JP2005517873A - ピボット・ブッシュを備えたベルト・テンショナ - Google Patents

Abstract

【課題】 無端通路上にて操作され、非対称的運動制御を利用する動力伝達ベルト（１２）のためのテンショナに関する。
【解決手段】 このテンショナは、ベルト（１２）との関連でテンショナ（１４）を固定するための支持部材（１６）と；ベルト係合部（２２）と、ドラム部とを具備してなり、該支持部材（１６）を中心として枢動するアーム（１８）と；該アーム（１８）を該支持部材（１６）を中心として第1の方向に枢動させるべく付勢すると共に、ベルト（１２）を緊張させるのに十分な応力で、ベルト係合部（２２）をベルト（１２）に対し付勢させるバネ（２０）とを具備してなる。このテンショナは更に、上記アーム（１８）と支持部材（１６）との間に設けられたキャビティ（２６）と；該キャビティ（２６）内に配置された湾曲フランジ（３２）を有するブッシュ（３０）とを具備してなることを特徴とする。

Description

本発明はベルト・テンショナのための新規な方法および装置に関する。

現在市販されている多くの自動車エンジンは、複数の被動部材を駆動させるために無端動力伝達ベルトを利用している。これらエンジンはテンションシステムを使用し、それにより無端動力伝達ベルトに対し張力を与えるようにしている。この場合、無端動力伝達ベルトは公知の任意のタイプのものである。好ましくは、このベルトは主としてポリマー質のケブラー又はアラミド樹脂材料から作られる。なぜならば、本発明のベルト・テンショナの特異な特徴により、ポリエステル製の耐力コードを有するベルトを効率的に容易に緊張させることが可能となるからである。

これらの多くの自動車付属部材の駆動において、このベルトの寿命を通してテンション比を制御するために正しいテンションを与えることが必要である。単一ベルトV条駆動システムの出現に伴い、このことはますます重要になっている。なぜならば、ベルトの長さが大きくなり、一部の付属部材は平坦ベルト駆動のようにベルトの背側で駆動されるからである。種々の形態の自動ベルト・テンショナが開発されており、これらは入力捩れを除去し、調和振動を防止ないし減少させ、同時に必要なベルトのテンションの変化に応答するようにベルトシステムを調整可能にした望ましい特徴を有している（例えば、米国特許No.4,596,538; No.4,832,666およびNo.5,443,424(発明者は、いずれもHenderson); 米国特許No.4,938,734; No.5,030,172およびNo.5,035,679(発明者は、いずれもGreenら); 米国特許No.5,190,502(発明者は、Gardnerら); 米国特許No.5,348,514(発明者は、Foley)(いずれも参照として、ここに組み込まれるものとする)）。

図７および８に示すように、従来のベルト・テンショナは、その一部として、テーパー状外径102、直線的内径104および平坦フランジ106を有するブッシュ100を具備する。このブッシュ100の使用により、支持部112のハブ部110と、アーム114との間に大きい間隙108が生じることになる。ここで問題は、ブッシュ100の軸方向の移動によりブッシュ100と、アーム114との間の間隙108のクレアランスの大きさが増減することである。理想的には、ブッシュ100と、アーム114との間の間隙108のクレアランスはゼロとすべきである。なぜならば、間隙108のクレアランスを小さくすることはアーム114の整合を制御するための１つの方法であるからである。しかし、ゼロのクレアランスはアーム114をハブ部110上に固着させることになるため、或る程度のクレアランスが必要となる。もし、アーム114の整合が制御されない場合は、テンショナが不安定になり、ベルトがテンショナ・プーリから滑り落ちる可能もある。もし、そのような事が生じると、ベルトが振動し、エンジンの他のプーリから飛び出し、エンジンの機能が停止することになる。従来のブッシュには、その外側表面（図示しない）および内側表面133Bの一方又は双方に溝131を有し、グリース又は潤滑剤を保持、分配するようにしたものもある。
米国特許No.4,596,538 米国特許No.4,832,666 米国特許No.5,443,424 米国特許No.4,938,734 米国特許No.5,030,172 米国特許No.5,035,679 米国特許No.5,190,502 米国特許No.5,348,514

