JP2005504219A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

本発明は、燃料を内燃機関の燃焼室内に直接に噴射する燃料噴射弁(1)であって、アクチュエータ(10)と、該アクチュエータ(10)により操作可能な、弁座体(5)に形成された弁座面(6)と共にシール座を成す弁閉鎖体(4)を操作するための弁ニードル(3)と、弁座(6)の下流に形成されている少なくとも1つの噴射開口(7)とが設けられている形式のものに関する。燃料噴射弁(1)の、下流側の端部(35)に火炎防御円錐(34)が配置されている。

Description

【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の上位概念部に記載された燃料噴射弁に関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19804463号明細書に基づいて公知の、混合気圧縮火花点火式の内燃機関のための燃料噴射システムは、燃料を、ピストン・シリンダ構造により形成された燃焼室内に噴射する燃料噴射弁と、燃焼室内に突入した点火プラグとを有している。この燃料噴射弁には、少なくとも1列の、燃料噴射弁の全周にわたって分配配置された噴射開口が設けられている。燃料を噴射開口を介して狙いを定めた噴射を行うことによって、少なくとも1つの噴流を備えた混合気クラウドの形成による噴流ガイド式もしくはスプレーガイド式の燃焼方法が実現される。
【0003】
上記明細書に基づいて公知の燃料噴射弁において欠点であることは、特に噴射開口のコークス化もしくはカーボン堆積であり、噴射開口はこれによって詰まり、燃料噴射弁を通る流量を許容し得ない程強く減じてしまう。このことは、内燃機関の誤作動を生ぜしめる。
【0004】
発明の利点
これに対して、請求項1の特徴部に記載された特徴を備えた本発明による燃料噴射弁が有する利点は、燃料噴射弁の噴射開口の下流側に配置された火炎防御円錐が、燃焼中の混合気クラウドの火炎フロントの温度を噴射開口の領域で極めて強く減じるので、燃焼残分が噴射開口の領域に沈着することがなく、これによって、コークス化残分よる噴射開口の閉塞が回避されることである。
【0005】
請求項2以下に記載した手段によって、請求項1に記載した燃料噴射システムの有利な改良が可能である。
【0006】
火炎防御円錐は有利には、燃料噴射弁の噴射側の端部、例えば弁座体に形成されている。
【0007】
有利なのは特に、火炎防御円錐が、円錐又は円錐台形として、種々異なる傾斜角度を備えた多段の円錐として、または載着された球を備えた円錐台形として形成されていることであり、これによって、一方では簡単かつ安価な製作が可能であって、他方では任意の数及び配置の噴射開口による任意の噴射状況を考慮することができる。
【0008】
更に、火炎防御円錐の傾斜により、任意の噴射角度での斜めの噴射を実現することが、簡単な形式で可能である。
【0009】
実施例の説明
本発明の実施例は図面に簡単化して示されており、以下において詳細に説明する。
【0010】
図1には、部分的な断面図で、本発明による燃料噴射弁1の1実施例が示されている。燃料噴射弁1は、混合気圧縮火花点火式の内燃機関の燃料噴射装置の燃料噴射弁1の形で構成されている。この燃料噴射弁1は燃料を内燃機関の燃焼室(図示せず)内に直接に噴射するのに適している。
【0011】
燃料噴射弁1はノズル体2から成っており、ノズル体2内には弁ニードル3が配置されている。弁ニードル3は例えば溶接シーム41を介して弁閉鎖体4と作用結合しており、弁閉鎖体4は、弁座体5に配置された弁座面6と、シール座を成すように協働する。燃料噴射弁1は本実施例では内方に向かって開く燃料噴射弁1であり、該燃料噴射弁1は複数の噴射開口7を有しており、これらの噴射開口7は、弁座体5の軸線に対して同心的な、少なくとも1つのサークル上に配置されている。
【0012】
