JP2005501565A - Staphylococcus属細菌の分子識別 - Google Patents

Staphylococcus属細菌の分子識別 Download PDF

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Abstract

本発明は、分子識別によって、Staphylococcus基準種のなかの1つの細菌の検出方法に関する。本発明の方法は、配列番号:11〜39の配列と、逆行配列と、相補配列のなかから選ばれる1つのヌクレオチド配列を含む、前記細菌のrpoB遺伝子の断片;または配列番号:7〜10の配列(式中、NはイノシンおよびA,T,CまたはGから選ばれる4つの異なるヌクレオチドの等モル混合物から選ばれるヌクレオチドのうちの1つに含まれる少なくとも12の連続するヌクレオチドパターンを有する配列を含むオリゴヌクレオチドおよび逆行配列および相補配列のオリゴヌクレオチドからのオリゴヌクレオチドを使用することを特徴とする。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は診断の分野に関する。より詳細には、本発明はStaphylococcus属の細菌の分子識別方法であって、該細菌属の株に適用されるプローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーによる検出および/または増幅およびシーケンシング技術を用いた方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Staphylococcus属の細菌は、グラム陽性かつカタラーゼ陽性の球菌であり、亜種9種を含めた36種が現在のところ知られている(非特許文献1)。上記の種は、Staphylococcus aureus、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus delphinii、Staphylococcus schleiferiのcoagulans亜種、およびStaphylococcus hyicusの数株を除いて、コアグラーゼ陰性である(非特許文献2)。これらの種は、環境試料、獣医臨床試料およびヒト臨床試料から容易にかつ常套的に単離、培養される(非特許文献3)。ヒトにおいては、Staphylococcus aureusは、エンテロトキシンの産生に関連した食中毒、ブドウ球菌毒素性ショック症候群、および初期感染部位から離れた場所での伝染性転移を特徴とする化膿性感染に関与するコアグラーゼ陽性種である。感染と闘うための第一選択抗生物質であるメチシリンに耐性をもつStaphylococcus aureusの株は、院内感染、すなわち、病院や他の養護施設内の患者への感染に関して、公衆衛生上の大きな問題を引き起こす。コアグラーゼ陰性Staphylococcus属の種に属する細菌は、ヒトにおける正常細菌叢の一部を成している。これらの種も、特に移植された外来材料、とりわけプロテーゼからの感染を通して、院内感染に関与している(非特許文献4)。
【0003】
これらの様々な種には、それらの識別に関する問題が生じる。従来の表現型識別方法は、Staphylococcus属の種に属する細菌を識別するために最も多く使われており(非特許文献5)、Staphylococcus属の細菌の表現型識別を支援するためのいくつかの識別キットや自動化装置が開発されてきた。しかしながら、常套的な手法における識別の程度にはばらつきがあり(非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)、例えばこれらの系の殆どは、Staphylococcus hominis種およびStaphylococcus warneri種に属する細菌間を27〜36%の誤差率で混同してしまう(非特許文献9;非特許文献10)。同様に、Staphylococcus schleiferiは、自動化識別装置によって誤って識別されてしまうこともある(非特許文献11)。理論的には、分子的方法はその感度と特異性により、Staphylococcus属の細菌を識別する場合により良好な結果を与えうる。Staphylococcus細菌の分子識別のために現時点で提案されている分子標的には、リボゾームRNAの16Sサブユニットをコードする16S rDNA遺伝子(非特許文献12)、転移RNAをコードする遺伝子間スペーサー(非特許文献13)、熱ショックタンパク質60をコードするhsp60遺伝子(非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16)、およびfemA遺伝子(非特許文献17)が含まれる。オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、一般にこれらの識別領域を標的とした技術である。nuc遺伝子の検出は、Staphylococcus aureus種の細菌に限られており(非特許文献18)、Staphylococcus epidermidis種の細菌を識別するための染色体断片も報告されている(非特許文献19)。細菌学実験室において常套的に用いることのできるStaphylococcus種の細菌に対する分子識別ツールがまだなお求められている(非特許文献20)。
【非特許文献1】
Euzeby JP.(1997年)Int J Syst Bacteriol、第47巻、590〜592頁
【非特許文献2】
Kloos WE(1995年)Manual of Clinical Microbiology、282〜298頁、ASM Press
【非特許文献3】
Kloos WE(1986年)Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology、1013〜1035頁、WilliamsとWilkins
【非特許文献4】
Kloos WE(1994年)Clin. Microbiol. Rev.、第7巻、117〜140頁
【非特許文献5】
Kloos WE(1991年)、J.Clin.Microbiol.、第29巻、738〜744頁
【非特許文献6】
Grant CE(1994年)、Diagn.Microbiol.Infect.Dis.、第18巻、1〜5頁
【非特許文献7】
Perl TM(1994年)Diagn.Microbiol.Infect.Dis.、第18巻、151〜155頁
【非特許文献8】
Refshal K(1992年)J.Hosp.Infect.、第22巻、19〜31頁
【非特許文献9】
Gran CE(1994年)、Diagn.Microbiol.Infect.Dis.第18巻、1〜5頁
【非特許文献10】
Leven M(1995年)J.Clin.Microbiol.、第33巻、1060〜1063頁
【非特許文献11】
Calvo J.(2000年)、J.Clin.Microbiol.、第38巻、3887〜3889頁
【非特許文献12】
B ialkowska−Hobrzanska Hら(1990年)、Eur.J.Microbiol.Infect.Dis.、第9巻、588〜594頁
【非特許文献13】
Maes N.ら(1997年)、J.Clin.Microbiol.、第35巻、2477〜2481頁
【非特許文献14】
Goh SHら(1996年)、J.Clin.Microbiol.、第34巻、818〜823頁
【非特許文献15】
Goh SHら(1997年)、J.Clin.Microbiol.、第35巻、3116〜3121頁
【非特許文献16】
Kwok AY(1999年)、Int.J.Syst.Bacteriol.、第49巻、1181〜1192頁
【非特許文献17】
Vannuffel Pら、Res.Microbiol.第150巻、129〜141頁
【非特許文献18】
Brakstad OG(1992年)、J.Clin.Microbiol.第30巻、1654〜1660頁
【非特許文献19】
Martineau F(1996年)、J.Clin.Microbiol.第34巻、2888〜2893頁
【非特許文献20】
Kleeman KT(1993年)、J.Clin.Microbiol.第31巻、1318〜1321頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、Staphylococcus属の細菌の分子識別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において発明者らは、rpoB遺伝子が、Staphylococcus属の各種の細菌の検出および特異的識別を可能にする遺伝的マーカーを構成することを示した。
