JP2005348651A - 有機・無機系抗菌剤のマイクロプレート殺菌力試験方法 - Google Patents

有機・無機系抗菌剤のマイクロプレート殺菌力試験方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 比較的殺菌力の弱い有機・無機化合物からなる抗菌剤に対し、細菌の種類あるいは抗菌剤の種類および形態に因らずに1種抗菌剤の殺菌力のみならず2種抗菌剤の併用効果を評価する。
【解決手段】 一定量の細菌と貧栄養な培養条件で一定時間接触させ栄養培地表面に移植して2次的に発育させることにより、比較的殺菌力の弱い天然化合物等への感受性が高められ、不溶性の銀等無機系抗菌剤は懸濁液として使用することで、抗菌剤の種類や形態または細菌種毎の発育特性に因らない検査方法が確立された。さらに、マイクロプレートウエル中で実施することにより簡便性と汎用性が向上され、抗菌剤1種に対する細菌の最小殺菌濃度の測定のみならず、抗菌剤2種の場合に、第1抗菌剤希釈列と第2抗菌剤希釈列を格子状に交叉上に挿入したマイクロプレートウエル内の殺菌パターンにより、併用効果が評価される。
【選択図】 なし



Description

本発明は、有機・無機化合物からなる抗菌剤において、食品、生活環境、保健および家畜に係わる細菌に対する殺菌力活性値を、迅速簡便に定量する検査技術に関する。
現在常用されている抗菌力試験方法は、医薬品分野の抗生物質および合成抗菌剤からなる抗菌性薬物に対する薬剤感受性を評価するために作成された方法である。当該試験方法は、化学療法学会により1968年に「最小発育阻止濃度(MIC)測定法」として制定され、1974年の改訂を経て1981年に再改訂されたものである。さらに1989年に省力化、半自動化を期待してマイクロプレートを用いた改良法が制定された。前者が「寒天平板希釈法」、後者が「微量液体希釈法」と呼ばれ、現在用いられている最も標準化された試験方法である。いずれも、抗菌性薬物が、一定量の細菌に対し、栄養条件下で18から20時間35℃程度の条件で培養した場合に、細菌の発育を阻止する最小濃度を定量するものである。寒天平板希釈法は非常によく精査されているが、細菌属や種ごとの栄養要求性並びに酸素要求性に応じて培地や発育条件を一定にできない欠点がある。このことは、微量液体希釈法においても同様である。さらに、これらは主に医療分野で用いられているため、ポリフェノール等の天然物に対するデータは少なく、無機系抗菌剤では試験方法すら一般化していない(例えば非特許文献1および非特許文献2)。
抗菌性薬物の併用効果試験法には、チェッカーボード法を代表とした方法がある。これらも、抗菌性薬物の抗菌スペクトルの拡大、耐性菌の出現防止および副作用の軽減といった目的でほとんどが医療分野での応用に限られ、ポリフェノールなどの天然物や無機系抗菌剤等、比較的発育阻止力あるいは殺菌力の弱い物質に対するデータはない(例えば非特許文献3)。
消毒剤に対する抗菌力試験としては、その用途から細菌の発育を阻止するだけでなく細菌を殺す試験方法が一般的に用いられている。フェノールを標準として殺菌力を相対的に検定する「フェノール係数法」や、一定時間精製水中で接触させた消毒剤と供試菌の混合物を栄養培地に移植して殺菌力を測定する「希釈法」がある。MICにおける微量液体希釈法に該当する簡便法は認められていない(例えば非特許文献4および非特許文献5)。
銀等無機系抗菌剤については、民間団体である抗菌製品技術協議会の試験法の中に、不溶性素材についての最小発育阻止濃度測定法と、最小殺菌濃度測定法が記載されているが、公表されていないため、一般化されていない。一般化されている試験法には、日本工業標準調査会(JIS)におけるJIS1902繊維製品の抗菌性試験方法とJISZ2801抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果がある。両者共に加工製品のための試験方法であり、素材に対する抗菌力評価の記述は認められない(例えば非特許文献6および非特許文献7)。
