JP2005512961A - ヒト癌の組合せ療法的処置、及び腫瘍転移並びに微小残存病変処置のためのバルプロ酸及びその誘導体 - Google Patents

ヒト癌の組合せ療法的処置、及び腫瘍転移並びに微小残存病変処置のためのバルプロ酸及びその誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、薬剤であるバルプロ酸及びその誘導体を、確立された治療原理との組合せでヒト癌の増感処置のために、ヒストン脱アセチル化酵素活性を有する酵素の阻害剤として使用することに関する。本発明はまた、これらの化合物を、腫瘍の転移及び微小残存病変の処置のために使用することにも関する。本発明は、ヒト癌の処置のために臨床で使用される物質の製造を包含する。

Description

本発明は、薬剤であるバルプロ酸及びその誘導体の、従来の治療原理との組合せによるヒト癌の増感処置のための使用に関する。本発明はまた、腫瘍の転移及び微小残存病変の処置のためのそれらの化合物の使用に関する。本発明はヒト癌の処置用に臨床で用いられる医薬の製造をも包含する。
クロマチンの局所的な再構成及びDNAのヌクレオソームへのパッケージングにおける動的な変化は遺伝子発現制御における重要な工程であり、従って、正しい細胞機能、分化及び増殖に影響を与える。標的遺伝子の活性を決定する最も重要な機構の一つは、コアヒストン類のN末端尾部のアセチル化による翻訳後修飾及びそれに続くクロマチン構造の変化である(Davie, 1998, Curr Opin Genet Dev 8, 173-8; Kouzarides, 1999, Curr Opin Genet Dev 9,40-8; Strahl及びAllis, 2000, Nature 403, 41-4)。ヒストンH3及びH4中に多く見られるリジン残基のアセチル化は、ヒストン・アセチル化酵素(HAT)活性を有する酵素群により仲介されている。逆に、ε−N−アセチルリジンのアセチル基は、ヒストン脱アセチル化酵素群(HDACs)によって除去される。HAT及びHDACの活性は、共に配列特異的転写因子及びそれらの補因子との複合で標的遺伝子に動員される。レチノイン酸受容体や甲状腺ホルモン受容体等のステロイド/レチノイド受容体スーパーファミリーの核内受容体は、しかるべきリガンドにより活性化されたその状態に応じ、HAT及びHDAC関連の補因子を動員する転写因子の典型的な例である。リガンドが存在しない場合には、これらの核内受容体はN−CoRやSMRT等のコリプレッサーと相互作用する。該コリプレッサーはヒストン脱アセチル化酵素を含有する大きなタンパク質複合体を形成し、これにより転写を抑制する(Pazin及びKadonaga, 1997, Cell 89, 325-8)。リガンドが結合するとこのコリプレッサー複合体は解離し、ヒストン・アセチル化酵素活性を有する多タンパク質複合体に存在する例えばSRC−1やCBP等のコアクチベータータンパク質により置換される。このように、リガンドにより誘導される核内受容体の抑制から活性化への切替えは、コアクチベーターと拮抗的酵素活性を有するコリプレッサー複合体との交換を反映している(Glass及びRosenfeld, 2000, Genes Dev 14, 121-41)。興味深いことに、例えばMad−1,BCL−6及びETO4(Pazin及びKadonaga, 1997, Cell 89, 325-8; Huynh及びBardwell, 1998, Oncogene 17, 2473-84; Wang,J.et al., 1998, Proc Natl Acad Sci USA 95, 10860-5)等の多くの他の転写因子もHDAC依存性転写抑制複合体を構築することが示されており、これが遺伝子制御の一般的な機構であることを示している。
哺乳類のヒストン脱アセチル化酵素は三つのサブクラスに分けられる(Cress及びSeto, 2000, J Cell Physiol 184,1-16; Gray及びEkstrom 2001, Exp Cell Res 262, 75-83)。クラスIの酵素群は酵母のRPD3タンパク質の同族体であり、哺乳類のHDAC1、HDAC2、HDAC3及びHDAC8酵素など42〜55kDaの範囲の分子量を有する酵素が挙げられる。クラスIIのヒストン脱アセチル化酵素群であるHDAC4、HDAC5、HDAC6及びHDAC7は、より大きなタンパク質(約120〜130kDa)であり、酵母のHDA1タンパク質と関連がある。最近、酵母のSIR2タンパク質及び推定されるいくつかの哺乳類の対応タンパク質と相同性を持つ第3のクラスのヒストン脱アセチル化酵素が同定された(Imai et al., 2000, Nature 403, 795-800)。目下のところ、これらのHDAC群がどの程度まで、アイソザイム特異的な、又は重複的な作用をするのかまだはっきりしていない。したがって、これらの酵素それぞれの生物学的な役割を解明するには、遺伝子欠失解析を含む更なる検討が必要である。
ヒストン脱アセチル化酵素群は多くの異なるタンパク質に結合し、通常、大きな複合体として細胞内に存在している。それらの会合タンパク質の多くは、HDAC群をその基質又は転写リプレッサーに標的を定めさせるのに関係しているように思われる。例えば、Rb(Retinoblastoma:網膜芽細胞腫)関連タンパク質RbAP46及びRbAP48は、通常ヌクレオソーム基質の認識を担うHDAC酵素複合体の欠くことのできない構成成分と考えられている(Taunton et al., 1996, Science 272, 408-11; Verreault et al., 1996, Cell 87, 95-104)。他方、コリプレッサーN−CoR、SMRT及びSin3は、HDACを転写因子に動員するのに必要な架橋因子である(Pazin及びKadonaga, 1997, Cell 88, 737-40)。ヒストン脱アセチル化酵素群はヌクレオソーム再構成及びデアセチラーゼ(NuRD)複合体(この複合体もまたRbAP46及びRbAP48,Mi−2及びMTA2を含む)の構成成分でもある(Zhang,Y.et al., 1999, Genes Dev 13, 1924-35)。HDACのアイソザイム及び相互作用を有するタンパク質が数多く存在するので、複合体組成が基質特異性を調節し、HDAC類を非ヒストンタンパク質までも標的とすることができるのであろうと考えられる。
細胞分化に必要な遺伝子の不適切な抑制は、数種のタイプの癌、特に急性白血病と関連付けられてきた。急性前骨髄球性白血病(APL)患者においては、染色体の転座に由来するRAR融合タンパク質は、前骨髄球性白血病タンパク質(PML)か又は前骨髄球性亜鉛フィンガータンパク質(PLZF)を伴っている(de The, 1996, Faseb J 10, 955-60)。両融合タンパク質共、コリプレッサー複合体の構成成分と相互作用が可能である。しかしながら、高投与量のオールトランスレチノイン酸の添加により、PML−RARからのみコリプレッサー複合体が除かれるが、PLZF−RARからは除かれない(Grignani et al., 1998, Nature 391, 815-8; Guidez et al., 1998, Blood 91, 2634-42; He et al., 1998, Nat Genet 18, 126-35; Lin et al., 1998, Nature 391, 811-4)。これらの発見により、なぜPML−RAR APL患者は通常レチノイン酸処置により完全寛解を達成するのにPLZF−RAR APL患者はこの治療法に極めて応答不良なのかについて、一つの説明が与えられる。コリプレッサーが介する異常な抑制がAPLの病因であろうとの仮説は、コリプレッサーが関連するHDAC活性の阻害剤が、PLZF−RAR融合タンパク質を含む細胞での分化抑制を克服する能力を有するとの発見によって裏付けられる。
急性骨髄球性白血病(AML)の頻発形において、t(8;21)の転座によりAML1/ETO融合タンパク質が生じるが、この融合タンパク質では転写因子AML1の転写活性化ドメインがほとんどETOタンパク質全体によって置換されている。転座パートナーのETOは、N−CoR,SMRT,mSin3及びHDAC群と相互作用することが報告されている(Lutterbach et al., 1998, Mol Cell Biol 18, 7176-84; Gelmetti et al., 1998, Mol Cell Biol 18, 7185-91; Wang et al., 1998, Proc Natl Acad Sci USA 95, 10860-5; Hildebrand et al., J Biol Chem 276, 9889-95)。こうして、該融合タンパク質はコアクチベーターの代わりに、HDAC活性を含むコリプレッサー複合体を動員する。最近の報告では、転座生成物AML1/ETOの発癌能及び転写抑制活性にはオリゴマー化が必要であることが示されている(Minucci et al., 2000, Mol Cell 5, 811-20)。非ホジキンリンパ腫において、転座及び点変異はしばしばB細胞の増殖調節に関連のあるBCL−6癌遺伝子生成物の過剰発現をもたらす。BCL−6は、コリプレッサーN−CoR及びSMRTと相互作用することが示されている転写因子であるので、急性白血病におけるような異常な抑制が非ホジキンリンパ腫の病因にも関係している可能性がある(Huynh及びBardwell, 1998, Oncogene 17, 2473-84)。
核内ホルモン受容体における変異は、甲状腺ホルモン抵抗性(RTH)症候群の原因としても考えられている。RTH症候群は内分泌関連のヒト遺伝的疾患であり、T3による負のフィードバック調節及び正の調節両方の崩壊が特徴である。甲状腺ホルモン受容体β(TRβ)遺伝子における多様な優性ネガティブ変異が、コリプレッサーと関連HDAC群の構造的な結合をもたらす。これが、RTHの分子的基礎である(Yoh et al., 1997, Mol Endocrinol 11, 470-80; Yoh及びPrivalsky 2000, Mol Cell Endocrinol 159, 109-24)。
急性白血病及び非ホジキンリンパ腫の病因は細胞分化に必要な遺伝子の異常抑制と関連するので、この機構が固形癌を含む多くの別の型の癌にも当てはまるものと思われる。目下のところ、多くの腫瘍形成の分子的な機序はまだ大半が未解明である。転写抑制とヒストン脱アセチル化酵素群の動員との関連性からみて、この酵素活性の阻害剤は抑制を逆転させ、分化誘導遺伝子の再発現を誘導すると期待できる。したがって、HDAC阻害剤は、癌の分化療法及びある種の内分泌疾患の治療のための有望な候補薬剤としての可能性がある。
HDAC阻害の臨床的な恩恵とその再分化療法との関わりについては、目下いくつかの場所で研究されている。レチノイン酸治療及び化学療法後に多数回の再発を経験したあるPML−RAR患者が、HDAC阻害剤のフェニルブチレートによる治療を受け、白血病から完全寛解している(Warrell et al., 1998, J Natl Cancer Inst 90, 1621-4)。この最初の研究結果は、臨床的な応答を得るのに高投与量のHDAC阻害剤を永続的に維持する必要はないことを示唆している。癌患者での第II段階の試験がHDAC阻害剤が治療において有効であるとの原則の証明となるであろう。
最近、抗てんかん薬のバルプロ酸(VPA、2−プロピルペンタン酸)がヒストン脱アセチル化酵素群の阻害剤として作用することが発見された(PCT/EP01/07704; Phiel et al., 2001, J Biol Chem, 印刷中)。この活性は、VPA分子を適切に修飾することにより、これまで治療的に利用されてきた抗てんかん活性と分けることができる(PCT/EP01/07704)。
バルプロ酸はそれぞれ異なった分子的作用機構に基づく多様な生物学的活性を有する。すなわち、
−VPAは抗てんかん薬である。
−VPAは催奇性である。抗てんかん薬として妊娠中に用いられた場合、VPAは生まれた子供の2〜3%に先天性欠損(神経管閉鎖障害及びその他の奇形)を起す可能性がある。マウスにおいて、VPAは、適切に投与すると大多数のマウス胎児について催奇性である。
−VPAは核内ホルモン受容体(PPARδ)を活性化する。他のいくつかの転写因子もまた抑制解除されるが、それほど抑制解除されない因子(グルココルチコイド受容体、PPARα)もある。
−VPAは時に肝毒性を引き起こす。これは代謝され難い補酵素Aとのエステルによる可能性がある。
VPA誘導体を用いることにより、異なった活性が異なった分子的作用機構により媒介されていることをはっきりさせることができた。催奇性と抗てんかん活性は、優先的に催奇性の、あるいは優先的に抗てんかん性の化合物が単離できたからことから、別々の作用形態に因っている。(Nau et al., 1991, Pharmacol. Toxicol. 69, 310-321)。PPARδの活性化が厳密に催奇性と相関していることが見出された(Lampen et al., 1999, Toxicol. Appl. Pharmacol. 160, 238-249)が、このことは、PPARδの活性化と催奇性とが共にVPAの同じ分子的活性を必要としていることを示唆している。また、Lampenら(1999年)により示唆され、分化マーカーの解析により実証された(Werling et al., 2001, Mol. Pharmacol. 59, 1269-1276)ように、F9細胞の分化はPPARδ活性化及び催奇性と厳密に相関している。PPARδの活性化はVPA及びその誘導体のHDAC阻害活性によりもたらされることが示された(PCT/EP01/07704)。さらに、HDAC阻害剤として確証されているTSAはPPARδを活性化し、VPAと同じ型のF9細胞分化を誘導することが示された。これらの結果から、我々は、VPAあるいはVPA誘導体のPPARδの活性化のみならずF9細胞の分化誘導及び催奇性も、HDACの阻害により引き起こされている可能性が高いと結論する。