本発明の幾つかの具体例によれば、無端通路上にて操作される動力伝達ベルトのためのテンショナが提供される。

本発明のテンショナは、ベルトとの関連でテンショナを固定するための支持部材と；ベルト係合部と、ドラム部とを具備してなり該支持部材を中心として枢動するアームと； 該アームを該支持部材を中心として第1の方向に枢動させるべく付勢すると共に、ベルトを緊張させるのに十分な応力で、ベルト係合部をベルトに対し付勢させるバネとを具備してなる。このテンショナは更に、上記アームと支持部材との間に設けられたキャビティと；該キャビティ内に配置された湾曲フランジを有するブッシュとを具備してなる。

本発明の他の形態によれば、直線的内径と、テーパー状外径とを有するブッシュが提供される。更に他の形態によれば、一定の直径を有する内壁面と、テーパー状外壁面とを有するブッシュが提供される。
本発明の他の形態によれば、カットアウト部を有するフランジを具備してなるブッシュが提供される。

本発明の他の形態によれば、湾曲フランジを有し、アームに対しブッシュを偏寄させるブッシュが提供される。更に他の形態によれば、湾曲フランジを有し、ブッシュをその長手方向軸に沿って偏寄させるブッシュが提供される。

本発明の他の形態によれば、テンショナ内にバネのためのハウジングが提供される。更に他の形態は、アームが枢動する中心となる支持部材上にハブを提供するものである。
本発明の他の形態によれば、ベルト・テンショナを利用する新規な方法が提供される。この方法は上述のような、或いは後述するような新規な１又はそれ以上の特徴を有する。

本発明の幾つかの具体例によれば、無端通路上にて操作される動力伝達ベルトのためのテンショナを利用するための方法が提供される。この方法は、ベルト係合部と、ドラム部とを具備してなるアームを設ける工程と；ベルトとの関連でテンショナを固定するための支持部材を設ける工程（ここでアームは該支持部材を中心として枢動する）と；該アームを該支持部材を中心として第1の方向に枢動させるべく付勢すると共に、ベルトを緊張させるのに十分な応力で、ベルト係合部をベルトに対し付勢させるバネを設ける工程とを具備してなる。この方法は更に、上記アームと支持部材との間に設けられたキャビティを設ける工程と；該キャビティ内に配置された湾曲フランジを有するブッシュを設ける工程とを具備してなる。

以下に記載する種々の特徴は、特定の自動車のエンジンの特定の動力伝達ベルトのためのベルト・テンショナについてのものであるが、これらの特徴を所望により単独ないし組合わせて利用して他の装置のためのベルト・テンショナとして提供することが可能なことを理解されるべきである。したがって、図面は多くの使用例のうちの一部を単に便宜上示したにすぎず、実施例は図面に示されたもののみに限定されるものではない。

図１を参照すると、自動車エンジンが参照符号10として示されており、これは周知のように、複数の被動付属部材を駆動させるための無端動力伝達ベルト12を利用している。新規なベルト・テンショナが総括的に参照符号14として示されており、これは後述のようにベルト12に対し所定の張力を与えるために利用される。無端動力伝達ベルト12は公知の任意の適当なタイプのものであってよい。このベルト12は主に、ポリマー材料から作られる。なぜならば、このテンショナ14の特異な特徴により耐力コードを有するベルトを効率的に容易に緊張させることが可能となるからである（例えば、米国特許No.4,596,538(Henderson)） (参照として、ここに組み込まれるものとする）。

図２、３に明示されているように、この新規なベルト・テンショナ14は支持部材16を具備し、この支持部材16は適当な材料、例えばポリマー材料からなり、エンジン10の装着用ブラケット又は支持部材に対し、上記米国特許No.5,443,424（Henderson）に記載されているように、支持部材16中の孔を貫通する公知の固定装置により固定されるよう構成されている。ベルト係合アーム18は後述のように支持部材16により移動自在に担持されており、適当な材料、例えば金属、例えばアルミニウム材料からダイカストされたものでもよい。