より詳細には、本発明は、Staphylococcus属またはStaphylococcus属の各種の特異的核酸配列であって、当該細菌のrpoB遺伝子から取り出したヌクレオチド配列を有する特異的核酸配列に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ラズカノ(Lazcano)ら(J.Mol.Evol.(1998年)、第27巻、365〜376頁)によれば、RNAポリメラーゼはその起源によって2つのグループに分類され、一方のグループはウィルスRNAまたはDNA依存性のRNAポリメラーゼで構成され、他方のグループは真核生物または原核生物(古細菌および真正細菌)起源のDNA依存性RNAポリメラーゼで構成される。真正細菌のDNA依存性RNAポリメラーゼは、αββ’で表される「コア酵素」またはαββσで表される「ホロ酵素」と呼ばれる単純な多量体の保存構造を特徴とする(ユラ(Yura)およびイシハマ(Ishihama)、Ann.Rev.Genet.(1979年)、第13巻、59〜97頁)。真正細菌RNAポリメラーゼのβサブユニットの、多量体酵素複合体内における機能的役割に照準を当てた多くの研究がなされてきた。古細菌および真核生物のRNAポリメラーゼについては、おそらく12個か30個程度にのぼるサブユニットから成るさらに複雑な構造を有している(プーレ(Puehlet)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989年)、第86巻、4569〜4573頁)。
【0007】
真正細菌においてDNA依存性RNAポリメラーゼの様々なαββ’σサブユニットをコードする遺伝子、rpoA、rpoB、rpoCおよびrpoD遺伝子は、リボゾームサブユニットを構成するタンパク質をコードする遺伝子群と、ゲノムの複製と修復に関与する酵素をコードする遺伝子群との異なる群に分類される(ユラ(Yura)およびイシハマ(Ishihama)、Ann.Rev.Genet.(1979年)、第13巻、59〜97頁)。rpoBおよびrpoC遺伝子の配列を用いて、生物界の様々な枝や小枝の分類を行える系統樹を構築することができることも証明されている(ローランド(Rowland)ら、Biochem.Soc.Trans.(1992)、第21巻:40S)。
【0008】
本発明をさらに詳細に説明する前に、本明細書および特許請求の範囲において用いる様々な用語について定義しておく。
「細菌から抽出した核酸」とは、全核酸、またはゲノムDNA、またはメッセンジャーRNA、またはメッセンジャーRNAの逆転写によって得られるさらに別のDNAを意味する。
【0009】
「ヌクレオチド断片」または「オリゴヌクレオチド」は同義語であって、所定の高い緊縮(ストリンジェントな)条件下において、天然の核酸と同様に、相補的または実質的に相補的なヌクレオチド断片とハイブリダイズすることのできる天然の(または随意で修飾された)核酸の情報配列によって特徴づけられるヌクレオチドパターンの鎖を表す。この鎖は天然の核酸のものとは異なる構造のヌクレオチドパターンを含んでいてもよい。ヌクレオチド断片(またはオリゴヌクレオチド)は、例えば100個までのヌクレオチドパターンを含んでいてもよい。ヌクレオチド断片は一般には少なくとも10個、特に少なくとも12個のヌクレオチドパターンを含んでおり、天然の核酸分子から得たものであってもよいし、および/または、遺伝子組み換えによって、および/または化学合成によって得たものであってもよい。
【0010】
「ヌクレオチドパターン」とは、糖、リン酸基、およびアデニン(A)、グアニン(G)、ウラシル(U)、シトシン(C)、チミン(T)から選ばれる窒素性塩基を構成部分とする核酸の天然のヌクレオチドであってもよいモノマーから得られるか;あるいは該モノマーは、上記3つの構成部分の少なくとも1つが修飾されたヌクレオチドであり、その一例として、修飾は、A,T,U,CまたはG塩基とハイブリダイズすることのできるイノシンなどの修飾塩基、メチル−5−デオキシシチジン、デオキシウリジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジンまたはハイブリダイズ可能な他の任意の修飾塩基によって、塩基において行われるか、あるいは糖のレベルで、例えば少なくとも1つのデオキシリボースがポリアミドによって置換されるか(ニールセン ピーイー(Nielsen PE)ら、Science(1991年)、第254巻、1497〜1500頁)、さらにはリン酸基のレベルにおいて、例えば、特に二リン酸エステル、アルキルリン酸エステルおよびジチオリン酸エステルから選ばれるエステルによって置換されてもよい。
【0011】
「ハイブリダイゼーション」は、適当な条件下において、十分に相補的な配列を有する2つのヌクレオチド断片が、安定かつ特異的な水素結合によって互いに会合することができ、二本鎖を形成するプロセスのことをいう。ハイブリダイゼーション条件は、「緊縮性(ストリンジェンシー)」、すなわち操作条件の厳密性によって決まる。ハイブリダイゼーションはその特異性が高いほど緊縮性の高い条件で実施される。緊縮性は、特にプローブ/標的複合体の塩基組成に関係し、2つの核酸間のミスマッチの程度によっても変わる。緊縮性は、ハイブリダイゼーション溶液中に存在するイオン種の濃度や種類、変性剤の種類や濃度、および/またはハイブリダイゼーション温度などのハイブリダイゼーション反応のパラメータにも依存する。ハイブリダイゼーション反応を実施すべき条件の緊縮性は、特に使用するプローブに依存する。上記データはすべて既知であり、常套的な実験を通してそれぞれのケースにおいて適切な条件を決定することができるであろう。一般に、使用するプローブの長さに応じて、ハイブリダイゼーション反応の温度は、約20〜65℃であり、特に約0.8〜1Mの濃度の生理食塩溶液においては35〜65℃である。
【0012】
「プローブ」とは、所定の条件下においてハイブリダイゼーション特異性を有し、本件においては、メッセンジャーRNAか、前記メッセンジャーRNAの逆転写によって得られるDNA、すなわち転写産物のいずれかに含まれるヌクレオチド配列を有する核酸とハイブリダイゼーション複合体を形成するヌクレオチド断片であって、プローブは診断的目的(特に捕捉プローブもしくは検出プローブ)または治療的目的で用いることができる。
【0013】
「捕捉プローブ」とは、任意の適当な手段を用いて、固体上への吸着または直接合成によって、例えば共有結合により固体担体上に固定化されているか、固定化することのできるプローブである。担体としては、例えばマイクロタイタープレートおよびDNAチップが挙げられる。
【0014】
「検出プローブ」は、例えば、放射性同位体元素、酵素、特に発色性、蛍光性または発光性基質(特にペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼ)と反応することのできる酵素、発色化学化合物、発色性、蛍光性または発光性化合物、ヌクレオチド塩基のアナログ、およびビオチンなどのリガンドから選択されるマーキング物質で標識したプローブである。
【0015】
「種プローブ」とは、細菌の種の特異的識別を可能にするプローブである。
「属プローブ」とは、細菌の属の特異的識別を可能にするプローブである。
「プライマー」とは、例えば10〜100個のヌクレオチドパターンを含み、酵素的増幅反応に対する所定の条件下においてハイブリダイゼーション特異性を有するプローブである。
【0016】
「増幅反応」は、プライマーオリゴヌクレオチドによって開始されるDNAポリメラーゼを用いた例えばPCRなどの増幅技術における、酵素的重合反応のことを意味する。
「シーケンシング反応」は、オリゴヌクレオチドプライマーによる不完全重合法を用い、かつ前記ジデオキシヌクレオチドを用いて(Sanger F、Coulson AR(1975年)、J.Mol.Biol.第94巻、441頁)、あるいは、例えばDNAチップにおいて用いられるような固体担体に固定した複数のプローブを用いた複数のハイブリダイゼーションによって、全遺伝子の配列または核酸断片の配列を得ることを意味する。
【0017】
本願発明者は、Staphylococcus属の4つの細菌種のrpoB遺伝子の完全配列を決定した。これらの4つの種は、Staphylococcus属細菌における16S遺伝子の研究に基づいて決定された4つの大きな遺伝的グループを代表するもの、すなわち、当該属において現在記載されているすべての種のなかで最も系統発生的に分岐した種として、発明者が選んだものである。したがって、これらの4つの種において得られたrpoB配列のアライメントは、当該細菌属の全ての種のすべてのrpoB配列を系統発生的に包含する可能性が最も高い。
【0018】
本願発明者は、コンセンサス配列かつ特異的配列である、配列表に記載した配列番号:7〜10を明らかにした。本願発明者は、配列番号:7〜10の前記配列が、Staphylococcus属の全ての細菌間でコンセンサスを有する(共通している)だけでなく、配列番号:8の配列に関するStaphylococcus schleiferiを除いて、Staphylococcus属の細菌のファミリーに特異的であることを見いだした。
【0019】
上記配列はStaphylococcus属のすべての細菌のrpoB遺伝子に存在しており、Staphylococcus属の細菌に特異的であることから、配列番号:8の配列についてStaphylococcus schleiferiを除いた、Staphylococcus属のあらゆる細菌を検出するための属プローブとして用いることができる。
