JP2005515602A - 層流誘起型動的伝導性界面を備えた電気化学的電池、該電池を備える電子装置、及びその使用方法 - Google Patents

層流誘起型動的伝導性界面を備えた電気化学的電池、該電池を備える電子装置、及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

(a)第1電極と、(b)第2電極と、(c)第1及び第2電極の少なくとも一部に隣接するチャネルとを含む電気化学的電池について開示する。第1液体が第1電極に接触し、第2液体が第2電極に接触し、第1及び第2液体がチャネルを通って流れたときに、第1液体と第2液体との間に平行な層流が確立される。こうした電気化学的電池を含む電子装置、及びそれらの使用方法についても開示する。

Description

本発明は、誘起型動的伝導性界面の分野に関する。より詳細には、本発明は、マイクロ流体バッテリ、燃料電池、及び光電池に用いるための層流誘起型動的伝導性界面に関する。
多くの電気化学的電池における主要な構成要素は、半透過性膜又は塩の橋状結合である。これらの構成要素の主な機能の1つは、異なる化学ポテンシャルを有する溶液又は固体を物理的に隔離することである。例えば、燃料電池は通常、半透過性膜(例えば高分子電解質膜、すなわちPEM)を含み、該半透過性膜は、アノード領域とカソード領域とを物理的に隔離しながら、イオン(例えば水素イオン)が該膜を通過できるようにする。しかしながら、イオンとは違い、アノードで発生した電子は、この膜を通過することはできず、その代わりに外部回路を使って該膜の周りを移動する。通常、半透過性膜は、本質的に高分子のものであり、それらの固有の化学的及び熱的不安定性に起因する有限のライフサイクルを有する。さらに、こうした膜は通常、高温高圧では比較的乏しい機械的特性を呈し、それが膜の使用範囲をひどく制限する。
燃料電池技術は、多くの用途のための代替エネルギー源として大きな将来性を示している。幾つかのタイプの燃料電池が構築されており、それには、高分子電界質膜型燃料電池、直接メタノール型燃料電池、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸型燃料電池、及び固体酸化物型燃料電池がある。幾つかの燃料電池技術の比較のために、Sharon Thomas及びMarcia Zalbowitzの「Fuel Cells:Green Power」と題するロスアラモス国立原子力研究所のモノグラフLA−UR−99−3231を参照されたく、本出願とは整合性のない開示又は定義がある場合を除き、その内容の全体を引用によりここに組み入れ、ここでの開示又は定義が優先されるとみなされるものとする。
全ての燃料電池は同様の原理の下で作動するが、電池の物理的構成要素、化学物質、及び作動温度は大きく異なる。例えば、作動温度は、室温から約1000℃まで変えることができる。移動体用途(例えば、車両及び/又は持ち運び可能な超小型電子装置用電源)においては、立ち上がりが早く、軽量かつ安価で、高い出力密度が可能な燃料電池が要求される。これまでは、高分子電解質型燃料電池(PEFC)が、それらの低い作動温度(例えば60−120℃)と早い立ち上がりのための固有の能力から、こうした用途のために選択されるシステムであった。
図1は、高分子電解質型燃料電池2の概略的断面図を示す。PEFC2は、導体として働く高表面積アノード4と、アノード触媒6(通常は白金合金)と、導体として働く高表面積カソード8と、カソード触媒10(典型的には白金)と、電池の固体電解質として働く高分子電解質膜(PEM)12とを含む。PEM12は、アノード4とカソード8とを物理的に分離する。気相及び/又は液相における燃料(通常は水素又はアルコール)がアノード触媒6にわたって運ばれ、そこで酸化されて、水素燃料の場合にはプロトンと電子を、アルコール燃料の場合にはプロトンと電子と二酸化炭素を生成する。電子は、外部回路16を通ってカソード8に流れ、該カソードには、空気、酸素又は水性酸化体(例えば過酸化物)が絶えず送り込まれている。アノード4で発生したプロトンは、PEM12を通ってカソード8に選択的に拡散し、そこで、カソード触媒10においてプロトンと電子の存在下で酸素が減少させられて、水が生成される。
通常のPEFCにおいて用いられるPEMは、典型的には、デュポン社(ノースカロライナ州フェイエットヴィル所在)により商標名NAFIONで市販されている材料のようなスルホン酸ペンダント基をもつペルフッ素化ポリマーからなる(J.Hirschenhofer、D.Stauffer、R.Engleman及びM.Klett著、「Fuel Cell Handbook」、第5版、2000年、米国エネルギー省−FETL、ウエストバージニア州モーガンタウンと、L.Carrette、K.A.Friedrich及びU.Stimmingの「Fuel Cells」、2001年、1(1),5)を参照されたい)。PEMは、触媒担体材料、プロトン伝導層、及び燃料ストリームと酸化体ストリームとの間の混合を制限する物理的障壁として働く。2つの供給物が混合されると、電子が直接移転することになり、所望の電気エネルギーではなく混合されたポテンシャル及び/又は熱エネルギーが生じるので、効率が失われることになる。
低温での電池の作動は、常に有利となるわけではない。例えば、燃料中の不純物として、又はアルコールの不完全酸化生成物として存在することがある一酸化炭素(CO)が、約150℃より低い温度で白金触媒に強く結合し、「触媒毒」となる。したがって、燃料ストリーム中のCOレベルは、低く保たれるか又は除去されなければならず、又は燃料は、アノードにおいて二酸化炭素まで完全に酸化されなければならない。不純物を除去する(例えば付加的な精製ステップにより)か、又はCOに対して耐性のある電極(例えば白金合金)を作り出すための戦略が採用されている。水素ガスを安全に保存し、輸送する困難さ、液相燃料に比べて水素ガスの単位体積当りのエネルギー密度が低いこと、及びCOに対して耐性のあるアノードを用意する際に発生する技術的進歩を受けて、液体燃料が移動体電源の選択の局面となっている。
