JP2005348702A - 水産練製品の弾力補強剤、これを用いた水産練製品の製造方法及び水産練製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 弾力性、ゲル強度、及び保形性の良好な水産練製品が得られる水産練製品の弾力補強剤、これを用いた製造方法及び水産練製品を提供する。
【解決手段】 弾力補強剤をCMC−Naを含有してなるものとする。CMC−Naとしては、エーテル化度が0.3〜0.7であり、かつ2%無水物水溶液粘度が5〜1000mPa・sであるものが好適に用いられる。上記弾力補強剤は、魚肉すり身に粉末状で添加することが好ましい。
【解決手段】 弾力補強剤をCMC−Naを含有してなるものとする。CMC−Naとしては、エーテル化度が0.3〜0.7であり、かつ2%無水物水溶液粘度が5〜1000mPa・sであるものが好適に用いられる。上記弾力補強剤は、魚肉すり身に粉末状で添加することが好ましい。
Description
本発明は、カマボコ、チクワ、サツマアゲ等の水産練製品の弾力補強剤、これを用いた水産練製品の製造方法及び水産練製品に関し、より詳細にはカルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMC−Naともいう)を用いた水産練製品の弾力補強剤、これを用いた水産練製品の製造方法及び水産練製品に関する。
冷凍すり身から製造される、カマボコ、チクワ、サツマアゲ等の水産練製品(以下、単に練製品ともいう)の弾力補強剤としては、従来からデンプンが用いられているが、それ以外に、卵白、大豆蛋白、グルテン等も使用されている。しかしながら、味覚上問題があったり、あるいは高価であったりしたため、より低価格で効果の高いものが求められている。
これに関し、例えば、特開昭59−205963号公報には、天然セルロースがすり身の白度向上、魚臭抑制、保型性改善に有用であることが開示されている。また、特開平4−299964号公報には、CMC−Caがすり身の弾力性、ゲル強度、及び保存安定性に有効であることが開示されている。
しかしながら、上記のように天然セルロースを用いた場合、高粘度品は硬く仕上がり、弾力性に欠け、低粘度品は柔らかく、ゲル粘度が低下する。また、CMC−Caを用いた場合、弾力性、ゲル粘度はある程度のレベルに達するものの、保形性等に問題が生じる場合等があり、全てに満足がいく結果は得られない。
特開昭59−205963号公報
特開平4−299964号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、弾力性があり、ゲル強度が強く、かつ保形性の良好な、カマボコ等の水産練製品がより低価格で得られる、水産練製品の弾力補強剤、これを用いた水産練製品の製造方法及び水産練製品を提供することを目的とする。
本発明者は、カマボコ等の練製品の製造においてCMC−Naを用いることで、練製品の弾力性向上、ゲル強度の増強、及び保形性の改善が可能となることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の水産練製品の弾力補強剤はCMC−Naを含有してなるものとする。
上記において、CMC−Naは、エーテル化度が0.3〜0.7であり、かつ2%無水物水溶液粘度が5〜1000mPa・sであることが好ましい。
水産練製品の製造方法として、本発明の弾力補強剤は、魚肉すり身に粉末状で添加することが好ましい。
本発明の水産練製品は、上記本発明の水産練製品の弾力補強剤を用いて製造されたものとする。
本発明の弾力補強剤によれば、CMC−Naの使用により、水産練製品の弾力性の向上、ゲル強度の増強、及び保形性向上等の効果が得られる。これは以下の理由によると考えられる。
冷凍魚は冷凍すり身に変性・加工・保存される過程で、一般に肉が硬くなり、弾力性及びゲル形成能が低下する。
しかしながら、一般に、水産練製品の製造においては、食塩水に溶解、分散されたタンパク質がペーストを形成し、加熱により水を包含しながら網目構造を形成するため、弾力性のある製品が得られる。
