JP2005343310A - 高揚力発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高揚力発生装置において、製造費用及びメンテナンス費用を格段に低減するとともに大幅な軽量化を図りながら、コアンダ効果による循環制御を実現させて高揚力を効果的に発生させる。
【解決手段】 主翼の後方に形成される噴射口Sからジェット気流を噴射させてコアンダ効果による循環制御を実現させる高揚力発生装置において、フラップ10の外皮部12をフレキシブルな構造にし、形状記憶合金製バネ20及びバイアスバネ30によりフラップ10の外皮部12の形状を制御する。巡航時にはバイアスバネ30を伸長させてフラップ10の外皮部12を主翼から滑らかに続く形状に成形し、離着陸時には形状記憶合金バネ20を収縮させて翼型部11に外皮部12を密着させることで、主翼1の後縁端2とフラップ10との間にジェット気流の噴射口Sを形成するとともに、フラップ10をコアンダ効果に適した円弧形状に成形する。
【選択図】図2

Description

本発明は、高揚力発生装置に関し、特に、コアンダ効果による循環制御を実現させて高揚力を発生させる高揚力発生装置に関する。
現在、航空機の離着陸時(低速飛行時)に高揚力を発生させるための高揚力発生装置が種々提案され、実用化されている。従来の高揚力発生装置としては、図3(a)に示すように主翼100の後縁に取り付けられたファウラフラップ200が提案されている。ファウラフラップ200は、クランク210、カム220、レール230、リンク240等からなるメカニカルな機構によって、図3(b)に示すように主翼100の後縁から後方及び下方に延出するように構成され、揚力面を増大させて高揚力を発生させるものである。
また、近年においては、主翼の後縁に沿ってスパン方向に延在する円筒体を配置し、主翼内に導いた高速のジェット気流をこの円筒体の上面から周方向に噴射することにより、コアンダ効果を利用して円筒体の外周に沿った強い循環流を発生させて高揚力を発生させる高揚力発生装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。かかる高揚力発生装置は、主翼の後縁に配置される円筒体を前後に移動させるためのメカニカルな機構を備えており、巡航時には円筒体を主翼の内部に収納して、抵抗の増大や巡航速度の低下を抑制することができる。
特開平9−11991号公報
しかし、従来の高揚力発生装置であるファウラフラップ200は、図3に示すように複雑な機構(クランク210、カム220、レール230、リンク240等)を有しているため、製造費用やメンテナンス費用が嵩むという問題がある。また、特許文献1に記載の高揚力発生装置も、主翼の後縁に配置された円筒体を移動させるための大掛かりな機構(ガイドレールやリンク等)を有しているため、製造費用やメンテナンス費用は多大なものとなる。
また、従来のメカニカルな高揚力発生装置においては、フラップ駆動用に油圧アクチュエータが多用されているが、かかる油圧アクチュエータを使用すると、配管や作動油の重量によって機体の軽量化が妨げられることとなり、しかも作動油漏れが懸念されるため信頼性にも問題があった。また、従来のメカニカルな高揚力発生装置を使用すると、フラップの駆動時に発生する構造的な間隙(ギャップ)や、フラップの端部から発生する渦に起因して、エアフレームノイズが発生する場合があった。
本発明の課題は、高揚力発生装置において、製造費用及びメンテナンス費用を格段に低減するとともに大幅な軽量化を図りながら、コアンダ効果による循環制御を実現させて高揚力を効果的に発生させることである。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、主翼の上面の後方に形成される噴射口からジェット気流を噴射させてコアンダ効果による循環制御を実現させる高揚力発生装置において、前記主翼の上面の後縁端から下方に離隔した位置に配置され円弧形状に成形された翼型部と、柔軟性を有し前記翼型部の少なくとも上面を被覆する外皮部と、を有するフラップと、前記フラップの前記外皮部の上方部分を上方に移動させて前記主翼の上面の後縁端と前記外皮部の上面とを連接させるような付勢力を前記外皮部に加えるバイアスバネと、前記フラップの前記外皮部の上方部分を下方に移動させて前記翼型部に密着させるような付勢力を前記外皮部に加える形状記憶合金製バネと、を備え、特定温度以上に加熱された前記形状記憶合金製バネの付勢力により、前記主翼の上面の後縁端と前記フラップの前記外皮部の上面との間に前記噴射口を形成するとともに、前記フラップの前記外皮部の上方部分を前記翼型部に密着させることにより前記フラップを円弧形状にすることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、主翼の上面の後縁端から若干下方に離隔した位置に配置された翼型部と、この翼型部の少なくとも上面を覆うように配置された柔軟性を有する外皮部と、を有するフラップを備えている。