多くの液体燃料が利用可能である。それにもかかわらず、燃料電池用途に用いるのに特に重要性があるものとしてメタノールが浮上している。図2は、直接メタノール型燃料電池(DMFC)18の概略的断面図である。DMFCの電気化学的半反応は、以下の通りである。

Figure 2005515602
図2に示すように、この電池は、メタノール燃料を直接用いるものであり、事前改質段階を必要としない。DMFCは、移動体電源(低エネルギー)用途における電気エネルギーを発生させるために関心が寄せられているものである。しかしながら、現在のところ、幾つかの根本的な制限がDMFCの開発及び商業化を妨げている。
DMFCに関連する主な問題の1つは、燃料供給(すなわちメタノール)を酸化体供給(すなわち酸素)から分離するのに用いられる半透過性膜が、通常は、気体水素燃料供給と共に用いるために開発されたタイプの高分子電解質膜(PEM)であることである。こうしたPEMは、一般に、メタノールに対して十分に不透過性ではない。その結果、メタノールがアノードから膜を通ってカソードに移動する「メタノール・クロスオーバ」として知られる望ましくない事象が起こる。固有の燃料浪費に加えて、メタノール・クロスオーバはまた、カソードにおける減極損失(ポテンシャルの混合)を招き、一般に、電池性能が低下することになる。
したがって、商業的に実現可能なポータブル電源としての、DMFCの有望な可能性を十分に実現させるためには、メタノール・クロスオーバの問題に対処しなければならない。さらに、電池効率を増加させること、製造コストを低下させること、電池寿命を延長させること、及び電池の寸法/重量を減少させることを含む他の改良も必要とされる。非常な研究努力にもかかわらず、こうした問題が残存し、存続して、DMFC技術の商業化及び開発を妨げている。
かなり多くの研究が、上述のメタノール・クロスオーバの問題を解決することに既に向けられている。その解決策は、典型的には、アノードにおけるメタノール消費速度を増加させる試みと、カソードへのメタノール拡散速度を減少させる試みを中心とするものである(A.Heinzel及びV.M.Barragan著、「J.Power Sources」、1999年、84、70及びそこでの引用文献参照)。アノードにおけるメタノール消費速度を増加させるための戦略には、触媒充填量を増加させること(すなわち、大きい表面積を与えること)、触媒活性を増加させること(すなわち効率を高めること)、及び作動圧力及び/又は温度を上昇させることが含まれる。カソードへのメタノール拡散速度を減少させるための戦略には、メタノール濃度を減少させること、より厚いNAFION膜を製造すること、メタノール透過性の低い新しいプロトン伝導性材料を合成すること、電池の作動温度を低下させること、及びメタノールに対して耐性のあるカソードを製造することが含まれる。しかしながら、現在のところ、製造コストを著しく低下させ、効率を増加させ、電池寿命を延長させ、電池の寸法/重量を明らかに減少させるためのDMFC技術における差し迫った必要性が存在している。
本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項によってのみ定められるものであって、この発明の開示における説明によって如何ようにも影響されるものではない。
第1の態様において、本発明は、(a)第1電極と、(b)第2電極と、(c)第1及び第2電極の少なくとも一部に隣接するチャネルとを含み、第1液体が第1電極に接触し、第2液体が第2電極に接触し、第1及び第2液体がチャネルを通って流れたときに、第1液体と第2液体との間に平行な層流が確立され、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生するようにされた電気化学的電池を提供する。
第2の態様において、本発明は、上述のような電気化学的電池を含む装置を提供する。
第3の態様において、本発明は、上述のような電気化学的電池を含むポータブル電子装置を提供する。
第4の態様において、本発明は、上述のような電気化学的電池を作動させることを含む電流発生方法を提供する。
第5の態様において、本発明は、上述のような電気化学的電池を作動させることを含む水発生方法を提供する。
第6の態様において、本発明は、第1液体と第2液体をチャネルの中に平行な層流として流すことを含む電気発生方法を提供するものであり、該方法においては、第1液体が第1電極に接触し、第2液体が第2電極に接触し、第1及び第2電極のそれぞれにおいて相補的な半電池反応が起こり、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生する。
第7の態様において、本発明は、第1電極と第2電極を含む燃料電池を提供するものであり、該燃料電池においては、イオンが膜を横断することなく第1電極から第2電極に移動し、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生する。
第8の態様において、本発明は、燃料電池の第1電極と第2電極とを分離する膜を、第1電極に接触する燃料を含有する第1液体と、第2電極に接触する酸化体を含有する第2液体との平行な層流に置き換えることと、第1液体と第2液体の各々に共通の電解質を与えることを含む改良を与える。
第9の態様において、本発明は、(a)表面を有する支持体と、(b)支持体の表面に接続された第1電極と、(c)支持体の表面に接続され、第1電極に電気的に結合された第2電極と、(d)支持体の表面に接続され、第1及び第2電極の少なくとも一部の周りに部分的包囲体を形成するスペーサと、(e)第1及び第2電極の少なくとも一部と隣接し、支持体の表面とスペーサによって規定されるマイクロチャネルと、を含む電気化学的電池を提供する。第1液体が第1電極に接触し、第2液体が第2電極に接触したときに、第1液体と第2液体との間に平行な層流が確立され、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生する。