【0020】
配列番号:7および10の配列において、配列表に記載したヌクレオチドNは、定義に記載したように本発明によるオリゴヌクレオチドまたは核酸の断片が、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)の形態(この場合にはTがUに置換される)である限りにおいて、イノシンまたは、A,T,CおよびG、もしくはA,U,CおよびGの中からそれぞれ選ばれる4つの異なるヌクレオチドの等モル混合物を表していてもよい。
【0021】
ある特定の部位において「N」が前記ヌクレオチドの等モル混合物を表す場合には、これは、その特定の部位にあるヌクレオチドが、無差別にA,T,CまたはG(あるいは適用可能である場合には、それぞれ、A,U,CまたはG)を表すこと、および本発明のオリゴヌクレオチドがより厳密には4つのグループのオリゴヌクレオチドの等モル混合物で構成され、その各グループにおいてNは前記特定の部位において異なる意味を有し、それぞれ4つの塩基A,T,CまたはG(あるいはA,U,CまたはG)のそれぞれを表す。
【0022】
検討中の細菌種の相補的標的配列において、配列番号:7および10の配列のヌクレオチドNに対応する部位には様々なヌクレオチドが発見されているが、その他のすべてのヌクレオチドはStaphylococcus属の細菌のすべての種において保存されている。「N」は、任意の塩基とハイブリダイズすることのできるイノシン、または4つの塩基A,T,C,Gの等モル混合物を表すので、配列番号:7および10は、Staphylococcus属のすべての細菌のrpoB遺伝子に含まれる相補的配列とハイブリダイズ可能である。
【0023】
さらに、コンセンサス配列である配列番号:9および10は、Staphylococcus属の各細菌種に特異的な配列を有する高頻度可変性配列に隣接している。従って、配列番号:9および10が隣接する配列は、Staphylococcus属の細菌に対する種プローブとして用いられる。
【0024】
また、配列番号:9および10は、可変長が約500塩基対でありStaphylococcus属の各細菌種に特異的な最短の配列を形成するゾーンからなるrpoB遺伝子断片に隣接していることを確認した。
【0025】
したがって、本願発明者は、配列番号:9および10のコンセンサス配列が隣接する配列番号:11〜39に相当する、調べた29種のStaphylococcus属細菌のそれぞれに対する種プローブを同定することができた。
【0026】
本発明において同定された配列番号:7〜10のコンセンサス配列は、分子識別によってStaphylococcus属の細菌を検出する方法において増幅またはシーケンシング反応のプライマーとして用いることができる。
【0027】
したがって、配列番号:7〜10の配列は、Staphylococcus属の細菌に対する属プローブの調製を可能にするだけでなく、該配列をプライマーとして用いる増幅およびシーケンシングによって前記細菌の種を検出し識別することも可能にする。
【0028】
より詳細には、本発明は、Staphylococcus属の種の細菌を識別によって検出する方法を提供し、該方法は以下のものを用いることを特徴とする。
−配列番号:11〜29および31〜39の配列、逆行配列および相補配列の1つから選ばれるヌクレオチド配列からなる、前記細菌のrpoB遺伝子または前記細菌の前記rpoB遺伝子の断片、
−配列番号:39のヌクレオチド配列、逆行配列および相補配列で構成される、前記細菌の前記rpoB遺伝子の断片、または
−配列番号:7〜10の配列(NはイノシンまたはA,T,CもしくはGのなかから選ばれる4つの異なるヌクレオチドの等モル混合物を表す)、逆行配列および相補配列の1つに含まれる、少なくとも12の連続ヌクレオチドパターンの配列からなるオリゴヌクレオチド。
【0029】
前記オリゴヌクレオチドは、好ましくは12〜35のヌクレオチドパターンからなり、さらに好ましくは、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号:7〜10の配列と、逆行配列と、相補配列とで構成される。
【0030】
本発明に従う検出方法の第1の実施形態では、Staphylococcus属の細菌の存在を示すことを目的としており、第1の変形形態において、以下の工程が実施される。
【0031】
1.配列番号:7〜10の配列、逆行配列および相補配列のうちの1つに含まれる配列を含む前記オリゴヌクレオチドからなる少なくとも1つの属プローブを接触させる工程、および
2.前記属プローブと試料の核酸との間でハイブリダイゼーション複合体が形成されているか否かを判定し、ハイブリダイゼーション複合体が形成されている場合にはStaphylococcus属の前記細菌が存在すると判定する工程。
【0032】
Staphylococcus属の細菌に対する検出方法の第2の変形実施形態において、次の工程が実施される。
1.配列番号:7〜10、逆行配列および相補配列から取り出した少なくとも2つの配列中に含まれる少なくとも12のヌクレオチドパターンの配列を含む前記オリゴヌクレオチドからなる増幅プライマーを、Staphylococcus属の少なくとも1つの前
記細菌の核酸を含むか、含む可能性のある試料と接触させる工程であって、
5’プライマーとして、配列番号:7〜9の配列または相補配列のうちの1つに含まれる配列を含むオリゴヌクレオチドのなかから選ばれたオリゴヌクレオチド、好ましくは完全長の前記配列で構成されるオリゴヌクレオチド、および
3’プライマーとして、配列番号:10もしくは8の配列または相補配列のうちの1つにそれぞれ含まれる配列からなるオリゴヌクレオチド、好ましくは完全長の前記配列で構成されるオリゴヌクレオチド
を用いる工程。
【0033】
2.酵素的重合反応によって核酸の増幅を行い、増幅産物の有無を決定し、増幅産物が生じていれば該試料中に前記細菌が存在すると判定する工程。
より詳細には、第1の実施形態の上記第2の変形形態において、5’プライマーとしては配列番号:7または9の配列または相補配列をもつオリゴヌクレオチドを使用し、3’プライマーとしては、配列番号:10またはそれぞれ相補配列のオリゴヌクレオチドを使用する。
【0034】
本発明に従う細菌検出方法の第2の実施形態では、以下の種より選ばれるStaphylococcus属の特定の種の細菌を特異的に検出することを目的としている。Staphylococcus xylosus、Staphylococcus warneri、Staphylococcus simulans、Staphylococcus sciuri、Staphylococcus schleiferi、Staphylococcus saphrophyticus、Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus pulveris、Staphylococcus muscae、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus lentis、Staphylococcus kloosii、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus hyicus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus gallinarum、 Staphylococcus felis、Staphylococcus equorum、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus cohni、Staphylococcus chromogenes、Staphylococcus carnosus、Staphylococcus capitis、Staphylococcus auricularis、Staphylococcus aureusのaureus亜種、Staphylococcus aureusのanaerobius亜種、Staphylococcus arlettae、Staphylococcus caprae。
【0035】
本発明の方法の上記第2の実施形態の第1変形形態において、以下の工程を実施する。
1.少なくとも1つの前記細菌の核酸を含むか、含む可能性のある試料を、配列番号:11〜39の配列、逆行配列および相補配列のうちの1つに含まれる配列を含む前記遺伝子断片、好ましくは配列番号:11〜39の前記配列のうちの1つで構成されるオリゴヌクレオチドまたは逆行もしくは相補配列のオリゴヌクレオチド、で構成される少なくとも1つの種プローブと接触させる工程、および
2.前記プローブと試料の核酸との間でハイブリダイゼーション複合体が形成されているか否かを判定する工程。
【0036】
上記29種の中から選ばれたStaphylococcus属細菌の特定の種を特異的に検出することを目的とした、本発明の方法の前記第2の実施形態の第2変形形態では、該方法は、少なくとも1つの前記細菌の核酸を含むか含む可能性のある試料における、次の工程を含む。