そして、特定温度以上に加熱された形状記憶合金製バネが、フラップの外皮部の上方部分を翼型部の上面に密着させるような付勢力を外皮部に加えることにより、主翼の上面の後縁端とフラップの外皮部の上面との間に噴射口を形成するとともに、外皮部の上方部分を翼型部に密着させることによりフラップを円弧形状にすることができる。すなわち、クランク、レール、リンク等の複雑な機構を採用することなく、形状記憶合金の特性を有効に利用して、噴射口を形成するとともに、コアンダ効果に適したフラップ形状を形成することができる。
従って、従来のメカニカルな高揚力装置と比較して、製造費用やメンテナンス費用を格段に低減することができるとともに大幅な軽量化を達成することができる。そして、主翼の上面の後方に形成された噴射口からジェット気流を、コアンダ効果に適したフラップ形状に沿って噴射させることにより、コアンダ効果による循環制御を実現させて高揚力を効果的に発生させることができる。また、可動部に起因する構造的な間隙(ギャップ)が少なくなる上に、ジェット噴射によりフラップ端部からの渦の発生が抑制されるため、従来のメカニカルな高揚力装置を採用した場合に発生し易かったエアフレームノイズを抑制することもできる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高揚力発生装置において、前記形状記憶合金製バネが前記特定温度未満まで冷却された場合に、前記バイアスバネの付勢力により、前記主翼の上面の後縁端と前記フラップの前記外皮部の上面とを連接して前記噴射口を遮蔽することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、形状記憶合金製バネが特定温度未満まで冷却された場合に、バイアスバネが、フラップの外皮部の上方部分を上方に移動させるような付勢力を外皮部に加えることにより、主翼の上面の後縁端とフラップの外皮部の上面とを連接して噴射口を遮蔽することができる。従って、高揚力が不要な高速飛行時(巡航時)において、高揚力装置に起因する抵抗を低減することができるので、航空機の巡航速度の低下や燃料消費率の増加を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の高揚力発生装置において、前記主翼の内部の下方に配置された柔軟性を有する板状体と、前記板状体を前記主翼の前後方向に移動させる板状体移動手段と、を備え、前記噴射口が形成された場合に、前記板状体移動手段が前記板状体を前記主翼の後縁側に移動させて、前記フラップの上面に前記板状体の端部を近接ないし当接させることにより、前記主翼の内部から前記噴射口へといたるジェット気流誘導面を形成することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、噴射口が形成された場合に、板状体移動手段が、主翼の内部の下方に配置された柔軟性を有する板状体を主翼の後縁側に移動させて、フラップの上面に板状体の端部を近接ないし当接させる。これにより、主翼の内部から噴射口へといたるジェット気流誘導面を形成することができ、主翼の内部のジェット気流を噴射口まで効果的に導くことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の高揚力発生装置において、前記前記板状体移動手段は、特定温度以上に加熱された場合に前記板状体を前記主翼の後縁側に移動させるような付勢力を加える形状記憶合金製バネを有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、板状体移動手段は、特定温度以上に加熱された場合に板状体を主翼の後縁側に移動させるような付勢力を加える形状記憶合金製バネを有するので、必要に応じてジェット気流誘導面を形成することができる。従って、効果的かつ安定した循環制御技術による高揚力装置の性能が確保されるとともに、製造費用の低減及び機体の軽量化に寄与することができる。
