以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のカラー複写機(以下、単に複写機という)に適用した第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、本複写機は、プリンタ部100、操作・表示装置90、給紙装置40、自動画像読取装置200、紙補給装置300等を有している。
プリンタ部100は、紙搬送路43Aを境にして、その上方に配設された第1画像形成部と、下方に配設された第2画像形成部とを有している。第1画像形成部は、図中矢印方向に無端移動する第1ベルトたる第1中間転写ベルト21を有する第1転写ユニット20を備えている。また、第2画像形成部は図中矢印方向に無端移動する第2ベルトたる第2中間転写ベルト31を有する第2転写ユニット30を備えている。第1中間転写ベルト21の上部張架面の上方には、4個の第1プロセスユニット80Y,M,C,Kが配置されている。一方、第2中間転写ベルト31の側部張架面の側方には、4個の第2プロセスユニット81Y,M,C,Kが配置されている。これら第1、第2プロセスユニットの番号に付したY,M,C,Kという添字は、それぞれ取り扱われるトナーの色を示している。プロセスユニット内の各機器にも同様の添字を付している。
各プロセスユニット(80Y,M,C,K、81Y,M,C,K)は、それぞれ潜像担持体たる感光体(1Y,M,C,K)を有している。第1プロセスユニット80Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kは等間隔に配設され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第1中間転写ベルト21の上部張架面に接触する。以下、このように接触するベルト面を第1受像面という。
一方、第2プロセスユニット81Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kも等間隔に配設され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第2中間転写ベルト21の上部張架面に接触する。以下、このように接触するベルト面を第2受像面という言う。
第1中間転写ベルト21は、複数のローラにより、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の姿勢であり、且つその第1受像面をほぼ水平に延在させる姿勢で張架されている。第1プロセスユニット80Y,M,C,Kは、このようなほぼ水平の第1受像面に接するように、互いにほぼ水平な状態で並列配設されている。
一方、第2中間転写ベルト31は、複数のローラにより、水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の姿勢であり、且つその第2受像面を図中左上から右下にかけて傾斜させる姿勢で張架されている。第2プロセスユニット81Y,M,C,Kは、このように傾斜している第2受像面に接するように、第2中間転写ベルト31の図中左側方にて、図中左上から右下にかけての斜めの配列になるように配設されている。
図2は、4つの第1プロセスユニット80Y,M,C,Kのうちの1つを示す拡大構成図である。4つの第1プロセスユニット80Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図では「80」に付すY,M,C,Kという添字を省略している。同図において、感光体1は、プリンタ部(100)の動作時に、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される。かかる感光体1の周囲には、帯電手段であるスコロトロンチャージャー3、露光装置4、現像装置5、クリーニング装置2、光除電装置Q等の作像部材や、電位センサS1、画像センサS2等が配設されている。
ドラム状の感光体1は、例えば直径30〜120[mm]程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)が被覆されたものである。アモルファスシリコン(a−Si)層を被覆したものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。
クリーニング装置2は、クリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2b、回収部材2c等を有し、後述の1次転写ニップを通過した後の感光体表面に残留する転写残トナーを除去、回収する。
スコロトロンチャージャー3は、回転駆動される感光体1の表面を例えばマイナス極性に一様帯電せしめるものである。かかる一様帯電を行う帯電手段として、スコロトロンチャージャーの代わりに、コロトロンチャージャーを用いても良い。また、帯電バイアスが印加される帯電バイアス部材を感光体1の表面に接触させる方式のものでもよい。
露光装置4は、各色のうちの1色に対応する画像データに基づいて生成した光で、一様帯電後の感光体1の表面を光走査して、感光体1の表面に静電潜像を形成する。図示の例では、露光装置4として、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなるものを用い。レーザ光源やポリゴンミラー等を用いて、形成すべき画像データに応じて変調したビーム光によるレーザスキャン方式のものでもよい。
現像装置5は、トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いて感光体1上の静電潜像を現像する二成分現像方式のものである。かかる二成分現像剤を2つの搬送スクリュウ5cによって攪拌しながら、図中奥行き方向に搬送する。これら2つの搬送スクリュウ5cの現像剤搬送方向は互いに逆方向である。例えば、図中左側の搬送スクリュウ5cの現像剤搬送方向が図中奥側から手前側であれば、図中右側の搬送スクリュウ5cの現像剤搬送方向は図中手前側から奥側である。前者の搬送スクリュウ5cによって現像装置5の図中奥行き方向端部まで搬送された二成分現像剤は、後者の搬送スクリュウ5cに受け渡される。そして、その端部から反対側の端部に向けて攪拌搬送される過程で、一部が後述の現像ロール5bに担持される。また、担持されなかったり、現像ロール5bから右側の搬送スクリュウ5cに戻されたりした二成分現像剤は、上記反対側の端部で左側の搬送スクリュウ5cに受け渡される。このようにして、二成分現像剤が現像装置5内で循環搬送される。なお、現像装置5として、磁性キャリアを含まずにトナーを主成分とする一成分現像剤による一成分現像方式のものを用いてもよい。
