JP2005520187A - 結晶レンズを有する対物レンズ - Google Patents

結晶レンズを有する対物レンズ Download PDF

Info

Publication number
JP2005520187A
JP2005520187A JP2003575170A JP2003575170A JP2005520187A JP 2005520187 A JP2005520187 A JP 2005520187A JP 2003575170 A JP2003575170 A JP 2003575170A JP 2003575170 A JP2003575170 A JP 2003575170A JP 2005520187 A JP2005520187 A JP 2005520187A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
lenses
objective lens
coating
axis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003575170A
Other languages
English (en)
Inventor
ゴエーナーマイアー アクセル
パツィディス アレキサンドラ
メキング ビルギット
ツァツェック クリストフ
クラエーマー ダニエル
Original Assignee
カール・ツァイス・エスエムティー・アーゲー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by カール・ツァイス・エスエムティー・アーゲー filed Critical カール・ツァイス・エスエムティー・アーゲー
Publication of JP2005520187A publication Critical patent/JP2005520187A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/708Construction of apparatus, e.g. environment aspects, hygiene aspects or materials
    • G03F7/7095Materials, e.g. materials for housing, stage or other support having particular properties, e.g. weight, strength, conductivity, thermal expansion coefficient
    • G03F7/70958Optical materials or coatings, e.g. with particular transmittance, reflectance or anti-reflection properties
    • G03F7/70966Birefringence
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/02Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of crystals, e.g. rock-salt, semi-conductors
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3083Birefringent or phase retarding elements
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70483Information management; Active and passive control; Testing; Wafer monitoring, e.g. pattern monitoring
    • G03F7/7055Exposure light control in all parts of the microlithographic apparatus, e.g. pulse length control or light interruption
    • G03F7/70566Polarisation control

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Lenses (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

【課題】 複屈折、特に固有複屈折の影響が有意に緩和されるマイクロリソグラフィー投影露光装置用投影対物レンズを提供する。
【解決手段】 少なくとも1個のフッ化物結晶レンズを有する対物レンズ、特にマイクロリソグラフィー投影露光装置用投影対物レンズであって、複屈折の有害な影響の減少は、このレンズがフッ化物結晶の{100}結晶面または前記結晶面と同等の結晶面に対して略垂直であるレンズ軸を有する(100)−レンズである場合に達成される。少なくとも2個のフッ化物結晶レンズを有する対物レンズの場合は、フッ化物結晶レンズが互いに対して回転せしめられるように配置されると有利である。フッ化物結晶レンズのレンズ軸は、<100>結晶方向だけではなしに、<111>結晶方向または<110>結晶方向にも向く。複屈折の有害な影響のさらなる低下は、互いに対して回転せしめられた(100)−レンズの組と互いに対して回転せしめられた(111)−レンズまたは(110)−レンズの組とを同時に用いることによって達成される。複屈折の有害な影響のより一層の減少は、光学素子を補償被覆により覆うことによって得られる。