公開特許公報では、特開平7−107995「薬剤感受性試験方法」、特開平7−222599「薬剤の抗微生物活性測定法」、特開平7−313193「細菌の薬剤感受性試験法」、特開平10−146199「微生物の薬剤感受性試験法、同試験用キット、微生物の最小発育阻止濃度測定法並びに同測定用キット」、および特表平10−507638「抗菌剤の殺菌および静菌効果の測定方法」がある。特開平7−107995は生体染色色素の変化により、特開平7−222599および特開平10−146199はATP量を測定することにより、特開平7−313193は硝酸イオンまたは亜硝酸イオンの増減を測定することにより、細菌の発育を簡便に評価し抗菌剤の静菌または殺菌効果を定量する方法であり、いずれも化学療法学会の微量液体希釈法をモデルとしている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4)。
特開平7−107995 公報 特開平7−222599 公報 特開平7−313193 公報 特開平10−146199 公報 「最小発育阻止濃度法(MIC)測定法再改訂について,1968年制定,1974年改訂」,CHEMOTHERAPY,VOL.29,1981年,p76−p77 「微量液体希釈によるMIC測定法(微量液体希釈法)−日本化学療法学会標準法−」,CHEMOTHERAPY,VOL.38,1990年,p103−p105 「抗菌薬の併用効果試験法」,臨床と微生物,Vol.29,p689−p695 「PHENOL COEFFICIENT METHODS」,Official Methods of Analysis of the Assosiation of Official Analytical Chemists,14th Edition,1984年,p65−p67 「USE−DILUTION METHODS」,Official Methods of Analysis of the Assosiation of Official Analytical Chemists,14th Edition,1984年,p67−p68 JIS1902 「繊維製品の抗菌性試験方法」 JISZ2801 「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」
寒天希釈法および微量液体希釈法では、微生物が様々な発育要件を保持しており、ストレプトコッカス属菌やレジオネラ属菌等の、培地への栄養要求性が高いあるいは特殊な物質がなければ発育しない細菌の場合には、それぞれ公定法とは別の試験系を構築する必要がある。即ち、培地組成の段階から変更し検討する必要があるため、検査者にとっては非常に繁雑な作業である。一方で培地の性状に左右されない方法には、消毒剤に対する希釈法があるが、作業が繁雑なためMICの微量液体希釈法に該当する簡便迅速な方法の開発が期待される。
様々な有機系・無機系抗菌剤において、併用あるいは複合化による相乗作用や拮抗作用を測定する方法はない。今後の独創的な抗菌剤の創出に対し、このような複数の抗菌剤や化合物の複合化による併用効果を評価する方法の確立が必要不可欠である。
本発明は、このような従前の試験方法では評価できなかった問題点を解決しようとするものであり、細菌に対する有機・無機抗菌剤の迅速簡便な殺菌力試験方法を確立すること、1種抗菌剤のみならず2種抗菌剤の併用効果を検定できる試験方法を確立すること、細菌の種類あるいは抗菌剤の種類および形態に依存しない殺菌力評価方法を確立することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)水溶性または不溶性の有機・無機化合物からなる抗菌剤に対する殺菌力評価方法であって、マイクロプレートウエル中で、一定量の抗菌剤水溶液または懸濁液を一定量の細菌と貧栄養な培養条件で一定時間接触させた後、2次的に栄養培地表面に移植し細菌特有の培養条件で発育させ、対象細菌を殺菌する最小濃度(最小殺菌濃度:MBC)を測定することにより殺菌力を定量することを特徴とする有機・無機抗菌剤の殺菌力試験方法。
(2)前(1)項で、抗菌剤の水溶液または懸濁液を2倍段階希釈して最後尾に対照滅菌蒸留水を置いた抗菌剤希釈列を作製し、抗菌剤1種の場合には一定量を低濃度側から高濃度側に縦列させてマイクロプレートウエルに挿入し、2種の場合には1種の場合の半量を第1抗菌剤希釈列と第2抗菌剤希釈列を格子状に交叉させてマイクロプレートウエルに挿入することを特徴とする有機・無機抗菌剤の殺菌力試験方法。
