JP2005347338A - レーザ加工装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 ラマン散乱を抑えつつ品質の高いレーザ加工を行うことが可能なレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】 本体ユニット20側に設けられた信号用半導体レーザは、ドライバ22を介してレーザ発振制御手段23により駆動され、赤外線レーザをパルス発振する。そして、これが伝送用光ファイバF1によってヘッドユニット30側に伝送され、このヘッドユニット30側に設けれたレーザ増幅器31によって被加工物Wにマーキング可能な光強度に最終的に増幅されて光走査機構42に導かれる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、いわゆるヘッド分離型のレーザ加工装置に関する。
従来から、レーザ光を出射するレーザ光源を有する本体ユニットと、収束レンズを有するヘッドユニットとを伝送用光ファイバによって接続された、いわゆるヘッド分離型のレーザ加工装置がある。このものは、本体ユニットに、レーザ光源からのレーザ光を、被加工物に対して加工可能なレベルまで増幅する増幅手段が備えられていた。そして、この増幅されたレーザ光を伝送用光ファイバを介してヘッドユニット側に伝送し、このヘッドユニットに備えた収束レンズによって収束させたレーザ光を被加工物上に照射して加工を施すようになっていた。
特許第3411852号公報
ここで、一般に、レーザ光が伝送用光ファイバ内を通過する過程でラマン散乱(物質に単色光を入射させると入射光と振動数が少しずれた散乱光が観測される現象)が発生することが知られている。そうすると、伝送用光ファイバから出射された光は、複数の波長を有する光となり、収束レンズでの屈折率は波長によって異なるから被加工物での焦点がぼける。この現象は特に極めて高い光強度のレーザ光を伝送する場合に顕著に現れる。従って、レーザ光を加工可能な高いレベルに増幅した後に伝送用光ファイバに伝送する上記従来の構成では、ラマン散乱の影響が大きく、被加工物上での焦点ぼけにより加工品質が低下するという問題があった。
なお、これに対して伝送用光ファイバの径を相対的に大きくすることでラマン散乱を抑える方法がある。しかし、これでは伝送用光ファイバの出射端面の径が大きくなる。一般に収束レンズ等のレンズ効果によって光を収束させる場合、仮想的な発光源となる伝送用光ファイバの出射端面よりも小さい径に絞る(集光させる)ことができないため、被加工物へのスポット径を小さくするのに限界があり、微細な加工ができなくなるというおそれがあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ラマン散乱を抑えつつ品質の高いレーザ加工を行うことが可能なレーザ加工装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明に係るレーザ加工装置は、レーザ光を出射するレーザ光源を有する本体ユニットと、収束レンズを有するヘッドユニットと、前記本体ユニット及び前記ヘッドユニットを接続する伝送用光ファイバとを備えて構成され、前記本体ユニットから出射されたレーザ光を前記伝送用光ファイバを通じて前記ヘッドユニットに伝送し、このヘッドユニットの前記収束レンズによって収束したレーザ光を被加工物に照射させて加工を施すレーザ加工装置であって、前記ヘッドユニットには、前記伝送用光ファイバから伝送されたレーザ光を、前記被加工物に加工可能なレベルに最終的に増幅する増幅手段が設けられ、この増幅手段で増幅されたレーザ光が前記収束レンズを介して前記被加工物上に照射される構成であることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ光源は、第1の半導体レーザを備えて構成され、前記増幅手段は、希土類元素を含み、前記伝送用光ファイバからのレーザ光が一方の端面から入射されるとともに他方の端面をレーザ光の出射端面とし、レーザ光が入射されることで励起状態となる第1の希土類ドープ光ファイバを備えて構成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載のレーザ加工装置において、前記本体ユニットには、第2の半導体レーザが設けられ、前記レーザ光源は、希土類元素を含み、前記第1の半導体レーザからのレーザ光が入射されることで励起状態となる第2の希土類ドープ光ファイバを有し、前記被加工物への加工可能な光強度よりも低い低増幅レーザ光を出射する予備増幅手段を備え、前記伝送用光ファイバは、第1の光ファイバと第2の光ファイバとを備え、前記予備増幅手段からの前記低増幅レーザ光を、第1の光ファイバを通じて前記第1の希土類ドープ光ファイバの一方の端面に入射させ、前記第2の半導体レーザ光からのレーザ光を、前記第2の光ファイバを通じて励起用レーザ光として前記第1の希土類ドープ光ファイバに入射させて励起させる構成になっていることを特徴とする。