【0037】
a)5’プライマーとして配列番号:7もしくは9の配列、および3’プライマーとして配列番号:10に含まれる配列を含むオリゴヌクレオチド、好ましくは配列番号:7もしくは9および10の配列で構成されるオリゴヌクレオチド、またはそれらの相補配列、で構成されるヌクレオチドプライマーを用いて、前記特定の細菌の増幅rpoB遺伝子断片のシーケンシング反応を実施する工程、および
b)前記得られた断片の配列と、それぞれ前記配列番号:11〜39の配列および相補配列を含む、前記細菌の完全長rpoB遺伝子の配列または前記細菌のrpoB遺伝子断片の配列とを比較することによって、前記細菌の特定の種の有無を判定する工程であって、これにより、得られた断片の配列が、当該属の既知の配列または、前記細菌のrpoB遺伝子断片の既知の配列と同一である場合には、該試料中に前記細菌が存在すると判定する工程。
【0038】
より詳細には、上記第2の変形形態において、
工程a)においては、
1.配列番号:7およびそれぞれ配列番号:10の配列をそれぞれ含むオリゴヌクレオチド、またはそれらの相補配列の中から選ばれる5’および3’プライマー対によって、前記試料の核酸を最初に増幅する工程と、工程1において増幅産物が生じたか否かを判定する工程、および
2.それぞれ配列番号:9および配列番号:10の配列を含むオリゴヌクレオチド、好ましくは配列番号:7および10の前記配列またはそれらの相補配列で構成されるオリゴヌクレオチド、好ましくは配列番号:9および10の前記配列またはそれらの相補配列で構成されるオリゴヌクレオチド、で構成される5’および3’プライマー対を用いて工程1において判定されたアンプリコンのシーケンシング反応を実施する工程を実施し、かつ
工程b)においては、得られた配列と、それぞれ配列番号:11〜39の配列またはそれらの相補配列のうちの1つとの間で比較を行う。
【0039】
本発明のさらなる対象は、配列番号:11〜29、および30〜39の配列に記載されているような配列を含むことを特徴とする、Staphylococcus属の細菌のrpoB遺伝子または遺伝子断片である。
【0040】
本発明のさらなる対象は、配列番号:3〜6に記載されているような、細菌Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus capraeおよびStaphylococcus intermediusのrpoB遺伝子の完全配列であり、上述のように、これらrpoB遺伝子断片および完全遺伝子は、特に本発明の方法のために使用することができる。
【0041】
rpoB遺伝子の完全配列は、該遺伝子の一次配列を調べることによってだけでなく、完全なDNA配列の転写によって得られたメッセンジャーRNAの二次および三次構造を調べることによっても、細菌の識別のために用いることができる。
【0042】
本発明のさらなる対象は、配列番号:11〜39の配列中に含まれる配列を有するオリゴヌクレオチド、ならびに上記定義したような逆行配列および相補配列のオリゴヌクレオチドの中から選ばれる、前記rpoB遺伝子断片またはオリゴヌクレオチドである。
【0043】
本発明のさらなる対象は、配列番号:7〜10の配列(Nは、イノシンおよび、A,T,CまたはGのなかから選ばれる4つの異なるヌクレオチドの等モル混合物から選ばれるヌクレオチドを表す)のうちの1つに含まれる少なくとも12、好ましくは12〜35の連続するヌクレオチドパターンの配列からなるオリゴヌクレオチド、ならびに、好ましくは配列番号:7および10の配列(Nはイノシンを示す)および逆行配列および相補配列で構成される逆行配列および相補配列のヌクレオチドである。
【0044】
配列番号:7〜39の配列は、例えば、イタクラ(Itakura.K)らによる論文(Annu.Rev.Biochem.第53巻、323頁、1984年)に記載されているような、当業者周知の技法を用いた化学合成によって調製してもよい。
【0045】
本発明のオリゴヌクレオチドの第1の用途は、生物試料中において、Staphylococcus属の1つの種の細菌を検出するためのプローブとして用いることであり、このプローブは、配列番号:7〜39の配列、およびそれらの逆行配列または相補配列のうちの1つに含まれる少なくとも12の連続したヌクレオチドパターンのヌクレオチド配列を含む。
【0046】
配列番号:7〜10の配列からなるプローブは、属プローブとして使用され、配列番号:11〜39の配列のうちの1つからなるプローブは種プローブとして使用される。
本発明のプローブは、あらゆる既知のハイブリダイゼーション技法、特にドット・ブロット技法(マニアティス(Maniatis)ら、Molecular Cloning、コールドスプリングハーバー(1982年))、サザンブロットと呼ばれるDNAトランスファー技法(サザン イー.エム.(Southern E.M.)、J.Mol.Bio.(1975年)、第98巻、503頁)、ノーザンブロットと呼ばれるRNAトランスファー技法、またはいわゆる「サンドイッチ」技法を用いて、プローブと試料中の標的核酸との間のハイブリダイゼーション複合体の形成の有無を判定することにより、前述のように診断の目的のために使用することもできる。「サンドイッチ」技法は特に捕捉プローブおよび/または検出プローブを使用し、これらのプローブは、標的核酸の2つの異なる領域にハイブリダイズすることができ、前記プローブの少なくとも一方(一般に検出プローブ)は、種に特異的な標的領域とハイブリダイズすることができ、捕捉プローブと検出プローブは、明らかに、少なくとも部分的に異なるヌクレオチド配列を有している。
【0047】
検出しようとする核酸(標的)は、DNAであってもよいしRNAであってもよい(前者はPCR増幅後に得られる)。二本鎖型の核酸の標的を検出するためには、検出方法を実施する前に該核酸を変性させておく必要がある。
【0048】
標的核酸は、試料中の核酸を調べるための既知の方法を用いて抽出によって得てもよい。二本鎖核酸の変性は、既知の化学的、物理的または酵素的変性方法を用いて、特に約80℃を超える適当な温度まで加熱することによって行うことができる。
【0049】
上記ハイブリダイゼーション技法、特に「サンドイッチ」技法を実施するために、本発明の捕捉プローブと呼ばれるプローブを固体担体上に固定化し、本発明の検出プローブと呼ばれるもう一方のプローブをマーキング剤で標識する。担体およびマーキング剤の例は上述の通りである。
【0050】
種プローブを固体担体上に固定化し、別の種プローブをマーカーで標識すると有益である。
本発明のオリゴヌクレオチドのさらなる用途は、配列番号:7〜39の配列のうちの1つに含まれる少なくとも12のヌクレオチドパターンの配列を有するオリゴヌクレオチドから選ばれたモノカテナリー(monocatenaire)オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチドプライマーとしての用途であり、このヌクレオチドプライマーは、それ自体は既知の方法を用いたポリメラーゼ存在下における核酸の合成において、特にポリメラーゼの存在下における上記合成による増幅(PCR、RT−PCRなど)において用いることができる。特に、本発明のプライマーは、Staphylococcus属の種に属する細菌のメッセンジャーRNA配列を特異的に逆転写して、対応する相補DNA配列を得るために用いることもできる。前記逆転写はRT−PCR技法の第1段階を構成可能であり、後続の段階では得られた相補DNAのPCR増幅が行われる。本発明のプライマーを、Staphylococcus属の種のrpoB遺伝子の全DNA配列のポリメラーゼ連鎖反応による特異的増幅のために用いることもできる。
【0051】
ある特定の場合において、本発明のオリゴヌクレオチドからなる前記プライマーは、RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター(例えばプロモーターT7,T3,SP6(ステューディエ エフ・ダブリュ(Studier FW)、ビー・エイ モファット(BA Moffatt)、J.Mol.Biol.第189巻、113頁(1986年))のセンス鎖またはアンチセンス鎖をも含んでおり、前記プライマーを、転写工程を伴う核酸増幅方法、例えばNASBAや3SR技法などにおいて用いることができる(ファンゲーメン ベー(Van Gemen B.)ら、要旨MA 1091、第7回AIDS国際会議(1991)、イタリア、フローレンス)。
【0052】
本発明のさらなる対象は、配列番号:11〜29、31〜39の配列のうちの1つからなり、好ましくは配列番号:11〜39の配列のうちの1つで構成される配列を有するオリゴヌクレオチドから選ばれるモノカテナリーオリゴヌクレオチドからなるヌクレオチドプライマーであって、Staphylococcus属の種の任意の株のrpoB遺伝子の全体または部分シーケンシングのために用いることのできるヌクレオチドプライマーである。