(3)第(1)項および前(2)項で、人工培地上に発育できる好気性、通性嫌気性、微好気性および嫌気性の細菌に応用可能であることを特徴とする有機・無機抗菌剤の殺菌力試験方法。
(4)第(1)項、第(2)項および前(3)項で、抗菌剤は、天然物または合成物である水溶性素材、不溶性であっても水に懸濁できる素材であることを特徴とする有機・無機抗菌剤の殺菌力試験方法。
本発明は、様々な環境に生息する細菌に対して、水溶性または不溶性の有機・無機化合物からなる抗菌剤の殺菌力活性値を定量する迅速、簡便な検査技術に関するもので、細菌と抗菌剤を接触させた後、細菌固有の栄養培地で2次的に発育させることにより、抗菌剤や対象細菌の種類に関わらない汎用性の高い殺菌力試験法を実現できる。抗菌剤1種のみならず、抗菌剤2種の希釈列を、マイクロプレート内で格子状に交叉させて様々な濃度条件を創出し、互いの単独レーンのMBC値を基準として、それを減退させる場合、影響しない場合、増加させる場合により、「相乗作用」、「無関係」、「拮抗作用」の各判定結果が与えられて各抗菌剤の複合効果の評価が可能となる。今までにも、マイクロプレートを利用した方法や併用抗菌力試験法は、それぞれ微量液体希釈法およびチェッカーボード法として標準化されていたが、あくまで、医療分野における抗菌性薬物の感受性試験として認められているものであり、比較的殺菌力の弱いポリフェノール等の有機系化合物や銀等の無機系抗菌剤に対する方法としては存在しなかった。比較的厳しい栄養条件の希釈水中で化合物を作用させることにより、微量液体希釈法より高い感受性が期待でき、さらに、無機・有機複合材料の併用効果を測定できるため、新規複合物質の創出が可能となり、生活・環境分野、農業分野、医療・福祉分野など広範に亘る微生物への応用が期待できる。
本発明では、水溶性または不溶性の有機・無機化合物からなる抗菌剤を対象として、ある濃度範囲でそれぞれの段階希釈列を作成し、マイクロプレートウエル内で特定の細菌と接触させた後、当該細菌特有の栄養培地で2次的に発育させることにより、当該抗菌剤が対象細菌を殺菌する最小濃度が与えられる。この場合、本発明で用いた希釈水の栄養条件が微量液体希釈法よりも厳しいことにより高い感受性が期待できる。抗菌剤2種の複合効果は、マイクロプレート内で対立する2種の抗菌剤希釈列を格子状に交叉させ、互いの単独レーンのMBC値を基準として、それを減退させる場合、影響しない場合、増加させる場合により、「相乗作用」、「無関係」、「拮抗作用」の各判定結果が与えられる。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
人工培地上に発育できる好気性、通性嫌気性の細菌は全て供試可能である。ガスパック(三菱ガス化学株式会社)等による微好気または嫌気条件下で発育可能な細菌も含まれる。抗菌剤は、天然物または合成物であり、水溶性素材であれば形状は問わない。不溶性であっても乳鉢等を用いて微細に粉砕可能であり水に懸濁できるのであれば、試験に供することは可能である。
供試菌は、保存菌株を2代継代培養した後、培養菌を滅菌希釈水に適量懸濁させる。滅菌希釈水は、ポリペプトン(和光純薬)を0.1%に加えた1.7%生理食塩水(2倍濃度希釈水,pH7.0±0.1)を中試験管に9mLずつ分注した後、121℃、20分滅菌したものを用いる。懸濁液から培地成分を取り除くため、冷却下(10℃以下)で2,000rpm以上、10分間遠心分離し、上澄み液を捨てたのち再度滅菌希釈水で懸濁する。これらの操作を2回繰り返して最終的にマックファーランドナンバー0.5となるように調整して菌原液とする(およそ10CFU/mlの菌液となる)。変異をさけるために保存菌株は可能な限り初代分離後の原始株を使用する。
検査用プレートの作製に際し、目的とする抗菌剤の濃度範囲を25〜1,600μg/mlとする場合を例に示す。抗菌剤は20.0mgを正確に秤量し、滅菌蒸留水6.25mlに溶解させ試料原液とする(3,200μg/ml)。濃度範囲はこの時点で調整する。溶解しがたい試料または不溶性の試料は乳鉢で可能な限り粉砕した後10%の割合でDMSO(ジメチルスルフォキシド,和光純薬)を加えてよく懸濁する。滅菌蒸留水を用いて原液から7段階の2倍段階希釈列を作製する。希釈方法の1例を述べると、最初に、原液と1、3、7、1、3、7ml滅菌蒸留水入り試験管を準備する。