<請求項1の発明>
本構成によれば、被加工物への加工可能なレベルに対して相対的に低い光強度のレーザ光を伝送用光ファイバで伝送することによりラマン散乱を抑え、最終的な増幅はヘッドユニットにて行う構成とした。
<請求項2の発明>
本構成よれば、屈曲可能な希土類ドープ光ファイバを用いればそれを巻回することによって小型化が可能になる。また、希土類ドープ光ファイバ長を変えることで比較的簡単に励起度を調整できる。
<請求項3の発明>
第1及び第2の半導体レーザの光源を本体ユニット側に設けることで、ヘッドユニットには必要最小限の構成で済むからヘッドユニットの更なる小型化を図ることができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1,2によって説明する。
1.本実施形態の構成
本発明のレーザ加工装置は、例えば1対のガルバノミラー42A,42Bを備えた光走査機構42が設けられた、いわゆるガルバノスキャニング式のレーザマーキング装置10である。そして、このものは、レーザ光を出射するレーザ光源を有する本体ユニット20と、収束レンズ43を有するヘッドユニット30と、本体ユニット20及びヘッドユニット30を接続する伝送ケーブル50とを備えて構成されている。図1には、この具体的構成が示されている。
(1)本体ユニット
図1で符号21は、信号用半導体レーザ(本発明の「レーザ光源、第1の半導体レーザ」に相当)であり、ドライバ22を介してレーザ発振制御手段23により駆動され、赤外線レーザをパルス発振する。次いで、符号24A,24Bは、第1励起用半導体レーザ及び第2励起用半導体レーザであり、これらは、それぞれドライバ25A,25Bを介してレーザ発振制御手段23によって制御され、ともに一定出力レベルで駆動される。また、各半導体レーザ24A,24Bの発振波長は、後述する希土類ドープ光ファイバ32の希土類元素を励起するに適した波長帯に設定されている。また、本体ユニット20には、ヘッドユニット30との間で信号のやり取りを行うための信号入力回路26が設けられている。
(2)伝送ケーブル
伝送ケーブル50は、信号用半導体レーザ21からのレーザ光をヘッドユニット30側に伝送するための伝送用光ファイバF1と、第1励起用半導体レーザ24Aからの励起光をヘッドユニット30側に伝送するための伝送用光ファイバF2と、第2励起用半導体レーザ24Bからの励起光をヘッドユニット30側に伝送するための伝送用光ファイバF3とを束ねてなる。
(3)ヘッドユニット
ヘッドユニット30は、主として、上記信号用半導体レーザ21からのレーザ光を増幅する機能を有するレーザ増幅器31、コリメータレンズ41、上記した光走査機構42、収束レンズ43、及び、本体ユニット20と信号のやり取りするための入出力回路44を備えて構成されている。
このうちレーザ増幅器31には、希土類元素である例えばイットリビウム(Yb)を含むガラスファイバ(希土類ドープ光ファイバ32)が備えられている。なお、希土類ドープ光ファイバ32は他との区別をするために図面中では斜線を付して示してある。
上記希土類ドープ光ファイバ32は屈曲可能であり、図示しないボビンに多数回巻回することで所要長の光路が確保されており、その両端部には2つの光結合部33A,33Bが設けられている。このうち、一方の光結合部33Aは、光結合部34を介して接続した伝送用光ファイバF1に入射した信号用半導体レーザ21からのレーザ光を希土類ドープ光ファイバ32の一端(前端)に入射させるとともに、伝送用光ファイバF2に入射した第1励起用半導体レーザ24Aからのレーザ光を希土類ドープ光ファイバ32にその後端側に向けて合流させる機能を有する。
