JP2005506512A - 潜伏性ヒト結核モデル、診断用抗原、および使用法 - Google Patents
潜伏性ヒト結核モデル、診断用抗原、および使用法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005506512A JP2005506512A JP2002554720A JP2002554720A JP2005506512A JP 2005506512 A JP2005506512 A JP 2005506512A JP 2002554720 A JP2002554720 A JP 2002554720A JP 2002554720 A JP2002554720 A JP 2002554720A JP 2005506512 A JP2005506512 A JP 2005506512A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tuberculosis
- vitro
- mycobacteria
- latency
- subject
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/53—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
- G01N33/569—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses
- G01N33/56911—Bacteria
- G01N33/5695—Mycobacteria
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/04—Antibacterial agents
- A61P31/06—Antibacterial agents for tuberculosis
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/02—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving viable microorganisms
- C12Q1/025—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving viable microorganisms for testing or evaluating the effect of chemical or biological compounds, e.g. drugs, cosmetics
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/5005—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells
- G01N33/5008—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells for testing or evaluating the effect of chemical or biological compounds, e.g. drugs, cosmetics
- G01N33/5044—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells for testing or evaluating the effect of chemical or biological compounds, e.g. drugs, cosmetics involving specific cell types
- G01N33/5047—Cells of the immune system
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/53—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
- G01N33/569—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses
- G01N33/56911—Bacteria
- G01N33/56955—Bacteria involved in periodontal diseases
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Immunology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- Hematology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Pathology (AREA)
- Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
- Virology (AREA)
- Toxicology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Biophysics (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Oncology (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Pulmonology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Communicable Diseases (AREA)
- Public Health (AREA)
Abstract
Description
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2001年1月8日に出願された、米国特許仮出願第60/260,348号、および、2001年8月9日に出願された、米国特許仮出願第60/311,235号の利権を主張する。
【0002】
政府の支援についての声明
本発明は、米国政府機関である、連邦防疫センター(Centers for Disease Control and Prevention)によって行われた。したがって、米国政府は、本発明において、一定の権利を有する。
【0003】
開示の技術分野
本開示は、ミコバクテリアの潜伏期についての技術分野に関連し、特に、ミコバクテリアの研究のための、ならびに、結核薬およびワクチン候補の開発のための、インビトロの肉芽腫モデルに関連する、ならびに、免疫学的検定法を用いた潜伏性ミコバクテリア感染の検出に関連する。
【背景技術】
【0004】
背景
世界中のどこかで、およそ10秒毎に人は結核によって死亡している。結核は、感染症の中では、世界で死亡例が最も多いものであり、生殖年齢にある女性では最上位の死因となっている。開発途上国が最も多く疾患を保有しているにも関わらず、米国国民は非常に高い頻度で結核に罹患しており、2000年には16,377例が報告されている。
【0005】
結核のほとんど全ての症例を引き起こす感染性作用物質は、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis(M. tuberculosis))である。ヒト結核菌は、空気を介して個体間で容易に伝播する。感染個体による1回の咳によって、3000個もの多くの感染飛沫核が生じ得る上、10個未満の細菌によって、感受性の個体における肺感染が始まる可能性がある。空気で運ばれる病原体を単に吸入するだけで個体が感染される可能性があるため、結核の発生を抑えることは困難であり、陰圧室に感染個体を隔離することが必要とされる。
【0006】
1950年代における抗生物質の開発の後、結核は遂には駆逐されると信じられていたにも関わらず、1999年、世界保健機構(World Health Organization)は、健康に関する世界的な緊急事態として、結核を分類付けた。結核が保存された主な原因の1つは、多剤耐性菌株の進化である。多剤耐性菌株は、少なくとも6ヶ月間続く薬剤療法についての感染患者の低いコンプライアンスによって、ある程度進化している。ある多剤耐性菌株、菌株Wは、全ての第一線薬剤(イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、およびピラジジン(pyrazidine))、ならびに1つの第二線薬剤(カナマイシン)に対する耐性を進化させた。したがって、結核が、世界的に、個体にとって重大な健康脅威となり続けることは明らかである。
【0007】
感染は典型的に、宿主の免疫機構によって調節されるため、ヒト結核菌への一次感染は、ほんのまれにしか直接の疾患を導かない。ヒト結核菌に感染したヒトの中では、およそ5%が感染後数年以内に疾患の症状発現をする。一次感染の際に、ミコバクテリアは、不活性化マクロファージに侵襲し、そこで増殖する。急激な増殖期に続き、感染マクロファージおよびその中の細菌は、新たに補充された活性化マクロファージによって囲まれ、封じ込められる。この、感染マクロファージの封じ込めによって、特徴的な肉芽腫が生じる。肉芽腫は、マクロファージのコアの周りに凝集する、Tリンパ球によって囲まれた、および後には線維芽細胞およびコラーゲンによって囲まれる、類上皮細胞および多核巨細胞を含む、活性化マクロファージの密集した組織化集塊である。
【0008】
ミコバクテリアの休眠によって、潜伏性結核と呼ばれる病期がもたらされる。潜伏性結核を有する個体は、再活性化結核の症例を後に進行させる可能性があり、実際、米国において報告された結核症例の多数は、ミコバクテリア感染の再活性化の結果生じたものであり、一次感染からのものではない(Am. Rev. Respir. Dis. 146:1623〜1633, 1992)。ヒト結核菌の再活性化は、通常、多数の結核菌によって肺の小気管支の壊死が引き起こされる、肺尖において起こる。結核に特徴的な血痰は、この壊死過程の間の、小血管のびらんによって生じる。
【0009】
世界の人口のおよそ3分の1が、ヒト結核菌によって潜伏感染されていると見積もられた(Sudreら、Bull. W.H.O. 70:149〜159, 1992)。現在のところ、ツベルクリン皮膚試験が、ヒト結核菌感染者について唯一利用可能な診断法である。あいにく、現在利用可能な試験では、潜伏感染した個体を特異的に同定することはできない。ツベルクリン試験では、病原体に曝露された、または病原体に対してワクチン接種をされた、全ての個体の同定のみが可能である。潜伏感染した個体の数が多いことにより、および、それらの個体において結核が再活性化するリスクが存在することにより、潜伏性結核を標的とする診断薬および治療薬の開発が必要とされている。さらに、ミコバクテリアの研究のための、および、結核薬およびワクチン候補の開発のための、インビトロの肉芽腫モデルの開発が望まれている。
【発明の開示】
【0010】
開示の概要
結核潜伏期についてのインビトロのモデルが、本開示のある態様において説明される。特に、インビトロの肉芽腫モデルおよびそのモデルを使用するための方法が提供される。ある態様においては、インビトロの肉芽腫モデルは、ヒトの末梢血単核細胞、自己マクロファージおよびミコバクテリアを含む。ある態様においては、これらの成分は、低付着性容器において組み合わせられる。特定の例においては、インビトロの肉芽腫モデルは、例えばヒトの肺線維芽細胞のような線維芽細胞をさらに含む。
【0011】
さらなる態様は、例えば、候補結核薬をスクリーニングするためのように、肉芽腫に対するそれらの影響について、新しいまたは既知の化合物をスクリーニングするために、また候補結核ワクチンを同定するために、ならびに肉芽腫形成および肉芽腫壊死の過程を解析し特徴付けるために、インビトロの肉芽腫モデルを使用するための方法である。
【0012】
本明細書においては、潜伏性結核感染を検出するための免疫学的方法も提供される。そのような方法は、潜伏感染期にある結核を有する被験者においてのみ(または主に)存在する、特異的な細菌抗原(またはこれらの抗原に対する抗体)を検出する段階に基づく。例として、そのようなある潜伏期特異的抗原は、α-クリスタリン(Acr)である。
【0013】
さらなる態様は、(潜伏期特異的な抗原またはそれに対する抗体のような)第一の潜伏期特異的結合パートナー(LSBP)を含むと思われる、被験者に由来する生物学的サンプルを、第二の(対応する)LSBPに接触させる段階、および、第一のLSBPと対応するLSBPとの間の結合を検出する段階に関与するような、被験者における潜伏性結核を検出するための免疫学的アッセイを含む。第一のLSBPと第二のLSBPとの間の結合は、被験者における潜伏性結核を示唆するものである。したがって、第一のLSBPがヒト結核菌潜伏期特異的抗原(例えばAcrまたはその免疫原性断片)であるような、ある例においては、対応するLSBPは、その抗原に結合できる抗体であり得る。第一のLSBPが抗体である場合は、(特異的結合ペアーを形成する)対応するLSBPは抗原である。
【0014】
被験者における潜伏性結核を検出するためのキットであり、少なくとも1つのLSBP(例えば、潜伏期特異的抗原またはそれに対する抗体)、および、生物学的サンプル中において認められるコグネート(cognate)LSBPに対するLSBPの結合を検出するための、免疫学的アッセイを実行するための使用説明書を含むキットも提供される。
【0015】
例えば、細胞培養基、ならびに、選択的に、低付着性容器、および/または、インビトロの肉芽腫を増殖させるための使用説明書のような、インビトロの肉芽腫モデルの1つまたはそれ以上の構成要素を含むキットも提供される。
【0016】
さらなる態様は、免疫刺激量のヒト結核菌潜伏期特異的抗原(例えばAcr)、またはその免疫原性断片を被験者に投与することによって、被験者において免疫応答を引き出すための方法を提供する。そのような免疫刺激分子を含む組成物、およびそれらを投与するためのキットも提供される。
【0017】
前述の特徴および利益、ならびに他の特徴および利益は、付随する図面および配列表を参照して行われる、幾つかの態様についての以下の詳細な説明から、より明らかとなる。
【0018】
配列表
付随の配列表において挙げられる核酸配列およびアミノ酸配列は、37 C.F.R. 1.822において定義されるように、ヌクレオチド塩基については標準の文字略語、および、アミノ酸については3文字コードを用いて示される。各核酸配列の一方の鎖のみが示されるが、その相補鎖は、示された鎖についてのいかなる言及によっても包含されるものと理解される。付随の配列表においては:
配列番号:1および配列番号:2は、N末端FLAG-Acr融合物を作製するために使用されるプライマーの配列である。
配列番号:3および配列番号:4は、C末端Acr-FLAG融合物を作製するために使用されるプライマーの配列である。
【0019】
詳細な説明
I.略語
Acr アルファ(α)クリスタリン
ELISA 酵素結合イムノソルベントアッセイ
HS ヒト血清
LSA 潜伏期特異的抗原
LSBP 潜伏期特異的結合パートナー
PBMC 末梢血単核細胞
RPA リボヌクレアーゼ保護アッセイ
RT-PCR 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
II.用語
特記しない限り、技術的用語は、従来的な語法に従って使用される。分子生物学における一般用語の定義は、Benjamin Lewin, 「遺伝子V(Genes V)」, Oxford University Press, 1994(ISBN 0-19-854287-9);Kendrewら(編), 「分子生物学辞典(The Encyclopedia of Molecular Biology)」, Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers(編), 「分子生物学およびバイオテクノロジー:包括的な参考書(Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference)」, VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)において見出すことができよう。
【0020】
本開示の様々な態様の概観を容易にするために、特定の用語について以下の説明が提供される:
【0021】
本明細書において使用されるような「a」、「an」、および「the」という用語は、文脈が不適切でない限り、1つまたはそれ以上を意味し、複数形を含むと定義される。
【0022】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子断片によって実質的にコードされるポリペプチドの1つまたはそれ以上を含むタンパク質(またはタンパク質複合体)を指す。認められる免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、Δ、εおよびμ定常領域遺伝子、および、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、Δ、またはεとして分類され、次に免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEが各々定義される。
【0023】
基本的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は一般に四量体である。各四量体は、2つの同一のポリペプチド鎖の組から構成され、各組は1つの「軽い」(約25 kD)鎖および1つの「重い」(約50〜70 kD)鎖を有する。各鎖のN末端により、抗原認識の主な原因となる、約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域が定義付けられる。「可変軽鎖」(VL)および「可変重鎖」(VH)という用語は、各々、これらの軽鎖および重鎖を指す。
【0024】
本明細書において使用されるように、抗体という用語は、完全な免疫グロブリン、および、様々なペプチダーゼを用いた分解によって作製された、十分に特徴付けられた多くの断片、または遺伝子操作された「人工の」抗体を含む。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ部におけるジスルフィド結合の下で抗体を分解し、それ自体はジスルフィド結合によってVH−CH1に連結された軽鎖であるFabの二量体であるF(ab)’2を作製する。F(ab)’2は、ヒンジ部におけるジスルフィド結合を断ち、それによりF(ab)’2 二量体をFab’単量体に変換させるために、穏やかな条件下において還元させることができる。Fab’単量体は本質的に、ヒンジ部の部分を有するFabである(「基礎免疫学(Fundamental Immunology)」, W.E. Paul編, Raven Press, N.Y., 1993を参照のこと)。完全な抗体の分解の観点から、様々な抗体断片が定義付けられている一方、化学的にか、または、組換えDNA方法論を利用するかによって、新たにFab’断片を合成することができることは理解されよう。したがって、本明細書において使用されるような抗体という用語は、抗体全体の修飾によって作製された、または、組換えDNA方法論を使用して新たに合成された、抗体断片をも含む。
【0025】
本開示の方法および装置における使用のための抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であることが可能である。単なる例として、モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein(Nature 256:495〜497, 1975)の古典的な方法、または、その派生法に従って、マウスのハイブリドーマから調製することができる。モノクローナル抗体の生産についての詳細な手法は、HarlowおよびLane(「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)」, CSHL, New York, 1988)において説明されている。
