JP4691718B2 - 分離装置、及びこれを用いた液体分溜装置 - Google Patents
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Description
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、効率よく浮遊物質を気体から分離することができる分離装置、及びこれを用いて被処理液から含まれている成分を効率よく分溜する液体分溜装置を提供することを目的とする。
空中超音波は、気中での進行と共に急激に減衰するが、本発明の分離装置では、側壁部を超音波振動させ、この側壁部から空中超音波を放射させることにより、この側壁部の内側の内部流通空間において、側壁部のすぐ近くの気体中に浮遊する浮遊物質に空中超音波を照射し振動させることができるから、効率よく浮遊物質を凝集させることができる。
かくして、気体と浮遊物質とを効率よく分離することができる。
また、超音波振動子としては、超音波振動を発生させるもので有ればいずれのものでも良く、圧電素子、磁歪素子などを用いた超音波振動子が挙げられる。特に、強力な超音波振動を生じさせるため、ボルト締め型ランジュバン型超音波振動子を用いると良い。超音波振動子は、超音波振動の振幅を大きくするためのホーンを有するものとすることもできる。
この流通路部材には、使用する気体あるいは浮遊物質、加工の容易性、超音波振動の減衰の生じにくさ等を考慮して材質等を選定すればよいが、例えば、音響インピーダンスの高い、ステンレスなどの金属やアルミナ等のセラミックを用いるのが好ましい。
また、流通路部材の側壁部に超音波振動子を直接接続して、この側壁部を直接超音波振動子で超音波振動させるほか、他の部材を介して間接的に流通路部材の側壁部を超音波振動させても良い。
内部流通空間に形成される定在波音場としては、流通路部材の内部流通空間において、空中超音波の振動の大きな部分(腹部に相当)と小さな部分(節部に相当)とが形成されていれば良く、振動の小さな部分でも超音波振動の振幅が完全に無くなるとは限らない。一般に、振動の小さな部分(節部)に浮遊物質が集まりこの部分で凝集が起こりやすい。
浮遊物質が霧状の液滴である場合には、流通路部材の側壁部などに液滴が付着し液体化した後に、この液体を液流路を通じて回収すれば効率よく回収できる。例えば、側壁部を水平よりも傾けるあるいは鉛直線に平行にして、液体を側壁部に沿って移動させる手法が挙げられる。
なお、流通管部材の管の形態としては、円管とするのが好ましい。管の中心軸方向に向かって超音波を集中させることができるので、中心軸近傍に強力な定在波音場を形成できる。また、他の形状の管に比して、流通管部材に不要なモードの超音波振動が生じることが少ないからである。
本発明の分離装置では、超音波振動子に発生させる超音波振動の周波数を、できるだけ多くの単位内部流通空間で定在波音場ができる周波数に選択すると良い。
動によって、被処理液を霧化すると、例えば水とアルコールの混液など被処理液中に含まれる比較的比重の軽い成分(アルコール)と比較的比重の重い成分(水)のうち、比較的比重の軽い成分が相対的に小さな液滴(ミスト)となって飛散すること、あるいは、液滴として飛散しやすい成分と飛散しにくい成分があること判ってきている。
従って、この液体分溜装置では、超音波霧化手段によって生成した霧状の液滴を、分離装置(液体回収装置)で適宜回収して液体を得れば、分離装置から所望の成分の濃度が被処理液よりも相対的に高くなった液体を得ることができる。あるいは、超音波霧化装置から、当初の被処理液よりも所望の成分の濃度が高くされた(所望成分が濃縮された)被処理液が得られる。
例えば、水とエチルアルコールの混液(酒、もろみ、発酵液など)を霧化することで、分離装置からアルコール濃度を高めた水とアルコールの混液を得ることができる。また、有機溶媒を含む廃水を霧化することで、分離装置から有機溶媒の濃度を高めた混液を得ることができる。また、柑橘類などの香り成分を溶かし込んだアルコールを霧化することで、分離装置でアルコールを回収すると共に、超音波霧化装置から香り成分の濃度が濃縮されたアルコールを得ることができる。また、醤油など香り成分やアミノ酸などを含む水溶液を霧化することで、超音波霧化装置と分離装置からは、それぞれ異なる成分が濃縮された水溶液が得られる。あるいは重い金属イオンと軽い金属イオンを含んだ水溶液を霧化することで、超音波霧化装置からは、重い金属イオンが濃縮された水溶液を、分離装置からは、軽い金属イオンが濃縮された水溶液を得ることができる。