ここで説明される現在好ましい実施形態は、他の装置及び方法に対して1つ又はそれ以上の利点をもつことができ、その利点は、この限りではないが、コストの低下、電池寿命の延長、電池の内部抵抗の減少、メタノール・クロスオーバ又はカソードのファウリングの減少又は除去、クロスオーバして酸化体ストリームに入る残余メタノールを燃料ストリームにリサイクルして戻すことができること、膜の一体性を損なわせずに温度及び/又は圧力に比例して反応速度を増加させることができること、高効率で安価な軽量の電池を製造できることを含む。
上述の問題の多くを解決する電池設計における革新的パラダイムが見出されており、該パラダイムではPEMの使用が完全に排除されている。本発明に係る電気化学的電池は、膜を必要とせず、それにより通常の膜に固有の制限によって制約されない。代わりに、イオンが1つの電極から膜を横断せずに別の電極に移動することができ、燃料ストリームと酸化体ストリームとの混合を防止しながらプロトンを伝導することが可能な機構が開発されている。以下により詳しく説明されるこの機構は、層流誘起型動的伝導性界面を確立することに関係するものである。
この説明の全体を通して、及び特許請求の範囲の請求項において、「電気化学的電池」という句は、(David Halliday及びRobert Resnick著、「Fundamentals of Physics,Extended Third Edition」、John Wiley&Sons、ニューヨーク、1988年、662ff.において定義されるような)起電力の何らかの拠点という非常に一般的な意味で理解されるべきである。「電気化学的電池」という句は、ガルバニ(すなわちボルタ)電池と電解槽との両方のことをいい、バッテリ、燃料電池、光電セル(光電池)、サーモパイル、発電機、静電発電機、太陽電池などの定義を包含する。さらに、この説明の全体を通して、及び特許請求の範囲の請求項において、「相補的な半電池反応」という句は、電気化学的電池において発生する酸化及び還元反応という非常に一般的な意味で理解されるべきである。
理想的には、DMFCの構造構成要素は、以下の特徴をもつことになる。好ましくは、膜は、(1)過酷な酸化/還元環境に耐え、(2)機械的靭性を有し、(3)高温高圧(例えば0−160℃及び1−10atm)に耐え、(4)全ての作動条件においてメタノール不透過性であり、(5)最小のオーム抵抗及び質量輸送損失でプロトンを伝導し、(6)軽量かつ安価な材料からなるべきである。アノードとカソードとの両方は、好ましくは、(1)高い触媒活性を呈し、(2)大きい表面積を有し、(3)最小量の貴金属を必要とし、(4)製造が容易であるべきである。さらに、アノードは、好ましくは、一酸化炭素に対する耐性を示すべきであり、カソードは、好ましくはそれが必要とされるのであればメタノールに対する耐性を示すべきである。集積燃料電池組立体自体は、好ましくは、(1)僅かな移動部品を有し、(2)外部冷却システムを必要とせず、(3)燃料改質装置又は清浄機を必要とせず、(4)耐久性があり安価な構成要素からなり、(5)製造が容易で、(6)容易に集積されて燃料電池スタックにされ、(7)高いエネルギー変換効率(すなわち少なくとも50%)を与えるべきである。
今まで、上記の特性の全てを上手く組み入れる単一燃料電池設計は存在しなかった。しかしながら、DMFCからPEMを完全に排除し、マイクロ流体スケールで機能するようにシステムを再設計することにより、これらの特性の1つ又はそれ以上を達成できることが見出された。PEMの存在なしでは、燃料ストリームと酸化体ストリームの混合を防止しながらプロトンを伝導できる機構が必要とされる。以下により詳細に説明されるこうした機構は、混合なしに、かつ完全に物理的障壁又は膜の存在なしに、2つの液体ストリームが物理的に接触した(それによりプロトン伝導が可能になる)状態で並列に流れる「平行層流」として知られる現象によって、マイクロ流体フローチャネルにおいて確立することができる。2つの液体は、混和性又は不混和性とすることができる。ストリームを分離し、燃料電池からプロトンを移動させるための物理的膜の除去は、製造コストを大きく減少させ、電池の効率及び汎用性を高める。
図3に示されるように、流体の流れは、層流と乱流という2つの状態に分類することができる。定常流又は層流(図3A)においては、所与の地点における流体の速度は、時間と共に変化しない(すなわち、明確な流線が存在する)。乱流(図3B)においては、所与の地点における流体の速度は、時間と共に変化する。層流と乱流との両方が自然システム(例えば循環型システム)において生じるが、乱流は一般に、マクロスケールでは優勢である。対照的に、層流は一般に、マイクロ流体スケールでは標準である。
流動状態の流体の流れストリームの相対的乱れの指標は、レイノルズ数(Re)として知られる無次元の数で表される。レイノルズ数は、慣性力と粘性力との比として定められ、次式で表すことができ、
e=ρvL/μ
式中、Lは、メートル単位の特性長さであり、ρは、g/cm3単位の流体密度であり、vは、メートル/秒単位の線速度であり、μは、g/(秒)(cm)単位の流体粘度である。
どんな所与の幾何学的形状においてもReの遷移臨界値が存在し、それより上だと流れは乱流になると言われ、それより下だと流れは層流になると言われる。典型的な流体装置においては、層流から乱流への遷移は、Re=2,300付近で起こることが経験的に求められている。特定の幾何学的形状についてのReを計算する式は周知である(G.T.A.Kovacsによるソースブックである「Micromachined Transducers」、マグローヒル、ボストン、1998年参照)。或るマイクロチャネルの幾何学的形状においては、流れは厳密に層流であり、2つの混和性ストリームの混合を困難にする。しかしながら、図4に示すように、入力ストリームの幾何学的形状は、乱れと混合に大きな影響を与えることができる。T字形の合流部(図4A)は、2つの混和性ストリームを互いに寄せて層流にし、この層流は乱れ混合なしに維持される。対照的に、2つのストリームを矢印型合流部に導入することによって、乱流がもたらされ、これらのストリームはその後混合される。
