JP2005345894A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】省エネルギーモードに好適なニップ位置変更動作を実行することで、圧縮永久歪みの抑制と消費電力の低減を両立し、かつ、電源部品への負荷軽減を図ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】待機モードのまま所定時間経過すると、自動的に省エネルギーモードに切り替わる。省エネルギーモードでは、定着モータ駆動電源がオフになり、定着モータへの電力供給が遮断される。また、タイマが起動し、モード切替からの経過時間の計測を開始する。この経過時間が30分未満の場合には、待機モードの場合と等しい5分のインターバルで駆動電源が起動されニップ位置変更動作が実行される。そして30分以上経過した場合には、インターバルが10分に変更され、以後10分間隔でニップ位置変更動作が実行される。
【選択図】図3

Description

本発明は静電記録方式や電子写真記録方式などを採用した画像形成装置に関するものである。
静電記録方式や電子写真記録方式を採用した画像形成装置としては、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などが知られている。この種の画像形成装置では、互いに圧接する一対のローラによりシートにトナー像を定着する、いわゆるローラ式定着装置が広く使われている。ローラ式定着装置では、シリコンゴム等の定着ローラと加圧ローラを圧接して両ローラの接触面に平面状のニップを形成し、そのニップ部でシートに圧力と熱量を与えることで定着を行う。
ニップ部においては、両ローラのゴム組織が常に圧縮歪みを起こしている。それゆえ、定着ローラの停止状態が長時間続くと、塑性限界をこえることでゴム組織の結合が破壊され、歪みが元に戻らなくなることがある。この状態を圧縮永久歪みという。圧縮永久歪みを起こしたゴムローラはたわんでいるため、定着装置内において正しい画像形成および搬送を行うことができず、ジャム、色ずれ、斜行等が発生する。そこで、定着ローラが停止している待機モードにおいて、一定の時間間隔でローラを回転させてニップ位置をずらすことにより、圧縮永久歪みを防ぐ方法が提案されている(特許文献1参照)。また、待機モード時に、ローラ圧を減圧したり、ローラ同士を離間させる方法も知られている。
ところで近年、エネルギースター等の国際規格にも見られるように、電力消費機器の消費電力の低減及び効率化が強く推進されている。画像形成装置も例外ではなく、待機中の消費電力を低減すべく、待機モードにおいて画像形成装置の操作が一定時間行われなかった場合に、待機モードよりも消費電力が少ない省エネルギーモードに移行するといった消費電力軽減策を採用する装置が一般的になっている。省エネルギーモードでは、たとえば、定着装置のローラ温度(制御温度)を待機モードよりも低くしたり、駆動電源を停止してモータ等への電力供給を遮断したりすることで、消費電力が低く抑えられる。
特公平4−74708号公報
省エネルギーモードにおいて上述したニップ位置変更動作を実行するには、一旦駆動電源を起動し、ローラを回転させ、その後再び駆動電源を停止するという処理が必要となる。しかしながら、このように駆動電源の起動/停止が頻繁に繰り返されると、電源リレー等の部品寿命に悪影響を及ぼすおそれがあり、好ましくない。
本発明の目的は、省エネルギーモードに好適なニップ位置変更動作を実行し得る画像形成装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、圧縮永久歪みの抑制と消費電力の低減を両立し、かつ、電源部品への負荷軽減を図ることのできる画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、待機モードおよび省エネルギーモードを有する画像形成装置であって、
互いに圧接する一対の回転体によりシートに画像を定着する定着手段と、
待機モードもしくは省エネルギーモードの場合に、前記回転体を回転させてニップ位置を変更するニップ位置変更動作を所定の時間間隔で実行する制御手段と、
待機モードから省エネルギーモードに切り替わってからの経過時間を計測する計時手段と、を備え、
前記制御手段は、省エネルギーモードの場合に、前記経過時間に応じて前記ニップ位置変更動作の実行間隔を変化させる。