【0026】
「抗原」という用語は、哺乳動物における免疫応答を誘導できる分子、またはその断片を指す。本用語は、免疫原および抗原性の原因となる領域、または抗原決定基を含む。抗体の形成を誘導することができる、化学的または生化学的な構造、決定基、抗原またはその部分は、「抗原性」であると呼ばれることが可能である。「抗原決定基」は、抗体によって認識される特定化されたタンパク質の領域を指す。
【0027】
マクロファージを指す場合、「自己」という用語は、末梢血単核細胞と同じ個体に由来するマクロファージを指す。または、限定はしないが、THP-1マクロファージ細胞系列のようなマクロファージ細胞系列が、肉芽腫モデルのマクロファージ成分として使用される。本開示のある態様においては、自己マクロファージの開始濃度は、サンプル2 ml当たりおよそ5×104〜1×106の間であり、選択的に、およそ1×106である。
【0028】
「生物学的サンプル」は、実験的な試験または検査のために使用される、体液または組織のサンプルである。本明細書において使用されるように、生物学的サンプルは、被験者における微生物感染の検出のために有用な全ての臨床サンプルを含む。
【0029】
組織サンプルは、口腔咽頭道から、例えば肺または気管支組織から採取することができる。サンプルは、適切なように、(気管支鏡検査法の間におけるような)バイオプシーによって、または剖検検査の間に採取することができる。生物学的液体には、血液、誘導体、および、血清のような血液の分画、尿、精液および痰のような口腔咽頭道の液体が含まれる。
【0030】
潜伏性ヒト結核菌の検出のために、本開示について使用するための検体の例は、従来的な臨床サンプル、例えば、血液または血液の分画(例えば血清)、尿、気管支肺胞の洗浄液(BAL)、痰、および誘導喀痰サンプルを含む。そのようなサンプルを得るための技術は、当技術分野においてはよく知られている。血液および血液の分画は、従来的な方法において調製することができる。口腔咽頭道の液体は、喀痰誘導、気管支肺胞の洗浄(BAL)、および口腔洗浄を含む、従来的な技術を通して得ることができる。口腔洗浄からサンプルを得る段階は、被験者に、ある量の通常の食塩水を用いて約10〜30秒間うがいさせ、その後、洗浄液をサンプルカップに吐き出させる段階に関与する。
【0031】
DNA鎖が合成される「条件」または「(複数の)条件」には、様々な量のヌクレオチド、カチオン、および、適切な緩衝物質の存在、ならびに、核酸分子とDNAプライマーがアニールし、オリゴヌクレオチドが合成DNA鎖に取り込まれるような温度が含まれる。
【0032】
本明細書において使用されるように、「検出する」または「検出」という用語は、調査中の生体分子の存在を、定量的または定性的に決定することを指す。
【0033】
「エピトープタグ」は、特異的な抗体をそれに対して生じさせることができる、短い一連のアミノ酸であり、ある態様においては、そのエピトープによってタグ標識されたタンパク質を特異的に同定および追跡させるような、短い一連のアミノ酸である。タグ標識された分子の検出は、多くの異なる技術を用いて達成することができる。そのような技術の例は、以下を含む:免疫組織化学、免疫沈降、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、ELISA、免疫ブロット法(「ウエスタン」)、およびアフィニティークロマトグラフィー。エピトープタグの例は、FLAG、T7、HA(赤血球凝集素)およびmycを含む。
【0034】
本明細書において使用されるように、「肉芽腫」という用語は、Tリンパ球、線維芽細胞およびコラーゲンに囲まれた、類上皮細胞および多核巨細胞を含む、活性化マクロファージの、密集した組織化集塊を指す。しかし、「インビトロの肉芽腫」という用語が、上記に説明されるような細胞の集塊に限定されないことは理解される。「インビトロの肉芽腫」という用語は、上記に説明されるような肉芽腫を模倣するような、少なくともヒトの末梢血単核細胞および自己マクロファージを含む細胞の集塊または凝集塊を指す。インビトロの肉芽腫が、上記に説明されるような、およびインビボにおいて認められるような肉芽腫を模倣するかどうかは、細胞凝集塊の顕微鏡使用試験、例えばFACS(蛍光細胞分析分離装置)解析を介した凝集塊中の細胞の表現型解析、および、凝集塊中の細胞によるサイトカイン産生の解析のような、当業者には既知の方法によって決定される。
【0035】
本明細書において使用されるように、「ヒト末梢血単核細胞」(PBMC)という用語は、限定はしないが、単球、Bリンパ球、およびTリンパ球を含む。インビトロの肉芽腫モデルの例に含まれるヒトPBMCは、単球およびTリンパ球であることが可能である。選択的に、ある態様においては、インビトロの肉芽腫モデルは、サンプル2 ml当たりの開始濃度約5×104〜1×106の間の単球、および、開始濃度約1×105〜1×106の間のTリンパ球を含む。ある態様においては、インビトロの肉芽腫モデルは、開始濃度約1×106の単球、および、開始濃度約1×106のTリンパ球を含む。「開始濃度」という用語が、低付着性容器に加えられる際の素材の濃度を指すことは理解される。
【0036】
ある態様においては、インビトロの肉芽腫モデルは、ヒトの肺線維芽細胞のような線維芽細胞を含む。選択的に、線維芽細胞は、約1×105〜1×106の間の開始濃度、例えば、約5×105の開始濃度にて加えることができる。
【0037】
「低付着性容器」は、その表面が、培養における細胞の付着を妨げる、または減少させるような容器である。ある態様においては、低付着性容器は、限定はしないが、製造業者の推奨手順に従って使用される、COSTAR(商標)Ultra Low Attachment SurfaceまたはClusters(Costar Corp., Cambridge, MA)のような、低付着性組織培養皿である。選択的に、低付着性容器は、親水性で中性に帯電している共有結合ヒドロゲル層から構成される表面を有し得、それによって、(例えば、非被覆容器と比較して5%、10%、20%、40%、50%またはそれ以上)マクロファージおよび好中球の付着および活性化が妨げられる。タンパク質および他の生体分子は、疎水性相互作用およびイオン相互作用によって、表面に受動的に吸収されるため、ヒドロゲル表面は、これらの力を介した非特異的な固定を自然に妨げ、したがって、それに続く細胞の付着が妨げられる。選択的に、低付着性容器の表面は、上記に説明される細胞の適用または細胞増殖必要条件と一致する温度にて再水和されること、および、再水和培地は、細胞および新しい培地を添加する以前に吸引またはデカンテーションされることが可能である。または、細胞は、再水和培地に直接加えることができる。
【0038】
「インビトロの増幅」は、サンプルまたは検体中における核酸分子のコピー数を増加させる技術を指す。インビトロの増幅の例は、サンプル中の核酸鋳型へのプライマーのハイブリダイゼーションを行わせる条件下にて、被験者から採集された生物学的サンプルを一組のオリゴヌクレオチドプライマーに接触させる、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。プライマーを、適切な条件下において伸長し、鋳型から解離し、その後再アニールし、伸長し、および、核酸のコピーを増幅するために解離する。インビトロの増幅技術の他の例は、鎖置換増幅(米国特許第5,744,311号を参照のこと);転写フリー等温増幅(米国特許第6,033,881号を参照のこと);修復連鎖反応増幅(国際公開公報第90/01069号を参照のこと);リガーゼ連鎖反応増幅(EP-A-320 308を参照のこと);ギャップフィリングリガーゼ連鎖反応増幅(米国特許第5,427,930号を参照のこと);結合リガーゼ検出およびPCR(米国特許第6,027,889号を参照のこと);およびNASBA(商標)RNA転写フリー増幅(米国特許第6,025,134号を参照のこと)を含む。インビトロの増幅産物は、標準技術を用いた、電気泳動、制限エンドヌクレアーゼ切断パターン、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションまたはライゲーション、および/または、核酸配列決定によって特徴付けることができる。
【0039】
(核酸分子、タンパク質または細胞小器官のような)「単離された」生物学的成分は、その成分が天然に生じる生物体の細胞中における他の生物学的成分、即ち、他の染色体DNAおよびRNA、ならびに染色体外DNAおよびRNA、タンパク質ならびに/または細胞小器官から実質的に分離されている、または精製されている。「単離された」核酸およびタンパク質は、標準の精製法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。本用語はまた、宿主細胞における組換え発現によって調製された核酸およびタンパク質、および、化学的に合成された核酸をも包含する。精製されたという用語に関するように、単離された、は相対的な用語である。
【0040】
「標識」は、例えば分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的方法によって検出可能な任意の分子または組成物である。放射性同位体、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光物質または蛍光物質、ハプテン、酵素、金コロイド粒子、着色ラテックス粒子、およびエピトープタグを含む標識の例は、以前に開示されており、当業者には知られている(例えば、米国特許第4,275,149号;同第4,313,734号;同第4,373,932号;および同第4,954,452号を参照のこと)。
【0041】
化合物(例えば抗体)の標識との接着は、共有結合、吸着過程、キレートおよび同様のものにおけるもののような、疎水結合および/または静電結合によるもの、または、これらの結合および相互作用の組み合わせが可能である、ならびに/または、結合基に関係し得る。
【0042】
「潜伏性結核」は、細菌が生存したままだがゆっくりと複製している、または、複製していない、肺内の局在病巣に被包されている可能性がある、活性な壊死疾患を引き起こさない、ヒト結核菌感染における段階を指す。潜伏期は、宿主の残りの生涯に渡って存在する可能性がある、または、例えば宿主の免疫が低下した期間に、または、他のストレス源に応じて、感染が再活性化する可能性がある。潜伏性ヒト結核菌感染は、以前には特定的に同定できていないが、それらは、ツベルクリン皮膚試験で陽性となるにも関わらず活性な疾患の特徴的な症状を有さないような個体群内に存在する。
【0043】
「潜伏期特異的抗原」は、ヒト結核菌によって、その活性期または対数増殖期よりもむしろ、その休眠期または定常期において、高レベルで(または独占的に)発現される抗原である。潜伏期特異的抗原(LSA)は、例えば、標準の好気/対数増殖条件下にて増殖させた、インビトロの培養ヒト結核菌において認められるタンパク質の発現を、潜伏期を模倣する条件下にて(例えば潜伏期モデルにおいて)増殖させた細菌と比較することによって同定することができる。
【0044】
「結合基」は、例えば化合物と標識(例えば、抗体と標識)のような、2つの化合物の間の化学的アームである。結合における必要な化学構造を完成するために、反応物質の各々は反応基を含まねばならない。そのような基の代表的な組み合わせは、アミド結合を形成するアミノ基とカルボキシル基;エステル結合を形成するカルボキシ基とヒドロキシ基;アルキルアミノ結合を形成するアミノ基とハロゲン化アルキル;ジスルフィドを形成するチオールとチオール;または、チオエーテルを形成するチオールとマレイミドもしくはハロゲン化アルキルである。天然の化合物においては存在しない場合、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基および他の官能基を、既知の方法によって導入することができる。
【0045】
同様に、広範な種類の結合基を使用することができる。結合の構造は、2つの化合物(例えば抗体に対して標識)を互いに接着するために形成された安定した共有結合であるべきである。ある例においては、結合基は、例えば修飾リガンドとそのコグネート受容体との結合特性のような望ましい特性を増強するために、親水性または疎水性のいずれかで設計することができる。共有結合は、結合された化合物が曝される溶液条件に関して安定しているべきである。
【0046】
結合基の例は、1〜20個の炭素および0〜10個のヘテロ原子(NH、O、S)のものであり、分岐鎖または直鎖であることが可能である。前述のものを限定せずに、化学的に適合性の原子の組み合わせのみが結合基を含むことは明らかなはずである。例えば、炭素-炭素結合と組み合わせた、アミド基、エステル基、チオエーテル基、チオールエステル基、ケト基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびエーテル基は、化学的に適合性の結合基の特定の例である。
【0047】
本明細書において使用されるような「ミコバクテリア」という用語は、限定はしないが、ヒト結核菌を含む。肉芽腫を形成する任意のミコバクテリアは、本明細書において提供される組成物および方法において使用することができる。典型的なミコバクテリアは、M. avium(鳥型結核菌)、M. bovis(ウシ型結核菌)、M. marinum、M. ulcerans、M. smegmatis(スメグマ菌)、およびM. haemophilumを含む。選択的に、インビトロの肉芽腫モデルにおけるミコバクテリアの開始濃度は、サンプル2 ml当たりおよそ1×101〜1×105 cfuの間である。
【0048】
第一核酸配列が第二核酸配列と機能的な関係になるように配置される場合、第一核酸配列は第二核酸配列と「使用可能なように連結されている」。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を与える場合、プロモーターは、コード配列に使用可能なように連結されている。一般に、使用可能なように連結されたDNA配列は隣接しており、2つのタンパク質コード領域を連結する必要がある場合は、同じ読み枠内にある。
【0049】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「オリゴペプチド」は、そのα炭素が一方のアミノ酸のα炭素のカルボキシル基と、他方のアミノ酸のα炭素のアミノ基の間の縮合反応によって形成されたペプチド結合を通して連結された、アミノ酸(典型的にはL-アミノ酸)の鎖である。鎖の一方の末端における末端アミノ酸(即ちアミノ末端)はフリーのアミノ基を有する一方、鎖の他方の末端における末端アミノ酸(即ちカルボキシ末端)は、フリーのカルボキシル基を有する。そのように、「アミノ末端」(N-末端と略される)という用語は、ペプチドのアミノ末端におけるアミノ酸上のフリーのα-アミノ基、または、ペプチド内の任意の他の位置におけるアミノ酸のα-アミノ基(ペプチド結合に関与する場合はイミノ基)を指す。「カルボキシ末端」(C-末端と略される)という用語は、ペプチドのカルボキシ末端におけるアミノ酸上のフリーのカルボキシル基、または、ペプチド内の任意の他の位置におけるアミノ酸のカルボキシル基を指す。
【0050】
典型的に、ペプチドを構成するアミノ酸は、ペプチドのアミノ末端において開始し、カルボキシ末端に向かう方向に増加するように、順番に番号付けられる。したがって、一方のアミノ酸がもう一方のアミノ酸に「続く」と言われる場合、そのアミノ酸は、前のアミノ酸よりも、ペプチドのカルボキシ末端の近くに位置付けられる。
【0051】
本明細書において使用されるように、「プライマー」または「DNAプライマー」という用語は、核酸分子に特定の方向でアニールし、新生DNA鎖を合成させるようなオリゴヌクレオチドを意味する。
【0052】
本明細書において使用されるように、「プライマーペアー」という表現は、一方は正の向きとされ、もう一方は逆の向きとされる(センス配列およびアンチセンス配列からなる二重鎖DNA分子にアニールされた場合に、それら各々の方向に関して)ような、2つのプライマーを指す。インビトロの増幅条件下においては、フォワードプライマーはセンス配列にアニールし、センス配列の増幅のプライマーとして機能し、リバースプライマーは、アンチセンス配列にアニールし、アンチセンス配列の増幅のプライマーとして機能する。プライマーは、例えば、(プライマー二量体の形成を最小限にするため)反応における他のプライマーと最小限の相補性を有すること、および、PCRのような増幅法のために適切な反応温度範囲のTm値を有することに基づき、増幅反応における使用のために選択することができる。さらに、プライマーは、結果的に生じるDNA増幅産物が、例えばおよそ300塩基対長またはそれ以上のように、例えば100〜5000塩基対長のような特定のサイズとなるように、DNAまたはRNAの鋳型の特定の領域にアニールさせるために選択することができる。
【0053】
「プローブ」は、相補的な核酸配列を検出するための、その核酸配列との選択的ハイブリダイゼーションのために使用することができる核酸配列を意味する。プローブは、例えば、約5〜100ヌクレオチド、または約10〜50ヌクレオチド、または約18〜24ヌクレオチドのように、長さが異なる。「標識プローブ」は、検出可能な標識または他のレポーター分子に接着された単離核酸プローブを含む。標識するための方法、および、様々な目的のために適切な標識の選択における手引きは、例えば、Sambrookら(「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, CSHL, New York, 1989)、および、Ausubelら(「分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology), John Wiley & Sons, New York, 1998)において議論されている。
【0054】
「プロモーター」は、核酸の転写を司る、1つまたはそれ以上の核酸配列を含む。プロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーターの場合はTATA配列のような、転写開始部位近くの核酸配列を含む。プロモーターはまた、転写開始部位から数千塩基対も離れて位置し得る、遠位エンハンサーまたはリプレッサー因子をも含み得る。
【0055】
本明細書において使用されるような「精製された」という用語は、絶対純度を必要とはしない;むしろ、相対的な用語として意図される。したがって、例えば、精製された核酸(またはタンパク質もしくは他の化合物)調製物は、特定化された分子(または分子タイプ)が、例えば細胞内または生化学的反応チェンバー内(適切なように)のような、その発生環境におけるものよりもさらに増加されたものである。例えば実質的に純粋な核酸のような、「実質的に純粋な」物質の調製物は、望ましい核酸がその調製物の核酸の総含量の少なくとも50%に相当するように精製することができる。ある態様においては、実質的に純粋な調製物では、調製物中における望ましい分子が少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%もしくはそれ以上に相当する。
【0056】
「組換え」核酸は、天然には生じない配列を有するもの、または、さもなければ分離されているような2つの配列セグメントの人工的な組み合わせによって作製された配列を有するものである。この人工的な組み合わせは、化学合成によって、または、より一般的には、例えば遺伝子工学技術によるような、単離核酸セグメントの人工的な操作によって達成することができる。