原液から最初の3管にそれぞれ1mlずつを分注する(それぞれ原液の1/2、1/4、1/8倍希釈液となる)。3管目の1/8希釈液から後の3管にそれぞれ1mlずつを分注する(それぞれ原液の1/16、1/32、1/64倍希釈液となる)。滅菌済み8連ピペット用リザーバー(ビーエム機器(株))の第1ウエルに滅菌蒸留水(陰性コントロール:NTC)を入れ、第2ウエルより薄い液(1/64倍希釈液)から順に原液まで適量を挿入する。これらNTCをふくむ8列の2倍段階希釈液を供試抗菌剤毎に作成する。1種の抗菌剤について試験する場合には、8連マイクロピペットを用いて、MIC用96Uプレート(住友ベークライト)の縦列方向に50μlずつを分注する。1枚のプレートで12種類の抗菌剤を評価できる(図1)。2種の抗菌剤についての併用効果試験では、第1抗菌薬を縦8列に25μlずつ分注した後、第2抗菌薬を横8行に交叉させて同量を分注する。各ウエル内の薬剤濃度は図2のようになる。1検査で1枚の検査用プレートを作製する。検査用プレートは、滅菌済み専用シール(住友ベークライト)で密閉した後、−30℃で保管し、用時に常温で解凍させ3ヶ月以内に使用する。なお、各抗菌剤の濃度範囲による判定不能な状態を避けるためには、1種抗菌剤単独におけるMBCを測定した後、2種における併用試験を行うことが望ましい。このことにより、抗菌剤の最適な濃度範囲を決定することができる。
試験に際し、2次培養用の平板を作製する。栄養要求性に問題のない細菌の場合は、ミューラーヒントンアガー(肉抽出液300g、カザミノ酸17.5g、デンプン1.5g、アガー17g、精製水1l)に、カチオンを最終濃度がCaイオン50mg/l、Mgイオン25mg/lとなるように加えたカチオン添加ミューラーヒントンアガー(CSMHA)を作製する。栄養要求性の厳しい細菌の場合は、MHAにウマまたはヒツジ血液を5%の割合で加えて、5%血液加MHA平板または5%血液加MHAチョコレート寒天培地を作製する。特殊な栄養要求性を持つレジオネラ属菌の場合は、L−システイン加BCYEα寒天(Oxoid)のように当該細菌に対する非選択性の発育培地を用いる。これらの培地を調整後、角型透明ディッシュ(114×104×16mm,アズワン)に固めて平板とする。培地表面を乾燥させて4℃で保管し、作成後1ヶ月以内に使用する。
0014で作製した菌原液を2倍濃度希釈水により100倍希釈した菌液をディスペンサートレイ(住友ベークライト)に20ml程度作製し、接種用菌液とする。接種用菌液は混釈平板培養法または平板塗沫法により菌数を測定する。検査用プレートを常温で解凍した後、接種用菌液を8連マイクロピペットにて各ウエルに50μlずつ分注する。好気性または通性嫌気性細菌の場合には、プレートを専用の96穴プレート用カバー(住友ベークライト)で覆った後、30℃、18〜20時間、好気条件下で120rpm振とう培養する。微好気または嫌気性細菌の場合には、カバーをして嫌気ジャーに挿入した後、微好気または嫌気性専用ガスパック(三菱ガス化学株式会社)を入れて同じように培養する。培養が終了したら、8連マイクロピペットを用いて2次培養用平板に同じ配置で3μlずつを移植する。移植平板をよく乾燥させた後、35±1℃で20〜24時間、好気、微好気または嫌気条件下で静置培養する。レジオネラ属菌のような遅発育性細菌の場合は少なくとも72時間以上培養する。
判定に際し、予め0017で移植した2次培養用平板表面のプロット配置に応じた成績表を準備する(図5上段)。発育パターンを−から+++まで4段階で評価する。−は集落が全く確認されない場合、+は数個から数十個までの集落が確認された場合、++は計測できないがブツ状を形成し抗菌剤の影響が予測された場合、+++は全く抗菌剤の影響を受けていないと判断された場合または陰性コントロールと同様の形状を示した場合である。殺菌と判定するのは−の時のみである。しかしながら、希釈操作に起因する測定誤差により、通常測定値には8倍のばらつきが生ずるとされているため、既知の測定値と比較することが望ましい。問題が生じない場合は+から+++までは集落を形成させたと判定して●をプロットする。1種の抗菌剤による場合は、各抗菌剤の希釈列において、集落を形成させなかった最小濃度をMBCとする(図5上段)。