本発明によれば、省エネルギーモードに好適なニップ位置変更動作を実行することができ、ひいては、圧縮永久歪みの抑制と消費電力の低減を両立し、かつ、電源部品への負荷軽減を図る効果を期待できる。
まずは、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるニップ位置変更制御の概要を簡単に説明する。
図1は、定着ローラの温度(横軸)と圧縮永久歪みが発生する時間(縦軸)の関係を示している。このグラフからわかるように、定着ローラの圧縮歪みが圧縮永久歪みに変わるまでの時間は、定着ローラに与えられる熱量が多い(すなわち、定着ローラの温度が高い)程短くなる。
省エネルギーモードにおける定着ローラの温度(制御目標温度)は待機モードに比べて低い値に設定されるので、圧縮永久歪みが発生する時間も省エネルギーモードのほうが長くなる。したがって、単純に考えれば、省エネルギーモードにおけるニップ位置変更動作(「圧縮永久歪防止回転動作」ともいう。)のインターバル(実行間隔)を、待機モードにおけるそれよりも長く設定すればよいといえる。
ところが、本発明者の検討の結果、このような単純な制御では次のような問題が起きることが判明した。待機モードから省エネルギーモードに切り替わると、定着ローラの制御温度が待機モード設定温度(第1温度)から省エネルギーモード設定温度(第2温度)に変更される。しかしこのとき、定着ローラの実際の温度は、ただちに第2温度まで下がるわけではなく、第1温度からゆるやかに第2温度に変化することとなる。図2は、画像形成装置の状態遷移(横軸)と定着ローラの制御目標温度(縦軸;破線)および検出温度(縦軸;実線)を示している。このグラフから、定着ローラが第2温度で平衡な状態となるまでに、時間Tを要することがわかる。したがって、モード切替と同時にニップ位置変更インターバルを第1温度用の値から第2温度用の値に切り替えてしまうと、モード切替時刻から時間Tが経過するまでの区間において、圧縮永久歪みが発生するおそれがでてくる。
そこで本実施形態では、モード切替と同時にニップ位置変更インターバルを切り替えるのではなく、定着ローラの実際の温度に応じてインターバルを変更する。これにより、待機モードから省エネルギーモードに切り替わってから定着ローラの温度が第2温度に到達するまでの区間においても、圧縮永久歪みを抑制し得る適切なタイミングでニップ位置変更動作を実行できる。また、ニップ位置変更動作の頻度を最適化できるので、圧縮永久歪みの抑制と消費電力の低減を両立し、かつ、電源部品への負荷軽減を図ることができる。
このようなニップ位置変更制御は、ローラの検出温度に基づいて行ってもよいが、本実施形態ではモード切替からの経過時間に応じてインターバルが段階的に長くなるように変化させる方法を採用する。これにより検出温度(アナログ値)を使うよりもノイズの影響を受けづらくなるとともに、タイマ制御だけで済むので処理を簡単化できる。なお、経過
時間とローラ温度変化の相関は、実験等により予め求めておけばよい。
図3に、本発明の実施形態におけるニップ位置変更制御の一例を示す。この図は、待機モード→プリントモード→待機モード→省エネルギーモードと順次切り替わった時のニップ位置変更制御を示すタイムチャートである。
(1)待機モードでは、定着ローラは画像形成可能な待機モード設定温度(第1温度)に保たれている。このとき、定着モータ駆動電源はオンになっており、定着モータへの電力は供給状態にある。そして、5分のインターバルで定着モータが定着ローラを駆動し、ニップ位置変更動作が実行される。
(2)プリントモードでは、定着ローラは常に回転しているため、ニップ位置変更動作は不要である。
(3)プリントが終了し、待機モードに切り替わると、定着モータが停止し定着ローラの回転が止まる。そして、(1)と同様、5分間隔でニップ位置変更動作が実行される。
(4)待機モードのまま所定時間経過すると、自動的に省エネルギーモードに切り替わる。省エネルギーモードでは、定着モータ駆動電源がオフになり、定着モータへの電力供給が遮断される。また、タイマが起動し、モード切替からの経過時間の計測を開始する。この経過時間が30分未満の場合には、待機モードの場合と等しい5分のインターバルで駆動電源が起動されニップ位置変更動作が実行される。そして30分以上経過した場合には、インターバルが10分に変更され、以後10分間隔でニップ位置変更動作が実行されることになる。
