JP2006264657A - 高揚力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の動力方式に比して極めて簡便な動力・駆動方式と簡便な機構によって、安価で且つ軽量の高揚力を発生する装置を提供する。
【解決手段】 高揚力発生を目的とする本体翼上面に可動取り付けされる小翼であって、小翼前縁に本体翼との結合ヒンジを持ち、その後流側下面で本体翼側に取り付けられた周期的に押し引きを可能とする小翼開閉用装置と回転自由に結合され、小翼前縁ヒンジを中心として小翼の開閉を繰り返すことが出来る構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、航空機の動力式高揚力発生装置に関する
航空機の得る揚力は、通常の飛行条件においては飛行速度の自乗に比例し、翼面積に比例し、迎え角に比例する形で表される。しかし、この比例形式は迎え角が大きくなり翼の失速が始まると成立しなくなる。失速とは翼面上の流れが翼面上に沿って流れることが出来なくなり、大きく揚力を減じてしまう現象である。
主翼の面積や飛行速度を増すことなく大きな揚力を得るためには、迎え角を増しても失速をしないようにしてやれば良いことになるが、この、失速を遅らせる効果を出す装置を高揚力装置という。
さて、航空機は離着陸時において巡航状態よりも大幅に低い速度で飛行しなければならないことは明らかであるが、実はそれが航空機の設計に大きな制約となっている。
航空機は高速ならば速度が十分なので小さな主翼面積と小さな迎え角で飛行できるにも係らず、低速で飛行するためには大きな主翼面積か大きな迎え角が必要となる。ここで、迎え角に制約があるとすると低速飛行をするためには大きな主翼面積を採用する以外方法はなくなり、航空機が高速巡航に入ると主翼面積が過剰となり抵抗を増すだけの無駄な存在となってしまう。そこで、航空機には高揚力装置が使用され、離着陸時に迎え角を増しても失速しないで揚力を稼げるようにして翼面積を増やすことなく低速飛行を可能とすることで巡航時の無駄を排除するのが一般である。しかし、高揚力装置が複雑な機構、時には補助エンジン等を必要とし重量、コストあるいは抵抗上の犠牲を発生することは否定できない。
高度に発展した現代技術をもってしても、限られた滑走路長で安全な離着陸を可能にするべく低速で十分な揚力を発生させようとすると、高速巡航で燃料消費を最小にする翼面積よりも大きな翼面積を選択せざるを得ず、本来得られるべき巡航効率を多少共犠牲にしていることは、専門の航空技術者の間では周知の事実である。
以上、飛行効率向上の理想的観点から言えば、今なお、より小面積で大揚力を発生する翼が必要とされているである。
現在、戦闘等の特殊目的をもつ航空機以外の旅客輸送機に採用されている高揚力装置は所要時に主翼前後縁において隙間を空けることの出来る下げ翼を展開・展張する機械式が主力を占めている。しかし、この方式は翼周りの流れに積極的にエネルギーを注入する訳ではないので、失速を遅らせる効果に限界がある。下げ翼によって主翼形状を変えて迎え角を増大しても失速し難いようにし、且つ下げ翼を前後に展張して翼面積を増すことにより高揚力を発生しているが、それも翼構造・機構さらには重量上の制約から離着陸性能と巡航性能の完全な両立を狙う観点からは十分なものになし得ないのである。
また、機械式高揚力装置は大揚力を発生させようとすると機構が複雑になるだけでなく仕掛けも大掛かりとなり、機内・翼内空間に余裕のある大型機は別として取扱の簡便な小型飛行機においては単純な形態以外採用できず、必ずしも低速飛行で十分な揚力を発生させることが出来ないと言う問題もあった。
一方、翼面上で勢いのなくなった境界層を吸い込んだり、空気流を勢いの無くなった境界層に連続的に吹き出すことを利用したりする動力式高揚力装置は、大迎角において極めて大きな揚力を発生させることを可能とし、航空機に理想的な揚力を与えることが出来る。
動力式高揚力装置を使用すれば、小さい翼面積で低速離着陸時に必要な揚力を発生できるようになるので高速での巡航効率向上を達成できるように思われるが、この空気流を作り供給するところに技術的問題があり夢を叶えることが出来ないと言うのが実情である。
例えば、推進用エンジンのジェット排気を翼面に直接噴出そうとすると途中に冷却装置が必要になるだけでなく翼面側にも耐熱設計が必要になるという問題が発生する。そして関連するエンジン周りの機構や構造が機体の重量効率、低抵抗性等を大幅に損なう結果となり、単に短距離離着陸を可能とするだけの意義しかもたない。
