JP2005349365A - 液体回収装置及び液体分溜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 液体分溜装置100は、ミストMIを含む空気中からミストMIを捕集し回収液体LQ3を得る液体回収装置120を有する。液体回収装置120は、冷媒管141、及びその周囲を多数の流通路140Iに区画する冷却フィン145を有する冷却器140と、これを加振して、冷媒管141,冷却フィン145に超音波振動BU1,BU2を励起させて、流通路140Iに向け空中超音波AU1を放射させ流通路140I内に定在波音場SS1を形成させる超音波振動子160とを有する。
【選択図】 図2
Description
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、効率よく霧状の液滴や蒸気を気体から分離回収することができる液体回収装置、及びこれを用い、被処理液に含まれている成分を効率よく分溜することができる液体分溜装置を提供することを目的とする。
さらにこれのみならず、超音波振動子で冷却器を加振して、流通路部材の少なくとも一部に超音波振動を励起させ、流通路に向かって放射される空中超音波で流通路内に定在波音場を形成させる。
これにより、蒸気が冷却されて出来たあるいは既に浮遊していた霧状の液滴は、この流通路内に導かれると、その定在波音場の節部に集まると共に、液滴同士が衝突して一体化し、次第に大きな液滴となる。すると、空中に浮遊していることができず、重力に従って落下し、流通路部材の壁面等に付着したり、別途設けた容器に落下する。
従って、適宜、隔壁部材等に付着した液体の流路を構成しておけば、冷却器による冷却と相俟って、より多くの蒸気あるいは霧状の液滴を捕集して、気体から効率的に液体を回収することができる。
なお、超音波振動子で発生させる超音波振動の周波数を、冷却器の構造に応じ、冷却器内の流通路部材でより強力なあるいは広い範囲に定在波音場が形成されるなど、超音波振動による液滴の凝集に適する定在波音場が形成される適宜の周波数にするとよい。
また、霧状の液滴としては、この液滴を液体として回収すること、あるいは気体から除去することが望まれる液滴であればいずれのものでも良く、例えば、水、アルコール、水とアルコールの混合液、金属イオン等を含んだ水、有機溶剤、油などの液体の液滴が挙げられる。
また、冷却管の流通路部材は、流通路を少なくとも1つ形成すればよいが、複数、さらには多数の流通路を形成するように構成されていても良い。例えば、冷却管の径方向周囲に冷却フィンを備えて、この冷却フィンで多数の流通路に区画する場合が挙げられる。あるいは、板状部材を組み合わせて、ハニカム状などの構造とし、冷媒の通る冷媒通路と気体の通る流通路とを交互に配置するなどした構造の、冷媒通路兼用の流通路部材を用いることもできる。
また、流通路内に形成される定在波音場としては、空中超音波の振動の大きな部分(腹部に相当)と小さな部分(節部に相当)とが形成されていれば良く、振動の小さな部分でも超音波振動の振幅が完全に無くなるとは限らない。一般に、振動の小さな部分(節部)に浮遊物質が集まりこの部分で凝集が起こりやすい。
さらにこれのみならず、超音波振動子で冷却器を加振して、冷媒流通部材及び隔壁部材の少なくともいずれかに超音波振動を励起させ、多数の流通路のうち少なくともいずれかの流通路において、その流通路に向かって放射される空中超音波で流通路内に定在波音場を形成させる。
これにより、蒸気が冷却されて出来たあるいは既に浮遊していた霧状の液滴は、この流通路内に導かれると、その定在波音場の節部に集まると共に、液滴同士が衝突して一体化し、次第に大きな液滴となる。すると、空中に浮遊していることができず、重力に従って落下し、流通路の壁面(冷媒流路部材、隔壁部材)等に付着したり、別途設けた容器に落下する。
従って、適宜、隔壁部材等に付着した液体の流路を構成しておけば、冷却器による冷却と相俟って、より多くの蒸気あるいは霧状の液滴を凝集させて、気体から効率的に液体を回収することができる。
なお、超音波振動子で発生させる超音波振動の周波数を、冷却器の構造に応じ、冷却器内の多くの流通路で定在波音場が形成される適宜の周波数にするとよい。
隔壁部材は、冷却器において流通路を区画する部材であり、例えば、フィン(冷却フィン)が挙げられる。また、隔壁部材の材質は、用いる気体や液滴、蒸気の成分などに応じて適宜選択すればよいが、熱伝導率の良好な金属材を用いるのが好ましく、例えば、アルミニウムや、銅、ステンレスが挙げられる。隔壁部材の形態、寸法等は、冷媒流路部材の形状、超音波振動子で加える超音波振動の周波数等に応じて適宜選択すればよい。
また、隔壁部材で区画された流通路は、例えば、気体が通る方向(流線方向)に直交する断面がコ字状となっており、その周囲が外部に対して開放されている形態の流通路であってもよい。あるいは、冷媒流路とフィン、あるいは冷媒流路とフィンと冷却器の外周壁を構成する壁部材などの他の部材とで閉じられた形態の流通路でも良い。
