JP2005352319A - サプライリサイクルシステム及び有価金属回収システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 トナーの材料物性を生かし、磁性トナー、非磁性トナーの両方に対して、経済性を持たせたトナーリサイクルを可能とし、かつ使用済みトナーボトルに対しても有効なリサイクル手段を提供する。
【解決手段】 画像形成装置等のOA機器に使用されるサプライ品を処理するサプライリサイクルシステムである。市場から回収した使用済みのトナーボトル15から廃トナー18を抜き取り、トナーボトル15に新品のトナー16を充填するトナー再充填工程11と、トナー再充填工程11で抜き取った廃トナー18と製鋼ダスト19とを配合して成形する製鋼ダスト成形工程12とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置等のOA機器のトナーの有価マテリアルリサイクル、及びトナーボトルのリユース、また、製鋼ダストやアルミダスト等の有価マテリアルリサイクルとして活用できるサプライリサイクルシステムと、これを用いた有価金属回収システムに関する。
現代社会においては、環境問題に関する重要性が以前に増して認識されている。そのため、消費者や投資家は、環境への配慮を切り口に企業を厳しく選別するようになってきている。したがって、企業にとっては、これまで行ってきた利益創出活動と共に、今後は環境保全活動を行うことが課題となっている。
したがって、資源の有効活用、廃棄物の削減の観点から、製品、部品、材料をリサイクルして使用するリサイクルシステムの確立が企業にとっての急務となっている。消費エネルギー削減や有害物質の排出防止と同時に、このリサイクルの領域で率先して取組む企業ほど成長の道が開けてくると言えるからである。
ところで、このリサイクルに関して、その手段であるリサイクル処理を大別すると以下のようになる。
(1)自家再使用
製品を使用するユーザー自身が、製品内の一部(部品等)を再使用するリサイクル処理である。この自家再使用は、ユーザーが簡易に実施できるという前提で行われるものとなるので、環境負荷低減効果が最も大きく、かつコストが最も小さい処理の仕方であるといえる。
(2)製品再使用
使用済みとなり市場から回収される製品(以下、回収機と言う)に対して、所定の再生処理を施して再生機として再使用するリサイクル処理である。この処理の場合は、製品を構成する大部分はそのまま再使用されるので、環境負荷低減効果が非常に大きい。
(3)部品再使用
回収機から部品またはユニットを取り出し、新規の製品内の部品またはユニットとして再使用するリサイクル処理である。この処理の場合、本来は加工等の相当量のエネルギーを注いで製造される部品、ユニットに対し、その製造工程が省略されるという点で、環境負荷低減効果は大きい。
(4)マテリアルリサイクル
回収機を材料単位に分解、分別し、その後何らかの処理をして再生材料として使用するリサイクル処理である。なお、この処理の場合、同一分野の製品の材料として再利用するクローズドループマテリアルリサイクルと、他分野の製品の材料として再利用するオープンループマテリアルリサイクルとがある。
(5)再原料化
回収機を分解、分別し、最終的に原材料まで戻して再使用するリサイクル処理である。この処理を行うことにより、廃棄物ゼロを具現化することができる。
(6)エネルギーリカバリー
プラスチックを燃焼させる等で、熱エネルギーを有効活用する処理である。
前記(1)〜(6)のリサイクル処理においては、環境負荷低減効果の点で、一般に最も望ましいのが(1)の自家再使用であり、以下(2)、(3)〜(6)の順となっている。したがって、いかに上位の手段で継続的にリサイクルを可能とさせていくかが、企業が具体的にリサイクルを推進していく上での重要なポイントとなる。
しかしながら実際には、望ましさの点で上位にあるもの、例えば(1)の自家再使用のみで半永久的に処理し続けることは不可能であり、或る一定の期間の経過後には、必ずその手段を断念しなければならない。なぜならば、その製品が有している機能そのものが、或る一定の期間後には陳腐化し、もはや市場(またはユーザー)対してその機能が有用なものではなくなってしまうので、その手段でリサイクルをすることに経済的価値がなくなってしまうからである。その場合、これまで上位の手段で行われていたリサイクルが、下位の手段(例えば、これまで前記(1)自家再使用のリサイクルを行っていたものは、(2)製品再使用以下の手段になっていくことになる。そのようにして、下位に下がった手段でまた一定の期間リサイクルが行われ、それが陳腐化したらまた下位へ、という推移を示していくことになる。