【0053】
Staphylococcus属の任意の細菌におけるrpoB遺伝子の部分または完全シーケンシングにより、当該配列の生物計算解析を介した任意のStaphylococcus細菌の識別と、新規な未知のStaphylococcus細菌種の認識とを行えるようになる。
【0054】
好ましくは、プライマーとして、あるいはrpoB遺伝子のシーケンシングのために用いる場合には、配列番号:7〜10の配列を用いるが、配列番号:7および10の配列中、Nは、イノシンが選ばれる。
【0055】
本発明のさらなる対象は、本発明の方法において用いることのできる診断キットであって、上記定義したような、配列番号:7〜39の配列および逆行配列および相補配列で構成される前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの前記遺伝子断片、あるいは配列番号:7〜10の配列のいずれか1つに含まれる配列からなる前記オリゴヌクレオチド、および/または配列番号:11〜39の配列からなる前記細菌の少なくとも1つの前記rpoB遺伝子断片と、逆行配列および相補配列のオリゴヌクレオチドおよび遺伝子断片を含むキットである。
【0056】
本明細書において、「逆行配列および相補配列」という表現は、以下の配列、すなわち
前記配列の逆行配列、
前記配列の相補配列、および
前記配列の逆行配列の相補配列。
を意味するものとする。
【0057】
最後に、本発明の最後の対象は、Staphylococcus属の種に属する菌株による感染を治療するための遺伝子治療プローブであり、前記プローブは、定規定義したようなオリゴヌクレオチドからなる。前記細菌のメッセンジャーRNA上および/またはゲノムDNA上にハイブリダイズ可能な、この遺伝子治療プローブは、翻訳および/または転写および/または複製の現象を阻止することができる。
【0058】
遺伝子治療方法の原理は既知であり、特にアンチセンス鎖に相当するプローブを用いることに基づいており、プローブとセンス鎖との間のハイブリッド形成により、遺伝情報の解読の少なくとも1工程を妨害することができる。したがって遺伝子治療プローブは、Staphylococcus属の種の細菌による感染を治療するための抗菌薬として用いることができる、
本発明は、本発明を実施するために行われた実験に関する以下の各実施例の記載によってより理解しやすくなるであろう。これらの実施例は説明のためだけに提供するものである。
【実施例1】
【0059】
Staphylococcus属の次の4つの種(Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus capraeおよびStaphylococcus intermedius)のrpoB遺伝子の配列。
【0060】
Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus capraeおよびStaphylococcus intermediusに属する細菌のrpoB遺伝子の完全配列を、Staphylococcus aureus(GenBankアクセス番号X64172)およびBacillus subtillis(GenBankアクセス番号L43593)のrpoB遺伝子の配列間でのコンセンサスプライマーを用いた酵素的増幅と自動化ダイレクト・シーケンシングによって決定した。後者の細菌種は、Staphylococcus属の種に最も近い(16SrDNA遺伝子の配列の比較に基づいた系統発生的関係)、グアノシン+シトシン含量(GC含量)の低いグラム陽性種として選んだ。
【0061】
一連の特異的プライマーからの連続的伸長を介してrpoB遺伝子の完全配列を導くことのできる断片を得るために、いくつかの潜在的なコンセンサスプライマーを調べた。
これらのコンセンサスプライマーは以下の配列
配列番号:1 5’−AAA CTT AAT AGA AAT TCA AAC TAA A−3’
配列番号:2 5’−ATC TGG TAA AGC ATT ACC AA−3’を有しており、これらの共通プライマーによって、上記4つの種において1007塩基対の長さを有する第1の断片F1を得ることができた。Staphylococcus aureusとBacillus subtilisの配列上でこの第1の断片F1の配列のアライメントを行ったところ、理論的または潜在的に適切であったプライマーを用いた試みの多数が失敗に終わり、最終的に、Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus capraeおよびStaphylococcus intermediusの4種におけるrpoB遺伝子の全体を連続した工程で増幅かつシーケンシングできる一連のオリゴヌクレオチドプライマーを決定することができた。これらのプライマーの配列、GenBank(アクセス番号X64172)にあるStaphylococcus aureusのrpoB遺伝子の配列上の位置、およびハイブリダイゼーション温度を、下表に示す。
【0062】
【表1】
Figure 2005501565
増幅は、2.5×10UのTaqポリメラーゼ、1×Taqバッファおよび1.8mM MgCl、200μMのdATP,dTTP,dGTP,dCTPおよび0.2μMの各プライマーを含む最終体積50μLの条件で実施した。増幅は以下のプログラムに従って実施した。94℃30秒間の変性ステップ、52℃30秒間のプライマーハイブリダイゼーション、および72℃60秒間の伸長からなるサイクルを35サイクル。増幅産物はカラム上で精製し、下表に示したオリゴヌクレオチドシーケンシングプライマーを用いてシーケンシングを行った。
【0063】
【表2】
Figure 2005501565
シーケンシング反応は、ABIのキット:Prism(登録商標)dRhodamine Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(パーキンエルマーアプライドバイオシステムズ社(Perkin Elmer Applied Biosystems))の中の試薬を用いて、販売元の推奨と以下のプログラムに従って実施した。94℃10秒間の変性ステップ、50℃10秒間のプライマーハイブリダイゼーション、および60℃2分間の伸長からなるサイクルを30サイクル。シーケンシング産物は、377DNAシーケンサー(Perkin)を用いてポリアクリルアミドゲル上で電気泳動によって分離し、Sequence Assemblerソフトウェア(Applied Biosystems)を用いてコンセンサス配列を構成しているかどうかを解析した。この手法によって、我々は、Staphylococcus属の4つの種において、rpoB遺伝子の完全配列を決定することができた。
【0064】
配列番号:3
Staphylococcus saccharolyticusのrpoB遺伝子の配列。3791塩基対の長さのこの配列は、36.8%のGC含量を有し、Genbankアクセス番号AF325871としてGenBankに寄託した。
【化1】
Figure 2005501565
Figure 2005501565
Figure 2005501565
【0065】
配列番号:4
Staphylococcus lugdunensisのrpoB遺伝子の配列。3855塩基対の長さのこの配列は、36.4%のGC含量を有し、Genbankアクセス番号AF325870としてGenBankに寄託した。
【化2】
Figure 2005501565
Figure 2005501565
Figure 2005501565
【0066】
配列番号:5
Staphylococcus capraeのrpoB遺伝子の配列。3698塩基対の長さのこの配列は、37.4%のGC含量を有し、Genbankアクセス番号AF325868としてGenBankに寄託した。
【化3】
Figure 2005501565
Figure 2005501565
Figure 2005501565
【0067】
配列番号:6
Staphylococcus intermediusのrpoB遺伝子の配列。3851塩基対の長さのこの配列は、39.2%のGC含量を有し、Genbankアクセス番号AF325869としてGenBankに寄託した。
【化4】
Figure 2005501565
Figure 2005501565
Figure 2005501565
【0068】
この配列は3852塩基対の長さを有し、39.2%のGC含量を有し、Genbankアクセス番号AF325869としてGenBankに寄託された。
【実施例2】
【0069】
Staphylococcus属の26の種のrpoB遺伝子の部分シーケンシング
Staphylococcus aureus、Staphylococcus lugdunensis(GenBankアクセスAF325870)、Staphylococcus intermedius(GenBankアクセスAF325869)、Staphylococcus saccharolyticus(GenBankアクセスAF325871)、およびStaphylococcus caprae(GenBankアクセスAF325868)の各種の細菌において決定されたrpoB配列のアライメントにより、それぞれStaphylococcus aureusのrpoB遺伝子の2491〜2511位および3554〜3573位に位置する以下のオリゴヌクレオチドのコンセンサス配列、