抗てんかん及び鎮静活性は異なる構造活性相関に従うので、明らかにHDACの阻害とは区別されるVPAの主要な活性に因るものである。肝臓毒性の機構はほとんど分かっておらず、それがVPA−CoAエステルの形成と関係があるのかどうか不明である。しかしながら、HDACの阻害には、CoAエステルの形成は必要ないと思われる。
今日、患者を1種以上の抗腫瘍治療試薬の組合せで処置する腫瘍療法が知られている。例としては、放射線治療と化学療法及び/又は細胞毒性試薬との併用及び、より最近では放射線治療と腫瘍細胞に特異的な治療抗体等の免疫学的療法との併用などがある。しかしながら、個々の治療単独よりも効果的な組合せを見つけるべく、個々の処置法を互いに組合せる可能性はあるが、そのためには広範な前臨床及び臨床試験が必要である。どの組合せが相加的、又はさらに相乗的な効果を示すかを予想することは不可能である。治療効果を高めるという目的に加えて、もう一つの目的は、得られた組合せにおいて、個々の成分のより高い投与量が原因で起こる望ましくない、あるいは有害な副作用を減らすために、個々の成分の投与量を低減させる可能性を追求することである。
本発明の目的は、ヒト癌の治療に有用な方法及び/又は薬剤を提供することである。
この目的のため、驚くべきことに、VPAが、それぞれ全く異なった作用機序に基づく極めて多様な他の抗腫瘍療法との併用で使用された場合に、おそらく多くの異なった型のヒト癌の治療では予期し得なかった有益な効果を持つことが今や見出された。したがって、VPAを多くの抗腫瘍剤の組合せにおける一成分として治療に使える可能性は、特定の分子機構を有する薬剤との組合せに限られるものではないと思われる。このことは、実際VPAを現存する抗腫瘍アプローチの大半と組合せられる薬剤とするであろう。ここでVPAの正確な作用機序は完全には解明されていないが、その分化誘導能がそのような広範な抗腫瘍薬剤の活性に対して腫瘍細胞を感受性にする基礎となる可能性がある。このVPAの驚くほど幅広い潜在能力は、VPAの、HDAC活性を有する酵素の特定の組合せに対する阻害剤としての活性に基づいているものと考えられる。
したがって、本発明の一つの特徴は、VPA及びその誘導体を種々のヒト癌の組合せ処置において使用することである。そのような組合せ処置の抗腫瘍活性はそれぞれの構成成分を単独で利用した場合と比べ増強させることができるので、必要に応じ、個々の薬剤に関連した望ましくない副作用を低減させるためにそのような組合せ処置での個々の成分の投与量を減らしてもよい。本発明はまた、ヒト癌の組合せ治療用医薬品の製造のための、VPA又はその誘導体の使用にも関する。
ここで用いられているように、「組合せ処置」という術語は、1人の人を、少なくとも2つの異なる治療薬で処置することを指す。本発明によれば、各人は第一の治療薬の構成要素となる式Iの化合物で処置される。第二の治療薬は、例えば放射線療法又は化学療法剤の投与など臨床的に確立されたいかなる抗癌療法でもよい。組合せ処置は、第三の、あるいはさらにより多くの治療薬を含んでいてもよい。本発明によれば、式Iの化合物及び第二の治療薬や任意のさらなる治療薬は同時に投与することができ、又は式Iの化合物を第二の治療剤の前又は後に投与することもできる。式Iの化合物を第二の治療薬の前に投与するか、又は同時に投与するのが好ましい。投与(同時又は異なる時点に)は前記の表示で決められたとおり全身的に又は局所的に行なえる。さらに、第二の治療薬が放射線療法である場合には、式Iの化合物は癌患者に、癌の影響を治療ないし軽減するために放射線治療の前又は後に投与することができる。第一及び第二の治療薬が異なる時点で適用される場合、二つの処置間の時間は10日未満である。
ここに、「組合せ処置」、「併用療法」及び「併用処置」等の術語は交換可能なものとして用いられている。
VPA誘導体は、式I:
Figure 2005512961
(式中、R1及びR2は独立して直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、任意に一個ないし数個のヘテロ原子を含み置換基を有していてもよい炭素数3〜25の炭化水素鎖を表わし、R3は水酸基、ハロゲン、アルコキシ基又は任意にアルキル化されたアミノ基を表わす。)で表わされるα−炭素で分岐したカルボン酸あるいはカルボン酸誘導体類である。
1及びR2が異なる残基である場合、キラル化合物を生じる。通常、一方の立体異性体が他方より強い催奇性を有し(Nau et al., 1991, Pharmacol. Toxicol.69, 310-321)。そして、より催奇性の異性体がPPARδをより活性化する(Lampen et al., 1999)ので、この異性体がHDAC群をより強く阻害すると期待される(PCT/EP01/07704)。本発明はそれぞれの化合物のラセミ混合物、特にはより活性の強い異性体を包含する。
炭化水素鎖R1及びR2は、その炭化水素鎖中の炭素原子と置換する一個ないし数個のヘテロ原子(例えばO、N、Sなど)を含んでいてもよい。このことは、それらのヘテロ原子が対応する炭素原子と同じタイプの混成を取っている場合には、ヘテロ原子基も炭素基の構造と極めて類似した構造をとるであろうという事実による。
1及びR2は置換基を有していてもよい。可能な置換基としては、アリール基及びヘテロ環状基のみならず水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びアルコキシ基などが挙げられる。
1及びR2は、好ましくはそれぞれ独立して3〜10個の、より好ましくは4〜10個又は5〜10個の炭素原子を含む。またR1及びR2は独立して飽和であるか、あるいは一つの二重結合又は三重結合を含むことが好ましい。特に、好ましくは側鎖の一つ(R1)は、2位及び3位にsp混成の炭素原子、あるいは類似の構造を生じるヘテロ原子を含んでいてもよい。この側鎖は3個の炭素原子あるいはヘテロ原子を含むべきであるが、より長い鎖もHDAC阻害性分子を生成する可能性がある。また、R2に芳香環又はヘテロ原子が含まれるとHDAC阻害活性を有する分子を生成すると考えられる。なぜなら、HDACタンパク質の触媒部位は、明らかに多様な結合分子を受け入れるからである。催奇性のVPA誘導体がHDAC阻害剤であるとの観察から、以前に好ましい抗てんかん薬とは考えられていなかった化合物もHDAC阻害剤として考えられる(PTC/EP01/07704)。特に、ただしこれらに限られるというのではないが、R1としてプロピニル残基を、R2として7以上の炭素原子からなる残基を持つ化合物が考えられる(Lampen et al., 1999)。
好ましくは、“COR3”基はカルボキシル基である。また、可能性のあるHDAC阻害活性を有する化合物を生成するためには、カルボキシル基の誘導体化も考慮されなければならない。そのような誘導体としてはハライド類(例えば、クロライド類)、エステル類又はアミド類であってもよい。R3がアルコキシである場合には、該アルコキシ基は1〜25、好ましくは1〜10の炭素原子を含む。R3がモノ−又はジ−アルキルアミノ基である場合には、該アルキル置換基は1〜25、好ましくは1〜10の炭素原子を含む。
本発明によれば、式Iの化合物の薬学上許容される塩もまた、癌の組合せ治療に用いることができる。本発明によれば、人体内において式Iで定義される化合物に代謝される物質、又は例えばエステル加水分解により式Iで定義される化合物の放出を導く物質もまた使用することができる。
ある特定の態様において、本発明は式Iで表わされるα−炭素で分岐したカルボン酸又はその薬学上許容される塩を、ヒストン脱アセチル化酵素活性を有する酵素の阻害剤として用いること及びその化合物を癌の組合せ治療において使用することに関する。なお、式中、R1は直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、炭素数3〜25の脂肪族炭化水素鎖を、R2は独立して直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、炭素数3〜25の脂肪族炭化水素鎖を表し、ただし、―CH2−CH=CH2、−CH2−C≡CHあるいは−CH2−CH2−CH3ではなく、R1及びR2は水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基及び/又はヘテロ環基で置換されていてもよく、R3は水酸基を表わす。
さらにもうひとつの態様において、本発明は、式Iで表わされるα−炭素で分岐したカルボン酸又はその薬学上許容される塩を、癌の組合せ療法用に使用することに関する。なお、式中、R1は直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、炭素数3〜25の脂肪族炭化水素鎖を、そしてR2は独立して直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、炭素数3〜25の脂肪族炭化水素鎖を表し、R1あるいはR2は炭化水素鎖中の炭素原子と置換する一個あるいはいくつかのヘテロ原子(例えばO、N、Sなど)を含み、R1及びR2は任意に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基及び/又はヘテロ環基で置換されていてもよく、R3は水酸基を表わす。
本発明のさらにもうひとつの態様において、R1及びR2はエステル基(―CO−O−)を含まず、R1及びR2はO、N、又はS等のヘテロ原子を含まない炭化水素鎖であってもよい。
本発明に従って最も好ましく用いられる化合物は、VPA及び/又は4−yn VPAである。
態様のひとつにおいて、式Iの化合物は、臨床的に確立された抗癌治療薬との併用療法において、治療効果を高める為にヒト癌細胞を感受性するための医薬の製造用に用いられる。抗癌剤の該増感剤と接触させていない癌細胞と比べて、与えられた抗癌剤がより低投与量で確かな抗癌効果を達成することが要求される場合、癌細胞は増感剤と接触させることにより感受性となる。抗癌効果としては、腫瘍の大きさの減少、増殖抑制及び/又は細胞毒性でもよい。抗腫瘍効果の測定方法は当業者にとって公知である。例えば、5−FUをVPAと併用すると、直腸癌細胞の細胞量の一定の低下を達成するのに必要な5−FU濃度がより低濃度で済むことが実施例1で示されている。
本発明によれば、VPA又はその誘導体はヒト癌の組合せ処置用、あるいはヒト癌の組合せ処置のための医薬の製造に用いられる。組合せ処置は抗腫瘍療法の公知の方法を含んでいてもよい。
固形腫瘍として現れる癌に対する最も効果的な治療方法は、その腫瘍塊を外科的に取り除くことである。完全に切除可能な初期腫瘍に対しては、薬剤療法が用いられるのはまれである。しかしながら、より後期においては、腫瘍は通常かなりの大きさに成長しており、及び/又はからだ中にかなり広がっていて、もはや切除は選択すべき適切な治療手段ではない。これらの場合には、切除の前に腫瘍を小さくするためや腫瘍切除後にからだの中に残っている癌細胞(微小残存病変)を除去するために薬剤療法が用いられる。
今日、種々のクラスの抗癌薬剤療法があり、化学療法剤及び細胞毒性試薬、分化誘導試薬(例えば、レチノイン酸、ビタミンD、サイトカンなど)、ホルモン療法、免疫学的アプローチ、及びさらに最近では、抗血管形成アプローチの開発などが挙げられる。これらの方法は、VPA又はその誘導体による処置との組合せで、第二の治療剤として用いてもよく、以下により詳しく説明する。
化学療法剤及び細胞毒性剤
このような薬剤は、通常標準的な外科的手法に加え、活発に増殖及び分裂しているいかなる細胞にも損傷を与えることを目的として使用される。大抵の場合、正常細胞よりも癌細胞の方に増殖及び分裂過程にある細胞が多いので、化学療法及び細胞毒性は正常細胞より癌細胞により重大な影響を与える。化学療法/細胞毒性薬剤は明確に分類することができ、
− アルキル化剤
− 細胞毒性抗生物質
− 代謝拮抗剤
− ビンカアルカロイド及びエトポシド
− その他
などが挙げられる。
アルキル化剤は、DNA産生のためのヌクレオチド前駆体上の化学物質等の求核残基と反応する。アルキル化剤は、これらのヌクレオチド類をアルキル化してそれらがDNAに集合するのを妨げることにより、細胞分裂過程に影響を与える。
細胞毒性抗生物質は、直接的にDNA又はRNA合成を阻害することにより作用し、全細胞周期を通して有効である。
代謝拮抗剤は、細胞分裂過程に関連する細胞の酵素あるいは天然の代謝産物と相互作用し、かくして細胞分裂を混乱させる。
植物アルカロイド及びエトポサイドは植物由来の作用物質である。それらは細胞分裂に必須の細胞成分の集合を妨げることにより細胞複製を阻害する(例えば、ビンカ・アルカロイド;エトポシド)。
“その他”に分類された化合物群には、主としてタキサン類(例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、タキソテールなど)及び金属錯体(例えば、シスプラチナム)が含まれる。
ホルモン療法
ある種の癌、例えば乳癌あるいは前立腺癌等の進行は、からだの中のホルモンの過剰あるいは不在に依存している。これらの場合、これらの器官での腫瘍増殖を抑制すべく体内のホルモンレベルを上昇又は下降させるため、ホルモン療法が用いられる。
ホルモン療法の区分には5種類の主要な製品がある。すなわち、
− プロゲストーゲン類
− 抗アンドロゲン類
− 抗エストロゲン類
− 黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体
− アロマターゼ阻害剤
である。プロゲストーゲン類は子宮内膜癌の治療において使用される。なぜなら、これらの癌はプロゲストーゲンに対抗されていない高レベルのエストロゲンに晒された女性に発生するからである。
抗アンドロゲン類は、主にホルモン依存性である前立腺癌の治療に用いられる。抗アンドロゲン類はテストステロンのレベルを下げ、腫瘍の増殖を抑制するために使用される。