テンショナ14は更に、バネ20を収納するハウジング19を含み、ここでバネ20は外側端部が支持部材16に対し操作自在に接続され、内側端部がベルト係合アーム18に対し操作自在に接続されている。このバネ20は実質的に平坦な金属部材を渦状に巻いた複数の螺旋形又はコイル形のものであり、内側螺旋部は内側端部に隣接し、外側螺旋部は外側端部に隣接している。更に、このバネ20はテンショナ14内に配置された場合、ベルト係合アーム18のベルト係合プーリ22をベルト12に向けて付勢させ、上記米国特許に記載されているようにベルト12を所定のテンションを以って緊張させるよう巻回されている。周知のようにテンショナ内の空間が少なくて済むことから渦巻き状平坦断面のバネが使用されるが、その他の任意のバネを使用することも可能である。例えば、螺旋状円形断面の圧縮又はテンション・リニアバネを使用することができる。これは安価であるが、胴体が長いためハウジング19内のより広い空間を必要とする。ベルト係合プーリ22はアーム18の一端24に対し適当なベアリング25を用いて公知の様式で回転自在に装着されている。

図3をもとにして、更に図4−6を参照すると、ベルト係合アーム18は、支持部材16のハブ部28との間にキャビティ26を形成しており、ここでハブ部28はテーパー状外面を有している。このキャビティ26内にはブッシュ30が配置されている。このブッシュ30は溝31を有し、この場合、一連の溝31Aが外側表面33Aに形成され、一連の溝31Bが内側表面33Bに形成されている。これら溝31はブッシュ30において任意なものであり、必要に応じてグリース又は他の潤滑材を保持、拡散させるのに利用される。このブッシュ30は更に、湾曲フランジ32を有し、ここで湾曲フランジ32にはカットアウト部34が形成されている。この湾曲フランジ32の湾曲形状により、バネ同様の弾性が与えられ、ブッシュ30をアーム18に向けて偏寄させ、更にブッシュをその長手軸に沿って軸方向に偏寄させる。図６に示すように、ブッシュ30は一定の径の内面33B、すなわち直線的内径IDと、テーパー状の外面33A、すなわちテーパー状外径ODとを有し、成形可能な材料、例えばナイロンなどから作ることができる。テンショナ14は更に、バネ20近傍に位置する第1のベアリング36と、アーム18と閉塞装置40との間に位置する第2のベアリング38とを含む。これらベアリング36、38は、圧縮および剪断強度で強化され、更にグリースを保持するための微小多孔質のナイロン（ジュポンおよびダウ社製）から製造することができる。

操作において、湾曲フランジ32は、バネ様作用を介して付勢力を支持部材16に対して与え、ブッシュをその長手軸に沿って軸方向にアーム18に向けて偏寄させる。それによりアーム18と、ブッシュ30との間の間隙42のクレアランスが減少し、同時に、正しい操作のための間隙42内の十分なクレアランスが維持される。この場合、このクレアランスはゼロよりも少なくとも若干高いものとされる。フランジ32のカットアウト部34は、或る場合において、アーム18に対するブッシュ30の付勢力を弱めるために必要となる。他の変形例として、フランジ32にカットアウト部を設けないものとすることができる。

他の形態として、無端通路上にて操作される動力伝達ベルトに対し、所定の張力を維持させる為、テンショナを利用する方法が提供される。この方法は、ベルト係合部と、ドラム部とを有するアームを設ける第1の工程を含む。更に第2の工程は、ベルトとの関連で固定される支持部材を設けることからなり、この場合、支持部材は長手方向軸を有し、ベルト係合部との関連での動きが固定されたハブを具備してなり、更にこのハブが上記アームを移動自在に保持するものである。第3の工程は、該アームおよび支持部材に操作自在に接続されたバネを設けることからなり、この場合、バネがベルト係合部を支持部材との関連並びにベルトに対し該ベルトを緊張させるのに十分な応力で付勢させるべく構成されている。第4の工程は、上記アームと支持部材との間に設けられたキャビティを設けることからなる。最後に、第5の工程は、キャビティ内に配置された湾曲フランジを有するブッシュを設けることからなる。

以上、実施例を特定の具体例との関連で詳細に説明したが、添付した特許請求の範囲に規定した精神および範囲から逸脱することなく、その他の多くの変形および改良が可能なことは明らかであろう。

新規なベルト・テンショナを利用する自動車のエンジンを斜視図。 上記テンショナの上面図。 図２の３−３線に沿うテンショナの断面図。 図３にて円で囲まれたテンショナの一部を示す拡大図。 テンショナ内のブッシュを示す側面図。 テンショナ内のブッシュを示す斜視図。 従来のテンショナの一部を示す拡大図。 従来のテンショナの側面図。