配列番号:7 5’−AACCAATTCCGTATNGGTTT−3’(式中、Nはイノシンを表す)
配列番号:8 5’−CCGTCCCAAGTCATGAAAC−3’
を決定することができたが、これらは理論上Staphylococcus属のすべての種における1063塩基対の断片を増幅を決定付けるものである。
【0070】
配列番号:8は3’プライマーとして使用するものであり、したがって、配列番号:3〜6の配列中に表されるStaphylococcus aureusの3554〜3573位の直行鎖の相補的逆行配列を示す。
【0071】
発明者らは、以下の基準に留意して上記2つのプライマー配列番号:7および配列番号:8の位置を決定した。
1.これらの2つのプライマーに隣接する細菌の種に特異的な配列。この条件は、1063塩基対断片をコンピュータデータバンクにおいて入手できるrpoB細菌遺伝子の全ての配列とアライメントして確認された。
【0072】
2.分子検出の感度をできるだけ上げるために、最も短い識別領域と思われる領域を探す。
3.真正細菌の分野において発明者が以前に研究した領域(モレ シー.(Mollet C.)、Mol.Microbiol.、第26巻、1005〜1011頁(1997年))と近い領域を探して、これらの2つの細菌の属および科に共通の作業領域につなげるようにする。
【0073】
4.18〜22塩基対のプライマー長
5.近い融点を有するプライマー配列
6.自己ハイブリダイゼーションしない、または自己相補性のないプライマー配列
コンピュータを利用した(in silico)解析では、配列番号:7および配列番号:8のこれらの2つのオリゴヌクレオチドを用いて、Staphylococcus属の全ての種のrpoB遺伝子の1063塩基対断片をPCR増幅できるに違いないと予測されていた。実際には、配列番号:8の配列のプライマーは、理由は判らないがごく一部の種には付着しなかった。実験結果から、この属のなかのStaphylococcus schleiferi種は、このオリゴヌクレオチドプライマー対によって増幅されず、プライマーに対してなされた予測が不確かなものであることが実証された。したがって、発明者は試行錯誤によって、Staphylococcus aureusにおける3241〜3261位に位置する配列番号:10の配列の新しいオリゴヌクレオチドを決定した。このヌクレオチドを、PCR増幅反応において配列番号:7のオリゴヌクレオチドと組み合わせることにより、発明者が調べたStaphylococcus属の29種において、771塩基対の大きさ(基準種Staphylococcus aureusについての大きさ)を有するrpoB遺伝子のアンプリコンが得られることが判った。
【0074】
配列番号:10 5’−GCIACITGITCCATACCTGT−3’
配列番号:10は、3’プライマーとして用いる。これは、このプライマーが配列番号:3〜6上に表された直行鎖の配列の相補的逆行配列に相当するからである。
【0075】
次に、配列番号:9(Staphylococcus aureus種の細菌におけるrpoB遺伝子の2643〜2660位に位置)および配列番号:10の2つのシーケンシングプライマーを用いることにより、増幅産物のシーケンシングを行う。
【0076】
配列番号:9 5’−CAA TTC ATG GAC CAA GC−3’
この最後のプライマーは、シーケンシングプライマーの制約に留意して、すなわち15塩基長を超える大きさであり、シーケンシング用の第2のプライマーとハイブリダイズせず、一般にStaphylococcus属の各種に特異的な配列をもつ約500塩基対のゾーンに隣接するということに留意して決定した。
【0077】
この第2のオリゴヌクレオチド配列セット、配列番号:9/配列番号:10を用いることにより、発明者は、下記に列挙する(配列番号:11〜配列番号:39)Staphylococcus属の29の種においてrpoB遺伝子の部分配列を決定することができた。
【0078】
rpoB遺伝子の断片は、94℃10秒間の変性段階と、52℃で20秒間の配列番号:7と8または配列番号:7と10のプライマー対のハイブリダイゼーション段階と、72℃60秒間の伸長段階とからなる増幅サイクルを35サイクル用いるPCR技法によって増幅した。増幅産物は臭化エチジウム染色後に可視化した。
【0079】
Staphylococcus属のこれら29種の細菌は以下の通りである。
【表3】
Figure 2005501565
Staphylococcus属の各種に特異的な配列を有し、試験した29種の細菌の分子識別を可能にする、一般に約500塩基対の長さの、Staphylococcus属に属する種の細菌のrpoB遺伝子の断片を以下に示す。
【0080】
配列番号:11 Staphylococcus xylosusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化5】
Figure 2005501565
【0081】
配列番号:12 Staphylococcus warneriにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化6】
Figure 2005501565
【0082】
配列番号:13 Staphylococcus simulansにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化7】
Figure 2005501565
【0083】
配列番号:14 Staphylococcus sciuriにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化8】
Figure 2005501565
【0084】
配列番号:15 Staphylococcus schleiferiにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化9】
Figure 2005501565
【0085】
配列番号:16 Staphylococcus saprophyticusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化10】
Figure 2005501565
【0086】
配列番号:17 Staphylococcus saccharolyticusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(556塩基対)
【化11】
Figure 2005501565
【0087】
配列番号:18 Staphylococcus pulverisにおけるrpoB遺伝子の部分配列(508塩基対)
【化12】
Figure 2005501565
【0088】
配列番号:19 Staphylococcus muscaeにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化13】
Figure 2005501565
【0089】
配列番号:20 Staphylococcus lugdunensisにおけるrpoB遺伝子の部分配列(556塩基対)
【化14】
Figure 2005501565
【0090】
配列番号:21 Staphylococcus lentusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化15】
Figure 2005501565
【0091】
配列番号:22 Staphylococcus kloosiiにおけるrpoB遺伝子の部分配列(505塩基対)
【化16】
Figure 2005501565
【0092】
配列番号:23 Staphylococcus intermediusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(556塩基対)
【化17】
Figure 2005501565
【0093】
配列番号:24 Staphylococcus hyicusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化18】
Figure 2005501565
【0094】
配列番号:25 Staphylococcus hominisにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化19】
Figure 2005501565
【0095】
配列番号:26 Staphylococcus haemolyticusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化20】
