JP2005512523A - 炭疽菌抗原性組成物 - Google Patents
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Abstract
防御抗原(PA)および致死因子(LF)を含む抗原性薬学的組成物が提供され、このPAおよび/またはLFは、機能的結合部位を欠き、それによって、このPAおよびLFがこの結合部位を介して互いに結合することを防ぐか、または、PAがこの結合部位を介して天然のPA細胞レセプターに結合することを防ぎ、そしてこの組成物は、動物細胞に対して実質的に非毒性である。これは、哺乳動物、好ましくはヒトにおける炭疽菌毒性を予防または最小にするための組成物である。この薬学的組成物の抗原性成分をコードするDNAおよびRNAベースのワクチンも提供される。本明細書はまた、PA、LF、またはEFの少なくとも1つに結合する抗体も記載し、その結合によって、(i)PAがLFもしくはEFに、または天然のPA細胞レセプターに結合すること;あるいは(ii)LFがPAに結合すること;あるいは(iii)EFがPAに結合することを防ぐ。
Description
本発明は、炭疽菌関連毒性に対して防御を提供する抗原性組成物、および該組成物の調製方法に関する。
炭疽菌ワクチンは、40年以上も本出願人によって製造されており、そして1979年以来、the Secretary of State for Healthによって所有されるUK Product Licence(PL1511/0037)の主要製品であった。しかし、その期間内で、製品開発またはその製造工程における進歩はほとんどなかった。
上記のワクチンの調製を、ここでより詳細に記載する。毒素産生で非莢膜形成性のB. anthracis 34F2「Sterne」株[Sterne, M. (1939). Onderstepoort J. of Veterinary Science and Animal Industry, 13, 307-312頁を参照のこと]の培養物を、多数のThompson瓶中の一部定義された500ml容量の培地中で選択した培養瓶のpHがpH7.4以下に低下するまで37℃にて増殖させる。
増殖期間の最後に(約24〜28時間)、培養物を吸引によって採取し、そしてプールした上清液を濾過により滅菌する。硫酸カリウムアルミニウム溶液を添加し、そして得られた溶液を混合する。次いで、pHを5.8〜6.2に調節し、そして得られた凝集物(「ミョウバン沈殿物」)を、5℃にて1週間以内で重力下に静置する。
次いで、沈殿物を、吸引によって20倍(容量)に濃縮し、そして生理食塩液で1:4に希釈して、炭疽菌ワクチン沈殿物(AVP)の「5倍」濃縮物を提供する。これは、ワクチン処方に使用される抗原性組成物である。ワクチンは、ヒトへの使用の前に効力および安全性についての動物テストに供されるが、別々のルーチンの生化学的特徴付けはない。
1つのさらなる無細胞炭疽菌ワクチンが、ヒトに使用されている。このワクチンは、米国で生産され、そして異なるB. anthracis株が使用されそして嫌気的に増殖させること以外は、PL1511/0037下で利用可能であることが広く類似する。このプロセスは、ファーメンターベースであり、そして培養濾液を、水酸化アルミニウム懸濁液上に吸収させる。
他の利用可能なワクチンは、生きた弱毒化された芽胞懸濁液を含む。しかし、弱毒化した病原体に関連する元来の危険性のため、これらのワクチンは、通常、非ヒトの使用に制限される。
炭疽菌毒素は、防御抗原(PA)、浮腫因子(EF)、および致死因子(LF)として知られる3つの異なるポリペプチドからなる。毒素成分は、特定の2つの組み合わせで作用し、PAとEFとの組み合わせは浮腫毒素(ET)を形成して、組織浮腫を引き起こし、そしてPAとLFとの組み合わせは致死毒素(LT)を形成して、実験動物に致死的でありそして単球およびマクロファージ細胞の溶解を引き起こす。致死毒素は、末梢マクロファージおよび他の細胞における細胞傷害効果の結果としての炭疽菌関連死の主な原因であると考えられる。
PAは、ターゲット細胞結合部分として作用し、そして細胞に関連するプロテアーゼによる部位特異的なN末端活性化の後、オリゴマー化し、そしてEFおよびLFが競合する高親和性結合成分を提供する。EFまたはLFが活性化したPAに結合した後、得られるETまたはLT複合体は、酸性エンドソームコンパートメントによってインターナライズし、そして毒素因子EFおよびLFは、それによってターゲット細胞のサイトゾル中に送達される。
EFはカルシウムおよびカルモジュリン依存性アデニリルシクラーゼであり、細胞内ATPのcAMPへの変換を触媒する。EFは、種々の細胞内シグナリング経路で活性であり、そしてそれによってある範囲の細胞プロセスを破壊し得る。
LFは、Zn2+依存性メタロプロテアーゼであり、2つの特異性、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼMAPKK/1および2、MEK−1およびMEK−2、ならびにおそらく他のタンパク質を切断しそして不活性化する。
ヒトへの使用についての炭疽菌ワクチンのインビトロまたはインビボの公表されたデータの調査は、以下のことを示す。
1.今日まで、すべての有効な炭疽菌ワクチンは、PA(すなわち、83kDaのプロ形態、またはその活性化した63kDa誘導体のいずれか)を含むまたは産生する。実際、現在の定説は、PAが、単独で有効な炭疽菌ワクチンを産生するために必要かつ十分であることであり、そしてこのようなワクチンを開発するための努力が行われている[例えば、Baillie, L. (2001), 91, 609-613頁を参照のこと]。
2.莢膜形成していない毒素形成性の生きた芽胞ワクチンは、ライセンスした無細胞ワクチンでこれまで行ったよりも、これまでテストしたすべてのB. anthracis株に対してより高度の防御をもたらす[Little, S.F. (1986) Inf. and Imm., 52巻, 2号, 509-512頁を参照のこと]。
3.現在の無細胞ワクチンは、一般的に、ほとんど定義されておらず、そしてバッチ毎の主成分の効果が著しく異なり得る。したがって、各バッチは、ヒトでの使用の前に動物モデルにおける有効性を個々にテストしなければならない。
4.現在の無細胞炭疽菌ワクチン製造プロセスは、生産プロセスの完了および最終生産物のパッケージングについてのみ評価される。したがって、任意の1バッチのワクチン材料が有効性テスト基準に適合しない事象において、寄与している要因は容易に同定され得ない。このような要因は、製造されたバッチ間で異なり得、そして理解の欠如は、製造プロセスにおいて遭遇した何らかの困難性を悪化させる。
5.現在の無細胞ワクチンのほとんど定義されていない性質の結果として、これらのワクチンは、大量のPAをLFおよび/またはEFとともに含み得、これは、63kDa形態へのPAのインビボ(またはインビトロ)活性化の際に、LTおよびETを形成しそしてワクチンのレシピエントに有害な効果を発揮し得る。このようなワクチンはまた、もちろん、他のB. anthracisタンパク質、分泌および溶解の両方の生産物、ペプチドグリカン、核酸、および炭水化物を含み得、これらは防御有効性に欠陥を生じさせ得る。
6.現在の無細胞ワクチン組成物は、LF、PA、およびEF濃度が大きく変動し、そのためEFはいくつかの調製物には含まれ得ない。
7.現在の無細胞組成物は、総タンパク質含量が大きく変動する。したがって、所定の組成物中に存在する毒素成分の濃度は著しく変動し得る。これは、次に、ヒトにおける有効性および潜在的な毒性に影響を及ぼし得る。
この2〜3年にわたり、炭疽菌分野の重要な学術的研究が行われており、この研究は、PAの天然の結合部位およびトランスロケーションドメインの同定を可能にした[Bhatnagas, R. (2001) Critical Rev. in Microbiol., 27(3), 167-200頁;およびBatra, S. (2001) Biochem. and Biophys. Res. Comm., 281, 186-192頁を参照のこと]。したがって、PAの構造および結合/トランスロケーションドメインは、十分に記述されている。
同様に、学術的な研究により、LFの結合および酵素機能ドメインの説明が可能になった[Bragg, T.S. (1989) Gene, 81, 45-54頁;Quinn, C.P. (1991) J. Biol. Chem, 266巻, 30号, 20124-20130頁;Gupta, P. (2001) Biochem. and Biophys. Res. Comm., 280, 158-163頁;およびKlimpel, K.R. (1994) Mol. Microbiol., 13(6), 1093-1100頁を参照のこと]。したがって、LFの構造および結合/酵素機能ドメインは、十分に記述されている。
最近、第二世代「組換え」炭疽菌ワクチンが、The Ohio State University Research Foundationによって提案されている[WO 01/45639;およびPrice, B.M. (2001) Inf. and Immun., 69巻, 7号, 4509-4515頁を参照のこと]。記載されたワクチンは、PAおよびLFに基づいており、ここではLF分子は、亜鉛メタロプロテアーゼネガティブであるように改変されている。したがって、記載されているPAおよびLF成分は、互いに十分に結合して、LT分子を形成し得るが、得られたLT分子は、LF成分とともに存在する亜鉛メタロプロテアーゼの活性な機能がないので、細胞傷害性ではない。
バイオテロリズムおよび生物戦の脅威が増している点で、代替の炭疽菌ワクチン、および上記の1以上の確認された問題に対するワクチンの必要性がある。