また、他方の光結合部33Bは伝送用光ファイバF3に入射した第2励起用半導体レーザ24Bからのレーザ光を希土類ドープ光ファイバ32内に前端側に向けて入射させる機能を有する。また、図示はしないが、上記したようにボビンに巻回した希土類ドープ光ファイバ32、光結合部33A,33B,34は直方体のケース内に収容されるとともに、そのケース内にシリコン樹脂を充填することで固定されている。
一方、希土類ドープ光ファイバ32の出射端面32Aの外側には出力されたレーザ光はコリメータレンズ41によって平行光とされて光走査機構42に導かれる。光走査機構42は、コリメータレンズ41を通過したレーザ光を縦横に走査するためのX軸ガルバノミラー42A及びY軸ガルバノミラー42Bを備え、さらにそのレーザ光を被加工物Wに集光するための収束レンズ43(fθレンズ)43が設けられている。なお、レーザマーキング装置10内には、図示はしないが冷却装置や装置各部に動作電力を供給する電源回路等も備えられている。
2.本実施形態の動作
例えばコンソール等の入力手段51によって入力された設定値等および文字・図形等のマーキング内容の入力データやマーキングのプログラムを受けて、レーザ発振制御手段23は、この入力されたプログラムおよび各種設定値にしたがって、レーザ出力を制御するための制御信号をドライバ22,25A,25Bに与えると同時に、X軸及びY軸の各ガルバノミラー駆動用の制御信号を光走査機構42に与える。
ここで、レーザマーキング装置10の図示しない励起用スイッチをオン操作することにより励起用半導体レーザ24Aはドライバ25Aにより直流駆動され、出射されたレーザ光は伝送用光ファイバF2及び光結合部33Aを介して希土類ドープ光ファイバ32内に入射される。この結果、希土類ドープ光ファイバ32内が励起されてレーザ光が発生するが、その出力強度は被加工物W上に照射されてもマーキングを行うのには不十分なレベルLc (図2参照)となるように、第1励起用半導体レーザ24Aは所定の低レベルに連続的に維持されている。したがって、この状態では希土類ドープ光ファイバ32は、ある一定のレベルで励起状態になっているが、これによって発生したレーザ光が被加工物Wに照射されてもマーキングはされない。
マーキング動作が開始されると、レーザ発振制御手段23からの信号に基づき信号用半導体レーザ21がパルス発振するとともに、第2励起用半導体レーザ24Bが所定レベルで連続発振する。このことは、励起用レーザ光源の出力が増大したことを意味する。第2励起用半導体レーザ24Bからのレーザ光は伝送用光ファイバF3及び光結合部33Bを介して希土類ドープ光ファイバ32内に入射されてこれを高励起状態とする。そして、信号用半導体レーザ21からのパルスレーザ光が伝送用光ファイバF1及び光結合部34,33Aを通過して高励起状態にある希土類ドープ光ファイバ32に入射して通過することにより、このパルスレーザ光は増幅されて出射端面32Aから出射する。
ここで、第1及び第2の励起用半導体レーザ24A,24Bは希土類元素を励起するに適した波長帯のレーザ光を出射するものが選択されており、信号用半導体レーザ21には励起された希土類元素がエネルギーを失って発光するときの波長帯の光を有するものが使用されているから、誘導放出による発光が促進され、レーザ光が効率よく増幅される。図2に示すように、このときのレーザ光の出力レベルは、被加工物W上に照射されてマーキングを行うことが可能なレベルLB を十分に越え、マーキングするのに十分な出力レベルLA となる。
希土類ドープ光ファイバ32の出射端面32Aから出射されたパルスレーザ光は、コリメータレンズ41により平行光に絞られ、この平行光はレーザ発振制御手段23からの制御信号によって駆動される光走査機構42によって所要の方向に反射される。ここで、光走査機構42は、X軸ガルバノミラー42Aによって一つの方向に走査し、Y軸ガルバノミラー42Bによって、X軸ガルバノミラー42Aが走査する方向と直交する方向に走査することで2次元のあらゆる方向に走査することができる。光走査機構42で反射された平行光は収束レンズ43によって平行光からスポットレーザ光に絞り込まれ、このレーザ光が被加工物W表面上を走査することにより、所望のマーキングが行われる。
3.本実施形態の効果
(1)本実施形態によれば、被加工物Wへのマーキング可能なレベルに対して相対的に低い光強度のレーザ光を伝送用光ファイバで伝送することによりラマン散乱を抑え、最終的な増幅はヘッドユニット30にて行う構成とした。
(2)また、レーザ増幅手段に、屈曲可能な希土類ドープ光ファイバ32を用いているからそれを巻回することによって小型化が可能になる。また、希土類ドープ光ファイバ長を変えることで比較的簡単に励起度を調整できる。