2種の場合は次により判定する。0018と同様に成績表を準備し、発育パターンを判定する(図7)。この場合、最左列および最上行における各抗菌剤のコントロール成績を指標にしてばらつきを判断する。問題がなければ、●をプロットする。
抗菌剤Aと抗菌剤Bの併用効果を試験する。抗菌剤Aでは左から右に抗菌剤濃度が上昇し、抗菌剤Bでは上から下に抗菌剤濃度が上昇するように添加する。抗菌剤Aについては最上行、抗菌剤Bについては最左列が、各々単独の添加レーンとなり、陽性コントロールとなる(図2)。図3に抗菌剤Aと抗菌剤Bの併用試験成績モデルを示す。即ち、抗菌剤Aと抗菌剤Bが「相乗作用」を示す場合は、各々の対立抗菌剤の影響により単独レーンのMBC値が小さくなり、殺菌を示すウエルが対角線上に並ぶ。即ち、抗菌剤Aと抗菌剤Bは「相乗作用」であると判定する。抗菌剤Aと抗菌剤Bが「無関係」である場合は、各々の対立抗菌剤に影響を受けないため単独レーンのMBC値は変わらず、殺菌を示すウエルが正方形に並ぶ。即ち、抗菌剤Aと抗菌剤Bは「無関係」と判定する。抗菌剤Aと抗菌剤Bが「拮抗作用」を示す場合は、各々の対立抗菌剤の影響により単独レーンのMBC値が大きくなり、殺菌を示すウエルが無関係の時より外側にはみ出た状態になる。即ち、抗菌剤Aと抗菌剤Bは「拮抗作用」であると判定する。
検査用キットは、菌懸濁用2倍濃度希釈液(0.1%ポリペプトンを加えた1.7%滅菌生理食塩水)入りポリ容器150ml、菌液分注用ディスペンサートレイ1個、検査プレート用滅菌蒸留水入りポリ容器200mL、96穴マイクロプレート5枚、96穴マイクロプレート専用カバー5枚、滅菌済み専用シール5枚、2次培養用角型透明ディッシュ、8連ピペット用リザーバーおよび操作マニュアルからなり、抗菌物質および接種菌並びに2次栄養培地を揃えれば最大5回の併用抗菌力試験が可能となる。
以下に、実施例および図4〜図9に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら限定されるものではない。
最初に、希釈液の適合性について説明する。0.05%ポリペプトン加滅菌生理食塩水(1倍濃度、pH7.06)、リン酸緩衝液(pH7.05)および生理食塩水(pH7.01)について細菌No1〜6における菌量の経時的変化を調べた。No1〜6はそれぞれ、腸炎ビブリオATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)17802、黄色ブドウ球菌ATCC27213、緑膿菌ATCC27853、クレブシエラニューモニエATCC13883、エルシニアエンテロコリティカATCC9610およびシトロバクターフロインディATCC8090である。各希釈液を用いて、0014に従って菌原液を調製し、混釈平板法により生菌数を測定した。菌原液を用いて7段階10倍希釈列を作製し、各々100μlをマイクロプレートに縦列方向に接種した。30℃、120rpm振とう培養して接種後1時間、3時間、6時間および24時間後に、各ウエルより3μlを0016のとおり作製したカチオン添加ミューラーヒントンアガー(CSMHA)に移植し、35℃、20時間培養後に菌量を測定した。菌量は、コロニーを形成した希釈系列から推測し対数値で示した。例えば、リン酸緩衝液におけるNo2の黄色ブドウ球菌は初期値10であった。1時間、3時間、6時間および24時間後のCSMHAにおけるコロニーはそれぞれ7段階目、7段階目、7段階目および5段階目まで形成されていた(図4最上段)。従って、グラフ上では対数値7、7、7および5にプロットされる。同様にして各希釈液中の菌の動態を図4に示した。0.05%ポリペプトン加滅菌生理食塩水が、他2者に比べて全ての種類で24時間の菌量が安定していた。このことは、本発明における希釈水が細菌の維持に有効であることを示すものである。