【0057】
本明細書においては、「残基」という用語は、アミド結合によってペプチドに組み入れられた、アミノ酸(D型またはL型)またはアミノ酸模倣物を指すように使用される。アミノ酸はそれ自体、天然に生じるアミノ酸であることが可能である、または他に限定されない限り、天然に生じるアミノ酸と同様の仕方で機能する、天然のアミノ酸の類似体(即ちアミノ酸模倣物)を包含することが可能である。さらに、アミド結合模倣物は、当業者にはよく知られたペプチド骨格修飾を含む。
【0058】
「配列同一性」という表現は、2つの核酸配列または2つのアミノ酸配列の間の類似性を指し、配列間の類似性に換算して表される。配列同一性は、しばしば、同一性パーセント(または類似性パーセントもしくは相同性パーセント)に換算して測定される;より高いパーセントであれば、2つの配列はより類似している。
【0059】
比較のための配列アラインメントの方法は、当技術分野においてはよく知られている。以下において、様々なプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが説明されている: SmithおよびWaterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981;NeedlemanおよびWunsch, J. Mol. Biol. 48:443, 1970;PearsonおよびLipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988; HigginsおよびSharp, Gene, 73:237〜244, 1988; HigginsおよびSharp, CABIOS 5:151〜153, 1989; Corpetら, Nuc. Acids Res. 16, 10881〜90, 1988; Huangら, Computer Appls. in the Biosciences 8, 155〜65, 1992;ならびにPearsonら, Meth. Mol. Bio. 24, 307〜31, 1994。Altschulら(J. Mol. Biol. 215:403〜410, 1990)は、配列アラインメント法および相同性の計算について詳細な考察を与えている。
【0060】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschulら, J. Mol. Biol. 215:403〜410, 1990)は、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxに関連した使用について、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information, NCBI, Bethesda, MD)を含む、幾つかの供給源から、および、インターネット上にて入手可能である。
【0061】
2つの核酸分子が密接に関連していることを代わりに示すのは、ストリンジェントな条件下においてその2つの分子が互いにハイブリダイズすることである。ストリンジェントな条件は配列に依存し、異なる環境パラメータ下において異なる。一般に、ストリンジェントな条件は、定義付けられたイオン強度およびpHにおいて、特定の配列についての熱融点(Tm)より約5〜20℃低く選択される。Tmは、標的配列の50%が、完全にマッチするプローブまたは相補鎖にハイブリダイズしたままであるような、(定義付けられたイオン強度およびpH下における)温度である。核酸ハイブリダイゼーションについての条件およびストリンジェンシーの計算は、Sambrookら(「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, CSHL, New York, 1989)およびTijssen(「生化学および分子生物学における実験技術−核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション パートI(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes Part I)」, 第2章, Elsevier, New York, 1993)において見出すことができる。ストリンジェントな条件下にて標的配列にハイブリダイズする核酸分子は、典型的に、50℃、2×SSCの洗浄条件下において、標的タンパク質の完全コード配列、または、コード配列の選択された部分のいずれかに基づいて、プローブにハイブリダイズする。
【0062】
程度の高い同一性を示さない核酸配列は、それにも関わらず、遺伝暗号の縮重によって類似したアミノ酸配列をコードする可能性がある。全てが実質的に同じタンパク質または同一のタンパク質をコードするような、複数の核酸分子を作製するために、この縮重を用いて核酸配列における変化を生じさせ得ることは理解される。
【0063】
さらに、結果として生じる変異体が、基本のタンパク質の免疫刺激特性(例えば、被験者における防御的免疫応答)のような特性または活性の実質的なある比率をなおも維持する限り、タンパク質のアミノ酸配列における個々の置換、欠失もしくは付加、または、コードされる配列において1つのアミノ酸もしくは低いパーセント(ある例においては5%未満、またはそれどころか1%未満)のアミノ酸を変化させる、付加するもしくは欠失させるような、そのタンパク質のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列における個々の置換、欠失もしくは付加が、その変化によって、あるアミノ酸の、化学的に類似したアミノ酸との置換がもたらされるような、保存的に修飾された変異であることが、当業者には認識される。特定の態様においては、結果的に生じる変異体が、基本のタンパク質の免疫刺激特性または他の特性の、実質的なある比率(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、またはそれ以上)を維持する限り、わずかに1つのアミノ酸の置換、わずかに約3つの置換、または、約5、10、もしくは20もの置換があるような分子が予想される。ある変異態様は、それらが由来する元のタンパク質またはペプチドよりも強い免疫刺激特性を有することが予測される。
【0064】
機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的アミノ酸置換表は、当業者にはよく知られている。以下の6つの群は、互いに保存的な置換と考えられるアミノ酸の例である:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0065】
本明細書において使用されるような「特異的結合作用物質」という用語は、実質的に、定義付けられた標的のみに結合する作用物質を指す。したがって、タンパク質特異的な結合作用物質は、実質的に、特定化されたタンパク質のみに結合する。「タンパク質特異的な結合作用物質」という用語は、抗タンパク質抗体(およびその機能的な断片)、および、実質的に特定化されたタンパク質のみに結合する、(可溶性受容体のような)他の作用物質を含む。
【0066】
(抗Acr抗体のような)抗タンパク質抗体は、HarlowおよびLane(「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)」, CSHL, New York, 1988)を含む多くの教材において説明される標準の手法を用いて作製することができる。特定の作用物質が実質的に、特定化されたタンパク質、またはその成分のエピトープのみに結合することは、常用の手法を用いて、または適応させて、容易に決定することができる。ある適切なインビトロのアッセイは、ウエスタンブロット法(HarlowおよびLane(「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)」, CSHL, New York, 1988)を含む、多くの標準教材において説明される)を利用する。ウエスタンブロット法は、抗Acrモノクローナル抗体のような、所定のタンパク質結合作用物質が、実質的に、特定化されたタンパク質のみに結合することを決定するために使用することができる。
【0067】
抗体のより短い断片もまた、特異的結合作用物質としての役割を果たすことが可能である。例えば、Acrに結合する、Fabs、Fvs、および単鎖Fvs(SCFvs)は、Acr特異的結合作用物質となる。これらの抗体断片は、以下のように定義付けられる:(1)Fab、抗体全体を酵素パパインを用いて分解し、1つの完全な軽鎖および1つの重鎖の部分を生じさせることによって作製される、抗体分子の一価の抗原結合断片を含む断片;(2)Fab’、抗体全体をペプシンで処理し、続いて還元し、1つの完全な軽鎖および1つの重鎖の部分を生じさせることによって得られる抗体分子の断片;2つのFab’断片が抗体分子ごとに得られる;(3)(Fab’)2、後に還元せずに、抗体全体を酵素ペプシンで処理することによって得られる抗体の断片;(4)F(ab’) 2、2つのジスルフィド結合によって共に保持された2つのFab’断片の二量体;(5)Fv、2つの鎖として発現される軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む、遺伝子操作断片;ならびに(6)単鎖抗体(「SCA」)、遺伝的に融合された単鎖分子として、適切なポリペプチドリンカーによって連結された、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝子操作分子。これらの断片を作製する方法は常套手段である。
【0068】
「特異的結合パートナー」は、関与する分子の三次元構造に依存する、特異的な、非共有相互作用によって、別の分子の構造的な局面を認識および結合することができる、一組の分子(「特異的結合ペアー」)の構成要員である。特異的結合パートナーの典型的な組は、抗原/抗体、ハプテン/抗体、ホルモン/受容体、核酸鎖/相補核酸鎖、基質/酵素、阻害剤/酵素、アポタンパク質/補因子、糖質/レクチン、ビオチン/(ストレプト)アビジン、および、ウイルス/細胞受容体を含む。
【0069】
(抗体または抗原のような)少なくとも1つの免疫学的分子を含む特異的結合ペアーは、特異的免疫学的結合ペアーと呼ぶことができ、その免疫学的分子を特異的免疫学的結合パートナーと呼ぶことができる。
【0070】
特異的結合ペアーの例は、(潜伏期特異的抗原のような)潜伏期特異的分子である分子、および、その潜伏期特異的分子についての特異的結合パートナーである分子を含む、潜伏期特異的結合ペアーである。
【0071】
抗体に言及する場合、「分析対象物に特異的に結合する」または「に対して特異的に免疫反応性である」という表現は、タンパク質および他の生物学的分子のような不均質な分子集団における分析対象物またはエピトープの存在の決定因となる、結合反応または相互作用を指す。したがって、指定された免疫学的検定法の条件下においては、特定化された抗体は特定の分析対象物またはエピトープに結合し、サンプル中に存在する他の分析対象物またはエピトープには有意な量で結合しない。特定の分析対象物またはエピトープに対して特異的に免疫反応性である抗体を選択するために、様々な免疫学的検定法のフォーマットを使用することができる。例えば、固相ELISA免疫学的検定法は、あるタンパク質に対して特異的に免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために、常用される。特異的な免疫反応性を決定するために使用することができる免疫学的検定法のフォーマットおよび条件の説明については、HarlowおよびLane「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)」, CSHP, New York, 1988を参照のこと。
【0072】
本明細書において使用されるような「被験者」という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方を含む範疇である、生きた多細胞脊椎動物の生物体を指す。「被験者」という用語は、ヒトの被験者および獣医学的被験者の両方を含む。
【0073】
サイトカインまたは他の生物学的素材を指す場合、「定常状態レベル」という用語は、非感染細胞において産生されるサイトカインまたは他の生物学的素材のレベルを指す。
【0074】
「合成ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合を形成させるための有機化学の手段を用いて、アミノ酸を特定の順序で連結させることによって、インビトロにおいて形成されるポリペプチドを指す。
【0075】
「形質転換された」細胞は、分子生物学的技術によって核酸分子が導入された細胞である。本明細書において使用されるように、形質転換という用語は、ウイルスベクターを用いたトランスフェクション、プラスミドベクターを用いた形質転換、および、エレクトロポレーション、リポフェクションおよびパーティクルガン加速法による、裸のDNAの導入を含む、そのような細胞に核酸分子を導入することのできる全ての技術を包含する。
【0076】
「ワクチン」という用語は、本明細書においては、脊椎動物における特定の免疫応答を刺激するために有用な組成物を意味するように使用される。
【0077】
本明細書において使用されるような「ベクター」という用語は、宿主細胞に導入されると、それによって形質転換された宿主細胞を生じるような核酸分子を指す。ベクターは、複製起点のような、宿主細胞においてそれを複製させる核酸配列を含み得る。ベクターはまた、1つまたはそれ以上の選択可能なマーカー遺伝子、および、当技術分野において既知の他の遺伝的要素をも含み得る。
【0078】
他に説明されない限り、本明細書において使用される全ての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。核酸またはポリペプチドについて与えられる、全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および、全ての分子量または分子質量値はおおよそのものであり、説明のために提供されることはさらに理解される。本明細書において説明されるものと同様の、または同等の方法および材料を、本開示の実施または試験において使用することはできるが、下記にて、適切な方法および材料が説明される。矛盾する場合は、用語の説明を含めて本明細書に従って統制される。さらに、材料、方法、および実施例は単に説明的なものにすぎず、限定することを意図しない。
【0079】
III.幾つかの態様の説明
本明細書の第一の態様においては、被験者における潜伏性結核を検出するための免疫学的アッセイ法が提供される。そのような方法は、被験者に由来する、第一の潜伏期特異的結合パートナー(LSBP)を含み得る生物学的サンプルを、対応するLSBPと接触させる段階、および、第一のLSBPと対応するLSBPとの間の結合を検出する段階を含み、そのような結合は被験者における潜伏性結核を示唆する。これらの方法のある特定の例においては、第一のLSBPは抗体であり、対応するLSBPは潜伏期特異的なヒト結核菌抗原(例えば、α-クリスタリン(Acr)またはその免疫原性断片)である。本方法の他の特定の例においては、第一のLSBPは潜伏期特異的なヒト結核菌抗原であり、対応するLSBPは抗体である。本方法のある特定の例においては、抗原はAcrまたはその免疫原性断片である。
【0080】
その他の態様は、被験者における潜伏性結核の検出のためのキットである。そのようなキットは、少なくとも1つのLSBP、および、被験者における潜伏性結核の検出のための免疫学的アッセイ法を実行するための使用説明書を含む。
【0081】
本開示はまた、被験者における免疫応答を引き出す方法をも提供する。本方法は、免疫刺激量のヒト結核菌潜伏期特異的抗原もしくはその免疫原性断片、または、そのような抗原(例えばAcr)もしくはその免疫原性断片をコードする核酸分子を被験者に導入する段階を含む。ある特定の例においては、本方法は、被験者における潜伏性結核感染を抑制または治療する方法である。本方法の特定の例においては、引き出された免疫応答は、ヒト結核菌による潜伏感染に対する被験者の感受性の低下をもたらす。
【0082】
本開示は、被験者における免疫応答を引き出すためのキットをさらに提供する。そのようなキットは、免疫刺激量のヒト結核菌潜伏期特異的抗原もしくはその免疫原性断片、または、そのような抗原もしくは免疫原性断片をコードする核酸分子、および、被験者における免疫応答を引き出す方法を実行するための使用説明書を含む。キットの特定の例は、潜伏性結核感染を有する可能性のある患者にキットの成分を投与するための使用説明書を含む。
【0083】
さらなる態様では、末梢血単核細胞、自己マクロファージ、およびミコバクテリアを含む、インビトロの肉芽腫が提供される。そのような肉芽腫においては、末梢血単核細胞は、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、およびその組み合わせからなる群より選択される、ヒトの末梢血単核細胞である。肉芽腫のある例においては、ミコバクテリアはヒト結核菌である。肉芽腫のある例は、線維芽細胞をさらに含む。
【0084】
インビトロの肉芽腫を作製するための方法であり、低付着性容器において末梢血単核細胞、自己マクロファージ、およびミコバクテリアを組み合わせる段階、および、その組み合わせを十分な時間インキュベートし、インビトロの肉芽腫を形成させる段階に関与する方法も提供される。ある特定の例においては、線維芽細胞を組み合わせに加える。ある特定の例においては、外因性サイトカインを、インビトロの肉芽腫の作製を増強するのに十分な量において、容器に加える。ある例においては、外因性サイトカインは、IL-2、IFN-γ、TNF-α、またはその2つもしくはそれ以上の組み合わせである。
【0085】
本明細書において提供されるその他の態様は、抗結核治療活性について、結核薬候補をスクリーニングする方法である。そのような方法は、末梢血単核細胞、自己マクロファージ、およびミコバクテリアを含むインビトロの肉芽腫と薬剤を組み合わせる段階、ならびに、その薬剤がミコバクテリアの生存能を阻害するかどうかを決定する段階を含む。ある特定の例においては、末梢血単核細胞は、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、およびその組み合わせからなる群より選択される、ヒトの末梢血単核細胞である。
【0086】
本明細書において提供されるなおもその他の態様は、末梢血単核細胞、自己マクロファージ、および不活性化ミコバクテリアを含むインビトロの肉芽腫と薬剤を組み合わせる段階、ならびに、その薬剤が肉芽腫に含まれるミコバクテリアの再活性化を阻害するかどうかを決定する段階を含む、抗結核治療活性について、結核薬候補をスクリーニングする方法である。本方法のある特定の例においては、ミコバクテリアはヒト結核菌である。
【0087】
末梢血単核細胞、自己マクロファージ、および突然変異ミコバクテリアを含むインビトロの肉芽腫において、野生型ミコバクテリアと比較して、突然変異ミコバクテリアが、潜伏期を誘導する、生き残る、再活性化する、または肉芽腫壊死を誘導する能力を低下させられているかどうかを決定する段階を含む、結核ワクチン候補をスクリーニングする方法も提供される。本方法のある特定の例においては、インビトロの肉芽腫は、線維芽細胞をさらに含む。本方法のある例においては、突然変異ミコバクテリアは、潜伏期遺伝子における突然変異を有するミコバクテリア菌株を含む。他の例においては、突然変異ミコバクテリアは、acr、σ因子遺伝子、oxyRおよびaphCからなる群より選択される遺伝子における突然変異を有するヒト結核菌株である。特定の例においては、σ因子遺伝子は、sigF、sigC、およびsigHからなる群より選択される。
【0088】