本発明によれば、形状記憶合金製バネ及びバイアスバネの付勢力を利用して、必要に応じて主翼の後縁端とフラップの上面との間における噴射口の形成・遮蔽を行うとともにフラップ形状の変形を行うことができる。従って、高揚力が必要となる離着陸時においては、噴射口を形成して、ジェット気流をコアンダ効果に適したフラップ形状に沿って噴射させることにより、コアンダ効果による循環制御を実現させて高揚力を効果的に発生させることができる。一方、高揚力が不要な巡航時においては、噴射口を遮蔽することにより、航空機の巡航速度の低下や燃料消費率の増加を抑制することができる。この結果、効果的かつ安定した循環制御技術による高揚力装置の性能が確保される。また、形状記憶合金製バネ及びバイアスバネから構成されるアクチュエータは構成が簡素かつ軽量であるため、従来のメカニカルな高揚力装置と比較して、製造費用やメンテナンス費用を格段に低減することができるとともに大幅な軽量化を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて詳細に説明する。
まず、図1及び図2を用いて、本実施の形態に係る高揚力発生装置の構成について説明する。
本実施の形態に係る高揚力発生装置は、図1に示すように、航空機の主翼1の後縁部に取り付けられたフラップ10、形状記憶合金(Shape Memory Alloys)で調製されたバネ(以下「SMAバネ」という)20、バイアスバネ30、主翼1の内部に設けられた板状体40、等を備えて構成されている。高揚力発生装置は、図2(a)に示すように、SMAバネ20及びバイアスバネ30の付勢力を利用して主翼1の後縁端2とフラップ10との間における噴射口Sの形成・遮蔽を行うとともに、フラップ10の形状の変形を行うものであり、離着陸時には噴射口Sを形成し、この噴射口Sから、コアンダ効果に適した円弧形状に変形されたフラップ10に沿ってジェット気流を噴射させてコアンダ効果による循環制御を実現させるものである。
フラップ10は、図1及び図2に示すように、翼型部11及び外皮部12を有するとともに、主翼1の後縁部にヒンジ3を介して回動自在に取り付けられており、従来型の油圧式又は電動式アクチュエータにより駆動する。
フラップ10の翼型部11は、図2に示すように、主翼1の後縁端2から若干下方に離隔した位置に配置されており、その上面は主翼1の後縁端2よりも若干下方に位置している。翼型部11の前縁部上方の曲面は、後述するコアンダ効果に適した円弧形状に成形されている。また、翼型部11の下面は、フラップ10の舵角δfが零の場合に主翼1の下面4に連続するような平坦面とされている。
フラップ10の外皮部12は、翼型部11の上面全体及び下面の一部を被覆する板状体であり、柔軟性を有する材料(ゴム材料、樹脂材料、樹脂材料を強化繊維で補強した複合材等)で調製されている。外皮部12は、図2に示すように、その一方の端部12aが翼型部11の後縁端に固着され、その他方の端部12bが翼型部11の下面側に配置され、全体として、翼型部11の上部、前縁部及び下部の一部に巻き付けられたような状態とされている。
フラップ10の翼型部11に対して外皮部12を相対移動させることにより、フラップ10の外形や翼厚を変更することができる。例えば、図2(a)に示すように、外皮部12の上方部分を翼型部11の表面に密着させることにより、フラップ10の翼厚を小さくすることができる。一方、図2(b)に示すように外皮部12の上方部分を上方に移動させることにより、フラップ10の翼厚を大きくすることができる。
SMAバネ20及びバイアスバネ30は、翼型部11に対して外皮部12を相対移動させるアクチュエータとして機能するものであり、図2に示すようにフラップ10の内部に設けられている。
SMAバネ20は、特定温度未満の低温域において低い剛性を有し、特定温度以上の高温域において高い剛性を有する「形状記憶合金」で調製された弾性体である。SMAバネ20は、図2に示すように、その一方の端部21が翼型部11の内部後方部分に固定され、その他方の端部22が連結部材60を介して外皮部12の他方の端部12bに連結されている。
SMAバネ20は、外皮部12の他方の端部12bを後方に引っ張るような付勢力を外皮部12に常時加えている。SMAバネ20の第1の付勢力は、形状記憶合金の特性により、特定温度以上の高温域において大きくなり、特定温度未満の低温域において小さくなる。
バイアスバネ30は、外皮部12の上方部分を上方に移動させるような付勢力を外皮部12に加える弾性体である。バイアスバネ30は、図2に示すように、その一方の端部31が翼型部11の内部に設けられた桁部11aに固定され、その他方の端部32が外皮部12の上方部分の内面に取り付けられている。