したがって、リサイクルにおいては、前記(1)〜(6)のどれかの手段のみを実施していればよいというわけではなく、その全ての手段が実施されていかなければならない。また実際、(1)〜(6)の手段は、同時並行で実施されなければならない。なぜならば、製品の種類によって、リサイクルに使用すべきリサイクル処理手段の段階(前記(1)〜(6)を言う)が異なってくるであろうし、また一つの製品に限定しても、その内部の部品、ユニットによって各々リサイクル処理手段の段階が違ってくると考えられるからである。
以上のリサイクル処理は、例えば特許文献1に開示されており、リサイクルシステムの基本概念がフローとして明確化されている。そして、複写機等のOA機器は、この基本概念及びリサイクル処理方法に従ってリサイクルを進めている一つの好例であるといえる(図9及び特許文献1参照)。
但し、リサイクルの実際の運用においては、この基本概念をどのように具体化させるかが重要である。特に、OA機器の場合、使用済みとなるのは機械本体のみではなく、サプライ品(消耗品)も含まれる。ここで、OA機器のサプライ品としては、トナー及びトナーの容器であるトナーボトルといったものが挙げられる。現在、OA機器は、使用済みとなったものはメーカー等により回収されており、その際には製品内部に含まれるサプライ品も同時に回収される。そのためOA機器においては、機器本体と同様にサプライ品のリサイクルシステムをどのように具体的に構築するかが重要となっている。
ところで、企業が継続的な環境保全活動を行うためには、いかにして環境保全活動そのものに経済性もたせるか、という課題がある。できるだけ環境保全活動コストを下げて実施する、さらに言えば、環境保全活動と利益創出活動とが同軸となり、環境保全活動そのものが利益を生み出す活動となることが望ましい。つまり、前述のリサイクル処理手段が逆有償にて実施されるよりも、有償(つまり利益を得る)で実施できるようにすることが望まれる。
ここでOA機器のサプライ品のリサイクルを考えてみると、従来の提案としては、例えばトナーに関しては特許文献2に開示されている廃トナー処理方法及び装置がある。この技術は、トナーの粒子径が数〜10数μmの超微粒子であることに着目して、製鉄所で廃トナーを利用している。具体的には、焼結原料に廃トナーを混合し、この廃トナーを混合した焼結原料を焼結機で焼結するのである。焼結原料に混合した廃トナー中の鉄粉は鉄源として利用し、また、廃トナー中の樹脂の一部は燃焼して粉コークスの代替え、つまり還元剤として利用するようになっている。なお、この方法のリサイクル処理の分類は、前述の分類のうちの(5)の再原料化に相当する。
しかし、前記特許文献2に係る提案の場合、実際にはリサイクル処理手段が逆有償(トナーを供給する側が処理側に例えば金を支払う)にて実施され、上述した有償での実施という目的が達成できないと考えられる。その理由は、前記提案では、トナーに含まれる主成分である樹脂(結着樹脂)が十分な技術的付加価値を生んでいないからである。トナー内の樹脂分はコークスの代替えとして活用されるが、それは一部分のみであり、多くはガス化して製鋼工程内の廃風設備にて処理されている。また、焼結工程へのトナー配合率は0.5%以下に押さえられているが、これは、トナー樹脂成分はトナー種類により異なり、このバラツキが焼結鉱の還元状態等に影響を及ぼすためである。したがって、焼結用原料としてはトナーは機能効率性が低く、したがって経済的付加価値がないものとなっている。
前記の課題を克服する手段として、本件発明者ら(リコー、シンコーフレックス)は、トナーのリサイクルに関して特許文献3に開示されている粉粒体の造粒成形用バインダ及び造粒成形物の提案をしている。この技術は、従来のバインダは、造粒するのに水分を必要としたり、保形性が悪かったり、造粒成形物の使用時に多量の黒煙を出して作業環境を悪化させたり、造粒成形物が過熱したりと、種々の欠点があり、汎用性に欠けていた点に着目し、製鋼用脱酸剤のバインダとしてトナーを活用するというものである。脱酸剤とは、鉄鋼メーカーの溶鉱炉での製銑作業や電気炉での製鋼作業等において、脱酸のために添加剤として使用されているものである。この脱酸剤の主要原料として有効利用されている代表的な粉粒体は、アルミニウムの精錬業者による二次精錬工程や溶解工程で生じたアルミドロス、アルミ灰またはアルミ鉱滓(溶解滓)からなるアルミダストである。そして通常、脱酸剤は、その取り扱いの便宜や作業環境を考慮してある程度の大きさに造粒成形される。そのため、造粒成形に際して、造粒性、保形性や圧壊強度を高めるために、バインダ(結合剤)を配合することが、従来から提案されている。