付加的な態様は、培養基、ならびに、末梢血単核細胞、自己マクロファージ、および突然変異ミコバクテリアを含むインビトロの肉芽腫において、野生型ミコバクテリアと比較して、突然変異ミコバクテリアが、潜伏期を誘導する、生き残る、再活性化する、または肉芽腫壊死を誘導する能力を低下させられているかどうかを決定する段階を含む、結核ワクチン候補のスクリーニングの方法を実行するための使用説明書を含む、インビトロの肉芽腫を作製するためのキットである。ある例においては、本キットは、低付着性容器をさらに含み、ある特定の例においては、本キットは、ある量のサイトカインをさらに含む。
【0089】
IV.インビトロの肉芽腫モデルの作製および使用
本開示は、本態様において、一貫した、複製可能な、および確実な実験系を提供するような、インビトロの肉芽腫モデルを作製および使用するための方法を提供する。インビトロの肉芽腫は、例えば、肉芽腫の形成および維持について研究するため、ならびに、肉芽腫の形成、維持、または返転(reversion)に影響を与える化合物を、同定および特徴付けするため、ならびに、特にミコバクテリアの潜伏期を含むミコバクテリアの局面について研究するためのような、多くの適用において使用することができる。
【0090】
一般に、インビトロの肉芽腫は、末梢血単核細胞をマクロファージおよびミコバクテリアと組み合わせることによって形成される。細胞培養における凝集塊の形成を促進するために、細胞混合物を数日間インキュベートする。ある態様においては、低付着性容器の使用によって、肉芽腫の形成はさらに促進される。細胞凝集塊の形成後、線維芽細胞を培養に選択的に加えることができる。ある態様においては、例えば、IL-2、IFN-γ、および/またはTNF-αのような外因性サイトカインを、例えばミコバクテリアへの感染以前に、増殖培地に加える。
【0091】
より具体的な例として、自己マクロファージおよびミコバクテリアは、全ての付着を妨げるように処理された組織培養皿のウェルのような、低付着性容器の1つまたはそれ以上のウェルにおいて組み合わせられる。(10%ヒト血清、HSを加えたRPMI(Lampire Biological Laboratories, Pipersville, PA)のような)細胞培養基における末梢血単核細胞(PBMC)、選択的に1×106細胞を、マクロファージおよびミコバクテリアと組み合わせ、5〜7日間の間、細胞が増殖する温度においてインキュベートする。凝集塊が直径およそ1 mmに達した時点で、線維芽細胞(選択的にヒト肺線維芽細胞)を加えることができる。
【0092】
マクロファージによるヒト結核菌の貪食作用に続く、様々な走化性誘起作用サイトカインの分泌は、肉芽腫の形成にのみならず、その維持にとっても重要である。このために、サイトカインレベルを測定することによって、インビトロの肉芽腫の発達をモニタリングすることができる。サイトカイン解析のためには、上清を採集し、ろ過滅菌し、ELISAのような既知の技術によってアッセイする。
【0093】
ある態様においては、例えば、インビトロの肉芽腫の形成中に、外因性サイトカインを培地に加えることも有益である;ある例においては、サイトカインの添加によって、凝集塊の形成が増強される。例として、IL-2(例えば10 単位/ml)、IFN-γ(例えば2 ng/ml)、またはTNF-α(例えば50 ng/ml)(Endogen, Woburn, MA)または2つもしくは3つのサイトカインの組み合わせを、ミコバクテリアへの感染以前に、細胞に加える。より長期間、例えば9日間、インビトロの肉芽腫が維持される場合は、サイトカインは都合よく二回目を加えられる可能性がある。ある特定の例においては、培養開始後第5日目に同じ量および種類のサイトカインを加えた。
【0094】
同様に、インビトロの肉芽腫を特徴付けるために、遺伝子発現を使用することができる。RT-PCRまたはRPA解析のために、凝集塊を収集し、洗浄し、RNAを抽出する。組織病理学については、10%のホルマリンのような固定液において細胞を固定し、組織のように処理する。
【0095】
本開示のインビトロの肉芽腫モデルは、様々な実用性を有する。例えば、インビトロの肉芽腫モデルは、肉芽腫形成および肉芽腫壊死の過程の解析および特徴付けを行うために使用することができる。それはまた、ミコバクテリウム属が肉芽腫内に局在しない場合に対して、ミコバクテリウム属が肉芽腫内に局在する場合に、示差的に発現されるヒト結核菌遺伝子を特徴付けるために使用することもできる。
【0096】
本モデルは、例えば外因性サイトカインを加えずに使用された場合に、肉芽腫を構成する細胞による天然サイトカイン産生を特徴付けるために有用である。ある態様においては、インビトロの肉芽腫モデルによって産生されるサイトカインレベルを、定常状態のサイトカインレベルと比較する。肉芽腫モデルは、ミコバクテリアの生存率を解析するためにも、および、病態生理学的解析のためにも有用である。
【0097】
V.薬剤および免疫刺激化合物候補のスクリーニング
本明細書において説明されるインビトロの肉芽腫モデルは、例えば結核薬候補のような候補化合物を正確にスクリーニングするために使用することができる。結核薬候補をスクリーニングする方法は、インビトロの肉芽腫モデルに薬剤候補を加える段階、および、薬剤が、肉芽腫に含まれるミコバクテリアを殺すか、またはさもなくば、肉芽腫中の細菌もしくは他の細胞の生理学を変化させるかどうかを決定する段階を含む。本モデルは、選択的に、潜伏性ミコバクテリア感染の治療において使用するための薬剤をスクリーニングするために使用される。
【0098】
インビトロの肉芽腫モデルはまた、例えば結核ワクチン候補のような、免疫刺激化合物をスクリーニングするためにも有用である。例として、インビトロの肉芽腫モデルは、例えば、ヒト結核菌感染または潜伏性ミコバクテリア感染の再活性化を予防するまたは低減させるためのワクチンとして使用することができる、ヒト結核菌の突然変異菌株を試験するためのような、動物実験への前段階として使用される。動物実験の前段階は、動物実験に関連する費用および負の意味合いの削減に役立つ。本明細書において提供されるインビトロの肉芽腫モデルの例は、動物実験から生み出されるデータに頼る従来的なワクチンスクリーニング試験よりも費用が安く、はるかに迅速である。
【0099】
突然変異ヒト結核菌株は、例えば、限定はしないが、acr、sigF、sigC、sigH、および他のσ因子、oxyRおよびaphCから選択される潜伏期遺伝子の1つにおける突然変異などの突然変異の誘導またはスクリーニングのような、当業者に既知の方法によって構築することができる。当業者に既知の方法の例は、インビトロの突然変異誘発およびインビボの突然変異誘発を含む。突然変異は、1つもしくはそれ以上のこれらの潜伏期遺伝子の、全てもしくは部分の欠失、または、1つもしくはそれ以上のこれらの潜伏期遺伝子における挿入もしくは置換であることが可能である。ミコバクテリア菌株を一般に指す場合、または、特定的にヒト結核菌株を指す場合、「突然変異した」および「突然変異体」という用語は、菌株が休眠状態もしくは潜伏状態にシフトダウンすることを阻害もしくは予防する、または、菌株が休眠状態もしくは潜伏状態にシフトダウンした後に再活性化することを阻害もしくは予防する、1つまたはそれ以上の突然変異を有する菌株を指す。休眠は、細菌の複製が遅い、または停止しているが、継続中の代謝を幾らかは行う状態である一方、再活性化は、細菌の複製および対数増殖期の生化学に関与するものである。
【0100】
ワクチンとしての役割を担うことができる、突然変異した菌株を同定するための方法の例においては、本明細書において説明されるような突然変異ミコバクテリア菌株を、野生型ミコバクテリア菌株の代わりにインビトロの肉芽腫モデルに加える。突然変異ミコバクテリア菌株の有効性は、野生型ミコバクテリア菌株と比較して、突然変異菌株の、潜伏性ミコバクテリア感染状態の成立を誘導する、肉芽腫内において生き残る、潜伏状態から活性状態へ再活性化する能力の低下、および/または、突然変異菌株の、肉芽腫壊死を誘導する能力の低下に基づいて決定される。突然変異ミコバクテリア菌株を含む、インビトロの肉芽腫におけるサイトカイン産生を解析し、野生型ミコバクテリア菌株を含む対照インビトロ肉芽腫モデルにおけるサイトカイン産生と比較することもできる。
【0101】
VI.潜伏期特異的抗原の同定
ミコバクテリアの休眠の分子メカニズムについての洞察を得るために、ならびに、休眠感染を検出および/または追跡するための分子を提供するために、低酸素への適応に関与すると疑われる遺伝子およびタンパク質を調べた。(本明細書において説明されるように)逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)技術を用いた結果、推定上の様々なストレス応答遺伝子の示差的な発現が確証された。嫌気性(シフトダウン)肉芽腫モデルにおいて増加した活性を示す、これらの遺伝子のうち2つは、酸化ストレス応答に関与する、oxyRおよびaphCである(Dhadayauthapaniら, J. Bacteriol. 178:3641〜3649, 1996)。第三の遺伝子は、マクロファージ内における細菌の増殖に必要とされることが報告された(Yuanら, Microbiol. 95, 16:9578〜9583, 1998)、α-クリスタリン、即ち、ATP非依存性のシャペロンをコードする(Henriquesら, J. Bacter. 179:1887〜1897, 1997;Horwitz, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 89:10449〜10453, 1992)。
【0102】
本明細書において開示される特定の態様において議論されたものに加え、潜伏期特異的な抗原は、潜伏期にないミコバクテリアと比較した、潜伏性ミコバクテリア、特にヒト結核菌による、それらの優先的な発現に基づいて同定することができる。例として、示差的な発現は、潜伏性ミコバクテリアおよび非潜伏性ミコバクテリア(例えば、低酸素条件下および好気条件下において培養された細菌)から抽出されたタンパク質の二次元ゲル電気泳動を用いて検出することができる。
【0103】
または、ミコバクテリアの潜伏性(例えば、インビトロの肉芽腫)培養対非潜伏性(即ち好気)培養における、優先的なmRNA発現を検出するために、遺伝子チップ(またはcDNAマイクロアレイ)解析を行うことができる。例えば、一方の培養または他方の培養において発現される転写産物の全てをスポッティングすることによって、サブトラクティブハイブリダイゼーションを実行することができる。チップをその後、(例えばシアニン色素を用いて)標識した潜伏性mRNA(またはcDNA)プール、および、標識した非潜伏性mRNA(またはcDNA)プールをプローブとして解析することができ、示差的な発現を、既知の技術を用いて検出することができる。
【0104】
基本型の潜伏期特異的な抗原は、α-クリスタリンである;その同定および特徴付けについては、本明細書においてより詳細に説明される。
【0105】
VII.潜伏性結核の検出
潜伏性ヒト結核菌が、潜伏性ヒト結核菌感染を有する被験者において、その抗原、および/または、それに対して反応性の抗体を検出することができる程十分に高いレベルの潜伏期特異的抗原を産生し得ることが意外にも見出された。
【0106】
本明細書においては、潜伏性結核生物体が、被験者における免疫原性反応を引き出す特異的な抗原を産生することが実証され、潜伏期特異的な抗原、および/または、潜伏期特異的な抗原に対する抗体を検出するための、ならびに、潜伏感染を検出および/または診断するための方法がここで可能となる。
【0107】
潜伏期特異的な抗原、または、(Acrのような)ヒト結核菌潜伏期特異的タンパク質のエピトープを認識する抗体は、例えば血清または他の生物学的液体のような、被験者からのサンプルにおいて、既知の免疫学的技術を用いて検出することができる。そのような潜伏期特異的な抗原または抗体(例えば、Acrエピトープに対して特異的な循環抗体)の存在は、その被験者が潜伏性結核感染を有することを示唆する。
【0108】
当技術分野においては、抗原の検出および定量のための多くの技術が一般に知られている。最も一般的には、精製された抗原を基質に結合させ、サンプルの抗体を、この抗原にそのFab部分を介して結合させ、基質をその後洗浄し、アッセイの対象である抗体のFc部分に結合する二次標識抗体をその後加える。二次標識抗体は、特異的な種のものとなる、即ち、血清がヒト由来の場合、二次標識抗体は抗ヒトIgG抗体となる。基質をその後、洗浄し、結合された二次標識抗体の量を、標準法によって検出および定量する。
【0109】
ディップストリップまたは他の固定化アッセイ装置を使用する方法を含む、生物学的サンプルにおける抗体の検出のための方法の例は、例えば以下の特許において開示されている:米国特許第5,965,356号(単純疱疹ウイルスタイプ特異的血清アッセイ);同第6,114,179号(抗原および/または抗体の検出のための方法および試験キット);同第6,077,681号(抗体の検出による運動性ニューロパシーの診断);同第6,057,097号(自己免疫応答を含む病理学のための、および/または、炎症性疾患のためのマーカー);ならびに同第5,552,285号(酸化DNA塩基に対する抗体についての免疫学的検定法、組成物およびキット)。
【0110】
例として、(インビトロの潜伏期モデルからの培養上清、または被験者からの生物学的サンプルのような)生物学的液体におけるAcrタンパク質またはその他のLSAを検出するために、ミクロスフェアアッセイ(フロービーズアッセイとも呼ばれる)も使用することができる。ルミネックス社(Luminex Corporation)によって開発された系、および、ベクトンディッキンソン社(Becton Dickinson)によって開発された他の系に代表されるような本技術では、1つまたは幾つかの分析対象物を検出するために、非常に少量、典型的には20μlのサンプルを処理する。本アッセイの原則は、特定の量の赤色色素および赤外線色素を含むミクロスフェアに、「捕捉抗体」を結合させることに基づく。これらのミクロスフェアをサンプル、ビオチンと結合させた二次検出抗体、および、フィコエリトリン(PE)と結合させたストレプトアビジンと共にインキュベーションした後、フローサイトメーターを用いてビーズを解析する。あるレーザーではビーズが検出され、第二のレーザーでは、それらのビーズに結合したPEの強度が検出される。この技術は、複数のアッセイ、肺炎連鎖球菌の血清型決定、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)およびα-フェトタンパク質(AFP)の同時測定、トキソプラズマ、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、および単純疱疹ウイルスタイプ1および2に対する血清IgGの同時検出において、サイトカインを検出するために使用されてきた(例えば、そのウェブサイトにおいて、またはそのカタログを通じて、ルミネックス社(Luminex Corp.)から入手できる技術要旨を参照のこと)。
【0111】
ある態様においては、ミクロスフェア上のAcrタンパク質を捕捉するために、ポリクローナルウサギ抗血清が使用される。ある態様においては、二次検出抗体は、Acrに対するモノクローナル抗体である。そのような方法において使用される二次抗体は、例えば、ビオチンに結合することができる。
【0112】
VIII.潜伏期特異的な免疫学的結合パートナーの作製
潜伏期特異的なヒト結核菌タンパク質が一旦同定されれば、そのタンパク質、および/または、そのタンパク質上の1つまたはそれ以上のエピトープを特異的に認識する抗体を、免疫学的アッセイまたは他のアッセイにおいて使用するために十分な量で作製することは有益である。タンパク質、および、同定されたタンパク質に対して反応性の抗体を作製するための方法は、当業者にはよく知られている。以下の方法は、典型的な例として提供され、限定するものとして見なされるべきではない。
【0113】
A.タンパク質の産生
潜伏期特異的なタンパク質が一旦同定されれば、そのタンパク質をコードする配列を決定するのは、よく知られた技術の問題となる。例えば、ヒト結核菌ゲノムの全コード配列が知られている(Coleら、Nature 393:537〜544, 1998);これは、単離されたある潜伏期特異的タンパク質をコードする遺伝子を同定するために使用することができる。コード配列はその後、インビトロにおいて多量のタンパク質を作製するために使用することができる。
【0114】
当業者には、後に精製できるように組換えタンパク質を発現するためには無数の方法があることが理解される。一般には、望ましいタンパク質をコードする核酸配列を有する発現ベクターを用い、発現のための微生物を形質転換する。そのような微生物は、原核生物(細菌)または真核生物(例えば酵母)であることが可能である。ある適切な細菌種は、実験的試験用発現系として広く使用されてきた、大腸菌(E. coli)である。さらに、タンパク質は、ウイルス(例えばワクシニア)に基づく発現系を用いて発現することができる。タンパク質は同様に、動物細胞組織培養において発現することもでき、そのような系は、組換えタンパク質における、または、融合タンパク質のある部分における、動物特有のタンパク質の修飾が望ましい、または必要とされる場合に、適切なものとなる。
【0115】
培養可能な細胞の安定した形質転換に適したベクターも、よく知られている。典型的には、そのようなベクターはクローン化核酸分子の挿入のために適したマルチクローニング部位を含み、それにより、それは5’制御配列および3’制御配列の転写調節下にある。さらに、形質転換ベクターは、1つまたはそれ以上の選択可能なマーカーを含む;細菌の形質転換については、これはしばしば抗生物質耐性遺伝子である。そのような形質転換ベクターは、典型的に、マルチクローニング部位に関して各々機能的に整列された、プロモーター制御領域(例えば、誘導可能な、または、構成的な発現を調節する制御領域)、転写開始部位、リボソーム結合部位、RNAプロセシングシグナル、および転写終結部位をも含む。大量の組換えタンパク質の産生のためには、誘導可能なプロモーターが好ましい。これにより、組換えタンパク質の選択的な産生が許容され、および、構成的プロモーターより高いレベルの産生もなされ、および、構成的に発現された場合には発現細胞にとって毒性となり得る組換えタンパク質の産生も可能になる。
【0116】
これらの一般的な指標に加えて、タンパク質の発現/精製キットが商品として生産されている。例えば、キアゲン社(QIAGEN, Chatsworth, CA)からのQIAexpress(商標)発現系、および、インビトロジェン(InVitrogen, Carlsbad, CA)によって提供される、様々な発現系を参照のこと。製造業者により提供される詳細によって、そのようなキットは、潜伏期特異的タンパク質の生産および精製のために使用することができる。
【0117】
当業者には、組換えポリペプチドを精製するためには無数の方法があり、そのような、タンパク質精製の典型的な方法を、潜伏期特異的タンパク質を精製するために使用できることが理解される。そのような方法は、例えば、イオン交換、ゲルろ過、HPLC、モノクローナル抗体アフィニティークロマトグラフィー、および、大量生成後の不溶性タンパク質封入体の単離を含む、タンパク質クロマトグラフィー法を含む。さらに、例えば、ヘキサヒスチジン配列のような精製親和性タグを、組換え技術によってタンパク質に融合または連結し、ポリペプチド精製を容易にするために使用することができる。精製後のタグの除去が望ましい場合は、そのような除去を容易にするために、例えばトロンビン特異的な分解部位のような、特異的なタンパク質分解部位を、タグと融合タンパク質の残りとの間のタンパク質に操作して入れることができる。
【0118】
