JP2005344830A - 遠心式シュークラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 遠心式シュークラッチの外径・クラッチシューの重量及び個数・摩擦材の材質等を全く変えることなく、より大きなトルク容量を得ること。
【解決手段】 遠心式シュークラッチ1は、駆動軸3に一体回転可能に固定された駆動板4にそれぞれ支軸6を介して取付けられた3個のクラッチシュー5と、その外周に取付けられた摩擦材7と、クラッチシュー5の外周を被駆動側ハウジング2の内周から離すように付勢するクラッチばね8とを具備し、駆動軸3の中心とクラッチシュー5の支軸6の中心とを結ぶ直線αと、駆動軸3の中心と摩擦材7の長さ方向の中心とを結ぶ直線βとの成す角度θが、33°になるように摩擦材7が貼り付けられている。即ち、2°≦θ≦35°である。このように配置することによって、従来品(36°≦θ≦82°)より大きなトルク容量が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、遠心力を利用して駆動軸のトルクを周囲の被駆動側ハウジング(ドラム)に伝達する遠心式シュークラッチに関するものであり、特に従来のものより大きなトルクを発生させることができる、湿式でも乾式でも用いることができる遠心式シュークラッチに関するものである。
駆動源に連結された入力軸(駆動軸)に駆動板が固着され、駆動軸と同心にかつ相対回転自在に出力軸に連結された円筒状ドラムが配置され、駆動軸と平行な複数の支軸によってドラム内周面に対する近接・離間を可能にして駆動板に支持された複数のクラッチシューに、ドラム内周面から離間する方向のばね力を発揮するクラッチばねが接続されてなる遠心式シュークラッチが、小排気量の自動二輪車等に用いられている。かかる遠心式シュークラッチは、その運転の容易さから大排気量車への採用が検討されているが、この場合遠心式シュークラッチのクラッチ容量(トルク容量)を大きくすることが必要となる。
遠心式シュークラッチのトルク容量を大きくするには、クラッチシューの重量を増加させたり、クラッチシューの設置個数を増やしたり、ドラム径を大きくしたり、クラッチシューの外周に取付けられる摩擦材の摩擦係数を大きくする等の手段が考えられる。例えば、図4に示されるように、特許文献1に記載された発明にかかる遠心クラッチ21においては、駆動板24の表裏にそれぞれ3個ずつのクラッチシュー25A,25Bを取付けることによってクラッチシューの設置個数を倍に増やし、トルク容量を大きくしている。図4は従来の遠心式シュークラッチの全体構造を示す正面図である。
特公平7−65633号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明にかかる遠心式シュークラッチのようにクラッチシューの設置個数を増やした場合には、部品数も増大して組立てに要する時間も長くなるため、著しくコストアップしてしまう。また、クラッチシューの重量を増加させた場合には、その重量増加に応じた遠心力の増大によってドラム及び駆動板に局部的に大きな荷重が集中してしまうため、この集中荷重に耐えるべく駆動板及びドラムの剛性を高くする必要があり、全体重量も増加する。しかも、クラッチシューの重量増加に応じてクラッチばねのばね荷重も高くする必要があり、ばね荷重の設定に無理が生じる。さらに、ドラム径を大きくして対応するとドラム強度上不利となるばかりか、遠心式シュークラッチの外径が大きくなって設置スペースを大きく取らなければならないという問題点があった。
そこで、本発明は、遠心式シュークラッチの外径・クラッチシューの重量及び個数・摩擦材の材質等を全く変えることなく、より大きなトルク容量を得ることができる遠心式シュークラッチを提供することを課題とするものである。
請求項1の発明にかかる遠心式シュークラッチは、駆動軸に一体回転可能に固定された駆動板にそれぞれ支軸を介して回動可能に取付けられた複数のクラッチシューと、前記クラッチシューの外周に取付けられた摩擦材と、前記クラッチシューの外周を前記駆動軸の周囲に同軸に配置された被駆動側ハウジングの内周から離すように付勢するクラッチばねとを具備する遠心式シュークラッチであって、前記クラッチシューごとに前記クラッチシューの外周の前記支軸に近接した位置に前記摩擦材が取付けられているものである。