また、流通路内に形成される定在波音場としては、空中超音波の振動の大きな部分(腹部に相当)と小さな部分(節部に相当)とが形成されていれば良く、振動の小さな部分でも超音波振動の振幅が完全に無くなるとは限らない。一般に、振動の小さな部分(節部)に浮遊物質が集まりこの部分で凝集が起こりやすい。
従って、超音波霧化手段によって生成した霧状の液滴を適宜回収して液体を得れば、液体回収装置から所望の成分の濃度が被処理液よりも相対的に高くなった液体が、あるいは、超音波霧化装置に、当初の被処理液よりも所望の成分の濃度が高くされた被処理液が得られる。
例えば、水とエチルアルコールの混液(酒、もろみ、発酵液など)を霧化することで、液体回収装置からアルコール濃度を高めた水とアルコールの混液を得ることができる。また、有機溶媒を含む廃水を霧化することで、液体回収装置から有機溶媒の濃度を高めた混液を得ることができる。また、柑橘類などの香り成分を溶かし込んだアルコールを霧化することで、液体回収装置でアルコールを回収すると共に、超音波霧化装置から香り成分の濃度が濃縮されたアルコールを得ることができる。また、醤油など香り成分やアミノ酸などを含む水溶液を霧化することで、超音波霧化手段と液体回収装置からは、それぞれ異なる成分が濃縮された水溶液が得られる。あるいは重い金属イオンと軽い金属イオンを含んだ水溶液を霧化することで、超音波霧化手段からは、重い金属イオンが濃縮された水溶液を、液体回収装置からは、軽い金属イオンが濃縮された水溶液を得ることができる。
この液体分溜装置では、液体分溜装置全体における気体の流れが閉回路となっていることで、気体に含まれている水蒸気や各成分の蒸気、回収しきれなかったミストなどが外気へ放出されるのを防止でき、より適切に被処理液から所望の成分を分離することができる。
この超音波霧化装置10では、被処理液容器11の被処理液投入口11aから投入された被処理液LQ1に、被処理液容器11の底部に設置された霧化用超音波振動子12からの超音波振動を加える。すると被処理液LQ1は超音波が照射された部分が噴水状に盛り上がり、その先端部が超音波によって細分化されて霧状の液滴であるミストMIが形成される。圧送ファン14で生じさせた気流により、このミストMIを、空気と共にミスト排出口11bから排出する。なお、被処理液容器11には、処理済み被処理液LQ2を排出する液排出口11cも備えている。
ただし、必要に応じて、図1に破線で示すように、液体回収装置120の前に、前処理装置WDを配置する場合がある。例えば、水とエチルアルコールの混液を分溜する場合において、超音波霧化装置10でミストMIを発生させた場合、一般的に、比重の軽いエチルアルコールは、相対的に粒子径の小さな(例えば、φ0.3μm程度の)ミストとなり易い。一方、比重の重い水は粒子径の大きな(例えば、φ3μm程度の)ミストあるいは液滴になりやすい。そこで、前処理装置WDにおいて、大きな粒子径のミストや液滴を除去するのが好ましい。例えば前処理装置WDとして、具体的には、入口と出口との間に大きな空間を設け、気中での大きな粒子の沈降を利用して軽い(径の小さな)粒子を選別する粒子選別室や、金属メッシュや多数の金属繊維内を通すワイヤデミスタなどを設けることができる。これらによって除去回収された液体は、廃棄するあるいは被処理液容器11に戻せば良い。
かくして、この液体回収装置120を適宜の方向に傾けておけば、回収容器124にミストMIを液化して得た液化回収液LQ3を溜めることができる。
一般に、空気中では、円筒状ボルト部材147の内周面147Sから放射される空中超音波はその進行と共に急激に減衰する。しかし、本実施例では、上述したように、流通路140Iの幅寸法が、その奥行き方向の寸法に比して小さくされている。このように、冷却フィン145から放射される空中超音波AU1の流通孔140I内での減衰は少なく、冷却フィン145のすぐ近くを通るミストMIに強い空中超音波AU1を照射することができるから、ミストMIを大きく振動させることができる。このため、ミストMIを効率よく凝集させ、液化して回収することができる。
しかも、流通孔140Iは、幅寸法に比して奥行き寸法が大きいから、長い距離に亘って、繰り返しミストMIに空中超音波AU1を照射することができるから、さらに確実にミストMIを回収することができる。
また、本実施例では、振動子160を、冷却器140のうち、冷却管141のUベンド部143に溶接し、冷却管141を通じて、超音波振動を冷却フィン145に伝える構成とした。しかし、振動子160を他の位置に設置することもできる。例えば、図2中に破線で示すように、ホーン162の先端162Sを、枠体146の一辺をなす直辺部146Aに当接するようにして、振動子160を固着し、枠体146を通じて、超音波振動を冷却管141及び冷却フィン145に伝えるようにしても良い。
ついで、上述の実施例の変形例について、図4及び図5を参照して説明する。上述の実施例の液体分溜装置100のうち液体回収装置120においては、円管状の冷却管141を有する冷却器140を用い、その径方向周囲に、板状の冷却フィン145を多数嵌め込んだ形態のフィンコイル式の蒸発器を例示した。