商品として生産されるタンパク質の発現/精製キットによって、各系を用いて作製されるタンパク質の精製のためにあつらえたプロトコールが提供される。例えば、キアゲン社(QIAGEN, Chatsworth, CA)からのQIAexpress(商標)発現系、および、インビトロジェン(InVitrogen, Carlsbad, CA)によって提供される様々な発現系を参照のこと。機能化されたTGF-β融合タンパク質を作製するために、商業的なキットが使用される場合、製造業者の精製プロトコールが、そのタンパク質を精製するための1つの好ましいプロトコールとなる。例えば、アミノ末端ヘキサヒスチジンタグと共に発現されたタンパク質は、ニッケル-ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)金属アフィニティークロマトグラフィーマトリックス(The QIAexpressionist, QIAGEN, 1997)に結合することによって精製することができる。
【0119】
組換え潜伏期特異的タンパク質が分泌形態において産生される場合、例えば、トランスジェニック動物の乳汁に分泌される場合、精製は分泌液から行うことができる。または、例えば被験者における免疫学的反応を誘導するために、潜伏期特異的なタンパク質を分泌液(例えば乳汁)において、被験者に直接与えることが適切な場合は、精製は不要である可能性がある。
【0120】
B.抗体の産生
ヒト結核菌潜伏期特異的タンパク質、またはそのようなタンパク質内の特異的なエピトープに対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生することができる。最適には、潜伏期特異的タンパク質に対して生み出された抗体は、特異的にそのタンパク質を検出する。即ち、そのような抗体は、Acrタンパク質を認識および結合し、生物学的サンプル中において認められる他のタンパク質を実質的には認識または結合しない。ある抗体が特異的にその標的潜伏期特異的タンパク質を検出することは、多くの標準免疫学的検定法の任意の1つによって決定される;例えば、ウエスタンブロット技術(Sambrookら, 「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, CSHL, New York, 1989)。
【0121】
(マウスにおいて産生されたもののような)所定の抗体調製物が、標的タンパク質を特異的に検出することを、ウエスタンブロット法によって決定するために、肉芽腫のような潜伏性ヒト結核菌調製物の細胞から総細胞タンパク質を抽出し、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル上における電気泳動に供する。タンパク質をその後、ウエスタンブロット法によって膜(例えばニトロセルロース)に移行させ、膜と被験抗体調製物をインキュベートする。非特異的に結合した抗体を除去するために膜を洗浄した後、アルカリホスファターゼのような酵素に連結した抗マウス抗体の使用によって、特異的に結合した抗体の存在を検出する。アルカリホスファターゼ基質5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸 /ニトロブルーテトラゾリウムの適用によって、免疫学的局在化されたアルカリホスファターゼによる濃青色の化合物の生成がもたらされる。標的潜伏期特異的タンパク質を特異的に検出する抗体は、本技術によって、(その分子量によって決定されるゲル上の所定の位置に局在化される)標的潜伏期特異的タンパク質のバンドに結合することが示される。抗体の他のタンパク質への非特異的結合が生じる可能性があり、ウエスタンブロットゲル上の弱いシグナルとして検出可能である。この結合の非特異的な性質は、ウエスタンブロット上にて得られる、特異的抗体-潜伏期特異的タンパク質の結合から生じる強い第一シグナルと比較して弱いシグナルによって、当業者には認識される。
【0122】
免疫原としての使用に適した実質的に純粋な潜伏期特異的タンパク質を、上記にて説明されるようにトランスフェクションした細胞、または形質転換した細胞から単離する。例えば、ml当たり数μgのレベルにまで、Amiconろ過装置において濃縮することによって、最終調製物におけるタンパク質の濃度を調整する。タンパク質に対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体はその後、以下のように調製することができる:
【0123】
i .ハイブリドーマ融合による、モノクローナル抗体の産生
説明されるように同定および単離された、潜伏期特異的タンパク質(例えばAcr)のエピトープに対するモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein(Nature 256:495, 1975)の古典的な方法、またはその派生法に従って、マウスのハイブリドーマから調製することができる。簡潔に言えば、数週間の期間に渡って、選択されたタンパク質の数μgを用いて、マウスに繰り返し接種する。マウスをその後殺し、脾臓の抗体産生細胞を単離する。ポリエチレングリコールによって、脾臓細胞はマウス骨髄腫細胞と融合され、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)上における系の増殖によって、過剰な非融合細胞は破壊される。首尾よく融合した細胞を希釈し、希釈液のアリコートを、培養の増殖が続けられるマイクロタイタープレートのウェル中に入れる。抗体産生クローンは、Engvall(Enzymol. 70:419, 1980)によって初めに説明されたようなELISA、およびその派生法のような、免疫学的検定法による、ウェルの上清液中の抗体の検出によって同定される。選択された陽性クローンは増殖させることができ、それらのモノクローナル抗体産物を使用するために収集することができる。モノクローナル抗体産生についての手法の詳細は、HarlowおよびLane(「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)」, CSHL, New York, 1988)において説明されている。
【0124】
ii .免疫化によるポリクローナル抗体の産生
1つのタンパク質の不均質なエピトープに対する抗体を含むポリクローナル抗血清は、修飾しないもの、または、免疫原性を増強するために修飾したものであり得る発現タンパク質を用いて、適切な動物個体を免疫化することによって調製することができる。有効なポリクローナル抗体産生は、抗原および宿主種の双方に関連する多くの要因によって影響される。例えば、小分子は、他のものより免疫原性がより弱い傾向があり、担体およびアジュバントの使用を必要とする可能性がある。さらに、宿主動物は、接種部位および用量に応じて変化し、不十分または過剰な抗原用量のいずれかによって力価の低い抗血清を生じさせる。複数の皮内部位において投与される、低用量(ngレベル)の抗原が最も確実であると考えられる。ウサギについての有効な免疫化プロトコールは、Vaitukaitisら(J. Clin. Endocrinol. Metab. 33:988〜991, 1971)において見出すことができる。
【0125】
一定の間隔にてブースター(追加抗原)注入を与え、例えば、既知の濃度の抗原に対する寒天内二重免疫拡散法によって半定量的に決定されるように、その抗体価が低下し始める時点で、抗血清を採集することができる。例えば、Ouchterlonyら(「実験免疫学ハンドブック(Handbook of Experimental Immunology)」, Wier, D.(編) 第19章, Blackwell, 1973)を参照のこと。抗体のプラトー濃度は通常、血清中約0.1〜0.2 mg/ml(約12μM)の範囲にある。抗血清の抗原に対する親和性は、例えばFisher(「臨床免疫学マニュアル(Manual of Clinical Immunology)」, 第42章, 1980)によって説明されるように、競合結合曲線を作成することによって決定される。
【0126】
iii .合成ペプチドに対して生じさせる抗体
潜伏期特異的タンパク質に対する抗体を生み出すための第三のアプローチは、潜伏期特異的タンパク質の予測されるアミノ酸配列に基づき、商品として入手可能なペプチドシンセサイザーにおいて合成される、合成ペプチドを使用するものである。
【0127】
ほんの一例として、化学的に合成されたペプチドをウサギに注入することによる、よく知られた技術によって、Acr内の特異的なペプチドに対するポリクローナル抗体を作製することができる。
【0128】
iv .潜伏期特異的タンパク質をコードする配列の注入によって生じさせる抗体
抗体は、潜伏期特異的タンパク質を発現するDNAベクターを、マウスのような実験動物に皮下注射することによって、潜伏期特異的タンパク質に対して生じさせることができる。動物個体への組換えベクターの送達は、Tangら(Nature 356:152〜154, 1992)によって説明されるように、Biolisticシステム(Sanfordら, Particulate Sci. Technol. 5:27〜37, 1987)のハンディ形態を用いて達成することができる。この目的に適した発現ベクターは、ヒトβ-アクチンプロモーターまたはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかの転写調節下においてZ47コード配列を発現するものを含み得る。
【0129】
潜伏期特異的抗原またはそのエピトープに対して調製された抗体調製物は、生物学的サンプル中の抗原を有する物質の濃度を決定する定量的免疫学的検定法において有用である;それらはまた、本明細書において説明されるように、生物学的サンプル中における抗原の存在を同定するために、半定量的または定性的に使用される。
【0130】
IX .潜伏性結核に対する免疫学的反応の刺激
本明細書における、潜伏性結核感染に特有の抗原の提供により、被験者におけるそのような抗原に対する免疫応答を刺激するための方法がここで可能になる。ある態様においては、そのような免疫応答は、被験者における潜伏性結核感染の成立に対して防御的なものとなる。潜伏期特異的なタンパク質(例えばAcr)は、例えば、潜伏性結核の治療、改善、または予防における免疫原性作用物質として使用することができる。このタイプの治療について選択される被験者は、潜伏性結核感染を有することが知られているもの、または有することが疑われるもの、または感染のリスクを有するものである。そのようなヒトの例は、ツベルクリン皮膚試験で陽性となるが、活性な疾患の根拠(例えば、疲労、食欲不振、体重減少、熱、夜間発汗、咳、喀血のような臨床的症状、または、活性な疾患を示唆するものとして認識されるX線撮影、もしくは他の検査による根拠)がない、または限られた根拠のみを有するようなものである。
【0131】
(Acrのような)潜伏期特異的タンパク質に由来する、提供される免疫刺激タンパク質またはペプチドは、ヒト被験者または動物被験者に免疫刺激組成物またはワクチンとして投与するために、薬学的に許容される担体または溶媒と組み合わせられる。ある態様においては、1つの調製物を形成するために、1つより多いタンパク質またはペプチド断片を組み合わせることができる。
【0132】
免疫原性製剤は、単位用量形態にて都合よく与えられ、従来的な薬学的技術を用いて調製されることが可能である。そのような技術は、活性な成分と薬学的担体または賦形剤との会合をもたらす段階を含む。一般には、製剤は、均一および充分に、活性な成分と液体担体との会合をもたらすことによって調製される。非経口投与に適した製剤は、意図されるレシピエントの血液と製剤を等張にする、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および溶質を含み得る、水性および非水性の滅菌注射溶液;ならびに、懸濁剤および粘稠化剤を含み得る、水性および非水性の滅菌懸濁液を含む。製剤は、例えば密閉アンプルおよび密閉バイアルのような、単位用量分を包装した容器または複数回の用量分を包装した容器において与えることができ、使用直前に、例えば注射用水のような滅菌液体担体の添加のみが必要とされる、凍結乾燥状態において保存することができる。即座に使用できる注射溶液および懸濁液は、当業者に一般に使用される滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0133】
ある態様においては、単位用量製剤は、投与される成分のある用量または単位、またはその適切な画分を含むものである。上記にて特に言及される成分に加え、本明細書に包含される製剤が、当業者によって一般に使用される他の作用物質を含み得ることは理解されるべきである。
【0134】
免疫刺激作用物質またはワクチンとしての使用のためのものを含む、本明細書において提供される組成物は、口腔および舌下を含む経口、直腸、非経口、エアロゾル、点鼻、筋内、皮下、皮内、および局所のような、異なる経路によって投与することができる。それらは、限定はしないが、溶液、エマルジョンおよび懸濁液、ミクロスフェア、粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、およびリポソームを含む、異なる形態において投与することができる。
【0135】
投与容量は投与経路によって変化する。例として、筋内注射は、約0.1〜1.0 mlに渡り得る。当業者には、異なる投与経路についての適切な量が知られる。
【0136】
各ワクチン用量におけるタンパク質の量は、著しい、有害な副作用を起こさずに、免疫防御的反応を誘導する量として選択される。そのような量は、どの特異的な免疫原が使用され、それがどのように与えられるかによって変化する。初回注入は、約1μg〜1 mgの範囲に渡ることが可能であり、幾つかの態様では約10〜800μgとなり、なおも他の態様では約25〜500μgの範囲になり得る。初回ワクチン接種に続いて、被験者は、1回または数回の、ブースターによる免疫化を適切な間隔で受けることが可能である。ブースター注入は、1μg〜1 mgの範囲に渡り得、他の態様ではおよそ10〜750μg、およびなおも他の態様では約50〜500μgの範囲になり得る。例えば3年間隔のような、1〜5年間隔での定期的ブースター投与は、防御免疫の望ましいレベルを維持するのに望ましい可能性がある。
【0137】
国際公開公報第95/01441号において説明されるように、免疫化の過程に続いて、ESAT6またはST-CFと共培養されたPBL(末梢血リンパ球)のインビトロの増殖アッセイ、特に、感作リンパ球から放出されたIFNレベルの測定を行うことができる。本アッセイはよく知られており、米国特許第3,791,932号;同第4,174,384号および同第3,949,064号を含む文献において広く説明されている。
【0138】
免疫刺激化合物(例えばワクチン)の技術分野において最近開発されたものは、ペプチド抗原をコードする核酸分子の直接注入である(JanewayおよびTravers, 「免疫生物学:健康および疾患における免疫機構(Immunobiology: The Immune System In Health and Disease)」, 13.25, Garland Publishing, Inc., New York, 1997;ならびにMcDonnellおよびAskari, N. Engl. J. Med. 334:42〜45, 1996において幅広く説明されている)。本明細書において説明される核酸分子を含む、または、(Acrのような)潜伏期特異的ポリペプチドの免疫原性ペプチドもしくはペプチド断片をコードする核酸配列を含む、または潜伏期特異的ポリペプチドに由来する(例えば融合タンパク質としての)免疫原性ペプチドもしくはペプチド断片をコードする核酸配列を含むプラスミドは、そのようなDNAワクチン接種法において利用することができる。
【0139】
したがって、本明細書において使用されるような「免疫刺激調製物」および「ワクチン」という用語は、(Acrのような)潜伏期特異的ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子が被験者に薬学的組成物の形態において投与される、核酸ワクチンをも含む。遺伝子免疫について、当業者には知られている適切な送達法は、プラスミドDNAの筋肉への直接注入(Wolffら, Hum. Mol. Genet. 1:363, 1992)、特定のタンパク質担体と複合体形成されたDNAの送達(Wuら, J. Biol. Chem. 264:16985, 1989)、リン酸カルシウムとDNAの共沈降(BenvenistyおよびReshef, Proc. Natl. Acad. Sci. 83:9551, 1986)、DNAのリポソームへのカプセル化(Kanedaら, Science 243:375, 1989)、パーティクルボンバードメント(Tangら, Nature 356:152, 1992)および(Eisenbraunら, DNA Cell Biol. 12:791, 1993)、および、クローン化レトロウイルスベクターを用いたインビボにおける感染(Seegerら, Proc. Natl. Acad. Sci. 81:5849, 1984)を含む。
【0140】
同様に、核酸ワクチン調製物は、ウイルス担体を介して投与することができる。
【0141】
最初に細胞をインビトロにて刺激し、免疫応答を引き出すために、その刺激された細胞をその後被験者に投与することにより、提供される免疫刺激分子および調製物を被験者に間接的に投与し得ることも考慮される。
【0142】
X .免疫学的組成物および薬学的組成物
免疫学的エリシター組成物およびワクチンを含む免疫学的組成物、および、潜伏期特異的ポリペプチドまたはその抗原性断片を含む、他の薬学的組成物は、ミコバクテリア感染、特に潜伏性ヒト結核菌感染を低減させる、改善する、治療する、またはことによると予防するために有用である。1つまたはそれ以上のポリペプチドは、ワクチン技術分野における当業者に知られる方法および材料を用いて、単独で、またはアジュバントもしくは他の抗原と組み合わせて、製剤化および包装される。そのような免疫学的組成物に対する被験者の免疫学的反応は、治療的に、または予防的に使用することができ、ある態様においては、細胞傷害性Tリンパ球またはCD4+Tリンパ球のようなTリンパ球によって生み出されるもののような、抗体免疫および/または細胞性免疫を提供する。
【0143】
免疫原性を増強するために、1つまたはそれ以上の免疫原性ポリペプチドまたは断片(例えばハプテン)を、担体分子と結合することができる。免疫原性担体分子は、アルブミン、ヘモシアニン、サイログロブリンおよびその誘導体、特にウシ血清アルブミン(BSA)およびキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)のようなタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド、多糖類、炭水化物、ポリマー、および固相を含む。他のタンパク質由来の物質、または非タンパク質由来の物質が、当業者には知られている。免疫原性担体は、典型的に、少なくとも1,000ダルトンの分子量を有し、ある態様においては、10,000ダルトンよりも大きい分子量を有する。担体分子はしばしば、ハプテンへの共有結合を容易にするための反応基を含む。アミノ酸のカルボン酸基もしくはアミン基、または糖タンパク質の糖基はしばしば、この方法において使用される。そのような基を欠く担体はしばしば、それらを作製するために、適切な化学物質と反応させることができる。または、タンパク質もしくはポリペプチドの多コピーを含む多抗原性ポリペプチド、または、抗原性について、もしくは免疫学的に同等なポリペプチドは、担体を使用せずに免疫原性を高めるために十分に抗原性であり得る。
【0144】