したがって、本発明の第1の局面によれば、ワクチンとして使用するための抗原性組成物が提供され、該組成物は、防御抗原(PA)および致死因子(LF)を含み、該PAおよび/またはLFは、機能的結合部位を欠き、それによって該PAおよびLFが該結合部位を介して互いに結合することを防ぐか、または、該PAが該結合部位を介して天然のPA細胞レセプターに結合することを防ぎ、そして該組成物は、動物細胞に対して実質的に非毒性である。
本明細書全体を通してPAとは、PAの83および63kDa形態の両方を包含する。
本発明において、PAは、天然のPAが結合する天然のターゲット細胞レセプターに、または天然のLFのいずれかに結合できないならば、機能的結合部位を欠く。
天然のPAに対する天然のターゲット細胞レセプターは、炭疽菌毒素レセプター(ATR)である−Bradley, K.A.ら(2001)を参照のこと。したがって、本発明において、PAは、ATRに実質的に結合できない。あるいは、本発明において、PAは、単球またはマクロファージ細胞に実質的に結合できないならば、天然のPAが結合する天然のターゲット細胞レセプターに結合できない。
任意の特定のPAがターゲット細胞上の天然のPAレセプターについての機能的結合部位を欠くことを確認するために、実施例10に概説するような簡単なテストが行われ得る。同様に、任意の特定のPAが天然のLFに対する機能的結合部位を欠くことを確認するために、実施例11に概説するような簡単なテストが行われ得る。
本発明において、LFは、天然のPAに結合できないならば、機能的結合部位を欠く。任意の特定のLFが天然のPAに対する機能的結合部位を欠くことを確認するために、実施例12に概説するような簡単なテストが行われ得る。
用語「非毒性」とは、組成物の成分が、活性な致死毒素(LT)または活性な浮腫毒素(ET)のいずれかを実質的に形成し得ないことを意味する。これに関して、活性な毒素は、その天然のターゲット細胞に結合し、ターゲット細胞膜を横切ってトランスロケーションを行い、そして酵素的に活性なLFまたはEFをそのサイトゾル中に送達し得る毒素である。
使用する場合、組成物は、LTおよびET活性を実質的に有さない。
組成物のLT成分が、多くとも20%、好ましくは多くとも10%、より好ましくは多くとも5%の実質的に純粋な天然のLTの活性(質量ベースに対する質量で)を有するならば、組成物は、実質的に非毒性でありそしてLT活性を実質的に有さないと見なされ得る。これは、例えば、それぞれのLD50値を比較することによって、またはそれぞれの細胞溶解(例えば、マクロファージ溶解)活性を比較することによって、決定され得る。後者は、実施例9に記載されるアッセイに基づいて評価され得る。
組成物のET成分が、多くとも20%、好ましくは多くとも10%、より好ましくは多くとも5%の実質的に純粋な天然のETの活性(質量ベースに対する質量で)を有するならば、組成物は、実質的に非毒性でありそしてET活性を実質的に有さないと見なされ得る。これは、例えば、ETに関連するそれぞれの組織浮腫発生活性を視覚的に比較することによって、決定され得る。
あるいは、それぞれのET活性は、それぞれの細胞内アデニルシクラーゼ活性を比較することによって評価され得る。これは、実施例8に記載されるアッセイに基づいて評価され得る。
本発明の好適な実施態様によれば、抗原性組成物は、第3の成分である浮腫因子(EF)を含み得る。本発明のEFは、好ましくは、機能的結合部位を欠き、それによってEFが天然のPAに結合することを防ぐ。任意の特定のEFが天然のPAに対する機能的結合部位を欠くことを確認するために、実施例13に概説するような簡単なテストが行われ得る。
機能的結合部位を欠く本発明のPA、LF、およびEF成分は、従来の技法によって天然のPA、LF、またはEFを(それぞれ)改変することによってそれぞれ調製され得る。これに関して、機能的結合部位を欠く成分を提供するための改変は、核酸レベルまたはタンパク質レベルのいずれかで行われ得る。天然のPA、LF、またはEFの構造的改変が好ましい。
例えば、1以上の天然のPA、LF、およびEFは、問題の天然の結合部位を不活性化するように、例えば、トキソイド化することによって、従来の化学的または生物学的改変に供せられ得る。また、タンパク質レベルでは、不可逆的に結合しそれによって問題の結合部位を不活性化する合成ペプチドが用いられ得る。
あるいは、結合部位不活性化は、従来の非特異的突然変異誘発によって、または、天然のPA、LF、およびEFをコードする核酸の従来の部位特異的突然変異誘発によって、核酸レベルで行われ得る。適切な不活性化は、結合部位配列をコードする核酸配列内で、または、得られるペプチドにおいて問題の結合部位におけるコンホメーション変化を与えそれによってその結合部位が機能不全になる隣接する部位内で、1以上の欠失、挿入、または置換によって行われ得る。
上記のタンパク質レベルおよび核酸レベルの改変は、本明細書において後でより詳細に記載される。
好適な実施態様では、PA(すなわち、LFまたはEFよりもむしろ)は、機能的結合ドメインを欠き、PAがLFまたはEFのいずれかに、あるいはその天然のターゲット細胞結合部位に結合することを実質的に防ぐ。必要に応じて、PAは、その天然のトランスロケーション機能を減少させるまたは実質的に不活性化するために、さらに改変され得る。あるいは、本発明の別の局面では、PAは、ワクチンに用いられ得、ここでPAは、不活性なトランスロケーションドメインを有するが、天然の(すなわち、機能的な)結合ドメインを有し得る。
主な不活性成分としてのPAの不活性化に関連する利点は、本発明の抗原性組成物が、天然の(すなわち、活性な)LFを、およびEFが存在するならば天然の(すなわち、活性な)EFを含み得ることである。これは、天然のPAが活性なLTおよび活性なETの両方の形成に必要とされるので、可能である。このような成分が、天然の毒素に関連する同じエピトープを有し、そのため強力な抗原性応答を誘起するので、天然の毒素成分の使用は好ましいことであり得る。
LF、および(存在するならば)EFは、それぞれ機能的結合部位を欠き、これらは本発明の抗原性組成物に用いられ得る。このような結合部位の欠損したLFおよびEFは、該結合部位を介して天然のPAに結合できない。
1つの実施態様では、LFおよび/またはEFの天然の酵素活性機能は、実質的に不活性化され得る。したがって、この実施態様では、本発明のLFおよび/またはEFは、天然のLFおよびEFと比較した場合(質量対質量)、それぞれ多くとも50%、好ましくは多くとも25%の酵素活性を有する。
しかし、好ましい実施態様では、LFおよび/またはEFの天然の酵素活性機能は、実質的に保持される。したがって、本発明のLFは、天然のLFと比較した場合(質量対質量)、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%のメタロプロテアーゼ活性を保持する。同様に、本発明のEFは、天然のEFと比較した場合(質量対質量)、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%のアデニリルシクラーゼ活性を保持する。
本発明の種々の成分は、好ましくは組換え手段によって調製され、それによって注意深く規定された組成物の供給が可能になる。これは、現在の無細胞炭疽菌ワクチンシステムでは可能ではない。
上で詳述したように、本発明の1以上のPA、LF、およびEF分子は、機能的結合部位を欠く。これは、問題の結合部位へまたはその近くへの構造的改変の導入によって達成され得る。例えば、分子(例えば、アルキル基、または他の立体障害分子)は、結合部位にまたはその近くに導入されて、結合部位が機能不全になり得る。同じ効果は、結合部位内またはその近くで電荷環境を変更する荷電分子の導入によって達成され得る。あるいは、結合部位全体が欠失され得るか、または特定のアミノ酸残基が、問題の結合部位またはその近くで欠失、置換、または挿入され得る。しかし、本発明のPA、LF、およびEF分子が、最適な免疫応答を誘起することが好ましく、したがって、結合部位不活性化のプロセスが、結合部位ドメインの外側に(すなわち、結合部位から離れて)最小の3−Dコンホメーション変化を導入することが所望される。
結合部位不活性化は、DNAまたはタンパク質レベルで行われ得る。後者の場合、適切な化学または生物学的改変剤として、アルキル化剤;リン酸化剤;一般的な酸化または還元剤;ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドなどのアルデヒド類;および過酸化水素などの過酸化物発生剤が挙げられ得る。実施例に記載される改変剤のいずれかが、1以上のPA、LF、およびEFを化学的または生物学的に改変するために使用され得る。
タンパク質レベルで結合部位不活性化を行う場合、結合部位に関連のない位置での所望されない3−Dコンホメーション変化を避けることが好ましい。したがって、好適な実施態様では、改変剤(例えば、ホルムアルデヒド)は、一般的に、約200μgタンパク質/mlの組成物に対して、約0.1〜5、好ましくは0.2〜1、代表的には0.5%(v/v)の最終濃度で適用される。次いで、改変プロセス(トキソイド化としても知られる)は、例えば、37℃で5〜20時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは1〜5時間、時々振盪しながら行われる。
あるいは、結合部位不活性化は、核酸レベルで行われ得る。例えば、組成物の個々の成分は、組換えによって調製され得、そのプロセス中に、改変が1以上の組換え産物に導入され得る。このような改変は、本発明の成分が活性なLTまたはETを形成する能力を実質的に減少させる。
抗原性組成物の1つの成分(特にPA)の結合部位不活性化が好ましい。しかし、組成物の2以上の成分は、機能的結合部位を欠くように不活性化され得る。
したがって、1つの実施態様では、この組成物は、LFまたはEFに結合できないPAを含む。これは、例えば、天然のPAに関連するフューリン切断部位を不活性化し、それによって第1の場所におけるPA上のLFまたはEF結合部位の曝露を防ぐことによって、あるいはPA上の曝露されたLFまたはEF結合部位を不活性化することによって達成され得る。