では、上記制御を実行する画像形成装置の具体的な構成について詳しく説明する。
<画像形成装置の構成>
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示している。この画像形成装置は電子写真記録方式の複写機であり、原稿の画像を読み取る原稿読取部1Rとシートに画像を出力する画像出力部1Pから構成されている。
画像出力部1Pは大別して、画像形成部10(4つのステーションa,b,c,dが並設されており、それらの構成は同一である。)、給紙ユニット20、中間転写ユニット30、定着ユニット40及び制御ユニット(図6)から構成される。
画像形成部10は次に述べるような構成になっている。像担持体としての感光ドラム11a,11b,11c,11dがその中心で軸支され、矢印方向に回転駆動される。感光ドラム11a〜11dの周囲には、感光ドラム回転方向に沿って、一次帯電器12a,12b,12c,12d、光学系13a,13b,13c,13d、現像装置14a,14b,14c,14dが配置されている。
給紙ユニット20は,シートPを収納するためのカセット21a,21b、手差しトレイ27、カセット内もしくは手差しトレイよりシートPを一枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22a,22b,26、各ピックアップローラから送り出されたシートPをレジストローラまで搬送するための給紙ローラ対23及び給紙ガイド24、そして画像形成部の画像形成タイミングに合わせてシートPを二次転写領域Teへ送り出すためのレジストローラ25a,25bから成る。
中間転写ユニット30について詳細に説明する。中間転写ベルト31は、例えば、PE
T[ポリエチレンテレフタレート]またはPVdF[ポリフッ化ビニリデン]などの材料から製せられる中間転写体である。中間転写ベルト31は、中間転写ベルト31に駆動力を伝達する駆動ローラ32、ばね(不図示)の付勢によって中間転写ベルト31に適度な張力を与えるテンションローラ33、ベルトを挟んで二次転写領域Teに対向する従動ローラ34に巻回される。これらのうち駆動ローラ32とテンションローラ33の間に一次転写平面Aが形成される。駆動ローラ32は金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタンまたはクロロプレン)をコーティングしてベルトとのスリップを防いでいる。駆動ローラ32はパルスモータ(不図示)によって回転駆動される。各感光ドラム11a〜11dと中間転写ベルト31との接触部分である一次転写領域Ta〜Tdには、中間転写ベルト31の裏に一次転写ブレード(一次転写帯電器)35a〜35dが配置されている。従動ローラ34に対向して二次転写ローラ36が配置され、中間転写ベルト31とのニップによって二次転写領域Teを形成する。二次転写ローラ36は中間転写ベルト31に対して適度な圧力で加圧されている。
中間転写ベルト上、二次転写領域Teの下流には中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニング装置50が配される。クリーニング装置50は、クリーナーブレード51(材質としては、ポリウレタンゴムなどが用いられる)および廃トナーを収納する廃トナーボックス52から成る。
定着ユニット(定着手段)40は、互いに圧接する一対の回転体である定着ローラ41aと加圧ローラ41bを備える。また、定着ユニット40は、上記ローラ対のニップ部へシートPを導くためのガイド43、上記ローラ対から排出されてきたシートPをさらに装置外部に導き出すための内排紙ローラ44、外排紙ローラ45などを備える。
制御ユニットは、上記各ユニット内の機構の動作を制御するための制御基板やモータドライブ基板などから成る。
なお、定着ユニット40と制御ユニットについては、後ほど別図を参照して詳しく説明する。
<画像形成動作>
次に、カセット21aに収納されたシートPに画像形成を行う場合を例に挙げて、画像形成動作を説明する。