Description

本発明は、対物レンズ、とくに少なくとも1個のフッ化物結晶レンズ(1)を含む複数個のレンズ(L601〜L630、L801〜L817)を有する対物レンズ(611、711)、特にマイクロリソグラフィー投影露光装置(81)用投影対物レンズに関する。
この種の投影対物レンズは、理想的には、フッ化物結晶レンズの製造時にレンズ軸をフッ化物結晶の{111}結晶面に対して垂直に整合させて、応力により誘導される複屈折を最小限に抑えるという概念が開示されている米国特許第6,201,634号により周知である。米国特許第6,201,634号は、フッ化物結晶は固有複屈折を有さないという仮定に基づいている。
しかしながら、ジョン H.バーネット、エリック L.シャーリーおよびザッカリー H.レヴァイン(John H. Burnett, Eric L. Shirley and Zachary H. Levine)のインターネット文献「CaFにおける固有複屈折の予備的測定(Preliminary Determination of an Intrinsic Birefringence in CaF2)」、NIST、米国メリーランド州ゲーサーズバーグ 20899(2001年5月7日掲示)より、フッ化カルシウム単結晶も、ストレスにより誘導されるのではない複屈折、すなわち固有複屈折を示すことが知られている。前記文献に紹介された測定値から、フッ化カルシウム結晶の<110>方向に進む光線は、λ=156.1nmの波長で(6.5±0.4)nm/cm、λ=193.09nmの波長で(3.6±0.2)nm/cm、λ=253.65nmの波長で(1.2±0.1)nm/cmの大きさに達する複屈折を受けることがわかる。その一方で、光の伝播が結晶の<100>方向または<111>方向に配向される場合は、理論によっても予測されるように、フッ化カルシウムにおいてはいかなる固有複屈折も起こらない。したがって、固有複屈折は、強い方向依存性を有し、波長が小さくなると有意に増大する。
結晶方向の指数は、以下では、符号「<」と「>」との間に挟まれて示され、結晶面の指数は、符号「{}と「」」との間に挟まれて示される。結晶方向は、常に、対応する結晶面の表面法線の方向を向く。たとえば、結晶方向<100>は、結晶面{100}の表面法線の方向を向く。立体格子形構造を有するフッ化物結晶を含む結晶は、次のような主結晶方向を有する。すなわち、
Figure 2005520187
を有する。立方晶系結晶の対称特性により、次の主結晶方向は、互いに同等であるため、すなわち、
Figure 2005520187
は、互いに同等であるため、これらの主結晶方向のひとつを向く結晶方向は、以下では、「(100)−」の表記を前置して示される。これらの主結晶方向のひとつに対して垂直な結晶面は、これに対応して、「(100)−」の表記を前置して示される。
Figure 2005520187
これらの主結晶方向は、同様に互いに同等であるため、これらの主結晶方向のひとつを向く結晶方向は、以下では、「(110)−」の表記を前置して示される。これらの主結晶方向のひとつに対して垂直な結晶面は、これに対応して、「(110)−」の表記を前置して示される。
Figure 2005520187
これらの主結晶方向は、同様に互いに同等であるため、これらの主結晶方向のひとつを向く結晶方向は、以下では、「(111)−」の表記を前置して示される。これらの主結晶方向のひとつに対して垂直な結晶面は、これに対応して、「(111)−」の表記を前置して示される。前記の主結晶方向のひとつに関して以下に示されるあらゆる記述は、同等の主結晶方向に等しく適用されるものと理解されるべきである。
投影対物レンズおよびマイクロリソグラフィー投影露光装置は、たとえば本出願人の特許出願PCT/EP第00/13148号および前記出願において引用された参照文献から周知である。前記出願の例証的な実施例に、193nmおよび157nmの動作波長において0.8および0.9の開口数を有する純粋に屈折性かつ反射屈折性の適切な投影対物レンズが示されている。
レンズ素子を回転させて複屈折の効果を補償するという概念もまた、2001年5月15日出願の本出願人の特許出願第01055P号の特許出願“Projektionsbelichtungsanlage der Mikrolithographie, Optisches System und Herstellverfahren”(マイクロリソグラフィー用投影露光装置、光学系および製造方法)(独国特許第101 23 725.1)において説明されている。前記出願の内容は、これにより、参照によって本出願に取り入れられる。
米国特許第6,201,634号 PCT/EP第00/13148号 独国特許第101 23 725.1 ジョン H.バーネット、エリック L.シャーリーおよびザッカリー H.レヴァイン(John H. Burnett, Eric L. Shirley and Zachary H. Levine)のインターネット文献「CaF2における固有複屈折の予備的測定(Preliminary Determination of an Intrinsic Birefringence in CaF2)」、NIST、米国メリーランド州ゲーサーズバーグ 20899(2001年5月7日掲示)
本発明の目的は、複屈折、特に固有複屈折の影響が有意に緩和されるマイクロリソグラフィー投影露光装置用投影対物レンズを提供することにある。
この目的は、請求項1、8および31に記載の対物レンズと、請求項47に記載のマイクロリソグラフィー投影露光装置と、請求項48に記載の半導体構成品の製造方法と、請求項49に記載の対物レンズの製造方法と、請求項53に記載の複屈折効果を補償する方法と、請求項54に記載のレンズ製造方法とによって達成される。
本発明の有利な改良形態は、従属請求項の特徴から明らかになる。
発明の実施の形態
固有複屈折の影響を最小限に抑えるために、請求項1において、フッ化物結晶レンズのレンズ軸を<100>結晶方向に整合させることが提案されている。レンズ軸は、主結晶方向からの逸脱が5°以下であれば、主結晶方向に整合していると見なされる。対物レンズの全てのフッ化物結晶レンズがこのような結晶面の整合を有さなければならないわけではないことに注意されたい。レンズ軸が{100}結晶面に対して垂直であるレンズもまた、以下では、(100)−レンズと呼ばれる。レンズ軸を<100>結晶方向に整合させることは、<110>結晶方向に進む光線に作用する固有複屈折の有害な影響が、レンズ軸を<111>結晶方向に整合させる場合より大きい光線開口角においてのみ顕著になるという利点を有する。開口角は、これに関しては、光線とレンズの外側の光軸との間および光線とレンズの内側の光軸との間における角度を意味するものと理解される。対応する光線は、開口角が<100>結晶方向と<110>結晶方向との間における角度の範囲に入る場合にのみ作用を受ける。<100>結晶方向と<110>結晶方向との間における角度は、45°である。他方、レンズ軸を<111>結晶方向に整合させると、<110>結晶方向と<111>結晶方向との間における角度が35°しかないため、固有複屈折の有害な影響が、より小さい開口角で早くも顕著になる。
当然ながら、本明細書に開示される本発明の概念は、複屈折の角度依存性が、たとえばフッ化物結晶の製造工程またはレンズの機械的な装着によって引き起こされる場合に、複屈折、特に応力により誘導される複屈折の有害な影響を減じるために同様に適用されうる。
レンズ軸は、たとえば回転対称レンズの対称軸によって定義されうる。レンズが対称軸を有さない場合は、レンズ軸は、入射光線束の中心として、またはレンズ内における全ての光線がそれに対してなす光線角度が最小限となる直線により定義されうる。レンズは、たとえば屈折または回折レンズおよび自由形状の補正面を有する補正板であってもよい。平行平面板もまた、対物レンズの光線経路内に配置される場合は、レンズと見なされる。平行平面板において、レンズ軸は、平面状のレンズ面に対して垂直である。
しかしながら、これらのレンズは、回転対称レンズであることが好ましい。
対物レンズは、物体平面から像面に至る光軸を有する。(100)−レンズは、好ましくは、この光軸を中心として配置されて、レンズ軸もまた前記光軸と一致するように構成される。
本発明は、マイクロリソグラフィー投影露光装置用投影対物レンズに適用されることが有利であり、その理由は、これらの対物レンズは、光学的解像度に関して極めて厳密な要件を満たさなければならないからである。しかし、複屈折は、たとえば大開口の波面を測定することによって投影対物レンズ用のレンズを試験するのに用いられるレンズ試験用対物レンズにも有害な影響を及ぼす。
像側において特に0.7を超える大きい開口数を有する対物レンズにおいて、(100)−レンズの内側における開口角は、25°より大、特に30°より大となる。レンズ軸を<100>結晶方向に配向するという本発明の概念は、これらの大きい開口角の場合に特に有利に用いられる。レンズ軸を<111>結晶方向に配向した場合は、25°を超える、特に30°を超える開口角を有する光線は、以下に説明される補正手段のひとつを用いなければ、複屈折の有害な影響によって、より顕著に作用を受ける。
他方、固有複屈折の有害な影響は、45°の開口角で最大限に達しうるため、光線の全ての開口角が45°未満、特に
Figure 2005520187
となるように投影対物レンズを設計することが有利であり、ここで、NAは、像側の開口数を示し、nFKは、フッ化物結晶の屈折率を示す。前記式
Figure 2005520187
は、光線が平面状の境界面において屈折せしめられる場合のフッ化物結晶レンズの内側における像側開口数に対応する開口角を示す。これは、像面の近くに配置されるレンズが光線を収束させる面、平面、または、光を拡散させるレンズ面に続いて光線をより強力に収束させるレンズ面が光の方向に配置されるという条件で通過する光線を若干だけ拡散させる面を有する場合に達成される。
大きい開口角は、主として、フィールド面の近く、特に像面の近くに配置されるレンズで生じる。したがって、(100)−レンズは、好ましくは、フィールド面の領域において用いられるべきである。(100)−レンズが用いられるべきである領域は、レンズ直径と絞り直径との間における比に基づいて判断されうる。したがって、(100)−レンズのレンズ直径は、好ましくは絞り直径の85%以下、特に80%以下となる。
一般に、投影対物レンズにおける最大開口角は、像面に最も近いレンズにおいて生じる。したがって、このレンズのレンズ軸を<100>結晶方向に整合させることが好ましい。
光線の開口角に対する依存性に加えて、フッ化物結晶レンズの固有複屈折は、光線の方位角にも依存する。したがって、全てのフッ化物結晶レンズは、一方では開口角θの関数であり、かつ他方では方位角αの関数である複屈折分布Δn(α、θ)を有する。開口角θと方位角αとによって判断される所定の光線方向に関して、複屈折の値Δn([nm/cm]の単位で表示)は、フッ化物結晶の内側において光線が進む経路の物理的な長さに対する2つの互いに直交する直線偏光状態の光路差を示す。したがって、固有複屈折は、経路長さおよびレンズの形状と無関係である。光線の光路差は、これに対応して、複屈折と光が進む経路の長さとの積によって得られる。開口角θは、光線とレンズ軸とがなす角度を表す一方で、方位角αは、レンズ軸に対して垂直な結晶面への光線の投射とレンズに密接に関連ある基準方向との間における角度を表す。
個別のフッ化物結晶レンズの複屈折分布は、角度依存性であるため、対物レンズの像面の像点において収束する光線束は、2つの互いに直交する直線偏光状態に関して角度依存性の光路差ΔOPL(α、θ)を有する。光路差ΔOPLは、この場合は、開口角θと方位角αとの関数として与えられる。光線の開口角θは、この場合は、光線の方向と像面における光軸との間における角度として定義され、方位角αは、像面への光線の投射と像面内における固定基準方向との間における角度として定義される。対物レンズが少なくともフッ化物結晶の2個のレンズまたはレンズ部分を有する場合は、これらのレンズまたはレンズ部分のレンズ軸が主結晶方向を向き、かつこれらのレンズまたはレンズ部分が、レンズ軸のまわりにおいて互いに回転せしめられて、光路差の分布ΔOPL(α、θ)が、レンズ軸が同じ主結晶方向を向き、かつレンズまたはレンズ部分が一様な配向を有して配設される構成と比較して有意に低い値を有するように配置されると有利である。しかしながら、レンズの複屈折分布は、方位角依存性を有するため、レンズの回転構成により、分布ΔOPL(α、θ)の最大値は、一様な配向の構成と比較して最大20%、特に最大25%減じられうる。
レンズ部分は、たとえば光学的に継ぎ目のない態様で互いに接合されて密着により1個の個別レンズを形成する個別のレンズを意味するものと理解される。最も一般的な意味において、レンズ部分は、個別レンズの構成要素を指し、レンズ部分のレンズ軸は、それぞれ個別レンズのレンズ軸の方向を向く。
フッ化物結晶レンズを相対的に回転せしめられた配向で配設することにより、方位角αに対する分布ΔOPL(α、θ)の依存性を有意に低下させることができて、ほとんど回転対称の分布ΔOPL(α、θ)が得られるようになる。
レンズ軸が主結晶方向を向いている場合は、レンズの複屈折分布Δn(α、θ)は、k回方位角対称性を有することになる。たとえば、レンズ軸が<100>結晶方向を向く(100)−レンズの複屈折分布は、4回方位角対称性を有し、レンズ軸が<111>結晶方向を向く(111)−レンズの複屈折分布は、3回方位角対称性を有し、レンズ軸が<110>結晶方向を向く(110)−レンズの複屈折分布は、2回方位角対称性を有する。方位角対称性の次数によって、1つの組をなす個別のレンズまたはレンズ部分は、レンズ軸のまわりにおいて互いに対して回転せしめられる特定の回転角γを有して配置される。これらの回転角γは、この場合は、それぞれの対をなすレンズまたはレンズ部分の基準方向間において測定される。1つの組をなすレンズのレンズ軸は、同じ主結晶方向または同等の主結晶方向を向く。1つの組をなすレンズの基準方向は、所定の開口角θに関する複屈折分布Δn(α、θ)が同じ方位角プロフィールを有するような態様でレンズと関連づけられる。その結果として、最大限の複屈折を有する方位角領域は、1つの組の全てのレンズに関して同じ方位角において生じる。1つの組をなすn個のレンズに関して、それぞれのレンズ対間における回転角は、下式のように与えられる:
Figure 2005520187
ここで、kは、方位角対称性の次数を、nは、1つの組をなすレンズの個数を、mは、任意の整数を表す。±10°の許容差は、回転角を理論上の理想的な角度から逸脱させて、対物レンズの調節においてその他の制約を考慮に入れることができるようにしうることを可能にする。理想的な回転角からの逸脱は、1つの組をなすレンズの光路差の方位角補償が最適化されないことに繋がる。しかしながら、これは、ある一定の限度内において許容されうる。
(100)−レンズの場合は、結果として、以下の仕様が回転角に関して得られる:
Figure 2005520187
その1つの組が2個の(100)−レンズによって構成される場合は、これらの2個のレンズ間における回転角は、理想的には45°または135°、225°・・・である。
(111)−レンズの場合は、結果として、以下の仕様が回転角に関して得られる:
Figure 2005520187
(110)−レンズの場合は、結果として、以下の仕様が回転角に関して得られる:
Figure 2005520187
しかし、光路差の分布ΔOPL(α、θ)は、さらにまた、個別の1組をなすレンズの影響に関して示され得、これらのレンズのみを複屈折の評価において考慮して、その他のレンズはいかなる複屈折も有さないと仮定することができる。
1つの組をなすレンズは、たとえばこれらのレンズ内の光線束の、いずれの場合も同様の開口角を有する最外側開口光線によって判断され、これらのレンズ内の最外側開口光線の開口角は、15°より大、特に20°より大であることが有利である。この最外側開口光線とは、物点に源を発するとともに、絞り面における高さが絞りの半径に対応し、かつその結果として像面において像側の開口数にしたがった角度を有する光線を指す。この最外側開口光線は、一般にレンズの内側において最大の開口角を有し、したがって最も複屈折の作用を受けるため、その1組を定義するのに用いられる。このため、最外側開口光線の2つの互いに直交する直線偏光に関する光路差を判断することによって、複屈折が波面に及ぼす作用の最大限度に関する情報が得られる。
最外側開口光線が辿る経路の長さがこれらの各々のレンズにおいて均等であると、さらに有利である。これらの手段は、1つの組をなす個別のレンズによって引き起こされる光路差の分布に対する方位角の寄与を良好に補償して、結果的に得られる光路差分布が回転対称に近くなるようにする。
1つの組をなすレンズが同じ配向を有して配置される場合に、最外側開口光線がこれらの各レンズにおいて2つの互いに直交する直線偏光状態に関して略均等な光路差を有すると、さらに有利である。この条件が満たされると、互いに回転した構成のこれらのレンズにより、方位角の寄与の最適な補償が達成される。
等しい厚さの隣接する平行平面形の(100)−または(111)−レンズまたは等しい厚さの4個の隣接する平行平面形の(110)−レンズの場合は、前記式にしたがってレンズを回転させることにより、回転対称の分布の光路差ΔOPLが得られる。曲面を有するレンズの場合も同様に、1つの組をなすレンズを注意深く選択するか、またはレンズの厚さと半径とを適切に選択すると、2個のレンズのみを回転させるだけで略回転対称の分布の光路差を達成することが可能である。(100)−レンズまたは(111)−レンズの場合は、1つの組が2個のレンズを有すると有利である。(110)−レンズの場合は、略回転対称の分布の光路差は、4個のレンズが1つの組をなす場合に達成される。
レンズを回転させるという手段は、レンズが隣接して配置される場合に特に有効である。レンズを2個の部分に分割するとともに、たとえば密着によりこれらのレンズ部分を光学的に継ぎ目のない態様に互いに接合して、前記レンズ部分が互いに対して回転するようにすることが特に有利である。
多数のレンズを有する投影対物レンズの場合は、1つの組をなすレンズがレンズ軸のまわりにおいて回転せしめられて、結果的に得られる分布ΔOPL(α、θ)が実質的に方位角と無関係になるように配置される複数のレンズ組を形成させることが有利である。