したがって、1つの実施態様では、機能的フューリン切断部位(すなわち、アミノ酸残基163〜168)が不活性化される。フューリンは、インビボで天然のPA(すなわち、83kDa形態)をタンパク質分解切断によって63kDa形態に活性化する酵素であり、そしてこのようにLFおよびEFが競合する特異的結合部位を曝露することによってLTおよびETをそれぞれ形成する。
フューリン切断部位内またはその近くの単一のアミノ酸残基変化(すなわち、欠失、挿入、または置換)は、フューリン切断の効果を低下させ得、そしてそのためPAを実質的に不活性化する。好適な実施態様では、2以上のアミノ酸残基が切断部位内で変化され、そして特に好適な実施態様では、PAはフューリン切断部位全体を欠く(すなわち、天然のPAの残基163〜168のすべてがない)。他の実施態様では、1以上のアミノ酸残基、または短いペプチド配列が、フューリン切断部位に挿入され得る。任意のこのような短いペプチド配列は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜5アミノ酸残基長である。
関連する実施態様では、天然のターゲット細胞に対する機能的結合部位を欠くPAが用いられる(例えば、改変は、アミノ酸残基315〜735内またはその近く、好ましくはドメイン4の残基596〜735内またはその近くで行われる)。
したがって、PA結合部位(例えば、アミノ酸残基315〜735)内またはその近くの変化(すなわち、アミノ酸欠失、置換、または挿入)は、その天然のターゲット細胞レセプターに対するPAの結合効率を低下させ得、そのためPAを実質的に不活性化する。PAのフューリン切断部位不活性化について上述のように、2以上のアミノ酸残基が、変化(すなわち、欠失、置換、または挿入)され得、これは、天然のターゲット細胞レセプターに対するPA結合部位全体の欠失を含み、あるいは、ペプチド配列は、結合部位に挿入され得る。
さらなる実施態様では、または本発明の別の局面では、機能的トランスロケーションドメインを欠くPAが用いられる。
さらに、または不活性なPAの代替として、本発明の組成物は、好ましくは不活性なLFを含む。
1つの実施態様では、PAに対する機能的結合部位を欠くLFが用いられる(例えば、改変は、LFのN末端ドメイン内またはその近くで、好ましくはアミノ酸残基1〜255内またはその近くで行われる)。
さらなる実施態様では、機能的エンドペプチダーゼ活性または亜鉛結合部位を欠くLFが用いられる(例えば、改変は、LFのC末端ドメイン内またはその近くで、好ましくは天然の配列「HEFGHAV」に対応する残基686〜692内またはその近くで行われる)。
LFエンドペプチダーゼ活性のレベルは、本出願人によって開発された簡単なアッセイによって評価され得る(実施例7を参照のこと)。これに関して、好ましい酵素活性不活性化は、エンドペプチダーゼ活性が、多くとも40%、好ましくは20%、より好ましくは10%の天然のLF活性まで低下されている場合に達成される。
本発明の組成物はまた、不活性なEFを含み得る。
1つの実施態様では、PAに対する機能的結合部位を欠くEFが用いられる(例えば、改変は、EFのN末端ドメイン内またはその近くで、好ましくはアミノ酸残基1〜250内またはその近くで行われる)。
さらなる実施態様では、または結合部位欠失実施態様の他に、アデニリルシクラーゼ活性がないEFが用いられる(例えば、改変は、残基314〜321によって占められるATP結合部位内またはその近くで、および/または残基613〜767によって占められるカルモジュリン結合部位内またはその近くで行われる)。
EFアデニルシクラーゼ活性のレベルは、実施例8に記載のようなEFアデニルシクラーゼ活性アッセイによって評価され得る。これに関して、好ましい不活性化は、エンドペプチダーゼ活性が、多くとも40%、好ましくは20%、より好ましくは10%の天然のEF活性まで低下されている場合に達成される。
本発明の別の局面によれば、不活性なEFは、ワクチン主成分として、必要に応じてPAおよび/またはLFとともに用いられ得る。EFは、アデニリルシクラーゼ活性に関して不活性であり、および/またはPAに対する不活性な結合部位を有する。PAおよび/またはLF成分は、既に詳述したように機能的結合部位を欠き得、そしてSapおよび/またはEA1のような他の抗原を伴い得る。
本発明のPA、LF、およびEF成分を結合部位機能に関して機能不全にするためのさらなる手段は、1以上のPA、LF、およびEFにおける結合部位を不活性化するインヒビターを含むことである。
1つの実施態様では、インヒビターは、天然のターゲット細胞に対する、またはLFもしくはEFに対する、PA上の結合部位を模倣する。あるいは、インヒビターは、PA上のフューリン切断部位に結合し得る。したがって、インヒビターがPAに結合した後、天然のターゲット細胞レセプターを結合する、またはLFもしくはEFに結合する、またはLFもしくはEFをトランスロケートする、PAの能力は、実質的に低下または阻害され、それによってPAは不活性になる。インヒビターは、好ましくは、PAに不可逆的に結合する。1つの実施態様では、インヒビターは、モチーフ「YWWL」を有する短いペプチドである。好ましい実施態様は、「HTSTYWWLDGAP」および「HQLPQYWWLSPG」を含む。
他の実施態様では、インヒビターは、PAに対するLFまたはEFのいずれかの結合部位を模倣する。したがって、インヒビターがLFまたはEFに結合した後、PAに結合するLFまたはEFの能力は実質的に低下または阻害され、それによってLFまたはEFは不活性になる。インヒビターは、好ましくはLFまたはEFに不可逆的に結合する。1つの実施態様では、インヒビターは、LFまたはEF上の活性部位と結合し、あるいはLFまたはEFへの補因子(例えば、亜鉛、ATP、カルシウム、および/またはカルモジュリン)の結合を除去/防止する。
本発明の組成物は、さらなる抗原性成分、好ましくは1以上のS−層タンパク質を含み得る。
最も特徴的なB. anthracisの菌体抗原は、S−層タンパク質であり、Sap(例えば、Sap1)およびEA1[Farchausら, (1995) J. Bacteriology, 177, 2481-2489頁;およびMesnageら (1997) Molec. Microbiol. 23, 1147-1155頁を参照のこと]がある。
B. anthracisのS−層タンパク質に関連する生物学的機能は、現在のところ明らかではない。タンパク質配列レベルでは、それらのN末端領域は、66%までの同一性を示す。逆に、それらのC末端領域は、同一性または類似性がほとんどない。
SapおよびEA1の両方とも細胞と会合するが、EA1は、主要細胞会合抗原を構成する。
Sapタンパク質は、インビトロで増殖中にB. anthracis「Sterne」派生株によって高レベルで産生される。B. anthracis「Sterne」派生株を用いて提示される動物からの抗血清は、明らかにEA1を認識するが、S−層タンパク質を含む細胞抽出物は、ビルレントB. anthracis株でのチャレンジに対して防御を提供しないことが報告されている。
本発明の組成物における抗原の起源およびソースは、好ましくは天然の宿主(すなわち、B. anthracis)である。これは、異なる宿主における抗原の産生は、翻訳適合度および正確な翻訳後改変が変化することによってタンパク質コンホメーションの変動を生じ得るからである。このような変化は、これらの抗原の抗原性または免疫原性の変更を生じ得る。
しかし、PA、LF、およびEFが株毎に変動する点で、本発明の好ましい実施態様は、種々のコンホメーションまたはエピトープを有する多価のPA、LF、および必要に応じてEFを用いる。全長の保存された抗原の他に、免疫原性破壊産物の存在が好適であり得る。
本発明の第2の局面によれば、防御抗原(PA)および致死因子(LF)を含む組成物が提供され、ここでPAおよびLFは、それぞれ1〜60μg/ml、好ましくは2〜40μg/ml、より好ましくは2〜20μg/mlの濃度で存在する。
好適な実施態様では、PAおよびLFのそれぞれの最小濃度は、2μg/ml、好ましくは5μg/ml、より好ましくは10μg/mlである。
1つの実施態様では、組成物は、PAおよびLFを、1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1、より好ましくは1:1.5〜1.5:1の質量比で含む。
組成物成分は、天然のB. anthracisの培養物から直接的に、または適切な量の組換え抗原を混合することによって、得られ得る。
存在するならば浮腫因子(EF)とともに(示した比および/または濃度の)上記の成分は、本発明の第1の局面について上述したように、機能的結合部位をそれぞれ欠き得る。
本発明の第3の局面によれば、組成物の調製方法が提供され、この方法は、
少なくとも10mMのグルコースを含む培地中でB. anthracis細菌を培養する工程;
グルコース濃度が1mMまで、好ましくは0.5mMまで、より好ましくは0.1mMまでの濃度に低下した時点で細菌を採取する工程;
可溶性または懸濁したタンパク質を沈殿させる化合物を添加して、それによって培養沈殿物を形成する工程;および
防御抗原(PA)、致死因子(LF)、および必要に応じて浮腫因子(EF)を含む沈殿物を回収する工程、を含む。
少なくとも10mMのグルコースを含む培地中でB. anthracis細菌を培養する工程;
グルコース濃度が1mMまで、好ましくは0.5mMまで、より好ましくは0.1mMまでの濃度に低下した時点で細菌を採取する工程;
可溶性または懸濁したタンパク質を沈殿させる化合物を添加して、それによって培養沈殿物を形成する工程;および
防御抗原(PA)、致死因子(LF)、および必要に応じて浮腫因子(EF)を含む沈殿物を回収する工程、を含む。
可溶性または懸濁したタンパク質を沈殿させる化合物は、好ましくは硫酸カリウムアルミニウムである。
存在するならば浮腫因子(EF)とともに上記成分は、本発明の第1の局面について上述したように、機能的結合部位をそれぞれ欠き得る。