乳癌のホルモン治療は、腫瘍性乳房細胞中のエストロゲン受容体のエストロゲン依存性活性化のレベルを下げることを含む。抗エストロゲン類は、エストロゲン受容体に結合することによって作用し、コアクチベーターの動員を妨げ、かくしてエストロゲンのシグナルを抑制する。
前立腺癌の処置において用いられるLHRH類似体は、テストステロンのレベルを下げる働きをし、それにより腫瘍の増殖を抑える。
最後に、アロマターゼ阻害剤は、ホルモン合成に必要な酵素を阻害することにより作用する。閉経後の女性においては、エストロゲンの主な供給源はアロマターゼによるアンドロステンジオンのエストロンへの変換によるものである。
革新的療法
1990年代までは、細胞毒及びホルモン療法が癌の薬剤処置の基礎であった。しかしながら、最近の進歩により革新的療法の区分に
− 遺伝子療法
− 免疫療法
− リンパ管及び血管の抗血管形成的アプローチ
を含む追加のカテゴリーが導入された。
今日までのところ、遺伝子療法として癌患者に対し臨床的使用が認められているものはないが、多くの形態の遺伝子治療が前臨床あるいは初期臨床治験で行われている。
体は癌に応答し、そうした応答が体が癌細胞に対処するのをどのように助けるかについて鋭意研究されてきている。その結果出された抗腫瘍アプローチとしては、抗体による免疫療法及び腫瘍ワクチン接種アプローチで使用される試薬などが挙げられる。この療法分類における主な薬剤は、単独でのあるいは例えば毒素類又は癌細胞に対する化学療法剤/細胞毒等を伴う抗体である。
最後だが大事な点は、腫瘍血管形成阻害(抗血管形成)に基づく治療的抗腫瘍アプローチが現在開発中であることである。この構想の目的は、腫瘍を、新たに形成される腫瘍脈管系により与えられる栄養分及び酸素の供給から切り離すことである。
式Iの化合物又はその誘導体は一般にHDAC阻害活性を示し、しばしばかつ意外にも、対象とする機構は互いに全く異なる一つ又はいくつかの他の抗癌処置との組合せ治療において、相乗的な治療効果を発揮する。
式Iの化合物は普通ヒト癌細胞を感受性にすることができる。したがって、ここでは式Iの化合物は式Iの増感剤とも呼べる。その結果、併用療法で抗腫瘍効果を達成するのに要する第二の治療剤の投与量は、式Iの増感剤と併用した場合、かなり減量することが可能である。第二の治療剤の投与量は、臨床的癌治療において通常投与される投与量と比較して少なくとも25%少なくできることが好ましいが、投与量を少なくとも50%下げられることがより一層好ましい。“臨床的抗癌療法において通常投与される投与量”とは、ここでは患者の1平方メートル(m2)あるいはkg体重(BW)当たり、1日当たりの抗癌剤の量と定義される(参考文献及び服用の詳細については、S.Seeber及びJ. Schuette, Therapiekonzepte Onkologie, Springer-Verlag, 2. Auflage 1998, ISBN 3-540-58586-9もまた参照のこと)。
一般に用いられる抗癌剤と通常投与される1日当たりの投与量としては以下のものが挙げられるが、これらに限られるわけではない。すなわち、
代謝拮抗剤
1.メトトレキセート 20〜40 mg/m2 静脈内注射
4〜6 mg/m2 経口投与
12000 mg/m2 高投与量療法
2.6−メルカプトプリン 100 mg/m2
3.6−チオグアニン (1〜2)×80 mg/m2 経口投与
4.ペントスタチン 4 mg/m2 静脈内注射
5.フルダラビンフォスフェート25 mg/m2 静脈内注射
6.クラドリビン 0.14 mg/kg体重 静脈内注射
7.5−フルオロウラシル 500〜2600 mg/m2 静脈内注射
8.カペシタビン 1250 mg/m2 経口投与
9.シタラビン 200 mg/m2 静脈内注射
3000 mg/m2 静脈内注射 高投与量療法
10.ゲムシタビン 800〜1250 mg/m2 静脈内注射
11.ヒドロキシ尿素 800〜4000 mg/m2 経口投与
抗生物質
12.アクチノマイシン D 0.6 mg/m2 静脈内注射
13.ダウノルビシン 45〜60 mg/m2 静脈内注射
14.ドキソルビシン 45〜60 mg/m2 静脈内注射
15.エピルビシン 60〜80 mg/m2 静脈内注射
16.イダルビシン 10〜12 mg/m2 静脈内注射
35〜50 mg/m2 経口投与
17.ミトキサントロン 10〜12 mg/m2 静脈内注射
18.ブレオマイシン 10〜15 mg/m2 静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射
19.マイトマイシンC 10〜20 mg/m2 静脈内注射
20.イリノテカン(CPT−11) 350 mg/m2 静脈内注射
21.トポテカン 1.5 mg/m2 静脈内注射
アルキル化剤
22.ムスタルゲン 6 mg/m2 静脈内注射
23.エストラムスチンフォスフェート 150〜200 mg/m2 静脈内注射
480〜550 mg/m2 経口投与
24.メルファラン 8〜10 mg/m2 静脈内注射
15 mg/m2 静脈内注射
25.クロラムブシル 3〜6 mg/m2 静脈内注射
26.プレドニムスチン 40〜100 mg/m2 経口投与
27.シクロフォスファミド 750〜1200 mg/m2 静脈内注射
50〜100 mg/m2 経口投与
28.イフォスファミド 1500〜2000 mg/m2 静脈内注射
29.トロフォスファミド 25〜200 mg/m2 経口投与
30.ブスルファン 2〜6 mg/m2 経口投与
31.トレオスルファン 5000〜8000 mg/m2 静脈内注射
750〜1500 mg/m2 経口投与
32.チオテパ 12〜16 mg/m2 静脈内注射
33.カルムスチン(BCNU) 100 mg/m2 静脈内注射
34.ロムスチン(CCNU) 100〜130 mg/m2 経口投与
35.ニムスチン(ACNU) 90〜100 mg/m2 静脈内注射
36.ダカルバジン(DTIC) 100〜375 mg/m2 静脈内注射
37.プロカルバジン 100 mg/m2 経口投与
38.シスプラチン 20〜120 mg/m2 静脈内注射
39.カルボプラチン 300〜400 mg/m2 静脈内注射
抗核分裂剤
40.ビンクリスチン 1.5〜2 mg静脈内注射
41.ビンブラスチン 4〜8 mg/m2 静脈内注射
42.ビンデシン 2〜3 mg/m2 静脈内注射
43.エトポシド(VP16) 100〜200 mg/m2 静脈内注射
100 mg経口投与
44.テニポシド(VM26) 20〜30 mg/m2 静脈内注射
45.パクリタキセル(タキソール) 175〜250 mg/m2 静脈内注射
46.ドセタキセル(タキソテール) 100〜150 mg/m2 静脈内注射
ホルモン類、サイトカイン類及びビタミン類
47.インターフェロン−α (2〜10)×106 IU/m2
48.プレドニソン 40〜100 mg/m2 経口投与
49.デキサメタゾン 8〜24 mg 経口投与
50.G−CSF 5〜20 μg/kg体重、皮下注射
51.オールトランスレチノイン酸 45 mg/m2
52.インターロイキン−2 18×106 IU/m2
53.GM−CSF 250 mg/m2
54.エリスロポイエチン 150IU/kg tiw
その他
55.放射線 20〜60グレイ
上記の第二の治療用抗癌剤の1日当たりの投与量は、式Iの増感剤との組合せ処置においては、それらが単独又は他の治療成分と一緒に投与される際の通常の投与量と比べてかなり低減させることができる。以下の1日投与量は本発明に係る組合せ処置において使用され得るものである。すなわち、
代謝拮抗剤
1.メトトレキセート 10〜30 mg/m2 静脈内注射
2〜4 mg/m2 経口投与
6000〜8000 mg/m2 高投与量療法
2.6−メルカプトプリン 50〜75 mg/m2
3.6−チオグアニン (1〜2)×(40〜60) mg/m2 経口投与
4.ペントスタチン 2〜3 mg/m2 静脈内注射
5.フルダラビンフォスフェート 12〜18 mg/m2 静脈内注射
6.クラドリビン 0.7〜11 mg/kg体重 静脈内注射
7.5−フルオロウラシル 250〜1800 mg/m2 静脈内注射
8.カペシタビン 700〜1000 mg/m2 経口投与
9.シタラビン 100〜150 mg/m2 静脈内注射
1500〜2200 mg/m2 静脈内注射 高投与量療法
10.ゲムシタビン 400〜825 mg/m2 静脈内注射
11.ヒドロキシ尿素 400〜3000 mg/m2 経口投与
抗生物質
12.アクチノマイシンD 0.3〜0.45 mg/m2 静脈内注射
13.ダウノルビシン 20〜45 mg/m2 静脈内注射
14.ドキソルビシン 20〜45 mg/m2 静脈内注射
15.エピルビシン 30〜60 mg/m2 静脈内注射
16.イダルビシン 5〜9 mg/m2 静脈内注射
18〜38 mg/m2 経口投与
17.ミトキサントロン 5〜9 mg/m2 静脈内注射
18.ブレオマイシン 5〜12 mg/m2 静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射
19.マイトマイシンC 5〜15 mg/m2 静脈内注射
20.イリノテカン(CPT−11) 175〜290 mg/m2 静脈内注射
21.トポテカン 0.7〜1.2 mg/m2 静脈内注射
アルキル化剤
22.ムスタルゲン 3〜4.5 mg/m2 静脈内注射
23.エストラムスチンフォスフェート 75〜150 mg/m2 静脈内注射
240〜400 mg/m2 経口投与
24.メルファラン 4〜7.5 mg/m2 静脈内注射
7〜12 mg/m2 静脈内注射
25.クロラムブシル 1.5〜4.5 mg/m2 静脈内注射
26.プレドニムスチン 20〜75 mg/m2 経口投与
27.シクロフォスファミド 375〜900 mg/m2 静脈内注射
25〜75 mg/m2 経口投与
28.イフォスファミド 750〜1500 mg/m2 静脈内注射
29.トロフォスファミド 12〜150 mg/m2 経口投与
30.ブスルファン 1〜4.5 mg/m2 経口投与
31.トレオスルファン 2500〜6000 mg/m2 静脈内注射
375〜1200 mg/m2 経口投与
32.チオテパ 6〜12 mg/m2 静脈内注射
33.カルムスチン(BCNU) 50〜75 mg/m2 静脈内注射
34.ロムスチン(CCNU) 50〜95 mg/m2 経口投与
35.ニムスチン(ACNU) 45〜750 mg/m2 静脈内注射
36.ダカルバジン(DTIC) 50〜280 mg/m2 静脈内注射
37.プロカルバジン 50〜75 mg/m2 経口投与
38.シスプラチン 10〜90 mg/m2 静脈内注射
39.カルボプラチン 150〜300 mg/m2 静脈内注射
抗核分裂剤
40.ビンクリスチン 0.75〜1.5 mg 静脈内注射
41.ビンブラスチン 2〜6 mg/m2 静脈内注射
42.ビンデシン 1〜2.2 mg/m2 静脈内注射
43.エトポシド(VP16)50〜150 mg/m2 静脈内注射
50〜75 mg経口投与
44.テニポシド(VM26)10〜22 mg/m2 静脈内注射
45.パクリタキセル(タキソール) 80〜180 mg/m2 静脈内注射
46.ドセタキセル(タキソテール) 50〜120 mg/m2 静脈内注射
ホルモン類、サイトカイン類及びビタミン類
47.インターフェロン−α (1〜5)×106 IU/m2
48.プレドニソン 20〜75 mg/m2 経口投与
49.デキサメタゾン 4〜18 mg 経口投与
50.G−CSF 2.5〜15 μg/kg体重、皮下注射
51.オールトランスレチノイン酸 22〜35 mg/m2
52.インターロイキン−2 (9〜14)×106 IU/m2
53.GM−CSF 125〜180 mg/m2
54.エリスロポイエチン 75〜120IU/kg tiw
その他
55.放射線 10〜45グレイ
本発明のさらなる態様は、第一の治療剤として式Iの化合物、及び第二の治療剤として抗癌剤を含む薬剤キットであって、ここで該抗癌剤は、投与に適した形態で、臨床抗癌療法において通常投与される投与量と比べ少なくとも25%低減させた投与量で供給されている。好ましくは、該投与量は少なくとも50%減量されるのがよい。該キットの成分は、一個の容器に入れられていてもよいが、またそれぞれの成分を別々に投与するのに適した形態でパッケージされていてもよい。
本発明のさらにもう一つの態様は、患者体内の癌細胞を感受性にするのに効果的な量の式Iの化合物及びその薬学上許容される塩を癌患者に投与することを特徴とする、抗癌剤の投与量を低減させる方法であり、ここで式Iは上記で定義されたのと同じ意味を有する。
本発明はさらに、患者体内の癌細胞を抗癌剤に対し感受性にするのに効果的な量の式Iの化合物及びその薬学上許容される塩、及び治療的に有効な量の抗癌剤を癌患者に投与することを特徴とする、患者体内の癌を治療する方法に関し、ここで式Iは上記で定義されたのと同じ意味を有する。
本発明はさらに、患者体内の癌細胞を抗癌剤に対し感受性にするのに効果的な量の式Iの化合物及びその薬学上許容される塩を患者に投与することを特徴とする、該抗癌剤の治療活性を高める方法に関し、ここで式Iは上記で定義されたのと同じ意味を有する。
式Iの化合物は、酵母のSIR2タンパク質とその推定される哺乳類の同類のタンパク質と相同性を有する最近同定された新しい部類のヒストン脱アセチル化酵素群(Imai et al., 2000, Nature 403, 795-800)だけでなく、哺乳類(インビトロ検定及び動物モデル系においてそれらの細胞株を使用するために)及び特にヒト(インビボ及びインビトロ)のヒストン脱アセチル化酵素HDAC1〜3及び8(クラスI)、HDAC4〜7(クラスII)を阻害するのに、また他の癌療法との併用での癌治療に使用するのに有用であろう。一態様では、式Iの化合物はHDAC群の一部のみを阻害する。