1つの組をなすレンズの相互回転が、個別の組によって引き起こされる分布ΔOPL(α、θ)を実質的に方位角と無関係にする一方で、対物レンズ全体の全体としての分布ΔOPL(α、θ)の最大値は、(100)−レンズを有する少なくとも1つの組と(111)‐レンズを有する少なくとも1つの組との両方を有する投影対物レンズによって有意に減じられうる。さらにまた、(110)−レンズを有する1つの組が(100)−レンズを有する1つの組に加えて対物レンズ内に配置されると、良好な補償が可能になる。
この補償が可能になる理由は、複屈折は、絶対値だけではなしに方向も有するからである。複屈折の有害な影響は、(100)−レンズを有する全ての組のレンズまたはレンズ部分によって引き起こされる光路差の分布ΔOPL(α、θ)が、(111)−または(110)−レンズを有する全ての組のレンズまたはレンズ部分によって引き起こされる光路差の分布ΔOPL(α、θ)の最大値と同様の大きさの最大値を有する場合に、最適に補償される。
複屈折の有害な影響を減じるさらに有利な可能性は、投影対物レンズの光学素子を補償被覆により覆うことである。これは、全ての光学被覆、たとえば反射防止膜または鏡面被膜は、反射と透過とに関する特性を有するだけではなしに、2つの互いに直交する直線偏光状態に関して常に光路差を生じしめるという事実に基づく。この効果は、光がs偏光か、またはp偏光かによって異なるとともに、さらにまた光線が被覆に衝突する入射角に依存する。したがって、複屈折は、この場合は、入射角に依存する。中心光線が0°の入射角で補償被覆に衝突する光線束に関しては、複屈折の値および方向は、前記中心光線に対して回転対称となる。補償被覆は、特定量の複屈折を光線束の光線の開口角の関数として生じしめるように設計される。
その第1段階として、光路差の分布ΔOPL(α、θ)が、投影対物レンズの像面において光線束の2つの互いに直交する直線偏光状態に関して判断される。光線の開口角θは、以ってその光線の方向と像面における光軸との間において、方位角αは、光線が像面に投射する方向と像面内の固定基準方向との間において判断される。この場合は、2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差の分布ΔOPL(α、θ)は、フッ化物結晶レンズの固有複屈折、光学素子をレンズの反射防止膜または鏡面被膜により覆う応力によって誘導される複屈折がもたらす全ての影響を明らかにする。
光路差の分布ΔOPL(α、θ)を用いて、素子軸を有する光学素子に施される補償被覆の有効な複屈折分布を判断することができる。使用される光学素子の例は、屈折または回折レンズ、平行平面板または鏡である。光学素子の光学表面は、光学機能を果たす面、すなわち一般に前面および後面として定義される。素子軸は、たとえば回転対称レンズの対称軸によってもたらされる。レンズがいかなる対称軸も有さない場合は、素子軸は、入射光線束の中心またはレンズ内の全ての光線がそれに対してなす光線角が最小限となる直線により定義されうる。有効な複屈折の値は、素子軸に対して垂直な基準方向に基づく方位角αと素子軸に基づく開口角θとに依存する。
光学素子に関連ある1対の値(α、θ)に対応する相対物は、像面における光線の1対の値(α、θ)である。
このため、補償被覆の有効な複屈折分布は、2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差の分布が、補償被覆を含むシステム全体に関して、補償被覆を有さない場合の分布と比較して有意に減じられるような態様に判断される。
補償被覆の個別層の材料と厚さ形状と蒸着角度とを選択することにより、有効複屈折分布を左右することが可能である。被覆の設計と工程パラメータとは、ここでは、個別の被覆の厚さ形状と工程パラメータとを有効複屈折分布と特定の材料と光学素子の幾何学的形状とから判断する被覆設計用コンピュータ・プログラムを用いることによって得られる。
補償被覆は、この場合は、1個を超える個数の光学素子に適用されうる。このことは、被覆の補償機能に加えて高度の透過性も保証するべきである補償層を判断する上での自由度が高くなる。
2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差の一般的な分布ΔOPL(α、θ)は、開口角θ=0°において小さい光路差を有する。したがって、開口角θ=0°における補償被覆の複屈折効果が零に近くなると有利である。これは、補償被覆の形成において大きい蒸着角度を用いない場合に達成される。したがって、補償被覆が施される光学素子の光学表面が可能な限り小さい曲率を有すると有利である。
さらにまた、補償被覆に局所的に変動する複屈折を有する複屈折分布を持たせて、位相分割が増加または減少する領域が生じしめられるようにすることが可能である。ここで、複屈折の変動は、位相分割の絶対値の変動と、たとえば複屈折効果を説明する主軸の整合によって与えられる方向、すなわち方向依存性の変動との両方からなる。複屈折分布は、たとえば被覆を備える素子の素子軸に対して回転対称でありうる。たとえば、ここで、半径方向、すなわち光学素子の中心から縁部へと所定の態様で増加または減少する複屈折が得られうる。半径方向の複屈折分布を選択的に制御することによって、補償効果を被覆面の異なる表面曲率に最適に合わせることができる。
また、複屈折分布を回転対称としないことも可能である。たとえば、複屈折の強さの方位角変調を、特に素子軸に対して多回放射対称性、特に2回、3回、4回または6回対称性を有する複屈折分布とともに有しうる。これにより、たとえば固有複屈折を有する基板、たとえば<110>、<111>または<100>‐配向のフッ化物単結晶の基板の複屈折特性の方位角変調を少なくとも部分的に補償することが可能になる。
光学システムの光学素子の少なくとも1つの光学表面の被覆は、さらにまた、異方性被覆として形成されるとともに、たとえば補償被覆としての役割を果たしうる。「異方性」被覆を有する素子は、本発明のその他の特徴と無関係に用いられ得、以下により詳細に説明される。
(100)−または(111)−配向のレンズを互いに対して回転させることにより、前記のように、像面における光路差の略回転対称の分布ΔOPL(α、θ)が得られ、この分布は、開口角θのみに依存する。光路差は、主として開口角θのみに依存する有効な複屈折分布を有する補償被覆を備えた光学素子によってさらに減じられうる。これは、可変的な厚さ形状を有さない光学素子全体にわたって補償被覆の個別層の厚さを均一にすることによって達成される。
本発明は、補償被覆を有する光学素子を相互交換可能な素子として設計することにより、有利に用いられうる。
像面に最も近い光学素子をこのために用いることが有利である。
この概念を実現する過程において、第1段階は、像面において光線束の2つの互いに直交する直線偏光に関する光路差の分布ΔOPL(α、θ)を判断する段階からなる。この段階において、被覆を含む対物レンズの全ての光学素子の影響が考慮に入れられる。後の段階において補償被覆が適用される光学素子も同様に、この段階において光線束の光線の経路内に配置される。
第2段階において、前記の方法を用いて、補償被覆の有効複屈折分布と、結果的に得られる、個別層の厚さ形状と、個別層を形成させるための工程パラメータとが判断される。
第3段階において、前記光学素子は、光線の経路から除去されるとともに、補償被覆により覆われる。前記光学素子の光学表面がすでに被覆により覆われている場合は、既存の被覆を除去した後に新しい被覆が施される。
第4段階において、補償被覆を有する光学素子は、対物レンズ内の本来の位置に戻される。
投影対物レンズにおけるレンズの好適な材料は、フッ化カルシウムであり、その理由は、水晶とともに用いられるフッ化カルシウムは、193nmの動作波長において色補正に特に適するとともに、157nmの動作波長において適切な透過率を有するからである。しかし、フッ化ストロンチウムまたはフッ化バリウムといったフッ化物結晶は、同じ立方晶系の結晶であるため、これらについても前記と同じことが言える。
固有複屈折の有害な影響は、光線がレンズ内において大きい開口角を有する場合に特に顕著になる。これは、像側において0.7より大、特に0.8より大である開口数を有する投影対物レンズの場合である。
固有複屈折は、動作波長が短くなると有意に増加する。このため、248nmの動作波長と比較すると、固有複屈折は、193nmの動作波長では2倍を超え、157nmの動作波長では5倍を超える。したがって、本発明は、光線が200nm未満、特に160nm未満の波長を有する場合に特に有利に用いられうる。
対物レンズは、光軸のまわりにおいて回転対称に配置される多数のレンズからなる純粋に屈折性の投影対物レンズであってもよく、またはカタジオプトリック系対物レンズの投影対物レンズであってもよい。
この種の投影対物レンズは、光源の後ろに照明装置とマスク位置決め装置と構造描画マスクと投影対物レンズと物体位置決め装置と感光性基板とが設けられるマイクロリソグラフィー投影露光装置において有利に用いられうる。
このマイクロリソグラフィー投影露光装置は、微細構造の半導体構成品を製造する役割を果たしうる。
本発明は、さらにまた、対物レンズの製造に適した方法を提供する。この方法によれば、レンズ軸が主結晶方向を向くフッ化物結晶のレンズまたはレンズ部分は、レンズ軸のまわりにおいて回転せしめられて、フッ化物結晶レンズのレンズ軸が同じ主結晶方向を向くとともにレンズが同じ配向で配置されるレンズ構成と比較して、分布ΔOPL(α、θ)が有意に低い値になるように配置される。
前記方法では、さらに、(100)−レンズを有する組と(111)−レンズまたは(110)‐レンズを有する組とを形成させることと、これらの組を平行に使用することとを構想している。この方法は、たとえば、<100>−配向の少なくとも2個のフッ化物結晶レンズと<111>−配向の少なくとも2個のレンズとからなる投影対物レンズの場合に用いられる。また、これらのレンズに関する基準方向の位置は、周知である。この方法では、光路差の分布ΔOPL(α、θ)の最大値は、フッ化物結晶レンズを光軸のまわりにおいて回転させることによって有意に減じられうるという本発明の概念が用いられる。適切なシミュレーション方法を用いて、物点に源を発する光線束が、投影対物レンズを通って伝播され、さらにフッ化物結晶レンズの周知の光学特性に基づいて、像面における分布ΔOPL(α、θ)が判断される。最適化段階において、フッ化物結晶レンズ間における回転角が、複屈折が許容値を有するまで変化せしめられる。最適化段階では、たとえばレンズを回転させることによる非回転対称レンズ誤差の補償等のその他の制約も考慮されうる。この最適化段階により、フッ化物結晶レンズが同じ配向で配置される投影対物レンズと比較して、分布ΔOPL(α、θ)の最大値は、最大30%、特に最大50%減じられうる。最適化手順には、中間段階も含まれうる。この中間段階において、フッ化物結晶レンズは、同じ配向のレンズにおいて、1つの組をなすレンズが、最外側開口光線に関して2つの互いに直交する直線偏光状態間において同様の光路差を生じしめるような態様に組分けされる。事後最適化段階において、これらのレンズは、次に組内においてのみ回転せしめられて、光路差が減じられる。したがって、(100)−レンズは、最初に、(100)−レンズによって引き起こされる光路差が減じられるように回転せしめられ得、次に(111)−レンズが、(111)−レンズによって引き起こされる光路差が減じられるように回転せしめられる。(100)−配向および(111)−配向を有するレンズ間におけるフッ化物結晶レンズの分布は、最適化時において、結果的に得られる(100)−分布ΔOPL100(α、θ)と結果的に得られる(111)−分布ΔOPL111(α、θ)とが互いに大幅に補償し合うように行なわれなければならない。これに対応する説明は、(100)−レンズと(110)−レンズとの平行使用にも当てはまる。
本発明は、さらにまた、レンズの製造方法において、第1段階において複数のフッ化物結晶板が光学的に継ぎ目のない態様に接合されてブランクを形成し、第2段階においてレンズが前記ブランクから周知の製造方法によって製作される方法に関する。前記板は、この場合は、レンズまたはレンズ部分に関して前記に説明された態様と同じ態様で、表面法線のまわりにおいて互いに対して回転せしめられるように配置される。
表面法線が同じ主結晶方向または同等の主結晶方向を向く板は、同じ軸方向厚さを有することが有利である。
(100)−板を光学的に継ぎ目のない態様で(111)−板と接合すると、(111)−板の厚さの総和と(100)−板の厚さの総和との間における比は、1.5±0.2になるはずである。
(100)−板を光学的に継ぎ目のない態様で(110)−板と接合すると、(110)−板の厚さの総和と(100)−板の厚さの総和との間における比は、4.0±0.4になるはずである。
本発明は、さらにまた、少なくとも1つの「異方性」被覆を有する光学素子に関する。特に、光学装置の光学素子の少なくとも1つの光学表面の被覆は、異方性被覆として形成されるとともに、たとえば補償被覆としての役割を果たしうる。これを適用するために、「異方性」被覆は、入射領域における入射光線の電場ベクトルの方向に対する自身の光学効果が明白な方向依存性を有する被覆である。その結果として、対象領域において、異方性被覆は、被覆の好適な方向に対応する速軸または遅軸を有しうる。
製造条件によって影響を受けうる特殊な微細構造を有する異方性薄膜と、結果的に得られる異方性特性とは、本質的に周知である。M.セトおよびM.ブレット(M. Seto and M. Brett)の論文「角度を活用して新種の薄膜を作る(Play the angles to create exotic thin films)」、真空機器、2000年3月/4月、26〜31ページ(Vacuum Solutions, March/April, 2000, pages 26-31)に、高蒸着角度での蒸着(視射角蒸着、GLAD)によって製造されうるさまざまな薄膜の形態が説明されている。被覆方向に依存する特徴を有する柱状構造を有することが多いこうした多孔性薄膜も光学用に用いられうる。この種の偏光素子の例は、特に、I.ホジキンソンおよびQ.H.ウー(I. Hodgkinson and Q. H. Wu)の論文「複屈折性およびキラル光学干渉被覆の概要(Review of birefringent and chiral optical interference coatings)」、OIC 2000/2001、1〜2ページまたはI.ホジキンソンおよびQ.H.ウー(I. Hodgkinson and Q. H. Wu)の「複屈折薄膜偏光素子(Birefringent Thin Film Polarizing Elements)」、ワールド・サイエンティフィック(World Scientific)、シンガポール、ニュージャージー、ロンドン、香港、ISBN981−02−2906−2に記載されており、前記論文の内容を参照により本明細書の内容とする。
補償に特に適するのは、異方性が局所的に変動する異方性被覆である。この変動は、好適な方向である方向および/または被覆によってもたらされる位相分割の絶対量からなりうる。
複屈折が局所的に変動する複屈折分布を有する被覆を製作するために、全ての周知の被覆方法が、工程、特に電子ビーム蒸着等のPVD工程またはスパッタリングの制御を適切に改変して用いられうる。少なくともある一定の領域において異方性である被覆を製作する場合、好適な実施例において、被覆材料は、基板表面の少なくとも1つの領域またはすでに既存の被覆に、異方性被覆構造が生じしめられるような大きさの被覆角度、特に蒸着角度で施される。この目的のために、周知の蒸着装置を基礎として、たとえば材料源と基板との間における高さの差を有意に減少させて、一般的な蒸着角度が30°〜40°以上の範囲となりうる、被覆材料の斜め蒸着を達成することができる。ここで、基板表面における被覆材料の入射方向と被覆位置における基板表面の表面表線との間における角度は、蒸着角度(被覆角度)として理解される。
周知のダイヤフラム法を適切に改変することにより、平坦状または若干または大幅に湾曲状の光学基板上において所定の分布の複屈折特性、特に所定の分布の層異方性を有する異方性被覆が製作されうることがわかった。ひとつの変形態様において、被覆の複屈折分布および/または異方性を制御するために、以下の段階が行なわれる。基板回転軸のまわりにおける基板の回転が行なわれる。この目的のために、好ましくは、自身の基板回転軸のまわりにおける独自の回転と自公転装置の主回転軸のまわりにおける全体的回転とを行なう基板キャリヤ上に各基板が配置される自公転装置が用いられる。この装置において、基板表面は、次に、材料源の材料によって、大きい被覆角度で被覆される。この場合は、基板の回転時に被覆材料の周期的な遮蔽が行なわれて、所定の半径方向時間プロフィールにしたがって、被覆位置の半径方向位置に依存する被覆時間が達成される。この場合は、前記遮蔽は、1つ以上のダイヤフラムによって、小さい被覆角度(たとえば<30°〜35°)が遮蔽されて、材料が、もっぱらまたは少なくとも大体において非常に大きい蒸着角度(たとえば40°以上)で所定の方向から基板表面に衝突するように行なわれうる。ダイヤフラムを適切な形状にすることによって、異なる程度の異方性を有するあらゆる所望の放射対称形状の複屈折分布が得られうる。
本発明は、また、偏光光学素子、すなわち入射光線の偏光状態に対して所定の効果を有する光学素子または機構を製造する方法に関し、前記偏光光学素子は、さらにまた、本発明のその他の特徴と無関係に用いられ得、かつ保護されうる。この偏光光学素子は、たとえばリターデーション素子(リターダー)であってもよい。前記方法では、被覆作業の完了後に被覆の局所的な複屈折分布を変更することを構想している。この変更は、完成した被覆を所定の空間的分布にしたがって被覆の形態を変化させるのに適したエネルギーに局所的に露呈することによって行なわれうる。層特性の局所的な事後変更が、あらゆる種類の干渉層系(たとえば反射層、反射防止層)において行なわれうる。異方性をもたらす形態は、一般に限られた安定性を有する非平衡構造であるため、これは、特に異方性被覆の場合に有効である。エネルギーに露呈される領域の画定は、たとえば1つ以上のマスクを利用して行なわれうる。特に、被覆の形態は、熱暴露によって変化せしめられうる。これは、たとえば赤外線レーザを用いた放射または適切な熱エネルギーを生じしめる何らかのその他の種類の放射によって行なわれうる。可能性として書込み効果を有する電子ビームを用いて処理することも可能である。エネルギーの熱的導入に代わる方法または追加として、たとえばイオンビームおよび/または加熱ダイを利用してエネルギーを機械的に施すこともできる。特定の利点として、層構造の後処理により、非回転対称の複屈折分布を設定することができ、たとえばミリメートルまたはセンチメートル値域の一般的な値域サイズで、可能性として非常に小規模な特性設定が可能になる。