画像形成動作開始信号が発せられると、まずピックアップローラ22aにより、カセット21aからシートPが一枚ずつ送り出される。そして給紙ローラ対23によってシートPが給紙ガイド24の間を案内されてレジストローラ25a,25bまで搬送される。その時レジストローラは停止状態にあり、シート先端はニップ部に突き当たる。その後、画像形成部10が画像の形成を開始するタイミングに合わせてレジストローラ25a,25bは回転を始める。この回転開始タイミングは、シートPと画像形成部10で中間転写ベルト31に一次転写されたトナー画像とが二次転写領域Teにおいてちょうど一致するように設定されている。
一方、画像形成部10では、画像形成動作開始信号が発せられると、一次帯電器12a〜12dが感光ドラム11a〜11dに電荷を与えて、その表面を均一に帯電させる。次いで光学系13a〜13dが記録画像信号に応じて変調した光線(例えばレーザービーム)を感光ドラム11a〜11d上に露光することによって、そこに静電潜像が形成される。さらに、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックといった4色の現像剤(トナー)をそれぞれ収納した現像装置14a〜14dが上記静電潜像を顕像化する。顕像化された可視画像は、画像転写領域Ta,Tb,Tc,Tdにおいて中間転写体に転写される。画像転
写領域Ta〜Tdの下流側では、クリーニング装置15a,15b,15c,15dが、中間転写体に転写されずに感光ドラム11a〜11d上に残されたトナーを掻き落としてドラム表面を清掃する。以上のプロセスにより、各トナーによる画像形成が順次行われる。
そして、中間転写ベルト31の回転方向において一番上流にある感光ドラム11d上に形成されたトナー画像が、高電圧が印加された一次転写ブレード35dによって一次転写領域Tdにおいて中間転写ベルト31に一次転写される。一次転写されたトナー像は次の一次転写領域Tcまで搬送される。ステーションcでは、ステーションdに比して、トナー像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われている。よって、一次転写領域Tcでは、先に転写されたトナー像の上にレジストを合わせて次のトナー像が転写されることになる。以下も同様の工程が繰り返され、その結果、4色のトナー像が中間転写ベルト31上に重ね合わされる。
シートPが二次転写領域Teに進入するタイミングに合わせて二次転写ローラ36に高電圧が印加される。そして中間転写ベルト上に形成された4色のトナー画像がシートPの表面に転写される。その後シートPは搬送ガイド43によって定着ユニット40のニップ部まで案内される。そして定着ローラ41aと加圧ローラ41bのニップ部で熱および圧力が付与され、トナー画像がシート表面に定着される。その後、シートPは、内外排紙ローラ44、45により搬送され、機外に排出される。
<定着ユニットの構成>
図5は、定着ユニット40のローラ対の断面を示している。
定着ローラ41aはゴムローラであり、円筒状の芯金103と、この芯金103に巻きつけられたゴム層とからなる。また、加圧ローラ41bもゴムローラであり、円筒状の芯金104と、この芯金104に巻きつけられたゴム層とからなる。ゴム層の素材にはシリコンゴム等が好ましく、その層厚は比較的厚く形成される。芯金103,104の素材には、ステンレス、アルミニウム、銅等の熱伝導性の良いものが好ましい。
定着ローラ41aの内部には、第1加熱源である定着ヒータ105が設けられる。定着ヒータ105には、ハロゲンヒータを好適に採用できる。定着ヒータ105は、通電により熱を発し、芯金103を暖める。芯金103は、定着ヒータ105より供給された熱を定着ローラ41aに伝達する事により定着ローラ41aを暖める役割をしている。
加圧ローラ41bの内部には、第2加熱源である保温ヒータ106が設けられる。つまり、本実施形態の定着ユニット40は回転体(定着ローラ41a、加圧ローラ41b)を加熱する複数の加熱源(定着ヒータ105、保温ヒータ106)を有する。保温ヒータ106にもハロゲンヒータを採用することが好ましい。
定着ローラ41aの周囲には、第1表面温度センサ107と第2表面温度センサ108が配される。第1表面温度センサ107は、定着ローラ41aの軸方向中央部の表面温度を測定するものである。制御ユニットは、第1表面温度センサ107の出力に基づいて定着ヒータ105の点灯/消灯を制御し、定着ローラ41aを所定の制御温度に保っている。第2表面温度センサ108は、定着ローラ41aの軸方向端部の表面温度を測定するものである。この第2表面温度センサ108は、第1表面温度センサ107の故障等で表面温度を正しく測定できなくなった時に、定着ローラ41aが過剰加熱されて定着ユニット40が故障することを未然に防止する役割を持っている。