バイアスバネ30の付勢力は、SMAバネ20の高温域における付勢力よりも小さくなるように設定されている。このため、SMAバネ20が特定温度以上に加熱された場合には、SMAバネ20の付勢力により外皮部12の他方の端部12bが後方に引っ張られる。この結果、図2(a)に示すように、外皮部12の上方部分が翼型部11の上面に密着して、主翼1の後縁端2とフラップ10の外皮部12の上面との間に噴射口Sが形成されるとともに、フラップ10がコアンダ効果に適した円弧形状に成形される。
一方、バイアスバネ30の付勢力は、SMAバネ20の低温域における付勢力よりも大きくなるように設定されている。このため、SMAバネ20が冷却されて特定温度未満となった場合には、バイアスバネ30の付勢力により外皮部12の上方部分が上方に移動する。この結果、図2(b)に示すように、主翼1の後縁端2とフラップ10の外皮部12の上面とが連接され、噴射口Sは遮蔽されることとなる。
板状体40は、図1に示すように、主翼1の後縁側内部空間Aの下方に配置されており、柔軟性を有する材料(ゴム材料、樹脂材料、樹脂材料を強化繊維で補強した複合材等)で調製されている。板状体40は、図1に示すように、略V字状に折り曲げられてその一方の端部41が若干上方に位置するようにされており、この一方の端部41がフラップ10の前縁近傍に達している。また、板状体40の他方の端部42は、図1に示すように、板状体移動用バネ50及び連結部材70を介して、主翼1の後縁側内部空間Aに固定された構造部材5に取り付けられている。
板状体移動用バネ50は、板状体40を主翼1の後縁側に移動させるような付勢力を有するSMAバネと、このSMAバネに直列に配置され板状体40を主翼1の前縁側に移動させるような付勢力を有するバイアスバネと、から構成された弾性体である。板状体移動用バネ50は、図1に示すように、その一方の端部51が連結部材70を介して主翼1の構造部材5に連結され、その他方の端部52が板状体40の他方の端部42に取り付けられている。
板状体移動用バネ50は、特定温度未満の低温域においては、バイアスバネの付勢力がSMAバネの付勢力より大きくなるように設定しているので、バイアスバネの付勢力により伸長した状態となる。一方、板状体移動用バネ50は、特定温度以上の高温域においては、SMAバネの付勢力がバイアスバネの付勢力より大きくなるように設定しているので、SMAバネの付勢力により収縮することにより、板状体40を主翼1の前後方向に移動させるアクチュエータとして機能する。すなわち、板状体移動用バネ50は、本発明における板状体移動手段である。
板状体移動用バネ50を特定温度以上に加熱して、その構成要素であるSMAバネの付勢力で収縮させることにより、板状体40を主翼1の後縁側に移動させて、図2(a)に示すように板状体40の一方の端部41をフラップ10の外皮部12の上面に近接ないし当接させることができる。このように板状体40の一方の端部41をフラップ10の外皮部12の上面に近接ないし当接させることにより、主翼1の内部から噴射口へといたるジェット気流誘導面を形成することができる。一方、板状体移動用バネ50を特定温度未満まで冷却して、その構成要素であるバイアスバネの付勢力で伸長させることにより、図1及び図2(b)に示すように板状体40を主翼1の前縁側に移動させることができる。
次に、図1〜図3を用いて、本実施の形態に係る高揚力発生装置の動作について説明する。
<離着陸時における高揚力発生動作>
最初に、航空機の離着陸時(低速飛行時)における高揚力発生動作について説明する。航空機の離着陸時において、図1に示した主翼1の後縁側内部空間Aに、高温のエンジン抽気ガスやコンプレッサで圧縮された高温・高圧ガスが充填されることにより、高揚力発生装置のSMAバネ20が特定温度以上に加熱される。すると、SMAバネ20の付勢力がバイアスバネ30の付勢力よりも大きくなるため、SMAバネ20の付勢力により外皮部12の他方の端部12bが後方に引っ張られる。この結果、図2(a)に示すように、外皮部12の上方部分が翼型部11の上面に密着して、主翼1の後縁端2とフラップ10の外皮部12の上面との間に噴射口Sが形成されるとともに、フラップ10がコアンダ効果に適した円弧形状に成形される。
また、航空機の離着陸時においては、主翼1の後縁側内部空間Aに充填された高温・高圧のガスによって、板状体移動用バネ50の構成要素であるSMAバネが特定温度以上に加熱されることにより、板状体移動用バネ50の他の構成要素であるバイアスバネの付勢力よりもSMAバネの付勢力が大きくなって収縮するため、板状体40が主翼1の後縁側に移動する。この結果、図2(a)に示すように、板状体40の一方の端部41がフラップ10の外皮部12の上面に近接ないし当接して、主翼1の内部から噴射口Sへといたるジェット気流誘導面が形成される。