水溶性の植物由来ポリフェノール10種と不溶性の銀系抗菌剤2種について、黄色ブドウ球菌に対して実施したMBC試験に基づいて説明する。ポリフェノール類は糖とカフェインを除去した精製品を用いた。これらおよび銀系抗菌剤の由来は表1のとおりである。対象物質を20.0mg正確に秤量し、滅菌蒸留水(大塚製薬)6.25mlに懸濁して希釈原液とした(3,200μg/ml)。表1の5、6、8および9以外のポリフェノールについては懸濁後加熱して完全に溶解した。5、6、8および9のポリフェノールは溶けにくいため1/10量のDMSOを加え、徐々に滅菌蒸留水を足して完全に溶解した。11および12の銀系抗菌剤も同様に懸濁するが、希釈する場合はその都度十分に攪拌した。0015に従って希釈列を作製した後、MIC用96Uプレート(住友ベークライト)に50μlずつを分注した。供試細菌は黄色ブドウ球菌ATCC29213を用いて、保存菌株を2代継代したものを準備した。予め調製した0.05%ポリペプトン加滅菌生理食塩水に1白金耳程度を懸濁し、2,000rpm、10分間遠心分離した後、上清を捨てて、再度0.1%ポリペプトン加滅菌生理食塩水(2倍濃度希釈水)に懸濁した。同じ作業を繰り返し最終的にマックファーランド0.5程度に調製後、2倍濃度希釈水で100倍に希釈したものを接種菌液とした。接種菌液は混釈平板法により生菌数を測定した。接種菌液を既述のマイクロプレートに50μlずつ分注した。専用シールで被覆し、30℃で18〜20時間、120rpmで振とう培養した。0016で作製したCSMHA表面に、8連マイクロプレートを用いて、3μlずつをウエルと同配置に移植した。培地表面を乾燥させた後、さらに18〜20時間静置培養した。図5において、培養に本発明で用いた希釈水でなくカチオン添加ミューラーヒントンブロス(CSMHB)を用いた微量液体希釈法と成績を比較した。全体的に本発明(MBC)の成績が微量液体希釈法(MIC)の成績よりも感受性が高い傾向にあった。これらは、希釈水の栄養条件がCSMHBよりも厳しかったことによるものであると考えられる。本実施例は、貧栄養の希釈液で細菌と抗菌剤を作用させることにより、より高感度な成績が与えられることを示したものである。

Figure 2005348651
表1 供試抗菌剤の名称および由来
実施例1で示した12種類の抗菌剤についてレジオネラニューモフィラATCC33152に対して実施したMBC試験に基づいて説明する。実施例1で示したように抗菌薬1〜12の段階希釈列を検査用プレートの縦8列に50μlずつ分注したものを作製した。専用シールで被覆し、30℃で18〜20時間、120rpmで振とう培養した。0016で作製したL−システイン加BCYEα寒天表面に、8連マイクロプレートを用いて、3μlずつをウエルと同配置に移植した。培地表面を乾燥させた後、さらに72時間静置培養した。レジオネラ属菌は1、2および5〜12に高い感受性を示し、3および4に比較的抵抗性を示した。即ち、前者の8種類のポリフェノールと2種類の銀系抗菌剤は、レジオネラに対して高い殺菌作用を持つことを示したものである。レジオネラ属菌は、発育に特殊な栄養素であるL−システインを要求するため、実施例1に示した細菌群、即ち好気性菌や通性嫌気性菌が発育できるCSMHAには全く発育できない。しかしながら、2次培養にレジオネラ属菌が発育できるL−システイン加BCYEα寒天を使用することにより、実施例1に示した細菌群と同じ希釈水中での殺菌作用の評価が可能となることを示したものである。
黄色ブドウ球菌ATCC27213に対して、6プロアントシアニジンと8ビワプロシアニジン、4タンニン酸と9テアフラビン相互の併用試験に基づいて説明する。最初に、0015と同じ要領で、抗菌剤6および4の段階希釈列を検査用プレートの縦8列に25μlずつ分注した。次に8および9の段階希釈液を横8行に交叉させて同量を分注した。0014および0017のとおり調製した黄色ブドウ球菌ATCC29213の接種菌液50μlを既述のマイクロプレートに分注した。専用シールで被覆し、30℃で18〜20時間、120rpmで振とう培養した。0016で作製したCSMHA表面に、8連マイクロプレートを用いて、3μlずつをウエルと同配置に移植した。培地表面を乾燥させた後、さらに18〜20時間静置培養した。0020で示したように、6と8の関係は「相乗作用」であり、4と9の関係は「無関係」であると判定する。6と8は、共にプロアントシアニジン系のポリフェノールであり、図8のとおり化学構造も非常に類似していることから、相乗的に殺菌作用を示したものである。一方で、4と9は化学構造が異なると共にポリフェノールの中でも異なった範疇に分類されるため無関係を示したものである。本発明により、抗菌剤の併用による相互関係が明らかとなることを示したものである。