第3の局面の方法は、本発明の第2の局面で定義したような成分濃度を有する組成物を調製するために用いられ得る。
本発明の第4の局面は、抗原性組成物を調製するための組換え方法を提供し、この方法は、
防御抗原(PA)をコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして発現したPAを回収する工程;
致死因子(LF)をコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして発現したLFを回収する工程;
必要に応じて、浮腫因子(EF)をコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして発現したEFを回収する工程;および
PA、LF、および必要に応じてEFを組み合わせる工程、
を含み、ここで、PAおよび/またはLFは、機能的結合部位を欠く。
防御抗原(PA)をコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして発現したPAを回収する工程;
致死因子(LF)をコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして発現したLFを回収する工程;
必要に応じて、浮腫因子(EF)をコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして発現したEFを回収する工程;および
PA、LF、および必要に応じてEFを組み合わせる工程、
を含み、ここで、PAおよび/またはLFは、機能的結合部位を欠く。
Sap1および/またはEA1は、同様に調製され、そして抗原性組成物に添加され得る。
好ましくは、PAは、機能的結合部位を欠く。あるいは、PAは、LF(および必要に応じてEF)とともに、それぞれ機能的結合部位を欠く。
好適な実施態様では、第2の局面で上述した濃度および必要に応じて比で、成分が存在する。
組換え体の性質、および結合部位改変の点で、抗原性組成物の成分のコンホメーションは、感染している株の天然のPA、LF、およびEFとはわずかに異なり得る。これは、ある範囲の感染している株に対して改良された抗原性を提供し得る。
本発明の第5の局面によれば、PA、LF、およびEFの少なくとも1つに結合する抗体が提供され、そしてこれが結合した場合、PA、LF、およびEFは(それぞれ)機能的結合部位を欠く。本発明の抗体の局面は、好ましくは感染後に用いられる。
抗体は、好ましくは、問題の結合部位に特異性を有する。
1つの実施態様では、2以上のこの抗体を含む組成物が提供され、これらの抗体は、PA、LF、またはEFから選択される種々の分子に結合する。Sap1またはEA1に結合する抗体も含まれ得る。
ポリクローナル抗体が所望される場合、選択した哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマなど)に免疫原性ポリペプチドを免疫する。免疫した動物からの血清を収集し、そして公知の手順に従って処理する。所望のエピトープに対するポリクローナル抗体を含む血清が、他の抗原に対する抗体を含む場合、ポリクローナル抗体は、イムノアフィニティークロマトグラフィーによって精製され得る。
あるいは、例えば、細胞融合による不死化抗体産生細胞株の調製、または癌原性DNAでのBリンパ球の直接形質転換、もしくはエプスタイン−バーウイルスでのトランスフェクションなどの他の技法を含む、ハイブリドーマによるモノクローナル抗体の作成のための一般的な方法論が用いられ得る。
本発明のこの局面で用いられる抗体は、任意の抗体イソタイプファミリーに属し得、またはその誘導体または模倣物であり得る。本明細書全体を通して抗体というときは、組換え産生された抗体、および問題の炭疽菌抗原に結合し得る抗体の一部を包含する。
1つの実施態様では、抗体は、IgG、IgM、またはIgAイソタイプファミリーに属する。
他の実施態様では、抗体は、IgAイソタイプファミリーに属する。本明細書全体を通してIgAイソタイプというときは、この抗体の分泌形態(すなわち、sIgA)を包含する。sIgAの分泌コンポーネント(SC)は、インビトロまたはインビボで付加され得る。後者の場合、ヒトの天然のSC標識機構の使用が用いられ得る。
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であり得るが、好ましくはモノクローナル抗体である。
本発明の第6の局面によれば、PAまたはLFをコードするDNAプラスミドが提供され、このPAまたはLFは、機能的結合部位を欠き、それによってPAおよびLFがこの結合部位を介して互いに結合することを防ぎ、またはそれによってPAがこの結合部位を介して天然のPA細胞レセプターに結合することを防ぎ、そしてここで、このプラスミドは、PAまたはLFに作動可能に連結しそしてそれぞれPAまたはLFの発現を駆動する真核生物プロモーターを含む。したがって、DNAプラスミドは、DNAワクチンとして用いられ得、そしてポリアデニル化シグナルを含み得る。
本発明の代替の局面によれば、EFをコードするDNAプラスミドが提供され、このEFは、機能的結合部位を欠き、それによってEFがPAに結合することを防ぎ、またはこのEFはアデニリルシクラーゼ活性が実質的になく、そして、このプラスミドは、EFに作動可能に連結しそしてEFの発現を駆動する真核生物プロモーターを含む。
本発明のDNAプラスミド局面の1つの実施態様では、上記のPA、LF、またはEFの2以上、および必要に応じてSap1および/またはEA1をコードしそして発現を可能にする1または複数のプラスミドが提供される。
本発明のDNAプラスミドは、好ましくは、ワクチンとして投与される。
関連の局面では、本発明は、上記PA、LF、またはEF、Sap1の少なくとも1つをコードするRNA分子を提供する。
本発明のRNA分子局面の1つの実施態様では、上記のPA、LF、またはEFの2以上、および必要に応じてSap1および/またはEA1をコードしそして発現を可能にする2以上のRNA分子が提供される。
RNA分子は、ワクチンとして、動物、好ましくはヒトに直接導入され得るか、または投与前にRNAベクターに組み込まれ得る。
本発明の第7の局面は、炭疽菌中毒を実質的に予防するための医薬品の製造における、本明細書に定義された抗原性組成物、抗体、および/またはDNAまたはRNA含有組成物の使用を提供する。
本明細書に記載される種々の抗原性組成物は、ワクチンとしての使用が意図される。
ワクチン成分(例えば、PA、LF、およびEF)は、他の成分の前に、または他の成分と同時に、または他の成分の後に投与され得る。
ワクチンは、従来の経路、例えば、静脈内、皮下、腹腔内、および粘膜経路によって投与され得る。
代表的には、このようなワクチンは、溶液または懸濁液のいずれかとして注射可能薬物として調製され;注射前に溶液または懸濁液とするのに適切な固体形態も調製され得る。調製物はまた、乳化され得、あるいはペプチドはリポソームまたはマイクロカプセル中にカプセル化される。
活性な免疫原性成分は、しばしば、薬学的に受容可能でありそして活性成分と適合可能な賦形剤と混合される。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。さらに、所望であれば、ワクチンは、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、および/またはワクチンの効果を増強するアジュバントなどの少量の補助物質を含み得る。効果的であり得るアジュバントの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、nor−MDPという)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEという)、およびRIBI(これは、2%スクワレン/Tween(登録商標)80エマルジョン中に、細菌から抽出された3つの成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコール酸、および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含む)。
ワクチンは、従来どおり、注射によって、例えば、皮下または筋肉内のいずれかに、非経口投与される。
ワクチンは、投与処方物と適合可能な様式で、および予防的および/または治療的に有効な量で投与される。投与されるべき量は、一般的には、用量あたり5μgから250μg抗原の範囲であるが、治療されるべき被験体、被験体の免疫系が抗体を合成する能力、および所望の防御の程度に依存する。投与に必要とされる活性成分の正確な量は、主治医の判断に依存し、そして各被験体に特有であり得る。
ワクチンは、単回投与スケジュールで、または必要に応じて多回投与スケジュールで投与され得る。多回投与スケジュールは、ワクチン接種の初回のコースが1〜6の別々の投与量であり得、次いで免疫応答を維持およびまたは再強化するために必要なその後の時間間隔で他の投与が行われ、例えば、2回目の投与については1〜4カ月目であり、必要ならば、数カ月後にその後の1または複数回の投与が行われる。投与方法はまた、少なくとも一部は、個体の必要性によって決定され、そして主治医の判断に依存する。
さらに、1または複数の免疫原性抗原を含むワクチンは、他の免疫調節剤(例えば、免疫グロブリン)および抗生物質とともに投与され得る。
投与の他の態様に適切なさらなる処方物として、マイクロカプセル、坐剤、およびある場合には、経口処方物、またはエアロゾルとしての分布に適切な処方物が挙げられる。坐剤については、伝統的な結合剤およびキャリアとして、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが挙げられ得;このような坐剤は、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で活性成分を含む混合物から形成され得る。