ところで、トナーの主成分は結着樹脂である。元々、複写機等の画像形成装置ではトナーを加熱圧縮して紙に定着させることを狙っているため、トナーに使用している結着樹脂には、良好な定着性、即ち、加熱時に良好な熱軟化性を示して低粘度化することが求められている。一方、脱酸剤の場合、その造粒成形時においては圧縮下にて使用されることになり、その際の摩擦によって不可避的に発熱する。つまり、バインダは造粒成形時に加熱圧縮されることになる。この造粒成形を考慮すると、本来、バインダとしては、軟化点が100℃以下の樹脂を配合していることが好ましく、摩擦圧縮により60℃程度には加熱されることから、軟化点が60℃以下の樹脂であることがより好ましい。この条件を満足できる樹脂の例としては、ポリオール樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル樹脂等がある。
そして、これらは樹脂は、現在トナーの結着樹脂として主に使用されているものと一致する。そのため、加熱時の良好な熱軟化性という、画像形成装置と脱酸剤の共通の要求を満足するという理由で、トナーは脱酸剤のバインダ用途に転用することに適しているといえる。
それらに加え、従来のトナーの焼結工程への活用(特許文献2参照)とは異なり、使用されたトナーはその含有成分が脱酸剤の原料(バインダ)として全てマテリアルリサイクルされることになる。したがって、トナーの機能性効率性を高めている(無駄になる部分がない)ことにより、トナーリサイクルの経済的付加価値が高めることができ、有価物とすることを可能としている。したがって、特許文献3の提案は、トナーのリサイクルとしては現状最も優れている手段であると言える。しかしながら、この特許文献3の提案においても未だ解決できていない問題がある。
第1の問題点としては、特許文献3の提案の脱酸剤の場合、Feを使う磁性トナーを好まないことである。バインダとして使用できるのはFeを使わない非磁性トナーに限定されてしまう。なぜならば、Fe自体は脱酸機能を有しておらず(アルミダストが脱酸機能を持つ)、また樹脂成分ではないのでバインダの機能も有しないため、脱酸剤としては機能性が低下し、無駄になる部分が発生することになるからである。
実際のところ、脱酸剤は製鉄に用いるのであるから、磁性トナーの磁性材料そのものに害はないとも考えられる。しかし、鉄鋼メーカーが脱酸剤に求める機能は、あくまでも「脱酸機能」なのであり、機能を低下させる成分が入ってしまう脱酸剤は商品としての価値が低下してしまうのである。
第2の問題点としては、特許文献3の提案はトナーに関してはリサイクルを提案しているが、トナーの容器であってやはりOA機器のサプライ品でもあるトナーボトルに関しては、有効なリサイクル提案にはなり得ていないことである。トナーボトルは、構造上、単一素材に近いので、前述したリサイクル処理(1)〜(6)のうち、(4)のマテリアルリサイクル、(5)の再原料化、(6)のエネルギーリカバリー等の既知の手段で実施可能ともいえる。しかしながら、できるだけ上位のリサイクル処理を行うことが望まれる。
なお製鋼ダストの造粒方法については、電子写真現像剤をバインダとして活用して、製鋼ダスト、アルミ灰、電子写真現像剤を混練りし、圧縮成形熱または造粒工程及び造粒後に加熱することにより、製鋼ダストに含まれる金属及び金属酸化物は効率よく還元し有価金属として回収が可能となる成形強度が高く粉化率の少ない方法を本願出願人等が提案している。またトナーリサイクルシステムとしては、使用済みトナーや工場で生産された規格外トナーを一定量集める工程と、集めたトナー原料とし、他にアルミ精錬で生じたアルミ灰等も合わせて造粒成形する工程により、製鋼用フラックスを製造するシステムをこれも本願出願人等が提案している。
特開2000−181958号公報 特開2001−3063号公報 特開2003−138320号公報
以上の諸点にかんがみ、本発明は、トナーの材料物性を生かすことで、Feを含む磁性トナーでも、Feを含まない非磁性トナーの両方に対して、経済性を持たせたトナーリサイクルを可能とし、同時に、トナーのみならず、使用済みとなったトナーボトルに対しても有効なリサイクル手段を提供することで、企業が継続的な環境保全活動を行うことを可能とするシステムと、これを用いた有価金属回収システムを提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係るサプライリサイクルシステムは、画像形成装置等のOA機器に使用されるサプライ品を処理するサプライリサイクルシステムにおいて、市場から回収したトナーボトルから廃トナーを抜き取り、該トナーボトルに新品のトナーを充填するトナー再充填工程と、前記トナー再充填工程で抜き取った廃トナーと製鋼ダストとを配合して成形する製鋼ダスト成形工程と、を有することを特徴とする。
同請求項2に係るものは、請求項1のサプライリサイクルシステムにおいて、前記廃トナーが、非磁性トナー及び/または磁性トナーの廃トナーであることを特徴とする。