<制御ユニット>
図6は、本実施形態の画像形成装置を制御する制御ユニットの構成を示すブロック図である。制御ユニットは、CPU(中央演算処理装置)501、イメージリーダー制御部502、画像信号制御部503、プリンタ制御部504、ROM(Read Only Memory)505、RAM(Random Access Memory)506、操作パネル制御部507、A/D変換器508、電源スイッチ509を備える。
CPU501は、ROM505に格納されているプログラムを実行することにより、イメージリーダー制御部502を通じて原稿読み取り部1Rを制御する。画像信号制御部503は、原稿読み取り部1Rで読み取られた原稿の画像データ、もしくは、ネットワークを通じて入力された画像データを蓄積し、プリンタ制御部504にプリントデータを出力する。CPU501は、操作パネル制御部507を介して、操作パネル(不図示)を制御する。CPU501は、A/D変換器508を通じて、前述した第1,第2表面温度センサ107,108のアナログ出力をディジタルデータへ変換することにより、定着ローラ41aの表面温度を検知する。また、CPU501は、電源スイッチ509により定着モータ駆動電源の起動/停止を行い、定着ユニット40を含む各構成要素を駆動するための電力の供給/遮断を適宜制御する。
図7は、ROM505およびRAM506の領域割付を示している。
ROM505の記憶領域601は、プログラムが格納されたプログラム領域603、プログラム実行に必要な固定パラメータが格納された固定パラメータ領域604、複数のニップ位置変更(圧縮永久歪防止回転)インターバルが登録されているインターバルテーブル(TblRotIntvl)が格納された領域605、および、ニップ位置変更インターバルの切
替時間(閾値データ)(TblRotChng)が格納された領域606を含む。本実施形態では、切替時間TblRotChngの例として「30分」なる値が格納されている。
RAM506の記憶領域602は、プログラム実行に必要なスタック領域607および変数領域608、前回のニップ位置変更動作が実行されてからの経過時間のカウントに用いられるインターバルタイマ(TimeRotIntvl)用の領域609、待機モードから省エネルギーモードに切り替わってからの経過時間のカウントに用いられるインターバル切替タイマ(TimeRotChng)用の領域610、ならびに、ニップ位置変更インターバル(TimeUpRotIntvl)の値が格納されるタイムアップカウント用領域611を含む。インターバルタイ
マTimeRotIntvlは、ニップ位置変更動作の実行タイミングを計るためのタイマであり、インターバル切替タイマTimeRotChngは、ニップ位置変更インターバルTimeUpRotIntvlの値
、つまりニップ位置変更動作の実行間隔を変更するタイミングを計るためのタイマである。
<定着ユニットの温度制御>
図8は、定着ユニットの温度制御アルゴリズムを示すフローチャートである。この処理は、CPU501(プログラム)によって実行される。
画像形成装置の電源が投入されると、定着ユニットの制御目標温度格納変数Trefに初期値「190℃」が格納される(ステップ701)。画像形成装置の状態(モード)に変化があると(ステップ702)、制御目標温度テーブルからモードに応じた制御目標温度を読み出し、その値を変数Trefに格納する(ステップ703)。
図9に、制御目標温度テーブルの一例を示す。このテーブルは、画像形成装置のモードと制御目標温度(設定温度)とを対応付けたものである。本実施形態の画像形成装置は、プリント準備動作をしている状態のウォームアップモード、プリント可能な状態の待機モード、プリント実行状態のプリントモード、消費電力を最小にした状態の省エネルギーモ
ード、緊急停止モードを有する。プリントモードは、プリント開始モード、プリント2モード、プリント3モード、プリント4モードを含み、プリント開始からの経過時間に応じて段階的に移行する。そして、各モードに対応する設定温度は、ウォームアップモードまたは待機モードのときに「190℃」、プリント開始モードのときに「193℃」、プリント2〜プリント4モードは順に「180℃」「174℃」「164℃」、省エネルギーモードのときに「160℃」、緊急停止モードのときに「0℃」となっている。省エネルギーモードの設定温度は、プリント可能温度(約170℃)よりも低いが、比較的小さいエネルギー付与でプリント可能温度に到達し得る値に設定されている。