たとえば、低い被覆温度(冷間)で蒸着される層、特に異方性層系は、レーザー放射により複屈折特性を局所的に変更されうる。この方法により、位相分割の特定の局所的変調を有する偏光フィルタが製造されうる。
複屈折分布を事後変更することにより、さらにまた、偏光光学特性の変更を既製の光学装置、たとえばマイクロリソグラフィー用投影対物レンズにおいて行なうことが可能になる。この目的のために、光学装置は、最初に、異方性被覆またはその他の非平衡被覆を有する少なくとも1つの素子を用いて組み立てられ、かつ測定されうる。この測定結果を用いて、前記装置を偏光光学的に調節するのに必要とされる、少なくとも1個の補償被覆の所望の有効複屈折分布が判断されうる。次に、被覆を備える光学素子が取り外されて、適切なエネルギー導入による層特性の局所的な事後変更が行なわれうる。このようにして変更された光学素子を取り付けると、光学装置は、所望の特性を有することになる。したがって、本発明は、さらにまた、光学装置、特にマイクロリソグラフィー用光学装置の特殊な製造方法に関する。
図面に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
図1は、フッ化物結晶ブロック3の断面を示す略図である。この断面は、{100}結晶面5が個別の線として現れて、{100}結晶面5が紙面に対して垂直になるように選択されている。フッ化物結晶ブロック3は、(100)−レンズ1用のブランクまたは出発原料としての役割を果たす。この例において、(100)−レンズ1は、該レンズの対称軸でもあるレンズ軸EAを有する両凸レンズである。レンズ1は、前記フッ化物結晶ブロックから、レンズ軸EAが{100}結晶面に対して垂直になるような態様に製作される。
図2Aにおいて、レンズ軸EAが<100>結晶方向を向く場合に、固有複屈折が結晶方向とどのように関連するかが、三次元の図により示されている。フッ化カルシウムの円形平行平面板201が図示されている。レンズ軸EAは、<100>結晶方向を向く。<100>結晶方向に加えて、
Figure 2005520187
が同様に矢印により示されている。固有複屈折は、表面部分がそれぞれの光線方向に関する固有複屈折の量を示す4つの「櫂形」203により略示されている。最大限の固有複屈折は、
Figure 2005520187
すなわち、レンズの内側において45°の開口角とそれぞれ0°、90°、180°および270°の方位角とを有する光線の場合に生じる。固有複屈折の最小値は、45°、135°、225°および315°の方位角において生じる。固有複屈折は、0°の開口角において零となる。
図2Bに、レンズ軸EAが<111>結晶方向を向く場合に、固有複屈折が結晶方向とどのように関連するかが、三次元の図により示されている。フッ化カルシウムの円形平行平面板205が図示されている。レンズ軸EAは、<111>結晶方向を向く。<111>結晶方向に加えて、結晶方向<011>、<101>および<110>が同様に矢印により示されている。固有複屈折は、表面部分がそれぞれの光線方向に関する固有複屈折の量を示す3つの「櫂形」207によって略示されている。最大限の固有複屈折は、それぞれ、結晶方向<011>、<101>および<110>、すなわちレンズの内側において35°の開口角とそれぞれ0°、120°および240°の方位角とを有する光線の場合に生じる。固有複屈折の最小値は、60°、180°および300°の方位角において生じる。固有複屈折は、0°の開口角において零となる。
図2Cに、レンズ軸EAが<110>結晶方向を向く場合に、固有複屈折が結晶方向とどのように関連するかが、三次元の図により示されている。フッ化カルシウムの円形平行平面板209が図示されている。レンズ軸EAは、<110>結晶方向を向く。<110>結晶方向に加えて、
Figure 2005520187
が同様に矢印により示されている。固有複屈折は、表面部分がそれぞれの光線方向に関する固有複屈折の量を示す5つの「櫂形」211により略示されている。最大限の固有複屈折は、それぞれ、一方ではレンズ軸EAの方向、他方ではそれぞれ
Figure 2005520187
すなわち0°の開口角またはそれぞれ60°の開口角と{110}結晶面への次の結晶方向、つまり
Figure 2005520187
の投射によって得られる4つの放射角とを有する光線の場合に生じる。しかしながら、最大開口角は、結晶の屈折率によって45°未満に制限されるため、こうした大きさの開口角が結晶材料において生じることはない。
図3は、開口角θと方位角αとがどのように定義されるかを示す図である。図2の(100)−レンズの場合は、z軸は<100>結晶方向を向き、x軸は{100}結晶面への<110>方向の投射によって得られる方向を向く。z軸は、この場合は、レンズ軸と同じであり、x軸は基準方向と同じである。
前記に引用されたインターネット文献から、フッ化カルシウムに関する測定により、<110>結晶方向に進むλ=156.1nmの波長を有する光に関して、(6.5±0.4)nm/cmの複屈折値が得られたことは周知である。この測定値を正規化係数として用いて、フッ化カルシウムレンズの複屈折分布Δn(θ、α)を結晶方位の関数として理論的に計算することができる。この計算は、屈折率楕円体を光線方向の関数として計算する結晶光学により周知の数学的形式を基礎とする。理論的な原理は、たとえば”Lexikon der Optik”, Spektrum Akademischer Verlag Heidelberg Berlin, 1999において”Kristalloptik”のキーワードの下に示されている。
本出願人の測定より最近の測定では、フッ化カルシウム結晶内において<110>結晶方向に進むλ=156.1nmの波長を有する光に関して、11nm/cmの複屈折値が得られた。正規化係数Δnmax=6.5nm/cmに関する以下の記述は、正規化係数Δnmax=11nm/cmに難なく変換されうる。
図4Aにおいて、固有複屈折の量は、(100)−レンズに関して、方位角α=0°の場合の開口角θの関数として示されている。θ=45°の開口角における6.5nm/cmという固有複屈折の値は、前記測定値に対応する。曲線形状は、結晶光学により周知の公式に基づいて判断された。
図4Bには、固有複屈折の量が、(100)−レンズに関して、開口角θ=45°の場合の方位角αの関数として示されている。4回方位角対称性は一目瞭然である。
図4Cにおいて、複屈折分布Δn(θ、α)は、(100)−レンズに関して、(θ、α)−角度領域における個別の光線方向について図示されている。各線は、開口角θと方位角αとによって定義される光線方向に関する大きさと方向とを表している。これらの線の長さは、複屈折の量または交差楕円の主軸の長さ間における差に比例する一方で、線の方向は、交差楕円の長い方の主軸の配向を示す。交差楕円は、方向(θ、α)の光線に関する屈折率楕円体と、前記光線の方向に対して垂直をなし、かつ前記屈折率楕円体の中心を通る平面との間における共通部分として得られる。前記線の方向および長さのいずれもが、4回対称性の分布を示す。前記線の長さ、したがって複屈折は、0°、90°、180°および270°の方位角において最大となる。
次に、図4Dに、等しい厚さの2個の隣接する平行平面形(100)−レンズが45°回転せしめられるように配置された場合に得られる複屈折分布Δn(θ、α)が示されている。結果的に得られる複屈折分布Δn(θ、α)は、方位角αとは無関係である。交差楕円の長い方の主軸は、接線方向に延在する。結果として生じる、2つの互いに直交する偏光状態の光路差は、複屈折値と、光線が平行平面形(100)−レンズ内において進む物理的な経路長さとの積によって得られる。回転対称の複屈折分布は、等しい厚さのn個の平行平面形(100)−レンズを、それぞれのレンズ対間における回転角βが次の式
Figure 2005520187
を満たすような態様に配置することによって得られる。ここで、nは平行平面形(100)‐レンズの個数であり、mは整数である。一様な配向のレンズ構成と比較すると、開口角θ=30°の場合の複屈折の最大値は、30%減じられうる。2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差の略回転対称の分布もまた、任意の形状のレンズで、光線束の全ての光線がレンズの内側において同様の大きさの角度を有し、かつ同様の長さの光路を辿る場合に得られる。したがって、これらのレンズは、光線が前記の条件を可能な限り満たすような態様で組分けされるべきである。
図4Eにおいて、固有複屈折の量は、図4Dの等しい厚さの2個の隣接する平行平面形(100)−レンズに関して、方位角α=0°の場合の開口角θの関数として示されている。開口角θ=41°における固有複屈折の最大値は、4.2nm/cmであり、その結果として、図4Aの6.5nm/cmという最大値に比べて35%減じられている。
図4Fには、固有複屈折の量が、図4Dの等しい厚さの2個の隣接する平行平面形(100)−レンズに関して、開口角θ=41°の場合の方位角αの関数として示されている。固有複屈折は、方位角αとは無関係である。
図5Aにおいて、固有複屈折の量は、(111)−レンズに関して、方位角α=0°の場合の開口角θの関数として示されている。θ=35°の開口角における6.5nm/cmという固有複屈折の値は、前記測定値に対応する。曲線形状は、結晶光学により周知の公式に基づいて判断された。
図5Bには、固有複屈折の量が、(111)−レンズに関して、開口角θ=35°の場合の方位角αの関数として示されている。3回方位角対称性は一目瞭然である。
図5Cに、図4Cにすでに示されたものと同じ形状の(111)−レンズに関して、(θ、α)−角度領域における個別の光線方向における複屈折分布Δn(θ、α)が示されている。これらの線の方向および長さのいずれもが、3回対称性の分布を示している。線の長さ、したがって複屈折は、0°、120°および240°の方位角において最大となる。(100)−レンズの場合とは対照的に、複屈折の配向は、光線が0°の方位角ではなしに180°の方位角でレンズを通過する場合に90°転換する。したがって、複屈折は、たとえば同じ配向の2個の(111)−レンズによって、光線束の光線角度が2個のレンズ間において符号を切り換える場合に補償されうる。
次に、図5Dにおいて、等しい厚さの2個の隣接する平行平面形(111)−レンズが60°回転せしめられたように配置される場合に得られる複屈折分布Δn(θ、α)が示されている。結果的に得られる複屈折分布Δn(θ、α)は、方位角αとは無関係である。しかしながら、図4Cとは対照的に、交差楕円の長い方の主軸は、半径方向に延在する。結果として生じる、2つの互いに直交する偏光状態に関する光路差は、複屈折値と光線が(111)−レンズ内において進む物理的な経路長さとの積によって得られる。回転対称の複屈折分布は、同様に、等しい厚さのn個の平行平面形(111)−レンズを、それぞれのレンズ対間における回転角が次式、つまり
Figure 2005520187
を満たすような態様に配向することによって得られ、ここで、kは平行平面形(111)−レンズの個数であり、lは整数である。一様な配向のレンズ構成と比較すると、開口角θ=30°における複屈折の値は、68%減じられうる。2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差の略回転対称の分布は、任意の形状のレンズで、レンズ内における光線束の全ての光線がレンズの内側において同様の大きさの角度を有し、かつ同様の長さの光路を辿る場合に得られる。したがって、これらのレンズは、光線が前記の条件を可能な限り満たすような態様で組分けされるべきである。
図5Eに、固有複屈折の量が、図5Dの等しい厚さの2個の隣接する平行平面形(111)−レンズに関して、方位角α=0°の場合の開口角θの関数として示されている。開口角θ=41°における固有複屈折の最大値は、2.8nm/cmであり、したがって図5Aの6.5nm/cmという最大値に比べて57%減じられている。
図5Fには、固有複屈折の量が、図5Dの等しい厚さの2個の隣接する平行平面形(111)−レンズに関して、開口角θ=41°の場合の方位角αの関数として示されている。固有複屈折は、方位角αとは無関係である。
(100)−レンズを有する組と(111)−レンズを有する組とを投影対物レンズ内において組み合わせることにより、これらのレンズによって2つの互いに直交する直線偏光状態に関して生じしめられる光路差が大幅に補償されうる。そのためには、略回転対称の分布の光路差を最初にこれらの組内においてレンズを回転させることによって得ることと、こうした2つの分布の光路差を次に(100)−レンズを有する組と(111)−レンズを有する組とを組み合わせることによって補償することが必要になる。この補償は、図4Dおよび5Dから理解されうるように、回転せしめられた(100)−レンズを有する組の複屈折分布に関する交差楕円の長い方の主軸の配向が、回転せしめられた(111)−レンズを有する組の複屈折分布に関する交差楕円の長い方の主軸の配向に対して直交するという事実を利用している。一方では個別の組が略回転対称の分布の光路差を生じしめ、他方では(100)−レンズを有する組の寄与の総和が(111)−レンズを有する組の寄与の総和と略等しい絶対量になることが重要である。
図6Aにおいて、固有複屈折の量が、(110)−レンズに関して、方位角α=0°の場合の開口角θの関数として示されている。θ=0°の開口角における6.5nm/cmという固有複屈折の値は、測定値に対応する。曲線形状は、結晶光学により周知の公式に基づいて判断された。
図6Bには、固有複屈折の量が、(110)−レンズに関して、開口角θ=35°の場合の方位角αの関数として示されている。2回方位角対称性は一目瞭然である。
図6Cに、図4Cにすでに示されたものと同じ形態の(110)−レンズに関する(θ、α)−角度領域における個別の光線方向の複屈折分布Δn(θ、α)が示されている。線の方向および長さのいずれもが、2回対称性の分布を示す。最大の長さを有する線、したがって最大の複屈折は、開口角θ=0°において得られる。
次に、図6Dにおいて、等しい厚さの2個の隣接する平行平面形(110)−レンズが90度回転せしめられるように配置される場合に得られる複屈折分布Δn(θ、α)が示されている。
結果として生じる複屈折分布Δn(θ、α)は、4回方位角対称性を有する。最大複屈折値は、方位角α=45°、135°、225°および315°において生じ、開口角θ=40°の場合の複屈折値は2.6nm/cmとなる。
次に、図6Eにおいて、図6Cの等しい厚さの2個の平行平面形(110)−レンズが2個のさらに他の等しい厚さの平行平面形(110)−レンズと組み合わされる場合に得られる複屈折分布Δn(θ、α)が示されている。(110)−レンズ対間における回転角は45°である。結果的に得られる複屈折分布Δn(θ、α)は、方位角αとは無関係である。しかしながら、図4Cと対照的に、交差楕円の長い方の主軸は、半径方向、すなわち図5Cの分布と同様の方向に延在する。結果として生じる2つの互いに直交する偏光状態の光路差は、複屈折値と光線が(110)−レンズの内側において進む物理的な経路長さとの積によって得られる。回転対称の複屈折分布は、同様に、等しい厚さの4n個の平行平面形(110)−レンズを、それぞれのレンズ対間における回転角βが式
Figure 2005520187
を満たすような態様に配置されることによって得られ、ここで、4nは平行平面形(100)−レンズの個数であり、mは整数である。2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差の略回転対称の分布もまた、任意の形状のレンズで、レンズ内における光線束の全ての光線がレンズの内側において同様の大きさの角度を有し、かつ同様の長さの光路を辿る場合に得られる。したがって、これらのレンズは、光線が前記条件を可能な限り満たすような態様に組分けされるべきである。
図6Fに、複屈折の量が、図6Eの等しい厚さの4個の隣接する平行平面形(110)−レンズに関して、方位角α=0°の場合の開口角θの関数として示されている。開口角θ=41°における固有複屈折の値は、この場合は、1.0nm/cmであり、したがって図5Aの6.5nm/cmという最大値と比較すると84%減じられる。
図6Gにおいて、固有複屈折の量は、図6Eの等しい厚さを有する4個の隣接する平行平面形(110)−レンズに関して、開口角θ=41°の場合の方位角αの関数として示されている。固有複屈折は、方位角αとは無関係である。
(110)−レンズを有する組と(100)−レンズを有する組とを投影対物レンズ内において組み合わせることにより、これらのレンズによって2つの互いに直交する直線偏光状態に関して生じしめられる光路差が大幅に補償されうる。そのためには、略回転対称の分布の光路差を最初にこれらの組内においてレンズを回転させることによって得ることと、次に2つの分布の光路差を(110)−レンズを有する組と(100)−レンズを有する組とを組み合わせることによって補償することとが必要になる。この補償は、図4Dおよび6Eに示されるように、回転せしめられた(110)−レンズを有する組の複屈折分布に関する交差楕円の長い方の主軸の配向が、回転せしめられた(100)−レンズを有する組の複屈折分布に関する交差楕円の長い方の主軸の配向に対して直交するという事実を利用している。一方では個別の組が略回転対称の分布の光路差を生じしめ、他方では(110)−レンズを有する組の寄与の総和が(100)−レンズを有する組の寄与の総和と略等しい絶対量になることが重要である。
Figure 2005520187
Figure 2005520187
図7において、157nmの波長用の屈折投影対物レンズ611のレンズ断面が示されている。この対物レンズの光学データは、表1に示されている。この例証的な実施例は、本出願人の特許出願PCT/EP第00/13148号からの引用であり、前記出願の図7および表6に対応する。この対物レンズのより詳細な機能説明に関しては、特許出願PCT/EP第00/13148号を参照されたい。この対物レンズの全てのレンズは、フッ化カルシウム結晶によって構成される。前記対物レンズの像側における開口数は、0.9である。この対物レンズの結像性能は、理想球面波からの波面の逸脱が157nmの波長を基準としてより小さい1.8mλになるように十分に補正される。特にこれらの高性能対物レンズにおいては、たとえば固有複屈折等の有害な影響を可能な限り減じることが必要である。