同請求項3に係るものは、請求項1または2のサプライリサイクルシステムにおいて、前記製鋼ダスト成形工程が、
(a)製鋼工程の排ガス中から回収されるダスト、
(b)鋼の焼鈍工程または酸洗工程から回収されるスケール、
(c)アルミ精錬にて生じたアルミドロス、アルミ灰、アルミ鉱滓からなるアルミ滓、
の少なくともいずれかを廃トナーと配合、混練して造粒成形し、該成形した製鋼ダストを電気炉もしくは取り鍋精錬炉へ投入することによって含有する金属を有価金属として回収可能とする、ものであることを特徴とする。
同請求項4に係るものは、請求項3サプライリサイクルシステムにおいて、前記トナー再充填工程で、前記製鋼ダスト成形工程での廃トナー需要量情報に基づいて、必要量の廃トナーを製鋼ダスト成形工程に供給し、前記製鋼ダスト成形工程で、製鋼メーカーからの製鋼ダスト成形品需要量情報に基づいて必要量の成形を行い、該成形した製鋼ダスト成形品を前記製鋼メーカーへ供給することを特徴とする。
同請求項5に係るものは、請求項4のサプライリサイクルシステムにおいて、前記トナー再充填工程で、前記製鋼ダスト成形工程に供給する廃トナーに対して商品コードを設定し、かつ前記廃トナー需要量情報に基づいて必要量の廃トナーを送る際に、送付ロット毎の製造コードを設定することを特徴とする。
同請求項6に係るものは、請求項1ないし5のいずれかのサプライリサイクルシステムにおいて、前記トナー再充填工程で、前記OA機器のメーカーまたは販売業者から出されるトナー需要量情報に基づいて必要量のトナーボトルにトナー再充填を行い、該再充填したトナーボトルを前記OA機器メーカーまたはOA機器販売業者に供給することを特徴とする。
同請求項7に係るものは、請求項6のサプライリサイクルシステムにおいて、トナー再充填工程で、前記OA機器メーカーまたは前記OA機器販売業者に供給するトナーに対して商品コードを設定し、かつ前記トナー需要量情報に基づいて必要量のトナーを送る際、送付ロット毎の製造コードを設定することを特徴とする。
同請求項8に係るものは、請求項4ないし7のいずれかのサプライリサイクルシステムにおいて、通信により情報伝達を行うことを特徴とする。
同請求項9に係るものは、請求項8のサプライリサイクルシステムにおいて、前記通信を情報処理機器を用いたインターネット通信で行うことを特徴とする。
同請求項10に係るものは、請求項8のサプライリサイクルシステムにおいて、前記トナー再充填工程及び製鋼ダスト成形工程の各々が、送受信される情報を保管するためのデータ保管手段を有し、かつ情報を出力する出力手段を有することを特徴とする。
同請求項11に係るものは、請求項3のサプライリサイクルシステムにおいて、前記トナー再充填工程では、使用済みのOA機器内部にあるトナーボトル、または使用済みサプライ品として回収されたトナーボトルを用いることを特徴とする。
同請求項12に係るものは、請求項3のサプライリサイクルシステムにおいて、前記トナー再充填工程中に、カラーの廃トナーのイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各色を分別する工程を有することを特徴とする。
同請求項13に係るものは、請求項1ないし12のいずれかのサプライリサイクルシステムによって得た製鋼ダスト成形品から、該製鋼ダスト成形品が含有する有価金属を回収することを特徴とする。
同請求項14に係るものは、請求項13の有価金属回収システムにおいて、前記成形した製鋼ダストを電気炉もしくは取り鍋精錬炉へ投入することによって前記有価金属の回収を行うことを特徴とする。
本発明に係るサプライリサイクルシステムは、磁性トナー及び非磁性トナーともに経済的にトナーリサイクルを行え、また使用済みのトナーボトルについても有効にリサイクルを行え、継続的な企業の環境保全活動を可能とするという効果がある。
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
図1は本発明に係るサプライリサイクルシステムの一実施例を示す概念図である。まず、トナー及びトナーボトルをリサイクルするシステムについて説明する。なお本実施例においては、ネットワーク20を利用しているが、このネットワーク20は、インターネット、イントラネット等を含め各種のネットワークであり得る。また図中PCは、各工程で有するパソコンやその周辺機器(例えば通信機能を有するボード等の機能部品や、プリンタ等の機器)等の端末機器である。この端末機器PCの構成は、もちろん公知のものであればどのようなものでも、種類でも採用可能である。