本発明のさらにもう一つの態様は、式Iの化合物を、ヒストンの高アセチル化の誘導が好ましい効果を持つような疾患、例えば患者の腫瘍細胞の分化及び/又はアポトーシスを生じ患者の状態の臨床的な改善につながるような疾患の組合せ処置のための医薬の製造に用いることである。そのような疾患の例としては皮膚癌、エストロゲン受容体−依存性及び非依存性乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、大腸癌及び直腸癌、膵臓癌、頭頚部癌、小細胞及び非小細胞上皮性肺癌などがある。高アセチル化の誘導は、甲状腺抵抗(耐性)症候群等のヒストン脱アセチル化酵素活性の異常動員に基づく疾患における不適切な遺伝子発現を元に戻すことでも有益であろう。本発明の組合せ処置は、微小残存腫瘍症あるいは腫瘍転移の処置に特に有用である。
本発明はまた、患者体内で式Iの化合物に代謝される化合物の使用を包含する。本発明中に記載された態様は、それらの化合物にも同様に適用される。
該化合物類とその塩は、少なくとも一つのそれらの化合物を単独又は薬学上許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤との混合物を含む医薬組成物(例えば、粉末、顆粒、錠剤、丸薬、カプセル、注射液、溶液、発泡体、浣腸など)として製剤化されてもよい。該医薬組成物は常法に従って製剤化できる。どの特定の患者についても、用いる特定化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、排出速度、薬剤の組合せ及び治療が行われている特定疾患の重度などを含む種々の要因により、特定の投与量レベルが採用される。式Iの増感剤は、例えば1日当たり約10mg/kg体重〜100mg/kg体重の範囲の適量を、経口的にあるいは静脈内投与で投与されることが好ましい。投与量レベルは、0.05mM〜3mM、好ましくは約0.4mM〜1.2mMの血清レベルが達成されている限り、特に制限されない。
本発明のもう一つの態様は、バルプロ酸の誘導体を供給し、そのヒストン脱アセチル化酵素阻害活性を測定し、組合せ癌療法におけるその有効性を判定し、もしその物質がヒストン脱アセチル化酵素阻害活性を有し、組合せ癌療法においてそれぞれ単独での処置における有効性より顕著に高い有効性を持っていれば、その物質を選択することを含むことを特徴とする、組合せ癌療法に有用な物質を同定する方法である。
バルプロ酸は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害活性を示す他の化合物を同定するためのリード物質として役立つ。それにより、より低投与量及び低血清レベルで、増強されたHDAC阻害活性を示し、鎮静作用のような中枢神経系への作用が減弱した化合物が選ばれよう。最大限利用されうるもうひとつのパラメーターは、肝臓毒作用の出現である。減少した肝臓毒性を示す化合物が選ばれてもよい。誘導体類は、追加の及び/又は修飾された置換基を持つ化合物の合成によって供給されてもよい。HDAC阻害作用は、転写抑制検定法、ヒストンH3及び/又はヒストンH4のアセチル化を検出するウエスタン・ブロット法等の最新式の技術か、あるいは酵素的検定法などにより測定できる。最大限利用されうるもうひとつのパラメーターは、組合せ癌療法におけるVPAの誘導体類の使用である。
リプレッサー活性の転写検定は、Gal4依存性レポーター遺伝子の活性化及び抑制解除を利用する。この検定は、哺乳類の細胞株(例えばHeLa、293T、CV−1など)への一時的な遺伝子導入によっても、あるいは特異的に樹立された永続性の細胞株を用いても行える。甲状腺ホルモン受容体、PPARδ、レチノイン酸受容体、N−CoR及びAML/ETO等の転写因子は、それらが酵母のGal4タンパク質の非相同DNA結合ドメインとの融合タンパク質としてUASエレメントを含むプロモーターに結合すると、転写を抑制する。Gal4融合タンパク質非存在の場合、レポーター遺伝子は、チミジンキナーゼプロモーター中の他の転写因子に対する結合部位が存在することにより、高い基礎転写活性を有する。Gal4融合タンパク質は、この活性を140分の1にまで抑制する。HDAC阻害剤はこの抑制の緩和を誘導するが、それはレポーター遺伝子活性の上昇(例えばルシフェラーゼアッセイによる等)として検出できる。
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、N末端部高アセチル化ヒストンH3及びH4の蓄積を誘導する。これらのアセチル化されたヒストンは、ヒストンH3及びH4のN末端リシン残基に特異的な抗体を用いて、全細胞抽出液あるいはヒストン脱アセチル化酵素阻害剤で処理された細胞からのヒストン標本のウエスタン・ブロット解析により検出できる。
HDAC活性の酵素的アッセイでは、高アセチル化された基質からの3H標識酢酸の放出を記録する。HDAC活性の試料は、HDAC群又はN−CoR(又はHDAC群を動員することが知られているその他の抑制因子)、あるいはヒストン脱アセチル化酵素を含む粗細胞抽出液(例えば、Hela、293T、F9)に対する抗体で共免疫沈降させることで得られる。基質としては、ヒストンH3又はH4のN末端に対応するペプチド類を化学的に3H−アセチル化したものか、あるいはHDAC阻害剤で処理された代謝的に標識した細胞から単離させたヒストンタンパク質のいずれかであってよい。酢酸エチルで抽出後、3H標識酢酸の放出を液体シンチレーションカウンティングにより検出する。
本発明のさらにもうひとつの態様は、式Iで定義される化合物のHDACイソ酵素特異性を明らかにする方法である。そのためには、HDAC群をHDACのアイソフォームに特異的な抗体、コリプレッサー複合体に対する抗体、あるいは形質変換した細胞中に過剰発現させた組換えHDAC群に対する特異的な抗体と免疫沈降させる。この方法は、これらの免疫沈降物中に存在する個々のHDAC群のウエスタン・ブロット解析を含む。放射線標識したVPA又は式Iの化合物を免疫沈降物に結合させ、適当な洗浄工程の後、結合している化合物の量を結合している放射能の測定により求める。本態様の一変形は、VPA、TSAあるいはトラポキシンのようなHDAC阻害剤の標識体の結合及び式Iの化合物による結合の競争を含む。この方法のもう一つの変形として、代替の標識及び/又は検出工程の利用がある。HDAC群のあるサブセットのみを特異的に阻害する化合物が選択されることが好ましい。上述の化学的に3H−アセチル化されたペプチド類を用いるHDAC阻害アッセイを、HDAC阻害の特異性の決定に用いてもよい。
本発明の特別な一態様は、上記のVPA又はその誘導体を、確立された治療的癌処置法と併用し、その組合せ処置により原発性のヒトあるいはゲッ歯類の細胞、白血病細胞、その他の癌細胞又は腫瘍細胞の細胞株等の細胞において制御されている遺伝子を特定するために使用することである。したがって、本発明は、実質的に同一の二つの細胞個体群を用意し;その第一の個体群をVPA又はその誘導体と接触させ;同じくその第一の個体群を一つ又はいくつかの他の抗腫瘍療法で処置し;前記VPA又はその誘導体と接触させられ一つ又はいくつかの他の抗腫瘍療法で処置された第一の細胞群において、VPA又はその誘導体と接触させられていない第二の個体群におけるよりも有意に高いレベルで発現している遺伝子又は遺伝子産物を検出する工程を含むことを特徴とする方法に関する。第一の個体群をVPA又はその誘導体と接触させる工程、及び第一の個体群を1種あるいは数種の他の抗腫瘍療法で処置する工程は、どのような順番でも、また同時にでも行うことができる。
組合せ処置により制御される遺伝子を限定あるいは同定するための方法としては、多数のcDNA、発現配列タグ又はいわゆるユニジーンコレクション(unigene collection)をスクリーニングするための、確立された技術が挙げられる。サブトラクティブハイブリダイゼーション技術の使用もまた、そのような組合せ処置により制御されている遺伝子を限定するのに適している。これらの方法を、他の薬剤作用機構との併用で、VPAが仲介するHDAC阻害反応の下流において薬剤開発の可能性のある標的物質を同定するために用いること、及び、さらにこれらの方法を、適切な化合物及び併用処置により患者を治療的に処置することを容易にするための診断方法を明確にするために用いることは本発明の一部である。VPAの生体における一般毒性が他のHDAC阻害剤と比べて低いことを考慮すると、VPA又はその誘導体を、確立された癌治療法との併用で使用し、その組合せにより選択的に制御されるか又は制御されない標的遺伝子を明らかにすることは、特にトラポキシン又はトリコスタチンAのような他のHDAC阻害剤の使用と比べても、本発明の特異的な一側面である。
特定の一態様において、組合せ処置により制御される遺伝子の同定方法は、検出に核酸技術、好ましくはハイブリダイゼーション又はポリメラーゼ連鎖反応が用いることを含む。しかし、その他のタイプの核酸技術を用いてもよい。もう一つの態様においては、該方法は検出に差別的に制御されたタンパク質に対する特異抗体を使用することを含む。
本発明によれば、組合せ処置により制御された遺伝子の同定方法に従って同定された遺伝子の発現レベルを、腫瘍の診断に用いるため、ヒトあるいは動物の体外において測定してもよい。
また本発明は、腫瘍がVPA又はその誘導体と確立された腫瘍治療法との組合せ処置に応答性であるかどうかをインビトロで調べる工程を含む、腫瘍を同定する診断方法にも関する。この方法は、これらの処置によって制御される遺伝子の同定方法を含むことが好ましい。ある特定の態様としては、該診断方法は検出に核酸技術、好ましくはハイブリダイゼーション又はポリメラーゼ連鎖反応の使用を含む。しかしながら、他の核酸技術を用いてもよい。もう一つの態様においては、該方法は検出に差別的に制御されたタンパク質に対する特異抗体を使用することを含む。この為には、VPA及びその誘導体を用いる組合せ処置によりその発現が脱制御される遺伝子によりコードされたタンパク質を、例えば組換え発現系において発現させ、次にこれらのタンパク質に対する抗体が産生させられてもよい。次いで、それらの抗体(又は抗体のパターン)は、診断及び/又は予後的な理由から、腫瘍あるいは腫瘍細胞の状態の特徴付けに利用できよう。
概して、本発明は種々の癌疾患を治療する新規な可能性を提供する。本願出願人はVPA及びその誘導体のHDAC阻害及び細胞分化誘導活性が、十分確立された臨床的に使用されている治療薬と併用で、異なる起源の腫瘍細胞の処置に成功裏に利用できることを見出した。それらのVPAとその誘導体に基づく組合せ処置は、対応する治療薬の単独使用よりもヒト腫瘍患者において優れた治療上の成功をもたらすと考えられる。VPA及びその誘導体を用いる組合せ治療的アプローチを癌治療のために提供することは、本発明の目的の一つである。そのような組合せ処置は、必要とされる例えば化学療法剤の治療上必要な投与量を減らすことができ、したがって目下見られている部分的には極めて重大な繁用療法の副作用を制限することができよう。
本発明の特徴は、VPA又はその誘導体と現在臨床で用いられているか臨床開発中の、例えば以下のような治療原理との併用である。
− 化学療法剤又は細胞毒性薬剤(例:5−FU、タキソール、シスプラチナム、カンプトテシン、ゲムシタビン、アドリアマイシン、イリノテカン)
− 分化誘導薬剤(例:ビタミンD、レチノイン酸、及びII−3、II−6、SCF、G−CSF、GM−CSF等のサイトカイン類)
− 放射線療法(例:X線又はγ線)
− 免疫学的アプローチ(抗体療法、ワクチン接種)
− 免疫療法/細胞毒性複合的アプローチ(例:細胞毒性成分を結合させた抗体)
− 抗血管形成的アプローチ
次の化合物、すなわちTNFα、酪酸、酪酸塩、酪酸誘導体、IL−2、α−メルカプトプロピオニルグリシン、9−アミノカンプトテシン、BCNU、シタラビン、テニポシド、ビンクリスチン、シスプラチン及び/又はドキソルビシンは、第二の治療剤として好ましいものではない。
腫瘍療法後、しばしば残存腫瘍細胞が患者の体内に残存する。この状態は微小残存病変として知られている。これらの腫瘍細胞は、原発腫瘍が除かれた後何年も経ってからでさえも、二次的な腫瘍を引き起こす可能性がある。したがって、腫瘍療法を成功したものとならしめる大きな課題は、そのような残存腫瘍細胞の根絶であるに違いない。
かくして、本発明のもう一つの特徴は、VPA及びその誘導体の、腫瘍転移の抑制及び微小残存病変の消滅のための使用である。
我々は、種々の起源のヒト腫瘍細胞に対するVPAとの併用における確立された抗腫瘍治療原理の効果を調べた。意外にも、我々は決まって、VPAとそれらの確立された治療原理との併用は、VPA単独あるいは調べた確立された処置単独で見られる効果に比べ、相乗的な抗腫瘍効果を示すことを見出した。これらのしばしば観察された作用の増強は予期されないものであり、特にVPAは、例えば化学療法、種々の抗体療法、放射線治療、分化誘導薬剤又は抗血管新生的アプローチなど根本的に異なる治療的アプローチとの併用でその相乗効果を頻繁に示したため予期されないものであった。これらのアプローチが対象にしている作用機序は、みなお互いに著しく異なっている。一つの単独の薬剤(VPA)が、それほど広範かつ異種な作用機序に亘る抗腫瘍アプローチの治療活性を増強できるとは予期できないものであった。
VPAのこの治療上の成功の根拠として最も可能性があるのは、VPAの、HDAC活性を有する酵素の新規な阻害剤としての活性である。しかしながら、例えばTSAはVPAが示すほどの相乗活性を示さないので(例えば図21及び25参照)、VPAによって成し遂げられた微調整された機構的ターゲッティングは、他のHDAC阻害剤に勝ると思われる。
加えて、VPAは腫瘍転移形成の抑制に用いられてもよく、したがって微小残存病変の処置に用いられてもよい。このことは、腎臓癌及び乳癌のインビボモデルを用いて成功裏に調べられた。
下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