経口処方物は、例えば、医薬品用のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常用いられる賦形剤を含む。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性処方物、または粉剤の形態をとり、そして10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含む。
1つの実施態様では、医薬品は、鼻内(i.n.)に投与され得る。鼻内組成物は、容量では、液滴は、0.001〜100μlのおおよその範囲の液滴のサイズを有する、100〜5000μmの範囲のおおよその直径を有する液滴形態で投与され得る。
鼻内投与は、鼻液滴を塗布することによって、または鼻噴霧によって達成され得る。鼻液滴の場合、液滴は、代表的には、約1000〜3000μmの直径および/または1〜25μlの容量を有し得るが、鼻噴霧の場合、液滴は、代表的には、約100〜1000μmの直径および/または0.001〜1μlの容量を有し得る。
抗体のi.n.送達後、肺への通過は、粘膜分泌の逆流によって容易にし得ることが可能である。
異なる実施態様では、医薬品は、エアロゾル処方物で送達され得る。エアロゾル処方物は、粉剤、懸濁剤、または液剤の形態をとり得る。
エアロゾル粒子のサイズは、エアロゾルの送達能力に関連する1つの因子である。したがって、より小さい粒子は、より大きな粒子よりも、肺胞に向かって気道をさらに下方へ移動し得る。1つの実施態様では、エアロゾル粒子は、気管支、細気管支、および肺胞の全長に沿った送達を容易にするための直径分布を有する。あるいは、粒子サイズ分布は、気道の特定の部分、例えば、肺胞をターゲティングするために選択され得る。
エアロゾル粒子は、噴霧吸入器または鼻噴霧によって送達され得る。
医薬品のエアロゾル送達の場合、粒子は、0.1〜50μm、好ましくは1〜5μmのおおよその範囲の直径を有し得る。
本発明の医薬品のエアロゾル処方物は、必要に応じて、噴射剤および/または界面活性剤を含み得る。
患者に投与されるべき液滴のサイズを本発明の所定の範囲内に制御することによって、肺胞への不用意な抗原送達を回避/最小化し、したがって、肺の炎症および線維形成瘢痕化のような肺胞に関連する病理学的問題を回避できる。
i.n.ワクチン接種は、鼻および気管支関連粘膜組織におけるTおよびB細胞の両方が媒介するエフェクターメカニズムに適合し、これは、他の粘膜関連リンパ様組織とは異なる。
抗原の鼻内送達は、抗原を呼吸器系の粘膜下B細胞にターゲティングさせる。これらのB細胞は、哺乳動物において主要な局所IgA産生細胞であり、そして鼻内送達は、炭疽菌抗原に対するこれらの細胞によるIgA産生の迅速な増加を容易にする。
1つの実施態様では、炭疽菌抗原を含む医薬品の投与は、IgA抗体産生を刺激し、そしてIgA抗体は、炭疽菌抗原に結合する。他の実施態様では、粘膜および/またはTh2免疫応答が刺激される。
本明細書全体を通して成分PA、LF、EF、およびS−層タンパク質をいうときは、それらのフラグメント、改変体、および誘導体を包含する。
用語「フラグメント」とは、問題の成分の、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、および最も好ましくは少なくとも35のアミノ酸残基を有するペプチドを意味する。フラグメントは、好ましくは、対応する天然の成分の少なくとも1つのエピトープを含む。フラグメントは、対応する天然の成分の酵素的分解から生じ得る。
用語「改変体」とは、問題の成分と、少なくとも70、好ましくは少なくとも80、より好ましくは少なくとも90パーセントのアミノ酸配列相同性を有するペプチドまたはペプチド「フラグメント」を意味する。「改変体」の例は、アミノ酸の1以上のアナログ(例えば、非天然アミノ酸)または置換された連結を含むペプチドまたはペプチドフラグメントである。用語「相同性」および「同一性」は、本明細書において同義と考えられる。
配列比較について、代表的には、1つの配列は、参照配列として作用し、これに対してテスト配列が比較され得る。配列比較アルゴリズムを用いる場合、テストおよび参照配列は、コンピュータに入力され、次の座標が指定され、必要であれば、そして配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する1または複数のテスト配列についての配列同一性のパーセンテージを算出する。
比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman[Adv. Appl. Math. 2: 484 (1981)]の局所相同性アラインメントアルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch[J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)]のアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman[Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)]の類似性方法についての検索によって、これらのアルゴリズム(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA - Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705)のコンピュータ実行によって、または目視検査によって行われ得る[Current Protocols;Molecular Biology,F.M. Ausbelら編,Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc.およびJohn Wiley & Sons, Inc. (1995 Supplement) Ausbubelを参照のこと]。
配列類似性のパーセントを決定するために適切なアルゴリズムの例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズム[Altschul (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410頁;およびthe National Center for Biotechnology Informationの「http://www.ncbi.nlm.nih.gov/」を参照のこと]。
好ましい相同性比較において、同一性は、少なくとも10アミノ酸、好ましくは少なくとも20アミノ酸、より好ましくは少なくとも35アミノ酸長である配列の領域にわたり存在する。
用語「誘導体」とは、問題の成分(またはそのフラグメントもしくは改変体)を含む分子を意味する。したがって、誘導体は、問題の成分、および1以上の追加のエピトープを導入するさらなる配列(例えば、ペプチド)を含み得る。さらなる配列は、好ましくは、問題のペプチドの基本的な折りたたみおよびこのようなコンホメーション構造を妨害すべきではない。
「誘導体」の例は、融合タンパク質、および結合体である。したがって、2以上の成分(またはフラグメントもしくは改変体)は、誘導体を形成するために一緒に連結され得る。あるいは、成分(またはフラグメントもしくは改変体)は、関連のない分子(例えば、第2の、関連のないペプチド)に連結され得る。誘導体は、化学的に合成され得るが、代表的には組換え核酸方法によって調製される。脂質、および/または多糖、および/またはポリケチド成分などの追加の非ペプチド分子が誘導体に含まれ得る。
すべての分子「フラグメント」、「改変体」、および「誘導体」は、共通の抗原性交差反応性、および/またはそれらが由来する成分と実質的に同じインビボ生物学的活性を有する。例えば、フラグメント、改変体、または誘導体に結合し得る抗体もまた、問題の成分に結合し得る。
フラグメント、改変体、または誘導体がそれぞれ、問題の成分の活性部位(例えば、結合部位、または酵素機能活性部位)を有することが、好ましい特徴である。したがって、LFの場合、このようなフラグメント、改変体、または誘導体は、LFのエンドペプチダーゼ活性部位および/または亜鉛結合部位を有する。同様に、EFの場合、このようなフラグメント、改変体、または誘導体は、EFのアデニリルシクラーゼ活性部位を有する。好ましくは、LFのこのフラグメント、改変体、または誘導体は、天然のメタロプロテアーゼの少なくとも30%の活性を有し、そしてEFのこのフラグメント、改変体、または誘導体は、天然のアデニリルシクラーゼの少なくとも30%の活性を有する。
本発明を、以下の実施例を参考にして説明する。
実施例1−組換え抗原の産生
非毒素産生株のBacillus anthracis(UM23C1-1株)を、炭疽菌毒素遺伝子の組換え発現用の宿主としてうまく使用した。天然の宿主の使用により、天然の遺伝子のバックグラウンドにおける遺伝子発現の明らかな利点が得られる。したがって、この宿主を、本研究に必要とされる毒素成分試薬の発現に用いた。
非毒素産生株のBacillus anthracis(UM23C1-1株)を、炭疽菌毒素遺伝子の組換え発現用の宿主としてうまく使用した。天然の宿主の使用により、天然の遺伝子のバックグラウンドにおける遺伝子発現の明らかな利点が得られる。したがって、この宿主を、本研究に必要とされる毒素成分試薬の発現に用いた。
2つの発現ベクター(pAEX−4およびpAEX−AV4)を構築した。これらは、異なるプロモーターの組み合わせの使用、ならびに精製タグ(pAEX−AV4)の準備において、互いに異なる。両方のベクターとも、ルーチンのクローニング操作の目的のためのE. coli、および組換えタンパク質の発現のためのB. anthracis UM23C1-1の両方において、複製可能なグラム陰性/グラム陽性シャトルベクターである。2つのベクターの代表として、pAEX−4を図1に図示する。
実施例2−B. anthracis発現システム:プラスミドpAEX−4の開発