図1に示すように、まず市場から使用済みトナーボトル15をトナー再充填工程11に集める。この使用済みトナーボトル15が回収される態様には2通りある。第1は、トナーボトル15が使用済みとなった複写機等のOA機器製品に取り付けられたままで製品本体ごと回収され、その後に使用済み製品から分別されて集められる態様である。この場合、トナーボトル15内のトナーの残量は不確定であり、満杯近く入っている可能性もある。第2は、製品本体自体は市場で稼動状態であり、それに取り付けられていたトナーボトル15内のトナーがなくなったり、若干残ってはいるが製品本体へ取り込めないくらい微量となったりしたために、トナーボトル単位で交換、回収されるタイプである。
トナー再充填工程11では、使用済みトナーボトル15の内部に残った廃トナー18を完全に除去する。このとき、除去した廃トナーは、トナー再充填工程11の中で一旦集める。一定量集めた廃トナー18は製鋼ダスト成形工程12に運ぶ。その一方、製鋼ダスト成形工程12には、鉄鋼メーカー13から製鋼ダスト10が運ばれてくる。ここで製鋼ダスト10とは、鉄鋼メーカー13の電気炉や転炉等から高温の排ガスと共に発生して回収された金属と酸化物の複合粉塵や、鋼の圧延前後工程の焼鈍、酸洗処理工程から回収されるスケール等の総称である。
そして、製鋼ダスト成形工程12においては、廃トナー18と製鋼ダスト10とを混合させて造粒成形し、製鋼ダスト成形品19(図8参照)を作る。
次に、製鋼ダスト成形品19を鉄鋼メーカー13に運ぶ。このとき製鋼ダスト成形工程12を実施する事業者は、製鋼ダスト成形品19を鉄鋼メーカー13に対して商品として売却する。そして鉄鋼メーカー13では、製鋼ダスト成形品19から金属を回収し、すなわちマテリアルリサイクルを実行する。このマテリアルリサイクルは、例えば成形した製鋼ダストを電気炉もしくは取り鍋精錬炉へ投入することによって含有する金属を有価金属として回収するものであるが、公知であるため詳細な説明は省略する。なお、製鋼ダスト19を成形する(製鋼ダスト成形品にする)主な理由は、鉄鋼メーカー13が金属回収を行う際のハンドリング性を高めるためである。
ところで製鋼ダスト成形品19においては、廃トナー18はバインダ(結合剤)としての機能を持つ。トナーとは、色々な有機材料と無機材料が混合されたハイブリッド材料であり、同時に粉体でもある。そのため、このトナーの特徴が製鋼ダスト成形品19のバインダとして有効な効果をもたらす。
具体的には、製鋼ダスト成形工程12での原料混合の際、トナーの成分である外添剤によって廃トナー18が優れた流動性を示すことにより、製鋼ダスト10等の他の原料中への分散性が良い状態となる。なお、外添剤には、コロイダルシリカ、酸化チタン、アルミナ、脂肪酸金属塩等が用いられる。
また造粒成形時には、製鋼ダスト10やバインダ等の原料は摩擦圧縮されて不可避的に発熱する。それに対し、トナーの主成分である結着樹脂は適した軟化点を有し、その結着樹脂には良好な定着性、即ち良好な熱溶融性を示して低粘度化する。なお結着樹脂として用いる材料は、スチレン樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等である。
さらに、トナーは微粒状であり、総体積に対する表面積が大きくなる。そのため摩擦面が増えることにより造粒成形時の摩擦圧縮効率が増すので、熱伝導性が良くなることから、加熱効率がさらに向上する。
また、それらに加え、トナーの着色成分であるカーボンブラックや前述の結着樹脂等からは、鉄鋼メーカー13の金属回収時に還元効果が得られることで、製鋼ダスト成形品19に付加価値を与え得る。またさらに、トナーの種類によってはマグネタイト、フェライト等の磁性材料を含んでいるものがある。これら磁性材料は、鉄鋼メーカー13の金属回収分として利用することが可能である。
ところで製鋼ダスト成形工程12で製鋼ダスト成形品19を造粒成形する場合には、造粒成形物を、用途に応じて粒、ペレット、ブリケット等いずれの形態でも得られる。
成形法の例としては、湿式方式であるペレタイザーや低圧ブリケットマシンがあり(図示せず)、より望ましくは乾式方式(高圧ブリケットマシンやロータリープレスマシン:いずれも図示せず)がよい。なお、図8の製鋼ダスト成形品19は、ロータリープレスマシンを用いて成形したものである(大きさは乾パン大であり、主成分は鉄あるいはステンレス)。さらに、原料混合時または成形後の造粒物に加熱炉(図示せず)によって50〜200℃の温度を加えることで、より圧壊強度が高く粉化率の低い造粒塊を得ることが可能である。
図2は、製鋼ダスト成形品19の原料として、アルミメーカーのアルミ精錬工程21において発生するアルミダスト22を加える場合を示す概念図である。製鋼ダスト成形品19の成形時にアルミダスト22を混合することにより、製鋼ダスト成形品19は塩基度調整されるので、鉄鋼メーカー13の金属回収時の還元効果を向上させ得る。