流体の流れモードに対する入力ストリームの幾何学的形状の影響に加えて、マイクロ流体チャネルの幾何学的形状も影響をもつ。図5に示すように、種々のチャネル形状の混合効率が検討されている(J.Branebjerg、B.Fabius、及びP.Gravesenの「Application of Miniature Analyzers from Microfluidic Components to μTAS」、Micro Total Analysis Systems Conferenceの会報、オランダTwente、1994年11月21−22日、A.van den Berg及びP.Bergveld編、p141−151参照)。ブロチモールブルー(黄色がかっている)を入力ポートの1つに注入し、別の入力ポートにNaOHを注入した。暗青色生成物の生成によって混合を観測することができた。結果は、急な角部によって乱流が引き起こされ、それにより流体がジグザグパターンのチャネル(図5B)の約3分の1を横行したときに完全混合がもたらされることを示した。しかしながら、直線チャネルにおいては、可能な混合モードは拡散のみであったので、同じ流速では混合は観測されなかった(図5A)。
幾何学的形状が混合度に影響を与える唯一の変数ではない。溶液の滞留時間、すなわち流速も、同様に影響を与えることができる。粒子が所与の距離だけ拡散するのにかかる平均時間は、その距離の二乗に依存する。拡散時間スケール(Td)は、以下のように表すことができ、
d=L2/D
式中、Lはマイクロメートル単位の関連する混合長さであり、Dは拡散係数である。所与の分子の拡散速度は、典型的には、そのサイズによって決定される。或る一般的な分子の拡散係数の表が、以下の表1に示されている(J.P.Brody及びP.Yager著、「Diffusion−Based Extraction in a Microfabricated Device」、Sensors and Actuators、1997年1月、A58、no.1、p13−18参照)。この表から分かるように、プロトン(H+)は、室温における水中での最も高い拡散係数を有する。

Figure 2005515602
異なる濃度又は組成の分子を含有する2つの流体が、単一のチャネルの中で互いに対して平行に流れるようにされたときに、拡散係数の差に基づいて分子の抽出を達成することができる。例えば、図6に示すように、Na+は、チャネル寸法、流速、及び2つのストリームが接触する滞留時間を制御し、それにより連続するマイクロ抽出器を与えることによって血漿から抽出することができる(上記Brodyの文献参照)。
2つの混和性液体ストリーム間の平行な層流が、超薄動的伝導性(「半透過性」)界面(以下、「誘起型動的伝導性界面」又は「IDCI」と呼ぶ)を誘起し、これは通常の装置のPEM又は塩橋と完全に置き換えられる。IDCIは、溶解種及びフローチャネルの寸法に応じて、かなりの流動距離及び滞在時間にわたって濃度勾配を維持することができる。
本発明の特徴を採用する電気化学的電池は、(a)第1電極と、(b)第2電極と、(c)第1及び第2電極の少なくとも一部に隣接するチャネルとを含む。第1液体が第1電極に接触し、第2液体が第2電極に接触し、第1及び第2液体がチャネルを通って流れるときに、第1液体と第2液体との間に平行な層流が確立され、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生する。
本発明の特徴を採用するフローセル設計は、一般的な電気化学的電池、特に具体的にはDMFCである燃料電池のための新しいパラダイムを導入する。PEMを必要とせず、通常のPEMによって課される幾つかの制限も受けない本発明の特徴を採用する燃料電池20を、図7に示す。この設計においては、燃料入力22(例えば、MeOHとプロトン源を含有する水性溶液)と酸化体入力24(例えば溶解酸素又は過酸化水素とプロトン源を含有する溶液)との両方は、液体の形態である。2つの溶液をマイクロチャネル26にポンピングすることにより、平行な層流が動的プロトン伝導性界面28を誘起し、これは流体が流れる間維持される。2つの流体の流速が一定に保たれ、電極がチャネルの底面及び/又は上面に適正に置かれた場合に、アノード30とカソード32との間にIDCIが確立される。
プロトンがアノード30で発生し、カソード32で消費される際に、2つのストリームの間にプロトン勾配が生じ、迅速なプロトン拡散によって電池の回路が完成する。この場合、IDCIは、2つの溶液の混合を防止し、拡散による迅速なプロトン伝導を可能にして回路を完成させる。
燃料含有液体と酸化体含有液体との各々が、共通の電解質を含有することが好ましく、これは、プロトン源(例えばブレンステッド酸)であることが好ましい。これらの外部から与えられたプロトンの一部は、カソードで起こる半電池反応において消費することができる。したがって、燃料ストリームから酸化体ストリームにプロトンを運ぶための純粋な拡散への依存を回避することができ、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度を達成することができる。
本発明の特徴を採用する電気化学的電池は、好ましくは少なくとも0.1mA/cm2、より好ましくは少なくとも1mA/cm2、さらに好ましくは少なくとも2mA/cm2の電流密度を与える。現在好ましい実施形態によれば、27mA/cm2の電流密度が発生する。現在のところ、本発明の特徴を採用する電気化学的電池によって発生する電流密度の量に対する好ましい制限はないが、電池によって発生する電流密度は、特定の用途についての必要条件に実質的に適合することが好ましい。例えば、本発明の特徴を採用する電気化学的電池が、約10mA/cm2の電流密度を要求する携帯電話に用いられる場合には、電気化学的電池は、この要求に見合うのに少なくとも十分なだけの電流密度を発生させることが好ましい。