発現ベクターpAEX−4は、精製用の融合パートナーを含まず、組換え致死因子(LF)、浮腫因子(EF)、および防御抗原(PA)のソースを提供する。
発現ベクターpAEX−4は、精製用の融合パートナーを含まず、組換え致死因子(LF)、浮腫因子(EF)、および防御抗原(PA)のソースを提供する。
このシステムにおいて、乳酸球菌P59プロモーターおよびB. anthracis Ppag(防御抗原)プロモーターは、タンデムで、発現を駆動する。E. coliにおける複製は、pUC9複製起点から開始するが、グラム陽性宿主においては、十分に特徴づけられたpUB110起点から開始する。
炭疽菌毒素遺伝子をサブクローニングする:
EF、LF、およびPAをそれぞれコードする毒素遺伝子cya、lef、およびpagを、CAMR核酸コレクションから得た適切なクローンからサブクローニングした。遺伝子を、制限エンドヌクレアーゼ切断によってNdeI−SalIフラグメントとして取り出した。すべての遺伝子の5’および3’末端を、必要とされる制限エンドヌクレアーゼ認識部位を組み込むように設計されたオリゴヌクレオチドを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成した。すべてのサブクローニング作業を、市販のE. coli K12派生株宿主を用いて行った。DNA構築物を、dam-dcm-E. coli宿主SCS110(Stratagene、Europe)を経由させて、発現分析のためのB. anthracisヘの形質転換に用いた。
EF、LF、およびPAをそれぞれコードする毒素遺伝子cya、lef、およびpagを、CAMR核酸コレクションから得た適切なクローンからサブクローニングした。遺伝子を、制限エンドヌクレアーゼ切断によってNdeI−SalIフラグメントとして取り出した。すべての遺伝子の5’および3’末端を、必要とされる制限エンドヌクレアーゼ認識部位を組み込むように設計されたオリゴヌクレオチドを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成した。すべてのサブクローニング作業を、市販のE. coli K12派生株宿主を用いて行った。DNA構築物を、dam-dcm-E. coli宿主SCS110(Stratagene、Europe)を経由させて、発現分析のためのB. anthracisヘの形質転換に用いた。
実施例3−抗原シードストックの産生
pAEX−4pag、pAEX−4lef、またはpAEX−4cyaのいずれかを有するB. anthracis UM23C1-1を、10μg/mlのネオマイシンを含む改変PYS5培地中で中程度の通気で37℃にて16時間増殖する(200rpm、2000mlフラスコ中200ml容量)。一晩の増殖後、適切な培養物の0.5mlアリコートを、0.5mlの40%(v/v)滅菌グリセロールと混合し、そして必要になるまで−70℃にて保存する。
pAEX−4pag、pAEX−4lef、またはpAEX−4cyaのいずれかを有するB. anthracis UM23C1-1を、10μg/mlのネオマイシンを含む改変PYS5培地中で中程度の通気で37℃にて16時間増殖する(200rpm、2000mlフラスコ中200ml容量)。一晩の増殖後、適切な培養物の0.5mlアリコートを、0.5mlの40%(v/v)滅菌グリセロールと混合し、そして必要になるまで−70℃にて保存する。
生存性を、シードストックからの培養物の接種および増殖によって評価し、防御抗原(PA)、致死因子(LF)抗原、または浮腫因子(EF)抗原の発現レベルを、適切な発現構築物で新たに形質転換したB. anthracis UM23C1-1のコロニーから直接接種した培養物と比較する。
実施例4−B. anthracis UM23C1-1のバッチ培養増殖
適切な発現構築物(図1を参照のこと)を有するB. anthracis UM23C1-1クローンを、10μg/mlのネオマイシンを含む改変PYS5培地中で中程度の通気で37℃にて16時間増殖する(200rpm、2000mlフラスコ中500ml容量)。一晩の増殖後、B. anthracisの500ml培養物を、遠心分離(10,000×g、10分、4℃、Sorvall RC5B34)によって採取し、上清を氷上で冷却し、そして真空下で濾過滅菌する(Millipore、0.22μm PVDFメンブラン)。すべての上清を、分析および抗原精製まで−20℃にて保存する。
適切な発現構築物(図1を参照のこと)を有するB. anthracis UM23C1-1クローンを、10μg/mlのネオマイシンを含む改変PYS5培地中で中程度の通気で37℃にて16時間増殖する(200rpm、2000mlフラスコ中500ml容量)。一晩の増殖後、B. anthracisの500ml培養物を、遠心分離(10,000×g、10分、4℃、Sorvall RC5B34)によって採取し、上清を氷上で冷却し、そして真空下で濾過滅菌する(Millipore、0.22μm PVDFメンブラン)。すべての上清を、分析および抗原精製まで−20℃にて保存する。
実施例5−抗原精製
PAを、プラスミドpAEX−4pagを有するB. anthracis UM23C1-1中で発現させる。培養上清を、遠心分離によって澄明にし、そして0.22μmニトロセルロースフィルター(Millipore)を用いて滅菌濾過した。固体の硫酸アンモニウムを、培養上清に攪拌しながらゆっくり加え、60%飽和の最終濃度にした。沈殿したタンパク質を、遠心分離によって回収する(10,000×g、4℃、10分)。
PAを、プラスミドpAEX−4pagを有するB. anthracis UM23C1-1中で発現させる。培養上清を、遠心分離によって澄明にし、そして0.22μmニトロセルロースフィルター(Millipore)を用いて滅菌濾過した。固体の硫酸アンモニウムを、培養上清に攪拌しながらゆっくり加え、60%飽和の最終濃度にした。沈殿したタンパク質を、遠心分離によって回収する(10,000×g、4℃、10分)。
ペレットを、1mMのEDTAを含む20mMピペラジン(pH9.7)に再懸濁し、そして過剰の同じ緩衝液に対して一晩透析する。透析物を、同じ緩衝液で平衡化したSource 30Q陰イオン交換カラム(AP Biotech)にアプライする。タンパク質を、上記のように1mMのEDTAを含む20mMピペラジン(pH9.7)中で展開させたNaClグラジエントを用いて溶出させる(図2を参照のこと)。PAを含む画分を、SDS−PAGE(図3を参照のこと)およびウサギ抗PA抗血清を用いるウエスタンブロッティングによって同定する。
LFおよびEFを、わずかに改変してPAについて上述したように発現および精製する。
上記の増殖条件を用いるこれらのタンパク質の代表的な収量は、PA、LF、およびEFについてそれぞれ80mg/l、35mg/l、および5mg/lである。
実施例6−炭疽菌ワクチン組成物の処方
ワクチンは、以下のいずれかによって処方され得る:
1.天然の宿主B. anthracis中で産生した適切な量の精製組換え抗原を組み合わせること;または
2.天然のB. anthracis培養物から直接得ること。
ワクチンは、以下のいずれかによって処方され得る:
1.天然の宿主B. anthracis中で産生した適切な量の精製組換え抗原を組み合わせること;または
2.天然のB. anthracis培養物から直接得ること。
選択肢1をより詳細に説明し、そして適切な量の精製組換え抗原を用いる。
ワクチンの主成分は、2つの炭疽菌毒素成分、防御抗原(PA)および致死因子(LF)である。
主成分を、EF、Sap、EA−1などのような他のタンパク質と組み合わせてもよい。Alhydrogelのようなアジュバントを、組み合わせたタンパク質混合物に、あるいは組み合わせる前に個々のタンパク質に添加してもよい。これらの成分(および他のタンパク質)を、1〜20μg/ヒト用量のような好適な濃度で一緒に組み合わせる。
組み合わせたタンパク質を、好ましくは、ワクチンの安全性(すなわち、非毒性)を確実にする方法で処方する。
以下の説明においては、これは、rPAをrΔPA83と置き換えることによるPAの不活性化によって達成される。
PAは、83kDaタンパク質(PA83)であり、そのターゲット細胞表面レセプターに結合した後、タンパク質分解により63kDa種(PA63)に活性化される。PA63は、LFまたはEFに高い親和性で結合しそしてそれぞれ致死毒素または浮腫毒素を形成する。
rΔPA83は、アミノ酸残基163〜168(タンパク質分解切断部位)を欠くPAの形態であり、そのためPA63形態に活性化できない。さらに、rΔPA83は、提案されたワクチン中でLFまたはEFに結合できず、したがって致死および浮腫毒素が形成され得ない。
以下の説明においては、これは、その生物学的活性を不活性化するために、ホルムアルデヒドを用いて個々の成分または最終混合物をトキソイド化することによって達成される。
抗原を0.05Mリン酸、0.5M NaCl(pH7.2)で200μg/mlに希釈する。ビーカー中で攪拌しながら、十分な40%ホルムアルデヒドを最終濃度0.5%までゆっくり添加する。スクリューキャップボトルに移し、そして時々振盪しながら37℃にて7〜14日間インキュベートする。10〜20容量のリン酸緩衝化生理食塩液(PBS)に対して4℃にて12時間、材料を3〜5回透析する。ホルムアルデヒドの残りのレベル(0.01%)が添加され得る。
選択肢2をより詳細に説明し、そして天然のB. anthracis培養物を用いる。
ワクチンを、毒素産生性の非莢膜形成のB. anthracis 34F2「Sterne」株培養物から直接処方する。
培養物を、B. anthracisの増殖および好適なワクチン成分の産生を支持する一部定義された培地または完全な培地のいずれかにおいて増殖し得る。増殖は、最適条件下で行われ、そして培養物採取マーカーをモニターする。これらの採取マーカーを同定して、好適なワクチン成分の適量の産生を得る。マーカーは、例えば、培養物のpH値がpH7.4以下に低下するまたはグルコース濃度が1mM以下に低下する場合であり得る。