腸炎ビブリオATCC17802に対して、6プロアントシアニジンと8ビワプロシアニジン、6プロアントシアニジンと7ゲラニイン相互の併用試験に基づいて説明する。0015と同じ要領で、抗菌剤6の段階希釈列を検査用プレート2枚の縦8列に25μlずつ分注した。次に8および7の段階希釈液を横8行に交叉させて同量を分注した。0014および0017のとおり調製した腸炎ビブリオATCC17802の接種菌液を既述のマイクロプレートに50μlずつ分注した。専用シールで被覆し、30℃で18〜20時間、120rpmで振とう培養した。0016で作製したCSMHA表面に、8連マイクロプレートを用いて、3μlずつをウエルと同配置に移植した。培地表面を乾燥させた後、さらに18〜20時間静置培養した。0020で示したように、6と8の関係は「相乗作用」であり、6と7の関係は「無関係」であると判定する。実施例3の黄色ブドウ球菌と同様に腸炎ビブリオにおいても抗菌剤6と8が相乗作用と判定され、両者の相乗作用をより明確に示したものである。一方で、6と7は化学構造が異なると共にポリフェノールの中でも異なった範疇に分類されるため無関係を示したものである。実施例3と同様に、本発明により、抗菌剤の併用による相互関係が明らかとなることを示したものである。
本発明のうち1種用殺菌力試験におけるマイクロプレート各ウエル内の抗菌剤最終濃度である。 本発明のうち2種用殺菌力試験におけるマイクロプレート各ウエル内の抗菌剤最終濃度の組み合わせである。 本発明のうち2種用殺菌力試験における作用の判定モデルである。 希釈液の相違による細菌量の経時的変化を示す。 本発明における実施例1の成績を示す。 本発明における実施例2の成績を示す。 本発明における実施例3の成績を示す。 本発明における実施例3および実施例4で用いたプロアントシアニジンとビワプロシアニジンの構造式である。 本発明における実施例4の成績を示す。

Claims (5)

  1. 水溶性または不溶性の有機・無機化合物からなる抗菌剤に対する殺菌力評価方法であって、マイクロプレートウエル中で、一定量の抗菌剤水溶液または懸濁液を一定量の細菌と貧栄養な培養条件で一定時間接触させた後、2次的に栄養培地表面に移植し細菌特有の培養条件で発育させ、対象細菌を殺菌する最小濃度(最小殺菌濃度:MBC)を測定することにより殺菌力を定量することを特徴とする有機・無機抗菌剤の殺菌力試験方法。
  2. 抗菌剤の水溶液または懸濁液を2倍段階希釈して最後列に対照滅菌蒸留水を置いた抗菌剤希釈列を作製し、抗菌剤1種の場合には一定量を低濃度側から高濃度側に縦列させてマイクロプレートウエルに挿入し、2種の場合には1種の場合の半量を第1抗菌剤希釈列と第2抗菌剤希釈列を格子状に交叉させてマイクロプレートウエルに挿入する請求項1記載の有機・無機抗菌剤の殺菌力試験方法。
  3. 人工培地上に発育できる好気性、通性嫌気性、微好気性および嫌気性の細菌に応用可能である請求項1記載の有機・無機抗菌剤の殺菌力試験方法。
  4. 抗菌剤は、天然物または合成物である水溶性素材、不溶性であっても水に懸濁できる素材である請求項1記載の有機・無機抗菌剤の殺菌力試験方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の方法で作製して成る、検査キット。



























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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014528591A (ja) * 2011-10-14 2014-10-27 エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ (ウ・ペ・エフ・エル)Ecole Polytechnique Federalede Lausanne (Epfl) ナノスケール運動検出器(MotionDetector)
CN108060207A (zh) * 2017-12-29 2018-05-22 河南科技大学 一种基于微量天然化合物的最小杀菌浓度测定方法
CN110656039A (zh) * 2019-11-21 2020-01-07 浙江中跃医疗科技有限公司 一种实验室用抗菌材料效能检测装置

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