次に、トナーボトルの再生について説明する。図1を再び参照すると、市場から使用済みトナーボトル15をトナー再充填工程11に集めた後、トナー再充填工程11では使用済みトナーボトル15を新品トナー16が入った再生トナーボトル17に再生する。そして、再生トナーボトル17をOA機器メーカーあるいはOA機器販売業者(以下、単にOA機器メーカー等という。)14に供給し、OA機器メーカー等14は、このトナー16が入った再生トナーボトル17をOA機器のユーザー(市場)に提供する。
このとき、再生トナーボトル17が使用される態様としては2通りある。第1は、再生トナーボトル17がOA機器製品に取り付けられて、製品として市場に提供される態様である。第2は、再生トナーボトル17が単体で市場に提供される態様である。この第2の例は、既に市場において稼動している製品に対してトナー交換用として使用するものである。
図3は、トナー再充填工程11での再生工程のプロセスを示す。これをステップ1から順に説明する。
ステップ1:まず廃トナー除去(ボトル内清掃)を行う。エアー等でボトル内部の廃トナー18を取り除き、取り除いた廃トナー18は、フレコン等を用いて溜めておく。
ステップ2:ボトル検査を行う。ボトルに傷、変形等が発生していなかを確認する。なお、ここで不良と判断されたボトルは、リサイク業者等を活用してプラスチックマテリアルリサイクルあるいはエネルギーリカバリーへと展開すればよい。
ステップ3:新品トナーを充填する。トナー工場から供給された新品トナー16をボトルに充填する。
ステップ4:仕上げ作業を行い、ラベルの交換等の処理を行う。
ステップ5:最終検査を行う。トナーボトルの外観、重量、トナー漏れ有無等の検査を行う。
なお、トナーの色は、黒の他に、カラートナーとしてイエロー、マゼンタ、シアンも合わせ、計4色あり、製鋼ダスト成形品19の製品外観色上、前記4色を分けて製鋼ダスト成形工程12に供給する必要がある場合が存在する。図4はそのような場合のトナー再充填工程11での再生工程のプロセスを示す。このプロセスでは、図示のように、前述した図3の場合と同様の工程であるステップ1の前工程として、使用済みトナー色分別ステップ(ステップ0)を行う。そして、ステップ1以降は、各色毎に図3と同様のプロセスで廃トナー除去を行う。つまり、廃トナーを色別に分けて集める。
ところで、再生トナーボトル17に入れる新品トナー16の色は、使用済みトナーボトル15として入荷した時の廃トナー18の色に規制される必要はない。したがって、図4に示すように、ステップ2のボトル検査の後に、良品ボトルは必要に応じて各色新品トナー16の充填用として配分して良い。
図1のシステムを円滑に実施するために、トナー再充填工程11等の各工程における情報伝達を図5に示す例のように行う。図5には、各プロセスを円滑に実施するため、生産計画を満足するための情報伝達を行う例を示してある。
例えば鉄鋼メーカー13が鉄鋼を所望量生産するためには、原料として製鋼ダスト成形品19が所望量必要、即ち所望量を購入しなければならない。そこで、製鋼ダスト成形品需要量情報5aとして、鉄鋼メーカー13から製鋼ダスト成形工程12へと原料要求量を伝達させる。例えば、月毎に購入したい製鋼ダスト成形品19の量を伝達させる。そして、その情報に基づいて、製鋼ダスト成形工程12は製鋼ダスト成形品19の生産量を決定する。
なお、前記情報伝達形式の一例として、製鋼ダスト成形品需要量情報5aを図6の表6aのようにするものがある。この表6aを鉄鋼メーカー13のパソコン等にて作成してインターネット等のネットワーク20を介して通信する。一方、製鋼ダスト成形工程12は、やはりパソコン等を用いて受信した表の確認を行う。
次に、製鋼ダスト成形品19を所望量生産するためには、製鋼ダスト成形工程12は、そのバインダ原料である廃トナー18を所望量必要とする。但しここで、廃トナー18は上述の技術的特徴を有するために経済価値があるので、逆有償ではなく売却という形態、すなわち有償にてトナー再充填工程11から製鋼ダスト成形工程12への供給が行われる。そして、要求量、すなわち購入したい廃トナー18の量は、廃トナー需要量情報5bとして、製鋼ダスト成形工程12からトナー再充填工程11へと伝達される。
一例として、廃トナー需要量情報5bは図6に示す表6bの形態で情報伝達される。この表6bは、製鋼ダスト成形工程12にて作成してインターネット等により情報通信を行い、トナー再充填工程11のパソコン等の端末機器PCにて表6bの内容確認を行う。なお、この表6bでは、購入したい廃トナー18の量を例えば月毎で記載するとよい。また、廃トナー18に商品コード6cを設けてあり、加えて、月毎などでロット番号6dを設けることにより、製鋼ダスト成形工程12とトナー再充填工程11の双方が、より管理をし易くすることも可能としてある。