現像ロール5aは、ステンレスやアルミニュウム等からなる非磁性円筒であって図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動せしめられるスリーブと、これに連れ回らないように内部固定されたマグネットローラとを有している。マグネットローラは、スリーブの内部にて、その周方向に分かれる複数の磁極を有している。図中右側の搬送スクリュウ5cによって搬送される二成分現像剤は、このマグネットローラの発する磁力によって引き寄せられて、回転駆動されるスリーブの表面で汲み上げられる。そして、スリーブ表面に連れ回って感光体1に対向する現像領域に搬送されるのに先立ち、ブレード5bとの対向位置である規制位置を通過する。
ブレード5bは、所定の間隙を介してその先端をスリーブ表面に近接させるように配設されている。そして、スリーブ表面上の二成分現像剤がその直下である規制位置を通過する際に、二成分現像剤の厚みを所定の大きさに規制する。
このようにして層厚が規制された二成分現像剤は、スリーブの回転に伴って感光体1との対向位置である現像領域に搬送される。マイナス極性に一様帯電せしめられた感光体1の表面に対する光走査によって電荷が減衰せしめられて形成された静電潜像は、現像領域にてスリーブ表面上の二成分現像剤に摺擦せしめられる。そして、潜像と同極性であるマイナス帯電性のトナーの付着によって、Y,M,C,Kの何れかの色に現像される。第1プロセスユニット80においては、いわゆる反転現像が行われるのである。これにより、感光体1上には、Y,M,C,Kの何れかの色のトナー像が形成される。
トナーとしては、従来から公知の方法で得られる球形や不定形のトナーが用いられる。体積平均粒径が20[μm]以下、好ましくは10[μm]以下、4[μm]以上のものがよい。また、磁性キャリアも従来から公知の方法で得られるものが用いられる。体積平均粒径が25[μm]〜60[μm]程度のものがよい。
上記現像領域でトナーを消費した二成分現像剤は、上記スリーブの回転に伴って現像装置5内に戻る。そして、上記マグネットローラの互いに同極で隣り合う磁極によって形成される反発磁界の影響を受けて、スリーブ表面から離脱して、図中右側の搬送スクリュウ5c上に戻された後、図中左側の搬送スクリュウ5cに受け渡される。
図中左側の搬送スクリュウ5cの下方には、トナー濃度センサ5eが配設されており、左側の搬送スクリュウ5cによって搬送される二成分現像剤の透磁率を検知する。二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度と相関があるので、トナー濃度センサ5eは、トナー濃度を検知していることになる。
図示しない制御部は、このトナー濃度センサ5eからの出力信号に基づいて二成分現像剤のトナー濃度を所定の閾値未満であると判断すると、図示しない8つのトナー供給手段のうち、その二成分現像剤に対応するものを所定時間駆動する。これら8つのトナー供給手段は、それぞれ、第1プロセスユニット(80Y,M,C,K)の4つの現像装置、あるいは、第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)の4つの現像装置の何れか1つに対応するものである。プリンタ部(100)の上部のボトル収納部85に着脱可能にセットされた4つのY,M,C,Kトナーボトル(図1の86Y,M,C,K)の何れかに接続されている。そして、接続されたトナーボトルから、対応する現像装置内における図中左側の搬送スクリュウ5c上に、所定色のトナーを供給する。これにより、現像によってトナーを消費した二成分現像剤のトナー濃度が回復する。かかる構成のトナー供給手段としては、従来から公知のモーノポンプによる吸引力で、トナーボトル内のトナーを吸引して現像装置内まで搬送する方式のものがよい。この方式によれば、トナーボトルの設置場所の制約が少ないため、プリンタ部(100)内部のスペース配分に有利である。またトナーが適時補給できるため、現像装置5に大きなトナー貯留スペースを設けなくてすみ、現像装置5の小型化を図ることができる。
図3は、4つの第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)のうちの1つを示す拡大構成図である。4つの第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)も、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、第2プロセスユニット81は、第1プロセスユニット(80)と構成部材が同じであるが、感光体1の回転方向が異なっている。しかし互いに、感光体1の回転軸1aを通るy軸に対し対象の形をしている。この形状は、感光体1の周囲に設ける部材の配置にも関係するが、重要な事項である。具体的には、プリンタ部100本体との結合部、たとえば駆動手段との結合部、電気的接続部、トナー供給部、トナー排出部の結合方法を配慮している。これにより、第1プロセスユニット(80Y,M,C,K)と、第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)とに互換性をもたせることができる。従って第1プロセスユニットと第2プロセスユニット用に個別に現像装置、クリーニング装置、部品を製造する必要がなく、部品製造、部品の管理上での効率が高く、全体のコスト低減化を図ることができる。
先に示した図1において、第1画像形成部は、複数の第1プロセスユニット(80Y,M,C,K)と、第1転写ユニット20とから構成されている。また、第2画像形成部は、複数の第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)と、第2転写ユニット30とから構成されている。プリンタ部100においては、第1転写ユニット20と第2転写ユニット30とにより、両面転写装置が構成されている。
第1転写ユニット20は、第1中間転写ベルト21を複数のローラ22(4個),23,24,25,26(2個),27,28,29によって張架して、第1プロセスユニット80Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kに接触させている。この接触により、第1転写ユニット20では、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像を、第1中間転写ベルト21上に重ね合わせて転写するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成される。第1中間転写ベルト21は、これら4つの1次転写ニップを形成しながら、図中時計回りに無端移動せしめる。各1次転写ニップでは、図示しない電源によって1次転写バイアスが印加される4つの1次転写ローラ22の何れかが、感光体1Y,M,C,Kとの間に第1中間転写ベルト21を挟み込んでいる。この1次転写バイアスやニップ圧の影響により、各1次転写ニップで各色のトナー像が第1中間転写ベルト21に重ね合わせて1次転写される。