図6の例証的な実施例において、最外側開口光線609の開口角θと経路長さRLとが、個別のレンズL601〜L630に関して計算された。最外側開口光線609は、座標x=0mmおよびy=0mmの物点に源を発するとともに、像面において光軸に対して像側における開口数に対応する角度を有する。最外側開口光線609を用いるのは、レンズの内側における開口角が最大開口角に近いためである。
Figure 2005520187
表2には、最外側開口光線の開口角θおよび光路長さRLだけではなしに、異なるレンズ配向における2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差も示されている。光路差は、(111)−レンズと(100)−レンズと(110)−レンズとにおいて、レンズ内における最外側エッジ光線の方位角αが、(111)−レンズでは0°および60°、(100)−レンズでは0°および45°、(110)−レンズでは0°、45°、90°および135°となる場合に関して示されている。
表2によれば、レンズL608、L617、L618、L619、L627、L628、L629およびL630の開口角θは、25°より大きく、レンズL618、L627、L628、L629およびL630の場合は30°を超えさえする。大きい開口角は、特に、像面に最も近いレンズL627〜L630において生じる。
この投影対物レンズ設計により、全ての光線の最大開口角が45°未満になるという結果が得られた。最外側開口光線の最大開口角は、レンズL628において39.4°になる。このことにより、さらにまた、2個の肉厚の平面形レンズL629およびL630を像面のすぐ前において用いることの有用性が立証された。
レンズL621とL622との間の絞りの直径は270mmである。レンズL618の直径は207mmであり、レンズL627〜L630の直径はいずれも190mm未満である。その結果として、大きい開口角を有するこれらのレンズの直径は、絞りの直径の80%未満となる。
表2から結論付けられうるように、大きい開口角を有する個別のレンズを(100)−方向に配向すると、複屈折値が全体として小さくなるため、有利である。これは、<110>結晶方向の影響が顕著になり始める角度が(100)−レンズの場合には(111)−レンズの場合より大きいという事実による。たとえば、レンズL608、L609およびL617において、光路差は、30%を超えて減じられる。
2個の平行平面レンズL629およびL630は、レンズを互いに対して回転させることによって複屈折がいかに有意に減じられうるかを示すよい例である。いずれのレンズも、最外側開口光線に関して35.3°の等しい開口角と、それぞれ27.3mmおよび26.0mmの同等の経路長さとを有する。これらの2個のレンズを(100)−レンズと等しい配向で配設すると、30.7nmの光路差が生じる。これに対して、2個の(100)−レンズを互いに対して45°回転させると、光路差は20.9nmに減じられ、これは32%の減少に相当する。2個のレンズを(111)−レンズと等しい配向で配設すると、34.6nmの光路差が生じる。しかしながら、2個の(111)−レンズを互いに対して60°回転させると、光路差は13.6nmに、すなわち61%減じられる。
2つの互いに直交する直線偏光状態に関してレンズL629とL630とによって引き起こされる固有複屈折による光路差の略完全な補償は、レンズL629をレンズL6291とL6292とに分割し、かつレンズL630をレンズL6301とL6302とに分割して、レンズL6291を9.15mmの厚さを有する(100)−レンズとし、レンズL6292を13.11mmの厚さを有する(111)−レンズとし、レンズL6301を8.33mmの厚さを有する(100)−レンズとし、レンズL6302を12.9mmの厚さを有する(111)−レンズとすることによって達成されうる。レンズL6291およびL6301は、互いに対して45°回転せしめられ;レンズL6292およびL6302は、互いに対して60°回転せしめられる。これにより、結果として生じる最大光路差は、この場合は0.2nmとなる。レンズL6291とL6292、さらにまたレンズL6301とL6302とは、光学的に継ぎ目のない態様で、たとえば密着を手段として接合されうる。この原理は、投影対物レンズが1個の結晶レンズしか含まない場合にも適用されうる。この場合、前記1個の結晶レンズは、互いに対して回転せしめられるように配置される少なくとも2個のレンズに分割される。これらのレンズは、密着により互いに接合されうる。また他の可能性は、最初に、所望の結晶配向を有する個別の板を光学的に継ぎ目なく組み合せたものを製造し、次にこの互いに接合された板からさらに他の加工段階においてレンズを製作することである。
レンズL629およびL630の固有複屈折の有害な影響を減じるさらに他の可能性は、レンズL629をレンズL6293とL6294とに分割し、かつレンズL630をレンズL6303とL6304とに分割して、さらにレンズL6293を11.13mmの厚さを有する(110)−レンズとし、レンズL6294を11.13mmの厚さを有する(110)−レンズとし、レンズL6303を10.62mmの厚さを有する(110)−レンズとし、レンズL6304を10.62mmの厚さを有する(110)−レンズとすることである。レンズL6293とL6294、さらにまたレンズL6303とL6304とは、いずれの場合も互いに対して90°回転せしめられ、レンズL6293とL6303との間における回転角は45°とされる。結果として生じる最大光路差は、この場合は4.2nmとなる。レンズL6293とL6294、さらにまたレンズL6303とL6304とは、レンズ部分として光学的に継ぎ目のない態様で、たとえば密着を手段として接合されうる。
高負荷レンズL629およびL630によって引き起こされる2つの互いに直交する直線偏光状態の光路差の略完全な補償は、各レンズをそれぞれ3個のレンズ部分L6295、L6296およびL6297とL6305、L6306およびL6307とに分割して、さらにレンズL6295を4.45mmの厚さを有する(100)−レンズとし、レンズL6296およびL6297を8.90mmの厚さを有する(110)−レンズとし、レンズL6305を4.25mmの厚さを有する(100)−レンズとし、レンズL6306およびL6307を8.49mmの厚さを有する(110)−レンズとすることによって達成されうる。レンズL6294およびL6304は、互いに対して45°回転せしめられ;対をなすレンズL6295、L6297、L6306およびL6307は、互いに対して45°回転せしめられる。この組合せにおいて、結果として生じる光路差は、0.1nm未満に減じられる。レンズL6295〜L6297、さらにまたレンズL6305〜L6307は、レンズ部分として光学的に継ぎ目のない態様で、たとえば密着を手段として接合されうる。
レンズL629およびL630による固有複屈折の悪影響を減じるさらに他の可能性は、2個の(110)−レンズを1個の(100)−レンズと組み合わせることである。これらの2個の(110)−レンズは、互いに対して90°回転せしめられる一方で、(100)−レンズと(110)−レンズとの間における回転角が45°+m・90°になるように配設されなければならず、ここで、mは整数である。この目的のために、レンズL629をレンズL6298とL6299とに分割し、かつレンズL630をレンズL6308とL6309とに分割して、さらにレンズL6298を17.40mmの厚さを有する(110)−レンズとし、レンズL6299を4.87mmの厚さを有する(110)−レンズとし、レンズL6308を12.53mmの厚さを有する(110)−レンズとし、レンズ6309を8.70mmの厚さを有する(100)−レンズとする。結果として生じる最大光路差は、3.1nmとなる。レンズL6298とL6299、さらにまたレンズL6308とL6309とは、レンズ部分として光学的に継ぎ目のない態様で、たとえば密着を手段として接合されうる。
Figure 2005520187
Figure 2005520187
図8において、157nmの波長用のカタジオプトリック投影対物レンズ711のレンズ断面が示されている。この対物レンズの光学データは、表3に示されている。この例証的な実施例は、本出願人の特許出願PCT/EP第00/13148号からの引用であり、前記出願の図9および表8に対応する。この対物レンズのより詳細な機能説明に関しては、特許出願PCT/EP第00/13148号を参照されたい。この対物レンズの全てのレンズは、フッ化カルシウム結晶によって構成される。前記対物レンズの像側における開口数は、0.8である。
図8の例証的な実施例において、上側最外側開口光線713および下側最外側開口光線715の開口角θと経路長さRLとが、個別のレンズL801〜L817に関して計算された。最外側開口光線713および715は、座標x=0mmおよびy=―82.15mmの物点に源を発するとともに、像面において光軸に対して像側における開口数に対応する角度を有する。上側および下側最外側開口光線を計算したのは、物体フィールドが光軸の外側に位置し、したがって図7の例証的な実施例の最外側開口光線のように、開口光線が光軸に対して対称ではないためである。
Figure 2005520187
Figure 2005520187
表4に、上側最外側開口光線に関するデータが示され、表5に、下側最外側開口光線に関するデータが示されている。表4および表5には、最外側開口光線の開口角θおよび光路長さRLだけではなしに、異なるレンズ配向における2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差もまた、正確に言うと(111)−レンズ、(100)−レンズおよび(110)−レンズにおいて、レンズ内における最外側エッジ光線の方位角αが、(111)−レンズでは0°および60°、(100)−レンズでは0°および45°、(110)−レンズでは0°、45°、90°および135°となる場合に関して示されている。
表4および表5によれば、レンズL815〜L817の開口角θは、25°より大きい。この例証的な実施例の場合も、像面に最も近いレンズL815〜L817は、大きい開口角を有する。
レンズL815〜L817の設計に基づくと、最大開口角は、
Figure 2005520187
を超えない。最外側開口光線の最大開口角は、レンズL817において、30.8°である。
レンズL811とL812との間の絞りの直径は、193mmである。レンズL815〜L817の直径は、いずれも162mm未満である。その結果として、大きい開口角を有するこれらのレンズの直径は、絞りの直径の85%未満となる。
表4および表5から結論付けられうるように、大きい開口角を有するレンズを(100)−方向に配向すると、複屈折値が全体として小さくなるため、有利である。たとえば、レンズL815〜L817において、光路差は、20%を超えて減じられる。
図8の例証的な実施例に基づいて、以下の説明では、互いに回転せしめられた(100)−レンズの組を互いに回転せしめられた(111)−レンズの組と平行に用いることによって固有複屈折がいかに大幅に補償されうるかを示すことを意図している。
第1に、全ての(111)−配向のフッ化カルシウムレンズを、該(111)−レンズを互いに対して回転させずに配設する。この場合は、136nmの最大光路差が2つの互いに直交する直線偏光状態に関して得られる。(111)−レンズを回転させることにより、最大光路差は、約38nmに減じられうる。この目的のために、レンズL801およびL804が1つの組に割り振られ、かつレンズL802およびL803はまた他の組に割り振られて、これらのレンズ間における回転角は、いずれの場合も60°とされる。レンズL808、L809およびL810は、3個で1つの組をなして組み合わされ、レンズL815、L816およびL817も同様に組み合わされて、これらのレンズ対間における回転角は40°とされる。レンズL811、L812、L813およびL814は、30°の相互回転角を有して、4個で1つの組をなして組み合わされる。
(100)−配向の全てのフッ化カルシウムレンズを、該(100)−レンズを互いに対して回転させずに配設すると、90.6nmの最大光路差が2つの互いに直交する直線偏光状態に関して得られる。(100)−レンズを回転させることにより、最大光路差は、約40nmに減じられうる。この目的のために、レンズL801およびL804が1つの組に割り振られ、かつレンズL802およびL803はまた他の組に割り振られて、これらのレンズ間における回転角は、いずれの場合も45°とされる。レンズL808、L809およびL810は、3個で1つの組をなして組み合わされ、レンズL815、L816およびL817も同様に組み合わされて、これらの対間における回転角は30°とされる。レンズL811、L812、L813およびL814は、22.5°の相互回転角を有して、4個で1つの組をなして組み合わされる。
(100)−レンズの組を(111)−レンズの組と組み合わせると、2つの互いに直交する直線偏光状態に関して、7nmの最大光路差が得られる。この目的のために、レンズL801およびL804は、該レンズ間において60°の回転角を有して組み合わされて、(111)−レンズの組を形成する。レンズL802およびL803は、該レンズ間において45°の回転角を有して組み合わされて、(100)−レンズの組を形成する。レンズL808、L809およびL810は、これらのレンズのそれぞれの対間において30°の回転角を有して組み合わされて、3個の(100)−レンズで1つの組をなす。レンズL815、L816、L817は、これらのレンズの対間において40°の回転角を有して組み合わされて、3個の(111)−レンズで1つの組を形成する。レンズL811、L812、L813およびL814は、22.5°の回転角を有して組み合わされて、4個の(100)−レンズで1つの組を形成する。1つの組をなして組み合わされるのではないレンズL805およびL807のレンズ軸は、<111>結晶方向に配向される一方で、レンズL806のレンズ軸は、<100>結晶方向に配向される。これらの組は、光軸のまわりにおいて互いに対して任意の角度だけ回転せしめられうる。こうした自由度を利用して、たとえばレンズの取付けによって生じうる回転対称による収差の補償が可能である。
Figure 2005520187
屈折対物レンズ611を用いて、以下の記述において、補償被覆613を用いて光学素子を覆うことによって、複屈折の効果の有害な影響がいかに有意に減じられうるかを示す。2個のレンズL629およびL630は、フッ化カルシウムによって構成され、したがって本質的に複屈折性を有するため、ここでは、複屈折に対するこれらの2個のレンズの寄与のみを考える。この例証的な実施例において、これらの2個のレンズは、(111)−配向を有するとともに、互いに対して60°回転せしめられる。これによって、略回転対称の分布の光路差ΔOPLがもたらされる。最外側開口光線の最大光路差ΔOPLは、方位角αによって13.6nm〜14.6nmの範囲内となる。次に、表6において説明される補償被覆613が、像面O´の方を向くレンズL630の光学表面に施される。この補償被覆613は、フッ化マグネシウム(MgF)およびフッ化ランタン(LaF)の15枚の個別材料層によって構成される。表6のnおよびkは、屈折率の実部および虚部を表す。層厚さは、均一であり、いかなる横方向の厚さ変動も有さない。被覆工程における蒸着角度は、レンズL630の光学表面に対して垂直である。この補償被覆を用いると、結果として生じる光路差は、1.1nmとなり、その結果として補償被覆を用いない対物レンズと比較すると有意に減じられる。
2個の最後のレンズではなしに対物レンズ全体を考える場合も、類似の手順が可能である。補償被覆を有する1個の光学素子のみを用いて複屈折を補償するのではなしに、複数個の光学素子を補償被覆により覆うことも可能である。
この手順を用いて、この複屈折の原因が応力により誘導される複屈折、固有複屈折およびその他の層による複屈折でありうる場合に、装置全体の複屈折を補償することもできる。
装置の最終調節に続いて、像面における1つ以上の光線束に関する光路差の分布ΔOPLを判断する。次に、必要とされる補償被覆を、被覆を最適化するプログラムを手段として計算し、たとえば像面に最も近い装置表面に被覆を施す。像面に最も近い光学素子を交換可能にすると有利である。これによって、対物レンズを実際に使用した場合にだけ起こる複屈折効果を補正する可能性も得られる。
紫外線領域において結晶の複屈折を補償するために、異なる配向の結晶軸を有する結晶素子を前記のように交互に配置することができる。しかしながら、異なる結晶配向を有するレンズを光学装置において交互に配置すると、往々にしてレンズを通過する角度が異なって、限られた程度の補償しか得られないようになるという問題が起こる。1個の結晶レンズのみを含む光学装置の場合は、この種の補償は全く不可能である。
ひとつの考えられる解決策は、レンズを、密着によって接合される2個の互いに回転せしめられる部分に分割するように設計することである。実際には、この概念は、応力によって接合面が変形し、かつ2個の半分体がマイクロメートル単位の精度で横方向に配置されなければならないという欠点を有する。
互いに密着せしめられ、かつ結晶軸の配向に対して回転せしめられる個別の板からブランクを製造し、然る後に、これらのブランクを研削および研磨によってレンズにすることが提案される。配向に関する前記の全ての記述は、この態様で製作されるレンズにも当てはまる。
光学分野において一般的な製造工程である密着に加えて、密接な接触が得られ、かつ最小限の応力しか生じしめないあらゆるその他の接合技術が、本発明において用いられうるとともに、本発明の範囲内に含まれるものと見なされる。密着は、たとえば石英ガラスの被覆によって促進されうる。接合面における屈折または反射は、意図される機能と抵触するため、こうした屈折または反射を有さないことが重要である。
配向は、前記の基準に基づいて選択される。
例証的な実施例として、たとえば図8の投影対物レンズのレンズL816の製作に用いられうるブランクを示す。このレンズL816は、342.13mmの頂点曲率半径を有する凸型非球前面と449.26mmの頂点曲率半径を有する凹形球後面とを有する。軸方向の厚さは、37.3mmである。レンズ材料は、フッ化カルシウムである。レンズ直径は、141mmである。このレンズを製造するのに用いられるブランクは、少なくとも45mmの全厚と150mmの直径とを必要とする。前記ブランクは、この場合は、互いに対して45°回転せしめられた厚さ9.0mmの2枚の(100)−板と互いに対して60°回転せしめられた厚さ13.5mmの2枚の(111)−板とを光学的に継ぎ目のない態様に接合したものからなりうる。(100)−板と(111)−板とは、それぞれ隣接して配置されなければならない。