Figure 2005501565
【0096】
配列番号:27 Staphylococcus gallinarumにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化21】
Figure 2005501565
【0097】
配列番号:28 Staphylococcus felisにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化22】
Figure 2005501565
【0098】
配列番号:29 Staphylococcus equorumにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化23】
Figure 2005501565
【0099】
配列番号:30 Staphylococcus epidermidisにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化24】
Figure 2005501565
【0100】
配列番号:31 Staphylococcus cohniiにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化25】
Figure 2005501565
【0101】
配列番号:32 Staphylococcus chromogenesにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化26】
Figure 2005501565
【0102】
配列番号:33 Staphylococcus carnosusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(1025塩基対)
【化27】
Figure 2005501565
【0103】
配列番号:34 Staphylococcus capitisにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化28】
Figure 2005501565
【0104】
配列番号:35 Staphylococcus auricularisにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化29】
Figure 2005501565
【0105】
配列番号:36 Staphylococcus aureusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化30】
Figure 2005501565
【0106】
配列番号:37 Staphylococcus aureus anaerobiusにおけるrpoB遺伝子の部分配列(507塩基対)
【化31】
Figure 2005501565
【0107】
配列番号:38 Staphylococcus arlettaeにおけるrpoB遺伝子の部分配列(518塩基対)
【化32】
Figure 2005501565
【0108】
配列番号:39 Staphylococcus capraeにおけるrpoB遺伝子の部分配列(556塩基対)
【化33】
Figure 2005501565
【実施例3】
【0109】
Staphylococcus属に属する10菌株を含む20菌株の集団のブラインド識別。
以下の細菌種に属する20菌株の集団を、本特許出願に記載した方法を用いて、菌株のブラインド分子識別(実験者には菌株がどの菌株であるか分からない)を実施するために符号化した。Staphylococcus aureus(リファンピシン感受性株)、Staphylococcus aureus(リファンピシン耐性株)、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus equorum、Staphylococcus schleiferi、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus gallinarum、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Streptococcus pneumoniae、Enterococcus faecalis、Streptococcus pyogenes、Corynebacterium amycolatum、Gemella morbilorum、Acinetobacter antitratus、Micrococcus luteusおよびPropionibacterium acnes。実施例2に記載したように、PCR増幅(図1)において、配列番号:7(5’プライマーとして)と配列番号:10(3’プライマーとして)を使用して、核酸抽出とrpoB遺伝子の751塩基対断片の増幅を行った。これらの10のアンプリコンのシーケンシングは、シーケンシング反応中に、実施例2に記載のように配列番号:9(5’プライマー)と配列番号:10(3’プライマー)のプライマーを使用することにより実施した。得られた配列と、配列番号:11〜39の配列に関するデータバンクの配列とを比較することにより、増幅された10菌株が、Staphylococcus aureus、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus equorum、Staphylococcus schleiferi、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus gallinarumであると識別することができた。上記20菌株の符号を解読したところ、本発明の方法に従う分子識別と、標準的な表現型法を用いる、以前に確立された識別との間で100%の一致が認められた。この結果は、本研究に用いられた配列番号:7/配列番号:10のプライマーセットおよび配列番号:9/配列番号:10のプライマーセットが特異性を持つこと、およびStaphylococcus aureus株のリファンピシン感受性レベルはこれらの菌株の識別の邪魔をしないことを示している。
【0110】
ヒトまたは動物の臨床試料において頻繁に単離され、Staphylococcus属の細菌を含む可能性のあるものとして選択した他の細菌は、増幅されなかったため、本発明の方法を用いたStaphylococcus属の細菌検出の条件下において、Staphylococcus属のために用いたプライマーは、他の属の細菌に相対する特異性を有することが実証された。
【0111】
図1は、Staphylococcus属に属する10菌株(第2〜5,8,9,11〜13および16レーン)と、Staphylococcus以外の属の細菌の5菌株(第6,7,10,14および15レーン)とを含む符号化した15菌株から得たPCR増幅産物を示す。第1レーンおよび第17レーンは、分子量マーカーを示す。負の増幅対照(滅菌水)およびStaphylococcus以外の菌株に対応するレーンは示されていない。本発明の配列番号:7および配列番号:10のプライマーを用いて増幅産物を得て、アガロースゲル上で電気泳動した後に臭化エチジウム染色によって可視化した。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】実施例3において得られた増幅産物を、アガロースゲル電気泳動後の臭化エチジウム染色により可視化したことを示す図。

Claims (14)

  1. 配列番号:11〜29および31〜39の配列、その逆行配列および相補配列に記載されるような配列を含むことを特徴とする、Staphylococcus属の細菌のrpoB遺伝子または遺伝子断片。
  2. 配列番号:3〜6の配列に記載の配列の1つに相当する、請求項1に記載のStaphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus
    lugdunensis、Staphylococcus capraeおよびStaphylococcus intermediusのうちの1つの細菌のrpoB遺伝子。
  3. 配列番号:11〜39の配列およびその逆行配列および相補配列のいずれか1つで構成されることを特徴とする、Staphylococcus属の細菌のrpoB遺伝子の断片。
  4. 配列番号:7〜10の配列のいずれか1つに含まれる、少なくとも12、好ましくは12〜35の連続ヌクレオチドパターンの配列を含み、前記配列番号の配列中、Nは、イノシンと、A,T,CまたはGのなかから選ばれる4つの異なるヌクレオチドの等モル混合物とのなかから選ばれるヌクレオチドを示すことを特徴とするオリゴヌクレオチド、ならびにその逆行配列および相補配列のオリゴヌクレオチド。
  5. 配列番号:7〜10の配列およびその逆行配列および相補配列であり、Nはイノシンを表すことを特徴とする請求項4に記載のオリゴヌクレオチド。