第1中間転写ベルト21の外周部には、ローラ23に対向する位置にクリーニング装置20Aが設けられている。このクリーニング装置20Aは、各1次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト21の表面に残留する転写残トナーや、紙粉などの異物を拭い去る。第1中間転写ベルト21に関連する部材は、第1転写ユニット20として一体的に構成してあり、プリンタ部100に対し着脱が可能となっている。
一方、第1転写ユニット20は、第2中間転写ベルト31を複数のローラ32(4つ),33,34,35,36(2つ)によって張架して感光体1Y,M,C,Kに接触させている。この接触により、第2転写ユニット30では、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像を、第2中間転写ベルト31上に重ね合わせて転写するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成される。第2中間転写ベルト31は、これら4つの1次転写ニップを形成しながら、図中反時計回りに無端移動せしめる。各1次転写ニップでは、図示しない電源によって1次転写バイアスが印加される4つの1次転写ローラ32の何れかが、感光体1Y,M,C,Kとの間に第2中間転写ベルト31を挟み込んでいる。この1次転写バイアスやニップ圧の影響により、各1次転写ニップで各色のトナー像が第2中間転写ベルト31に重ね合わせて1次転写される。
第2中間転写ベルト31の外周部には、ローラ33に対向する位置にクリーニング装置30Aが設けられている。このクリーニング装置30Aは、各1次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト31の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。第2中間転写ベルト31に関連する部材も、第2転写ユニット30として一体的に構成してあり、プリンタ部100に対し着脱が可能となっている。
2つの中間転写ベルト(21,31)は、それぞれ例えば、基体の厚さが50〜600[μm]の樹脂フィルム或いはゴムを基体とするベルトである。そして、感光体1が担持するトナー像を、1次転写ローラ(22,32)に印加される1次転写バイアスによって静電的にベルト表面に転写を可能とする電気抵抗値を発揮する。かかる中間転写ベルトの一例として、ポリアミドにカーボンを分散し、その体積抵抗値は、106〜1012[Ωcm]程度に抵抗が調整されたものを挙げることができる。ベルトの走行を安定させるためのベルト寄り止めリブを、ベルト片側あるいは両側端部に設けられている。
第1転写ユニット20の1次転写手段たる4つの1次転写ローラ22や、第2転写ユニット30の1次転写手段たる4つの1次転写ローラ32としては、例えば次のような構成のものを用いることができる。即ち、芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴム材料を被覆したもので、芯金部に、不図示の電源からバイアスが印加されるものである。本第1実施形態では、導電性ゴム材料として、ウレタンゴムにカーボンを分散したものを用い、体積抵抗を105Ωcm程度に調整している。
プリンタ部100は、Kトナーだけによるモノクロ画像の出力も可能である。モノクロ画像を出力する場合には、第1転写ユニット20におけるY,M,C用のプロセスユニット80Y,M,Cを使用しない。そして、プロセスユニット80Y,M,Cを稼動させないだけでなく、これらと第1中間転写ベルト21とを非接触に保つための機構を備えている。ローラ26と1次転写ローラ22を支持する内部フレーム(不図示)を設けておき、ある点を中心に回動可能に支持している。そして、感光体から遠ざかる方向に回動させることにより、感光体1Kだけを第1中間転写ベルト21と接触させて、作像工程を実行することにより、ブラックトナーによるモノクロ画像を作成する。かかる構成では、感光体の寿命向上の点で有利である。なお、第2転写ユニット30も同様に、モノクロ画像出力時にプロセスユニット81Y,M,Cを第2中間転写ベルト31から待避させるようになっている。
第1中間転写ベルト21の外周には、当接ローラたる2次転写ローラ46が、第1中間転写ベルト21を裏面で支えながら張架している支持ローラ28との間に第1中間転写ベルト21を挟み込むように配設されている。これにより、第1転写ユニット20においては、第1中間転写ベルト21と2次転写ローラ46とが当接する2次転写ニップが形成されている。支持ローラ28からこの2次転写ニップを経て2次転写ローラ46に至るまでの領域が、両面転写装置における第1転写部になっている。
2次転写ローラ46は芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴムを被覆したもので、芯金部に対して、図示しない電源から2次転写バイアスが印加される。導電性ゴムはカーボンの分散によって体積抵抗が107Ωcm程度に調整されたものである。
上述の2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対45が配設されている。このレジストローラ対45は、プリンタ部100の図中右側方に配設された給紙装置40から送られて来る転写紙Pをローラ間に挟み込んだ後、両ローラの回転を一時中断する。そして、第1中間転写ベルト21上の重ね合わせトナー像である4色トナー像に同期させ得るタイミングで、転写紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、2次転写ニップでその一方の面である第1面(図中上側を向く面)に4色トナー像が密着せしめられる。そして、2次転写バイアスやニップ圧の影響により、第1中間転写ベルト21上の4色トナー像がその第1面に一括2次転写される。2次転写ニップを通過した転写紙Pは、第1中間転写ベルト21や2次転写ローラ46から離れて、第2中間転写ベルト31に受け渡される。
第2転写ユニット30においては、第2中間転写ベルト31を張架している上部張架ローラ34によるベルト掛け回し箇所が、第2中間転写ベルト31の上部張架面になっている。この上部張架面の上方には、転写チャージャー47が上部張架面と所定の間隙を介して対向するように配設されている。転写チャージャー47からこの所定の間隙を経由して、上部張架ローラ34に至るまでの領域が、第2転写ユニット30の第2転写部となっている。
転写チャージャー47は公知のタイプで、タングステンや金の細い線を放電電極とし、ケーシングで保持し、放電電極に不図示の電源から転写電流が印加される。第2中間転写ベルト31と転写チャージャー47の間に転写紙Pを通過させながら、その第1面に転写チャージャー47から発せられる電荷を付与することで、第2中間転写ベルト31上の4色トナー像を転写紙Pの第2面に一括2次転写する。上述の2次転写バイアスや、転写チャージャー47による付与電荷は、何れもトナーの極性と逆のプラス極性である。