ノズル体2はシール8により、弁ニードル3のためのアクチュエータとして働く磁石コイル10の外極9に対してシールされている。磁石コイル10は、コイルケーシング11内でカプセル状に収容されており、コイル支持体12に巻装されており、コイル支持体12は磁石コイル10の内極13に接触して位置している。内極13と外極9とは、ギャップ26によって互いに隔てられており、結合構造部分29に支持されている。磁石コイル10はライン19を介して、電気的な差込コンタクト17を介して供給可能な電流により励磁される。差込コンタクト17はプラスティック被覆部18により取り囲まれており、このプラスティック被覆部は内極13に射出成形により被着されることができる。
【0013】
弁ニードル3は弁ニードルガイド14内で案内されており、弁ニードルガイド14はディスク形に構成されている。ストローク調節のために、対を成した調節ディスク15が働く。調節ディスク15の他方の側には可動子20が位置している。この可動子20は第1のフランジ21を介して力伝達式(kraftschluessig)に、つまり力が伝達されるように弁ニードル3に結合されており、弁ニードル3は溶接シーム22により第1のフランジ21に結合されている。第1のフランジ21には、戻しばね23が支持されており、戻しばね23は、燃料噴射弁1の本構造形態では、スリーブ24によりプレロード、つまり予負荷がかけられている。
【0014】
可動子20の下流側には、第2のフランジ31が配置されており、この第2のフランジ31は下方の可動子ストッパとして働く。この第2のフランジは溶接シーム33を介して力伝達式に、つまり力が伝達されるように弁ニードル3に結合されている。可動子20と第2のフランジ31との間には、弾性的な中間リング32が、燃料噴射弁1の閉鎖時の可動子衝撃を緩衝するために配置されている。
【0015】
弁ニードルガイド14内、可動子20内及び弁座体5には、燃料通路30a〜30cが延びている。燃料は中央の燃料供給部16を介して供給され、フィルタエレメント25により濾過される。燃料噴射弁1はシール28により分配導管(詳細には図示せず)に対してシールされている。
【0016】
本発明によれば、燃料噴射弁1は弁座体5に火炎防御円錐34を有しており、この火炎防御円錐は、複数の噴射開口7の少なくとも1つのサークルの内側に取り付けられている。火炎防御円錐34は、噴射開口7の下流側に配置されていることにより、コークス化傾向もしくはカーボン堆積を減じ、それによって、噴射開口7の詰まりによる燃料噴射弁1の誤作動及び燃料流量の許容し得ない減少を防止する。本発明による手段を備えた燃料噴射弁1の噴射側の端部35が図2及び3Aに詳細に示されている。
【0017】
燃料噴射弁1の休止状態においては、弁ニードル3に設けられた第1のフランジ21は戻しばね23によりストローク方向と逆向きに負荷されており、弁閉鎖体4は弁座6に密に接して保持されている。可動子20は、第2のフランジ31に支持された中間リング32に載着している。磁石コイル10を励磁すると、磁石コイル10は磁界を形成し、この磁界は可動子20を戻しばね23のばね力に抗してストローク方向に運動させる。この際に、可動子20は、弁ニードル3に溶接されている第1のフランジ21をストローク方向に連行し、これにより弁ニードル3を同じくストローク方向に連行する。弁ニードル3と作用結合している弁閉鎖体4は弁座面6から持ち上がり、これによって燃料が噴射開口7において噴射される。
【0018】
コイル電流が遮断されると、可動子20は、磁界の十分な解消後に、第1のフランジ21に作用する戻しばね23の圧力により内極13から落下し、これにより、弁ニードル3はストローク方向とは逆向きに運動させられる。これにより、弁閉鎖体4は弁座面6上に載着し、燃料噴射弁1は閉鎖される。可動子20は第2のフランジ31により形成された可動子ストッパ上に載着する。
【0019】
図2には、拡大された概略図で、図1に示した本発明により構成された燃料噴射弁1の、図1の範囲II内における、噴射側の端部35が示されている。
【0020】