〔実施例1〕
VPA又は化学療法剤/細胞毒性薬剤の5−フルオロウラシル単独及びVPAと5−フルオロウラシル(5−FU)の組合せによる処置による、HCT−15結腸癌細胞の総細胞量の相乗的な減少(図1)。
方法:
細胞量の減少はSRB試験により測定した。この試験用に、細胞を96ウェル培養皿にウェル当たり細胞数3,000から8,000の密度で播種した。24時間の回復の後、それらをVPA非存在あるいは示された濃度のVPAの存在下で48時間培養した。培養物を冷TCAで最終TCA濃度が10%になるようにして固定し、4℃で1時間培養後、細胞を5回水洗しついで風乾した。固定した細胞を、1%酢酸に溶かした0.4%(wt/vol)スルホローダミンB(SRB)で30分間染色し、1%酢酸で4回洗浄して結合していない染料を除いた。風乾後、結合した染料を10mMの緩衝化していないトリス塩基(pH10.5)で5分間可溶化し、光学密度をTitertek Multiskan Plus分光測定用プレートリーダー上550nmで読んだ。各用量応答につき6個のテスト用ウェルを、細胞株ごとの12個の増殖対照ウェルと平行に設置した。時間0(T;薬剤が添加された時点)における細胞集団密度の測定も、テストプレートに薬剤を加える直前に、12個の追加の参照ウェルの細胞をTCAで固定して行った。上記と同様に固定、染色した5%FBSを含む完全培地の背景ODも12個の別のウェルにおいて測定した。それぞれのマイクロタイター・プレートからの未処理ODデータから、背景OD測定値(すなわち、完全培地プラス染色分のOD及びT0における細胞のOD)を差し引き、その細胞の細胞生物量の減少を求めた。
結果:
HCT−15細胞をVPA非存在下又は表示濃度のVPA単独の存在下(図1A)、あるいは5−FUの非存在下又は表示濃度の5−FU単独の存在下、あるいは0.75mM VPAとの併用の下で(図1B)48時間培養した。細胞量の相乗的な減少が、VPAと5−FU両者の組合せ処置において、VPAあるいは5−FU単独での処置と比較して観察された。これは低濃度の5−FUを用いた場合に特に顕著であった。例えば、5−FUを単独で0.5μM未満の用量で用いた場合には、細胞量の観測値の増大さえもたらしたが、一方で同量の5−FUを0.75mMのVPAと併用した場合には、0.75mMのVPA単独使用よりもさらに大きな細胞量の減少をもたらした。したがって、これら二つの薬剤の組合せ活性は、この処置が相乗的な活性をもつとして説明すべきである。
〔実施例2〕
VPA又は化学療法剤/細胞毒性薬剤のシスプラチナム単独及びVPAとシスプラチナムとの併用での処置によるDU−145前立腺癌細胞の総細胞量の相乗的な減少(図2A〜B)及び、化学療法剤/細胞毒性薬剤のシスプラチナムとVPAの誘導体のひとつであるラセミ体2−n−プロピル−4−ペンチン酸(4−yn VPA)との併用による処置により達成されたDU−145前立腺癌細胞の総細胞量の相乗的な減少(図2C〜D)
総細胞量減少作用はSRB試験により測定した(試験及び読み取り手順の詳細については実施例1参照)。DU−145細胞を、VPA非存在下又は表示濃度のVPA単独の存在下(図2A)、あるいはシスプラチナム非存在下又は表示濃度のシスプラチナム単独又は1mMのVPAとの併用(図2B)でのシスプラチナムの存在下で48時間培養した。
特に低濃度のシスプラチナムが用いられた場合に、相乗的な細胞量観測値の減少が見られた。なぜなら、シスプラチナムを単独で1μM未満の用量で用いた場合には、細胞量観測値になんらの減少ももたらさなかったからである。これと対照的に、同じ投与量のシスプラチナムと1mM VPAとの併用では、1mM VPA単独使用と比べて細胞量が減少した(図2B)。このように、これら二つの薬剤の組合せ活性は、この処置が相乗的な活性をもつとして説明すべきである。
加えて、また同様に、DU−145細胞を、VPAの非存在下又は表示濃度のVPA単独(図2C)あるいはシスプラチナムの非存在下又は表示濃度のシスプラチナム単独又はVPA誘導体のラセミ体2−n−プロピル−4−ペンチン酸(4−yn VPA)との併用(図2D)下で48時間培養した。
ここでは、特に、10μM未満のシスプラチナム濃度を用いた場合、相乗的な細胞量観測値の減少があった。なぜなら、シスプラチナムを単独でこれらの投与量で用いても細胞量の減少はもたらされなかったからである。これと対照的に、同じ投与量のシスプラチナムと0.75mMのラセミ体4−yn VPAとの組合せでは、0.75mMの4−yn VPA単独使用と比べて細胞量の減少がもたらされた(図2D)。このように、これら二つの薬剤の組合せ活性は、この処置が相乗的な活性をもつとして説明すべきである。
〔実施例3〕
VPA又は化学療法剤/細胞毒性薬剤のパクリタキセル単独及びVPAとパクリタキセルとの組合せによる処置でのMCF−7エストロゲン依存性乳癌細胞の総細胞量の減少(図3)
総細胞量減少作用はSRB試験により測定した(試験手順及び読み取り手順の詳細については実施例1参照)。MCF−7細胞を、VPA非存在下又は表示濃度のVPA単独の存在下(図3A)、あるいはパクリタキセル非存在下又は表示濃度のパクリタキセル単独又は0.75mMのVPAとの併用(図3B)でのパクリタキセルの存在下で48時間培養した。VPAあるいはパクリタキセル単独処置と比べ、VPAとパクリタキセルの同時組合せ処置において細胞量の明瞭な相加的減少が観察された。
〔実施例4〕
VPA又は化学療法剤/細胞毒性薬剤のゲムシタビン単独及びVPAとゲムシタビンとの組合せによる処置でのA−549非小細胞性肺癌細胞の総細胞量の減少(図4)
総細胞量減少作用はSRB試験により測定した(試験手順及び読み取り手順の詳細については実施例1参照)。A−549細胞をVPA非存在下又は表示濃度のVPA単独の存在下(図4A)、あるいはゲムシタビン非存在下又は表示濃度のゲムシタビン単独又は0.75mMのVPAとの併用(図4B)でのゲムシタビンの存在下で48時間培養した。
VPAあるいはゲムシタビン単独処置と比べ、VPAとゲムシタビンの同時組合せ処置において細胞量の明瞭な相加的減少が観察された。
〔実施例5〕
VPA又は化学療法剤/細胞毒性薬剤のカンプトテシンの単独及びVPAとカンプトテシンの組合せ(図5A〜B)での処置によるCOLO320DM結腸癌細胞の総細胞量の減少を示し、またVPAの誘導体のひとつであるラセミ体2−n−プロピル−4−ペンチン酸(4−yn VPA)と化学療法剤カンプトテシンとの併用による処置により達成された、PC−3前立腺癌細胞の総細胞量の少なくとも相加的な減少(図5C〜D)を提示する
総細胞量減少作用はSRB試験により測定した(試験手順及び読み取り手順の詳細については実施例1参照)。COLO329DM又はPC−3細胞を、VPA又はラセミ体4−yn VPA非存在下、あるいは表示濃度のVPA単独(図5A)又はラセミ体4−yn VPA単独(図5C)の存在下、あるいはカンプトテシン単独の非存在下又は表示濃度のカンプトテシン単独又は0.75mMのVPA(図5B)あるいは0.75mMのラセミ体4−yn VPA(図5D)との併用でのカンプトテシンの存在下で48時間培養した。
両組合せ処置において明瞭な細胞量の減少が見られ、これはカンプトテシンとの併用で、VPAのみならずその誘導体である4−yn VPAも、他の抗癌剤と併用すると、ここでカンプトテシンについて示されたように、同様の少なくとも相加的な治療効果をもたらす付加的かつふさわしい作用を有することを示すものである。
〔実施例6〕
免疫療法剤としてのモノクローナル抗体類との併用における、バルプロ酸による腫瘍細胞の生存率の相乗的及び/又は相加的な抑制(図6)
細胞株及び細胞培養
ヒトMDA−MB468、MDA−MB453及びSKBR3乳癌細胞及びA431扁平上皮癌を、10%の熱不活化ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミン、100単位/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを補充したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM,BioWhittaker, Verviers, Belgium)中で維持した。
細胞生存率試験
腫瘍細胞を通常の増殖培地中96ウェルプレートに1×104細胞/ウェルの密度で播種し、70時間の間、最終濃度3mMのバルプロ酸、2μg/mlの治療用アンチErbB2抗体ヘルセプチンTM、2μg/mlの治療用アンチEGF受容体抗体 c225(Fan & Mendelsohn, Curr. Opin. Oncol.,10: 67-73, 1998)、又はバルプロ酸と上記と同じ濃度のヘルセプチンTMあるいはc225抗体との組合せで処理した。対照細胞はバルプロ酸又は抗体の非存在下で増殖させた。各ウェルに10mg/mlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)(Sgma,Deisenhofen, Germany)PBS溶液を10μl加え、さらに3時間細胞を培養した。細胞を90μlの溶解用緩衝液(20%SDSの50%ジメチルホルムアミド溶液、pH4.7)を加えて溶解した。ホルマザン生成物を可溶化させた後、590nmにおける吸収をマイクロプレート・リーダー(Dynatech, Denkendorf, Germany)中で測定し、生存細胞の相対量をバルプロ酸あるいは抗体を加えずに培養した細胞と比較して計算で求めた。
結果
図6に示された結果は、バルプロ酸及び治療用抗体ヘルセプチンTM及びc225は、それぞれ単独薬剤として乳癌細胞及び扁平上皮細胞癌の生存率を抑制することを示している。しかしながら、バルプロ酸と治療用抗体ヘルセプチンTMの併用処置は、SKRB3細胞において顕著な相加的治療効果をもたらしている。しかし、さらに興味深いことには、VPAとの組合せ処置において、細胞生存率の相乗的な減少が試験した上記以外の3つの細胞株において観察されたことである。すなわち、MDA−MB453細胞におけるヘルセプチンTMとの併用、及びMDA−MB468とA431細胞におけるc225との併用である。これらの結果は、バルプロ酸が治療用抗体と併用されると、強く高められた治療効果を示すこと、そして上皮起源の固形癌に由来する多種多様な腫瘍細胞の生存率を強力に抑制することを実証するものである。さらにこの結果は、バルプロ酸及びその誘導体が治療用抗体との併用で、それらの腫瘍の療法として相乗的な治療的成功を収めつつ使用できるであろうことを示すものである。
〔実施例7〕
バルプロ酸と組換え抗体融合タンパク質を用いる免疫療法的/細胞毒性アプローチによる腫瘍細胞増殖抑制(図7及び8)
細胞株及び細胞培養
ヒトSKBR3乳癌細胞、A431扁平上皮癌細胞及びSKOV3卵巣癌細胞を10%の熱不活化したウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミン、100単位/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを補充したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM,BioWhittaker, Verviers, Belgium)中で維持した。
E.coliβ−ガラクトシダーゼをコードするpZeoSV2/lacZプラスミドを安定に遺伝子導入された腎臓細胞癌(Renca)細胞で、さらにcerbB2及びネオマイシン抵抗性をコードするプラスミドpSV2ErbB2N及びpSV2neoを導入されたRenca細胞(Renca−lacZ/ErbB2)(Maurer-Gebhard et al., Cancer Res. 58:2661-2666, 1998)、あるいは上皮性増殖因子(EGF)受容体、腫瘍原性に活性化されたEGF受容体変異株EGFRvIII及びネオマイシン抵抗性をコードしているプラスミドpLTR−EGFR又はpLTR−EGFRvIII及びpSV2neoを導入されたRenca細胞(Renca−lacZ/EGFR及びRenca−lacZ/EGFRvIII)(Schmidt et al., Oncogene 18: 1711-1721, 1999)を8%FBS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、0.25mg/ml Zeocin及び0.48mg/ml G418を補充したRPMI−1640培地中で増殖させた。
細胞生存率試験
腫瘍細胞を通常の増殖培地中96ウェルプレートに1×104細胞/ウェルの密度で播種した。SKBR3、A431,及びSKOV3細胞は40時間の間、最終濃度3mMのバルプロ酸、又は10ng/mlの組換えアンチErbB2単鎖抗体毒素scFv(FRP5)−ETA(Wels et al., Cancer Res. 52: 6310-6317,1992)、又は10ng/mlの組換えアンチEGF受容体単鎖抗体毒素scFv(14E1)−ETA(Schmidt et al., Brit. J. Cancer 75: 1575-1584, 1997)、あるいはバルプロ酸と上記と同濃度のscFv(FRP5)−ETA又はscFv(14E1)−ETAのいずれかとの組合せにより処理した。Renca−lacZ/ErbB2、Renca−lacZ/EGFR及びRenca−lacZ/EGFRvIII細胞は40時間の間、最終濃度1mMのバルプロ酸、又は10ng/mlの組換えアンチErbB2単鎖抗体毒素scFv(FRP5)−ETA、又は1ng/mlの組換えアンチEGF受容体単鎖抗体毒素scFv(14E1)−ETA、あるいはバルプロ酸と上記と同濃度のscFv(FRP5)−ETA又はscFv(14E1)−ETAいずれかとの組合せにより処理した。対照細胞はバルプロ酸あるいは抗体毒素の非存在下で増殖させた。各ウェルに10mg/mlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)(Sigma, Deisenhofen, Germany)PBS溶液を10μl加え、さらに3時間細胞を培養した。90μlの溶解用緩衝液(20%SDSの50%ジメチルホルムアミド溶液、pH4.7)を加えて細胞を溶解した。ホルマザン生成物を可溶化させた後、590nmにおける吸収をマイクロプレート・リーダー(Dynatech, Denkendorf, Germany)中で測定し、生存細胞の相対量をバルプロ酸あるいは抗体毒素を加えずに培養した細胞と比較して計算で求めた。
