レーン2:Furin切断アクチビンA(成熟型アクチビンA(Furin))精製標品、
レーン3:HRV 3Cプロテアーゼ切断アクチビンA(成熟型アクチビンA(HRV 3Cプロテアーゼ))精製標品
この結果から、精製された成熟型アクチビンAが得られたことが確認できた。
マウス骨髄腫細胞由来MPC-11細胞を96ウェルプレート内に播種し、文献(Phillips D. J. et al, Journal of Endocrinology, 162, 111-116, 1999)に記載された方法に基づき、各成熟型アクチビンA(R&D社標準品、Furin切断アクチビンA、HRV 3Cプロテアーゼ切断アクチビンA)を添加して3日間培養し、細胞増殖阻害を指標にアクチビンA活性を評価した。アクチビンA無添加群に対して50%増殖阻害する濃度をED50値として求めた結果を表1に示す。


表1に示されるように、Furin切断及びHRV 3Cプロテアーゼ切断アクチビンAのED50値は7 ng/mL未満であり、市販のアクチビンA標準品と同等の活性を有することが示された。
以上の結果から、改変されたプロテアーゼ切断配列を含むアクチビンA(プロアクチビンA及び成熟型アクチビンA)を得ることができることが示された。本発明の改変型アクチビンAは、Furinを使用することなく切断することができるため、アクチビンAの製造コストを顕著に抑制することができる。
本発明の改変型アクチビンAを用いることにより、Furinの切断部位を含むアクチビンAと比較して、アクチビンAの製造コストを顕著に抑制することができる。
配列番号4、5、12〜19及び21:合成ペプチド
配列番号6〜11及び20:合成DNA

Claims (11)

  1. 改変されたプロテアーゼ切断配列を含むアクチビンAであって、前記切断配列が、アミノ酸配列L-E-V-L-F-Q-G-P(配列番号12)を含む、アクチビンA。
  2. 前記切断配列が、アミノ酸配列L-E-V-L-F-Q-G-P-E(配列番号13)を含む、請求項1に記載のアクチビンA。
  3. 前記切断配列が、アミノ酸配列R-L-E-V-L-F-Q-G-P-E(配列番号15)を含む、請求項1又は2に記載のアクチビンA。
  4. 改変された成熟領域を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクチビンAであって、前記成熟領域のアミノ酸配列の1〜3番目のアミノ酸配列が、G-P-Eである、アクチビンA。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクチビンAをコードするポリヌクレオチド。
  6. 請求項5に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクチビンAを発現する形質転換体。
  8. 形質転換体が植物である、請求項7に記載の形質転換体。
  9. アクチビンAをアポプラストで発現する、請求項8に記載の形質転換体。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の形質転換体から発現されたアクチビンAを回収する工程を含む、アクチビンAの製造方法。
  11. 以下の工程を含む、アクチビンAの製造方法。
    (a) 請求項7〜9のいずれか一項に記載の形質転換体から発現されたアクチビンAを回収する工程、及び
    (b) 得られたアクチビンAをHRV 3Cプロテアーゼで処理する工程
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