本発明の液体分溜装置では、液体分溜装置全体における気体の流れが閉回路となっていることで、気体に含まれている水蒸気や各成分の蒸気、回収しきれなかったミストなどが外気へ放出されるのを防止でき、より適切に被処理液から所望の成分を分離することができる。
この超音波霧化装置10では、被処理液容器11の被処理液投入口11aから投入された被処理液LQ1に、被処理液容器11の底部に設置された霧化用超音波振動子12からの超音波振動を加える。すると被処理液LQ1は超音波が照射された部分が噴水状に盛り上がりその先端部が超音波によって細分化されて霧状の液滴であるミストMIが形成される。圧送ファン14で生じさせた気流により、このミストMIを、空気と共にミスト排出口11bから排出する。なお、被処理液容器11には、処理済み被処理液LQ2を排出する液排出口11cも備えている。
ただし、必要に応じて、図1に破線で示すように、分離装置120の前に、前処理装置WDを配置する場合がある。例えば、水とエチルアルコールの混液を分溜する場合において、超音波霧化装置10でミストMIを発生させた場合、一般的に、比重の軽いエチルアルコールは、相対的に粒子径の小さな(例えば、φ0.3μm程度の)ミストとなり易い。一方、比重の重い水は粒子径の大きな(例えば、φ3μm程度の)ミストあるいは液滴になりやすい。そこで、前処理装置WDにおいて、大きな粒子径のミストや液滴を除去するのが好ましい。例えば前処理装置WDとして、具体的には、入口と出口との間に大きな空間を設け、気中での大きな粒子の沈降を利用して軽い(径の小さな)粒子を選別する粒子選別室や、金属メッシュや多数の金属繊維内を通すワイヤデミスタなどを設けることができる。これらによって除去回収された液体は、廃棄するあるいは被処理液容器11に戻せば良い。また、必要に応じて、分離装置120に送られる前に、前処理装置WDとして、上述の大きなミストを除去する装置を用いることなく、あるいはこれらと共に、空気及びミストMIを冷却し、分離装置120における凝集を助けるための冷却器を設けることもできる。
このうち、ステンレス材からなる流通管部材130は、軸線131AXを有する直棒円管形状の管部131と、この管部131の管軸線131AX方向のほぼ中央において、管軸線131AXに平行に、管部131から径方向外側に突出して設けられた連結突出部135と、を備える。連結突出部135は、板状で平面視台形状の部材からなり、管結合部135aにおいて、管部131の表面に溶接されている。管部131(側壁部)は、ミストMIを含む空気を導入する導入口131N、空気を排出する排出口131Tを有し、導入口131Nと排出口131Tとの間を結ぶ管内空間131I(内部流通空間)を画定する。
図3において矢印で示すように、超音波振動子140で連結突出部135が適切な周波数で加振されると、この超音波振動が管部131に伝わり、管部131において、例えば、一点鎖線及び破線で示すように、周方向に屈曲するような管定在波振動BUを生じる。すると、この管部131に生じた管定在波振動BUにより、管軸線131AXに向けて進行する空中超音波AUが放射され、管内空間131Iには、この空中超音波AUによる定在波音場SSが形成される。
特に、本実施例1では、流通管部材130の管部131は、円管であるので、管軸線131AXに向かって空中超音波AUを集中させることができるから、管軸線131AX近傍に強力な定在波音場を形成できる。
しかも、管部131においては、直径Dに比して長さLが大きいから、管軸線131AX方向の長い距離に亘って、繰り返しミストMIに空中超音波AUを照射することができるから、さらに確実にミストMIを回収することができる。
また、本実施例1では、空気中にミストMIを浮遊させたが、酸化などによる変質を防止するべく、窒素などの不活性雰囲気、その他、被処理液LQ1等の性質に応じて、他の気体を用い、これを循環させることもできる。
ついで、上述の実施例1の第1の変形例について、図4を参照して説明する。上述の実施例1の液体分溜装置100のうち分離装置120においては、図3に示すように、流通管部材130の管部131は、断面が円(円環)状の円筒管を用いた。これに対し、本変形例1の液体分溜装置200の分離装置220では、断面が正方形状(矩形状)の角型の管部231を用いる点で異なる。従って、異なる部分について説明し、同様な部分については、説明を省略あるいは簡略化する。