推進用とは別の補助エンジンを用いて導入した外気を翼面上に噴き出す方法も考えられるが、それには補助エンジンの搭載が必要となるだけでなく、吸い込みや吹き出し用配管が必要になり、これも関連する機構や構造が機体のスペース効率、重量効率等を大幅に損なってしまい、特殊な目的の航空機にしか適用できない。
本発明に関連する公知技術は非特許文献1に詳しい。また、日本でも試作されたSTOL機「飛鳥」の動力式USB方式高揚力装置については非特許文献2に概要が示されている。技術が飽和していると考えられているせいか機械式、動力式のいずれにおいても上に述べた範疇外の特許文献を見つけることはできない。
「AIR FRAME STRUCTURE」 by MICHAEL C.Y.NIU CONMILIT PRESS LTD. Pp.303〜357 「ASKA(飛鳥)」http://www.nal.go.jp/ndivision/flight/japanese/Museum/ASKA/aska/html
勢いの無くなりつつある主翼周りの境界層を活性化することが失速防止の原理であることはよく知られている。
境界層を活性化するには幾つかの手段が考えられるが、実用化されている基本的なタイプは以下の通りで、実用化されているのはこれらの組合せによるもののみであるといっても過言ではない。
一つは翼面に取り付けられた固定装置によるもので、勢いの無くなりつつある境界層をボルテックス・ジェネレータなどでかき混ぜて流れに対して縦渦を作り勢いを付けてやるタイプである。今でも民間旅客機の主翼翼端部に見ることが出来るが、これは積極的に揚力を増すというよりも危険な翼端失速を防ぐ意味合いが強い方法である。また、ダブル三角翼にして主翼の折れ目から大迎角の時に縦渦を発生する方法は戦闘機などに多く採用されているが、通常形式の航空機には適用し難いという問題がある。
二つは機械式装置によるもので、翼に取り付けられた小翼を動力すことで翼面積増大と翼の実質的な反り(キャンバー)を増し、さらに翼上流あるいは下面を流れる勢いの良い空気を翼上面で勢いのなくなりつつある境界層部分に小翼移動に伴う翼間の隙間を利用して誘導し境界層を活性化させることを組合せたタイプである。
三つは動力式装置を用いるもので、勢いの無くなりつつある境界層を連続的に吸い込むか、勢いの無くなった境界層に別途吸い込んだ空気流を連続的に吹き込んでやり境界層を活性化させるタイプである。駆動源は推進用エンジンまたは別途機体に搭載されたエンジンが用いられる。
これらのタイプによる方法は各種考案され現代航空技術により極限にまでリファインされていると考えられる。
リファインの飽和状態に近いにも関わらず、これらの方法は完全ではないことは既に述べた通りである。鳥のように僅かな風の中を飛びたてるような航空機を実現し、現在以上に巡航時の燃料消費量を減少させるためには、高揚力装置に関する新しい発想が求められることになる。この抜本的な未知のタイプの案出こそが新しい高揚力装置に直結する最大の課題ともいえる。
高揚力装置のうち、機械式によるものは前後縁に隙間を持つ展開・展張型下げ翼形式で略完成に至り、現在性能の限界に達していると考えるのは、エアバスやボーイングの機体がこの方法を採用して長期に亘っていることからも明らかであろう。従って、理想的な燃料消費効率をもつ主翼設計を狙ったり、離着陸に極めて短い滑走路長しか必要としない軽飛行機を実現したりするためには、動力式高揚力装置でありながら、従来の方法とは根本的に異なった機構簡単でかつ作動に関わる重量、容積さらにはコスト負担の極めて少ない方式の創出が必要ということになる。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は従来の動力方式に比して極めて簡便な動力・駆動方式と簡便な機構によって、安価で且つ軽量の高揚力を発生することができるようにすることにある。
本発明は、高揚力発生を目的とする本体翼上面に可動取り付けされる小翼であって、小翼前縁に本体翼との結合ヒンジをもち、その後流側下面で本体翼側に取り付けられた周期的押し引きを可能とする小翼開閉用装置と回転自由に結合され、前記小翼は小翼前縁ヒンジを中心として開閉を繰り返すことが可能な構成としたことを特徴とする。