なお、トナー再充填工程11や製鋼ダスト成形工程12では、インターネット等のネットワーク20で伝達された表06a、06bをプリンタ等で紙出力をして、紙を用いて照合や保管を行っても良いことはもちろんである。またなお、紙出力の他の手段としては、トナー再充填工程11や製鋼ダスト成形工程12では、ネットワーク20等を介して伝達された表06a、06bを該ネットワーク20等に接続したファクシミリ(図示せず)等を用いて出力することも可能である。
次に、再生トナーボトル17を供給するシステムを円滑に実行するための情報伝達の例を図7に示す。OA機器メーカー等14が、市場にトナーをサプライ品として所望量供給するため、及び新製品を所望量生産する際に製品にトナーを入れるためには、再生トナーボトル17が所望量必要になる。そこで、トナー需要量情報7aとして、OA機器メーカー等14からトナー再充填工程11へと原料要求量を伝達させる。例えば、月毎の需要量を伝達するものとする。そして、その情報に基づいて、トナー再充填工程11では再生トナーボトル17の再生量を決定する。
なお、情報伝達形式の一例として、パソコン等を用いて表(図示せず)を作成する方法がある。この表を、OA機器メーカー等14のパソコン等にて作成し、インターネット等のネットワーク20を用いて各工程間と情報通信を行う。トナー再充填工程11では、パソコン等で受信した表の確認を行い、そしてこの表を用いて、例えば月毎での通信を行う。
なお、トナー再充填工程11では、ネットワーク20等を介して伝達されたトナー需要量情報7aをプリンタ等で紙出力をして、紙にて照合や保管を行っても良い。また、トナー再充填工程11では、ネットワーク20等に接続したファクシミリ(図示せず)等を用いて受信する方法を取っても良い。
すなわち本実施例では、トナーの外添剤が製鋼ダストとトナーの混合性を高め、結着樹脂が製鋼ダストの結合性を高めることで、廃トナーがバインダ機能を有し、それに加えてトナーの磁性材料が製鋼ダストの金属回収分となったことで、磁性、非磁性にかかわらず廃トナーを有価価値のある原料として活用することが可能となる。また、それと同時に、回収したトナーボトルに対しても、再使用(リユース)することが可能となるので、その結果、サプライ品(トナー及び、その容器であるトナーボトル)に対し、企業が環境保全と利益追求を同軸とする継続的なリサイクルを行うことが可能となる。
また各工程では、次工程にて要求される生産計画を把握することができるので、オンデマンドな商品供給が可能な、円滑なリサイクルを行うことができる。
そして、トナー再充填工程等の各工程が、各々遠隔に存在していても、迅速正確に情報を伝達することが可能となり、さらには、情報の保管が可能となり、必要なときに情報を参照可能となる。
本発明に係るサプライリサイクルシステムの一実施例を示す概念図である。 アルミメーカーのアルミ精錬工程にて発生するアルミダストを製鋼ダスト成形品の原料として加える場合を示す概念図である。 トナー再充填工程での再生工程のプロセスを示す図である。 カラートナーのトナー再充填工程での再生工程のプロセスを示す図である。 図1のシステムを円滑に実施するための、各工程における情報伝達例の図である。 図5の情報伝達に用いる表の例を示す図である。 再生トナーボトルを供給するシステムを円滑に実行するための情報伝達例を示す図である。 製鋼ダスト成形品の一例を示す図である。 各種リサイクル処理を示す概念図である。
符号の説明
5a:製鋼ダスト成形品需要量情報
5b:廃トナー需要量情報
6a、6b:表
6c:商品コード
6d:ロット番号
7a:トナー需要量情報
10:製鋼ダスト
11:トナー再充填工程
12:製鋼ダスト成形工程
13:鉄鋼メーカー
14:OA機器メーカーあるいはOA機器販売業者
15:使用済みトナーボトル
16:新品トナー
17:再生トナーボトル
18:廃トナー
19:製鋼ダスト成形品
20:ネットワーク
21:アルミ精錬工程
22:アルミダスト
PC:パソコンやその周辺機器等の端末機器

Claims (14)

  1. 画像形成装置等のOA機器に使用されるサプライ品を処理するサプライリサイクルシステムにおいて、
    市場から回収したトナーボトルから廃トナーを抜き取り、該トナーボトルに新品のトナーを充填するトナー再充填工程と、
    前記トナー再充填工程で抜き取った廃トナーと製鋼ダストとを配合して成形する製鋼ダスト成形工程と、
    を有することを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  2. 請求項1のサプライリサイクルシステムにおいて、前記廃トナーが、非磁性トナー及び/または磁性トナーの廃トナーであることを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  3. 請求項1または2のサプライリサイクルシステムにおいて、