図7に示される設計の利点は、この限りではないが、PEMの排除によるコストの削減、流動状態では損耗することも故障することもないIDCIの連続的再生による電池寿命の延長、IDCIの無限の薄さによるセルの内部抵抗の減少、適正な設計においてはカソードの下流においてのみ拡散が起こることによるメタノール・クロスオーバ又はカソードのファウリングの減少又は除去、クロスオーバして酸化体ストリームに入る残余メタノールを燃料ストリームにリサイクルして戻すことができること、IDCIの一体性を損なわずに温度及び/又は圧力に比例して反応速度を増加させることができること、セル寸法、流速、燃料(濃度及び組成)、酸化体(濃度及び組成)、及び電極(表面積、活性、及び化学的組成)により高効率で、安価で、軽量の電池を製造できること、を含む。
最適化されたセル設計においては、メタノールは、酸化体ストリームの中に拡散する前に完全に消費される。これは、燃料インジェクタか又は流速モニタに連結されたメタノールセンサによってメタノール濃度が制御される場合に実現可能である。或いは、メタノールに対する非常に低い親和性と、酸素及び二酸化炭素に対する高い親和性をもつ水不混和性の酸化体流体ストリームを、図7に示された層流型セルと組み合わせて用いることができる。こうした類の流体(すなわち、英国プレストン所在のF2ケミカルズ社から入手可能なペルフルオロデカリンのようなペルフッ素化流体)の少なくとも1つが、医薬品用途のための呼吸型流体にうまく用いられている。これらの流体は、酸素に対する非常に高い親和性と、メタノール及び水に対する非常に低い親和性を呈する。それらは化学的に不活性であり、熱的に安定である。これらの流体にNAFIONか又は代替的プロトン源がドープされたとき、それらはプロトン伝導性となる。したがって、メタノールは水性の燃料ストリームにのみ可溶であるので、水不混和性の酸化体流体ストリームへのメタノール・クロスオーバの望ましくない問題が減少されるか又は除去される。さらに、両方の液体が優れた熱交換体であるので、外部冷却システムは必要とされない。
セル及び電極寸法並びに電極配置は、セル効率に影響を与える。図8は2つの代替的セル設計を示す。図8Aにおいては、アノードとカソードが並列に配置され、図7に示された配置と類似している。図8Bにおいては、アノードとカソードが対面して配置されている。セル寸法の最適化は、最適な層流条件(すなわち最小混合)を、簡単に製造されたチャネル寸法及び幾何学的形状と関連付けるためのコンピュータモデリング(例えば、流体流れモデリングプログラム、マイクロソフトEXCELソフトウェア等を用いる)によって達成可能である。レイノルズ数の臨界値は、チャネル幅、深さ、長さ、流速、及び界面表面積に関して多くのセル設計において計算することができる。この方法では、最大の出力パワーと最高の燃料変換を与えるチャネル設計を決定することができる。
上述のように適切な電極寸法と電極配置を決定したときに、次いで、支持体(例えばソーダ石灰又はパイレックス(登録商標)スライドガラス)の上に電極がパターン形成される。電極は、犠牲電極(すなわち電気化学的電池の作動の間に消費される)か、又は非犠牲電極(すなわち電気化学的電池の作動により消費されない)とすることができる。好ましい実施形態においては、電極は非犠牲電極である。いずれにしても、本発明に従って用いられる電極のタイプに制限はない。メタノール又は酸素を酸化又は還元する結合した触媒をもつどんな導体も好ましい。適切な電極には、この限りではないが、炭素電極、白金電極、パラジウム電極、金電極、導電性ポリマー、金属、セラミックス等がある。
電極パターンは、スライドガラスをスプレーコーティングし、有機又は水性キャリア中の金属(好ましくは白金)粒子の分散液と組み合わせてマスクすることによって製造することができる。有機キャリア中の白金粒子の好ましい分散液は、Wale Apparatus社(ペンシルベニア州Hellertown所在)によりLIQUID BRIGHT PLATINUMという商標名で市販されている安価な塗料製品である。パターン形成されたスライドは、高温オーブン中で酸素又は空気の存在下で焼かれて、純白金の薄い導電層を与える。この技術は、スライドガラス上の薄い、高表面積の、機械的に頑強な、低抵抗の白金電極を製造可能にする。こうした電極の一酸化炭素に対する耐性を増大させるために、化学蒸着、スパッタリング、又は自発無電解めっきとして知られる技術(A.Wieckowski他のJ.Catalysis 2001年(印刷中)参照)を用いて、それらをルテニウムで化粧することができる。
電極を支持体上にパターン形成した後に、図9−図10に示されるように、サイエンス、2001年、291、p1023−1026でB.Zhao、J.S.Moore及びD.J.Beebeによって述べられたような技術を用いて、平たく安価で精密な出発材料からマイクロチャネルを直ちに設けることができる。マイクロチャネル34は、市販のスライドガラス36とカバースリップ38から構成することができる。マイクロチャネル34は、紫外線ベースの化学的耐性のある接着剤でシールすることができる。好ましい紫外線ベースの化学的耐性のある接着剤は、Norland Products社(ニュージャージー州クランベリー所在)によって販売されているものであり、それはほとんどの水混和性溶媒に対して化学的耐性がある。このようにして製造されたセルは、化学的耐性をもつことになり、単一チャネル層流DMFCとして用いることができる。
単一チャネル層流DMFCが組み立てられた後に、メタノール濃度、プロトン濃度、酸化体組成、流速及び温度についてセルの効率を評価する最適化実験を行うことができる。セル性能の評価は、セルポテンシャル、電流密度、ピークパワー、及び出力パワーに基づいて求められる。単一チャネル層流DMFCは再利用可能であり、同じセルについて複数の実験を行うことができる。