図1に関する説明の中で既に述べたように、燃料噴射弁1は火炎防御円錐34を有しており、火炎防御円錐34は、噴射開口7の領域の火炎温度を低下させるために、例えば弁座体5に配置されている。この場合、火炎防御円錐34は、尖頭円錐形(spitzkegelig)、つまり鋭角的な先端を備えた円錐形に形成されており、弁座体5と一体的に形成されていてもよいし、適当な形式で、例えばろう接、溶接または接着により弁座体5に固定されていてもよい。
【0021】
この際、火炎防御円錐34の軸方向の長さL及び直径Dは、燃焼室内に噴射される混合気クラウドの開き角αに依存しており、その都度、火炎防御円錐34が混合気クラウドにより湿らされることがないよいうに寸法設定されているべきである。
【0022】
火炎防御円錐34を噴射開口7の下流側に配置することにより、噴射開口7のコークス化もしくはカーボン堆積を低減することができる。噴射開口7の直径は典型的には約100μmであるので、噴射開口7がコークス化により時間の経過と共に詰まってしまい、それにより流量が許容し得ない程度に強く制限されてしまう恐れが比較的に大きい。このことは特に、燃焼室内に噴射された混合気クラウドを点火する際の高い温度により生じる。それというのは、これにより燃料の成分が、燃料噴射弁1の先端に沈着してしまうからである。火炎防御円錐34を取り付けることによって、噴射開口7の出口領域における表面温度は、噴射開口7をコークス化残分により塞いでしまうことがない程度に減じられることができる。火炎防御円錐34は特に、噴射開口7の領域での火炎フロントの伝播を阻止する。
【0023】
図3A〜3Cには、本発明による火炎防御円錐34の種々異なる実施形態を備えた、本発明により構成された燃料噴射弁1の、図2にIIIで示した区分が示されている。
【0024】
このうち図3Aには、図2を参照しながら既に説明した、単純な円錐形の形状が示されている。火炎防御円錐34の長さLと、ベース部の直径Dとは、噴射される混合気クラウドの形状及び開き角αに依存している。軸方向の長さLは典型的に燃料噴射弁1の噴射側の端部35の直径Dの3倍までである一方、直径Dは最大で、燃料噴射弁1の噴射側の端部35の直径Dの半分である。
【0025】
図3Bには、火炎防御円錐34の別の可能な形状が示されている。この実施形態では、弁座体5に面した第1の領域36は円錐台形に形成されており、その際、直径Dはベース部から噴射方向に増大している。第1の領域36に第2の領域37が接続しており、この第2の領域37は、鈍角的な先端を備えた円錐形(stumpfkegelig)に形成されている。第1の領域36の直径Dは、ベース部では、燃料噴射弁1の下流側の端部35の直径Dの半分までであって、第2の領域37との接続箇所では、燃料噴射弁1の下流側の端部35の直径Dの1.5倍にまで増大し得る。火炎防御円錐34の軸方向の長さLは、燃料噴射弁1の、弁座体5の領域における直径Dの4倍までであることができ、そのうちの4分の1までが第2の範囲37の分である。
【0026】
図3Cには、本発明による火炎防御円錐34の第3の実施形態が示されており、この実施形態では、円錐台形38と、これに載着された球39とにより構成された形状が選択された。この場合、円錐台形38の軸方向の長さLは、第1の実施例と同様に、燃料噴射弁1の、弁座体5の領域における直径Dの3倍までであることができる一方で、球39は、燃料噴射弁1の、弁座体5の領域における直径Dに相当する直径dに達することができる。
【0027】
混合気クラウドを燃焼室内に噴射する角度γがほぼ0°である、図3A〜3Cに示した実施形態に類似して、類似の形状が、0°とは異なる任意の角度γの下で斜めの噴射を実施し得るように、弁座体5に取り付けられることができる。このことは図4に、図3Aに示した実施例と同様に尖頭円錐状の火炎防御円錐34によって示されている。
【0028】
本発明は、図示の実施例に限定されるものではなく、かつ任意の形式で燃料噴射弁1の噴射側の端部に固定可能な火炎防御円錐34の任意の形状にも、燃料噴射弁1の任意の構造形式にも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のよる燃料噴射弁の第1の実施例の全体を示した概略的な断面図である。