さらに他の実施例において、対をなす(100)−板と対をなす(111)−板との代わりに、互いに対して45°回転せしめられた厚さ3.0mmの6枚の(100)−板と互いに対して60°回転せしめられた厚さ4.5の6枚の(111)−板とが、光学的に継ぎ目のない態様に接合される。
また他の実施例においては、互いに対して45°回転せしめられた厚さ9.0mmの4枚の(110)−板と互いに対して45°回転せしめられた厚さ4.5の2枚の(100)−板とが、前記2枚の(100)−板が前記4枚の(110)−板の後に配置される状態で光学的に継ぎ目のない態様に接合される。
さらにまた他の実施例では、互いに対して45°回転せしめられた厚さ4.5mmの8枚の(110)−板と互いに対して45°回転せしめられた厚さ2.25の4枚の(100)−板とが、4枚の(110)−板と2枚の(100)−板との後にまた4枚の(110)−板と2枚の(100)−板という順序で光学的に継ぎ目のない態様に接合される。
マイクロリソグラフィー投影露光装置の構造を図9に基づいて原理的に説明する。この投影露光装置81は、照明装置83と投影対物レンズ85とを有する。投影対物レンズ85は、開口絞りAPを有するレンズ機構819からなり、光軸87は、前記レンズ機構89によって定義される。このレンズ機構89の例証的な実施例は、図6および図7に示されている。マスクホルダ811を手段として光線経路内に保持されるマスク89は、照明装置83と投影対物レンズ85との間において配置される。マイクロリソグラフィーに用いられるこのようなマスク89は、マイクロメートルからナノメートルの単位の構造を有しており、前記構造の、たとえば4〜5倍縮小された像が、投影対物レンズ85により像面813上に投影される。基板ホルダ817により位置決めされる感光性基板815またはウェーハは、像面813内において保持される。
微細構造の投影における解像度の限界は、照明に用いられる光の波長λと投影対物レンズ85の像側における開口数とに依存し、投影露光装置81の最大限の達成可能な解像度は、照明装置83の波長λの低下と投影対物レンズ85の像側における開口数の増加とに伴って増加する。図6および図7に示される例証的な実施例では、150nm未満の解像度を達成することが可能である。したがって、固有複屈折等の効果も最小限に抑えられなければならない。本発明は、特に像側において大きい開口数を有する投影対物レンズにおける固有複屈折の有害な影響を大幅に減じることに成功した。
被覆によってもたらされる複屈折に対する補償被覆の異方性の影響を図10に基づいて説明する。この場合、前記層によってもたらされる複屈折の絶対量および方向は、位相分割の位相角ΔPH、すなわち2つの互いに直交する直線偏光状態間における波面の差によって特定される。このパラメータは、複屈折の方向依存性を示すのにも適する。図10に、前述の図の開口角θに対応する、放射の導入角に対する位相角の依存性が示されている。40°の蒸着角度で蒸着されることにより平面基板に施される異方性干渉層系(フッ化マグネシウムとフッ化ランタンとの多層積層体)とによってもたらされる位相分割が示されている。これが、等方性層系と比較される。
HOMにより識別される中央の曲線は、表6において特定されるとともに、いかなる横方向の厚さ変動も有さない均一な層厚さの等方性補償被覆613の測定値を示す。すでに説明したように、位相分割を特徴とする前記層の開口角θ=0°における有効複屈折は、零に近い。より大きい開口角においては、層内において光線経路が長くなることによって、負の値への位相分割の若干の移動が起こる。実線は、被覆面に対して垂直であり、かつ本明細書においては0°平面と呼ばれる第1の平面における照射の偏光解析法による測定値を示す。破線は、前記平面に対して垂直な90°平面に関する値を示す。位相分割の量および方向が実質的に方位角□と無関係であることは明白である。これが等方性被覆の所以である。
その一方で、異方性被覆(AN)の場合は、方位角□に対する位相分割の顕著な方向依存性がある。曲線AN0°は、方位角0°に対応する前記第1の平面における照射の方向の測定値を示す。均質な被覆と比較すると、実質的に同じ角度変動を示すことは明白であるが、複屈折の量は明らかに大きく、0°の照射角でも多大な位相分割(約10°)を有する。放射が光軸に対して反対側に位置する方向から同じ第1の平面に導入される場合は、実質的に同じ値が得られる。これは、測定装置に対して試料を180°回転させた状態に対応する(曲線AN180°)。
他方、放射が前記第1の平面に対して垂直な平面に導入され、したがって方位角が90°変化する場合(曲線AN90°)は、大きさに関しては同じ位相分割が得られるが、位相角は負となる。このことから、異方性被覆を利用すると、特定の好ましい方向を有する異方性被覆を製造し、然る後に、到来する放射の電場ベクトルに対して所定の方向に整合させることによって位相分割の方向を制御しうることがわかる。
図11に基づいて、異方性被覆の場合に、位相分割の大きさ、すなわち複屈折の強さを選択的に制御することもできることを説明する。異なる被覆に関して開口角θに対する位相分割の測定値が図示されている。菱形の符号は、この場合は、150°で蒸着された8枚の個別層を有するMgF2/LaF3多層積層体に対応する。正方形の符号は、同じ温度で製造された6枚のこれらの材料の個別層を有する被覆に対応する。これらの2つの層系の複屈折効果の比較から、達成可能な位相分割の絶対量は、層数が増加すると増加することがわかる。
三角形の符号は、はるかに高温である250°で被覆された8枚の層を有する被覆に対応する。対応する150°の8枚層と比較すると、はるかに低い位相分割が得られる。
これらの傾向(層数の増加に伴う複屈折効果の増大、製造温度の高温化に伴う複屈折効果の低下)もまた、その他の層系(室温の6枚層系、220°および150°の2枚層系)との比較から明らかになる。
例として示される依存性に基づいて、異方性被覆を利用することにより、被覆表面部分全体にわたって量および方向に関して規定可能な局所変動性複屈折を有する偏光効果的光学素子を創出することが可能である。蒸着装置におけるレンズの回転対称の異方性被覆の製造を図12に基づいて説明する。自公転装置は、主回転軸500(図示せず)のまわりにおいて回転しうるとともに、自身の周辺に、それぞれの基板キャリヤ軸501のまわりにおいて回転しうる多数の基板キャリヤ502が取り付けられる主キャリヤを有する。各基板キャリヤは、この例においては、両凸レンズとして設計される基板503を搬送する。主回転軸の領域には、蒸着材料の材料源504が配置されて、たとえばフッ化マグネシウムとフッ化ランタンとが、たとえば電子ビームを利用して交互に気化されるとともに、材料源の方を向く基板の被覆面505上に蒸着される。破線により示される被覆材料は、装置の形状と被覆面の曲率とによって判断される蒸着角度(被覆角度)506で、それぞれの被覆位置に衝突する。
この装置において異方性被覆510を製造するために、材料源504と基板との間において、1組の遮蔽ダイヤフラム511が配置され、これらの各々のダイヤフラムを用いて、材料源の方を向く被覆面の部分が材料流から完全に遮蔽されて、材料源と反対の方を向く被覆面の部分のみが大きい蒸着角度で被覆されるようになる。
斜め蒸着は、層材料を斜め線で示される柱状構造に成長させる効果を有する。傾斜角度は、この場合は、主蒸着方向によって判断される。この形態の程度は、被覆温度によって左右され得、異方性は、たとえば室温から90°Cまでの範囲内の低めの被覆温度と、たとえば120°C、150°Cまたは200°Cを超える高めの被覆温度とにおいてより顕著になる。
このようにして、回転軸501に対して回転対称であり、かつ好適な方向(被覆材料の柱の傾斜方向)が実質的に半径方向を向く異方性被覆が製造されうることは明白である。レンズ面の曲率によって、さらにまた、中心から縁部へと至る蒸着角度の変動が得られ、この角度は、前記例においては、内側から外側へと増加して、被覆の異方性が中心より縁部において高くなるようになる。凹面の場合は、逆の状態になる。さらにまた、材料源504と被覆面との間において高さの差を設定することによって傾斜角度の分布の集中化を設定することができ、垂直方向距離が小さいほど、蒸着角度が大きくなることは明白である。
図13に基づいて、各被覆位置の遮蔽ダイヤフラムを適切に設計することにより、被覆位置の半径方向位置に依存する被覆時間が、指定可能な半径方向時間プロフィールと柱状構造の成長方向の所望の角スペクトルとにしたがって、どのように規定されうるかを説明する。ダイヤフラムの遮蔽効果は、この場合は、矢印符号により示される、材料源の材料流520に対して回転軸501´、501´´、501´´´のまわりにおいて回転するときに自身の背後で回転する基板503´、503´´、503´´´を周期的に遮蔽するダイヤフラム511´、511´´、511´´´により、象徴的に示される。
図13(a)に、半径全体にわたって一定であり、かつ回転の周方向に測定される遮蔽角を有する遮蔽が示されている。これは、材料流内のV形「窓」によって達成される。この遮蔽は、被覆時間、すなわち回転する被覆位置が材料流520の範囲内に位置する時間が実質的に全ての半径方向位置に関して同じになる効果を有する。平面状の基板面の場合は、これによって、半径方向に大体において一様な構造がもたらされる。遮蔽窓が、たとえば破線515にしたがって外方に拡大されると、これによって半径方向内方の領域が半径方向外方の領域より長時間にわたって遮蔽される半径方向時間プロフィールが得られる。これにより、それが適切である場合には、幾何学的に引き起こされる縁部方向への層厚さの減少に対する補償を達成することが可能になる。しかしながら、層厚さが中心から縁部まで連続的に増加する回転対称の層を製造することも可能である。遮蔽ダイヤフラムによって蒸着可能な方向の範囲が狭くなるほど、柱状構造の成長方向の角スペクトルは狭く、または小さくなる。角スペクトルが狭くなることは、この場合は、一般に異方性が顕著になることに対応する。
図13(b)の矩形の窓は、半径方向内方の領域が、半径方向外方の領域より長い時間間隔にわたって、かつよりさまざまな方向から蒸着される効果を有する。これにより、それが適切な場合は、層厚さが、中心から縁部まで表面曲率のみによって引き起こされる層厚さの減少より大きく減少する層を製造することが可能になる。その一方で、異方性は、中心より縁部においてより顕著になる。凹状の被覆面の場合は、このようにして、それが適切な場合には、中心と縁部との間において均一な層厚さを達成することができる。
図13(c)のダイヤフラム511´´´の形状は、基板503´´´の中心領域525が一貫して材料流に露呈されたままになり、その結果として実質的に等方的に被覆される効果を有する。残りの領域においては、半径方向の変動が得られて、異方性および/または層厚さは、半径方向に変化する。
被覆の主軸の整合は、ダイヤフラムに対する蒸着材料流の配向を適切に選択することによって設定されうる。たとえば、図13(a)にしたがった構成の場合は、蒸着は、90°偏移する方向(破線矢印)に行なわれ、その結果として実質的に接線方向に整合する柱状構造が得られる。
炭化水素または水蒸気等の不純物が多孔性層構造中に侵入することを防止または回避するために、大体において無孔の保護層が、たとえば、拡散障壁としての役割を果たす、被覆の最外側層として施されうる。これは、適切な層厚さにより、たとえば半波長層として、光学的に大体において中性になるように形成されうる。
実質的に自由選択可能な局所的複屈折分布を有する偏光光学効果的素子、たとえばリターダーを製造することを可能にする前記方法の変形態様を図15に基づいて説明する。この目的のために、最初に、基板、たとえば平行平面板550は、実質的に均一または異方性でありうる複屈折効果を有する偏光光学効果的な被覆551によって覆われる。この被覆は、エネルギーの選択的な局所導入により露呈領域において層の形態を変化させ、その結果として該層の複屈折特性を変化させることを可能にする非平衡層構造を有する。これは、前記例の場合のように、斜め蒸着によって製造される異方性被覆551であってもよい。層551の完成後に、前記層は、所定の分布にしたがって、形態を変化させ、その結果として層材料の複屈折特性を変化させるのに適したエネルギーに局所的に露呈される。前記例においては、この目的のために、高エネルギー放射線552、たとえばイオンビームまたは適切に拡大されたレーザービームがマスク554の開口553を介して被覆上に導入される。その結果として、マスク開口553の形状により規定される被覆の領域555において、たとえば異方性層の柱状成長構造が凝集するとともに、より高密度かつ低異方性の層を形成する、拡散により支持された形態変化が誘導される。異なる形態の開口を有する多数のマスクを連続的に用いて、より複雑な局所的複屈折分布を生じしめることもできる。さらにまた、集束高エネルギー光線、たとえばレーザービームを利用して、たとえば所望の複屈折分布を「書き込む」ことにより、マスクを用いない方法も可能である。このようにして、被覆によってもたらされる位相分割の実質的にあらゆる所望の局所的変調を生じしめることができる。一様な位相分割の領域は、非常に小規模、たとえば数ミリメートルとされうる。
前記方法を用いると、偏光マスク(すなわち局所依存効果を有する偏光装置またはリターデーション素子)は、特に異方性の出発層を用いることにより、さまざまな波長範囲用に製造されうる。可視波長範囲用の出発被覆を、たとえば「冷間蒸着」により製造することができ、その後、たとえば紫外線領域の高エネルギーレーザー光を用いて照射することにより、形態変化を生じしめることができる。出発層は、紫外線領域の用途に用いられる場合でも、特に約260nmを下回る波長の場合は、動作波長に関して安定でなければならない。ここで、出発被覆を高めの被覆温度、たとえば100°〜152°で製造して、以ってより高い熱安定性を有する被覆を創出することが好ましい。形態の転換は、たとえば赤外レーザー、イオンビーム、電子ビームまたは適切な加熱ダイにより、エネルギーの導入を相応に増大させることによって行なわれなければならない。
前記方法は、さらにまた、偏光位相シフトマスクを偏光光学効果的な素子として、特に少なくとも1つの異方性被覆を用いて製造するのに適する。この場合は、たとえば、複製される構造、たとえば線に直接近接する領域を、空間的に境界設定された異方性被覆を用いて覆って、好ましいリターダー効果を生じしめることができる。偏光位相シフトマスク(偏光位相シフトマスク、P:PSM)は、たとえばR.ワン、W.グロブマン、A.リーチおよびM.トンプソン(R. Wang, W. Grobmann, A. Reich and M. Thompson)の論文「偏光位相シフトマスク:概念、設計、フォトリソグラフィー工程および物理的設計における潜在的利点(Polarized Phase Shift Mask: Concept, Design and Potential Advantages to Photolithography Process and Physical Design)」、写真‐光学計測技術者協会報第4564巻、406項以下(Proc. SPIE vol. 4562, pages 406 et seq)に記載されており、前記論文の開示は、参照により本明細書の説明の内容に含まれる。このようなマスクを利用することにより、それが適切である場合は、「位相抵触」の問題を緩和または解消して、単一露光が、可能性として、適切な品質の複製に適切になりうるようにすることができる。
フッ化物結晶ブロックの{100}結晶面に対して垂直な断面と投影対物レンズの1個のレンズとを示す略図である。 平行平面形の(100)−レンズの三次元略図である。 平行平面形の(111)−レンズの三次元略図である。 平行平面形の(110)−レンズの三次元略図である。 開口角と方位角とを定義する座標系の図である。 図4A〜図4Fは、(100)−レンズに関する複屈折分布のさまざまな図と、互いに対して45°回転せしめられた2個の(100)−レンズに関する複屈折分布の図であり、図4Aはその1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 図5A〜図5Fは、(111)−レンズに関する複屈折分布のさまざまな図と、互いに対して60°回転せしめられた2個の(111)−レンズに関する複屈折分布の図であり、図5Aは、その1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 図6A〜図6Gは、(111)−レンズに関する複屈折分布のさまざまな図と、それぞれ互いに対して90°回転せしめられた2個の(110)−レンズおよび互いに対して45°回転せしめられた4個の(110)−レンズに関する複屈折分布の図であり、図6Aはその1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 さまざまな図の他の1つである。 屈折投影対物レンズのレンズ断面図である。 カタジオプトリック投影対物レンズのレンズ断面図である。 マイクロリソグラフィー投影露光装置の略図である。 均質な補償被覆の場合と異方性の補償被覆の場合とに関して、複屈折によって引き起こされる位相分割ΔPHの、照射方向に対する依存性を示すグラフである。 異なる個数の個別層と異なる製造条件とを有する層に関して、複屈折によって引き起こされる位相分割ΔPHの、照射方向に対する依存性を示すグラフである。 自公転装置を有する被覆装置におけるレンズ上への異方性被覆の形成を示す略図である。 遮蔽ダイヤフラムを利用した被覆形成の遮蔽形状を示す略図である。 異方性被覆の特性の事後変更を用いて偏光装置を製造する方法を示す略図である。
符号の説明
1 レンズ
201、205、209 フッ化カルシウムの円形平行平面板
203、207、211 固有複屈折の量
3 フッ化物結晶ブロック
5 {100}結晶面
501 基板キャリヤ軸
502 基板キャリヤ
503 基板
504 材料源
505 被覆面
506 蒸着角度(被覆角度)
510 異方性被覆
511 遮蔽ダイヤフラム
520 材料流
550 平行平面板
551 被覆
552 高エネルギー放射線
553 マスク開口
554 マスク
555 被覆の領域
609 最外側開口光線
611 対物レンズ
613 補償被覆
711 対物レンズ
81 投影露光装置
811 マスクホルダ
813 像面
815 感光性基板
817 基板ホルダ
819 レンズ機構
83 照明装置
85 投影対物レンズ
87 光軸
L601〜L630 レンズ
L801〜L817 レンズ
EA レンズ軸
O´ 像面
θ 開口角
α 方位角
ΔPH 位相分割の位相角