プリンタ部100の図中右側方には転写紙を供給可能に収納した給紙装置40が配備されている。複数段、例えば上段に大量の転写紙を収納した給紙装置(トレイ)40a、その下方に3段の給紙カセット40b,40c、40dがそれぞれ紙面に対し直角手前側(操作面側)に引出し可能に配設されている。これらの給紙トレイ40aや給紙カセット40b,40c、40d内にそれぞれ異なる種類の転写紙が収納されている。このうち、最上位置の転写紙は、対応する給紙・分離手段41A〜41Dにより選択的に給紙、分離され、確実に一枚だけが複数の搬送ローラ対42Bにより紙搬送路43Bや43Aに送られる。
紙搬送路43Aには、転写紙Pを両面転写装置の第1転写部や第2転写部へ送り出す給送タイミングをとるための、一対のレジストローラ45が設けられている。さらに転写紙Pの搬送方向に対し直角方向の位置を正規の位置にするための横レジ補正機構44が、紙搬送路43Aに設けられている。横レジ補正機構44としては、次のものを例示することができる。即ち、図示しない横方向の基準ガイドと斜行コロ対から構成され、転写紙の横方向端部を該基準ガイドに押付けるように転写紙をスライド搬送する。そして、転写紙を所定の位置に整合させる。この基準ガイドは転写紙のサイズにより、所定の位置に移動、配置される。なお、横レジ補正機構44は転写紙の搬送方向に対し転写紙の両方の横方向から、転写紙の両辺を短時間及び複数回押し、転写紙を所定の位置に整合させる規制部材から構成されるジョガー方式でもよい。
転写紙Pは、レジストローラ対45から、第1中間転写ベルト21と2次転写ローラ46の当接によって2次転写ニップが形成されている第1転写部に向けて搬送される。その後、第2中間転写ベルト31と転写チャージャー47とが対向している第2転写部に向けて送られる。
給紙装置40においては、複数の給紙トレイのうち、最も上に配設されている給紙トレイ40aから排出される転写紙Pが、プリンタ部100の紙搬送路43Aに対して、曲げられることなくほぼ水平に真直ぐ搬送されるようになっている。このため厚い転写紙Pや剛性の高い板紙でも、給紙トレイ40a内に収容すれば、プリンタ部100の紙搬送炉43Aに確実に給紙することができる。なお、給紙トレイ40aには、多様な特性の転写紙が収納されても確実に給紙できるよう、バキューム機構からなるエアー給紙を採用すると好都合である。図示を省略しているが、紙搬送路43Aの要所には転写紙Pを検知するためのセンサを設けており、転写紙Pの存在を基準とする各種信号のトリガーとしている。
最も上側に配設されている給紙カセット40aの上方には、第2給紙路43Cが設けられている。この第2給紙路43Cに対しては、給紙装置40の図中右側方に設置されている第2給紙装置300から、転写紙Pを供給することができる。
第2転写ユニット30の図中左側方には、複数の張架ローラ52,53,54,55,56によって紙搬送ベルト51を張架しながら図中反時計回りに無端移動させる紙搬送ユニット50が配設されている。紙搬送ベルト51は、第2転写ユニット30の第2転写部から排出される転写紙Pを、複数の張架ローラの1つである受入ローラ52によるベルト掛け回し箇所にて、紙搬送ベルト51上に受け取る。この受け取りよりも早いタイミングで、紙搬送ベルト51のおもて面には、静電吸着チャージャー57によって電荷が付与される。この電荷の付与により、紙搬送ユニット50は、第2転写部から排出されてくる転写紙Pを紙搬送ベルト51のおもて面に静電吸着させることができる。
転写紙Pをおもて面に静電吸着させた紙搬送ベルト51は、その無端移動に伴って転写紙Pを図中右側から左側へと搬送する。そして、紙搬送ユニット50の図中左側方に配設されている定着手段たる定着装置60に向けて、転写紙Pを受け渡す。この受け渡しよりも早いタイミングで、紙搬送ベルト51のおもて面に静電吸着せしめられている転写紙Pに対して、分離チャージャー58によって電荷が付与される。この電荷の付与により、それまで紙搬送ベルト51のおもて面に静電吸着していた転写紙Pがベルトから容易に分離されるようになる。そして、複数の張架ローラのうち、定着装置60の最も近くに配設されている分離ローラ54によるベルト掛け回し箇所で、分離ローラ54の曲率にならって急激に移動方向を変えようとするベルトから転写紙Pが分離して、定着装置60に受け渡される。
定着装置60としては、定着ローラ内部にヒータを備える方式のもの、加熱されるベルトを走行させる方式のもの、誘導加熱を採用した方式のものなどを採用することができる。同図においては、2つの定着ローラを当接して形成した定着ニップで、転写紙Pを両面側からそれぞれ加熱して第1トナー像及び第2トナー像を定着させる方式のものを採用している。転写紙P両面の画像の色合い、光沢度を同じにするため、2つの定着ローラについては、ベルト材質、硬度、表面性などを上下同等にしてある。また、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより、それぞれの面に対して最適な定着条件をつくりだすように、定着装置60の各種パラメータが制御されるようになっている。
定着装置60による定着処理が終了した転写紙Pは、排出路に向けて送り出される。この排出路には、定着処理後の転写紙Pを冷却して、不安定なトナーの状態を早期に安定させる目的で、冷却機能を有した冷却ローラ対70が配設されている。この冷却ローラ対70としては、放熱部を有するヒートパイプ構造のローラを採用することができる。冷却ローラ対70によって冷却された転写紙Pは、排紙ローラ対71により、プリンタ部100の左側に設けられた排紙スタック部75に排紙、スタックされる。この排紙スタック部は、大量の転写紙をスタック可能にすべく、不図示のエレベータ機構により、スタックレベルに応じて、受け部材が上下する機構を採用している。なお排紙スタック部75を通過させ、別の後処理装置に向けて転写紙を搬送させることもできる。別の後処理装置として、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本のための装置などを設けることもできる。
プリンタ部100の上面には、未使用のトナーが収納された各色のトナーボトル86Y,M,C,Kが、着脱可能にボトル収納部85に収納されている。このボトル収容部85は、プリンタ部100上面で操作方向から見て奥側にあって、プリンタ部100上面の手前側は平面部分が確保されているため、作業台として利用することができる。上述のトナー供給手段により、各現像装置に必要に応じトナーを供給するようになっている。本第1実施形態では、上下に配設した第1画像形成部と第2画像形成部とで、互いに同色のトナーを扱う現像装置に対しては、共通のトナーボトルからトナーを供給するようになっているが、別々にすることもできる。消耗の多いブラックトナー用のトナーボトル86Kは、特に大容量としておくことも可能である。