  6. Staphylococcus属の種のうちの1つに属する細菌の分子識別による検出方法であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の前記細菌のrpoB遺伝子、もしくは前記遺伝子の断片、または
    請求項4もしくは5のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド
    を使用することを特徴とする方法。
  7. 請求項3に記載の前記細菌のrpoB遺伝子の断片、または
    請求項5に記載のオリゴヌクレオチド
    を使用することを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 請求項4または5に記載の前記オリゴヌクレオチドを含む少なくとも1つの属プローブを、少なくとも1つの前記Staphylococcus属の細菌の核酸を含むもしくは含む可能性のある試料と接触させる第1の工程と、
    前記属プローブと試料の核酸との間でハイブリダイゼーション複合体が形成されるか否かを判定し、ハイブリダイゼーション複合体が形成されていれば試料中に前記細菌が存在すると判定する第2の工程と
    からなる請求項6に記載の方法。
  9. 請求項4または5に記載の前記オリゴヌクレオチドを含む増幅プライマーを、少なくとも1つの前記Staphylococcus属の細菌の核酸を含むもしくは含む可能性のある試料と接触させる第1の工程であって、
    5’プライマーとして、配列番号:7もしくは9の配列、または相補配列のうちの1つに含まれる配列を含むオリゴヌクレオチドのなかから選ばれたオリゴヌクレオチド、好ましくは完全長の前記配列、および
    3’プライマーとして、配列番号:10もしくは8の配列、または相補配列のうちの1つにそれぞれ含まれる配列を含むオリゴヌクレオチド、好ましくは完全長の前記配列
    を用いる工程と
    酵素的重合反応によって核酸の増幅を行い、増幅産物の有無を判定し、これにより、増幅産物が生じていれば該試料中に前記細菌が存在すると判定する第2の工程と
    からなる請求項7に記載の方法。
  10. 5’プライマーとして、配列番号:7または9の配列、または相補配列のうちの1つを使用し、3’プライマーとして、配列番号:10の配列、または相補配列をそれぞれ使用することを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. Staphylococcus xylosus、Staphylococcus warneri、Staphylococcus simulans、Staphylococcus sciuri、Staphylococcus schleiferi、Staphylococcus saphrophyticus、Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus pulveris、Staphylococcus muscae、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus lentis、Staphylococcus kloosii、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus hyicus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus gallinarum、Staphylococcus felis、Staphylococcus equorum、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus cohni、Staphylococcus chromogenes、Staphylococcus carnosus、Staphylococcus capitis、Staphylococcus auricularis、Staphylococcus aureusのaureus亜種、Staphylococcus aureusのanaerobius亜種、Staphylococcus arlettae、Staphylococcus capraeの種のなかから選ばれるStaphylococcusグループの細菌の特定の種を特異的に検出することを目的とした請求項6に記載の方法であって、
    少なくとも1つの前記細菌の核酸を含むか含む可能性のある試料を、請求項1または3に記載の遺伝子断片で構成される少なくとも1つの種プローブ、好ましくは配列番号:11〜39の前記配列、逆行配列および相補配列のうちの1つでそれぞれ構成されるオリゴヌクレオチドと接触させる第1の工程と、
    前記プローブと試料の核酸との間でハイブリダイゼーション複合体が形成されているか否かを判定し、ハイブリダイゼーション複合体が形成されていれば該試料中に前記細菌が存在すると判定する第2の工程と
    を特徴とする方法。
  12. Staphylococcus xylosus、Staphylococcus warneri、Staphylococcus simulans、Staphylococcus sciuri、Staphylococcus schleiferi、Staphylococcus saphrophyticus、Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus pulveris、Staphylococcus muscae、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus lentis、Staphylococcus kloosii、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus hyicus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus gallinarum、Staphylococcus felis、Staphylococcus equorum、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus cohni、Staphylococcus chromogenes、Staphylococcus carnosus、Staphylococcus capitis、Staphylococcus auricularis、Staphylococcus aureusのaureus亜種、Staphylococcus aureusのanaerobius亜種、Staphylococcus arlettae、Staphylococcus capraeの種のなかから選ばれるStaphylococcus属の細菌の特定の種を検出することを目的とした請求項6または7のいずれかに記載の方法であって、
    5’プライマーとしての配列番号:7または9の配列および3’プライマーとしての配列番号:10の配列に含まれる配列を含むオリゴヌクレオチド、好ましくは前記配列番号:7または9および10の配列で構成されるオリゴヌクレオチド、ならびにその相補配列、で構成されるヌクレオチドプライマーを用いて、前記特定の細菌の増幅rpoB遺伝子断片のシーケンシング反応を実施する工程a)と、
    前記得られた断片の配列を、それぞれ配列番号:11〜39の前記配列および相補配列を含む、前記細菌の完全長rpoB遺伝子の配列または前記細菌のrpoB遺伝子断片の配列と比較することにより、前記細菌の特定の種の有無を判定する工程であって、得られた断片の配列が前記細菌のrpoB遺伝子または遺伝子断片の既知の配列と同じであれば、該試料中に前記細菌が存在すると判定する工程b)と
    を実施することを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    工程a)において、
    配列番号:7の配列およびそれぞれ配列番号:10の配列をそれぞれ含むオリゴヌクレオチド、好ましくは前記配列番号:7および10の配列で構成されるオリゴヌクレオチド、または相補配列のなかから選ばれる5’および3’プライマー対によって、前記試料の核酸を最初に増幅し、増幅産物が生じたか否かを判定する第1工程と、
    配列番号:9およびそれぞれ配列番号:10の配列を含むオリゴヌクレオチド、または相補配列、好ましくは前記配列番号:9および10の配列またはそれらの相補配列で構成されるオリゴヌクレオチド、で構成される5’および3’プライマーを用いて、工程1で判定されたアンプリコンのシーケンシング反応を行う第2工程とを実施し、
    工程b)において、得られた配列をそれぞれ配列番号11〜39の配列またはそれらの相補配列のうちの1つと比較することを特徴とする方法。
  14. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の前記オリゴヌクレオチドまたは遺伝子断片を少なくとも1つ含むことを特徴とする、請求項6の方法において用いることのできる診断キット。
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