Claims (82)

  1. 少なくとも1個のフッ化物結晶レンズ(1)を含む複数個のレンズ(L601〜L630、L801〜L817)を有する対物レンズ(611、711)、特にマイクロリソグラフィー投影露光装置(81)用投影対物レンズにおいて、
    前記少なくとも1個のレンズ(1)は、前記フッ化物結晶の{100}結晶面または前記結晶面と同等の結晶面に対して略垂直であるレンズ軸(EA)を有する(100)−レンズであることを特徴とする対物レンズ。
  2. 前記(100)−レンズは、対称軸を有する回転対称レンズであり、前記対称軸は、前記(100)−レンズの前記レンズ軸と一致する請求項1に記載の対物レンズ。
  3. 光軸(OA)を有しており、前記(100)−レンズの前記レンズ軸は、対物レンズの前記光軸と一致する請求項1〜2の1項に記載の対物レンズ。
  4. 光線は、対物レンズ内において物体平面(O)から像面(O´)へと進み、前記(100)−レンズの内側における少なくとも1つの光線(609、713、715)は、前記レンズ軸に対して、25°より大、特に30°より大である光線角度を有する請求項1〜3の1項に記載の対物レンズ。
  5. 光線は、対物レンズ内において物体平面から像面へと進み、前記(100)−レンズ内の全ての前記光線が、前記レンズ軸に対して、45°以下、特に
    Figure 2005520187
    である光線角度を有し、ここで、NAは、像側における開口数を示し、nFKは、前記フッ化物結晶の屈折率を示す請求項1〜4の1項に記載の対物レンズ。
  6. 絞り面を有しており、前記絞り面は、絞り直径を有し、前記(100)−レンズは、レンズ直径を有し、前記レンズ直径は、前記絞り直径の85%未満、特に80%未満である請求項1〜5の1項に記載の対物レンズ。
  7. 像面を有しており、前記(100)−レンズ(L630、L817)は、前記像面に最も近いレンズである請求項1〜6の1項に記載の対物レンズ。
  8. 少なくとも2個のフッ化物結晶レンズまたはレンズ部分を有し、
    前記レンズまたはレンズ部分は、いずれも略主結晶方向を向くレンズ軸を有し、
    像面内の像点に、それぞれ方位角αと開口角θと2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差ΔOPLとを有する光線を含む光線束が衝突する対物レンズ(611、711)、特にマイクロリソグラフィー投影露光装置用投影対物レンズにおいて、
    前記レンズまたはレンズ部分は、前記レンズ軸のまわりにおいて互いに対して回転せしめられて、前記方位角αおよび前記開口角θの関数としての前記光線束の前記光路差の分布ΔOPL(α、θ)が、同じ主結晶方向を向くレンズ軸を有し、かつ前記レンズ軸のまわりにおいて互いに対して回転せしめられるように配置されないレンズまたはレンズ部分と比較して有意に低い値を有するように配置される対物レンズ。
  9. 所定の開口角θにおける前記方位角αの関数としての前記光路差ΔOPLの変動は、30%未満、特に20%未満である請求項8に記載の対物レンズ。
  10. 前記レンズまたはレンズ部分は、それぞれ、複屈折値Δnが前記レンズ軸に対して垂直な基準方向に対する方位角αと前記レンズ軸に対する開口角θとに依存する複屈折分布Δn(α、θ)を有し、
    前記複屈折分布Δn(α、θ)は、k回方位角対称性を有し、
    回転角γは、個別の前記レンズまたはレンズ部分の前記基準方向間において定義され、
    多数のn個のレンズまたはn個のレンズ部分が、前記レンズ軸が前記同じ主結晶方向または前記主結晶方向と同等の主結晶方向を向くとともに前記基準方向に対する前記複屈折分布Δn(α、θ)が同じ方位角プロフィールを有する1つの組を形成し、
    1つの組のそれぞれのレンズ対またはレンズ部分対間における回転角γに関して、下式が当てはまり:
    Figure 2005520187
    mは整数である請求項8または9の1項に記載の対物レンズ。
  11. 前記レンズまたはレンズ部分内における前記光線束の最外側開口光線(609、713、715)は、それぞれ開口角θを有し、前記1組の前記レンズまたはレンズ部分内における前記開口角θの変動は、30%以下、特に20%以下である請求項10に記載の対物レンズ。
  12. 前記レンズまたはレンズ部分内における前記光線束の最外側開口光線(609、713、715)は、それぞれ経路長さRLを辿り、前記1組の前記レンズまたはレンズ部分内における前記経路長さRLの変動は、30%以下、特に20%以下である請求項10または11の1項に記載の対物レンズ。
  13. 1組の前記個別のレンズまたはレンズ部分に関して回転角γ=0°において判断される前記光線束の最外側開口光線(609、713、715)の前記光路差ΔOPLの変動は、30%以下、特に20%以下である請求項10〜12の1項に記載の対物レンズ。
  14. 前記1組は、2個〜4個のレンズまたはレンズ部分からなる請求項10〜13の1項に記載の対物レンズ。
  15. 前記レンズ(L629、L630)またはレンズ部分は、互いに隣接して配置され、特に密着により互いに接合される請求項14に記載の対物レンズ。
  16. それぞれ互いに対して回転せしめられた、少なくとも2組のレンズまたはレンズ部分を有する請求項10〜15の1項に記載の対物レンズ。
  17. 前記レンズ軸は、<111>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、前記レンズまたはレンズ部分の前記複屈折分布Δn(α、θ)は、3回方位角対称性を有する請求項8〜16の1項に記載の対物レンズ。
  18. 前記レンズ軸は、<100>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、前記レンズまたはレンズ部分の前記複屈折分布Δn(α、θ)は、4回方位角対称性を有する請求項8〜16の1項に記載の対物レンズ。
  19. 前記レンズ軸は、<110>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、前記レンズまたはレンズ部分の前記複屈折分布Δn(α、θ)は、2回方位角対称性を有する請求項8〜16の1項に記載の対物レンズ。
  20. 第1組の前記レンズまたはレンズ部分の前記レンズ軸は、<100>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、第2組の前記レンズまたはレンズ部分の前記レンズ軸は、<111>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向く請求項8〜19の1項に記載の対物レンズ。
  21. 第1組の前記レンズまたはレンズ部分の前記レンズ軸は、<100>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、第2組の前記レンズまたはレンズ部分の前記レンズ軸は、<110>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向く請求項8〜19の1項に記載の対物レンズ。
  22. 前記光路差の前記分布ΔOPL(α、θ)は、前記第1組の全ての前記レンズまたはレンズ部分によって誘導される第1の光路差分布ΔOPL(α、θ)と、前記第2組の全ての前記レンズまたはレンズ部分によって誘導される第2の光路差分布ΔOPL(α、θ)とによって構成され、前記第1の光路差分布ΔOPL(α、θ)の最大値と前記第2の光路差分布ΔOPL(α、θ)の最大値との差は、30%以下、特に20%以下である請求項20または21に記載の対物レンズ。
  23. 前記レンズまたはレンズ部分は、光学表面を有する多数の光学素子に属し、少なくとも1つの光学表面は、補償被覆(613)により覆われ、前記補償被覆は、前記方位角αおよび前記開口角θの関数としての前記光線束の前記光路差分布ΔOPL(α、θ)が、補償被覆を有さない対物レンズと比較して有意に低い値を有するように設計される請求項8〜22の1項に記載の対物レンズ(611)。
  24. 前記補償被覆を有する前記光学素子は、素子軸を有し、前記補償被覆は、有効複屈折値が前記素子軸に対して垂直な基準方向に対する方位角αと前記素子軸に対する開口角θとに依存する有効複屈折分布を有する請求項23に記載の対物レンズ(611)。
  25. 前記開口角θ=0°における前記補償被覆の前記有効複屈折分布は、略零である請求項24に記載の対物レンズ。
  26. 前記有効複屈折分布は、主として前記開口角θのみに依存する請求項24および25の1項に記載の対物レンズ。
  27. 前記補償被覆を有する前記光学素子は、前記フッ化物結晶レンズの1個であり、前記素子軸は、前記フッ化物結晶レンズの前記レンズ軸である請求項23〜26の1項に記載の対物レンズ。
  28. 多数の光学素子が、補償被覆により覆われる請求項23〜27の1項に記載の対物レンズ。
  29. 全ての前記光学素子が、補償被覆により覆われる請求項23〜28の1項に記載の対物レンズ。
  30. 前記フッ化物結晶は、フッ化カルシウム結晶、フッ化ストロンチウム結晶またはフッ化バリウム結晶である請求項1〜29の1項に記載の対物レンズ。
  31. 光学表面を有する多数の光学素子、特にフッ化物結晶レンズを有し、
    像面内の像点に、それぞれ2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差ΔOPLを有する光線を含む光線束が衝突する対物レンズ(611)、特にマイクロリソグラフィー投影露光装置用投影対物レンズにおいて、
    少なくとも1つの光学表面は、補償被覆(613)により覆われ、前記補償被覆は、前記光線束の前記光路差ΔOPLが、補償被覆を有さない対物レンズと比較して有意に低い値を有するように設計されることを特徴とする対物レンズ。
  32. 前記補償被覆を有する前記光学素子は、素子軸を有し、前記補償被覆は、有効複屈折値が前記素子軸に対して垂直な基準方向に対する方位角αと前記素子軸に対する開口角θとに依存する有効複屈折分布を有する請求項31に記載の対物レンズ。
  33. 前記開口角θ=0°における前記補償被覆の前記有効複屈折分布は、略零である請求項32に記載の対物レンズ。
  34. 前記補償被覆の前記有効複屈折分布は、主として前記開口角θに依存する請求項32および33の1項に記載の対物レンズ。
  35. 前記補償被覆を有する前記光学素子は、相互交換可能である請求項32〜36の1項に記載の対物レンズ。
  36. 少なくとも2個の光学素子は、レンズ軸を有するフッ化物結晶レンズまたはレンズ部分であり、
    前記レンズまたはレンズ部分は、前記レンズ軸のまわりにおいて互いに対して回転せしめられて、前記方位角αおよび前記開口角θの関数としての前記光線束の前記光路差分布ΔOPL(α、θ)が、同じ主結晶方向を向くレンズ軸を有し、かつ前記レンズ軸のまわりにおいて互いに対して回転せしめられるように配置されないレンズまたはレンズ部分と比較して有意に低い値を有するように配置される請求項31〜35の1項に記載の対物レンズ。
  37. 所定の開口角θΦにおける前記方位角αの関数としての前記光路差ΔOPLの変動は、30%未満、特に20%未満である請求項36に記載の対物レンズ。
  38. 前記レンズまたはレンズ部分は、それぞれ、複屈折値Δnが前記レンズ軸に対して垂直な基準方向に対する方位角αと前記レンズ軸に対する開口角θとに依存する複屈折分布Δn(α、θ)を有し、
    前記複屈折分布Δn(α、θ)は、k回方位角対称性を有し、
    回転角γは、個別の前記レンズまたはレンズ部分の前記基準方向間において定義され、
    多数のn個のレンズまたはn個のレンズ部分が、前記レンズ軸が前記同じ主結晶方向または前記主結晶方向と同等の主結晶方向を向くとともに前記基準方向に対する前記複屈折分布Δn(α、θ)が同じ方位角プロフィールを有する1つの組を形成し、
    1つの組のそれぞれのレンズ対またはレンズ部分対間における回転角γに関して、下式が当てはまり:
    Figure 2005520187
    mは整数である請求項36または37の1項に記載の対物レンズ。
  39. 前記補償被覆を有する前記光学素子は、前記フッ化物結晶レンズの1個であり、前記素子軸は、前記フッ化物結晶レンズの前記レンズ軸である請求項36〜38の1項に記載の対物レンズ。
  40. 多数の光学素子が、補償被覆により覆われる請求項30〜39の1項に記載の対物レンズ。
  41. 像側における開口数NAを有し、前記像側における前記開口数NAは、0.7より大、特に0.8より大である請求項1〜40の1項に記載の対物レンズ。
  42. 200nm未満の波長用に設計される請求項1〜41の1項に記載の対物レンズ。
  43. 160nm未満の波長用に設計される請求項1〜42の1項に記載の対物レンズ。
  44. 屈折対物レンズである請求項1〜43の1項に記載の対物レンズ(611)。
  45. レンズと少なくとも1個の鏡(Sp2)とを有するカタジオプトリック対物レンズ(711)である請求項1〜44の1項に記載の対物レンズ。
  46. 全ての前記レンズが、フッ化カルシウム製である請求項1〜45の1項に記載の対物レンズ。
  47. 照明装置(83)と請求項1〜46の1項に記載の対物レンズ(85)とからなり、構造描画マスク(89)の像を感光性基板(815)上に投影するマイクロリソグラフィー投影露光装置(81)。
  48. 請求項47に記載のマイクロリソグラフィー投影露光装置(81)を用いて半導体構成品を製造する方法。
  49. 少なくとも2個のフッ化物結晶レンズまたはレンズ部分を有し、
    前記レンズまたはレンズ部分は、いずれも略主結晶方向を向くレンズ軸を有する対物レンズ、特にマイクロリソグラフィー投影露光装置用投影対物レンズの製造方法において、
    レンズまたはレンズ部分の光路差分布ΔOPL(α、θ)は、それぞれ方位角αと開口角θと像面における2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差ΔOPLとを有する光線を含む光線束に関して判断され、
    前記レンズまたはレンズ部分は、前記レンズ軸のまわりにおいて互いに対して回転せしめられて、前記光線束の前記光路差分布ΔOPL(α、θ)が、同じ主結晶方向を向くレンズ軸を有し、かつ前記レンズ軸のまわりにおいて互いに対して回転するように配置されないレンズまたはレンズ部分と比較して有意に低い値を有するように配置されることを特徴とする方法。
  50. 前記対物レンズは、第1組のレンズまたはレンズ部分と第2組のレンズまたはレンズ部分とを有し、前記第1組の前記レンズまたはレンズ部分の前記レンズ軸は、<100>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、前記第2組の前記レンズまたはレンズ部分の前記レンズ軸は、<111>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向く請求項49に記載の方法。
  51. 前記対物レンズは、第1組のレンズまたはレンズ部分と第2組のレンズまたはレンズ部分とを有し、前記第1組の前記レンズまたはレンズ部分の前記レンズ軸は、<100>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、前記第2組の前記レンズまたはレンズ部分の前記レンズ軸は、<110>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向く請求項49に記載の方法。
  52. 前記光路差分布ΔOPL(α、θ)は、それぞれ方位角αと開口角θと像面における2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差ΔOPLとを有する光線を含む光線束に関して判断され、
    前記光路差分布ΔOPL(α、θ)を用いて補償被覆の有効複屈折分布が判断されて、前記光路差ΔOPL(α、θ)が減じられ、
    前記補償被覆の前記有効複屈折の値は、前記光学素子の素子軸に対して垂直な基準方向に対する方位角αと、前記素子軸に対する開口角θとに依存し、
    前記複屈折分布を用いて補償被覆の構造が判断され、
    前記対物レンズの光学素子は、前記補償被覆により覆われる請求項49〜51の1項に記載の方法。
  53. 光学表面を有する多数の光学素子、特にフッ化物結晶レンズを有する対物レンズ、特にマイクロリソグラフィー投影露光装置用投影対物レンズにおける複屈折効果を補償する方法において、
    少なくとも1個の光学素子は、相互交換可能であり、
    像面内の像点に、それぞれ方位角αと開口角θと像面における2つの互いに直交する直線偏光状態に関する光路差ΔOPLとを有する光線を含む光線束が衝突し、
    前記光路差の分布ΔOPL(α、θ)が判断され、前記光路差分布ΔOPL(α、θ)を用いて補償被覆の有効複屈折分布が判断され、前記有効複屈折値は、前記光学素子の素子軸に対して垂直な基準方向に対する方位角αと前記素子軸に対する開口角θとに依存し、
    前記有効複屈折分布を用いて補償被覆の構造が判断され、
    前記相互交換可能な光学素子が、前記対物レンズから除去され、
    前記相互交換可能な光学素子が、前記補償被覆により覆われ、
    前記補償被覆を有する前記相互交換可能な光学素子が、前記対物レンズに再び配設される方法。
  54. 結晶方向に関して互いに対して回転せしめられる結晶材料、好ましくはフッ化物結晶、特にフッ化カルシウムの多数の板が、光学的に継ぎ目のない態様に接合され、特に密着せしめられるとともに、然る後に単体ブランクとして整形および研磨されるレンズ製造方法。
  55. 前記板は、それぞれ、前記レンズ軸に対して垂直な基準方向に対する方位角αと前記レンズ軸に対する開口角θとに依存する複屈折値Δnを有するとともにk回方位角対称性を有する複屈折分布ΔOPL(α、θ)を有し、
    多数のN枚の板の表面法線は、同じ結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、前記基準方向に関する前記複屈折分布ΔOPL(α、θ)は、同じ方位角プロフィールを有し、
    回転角γは、個別の前記板の前記基準方向間において定義され、それぞれの板対間における前記回転角γに関して、下式が当てはまり:
    Figure 2005520187
    mは整数である請求項54に記載のレンズ製造方法。
  56. 2枚の板が継ぎ目のない態様に接合される請求項55に記載のレンズ製造方法。
  57. 前記板は、略等しい厚さを有する請求項55および56の1項に記載のレンズ製造方法。
  58. 第1の前記板の場合は、前記表面法線は、<111>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、第2の前記板の場合は、前記表面法線は、<100>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向く請求項54〜57の1項に記載のレンズ製造方法。
  59. 前記第1の板は、略等しい第1の厚さを有し、前記第2の板は、略等しい第2の厚さを有し、前記第1の厚さの総和と前記第2の厚さの総和との比は、1.5±0.2である請求項58に記載のレンズ製造方法。
  60. 前記第1の板の場合は、前記表面法線は、<110>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向き、前記第2の板の場合は、前記表面法線は、<100>結晶方向または前記結晶方向と同等の主結晶方向を向く請求項54〜57の1項に記載のレンズ製造方法。
  61. 前記第1の板は、略等しい第1の厚さを有し、前記第2の板は、略等しい第2の厚さを有し、前記第1の厚さの総和と前記第2の厚さの総和との比は、4.0±0.4である請求項60に記載のレンズ製造方法。
  62. 2枚の第1の板が光学的に継ぎ目のない態様に1枚の第2の板に接合される請求項60および61の1項に記載のレンズ製造方法。
  63. 4枚の第1の板が光学的に継ぎ目のない態様に2枚の第2の板に接合される請求項60および61の1項に記載のレンズ製造方法。
  64. 請求項54〜63の1項に記載の方法により製造されることを特徴とするレンズ。
  65. 請求項64に記載のレンズからなることを特徴とする対物レンズ、特にマイクロリソグラフィー投影露光装置(81)用投影対物レンズ(611、711)。
  66. 請求項64に記載のレンズからなることを特徴とする請求項1〜46の少なくとも1項に記載の対物レンズ。
  67. 前記補償被覆(510)は、局所的に変動する複屈折を有する有効複屈折分布を有する特に請求項31〜36の1項に記載の対物レンズ。
  68. 前記補償被覆は、前記補償被覆を備える前記素子の素子軸に対して実質的に回転対称である有効複屈折分布を有する請求項67に記載の対物レンズ。
  69. 前記補償被覆は、半径方向に増加または減少する複屈折を有する有効複屈折分布を有する請求項67または68に記載の対物レンズ。
  70. 前記補償被覆は、非回転対称の、特に複屈折の強さの方位角変調を有する有効複屈折を有し、好ましくは、前記被覆を備える前記光学素子の前記素子軸に対して多回対称性、特に2回、3回、4回または6回対称性を有する複屈折分布が得られる請求項67および69のいずれかに記載の対物レンズ。
  71. 光学素子の少なくとも1つの光学表面は、好ましくは補償被覆として設計される異方性被覆を有する請求項67〜70の1項に記載の対物レンズ。
  72. 前記異方性被覆は、局所的に変動する異方性を有し、前記変動は、好適な方向である方向および/または前記被覆により生じしめられる位相分割の絶対量からなる請求項71に記載の対物レンズ。
  73. 指定可能な有効複屈折分布を有する偏光光学効果的被覆が基板の少なくとも1つの基板表面に施される偏光光学効果素子、特にリターデーション素子の製造方法において:
    異方性被覆構造が生じしめられるような大きさの被覆角度で、前記基板表面の少なくとも1つの領域に被覆材料が適用されるか、または被覆が前記基板表面上に存在する方法。
  74. 前記基板を基板回転軸のまわりにおいて回転させる段階と;
    材料源の前記被覆材料を用いて前記基板表面を大きい被覆角度で被覆する段階と;
    前記基板の回転時に前記被覆材料を周期的に遮蔽して、所定の半径方向時間プロフィールにしたがって、前記被覆位置の半径方向位置に依存する被覆時間を達成する段階とを行なって、前記被覆の前記複屈折分布および/または前記異方性が制御される請求項73に記載の方法。
  75. 前記遮蔽は、小さい被覆角度、特に<30°〜35°の角度を遮蔽して、前記材料が所定の方向からもっぱらまたは少なくとも主として大きい蒸着角度、特に40°以上の角度で前記基板表面に衝突させるようにして行なわれる請求項74に記載の方法。
  76. 指定可能な有効複屈折分布を有する偏光光学効果的被覆が基板の少なくとも1つの基板表面に施される偏光光学効果素子、特にリターデーション素子の製造方法において:
    前記被覆作業の終了後に前記被覆の局所的な複屈折分布が変更される方法。
  77. 前記変更は、完成した前記被覆を、前記被覆の形態を所定の空間的分布に従って変化させるのに適したエネルギーに局所的に露呈することによって行なわれる請求項76に記載の方法。
  78. 前記被覆は、異方性被覆である請求項76または77に記載の方法。
  79. エネルギーに露呈される領域の画定は、1個以上のマスクを利用して行なわれる請求項76〜78の1項に記載の方法。
  80. 前記被覆の前記局所的な複屈折分布の前記変更は、局所的に制限される熱的および/または機械的暴露によって行なわれる請求項76〜79の1項に記載の方法。
  81. 請求項73〜80の1項に記載の方法により製造される偏光光学効果的光学素子、特にリターデーション素子。
  82. 光学装置、特にマイクロリソグラフィー用投影対物レンズを製造する方法において:
    異方性被覆または何らかのその他の非平衡被覆を有する少なくとも1個の素子を用いて前記光学装置を組み立てる段階と;
    前記光学装置を測定して、前記光学装置を偏光光学的に調節するために必要とされる、前記少なくとも1つの被覆の所望の有効複屈折分布を判断する段階と;
    被覆を含む光学素子を分解する段階と;
    然る後に、局所的に境界を定めてエネルギーを導入することにより、前記被覆の層特性を変更して、前記所望の有効複屈折分布を生じしめる段階と;
    前記変更された光学素子を配設する段階とを含む方法。