なお、本変形例1においても、管部231の対角寸法D2(径方向寸法)に比して、管部231の長さL(図2参照)が大きくされているので、この管部231の軸線方向の長い距離に亘って、繰り返しミストMIに空中超音波AUを照射することができるから、さらに確実にミストMIを回収することができる。
ついで、上述の実施例1の第2の変形例について、図5を参照して説明する。実施例1及び変形例1の液体分溜装置100,200のうち分離装置120,220においては、図3に示すように、流通管部材130,230の管部131,231に対し、超音波振動子140,240は、連結突出部135,235を介して結合されていた。これに対し、本変形例2の液体分溜装置300の分離装置320では、超音波振動子140を、断面正方形状(矩形状)の角型の管部331の一辺に直接結合させた点で異なる。従って、実施例1及び変形例1と異なる部分について説明し、同様な部分については、説明を省略あるいは簡略化する。
なお、本変形例2においても、管部331の対角寸法D3(径方向寸法)に比して、管部331の長さL(図2参照)が大きくされているので、この管部231の軸線方向の長い距離に亘って、繰り返しミストMIに空中超音波AUを照射することができるから、さらに確実にミストMIを回収することができる。
さらに、前述の実施例1の第3の変形例について、図6を参照して説明する。実施例1の液体分溜装置100のうち分離装置120においては、図3に示すように、板状の連結突出部135を、管部131の管軸線131AX方向のほぼ中央において、管軸線131AXに平行に突出するように配置した。これに対し、本変形例3の液体分溜装置400の分離装置420では、板状の連結突出部435の平面が、管軸線431AXに直交するように、管部431から突出させている点で異なる。従って、異なる部分について説明し、同様な部分については、説明を省略あるいは簡略化する。
なお、超音波振動子140は、実施例1等では、その軸線140AXが管軸線131AXに直交する形態に配置されていた。これに対し、本変形例3では、連結突出部435を上述のように配置したため、管軸線431AXに対して、超音波振動子140がその軸線140AXが平行になるように配置されている。
なお、本変形例3においても、管部331の直径D(径方向寸法)に比して、管部431の長さL(図2参照)が大きくされているので、この管部331の軸線方向の長い距離に亘って、繰り返しミストMIに空中超音波AUを照射することができるから、さらに確実にミストMIを回収することができる。
従って、図7(a),(b)を参照すれば容易に理解できるように、本実施例2の分離装置520では、中継板537がその中心(超音波振動子の軸線140AXに一致する)の回りに6回回転対称の形態を有している。さらに、この中継板537の回りに、6本の流通管部材530A等がそれぞれ6回回転対称の位置で接続されている。
なお、本実施例2においても、管部531A等の直径Dに比して、管軸線531AAX等の方向の長さLが大きくされているので、この管部531A等の軸線方向の長い距離に亘って、繰り返しミストMIに空中超音波AUを照射することができるから、さらに確実にミストMIを回収することができる。
本実施例3の分離装置620では、多数の単位空間631Iを用いて、それぞれで並行してミストMIと空気とを分離しているため、1つの超音波振動子140を用いて、効率よくミストMIを回収することができる。従って、実施例1等に比して、さらに大量の空気とミストMIとを分離し、大量のミストMIから多くの液化回収液LQ3を回収することができる。
なお、本実施例3において、導入口631N及び排出口631Tの対角径に比して、単位空間631Iの長さを長くしておくと良いことは、実施例1等と同じである。
例えば、実施例1においては、流通管部材130として、まっすぐな直管状の管部131を有するものを用いた例を示したが、ミストMIを含む空気が流通でき、管部に所望の超音波振動を生じさせることができる形態であれば良い。従って、流通管部材としては、管部が適宜曲がっていても良く、例えば螺旋状の形態とすることもできる。
また、実施例1,2等では、1つの超音波振動子140で、流通管部材130等を加振したが、2つ以上の超音波振動子を用いて、加振することもできる。例えば、管部131の導入口131N付近と、排出口131T付近に超音波振動子をそれぞれ結合させて、同一周波数で加振し、管部に超音波振動を生じさせるようにしても良い。
また、変形例2においても、断面正方形状の管部331を有する分離装置320を示したが、その他、断面が長方形状、六角形、八角形などの多角形としても良い。また、実施例1の如く断面が円形の管を用いても良い。