請求項2の発明にかかる遠心式シュークラッチは、請求項1の構成において、前記クラッチシューごとに、前記駆動軸の中心と前記クラッチシューの支軸の中心とを結ぶ直線と、前記駆動軸の中心と前記摩擦材の長さ方向の中心とを結ぶ直線との成す角が、2度以上35度以下になるように前記摩擦材が取付けられているものである。
請求項3の発明にかかる遠心式シュークラッチは、請求項1または請求項2の構成において、前記クラッチシューごとに前記クラッチシューの外周の前記支軸に最も近い位置に前記摩擦材が取付けられているものである。
請求項1の発明にかかる遠心式シュークラッチは、駆動軸に一体回転可能に固定された駆動板にそれぞれ支軸を介して取付けられた複数のクラッチシューと、クラッチシューの外周に取付けられた摩擦材と、クラッチシューの外周を駆動軸の周囲に同軸に配置された被駆動側ハウジングの内周から離すように付勢するクラッチばねとを具備する遠心式シュークラッチであって、クラッチシューごとにクラッチシューの外周の支軸に近接した位置に摩擦材が取付けられているものである。
クラッチシューの数には2個、3個等があるが、従来の遠心式シュークラッチではクラッチシューの外周の支軸から離れた位置に摩擦材が取付けられていた。そして、より大きなトルク容量が必要になったときには、遠心式シュークラッチの外径を大きくするか、クラッチシューの重量を重くするかまたは個数を増やすか、或いはより高い摩擦係数を有する摩擦材を新たに開発する、といった方法で対処していた。そこで、本発明者は鋭意実験研究の結果、摩擦材を支軸に接近した位置に取付けることによって、駆動軸の回転数が同じでもより大きなトルクを発生させられることを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至ったものである。この理由としては、摩擦材を支軸から離れた位置に取付けていた従来の遠心式シュークラッチと比べて、摩擦材を支軸に接近した位置に取付けたことによって遠心力による面圧が上昇して、被駆動側ハウジングを回転させようとする力が大きくなったものと考えられる。
このようにして、遠心式シュークラッチの外径・クラッチシューの重量及び個数・摩擦材の材質等を全く変えることなく、より大きなトルク容量を得ることができる遠心式シュークラッチとなる。
請求項2の発明にかかる遠心式シュークラッチにおいては、クラッチシューごとに、駆動軸の中心とクラッチシューの支軸の中心とを結ぶ直線と、駆動軸の中心と摩擦材の長さ方向の中心とを結ぶ直線との成す角(以下、「角度θ」という。)が、2度以上35度(2°以上35°)以下になるように摩擦材が取付けられている。即ち、2°≦θ≦35°である。従来の遠心式シュークラッチでは、36°≦θ≦82°であった。そして、より大きなトルク容量が必要になったときには、遠心式シュークラッチの外径を大きくするか、クラッチシューの重量を重くするかまたは個数を増やすか、或いはより高い摩擦係数を有する摩擦材を新たに開発する、といった方法で対処していた。
そこで、本発明者は鋭意実験研究の結果、上記角度θを2°≦θ≦35°の範囲内とすることによって、遠心式シュークラッチの外径・クラッチシューの重量及び個数・摩擦材の材質等を全く変えることなく、駆動軸の回転数が同じでもより大きなトルク容量(最大で従来品の約6倍)が得られることを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至ったものである。この理由としては、従来の角度θが60°程度の場合に比べて、角度θを2°≦θ≦35°の範囲内とすることによって、摩擦材が支軸に接近した位置に取付けられるため遠心力による面圧が上昇して、被駆動側ハウジングを回転させようとする力が大きくなったものと考えられる。
このようにして、遠心式シュークラッチの外径・クラッチシューの重量及び個数・摩擦材の材質等を全く変えることなく、より大きなトルク容量を得ることができる遠心式シュークラッチとなる。