(3)更に、希土類ドープ光ファイバ32を励起状態にするための第1及び第2の励起用半導体レーザ24A,24Bを本体ユニット20側に設けることで、ヘッドユニット30の更なる小型化を図ることができる。
<実施形態2>
図3は(請求項1の発明に対応する)実施形態2を示す。前記実施形態との相違は、レーザ増幅手段の構成にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
図3に示すように、本実施形態のレーザマーキング装置60では、ヘッドユニット30側に設けられたレーザ増幅器61は、レーザ媒質となるYAG結晶62の両端に全反射ミラー63と部分透過ミラー64とを設けて構成されている。第1〜第3の励起用半導体レーザ24A〜24Cは、各ドライバ25A〜25Cによって駆動され、これらの励起光が伝送用光ファイバF2〜F4を介してセンサヘッド内のYAG結晶62に照射されることで励起状態となる。そして、例えば、マーキング動作前は、第1及び第2の励起用半導体レーザ24A,24Bのみが駆動され、マーキング動作が開始されると、第3の励起用半導体レーザ24Cと信号用半導体レーザ21が駆動され、部分透過ミラー64から被加工物Wにマーキング可能な光強度のレーザ光が出射されるようになっている。
このような構成であっても、被加工物Wへのマーキング可能なレベルに対して相対的に低い光強度のレーザ光を伝送用光ファイバで伝送し最終的な増幅をヘッドユニット30側で行うからラマン散乱を抑制することができる。
また、YAG結晶62を励起状態にするための第1〜第3の励起用半導体レーザ24A〜24Cを本体ユニット20側に設けることで、ヘッドユニット30の更なる小型化を図ることができる。
<実施形態3>
図4は(請求項3の発明に対応する)実施形態3を示す。前記実施形態1との相違は、主として本体ユニット20側に予備増幅手段を設けたことにあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
本実施形態では、本体ユニット20側に、信号用半導体レーザ21からのレーザ光を、被加工物Wにマーキング可能なレベルより低い光強度まで増幅させるレーザ予備増幅器71が設けられている。これは、ヘッドユニット30側の希土類ドープ光ファイバ32と同様の構造を有する希土類ドープ光ファイバ72を備え、その一端(前端)にはドライバ25Cによって駆動される第3励起用半導体レーザ24Cからの励起光と信号用半導体レーザ21からのレーザ光とを合流させる光結合部73が設けられている。また、希土類ドープ光ファイバ72の出射端面72Aには、レーザ光を他端(後端)側にのみ通過させる光アイソレータ74が設けられ、上記光アイソレータ74は、光ファイバの接合部分やレーザ照射面から反射するレーザ光が半導体レーザ21,24Cや希土類ドープ光ファイバ72に逆流することによってこれらが損傷することを防止する機能を有する。
信号用半導体レーザ21からのレーザ光は、このレーザ予備増幅器71によって被加工物Wへのマーキング可能なレベルに対して相対的に低い光強度に増幅されて伝送用光ファイバによってヘッドユニット30側に伝送される。そして、ヘッドユニット30のレーザ増幅器31によって被加工物Wへのマーキング可能な光強度に最終的に増幅される。
このような構成であれば、やはりラマン散乱を抑制することができる。また、レーザ予備増幅器71についても、屈曲可能な希土類ドープ光ファイバ72を用いているからそれを巻回することによって小型化が可能になる。また、この希土類ドープ光ファイバ長を変えることで比較的簡単に励起度を調整できる。
<実施形態4>
図5は実施形態4を示す。前記実施形態3との相違は、レーザ予備増幅器71を励起させるための励起用半導体レーザ24A,24B及びそれらを駆動するドライバ25A,25Bをヘッドユニット30側に配置した構成である。
このような構成であっても、やはりラマン散乱を抑制することができる。また、レーザ予備増幅器71についても、屈曲可能な希土類ドープ光ファイバ72を用いているからそれを巻回することによって小型化が可能になる。また、この希土類ドープ光ファイバ長を変えることで比較的簡単に励起度を調整できる。
<実施形態5>
図6は実施形態5を示す。前記実施形態4との相違は、主としてヘッドユニット30側のレーザ増幅手段の構成にある。