また、本発明は、高揚力発生を目的とする本体翼上面に可動取り付けされる小翼であって、前記小翼は前縁に前記本体翼との結合ヒンジをもち、前記小翼の後流側下面が本体翼側に取り付けられ周期的押し引きを可能とする小翼開閉用装置に結合され、前記小翼開閉用装置は伸縮自在なスライド式筒と前記スライド式筒を回転させる回転駆動源を備え、前記小翼は小翼前縁ヒンジを中心として開閉を繰り返すことが可能な構成としたことを特徴とする。
また、本発明は、高揚力発生を目的とする本体翼上面に可動取り付けされる小翼であって、前記小翼は前縁端が前記本体翼と小翼前縁ヒンジで結合され、後流側下面が小翼後流側ヒンジにより本体翼側に取り付けられ周期的押し引きを可能とする小翼開閉用装置に結合され、前記小翼開閉用装置は伸縮自在なスライド式筒とクランクで連結され、前記スライド式筒を回転させる回転駆動源を備え、前記小翼は前記回転駆動源により小翼前縁ヒンジを中心として開閉を繰り返すことが可能な構成としたことを特徴とする。
以上、説明したように、本発明は小翼とそれを支持するヒンジおよび小翼をヒンジ周りに往復回転駆動させるだけで構成されているものである。小翼そのものはその前縁を中心に開閉運動をするだけでスライドさせる必要がないという極めて簡単なものである。また、従来の連続的に空気流を噴出す動力式とは、周期的に空気を翼面上に噴出すという点で根本的な思想の違いがある。
小翼と本体翼の隙間を利用して、小翼が開く時に空気を吸い込み閉じる時に空気を噴出するのであるから、専用の配管やノズルなどを要さないことは明らかである。
また、大きな迎え角によって翼上面で勢いが無くなり渦になろうかという境界層の中で小翼を開くと、小翼後縁から回りこむように渦が出来つつ小翼と本体翼の隙間に空気が入り込むので、小翼を開く時に小翼に大きな抵抗が作用することは開角が大きくない限り考えにくい。小翼は噴流が境界層に勢いを与えれば十分であるので大きな開度は要せず、開時において大きなパワーは不要ということになる。一方、小翼閉時すなわち吹き出し時においては、圧力損失を生む配管がないこと、装置のある翼面上全てで一様に吹き出せること、そして小翼と本体翼の隙間がゼロに近い状態ではゆっくりとした小翼の動きでも大きな排出速度の実現が可能であることが相俟って従来の動力式に比較して重量軽減と閉時の大きな吹き出し効果が期待できる。すなわち小型の装置でありながら極端に大きな迎え角でも失速を防止する可能性を有するのである。
簡単な装置で従来の動力式に近い揚力を発生させ得ることの意義は極めて大きい。
本高揚力装置を旅客機に適用すれば旅客スペースを犠牲にすることなく巡航状態に適した主翼面積で設計された航空機を実現出来る可能性をもつ。これによって旅客機の燃料消費を大幅に削減することが期待できる。
本高揚力装置は機構が簡単なので、軽飛行機にも適用が可能である。この場合には、通常の形態をもちながら風があれば数10mの滑走で離着陸可能な、鳥に近い飛行の可能な夢の飛行機が実現出来ることになる。飛行機でありながらヘリコプターに近い飛行をすることができるのである。
本高揚力装置は模型飛行機にも適用が可能である。リモコン・ヘリに較べて操縦が容易で且つ従来は出来なかった極低速での飛行を可能とするので危険な地域の無人観測には大いに力を発揮でき、リモコン機に格段の実用性を付与出来る可能性がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図8は本発明の実施の形態に係り、図1は発明部分の断面図、図2は発明部分と本体翼との関係を示した例、図3〜7は失速状態から連続して小翼1を開閉した時の翼周りの流れの改善の状況を示した図、図8は装置の稼動により結果的に得られる大迎角における翼周りの流れの状況を示した図である。
図1に本発明を具体化する構造の一例を示す。前縁ヒンジ2まわりに本体翼3に対して回転自由に取り付けられた小翼1は後流側にあるヒンジ4に対して、本体翼側に取り付けられた回転駆動源5から図のようにクランク6、圧縮方向にストッパー7のあるスライド式筒8、およびその内部に装着されたスプリング9を介して力が伝えられるので、前縁ヒンジ2を中心とする周期的な開閉が可能である。スプリング9を用いることで本体翼3と密着にいたるまで小翼1は速やかに動くので、小翼後縁の本体翼への近づき方が正弦波で表される場合に比して密着前の後縁の近接速度を大に出来る。後述のように正弦波で後縁が動いても吹き出し速度は密着の瞬間には理論上無限大になるので、装置の弾性変形等を考慮しても本構造ならば小翼が本体翼に密着する瞬間には極めて大きな吹き出し速度を与えることは明らかである。なお、スプリング9をカバーしているストッパー7のあるスライド筒8は小翼1を開く時にクランクからの力を伝えるが、小翼1が本体翼3に密着した以降はスプリングの伸びに応じて伸び、駆動源の回転を継続させる役割を持つ。また、圧力を逃がさないために、小翼と結合部分にはシール10を装着することが望ましい。