プリンタ部100の上面に設けられた操作・表示ユニット90には、キーボード等を設けてあり、画像形成のための条件などをインプットすることができる。また、ディスプレイ等からなる表示部に各種の情報を表示することもでき、操作者とプリンタ部100との情報交換を容易なものとする。
プリンタ部100内部に設けられた廃トナー収納部87は、クリーニング装置2や、中間転写ベルトのクリーニング装置20A,30Aなどと連結されている。そして、これらから送られる廃トナーや紙粉等の異物を一括して回収して収納する。これらのクリーニング装置(2,20A,30A,50A)に大容量の廃トナー収納部を備えないため、クリーニング装置が小型にでき、さらに廃トナーの廃棄の操作性も良好となっている。満杯センサ(不図示)を使って廃トナー収納部87内のトナー廃棄、あるいは容器交換などの警告を発する。
プリンタ部100内部に設けられた制御部95には、各種電源や制御基板などが板金フレームに保護され収納されている。定着装置60による熱や電装装置からの発熱により、画像形成装置内部は高温になるが、その対策としてファンFを設けて、内部部材の熱による機能低下を防止している。またこのファンFは冷却ローラ対70の放熱部と結合してあり、冷却ローラ対70の冷却効果を確実にしている。
給紙装置40の上部には、周知の技術によって原稿を自動搬送しながらその原稿の画像を読み取る自動画像読取装置(ADF)200が設けられており、これによる読取情報が制御部95に送られる。送られた読取情報に基づいて、プリンタ部100が駆動制御されて、原稿と同じ画像が出力される仕組みである。また、プリンタ部100に対しては、図示しないパーソナルコンピュータ等からの画像情報を送って、その画像情報に対応する画像を出力させることもできる。更に、図示しない電話回線から送られてくる画像情報を送って、その画像情報に対応する画像を出力させることもできる。給紙装置40の図中右側方には、上述のように、給紙装置40に転写紙Pを補給する第2紙補給装置300が配設されている。
次にプリンタ部100において、転写紙の片面にフルカラー画像を形成する片面記録時の動作について説明する。
片面記録の方法は基本的に2種類あって、選択が可能となっている。2種類のうちの1つは、第1中間転写ベルト21に転写した4色トナー像を転写紙の第1面に一括2次転写する方法である。また、もう1つの方法は、第2中間転写ベルト31に転写した4色トナー像を転写紙の第2面に一括2次転写する方法である。画像データが複数の頁になるケースでは、排紙スタック部75上で頁が揃うように作像順序を制御するのが好都合である。そこで、最後の頁の画像データから順に記録して頁順を揃わせることができる、前者の方法について説明する。
プリンタ部100を稼動させると、第1中間転写ベルト21と第1プロセスユニット80Y,M,C,Kにおける感光体1Y,M,C,Kが回転する。同時に第2中間転写ベルト31が無端移動するが、第2プロセスユニット81Y,M,C,Kにおける感光体1Y,M,C,Kは第2中間転写ベルト31と離間されるとともに不回転状態にされる。そして、第1プロセスユニット80Yによる画像形成が開始される。LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置4の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電装置3によって一様帯電された感光体1Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。
この静電潜像は、Y用の第1プロセスユニット81Yの現像装置によってYトナー像に現像され、Y用の1次転写ニップで第1中間転写ベルト21上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作が感光体1M,C,K側でもタイミングをとって順次同様に行われる。そして、第1中間転写ベルト21上のYトナー像に対して、M,C,K用の1次転写ニップでM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、第1中間転写ベルト21上に4色トナー像が形成される。
一方、給紙装置40は、内部の給紙トレイ40aあるいは給紙カセット40bc,dから、画像データに対応する転写紙を給紙・分離手段41A,B,C,Dの何れか1つのよって送り出す。そして、搬送ローラ対42B,42Cによってプリンタ部100の紙搬送路43Cに向けて搬送する。そして、横レジ補正機構44に送られる。
横レジ補正機構44は、記録体供給手段たる給紙装置40から両面転写装置(第1、第2転写ユニット)に向けて搬送されている途中の転写紙Pにおける搬送方向からの姿勢の傾きを補正する傾き補正手段である。レジストローラ対45よりも搬送方向上流側で、搬送方向に直交する紙面方向に並べられたガイド板対を、転写紙Pの搬送方向に直交する両端に突き当てることで、転写紙Pの姿勢の傾きを補正する。ガイド板対の2つのガイド板は、搬送方向に直交する紙面方向に移動可能になっており、給紙された転写紙Pの幅に合わせて移動することで、板間距離を転写紙Pの幅に合わせることができる。
横レジ補正機構44によって姿勢の傾きが補正された転写紙Pは、レジストローラ対45のローラ間に至り、そこでタイミングが計られて第1転写部に送り出される。そして、第1転写部の2次転写ニップにて、第1中間転写ベルト21上の4色トナー像が第1面に一括2次転写される。2次転写ニップを通過した第1中間転写ベルト21のおもて面は、ベルトクリーニング装置20Aによって転写残トナーがクリーニングされる。
各第1プロセスユニット80Y,M,C,Kでは、それぞれ、1次転写ニップを通過した後の感光体1Y,M,C,K上に残留する転写残トナーが、クリーニング装置(2)によってクリーニングされる。このクリーニング装置(2)は、先に図2に示したように、クリーニングブラシ2aやクリーニングブレード2bによって第1中間転写ベルト21から転写残トナーを除去するものである。除去したトナー等の異物については、回収手段2cによって回収部87に送る。なおセンサS1、S2は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御のために不図示の制御手段に情報を出す。また、クリーニング後の感光体1の表面は除電装置Qによって残留電荷が除電されて初期化せしめられる。
第1転写部の2次転写ニップで第1面に4色トナー像が2次転写された転写紙は、第2転写ユニット30の第2中間転写ベルト31に受け渡された後、紙搬送ユニット50に送られる。そして、紙搬送ユニット50から定着装置60に受け渡されるが、この受け渡しに先立って、転写紙Pに対して分離チャージャー58による電荷が付与される。この付与により、第2中間転写ベルト31に静電吸着していた転写紙がベルトから容易に分離されるようになる。