結果
提示した結果(図7及び8)は、バルプロ酸及びアンチErbB2又はアンチEGF受容体免疫毒素は、単独の薬剤として乳癌、卵巣癌、腎臓癌及び扁平上皮癌の細胞の生存率を抑制することを示している。しかしながら、バルプロ酸とアンチErbB2又はアンチEGF受容体免疫毒素との併用処置は、顕著な付加的治療効果をもたらす。これらの結果は、バルプロ酸が免疫毒素等の抗体融合タンパク質との併用で強く高められた治療効果を示すこと、そして上皮起源の固形癌に由来する多種多様な腫瘍細胞の生存率を強力に抑制することを実証するものである。さらにこの結果は、バルプロ酸及びその誘導体が、免疫毒素類との併用でそれら腫瘍の治療法として使用できるであろうことを示す。
〔実施例8〕
VPAは腎臓癌細胞(図9)のインビボマウスモデルにおける腫瘍転移発生の進行及び微小残存病変の阻害剤として作用する。
マウス腎臓癌細胞(Renca)は、Balb/cマウスに自然発生する腎臓腫瘍から樹立された。これらの細胞はBalb/cマウスに尾静脈経由で移植されると効率よく肺に腫瘍を形成し、Renca細胞の腫瘍形成性はよく確立されている(Murphy, et al., 1973, J. Natl. Cancer Inst., 50:1013-1025; Hrushesky et al., 1973, J. Surg. Res., 15: 327-332; Williams et al., 1981, Res. Comm. Chem. Pathol. Pharmacol., 34: 345-349)。このモデル設定における循環している腫瘍細胞は、残存腫瘍細胞が患者の体内を循環し、最後に種々の臓器に侵入して定着し、転移癌として成長していく際に腫瘍患者にしばしば見られる状況の模倣である。そのような微小残存腫瘍症の抑制は、現代の腫瘍療法の主要目標の一つであり、ここで用いたインビボモデルで実験的に調べることができる。
実験設定
Renca細胞及び遺伝子導入された細胞クローンRenca−lacZ(β−ガラクトシダーゼをコード)を10%のウシ胎仔血清(FCS)を補充したRPMI−1640中で培養した。宿主マウスに転移を形成するには、4〜6週齢のメスBalb/cマウスに側面尾静脈中に100μlのPBS中の105個のRenca−lacZ細胞を注射した。1群につき5匹の動物を、腫瘍細胞注入後4週まで1週間隔で屠殺し肺を切除した(Maurer-Gebhard et al., 1998, Cancer Research 58, 2661-2666)。
マウスの処置と結果:
VPAでの処置は次の通りである。すなわち、2×400mg/kg/日 腹腔内(Na−VPA, 水中155mM)。対照動物はグルコース溶液で処置した(Maurer-Gebhard et al., 1998, Cancer Research 58, 2661-2666)(図9)。
肺転移の可視化のためのX−gal染色:
切除した肺を終夜、4℃で、2%ホルムアルデヒド及び0.2%グルタルアルデヒドを含むPBS中で固定した。固定液を除去し、肺をPBSで洗浄した。X−Gal溶液での染色は、37℃、暗所で10から12時間行った(Maurer-Gebhard et al., 1998, Cancer
Research 58, 2661-2666)。転移性表面小結節を解剖顕微鏡のもとで分析し、代表的な写真を撮った。それらを図9に示す。
図9はVPAでの処置が肺転移の形成、すなわち転移小結節の数とサイズを効果的に抑制していることを示す。このことは、VPAが上皮性腫瘍から生じる転移の発展の抑制、及び微小残存腫瘍症の療法に治療的に用い得ることを示唆している。
〔実施例9〕
VPAによる、ラットでの皮下腫瘍の増殖及びMT450乳癌細胞の肺転移、及び微小残存病変の抑制(図10)
実験設定
MT450細胞を、DMEM/10%FCS培質中で培養し、注射直前にマイコプラズマが存在しないことを検査した。細胞をPBS中で2回洗い、PBS1ml当たり5×106細胞の密度に懸濁した。0.1mlのPBS中の5×105個の細胞を各ラットに注射した。それぞれ各8匹2群のラットを用いた(それぞれ±VPA)。ラットは原発癌を増殖させるべく21日間放置した。VPAナトリウム塩を155mM(等張)の水に溶かした。pHを少量の塩酸により6から7に調整し、得られた溶液を滅菌ろ過した。化合物は腹腔内注射で施用した。投与量は250gのラット当たり2mlであり、これはkgBW(体重)及び1投与量当たり1.25mmol VPAに相当する。1日2投与を適用した。対照動物には同量の無菌等張塩化ナトリウム溶液を投与した。
結果
原発腫瘍の成長を腫瘍体積を測ることにより追跡し、VPAが腫瘍の拡大を遅らせることが分かった。実験は、対照群のラットの1匹における腫瘍サイズが法で定められている限度の50mmに達した時点で終了とした。その時点で肺転移を評価するため、試験に用いた全てのラットを剖検した。対照群のすべてのラットで転移が顕著に進行していた。代表例を図10に示した。転移はVPA処置ラット8匹中7匹にも見られた。しかし、転移のサイズと数はNaCl処置ラットと比較してずっと小さかった。代表例を図10に示した。投与量決定のための実験は、上記で選んだ投与量プロトコルは高い初期血清レベルを生じる(例えば、腹腔内注射後1時間で3.6mM)が、それは急速に低下し(例えば、腹腔内注射後4時間で0.25mMなど)、ヒトでのてんかん治療中に維持されるレベルより低くなることを示した。要約すると、実験は、VPAはゲッ歯類の血清からのクリアランスが早く、有効範囲として期待される0.5mM以上のVPA血清レベルを維持することはできないにもかかわらず、VPA処置によりMT450ラット乳癌モデルにおいて原発腫瘍の増殖及び肺転移を顕著に抑制した。したがって、微小残存腫瘍症を抑制するために用いられてもよい。
〔実施例10〕
VPAのインビトロにおける造血前駆細胞の分化遮断への相乗作用。すなわち、VPAはPML−RARを発現している細胞の分化能の回復において、サイトカイン類と協同する。それゆえVPAはサイトカイン類の分化誘導活性にとって増感剤と見なされなければならない(図11)。
急性の前骨髄球性白血病細胞はHDAC阻害剤による処置に応答することが知られているので、PML−RARによる造血前駆細胞の分化遮断に対するVPAの効果を調べた。ネズミの造血前駆細胞(lin−)をPML−RARをコードしているレトロウイルスベクター及びマーカーとしてGFPで形質導入した。形質導入された細胞を、VPA非存在下又は存在下で、いくつかのサイトカイン(IL3、IL6、SCF、G−CSF及びGM−CSF)を含むカクテルで分化するように刺激した。骨髄様の分化は、分化マーカーMac−1の存在を分析することにより評価した。
結果
VPA処置は対照細胞の分化に影響を与えなかったが、一方、PML−RARの発現は強力な分化遮断を起し(図11)、それは上記のサイトカインのみによる処置では克服できなかった。しかしながら、VPA(1mM,右区画、PML−RARと表記したもの)は、PML−RARにより課された分化遮断をほぼ完全に回復させた(図11)。このように、RAなしで、VPAは、恐らくはPNL−RARにより対象遺伝子に動員されたHDAC複合体の作用を阻害することによって、細胞を分化が許容される状態に再建及び増感し、ついで、サイトカインにより分化が誘導される。このVPAの活性は相乗的な活性と見なされなければならない。なぜなら、上記のようにサイトカイン類のみでの処置では、これらのPML−RAR細胞における分化遮断を相当程度解き放つことには至らなかったからである。
方法
ネズミの造血前駆細胞を、129匹のマウスの骨髄から系統分化マーカーがないこと(lin−)を基礎に精製した。Lin−細胞は、IL−3(20ng/ml)、IL−6(20ng/ml)、SCF(100ng/ml)の存在下で48時間培養し、ついでレトロネクチン(宝酒造)でコートした組織培養に未使用のプレートに付着させた。細胞は次いで、対照レトロウイルス性ベクターPINCO、又はPINCO−PML−RARで一過性に遺伝子導入したフェニックス同種指向性パッケージング細胞からの上澄み(上記のように新鮮血清及びIL−3、IL−6及びSCFで補充されている)と培養することにより形質導入した。60時間後、GFP+細胞をFACSにより選別し、上記と同様のものに加えてG−CSF(60ng/ml)及びGM−CSF(20ng/ml)を補充したメチルセルロースプレートに播種した。それと表示したものでは、バルプロ酸ナトリウム(VPA,左から右へ0.2あるいは1mM)を分化用媒質に加えた。8〜10日後、細胞を骨髄球分化マーカーMac−1の存在についてFACSで分析した。VPAは1mMまでの濃度は、Mac−1細胞の数にも対照細胞のコロニーの数にも顕著な変化をもたらさなかった。より高い濃度(>3mM)では、コロニー数の減少が観察され、これは恐らく細胞死の導入による(データ示さず)。対照として、赤血球系の分化マーカー(Ter−119)を有するVPA−処置細胞を調べたが陽性細胞は見つからなかった(データ示さず)。対照ベクターのPINCOベクターの影響を受けていない細胞と影響を受けた細胞の反応パターンは同一であった(データ示さず)。
図11については、Lin−細胞を、表示したベクター(対照はPINCO、GFPのみをコードする空のベクター)で形質導入し、FACSでGFP+細胞を選別した。GFP+細胞をついでVPA非存在あるいは存在下(左から右へ0.2及び1mM)で分化用媒質中に播種した。分化は8〜10日後に骨髄球分化マーカーMac−1の分析により評価した。
〔実施例11〕
VPAはインビトロでPML−RARを発現している細胞をX線処置に対し感作させ、相乗的な治療効果をもたらす(図12)。
結果
X線処置(2グレイ)によって、造血前駆細胞は生存ポテンシャルの大幅な減少を示し、アポトーシスを受ける。半固体培養条件(メチルセルロース基盤媒質)では野生型細胞培養物をX線処理したものにおいては、ほとんど完全にコロニー(コロニー形成細胞、CFC由来)が存在しなくなる。このことは、未分化細胞はこの処置に非常に感受性であることを示す(図12)。際だっているのは、PML−RARの発現により、救助率>50%と対象細胞のX線感受性を著しく低下させたことである(図12)。同条件下で、VPA(1mM)は野生型細胞の感受性をわずかに減少させた。しかしながら、VPAはVPA処理細胞においてコロニーの完全かつ明らかに相乗的なコロニーの消滅を伴うPML−RAR発現細胞の再感作をもたらした(図12)。したがって、VPAはX線との組合せにおいて、X線のみの処置に耐性となった(例えば、癌原性融合タンパク質の発現を介して)細胞の感受性を救い、相乗的な治療成功率をもたらすことができよう。
方法
図11について記載したと同様にしてLin−細胞に形質導入し(詳細については実施例10での方法を参照)、そしてFACSにより選別した。選別の12時間後、細胞をPBSで洗浄し、サイトカインを含む媒質(図12に提示したデータはIL−3(20ng/ml)、L−6(20ng/ml)、SCF(100ng/ml)、G−CSF(60ng/ml)、GM−CSF(20ng/ml)を用いている)中、又はサイトカインを含まない媒質(データ示さず)中で8〜12時間培養した。培養の終わりに、細胞をX線源にさらし(合計曝露量2Gy)、さらにVPAの存在下あるいは非存在下で12〜16時間培養した。最後に、細胞をサイトカイン(IL3、IL6、SCF、G−及びGM−CSF)存在下でメチルセルロースを含む媒質(StemCell Technologies)中に播種し、8〜10日間培養した。
図12用では、未感染細胞(“コントロール”)、GFPのみを発現している細胞(“空ベクター”)、又はGFPとPML−RARを発現している細胞(“PML−RAR”)が用いられた。メチルセルロース中に播種して8日後に、総コロニー数を測定した。VPA処置細胞(1mM)は、X線処置に先立ってVPAにも曝露した。
〔実施例12〕
VPAはレチノイン酸との併用で急性前骨髄球性白血病罹患マウスの生存延長において協同する。(図13)
PML−RARを発現している造血前駆細胞を同系マウスに再導入すると、宿主動物の90%超に、ヒトのそれと見分けのつかない型の白血病を発生させる。インビボでのレチノイン酸処置(皮下へのレチノイン酸ペレットの埋め込みによる)は、(ヒトの急性前骨髄球性白血病におけるのと同様に)白血病芽細胞の最終分化を誘発させることにより、白血病マウスの生存を有意に延長する(図13及び非提示データ)。VPA処置(400mg/kgVPAを12時間置きに腹腔内注射することによる)もまた、白血病マウスの生存を有意に延長した(図13)。
最も顕著であったのは、レチノイン酸とVPAの併用で最も長い生存延長を示し、末梢血中及び調べた内臓(骨髄、脾臓)中に、全処置期間中を通して白血病芽細胞を認めなかったことであった(図13)。白血病のインビボモデルにおけるレチノイン酸とVPAの併用の際のこの印象的な結果は、VPAを、白血病の処置において、少なくとも相加的な、しかし相乗的である可能性がより高そうな、治療的生物学的応答を誘起するために、分化誘導剤(例えばレチノイン酸)との併用で投与できるであろうことを示す。
方法
PML−RARを発現している細胞の接種後に白血病を発病したマウスを屠殺した。脾細胞の単細胞懸濁液を調製し、第二次の宿主マウスに107個の細胞を再接種した。白血病芽細胞の存在が末梢血中に明らかであり、内臓(骨髄、脾臓)が既に顕微鏡的に見ると白血病細胞により侵された時点で、VPA(400mg/kg)の12時間置きの腹腔内注射、及びレチノイン酸の徐放性ペレットの皮下への埋め込みによる治療を開始した。VPA処置は、次のスケジュール、すなわち5日×2回と2日間欠期を3連続週行なった。