潜伏期特異的ポリペプチドは、結合体に対する免疫原性反応を増強するために有効な量のアジュバントと共に投与することができる。今のところ、ヒトにおいて広く使用されている唯一のアジュバントはミョウバン(リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)である。研究および獣医学的な適用において用いられる、サポニンおよびその精製成分Quil A、フロイント完全アジュバントおよび他のアジュバントには毒性があり、それによって、ヒトのワクチンにおけるそれらの潜在的な使用は制限される。しかし、ムラミルジペプチド、モノホスホリルリピドAのような、化学的に定義付けられた調製物、Goodman-Snitkoffら(J. Immunol. 147:410〜415, 1991)によって説明されるもののようなリン脂質結合体、Millerら(J. Exp. Med. 176:1739〜1744, 1992)によって説明されるようなプロテオリポソーム内への結合体のカプセル化、および脂質小胞内へのタンパク質のカプセル化も有用であり得る。
【0145】
ワクチンとしての役割を果たすように製剤化されたものを含む、本明細書において提供される組成物は、約-100〜4℃の温度において保存することができる。それらはまた、室温のようなより高い温度を含む、異なる温度において、凍結乾燥された状態にて保存することができる。調製物は、当業者には既知の従来的な方法によって滅菌することができる。そのような方法は、限定はしないが、ろ過、放射線および熱を含む。調製物はまた、細菌の増殖を抑制するために、チメロサールのような静菌薬と組み合わせることができる。
【0146】
当業者に知られる様々なアジュバントは、提供されるワクチン組成物において、タンパク質と共に投与することができる。そのようなアジュバントは、限定はしないが、以下を含む:ポリマー、ブロックコポリマーを含むポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーのようなコポリマー;ポリマーP1005;フロイント完全アジュバント(動物個体について);フロイント不完全アジュバント;ソルビタンモノオレアート;スクアレン;CRL-8300アジュバント;ミョウバン;QS21、ムラミルジペプチド;CpGオリゴヌクレオチドモチーフおよびCpGオリゴヌクレオチドモチーフの組み合わせ;トレハロース;ミコバクテリア抽出物を含む細菌抽出物;解毒エンドトキシン;膜脂質;またはその組み合わせ。
【0147】
特定の態様においては、ワクチンは、非経口(即ち、筋内、皮内または皮下)投与または鼻咽頭の(即ち、鼻内)投与による免疫化のための単回投薬量において包装される。ある態様においては、ワクチンは三角筋に筋内注射される。ワクチンは、投与を容易にするために、薬学的に許容される担体と組み合わせることができる。担体は、保存剤を含む、または含まない、例えば水、または緩衝塩類溶液である。ワクチンは、投与時の再懸濁のために凍結乾燥することができる、または溶液中にあることが可能である。
【0148】
ポリペプチドを結合することができる担体は、重合体の遅延型放出系であることも可能である。ワクチンの製剤化においては、抗原の制御放出に影響を与えるために、合成ポリマーは特に有用である。
【0149】
ポリペプチドのマイクロカプセル化も、制御放出を与えるものである。多くの要因が、マイクロカプセル化のための特定のポリマーの選択の一因となる。ポリマー合成およびマイクロカプセル化工程の再現性、マイクロカプセル化の材料および過程にかかるコスト、毒物学的プロフィール、可変の放出動態についての必要条件、および、ポリマーと抗原の物理化学的適合性は全て、考慮しなければならない要因である。有用なポリマーの例は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリアミド、ポリ-(d,1-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)および他の生分解性ポリマーである。
【0150】
薬学的組成物またはワクチンのヒトへの投与のための用量は、例えばおよそ1 mg/kgのように、約0.01〜10 mg/kgであり得る。この範囲に基づき、より重い(または軽い)体重について同等の投薬量を決定することができる。用量は、組成物が投与される個体に適するように調整することができ、個体の年齢、体重および代謝について、ならびに被験者の健康について変化させることができる。そのような決定は、主治医、または被験者および/もしくはその特定の状況に熟知したその他の者に委ねられる。ワクチンは付加的に、安定剤、または、チメロサール(エチル(2-メルカプトベンゾエート-S) 水銀ナトリウム塩)(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)のような、生理学的に許容される保存剤を含み得る。
【0151】
XI.キット
インビトロの肉芽腫を増殖させるために、または、免疫学的結合反応を用いて生物学的サンプル中における潜伏期特異的抗原および/もしくは抗体の存在(もしくは不在)を決定するために、必要な試薬を含むキットが提供される。診断キットにおいて提供される使用説明書は、決定された(例えば実験的に測定された)値または他の結果と比較するために、検量線、ダイアグラム、説明図、または図表もしくは同様のものを含み得る。
【0152】
A.インビトロの肉芽腫を増殖させるためのキット
インビトロの肉芽腫を増殖させるためのキットは、例えば、細胞培養基(例えばRPMIに10%のヒト血清、HSを加えたもの)を含み、選択的に、低付着性容器(例えば、全ての付着を妨げるように処理した組織培養皿)、フィルター、および/または固定液を含み得る。そのようなキットの特定の例は、例えばIL-2、IFN-γ、および/またはTNF-αのような、ある量の1つまたはそれ以上のサイトカインをも含む。キットにおいて供給される試薬は、別々の容器に含まれることが可能である。
【0153】
キットは、例えばELISA試薬、RT-PCRのための試薬、および/またはRPA試薬のような、肉芽腫の解析のための方法をも含み得、それらは、あるキットにおいては1つまたはそれ以上の別々の容器にて同様に提供することができる。細胞培養、ELISA、RT-PCR、およびRPA技術は、当業者にはよく知られている。
【0154】
反応容器および緩衝液、酵素等のような補助的な試薬も、キット中に含むことができる。
【0155】
あるキットにおける付加的な成分は、細胞培養および/またはそれに続く解析を実行するための使用説明書を含む。提供される場合、使用者は、使用説明書により、インビトロの肉芽腫を増殖させ、それらを使用して潜伏期特異的抗原を同定し、ワクチンのような免疫刺激化合物および薬剤をスクリーニングすることができるであろう。
【0156】
B.潜伏期特異的抗原の検出のためのキット
潜伏期特異的ヒト結核菌タンパク質発現の検出のためのキットは、例えば、少なくとも1つの標的タンパク質特異的結合作用物質(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体または抗体断片)を含み、少なくとも1つの対照を含み得る。潜伏期特異的タンパク質特異的結合作用物質および対照は、別々の容器に含まれることが可能である。本キットはまた、例えば作用物質を検出可能なように標識することができる、標的タンパク質:作用物質複合体を検出するための方法をも含み得る。検出可能な作用物質が標識されない場合は、それは、例えばあるキットにおいて1つまたはそれ以上の別々の容器にて同様に提供することができる、二次抗体またはプロテインAによって検出することができる。そのような技術はよく知られている。
【0157】
あるキットにおける付加的な成分は、アッセイを実行するための使用説明書を含む。使用説明書は、使用者に、例えば対照サンプルとの比較において、潜伏期特異的タンパク質の発現レベルが変化させられるかどうかを決定させるようなものである。反応容器および色素原、緩衝液、酵素等のような補助的な試薬も、キットに含むことが可能である。
【0158】
ほんの一例として、酵素結合イムノソルベントアッセイのような有効かつ便利な免疫学的検定法のキットを、ヒト血清における抗Acr抗体を試験するために構築することができる。発現ベクターは、(上記にて説明されるように)細菌またはバキュロウイルスのいずれかにおいて組換えAcrタンパク質を産生するために、Acr cDNAを用いて構築することができる。アフィニティー精製によって、制限されない量の純粋な組換え潜伏期特異的タンパク質(Acrなど)を生成することができる。
【0159】
C.潜伏期特異的抗原に対する抗体の検出のためのキット
アッセイキットの他の例では、抗原として組換え潜伏期特異的タンパク質、二次抗体として酵素結合ヤギ抗ヒトIgGが提供される。そのようなキットの例はまた、1つまたはそれ以上の酵素の基質をも含み得る。そのようなキットは、被験者からの生物学的サンプルが潜伏期特異的タンパク質に対する抗体を含むかどうかを試験するために使用することができる。
【0160】
本開示は、以下の限定はしない実施例によってさらに例証される。
【0161】
実施例
実施例1:インビトロの肉芽腫モデルの調製および特徴付け
ミコバクテリア感染に対するヒト宿主の主な防御は、Tリンパ球に囲まれた、および後にはマクロファージのコアの周りに凝集する線維芽細胞およびコラーゲンに囲まれる、類上皮細胞および多核巨細胞を含む、活性化マクロファージの密集した組織化集塊である、肉芽腫の形成である。肉芽腫は、侵襲する生物体を隔離することによって、活性な(非潜伏性の)疾患を予防し得る。肉芽腫が維持される場合、これらの細菌は何年間も潜伏性のままである可能性がある。
【0162】
肉芽腫形成のこの過程について、および、宿主の防御が損なわれた場合の肉芽腫のその後の崩壊について研究するために、インビトロのモデルを開発した。本実施例は、モデル系として使用することができるインビトロの肉芽腫を作製するためのある方法、および、本モデルを特徴付けるために使用される幾つかの方法についての説明を提供する。概観において、ヒト末梢血単核細胞、自己マクロファージおよびミコバクテリアを、低付着性組織培養皿において組み合わせた。結果的に生じる凝集塊を、顕微鏡検査法および免疫組織化学的染色を用いて特徴付けた。ELISA、および、RT-PCRにより検出される細菌のmRNAによって、サイトカイン産生を評価した。
【0163】
末梢血単核細胞(1×106)、自己マクロファージ(1×106)およびミコバクテリア(1×101)を、低付着性組織培養皿(COSTAR(商標)Ultra Low Attachment Clusters, Costar Corp., Cambridge, MA)において組み合わせ、5%CO2、37℃においてインキュベートした。ヒト末梢血単核細胞(PBMC、10%HSを加えたRPMI中に1×106細胞)を24時間後に加え、混合物を5〜7日間インキュベートした。凝集塊形成が認められた。凝集塊が直径およそ1 mmとなった時点で、ヒトの肺線維芽細胞(細胞系列33Luに由来する)を加えた。
【0164】
標準法を用いた顕微鏡検査法および免疫組織化学的染色を使用して、凝集塊を特徴付けた。ヒトの肺線維芽細胞の添加により、輪郭がよりはっきりとなるよう発達した培養において、小さな、円形の凝集塊構造物が形成された。免疫染色法を用いた、これらの凝集塊の顕微鏡使用試験によって、CD68+上皮様マクロファージ、および、わずかな、小さい円形のCD3+リンパ球が認められ、それは、複合体において、臨床病理学的検体にて認められる小肉芽腫に似ていた。肉芽腫を構成する細胞内および細胞間には、抗酸性染色細菌が認められた(図1)。
【0165】
形態学に加え、サイトカイン産生をELISAによって評価した。特に、早期のヒト結核菌感染の間アップレギュレートされることが知られるサイトカインについて解析した。
【0166】
感染に続く24時間によって、凝集塊は、非感染対照細胞において認められるレベルを越えて十分に上昇した、TNF、IL-8、およびIL-6レベルを生じることが認められた。48時間後には、IFNレベルが同様に、対照よりも増加した。このサイトカイン産生の増加は、9日間の実験期間に渡って続いた。結果は、48時間をピークとするが、実験の過程を通して対照のレベルを越えるものであり続けるような、IL-2およびIL-12のレベルの増加をも示す。これらのサイトカインの全ては、健常な対照と比較した場合、結核患者においては、有意により高いレベルで検出される。
【0167】
実施例2:肉芽腫モデルにおけるAcr mRNAの示差的な転写の検出
低酸素チェンバーにおいて培養された細菌を用いて、利用可能な酸素の大部分が利用された後に示差的に発現されたヒト結核菌遺伝子を同定した。示差的に発現された遺伝子は、acr、sigF、oxyRおよびaphCであった。これらの4つの遺伝子のうち、acrは、ミコバクテリウム属によって分泌されるタンパク質(α-クリスタリン)をコードする。
【0168】
インビトロの肉芽腫モデルにおいてこれらの遺伝子が発現されることを確証するために、RT-PCRおよびRNA保護アッセイを実行した。これらのアッセイから、ミコバクテリア遺伝子acr、aphC、およびsigFに由来するmRNAが転写されることが示された。これらの転写産物は、非感染インビトロ肉芽腫対照においては認められなかった。
【0169】
代表的な実験からの典型的な結果は、リボヌクレアーゼ保護アッセイ(RPA)のブロットである、図2および図3において示される。図2においては、4つの時点全てにおいてacr mRNAが認められた一方、RpoB mRNAは、好気的に増殖させた培養においてのみ認められた。図3においては、acr mRNAおよびRpoB mRNAは、7日間または12日間の双方のインキュベーションにて、インビトロの肉芽腫モデルにおいて認められ、これは、肉芽腫中に好気性細菌が存在したことを示唆すると考えられる。
【0170】
実施例3:他のインビトロの潜伏期モデル
以下の実施例は、(例えば、薬剤および免疫刺激化合物をスクリーニングするために、ならびに、潜伏期特異的抗原を同定するために、)例えば、インビトロの肉芽腫モデルについて得られた結果を確証するために使用することができる、他のインビトロの潜伏期モデルを提供する。
【0171】
モルモットエアロゾル感染モデル
少数のヒト結核菌を用いてエアロゾル接種によって感染させた場合、細菌が、深部の肺胞における肺胞上皮細胞と関連した肉芽腫の形成を引き起こすことが認められた。これらの肉芽腫は明らかに、感染を完全に抑えることができず、細菌は結局はこの動物個体を圧倒するが、ヒトの肉芽腫と多くの類似点がある。例えば、これらの肉芽腫は壊死領域に集中し、類上皮細胞および多核巨細胞およびTリンパ球を含むマクロファージを主に含む。これらの肉芽腫においては、細菌のAcr遺伝子の示差的な転写が検出された。
【0172】
インビトロの低酸素チェンバーモデル
WayneおよびHayesは、調節された撹拌を伴う、密閉容器におけるインキュベーションにより、ヒト結核菌から徐々に酸素を剥奪する、インビトロの存続モデルを開発した(WayneおよびHayes, Infect. Immun. 64:2062〜2069, 1996)。これらの条件下における増殖は、操作上、2つの非複製存続(NRP)状態:グリシンデヒドロゲナーゼ活性の誘導に関連する微好気状態(NRP1)、およびそれに続く、グリシンデヒドロゲナーゼ活性が低下し、薬剤感受性における変化が明らかとなる、さらなる低酸素状態(NRP2)に分けることができる。具体的には、多分DNA超らせん性および細胞の透過性の各々における変化によって、細胞は、シプロフロキサシン(ciprofloxicin)に対して耐性となり、メトロニダゾルに対して感受性となる(WayneおよびHayes, Infect. Immun. 64:2062〜2069, 1996)。これらの観察は、1つの抗生物質療法に対する臨床的TBの難治性と関連付けられる(DickinsonおよびMitchison, Am. Rev. Respir. Dis. 123:367〜371, 1981)。
【0173】
(光学密度培養集団、酸素濃度、pHを含む)幾つかの環境的な増殖条件のモニタリングを行わせ、および、低酸素テンションにおいてのみ誘導される酵素をアッセイさせるような、ならびに、病原体の封入、および、容器の直接遠心分離による核酸の容易な収集を提供するような、この密閉容器の改変型が開発されている(図5)。この系を用い、ヒト結核菌は複製を停止するが、低酸素条件下において数ヶ月間、代謝的には活性なままであることが示された(図12)。
【0174】
実施例4:Acr-FLAG融合タンパク質の構築
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのオリゴヌクレオチドプライマーを設計し、作製した。これらのプライマーは、どのプライマーペアーが使用されたかによって、Acrのアミノ末端またはカルボキシ末端に融合されるFLAG(Sigma)エピトープタグを加えて、ヒト結核菌からのhspX遺伝子(Acrをコードする)を増幅させるよう設計された。プライマーの設計は、これらの増幅配列のクローニングおよび発現に関与する、後の組換えDNA法を容易にするための、制限エンドヌクレアーゼ認識部位の導入をも含んだ。N末端のFLAG-Acr融合を生み出すプライマーの配列は、配列番号:1および配列番号:2であった。C末端のAcr-FLAG融合を生み出すプライマーの配列は、配列番号:3および配列番号:4であった。
【0175】
1μgのMTB H37RvゲノムDNAを鋳型として用い、20 mMのTris-HCl、pH 8.4、50 mM KCl、1.5 mM MgCl2、および2.5単位のAmpliTaq(Gibco BRL)熱安定DNAポリメラーゼを用いて、PCR反応を実行した。以下のサイクルパラメータを用いてPCRを実行した:94℃、5分間(1×)、94℃、1分間;55℃、30秒間;72℃、2.5分間(2×)、94℃、1分間;60℃、30秒間;72℃、2.5分間(30×)、72℃、7分間(1×)。PCR増幅に続き、増幅DNA断片を精製し、制限エンドヌクレアーゼによって分解し、同様に分解されたプラスミドベクターpMV261.1とライゲーション(連結)した。ライゲーションに続き、反応液によって大腸菌を形質転換し、抗生物質耐性によって陽性コロニーを選択した。選択されたコロニーを、PCRによって組換えインサートの存在についてスクリーニングし、各陽性クローンのDNA配列決定によって配列の確認を行った。その後、陽性のN末端Acr-FLAG融合プラスミドおよびC末端Acr-FLAG融合プラスミドによってスメグマ菌およびヒト結核菌の両方を形質転換し、抗生物質耐性によって形質転換コロニーを選択した。
【0176】
ウエスタンブロット法によって、融合タンパク質の発現を確認した;代表的なブロットは、図6(N末端融合)および図7(C末端融合)において示される。
【0177】
実施例5:Acrの免疫沈降
Acr-FLAG融合タンパク質を、製造業者の使用説明書に従い、シグマ社(Sigma)から得られるFLAG免疫沈降キットを用いて免疫沈降した。製造業者の使用説明書に従って、Acrに対して生じさせたポリクローナルウサギ抗体が結合されたセファロースCL4Bビーズ(Pharmacia)を用い、ミコバクテリア溶解産物について、天然Acrの免疫沈降を行った。手短に言えば、溶解産物から、セファロースビーズに非特異的に結合し得るいかなるタンパク質をも取り除くために、予備除去段階を実行した。これは、1.5 mLの微量遠心管において、975μlのTSA(0.01 M Tris-HCl、pH 8;0.14 M NaCl;0.025% NaN3)および16μlのMTB溶解産物(2.3 mg/mL)に50μlの非結合セファロースを加えることによって達成された。溶液を、常時揺り動かしながら4℃にて1時間インキュベートした。溶液をその後、14,000 rpmにて5秒間、遠心分離機にかけ、セファロースをペレット化し、上清を取り除き、新しい微量遠心管に移した。25μlの抗Acr抗体に結合させたセファロースビーズを上清に加え、常時揺り動かしながら4℃にて1時間インキュベートした。溶液をその後、以前に説明されたように遠心分離機にかけ、上清を除去して捨てた。セファロースペレットをその後、1)TSAに溶解した0.1%のTriton X-100、2)TSAに溶解した0.1%のTriton X-100、3)TSA、4)pH 6.8の0.05 M Tris-HClの各1 mLを用いて4回洗浄した。各溶液の添加に続き、セファロースペレットを再懸濁し、5秒間遠心分離機にかけ、セファロースを再ペレット化し、洗浄上清を除去した。最終的に、40μlの2×ゲル充填緩衝液(Novex)をセファロースペレットに加え、懸濁液を56℃にて1.5時間インキュベートした。セファロースを再ペレット化するために最終遠心分離を行い、上清(免疫沈降Acrタンパク質を含む)を取り除き、ウエスタンブロット法による解析のために残しておいた。