燃料と酸化体は、1つ又はそれ以上のポンプの助けにより、好ましくは1つ又はそれ以上の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)流体ポンプの助けにより、フローチャネル中に導入される。例えば、燃料ストリームと酸化体ストリームの流速は、流速を0.01から10mL/分まで正確に変化させることができるように、2つのHPLCポンプで制御することができる。この手法は、一定温度まで加熱し、それを必要に応じて不活性雰囲気、空気又は酸素のもとで維持することができる燃料と酸化体の大きなリザーバの使用を可能にする。排出ストリームをサンプリングし、それをガスクロマトグラフ分析にかけることにより化学変換、セル効率、及びメタノール・クロスオーバを定量するために、排出ストリームをメタノールの存在について監視することができる。この方法で、単一チャネル層流DMFCについての最適化された作動条件を求めることができる。
上述の製造技術は、増大したパワー要求をもつ装置に用いるためのマルチチャネル層流DMFCスタックの構成へと容易に拡張することができる。同様に、上述の単一チャネル層流DMFCの効率を最適化し、定量化する方法は、アレイマルチチャネルセル設計の効率を最適化し、定量化するのに用いることができる。こうしたマルチチャネルセル設計における電極は、最大セル電圧及び電流パラメータを調べるために、直列構成と並列構成との両方で接続することができる。
単一チャネル層流DMFCは、高温及び/又は高圧に耐えるのに十分なだけの構造的一体性をもつ材料を用いて構成することができる。それらが軽量で、機械的一体性、高温安定性、耐食性をもち、低コストであることから、グラファイト複合材料(Manhattan Scientifick社からのDMFCに用いられるのと類似のもの)か、又はセラミック材料(ロスアラモス国立原子力研究所からのDMFCに用いられるのと類似のもの)を用いることができる。さらに、マイクロチャネルを形成するために、マイクロミリング、マイクロモールディング、及び射出成形型の製造に用いられるような放電加工機(EDM)を用いることを含む種々の製造技術を用いることができる。電極は、前述のように置くことができ、セルをシールするために化学的に不活性なガスケットが用いられる。ガスケットは、例えば、デュポン社(デラウェア州ウィルミントン所在)によりTEFLONという商標名で市販されているポリテトラフルオロエチレンのようなフルオロポリマーから製造することができる。Manhattan Scientifics社が用いているような別のシール技術を採用することもできる。こうした単一チャネル層流DMFCの効率の最適化及び定量化は、上述の技術を用いて達成することができる。
本発明に係る誘起型動的伝導性界面を確立し、用いる方法を、主にDMFCに関連して説明してきたが、ここで説明される概念及び原理は、一般に、この限りではないが別のタイプの燃料電池、バッテリ、光電セル等を含むあらゆる種類の電気化学的電池に関連するものでもあることを特筆しておく。
本発明の特徴を採用する装置を形成する手法と、こうした装置を用いる方法は、上記の詳細な説明と以下の代表的手順との両方を組み合わせて考察することにより、当業者には実に明白となるであろう。ここで示された現在好ましい実施形態における多くの変形が当業者には明らかであり、添付の請求項及びそれらの均等物の範囲内にあることを理解されたい。
犠牲電極を用いる層流フローセル
チャネルをマイクロ機械加工することによりポリカーボネートブロックの中に平面銅及び亜鉛電極(およそ0.125×20×3mm)を埋め込み、該電極をそうしたチャネルに付着させて、平坦な表面を形成した。電極は、両方とも等しいサイズのものであり、それらの間におよそ5mmのギャップをもって互いに対して平行におかれた。この電極組立体の上部に、図11に示すような顕微鏡用カバーガラスからなるフローチャネルを組み立てた。セルをUVグルー(ニュージャージー州クランベリー所在のNorland Products社)でシールし、入力アダプタを市販のエポキシ(コネチカット州ロッキーヒル所在のLoctite Quick Set Epoxy社)で固定した。セルを組み立てた後に、2Mの硫酸銅と硫酸亜鉛の水性溶液を調製した。硫酸亜鉛溶液は、シリンジポンプ(これはチャネル全体を液体で満たすものであり、全ての気泡を除去することに注意を払った)の助けにより、最初にチャネルに運び込まれて亜鉛電極に広げられた。次いで、硫酸銅溶液を銅電極に広がるように導入した。電極間に層流が確立され、図11に示すような電流対電圧プロットが得られた。2つの電極間に誘起型動的伝導性界面を存在させるために、2つの溶液の流速を、一定に、かつ互いに等しく(例えば0.1mL/分に)保った。流速が異なり、相対するストリームが反対の電極に接触する場合には、セルがショートすることになり、電流が生じない。したがって、本発明によれば、2つの溶液の流速は同様である(すなわち、その差が約15パーセントより少なく、より好ましくは約10パーセントより少なく、さらに好ましくは約5パーセントより少ない)ことが好ましい。
非犠牲電極を用いる層流フローセル