定着装置60内では、転写紙Pの第1面に担持されているフルカラー画像中の各色トナーが、加熱によって溶融、混色される。転写紙Pはその第1面だけにトナーを有しているので、両面にトナーを有している両面記録時に比べ、定着に要する熱エネルギーが少なくて済む。制御部95が画像に応じて定着装置60の使用する電力を最適に制御する。定着処理が施された後であっても、転写紙P上で完全に固着するまでは、トナー像は搬送路のガイド部材等にこすられ、画像が欠落したり、乱れたりする。この不具合を防止するべく、定着装置60を通過した転写紙は、冷却手段である冷却ローラ対70が設けられているのである。
本複写機においては、排紙スタック部75で若い頁の転写紙が順次上に重ねられるように、作像順序がプログラムされているので、スタック部75で頁順が揃う。排紙スタック部75は、排紙される転写紙の増加に従って、下降するので、転写紙は整然と確実にスタックでき、頁順が乱れることがない。記録済みの転写紙を排紙スタック部75に直接スタックする代わりに、穴あけ加工処理を実施したり、ソータ、コレータや綴じ装置や折り装置など後処理装置に搬送することもできる。
転写紙の片面に画像を形成させる他の方法では、第1プロセスユニット80Y,M,C,Kでの画像の形成をおこなわないようにするのと、頁揃えのために若い頁の画像データから順に像形成をさせる点が異なる。しかし、基本的には上述の片面記録の工程と同じなので、説明を省略する。
次に転写紙の両面に画像を形成する両面記録時の動作について説明する。
プリンタ部100に画像信号が入力されると、片面記録の動作で説明した第1プロセスユニット80Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kに、Y,M,C,Kトナー像が形成される。そして、これらは、Y,M,C,K用の1次転写ニップで第1中間転写ベルト21に順次重ね合わせて1次転写される。この工程とほぼ並行して、第2プロセスユニット81Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kに、Y,M,C,Kトナー像が形成される。そして、これらは、Y,M,C,K用の1次転写ニップで第2中間転写ベルト31に順次重ね合わせて1次転写される。このようにして、第1中間転写ベルト21、第2中間転写ベルト31上に、それぞれ4色トナー像が形成される。
第2プロセスユニット81Y,M,C,Kのユニット間隔は、第1プロセスユニット80Y,M,C,Kのユニット間隔よりも小さくなっている。これにより、第2転写ユニット30では、第1転写ユニット20よりも速く重ね合わせ1次転写が終了する。
タイミングが計られてレジストローラ対45から第1転写部の2次転写ニップに送られた転写紙Pは、その第1面に第1中間転写ベルト21上の4色トナー像が2次転写された後、第2転写部に受け渡される。そして、第2中間転写ベルト31と転写チャージャー47とが所定の間隙を介して対向している第2転写部にて、第2中間転写ベルト31上の4色トナー像が第2面に2次転写される。
このようにして両面にフルカラー画像が形成された転写紙Pは、紙搬送ユニット50を経由して定着装置60に受け渡される。そして、定着装置60内で加熱や加圧による定着処理が行われて、両面のトナー画像がそれぞれ溶融、混合される。更に、冷却ローラ対70と排紙ローラ71とを経た後、排紙スタック部75上に排紙される。
複数の頁の転写紙に両面記録する場合、若い頁の画像が下面となって排紙スタック部75にスタックされるように作像順序を制御する。これにより排紙スタック部75から取り出し、上下面を逆にしたとき記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、定着装置に入力する電力を片面記録時より増やすなどの制御は、制御部95によって実行される。
片面記録動作、両面記録動作に関して、フルカラー記録を実行させる例で説明したが、ブラックトナーだけによるモノクロ記録も可能である。メンテナンスや部品交換等の必要性が生じた場合には、不図示の外装カバー等を開放し、メンテナンスをおこなう。
図4は、両面転写装置を部分的に示す模式図である。同図において、第1中間転写ベルト21の第1受像面と、第2中間転写ベルト31の第2受像面とでなす角度αについては、180〜210[°]に設定することが好ましい。より望ましくは、210〜255[°]である。
以上の構成の本複写機においては、第1中間転写ベルト21を張架する複数の張架ローラのうち、支持ローラ28が、次のように機能している。即ち、当接ローラたる2次転写ローラ46との間に第1中間転写ベルト21を挟みこんで2次転写ニップを形成する第1転写部第1ベルト張架ローラとしてい機能している。また、第2中間転写ベルト31を張架する複数の張架ローラのうち、上部張架ローラ34が、第2転写部で第2中間転写ベルト31を掛け回している第2転写部第2ベルト張架ローラとして機能している。また、第1画像形成部が、第1像担持体たる第1中間転写ベルト21の無端移動する表面に第1可視像たる第1トナー像を形成する第1可視像形成手段として機能している。また、第2画像形成部が、第1中間転写ベルト21に対して非接触に配設された第2像担持体たる第2中間転写ベルト31の無端移動する表面に第2可視像たる第2トナー像を形成する第2可視像形成手段として機能している。また、第1転写ユニット20と第2転写ユニット30とからなる両面転写装置が、第1中間転写ベルト21上の第1トナー像を記録体たる転写紙Pの第1面に転写した後、第2中間転写ベルト31上の第2トナー像を転写紙Pの第2面に転写する両面転写手段として機能している。
次に、本複写機の特徴的な構成について説明する。
本複写機においては、先に図1を用いて説明したように、第1中間転写ベルト21と第2中間転写ベルト31とを互いに非接触に配設している。このような配設では、両ベルトをそれぞれ必要なときにだけ個別に作動させて、両ベルトの消耗を抑えることができる。
また、本複写機においては、両面転写装置の第1転写部を次のように構成している。即ち、表面移動可能な当接部材たる2次転写ローラ46と、第1中間転写ベルト21との当接によって形成した2次転写ニップに転写紙Pを挟み込んで搬送するようにしている。このようにして第1転写部の2次転写ニップで転写紙Pに搬送力を付与しながら第1トナー像の転写を行うことで、第1転写部よりも紙搬送方向上流側に配設したレジストローラ対45を通過した転写紙Pに対しても、第1転写部によって定着装置60に向けての搬送力を付与することができる。このことにより、従来に比べて短尺サイズの転写紙Pであっても、第1転写部や第2転写部内で滞りなく搬送することが可能になるので、より多様な長さの記録体を取り扱うことができる。