さらに、変形例3においては、管部431として、実施例1と同様の円管を用いた例を示したが、変形例1と同様に、断面正方向などの角型の管部を用いても良い。
また、実施例2においては、6組の流通管部材530A等を、六角形の中継板を用いて1つの超音波振動子140で駆動した例を示したが、4,5,8組など適宜の数の流通管部材を組み合わせて使用することもできる。
また実施例2では、正六角形の中継板537を用い、6回回転対称の形態に6組の流通管部材530A等を配置したが、ミストMIを回収するのには、必ずしも回転対称の形態に配置しなくても良い。但し、複数の流通管部材の特性を均一にするには、回転対称の形態をするのが容易であり好ましい。
10 超音波霧化装置
11 被処理液容器
12 霧化用超音波振動子
LQ1 被処理液
LQ2 処理済み被処理液
LQ3 液化回収液
MI ミスト(霧状の液滴)
120,220,320,420,520,620 分離装置
130,230,330,430 流通管部材(流通路部材)
131,231,331,431 管部(側壁部)
131AX,431AX 管軸線
131N 導入口
131T 排出口
131I,231I,331I,431I 管内空間(内部流通空間)
131S,231S,331S,431S (管部の)内周面
L (管部の軸線方向)長さ(管長方向寸法)
D (管部の)直径(径方向寸法)
D2,D3 (管部の)対角寸法(径方向寸法)
SS 定在波音場
530A,530B,530C,530D,530E,530F 流通管部材
531A,531B,531C,531D,531E,531F 管部(側壁部)
531AN,531DN 導入口
531AT,531DT 排出口
531AI,531DI 管内空間(内部流通空間)
537 中継板(中継部材)
630 ハニカム流通路部材(多空間流通路部材、流通路部材)
631 ハニカム構造壁(側壁部)
631N 導入口
631T 排出口
631I 単位空間(内部流通空間)
140 超音波振動子(超音波振動子)
140AX (超音波振動子の)軸線
151 ホーン
AU 空中超音波
Claims (8)
- 気体中に浮遊する浮遊物質を凝集させて上記気体から分離する分離装置であって、
超音波振動を発生する超音波振動子と、
上記浮遊物質を含む気体を導入する導入口、上記気体を排出する排出口、及び、上記導入口と排出口との間を結ぶ内部流通空間を画定する側壁部を含む流通路部材であって、
上記浮遊物質を含む上記気体全体が、上記流通路部材内を流れる構成とされ、
前記超音波振動子により上記側壁部に励起された超音波振動によって、上記側壁部から放射される空中超音波で上記内部流通空間に定在波音場を形成する
流通路部材と、を備える
分離装置。 - 請求項1に記載の分離装置であって、
前記流通路部材は、管状の流通管部材である
分離装置。 - 請求項2に記載の分離装置であって、
前記流通管部材は、
径方向寸法に対して、管長方向寸法が長い形態を有する
分離装置。 - 請求項2または請求項3に記載の分離装置であって、
前記流通管部材を複数備え、
前記超音波振動子により加振され、超音波振動を各々の上記流通管部材に伝える中継部材であって、
互いに平行に配置された複数の上記流通管部材に囲まれて、各々の上記流通管部材に接続してなる
中継部材を備える
分離装置。 - 請求項4に記載の分離装置であって、
前記流通管部材をn本(nは2以上の整数)備え、
前記中継部材は、
軸線回りにn回回転対称な形状を有し、その径方向外側のn回回転対称の位置で上記流通管部材とそれぞれ接続してなる
分離装置。 - 請求項1に記載の分離装置であって、
前記流通路部材は、
前記側壁部によって互いに隔てられ、所定形状の断面を有する多数の前記内部流通空間を含む多数内部流通空間構造を有する
多空間流通路部材であり、
前記超音波振動子により、上記多数の内部流通空間のうち少なくとも複数に定在波音場を形成する
分離装置。 - 請求項6に記載の分離装置であって、
前記超音波振動子は、前記多空間流通路部材の側壁部またはこの側壁部に接して周囲を取り囲む枠体を、直接または間接に加振する
分離装置。 - 超音波振動により被処理液を霧化して、前記霧状の液滴を放出する超音波霧化手段と、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の分離装置と、を備える
液体分溜装置。
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