【0178】
実施例6:ウエスタンブロット法
200ボルトの定電圧における、1時間の、既製の4〜12%bis-Trisポリアクリルアミド勾配ゲル(Novex)を用いたドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって、免疫沈降Acrサンプルまたはミコバクテリア溶解産物を分離した。電気泳動に続き、分離されたタンパク質を、製造業者の使用説明書に従って、150 ミリアンペア定電流における1時間の電気毛管移動により、カット済みの0.2ミクロンポリビニリデンジフルオリド膜(PVDF, Novex)に移行させた。Acrの検出のために、メタノール中に浸すことによって乾燥膜を調製し、3%のゼラチンを含むTBS Tween20(BioRad)中において、常時揺り動かしながら膜を1時間インキュベートすることによって、非結合PVDF表面をブロックした。膜をその後、Tween20を加えたTBSを用いて、常時揺り動かしながら各々10分間、3回洗浄した。
【0179】
1%のゼラチンを含むTween20を加えたTBSにおいて、5,000倍希釈の、Acrに対して生じさせたポリクローナルウサギ抗体、または20,000倍希釈の抗-FLAG M2モノクローナル抗体(Sigma)、または250倍希釈のウサギ抗ホスホチロシン抗体(Zymed)と膜を、常時揺り動かしながら1時間インキュベートすることによってAcrの検出を達成した。その後、上記に説明されるように膜を洗浄した。1%のゼラチンを含むTween20を加えたTBS中に溶解した、10,000倍希釈のビオチン化ヤギ抗ウサギIgGをその後ブロットに適用し、常時揺り動かしながら1時間インキュベートした。続いて、上記に説明されるようにブロットを洗浄した。Tween20を加えたTBS中において、10,000倍希釈のストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(AP)結合体とブロットの最終インキュベーションを、常時揺り動かしながら30分間行った。APの存在の検出は、NBT+BCIP(Novex)溶液中におけるブロットのインキュベーションによって達成された。染色が望ましいレベルに達した時点で、インキュベーションを中断し、水中におけるブロットのさらなる洗浄によって停止させた。ブロットは記録のために乾燥させた。
【0180】
図8は、説明されるように調製された、全細胞ミコバクテリア細胞溶解産物のウエスタンブロットから切り出された5つのストリップを示す;矢印は、組換えAcrタンパク質の位置を示す。ストリップは、図に示した一次抗体を用いて染色バンドを展開した。対照抗体に加え、このブロットは、最終のストリップにおけるチロシンリン酸化の存在を示す。
【0181】
図9は、説明されるように調製された、図面の簡単な説明において示される条件下にて増殖させたヒト結核菌の培養上清からの2つのウエスタンブロットを示す。図9Aは、ウサギ抗Acr抗体をプローブとして解析したものである;図9Bは、対照ブロットである。Acrタンパク質は、7日間および12ヶ月間の低酸素培養およびインビトロの肉芽腫において検出される。12ヶ月間の培養およびインビトロの肉芽腫の上清においては、より低い分子量の変異体が認められる。比較のため、図11では、図に示した条件下にて培養されたヒト結核菌からの培養上清のクーマシー染色SDS-PAGEゲルを示す。
【0182】
実施例7:二次元ゲル電気泳動
Acr-FLAG融合プラスミドを有するスメグマ菌およびヒト結核菌の溶解産物を調製した。細菌の懸濁培養を遠心分離機にかけること(5,000 rpm、10分間)によってペレット化し、リン酸緩衝液(PBS)で細菌のペレットを洗浄した。ペレットをその後、1 mLの9 M 尿素中にて再懸濁し、懸濁液を、およそ200μlの直径0.1 mmガラスビーズ(Biospec products)を含む2 mLの微量遠心管に移した。細胞をその後、ミニビーズビーター(Minibeadbeater)(Biospec products)における急速な振とう(3回、各1分間)によって溶解した。溶解に続き、遠心分離によって細胞の破砕物およびガラスビーズをペレット化し、上清を取り除いた。比色BioRadタンパク質アッセイ(BioRad)を用いてタンパク質の定量を行った。
【0183】
一次元目におけるタンパク質サンプルの分離のために、92.5μlの可溶化緩衝液(9 M 尿素、140 mM DTT、4%Triton X-100)に150μgのタンパク質を加え、9 M 尿素によって最終容量185μLとした。室温にて常時揺り動かしながら、懸濁液を1時間インキュベートした。このインキュベーションに続き、1μlのBiolytes電解質溶液(BioRad、最終濃度0.2%)、および、ブロモフェノールブルー(Fisher)の幾つかの結晶を加えた。IPGストリップの水和、および、タンパク質溶液のストリップへの適用を、IPGストリップ水和装置(Pharmacia)において一晩中行った。水和に続き、ストリップを、以下のパラメータを用いてPharmacia EPS 3500 XL電気泳動装置を使用し、LKB MultiPhor II装置(Pharmacia)において電気泳動に供した:350 V、30分間、350〜3500 V(1.5時間勾配)、3500 V、3.5時間、最終的に泳動時間15,200 ボルトアワーを与える。
【0184】
二次元目を行うために、分離したIPGストリップを、2%w/v DTT(10分間)、および、2.5%のヨードアセトアミド(10分間)を含む、平衡化緩衝液中(6 M 尿素、0.375 M Tris、pH 8.8、2%SDS、および20%グリセロール)において平衡化させた。平衡化ストリップを、製造業者の使用説明書に従い、Criterion(BioRad)8〜16%ポリアクリルアミドゲル上において、200ボルト定電圧において1時間分離させた。
【0185】
図10は、低酸素条件下において増殖させたヒト結核菌から採取されたサンプルの、代表的な二次元ゲル電気泳動解析である。Acrタンパク質は、丸によって示される。
【0186】
実施例8:Acrの検出
クローン化ヒト結核菌 Acrタンパク質に対して生じさせたポリクローナル抗体を用い、低酸素チェンバーおよびインビトロの肉芽腫モデルからの培養上清において、分泌された細菌のAcrを検出した(図9)。エアロゾル感染モルモット肺肉芽腫組織におけるミコバクテリアを検出するためにも、Acrタンパク質に対するポリクローナル抗血清を使用した(図1C)。
【0187】
Acrタンパク質は、低酸素増殖させたヒト結核菌からの上清および細胞溶解産物においては検出されたが、好気増殖させたヒト結核菌からのものでは検出されなかった(図9)。ヒト結核菌溶解産物からAcrを免疫沈降させた。低酸素培養、または、感染させたインビトロの肉芽腫においては、Acrの分子量の変化が検出されたが、好気増殖培養においては検出されなかった(図9)。ヒト結核菌 acr mRNAは、低酸素培養においては検出されたが、好気培養では検出されなかった、ならびに、acr mRNAおよび真核細胞アクチンmRNAは、感染モルモット肺においては検出されたが、非感染対照モルモット肺では検出されなかった(図4)。
【0188】
本開示は、インビトロの肉芽腫モデルおよび使用方法、ならびに、被験者における潜伏性結核を検出するための免疫学的方法を提供する。インビトロの肉芽腫モデルは、例えば、潜伏期特異的抗体を同定するために、ならびに、薬剤および免疫刺激化合物をスクリーニングするために、使用することができる。免疫学的方法は、例えば、被験者から対応する抗体を検出するために、潜伏期特異的ヒト結核菌抗原を使用する段階、または、潜伏期特異的抗原を検出するために抗体を使用する段階を含み得る。本開示は、そのような方法において使用するための、潜伏期特異的抗原(およびそれらの対応する抗体)を同定するための方法、ならびに、α-クリスタリンのような特定の潜伏期特異的抗原をさらに提供する。説明される方法の厳密な詳細を、説明される開示の精神から逸脱せずに、変化または改変し得ることは明らかとなる。本発明者らは、下記の請求項の範囲内および精神内にある、全てのそのような改変および変更を主張する。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】図1は、エアロゾル感染させたモルモットの肺肉芽腫組織の、一連の顕微鏡写真である。図1Aは、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)によって染色された組織を示す。図1Bは、抗酸性染色によって染色された組織を示す;ミコバクテリウム属を表す部分は、矢印によって示される。図1Cは、Acrタンパク質に対するポリクローナル抗体を用いた免疫組織化学的染色を受けた組織を示す;矢印は、2つの染色されたミコバクテリアを示す。
【図2】図2は、リボヌクレアーゼ保護アッセイ(RPA)のブロットである。レーン1〜5は、示されるような、様々な負の対照および正の対照である。レーン6〜9は、好気的に、または低酸素チェンバー中のいずれかにて5日間または7日間増殖させたミコバクテリアに由来するmRNAへのハイブリダイゼーションを示す。Acr mRNAは、4つの時点全てにおいて認められた一方、rpoB mRNAは、好気的に増殖させた培養においてのみ認められた。
【図3】図3は、RPAブロットである。レーン1および2は、インビトロの肉芽腫モデルにおいて、7日間または12日間インキュベーションした後に抽出されたミコバクテリアに由来するmRNAへのハイブリダイゼーションを示す。acrおよびrpoBの双方のmRNAは、両時点において認められ、肉芽腫において好気性細菌が存在していることを示す可能性が高い。レーン3および4は正の対照である;各々、acr mRNA、ならびにacr DNAおよびrpoB DNAである。
【図4】図4は、RT-PCRの結果を示す一組のアガロースゲルである。Acr転写産物は、インビボモデルにおいて、より長い感染により明らかに誘導され(レーン2、3および4)、低酸素培養においてはさらにより強く誘導される(レーン5)。 注解:レーン1、非感染モルモット肺;レーン2、MTB感染モルモット肺−3週間のP.I;レーン3、MTB感染モルモット肺−5週間のP.I;レーン4、MTB感染モルモット肺−10週間のP.I;レーン5、MTB−7日間の低酸素培養。
【図5】図5は、低酸素増殖容器の例の概要図である。
【図6】図6は、形質転換体3におけるN末端構築物Acr-N-FLAGの生成を示す、一組のウエスタンブロットである。図6Aにおけるブロットは、抗Acrポリクローナル免疫グロブリンをプローブとして解析された。図6Bにおけるブロットは、抗FLAGエピトープ免疫グロブリンをプローブとして解析された。
【図7】図7は、2つのスメグマ菌形質転換菌株における、対して、非形質転換スメグマ菌およびヒト結核菌対照における、C末端構築物Acr-C-FLAGの生成を示す、全細胞溶解産物の一組のウエスタンブロットである。図7Aにおけるブロットは、抗FLAG免疫グロブリンをプローブとして解析した。図7Bにおけるブロットは、抗Acr免疫グロブリンをプローブとして解析した。
【図8】図8は、全細胞溶解産物のウエスタンブロットから切り出した5つのストリップを示す;矢印は、組換えAcrタンパク質の位置を示す。ストリップは、図に示した一次抗体を用いて展開した。対照抗体に加え、このブロットは、最終ストリップにおけるチロシンリン酸化の存在を示す。
【図9】図9は、様々な条件下において増殖させたヒト結核菌の培養上清からの2つのウエスタンブロットを示す。図9Aは、ウサギの抗Acr抗体をプローブとして用いて解析された;図9Bは、対照ブロットである。タンパク質は、7日間および12ヶ月間の低酸素培養、ならびにインビトロの肉芽腫において検出される。より低い分子量の変異体が、12ヶ月の培養およびインビトロの肉芽腫の上清において認められる。 注解:レーン1、分子量マーカー;レーン2、3日間の好気増殖;レーン3、7日間の好気増殖;レーン4、7日間の低酸素増殖;レーン5、空レーン;レーン6、7日間の反応;レーン7、12ヶ月間の反応;レーン8、対照細胞;レーン9、7日間のインビトロの肉芽腫;レーン10、ヒト結核菌溶解産物。
【図10】図10は、低酸素条件下にて増殖させたヒト結核菌から採取されたサンプルの二次元ゲル電気泳動解析である。Acrタンパク質は、丸によって示される。
【図11】図11は、様々な条件下において培養された、ヒト結核菌からの培養上清の、クーマシー染色したSDS-PAGEゲルである。 注解:レーン1、分子量マーカー;レーン2、5日間の好気増殖(対数増殖);レーン3、12ヶ月間の低酸素増殖;レーン4、7日間の低酸素増殖;レーン5、30時間の好気増殖 再活性化(対数増殖);レーン6、分子量マーカー。
【図12】図12は、低酸素増殖条件下および好気増殖条件下におけるヒト結核菌の増殖(580 nmにおける光学密度によって測定される)を示すグラフである。
Claims (33)
- 以下の段階を含む、被験者における潜伏性結核を検出するための免疫学的アッセイ法:
被験者に由来する第一の潜伏期特異的結合パートナー(LSBP)を含み得る生物学的サンプルを、対応するLSBPと接触させる段階、および
第一のLSBPと対応するLSBPとの間の結合を検出する段階であり、そのような結合が、被験者における潜伏性結核を示唆するものであるような段階。 - 第一のLSBPが抗体であり、対応するLSBPが潜伏期特異的ヒト結核菌抗原である、請求項1記載の方法。
- 抗原がα-クリスタリン(Acr)またはその免疫原性断片である、請求項2記載の方法。
- 第一のLSBPが潜伏期特異的ヒト結核菌抗原であり、対応するLSBPが抗体である、請求項1記載の方法。
- 抗原がAcrまたはその免疫原性断片である、請求項4記載の方法。
- 少なくとも1つのLSBP、および、請求項1記載の方法を実行するための使用説明書を含む、被験者における潜伏性結核を検出するためのキット。
- 免疫刺激量のヒト結核菌潜伏期特異的抗原もしくはその免疫原性断片、またはそのような抗原もしくは免疫原性断片をコードする核酸分子を、被験者に導入する段階を含む、被験者における免疫応答を引き出す方法。
- 被験者における潜伏性結核感染を抑制する方法である、請求項7記載の方法。
- 被験者における潜伏性結核感染を治療する方法である、請求項7記載の方法。
- 抗原がAcrである、請求項7記載の方法。
- 引き出された免疫応答が、ヒト結核菌による潜伏感染に対する被験者の感受性の低下をもたらす、請求項7記載の方法。
- 免疫刺激量のヒト結核菌潜伏期特異的抗原もしくはその免疫原性断片、または、そのような抗原もしくは免疫原性断片をコードする核酸分子、および、請求項7記載の方法を実行するための使用説明書を含む、被験者における免疫応答を引き出すためのキット。
- 潜伏性結核感染を有する可能性のある患者に、キットの成分を投与するための使用説明書をさらに含む、請求項12記載のキット。
- 末梢血単核細胞、自己マクロファージ、およびミコバクテリアを含む、インビトロの肉芽腫。
- 末梢血単核細胞が、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、およびその組み合わせからなる群より選択されるヒトの末梢血単核細胞である、請求項14記載のインビトロの肉芽腫。
- ミコバクテリアがヒト結核菌である、請求項14記載のインビトロの肉芽腫。
- 線維芽細胞をさらに含む、請求項14記載のインビトロの肉芽腫。
- 低付着性容器において末梢血単核細胞、自己マクロファージ、およびミコバクテリアを組み合わせる段階、ならびに、その組み合わせを十分な長さの期間インキュベートし、インビトロの肉芽腫を形成させる段階を含む、インビトロの肉芽腫を製造するための方法。
- 組み合わせに線維芽細胞を加える、請求項18記載の方法。
- インビトロの肉芽腫の製造を増強するために十分な量の外因性サイトカインを容器に加える段階をさらに含む、請求項18記載の方法。
- 外因性サイトカインが、IL-2、IFN-γ、TNF-α、またはその2つもしくはそれ以上の組み合わせである、請求項20記載の方法。
- 末梢血単核細胞、自己マクロファージ、およびミコバクテリアを含むインビトロの肉芽腫と薬剤を組み合わせる段階、ならびに、その薬剤がミコバクテリアの生存能を阻害するかどうかを決定する段階を含む、抗結核治療活性について結核薬候補をスクリーニングする方法。
- 末梢血単核細胞が、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、およびその組み合わせからなる群より選択されるヒトの末梢血単核細胞である、請求項18または請求項22記載の方法。
- 末梢血単核細胞、自己マクロファージ、および不活性化ミコバクテリアを含むインビトロの肉芽腫と薬剤を組み合わせる段階、ならびに、その薬剤が肉芽腫に含まれるミコバクテリアの再活性化を阻害するかどうかを決定する段階を含む、抗結核治療活性について結核薬候補をスクリーニングする方法。
- ミコバクテリアがヒト結核菌である、請求項18、請求項22、または請求項24記載の方法。
- 末梢血単核細胞、自己マクロファージ、および突然変異ミコバクテリアを含むインビトロの肉芽腫において、野生型ミコバクテリアと比較した場合、突然変異ミコバクテリアが、潜伏期を誘導する、生き残る、再活性化する、または肉芽腫壊死を誘導する能力を低下させられているかどうかを決定する段階を含む、結核ワクチン候補をスクリーニングする方法。
- インビトロの肉芽腫が線維芽細胞をさらに含む、請求項22、請求項24、または請求項26記載の方法。
- 突然変異ミコバクテリアが、潜伏期遺伝子における突然変異を有するミコバクテリア菌株を含む、請求項26記載の方法。
- 突然変異ミコバクテリアが、acr、σ因子遺伝子、oxyRおよびaphCからなる群より選択される遺伝子における突然変異を有するヒト結核菌株である、請求項26記載の方法。
- σ因子遺伝子が、sigF、sigC、およびsigHからなる群より選択される、請求項29記載の方法。
- 培養基、および、請求項18、22、24、または26のいずれか一項記載の方法を実行するための使用説明書を含む、インビトロの肉芽腫を製造するためのキット。
- 低付着性容器をさらに含む、請求項31記載のキット。
- ある量のサイトカインをさらに含む、請求項31記載のキット。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US26034801P | 2001-01-08 | 2001-01-08 | |
US31123501P | 2001-08-09 | 2001-08-09 | |
PCT/US2002/000309 WO2002054073A2 (en) | 2001-01-08 | 2002-01-07 | Latent human tuberculosis model, diagnostic antigens, and methods of use |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005506512A true JP2005506512A (ja) | 2005-03-03 |