チャネルをマイクロ機械加工することによりポリカーボネートブロックの中に2つの平坦な白金電極(およそ0.125×20×3mm)を埋め込み、該電極をそうしたチャネルに付着させて、露出電極表面をもつ平坦な基板を形成した。電極は、両方とも等しいサイズのものであり、およそ5mmのギャップをもって互いに対して平行におかれた。この電極組立体の上部に、両面粘着テープと図11に示すような顕微鏡用カバーガラスからなるフローチャネルを組み立てた。セルをシールし、入力アダプタを市販のエポキシ(コネチカット州ロッキーヒル所在のLoctite Quick Set Epoxy社)で固定した。次に、塩化鉄(II)の10%H2SO4(0.6M)溶液と、過マンガン酸カリウムの10%H2SO4(0.076M)溶液を調製した。鉄溶液は、シリンジポンプ(これはチャネル全体を液体で満たすものであり、全ての気泡を除去することに注意を払った)の助けにより、最初にチャネルに運び込まれて白金電極に広げられた。次いで、過マンガン酸溶液を導入し、電極間に層流を明らかに確立した。2つの電極間に誘起型動的伝導性界面を存在させるために、2つの溶液の流速を、一定に、かつ互いに等しく保った。可変抵抗器と電位差計の助けにより、電流(I)とセル電位(V)を測定した。図12に示すように、電流対電圧プロットが得られ、それにより電気化学的電池としてのデバイスの機能を確認した。流速は0.05mL/分に保たれ、再現性は良好であった。このデータに関するパワープロットも、図12において見ることができる。セルの電気化学的半反応は以下の通りである。

Figure 2005515602
この特定の化学反応は、反応の実現可能性を実証するために選択されたものであり、該反応における全ての生成物及び反応物は溶液中に残存し、共通の電解質を用いた。電極は反応に巻き込まれないので、それらの寿命は非常に長く、セルは酸化体と還元体が供給される限り作動し続けることになる。IDCIは、流れのもとで常に再生されるので無限の寿命をもつ。この特定の反応においては、暗紫色の過マンガン酸溶液が、高電流条件下のカソードにおいて無色となって、電流を測定する視覚的手段を与える。排出ストリームは紫色となるはずであり、それは酸化体が完全に消費されていないことを示す。色の変化はカソード表面(界面ではない)においてのみ起こり、それはさらに、イオン伝導性をもつ真の層流であることを示している。この技術は、DMFCに関係する用途に直接移転させることができる。
ここで説明される層流誘起型動的伝導性界面技術は、この限りではないがバッテリ、燃料電池、及び光電池を含む多くのセルシステムに適用可能である。この技術は、特に、携帯電話、ラップトップコンピュータ、DVDプレイヤ、テレビ、パームパイロット、計算機、ページャ、手持ち式ビデオゲーム、リモコン、テープカセット、CDプレイヤ、AM及びFMラジオ、オーディオレコーダ、ビデオレコーダ、カメラ、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、腕時計等のようなポータブル及びモバイルの燃料電池システムに有用であると考えられる。この技術はまた、自動車システム及び宇宙航行体等に用いられるシステムを含む航空システムにも有用であると考えられる。
ここでの詳細な説明の全体を通して、及び特許請求の範囲の請求項において、単数で言及される要素(例えばマイクロチャネル、燃料電池、スペーサ、燃料入力、酸化体入力等)は、用いられる時制に関係なしに、1つ又は複数のこうした要素のことをいうものでもあることを理解されたい。
明らかに、上記の教示に照らして本発明の多くの修正及び変形が可能である。したがって、添付の請求項の範囲内で、ここで具体的に説明された以外の方法ででも本発明を実施できることを理解されたい。
高分子電解質型燃料電池の概略的断面図である。 直接メタノール型燃料電池の概略的断面図である。 流体の流れモードの概略図である。 入力ストリームの幾何学的形状と流体の流れモードとの間の関係の概略図である。 マイクロ流体フローチャネルの幾何学的形状と流体の流れモードとの間の関係の概略図である。 拡散ベースのマイクロ抽出器の概略図である。 層流誘起型動的界面を有する直接メタノール型燃料電池の概略図である。 マイクロ流体チャネルの並列及び対面構成の概略図である。 本発明に係る層流燃料電池の斜視図である。 図9に示された燃料電池の拡大斜視図である。 銅−亜鉛層流燃料電池の電流対電圧プロットである。 白金−白金層流燃料電池の電流対電圧プロットである。

Claims (36)

  1. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1及び第2電極の少なくとも一部に隣接するチャネルと、
    を含み、
    第1液体が前記第1電極に接触し、第2液体が前記第2電極に接触し、前記第1及び第2液体が前記チャネルを通って流れたときに、前記第1液体と前記第2液体との間に平行な層流が確立され、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生することを特徴とする電気化学的電池。
  2. 前記チャネルが、前記第1電極に近接する第1入力と、前記第2電極に近接する第2入力とを有することを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  3. 前記第1液体が前記第1入力を通って導入され、前記第2液体が前記第2入力を通って導入されることを特徴とする請求項2に記載の電気化学的電池。
  4. 前記第1液体が、第1ポンプを用いて前記第1入力を通って導入され、前記第2液体が、第2ポンプを用いて前記第2入力を通って導入されることを特徴とする請求項3に記載の電気化学的電池。
  5. 前記第1液体が、第1流速で前記第1入力を通って導入され、前記第2液体が、第2流速で前記第2入力を通って導入され、前記第1流速と前記第2流速が同様のものであることを特徴とする請求項3に記載の電気化学的電池。
  6. 前記チャネルがさらに、前記第1電極に近接する第1出口と、前記第2電極に近接する第2出口とを備えることを特徴とする請求項2に記載の電気化学的電池。
  7. 前記第1入力と前記第2入力は、前記第1入力を通って導入される第1液体と、前記第2入力を通って導入される第2液体が、平行層流の界面に沿って物理的に接触するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電気化学的電池。
  8. 前記支持体がポリカーボネートを含むことを特徴とする請求項7に記載の電気化学的電池。
  9. 前記支持体がスライドガラスを含むことを特徴とする請求項7に記載の電気化学的電池。