【図2】
図1に図示した燃料噴射弁の、図1の範囲IIの噴射側の端部を拡大して示した概略図である。
【図3A】
燃料噴射弁の噴射側の端部に取り付けられている、本発明により構成された火炎防御円錐の一実施例を示す図である。
【図3B】
燃料噴射弁の噴射側の端部に取り付けられている、本発明により構成された火炎防御円錐の別の実施例を示す図である。
【図3C】
燃料噴射弁の噴射側の端部に取り付けられている、本発明により構成された火炎防御円錐の別の実施例を示す図である。
【図4】
傾斜噴射に適した燃料噴射弁に設けられた、本発明により構成された火炎防御円錐の1実施例を示す図である。

Claims (16)

  1. 燃料を内燃機関の燃焼室内に直接に噴射する燃料噴射弁(1)であって、アクチュエータ(10)と、該アクチュエータ(10)により操作可能な、弁座体(5)に形成された弁座面(6)と共にシール座を成す弁閉鎖体(4)を操作するための弁ニードル(3)と、弁座(6)の下流に形成されている少なくとも1つの噴射開口(7)とが設けられている形式のものにおいて、燃料噴射弁(1)の、下流側の端部(35)に火炎防御円錐(34)が配置されていることを特徴とする、燃料噴射弁。
  2. 火炎防御円錐(34)が弁座体(5)に形成されている、請求項1記載の燃料噴射弁。
  3. 火炎防御円錐(34)が、鋭角的な先端を備えた円錐形に形成されている、請求項1又は2記載の燃料噴射弁。
  4. 火炎防御円錐(34)の軸方向の長さ(L)が、燃料噴射弁(1)の、弁座体(5)の領域における直径(D)の3倍までである、請求項3記載の燃料噴射弁。
  5. 火炎防御円錐(34)の半径方向の直径(D)が、燃料噴射弁(1)の、弁座体(5)の領域における直径(D)の半分までである、請求項3又は4記載の燃料噴射弁。
  6. 火炎防御円錐(34)が多段の円錐又は円錐台形の形に形成されている、請求項1又は2記載の燃料噴射弁。
  7. 前記円錐形又は円錐台形の火炎防御円錐(34)の段の数が2つである、請求項6記載の燃料噴射弁。
  8. 弁座体(5)から下流方向に延びる第1の領域(36)が、半径方向で下流方向に向かって拡張している、請求項6又は7記載の燃料噴射弁。
  9. 第1の領域(36)に第2の領域(37)が接続しており、該第2の領域(37)が、鈍角的な先端を備えた円錐形に形成されている、請求項8記載の燃料噴射弁。
  10. 火炎防御円錐(34)の軸方向の長さ(L)が、燃料噴射弁(1)の、弁座体(5)の領域における直径(D)の4倍までである、請求項6から9までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  11. 火炎防御円錐(34)の半径方向の直径(D)が、燃料噴射弁(1)の、弁座体(5)の領域における直径(D)の1.5倍までである、請求項6から10までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  12. 第1の領域(36)の軸方向の長さ(l)が、燃料噴射弁(1)の、弁座体(5)の領域における直径(D)の3倍までである、請求項8又は9記載の燃料噴射弁。
  13. 火炎防御円錐(34)が、円錐台形(38)と、これに載着された球(39)とを備えた形状で形成されている、請求項1又は2記載の燃料噴射弁。
  14. 火炎防御円錐(34)の軸方向の長さ(L)が、燃料噴射弁(1)の、弁座体(5)の領域における直径(D)の3倍までである、請求項13記載の燃料噴射弁。
  15. 球(39)の直径(d)の値が、燃料噴射弁(1)の、弁座体(5)の領域における直径(D)に相当する値までである、請求項13又は14記載の燃料噴射弁。
  16. 火炎防御円錐(34)が、角度(γ)の下で、燃料噴射弁(1)の長手方向軸線に対して傾けられている、請求項1から15までのいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
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