図5は、両面転写装置の第1転写部及び第2転写部の第1比較例を示す拡大模式図である。同図において、第2転写部は転写チャージャー47と上部張架ローラ34とが対向している領域R内に形成されている。この領域R内で、図示しない転写紙が第2中間転写ベルト31に密着していないと、第2トナー像の転写不良が生じてしまう。一方、第1中間転写ベルト21と2次転写ローラ46とが当接している第1転写部の2次転写ニップの出口からは、図中点線矢印の方向に向けて図示しない転写紙が排出される。すると、転写紙は、第2転写部に進入してから第2中間転写ベルト31の表面に密着するようになるので、第2転写部の入口付近では第2中間転写ベルト31に密着しない状態となる。そして、第2転写部の入口付近で密着不良による転写性の不足が生じて、第2トナー像の転写不良が引き起こされてしまう。
そこで、本複写機では、図6に第1転写部及び第2転写部の第1例として示すように、第1転写部を構成している。具体的には、第2中間転写ベルト31における第2転写部に進入する前の表面領域である第2転写部上流領域(領域Rに進入する前のベルト領域)に向けて、転写紙Pの先端を2次転写ニップの出口から送り出すように第1転写部を構成している。かかる構成では、第1転写部の2次転写ニップの出口から、第2中間転写ベルトの第2転写部上流領域に向けて排出した転写紙Pの先端をこの第2転写部上流領域に突き当てることで、転写紙Pを第2中間転写ベルト31に確実に密着せしめてから第2転写部に送る。これにより、第2転写部の入口付近で生ずる転写不良を抑えることができる。
図7は、上記第1例における第2転写部を拡大して示す拡大模式図である。同図において、図中の点P2は、第2転写部で第2中間転写ベルト31を張架する第2転写部第2ベルト張架ローラたる上部張架ローラ34の周面における全領域のうち、第2転写部の入口に位置する領域である転写入口領域を示している。また、点P1は、上部張架ローラ34の周面における全領域のうち、第1転写部の2次転写ニップの出口に最接近する領域である最接近領域を示している。第1例においては、第1転写部の2次転写ニップ出口にて、図中点線矢印で示すように、転写紙を最接近領域である点P1と転写入口領域である点P2との間の領域に向けて送り出すように、第1転写部を構成している。これは次に説明する理由による。即ち、第2中間転写ベルト31の周方向における全領域のうち、点P1に裏打ちされる部分は、ベルトに突き当たってくる転写紙の先端の移動方向が変化する臨界点となっている。点P1に裏打ちされるベルト部分よりもベルト移動方向の下流側に突き当たった転写紙は、その先端を第2転写部に向けるように撓ませる。このため、ベルト移動方向にならって、第2転写部に向けてスムーズに搬送される。これに対し、点P1に裏打ちされるベルト部分よりもベルト移動方向の上流側に突き当たった転写紙は、その先端を第2転写部とは反対側に向けるように撓ませる。すると、転写紙の先端がベルト移動方向とは反対方向を向いてしまって、第2転写部に向けて搬送されなくなってしまう。転写紙のいわゆる裏まわりが発生してしまうのである。そこで、第1例においては、2次転写ニップの出口にて、転写紙を点P1と点P2との間に向けて送り出すように、第1転写部を構成している。これにより、第2中間転写ベルト31に突き当てた転写紙の先端を第2転写部に向けて確実に撓ませて、転写紙の裏まわりによるジャムを抑えることができる。
なお、画像形成装置においては、両面転写装置内の紙搬送性をできるだけ向上させるという観点から、両面転写装置の入口から出口にかけての転写搬送路を次のように構成するのが一般的である。即ち、図1に示したレジストローラ対45から、転写チャージャー47と第2中間転写ベルト31とが対向する第2転写部の出口にかけて、一直線状になるように構成するのである。図5に示した第1比較例では、このように一直線状になるように転写搬送路を構成している。これに対し、図6や図7に示した第1例では、第1転写部の配設位置と第2転写部との配設位置とに段差を設けて、一直線状にならないようにしている。より詳しくは、第1例においては、図5に示した第1転写ユニット(20)の支持ローラ28をより鉛直方向下側に配設して、2次転写ニップの位置を図5よりも下側に形成することで、2次転写ニップの出口で転写紙Pを第2中間転写ベルト31の第2転写部上流領域に向けて搬送させるようにしている。
しかしながら、装置の内部レイアウトによっては、図6や図7に示したように2次転写ニップをより下側に形成することが困難な場合もあり得る。このような場合には、第1転写部を図8に示す第2例のように構成するとよい。同図においては、第1転写部の2次転写ニップの延長線上に、第2転写部の第2中間転写ベルト31表面を位置させている。即ち、第1転写部の配設位置と、第2転写部の配設位置とに段差を設けていない。同図において、直線L1は、2次転写ニップよりも上流側における転写紙Pの搬送方向を示している。図示しないレジストローラ対(図1の45)から送られてきた転写紙は、直線L1に沿って搬送されながら2次転写ニップに進入するのである。直線L2は、直線L1に直交し且つ支持ローラ28の中心を通る直線である。また、直線L3は、直線L1に直交し且つ2次転写ローラ46の中心を通る直線である。先に図5に示した第1比較例では、これら直線L2と直線L3とを同一線上に位置させるように、支持ローラ28と2次転写ローラ46とを当接させていた。一方、図8に示した第2例では、直線L2よりも直線L3を紙搬送方向上流側に位置させるように、支持ローラ28と2次転写ローラ46とを当接させている。このように両ローラを当接させると、2次転写ニップの出口における転写紙の搬送方向が、図中点線矢印で示すように、図5に比較して、より第2転写部の上流側にシフトさせることができる。そして、このことにより、第1転写部内(2次転写ニップ内)における紙搬送位置と、第2転写部における紙搬送位置とを同一線上に位置させても、次のことが可能になる。即ち、2次転写ニップの出口で、転写紙の先端を容易に第2中間転写ベルト31における第2転写部上流領域に向けて送り出させることができる。
装置の内部レイアウト等の理由により、第1転写部内における紙搬送位置と、第2転写部における紙搬送位置とを同一線上に位置させるのが困難な場合には、図9に示す第3例のように第1転写部を構成してもよい。同図においては、第1転写部で第1中間転写ベルト21のおもて面に当接している2次転写ローラ46は、当接ローラとして機能している。また、第1転写部で第1中間転写ベルト21を裏面で張架している支持ローラ28は、第1転写部第1ベルト張架ローラとして機能している。同図に示した第3例では、当接ローラたる2次転写ローラ46として、第1転写部第1ベルト張架ローラたる支持ローラ28よりも高硬度のものを用いている。すると、図示のように、2次転写ローラ46を弾性変形する支持ローラ28に食い込ませることになる。このようにして食い込ませると、2次転写ニップの出口における転写紙の搬送方向は、食い込んでいる2次転写ローラ46の外周面との接線L4と同じ方向になる。即ち、2次転写ニップの出口における転写紙の搬送方向を、2次転写ニップから第2転写部に向けて真っ直ぐに伸びる直線L5よりも、2次転写部の上流側にシフトさせることができる。よって、2次転写ニップの出口で、転写紙の先端を容易に第2中間転写ベルト31における第2転写部上流領域に向けて送り出させることができる。