変数Trefに制御目標温度を設定した後、A/D変換器508を介して得た第1表面温度センサ107の出力値(検出温度)を変数Tsnsに格納する(ステップ704)。次に、変数Trefの値(制御目標温度)と変数Tsnsの値(検出温度)を比較し(ステップ705)、検出温度が制御目標温度以下であればヒータ点灯シーケンスを実行して定着ヒータ105と保温ヒータ106を点灯させる(ステップ707)。一方、検出温度が制御目標温度を上回っている時には、定着ヒータ105、保温ヒータ106は点灯しない(ステップ706)。
以上述べた温度制御によって、定着ユニット40の定着ローラ41aおよび加圧ローラ41bは、モードに応じた適切な温度に制御される。待機モードでは定着ユニット40のローラが画像形成可能な190℃(第1温度)に保たれるので、ただちに画像形成を実行することができる。また、省エネルギーモードでは、第1温度よりも低い160℃(第2温度)に保たれるので、消費電力を低く抑えることができる。さらに、この第2温度は上述したプリント可能温度よりもやや低いだけなので、省エネルギーモードからの復帰に要するエネルギーも小さくなり、全体としての消費電力効率も向上する。しかも、短時間で復帰できるので、復帰待ち時間を小さくでき、利便性の向上にもつながる。
なお、定着ユニット40は、定着ヒータ105と保温ヒータ106の2つの加熱源を有しているので、設定温度の高い待機モード、プリントモード等では両方のヒータをローラの加熱に使用し、設定温度の低い省エネルギーモードでは片方のヒータ(たとえば定着ヒータ105)のみを使用するようにすることも好ましい。加熱源の数を減らすことで、省エネルギーモードでの消費電力を一層低減することができる。
<ニップ位置変更制御>
図10に、ROM505に格納されているインターバルテーブルTblRotIntvlの一例を
示す。このテーブルは、画像形成装置のモードとニップ位置変更インターバルとを対応付けたものである。本例では、待機モードのインターバルとして「5分」なる値が、省エネルギーモードのインターバルとして「10分」なる値が設定されている。
図11は、ニップ位置変更制御アルゴリズムを示すフローチャートである。この処理は、CPU501(プログラム)によって一定時間おきに繰り返し実行されるものである。CPU501のこの機能が、本発明の制御手段に対応する。
まず、現在の画像形成装置が待機モードもしくは省エネルギーモードにあるか調べる(ステップ1001)。
待機モードでも省エネルギーモードでもない時は、プリント中もしくはウォームアップ中で定着モータが回転しているか、ジャム等の緊急停止で定着ヒータが点灯していない状態である。この場合はニップ位置変更動作(圧縮永久歪防止回転)を行う必要が無いため、インターバルタイマTimeRotIntvlを0にリセットして終了する(ステップ1003)。
待機モードもしくは省エネルギーモードの時は、インターバルタイマTimeRotIntvlを1増やす(ステップ1002)。そして、待機モードか省エネルギーモードかで処理が分かれる(ステップ1004)。
(待機モードの場合)
待機モードの時は、インターバルテーブルTblRotIntvlから待機モード用のインターバ
ルを読み込み、その値「5分」をニップ位置変更インターバルTimeUpRotIntvlにセットする(ステップ1008)。続いて、インターバルタイマTimeRotIntvlの値がニップ位置変更インターバルTimeUpRotIntvlの値に達しているか否かを判断し(ステップ1009)、達している時は定着モータを1秒間回転させるとともに(ステップ1015)、インターバルタイマTimeRotIntvlをリセットして終了する(ステップ1014)。なお、インターバルタイマTimeRotIntvlの値がニップ位置変更インターバルTimeUpRotIntvlの値よりも小さいときは、そのまま終了する。
このような処理により、待機モードにおいては5分間隔でニップ位置変更動作が実行され、圧縮永久歪みの発生が抑制される。