なお、敢えて図示はしないが、小翼後縁側をスプリングで本体翼側に引っ張り、その内側すなわち中縁側を回転するカムによって押すことで同様の周期的開閉を可能に出来ることは言うまでもない。
図2に示すように、本発明の根幹をなす小翼は高揚力発生を目的する本体翼上面に小翼前縁を始点2として開閉運動が出来るように取り付けられたものである。全閉時11には本体翼の外形形状を損なわないような形状と取り付け法で取り付けられている。
図3〜図7に本装置の効果を説明する。図3は大きな迎え角をとった時に流線12が本体翼表面に沿うことが出来ず本体翼上面全域で剥離し失速状態に陥っている状態を示している。この時、小翼1は閉じられている。本体翼3はその後ろに広い渦領域13を引きずっている状態とも言える。この状態では通常、渦領域の上側の境界で小さな渦14が連続的に生成されている。以降、図4から図7まで、小翼の開閉が翼面上の境界層に勢いを与え、失速状態を改善して流れを翼面に沿わせてしまう経緯を説明する。
図4は小翼1を開きつつある状態を示す。小翼を剥離の生じそうなところに位置させるとすると、小翼近辺では剥離して渦14を作ろうとする作用が働いているところなので、簡単に小翼後縁を回り込むような渦15を作り、本体翼と小翼の隙間に流れが入り込む。すなわち小翼を開くに際して大きな動力は必要とされない。この段階では、失速状況そのものは改善されていないので、本体翼周りの流線6や剥離渦領域17は特に変化しない。
図5は小翼開度が最大になった時の状況を示している。この段階では小翼後縁を回りこむ渦が誘導する速度が翼上面の流線を引き込むのでその近辺の流れは若干変化するが、本体翼周りの流線18および剥離領域17の全体的動きは特に変化しない。
図6は開かれた小翼1が完全に閉じられる瞬間を示している。小翼1と本体翼3の間に入り込んだ空気が後方に高速で排除されるので、翼上面の渦領域はこの高速吹き出し流19によって前方一定部分が吹き飛ばざれ翼後流の剥離渦領域20は若干後退する。
図7は小翼の開閉を数回繰り返した時の状況を示している。剥離渦領域が後退21しても、先に述べた小翼の開閉に伴う吸い込みと吹き出し機能は変化せず、開閉を継続することで渦領域は消滅させ得て、翼上面を滑らかな流れが覆うことになる。
図8は小翼の開閉を十分繰り返すことで得られる、失速のない翼回りの流れ22を示している。本装置を稼動させることで、通常は失速に陥ってしまう大迎え角においても、正常な翼周りの流れを実現・継続出来ることになる。失速に陥っている状態を改善できるのだから、失速前から本装置を作動させれば、少なくとも失速を改善できる迎え角までは失速しないことは明らかである。
図9は小翼1と本体翼4の関係を記号で表したものである。ここで、簡単のため装置は2次元形状で近似できるとし、小翼の動きを、θを中心として、0度を最小開角、2θを最大開角になるように正弦波で振動をするものとする。
小翼1は正弦波振動をするので、開角θは次のように表すことが出来る。
式1
θ=θ(1+sinωt)
Figure 2006264657
式2
Figure 2006264657
小翼が閉じる方向に動いている時には、小翼1と本体翼4に挟まれている面積が狭くなるので、後方に空気が吐出されることになる。微小時間dtにおける小翼開き角の変化は次式で表される。
式3
dθ=ωθcosωtdt
小翼の動きによって排除される空気面積は小翼後端がこの時間に動く長さに比例して次のようになる。
式4
dS∝ωθcosωtdt=kωθcosωtdt
小翼が閉じることによって、この面積内にある空気は小翼後端と本体翼のつくる円弧上を平均化されて吹き出されると近似出来る。ここで、小翼後端と本体翼のつくる円弧長は次式で表される。
式5
θ=θ(1+sinωt)
従って、微小時間あたりに隙間から吐出される空気量(長さ)は次のようになる。
式6
Figure 2006264657
結局、吹き出し速度として次を得る。
式7
Figure 2006264657
Figure 2006264657
るが、この時cosωt≠0であるから正弦波振動をする小翼が閉じた瞬間の吹き出し速度νは次式のように無限大ということになる。
式8
v=∞