図9に示した第3例では、2次転写ニップの出口における転写紙の送り出し方向である直線L4が、上述した点P1よりも上流側で第2中間転写ベルト31に突き当たっているので、転写紙の裏まわりによるジャムを発生させるおそれがある。このような場合には、図10に第1転写部及び第2転写部の第4例として示すように、第1転写部と第2転写部との間に、案内手段たる案内板151を設けるとよい。この案内板151は、2次転写ニップの出口で直線L4の方向に向けて排出される転写紙を、その第2面(図中下側の面)に接触しながら点P1(最接近領域)と点P2(転写入口領域)との間の領域に向けて案内する。これにより、転写紙の裏まわりを防止することができる。
次に、本発明を適用した第2実施形態の複写機について説明する。なお、以下に特に説明しない限り、本第2実施形態に係る複写機の構成は、第1実施形態のものと同様である。
図11は、本第2実施形態に係る複写機の第1転写部及び第2転写部の第1例を示す拡大模式図である。本複写機は、図示しない転写紙を吸引するための吸引手段を備えている。この吸引手段は、第1転写部と第2転写部との間に配設されたファン150と、これの動作を制御する図示しない吸引制御手段とから構成されている。ファン150は、回転する羽根部材を覆っている筺体の吸引口を第1転写部と第2転写部との間に位置させるように配設されている。そして、羽根部材の回転に伴って吸引口に発生する吸引力により、第1転写部の2次転写ニップから送り出された転写紙を第2中間転写ベルト31の第2転写部上流領域に向けて吸引する。これにより、第1転写部内における紙搬送位置と、第2転写部における紙搬送位置とを同一線上に位置させるのが困難な場合であっても、2次転写ニップを通過した転写紙を、第2中間転写ベルト31における上述の第2転写部上流領域に容易に突き当てることができる。
吸引手段の吸引力発生機構となっているファン150としては、クロスフローファンを用いることが望ましい。クロスフローファンは、その軸線方向における吸引力を長時間に渡って安定した強さで発揮することが可能である。このため、第1転写部と第2転写部との間で、ファン150の吸引力の変動によって転写紙の搬送方向を変化させてしまうといった事態を抑えることができるからである。
また、ファン150の吸引口の近傍には、図12に第2例として示すように、多孔案内部材である多孔案内板152を設けることが望ましい。この多孔案内板152は、複数の通気孔152aを備えており、2次転写ニップから排出された転写紙を、その第2面に接触しながら上記点P1(最接近領域)と上記点P2(転写入口領域)との間の領域に向けて案内する。ファン150は、案内部材たる多孔案内板152に設けられた複数の通気孔152aを通して、転写紙を吸引する。かかる構成においても、転写紙の裏まわりによるジャムを防止することができる。
以上、第1実施形態に係る複写機の第3例においては、第1像担持体として、複数の張架ローラに張架されながら無端移動せしめられる第1ベルトたる第1中間転写ベルト21を用いている。また、第1転写部で第1中間転写ベルト21に当接する当接部材として当接ローラたる2次転写ローラ46を用いている。また、第1中間転写ベルト21を張架する複数の張架ローラである第1転写部第1ベルト張架ローラたる支持ローラ28と、2次転写ローラ46との間に第1中間転写ベルト21を挟み込んで、第1中間転写ベルト21と2次転写ローラ46とが当接する2次転写ニップを形成するように第1転写部を構成している。更に、2次転写ローラ46を支持ローラよりも高い硬度にしている。かかる構成では、図9を用いて説明したように、第1転写部内における紙搬送位置と、第2転写部内における紙搬送位置とを、両面転写装置の入口から出口にかけての直線上にそれぞれ位置させることが困難である場合であっても、2次転写ニップの出口で、転写紙の先端を容易に第2中間転写ベルト31における第2転写部上流領域に向けて送り出させることができる。
また、第1実施形態に係る複写機の第1例においては、第2像担持体として、複数の張架ローラに張架されながら無端移動せしめられる第2ベルトたる第2中間転写ベルト31を用いている。また、第2中間転写ベルト31の周方向における全領域のうち、複数の張架ローラの1つである第2転写部第2ベルト張架ローラたる上部張架ローラ34に掛け回された領域に、所定の間隙を介して配設された電荷付与手段たる転写チャージャー47により、この間隙に進入してきた転写紙に電荷を付与して、第2トナー像を転写紙の第2面に転写するように第2転写部を構成している。更に、上部張架ローラ34の周面における全領域のうち、2次転写ニップの出口に最接近する領域である最接近領域としての点P1と、第2転写部の入口に位置する領域である転写入口領域としての点P2との間の領域に向けて、転写紙の先端を2次転写ニップの出口から送り出すように第1転写部を構成している。かかる構成では、図7を用いて説明したように、第1転写部と第2転写部との間で転写紙を裏まわりさせることによるジャムを抑えることができる。
また、第1実施形態に係る複写機の第4例においては、転写紙をその第2面に接触しながら上記点P1と上記点P2との間の領域に向けて案内する案内手段たる案内板151を、第1転写部と第2転写部との間に設けている。かかる構成では、図10を用いて説明したように、第1転写部と第2転写部との間で転写紙を裏まわりさせることによるジャムを防止することができる。
また、第2実施形態に係る複写機の第1例や第2例において、吸引力発生機構たるファン150として、クロスフロー式ファンを用いれば、上述した理由により、第1転写部と第2転写部との間で、ファン150の吸引力の変動によって転写紙の搬送方向を変化させてしまうといった事態を抑えることができる。
また、第2実施形態に係る複写機の第2例においては、転写紙を第2面に接触しながら上記点P1(最接近領域)と上記点P2(転写入口領域)との間の領域に向けて案内する案内部材たる多孔案内板152を、第1転写部と第2転写部との間に設けている。そして、この多孔案内板152に複数の通気孔152aを通して、転写紙をファン150に吸引させるようにしている。かかる構成では、図12を用いて説明したように、第1転写部と第2転写部との間で転写紙を裏まわりさせることによるジャムを防止することができる。