なお、説明をわかりやすくするために、ニップ位置変更インターバルTimeUpRotIntvlへの設定値を「5分」と記載したが、実際のプログラムでは、インターバルタイマTimeRotIntvlでのカウント単位にあわせた「5分相当値」が設定される。例えば、図11の処理が1秒に1回実行されるならば、1秒ごとにカウントアップされるので、ニップ位置変更インターバルTimeUprotIntvlには「300(=5×60秒)」なる値が設定される。
(省エネルギーモードの場合)
省エネルギーモードの時は、まず、インターバル切替タイマTimeRotChngの値がニップ
位置変更インターバルの切替時間TblRotChngの値に達しているか否かを判断する(ステップ1005)。インターバル切替タイマTimeRotChngは、後述する経過時間計測アルゴリ
ズムによって計測される値であり、待機モードから省エネルギーモードに切り替わってからの経過時間に対応する。また、切替時間TblRotChngは、ニップ位置変更インターバルTimeUpRotIntvlを変更するタイミングを規定する閾値である。このステップ1005の処理により、モード切替からの経過時間が30分以上経過したかどうかを判断している。
経過していない場合は、インターバルテーブルTblRotIntvlから待機モード用のインタ
ーバルを読み込み、その値「5分」をニップ位置変更インターバルTimeUpRotIntvlにセットし(ステップ1006)、経過している場合は、省エネルギーモード用のインターバル「10分」をセットする(ステップ1007)。つまり、モード切替後30分間は、待機モードの場合と等しいインターバル(5分)で、それ以降は、待機モードの場合よりも長いインターバル(10分)で、ニップ位置変更動作を実行することになる。
続いて、インターバルタイマTimeRotIntvlの値がニップ位置変更インターバルTimeUpRotIntvlの値に達しているか否かを判断する(ステップ1010)。達している時は、まず定着モータの駆動電源を起動し(ステップ1011)、定着モータを1秒間回転させた後に(ステップ1012)、再び駆動電源を停止する(ステップ1013)。そして、インターバルタイマTimeRotIntvlをリセットして終了する(ステップ1014)。一方、達していない時は、ニップ位置変更動作を実行せずに、そのまま終了する。
なお、定着モータを1秒回転する事により、定着ローラは8分の1周回転する。つまり、ニップ位置変更動作におけるローラの回転角は約45度であり、360度よりも小さい。
このようなニップ位置変更制御により、所定のインターバルおきに定着ローラと加圧ローラのニップ位置がずれていくので、圧縮永久歪みの発生が抑制される。
<経過時間計測アルゴリズム>
図12は、経過時間計測アルゴリズムを示すフローチャートである。この処理は、CPU501(プログラム)によって一定時間ごとに繰り返し実行される。CPU501のこの機能が本発明の計時手段に対応する。
まず、画像形成装置が省エネルギーモードにあるかどうか判断する(ステップ1101)。省エネルギーモードである場合は、インターバル切替タイマTimeRotChngの値に1を
加算する(ステップ1102)。一方、省エネルギーモードでない場合は、インターバル切替タイマTimeRotChngを0にリセットする(ステップ1103)。この処理によって、
モード切替からの経過時間を計測することができる。
以上述べた本実施形態の構成によれば、待機モードから省エネルギーモードに移行した時に定着ローラの実際の温度に応じたインターバルでニップ位置変更動作が実行されるので、圧縮永久歪みが効果的に抑制される。また、省エネルギーモードにおいて定着モータ駆動電源をオフにするので消費電力を低減できる。しかも、定着ローラの温度が低下した後はニップ位置変更動作の頻度が減るので、駆動電源の起動/停止の繰り返しによる電源部品の劣化を最小限に抑えることもできる。
なお、上記実施形態は本発明の一具体例を例示したものにすぎない。本発明の範囲は上記実施形態に限られるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
たとえば、上記実施形態では、省エネルギーモードにおけるニップ位置変更インターバルの切替を一段階しか行わないが、インターバルテーブルTblRotIntvlのデータ数を増や
して(たとえば、5分、8分、10分)、インターバル切替を二段階以上行うようにすることも好ましい。