    前記製鋼ダスト成形工程が、
    (a)製鋼工程の排ガス中から回収されるダスト、
    (b)鋼の焼鈍工程または酸洗工程から回収されるスケール、
    (c)アルミ精錬にて生じたアルミドロス、アルミ灰、アルミ鉱滓からなるアルミ滓、
    の少なくともいずれかを廃トナーと配合、混練して造粒成形し、
    該成形した製鋼ダストを電気炉もしくは取り鍋精錬炉へ投入することによって含有する金属を有価金属として回収可能とする、
    ものであることを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  4. 請求項3サプライリサイクルシステムにおいて、
    前記トナー再充填工程で、前記製鋼ダスト成形工程での廃トナー需要量情報に基づいて、必要量の廃トナーを製鋼ダスト成形工程に供給し、
    前記製鋼ダスト成形工程で、製鋼メーカーからの製鋼ダスト成形品需要量情報に基づいて必要量の成形を行い、
    該成形した製鋼ダスト成形品を前記製鋼メーカーへ供給する、
    ことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  5. 請求項4のサプライリサイクルシステムにおいて、
    前記トナー再充填工程で、前記製鋼ダスト成形工程に供給する廃トナーに対して商品コードを設定し、
    かつ前記廃トナー需要量情報に基づいて必要量の廃トナーを送る際に、送付ロット毎の製造コードを設定する、
    ことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかのサプライリサイクルシステムにおいて、
    前記トナー再充填工程で、前記OA機器のメーカーまたは販売業者から出されるトナー需要量情報に基づいて必要量のトナーボトルにトナー再充填を行い、
    該再充填したトナーボトルを前記OA機器メーカーまたはOA機器販売業者に供給する、
    ことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  7. 請求項6のサプライリサイクルシステムにおいて、
    トナー再充填工程で、前記OA機器メーカーまたは前記OA機器販売業者に供給するトナーに対して商品コードを設定し、
    かつ前記トナー需要量情報に基づいて必要量のトナーを送る際、送付ロット毎の製造コードを設定する、
    ことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  8. 請求項4ないし7のいずれかのサプライリサイクルシステムにおいて、通信により情報伝達を行うことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  9. 請求項8のサプライリサイクルシステムにおいて、前記通信を情報処理機器を用いたインターネット通信で行うことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  10. 請求項8のサプライリサイクルシステムにおいて、
    前記トナー再充填工程及び製鋼ダスト成形工程の各々が、送受信される情報を保管するためのデータ保管手段を有し、かつ情報を出力する出力手段を有する、
    ことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  11. 請求項3のサプライリサイクルシステムにおいて、
    前記トナー再充填工程では、使用済みのOA機器内部にあるトナーボトル、または使用済みサプライ品として回収されたトナーボトルを用いる、
    ことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  12. 請求項3のサプライリサイクルシステムにおいて、
    前記トナー再充填工程中に、カラーの廃トナーのイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各色を分別する工程を有する、
    ことを特徴とするサプライリサイクルシステム。
  13. 請求項1ないし12のいずれかのサプライリサイクルシステムによって得た製鋼ダスト成形品から、該製鋼ダスト成形品が含有する有価金属を回収することを特徴とする有価金属回収システム。
  14. 請求項13の有価金属回収システムにおいて、前記成形した製鋼ダストを電気炉もしくは取り鍋精錬炉へ投入することによって前記有価金属の回収を行うことを特徴とする有価金属回収システム。
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