図6に示すように、本実施形態のレーザマーキング装置90では、ヘッドユニット30側に設けられたレーザ増幅器91は、レーザ媒質となるYAG結晶92の両端に全反射ミラー93と部分透過ミラー94とを設けて構成されている。第1,2,4の励起用半導体レーザ24A,24C,24Dは、各ドライバ25A,25C,25Dによって駆動される。そして、例えば、マーキング動作前は、第1〜第3の励起用半導体レーザ24A〜24Cのみが駆動され、マーキング動作が開始されると、第4の励起用半導体レーザ24Dと信号用半導体レーザ21が駆動され、部分透過ミラー94から被加工物Wにマーキング可能な光強度のレーザ光が出射されるようになっている。
なお、本実施形態とは逆に、本体ユニット20側の予備増幅手段をYAG結晶を備えるものとし、ヘッドユニット30側の増幅手段を希土類ドープ光ファイバを備えるものとする構成も考えられる。この構成であれば屈曲可能な希土類ドープ光ファイバを用いることによりヘッドユニット30側の小型化を図ることができるという利点がある。しかし、YAG結晶によるYAG増幅方式は本来的に高励起用に適しており、本実施形態のように、これをヘッドユニット30側に設けてレーザ光を被加工物Wにマーキング可能な光強度に最終的に増幅する構成が望ましい。
<実施形態6>
図7は実施形態6を示す。前記実施形態5との相違は、主として本体ユニット20側の予備増幅手段の構成にある。つまり、この予備増幅手段についてもYAG増幅方式を用いた構成になっている。
図7に示すように、本実施形態のレーザマーキング装置100では、本体ユニット20側に設けられたレーザ予備増幅器101は、レーザ媒質となるYAG結晶102の両端に全反射ミラー103と部分透過ミラー104とを設けて構成されている。第1,5の励起用半導体レーザ24C,24Eは、各ドライバ25C,25Eによって駆動される。そして、例えば、マーキング動作前は、第1〜第3の励起用半導体レーザ24A〜24Cのみが駆動され、マーキング動作が開始されると、第4,5の励起用半導体レーザ24D,24Eが駆動され、部分透過ミラー104から被加工物Wにマーキング可能な光強度のレーザ光が出射されるようになっている。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記各実施形態に対し、レーザ光偏向スイッチによってレーザ光出射のオンオフ動作を行う構成であってもよい。例えば、実施形態1であれば種光源としての信号用半導体レーザ21を取り除き、光結合部33B(希土類ドープ光ファイバ32の出射端面32A)とコリメータレンズ41との間にレーザ発振制御手段からの制御信号に基づきレーザ光の通過を許容する動作と阻止する動作とを切り換え可能に行うレーザ光偏向スイッチを設ける。そして、マーキング開始前に各励起用半導体レーザ24A,24Bを駆動させつつレーザ光偏向スイッチを阻止状態にしておいて、マーキング動作が開始されたときにレーザ光偏向スイッチを許容状態に切り換え光走査機構42側にレーザ光を出射させる構成となる。このとき、希土類ドープ光ファイバ32の光結合部34と光結合部33Bの間、又は、光結合部33Aと光結合部33Bの間にクレーピングミラー(特定波長のレーザ光を透過させそれ以外の波長のレーザ光を反射させるミラー)を設けてレーザ増幅発振器として構成することが望ましい。なお、レーザ光偏向スイッチとしては、電気光学効果を利用するQスイッチや、超音波媒体中に生じた回折格子でのブラッグ回折現象による音響光学効果を利用したものであってもよい。
また、実施形態2であれば、やはり信号用半導体レーザ21を取り除き、YAG結晶62と一部透過ミラー64との間に上記レーザ光偏向スイッチを配した構成となる。
実施形態3,4であれば、信号用半導体レーザ21を取り除き、光結合部33B(希土類ドープ光ファイバ32の出射端面32A)とコリメータレンズ41との間にレーザ光偏向スイッチを設ける構成になる。
実施形態5,6であれば、やはり信号用半導体レーザ21を取り除き、YAG結晶92と一部透過ミラー94との間に上記レーザ光偏向スイッチを配した構成となる。
このようにレーザ光偏向スイッチによってレーザ出射をオンオフさせる構成であれば、レーザ出射時の出力レベルの立ち上がりが早いという利点がある。しかし、その反面、非マーキング時において全ての励起用半導体レーザを駆動させるために上記各実施形態に比べて消費電力が大きいという問題がある。
(2)上記実施形態ではボビン状(らせん状)に巻回された希土類ドープ光ファイバを用いたが、これに限らず、環状の希土類ドープ光ファイバ(いわゆるリングファイバ)であってもよい。