また、上記実施形態では、経過時間に基づいてインターバルを切り替えているが、第1表面温度センサ107で測定した検出温度に基づいてインターバルを切り替えるようにしてもよい。
定着ローラの温度と圧縮永久歪み発生時間の関係を示すグラフ。 画像形成装置の状態遷移と定着ローラの温度を示すグラフ。 ニップ位置変更制御の一例を示すタイミングチャート。 画像形成装置の構成を示す断面図。 定着ユニットの構成を示す断面図。 制御ユニットの構成を示すブロック図。 ROMおよびRAMの領域割付を示す図。 温度制御アルゴリズムを示すフローチャート。 制御目標温度テーブルの一例を示す図。 インターバルテーブルの一例を示す図。 ニップ位置変更制御アルゴリズムを示すフローチャート。 経過時間計測アルゴリズムを示すフローチャート。
符号の説明
10 画像形成部
20 給紙ユニット
30 中間転写ユニット
40 定着ユニット(定着手段)
41a 定着ローラ(回転体)
41b 加圧ローラ(回転体)
50 クリーニング装置
103,104 芯金
105 定着ヒータ(加熱源)
106 保温ヒータ(加熱源)
107 第1表面温度センサ
108 第2表面温度センサ
501 CPU(制御手段,計時手段)
509 電源スイッチ

Claims (9)

  1. 待機モードおよび省エネルギーモードを有する画像形成装置であって、
    互いに圧接する一対の回転体によりシートに画像を定着する定着手段と、
    待機モードもしくは省エネルギーモードの場合に、前記回転体を回転させてニップ位置を変更するニップ位置変更動作を所定の時間間隔で実行する制御手段と、
    待機モードから省エネルギーモードに切り替わってからの経過時間を計測する計時手段と、を備え、
    前記制御手段は、省エネルギーモードの場合に、前記経過時間に応じて前記ニップ位置変更動作の実行間隔を変化させる
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 省エネルギーモードでは、少なくとも前記ニップ位置変更動作を実行する場合を除き、前記回転体を駆動するための電力が遮断される
    ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記待機モードでは、前記回転体は画像形成可能な第1温度に保たれ、
    省エネルギーモードでは、前記回転体は前記第1温度よりも低い第2温度に保たれる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
  4. 前記定着手段は、前記回転体を加熱する複数の加熱源を有し、
    省エネルギーモードにおいて加熱に使用される加熱源の数が、待機モードの場合よりも少ない
    ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、省エネルギーモードの場合に、前記経過時間に応じて前記ニップ位置変更動作の実行間隔を段階的に長くする
    ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
  6. 省エネルギーモードにおける前記ニップ位置変更動作の実行間隔が、待機モードの場合と等しいかそれよりも長い
    ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
  7. 省エネルギーモードにおける前記ニップ位置変更動作の実行間隔が、前記経過時間が閾値に達するまで待機モードの場合と等しい
    ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
  8. 前記ニップ位置変更動作における回転体の回転角は360度よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
  9. 前記定着手段は、前記回転体を加熱するハロゲンヒータを有し、
    前記回転体は、前記ハロゲンヒータの熱を伝達する円筒状の芯金と、前記芯金に巻きつけられたゴム層とを有する
    ことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
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