請求項3の発明にかかる遠心式シュークラッチにおいては、クラッチシューごとにクラッチシューの外周の支軸に最も近い位置に摩擦材が取付けられている。このように摩擦材を支軸に最も接近した位置に取付けることによって、駆動軸の回転数が同じでも最も大きなトルクを発生させることができる。この理由としては、摩擦材を支軸から離れた位置に取付けていた従来の遠心式シュークラッチと比べて、摩擦材を支軸に最も接近した位置に取付けたことによって遠心力による面圧が上昇して、被駆動側ハウジングを回転させようとする力が最も大きくなったものと考えられる。
このようにして、遠心式シュークラッチの外径・クラッチシューの重量及び個数・摩擦材の材質等を全く変えることなく、より大きなトルク容量を得ることができる遠心式シュークラッチとなる。
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態にかかる遠心式シュークラッチの全体構造を示す正面図である。図2は本発明の実施の形態の変形例にかかる遠心式シュークラッチの全体構造を示す正面図である。図3は本発明の実施の形態にかかる遠心式シュークラッチのトルク容量を従来品と比較して示した図である。
図1に示されるように、本実施の形態にかかる遠心式シュークラッチ1は、中心の駆動軸3に駆動板4が一体回転可能に固定されており、この駆動板4に3個のクラッチシュー5がそれぞれ支軸6を介して回動可能に取付けられている。これらクラッチシュー5の外周の支軸16に最も近い位置には、出力側となるハウジング2の内周と接触可能に摩擦材7がそれぞれ貼り付けられており、さらに非結合時にはクラッチシュー5の外周をハウジング2の内周から離すように付勢するクラッチばねとしてのスプリング8がそれぞれ取付けられている。また、図では説明のために一部が省略されているが、3本の支軸6を繋ぐようにリング状のプレート9が取付けられており、それぞれクリップ10で固定されている。
そして、本実施の形態にかかる遠心式シュークラッチ1においては、駆動軸3の中心とクラッチシュー5の支軸6の中心とを結ぶ直線αと、駆動軸3の中心と摩擦材7の長さ方向の中心とを結ぶ直線βとの成す角度θが、33°になるように摩擦材7が貼り付けられている。即ち、2°≦θ≦35°である。
次に、本実施の形態の変形例にかかる遠心式シュークラッチについて、図2を参照して説明する。図2に示されるように、本実施の形態の変形例にかかる遠心式シュークラッチ11は、中心の駆動軸13に駆動板14が一体回転可能に固定されており、この駆動板14に2個のクラッチシュー15がそれぞれ支軸16を介して回動可能に取付けられている。これらクラッチシュー15の外周の支軸16に最も近い位置には、出力側となるハウジング12の内周と接触可能に摩擦材17がそれぞれ貼り付けられており、さらに非結合時にはクラッチシュー15の外周をハウジング12の内周から離すように付勢するクラッチばねとしてのスプリング18がそれぞれ取付けられている。また、図では説明のために一部が省略されているが、2本の支軸16を繋ぐようにリング状のプレート19が取付けられており、それぞれクリップ20で固定されている。
そして、本実施の形態の変形例にかかる遠心式シュークラッチ11においても、駆動軸13の中心とクラッチシュー15の支軸16の中心とを結ぶ直線αと、駆動軸13の中心と摩擦材17の長さ方向の中心とを結ぶ直線βとの成す角度θが、33°になるように摩擦材17が貼り付けられている。即ち、2°≦θ≦35°である。
次に、本実施の形態にかかる遠心式シュークラッチ1,11において、角度θを2°≦θ≦35°の範囲内で変化させた場合のトルク容量について、従来品の遠心式シュークラッチと比較して、図3を参照して説明する。
トルク容量の測定方法としては、テスターとしてシュークラッチテスターを用い、回転数は遠心式シュークラッチ1(3個シュー)については2850rpm、遠心式シュークラッチ11(2個シュー)については2200rpmとし、イナーシャは0.038kg・m2 、測定温度は100℃で行った。角度θ即ち摩擦材7,17の接着位置としては、θ=2°,6°,10°,20°,35°,45°,60°,80°の8点について測定した。このうち、θ=45°,60°,80°の3点については比較のための従来品である。