  10. 前記第1液体がメタノールを含み、前記第2液体が酸素を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  11. 前記第1液体と前記第2液体との間の界面の少なくとも一部に沿ってプロトン勾配が確立されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  12. 前記第1電極から前記第2電極へのプロトンの拡散が主に前記第2電極の下流で起こることを特徴とする請求項11に記載の電気化学的電池。
  13. 前記第1液体がメタノールを含み、前記第2液体が過酸化水素を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  14. 前記チャネルが実質的に直線流のチャネル幾何学的形状をとることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  15. 第1及び第2凹部をもつ表面を有する支持体をさらに備え、前記第1及び第2電極は前記第1及び第2凹部をそれぞれ占有し、前記第1電極の上面と前記第2電極の上面が、前記支持体の表面と同一平面となっていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  16. 前記第1液体と前記第2液体が混和性であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  17. 前記第1液体と前記第2液体が不混和性であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  18. 前記第1電極と前記第2電極が支持体上にスプレー被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  19. 前記第1電極と前記第2電極との各々が白金を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  20. 前記第1電極と前記第2電極の少なくとも一方がルテニウムを含むことを特徴とする請求項19に記載の電気化学的電池。
  21. 前記第1電極と前記第2電極が電気的に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  22. 前記第1液体が燃料を含み、前記第2液体が酸化体を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  23. 前記第1液体は、燃料インジェクタ、流速モニタ、燃料再循環装置、ガス交換器、及びこれらの組合せからなる群から選ばれる装置に連結された燃料センサにより濃度が制御される燃料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  24. 前記燃料がメタノールを含み、前記燃料センサがメタノールセンサを含むことを特徴とする請求項23に記載の電気化学的電池。
  25. 前記第2液体が酸化体を含み、ガス交換器、酸化体インジェクタ、酸化体リザーバ、及びこれらの組合せからなる群から選ばれる装置に機械的に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  26. 前記第1電極がアノードを含み、前記第2電極がカソードを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  27. 前記セルが燃料電池を構成することを特徴とする請求項1に記載の電気化学的電池。
  28. 前記燃料電池が、直接メタノール型燃料電池を含むことを特徴とする請求項27に記載の電気化学的電池。
  29. 請求項1に記載の電気化学的電池を備えた装置。
  30. 請求項1に記載の電気化学的装置を備えたポータブル電子装置。
  31. 請求項1に記載の電気化学的電池を作動させることを含む、電流発生方法。
  32. 請求項1に記載の電気化学的電池を作動させることを含む、水発生方法。
  33. 電気を発生させる方法であって、
    第1液体と第2液体をチャネルを通して平行な層流として流すことを含み、前記第1液体は前記第1電極と接触し、前記第2液体は第2電極と接触し、前記第1及び第2電極においてそれぞれ相補的な半電池反応が起こり、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生することを特徴とする方法。
  34. 第1電極と第2電極とを備えた燃料電池であって、イオンが膜を横断することなく第1電極から第2電極に移動し、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生することを特徴とする燃料電池。
  35. 第1電極に接触する燃料を含有する第1液体と、第2電極に接触する酸化体を含有する第2液体と、前記第1及び第2電極を分離する膜とを備えた燃料電池について、前記膜を前記第1液体と前記第2液体の平行層流と置き換えることと、前記第1液体と前記第2液体との各々に共通の電解質を与えることを含む改良点を有することを特徴とする燃料電池。
  36. 電気化学的電池であって、
    表面を有する支持体と、
    前記支持体の表面に接続された第1電極と、
    前記支持体の表面に接続され、前記第1電極に電気的に結合された第2電極と、
    前記支持体の表面に接続され、前記第1電極と前記第2電極の少なくとも一部の周りに部分的包囲体を形成するスペーサと、
    前記第1及び第2電極の少なくとも一部と隣接し、前記支持体の表面と前記スペーサにより規定されるマイクロチャネルと、
    を備え、第1液体が前記第1電極に接触し、第2液体が前記第2電極に接触したときに、前記第1液体と前記第2液体との間に平行層流が確立され、少なくとも0.1mA/cm2の電流密度が発生することを特徴とする電気化学的電池。
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