符号の説明

12 ベルト
14 テンショナ
16 支持部材
18 アーム
20 バネ
22 ベルト係合部
26 キャビティ
30 ブッシュ
32 湾曲フランジ

Claims (10)

1. 無端通路上にて操作される動力伝達ベルト（１２）のためのテンショナであって；
   ベルト（１２）との関連でテンショナ（１４）を固定するための支持部材（１６）と；
   ベルト係合部（２２）と、ドラム部とを具備してなり、該支持部材（１６）を中心として枢動するアーム（１８）と；
   該アーム（１８）を該支持部材（１６）を中心として第1の方向に枢動させるべく付勢すると共に、ベルト（１２）を緊張させるのに十分な応力で、ベルト係合部（２２）をベルト（１２）に対し付勢させるバネ（２０）と；
   上記アーム（１８）と支持部材（１６）との間に設けられたキャビティ（２６）と；
   該キャビティ（２６）内に配置された湾曲フランジ（３２）を有するブッシュ（３０）と；
   を具備してなることを特徴とする。
2. ブッシュ（３０）が更に湾曲フランジ（３２）内にカットアウト部（３４）を有することを特徴とする請求項１記載のテンショナ。
3. ブッシュ（３０）がナイロン材料又は成形可能な材料から作られていることを特徴とする請求項１記載のテンショナ。
4. フランジ（３２）の湾曲部がブッシュ（３０）を、その長手方向に沿って軸方向に、特に上記アーム（１８）に向けて偏寄させるものであることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載のテンショナ。
5. ブッシュ（３０）が、一定の径の内面（３３B）と、テーパー状の外面（３３A）とを有することを特徴とする請求項１ないし４のいずれかに記載のテンショナ。
6. バネ（２０）が、平坦な渦巻きバネからなり、自由端を有し、該バネの一端が該自由端から軸方向に変位していることを特徴とする請求項１ないし５のいずれかに記載のテンショナ。
7. 支持部材（１６）が、バネ（２０）のためのハウジング（１９）を有し、および/又は支持部材（１６）が、アーム（１８）の枢動中心となるハブ（２８）を有することを特徴とする請求項１ないし６のいずれかに記載のテンショナ。
8. ベルト係合部（２２）がプーリを含むことを特徴とする請求項１ないし７のいずれかに記載のテンショナ。
9. 無端通路上にて操作される動力伝達ベルト（１２）のためのテンショナ（１４）を利用する方法であって；
   ベルト係合部（２２）と、ドラム部とを具備してなるアーム（１８）を設ける工程と；
   ベルト（１２）との関連でテンショナ（１４）を固定するための支持部材（１６）を設ける工程（ここでアーム（１８）は該支持部材（１６）を中心として枢動する）と；
   該アーム（１８）を該支持部材（１６）を中心として第1の方向に枢動させるべく付勢すると共に、ベルト（１２）を緊張させるのに十分な応力で、ベルト係合部（２２）をベルト（１２）に対し付勢させるバネ（２０）を設ける工程と；
   上記アーム（１８）と支持部材（１６）との間に設けられたキャビティ（２６）を設ける工程と；
   該キャビティ（２６）内に配置された湾曲フランジ（３２）を有するブッシュ（３０）を設ける工程と；
   を具備してなることを特徴とする。
10. 無端通路上にて操作される動力伝達ベルト（１２）のためのテンショナであって；
    ベルト係合部（２２）と、ドラム部とを具備してなるアーム（１８）と；ベルト（１２）との関連でテンショナ（１４）を固定するための支持部材（１６）であって、長手方向軸を有し、該アーム（１８）を移動自在に保持するハブ（２８）を具備してなると共にベルト係合部（２２）との関連での動きが固定されたものと；該アーム（１８）および支持部材（１６）に操作自在に接続されたバネ（２０）であって、ベルト係合部（２２）を支持部材（１６）との関連並びにベルト（１２）に対し該ベルトを緊張させるのに十分な応力で付勢させるべく構成されたバネとを具備してなり；更に、
    上記アーム（１８）と支持部材（１６）との間にキャビティ（２６）を設けると共に；
    該キャビティ（２６）内に配置された湾曲フランジ（３２）を有するブッシュ（３０）を設けたことを特徴とするテンショナ。
    
    

Images