JP2003575170A 2002-03-12 2003-03-12 結晶レンズを有する対物レンズ Pending JP2005520187A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE2002110782 DE10210782A1 (de) 2002-03-12 2002-03-12 Objektiv mit Kristall-Linsen
PCT/EP2003/002549 WO2003077007A2 (de) 2002-03-12 2003-03-12 Objektiv mit kristall-linsen

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005520187A true JP2005520187A (ja) 2005-07-07

Family

ID=27797700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003575170A Pending JP2005520187A (ja) 2002-03-12 2003-03-12 結晶レンズを有する対物レンズ

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP1483614A2 (ja)
JP (1) JP2005520187A (ja)
CN (1) CN1653359A (ja)
AU (1) AU2003212341A1 (ja)
DE (1) DE10210782A1 (ja)
WO (1) WO2003077007A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006210917A (ja) * 2005-01-25 2006-08-10 Asml Netherlands Bv リソグラフィ装置およびデバイス製造方法
JP2008532273A (ja) * 2005-02-25 2008-08-14 カール ツァイス エスエムテー アクチエンゲゼルシャフト マイクロ・リソグラフィー投影露光装置のための光学システム

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6683710B2 (en) 2001-06-01 2004-01-27 Optical Research Associates Correction of birefringence in cubic crystalline optical systems
US6995908B2 (en) 2001-10-30 2006-02-07 Asml Netherlands B.V. Methods for reducing aberration in optical systems
US7453641B2 (en) 2001-10-30 2008-11-18 Asml Netherlands B.V. Structures and methods for reducing aberration in optical systems
US6970232B2 (en) 2001-10-30 2005-11-29 Asml Netherlands B.V. Structures and methods for reducing aberration in integrated circuit fabrication systems
JP4333078B2 (ja) 2002-04-26 2009-09-16 株式会社ニコン 投影光学系、該投影光学系を備えた露光装置および該投影光学系を用いた露光方法並びにデバイス製造方法
US6958864B2 (en) 2002-08-22 2005-10-25 Asml Netherlands B.V. Structures and methods for reducing polarization aberration in integrated circuit fabrication systems
WO2004023172A1 (de) * 2002-09-03 2004-03-18 Carl Zeiss Smt Ag Optimierverfahren für ein objektiv mit fluorid-kristall-linsen sowie objektiv mit fluorid-kristall-linsen
US7466489B2 (en) 2003-12-15 2008-12-16 Susanne Beder Projection objective having a high aperture and a planar end surface
CN1910672A (zh) * 2004-01-16 2007-02-07 皇家飞利浦电子股份有限公司 光学系统
US7518797B2 (en) 2005-12-02 2009-04-14 Carl Zeiss Smt Ag Microlithographic exposure apparatus
WO2007063136A2 (de) * 2005-12-02 2007-06-07 Carl Zeiss Smt Ag Optisches element mit doppelbrechender beschichtung
DE102007058862A1 (de) 2007-12-06 2009-06-10 Carl Zeiss Smt Ag Optisches System, insbesondere für eine mikrolithographische Projektionsbelichtungsanlage
US9599787B2 (en) 2011-12-27 2017-03-21 Tera Xtal Technology Corporation Using sapphire lens to protect the lens module
DE102012206154A1 (de) 2012-04-16 2013-06-06 Carl Zeiss Smt Gmbh Optisches System für eine mikrolithographische Projektionsbelichtungsanlage sowie mikrolithographisches Belichtungsverfahren
DE102013108321B3 (de) * 2013-08-02 2014-10-23 Leibniz-Institut für Analytische Wissenschaften-ISAS-e.V. Fresnelsches-Parallelepiped

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6201634B1 (en) * 1998-03-12 2001-03-13 Nikon Corporation Optical element made from fluoride single crystal, method for manufacturing optical element, method for calculating birefringence of optical element and method for determining direction of minimum birefringence of optical element
KR20040015251A (ko) * 2001-05-15 2004-02-18 칼 짜이스 에스엠티 아게 불화물 결정 렌즈들을 포함하는 렌즈 시스템
EP1405110A4 (en) * 2001-05-16 2006-03-22 Corning Inc CRYSTAL ORIENTATION OPTICAL ELEMENTS OBTAINED FROM CUBIC MATERIALS
JP2003050349A (ja) * 2001-05-30 2003-02-21 Nikon Corp 光学系および該光学系を備えた露光装置
US6683710B2 (en) * 2001-06-01 2004-01-27 Optical Research Associates Correction of birefringence in cubic crystalline optical systems
JP3639807B2 (ja) * 2001-06-27 2005-04-20 キヤノン株式会社 光学素子及び製造方法
WO2003003429A1 (fr) * 2001-06-28 2003-01-09 Nikon Corporation Systeme de projection optique, systeme d'exposition et procede
US6831731B2 (en) * 2001-06-28 2004-12-14 Nikon Corporation Projection optical system and an exposure apparatus with the projection optical system
US6788389B2 (en) * 2001-07-10 2004-09-07 Nikon Corporation Production method of projection optical system
TW571344B (en) * 2001-07-10 2004-01-11 Nikon Corp Manufacturing method for projection optic system

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006210917A (ja) * 2005-01-25 2006-08-10 Asml Netherlands Bv リソグラフィ装置およびデバイス製造方法
JP2008532273A (ja) * 2005-02-25 2008-08-14 カール ツァイス エスエムテー アクチエンゲゼルシャフト マイクロ・リソグラフィー投影露光装置のための光学システム
JP2009086692A (ja) * 2005-02-25 2009-04-23 Carl Zeiss Smt Ag マイクロ・リソグラフィー投影露光装置のための光学システム

Also Published As

Publication number Publication date
DE10210782A1 (de) 2003-10-09
WO2003077007A2 (de) 2003-09-18
WO2003077007A3 (de) 2004-04-08
EP1483614A2 (de) 2004-12-08
CN1653359A (zh) 2005-08-10
AU2003212341A8 (en) 2003-09-22
AU2003212341A1 (en) 2003-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4831967B2 (ja) 光学系、光学装置、光学的に結像する方法、固有複屈折によって生じたリターダンスを低減する方法、フォトリソグラフィ・システム、および、半導体デバイスを形成する方法
US7180667B2 (en) Objective with fluoride crystal lenses
JP4347686B2 (ja) 立方晶系光学系における複屈折の補正
US20070242250A1 (en) Objective with crystal lenses
EP2212729B1 (en) Polarizer enabling the compensation of time-dependent distribution changes in the illumination
KR101248328B1 (ko) 강도 변동이 보상된 투사 시스템 및 이를 위한 보상 요소
JP2005520187A (ja) 結晶レンズを有する対物レンズ
WO2009013230A1 (en) Optical system of a microlithographic projection exposure apparatus
US20060109560A1 (en) Method of determining lens materials for a projection exposure apparatus
TW200912558A (en) Method for manufacturing projection optics
EP1780570A2 (en) Correction of birefringence in cubic crystalline optical systems

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090203

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090630