本発明で用いるCMC−Na、特にエーテル化度が0.3〜0.7のものは、適度な膨潤性と水溶解性を有するため、上記網目構造の形成過程において、ゲル強度の強化、弾力補強に寄与し、さらに保水性、保存性の向上にも関与すると考えられる。
また、CMC−Naを食塩等と共に水に溶解させてからではなく、すり身に粉末状で直接添加することにより、食塩等による粘度上昇もなく、すり身と均一に混練でき、上記CMC−Naの機能をより効果的に発現させることができると考えられる。
本発明で使用するCMC−Naは、好ましくはエーテル化度が0.3〜0.7のものであり、より好ましくは0.4〜0.6のものである。エーテル化度が0.3未満では、所望の弾力性、ゲル化強度が得られ難く、0.7を超えると、練製品にベタツキを生じる傾向がある。また、破断強度、破断歪みが低下する。
また、CMC−Naは、2%無水物水溶液粘度が5〜1000mPa・sであることが好ましく、100〜500mPa・sであることがより好ましい。5mPa・s未満では所望の弾力性、ゲル化強度が得られ難く、1000mPa・sを超えると弾力性が逆に低下し、得られる練製品が硬くなる。
CMC−Naの使用量は、魚肉すり身に対して0.2〜2重量%が好ましく、0.5〜1.5重量%がより好ましい。0.2重量%未満では添加による効果が得られ難い。2重量%を超えると練製品が硬くなり食感が悪くなる傾向があり、経済的にも不利である。
魚肉すり身としては、マダラ、スケトウダラ等の水産練製品の製造に通常用いられるものがいずれも使用可能である。
本発明において、CMC−Naは、すり身に粉末状のまま直接添加して、混練し、その後必要に応じて、水、食塩、助剤等を添加することが好ましい。CMC−Naを、食塩、助剤等と共に水に溶解してからすり身に添加すると、食塩等によりCMC−Naの粘度変化が生じたりして、水溶液が高粘度となり、すり身と均一に混練できず、ムラが生じて、所望の効果が得られ難くなる場合がある。
なお、本発明におけるCMC−Naは、従来から使用されている他の弾力補強剤、すなわちデンプン、グルテン等と併用することも可能であるが、その場合、上記と同様の理由で、これらの弾力補強剤も粉末で添加することが好ましい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、CMC−Naの2%無水物水溶液粘度、エーテル化度は以下により求めた数値とする。
水分は上記(1)の水分値を利用する。上記水溶液を一昼夜放置後、マグネチックスターラーで約5分間攪拌させ完全な溶液としたのち、25℃恒温水槽に30分間入れ、溶液を25℃にしたのち、ガラス棒で穏やかにかき混ぜ、BM型粘度計の適当なローター及びガードを取り付け、回転数30rpmで3分後の目盛りを読み取り、次式より粘度を求める。
粘度(mPa・s)=読み取り目盛り×係数
粘度(mPa・s)=読み取り目盛り×係数
(3)エーテル化度
CMC−Na約1gを精秤し、ろ紙に包んで磁性ルツボの中に入れ、600℃で灰化し、生成した水酸化ナトリウムを0.1Nの硫酸によりフェノールフタレインを指示薬として滴定し、中和滴定に要した硫酸量A(ml)と0.1Nの硫酸の力価f3を用いて次式よりエーテル化度を計算する。
CMC−Na約1gを精秤し、ろ紙に包んで磁性ルツボの中に入れ、600℃で灰化し、生成した水酸化ナトリウムを0.1Nの硫酸によりフェノールフタレインを指示薬として滴定し、中和滴定に要した硫酸量A(ml)と0.1Nの硫酸の力価f3を用いて次式よりエーテル化度を計算する。
[実施例1〜5、比較例1〜4]
マダラの白身部分を取り、ミキサーにかけ、すり身を調製した。このすり身100gをケンウッドミキサーに採り、表1に示す所定量のCMC−Na粉末を添加して、10℃にて10分間混練し、均一なすり身を得た。
マダラの白身部分を取り、ミキサーにかけ、すり身を調製した。このすり身100gをケンウッドミキサーに採り、表1に示す所定量のCMC−Na粉末を添加して、10℃にて10分間混練し、均一なすり身を得た。
これに10重量%の食塩水30gを加えてさらに混練を10分間行った。
このすり身を10cm×10cm×5cm(深さ)の容器に入れて、40℃で30分間放置後、水浴中で85℃で30分間保持してゲル化させ、練製品を得た。