増殖期間の最後に(約24〜48時間)、培養物を採取し、そしてプールした上清を、0.2ミクロンフィルターを通して滅菌濾過する。この上清を、硫酸カリウムアルミニウムを用いて沈殿して、pHを必要な値に調節し得る。
選択肢1と同様に、組成物は、トキソイド化によって非毒性になり得る。
実施例7−LFエンドペプチダーゼアッセイ
アッセイは、ヒトMEK−1のN末端60残基を表す合成ペプチド基質を用いる。天然または組換えLT(すなわち、LF)を含む試料を、アッセイ緩衝液(0.05mMのZnSO4および0.05mMのCaCl2を含む25mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.0)で希釈し、そして基質とともにインキュベートする。
アッセイは、ヒトMEK−1のN末端60残基を表す合成ペプチド基質を用いる。天然または組換えLT(すなわち、LF)を含む試料を、アッセイ緩衝液(0.05mMのZnSO4および0.05mMのCaCl2を含む25mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.0)で希釈し、そして基質とともにインキュベートする。
次いで、切断したペプチド(LFによるMEK−1の切断後に生成したN末端アミノ酸残基を表す)に対して産生したウサギ抗血清を用いて、LFの酵素/生物学的活性を測定する。
実施例8−EFおよびETアデニリルシクラーゼアッセイ
アデニル酸シクラーゼ活性(EF、およびETに固有)は、浮腫因子(EF)活性からまたは浮腫毒素(ET;PA+EF)活性からそれぞれ生じる細胞外および細胞内cAMP産生のいずれかの測定によって決定し得る。
アデニル酸シクラーゼ活性(EF、およびETに固有)は、浮腫因子(EF)活性からまたは浮腫毒素(ET;PA+EF)活性からそれぞれ生じる細胞外および細胞内cAMP産生のいずれかの測定によって決定し得る。
アデニル酸シクラーゼ活性を、以下のように決定し得る。簡単に言えば、20μlの5×アッセイ緩衝液(100mMのHEPES(pH7.5)、25mMのMnCl2、2.5mMのCaCl2、2.5mMのEDTA、2.5mMのジチオトレイトール、0.5mg/mlのウシ血清アルブミン)、5μlのウシカルモジュリン(100μg/ml)、10μlの20mMのATP、10μlのEF(1ng/μlの希釈物)を含み、水で100μlにした反応混合物を、3組準備し、そして30℃にて60分間インキュベートする。
市販のキットアッセイ(例えば、Amersham-PharmaciaからのBIOTRAK cAMP酵素イムノアッセイ(EIA)システムキット)を用いて、cAMP濃度を測定する。
実施例9−LFおよびPAについてのマクロファージ溶解アッセイ
単球/マクロファージ細胞RAW 264.7を、ECACC(CAMR)から得、そして3%(v/v)L−グルタミン、10%(v/v)ウシ胎児血清、およびそれぞれ0.5IU/mlおよび0.5μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質溶液を含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)中で維持した。細胞を、75cm2フラスコ中で、加湿5%(v/v)二酸化炭素(CO2)雰囲気中で37℃にてルーチンで増殖した。
単球/マクロファージ細胞RAW 264.7を、ECACC(CAMR)から得、そして3%(v/v)L−グルタミン、10%(v/v)ウシ胎児血清、およびそれぞれ0.5IU/mlおよび0.5μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質溶液を含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)中で維持した。細胞を、75cm2フラスコ中で、加湿5%(v/v)二酸化炭素(CO2)雰囲気中で37℃にてルーチンで増殖した。
マクロファージ溶解アッセイは、以下のように確立されている。簡単に言えば、RAW 264.7単球/マクロファージを増殖中の培養物から掻き取って、10mMのHEPES、pH7.4で緩衝化し、予め温めた(37℃)DMEM(DMEM/HEPES)中に採取し、そして細胞密度を5×105細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を、96ウェル培養プレートに200μl/ウェル(1×105細胞/ウェル)で播種し、そして細胞を静置し、37℃、5%CO2にて16時間付着させた。
LFの定量のためのアッセイを始めるために、培地および剥離した細胞を、穏やかな吸引によって除去し、そして0.1μg/mlのPAを含む温DMEM/HEPESに置換した(100μl/ウェル)。次いで、0.1μg/mlのPAを含むDMEM/HEPESに種々の濃度でLFを添加した。すべての実験を100倍濃度範囲にわたって(他に指示がない限り)3組行った。細胞生存性を、3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムブロミド(MTT)テトラゾリウム染料アッセイを用いて、毒素との3時間のインキュベーション期間後に測定した。
MTT(Sigma、UK)を、1.5mg/mlでDMEM/HEPESに溶解し、そして37℃まで温め、細胞培養物(100μl/ウェル)に添加して、最終濃度を0.5mg/mlにした。インキュベーションを37℃、5%CO2にて60分間続けて、生存細胞による染料の取り込みおよび酸化を行った。培地を吸引し、そして0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(w/v)および25mMのHClを含む100μl/ウェルの90%イソプロピルアルコールで置換し、そしてプレートを振盪して細胞を破壊し、MTTを溶解した(10〜30分)。
MTT結晶の溶解を可視観察した後に確認するために、570nmでのMTT吸収を、Dynatech MR7000プレートリーダーを用いて測定した。
固定濃度のLF(0.1μg/ml)を用いること以外は、PAの検出/定量に上記のマクロファージ溶解アッセイを用い得る。
実施例10−改変PAがその細胞ターゲットに結合しないことを示すこと
炭疽菌毒素レセプター(PAが結合する細胞ターゲット)は遍在し、そして致死毒素の効果に非感受性細胞株上にさえも、細胞表面上にある程度高レベルで発現する(Bradleyら、2001)。
炭疽菌毒素レセプター(PAが結合する細胞ターゲット)は遍在し、そして致死毒素の効果に非感受性細胞株上にさえも、細胞表面上にある程度高レベルで発現する(Bradleyら、2001)。
放射標識したPAを用いるレセプター結合アッセイを用いて、本発明の任意の特定の改変PAが、所定の細胞株、例えば、マウスマクロファージJ774A.1(致死毒素感受性)またはマクロファージA/J(耐性)(Freidlanderら、1993)においてこれらのレセプターに結合しないことを確認する。
より詳細には、細胞を、約3×105細胞/mlで96ウェル組織培養プレートに播種し、そして放射ヨウ素化PA83(コントロール)または改変PAに4℃にて1時間曝露して、結合を生じさせる。低いインキュベーション温度は、結合したPAのインターナリゼーションを防ぐ。次いで、細胞を冷PBSで3回洗浄して、非結合の標識PAを除去し、細胞を可溶化し、そして得られる試料中の放射活性を、ガンマカウンターを用いて定量する。
実施例11−改変PAがLFまたはEFに結合しないことを示すこと
PA83が、細胞表面でフューリンによって天然に、またはトリプシンもしくはキモトリプシンによって人工的にいずれかで切断され得るのと同様に、改変PAはプロテアーゼ切断を受けやすく、PA63に類似する誘導体を形成し得るが、この誘導体はLFまたはEFに結合しない。あるいは、改変PAは、単にプロテアーゼ切断を受けにくい。
PA83が、細胞表面でフューリンによって天然に、またはトリプシンもしくはキモトリプシンによって人工的にいずれかで切断され得るのと同様に、改変PAはプロテアーゼ切断を受けやすく、PA63に類似する誘導体を形成し得るが、この誘導体はLFまたはEFに結合しない。あるいは、改変PAは、単にプロテアーゼ切断を受けにくい。
これは、1〜5mgの改変PAが、1.5mlの適切な緩衝液(例えば、pH9の20mMのエタノールアミン)中で、例えば、トリプシン(20μg)との、37℃にて30分間のインキュベートによって切断されるかどうかがテストされ得る。次いで、トリプシンインヒビター(10μlの緩衝液中40μg)を添加することによって、反応を停止する。
次いで、フラグメントを、従来の低圧液体クロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過または陰イオン交換クロマトグラフィー)によって精製し、そしてPA63に対応するフラグメントを、実施例12に記載のようにマイクロタイタープレート上にコーティングする。
プレートをブロッキングした後、LFまたはEFの希釈物を改変PAに結合させ、そして結合した抗原を、実施例12に記載のように定量する。
実施例12−改変LFがPAに結合しないことを示すこと
これは、マイクロタイタープレート上に1μg/mlの濃度でPA63をコーティングすることによって確認する。抗原(PA63)を、炭酸塩/重炭酸塩緩衝液pH9.6中1μg/mlで2〜8℃にて一晩コーティングする。コーティングしたプレートを洗浄し、すべてのウェルに希釈物(0.1%Tween(登録商標)および5%ウシ胎児血清を含むリン酸緩衝化生理食塩液)を添加してブロックする。
これは、マイクロタイタープレート上に1μg/mlの濃度でPA63をコーティングすることによって確認する。抗原(PA63)を、炭酸塩/重炭酸塩緩衝液pH9.6中1μg/mlで2〜8℃にて一晩コーティングする。コーティングしたプレートを洗浄し、すべてのウェルに希釈物(0.1%Tween(登録商標)および5%ウシ胎児血清を含むリン酸緩衝化生理食塩液)を添加してブロックする。