(3)上記実施形態2,5,6に対して、YAGレーザの技術を適用したが、それ以外の固体レーザやCOレーザ等の気体レーザの技術を適用したものであってもよい。
(4)上記各実施形態において、希土類ドープ光ファイバやYAG結晶を励起するための励起用半導体レーザは1つであって複数であってもよい。
(5)上記実施形態では、被加工物Wに文字等のマーキングを施すレーザマーキング装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限らず、被加工物Wに穴あけするなど所定の加工を施すものであってもよい。このようなものでは、一般に、レーザマーキング装置よりも光強度の高いレーザ光が使用されるため本発明を適用する意義は大きい。
(6)上記実施形態においてレーザ光源21については、既に半導体レーザを備えたファイバレーザを利用してもよい。
(7)図3,6,7の構成において、全反射ミラー63,93及び部分透過ミラー64,94を除いた構成であってもよい。
(8)図3の構成において、信号用半導体レーザ21を除いた構成、或いは、それを励起用半導体レーザとした構成であってもよい。
本発明の実施形態1に係るレーザマーキング装置の全体概要図 信号用及び励起用の各半導体レーザの動作波形図 実施形態2に係るレーザマーキング装置の全体概要図 実施形態3に係るレーザマーキング装置の全体概要図 実施形態4に係るレーザマーキング装置の全体概要図 実施形態5に係るレーザマーキング装置の全体概要図 実施形態6に係るレーザマーキング装置の全体概要図
符号の説明
10,60,70,80,100…レーザマーキング装置(レーザ加工装置)
20…本体ユニット
21…信号用半導体レーザ(レーザ光源)
24A〜24E…励起用半導体レーザ
30…ヘッドユニット
31,61,91…レーザ増幅器(増幅手段)
32,72…希土類ドープ光ファイバ
32A,72A…出射端面
43…収束レンズ
71,101…レーザ予備増幅器(予備増幅手段)
F1〜F4…伝送用光ファイバ
W…被加工物

Claims (3)

  1. レーザ光を出射するレーザ光源を有する本体ユニットと、収束レンズを有するヘッドユニットと、前記本体ユニット及び前記ヘッドユニットを接続する伝送用光ファイバとを備えて構成され、
    前記本体ユニットから出射されたレーザ光を前記伝送用光ファイバを通じて前記ヘッドユニットに伝送し、このヘッドユニットの前記収束レンズによって収束したレーザ光を被加工物に照射させて加工を施すレーザ加工装置であって、
    前記ヘッドユニットには、前記伝送用光ファイバから伝送されたレーザ光を、前記被加工物に加工可能なレベルに最終的に増幅する増幅手段が設けられ、この増幅手段で増幅されたレーザ光が前記収束レンズを介して前記被加工物上に照射される構成であることを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 前記レーザ光源は、第1の半導体レーザを備えて構成され、
    前記増幅手段は、希土類元素を含み、前記伝送用光ファイバからのレーザ光が一方の端面から入射されるとともに他方の端面をレーザ光の出射端面とし、レーザ光が入射されることで励起状態となる第1の希土類ドープ光ファイバを備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記本体ユニットには、第2の半導体レーザが設けられ、
    前記レーザ光源は、希土類元素を含み、前記第1の半導体レーザからのレーザ光が入射されることで励起状態となる第2の希土類ドープ光ファイバを有し、前記被加工物への加工可能な光強度よりも低い低増幅レーザ光を出射する予備増幅手段を備え、
    前記伝送用光ファイバは、第1の光ファイバと第2の光ファイバとを備え、
    前記予備増幅手段からの前記低増幅レーザ光を、第1の光ファイバを通じて前記第1の希土類ドープ光ファイバの一方の端面に入射させ、
    前記第2の半導体レーザ光からのレーザ光を、前記第2の光ファイバを通じて励起用レーザ光として前記第1の希土類ドープ光ファイバに入射させて励起させる構成になっていることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
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