図13は、無処置(コントロール)、あるいはVPA、RA、又はRA+VPA(方法参照)で処置された白血病マウスの累積生存曲線(“Cum.Survival”)をしめす。かっこ内の数字は開示された代表的な実験におけるマウスの数を示す。実験は2回繰り返し、同様の結果を得た。
〔実施例13〕
VPAはいくつかの化学療法剤との併用で、HCT−116結腸癌細胞のアポトーシス誘導において相乗作用を示す。
HCT−116細胞を現在結腸癌患者の処置に使用されている薬剤である5−フルオロウラシル(5−FU)で処理した。高濃度の5−FUはHCT−116細胞のアポトーシスを効率よく誘導することができた(データ非提示)。しかし、低投与量では、緩やかな効果のみしか観察されず、観察された主な生物学的応答は、細胞分裂を繰り返す細胞(cycling cell)の減少による細胞数の減少であった(図14、また図16も参照のこと)。我々はVPAとの併用に低投与量を用いた。VPA処置のみ(1週間まで)では、これら特定の細胞においてアポトーシスは誘導されず、ほんの僅かに細胞数に影響を与えたのみであった(図15A〜B及び非提示データ)。5−FUとVPAとの併用での処置は細胞増殖の強く相乗的な低下と5−FU単独で観察されるよりもずっと高いレベルのアポトーシスを引き起こした(図16A〜B)。
VPAと化学療法剤との組合せによる相乗作用の基礎を成す機構をさらに特徴づけるために、我々はVPAによる前処置が同様の結果を達成するのに十分であるかどうかを検討した。以下の薬剤を用いた。すなわち、5−FU、アドリアマイシン(AD)及びイリノテカン(IT)である。使用した濃度においては、これらの薬剤は有意にアポトーシスを誘導せず、HCT−116細胞の増殖速度に緩やかなの影響を与えたのみであった(図14)。
細胞を3日間VPAで前処置し、次いで48時間まで、VPA+AD、VPA+FU又はVPA+ITによる同時処置を行った(図17A〜C)。驚くべきことに、VPAによる前処置により、どの化学療法剤に晒された細胞においても目覚しい相乗的なアポトーシスの亢進を引き起した(図17A〜C)。並行して行った実験で、VPAを除去(3日の前処置につづき24時間の洗い流し)した場合には、感受性は失われた。このことは、VPAがその感作作用を達成するにはVPAが化学療法剤と同時に投与されなければならないことを示している(図17A〜C)。これらの結果を総合すると、VPAの使用は腫瘍細胞を抗腫瘍活性を有するいくつかの薬剤の作用に対し感作させ、そのような組合せ治療処置における相乗的な活性をもたらす可能性があることを示している。
方法
図14については、細胞は6ウェル培養皿に100,000細胞/ウェルで播種した。次の日、それらを表示した薬剤(5−FU:2μM 5−フルオロウラシル、AD:20ng/ml アドリアマイシン、IT:3μM イリノテカン)で処置し、さらに48時間培養した。処置の24時間及び48時間後に細胞数を数えた。全てのアッセイは3回ずつ行った。
図15については、細胞は6ウェル培養皿に100,000細胞/ウェルで播種した。次の日、それらを表示した濃度のVPAで処置し、さらに48時間培養した。(A):生存細胞の3回計数の結果。(B):細胞は透過化処理及び固定後にヨウ化プロピディウムで染色された。細胞周期分析の結果は、G1、S、G2+M及びsub−G1(アポトーシス細胞)にある細胞の割合(%)で表わしてある。全てのアッセイは3回ずつ行った。
図16については、細胞は6ウェル培養皿に100,000細胞/ウェルで播種した。次の日、それらを表示した濃度の5−フルオロウラシル(5FU、2μM)又はVPA(1mM)と5−FUの組合せの存在下で72時間処置した。(A):生存細胞の3回計数の結果。(B):細胞は透過化処理及び固定後にヨウ化プロピディウムで染色された。
細胞周期分析の結果はアポトーシス細胞の割合(%)で表わしてある。全てのアッセイは3回ずつ行った。
図17については、細胞を10cm培養皿(100万細胞/皿)に播種した。次の日、最終濃度1mMのVPAの存在下で72時間処置した。次に細胞を、図14についての記載と同様に、VPA存在下(+/+のシリーズ)とVPA非存在下(+/−のシリーズ)で6ウェル培養皿に播種した。その翌日、それらを次の薬剤で図14に表示されているのと同じ濃度で処置した:5−FU(パネルA)、AD(B)、又はIT(C)。細胞の分析を処置日、処置24時間後及び48時間後に行った。
上部パネルは生存細胞の3回計数の結果である。下部パネルでは、細胞は透過化処理及び固定後にヨウ化プロピディウムで染色された。細胞周期分析の結果はアポトーシス細胞の割合(%)で表わしてある。全てのアッセイは3回ずつ行った。
〔実施例14〕
VPA又は分化誘導薬剤1α、25−ジヒドロキシビタミンD3単独及びVPAと1α、25−ジヒドロキシビタミンD3との組合せによる処置での、乳癌及び前立腺癌細胞の総細胞量の減少(図18〜19)。
MCF−7エストロゲン依存性乳癌細胞を用いた結果を図18に、DU−145前立腺癌細胞を用いた結果を図19に示す。細胞は1α、25−ジヒドロキシビタミンD3の非存在下又は表示濃度の1α、25−ジヒドロキシビタミンD3単独の存在下、(図18A及び図19A)、VPAの非存在下又は表示濃度のVPA単独の存在下、あるいは表示濃度のVPAと100nMの1α、25−ジヒドロキシビタミンD3の組合せの存在下(図18B及び図19B)にて48時間培養した。細胞増殖への効果は実施例1に記載したのと同様にしてSRB試験により測定した。
乳癌及び前立腺癌細胞において、VPAと分化誘導薬剤1α、25−ジヒドロキシビタミンD3を同時に用いる組合せ処置では、VPA又は1α、25−ジヒドロキシビタミンD3単独での処置と比較して、明瞭な少なくとも相加的な細胞量の減少が見られた。MCF−7細胞では、併用処置のわずかな相乗効果を観察することができた。
〔実施例15〕
VPAは急性骨髄球性白血病(AML)芽細胞の処置においてレチノイン酸の治療効果を付加的及び/又は相乗的に高める(図20〜26)。
我々は、t(8;21)を含みAML1/ETO融合タンパク質を発現するKasumi−1細胞株(図20)、及び告知されたAML患者の骨髄や末梢血液で、循環芽細胞の最初の割合が70%以上のものからの新鮮な芽細胞(図22)のような急性骨髄球性白血病(AML)芽細胞に対する、VPAの単独薬剤としての又はレチノイン酸との組合せでの効果を調べた。症例はFrench−American−British(FAB)分類(Bennett et al., Ann Intern Med 103, 1985)により分類分けした。APL関連の融合遺伝子の存在を除外する為に、記載された(Mandelli et al., Blood 90, 1997; Mancini et al., Br J Haematol. 91, 1995; Grimwade et al., Blood 90, 1999)標準法に従い細胞遺伝学的分析及びRT−PCR試験を行った。
結果
Kasumi−1細胞(図20)及びMO、M2及びM4 FABのサブタイプに属するAML芽細胞(図22)において、我々はVPAが単独薬剤として部分的な骨髄球分化を誘導すること、そしてRAとの併用で、後骨髄球様又は好中球様形態を有する細胞の出現及びNBT染料還元アッセイにおける陽性細胞の数の増加(65%まで)(Kasumi−1細胞については図20及び21を、AML芽細胞については図22及び24を参照)により明らかになった、完全でそれゆえ相乗的な骨髄球分化を誘発することを見出した。加えて、Kasumi−1細胞において細胞周期分析から、VPAとRAの組合せを用いた処置により、VPA又はRA単独での処置と比べて、G1期停止への細胞周期の移行が促進されていることが分かった(図23)。更に興味深いことには、AML芽細胞において、VPAとRAの組合わせによる処置は、特定の遺伝学的損傷の存在とは独立して骨髄球の分化に影響を与えた(図22)。
興味深いことに、VPAはRAとの併用で、原発性又は再発性AMLのいずれか(それぞれ3例及び2例を調べた)からの芽細胞についても骨髄球分化を誘導した。加えて、VPAが、ヨウ化プロピジウムで染色した細胞のFACS分析により評価された(4症例を調べた)ように、AML芽細胞のアポトーシスを誘導するのに有効であることが分かったが、TSAはそうではなかった。このことはさらに、VPAのHDAC阻害活性を用いて達成されるであろう治療上の有利さを示している。
さらに、このアポトーシス誘導は、VPA又はRA単独での処置に比べ、VPAとRAの組合せを用いた処置において、強く、しばしば相乗的に高められ(図25及び26)、また図27に提示した細胞周期分析による、アポトーシス細胞を示す大きなサブG1ピークの出現によっても明らかとなった。
〔実施例16〕
抗血管新生:最初にVPAの効果をヒト内皮細胞のみについて試験した。加えて、血管内皮増殖因子受容体(VEGF−R)チロシンキナーゼ活性阻害剤の効果をこれらの細胞で試験したが、これはVEGF−R阻害剤が腫瘍関連の内皮細胞活性化のモデル系(例えば、血管形成及び/又は内皮細胞活性など)において抗血管新生作用をすることが知られているからである。最後に、VPAの分化誘導及び/又はアポトーシス誘導活性を、VEGF−Rチロシンキナーゼ阻害剤との併用で、内皮細胞活性化の能力、すなわちこれらの細胞の血管新生に必要なプロセスを開始する能力に関して試験した。
VPAとVEGF−Rチロシン・キナーゼ活性阻害剤を同時に用いた組合せによる内皮細胞の処置は、それぞれの薬剤の単独使用と比べ、これらの内皮細胞の活性化について少なくとも相加的な効果を示した。したがって、VPAは血管新生過程の阻害剤との併用で、腫瘍血管新生の阻害に関し、腫瘍により誘導される内皮細胞の活性化の抑制を介して、強化された治療効果を達成するために使用できるであろう。
図1は、化学療法剤/細胞毒性薬剤の5−フルオロウラシル、5−FUとの併用でのVPAによる結腸癌細胞の総細胞量の相乗的な減少を示す(実施例1)。 図2−1は、化学療法剤/細胞毒性薬剤のシスプラチナムとの併用でのVPAによるDU−145前立腺癌細胞の総細胞量の相乗的な減少(図2A〜B)を示す(実施例2)。 図2−2は、化学療法剤/細胞毒性薬剤のシスプラチナムとの併用でのVPAの誘導体のひとつであるラセミ体2−n−プロピル−4−ペンチン酸(4−ynVPA)による処置により達成されたDU−145前立腺癌細胞の総細胞量の相乗的な減少(図2C〜D)を示す(実施例2)。 図3は、化学療法剤/細胞毒性薬剤のパクリタキセルとの併用でのVPAによる乳癌細胞の総細胞量の少なくとも相加的な減少を示す(実施例3)。 図4は、化学療法剤/細胞毒性薬剤のゲムシタビンとの併用でのVPAによる肺癌細胞の総細胞量の少なくとも相加的な減少を示す(実施例4)。 図5−1は、化学療法剤/細胞毒性薬剤のカンプトテシンとの併用でのVPAによる結腸癌細胞の総細胞量の少なくとも相加的な減少(図5A〜B)を示す(実施例5)。 図5−2は、化学療法剤/細胞毒性薬剤のカンプトテシンとの併用でのVPAの誘導体のひとつであるラセミ体2−n−プロピル−4−ペンチン酸(4−ynVPA)による処置により達成されたPC−3前立腺癌細胞の総細胞量の少なくとも相加的な減少(図5C〜D)を示す(実施例5)。 図6は、バルプロ酸とモノクローナル抗体類を用いる免疫療法的アプローチとの併用での細胞生存率の相乗的な減少を示す(実施例6)。 SKBR3及びMDA−MB453乳癌細胞(A)あるいはMDA−MB468乳癌細胞及びA431扁平上皮癌細胞(B)を3mMバルプロ酸(VPA)、2μg/mlのアンチErbB2抗体ヘルセプチンTM(A)、2μg/mlのアンチEGF受容体抗体 c225(B)、又はバルプロ酸と上記と同濃度の抗体と組合せたものとともに培養した。生存細胞の相対数を、酵素的MTT試験により実施例6に記載したと同様にして測定した。それぞれの点は3回の測定データの組の平均を表わす。 図7は、バルプロ酸と組換えアンチErbB2イムノトキシンを用いる免疫療法的/細胞毒性的アプローチとの併用での細胞生存率の少なくとも相加的な低下を示す(実施例7)。SKOV3卵巣癌細胞、SKBR3乳癌細胞及びA431扁平上皮癌細胞(A)又はRenca−lacZ/ErbB2腎臓癌細胞(B)を、3mM(A)又は1mM(B)のバルプロ酸(VPA)、10ng/mlの組換えアンチErbB2イムノトキシンscFv(FRP5)−ETA、あるいはバルプロ酸と上記と同濃度のscFv(FRP5)−ETAとの組合せとともに培養した。生存細胞の相対数を、酵素的MTT試験を用いて実施例6に記載したと同様にして測定した。それぞれの点は3回の測定データの組の平均を表わす。 図8は、バルプロ酸と組換えアンチEGF受容体イムノトキシンを用いる免疫療法的/細胞毒性的アプローチとの組合せでの細胞生存率の少なくとも相加的な低下を示す(実施例7)。 SKBR3乳癌細胞及びA431扁平上皮癌細胞(A)又はRenca−lacZ/EGFR及びRenca−lacZ/EGFRvIII腎臓癌細胞(B)を、3mM(A)又は1mM(B)のバルプロ酸(VPA)、10ng/ml(A)又は1ng/mlの組換えアンチEGF受容体イムノトキシンscFv(14E1)−ETA、あるいはバルプロ酸とscFv(14E1)−ETAの上記と同じ濃度の組合せとともに培養した。生存細胞の相対数を酵素的MTT試験を用いて実施例6に記載したと同様にして測定した。それぞれの点は3回の測定データの組の平均を表わす。 図9は、腎臓癌細胞を循環させることに始まる、インビボ・マウスモデルにおけるVPAの腫瘍転移の発生の阻害剤、及び微小残存腫瘍症の阻害剤としての作用を示す(実施例8)。 図10は、VPAによるラットでの皮下腫瘍の発生及びMT450乳癌細胞の肺転移の発生、及び微小残存症の抑制を示す(実施例9)。 図11は、インビトロでの造血前駆細胞の分化遮断に対するVPAの作用を示す。