得られた練製品を容器から取り出して、−5℃で一夜冷凍後、測定用サンプルとした。
[比較例5]
CMC−Na粉末を予め10重量%の食塩水30gに溶解させた後、すり身に添加して混練を10分間行った以外は、上記と同様にして練製品を得て、−5℃で一夜冷凍後、測定・評価用サンプルとした。
CMC−Na粉末を予め10重量%の食塩水30gに溶解させた後、すり身に添加して混練を10分間行った以外は、上記と同様にして練製品を得て、−5℃で一夜冷凍後、測定・評価用サンプルとした。
上記により得られた各サンプルにつき、以下の通り、破断強度及び圧出水分量を測定し、外観及び食感の評価を行った。結果を表1に示す。
〔破断強度〕
不動工業製、CSレオメーターを使用し、φ5mm球状プランジャーを用いて、table speed 3cm/分にて測定した。
不動工業製、CSレオメーターを使用し、φ5mm球状プランジャーを用いて、table speed 3cm/分にて測定した。
〔圧出水分量〕
サンプルを5cm×5cm×1cm(厚さ)の大きさに切断し、東洋ろ紙No.5B、9cm径4枚の間に挟み、1kg/cm2で5分間圧力を加えて水分減量を測定し、圧出水分量(重量%)を求めた。
サンプルを5cm×5cm×1cm(厚さ)の大きさに切断し、東洋ろ紙No.5B、9cm径4枚の間に挟み、1kg/cm2で5分間圧力を加えて水分減量を測定し、圧出水分量(重量%)を求めた。
〔外観〕
サンプルを包丁で切断し、その切断面の艶、キメの細かさを目視で観察して以下の基準で評価した。
◎:艶があり、空気孔がなく、キメが細かい
○:空気孔がなく、キメが細かいが、艶がない
△:空気孔が多少残り、艶が不足している
×:空気孔があり、艶がない
サンプルを包丁で切断し、その切断面の艶、キメの細かさを目視で観察して以下の基準で評価した。
◎:艶があり、空気孔がなく、キメが細かい
○:空気孔がなく、キメが細かいが、艶がない
△:空気孔が多少残り、艶が不足している
×:空気孔があり、艶がない
〔食感〕
サンプルを包丁で厚さ1cmに切断し、食して食感を以下の基準で評価した。
◎:はじけるような弾力性があり、歯への抵抗感がある
○:弾力性と歯への抵抗感を感じる
△:弾力性及び歯への抵抗感が充分でない
×:柔らかく、抵抗感がないか、または、硬すぎる
サンプルを包丁で厚さ1cmに切断し、食して食感を以下の基準で評価した。
◎:はじけるような弾力性があり、歯への抵抗感がある
○:弾力性と歯への抵抗感を感じる
△:弾力性及び歯への抵抗感が充分でない
×:柔らかく、抵抗感がないか、または、硬すぎる
本発明の水産練製品の弾力補強剤及びこれを用いた水産練製品の製造方法は、カマボコ、チクワ、サツマアゲ、ソーセージ等の各種水産練製品の製造に用いることができる。
Claims (4)
- カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有してなる水産練製品の弾力補強剤。
- 前記カルボキシメチルセルロースナトリウムは、エーテル化度が0.3〜0.7であり、かつ2%無水物水溶液粘度が5〜1000mPa・sであることを特徴とする、請求項1に記載の水産練製品の弾力補強剤。
- 請求項1又は2に記載の弾力補強剤を魚肉すり身に粉末状で添加することを特徴とする、水産練製品の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の弾力補強剤を用いて製造された水産練製品。
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JP2004176144A JP2005348702A (ja) | 2004-06-14 | 2004-06-14 | 水産練製品の弾力補強剤、これを用いた水産練製品の製造方法及び水産練製品 |
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Cited By (2)
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