LF(コントロール)または改変LFの希釈物を、ブロッキング緩衝液に添加する。37℃にて60分間結合を行わせる。プレートをPBS−Tで4回洗浄し、そしてHRP結合した抗LF抗体を用いて結合したLFを検出する。過剰の抗体を、上記のように洗浄して除去し、そしてプレートを各ウェルへの100μl基質の添加によって発色させる。
発色反応を、50μlのNaOH(3M)の添加によって停止し、そして吸光度を405および690nmで読み取る。
実施例13−改変EFがPAに結合しないことを示すこと
これは、マイクロタイタープレート上に1μg/mlの濃度でPA63をコーティングすることによって確認する。抗原(PA63)を、炭酸塩/重炭酸塩緩衝液pH9.6中1μg/mlで2〜8℃にて一晩コーティングする。コーティングしたプレートを洗浄し、すべてのウェルに50μl希釈物(0.1%Tween(登録商標)および5%ウシ胎児血清を含むリン酸緩衝化生理食塩液)を添加してブロックする。
これは、マイクロタイタープレート上に1μg/mlの濃度でPA63をコーティングすることによって確認する。抗原(PA63)を、炭酸塩/重炭酸塩緩衝液pH9.6中1μg/mlで2〜8℃にて一晩コーティングする。コーティングしたプレートを洗浄し、すべてのウェルに50μl希釈物(0.1%Tween(登録商標)および5%ウシ胎児血清を含むリン酸緩衝化生理食塩液)を添加してブロックする。
EF(コントロール)または改変EFの希釈物を、ブロッキング緩衝液に添加する。37℃にて60分間結合を行わせる。プレートをPBS−Tで4回洗浄し、そしてHRP結合した抗EF抗体を用いて結合したEFを検出する。過剰の抗体を、上記のように洗浄して除去し、そしてプレートを各ウェルへの100μl基質の添加によって発色させる。
発色反応を、50μlのNaOH(3M)の添加によって停止し、そして吸光度を405および690nmで読み取る。
実施例14−PA、LF、および/またはEFの化学的改変
任意のアミノ酸残基におけるシステイン残基またはアミン基のアミノ酸特異的改変は、好ましくは、本発明の改変PA、LF、および/またはEF成分においてターゲティングされる。
任意のアミノ酸残基におけるシステイン残基またはアミン基のアミノ酸特異的改変は、好ましくは、本発明の改変PA、LF、および/またはEF成分においてターゲティングされる。
例えば、種々の濃度のスルフヒドリル基試薬DTNB(5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸))でのEFの滴定は、EFのアデニル酸シクラーゼ活性を不可逆的に阻害する。
同様に、アミン特異的試薬MLMS(モノ(ラクトシルアミド)モノ(スクシンイミジル)スベリン酸)でのPAおよび/またはLFの処理は、これらの2つのタンパク質の結合活性を不可逆的に調節する。種々の濃度のMLMSでの滴定は、これらのタンパク質のその後の活性(すなわち、結合または酵素活性)にある範囲の影響を発揮し得る。
実施例15−PA、LF、および/またはEFの遺伝子改変
成分(すなわち、PA、LF、またはEF)の結合に重要なアミノ酸残基をコードするヌクレオチド残基の部位特異的変異誘発を用いて、これらの3つのタンパク質の活性を改変し得る。
成分(すなわち、PA、LF、またはEF)の結合に重要なアミノ酸残基をコードするヌクレオチド残基の部位特異的変異誘発を用いて、これらの3つのタンパク質の活性を改変し得る。
例えば、PAは、酵素フューリンによって細胞表面で切断される、細胞結合タンパク質である。フューリン切断事象についての認識部位は、RKKRである。これらのアミノ酸の部位特異的変異誘発は、フューリンによるPA切断を不可能にし、したがってLFまたはEFに結合またはこれらをインターナリゼーションできない。
同様に、EFおよびLFの残基136〜142および147〜153(VYYEIGK)の部位特異的変異誘発は、それぞれ、これらのタンパク質をPAに結合不可能にする。詳細には、チロシン残基、イソロイシンまたはリジン残基の変異誘発が、PAへの結合、およびその後の活性な毒素の形成を防ぐために好ましい。
部位特異的変異誘発を、変異原性オリゴヌクレオチドプライマー、次いでポリメラーゼ連鎖反応を用いる所望の領域の増幅を用いて行う。次いで、変異誘発した領域を配列決定して、コード遺伝子を再構築する。
あるいは、毒素成分についての遺伝子内のランダム変異を、エラー−プロンPCRによって構築し得る。異なるヌクレオチドについて枯渇したヌクレオチドミックスを用いて、4つの反応をそれぞれ行う。各ヌクレオチドミックスは、高濃度のデオキシイノシン3リン酸(dITP)を含み、枯渇したヌクレオチドを必要とする部位に組み込まれる。4つのすべての天然塩基がイノシンと対形成し得るので、次のPCRサイクル中に変異が生じる確率は、75%である。
参考文献
KA Bradley, J Mogridge, M Mourez, RJ Collier, JAT Young, Nature, 414, 225-229 (2001);
AM Friedlander, R Bhatnagar, SH Leppla, L Johnson, Y Singh, Infect Immun, 61, 245-52 (1993)。
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Claims (20)
- 83kDaの防御抗原(PA)および致死因子(LF)を含む抗原性薬学的組成物であって、PAが、天然のPA細胞レセプターに対する機能的結合部位を欠き、それによって該PAが該天然の細胞レセプターに結合することを防ぎ、および/またはPAが、機能的フューリン切断部位を欠き、それによって該PAがフューリンによってインビボ切断されて63kDaのPAを形成することを防ぎ、そして該組成物が動物細胞に対して実質的に非毒性である、組成物。
- 前記PAが、天然のPA細胞レセプターに対する前記機能的結合部位を欠き、そして該PAが前記機能的フューリン切断部位を欠く、請求項1に記載の組成物。
- 前記組成物が、致死毒素(LT)および浮腫毒素(ET)活性を実質的に有さない、請求項1または2に記載の組成物。
- PAおよびLFのそれぞれが機能的結合部位を欠く、請求項1から3のいずれかの項に記載の組成物。
- PAがLFに対する機能的結合部位を欠き、それによって該PAおよびLFが該結合部位を介して互いに結合することを防ぐ、請求項1から4のいずれかの項に記載の組成物。
- LFがPAに対する機能的結合部位を欠き、それによって該LFおよびPAが該結合部位を介して互いに結合することを防ぐ、請求項1から5のいずれかの項に記載の組成物。
- 前記組成物が、浮腫因子(EF)をさらに含む、請求項1から6のいずれかの項に記載の組成物。
- 前記EFがPAに対する機能的結合部位を欠き、それによって該EFおよびPAが該結合部位を介して互いに結合することを防ぐ、請求項7に記載の組成物。
- 前記LFが、天然のLFと質量対質量で比較した場合に、少なくとも30%のメタロプロテアーゼ活性を有する、請求項1から8のいずれかの項に記載の組成物。
- 前記EFが、天然のEFと質量対質量で比較した場合に、少なくとも30%のアデニリルシクラーゼ活性を有する、請求項7または8に記載の組成物。
- 前記組成物が、Sap1および/またはEA1をさらに含む、請求項1から10のいずれかの項に記載の組成物。
- PAおよびLFが、それぞれ1から60μg/mlの濃度で存在する、請求項1から11のいずれかの項に記載の組成物。
- 前記組成物が、PAおよびLFを1:3から3:1の質量比で含む、請求項1から12のいずれかの項に記載の組成物。
- 請求項1から13のいずれかの項に記載の抗原性組成物を調製するための組換え方法であって、
PAをコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして該発現したPAを回収する工程;
LFをコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして該発現したLFを回収する工程;
必要に応じて、EFをコードする核酸構築物をB. anthracis宿主細胞中で発現させ、そして該発現したEFを回収する工程;および
該PA、LF、および必要に応じてEFを組み合わせる工程、
を含む、方法。 - 請求項1から13のいずれかの項で定義されるPAおよびLFならびに必要に応じてEFをコードする1以上のDNAプラスミドであって、該プラスミドが、該PA、LF、および必要に応じて該EFに作動可能に連結しそして使用する場合にその発現を駆動する真核生物プロモーターを含む、プラスミド。
- 請求項1から13のいずれかの項で定義されるPAおよびLFならびに必要に応じてEFをコードする1以上のRNAベクターであって、該ベクターが、哺乳動物宿主細胞の染色体に対する組込み部位を有する、ベクター。
- 哺乳動物における炭疽菌毒性を実質的に予防または最小にするための医薬品の製造のための、請求項1から13のいずれかの項に記載の組成物の使用、または請求項15に記載のDNAプラスミドの使用、または請求項16に記載のRNAベクターの使用。
- 哺乳動物における炭疽菌毒性を実質的に予防または最小にするための医薬品の製造のための、請求項1から13のいずれかの項で定義されるPAの使用。
- 哺乳動物における炭疽菌毒性を予防または最小にする方法であって、請求項1から13のいずれかの項に記載の組成物、請求項15に記載のDNAプラスミド、または請求項16に記載のRNAベクターを被験体に投与する工程を含む、方法。
- 哺乳動物における炭疽菌毒性を予防または最小にする方法であって、請求項1から13のいずれかの項で定義されるPAを被験体に投与する工程を含み、ここで、該PAが、請求項1から13のいずれかの項で定義されるLFの前に、同時に、または後に投与される、方法。
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