JP2005506512A5 JP2005506512A5 (ja) | 2005-05-26 |
JP3944452B2 JP3944452B2 (ja) | 2007-07-11 |
Family
ID=26947939
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002554720A Expired - Lifetime JP3944452B2 (ja) | 2001-01-08 | 2002-01-07 | 潜伏性ヒト結核モデル、診断用抗原、および使用法 |
Country Status (8)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7105170B2 (ja) |
EP (1) | EP1360498B1 (ja) |
JP (1) | JP3944452B2 (ja) |
AT (1) | ATE445839T1 (ja) |
AU (1) | AU2002237764B2 (ja) |
CA (2) | CA2689741C (ja) |
DE (1) | DE60234015D1 (ja) |
WO (1) | WO2002054073A2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009528545A (ja) * | 2006-03-02 | 2009-08-06 | ザ ユーエービー リサーチ ファウンデーション | マイコバクテリウム属の疾患検出、処置、および薬物開発 |
JP2016504036A (ja) * | 2012-12-28 | 2016-02-12 | セルスティス リミテッド | 細胞媒介免疫応答アッセイ |
Families Citing this family (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004006952A2 (en) * | 2002-07-13 | 2004-01-22 | Statens Serum Institut | Therapeutic tuberculosis vaccines |
ES2231037B1 (es) * | 2003-10-31 | 2005-12-16 | Archivel Technologies, Sl | Agente inmunoterapico util para el tratamiento combinado de la tuberculosis en asociacion con otros farmacos. |
FR2872579B1 (fr) * | 2004-06-30 | 2006-11-24 | Pasteur Institut | Detection de la tuberculose et de l'infection par mycobacterium tuberculosis a l'aide de hbha |
AU2006229549B2 (en) * | 2005-03-31 | 2011-04-07 | Leiden University Medical Center | Methods and means for diagnostics, prevention and treatment of Mycobacterium infections and tuberculosis disease |
CA2685746C (en) * | 2007-04-30 | 2017-02-28 | University Of Central Florida Research Foundation, Inc. | In vitro model of latent mycobacterial infection |
US8058022B2 (en) | 2009-07-27 | 2011-11-15 | Indian Institute Of Science | Diagnosis and monitoring of mycobacterium tuberculosis infection |
EP2807487B1 (en) * | 2012-01-27 | 2017-11-29 | PEAS Institut AB | Method of detecting tuberculosis |
KR101552610B1 (ko) | 2013-09-24 | 2015-09-18 | 연세대학교 산학협력단 | 육아종 동물모델 및 그 제조방법 |
US10364458B2 (en) | 2014-07-16 | 2019-07-30 | Tangen Biosciences, Inc. | Isothermal methods for amplifying nucleic acid samples |
US11559801B2 (en) | 2014-11-03 | 2023-01-24 | Tangen Biosciences, Inc. | Apparatus and method for cell, spore, or virus capture and disruption |
CN109030825A (zh) * | 2017-06-12 | 2018-12-18 | 广东体必康生物科技有限公司 | 用于特异性检测结核分枝杆菌感染的蛋白Rv2031c |
RU2702609C1 (ru) * | 2018-08-06 | 2019-10-08 | Федеральное государственное бюджетное учреждение "Новосибирский научно-исследовательский институт туберкулеза" Министерства здравоохранения Российской Федерации (ФГБУ "ННИИТ" Минздрава России) | Способ моделирования туберкулезной инфекции in vitro |
WO2020264258A1 (en) * | 2019-06-28 | 2020-12-30 | United States Government As Represented By The Department Of Veterans Affairs | Methods of producing granulomas and animal models of sarcoidosis |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU1750197A (en) * | 1996-01-17 | 1997-08-11 | Trustees Of Boston University | Mycobacterium antigens and methods for their detection |
US5824546A (en) | 1996-03-27 | 1998-10-20 | The Johns Hopkins University | Regulation of a sigma factor from Mycobacterium tuberculosis |
WO1997035611A1 (en) * | 1996-03-27 | 1997-10-02 | The Johns-Hopkins University | Stationary phase, stress response sigma factor from mycobacterium tuberculosis, and regulation thereof |
US5700925A (en) | 1996-03-27 | 1997-12-23 | The Johns Hopkins University | DNA encoding stationary phase, stress response sigma factor from Mycobacterium tuberculosis |
CA2276491C (en) * | 1996-12-31 | 2008-01-22 | New York University | Early detection of mycobacterial disease |
EP0994944A1 (en) | 1997-07-10 | 2000-04-26 | THE GOVERNMENT OF THE UNITED STATES OF AMERICA as represented by the SECRETARY OF THE DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES | Method of attenuating pathogenic mycobacteria and strains of mycobacteria so attenuated |
AU750173B2 (en) * | 1997-11-10 | 2002-07-11 | Statens Serum Institut | Nucleic acid fragments and polypeptide fragments derived from M. tuberculosis |
-
2002
- 2002-01-07 US US10/250,930 patent/US7105170B2/en not_active Expired - Lifetime
- 2002-01-07 EP EP02704064A patent/EP1360498B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2002-01-07 CA CA2689741A patent/CA2689741C/en not_active Expired - Lifetime
- 2002-01-07 CA CA2433069A patent/CA2433069C/en not_active Expired - Lifetime
- 2002-01-07 AT AT02704064T patent/ATE445839T1/de not_active IP Right Cessation
- 2002-01-07 JP JP2002554720A patent/JP3944452B2/ja not_active Expired - Lifetime
- 2002-01-07 DE DE60234015T patent/DE60234015D1/de not_active Expired - Lifetime
- 2002-01-07 WO PCT/US2002/000309 patent/WO2002054073A2/en active Application Filing
- 2002-01-07 AU AU2002237764A patent/AU2002237764B2/en not_active Expired
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009528545A (ja) * | 2006-03-02 | 2009-08-06 | ザ ユーエービー リサーチ ファウンデーション | マイコバクテリウム属の疾患検出、処置、および薬物開発 |
JP2016504036A (ja) * | 2012-12-28 | 2016-02-12 | セルスティス リミテッド | 細胞媒介免疫応答アッセイ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2002054073A3 (en) | 2003-08-28 |
US7105170B2 (en) | 2006-09-12 |
CA2689741A1 (en) | 2002-07-11 |
ATE445839T1 (de) | 2009-10-15 |
AU2002237764B2 (en) | 2007-08-23 |
JP3944452B2 (ja) | 2007-07-11 |
CA2689741C (en) | 2013-10-01 |
US20040146933A1 (en) | 2004-07-29 |
CA2433069C (en) | 2010-03-30 |
EP1360498B1 (en) | 2009-10-14 |
CA2433069A1 (en) | 2002-07-11 |
EP1360498A2 (en) | 2003-11-12 |
DE60234015D1 (de) | 2009-11-26 |
WO2002054073A2 (en) | 2002-07-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3944452B2 (ja) | 潜伏性ヒト結核モデル、診断用抗原、および使用法 | |
JP2002530050A (ja) | 結核の診断のための化合物および方法 | |
JP2001500383A (ja) | 結核診断用の化合物および方法 | |
AU2002237764A1 (en) | Latent human tuberculosis model, diagnostic antigens, and methods of use | |
KR101528169B1 (ko) | 아비박테리움 파라갈리나룸 항체의 검출방법 및 키트 | |
JP2008515388A (ja) | マイコバクテリウム・ツベルクローシス感染症の診断方法と治療方法およびそのための試薬 | |
WO2013075608A1 (zh) | 一种嵌合重组抗原及其用途 | |
Triccas et al. | Molecular and immunological analyses of the Mycobacterium avium homolog of the immunodominant Mycobacterium leprae 35-kilodalton protein | |
WO2013027149A1 (en) | Improved vaccine diagnostics | |
US7807182B2 (en) | Early detection of mycobacterial disease using peptides | |
ZA200400843B (en) | Early detection of mycobacterial disease using peptides | |
AU2002324578A1 (en) | Early detection of mycobacterial disease using peptides | |
JP3689426B2 (ja) | Rochalimaea henselaeおよびrochalimaea quintanaの核酸ならびにrochalimaea henselaeおよびrochalimaea quintana感染を診断するための方法および組成物 | |
EP1308730B1 (en) | Method of detecting or assaying hbv | |
US8580271B2 (en) | Detection kit containing a novel recombinant 15-kDA polypeptide useful for detecting human infection with Bartonella henselae | |
JPWO2006073133A1 (ja) | 新規タンナーゼ遺伝子およびそのタンパク質 | |
Linke et al. | Expression, structure, and location of epitopes of the major surface glycoprotein of Pneumocystis carinii f. sp. carinii | |
AU2007234526B2 (en) | Latent human tuberculosis model, diagnostic antigens, and methods of use | |
CN109765379B (zh) | 结核分枝杆菌蛋白的应用 | |
US20090068218A1 (en) | Antigens for Vaccination Against and Detection of Mycoplasma Suis | |
JP3578233B2 (ja) | 抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法及びその試薬、並びにクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬 | |
JP3692598B2 (ja) | 抗クラミジア・ニューモニエ抗体の測定法及びその試薬、並びにクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬 | |
WO2000073345A2 (en) | Antibodies specific for mycobacterial polypeptides and uses thereof | |
JPH07110332A (ja) | 結核菌の検査試薬及び検出方法 | |
JP2001181298A (ja) | 抗結核菌38kDaタンパク質モノクローナル抗体並びに結核菌38kDaタンパク質の免疫学的分析方法及び分析用試薬 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041227 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20050502 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060220 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060224 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20060523 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20060601 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060823 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061122 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070328 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070409 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3944452 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110413 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120413 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120413 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130413 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130413 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140413 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |