JP2005502851A - 特にスピンドルのスピンドル軸を封隙するための封隙装置 - Google Patents

Abstract

【解決手段】本発明は、特にスピンドルの、ハウジング内において回転状態に収容されたスピンドル軸１を封隙するための封隙装置に関し、この封隙装置が固定状態のステーター部材５を有しており、この固定状態のステーター部材が、回転状態の、特にスピンドル軸１に固定されたローター部材６と共に、少なくとも１つの中空室１２を封隙材１４の収容のために形成しており、その際、この中空室１２が、少なくとも１つの開口部１０を介しての、このローター部材６の回転の際にこの中空室１２内へと流入される液体を導出するためのこの封隙装置の通路９を有して形成されており、およびその際、少なくとも１つの更なる封隙部材７が設けられており、この更なる封隙部材が、ローター部材６を、ステーター部材５に対して、このローター部材６が停止状態の場合に封隙する。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、特にスピンドルの、ハウジング内において回転状態に収容されたスピンドル軸を封隙するための封隙装置に関し、
この封隙装置が固定状態のステーター部材を有しており、
この固定状態のステーター部材が、回転状態の、特にスピンドルの軸に固定されたローター部材と共に、少なくとも１つの中空室を封隙材の収容のために形成しており、
その際、この中空室が、少なくとも１つの開口部を介しての、このローター部材の回転の際にこの中空室内へと流入される液体を導出するためのこの封隙装置の通路を有して形成されている。
【背景技術】
【０００２】
公知技術として、互いに回転する部材の、およびハウジング対する特にスピンドルのスピンドル軸の封隙のために、静力学的な封隙材は、チャンバー封隙材、またはラビリンス封隙材（Kammer- oder Labyrinthdichtungen）の様式で周知である。選択的、または補足的に、周囲に延在するノズルリング（Duesenring）を有する遮断空気封隙材が使用される。
【０００３】
国際公開第９９／４９２４６号パンフレット（特許文献１）から、更に、動力学的な封隙システムが公知であり、これら封隙システムの場合、封隙装置のステーター部材とローター部材との間の中空室内において、多数の封隙材が配設されている。更に、この中空室は、少なくとも１つの開口部を介して、場合によっては有り得るこの中空室内へと流入した液体を再び導出するために、封隙材の（流入）通路と結合されている。この様式の動力学的な封隙システムは、これら封隙システムの封隙作用を、ただステーター部材とローター部材との間の相対的な運動の際にだけ発揮する。ステーター部材およびローター部材が止まっている場合、全く封隙がされないか、またはただ不十分な封隙だけが達成される。
【特許文献１】
国際公開第９９／４９２４６号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
従って、本発明の根底をなす課題は、静力学的な使用状況においてと同様に、動力学的な使用状況においても、改善された封隙を提供する、封隙装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
この課題は、請求項１の上位概念の特徴と関連する、請求項１の典型的な特徴を有する封隙装置によって解決される。封隙装置の有利な実施形態は、従属請求項２〜７に記載されている。
【発明の効果】
【０００６】
本発明による封隙装置の場合、チャンバー封隙材、またはラビリンス封隙材に対して、例えば国際公開第９９／４９２４６号パンフレット（特許文献１）から公知の封隙装置に対して補足状態で、少なくとも１つの更なる封隙部材が設けられており、この更なる封隙部材が、ローター部材を、ステーター部材に対して、このローター部材が停止状態の場合に封隙する。従って、封隙装置の封隙は、同様に止まっている状態においても達成される。
【０００７】
有利な実施形態により、更なる封隙部材は、封隙装置のローター部材の窪み部内において、位置確実に収容されている。
【０００８】
有利な方法で、窪み部は、特に生じた遠心力によって半径方向で拡開された更なる封隙部材を収容するための（遊隙）領域を備えている。その場合に、この更なる封隙部材は、遠心力が生じた場合に、この更なる封隙部材の封隙作用を低減、および解除し、その際、動力学的な封隙作用が、封隙装置の中空室内において配設された封隙材によって保証された状態で留まる。本発明による封隙装置の封隙特性の更なる改善は、ステーター部材が、特に傾斜して指向する接触面を有しており、この接触面が、この更なる封隙部材の封隙面として使用される場合に達せられる。この接触面の傾斜した指向は、増大された押圧力でもっての、当接状態にある更なる封隙部材の大きな面積での接触を可能にする。
【０００９】
更なる封隙部材の弾性的に形成した際、この更なる封隙部材は、ローター部材が回転している場合、発生した遠心力によって拡開され、且つ、特に、ステーター部材の接触面から持ち上がり、このことによって、ローター部材とステーター部材との間の封隙が解除される。この封隙は、回転している状態においても、もはや必要とされないか、または僅かに低減された程度においてだけ必要とされる。何故ならば、この封隙装置の回転している状態において、動力学的な封隙は、封隙材によって、ローター部材とステーター部材との間の中空室内において達成されるからである。ローター部材とステーター部材との間の回転数の減速、および要するに回転の停止した場合、生じた遠心力は減少し、且つ、この更なる封隙部材が、この更なる封隙部材の封隙作用のもとで、再び、それぞれの接触面に当接し、その際、再び、止まっているローター部材とステーター部材との間の封隙が達成される。
【００１０】
本発明により、更なる封隙部材として、例えば、モータースピンドルのスピンドル軸を囲繞する、自体で公知のＯリングが使用される。この様式のＯリングは、特に、弾性ゴム混合物、例えば、フッ素弾性ゴム（Ｖｉｔｏｎ（登録商標））、ＩＳＯ１６２９による略語「ＦＫＭ」）、または、アクリロニトリロ・ブタジエン弾性ゴム（「Ｐｅｒｂｕｎａｎ ＮＴ（登録商標）」、ＩＳＯ１６２９による略語「ＮＢＲ」）から成っている。
【００１１】
更なる封隙部材は、同様に円形の断面（例えば、Ｏリングにおける）と並んで、同様に他の断面（例えば、ほぼ正方形状、または（矩形の）角張った形体状）を備えており、且つ、例えば同様に自体で公知の、上記された材料から成るＸリング（Quad-Ring）として形成されていても良い。
【００１２】
次に、図における実施例に基づいて、本発明を詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
図１から、スピンドル軸１の端部領域の断面が明瞭であり、このスピンドル軸は、特に油脂潤滑された軸受要素２を介して、スピンドルのハウジング３内において配設されている。このスピンドル軸１は、中空軸として形成されており、且つ、開口部４を、例えば、工具、または工具締付け部材（詳細には図示されていない）の収容のために備えている。図１は、更に、所属するアングル部材２５を備えるステーター部材５、窪み部８を備えるローター部材６を有する、周囲に延在して配設された封隙装置の断面を示しており、この窪み部内において、スピンドル軸１が止まっている場合の、このローター部材６に対するこのステーター部材５の封隙のための、更なる封隙部材７が収容されている。図１による封隙装置の更なる詳細は、図２および図３による拡大された図から明瞭である。
【００１４】
図２により、ステーター部材５とローター部材６との間の中空室１２内において、自体で公知の封隙材１４が配設されており、この封隙材は、特に、例えば国際公開第９９／４９２４６号パンフレット（特許文献１）において記載された封隙リング１７（図５を参照）から成っている。場合によっては有り得る、この封隙装置の中空室１２の中へ、通路９、および結合部２３を通って流入された液体は、この国際公開第９９／４９２４６号パンフレット（特許文献１）に記載された封隙材１４の機能によって、このローター部材６の構造部材２４の開口部１０を介して、この中空室１２から、再び通路９内へと導き戻される。従って、ローター部材６が回転している場合に、スピンドル軸１が止まっている状態に比して、動力学的な封隙作用が達成される。
【００１５】
封隙材１４は、同様に自体で公知のラビリンス封隙材、またはチャンバー封隙材としても、構成され得る（詳細には図示されていない）。
【００１６】
図２による図の場合、即ちステーター部材５に対してローター部材６が止まっている状態の場合、更なる封隙部材７（例えば、Ｏリング、または正方形リング）は、このステーター部材５の接触面１１に対して当接しており、このことによって、このステーター部材５とローター部材６との間の静力学的な封隙が達成される。このステーター部材５の接触面１１は、スピンドル軸１の軸線１８に対して傾斜して指向している。この更なる封隙部材７は、封隙するために、ステーター部材５の接触面１１、窪み部８の壁部１９、および、ローター部材６の分離部材１３と接触している。この封隙装置の全ての部材は −異なった図示を行わない限り− 、回転対称的に、および周囲に延在して構成されている。
【００１７】
ローター部材６が回転している場合、即ち、スピンドルのスピンドル軸１が駆動されている場合、遠心力が生じ、このことによって、特に弾性的に形成された更なる封隙部材７は、半径方向１６で外方へと力を負荷され、窪み部８の領域１５へと移動し、且つ、図３によって図示された外側の位置 −接触面１１から持上げられて− を占める。従って、この更なる封隙部材７の封隙機能は、ステーター部材５、およびローター部材６に対して解除され、且つ、分離部材１３と接触面１１との間の開口部２０が開放される。動力学的な封隙作用は、ここで、専ら中空室１２内における封隙材１４によってのみ保証される。ローター部材６が回転している場合の、この更なる封隙部材７の持上げによって、この更なる封隙部材７は、磨耗の少ない状態で窪み部８内において収容される。
【００１８】
更なる封隙部材７は、その際に、静力学的な封隙のために使用される。磨耗低下のために、この更なる封隙部材７は、回転の際に生じる遠心力の利用によって持ち上がり、このことによって、封隙機能が低下し、且つ、要するに解除される。回転数が低下した場合、同様にこの遠心力も低下し、従って、この更なる封隙部材７は、再び、上記の基準面に接近し、且つ、静止状態において、これら基準面を、要するに静力学的に完全に封隙する。
【００１９】
本発明による封隙装置の場合、従って、中空室１２内における動力学的に封隙する封隙材１４が、窪み部８内における静力学的に封隙する更なる封隙部材７と組み合わされる。
【００２０】
図４から、２つの封隙装置でもって封隙されたスピンドル軸１が明瞭であり、このスピンドル軸は、軸受油の流出を防止するために、特に油潤滑された軸受要素２において使用される。第１の封隙装置の構造要素に相応する第２の封隙装置の構造要素は、対応する要素として、ダッシュを付された参照符号を有している。
【００２１】
図５は、周囲に延在する切欠き部２１および膨らみ部２２を有する、封隙リング１７の部分図を示しており、後者のこれら膨らみ部が、１つの封隙材１４を形成するための中空室１２内における、多数の封隙リング１７の離間された収容のために使用される。その際、これら封隙リング１７は、ローター部材６内に収容されており、且つ、このローター部材と共に、例えば、スピンドル軸１の回転の際に回転する。
【００２２】
本発明による封隙装置は、特に自動的な工具交換システムを有する、工具スピンドル内における使用において、特別な利点を提供する。何故ならば、外部からの異物粒子、および液体の侵入が、同様にスピンドル軸１が止まっている場合にも（例えば、工具交換の場合に）信頼性高く阻止され、且つ、更なる封隙部材７が、ローター部材６が回転している場合、如何なる摩擦磨耗にも曝されないからである。
【００２３】
一般的に、「スピンドル」という概念は、普通に解釈されるべきであり、且つ、具体的な実施形態において、例えば、モータースピンドル、ベルトスピンドル、または、伝動装置スピンドル、等に該当する。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明の封隙装置を有するスピンドルのスピンドル軸の、端部領域の断面図である。
【図２】止まっている状態における、図１による封隙装置の詳細図である。
【図３】回転している状態における、図１による封隙装置の詳細図である。
【図４】２つの本発明による封隙装置（二重封隙）を有するスピンドルのスピンドル軸の、端部領域の断面図である。
【図５】図１による封隙装置の封隙材の封隙リングの部分的眺望Ａの図である。
【符号の説明】
【００２５】
１ スピンドル軸
２ 軸受要素
３ ハウジング
４ 開口部
５ ステーター部材
６ ローター部材
７ 更なる封隙部材
８ 窪み部
９ 通路
１０ 開口部
１１ 接触面
１２ 中空室
１３ 分離部材
１４ 封隙材
１５ 領域
１６ 半径方向
１７ 封隙材
１８ 軸線
１９ 壁部
２０ 開口部
２１ 切欠き部
２２ 膨らみ部
２３ 結合部
２４ 構造部材
２５ アングル部材

Claims (7)

1. 特にスピンドルの、ハウジング内において回転状態に収容されたスピンドル軸を封隙するための封隙装置であって、
   この封隙装置が固定状態のステーター部材を有しており、
   この固定状態のステーター部材が、回転状態の、特にスピンドル軸に固定されたローター部材と共に、少なくとも１つの中空室を封隙材の収容のために形成しており、
   その際、この中空室が、少なくとも１つの開口部を介しての、このローター部材の回転の際にこの中空室内へと流入される液体を導出するためのこの封隙装置の通路を有して形成されている様式の上記封隙装置において、
   少なくとも１つの更なる封隙部材（７）が設けられており、
   この更なる封隙部材が、ローター部材（６）を、ステーター部材（５）に対して、このローター部材（６）が停止状態の場合に封隙するように構成されていることを特徴とする封隙装置。
2. 更なる封隙部材（７）は、ローター部材（６）の窪み部（８）内において配設されていることを特徴とする請求項１に記載の封隙装置。
3. 窪み部（８）は、特に生じた遠心力によって半径方向（１６）で拡開された更なる封隙部材（７）を収容するための領域を有していることを特徴とする請求項２に記載の封隙装置。
4. ステーター部材（５）は、特に傾斜して指向する接触面（１１）を、ローター部材（６）が停止状態の場合の、更なる封隙部材（７）の接触のために有していることを特徴とする請求項１から３のいずれか一つに記載の封隙装置。
5. 更なる封隙部材（７）は、増大する遠心力の場合の拡開のために、および、減少する遠心力の場合の収縮のために、弾性的に形成されていることを特徴とする請求項１から４のいずれか一つに記載の封隙装置。
6. 更なる封隙部材（７）は、Ｏリングとして形成されていることを特徴とする請求項１から５のいずれか一つに記載の封隙装置。
7. Ｏリングは、弾性ゴム混合物から成ることを特徴とする請求項６に記載の封隙装置。