このように航空機の離着陸時においては、主翼1の上面の後方に噴射口Sが形成され、主翼1の内部にジェット気流誘導面が形成されるため、主翼1の後縁側内部空間Aに充填された高温・高圧のガスは、ジェット気流誘導面に沿って噴射口Sに向かって流れ、ジェット気流となって噴射口Sから主翼1の外部に噴射される。さらに、コアンダ効果に適した円弧形状に成形されたフラップ10に沿って噴射されるジェット気流により、主翼1の後縁周りの流れが押し下げられ(コアンダ効果)、主翼周りの循環が強化されることにより高揚力が発生することとなる。なお、ジェット気流の噴射量によってフラップ10の舵角δfを変化させて、空気抵抗を調整することもできる。
<巡航時における噴射口遮蔽動作>
続いて、航空機の巡航時(高速飛行時)における噴射口遮蔽動作について説明する。航空機の巡航時においては、主翼1の後縁側内部空間Aへの高温ガスの導入が停止されるため、巡航時の高高度の外気により高揚力発生装置のSMAバネ20が特定温度未満に冷却される。すると、SMAバネ20の付勢力がバイアスバネ30の付勢力よりも小さくなるため、バイアスバネ30の付勢力により外皮部12の上方部分が上方に移動する。この結果、図1及び図2(b)に示すように、主翼1の後縁端2とフラップ10の外皮部12の上面とが連接され、噴射口Sは遮蔽される。また、主翼1の内部に配置された板状体移動用バネ50の構成要素であるSMAバネ特定温度未満に冷却されることにより、板状体移動用バネ50の他の構成要素であるバイアスバネの付勢力がSMAバネの付勢力よりも大きくなって伸長するため、板状体40が主翼1の前縁側に移動する。
このように航空機の巡航時においては主翼1の後方における噴射口Sが遮蔽されるため、主翼1の上面の後縁端2とフラップ10の上面とが連接されて、主翼1の後縁部でシャープな形状が形成されるため、空気抵抗を大幅に低減することができる。
以上説明した実施の形態に係る高揚力発生装置においては、主翼1の上面の後縁端2から若干下方に離隔した位置に配置されコアンダ効果に適した円弧形状に成形された翼型部11と、この翼型部11の上面を覆うように配置された柔軟性を有する外皮部12と、を有するフラップ10を備えている。そして、航空機の離着陸時において特定温度以上に加熱されたSMAバネ20が、フラップ10の外皮部12の上方部分を翼型部11の上面に密着させるような付勢力を外皮部12に加えることにより、主翼1の上面の後縁端2とフラップ10の外皮部12の上面との間に噴射口Sを形成するとともに、外皮部12の上方部分を翼型部11に密着させることによりフラップ10を円弧形状にすることができ、コアンダ効果に適したフラップ形状に沿って噴射口Sからジェット気流を噴射させることにより、コアンダ効果による循環制御を実現させて高揚力を効果的に発生させることができる。
また、以上説明した実施の形態に係る高揚力発生装置においては、航空機の巡航時においてSMAバネ20が特定温度未満まで冷却された場合に、バイアスバネ30が、フラップ10の外皮部12の上方部分を上方に移動させるような第2の付勢力を外皮部12に加えることにより、主翼1の上面の後縁端2とフラップ10の外皮部12の上面とを連接して噴射口Sを遮蔽することができる。従って、高揚力が不要な高速飛行時(巡航時)において、高揚力装置に起因する抵抗を低減することができるので、航空機の巡航速度の低下や燃料消費率の増加を抑制することができる。この結果、効果的かつ安定した循環制御技術による高揚力装置の性能が確保される。
また、以上説明した実施の形態に係る高揚力発生装置で使用されるSMAバネ20及びバイアスバネ30から構成されるアクチュエータは、構成が簡素かつ軽量であるため、従来のメカニカルな高揚力装置と比較して、製造費用やメンテナンス費用を格段に低減することができるとともに大幅な軽量化を達成することができる。また、可動部に起因する構造的な間隙(ギャップ)が少なくなる上に、ジェット噴射によりフラップ端部からの渦の発生が抑制されるため、従来のメカニカルな高揚力装置を採用した場合に発生し易かったエアフレームノイズを抑制することもできる。