計算上無限大の吹き出し速度は、現実の本体翼や小翼のもつ精度、剛性さらには実在気体の特性などによりあり得ないことであるが、境界層のような翼面に沿い、しかも極めて薄い厚さの空気層に高速で空気を吹き出す方法として、小翼振動方式が極めて有力な手段であることが分かる。機構的に工夫すれば、正弦波振動よりもより大きな吹き出し速度を得られることは前述の通りである。
小翼を複合材等の軽量で高強度の構造にし、図1のように翼の前縁に取り付けることで、通常の意味のフラップなしで大きな揚力増大効果が期待できる。既に述べたように、本発明においては小翼駆動に際して空気の動きに逆らうことなく流れを利用しているので開閉に要するエネルギーが小さいことを期待できる。
前縁に小翼1をおくだけでは後縁部に剥離領域が残ってしまうような大迎角の場合、残剥離領域の最前方位置近くに図10のごとく小翼23を追加装着することで、極端に大きな迎え角まで失速を抑制し翼上面に速やかな流れ24を形成することが可能となる。
本発明は大型航空機、軽飛行機、模型飛行機にまで適用が可能である。大型機、特に旅客機においては従来型フラップと組合せることにより離着陸における翼面積を最適化して燃料消費量を軽減することが可能になる。また、軽飛行機や模型飛行機においては、従来なし得なかった低速飛行を可能とし、実用性を大幅に高めることが可能となる。
本発明の第一の実施に係る高揚力装置の断面図である。 小翼と本体翼との関係、小翼の開閉程度を示した図である。 大迎え角での典型的な失速状態を示した図である。 小翼を開きつつある状態を示す図である。 小翼が完全に開いた状態を示している。 小翼が完全に閉じられた時に剥離領域が若干吹き飛ばされる様子を示している。 小翼が数回開閉を行った時の剥離域後退の様子を示している。 小翼の開閉を繰り返すことで得られる剥離しない流れを示している。 小翼と本体翼の角度関係を示している。 小翼を前縁部と後縁部に設けた時の流れの状況を示している。
符号の説明
1 小翼
2 小翼前縁ヒンジ
3 本体翼
4 小翼後縁側ヒンジ
5 回転駆動源
6 クランク
7 ストッパー
8 スライド式筒
9 スプリング
10 シール
11 小翼全閉状態
12 流線
13 渦領域
14 渦
15 渦
16 流線
17 剥離渦領域
18 流線
19 高速吹き出し流
20 剥離渦領域
21 後退した剥離渦領域
22 流線
23 小翼
24 流線

Claims (3)

  1. 高揚力発生を目的とする本体翼上面に可動取り付けされる小翼であって、小翼前縁に本体翼との結合ヒンジをもち、その後流側下面で本体翼側に取り付けられた周期的押し引きを可能とする小翼開閉用装置と回転自由に結合され、前記小翼は小翼前縁ヒンジを中心として小翼の開閉を繰り返すことが可能な構成としたことを特徴とする高揚力装置。
  2. 高揚力発生を目的とする本体翼上面に可動取り付けされる小翼であって、前記小翼は前縁に前記本体翼との結合ヒンジをもち、前記小翼の後流側下面が本体翼側に取り付けられ周期的押し引きを可能とする小翼開閉用装置と結合され、前記小翼開閉用装置は伸縮自在なスライド式筒と前記スライド式筒を回転させる回転駆動源を備え、前記小翼は小翼前縁の結合ヒンジを中心として小翼の開閉を繰り返すことが可能な構成としたことを特徴とする高揚力装置。
  3. 高揚力発生を目的とする本体翼上面に開閉可能に取り付けされる小翼であって、
    前記小翼は、前縁端が前記本体翼と小翼前縁ヒンジで結合され、後流側下面が小翼後流側ヒンジにより本体翼側の内部に取り付けられ周期的押し引きを可能とする小翼開閉用装置と結合され、
    前記小翼開閉用装置は、小翼後流側ヒンジに結合された伸縮自在なスライド式筒と、前記スライド式筒とクランクで連結されスライド式筒を回転させる回転駆動源を備え、
    前記小翼は前記回転駆動源により小翼前縁の結合ヒンジを中心として小翼の開閉を繰り返すことが可能な構成としたことを特徴とする高揚力装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009542498A (ja) * 2006-06-30 2009-12-03 エアバス ドイッチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 高揚力フラップを調整するための調整装置と同調整装置を備える翼部

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