しかし、本変形例に示すように、他の形態の冷却管及び冷却フィンを用いることもできる。即ち、本変形例の液体分溜装置200のうち液体回収装置220においては、冷却器における冷却管と冷却フィンの形態が異なる。従って、異なる部分について説明し、同様な部分については、説明を省略あるいは簡略化する。
扁平型冷却管241は、凹溝を有する2枚の板材を対向して合わせて、凹溝の底部で平面部242Aを構成すると共に、凹溝部分で構成される空間を冷媒CMの流路としている。また、波形冷却フィン245は、金属の板材を、多数のサイン波状に屈曲させたものである。
なお、この冷却器240も実施例1と同じく、駆動装置150によって駆動される。
また、実施例と同様、振動子160は、扁平型冷却管241のUベンド243に溶接されている(図2参照)。
かくして、実施例と同様、この液体回収装置220を適宜の方向に傾けておけば、回収容器124にミストMIを液化して得た液化回収液LQ3を溜めることができる。
このため、波形冷却フィン245及び扁平型冷却管241の平面部242Aから放射される空中超音波AU2の流通孔240I内での減衰は少なく、これらのすぐ近くを通るミストMIに強い空中超音波AU1を照射することができるから、ミストMIを大きく振動させることができる。このため、ミストMIを効率よく凝集させ、液化して回収することができる。また、各流通孔240Iは、断面方向寸法に比して奥行き寸法が大きいから、長い距離に亘って、繰り返しミストMIに空中超音波AU2を照射することができるから、さらに確実にミストMIを回収することができる。
例えば、上述の実施例及び変形例では、冷却器140,240として、いわゆるフィンコイル式蒸発器を用いた例を示したが、フィンを有さず金属管のみからなる蒸発器を用いることもできる。さらに他の形態の蒸発器や、水冷式などの冷却器を用いることもできる。また、通電によりジャンクション部分を冷却するペルチェ素子を用いることもできる。このペルチェ素子を用いれば、冷媒CMやコンプレッサ/凝縮器151などは不要となる。
また、実施例及び変形例では、多数の流通路140I,240Iが形成された冷却器140,240を用いた例を示したが、流通路を1つ、あるいは数ヶ程度の複数有する冷却器について、超音波振動子を用いて加振し、定在波音場を形成しても良い。
10 超音波霧化装置(超音波霧化手段)
11 被処理液容器
12 霧化用超音波振動子
LQ1 被処理液
LQ2 処理済み被処理液
LQ3 液化回収液
MI ミスト(霧状の液滴、浮遊物質)
120,220 液体回収装置
120I,220I 流通孔
130,230 熱交換器
140,240 冷却器
140I,240I 流通路
141,241 冷却管(流通路部材、冷媒流通部材)
241 扁平型冷却管
142,242 直管部
242A (扁平型冷却管の)平面部
143,243 Uベンド部
145,245 冷却フィン(流通路部材、隔壁部材)
245 波形冷却フィン
146,246 枠体
146A (枠体の)直辺部
CM 冷媒
BU1,BU2,BU3,BU4 超音波振動
AU1,AU2 空中超音波
SS1,SS2 定在波音場
150 駆動装置
151 コンプレッサ/凝縮器
152 サプライ管
153 分配管
154 サクション管
160 ボルト締めランジュバン型振動子(超音波振動子)
160AX (ボルト締めランジュバン型振動子の)軸線
161 本体部
162 ホーン
162S (ホーンの)先端
PW 駆動回路
US 超音波振動
Claims (3)
- 気体中に含まれる蒸気または気体中に浮遊する霧状の液滴を捕集して、液体を得る液体回収装置であって、
上記気体を流通させる流通路を構成する流通路部材を含み、上記流通路に導かれた上記気体を冷却する冷却器と、
上記冷却器を加振して、上記流通路部材の少なくとも一部に超音波振動を励起させて上記流通路に向かって空中超音波を放射させ上記流通路内に定在波音場を形成させる
超音波振動子と、を備える
液体回収装置。 - 気体中に含まれる蒸気または気体中に浮遊する霧状の液滴を捕集して、液体を得る液体回収装置であって、
内部に冷媒を循環させる冷媒流路部材、及び、
上記冷媒流路部材の周囲に配置され、上記冷媒流路部材の周囲の空間を、上記気体を流通させる多数の流通路に区画する隔壁部材、を有し、
多数の上記流通路にそれぞれ導かれた上記気体を冷却する冷却器と、
超音波振動を発生する超音波振動子であって、
上記冷却器を加振して、上記冷媒流通部材及び上記隔壁部材の少なくともいずれかに超音波振動を励起させて、上記多数の流通路の少なくともいずれかの流通路において、この流通路に向かって空中超音波を放射させ上記流通路内に定在波音場を形成させる
超音波振動子と、を備える
液体回収装置。 - 超音波振動により被処理液を霧化して、前記霧状の液滴を放出する超音波霧化手段と、
請求項1または請求項2に記載の液体回収装置と、を備える
液体分溜装置。
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