すなわち、VPAはサイトカイン類と協同してPML−RARを発現している細胞の分化能を回復させる(実施例10)。従って、VPAはサイトカイン類の分化誘導活性に対し感作的及び相乗的に働く試薬と見なされなければならない。 図12は、VPAがインビトロでPML−RARを発現している細胞をX線処置に対し感作し(実施例11)、この組合せにおいて相乗的な治療活性を惹起することを示す。 図13は、VPAが急性前骨髄球性白血病にかかっているマウスの生存延長において、レチノイン酸と相乗的に協同することを示す(実施例12)。 図14は、いくつかの化学療法剤、すなわち5−FU、アドリアマイシン及びイリノテカンの、単独でのHCT−116結腸癌細胞の細胞数への作用を示す(実施例13)。 図15は、VPA単独でのHCT−116結腸癌細胞の細胞周期分布に及ぼす作用を示す(実施例13)。 図16は、VPA単独処理でのHCT−116結腸癌細胞へのアポトーシス誘導、及び化学療法剤5−FUとの併用でのVPAの相乗活性を示す(実施例13)。 図17−1は、いくつかの化学療法剤、すなわち5−FU、アドリアマイシン及びイリノテカンとの併用での、HCT−116結腸癌細胞の細胞生存率に及ぼすVPAの相乗作用を示す(実施例13)。 図17−2は、いくつかの化学療法剤、すなわち5−FU、アドリアマイシン及びイリノテカンとの併用での、HCT−116結腸癌細胞の細胞生存率に及ぼすVPAの相乗作用を示す(実施例13)。 図17−3は、いくつかの化学療法剤、すなわち5−FU、アドリアマイシン及びイリノテカンとの併用での、HCT−116結腸癌細胞の細胞生存率に及ぼすVPAの相乗作用を示す(実施例13)。 図18は、分化誘導薬剤1α、25−ジヒドロキシビタミンD3との併用でのVPAによるMCF−7乳癌細胞の細胞量の相加的及び/又は相乗的減少を示す(実施例14)。 図19は、分化誘導薬剤1α、25−ジヒドロキシビタミンD3との併用でのVPAによるDU−145前立腺癌細胞の細胞量の少なくとも相加的な減少を示す(実施例14)。 図20は、RAとの併用でのVPAのKazumi1細胞の生存率への相加性作用及びKazumi1細胞の分化過程への相乗作用を示す(実施例15)。 図21は、Kazumi1細胞の生存率、細胞数及び骨髄球の分化に対するVPAの単独薬剤としてのあるいはRAとの併用での用量依存的作用を示す。細胞数は血球計算板と光学顕微鏡を用いて直接細胞を数える(トリパンブルー染料除去法)ことにより評価、定量化された。形態学的検査はライト・ギームザ染色されたサイトスピン(cytospins)及びニトロブルーテトラゾリウム(NBT)染料還元試験によりそれぞれ行われた。それぞれの点は3回の測定データの組の平均を表わす(実施例15)。 図22は、VPAとRAの組合せでの処置におけるAML患者からの白血病性芽球細胞の生体外での分化の相乗的効果を、これらの薬剤単独での使用と比較して示す(実施例15)。 図23は、ヨウ化プロピジウム染色したKazumi1細胞のFACS分析により解析した細胞周期分布に対するRAの単独薬剤としてのあるいはVPAとの併用での用量依存的作用を示す(実施例15)。 図24は、VPA処置単独あるいはRAとの併用により誘導されたAML芽球の形態分化(後骨髄球あるいは好中球様形態を有する細胞の出現)を示す(実施例15)。 図25は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤TSA及びVPA+/−RAの原発性AML芽球の生存率への作用を示す。評価はトリパンブルー染料除去法により、血球計算板を用いて行った。それぞれの点は3回の測定データの組の平均を表わす(実施例15)。VPAは相乗的治療応答をもたらす可能性がある。 図26は、原発性AML芽球において、ヨウ化プロピジウム染色した細胞のFACS分析による、VPA及びTSA単独又はRAとの併用で処置した後の、細胞周期の変化及びアポトーシスDNAの解析を示す(実施例15)。

Claims (41)

  1. 臨床的に確立されている抗癌治療薬との併用療法における処置効果のためにヒト癌細胞を感受性にする医薬の製造における式I:
    Figure 2005512961
    (式中、R1及びR2は、独立して直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、一個又は数個のヘテロ原子を含んでいてもよく、また置換基を有していてもよい炭素数3〜25の脂肪族炭化水素鎖を表し、R3は水酸基、ハロゲン、アルコキシ基又はアルキル化されていてもよいアミノ基を表わす。)で表わされる化合物又はその薬学上許容される塩の使用。
  2. 1及びR2が、独立して一個の二重結合又は三重結合を含んでいてもよく、直鎖状又は分枝状の炭素数3〜25の炭化水素鎖であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
  3. 該化合物が、VPA、4−yn VPA及びそれらの薬学上許容される塩からなる群より選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
  4. 該式Iの増感剤を用いる併用療法が、放射線照射処置、分化誘導薬剤による処置、化学療法剤による処置、細胞毒性薬剤による処置、ホルモン療法、免疫療法、抗血管新生療法及び/又は遺伝子治療を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
  5. 該式Iの増感剤を用いる併用療法が放射線照射を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  6. 該式Iの増感剤を用いる併用療法が分化誘導薬剤による処置を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  7. 該分化誘導薬剤がビタミンAを主成分とする薬剤、ビタミンD3を主成分とする薬剤及びサイトカイン類からなる群より選択されることを特徴とする請求項6に記載の使用。
  8. 該式Iの増感剤を用いる併用療法が免疫療法を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  9. 該免疫療法が抗体の使用を含むことを特徴とする請求項8に記載の使用。
  10. 該抗体が細胞毒性タンパク質又は薬剤成分等の官能基と結合していることを特徴とする請求項9に記載の使用。
  11. 該抗体が放射性同位元素と結合していることを特徴とする請求項9に記載の使用。
  12. 該免疫療法が腫瘍ワクチン接種を含むことを特徴とする請求項8に記載の使用。
  13. 該式Iの増感剤を用いる併用療法が拮抗的に作用するホルモン試薬による処置を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  14. 該式Iの増感剤を用いる併用療法が請求項4に記載した抗腫瘍療法の少なくとも2つの方法を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
  15. 該ヒト癌が、微小残存腫瘍症、腫瘍転移、皮膚癌、エストロゲン受容体依存性及び非依存性乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、結腸及び結腸直腸癌、膵臓癌、頭頚部癌、小細胞及び非小細胞肺癌及び血液細胞の癌からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
  16. 該式Iの増感剤がHDAC活性を有する酵素の阻害剤であり、1種又は数種の他の抗癌処置との併用療法により相加的な治療効果をもたらすことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の使用。
  17. 該ヒストン脱アセチル化酵素活性を有する酵素が哺乳類、好ましくはヒトのヒストン脱アセチル化酵素であることを特徴とする請求項16に記載の使用。
  18. 該ヒトのヒストン脱アセチル化酵素がHDAC1〜8及びSIR2タンパク質ファミリーの一員からなる群より選択されることを特徴とする請求項16又は17に記載の使用。
  19. 該式Iの増感剤がHDAC群のサブセットのみを特異的に阻害することを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の使用。
  20. 該式Iの増感剤が細胞の分化誘導のために用いられることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
  21. 該式Iの増感剤が形質転換細胞の分化誘導のために用いられることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
  22. 該式Iの増感剤が形質転換細胞のアポトーシス誘導のために用いられることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
  23. ヒストン又はアセチル化によって機能が調節されているその他のタンパク質の高アセチル化の誘導が、ヒト癌の治療に好ましい効果を与えることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の使用。
  24. 該式Iの増感剤又はその薬学上許容される塩が第一の治療剤として投与され、また抗癌剤が第二の治療剤として投与され、該抗癌剤の1日当たりの投与量が、該抗癌剤の単独投与における1日当たりの投与量と比べて有意に低減されることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の使用。
  25. 請求項1〜3に記載の式Iの化合物又はその薬学上許容される塩を、患者体内の癌細胞を感受性にするのに有効な量で癌患者に投与することを特徴とする、抗癌剤の投与量を低減させる方法。
  26. 患者体内の癌細胞を抗癌剤に対し感受性にするのに有効な量の請求項1〜3に記載の式Iの化合物又はその薬学上許容される塩、及び治療的に有効な量の該抗癌剤とを投与することを特徴とする患者体内の癌を処置する方法。
  27. 請求項1〜3に記載の式Iの化合物又はその薬学上許容される塩を、患者体内の癌細胞を抗癌剤に対し感受性にするのに有効な量で患者に投与することを特徴とする抗癌剤の治療的活性を高める方法。
  28. 第一の治療剤として請求項1に記載の式Iの化合物又はその薬学上許容される塩を、第二の治療剤として抗癌剤を含み、該抗癌剤が投与に適した形でその抗癌剤単独投与の際の投与量と比べ有意に低減された1日当りの投与量で提供されていることを特徴とする薬剤キット。
  29. 患者の体内で請求項1〜3に記載の増感剤に代謝される物質の、ヒト癌の併用療法のための医薬の製造における使用。
  30. バルプロ酸誘導体を提供し、
    そのヒストン脱アセチル化酵素阻害活性を測定し、
    併用癌治療におけるその有効性を判定し、そして
    もし、その物質がヒストン脱アセチル化酵素活性及び併用癌治療でそれぞれの単独処置よりも有意により高い有効性を有していればその物質を選択することを特徴とする、癌の併用療法に有用な増感剤を同定するための方法。
  31. ヒストン脱アセチル化酵素阻害活性を、
    転写抑制アッセイ、
    ヒストンH3又はヒストンH4のアセチル化を検出するウェスタン・ブロット法、又は
    酵素による脱アセチル化アッセイ
    により測定することを特徴とする請求項30に記載の方法。
  32. 併用療法効果を細胞培養で、又はインビボ動物腫瘍モデルを用いて測定することを特徴とする請求項30又は31に記載の方法。
  33. 細胞周期分析、アポトーシス細胞の検出、生細胞数又は腫瘍サイズの測定、細胞分化マーカーの検出、細胞の代謝活性の測定及び/又は細胞膜の完全性測定を含む方法を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. a)実質的に同一の2つの細胞個体群を用意する工程、
    b)第一の個体群をVPA又はその誘導体と接触させる工程、
    c)第一の個体群を一つ又はいくつかの他の抗腫瘍療法による処置に付す工程、及び
    d)VPA又はその誘導体と接触させなかった第二の個体群よりも、VPA又はその誘導体と接触させ、一つ又はいくつかの他の抗腫瘍療法による処置に付された第一の個体群中で有意に高いレベルで発現した遺伝子あるいは遺伝子生成物を検出する工程(ここで工程b)及びc)は、同時にあるいはどのような順番でも実施することができる。)
    を含むことを特徴とする、バルプロ酸又はその誘導体と一つ又はいくつかの他の抗腫瘍療法との併用療法により調節される遺伝子を同定するための方法。
  35. サブトラクティブハイブリダイゼーションあるいは複数のcDNAサンプル、発現配列タグ又はユニジーンコレクションのスクリーニングを用いることを特徴とする請求項34に記載の方法。
  36. 核酸技術の使用を含むことを特徴とする請求項34又は35に記載の方法。
  37. ハイブリダイゼーション又はポリメラーゼ連鎖反応を用いることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  38. 分化的に制御されたタンパク質に対する特異抗体を検出に用いることを特徴とする請求項34又は35に記載の方法。
  39. ヒトあるいは動物の体外で、請求項34〜38のいずれかに記載の方法により同定される遺伝子の発現レベルの測定を含むことを特徴とする腫瘍診断方法。
  40. インビトロで腫瘍又は腫瘍細胞が、VPA又はその誘導体と一つ又はいくつかの他の抗腫瘍療法との併用療法に応答性であるかどうかを調べる工程を含むことを特徴とする、腫瘍又は腫瘍細胞を同定するための診断方法。
  41. 請求項33〜37のいずれかの方法を含むことを特徴とする請求項40に記載の診断方法。
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