また、以上説明した実施の形態に係る高揚力発生装置においては、航空機の離着陸時において板状体移動用バネ50が特定温度以上に加熱されて、その構成要素であるSMAバネの付勢力がバイアスバネの付勢力より大きくなって収縮することにより、主翼1の内部の下方に配置された柔軟性を有する板状体40を主翼1の後縁側に移動させて、板状体40の端部41をフラップ10の上面に近接ないし当接させることができる。これにより、主翼1の内部から噴射口Sへといたるジェット気流誘導面を形成することができ、主翼1の内部のジェット気流を噴射口Sまで効果的に導くことができる。また、航空機の巡航時においては、板状体移動用バネ50が特定温度未満に冷却されて、その構成要素であるバイアスバネの付勢力がSMAバネの付勢力より大きくなって伸長することにより、板状体40を主翼1の前縁側に移動させて格納することができる。従って、効果的かつ安定した循環制御技術による高揚力装置の性能が確保される。
なお、以上の実施の形態においては、主翼1の後縁側内部空間Aに充填された高温・高圧のガスによってSMAバネ20及び板状体移動用バネ50を加熱した例を示したが、これらSMAバネ20等を通電によって加熱することもできる。
また、以上の実施の形態においては、SMAバネ20をフラップ10の下方に配置し、SMAバネ20の付勢力により外皮部12の端部12bを後縁側に引っ張ることにより、外皮部12の上方部分を翼型部11の上面に密着させて噴射口Sを形成した例を示したが、SMAバネ20の位置や、外皮部12の端部12bの位置はこれに限定されるものではない。
また、以上の実施の形態においては、バイアスバネ30をフラップ10の上方に配置し、バイアスバネ30の付勢力により外皮部12の上方部分を上方に移動させて噴射口Sを遮蔽した例を示したが、バイアスバネ30の位置もこれに限定されるものではない。
(a)は本発明の実施の形態に係る高揚力発生装置を搭載した主翼の断面図であり、(b)は(a)のB部分(高揚力発生装置)の拡大断面図である。 (a)は図1(b)のII部分(高揚力発生装置のフラップ近傍部分)の離着陸時における拡大断面図であり、(b)は図1(b)のII部分(高揚力発生装置のフラップ近傍部分)の巡航時における拡大断面図である。 従来のメカニカルな高揚力発生装置(ファウラフラップ)の構造を説明するための説明図である。
符号の説明
1 主翼
2 後縁端
10 フラップ
11 翼型部
12 外皮部
20 SMAバネ(形状記憶合金製バネ)
30 バイアスバネ
40 板状体
50 板状体移動用バネ(板状体移動手段)
S 噴射口

Claims (4)

  1. 主翼の上面の後方に形成される噴射口からジェット気流を噴射させてコアンダ効果による循環制御を実現させる高揚力発生装置において、
    前記主翼の上面の後縁端から下方に離隔した位置に配置され円弧形状に成形された翼型部と、柔軟性を有し前記翼型部の少なくとも上面を被覆する外皮部と、を有するフラップと、
    前記フラップの前記外皮部の上方部分を上方に移動させて前記主翼の上面の後縁端と前記外皮部の上面とを連接させるような付勢力を前記外皮部に加えるバイアスバネと、
    前記フラップの前記外皮部の上方部分を下方に移動させて前記翼型部に密着させるような付勢力を前記外皮部に加える形状記憶合金製バネと、を備え、
    特定温度以上に加熱された前記形状記憶合金製バネの付勢力により、前記主翼の上面の後縁端と前記フラップの前記外皮部の上面との間に前記噴射口を形成するとともに、前記フラップの前記外皮部の上方部分を前記翼型部に密着させることにより前記フラップを円弧形状にすることを特徴とする高揚力発生装置。
  2. 前記形状記憶合金製バネが前記特定温度未満まで冷却された場合に、前記バイアスバネの付勢力により、前記主翼の上面の後縁端と前記フラップの前記外皮部の上面とを連接して前記噴射口を遮蔽することを特徴とする請求項1に記載の高揚力発生装置。
  3. 前記主翼の内部の下方に配置された柔軟性を有する板状体と、
    前記板状体を前記主翼の前後方向に移動させる板状体移動手段と、を備え、
    前記噴射口が形成された場合に、前記板状体移動手段が前記板状体を前記主翼の後縁側に移動させて、前記フラップの上面に前記板状体の端部を近接ないし当接させることにより、前記主翼の内部から前記噴射口へといたるジェット気流誘導面を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の高揚力発生装置。
  4. 前記板状体移動手段は、
    特定温度以上に加熱された場合に前記板状体を前記主翼の後縁側に移動させるような付勢力を加える形状記憶合金製バネを有することを特徴とする請求項3に記載の高揚力発生装置。
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