トルク容量の測定結果は、図3に示されるように、本発明の角度θの範囲2°≦θ≦35°に属するθ=2°,6°,10°,20°,35°においては、3個シューについても2個シューについてもトルク容量が大きく、従来品の3点についてはトルク容量がずっと小さくなっている。特に、ピークとなるθ=6°においては3個シューの場合がトルク容量14.6N・mであり、従来品の3点の平均が約3.5N・mであるから、従来品の約4倍、また2個シューの場合がトルク容量64N・mであり、従来品の3点の平均が約10N・mであるから、従来品の約6.4倍もの大きさに向上している。
本実施の形態にかかる遠心式シュークラッチ1,11についても、θ=33°であるから、それぞれ従来品の約1.5倍のトルク容量となっている。
このようにして、本実施の形態にかかる遠心式シュークラッチ1,11においては、駆動軸3の中心とクラッチシュー5の支軸6の中心とを結ぶ直線αと、駆動軸3の中心と摩擦材7の長さ方向の中心とを結ぶ直線βとの成す角度θが、2°≦θ≦35°という範囲内に入るようにすることによって、遠心式シュークラッチの外径・クラッチシューの重量及び個数・摩擦材の材質等を全く変えることなく、従来の遠心式シュークラッチより大きなトルク容量を得ることができる。
本発明を実施するに際しては、遠心式シュークラッチのその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、本実施の形態に限定されるものではない。
図1は本発明の実施の形態にかかる遠心式シュークラッチの全体構造を示す正面図である。 図2は本発明の実施の形態の変形例にかかる遠心式シュークラッチの全体構造を示す正面図である。 図3は本発明の実施の形態にかかる遠心式シュークラッチのトルク容量を従来品と比較して示した図である。 図4は従来の遠心式シュークラッチの全体構造を示す正面図である。
符号の説明
1,11 遠心式シュークラッチ
2,12 被駆動側ハウジング
3,13 駆動軸
4,14 駆動板
5,15 クラッチシュー
6,16 支軸
7,17 摩擦材
8,18 クラッチばね

Claims (3)

  1. 駆動軸に一体回転可能に固定された駆動板にそれぞれ支軸を介して回動可能に取付けられた複数のクラッチシューと、前記クラッチシューの外周に取付けられた摩擦材と、前記クラッチシューの外周を前記駆動軸の周囲に同軸に配置された被駆動側ハウジングの内周から離すように付勢するクラッチばねとを具備する遠心式シュークラッチであって、
    前記クラッチシューごとに前記クラッチシューの外周の前記支軸に近接した位置に前記摩擦材が取付けられていることを特徴とする遠心式シュークラッチ。
  2. 前記クラッチシューごとに、前記駆動軸の中心と前記クラッチシューの支軸の中心とを結ぶ直線と、前記駆動軸の中心と前記摩擦材の長さ方向の中心とを結ぶ直線との成す角が、2度以上35度以下になるように前記摩擦材が取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心式シュークラッチ。
  3. 前記クラッチシューごとに前記クラッチシューの外周の前記支軸に最も近い位置に前記摩擦材が取付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遠心式シュークラッチ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104696388A (zh) * 2014-12-27 2015-06-10 白亮 连接件推动离心式离合器
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WO2018066223A1 (ja) * 2016-10-06 2018-04-12 株式会社エフ・シー・シー 遠心クラッチ

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